官報資料版 平成13年2月21日




                  ▽全国の公害苦情の実態………………公害等調整委員会事務局

                  ▽労働力調査(十一月)………………総 務 省

                  ▽毎月勤労統計調査(十月分)………厚生労働省











全国の公害苦情の実態


―平成十一年度公害苦情調査結果報告書の概要―


公害等調整委員会事務局


 平成十一年四月から十二年三月までの一年間において、全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口に寄せられた公害苦情の件数や処理状況などを「平成十一年度公害苦情調査結果報告書」として取りまとめ公表したので、その概要を紹介する。
 住民から寄せられる公害苦情は、その多くが紛争の前段階ないし初期段階としての性格を有し、また、健康と生活環境に関する相談という側面をも併せ持っており、これらの公害苦情を通して公害被害の現状と国民の公害に対する関心の度合いを知ることができる。

第1 公害苦情の受付状況

一 公害苦情件数の概況
<全国の公害苦情は七万六千八十件>
 平成十一年度に全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口が受け付けた公害苦情の件数は七万六千八十件で、前年度に比べて六千五十八件(七・四%)減少した。

二 公害の種類別苦情件数
<典型七公害の苦情は五万八千九百十五件>
 平成十一年度の公害苦情(七万六千八十件)のうち、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下及び悪臭のいわゆる「典型七公害」の苦情件数は五万八千九百十五件(全公害苦情件数の七七・四%)で、前年度に比べて六千十三件(九・三%)減少した。
 典型七公害の苦情件数の推移は、昭和四十七年度の七万九千七百二十七件をピークに、四十九年度から五十三年度までが六万件台、五十四年度から六十三年度までが五万件台、平成元年度以降が四万件台と減少傾向で推移していた。しかし、平成八年度から三年連続して増加し、九年度は五万件台となり、さらに十年度は昭和五十三年度以来の六万件台となった。平成十一年度は約六干件減少したものの五万件台の後半の値を維持している。
 また、廃棄物の不法投棄、害虫等の発生、動物の死骸放置、火災の危険、ふん・尿の害、土砂の散乱、電波障害、土砂の流出、光害、日照、通風障害などのいわゆる「典型七公害以外」の平成十一年度の苦情件数は一万七千百六十五件(同二二・六%)で、前年度に比べて四十五件(〇・三%)減少した。
(1) 典型七公害の種類別苦情件数
<大気汚染、騒音、悪臭の順>
 典型七公害の苦情件数を種類別にみると、大気汚染が二万六千百八十一件(典型七公害苦情件数の四四・四%)と最も多く、次いで、騒音が一万二千八十九件(同二〇・五%)、悪臭が一万一千七百二十二件(同一九・九%)、水質汚濁が七千三十八件(同一一・九%)、振動が一千五百四十七件(同二・六%)、土壌汚染が二百九十九件(同〇・五%)、地盤沈下が三十九件(同〇・一%)となっている。
 また、前年度に比べて、振動(九十九件、六・八%)、水質汚濁(十九件、〇・三%)及び地盤沈下(七件、二一・九%)が増加し、大気汚染(四千三百十八件、一四・二%)、悪臭(一千四百五十九件、一一・一%)、騒音(三百四十八件、二・八%)及び土壌汚染(十三件、四・二%)が減少した。
 典型七公害の種類別苦情件数の推移をみると、昭和五十二年度以降平成七年度まで、騒音が最も多く、以下、悪臭、大気汚染、水質汚濁、振動、土壌汚染、地盤沈下と続く順位に変化はなく、全体として減少傾向にあった。しかし、平成七年度以降大気汚染と悪臭が増加傾向にあるのに対し、騒音は減少傾向が続いたことから、上位三種類の順位が八年度には騒音、大気汚染、悪臭と、九年度には大気汚染、騒音、悪臭と、十年度には大気汚染、悪臭、騒音と入れ替わった。平成十一年度には典型七公害の種類別順位は大気汚染、騒音、悪臭、水質汚濁、振動、土壌汚染、地盤沈下の順となっている。
 大気汚染については、平成八年度以降増加傾向を示し、平成十年度には三万件を超え、調査始まって以来の最多件数となった。平成十一年度には約四千件減少したものの約二万六千件と依然高い値となっている(第1表第1図参照)。
(2) 典型七公害以外の種類別苦情件数
<廃棄物の不法投棄が最も多い>
 典型七公害以外の苦情件数を種類別にみると、廃棄物の不法投棄が五千七百九十件(典型七公害以外の苦情件数の三三・七%)と最も多く、次いで、害虫等の発生が一千九百二十四件(同一一・二%)、動物の死骸放置が一千五百九十一件(同九・三%)、火災の危険が六百三十八件(同三・七%)、ふん・尿の害が四百九十八件(同二・九%)、土砂の散乱が百六十七件(同一・〇%)、電波障害が百五十八件(同〇・九%)、土砂の流出が百六件(同〇・六%)などとなっている(第2表参照)。
 廃棄物の不法投棄に対する苦情件数の内訳をみると、一般廃棄物が三千二百九十九件(廃棄物の不法投棄に対する苦情件数の五七・〇%)、産業廃棄物が二千四百九十一件(同四三・〇%)となっている。一般廃棄物のうちでは、粗大ごみが一千二百六十五件(同二一・八%)と最も多く、次いで、焼却不適物が六百七件(同一〇・五%)、燃焼物が六百六件(同一〇・五%)、生ごみが四百三十一件(同七・四%)などとなっている。また、産業廃棄物のうちでは、建設廃材が一千二百四十四件(同二一・五%)と最も多く、次いで、廃油・廃酸等が百四十二件(同二・五%)、金属くずが百三十八件(同二・四%)などとなっている。

三 公害の発生源別苦情件数
<発生源は建設業、製造業、サービス業の順>
 公害の発生源別苦情件数は、建設業が一万四千三百十六件(全公害苦情件数の一八・八%)と最も多く、次いで、製造業が一万二千五百五十九件(同一六・五%)、サービス業が七千七百五十八件(同一〇・二%)、家庭生活が七千四百五十八件(同九・八%)、空地が六千七百二件(同八・八%)、農業が五千三百二十八件(同七・〇%)、「卸売・小売業、飲食店」が五千百七十六件(同六・八%)、道路が三千三百五十九件(同四・四%)、運輸・通信業が一千五百十七件(同二・〇%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、農業(二百三件、四・〇%)などが増加し、一方、製造業(一千四百四十三件、一〇・三%)、サービス業(一千三百九十九件、一五・三%)、「卸売・小売業、飲食店」(六百九十五件、一一・八%)、空地(六百二十七件、八・六%)及び建設業(五百件、三・四%)などが減少した。
 なお、発生源別苦情件数の推移をみると、近年、建設業を発生源とする苦情が大きく増加して、平成十年度には従来最も多かった製造業を抜き最も多くなった。平成十一年度には減少したものの依然最も多くなっている(第3表参照)。
(1) 典型七公害の発生源別苦情件数
<典型七公害では建設業、製造業、サービス業の順>
 典型七公害の発生源別苦情件数は、建設業が一万二千八百八十三件(典型七公害の苦情件数の二一・九%)と最も多く、次いで、製造業が一万二千九十件(同二〇・五%)、サービス業が七千二十九件(同一一・九%)、家庭生活が五千七百八十八件(同九・八%)、「卸売・小売業、飲食店」が四千八百八十七件(同八・三%)、農業が四千三百四十六件(同七・四%)、運輸・通信業が一千四百三十二件(同二・四%)、空地が九百七十三件(同一・七%)などとなっている(第4表参照)。
 また、前年度に比べて、農業(百二件、二・四%)などが増加し、一方、製造業(一千四百六十六件、一〇・八%)、サービス業(一千三百九十件、一六・五%)、「卸売・小売業、飲食店」(七百十件、一二・七%)及び建設業(六百九十二件、五・一%)などが減少した。
 ア 大気汚染の発生源別苦情件数
<大気汚染では建設業、製造業、サービス業の順>
 大気汚染の発生源別苦情件数は、建設業が七千三百十三件(大気汚染苦情件数の二七・九%)と最も多く、次いで、製造業が五千二百十三件(同一九・九%)、サービス業が三千三百三十一件(同一二・七%)、家庭生活が二千八百四十三件(同一〇・九%)、農業が一千八百六十七件(同七・一%)、「卸売・小売業、飲食店」が一千四百二十三件(同五・四%)などとなっている(第4表参照)。このうち、製造業では木材・木製品製造業が一千六百八十四件(同六・四%)、サービス業では廃棄物処理業が八百八十九件(同三・四%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、農業(百二十一件、六・九%)などが増加し、一方、サービス業(一千五十五件、二四・一%)、製造業(一千二十五件、一六・四%)、建設業(六百八十三件、八・五%)、「卸売・小売業、飲食店」(六百三十三件、三〇・八%)などが減少した。
 イ  騒音の発生源別苦情件数
<騒音では建設業、製造業、「卸売・小売業、飲食店」の順>
 騒音の発生源別苦情件数は、建設業が三千二百九件(騒音苦情件数の二六・五%)と最も多く、次いで、製造業が二千四百五十件(同二〇・三%)、「卸売・小売業、飲食店」が二千三十四件(同一六・八%)、サービス業が一千五百四件(同一二・四%)、家庭生活が七百五十五件(同六・二%)などとなっている(第4表参照)。このうち、建設業では総合工事業が一千七百六十六件(同一四・六%)、製造業では鉄鋼・非鉄金属・金属製品製造業が七百四十四件(同六・二%)、「卸売・小売業、飲食店」では飲食店が一千二百六十六件(同一〇・五%)、サービス業では娯楽業が二百八十七件(同二・四%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、建設業(百二十件、三・九%)などが増加し、一方、家庭生活(百七十件、一八・四%)、サービス業(百四件、六・五%)及び製造業(七十五件、三・〇%)などが減少した。
 なお、騒音の苦情件数のうち、飲食店のカラオケを発生源とするものは七百八十五件で、前年度に比べて、六件(〇・八%)増加した。また、娯楽業のカラオケいわゆるカラオケボックスを発生源とするものは九十九件で、前年度に比べて二十九件(二二・七%)減少した。飲食店及び娯楽業のカラオケを発生源とする苦情件数は八百八十四件(飲食店及び娯楽業の騒音苦情件数の五六・九%)となっている。
 家庭生活におけるペットを発生源とする苦情件数は百九十九件(家庭生活の苦情件数の二六・四%)で、前年度に比べて、百十件(三五・六%)減少した。
 ウ 悪臭の発生源別苦情件数
<悪臭では製造業、農業、家庭生活の順>
 悪臭の発生源別苦情件数は、製造業が二千七百二十件(悪臭苦情件数の二三・二%)と最も多く、次いで、農業が一千六百四件(同一三・七%)、家庭生活が一千五百七十二件(同一三・四%)、サービス業が一千三百七十七件(同一一・七%)及び建設業が一千十件(同八・六%)などとなっている(第4表参照)。このうち、製造業では「食料品、飲料等製造業」が六百八十四件(同五・八%)、農業では畜産・養蚕農業が八百二十七件(同七・一%)、サービス業では廃棄物処理業が四百十三件(同三・五%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、公務(二十三件、四〇・四%)などが増加し、一方、製造業(三百五十八件、一一・六%)、建設業(二百四十三件、一九・四%)、サービス業(二百十件、一三・二%)及び家庭生活(百一件、六・〇%)などが減少した。
 エ 水質汚濁の発生源別苦情件数
<水質汚濁では製造業、サービス業の順>
 水質汚濁の発生源別苦情件数は、製造業が一千四百四十一件(水質汚濁苦情件数の二〇・五%)と最も多く、次いで、サービス業が六百八十五件(同九・七%)、家庭生活が五百七十三件(同八・一%)、農業が五百十一件(同七・三%)、「卸売・小売業、飲食店」が五百三件(同七・一%)などとなっている(第4表参照)。このうち、製造業では「食料品、飲料等製造業」が五百八十四件(同八・三%)、サービス業では廃棄物処理業が百五十七件(同二・二%)、農業では畜産・養蚕農業が三百四十件(同四・八%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、家庭生活(七十件、一三・九%)及び建設業(十九件、四・五%)などが増加し、一方、運輸・通信業(二十件、一四・三%)及び電気・ガス・熱供給・水道業(十五件、四二・九%)などが減少した。
 なお、いずれの発生源とも特定できない苦情が一千七百十九件(水質汚濁苦情件数の二四・四%)と約四分の一を占めており、水質汚濁公害の発生源の特定が難しいことを示している。
 オ 振動の発生源別苦情件数
<振動では建設業、製造業の順>
 振動の発生源別苦情件数は、建設業が八百五十一件(振動苦情件数の五五・〇%)と最も多く、次いで、製造業が二百十一件(同一三・六%)、道路が百九十九件(同一二・九%)、サービス業が八十二件(同五・三%)などとなっている(第4表参照)。このうち、建設業では総合工事業が四百三十件(同二七・八%)、製造業では鉄鋼・非鉄金属・金属製品製造業が九十八件(同六・三%)、運輸・通信業では鉄道業が三十一件(同二・〇%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、建設業(八十七件、一一・四%)、道路(二十四件、一三・七%)などが増加し、一方、運輸・通信業(十二件、一九・七%)などが減少した。
 カ 土壌汚染の発生源別苦情件数
<土壌汚染では建設業、製造業の順>
 土壌汚染の発生源別苦情件数は、建設業が六十件(土壌汚染苦情件数の二〇・一%)と最も多く、次いで、製造業が五十一件(同一七・一%)、サービス業が四十五件(同一五・一%)、農業が三十件(同一〇・〇%)及び家庭生活が二十二件(同七・四%)などとなっている(第4表参照)。このうち、製造業では鉄鋼・非鉄金属・金属製品製造業が十四件(同四・七%)、サービス業では廃棄物処理業が十四件(同四・七%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、建設業(十四件、三〇・四%)などが増加し、一方、空地(十八件、五一・四%)及び製造業(十三件、二〇・三%)などが減少した。
 キ 地盤沈下の発生源別苦情件数
<地盤沈下では家庭生活、サービス業の順>
 地盤沈下の苦情件数を発生源別にみると、家庭生活が十件(地盤沈下苦情件数の二五・六%)、サービス業が五件(同一二・八%)、製造業及び農業が各四件(同一〇・三%)などとなっている(第4表参照)。
(2) 典型七公害以外の発生源別苦情件数
<典型七公害以外では空地、道路の順>
 典型七公害以外の発生源別苦情件数は、空地が五千七百二十九件(典型七公害以外の苦情件数の三三・四%)と最も多く、次いで、道路が二千五百六十三件(同一四・九%)、家庭生活が一千六百七十件(同九・七%)、建設業が一千四百三十三件(同八・三%)、農業が九百八十二件(同五・七%)、サービス業が七百二十九件(同四・二%)などとなっている(第4表参照)。
 また、前年度に比べて、家庭生活(二百四十八件、一七・四%)、建設業(百九十二件、一五・五%)及び農業(百一件、一一・五%)などが増加し、一方、空地(五百二十三件、八・四%)及び道路(八十五件、三・二%)などが減少した。

四 被害の発生地域別苦情件数
<被害の約四割が住居地域内>
 被害の発生地域別苦情件数は、都市計画法による都市計画区域が六万八千八百三十一件(全公害苦情件数の九〇・五%)、都市計画区域以外の地域が七千二百四十九件(同九・五%)となっている。
 さらに、都市計画法による都市計画区域の苦情件数を用途地域別にみると、住居地域(第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居専用地域及び準住居地域をいう。)が三万一千三百七十九件(同四一・二%)と最も多く、次いで、市街化調整区域が一万三千九百三十二件(同一八・三%)、準工業地域が六千九百八十三件(同九・二%)、その他の地域(用途地域未線引きの区域をいう。)が六千八百八件(同八・九%)、工業・工業専用地域が三千五百六十九件(同四・七%)、商業地域が三千四百八十七件(同四・六%)、近隣商業地域が二千六百七十三件(同三・五%)となっている(第2図参照)。

五 被害の種類別苦情件数
<被害の約八割が感覚的・心理的被害>
 被害の種類別苦情件数は、感覚的・心理的被害が五万九千九百八十一件(全公害苦情件数の七八・八%)と最も多く、次いで、健康被害が四千五百九十六件(同六・〇%)、財産被害が二千八十三件(同二・七%)、動・植物被害が一千四百八十九件(同二・〇%)などとなっている。

六 受付機関別の苦情件数
<市町村の受付が九割>
 受付機関別の苦情件数は、市町村が六万八千四百三十九件(全公害苦情件数の九〇・〇%)、都道府県(支庁、地方事務所及び附属機関を含む。)が七千六百四十一件(同一〇・〇%)となっている。このうち、市町村では市が五万八千十一件(同七六・三%)、町村が一万四百二十八件(同一三・七%)となっており、さらに、市では大都市(東京都特別区及び政令指定都市をいう。)が一万二千百五十件(同一六・〇%)、その他の市が四万五千八百六十一件(同六〇・三%)となっている。
 また、前年度に比べて、都道府県を除くすべての受付機関で減少した。

七 都道府県別の苦情件数
(1) 都道府県別苦情件数
<人口十万人当たりの苦情件数は埼玉県、山梨県、滋賀県の順>
 都道府県別の苦情件数は、埼玉県が七千九百二十件(全公害苦情件数の一〇・四%)と最も多く、次いで、東京都が六千八百三十二件(同九・〇%)、愛知県が五千九百四十一件(同七・八%)、大阪府が四千五百二十一件(同五・九%)、千葉県が四千八十一件(同五・四%)、神奈川県が三千七百九十六件(同五・〇%)、福岡県が三千七百五十四件(同四・九%)及び兵庫県が三千三百四件(同四・三%)などとなっており、上位八都府県で全国の苦情件数の過半数(四万百四十九件、同五二・八%)を占めている。
 また、前年度に比べて、静岡県(四百七十六件、三〇・一%)、山梨県(二百九十一件、五三・一%)及び鹿児島県(百三件、一三・一%)など十三道県で増加し、東京都(一千六百四十八件、一九・四%)、神奈川県(八百二十一件、一七・八%)、大阪府(五百六十二件、一一・一%)、栃木県(五百五十件、二六・一%)、千葉県(四百九十四件、一〇・八%)及び福岡県(四百五十八件、一〇・九%)など三十四都府県で減少した。
 次に、人口十万人当たりの苦情件数を都道府県別にみると、埼玉県が一一四・三件(前年度比〇・八件減)と最も多く、次いで、山梨県が九四・〇件(同三二・六件増)、滋賀県が九二・三件(同一・九件増)、茨城県が八七・五件(同二・八件増)、愛知県が八四・八件(同四・五件減)及び群馬県が八三・二件(同一・九件減)などとなっている。なお、全国平均は六〇・一件で、前年度に比べて四・八件減少した(第5表第3図参照)。
(2) 典型七公害の都道府県別苦情件数
<人口十万人当たりの典型七公害の苦情件数は埼玉県、愛知県、長野県の順>
 典型七公害の苦情件数を都道府県別にみると、東京都が六千九十九件(典型七公害の苦情件数の一〇・四%)と最も多く、次いで、埼玉県が五千二百三十四件(同八・九%)、愛知県が四千六百十七件(同七・八%)、大阪府が四千百三十七件(同七・〇%)、神奈川県が三千六百七十九件(同六・二%)、千葉県が二千八百四十件(同四・八%)、福岡県が二千六百九十六件(同四・六%)及び兵庫県が二千五百三十件(同四・三%)などとなっており、上位八都府県で全国の苦情件数の過半数(三万一千八百三十二件、同五四・〇%)を占めている。
 また、前年度に比べて、静岡県(四百六十八件、三〇・九%)、北海道(八十二件、八・二%)及び香川県(五十八件、一二・六%)など十二道県で増加し、東京都(一千五百五件、一九・八%)、神奈川県(八百四十七件、一八・七%)、大阪府(五百十件、一一・〇%)及び千葉県(四百四十一件、一三・四%)など三十五都府県で減少した。
 次に、人口十万人当たりの苦情件数を都道府県別にみると、埼玉県が七五・五件(前年度比二・九件減)と最も多く、次いで、愛知県が六五・九件(同五・五件減)、長野県が六二・八件(同〇・五件減)及び群馬県が六〇・一件(同六・一件減)などとなっている。なお、全国平均は四六・五件で、前年度に比べて四・八件減少した。
(3) 典型七公害の種類別・都道府県別苦情件数
 ア 大気汚染
<人口十万人当たりの大気汚染の苦情件数は埼玉県、栃木県、長野県の順>
 大気汚染の苦情件数は、埼玉県が二千八百四十六件(大気汚染苦情件数の一〇・九%)と最も多く、次いで、東京都が二千二百四十五件(同八・六%)、愛知県が二千三十七件(同七・八%)、神奈川県が一千八百九十三件(同七・二%)、大阪府が一千三百六十九件(同五・二%)、千葉県が一千三百六十三件(同五・二%)、福岡県が一千二百九十八件(同五・〇%)及び兵庫県が一千百四十二件(同四・四%)などとなっており、上位八都府県で全国の苦情件数の過半数(一万四千百九十三件、同五四・二%)を占めている。
 また、前年度に比べて、静岡県(二百二十件、二九・四%)及び山形県(五十二件、二五・〇%)など十県で増加し、東京都(八百八十五件、二八・三%)、神奈川県(六百十件、二四・四%)、大阪府(四百四十六件、二四・六%)及び千葉県(四百一件、二二・七%)など三十六都道府県で減少した。
 次に、人口十万人当たりの苦情件数を都道府県別にみると、埼玉県が四一・一件(前年度比三・二件減)と最も多く、次いで、栃木県が三〇・九件(同八・三件減)及び長野県が三〇・二件(同〇・一件増)などとなっている。なお、全国平均は二〇・七件で、前年度に比べて三・四件減少した。
 イ 騒 音
<人口十万人当たりの騒音の苦情件数は東京都、大阪府、愛知県の順>
 騒音の苦情件数は、東京都が二千二百六十件(騒音苦情件数の一八・七%)と最も多く、次いで、大阪府が一千三百八十四件(同一一・四%)、愛知県が一千三件(同八・三%)、神奈川県が九百九十一件(同八・二%)及び埼玉県が九百五十八件(同七・九%)などとなっており、上位五都府県で全国の苦情件数の過半数(六千五百九十六件、同五四・六%)を占めている。
 また、前年度に比べて、埼玉県(百十四件、一三・五%)、静岡県(八十四件、三〇・八%)及び北海道(六十四件、四〇・〇%)など十八道府県で増加し、東京都(二百三件、八・二%)、宮城県(百二十四件、四四・一%)及び愛知県(五十八件、五・五%)など二十九都府県で減少した。
 次に、人口十万人当たりの苦情件数を都道府県別にみると、東京都が一九・一件(前年度比一・七件減)と最も多く、次いで、大阪府が一五・七件(同増減なし)及び愛知県が一四・三件(同〇・九件減)などとなっている。なお、全国平均は九・五件で、前年度に比べて〇・三件減少した。
 ウ 悪 臭
<人口十万人当たりの悪臭の苦情件数は愛知県、三重県、埼玉県の順>
 悪臭の苦情件数は、東京都が一千百四十九件(悪臭苦情件数の九・八%)と最も多く、次いで、愛知県が一千五十一件(同九・〇%)、埼玉県が九百六十二件(同八・二%)、大阪府が八百十五件(同七・〇%)、千葉県が六百一件(同五・一%)、福岡県が五百五十八件(同四・八%)、神奈川県が四百九十一件(同四・二%)及び兵庫県が四百五十三件(同三・九%)などとなっており、上位八都府県で全国の苦情件数の過半数(六千八十件、同五一・九%)を占めている。
 また、前年度に比べて、静岡県(八十六件、三五・八%)及び北海道(七十件、三五・九%)など十一道県で増加し、東京都(三百九十三件、二五・五%)、神奈川県(百九十五件、二八・四%)及び愛知県(百五件、九・一%)など三十六都府県で減少した。
 次に、人口十万人当たりの苦情件数を都道府県別にみると、愛知県が一五・〇件(前年度比一・六件減)と最も多く、次いで、三重県が一四・六件(同一・四件減)及び埼玉県が一三・九件(同一・五件減)などとなっている。なお、全国平均は九・三件で、前年度に比べて一・一件減少した。
 エ 水質汚濁
<人口十万人当たりの水質汚濁の苦情件数は滋賀県、長野県の順>
 水質汚濁の苦情件数は、福岡県が四百十九件(水質汚濁苦情件数の六・〇%)と最も多く、次いで、愛知県が四百八件(同五・八%)、兵庫県が三百五十二件(同五・〇%)、広島県が三百四十件(同四・八%)及び大阪府が三百二十七件(同四・六%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、静岡県(七十五件、三二・八%)、広島県(六十六件、二四・一%)及び兵庫県(五十二件、一七・三%)など二十府県で増加し、福岡県(九十四件、一八・三%)、岡山県(八十一件、三一・五%)、大阪府(四十六件、一二・三%)及び愛知県(四十四件、九・七%)など二十七都道府県で減少した。
 次に、人口十万人当たりの苦情件数を都道府県別にみると、滋賀県が一八・八件(前年度比二・九件増)と最も多く、次いで、長野県が一三・九件(同一・七件増)、佐賀県が一二・四件(同三・四件減)及び岐阜県が一二・四件(同〇・七件減)などとなっている。なお、全国平均は五・六件で、前年度に比べて〇・一件増加した。
 オ 振 動
<人口十万人当たりの振動の苦情件数は東京都、大阪府の順>
 振動の苦情件数は、東京都が三百三十七件(振動苦情件数の二一・八%)と最も多く、次いで、大阪府が二百三十五件(同一五・二%)、神奈川県が百三十二件(同八・五%)及び埼玉県が百二十五件(同八・一%)などとなっており、上位四都府県で全国の苦情件数の過半数(八百二十九件、同五三・六%)を占めている。
 また、前年度に比べて、大阪府(四十二件、二一・八%)、埼玉県(三十二件、三四・四%)及び千葉県(二十五件、二九・四%)など二十三道府県で増加し、愛知県(二十五件、二〇・七%)、東京都(十二件、三・四%)及び栃木県(十二件、六六・七%)など十九都府県で減少した。
 次に、人口十万人当たりの苦情件数を都道府県別にみると、東京都が二・八件(前年度比〇・二件減)と最も多く、次いで、大阪府が二・七件(同〇・五件増)及び千葉県が一・九件(同〇・五件増)などとなっている。なお、全国平均は一・二件で、前年度に比べて〇・一件増加した。
 カ 土壌汚染
<土壌汚染の苦情件数は千葉県、埼玉県の順>
 土壌汚染の苦情件数は、千葉県が三十七件(土壌汚染苦情件数の一二・四%)と最も多く、次いで、埼玉県が二十九件(同九・七%)及び茨城県が二十三件(同七・七%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、千葉県(十六件、七六・二%)及び栃木県(十件、一六六・七%)など十八県で増加し、茨城県(十件、三〇・三%)など二十都道府県で減少した。
 キ 地盤沈下
 地盤沈下の苦情件数は、千葉県が八件(地盤沈下苦情件数の二〇・五%)と最も多く、次いで、新潟県及び愛知県が各五件(同一二・八%)並びに山形県が三件(同七・七%)などとなっており、十六都府県で地盤沈下の苦情を受け付けた。

八 複合型公害の苦情件数
<複合型公害は全体の約二割>
 公害苦情には、申し立てられる公害の種類が一種類のもの(単独型公害)と、二種類以上のもの(複合型公害)がある。単独型公害か複合型公害かをみると、単独型公害が六万二千百十九件(全公害苦情件数の八一・六%)、複合型公害が一万三千九百六十一件(同一八・四%)となっている。
 また、複合型公害において、主な公害と関連公害を合わせた延べ苦情件数は二万九千五百七十四件)となっており、複合型公害は平均二・一二種類の公害となっている。

第2 公害苦情の処理状況

一 公害苦情の取扱件数
<取扱件数は八万五千十二件で、うち直接処理した苦情は七万一千七百九十一件>
 平成十一年度に全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口で取り扱った公害苦情件数は八万五千十二件である。その内訳は、十一年度に受け付けた苦情件数が七万六千八十件、前年度から繰り越された苦情件数が八千九百三十二件となっている。
 一方、取り扱った苦情の処理状況をみると、公害苦情相談窓口で直接処理(当該地方公共団体の他の部局で処理したものを含む。)した苦情件数(以下「直接処理件数」という。)が七万一千七百九十一件、他の機関等へ移送した苦情件数が一千二百十二件、翌年度へ繰り越した苦情件数が八千八百五十二件、その他の苦情件数が三千百五十七件となっている(第6表参照)。

二 公害苦情の処理率
<処理率は八五・七%>
 全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口で取り扱った苦情件数(他の機関等へ移送した苦情件数を除く。)に占める直接処理件数の割合(処理率)は八五・七%である(第6表参照)。

三 苦情申立人の立場別処理件数
<苦情申立ての約八割が被害者又は家族から>
 典型七公害の苦情について、直接処理件数を苦情の申立人の立場別にみると、「被害者又は家族」が四万四千五百八十五件(典型七公害の直接処理件数の七九・一%)と最も多く、次いで、「被害者の代表」が四千二百五十四件(同七・五%)、「公的機関が仲介」したものが二千百七十七件(同三・九%)、「第三者が仲介」したものが九百七十七件(同一・七%)などとなっている。

四 処理に要した期間別処理件数
<一か月以内に約三分の二を処理>
 典型七公害の苦情について、直接処理件数を苦情の申立てから処理までに要した期間別にみると、「一週間以内」が三万一千三百六十三件(典型七公害の直接処理件数の五五・七%)と最も多く、次いで、「一週間超一か月以内」が六千七百十九件(同一一・九%)、「三か月超六か月以内」が六千二百五十三件(同一一・一%)、「一か月超三か月以内」が四千九百件(同八・七%)、「六か月超一年以内」が三千二百三十三件(同五・七%)、「一年超」が二千百二十八件(同三・八%)などとなっている。
 「一週間以内」及び「一週間超一か月以内」を合わせると三万八千八十二件(同六七・六%)となり、直接処理件数の約三分の二が一か月以内に処理されている(第4図参照)。

五 被害の発生態様別処理件数
<一時的・一過性現象が約三割>
 典型七公害の苦情について、直接処理件数を被害の発生態様別にみると、空調機械が故障したというように突発的な事故等による「一時的・一過性現象」が一万八千四百五十五件(典型七公害の直接処理件数の三二・七%)と最も多く、次いで、工場操業などに伴いほとんど毎日発生する「経常的な発生」が一万七千七百十五件(同三一・四%)、農薬散布のように季節的又は一日以上空けて繰り返し発生する「季節的・周期的発生」が七千九百九十八件(同一四・二%)、建築・土木工事などに伴い一定期間において発生する「一定期間の常時発生」が五千三百五十七件(同九・五%)などとなっている。

六 苦情の対象となった時間帯別処理件数
<昼間が約五割>
 典型七公害の苦情について、直接処理件数を苦情の対象となった時間帯別にみると、「昼間」が二万七千四百二件(典型七公害の直接処理件数の四八・六%)と最も多く、次いで、「時間に無関係」が六千四百十件(同一一・四%)、「一日中」が五千二百八十一件(同九・四%)、「夜間」が四千四百十八件(同七・八%)、「朝方」が三千五百八十七件(同六・四%)となっている。

七 公害発生源の立地と被害者居住の先後関係別処理件数
<「被害者の居住が先」が約二割、「発生源の立地が先」が約一割>
 典型七公害の苦情について、直接処理件数を公害発生源の立地と被害者居住の先後関係別にみると、「被害者の居住が先」が一万三百四十一件(典型七公害の直接処理件数の一八・三%)と最も多く、次いで、「発生源の立地が先」が六千八百七十九件(同一二・二%)、「被害者の居住後に施設、機械を増設」が四百八十七件(同〇・九%)などとなっている。

八 法令との関係別処理件数
<公害規制法令違反は一五・三%>
 典型七公害の苦情について、直接処理件数を苦情の対象となった事業活動等の法令との関係別にみると、次のとおりである。
 公害規制法令との関係では、「法令に違反していた」が八千六百三十七件(典型七公害の直接処理件数の一五・三%)、「法令に違反していなかった」が三万七百三十八件(同五四・五%)などとなっている。
 また、公害規制法令以外の法令との関係では、「法令に違反していた」が五千二百二十六件(同九・三%)、「法令に違反していなかった」が三万八百九十六件(同五四・八%)などとなっている。

九 苦情の処理のために行政当局が採った措置別処理件数
<七二・九%の苦情につき、行政当局が発生源に対する行政指導を実施>
 典型七公害の苦情について、直接処理件数を苦情の処理のために行政当局が採った措置別にみると、「発生源に対する行政指導」が四万一千九十八件(典型七公害の直接処理件数の七二・九%)と最も多く、次いで、「原因の調査」が六千七百八十四件(同一二・〇%)、「申立人に対する説得」が一千九百十件(同三・四%)、「当事者間の話合い」が一千六百七十八件(同三・〇%)などとなっている。

十 文書による勧告・命令等の有無別処理件数
<二・九%の苦情につき、行政当局が文書による勧告・命令等を発出>
 典型七公害の苦情について、直接処理件数を苦情処理のために行政当局により文書による勧告・命令等がなされたかどうかについてみると、「文書による勧告・命令等がなされた」が一千六百二十六件(典型七公害の直接処理件数の二・九%)、「なされなかった」が五万四千七百三十件(同九七・一%)となっている。

十一 苦情申立人の満足度別処理件数
<処理結果に約半数が満足>
 典型七公害の苦情について、直接処理件数を苦情の処理結果に対する申立人の満足度別にみると、「一応満足」が一万八千五百三十二件(典型七公害の直接処理件数の三二・九%)と最も多く、次いで、「満足」が八千四百三十七件(同一五・〇%)、「あきらめ」が三千百七十六件(同五・六%)、「不満」が二千百十二件(同三・七%)などとなっている。

十二 防止対策実施の有無別処理件数等
 典型七公害の苦情について、直接処理件数を苦情の処理のために防止対策を講じたかどうかについてみると、さらに、防止対策を講じたものについての内容をみると、次のとおりである。
(1) 防止対策実施の有無別処理件数
<約三分の二が防止対策を実施>
 苦情の処理のために防止対策を講じたかどうかについては、「防止対策を講じた」が三万六千八百三十八件(典型七公害の直接処理件数の六五・四%)、「講じなかった」が一万四十件(同一七・八%)、「不明」が九千四百七十八件(同一六・八%)となっている。
 さらに、「防止対策を講じた」場合についての講じた者についてみると、発生源者が三万四千二百六十件(同六〇・八%)、行政機関が一千九百四十件(同三・四%)、被害者が百五十三件(同〇・三%)などとなっている。
(2) 実施した防止対策の内容別延べ件数
<作業方法等の改善が防止対策を講じた苦情件数の四六・七%>
 苦情の処理のために講じた防止対策(調査票への回答は三つまでの複数回答)の延べ総数は、四万一千七百十八件となっており、防止対策を講じた苦情件数一件当たり平均一・一三種類となっている。
 また、実施した防止対策の内容別にみると、「作業方法、使用方法の改善」が一万七千二百二十一件(防止対策を講じた苦情件数の四六・七%)と最も多く、次いで、「営業・操業停止、行為の中止」が九千九百六十五件(同二七・一%)、「原因物質の撤去、回収、除去」が四千六百二十九件(同一二・六%)、「機械、施設の改善」が三千七百八件(同一〇・一%)などとなっている。

十三 当事者が調停等の申請手続をした機関別処理件数
<〇・三%の苦情につき、調停・裁判等を申請>
 典型七公害の苦情について、直接処理件数をその後、当事者が調停・裁判等の申請手続をしたかどうかについてみると、「調停・裁判等の申請手続をした」が百八十九件(典型七公害の直接処理件数の〇・三%)、「していない」が五万九百三十七件(同九〇・四%)となっている。

第3 公害苦情処理事務担当の職員数

<全国で一万三千二百四十二人>
 全国の地方公共団体で公害苦情の処理を担当している職員は一万三千二百四十二人である。職員の内訳は、公害紛争処理法(昭和四十五年法律第百八号)第四十九条第二項の規定に基づき任命又は指名を受けた公害苦情相談員が三千十六人(公害苦情処理事務担当職員総数の二二・八%)、その他の職員が一万二百二十六人(同七七・二%)となっている。


暮らしのワンポイント


低温やけど

暖房具の使い方に注意

 こたつや電気毛布、カイロなどがありがたい冬。でも、暖房具の使い方によっては「低温やけど」になってしまうこともあり、要注意です。
 触っていると暖かく気持ちのよい六〇度くらいの温度でも、一分間、皮膚に圧迫して使い続けるとやけどをします。これが「低温やけど」です。接触時間によっては、さらに低い温度でもやけどになることがあります。
 国民生活センターに寄せられた報告によると、低温やけどを最も引き起こしている暖房具は、使い捨てカイロ。以下、湯たんぽ、あんか、こたつ、電気カーペット、電気毛布などが続きます。高齢者や体の不自由な人、病気やケガをした人に起きやすく、酔って眠り込んでやけどをおったという例も。
 低温やけどは、皮膚の表面ではわずかなやけどに見えても、内部が壊死(えし)(体の組織の一部が死ぬこと)してしまうこともあります。ひどい場合は手術が必要になるなど症状は深刻です。
 低温やけどを防ぐには、まずそれぞれの暖房具の注意表示をよく見て使用方法などを守り、さらに使用中は圧迫しないようにしたり、こまめに体の姿勢を変えたりすることが大切です。
 使い捨てカイロは長時間体の一か所に固定せず、睡眠中は使わないように注意しましょう。湯たんぽや電気あんか、電気毛布などは、なるべく低温で使用するか、体から離して使うようにしましょう。
 電気カーペットは、乗ったときに暖かいと感じるようでは温度が高すぎます。座ると徐々に暖かくなる程度が適温だと覚えておきましょう。
 低温やけどになってしまったら、水で冷やしても効果はありません。見た目より重症の場合が多いので、早めに医師の診察を受けてください。
(『広報通信』平成十三年二月号)



目次へ戻る


十一月の雇用・失業の動向


―労働力調査平成十二年十一月結果の概要―


総 務 省


◇就業状態別の人口

 平成十二年十一月末の就業状態別人口をみると、就業者は六千五百二万人、完全失業者は三百九万人、非労働力人口は四千四十万人で、前年同月に比べそれぞれ二十一万人(〇・三%)増、十四万人(四・七%)増、二十一万人(〇・五%)増となっている。

◇就業者

(1) 就業者

 就業者数は六千五百二万人で、前年同月に比べ二十一万人(〇・三%)の増加となり、二か月連続の増加となっている。男女別にみると、男性は三千八百四十六万人、女性は二千六百五十六万人で、前年同月と比べると、男性は四万人(〇・一%)増、女性は十七万人(〇・六%)増となっている。

(2) 従業上の地位

 就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千四百二十九万人、自営業主・家族従業者は一千五十八万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は七十二万人(一・三%)増、自営業主・家族従業者は四十六万人減となり、雇用者は七か月連続の増加となっている。
 雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千三百九十八万人で、七十七万人(一・四%)増、七か月連続の増加
 ○常 雇…四千六百九十三万人で、二十八万人(〇・六%)増
 ○臨時雇…五百九十八万人で、六十六万人(一二・四%)増、平成八年九月以降増加が継続
 ○日 雇…百六万人で、十九万人(一五・二%)減、三か月連続の減少

(3) 産 業

 主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…二百九十一万人で、一万人(〇・三%)増
○建設業…六百五十八万人で、二万人(〇・三%)増、三か月連続で増加
○製造業…一千三百三十万人で、二十八万人(二・一%)減
○運輸・通信業…四百十九万人で、十二万人(二・九%)増、八か月連続で増加
○卸売・小売業,飲食店…一千四百八十九万人で、十九万人(一・三%)増
○サービス業…一千七百五十三万人で、三十二万人(一・九%)増、九か月連続で増加
 また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…五百三十八万人で、二万人(〇・四%)減
○製造業…一千二百二十五万人で、十五万人(一・二%)減
○運輸・通信業…三百九十八万人で、十万人(二・六%)増
○卸売・小売業,飲食店…一千二百二十万人で、三十五万人(三・〇%)増
○サービス業…一千五百八万人で、五十五万人(三・八%)増

(4) 従業者階級

 企業の従業者階級別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千七百六十二万人で、二十万人(一・一%)増、十四か月ぶりの増加
○三十〜四百九十九人規模…一千七百九十七万人で、六十二万人(三・六%)増
○五百人以上規模…一千二百五十五万人で、九万人(〇・七%)減、十四か月ぶりの減少

(5) 就業時間

 十一月末一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜三十五時間未満…一千四百九十五万人で、四十五万人(三・一%)増加
 ・うち一〜三十時間未満…一千六十五万人で、十八万人(一・七%)増加
○三十五時間以上…四千九百一万人で、十一万人(〇・二%)減少
 ・うち四十九時間以上…一千八百二十三万人で、八万人(〇・八%)増加
 また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四十二・九時間で、前年同月に比べ〇・一時間の減少となっている。

◇完全失業者

(1) 完全失業者数

 完全失業者数は三百九万人で、前年同月に比べ十四万人(四・七%)増と、三か月連続の増加となっている。男女別にみると、男性は百九十三万人、女性は百十七万人で、前年同月に比べ、男性は九万人(四・九%)の増加、女性は六万人(五・四%)の増加となっている。
 また、求職理由別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非自発的な離職による者…九十四万人で、四万人増加
○自発的な離職による者…百六万人で、五万人減少
○学卒未就職者…十四万人で、三万人増加
○その他の者…八十三万人で、七万人増加

(2) 完全失業率(季節調整値)

 季節調整値でみた完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は四・八%で、前月に比べ〇・一ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は五・〇%、女性は四・五%で、男性は〇・一ポイントの上昇、女性は〇・二ポイントの上昇となっている。

(3) 完全失業率(原数値)

 完全失業率は四・五%で、前年同月に比べ〇・一ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は四・八%で〇・二ポイントの上昇、女性は四・二%で、〇・二ポイントの上昇となっている。

(4) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 [男]
○十五〜二十四歳…四十万人(二万人増)、一〇・二%(〇・五ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…四十六万人(三万人増)、五・〇%(〇・三ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十四万人(一万人増)、三・〇%(〇・一ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…三十一万人(五万人増)、三・三%(〇・五ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…四十三万人(二万人減)、六・五%(〇・一ポイント低下)
 ・五十五〜五十九歳…十七万人(同数)、四・三%(〇・二ポイント上昇)
 ・六十〜六十四歳…二十六万人(二万人減)、九・八%(〇・六ポイント低下)
○六十五歳以上…十一万人(一万人増)、三・四%(〇・二ポイント上昇)
 [女]
○十五〜二十四歳…二十八万人(二万人増)、七・七%(〇・五ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…三十五万人(二万人減)、五・九%(〇・四ポイント低下)
○三十五〜四十四歳…十八万人(二万人増)、三・四%(〇・三ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…二十万人(一万人増)、二・九%(〇・一ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…十四万人(二万人増)、三・四%(〇・三ポイント上昇)
 ・五十五〜五十九歳…九万人(二万人増)、三・五%(〇・八ポイント上昇)
 ・六十〜六十四歳…五万人(同数)、三・二%(同率)
○六十五歳以上…一万人(同数)、〇・五%(〇・一ポイント低下)

(5) 世帯主との続き柄別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 世帯主との続き柄別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…八十三万人(四万人減)、三・〇%(〇・二ポイント低下)
○世帯主の配偶者…三十七万人(一万人増)、二・五%(同率)
○その他の家族…百四十二万人(十一万人増)、七・七%(〇・四ポイント上昇)
○単身世帯…四十七万人(六万人増)、六・〇%(〇・七ポイント上昇)













裁判所の競売物件について


 中古住宅を購入するに当たって、裁判所の競売物件に注目する人が増えているようです。しかし、その内容まで裁判所が保証するものではありません。それなりのリスクがあることに注意する必要があります。
 しかし、もし万一問題が生じても、それぞれのケースに応じた適切な手続をとることによって、解決することができます。

三点セットの内容をよく理解して決める

 競売不動産は裁判所の掲示場で公告されます。このほか、最近ではホームページを通じて、中古住宅の競売物件情報を提供している裁判所が増えてきています。興味ある物件について、さらに詳しい資料がほしいときは、裁判所の「物件明細書等閲覧室」に行くと、物件のファイルを見ることができます。このファイルは、いわゆる三点セットというもので、競売物件の状況を記載した「現況調査報告書」、競売物件の評価額を記載した「評価書」、買受人が引き継がなければならない権利関係などを記載した「物件明細書」のそれぞれの写しを一冊にしたものです。この三点セットには、競売物件に関する重要な情報が書かれていますから、内容をよく理解して、目的の物件を買い受けるかどうかを決める必要があります。
 例えば、実際の競売物件は、だれかが住んでいるケースが多いものです。そのような場合には、「物件明細書」に書かれている事柄を参考にしてください。
 物件明細書には、競売物件に住んでいる人が引き続き居住する権利を主張することができるかについて、裁判所の一応の判断が記載されています。
 権利を主張できない人が住んでいる場合は、明渡しを求めることができます。もし、明渡しを拒絶されたとしても、買受代金を納付してから六か月以内であれば、裁判所に申し立てて、
住んでいる人に対して明渡しを命じる「引渡命令」を出してもらうことができます。引渡命令は、簡単な審理で早く出してもらえますし、この命令があれば強制的に明け渡してもらう手続をとるように執行官に申し立てることもできます。
 明渡しがスムーズにいかないというリスクに対しては、それに対応するための手続が用意されていて、解決できるようになっています。

 競売には自らの責任で参加すること

 三点セットは裁判所が可能な限度で調査した結果をまとめたものであって、必ずしも完全なものではありません。前記の場合のほか、近隣の人との間で土地の境界に関する紛争があるようなときには、買い受けた人がそれを引き継がなければならないようなこともあります。リスクをできるだけ回避するためには、三点セットの内容をよく理解したうえで、現地に行って競売物件を自分の目でみたり、登記所で登記簿を調査したりするなど、自分で十分な調査をし、場合によっては、法律の専門家に相談することも必要です。
 さらに、競売には自らの責任で参加するという強い意志をもって臨むようにしたいものです。
 なお、代金の納付については、銀行ローンを利用しやすくする制度が設けられています。
<最高裁判所>
(『広報通信』平成十三年二月号)



目次へ戻る


賃金、労働時間、雇用の動き


毎月勤労統計調査平成十二年十月分結果速報


厚生労働省


 「毎月勤労統計調査」平成十二年十月分結果の主な特徴点は、次のとおりである。

◇賃金の動き

 十月の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は二十九万百七十九円、前年同月比は一・一%増であった。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十八万五千六百四十九円、前年同月比一・三%増であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十六万六千五百六円、前年同月比一・〇%増、所定外給与は一万九千百四十三円、前年同月比は四・四%増であった。
 また、特別に支払われた給与は四千五百三十円、前年同月比は一・八%減であった。
 実質賃金は、二・三%増であった。
 きまって支給する給与の動きを産業別に前年同月比によってみると、伸びの高い順に不動産業一〇・四%増、金融・保険業七・〇%増、鉱業二・六%増、電気・ガス・熱供給・水道業一・五%増、製造業一・三%増、建設業及び卸売・小売業,飲食店一・二%増、運輸・通信業一・〇%増、サービス業〇・二%増であった。

◇労働時間の動き

 十月の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は百五十六・八時間、前年同月比は一・三%増であった。
 総実労働時間のうち、所定内労働時間は百四十六・八時間、前年同月比一・三%増、所定外労働時間は十時間、前年同月比三・一%増、所定外労働時間の季節調整値は前月比一・七%減であった。
 製造業の所定外労働時間は十四・三時間、前年同月比一〇・〇%増、季節調整値の前月比は一・二%減であった。

◇雇用の動き

 十月の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で〇・一%減、常用労働者のうち一般労働者では〇・七%減、パートタイム労働者では二・五%増であった。
 常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、前年同月を上回ったものは不動産業及びサービス業二・一%増であった。前年同月を下回ったものは運輸・通信業〇・二%減、建設業〇・五%減、卸売・小売業,飲食店〇・八%減、製造業一・二%減、鉱業三・一%減、金融・保険業三・七%減、電気・ガス・熱供給・水道業七・七%減であった。
 主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者二・一%減、パートタイム労働者四・七%増、卸売・小売業,飲食店では一般労働者〇・八%減、パートタイム労働者〇・八%減、サービス業では一般労働者一・一%増、パートタイム労働者六・〇%増であった。











歳時記


雪まろげ

 「雪まろげ」とは、雪を丸く固め雪の上を転がしていき、かたまりを大きくしていく遊びのことです。「雪ころがし」「雪丸め」などともいいます。
 君火をたけ よきもの見せん 雪まろげ
                   芭蕉
 暗くなって、雪まろげをしていた子どもたちがみんな引き上げたあとに、いくつもの雪の玉が残っているのを指して、「よきもの見せん」と言ったのでしょうか。雪まろげにはしゃいだ子どもたちの去ったあとの静けさが、伝わってくるような句です。
 雪まろげして作ったものを二段に重ねて、木炭やたどんで目や口を付けると「雪だるま」になります。このほか、糸の先に木炭などを付けて雪を付着させて、雪のかたまりを大きくしていく「雪釣」という昔からの遊びもあります。
 雪を丸く軽めに固めて、雪合戦をするのも、雪国の子どもたちの楽しみの一つです。
 靴紐(ひも)を むすぶ間もくる 雪つぶて
                     中村汀女
 子どもたちが、いたずらっぽい表情で、雪が降っている寒いなかでも元気に遊んでいる様子が伝わってきます。
 雪とたわむれている子どもたちは、車などに注意が向かないかもしれません。「冬期における交通事故防止」として、ドライバーはスリップなどに十分気をつけて、スタッドレスタイヤなどの装着は忘れないようにしたいものです。また、車間距離はふだんより十分とって、スピードは控えめに。ライトは、早目に点灯するようにしましょう。
(『広報通信』平成十三年二月号)





    <2月28日号の主な予定>

 ▽障害者白書のあらまし………総 理 府 

 ▽家計収支(十一月分)………総 務 省 




目次へ戻る