官報資料版 平成13年1月24日




                  ▽我が国の文教施策のあらまし……………………文 部 省

                  ▽法人企業動向調査(九月実施調査結果)………経済企画庁(現内閣府)

                  ▽労働力調査(十月)………………………………総 務 省











我が国の文教施策のあらまし


文化立国に向けて


平成12年度「我が国の文教施策」(教育白書)は、平成12年11月14日の閣議に報告され、同日公表された。

文 部 省


教育改革の動向

 二十一世紀の到来を目前に控えた今日、政治、行財政、経済構造など社会の様々な分野において従来のシステムを見直した上で大胆な改革が進められており、あらゆる社会システムの基盤である教育分野においても、これまでの教育の成果を踏まえつつ、新しい時代に適合し、これを先取りするような改革を積極果敢に進めていく必要があります。
 このため、文部省では、現在、「心の教育の充実」、「個性を伸ばし多様な選択ができる学校制度の実現」、「現場の自主性を尊重した学校づくりの促進」、「大学改革と研究振興の推進」という四つの視点から思い切った教育改革を進めています。
 文部省では、引き続き教育改革を進め、教育をより良いものにしていく努力を続けていきますが、ひとり行政の努力のみで教育改革が実現するものではありません。学校はもちろん、家庭や地域社会、企業など幅広い関係者の理解を得ながら、一体となって進めていかなければ改革の実をあげることはできません。
 また、政府全体としても、教育改革が内閣の最重要課題として位置付けられ、平成十二年三月に教育改革国民会議が設置され、教育改革全般にわたり活発な議論が行われています。
 新世紀に向けて、未来の担い手である子どもたちが心豊かにたくましく成長できるように教育改革を進めるためには、家庭、地域社会、学校それぞれが教育改革の目指すものを理解し、一体となって力を結集していくことが必要です。
 文部省としても、国民的な議論、国際的な議論を積み重ねつつ、積極的に教育改革を進めていきたいと考えています。
 「教育改革の動向」においては、教育改革の最近の動きや特色ある取組について、Q&A形式やコラム形式で分かりやすく紹介しています(後記参照)。


       《教育改革Q&A》


  Q1 G8(主要八か国)各国の教育を担当する大臣が集まる初めての会議が我が国で行われたそうですが、どのようなことが話し合われたのでしょうか?

  A  平成十二年四月一日から三日にかけて開催した「G8教育大臣会合・フォーラム」では、二十一世紀に向けて情報通信技術をどのように教育に役立てていくのか、留学生などの国際交流をどのように広げていくのかといった課題について話し合いました。
  *  「G8」とは、「Group of Eight」の略で、サミット参加八か国を指します。


  Q2 小・中・高等学校段階の教育改革と大学段階の教育改革の方向性がバラバラのように見えるのですが、どうなのでしょうか?

  A  小・中・高等学校の教育と大学における教育のそれぞれの役割を踏まえて、「自ら学び、自ら考える力」を育て、それを基礎に「課題探求能力」を育てていくという一貫した考え方で小学校から大学までの改革を進めています。


  Q3 少子化が進んでおり、教育面にも様々な影響が出てくると考えられますが、今後、どのように対応していくのでしょうか?

  A  「社会全体で子どもを育てていく」という視点に立ち、家庭・学校・地域社会がそれぞれの役割を果たしながら、一体となって取り組んでいくことが必要です。同時に、当分は、少子化という状況は変わらないので、そのことを逆手にとって、一人一人の個性に応じた教育を実現していくという発想も大切です。


  Q4 完全学校週五日制の実施まで、残すところ一年ちょっとになりましたが、学校が休みになる日のために、何か特別な取組を考えているのでしょうか?

  A  平成十四年度からの完全学校週五日制の実施に向けて、平成十一年度から十三年度までの三年間、地域における子どもたちの体験活動を充実させるための取組(「全国子どもプラン(緊急三ヶ年戦略)」)を進めています。


  Q5 最近、学校にコンピュータが配置されたり、インターネットへの接続が進められたりしていると聞きましたが、この先、学校教育の情報化はどのように進められていくのでしょうか?

  A  近年の急速な情報化の発展により、社会のあらゆる分野で情報化が進み、二十一世紀を担う子どもたちを育てる学校教育でも、情報化への対応を最重要課題の一つとして位置付け、ミレニアム・プロジェクト「教育の情報化」を中心に、「全ての学級」の「あらゆる授業」において、教員や児童生徒がコンピュータ・インターネットを活用できる「新しい時代」を目指しています。


  Q6 通信制大学院が制度化されましたが、テレビ・ラジオを通して自宅で勉強することのできる放送大学では、大学院の構想は持っていないのでしょうか?

  A  放送大学は、我が国唯一のテレビ・ラジオを利用して大学教育を行っている大学ですが、現在、平成十四年四月から修士課程の学生を受け入れることを目指して、大学院設置の準備を進めているところです。


  Q7 学習指導要領が改訂され、教える内容が減ることにより学力が低下するのではないかと心配なのですが、どうなのでしょうか?

  A  共通に学ぶ知識の量は減りますが、ゆとりをもって繰り返し学ぶことで基礎・基本の確実な定着を図り、自分で学ぼうとする意欲や学び方をしっかり身に付けさせるとともに、高校卒業レベルの教育内容の水準はこれまでどおりとしており、学力が低下することはないようにしています。


  Q8 中高一貫教育校では、ゆとりを持っていろいろなことが学べると聞きますが、どのような学校なのでしょうか? また、今後増えていくのでしょうか?

  A  中高一貫教育校は、これまでの中学校、高等学校のようにそれぞれ三年間ずつ学ぶのではなく、中学校から高等学校までの六年間を通じた教育内容や環境の中で、生徒一人一人がゆとりを持って学ぶことができる新しいタイプの学校のことです。現在は十七校ですが、全国の生徒や保護者が、これまでの中学校・高等学校に加えて、中高一貫教育校も選べるように、全国に五百校程度設置されることを目標としています。


  Q9 学校評議員という制度が平成十二年四月からスタートしたと聞いたのですが、これはどういう制度ですか? また、これにより、学校はどのように変わっていくのでしょうか?

  A  学校評議員制度は、校長先生が、保護者や地域の方々から、意見を聞いたり助言を求めたりすることができるようにする仕組みです。これにより、地域に開かれた学校づくりが進み、学校運営に地域の声が反映されるようになり、学校と地域の結び付きがますます強くなっていくものと考えられます。


  Q10 大学入試は多様化してきているとは思いますが、これからの大学入試はどのようなものになっていくのでしょうか?

  A  近年、各大学の入学者選抜においては、入学志願者と大学とのより良い相互選択を実現するため、受験生の能力・適性等を多面的に判定する方向で、工夫改善が行われており、今後もこの方向で入学者選抜の改善が進むものと考えられます。


  Q11 社会人になって十年になりますが、自分の技術を高めるために、もう一度大学や大学院で学びたいと思っています。それに関して何か特別な制度はあるのでしょうか?

  A  大学や大学院において生涯にわたり高度の知識・技術を修得したいという社会人のニーズにこたえるために、様々な取組を実施しています。


  Q12 大学の教育研究活動などの評価が最近話題になることが多いようですが、どのような評価が行われているのでしょうか?

  A  各大学は自己点検・評価に取り組んでいます。また、今年の四月からは、第三者としての客観的な立場から評価を行う機関として大学評価・学位授与機構が始動しています。


  Q13 国立大学の独立行政法人化について検討を行っていると聞いたのですが、どのような状況になっているのでしょうか?

  A  平成十二年五月に開催された国立大学長・大学共同利用機関長等懇談会において、文部大臣より、国立大学の大学独立行政法人化の方針が表明されました。文部省では、現在、有識者による調査検討会議を新たに設け、国立大学の独立行政法人化のための制度の具体的内容について検討しています。


  Q14 企業が技術力を高めるために、大学と連携や協力をして研究を進めることが重要だと思いますが、どのような取組が行われているのでしょうか?

  A  「産業技術力強化法」が成立するなど、今まで以上に大学が企業と連携・協力して研究が行いやすくなりました。


  Q15 近年、我が国のものづくり能力の低下が叫ばれていますが、ものづくりに関して、教育面でどのような取組を行っていくのでしょうか?

  A  年少期においては体験的な学習を通してものづくりの楽しさを教え、高校や大学などではより実践的な教育の充実を図るなど、児童生徒の発達段階に応じた、ものづくりに関する教育の充実を図っていくこととしています。


  Q16 スポーツは私たちの人生をより豊かにしてくれるものだと思うのですが、これからのスポーツの振興について、どのように考えているのでしょうか?

  A  文部省では、我が国のスポーツの一層の振興を図るため、「スポーツ振興基本計画」を平成十二年九月に作成しました。同計画では、平成十二年度から概ね十年間で実現すべき政策目標を設定し、様々な取組を進めていくこととしています。


       《コラム一覧》
 ・ 国民全員で教育改革について考えよう!
    〜教育改革国民会議〜
 ・ コミュニティは「つくる」もの
    〜千葉県習志野市秋津〜
 ・ いわゆる「学級崩壊」について
    〜『学級経営の充実に関する調査研究』(最終報告)の概要〜
 ・ 様々な経験を持つ社会人を教育の場に
    〜教育委員会における緊急雇用対策事業〜


       《トピックス一覧》
 ・ シドニーオリンピックについて
 ・ 「キレる」子供の成育歴に関する研究
    〜国立教育研究所と厚生省・国立公衆衛生院との共同研究〜
 ・ 思春期の子どもを持つ親のための家庭教育資料の作成

第1部 文化立国に向けて

第1章 今、我が国の文化をめぐって

第1節 文化をめぐる環境

 我が国の一人当たりの国民所得は、昭和五十年代の始めに米国に追いつき、この頃から物の豊かさよりも心の豊かさを重視する人が多数を占めるようになりました。しかし、近年の景気の低迷により、企業の設立したいくつかの美術館が閉館を余儀なくされ、さらに、金利水準の低下により、様々な芸術文化活動に対し助成を行う団体の運用益が乏しくなるなど、文化活動をとりまく環境は厳しいものとなっています。また、少子高齢化の進行により、子どもに対する教育文化活動への投資が容易になるなどの面もありますが、労働力人口の減少や経済成長へのマイナス効果や地域社会の活力低下など、将来の国民に深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。
 こうした一方で、自由時間の増大による生涯学習の進展や、特色あるまちづくり、むらおこしに当たって、地域における伝統文化が見直し・再発見されることが多くなっています。
 また、我が国の企業の間で文化活動を支援しようとする動きがあります。このような民間企業による芸術文化支援活動は「メセナ」活動と呼ばれ、音楽、美術、演劇、伝統芸能などの活動を支援しています。「メセナ」活動は、芸術文化の啓発・普及や地域文化の振興において重要な役割を果たしています。
 近年のデジタル技術の急速な発達への対応については、博物館、美術館におけるデジタル・アーカイブ構想の推進や情報化に対応する著作権制度の整備などが行われています。
 学校教育においては、芸術文化や伝統文化を通じた心の教育を重視し、学校週五日制の実施に伴う家庭や地域社会における対応の充実などが求められています。
 国際的には、国民の交流の増大による異文化への関心が高まるとともに、文化活動は国際的な広がりを持つようになり、世界遺産など文化財保存のための国際協力、その他国際機関との協力がますます必要となっています。
 近年、文化への需要は国内各地において増加しており、地域の文化意識の高まりに対応することは重要な課題となっています。また、地域文化の振興に当たっては歴史的な街並みや特色ある伝統文化のほか、公立文化施設の有効活用が重要となっています。

第2節 我が国の文化の姿

 国民の芸術文化鑑賞活動は、美術館の入館者数が増加するとともに、様々な媒体を通じての鑑賞が盛んになっています。一方、近年、芸術文化を単に鑑賞するだけでなく、能動的に文化活動に参加する傾向も見られます。
 芸術文化活動を職業としている人々は増加していますが、純粋に芸術文化活動のみによって生計を立てられる人は少ないのが実状です。また、我が国には数多くの芸術団体が存在しますが、これらの多くは経済面において決して安定的な状態にあるとはいえない状況です。
 文化活動を担う人材養成については、芸術団体やその附属の養成所、劇場などの文化施設において実践的な指導が行われているほか、大学などの学校教育においては、体系的かつ組織的な教育が行われています。文化庁においても、次代の芸術界を担う創造性豊かな人材を養成するため、芸術フェローシップなどの事業を実施しています。
 文化施設については、地域住民に対し、音楽、演劇、美術などの芸術鑑賞機会や文化活動の成果の発表の場を提供するなど、地域の芸術文化の振興を図る上で、重要な役割を担っています。最近では、音響・舞台設備などにおいて優れた機能を有する分野別の専用ホールや特定の作家を中心に収蔵・展示を行う個性的な美術館も増えてきています。
 このほか、現代舞台芸術、伝統芸能、美術、メディア芸術、アートマネージメント・舞台技術、出版文芸、茶道・華道・書道、囲碁・将棋、建築、造園といった様々な分野における、文化活動の現状についても概況を紹介しています。

第2章 文化行政の歩み
    ―文化行政の展開とその評価―

 文化庁では、平成元年、文化庁長官の私的諮問機関として文化政策推進会議を発足させました。
 この会議の発足後の約十年間に国の文化に関する行政はどのような取組がなされてきたのかについて、「文化庁予算の推移」、「芸術創造活動の活性化」、「伝統文化の継承と発展」、「地域における文化の振興」、「文化を支える人材の養成・確保」、「文化による国際貢献と文化交流」、「文化発信のための基盤整備」の項目に沿って、現在までの成果を比較表により分かりやすく示しています。

第3章 文化立国の実現を目指して

第1節 心豊かな社会の実現に向けて
    ―今後の文化行政の方向性―

 文化庁では、平成十年三月に「文化振興マスタープラン―文化立国の実現に向けて―」を策定しました。このマスタープランで示したように、文化行政の基本的な役割は、伝統的な文化を踏まえ、個性ある文化を振興することにより、心豊かな社会の実現に資するとともに、これを世界に向けて発信し、人類の文化の進展に資することであると考えています。

第2節 より高い文化の創造
    ―芸術創造活動と人材養成―

 多彩で豊かな芸術を生み出し、我が国の文化を新たな高みに導くのは、主に芸術家・芸術団体の自由な発想に基づく創造活動です。しかし、多くの場合、芸術家・芸術団体の自己収入によってこれを支えるのは困難であり、創造活動に取り組める環境を整備することが求められています。
 国は、芸術家や芸術団体が展覧会や公演を実施するための経費を支援すること、国立の文化施設で展覧会や公演を組織することなどにより、芸術家・芸術団体が創造活動に取り組める環境の整備を進めるとともに、国民に優れた芸術活動の鑑賞の機会を提供しています。
 また、芸術創造活動への支援とその基盤整備、伝統芸能などの振興、若手芸術家の人材養成とこれらを促進するための取組を進めています。

第3節 幅広い文化の普及
    ―国民の文化活動への参加の拡大―

 近年、各地域における個性豊かな芸術・文化を育て、発信していこうとする気運が高まっています。このため、全国各地において、国民が生涯を通じて、文化に身近に接し、個性豊かな文化活動を活発に行うことができる環境の整備を図っています。
 また、文化財の保護については、都市開発と埋蔵文化財や歴史的建造物の保存との関係など古くて新しい課題が多くあります。文化財が後世まで守り伝えられていくには、国民一人一人が地域の歴史や文化を理解し、大切にする心を持つことが肝要です。
 さらに、地域の歴史的な文化などの所産を活かしながら、文化の香り高いまちづくりが全国各地において積極的に展開されています。文化庁としても、全国的に芸術文化の鑑賞機会の充実を図るため、舞台芸術の各種の巡回事業や国立博物館・美術館が所蔵する美術作品の巡回展を行うなど、芸術文化活動を鑑賞する機会の充実に努めています。

第4節 教育改革との連携
    ―感性豊かな子どもたちの育成―

 豊かな人間性の育成には、心にうるおいとゆとりをもたらす優れた芸術文化に触れることが有効かつ必要な教育方法の一つであり、子どもたちの文化活動の振興は、教育改革の観点からも、中長期的な文化の振興の観点からも重要です。
 国や地方公共団体では、子どもたちの豊かな感性をはぐくむとともに、舞台芸術鑑賞の楽しさ、本物の芸術のすばらしさを体得する機会を提供するための事業を行っています。
 子どもたちが我が国の文化と伝統に対する関心や理解を深め、尊重し、継承・発展する態度を育成することは、豊かな人間性を養う上でも国際社会に生きる日本人の育成の上でも重要であり、新しい学習指導要領では、我が国の歴史・文化と伝統の尊重を重視しています。

第5節 国際文化交流の推進

 我が国は、明治以降、西欧化を積極的に図ることにより高度工業社会を実現しましたが、我が国に対する諸外国の理解を深めるための努力は少なかったといわざるを得ません。
 近年では、我が国の伝統や現代文化について諸外国の理解を深めるための努力として、いわゆる大型文化事業の開催が増えています。平成十二(二〇〇〇)年には日蘭交流四百周年記念事業、十三(二〇〇一)年には英国における大型日本文化行事「Japan 2001」、十四(二〇〇二)年には日韓ワールドカップの共同開催に伴う文化交流事業が行われることになっています。
 文化財の保護に関する国際協力については、自国の文化財は自国で護るという「自助努力」を基本とし、その国で文化財の保護に携わる人材の養成を行うことを支援することに重点を置いています。特に「木の文化」として共通した文化的基礎を有するアジア太平洋地域においては、我が国のこれまでの経験や技術を生かした大きな貢献が可能です。

第6節 総合的な推進体制の確立

 平成十三年一月、中央省庁の再編が行われ、文化庁は文部科学省の外局として位置付けられることになっています。
 文化に関する行政領域には、関係省庁が一体的に取り組むべき課題が多くあり、今後とも、関係省庁がより一層連携・協力関係を強化していく必要があります。

第4章 海外の文化行政

 文化に対する国のかかわり方は、各国の歴史、伝統などによって大きく異なります。また、国民生活に占める政府の大きさによっても、文化と政府のかかわり方には相違が見られます。

第1節 イギリスの文化行政

 イギリスでは、他の国に比べ早い時期に市民革命を達成し、王家の力が制限されたため、特定の王家や貴族による芸術文化の庇護という色彩は薄く、富裕な市民層に支えられてきたという性格がその特色となっています。そのような背景から、イギリスにおける文化行政は、芸術文化活動と一定の距離を保ち、その自主性を尊重するという“Arm’s Length Principle”(アーム・レングスの原則)の精神にあり、芸術協議会(Arts Council)などの中間的な組織を通じ、芸術の振興を図る方式がとられています。

第2節 アメリカの文化行政

 アメリカにおいては伝統的に、特に連邦政府の持つ機能を限定しようとする傾向があるといわれます。また、築いた富を寄付という形で社会に還元することは当然と考えられており、芸術の振興・保護についても、歴史的に資産家による美術品の収集や美術館、コンサートホールなどの創設、芸術家への経済援助など従来から定着しています。文化における連邦政府の役割は、これらの寄付などの援助、助長するための税制上の優遇措置などを講じることにより支援する方策が中心となっています。

第3節 フランスの文化行政

 フランスでは、王朝時代には、芸術家や芸術団体は、王家や貴族の庇護の下にありましたが、フランス革命後は、その多くのものが公的なものとなり、国が直接資金を出す伝統が確立されました。
 フランスにおける文化行政の重点は、新しい文化をつくりだすための、創造活動の推進におかれているといわれています。

第4節 中国の文化行政

 中国では、主として文化部と国家文物局が文化行政を担当していますが、急激な経済発展に伴う社会変化に対応するため、文化部内に新たに文化市場司と文化産業司を設置し、文化市場の管理と文化産業の振興に取り組んでいます。
 また、芸術文化の振興を図るため、関係法令の整備、税制等の優遇措置、芸術文化関連施策の実施、文化財の保護政策のほか日中文化交流の推進が図られています。

第5節 韓国の文化行政

 韓国では、主として文化観光部が国家レベルの文化行政を担当しており、芸術文化振興を図るため、芸術文化関連施策、文化財の保護政策、国際文化交流や韓国語に対する国民の理解を深めるための言語政策などを実施しています。また、近年では、日本の大衆文化開放措置がとられています。
 二〇〇二年は、我が国と韓国との共同により、ワールドカップが開催されるなど、同年を「日韓国民交流年」とし、様々な文化交流が実施されることとなっています。

第2部 文教施策の動向と展開

文教行政における行政改革への対応

 近年の行政改革は、中央省庁等改革、規制緩和、地方分権、情報公開、特殊法人の改革の各分野全般にわたっており、文部省としては、教育改革を推進する上で、これらの行政改革との連携を図ることに留意しつつ、具体的な施策を展開しています。
(1) 中央省庁等改革
 平成十三年一月に中央省庁再編により、文部省と科学技術庁を統合し、「文部科学省」を設置することになっています。
(2) 規制緩和
 臨時教育審議会の答申(昭和六十〜六十二年)において個性重視の原則が打ち出されて以来、教育改革の一環として規制緩和を推進してきています。
(3) 地方分権
 各学校が主体的に特色ある学校づくりを行うとともに、学校、家庭、地域社会が連携協力して、地域が一体となって子どもの成長を担っていくことができるよう、各地方公共団体が、積極的な教育行政を展開して、各学校や各地域の取組を支えていくことが求められています。
 このような観点から、いわゆる地方分権一括法により、文部省関係法律が改正され、平成十二年四月に施行されました。これを受けて、十二年四月の時点で、都道府県・政令指定都市のうち、二十二団体で新制度に基づき教育長を任命し、二十四団体で教育委員を五人から六人としました。また、都道府県が定めていた市町村立学校の管理運営の基準が廃止されるなど、各地方公共団体においても必要な制度改正が行われました。
 今回の改正により、今後、より一層主体的かつ積極的に地方教育行政が展開されていくことが期待されます。
(4) 情報公開
 文部省においては、その所管する審議会等について、審議の公開等に努めており、現在十四審議会(活動中の審議会のうち、専ら処分等の案件を審議する審議会を除いたもの)すべてが、会議又は議事録の公開を行っています。公開された議事録等については、文部省の文書閲覧窓口において自由に閲覧できるほか、インターネット上の文部省ホームページにおいても広く情報提供を行っています。加えて、平成十一年度からは、文部省クリアリング(所在案内)システムを整備し、様々な行政情報の所在案内の提供サービスを開始しているほか、平成十一年五月に成立した「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(情報公開法)に基づき、十三年四月からの施行に向けて準備を進めています。
(5) 特殊法人の改革
 従来から必要な見直しを進めており、昭和五十五年には十法人であった文部省所管特殊法人は、現在七法人となっています。
 また、平成十一年五月に「国立教育会館の解散に関する法律」が成立し、国立教育会館は、十三年五月二十七日までに解散することになっています。

第1章 生涯学習社会の実現へ

 文部省は、多様な学習活動を総合的に推進し、生涯学習社会を構築するため、学校教育、社会教育、文化、スポーツの振興に関し、生涯学習に資する施策を実施するとともに、関係省庁との連携・協力に努めています。
 また、公民館や図書館など地域における学習施設の整備や学習機会の提供は、各地域の実情に応じて地方公共団体が行っており、民間においても社会通信教育やカルチャーセンターなどの民間教育事業・団体が大きな役割を果たしています。このような地方公共団体や民間の活動の一層の促進を図るため、文部省では、@生涯学習の振興に関する制度の整備、A地方公共団体や民間では実施困難な全国的規模の学習基盤の整備、B地方公共団体や民間の支援などの取組を行っています。
 具体的には、平成十四年度の完全学校週五日制の実施に向けて、地域の子どもを育てる環境を整備し、親と子どもたちの活動を振興する体制を整備するため、「全国子どもプラン(緊急三ヶ年戦略)」の推進、生涯学習審議会答申を踏まえた生涯学習の振興、放送大学の整備・充実、専修学校の振興、高等教育機関へのアクセスの拡大など多様で総合的な学習機会の拡充、学習活動の成果に対する適切な評価と活用、生涯学習とボランティア活動の支援・推進、生涯学習の振興のための事業を開催するなど、生涯学習社会の実現へ向けた様々な取組を進めています。

第2章 初等中等教育の一層の充実のために

 「ゆとり」のある学習活動の中で子どもたちに自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動する能力、自らを律しつつ他人を思いやる心などの豊かな人間性といった「生きる力」を培うことを目指して、初等中等教育の改革を推進しています。
 このような考え方に立ち、幼稚園から高等学校段階までの全体を見通して、学習指導要領等の改訂を行い、教育内容の厳選、選択学習の幅の拡大、総合的な学習の時間の創設などの改善を図りました。平成十二年四月からは、新しい幼稚園教育要領を実施するとともに、総合的な学習の時間をはじめ、新しい学習指導要領の円滑な実施を図るための移行措置を実施しています。また、平成十一年度に制度化された中高一貫教育校の設置を進めるとともに、引き続き、総合学科の設置促進を図るなど、高等学校教育の改革を進めています。
 教育改革の実現には、各学校が、子どもや地域の実情に応じた創意工夫ある教育活動を展開するとともに、学校、家庭、地域社会が連携協力して地域を挙げて子どもを育てていくことが重要です。このため、学校が、より自主性・自律性を持って、校長のリーダーシップのもと、組織的かつ機動的に運営されるとともに、家庭や地域と一層の連携を図ることができるよう、平成十二年四月から、校長・教頭の資格要件の緩和、職員会議の位置付けの明確化、学校評議員制度の導入を行いました。
 また、教職員定数の改善についても、現行の教職員配置改善計画の平成十二年度完成に引き続き、十三年度から基礎学力の向上ときめ細かな指導を目指す教職員定数の改善を図ることができるよう取り組んでいます。
 このほか、道徳教育・ボランティア教育の充実、環境教育の推進、インターンシップの推進、環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備推進、国旗・国歌の指導、教育の情報化や暴力行為、いじめ・不登校などの解消を目指した問題行動等への取組の強化、教員の資質能力の向上のための免許制度・教員採用の改善、教員研修の見直しを進めるとともに、平成十二年度には、大学院修学制度(いわゆる研修休業制度)を創設(十三年度から運用開始)し、意欲ある現職教員が、その身分を保有したまま、職務に従事せずに国内外の大学院などで長期にわたり在学することができるようにするなど、初等中等教育の一層の充実のための様々な取組を進めています。

第3章 高等教育の多様な発展のために

 社会・経済の更なる高度化・複雑化や国際化の進展に伴い、大学など高等教育機関に対しては教育研究の質の高度化及び人材育成に対する要請などへの適切な対応が一層求められています。
 平成十年十月の大学審議会答申「二十一世紀の大学像と今後の改革方策について―競争的環境の中で個性が輝く大学―」では、過去十年間にわたる大学改革を総括した上で、今後の大学改革についての提言がまとめられ、この提言を受け、学校教育法や大学設置基準等の法令の一部改正を行うなど、文部省や大学では積極的な大学改革に取り組んでいます。
 具体的には、@教育研究の質の向上を図るため、責任ある授業運営と厳格な成績評価などを目指した学部段階の教育の充実と改革、高度専門職業人の養成に特化した実践的な教育を行う専門大学院の制度化など大学院の充実と改革を進めるとともに、A外部有識者の意見を取り入れるため、各国立大学に運営諮問会議を設置するなど組織運営体制の整備、B平成十二年四月の大学評価・学位授与機構の新設をはじめとした多元的な評価システムの確立などの取組を進めています。
 また、C社会人など多様な学習ニーズにこたえ、産業界との連携強化を図るため、大学院の修業年限の弾力化など大学における社会人再教育の推進や、インターンシップの推進を図っています。
 このほか、大学入学者選抜の改善、高等教育機関の整備充実、人材育成を支える育英奨学事業の充実、就職指導の充実など、高等教育の多様な発展のための様々な取組も進めています。

第4章 私立学校の振興を期して

 私立学校は、我が国の学校教育の量・質両面にわたる発展にとって極めて重要な役割を果たしています。
 このため、国は、私立学校の振興を重要な政策課題として位置付け、@経常費補助を中心とする私学助成事業、A日本私立学校振興・共済事業団における貸付事業、B税制上の特例措置などの振興方策を講じてきました。特に、私立学校の特色ある教育研究に対する補助の重点化、私立学校のIT化に対応した補助の充実、新しい教育内容に即応した補助の推進などを実施し、私立学校の教育研究条件の維持向上及び私立学校に在学する学生生徒の修学上の経済的負担の軽減などを図ることとしています。

第5章 社会教育の新たな広がり

 社会教育は、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動であり、人々の多様な学習要求に対応するため、各種の学習社会の構築に向けて重要な役割を果たしています。
 社会の変化に伴う人々の多様化・高度化する学習需要や生涯学習社会の進展などの新たな状況に対応した社会教育の推進が求められています。
 今日の子どもたちを取り巻く状況については、少子化や核家族化を背景とする過保護・過干渉などによる家庭の教育力の低下などの様々な課題が指摘されており、社会の大人たちすべてが手を携えて子どもたちを大切にし、心豊かにはぐくんでいく機運を醸成していくため、文部省においては、平成九年八月以降「(子どもと話そう)全国キャンペーン」を実施しています。
 また、近年の急激な社会構造の変化に伴う人々の価値観や行動様式の変化を背景として、人々の学習要求は高度化・多様化しており、文部省では成人及び高齢者の学習の促進、「生きる力」をはぐくむ青少年の体験活動の充実、心の教育の基礎となる家庭教育の充実、男女共同参画社会の形成に向けた学習活動の振興、学習成果を生かした社会参加の促進、少子化に対応した教育施策、メディア上の有害情報から子どもたちを守るなど、様々な取組を進めています。

第6章 未来を拓く学術研究

 学術研究は、真理の探究という人間の基本的な知的欲求に根ざし、新しい法則や原理の発見、分析や方法論の確立、新しい知識や技術の体系とその応用、先端的な学問領域の開拓などを目指して行われる普遍的な知的創造活動です。
 二十一世紀の学術研究及びそれを中核・基盤とする科学技術は、「二十世紀型科学技術」のもたらした文明の行き詰まりを克服し、新しい価値観の下に我が国の発展、さらには世界・人類の発展を期して、新たな文明の構築に貢献することを目指しています。
 今後、「二十一世紀型科学技術」を発展させ、「新しい豊かさ」を目指す価値体系を構築するため、人文・社会科学と自然科学を統合した研究も含め、先導的・独創的な学術研究を推進する必要があります。新たな文明の構築に貢献し、「知的存在感のある国」を目指すことが必要だとして、平成十一年六月二十九日に学術審議会から「科学技術創造立国を目指す我が国の学術研究の総合的推進について」答申がなされました。また、現在、科学技術会議において、次期の科学技術基本計画(十三〜十七年度)策定に向けた審議が行われています。
 文部省では、これらの学術研究を取り巻く諸状況の変化に対応し創造的な学術研究の振興に努めるため、大学などの研究費や研究設備の充実、若手研究者の養成・確保、研究組織、学術情報・学術資料の整備、基礎研究の重点的な推進、産学連携・協力の取組の強化、発信型の学術国際交流の推進、学術研究における評価の充実、学術研究に関する国民理解の増進などの多様な取組を進めています。

第7章 スポーツ振興と健康教育の充実に向けて

 スポーツは、人生をより豊かにし、充実したものとする人間の身体的・精神的な欲求にこたえる世界共通の人類の文化の一つです。心身の両面に影響を与える文化としてのスポーツは、現代社会において、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や個々人の心身の健全な発達に必要不可欠なものです。
 これまで、国、地方公共団体においてスポーツ振興のための施策を展開してきたものの、青少年の体力・運動能力の低下、身近なスポーツ環境の整備充実の必要性などいくつかの課題が生じています。スポーツ振興をめぐる諸課題に適切に対応するためには、スポーツ振興投票制度の成立など新たな状況を踏まえ、各種施策に体系的・計画的に取り組むことが求められています。このため、文部省では、保健体育審議会の答申を踏まえ、平成十二年九月に「スポーツ振興基本計画」を策定し、十三年度から概ね十年間で実現すべき政策目標を設定するとともに、その政策目標を達成するために必要な施策を示し、五年後に計画の見直しを行うこととしています。
 また、学校体育・スポーツの充実、生涯スポーツの推進、競技スポーツの振興のほか、児童生徒の心身の健康の保持増進を図り、薬物乱用、性の逸脱行動、生活習慣病の兆候などといった健康に関する課題に対処するため、健康教育の充実に向けた様々な取組を進めています。

第8章 文化の振興のための取組

 今日、文化の振興を図り、文化を重視した国づくりを行うことにより、国民一人一人が真にゆとりと潤いを実感できる生活を実現するとともに、将来に向かって創造性に富んだ活力ある社会を形成していくことが必要となっています。
 このような観点から、文化庁においては、二十一世紀の文化立国の実現に向けた基本的な指針となる「文化振興マスタープラン」を平成十年三月に策定しました。本プランに基づいて、文化立国の実現が国を挙げて取り組むべき課題であるとの認識の下に、現在、創造的な芸術文化の振興、文化財の保護をはじめとする伝統文化の継承・発展、地域における子どもの文化活動の推進、著作権制度の整備、文化の国際交流・協力など様々な文化振興施策を推進しています。

第9章 国際化への要請にこたえて

 平成十一年に開催されたケルン・サミットにおいて、教育や生涯学習の重要性が確認され、今後の文教施策においては、経済など他分野の施策との連携を図りながら推進することが必要であるとされました。
 平成十二年四月に東京・沖縄で開催されたG8教育大臣会合・フォーラムにおいては、参加各国の国内施策について相互理解が深められるとともに、教育改革の推進に当たっては、各国が更に相互に学び合い、絶えず協力する必要があることが認識され、また、十二年七月に開催された九州・沖縄サミットにおいても、教育について活発な意見交換がなされました。
 今後は、二十一世紀の国際社会の中で主体的に生きる日本人を育成していくための諸施策を充実すること、教育・学術・文化・スポーツの分野での国際交流を一層推進すること、人づくりなどに貢献する国際協力を積極的に推進していくこと、という三つの課題への取組を強化し、国際化に対応した文教施策の展開を図っていく必要があります。
 文部省では、国際理解教育、外国語教育、海外子女教育や海外から帰国した児童生徒に対する教育など国際社会に生きる日本人の育成、学生・教員・青少年の交流、日本語教育、スポーツ・文化交流など相互理解を進める国際交流、ユネスコなどの国際機関を通じた人づくり協力などの取組を進めています。

第10章 情報化への新局面を迎えて

 文部省では、高度情報通信社会の進展に伴い、教育・学術・文化・スポーツの各分野において、情報化に対応した様々な施策を展開しています。
 中でも情報活用能力の育成は、これからの高度情報通信社会を担う子どもたちにとって必要不可欠な基礎的能力であり、新しい学習指導要領においても、情報教育の一層の充実が図られることになっています。
 また、平成十七年度を目標にすべての学級のあらゆる授業においてコンピュータ・インターネットを活用できる環境を整備し、「ミレニアム・プロジェクト『教育の情報化』」によって、学校のコンピュータ整備・インターネット接続、校内LANの整備、教員研修の実施、学校教育用コンテンツの開発などを行うこととしています。
 このほか、文部省、国立教育会館、国立社会教育施設、都道府県・指定都市の教育センター、社会教育施設、学校などを衛星通信で結んだ「エル・ネット(教育情報衛星通信ネットワーク)」を活用して、子ども放送局、オープンカレッジ(大学等公開講座)、教育関係者に対する研修、緊急性の高い教育課題に対応するプログラムを放送したりするほか、学術、文化、スポーツの各分野や著作権制度の改善など、情報化に対応した様々な取組を進めています。

第11章 新たな時代の文教施設を目指して

 文教施設は、小・中学校や公民館、図書館、スポーツ・文化施設などの地域のコミュニティの拠点となるものから、最先端の学術研究や高度な人材養成を担う大学・研究機関の施設など、文教施策を展開する基盤として極めて重要な役割を果たしています。
 文部省では、特色ある文教施設づくりを目指し、コミュニティの拠点としての学校施設づくり、学習形態の多様化に対応した学校用家具、学校施設の情報化、学校施設整備指針などの策定、余裕教室の活用や環境を考慮した文教施設の整備などの取組を進めています。
 また、国立大学等の施設は、教育研究活動を支える基盤として、高等教育、学術研究の進展に対応しながら一体的な整備を行っているところであり、高度な教育研究基盤の整備、高度化・多様化する教育研究に対応する施設への再生、先端医療に対応した大学病院の整備などの施策を推進するとともに、大学審議会答申で二十一世紀初頭の大学像として示された「競争的環境の中で個性が輝く大学」を具現化するための取組として、「国立学校等施設に関する点検・評価について(中間まとめ)」を取りまとめ、施設に関する点検・評価を踏まえた「施設の有効活用」及び「重点的な施設整備」を推進するための提言をしています。

第12章 防災対策の充実

 我が国における位置・地質・気象等の自然的条件により発生する地震災害、火山災害、風水害等あらゆる災害に対し、迅速かつ適切に対処するため、防災行政を総合的・計画的に推進することは、極めて重要です。このため、文部省では、次のような観点を基本とし、防災対策の充実に努めています。
 @学校等における児童生徒等の生命、身体の安全を図ること。
 A教育研究活動の実施を確保すること。
 B文教施設及び設備の防護・復旧に万全を期すること。
 C災害及び防災に関する科学的研究の推進を図ること。
 D被災者の救援活動に関し的確な連携・協力を行うこと。
 また、文部省では、北海道有珠山の火山活動に伴い、平成十二年三月二十九日に「文部省災害応急対策本部(三月三十一日以降、文部省有珠山噴火非常災害対策本部に変更)」を設置し、関係機関との情報連絡体制を確立するとともに、児童生徒の安全確保を第一とし、必要な対策を講じました。さらに、三宅島の火山活動及び三宅村、新島村、神津島の地震においても十二年六月二十六日に「文部省災害応急対策本部(八月二十九日以降、文部省三宅島噴火及び新島・神津島近海地震非常災害対策本部に変更)」を設置するなどして必要な対策を講じてきました。


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法人企業動向調査


―平成十二年九月実施調査結果―


経済企画庁(現内閣府)


◇調査要領

 本調査は、資本金一億円以上の全営利法人を対象として、設備投資の実績及び計画並びに企業経営者の景気と経営に対する判断及び見通し並びに設備投資に関連する海外直接投資動向を調査したものである。
 調査対象:調査は、原則として国内に本社又は主たる事務所をもって企業活動を営む資本金又は出資額が一億円以上の全営利法人(約三万四千社)から、経済企画庁が定める方法により選定した四千五百四十社を対象とした。
 調査時点:平成十二年九月二十五日。
 調査方法:調査は、調査法人の自計申告により行った。
 なお、資本金又は出資額が百億円以上の営利法人については、原則として全数調査、百億円未満の営利法人は、層化任意抽出法により選定した法人について調査した。
 有効回答率:調査対象法人四千五百二十八社のうち、有効回答法人四千三百七社、有効回答率九五・一%。
〔利用上の注意〕
(1) 今期三か月の判断とは、平成十二年四〜六月期と比較した場合の十二年七〜九月期の判断、来期三か月の見通しとは、十二年七〜九月期と比較した場合の十二年十〜十二月期の見通し、再来期三か月の見通しとは、十二年十〜十二月期と比較した場合の十三年一〜三月期の見通しである。ただし、在庫水準と生産設備については、それぞれの調査期間における判断と見通しである。
(2) 十二年七〜九月以前は今期の判断、十二年十〜十二月は来期の見通し、十三年一〜三月は再来期の見通しである。
(3) 判断指標(BSI)とは「上昇(強くなる・増加・過大)の割合―下降(弱くなる・減少・不足)の割合」である。
(4) 設備投資の公表数値は、母集団推計値である。また、算出基準は工事進捗ベース(建設仮勘定を含む有形固定資産の減価償却前増加額)である。
(5) 季節調整法は、センサス局法U、X―11を用いた。
(6) 集計上の産業分類は、日本標準産業分類を基準とする会社ベースでの主業分類に基づいて行った。
(7) 昭和六十三年三月調査より、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社、JR関係七社及び電源開発(株)を調査対象に加えるとともに、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社については六十年四〜六月期、JR関係七社については六十二年四〜六月期に遡及して集計に加えた。
(8) 平成元年六月調査より消費税を除くベースで調査した。
(9) 平成十年六月調査より、以下のとおり産業分類の見直しを行い、昭和五十九年六月調査に遡及して集計を行った。
 @ 「造船」を「その他の輸送用機械」に合併。
 A 「印刷・出版」を「その他の製造業」に合併。
 B 「卸売・小売業,飲食店」の内訳を廃止し、「卸売業」と「小売業,飲食店」に分割。
 C 「運輸・通信業」の内訳を廃止し、「運輸業」と「通信業」に分割。
 D 「電力業」と「ガス業」を合併し、「電力・ガス業」とする。
 E 「サービス業」を「サービス業(除くリース業)」と「リース業」に分割。
 F 製造業を素材型、加工型に分類。

一 景気見通し(全産業:季節調整値)

(一) 国内景気第1表参照

 企業経営者による国内景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、四〜六月期「十」の後、七〜九月期は「十七」と「上昇」超幅が拡大した。
 先行きについては、十〜十二月期「十八」、十三年一〜三月期「二十二」と「上昇」超幅が引き続き拡大する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業では、四〜六月期「十四」の後、七〜九月期は「二十二」と「上昇」超幅が拡大した。先行きについては、十〜十二月期に「十八」と「上昇」超幅が縮小に転じた後、十三年一〜三月期には「二十一」と「上昇」超幅が再び拡大する見通しとなっている。
 非製造業では、四〜六月期「八」の後、七〜九月期は「十四」と「上昇」超幅が拡大した。先行きについては、十〜十二月期「十八」、十三年一〜三月期「二十二」と「上昇」超幅が引き続き拡大する見通しとなっている。

(二) 業界景気第2表参照

 所属業界の景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、四〜六月期「一」の後、七〜九月期は「三」と「上昇」超幅が拡大した。
 先行きについては、十〜十二月期「六」、十三年一〜三月期「九」と「上昇」超幅が引き続き拡大する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業では、四〜六月期「九」の後、七〜九月期は「十三」と「上昇」超幅が拡大した。先行きについては、十〜十二月期に「九」と「上昇」超幅が縮小に転じた後、十三年一〜三月期には「十二」と「上昇」超幅が再び拡大する見通しとなっている。
 非製造業では、四〜六月期「マイナス五」の後、七〜九月期は「マイナス一」と「下降」超幅が縮小した。先行きについては、十〜十二月期には「四」と「上昇」超に転じ、十三年一〜三月期は「六」と「上昇」超幅が拡大する見通しとなっている。

二 需要・価格関連見通し(季節調整値)

(一) 内外需要(製造業)(第3表参照

 企業経営者による国内需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、四〜六月期「十」の後、七〜九月期は「十四」と「強くなる」超幅が拡大した。
 先行きについては、十〜十二月期に「十一」と「強くなる」超幅が縮小に転じた後、十三年一〜三月期には「十二」と「強くなる」超幅が再び拡大する見通しとなっている。
 海外需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、四〜六月期「十」の後、七〜九月期は「十二」と「強くなる」超幅が拡大した。
 先行きについては、十〜十二月期に「八」と「強くなる」超幅が縮小に転じた後、十三年一〜三月期には「十」と「強くなる」超幅が再び拡大する見通しとなっている。

(二) 在庫水準(製造業)(第4表参照

 原材料在庫水準に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、六月末「十一」の後、九月末も「十一」と「過大」超幅は六月末と同水準となった。
 先行きについては、十二月末「七」、十三年三月末「六」と「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。
 完成品在庫水準に関する判断指標をみると、六月末「十六」の後、九月末も「十六」と「過大」超幅は六月末と同水準となった。
 先行きについては、十二月末「十」、十三年三月末「九」と「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。

(三) 価 格(製造業、農林漁業、鉱業)(第5表参照

 原材料価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、四〜六月期「十二」の後、七〜九月期は「十三」と「上昇」超幅が拡大した。
 先行きについては、十〜十二月期に「十一」と「上昇」超幅が縮小に転じた後、十三年一〜三月期には「十二」と「上昇」超幅が再び拡大する見通しとなっている。
 製品価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、四〜六月期「マイナス十六」の後、七〜九月期は「マイナス十一」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについては、十〜十二月期に「マイナス七」と「下降」超幅が縮小した後、十三年一〜三月期には「マイナス十」と「下降」超幅が拡大に転じる見通しとなっている。

三 経営見通し(季節調整値)

(一) 売上高(全産業:金融・保険業、不動産業を除く)(第6表参照

 売上高に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、四〜六月期「四」の後、七〜九月期は「五」と「増加」超幅が拡大した。
 先行きについては、十〜十二月期は「六」と「増加」超幅が拡大し、十三年一〜三月期も「六」と十〜十二月期と同水準で推移する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業では、四〜六月期「十一」の後、七〜九月期は「十二」と「増加」超幅が拡大した。先行きについては、十〜十二月期も「十二」と七〜九月期と同水準で推移した後、十三年一〜三月期は「九」と「増加」超幅が縮小する見通しとなっている。
 非製造業では、四〜六月期「マイナス一」の後、七〜九月期は「〇」となった。先行きについては、十〜十二月期「二」、十三年一〜三月期「四」と「増加」超幅が拡大する見通しとなっている。

(二) 経常利益(全産業:金融・保険業、不動産業を除く)(第7表参照

 経常利益に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、四〜六月期「二」の後、七〜九月期は「三」と「増加」超幅が拡大した。
 先行きについては、十〜十二月期も「三」と七〜九月期と同水準で推移した後、十三年一〜三月期は「四」と「増加」超幅が拡大する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業では、四〜六月期「八」の後、七〜九月期は「十」と「増加」超幅が拡大した。先行きについては、十〜十二月期に「八」と「増加」超幅が縮小に転じた後、十三年一〜三月期には「九」と「増加」超幅が再び拡大する見通しとなっている。
 非製造業では、四〜六月期「マイナス三」の後、七〜九月期も「マイナス三」で四〜六月期と同水準となった。先行きについては、十〜十二月期、十三年一〜三月期ともに「〇」で推移する見通しとなっている。

四 生産設備見通し(製造業:季節調整値)(第8表参照

 生産設備に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、四〜六月期「二十」の後、七〜九月期は「十七」と「過大」超幅が縮小した。
 先行きについては、十〜十二月期「十六」、十三年一〜三月期「十五」と「過大」超幅が引き続き縮小する見通しとなっている。

五 設備投資の動向(全産業:原数値)

(一) 半期の動向第9表参照

 設備投資の動向を半期別に前年同期比でみると、十一年度十〜三月期(実績)二・六%増の後、十二年度四〜九月期(実績見込み)は二・四%増となった。
 先行き十二年度十〜三月期(計画)は、三・五%増の見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業では、十一年度十〜三月期七・三%減の後、十二年度四〜九月期は四・七%増と増加に転じた。先行き十二年度十〜三月期(計画)は、六・八%増と引き続き増加する見通しとなっている。
 非製造業では、十一年度十〜三月期七・九%増の後、十二年度四〜九月期は一・三%増となった。先行き十二年度十〜三月期(計画)は、二・〇%増と引き続き増加する見通しとなっている。

(二) 資本金規模別動向第10表参照

 資本金規模別に前年同期比でみると、資本金十億円以上の大企業では、十一年度十〜三月期(実績)三・七%減の後、十二年度四〜九月期(実績見込み)は六・七%減となった。先行き十二年度十〜三月期(計画)は三・七%増と増加に転じる見通しとなっている。
 資本金一〜十億円の中堅企業では、十一年度十〜三月期(実績)一六・七%増の後、十二年度四〜九月期(実績見込み)二三・七%増となった。先行き十二年度十〜三月期(計画)は、三・二%増の見通しとなっている。

(三) 年度の動向第11表参照

 平成十二年度の全産業の設備投資額(修正計画I)は約四十三兆三千億円で、前年度に比べ三・〇%増の見通しとなっている。これは当初計画(三月調査時)に比べ、一二・〇%の上方修正となっている。
 産業別にみると、製造業では、約十四兆五千億円で、前年度に比べ五・八%増の見通し(当初計画比四・三%の上方修正)となっている。
 非製造業では、約二十八兆八千億円で、前年度に比べ一・七%増の見通し(当初計画比一六・四%の上方修正)となっている。
 また、資本金規模別にみると、資本金十億円以上の大企業では、前年度に比べ一・四%減の見通しとなっている。このうち製造業は〇・五%減、非製造業は一・九%減の見通しとなっている。
 他方、資本金一〜十億円の中堅企業では、一二・一%増の見通しとなっている。このうち製造業は一九・三%増、非製造業は八・八%増の見通しとなっている。

(四) 四半期の動向(季節調整値)

 四半期の動向を前期比でみると、四〜六月期(実績)三・一%減の後、七〜九月期(実績見込み)は九・二%増と増加に転じた。
 産業別にみると、製造業では、四〜六月期三・九%増の後、七〜九月期は六・一%増となっている。他方、非製造業では、四〜六月期八・八%減の後、七〜九月期は一一・五%増と増加に転じた。

(五) 四半期の動向(原数値)

 四半期の動向を前年同期比でみると、四〜六月期(実績)四・六%減の後、七〜九月期(実績見込み)は九・三%増と増加に転じた。
 産業別にみると、製造業では、四〜六月期四・八%減の後、七〜九月期は一三・九%増と増加に転じた。他方、非製造業では、四〜六月期四・六%減の後、七〜九月期は六・九%増と増加に転じた。








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十月の雇用・失業の動向


―労働力調査 平成十二年十月結果の概要―


総 務 省


◇就業状態別の人口

 平成十二年十月末の就業状態別人口をみると、就業者は六千五百八万人、完全失業者は三百十四万人、非労働力人口は四千二十万人で、前年同月に比べそれぞれ八万人(〇・一%)増、三万人(一・〇%)増、四十一万人(一・〇%)増となっている。

◇就業者

(1) 就業者

 就業者数は六千五百八万人で、前年同月に比べ八万人(〇・一%)の増加となり、三十三か月ぶりの増加となっている。男女別にみると、男性は三千八百四十八万人、女性は二千六百六十万人で、前年同月と比べると、男性は九万人(〇・二%)減、女性は十七万人(〇・六%)増となっている。

(2) 従業上の地位

 就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千四百二十五万人、自営業主・家族従業者は一千六十八万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は五十二万人(一・〇%)増、自営業主・家族従業者は四十万人減となり、雇用者は六か月連続の増加となっている。
 雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千三百九十四万人で、五十三万人(一・〇%)増、六か月連続の増加
 ○常 雇…四千六百九十四万人で、二万人(〇・〇%)減
 ○臨時雇…五百九十七万人で、七十六万人(一四・六%)増、平成八年九月以降増加が継続
 ○日 雇…百三万人で、二十二万人(一七・六%)減、二か月連続の減少

(3) 産 業

 主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…三百八万人で、六万人(一・九%)減
○建設業…六百八十三万人で、五万人(〇・七%)増、二か月連続で増加
○製造業…一千三百四十万人で、同数(増減なし)、前年同月を下回らなかったのは四十一か月ぶり
○運輸・通信業…四百十七万人で、一万人(〇・二%)増、七か月連続で増加
○卸売・小売業,飲食店…一千四百七十八万人で、一万人(〇・一%)増、五か月ぶりで増加
○サービス業…一千七百三十六万人で、三十一万人(一・八%)増、八か月連続で増加
 また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…五百六十万人で、同数(増減なし)
○製造業…一千二百三十八万人で、十四万人(一・一%)増
○運輸・通信業…三百九十五万人で、二万人(〇・五%)増
○卸売・小売業,飲食店…一千二百十一万人で、十五万人(一・三%)増
○サービス業…一千四百九十五万人で、四十二万人(二・九%)増

(4) 従業者階級

 企業の従業者階級別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千七百四十一万人で、十四万人(〇・八%)減、十三か月連続の減少
○三十〜四百九十九人規模…一千八百五万人で、七十万人(四・〇%)増
○五百人以上規模…一千二百七十九万人で、十万人(〇・八%)増、十三か月連続で増加

(5) 就業時間

 十月末一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜三十五時間未満…一千四百三十八万人で、二十三万人(一・六%)増加
 ・うち一〜三十時間未満…一千七十二万人で、三十四万人(三・三%)増加
○三十五時間以上…四千九百六十二万人で、十五万人(〇・三%)減少
 ・うち四十九時間以上…一千八百十八万人で、十五万人(〇・八%)減少、十六か月ぶりの減少
 また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四十二・九時間で、前年同月に比べ〇・二時間の減少となっている。

◇完全失業者

(1) 完全失業者数

 完全失業者数は三百十四万人で、前年同月に比べ三万人(一・〇%)増と、二か月連続の増加となっている。男女別にみると、男性は百九十三万人、女性は百二十万人で、前年同月に比べ、男性は八万人(四・三%)の増加、女性は五万人(四・〇%)の減少となっている。
 また、求職理由完全失業者数及び対前年増減は、次のとおりとなっている。
○非自発的な離職による者…九十八万人で、四万人増加
○自発的な離職による者…百二万人で、九万人減少
○学卒未就職者…十七万人で、五万人増加
○その他の者…八十六万人で、八万人増加

(2) 完全失業率(季節調整値)

 季節調整値でみた完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は四・七%で、前月と同率になっている。男女別にみると、男性は四・九%、女性は四・三%で、男性は〇・一ポイントの上昇、女性は〇・二ポイントの低下となっている。

(3) 完全失業率(原数値)

 完全失業率は四・六%で、前年同月と同率になっている。男女別にみると、男性は四・八%で〇・二ポイントの上昇、女性は四・三%で、〇・二ポイントの低下となっている。

(4) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 [男]
○十五〜二十四歳…三十九万人(二万人増)、一〇・一%(〇・七ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…四十六万人(三万人増)、五・〇%(〇・三ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十三万人(同数)、二・九%(同率)
○四十五〜五十四歳…三十一万人(三万人増)、三・三%(〇・三ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…四十四万人(二万人減)、六・五%(〇・一ポイント低下)
 ・五十五〜五十九歳…十七万人(二万人減)、四・二%(〇・四ポイント低下)
 ・六十〜六十四歳…二十七万人(同数)、一〇・〇%(〇・二ポイント上昇)
○六十五歳以上…十一万人(三万人増)、三・三%(〇・八ポイント上昇)
 [女]
○十五〜二十四歳…二十八万人(二万人減)、七・五%(〇・七ポイント低下)
○二十五〜三十四歳…四十万人(同数)、六・八%(同率)
○三十五〜四十四歳…十七万人(同数)、三・三%(同率)
○四十五〜五十四歳…二十万人(同数)、二・九%(同率)
○五十五〜六十四歳…十五万人(同数)、三・五%(同率)
 ・五十五〜五十九歳…八万人(一万人減)、三・〇%(〇・三ポイント低下)
 ・六十〜六十四歳…七万人(一万人増)、四・三%(〇・六ポイント上昇)
○六十五歳以上…一万人(同数)、〇・五%(同率)

(5) 世帯主との続き柄別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 世帯主との続き柄別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…八十三万人(三万人減)、三・〇%(〇・一ポイント低下)
○世帯主の配偶者…三十六万人(二万人減)、二・五%(〇・一ポイント低下)
○その他の家族…百四十七万人(七万人増)、八・〇%(〇・三ポイント上昇)
○単身世帯…四十八万人(二万人増)、六・二%(〇・三ポイント上昇)












言葉の履歴書


保険契約者保護機構

 保険契約者保護機構は、万一保険会社が破綻(はたん)した場合、救済保険会社に対する資金援助、または、救済保険会社が現れない場合における破綻保険会社の保険契約の引受けなどを行うことにより、保険契約者等の保護を図ることを目的としています。
 平成十年十二月に発足し、すべての保険会社が加入を義務づけられ、財源は保険会社からの負担金により賄われています。補償対象となるのは生命保険と損害保険の各契約についてです。損害保険の場合は、平成十三年三月末までは全保険契約が対象ですが、以降は一部対象外となる契約もあります。補償限度は、責任準備金の九〇%(自賠責保険、地震保険は一〇〇%)です。ただし、平成十三年三月末までは、生命保険は個人保険、団体保険の、死亡保険金・入院給付金について、損害保険は全保険契約の保険金について、全額が補償されます。また、個人年金保険、財形保険、年金払積立傷害保険、財形傷害保険については、責任準備金の一〇〇%が補償されます。
●生命保険契約者保護機構
 ・03―3286―2820
●損害保険契約者保護機構
 ・03―3255―1635
(『広報通信』平成十三年一月号)



    <1月31日号の主な予定>

 ▽公益法人に関する年次報告………………………………………………………総 理 府 

 ▽単身世帯収支調査結果の概要(平成十二年度四〜九月期平均速報)………総 務 省 

 ▽家計収支(七〜九月期平均)……………………………………………………総 務 省 




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