官報資料版 平成13年1月31日




                  ▽公益法人に関する年次報告………………………………………………………総 理 府

                  ▽単身世帯収支調査結果の概要(平成十二年度四〜九月期平均速報)………総 務 省

                  ▽平成十二年七〜九月期平均家計収支……………………………………………総 務 省











公益法人に関する年次報告


総 理 府


経緯及び構成

◇経緯
 「公益法人に関する年次報告」は「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」について(平成八年八月二十日閣議決定)に基づき、公益法人の実態及びこれらの基準の実施状況等を明らかにするために、平成九年度から作成することになったものである。

◇構成
 この報告は、四章から構成されている。
 第1章においては、公益法人に関する基本的な制度、公益法人に関する最近の施策についての解説を行い、第2章においては、公益法人の現況を、第3章においては、公益法人と行政とのかかわりを概観している。また、第4章においては、公益信託制度についての概要と現況を記述している。

第1章 公益法人制度の概要

第1節 公益法人の定義

1 公益法人の定義
 公益法人は、民法第三十四条に基づいて設立される社団法人又は財団法人のことであり、その設立には、@公益に関する事業を行うこと、A営利を目的としないこと、B主務官庁の許可を得ることが必要である。

2 社団法人と財団法人
 社団法人は、一定の目的のもとに結合した人の集合体であって、団体として組織、意思等を持ち、社員と別個の社会的存在として団体の名において行動する団体であり、財団法人は、一定の目的のもとに拠出され、結合されている財産の集まりであって、公益を目的として管理運営される団体である。

3 広義の公益法人等
・ 民法以外の特別法に基づいて設立される公益を目的とする法人のことを広義の公益法人といい、学校法人(私立学校法)、社会福祉法人(社会福祉事業法)、宗教法人(宗教法人法)、医療法人(医療法)、更生保護法人(更生保護事業法)、特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法)等がある。
・ 公益も営利も目的としない中間的な団体は、特別法の規定がある場合に限り法人格を取得することができる。これらは、一般的に中間法人と呼ばれており、労働組合(労働組合法)、信用金庫(信用金庫法)、協同組合(各種の協同組合法)、共済組合(各種の共済組合法)等がある。
・ 特殊法人は、「法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為(政府が命じる設立委員が行う設立に関する行為)をもって設立すべきものとされる法人」のことである。

第2節 公益法人に関する法制度

 公益法人は、民法第三十四条に基づいて設立されるものであり、民法第一編第二章〔法人〕においては、公益法人の設立、公益法人の組織、定款の変更、公益法人の登記、公益法人の能力、公益法人の解散等の事項に関する規定が置かれている。

第3節 公益法人に対する指導監督等に関する制度

1 主務官庁制
 民法においては、公益法人の設立許可及び指導監督に関する権限は、主務官庁に与えられている。主務官庁とは、公益法人の目的・事業に関連する事務を所掌している総理府及び十二省の中央官庁を指し、その目的・事業が複数の中央官庁の所掌に関連する場合には、それらの中央官庁が共管として主務官庁となる。

2 都道府県知事等による事務の処理等
 主務官庁の権限は、政令の定めるところにより、国に所属する行政庁に委任したり、都道府県の知事その他の執行機関が当該権限に属する事務を処理することとしたりすることができる旨、民法に規定されている。この規定に基づいて制定された「公益法人に係る主務官庁の権限に属する事務の処理等に関する政令(平成四年政令第百六十一号)」により、地方支分部局の長への委任や都道府県知事等による事務処理が定められている。

3 公益法人の所管官庁
 公益法人の設立許可、指導監督等に係る事務を実際に担当している行政庁を、指導監督基準等において、「所管官庁」と称している。所管官庁は、総理府及び各省(十三)、総理府外局大臣庁(十)、地方支分部局の長(百八十)、都道府県知事(四十七)、都道府県教育委員会(四十七)の合計二百九十七となっている。

4 統一的な指導監督等を行うための仕組み
 公益法人の設立許可及び指導監督は、各主務官庁及びその権限に属する事務を処理することとされた都道府県知事等、多数の所管官庁において行われていることから、これらの所管官庁が行う事務の統一性を図る必要がある。
 このため、現在では、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議(全閣僚)及び同閣僚会議幹事会(各省庁官房長クラス)を随時開催することにより、公益法人に対する指導監督の適切化等を統一的かつ強力に推進する体制となっている(平成八年七月十六日閣議口頭了解)。

第4節 公益法人に関する最近の施策

1 公益法人の設立許可及び指導監督基準の閣議決定等
 平成八年七月、政府に提出された与党行政改革プロジェクトチームの「公益法人の運営等に関する提言」を踏まえ、公益法人に対する指導監督の一層の適切化、公益法人による行政代行的行為の透明化等を強力に進めるため、平成八年七月十六日、「公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議」の随時開催が閣議口頭了解されるとともに、同年九月二十日に、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」が閣議決定された。
 また、同年十二月十九日には、指導監督基準の運用に当たっての具体的、統一的な指針として、「公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針」が申し合わされた(関係閣僚会議幹事会申合せ)。
 さらに、翌平成九年十二月十六日には、指導監督基準改正の閣議決定が行われ、公益法人の「内部留保」「株式保有」「情報公開」に関する具体的基準が定められた。

2 営利法人等への転換に関する指針の申合せ
 平成十年三月に公表された法人制度研究会報告書において、公益法人の営利法人等への転換は、現行法制度においても基本的に可能であるとされたことを受けて、平成十年十二月四日の関係閣僚会議幹事会において、営利法人等への転換の手順、転換後の対応を盛り込んだ「公益法人の営利法人等への転換に関する指針」を申し合わせた。
 なお、指導監督基準の運用指針について、営利転換指針の申合せに併せて所要の改正を行った。

3 いわゆる中間法人制度の検討
 現行法の下では、公益も営利も目的としない団体一般について、法人格を付与し、その組織を規律するための法制度がない。そのため、従来、そのような非公益かつ非営利目的の中間的な団体についての法人格の取得に関する一般的な法制度(いわゆる中間法人制度)の必要性が指摘されてきた。
 法制審議会民法部会は、平成十一年九月、中間法人制度の創設を審議事項として取り上げ、同部会の下に設けられた法人制度分科会における八回にわたる審議を経た上、平成十二年三月、「中間法人(仮称)制度の創設に関する要綱中間試案」を取りまとめた。
 同部会においては、現在、この中間試案についての関係各界に対する意見照会の結果を踏まえ、更なる審議、検討が行われている。

4 休眠法人、所管不明法人の整理に関する取組
 正当な理由なく長期間にわたって事業を行っていない休眠法人、登記はあるが所管官庁が不明である所管不明法人は、いわゆる「買収」等により役員に就任した者による目的外事業の実施や、税法上の特典を利用した収益事業の実施など、公益法人制度の悪用を招くおそれがある。その対策として、昭和五十四年、民法の一部改正が行われ「正当ノ事由ナクシテ引続キ三年以上事業ヲ為サザル」法人について主務官庁は、その設立許可を取り消すことができることとなった。昭和六十年、「休眠法人の整理に関する統一的基準」等が策定され、休眠法人の一層の整理促進が図られている。
 一方、所管不明法人については、平成七年度に、登記所の公益法人索引名簿と主務官庁の公益法人名簿等とを対照させるという「所管不明公益法人調査」を実施した。この結果、全国で約一千八百六十の所管不明法人が存在することが明らかとなり、平成八年一月から平成九年十二月までの間に四回に分けて、総理府から各省庁又は都道府県に割振りを実施し、割り振られた各官庁で処理を進めている。

5 地方分権への対応
 「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成十一年法律第八十七号。以下「地方分権推進一括法」という。)」により、民法等に規定された公益法人に関する規定も改正された。これを受け、「公益法人に係る主務官庁の権限の委任に関する政令」を改正し(平成十一年政令第三百八十一号)、題名も「公益法人に係る主務官庁の権限に属する事務の処理等に関する政令」と改めた。この改正規定は、平成十二年四月一日から施行されている。
 改正の概要は以下のとおりである。
 @ 従来、都道府県知事等への権限の委任は機関委任事務であると整理されていたが、機関委任事務が廃止されたことから、都道府県知事等に委任する旨、規定している部分を改めた。
 A 地方事務官制度の廃止に伴い、これまで都道府県知事に委任され、地方事務官が担当していた公益法人に係る事務が国(厚生省及び労働省)の直接執行事務と整理されたことを受けて、両省に係る規定を改正した。
 B 地方分権一括法による民法及び民法施行法の改正により、監督上の命令又は設立許可の取消し(民法)及び解散命令(民法施行法)について、主務官庁が都道府県の執行機関に対して指示をなすことができることとなった。
 政令では、指示の対象となる監督上の命令を地方分権推進計画に合わせて業務停止命令に限定するとともに、主務官庁が指示できる場合を、都道府県知事等が設立許可の取消し等の「処分をしないことが著しく公益を害するおそれがあると認めるとき」であると規定した。
 また、主務官庁は、都道府県の執行機関が主務官庁の事務を処理するに当たりよるべき基準を定めることができることとされたことから(民法第八十三条ノ三第三項)、平成十二年三月三十一日付け告示(総理府、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、建設省、自治省告示第一号)により、都道府県知事等が公益法人の指導監督に当たり、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」等によるべきである旨を定めたところである。

6 公益法人の指導監督等に関する研修会の実施
 多くの所管官庁において行われている設立許可及び指導監督に関する事務が、統一性をもって実施されるために、これらに関する事務に従事する職員に対する研修等を実施することにより、その周知徹底を図る必要がある。このため、総理府、各都道府県等においては、公益法人行政担当者研修会、都道府県公益法人行政主管課長会議、公益法人地方講習会、都道府県公益法人事務担当者ブロック会議等を実施している。

第5節 公益法人の会計処理

 昭和五十二年三月、公益法人会計基準が決定され、その後見直しが行われて、昭和六十年九月に新たな公益法人会計基準が決定された(昭和六十二年四月一日から適用)。
 この会計基準は、民法第三十四条に基づいて設立されるすべての公益法人に適用されることが原則である。
 実際の公益法人会計基準の適用状況は以下のとおりである。
・ 公益法人会計基準を完全に適用している:一万七千十三(六四・六%)
・ 公益法人会計基準を一部に適用している:五千七百七十七(二一・九%)
・ 企業会計を適用している:一千九十五(四・二%)
・ その他(官庁会計等、他の会計基準)を適用している:二千四百六十九(九・四%)
 なお、本基準も改正後十五年が経過するとともに、いくつかの問題点も指摘されているところであり、平成十二年四月から、総理府において公益法人会計基準検討会を開催し、その見直しを含めて検討を進めることとした。

第6節 公益法人に関する税制

1 公益法人に対する税制
 法人税、所得税、消費税等の国税、住民税、事業税、地方消費税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税等の地方税がある。

2 公益法人に対する寄付に関する税制
 公益法人に対する寄付金のうち、教育や科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献等の公益性の高い事業を行う公益法人に対する一定の寄付金については、寄付金控除等の特別の配慮が行われている。

第2章 公益法人の現況

第1節 公益法人の概観

1 公益法人の数
 平成十一年十月一日現在の公益法人数は二万六千三百五十四あり、このうち、社団法人数が一万二千八百七十二、財団法人数が一万三千四百八十二である。一年前に比べて〇・一%減少(国所管法人〇・一%増加、都道府県所管法人〇・二%減少)している(第1表参照)。
 最近五年間における新設法人数、解散法人数は、第2表のとおりである。平成七年の新設法人数である四百三十一法人と比べると、平成十一年は二百十二法人と半分以下に減少している。一方、解散法人数は平成七年が百七十一法人に対して、平成十一年には二百六十六法人と相当増加している。
 現在の基準から判断した公益法人を性格別に分類すると、@本来の公益法人二万二千四百四十五、A互助・共済団体等三千六百九十二、B営利転換候補四十五、Cその他百七十二となっている(第3表参照)。

2 内部留保の状況
 指導監督基準においては、いわゆる「内部留保」は、公益事業の適切かつ継続的な実施に必要な程度とすることとされており、総資産額から「@財団法人における基本財産、A公益事業を実施するために有している基金、B法人の運営に不可欠な固定資産、C将来の特定の支払いに充てる引当資産等、D負債相当額」を差し引いた額を「内部留保」と定義している。さらに、指導監督基準の運用指針においては、内部留保の水準は、「一律に定めることは困難であるが、原則として、一事業年度における事業費、管理費及び当該法人が実施する事業に不可欠な固定資産取得費(資金運用等のための支出は含めない。)の合計額の三〇%以下であることが望ましい。」とされている。
 内部留保の水準の状況は、第4表のとおり、全体の六割以上の一万六千四百四十一法人(前年一万七千二百八十九法人)が、指導監督基準の三〇%以下の水準内にある。

3 株式保有の状況
 指導監督基準においては、運用財産の管理運用(公開市場を通じる等、ポートフォリオ運用であることが明らかな場合)又は財団法人において基本財産として寄付される場合を除いて株式を保有することを、原則として禁止しており、これ以外の性格の株式を保有している場合には、平成十一年九月末までに処分することとされている。
 株式の保有状況は、第5表のとおりである。株式を保有しているのは、一千八百四十九法人(前年二千百六十三法人)であり、そのうち、ポートフォリオ運用を行っているものが四百六十四法人、基本財産(財団法人のみ保有を許される)に当たるものが八百三十四法人あるが、その他の理由で保有している法人は、前年に比べて三百八十法人減少し、七百九十六法人となっている。

4 情報公開の状況
 情報公開は民法に規定がないこともあり、十分なものとはいえなかったため、指導監督基準には、「@定款又は寄附行為、A役員名簿、B(社団法人の場合)社員名簿、C事業報告書、D収支計算書、E正味財産増減計算書、F貸借対照表、G財産目録、H事業計画書及び収支予算書を主たる事務所に備えて置き、原則として、一般の閲覧に供すること。」という規定が盛り込まれ、平成十年一月以降に始まる新事業年度から実施されている。情報公開の状況は、第6表のとおりであり、公開を求められる各項目の公開率の平均は、八三・一%となっている。

第2節 個別事項の分析

1 基礎的事項
(1) 設立年別公益法人数
 設立された年代を調査した結果は、第1図のとおり、昭和四十一年以降に設立されたものが約七割を占めている。
(2) 主務官庁別公益法人数
 主務官庁(省庁)別の法人数は、第7表のとおり、文部省が六千八百三十四(二四・九%)、厚生省が五千八百六(二一・一%)となっており、以下、通産省、農水省、労働省と続いている。
(3) 設立目的別公益法人数
 設立目的を第8表のとおり、四つに分類すると、生活一般が一万四千二百九十九法人(五二・七%)、教育・学術が一万八百六十九法人(四〇・一%)、産業が七千六百五法人(二八・〇%)、政治・行政が三千百九十三法人(一一・八%)となっている。
(4) 事業種類別公益法人数
 設立目的を達成するために行う事業内容を九種類に分類すると、第9表のとおり、多いものから順に、指導・育成が一万五千八百八十二法人(五八・六%)、振興・奨励が一万三千百九十六法人(四八・七%)、調査・研究が一万一千九百五十二法人(四四・一%)、普及・広報が八千二百二十五法人(三〇・三%)となっている。

2 役職員の状況
(1) 理事
 理事は民法上、法人を代表するとともに業務の執行機関として位置付けられており、法人運営上重要な役割を担っている。理事の総数は四十二万二千六百九十五人、平均十六・〇人となっている。規模別に多い順にみると、十〜十九人が一万二千百五十六法人(四六・一%)、〇〜九人が七千九百十二法人(三〇・〇%)、二十〜二十九人が三千八百八十七法人(一四・七%)となっており、これらを合わせると全体の九割になる(第10表参照)。
 常勤理事(最低でも週三日以上出勤している理事)の総数は二万九百六十五人、平均は〇・八人となっている。
(2) 公務員出身理事
 国所管法人の理事における国家公務員出身者(原則として本省庁課長相当職以上を経験し、退職後十年未満の間に当該法人の理事に就任し、現在に至っている国家公務員出身者を指す。)は、理事数の四・〇%に当たる六千百十二人(前年比二百二十六人減少)で、法人数では三五・三%に当たる二千四百二十八法人(前年比十三法人減少)となっている(第11表参照)。このうち、常勤理事への就任は、国家公務員出身理事の二七・〇%に当たる一千六百五十一人(前年比六人減少)となっている。
 都道府県所管法人の理事における都道府県公務員出身者は、理事数の五・五%に当たる一万四千九百六十人(前年比三百六十九人減少)で、法人数では二八・八%に当たる五千六百三十一法人(前年比六十八法人増加)となっている(第11表参照)。このうち常勤理事への就任は、都道府県公務員出身理事の二二・五%に当たる三千三百七十人(前年比六十六人減少)となっている。
(3) 所管官庁出身理事
 所管官庁出身理事は、国所管法人で四千三百六十人(前年比六百二人減少)、都道府県所管法人で一万三千九百二十五人(前年比百五人減少)、法人数では、国所管が二千三十六法人(前年比九十二法人減少)、都道府県所管が五千二百七十一法人(前年比二百八法人増加)となっている。
 また、指導監督基準においては、理事現在数に占める所管官庁出身者の割合を三分の一以下にするよう求めている(共管法人の場合は全共管官庁出身者の合計が三分の一以下とする。)が、所管官庁出身者が理事現在数の三分の一を超えている法人数は、国所管が二十法人(前年比八十四法人減少)、都道府県所管が六百五十九法人(前年比百三十一法人減少)となっている(第12表参照)。
 指導監督基準決定直後の平成八年十月一日現在の法人数からの推移を示したのが第13表である。これによると、指導監督基準の決定により、理事構成の適正化が進んだことが国所管法人に見てとれるが、都道府県所管法人では余り進んでいないことが分かる。
(4) 同一業界関係者理事
 指導監督基準においては、同一業界関係者の理事現在数に占める割合を二分の一以下にするように求めているが、同一業界関係者が理事現在数の二分の一を超えている法人数は、国所管が一千二百十法人(前年比二百五十法人減少)、都道府県所管が五千五百七十法人(前年比四百五十四法人減少)となっている。
 なお、理事全員が同一業界関係者である法人数は、全体で三千九百一法人となっている。
(5) 監事
 監事は、法人の運営等を監査する役割を担っており、民法上は設置を任意とされているが、指導監督基準においては、監事を必ず設置すべきと規定している。監事の総数は五万八千二百八十二人、平均二・二人である。規模別では、二人が一万九千八十五法人(七二・四%)と大半を占めている(監事制度がない法人は六十)。五人以上という法人も二百三十一存在している。
 なお、監事の中には、常勤監事(最低でも週三日以上出勤している者)として日常的に事務に携わっている者も、わずか(四百五十六人)ではあるが存在している。
(6) 現職公務員の役員就任状況
 現職公務員の役員への就任は、法人を指導監督する立場にあることから、適当でないと考えられており、国所管法人においては十三法人(前年比二十六法人減少)に二十三人(前年比五十人減少)が就任しているにとどまっている。しかしながら、都道府県所管の法人においては、地方自治体が直接出捐して設立した外郭団体的公益法人が多数存在し、業務の実施、監督等のために、二千七百六法人(前年比四百三十五法人減少)に八千九十人(前年比一千七百九十三人減少)が就任している。
(7) 有給常勤役員の平均報酬額
 指導監督基準においては、役員の報酬等について、「当該法人の資産及び収支の状況並びに民間の給与水準と比べて不当に高額に過ぎないものとすること。」と規定している。また、公益法人の定款又は寄附行為においては、役員は無報酬であるが、常勤の役員については有給とすることができる旨、定められていることが多い。
 これによると、有給役員がいる法人の中では、四百万円以上八百万円未満の法人が三千七百六十七法人(有給役員がいる法人の三四・七%)、四百万円未満の法人が三千五百七十法人(同三二・九%)となっており、八百万円未満の法人で、有給役員がいる法人の七割弱を占めている。一方、二千万円以上の年間報酬を支払っている法人も百三十九法人(前年比二法人増加)あった。
(8) 職員
 職員の総数は五十四万八千四百二十六人、平均が二十・八人である。規模別には、二〜九人が一万二千三百五十一法人(四六・八%)と半数近くを占め、次に多いのが十〜四十九人で五千五十六法人(一九・二%)である。
 一方、職員が一人の法人が四千七百三十法人(一七・九%)あり、また、職員がいない法人も二千三百七十九法人(九・〇%)ある。
 常勤職員の総数は四十八万二千二百五十五人であり、職員の総数の八七・九%となっている。
(9) 評議員
 評議員は、法人の重要事項について諮問を受けたり決定をしたりする役割を担うものであり、指導監督基準においては、財団法人には原則として評議員会を設け、理事の選任及び予算・決算等の重要事項の諮問を行うことを求めている。
 評議員(会)制度がある法人は、一万一千百七十三法人(四二・四%)、評議員の総数は三十万四百二十八人で、評議員(会)制度がある法人に限っての平均は二十六・九人となっている。

3 財務、会計の状況
(1) 年間収入額
 公益法人の収入は、大きく分けると、会費収入、財産運用収入、寄付・補助金等収入、事業収入等からなっており、合計は二十兆三千六百二十五億円(前年比三千六百二億円減少)、平均は七億七千二百六十五万円、メジアンは、六千百三十一万円となっている。年間収入の構成状況を見ると、第14表のとおり、社団・財団の双方において事業収入が大きなウエイトを占めている。


《メジアン(中央値、中間値)》
 変数を大きさの順に並べたとき、その中央で全変数を二群に等分する境界点の数値。
 変数が偶数個のときには中央の二つの値の平均をメジアンとする。例えば、全法人二万六千三百五十四の全公益法人の資産額を大きい順に並べたときに、第一万三千百七十七位と第一万三千百七十八位の公益法人の資産額の平均がメジアンになる。

(2) 年間支出額
 公益法人の支出は、大きく分けると、事業費、管理費、固定資産取得支出等からなっており、合計は二十兆二千二百九十七億円(前年比二千四百七十五億円減少)、平均は七億六千七百六十一万円、メジアンは六千百十九万円である。年間支出の構成状況を見ると、第15表のとおり、社団・財団の双方において事業費が大きなウエイトを占めている。なお、事業費については、指導監督基準において、公益法人本来の事業(付随的に行う収益を目的とする事業を除く。)の規模を「可能な限り総支出額の二分の一以上」とするように規定しているが、これに適合している法人は、一万二千六百六十六(四八・一%)となっている。また、管理費については、指導監督基準において、管理費の割合を「可能な限り総支出額の二分の一以下」とするよう規定しているが、これに適合している法人は、二万三千四百五(八八・八%)となっている。
(3) 指導監督上の収益事業
 公益法人が健全な運営を維持し、本来の公益活動の実施に充てるために収入確保の一方法として収益事業を行うことも認められている。収益事業は、あくまで本来の公益事業に付随して行われるべき性格のものであり、指導監督基準では、収益事業の規模、業種、利益の使用等の点について定められているほか、収益事業を行う場合には、事業計画書に明記し、他の事業と区分して経理を行うことを求めている。
 収益事業収入の合計は、一兆五千三百七十六億円(前年比九百九十七億円減少)、平均は五千八百三十四万円であるが、第16表のとおり、収益事業収入がゼロ、つまり収益事業を実施していない法人が二万一千二十二法人(七九・八%)となっている。一方、収益事業に支出した費用は、合計で一兆三千二百八十三億円であり、単純に言えば、収入との差約二千億円の利益が出たということになる。
 なお、指導監督基準では、収益事業の支出規模は、「可能な限り総支出額の二分の一以下」とするように規定しているが、これに適合していない法人は、七百八十三法人存在している。
(4) 資産額
 資産とは、法人の有している財貨及び権利を指し、積極財産として貸借対照表の資産の部に計上される流動資産及び固定資産の合計のことである。資産額の合計は百二十六兆二千二百十八億円、平均は四十七億八千九百四十八万円、メジアンは一億三百六十三万円である(第17表参照)。
(5) 負債額
 負債とは、法人が負っている債務を指し、消極財産として貸借対照表の負債の部に計上される流動負債及び固定負債のことである。この中には、金銭債務や役務債務(未払金、前受金)のほか、退職給与引当金のような会計上の債務も含まれる。負債額の合計は百八兆二千七百二十億円、平均は四十一億八百三十七万円、メジアンは七百一万円である(第18表参照)。
(6) 正味財産額
 正味財産額とは、資産から負債を引いた純資産のことであり、見かけ上の資産・負債は結果的に消去されることとなる。また、民法の規定によって登記すべき「資産の総額」とは、この正味財産額のことである。正味財産額の合計は十七兆九千四百九十八億円、平均は六億八千百十万円、メジアンは六千六百十三万円である。なお、正味財産増減額は、五千九百五十二億円(平均二千二百五十九万円)の増加となっている(第19表参照)。

第3章 公益法人と行政とのかかわり

第1節 行政委託型法人等の状況

 公益法人が行う行政代行的行為の透明化を図るため、平成八年九月に「公益法人の検査等の委託等に関する基準」の閣議決定を行った。また、平成九年度から、公益法人概況調査に併せて、行政と公益法人との制度的な関係を調査する「行政代行的行為に関する状況調べ」を実施している。
 この調査において、「委託等」とは、事務内容等を法令等(通達等を含む。)で定め、特定の法人を何らかの形で指定し、制度的にその事務を行わせているようなもののことであり、「推薦等」とは、法人が独自に行っている事業を奨励等するために、制度的に官庁が関与(認定、公認等)を行うことである。「検査等」とは、あるものが有する能力、性能、技術等を調査・判定したり、また、その結果について評価・承認するような業務を意味する。
 この調査の結果判明した、「特定の法令等により、各官庁から制度的に事業の委託等・推薦等を受けている公益法人」については「行政委託型法人等」と総称することとした。

1 制度面からみた行政委託型法人等
(1) 指定条項数と根拠法令等のレベル
 今回の調査で挙げられた委託等・推薦等に係る法令等の指定根拠条項数は、第20表のとおり、合計で四百(委託等二百七十五、推薦等百二十五)であり、根拠法令等のレベルは、第21表のとおりとなっている。
(2) 行政委託型法人等が行う事務内容
 行政委託型法人等が各省庁から委託等・推薦等を受けて行う事務内容を性格から分類し、根拠条項数により比較すると、第22表のとおり、委託等では、検査検定九十四(三四・二%)、試験五十四(一九・六%)、講習研修四十九(一七・八%)が多く、推薦等では、審査証明七十一(五六・八%)、講習研修四十二(三三・六%)、試験十三(一〇・四%)が多くなっている。
(3) 監督等に関する規定の整備状況
 監督等に関する制度上の規定の整備状況は、第23表のとおりであり、指定の基準は六三・五%、取消は六七・〇%、立入検査は四九・三%、区分経理は一七・八%、事業計画書等の徴収は五六・八%、事業計画書等の公開は〇・五%で規定されている。

2 法人面からみた行政委託型法人等
(1) 行政委託型法人等の数
 所管省庁別の行政委託型法人等の数は、第24表のとおり、合計六百二十六法人である。
(2) 行政委託型法人等に対する監督状況
 監督状況を立入検査、区分経理、事業計画書等の徴収及び事業計画書等の公開の四項目について整理すると、自省庁所管法人を指定している場合、立入検査六一・四%、区分経理六七・〇%、事業計画書等の徴収七九・五%、事業計画書等の公開七七・六%の実施となっている。一方、他省庁所管法人を指定している場合における、指定を行った省庁の監督状況は、立入検査一八・〇%、区分経理四六・〇%、事業計画書等の徴収五六・〇%、事業計画書等の公開四四・〇%の実施となっている。
(3) 検査等の委託等を受けている法人の理事構成
 「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」は、公益法人に検査等の事務の委託等を行う場合、平成十二年度末までに、「委託等を行う官庁の出身者と委託等された検査等に関わる業界の関係者の合計が、理事現在数の二分の一を上回らないこと」とすることに定めているが、所管省庁から検査等の委託等を受けている二百七十二法人のうち、二百五十二法人がこの規定に適合している。

3 都道府県指定の行政委託型法人等について
 各都道府県における行政委託型法人等の数は、第25表のとおり、合計一千四十八法人となっている。なお、指定事業内容は、施設の設備等の管理運営が最も多くなっており、国レベルとは異なった傾向がみられる。

第2節 行政委託型法人等の総点検

1 行政委託型法人等の総点検に関する申合せ
 総務庁行政監察局による「指定法人等の指定監督に関する行政監察」結果に基づく勧告を受けて、平成十年十二月四日、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会において、「行政委託型法人等の総点検の推進について」を申し合わせた。その主な内容は以下のとおりである。
・ 総点検の実施に当たって基本的に点検すべき項目は、事業等の在り方、法人における事業の実施状況、法人の財務の状況とする。
・ 点検の結果、法人の改善すべき点が認められた場合、委託等の事業の所管省庁は、当該法人に対し、期限を付して改善を指示するとともに、改善措置の報告を求める。
・ 点検は、おおむね五年間で一巡するよう計画を策定して行う。
・ 所管省庁は、総点検の実施計画及び個々の法人に関する点検結果を取りまとめ次第、公表するとともに、総理府は、その概要を「公益法人に関する年次報告」において公表する。

2 総点検の実施結果
 平成十一年度における総点検の結果、指摘された問題点は、行政の関与の在り方についての検討の必要性、委託等された事業について区分経理されていないことなど、多岐にわたっているが、いずれも所管省庁において所要の是正策を講ずることとしている。

第3節 公益法人に対する補助金・委託費

1 国所管の公益法人に対する補助金・委託費
 平成十年度決算ベースにおける公益法人に対する補助金の交付総額は約三千六百五十九億円(平成九年度比約九百八十一億円増加)、交付法人数は延べ四百三十四法人となっている。また、委託費の交付総額は約一千三百七十三億円(平成九年度比約五十八億円減少)、委託交付法人数は延べ五百七十三法人となっている。

2 都道府県所管の公益法人に対する補助金・委託費
 補助金の交付総額は約三千七百六億円(前年比約三十九億円減少)、交付法人数は約四千七百三十六法人となっている。また、委託費の交付総額は約五千四百二十七億円(前年比約四十八億円増加)、委託交付法人数は約三千二百九法人となっている。

第4節 「公益法人の設立許可について」の実施状況

 平成十一年十月一日までの一年間に国が設立許可を行った公益法人は四十七法人であった。このうち、基本財産の造成等に当たり、許認可対象業界団体等の出捐等がある法人は十九法人、国又は特殊法人等から委託事業を受けている法人は一法人、公務員経験者が常勤役員に就任している法人は二法人(役員は四人)であった。

第4章 公益信託制度について

第1節 公益信託制度の概要

1 公益信託制度の概要
(1) 公益信託の定義
 公益信託とは、委託者が祭祀、宗教、慈善、学術、技芸その他一定の公益目的のため、受託者に対してその財産を移転し、受託者をしてその公益目的に従ってその財産を管理又は処分させ、もってその公益目的を実現しようとする制度である。
(2) 公益信託の特色
 公益法人においては、法人という新たな法主体を創設し、これが公益目的のために自律的活動を行うものであるのに対し、公益信託においては、拠出された財産(信託財産)が既存の法主体である受託者に名義上帰属し、設定された公益目的のため受託者の固有財産とは別に管理、運用されていくものであって、両者の法律的構造は異なる。また、公益法人において、永続的又は相当長期間にわたってその存続が予定されているのに対し、公益信託においては、信託の制度上、比較的短期間のものであっても差し支えないなど、より弾力的な運用が可能である。
(3) 公益信託の仕組み
 公益信託は、委託者が受託者との間で一定の公益目的のために財産を信託する信託契約を締結することにより、又は委託者の遺言により、信託の法律関係をつくり、これについて受託者が、主務官庁の許可を受けることによって成立する。
 公益信託は、主務官庁の監督に属し、受託者は、信託行為の定めるところに従って、自己の名で信託財産を管理、処分して公益事業を営む。信託財産は、受託者に移転されるが、受託者の固有財産とは区別される。受託者は、その事務処理について善管注意義務等を負い、信託義務違反に対しては損失てん補をしなければならない。
(4) 公益信託に対する統一的な指導監督等の基準
 公益信託に対する適正な指導監督等を行うための現行の統一的基準としては、平成六年九月十三日に公益法人等指導監督連絡会議で決定された「公益信託の引受け許可審査基準等について」があり、主務官庁においては、この基準に則った指導監督等が行われている。
(5) 公益信託の税制
 公益信託に財産を拠出したときの税制として、「特定公益信託」と「認定特定公益信託」が規定されており、税制上、各種の優遇措置が採られている。

2 公益信託の現況
(1) 信託数及び信託財産
 平成十一年十月一日現在の信託数及び信託財産は、第26表のとおり、それぞれ五百五十八件、約五百九十七億円となっている。
(2) 信託目的別信託数
 信託目的別信託数では、第27表のとおり、奨学金支給、国際協力・国際交流促進、教育振興がそれぞれ上位を占めている。
(3) 授益行為の状況
 授益行為の状況は、第28表のとおり、個人を対象としているものが、件数及び金額ともに最多となっている。


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単身世帯収支調査結果の概要


―平成十二年度四〜九月期平均速報―


総 務 省


◇単身全世帯の家計

 消費支出は、平成十年度四〜九月期以降四期連続の実質増加となった後、平成十二年度四〜九月期は、五期ぶりの実質減少となった。

◇単身勤労者世帯の家計

 単身勤労者世帯の実収入は、実質減少となった。
 平均消費性向は、前年度同期を下回った。
 消費支出は、大幅な実質減少となった。

◇男女・年齢階級別の家計

 消費支出は、三十五〜五十九歳で大幅な実質減少となった。

◇財・サービス区分別の消費支出
 (全国・単身全世帯)

(1) 財(商品)は、実質七・七%の減少。
   <耐 久 財> 実質三二・一%の減少
   <半耐久財> 実質一一・〇%の減少
   <非耐久財> 実質〇・九%の減少
(2) サービスは、実質六・九%の減少。












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平成十二年七〜九月期平均家計収支


―消費支出(全世帯)は実質二・一%の減少―


総 務 省


◇全世帯の家計

 前年同期比でみると、全世帯の消費支出は、平成九年十〜十二月期以降六期連続の実質減少となった後、十一年四〜六月期は実質増加となり、七〜九月期以降五期連続の実質減少となった。

◇勤労者世帯の家計

 前年同期比でみると、勤労者世帯の実収入は、平成九年十〜十二月期以降五期連続して実質減少となった後、十一年一〜三月期は実質増加、四〜六月期は同水準となり、七〜九月期以降五期連続の実質減少となった。
 前年同月比でみると、消費支出は、平成十年七〜九月期は実質減少、十〜十二月期は実質増加、十一年一〜三月期以降五期連続の実質減少、十二年四〜六月期は同水準となり、七〜九月期は実質減少となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十七万一千六百三十九円。
 前年同期に比べ、名目二・六%の減少、実質一・七%の減少。

◇季節調整値の推移(全世帯・勤労者世帯)

 季節調整値でみると、全世帯の消費支出は前期に比べ実質二・六%の減少。
 勤労者世帯の消費支出は前期に比べ実質二・九%の減少。













    <2月7日号の主な予定>

 ▽世界経済白書のあらまし………………………………………………経済企画庁(現内閣府) 

 ▽平成十二年 賃金構造基本統計調査結果の概要―初任給―………厚生労働省 

 ▽消費者物価指数の動向(十一月)……………………………………総 務 省 




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