官報資料版 平成13年3月7日




                  ▽規制緩和白書のあらまし……………………………………………総 務 庁(現総務省)

                  ▽消費者物価指数の動向(東京都区部十二月中旬速報値)………総 務 省

                  ▽毎月勤労統計調査(十一月分)……………………………………厚生労働省

                  ▽平成十二年平均 東京都区部消費者物価指数の動向……………総 務 省











規制緩和白書のあらまし


総 務 庁(現総務省)


はじめに

 「規制緩和白書」は、二〇〇〇年三月に再改定された規制緩和推進三か年計画において、「公的規制の現状、規制緩和の実施状況、計画の概要、規制緩和の国民生活等への影響、効果等を国民に分かりやすい形で提供するため、総務庁は、各省庁の協力を得て、規制緩和白書を速やかに作成し、公表する。」とされたことに基づき刊行するもので、同年十二月十二日の閣議に配布の後、公表された。
 本白書は、一九九五年七月に初めて刊行され、今回が六回目の刊行となる。今回の白書は三部構成となっており、各部の概要は次のとおりである。
@ 規制緩和推進計画及び規制緩和推進三か年計画に係る九五年以降六年間の計画期間における規制緩和・規制改革の取組やその成果・効果について、代表的事例や年表等により紹介。また、規制緩和をめぐる米国、EUとの対話やOECD、APECの動向について記述。さらに、新たな規制改革推進三か年計画の策定等今後の規制改革について展望(第1部
A 政府における規制改革の推進体制の中軸を担う行政改革推進本部規制改革委員会の活動について紹介(第2部
B 「公的規制」の定義・体系や目的等について説明するとともに、我が国の公的規制の現状について、各産業において規制を受けている部門のウエイトを付加価値額ベースで試算した結果や、許認可等の実態把握結果を紹介。また、パブリック・コメント手続、規制の新設審査等の実施状況について記述(第3部
 本白書のあらましは、以下のとおりである。

第1部 回顧と展望

 規制緩和の推進に関しては、様々な施策の展開の歴史の中で、個々の規制について個々に見直しは行われてきているが、八〇年代以降、臨調・行革審といった行政改革の推進機関による規制の見直しがなされてきた。九〇年代においては、規制緩和は、景気低迷の長期化等の内外経済諸情勢を踏まえ、経済の活性化、内需の振興を図る観点から、経済対策の主要な柱の一つとされた。以上のような経緯を経て、我が国経済社会の抜本的な構造改革への継続的な取組を基本的目的の一つとして、三か年の中期的プログラムである規制緩和推進計画及び規制緩和推進三か年計画による取組を推進している。
 経済のグローバル化、少子高齢化、情報化(IT革命)、環境問題の深刻化といった経済社会の大規模かつ急激な環境変化に対応し、民間主導による経済の持続的成長により日本経済を再生し、豊かな国民生活を実現するために、構造改革の一環として、今後、規制改革を更に一層推進することが重要である。

第1章 規制緩和の進展

第1節 これまでの規制緩和の取組

1 規制緩和推進計画による取組
 一九九三年十月の第三次行革審の「最終答申」を受けて九四年二月に閣議決定された「今後における行政改革の推進方策について」に基づき、九五年三月三十一日、規制緩和の目的、基本指針、計画の推進方法などの総論部分に加え、各論として十一分野一千九十一事項にわたる具体的措置を盛り込んだ規制緩和推進計画が閣議決定された。
 九六年の改定後の計画においては、新規五百六十九事項を含め十一分野一千七百九十七事項にわたる個別の規制緩和措置が盛り込まれることとなった。また、九七年の再改定後の計画においては、新たに教育の分野が追加され、十二分野二千八百二十三事項が盛り込まれることとなった。

2 規制緩和推進三か年計画による取組
 一九九七年十二月の行政改革委員会の「最終意見」を受けて同じ月に閣議決定された「規制緩和の推進等について」に基づき、九八年三月三十一日、規制緩和推進計画の計画期間終了後、同期間内に措置が終了しないものを盛り込み、また、「最終意見」を最大限に尊重して、規制緩和推進三か年計画が閣議決定され、十五分野六百二十四事項の規制緩和措置を盛り込むこととなった。
 二〇〇〇年三月の再改定(再改定手続については第1図参照)においては、@必置資格等について、見直しに係る指針に基づき各省庁において順次見直しを行い、二〇〇一年度中に所要の措置を講ずること、A総務庁行政管理局及び大蔵省主計局は、規制の新設抑制等の観点から、各省庁が行うパブリック・コメント手続に際し、必要に応じ意見を述べるものとすること、B計画終了時点における計画の実施状況のフォローアップと併せて、九九年十一月一日から二〇〇一年三月末までに提出された内外からの意見・要望、規制改革委員会の監視結果等についての各省庁の対応状況を公表すること等が新たに計画に盛り込まれるとともに、分野別措置事項については、新たに「資格制度」を加えた十六分野において、新規三百五十一事項を含め一千二百六十八事項となった。
 二〇〇〇年十二月に、再改定された規制緩和推進三か年計画についての同年十月一日現在におけるフォローアップ結果を公表した(一千二百六十八事項中一千百十四事項(八七・九%)が、全部又は一部措置済み(第1表参照))。

第2節 規制緩和の成果

 規制緩和推進計画以降六年間における規制緩和の取組によって得られた成果の中から、国民に身近で親しみやすい内容で、効果が分かりやすく顕著なものという観点から、代表的と考えられる十事例を選定し、「規制緩和事例十選」として紹介している。
@ 金融システム改革
A 法曹人口の大幅増員
B 一般旅券(パスポート)の有効期間の延長
C 医薬品のカテゴリーの見直し
D 電気事業の制度改革
E 自動車検査等に係る規制緩和
F 国内航空運送事業の規制緩和
G 移動体電話市場の活性化
H 有料職業紹介事業及び労働者派遣事業の規制緩和
I 建築確認・検査における民間活用

第3節 規制緩和の分野別取組状況

 規制緩和の取組状況を分野別に明らかにするため、「競争政策等」、「住宅・土地、公共工事」、「情報・通信」、「流通」、「運輸」、「基準・規格・認証・輸入」、「金融・証券・保険」、「エネルギー」、「雇用・労働」、「教育」、「医療・福祉」、「法務」の各分野について、取組の概要を述べるとともに、年表形式で規制緩和の推移を整理している。

第4節 行政分野横断的な取組

1 申請負担軽減対策
 一九九七年二月の閣議決定「申請負担軽減対策」に基づき、@許認可等有効期間の倍化・延長、A国の行政機関及び特殊法人に提出する書類の押印の在り方の見直し、B許認可等の審査・処理期間の半減・短期化、C各種申請・届出手続の電子化・ペーパーレス化、D統計調査の簡素合理化(各省庁が所管するすべての統計調査について、報告者負担の軽減の観点からの見直し等)に取り組んできている。

2 資格制度の見直し
 一九九九年三月の規制緩和推進三か年計画の改定において、業務独占資格等の見直しに係る指針が同計画に盛り込まれた。また、二〇〇〇年三月の再改定においては、必置資格等の見直しに係る指針が同計画に盛り込まれるとともに、個別措置事項の分野の中に新たに「資格制度」が設けられ、税理士試験及び社会保険労務士試験の受験資格要件の廃止等三十三事項が盛り込まれた。

3 基準・規格及び検査・検定(基準認証等)の見直し
 一九九五年三月に策定された規制緩和推進計画においては、五百二十六の個別規制緩和事項が措置された。また、九八年三月に策定された規制緩和推進三か年計画においては、@通商産業省関係の基準認証等(消費生活用製品安全法、電気事業法、ガス事業法等)の抜本的な見直し、AJAS規格の国際規格との整合化、生産・流通・消費の実態を踏まえ不要となった規格の廃止の推進等、B建築確認・検査事務における民間機関の活用等の個別措置事項が盛り込まれ、順次措置されている。

4 需給調整規制の見直し
 二〇〇〇年三月の規制緩和推進三か年計画(再改定)において、需給調整規制は撤廃の方向で見直すとの基本方針の下で計画に盛り込んだ事項の着実な実施を図ることとされ、旅客鉄道、貸切バス、国内旅客船、国内航空運送事業等の需給調整規制の廃止等の事項が措置された。

5 公共料金関連事業における情報公開の推進
 公共料金関連事業における情報公開の推進については、二〇〇〇年三月の規制緩和推進三か年計画(再改定)において、二〇〇〇年度のできるだけ早い時期に結論を得て所要の措置を講ずることとされている。
 二〇〇〇年八月の物価担当官会議において、各省庁は、同年六月に取りまとめられた「公共料金分野における事業横断的な情報公開ガイドラインに関する報告書」に示された方向に沿って、所管する公共料金に関する一層積極的な情報公開に速やかに取り組むことを申し合わせた。

第5節 規制緩和の経済効果

 一九九八年三月に閣議決定された規制緩和推進三か年計画においては、規制緩和に関する需要拡大効果、生産性向上効果、物価引下げ効果等の経済効果につき数量的な分析を積極的に行い、公表することとしており(一九九九年の改定後及び二〇〇〇年の再改定後も同様)、経済企画庁は、これまで規制緩和の経済効果に関する様々な調査結果を取りまとめ、公表してきている。
 例えば、二〇〇〇年一月の「近年の規制改革の経済効果―利用者メリットの分析」では、八八年度から九八年度までの規制改革に伴う料金・価格の低下を通じて利用者にもたらしたメリット(国内電気通信、国際電気通信、国内航空、自動車登録検査制度、電力、石油製品(ガソリン)、ガス、株式売買委託手数料の八分野)約八兆六千億円は九八年度国民所得の二・三%に当たり、利用者には国民所得が二・三%上昇したのと同様の満足度の上昇があったと試算されている。

第2章 規制緩和の国際的な期待への対応

 経済のグローバル化により、我が国の規制制度も国際的な競争にさらされている一方、我が国経済の動向は、世界経済の安定と繁栄にとっても極めて重要である。このような観点から、我が国の規制緩和の取組においては、米国、EUとの規制緩和対話や国際機関(OECD、APEC)における取組への協力を行っている。

第3章 規制緩和の将来展望

第1節 二十一世紀に向けての諸課題

 今後の規制緩和の進め方について、最近の我が国が直面する諸課題にかんがみ、次の三つの観点から整理している。
@ 「規制改革」の徹底
  従来の「規制緩和」の考え方にとどまらず、新たなルールの創設や、競争政策の積極的展開、情報公開及び消費者のための必要なシステムづくりなどにも取り組んでいく必要がある。
A 経済社会の構造改革に資する規制改革の積極的取組
  我が国の経済を新時代にふさわしい構造に改革し、二十一世紀における新たな発展を確実にすることは、現下の最大の課題であり、経済社会の構造改革の重要な柱の一つである規制改革についても、より一層積極的に取り組んでいくことが必要である。
B IT化(情報化)への積極的対応
  IT革命はいわゆる情報・通信という分野を大きく超えた広がりを有し、社会・経済の様々な側面に広範な影響を及ぼすものであり、現在国政上の重要課題として取り組んでいるものであることから、重点的かつ迅速な取組が必要である。

第2節 新たな規制改革推進三か年計画の策定等

 規制緩和推進計画及び規制緩和推進三か年計画による規制緩和・規制改革の仕組みは一定の成果を上げてきているが、今後の情勢の変化等に適切に対応し、更なる規制改革や経済社会の構造改革を進めることが必要である。また、社会的規制についても、時の経過とともに経済社会構造を取り巻く大きな情勢の変化に適合しなくなっているものは、制度の根本に立ち返って規制改革を推進することが必要である。
 二〇〇〇年十二月に「行政改革大綱」が閣議決定され、同大綱において、行政と民間との新たな関係を構築する観点からの規制改革を推進することとされ、「新たな三か年計画の策定」、「電気通信事業における競争政策の在り方」及び「新たな規制改革推進体制」について定められた。

第2部 規制改革委員会の活動

第1章 政府における規制改革の推進体制

 一九九四年一月の閣議決定に基づき、内閣に行政改革推進本部が設置され、@政府における行政改革の実施に関する重要事項、Aその他行政改革の推進に関連して必要な事項を所掌し、内閣総理大臣を本部長として、内閣官房長官と総務庁長官が副本部長に、その他のすべての閣僚が本部員となっている。規制改革委員会は、同本部の下に設置されている。

第2章 規制改革委員会の体制と活動状況

 規制改革委員会は、一九九八年一月の行政改革推進本部長決定に基づき、新たな規制緩和推進計画の策定に資するなど、規制緩和の着実な推進を図るため、「規制緩和委員会」として発足し、その後、九九年四月の行政改革推進本部長決定に基づき、規制改革(規制の緩和、撤廃及び事前規制型行政から事後チェック型行政に転換していくことに伴う新たなルールの創設、規制緩和の推進に併せた競争政策の積極的展開等)について調査審議していくことを任務として「規制改革委員会」と改称され、現在に至っている。委員長を含む委員十四名及び参与十二名から構成され、「情報通信」、「環境」、「資格制度」等十二分野ごとにワーキング・グループを設け、各テーマの調査審議を行っている。
 規制改革委員会における各テーマの検討過程の透明性を確保するため、「規制改革に関する論点公開」(第2表参照)を行うとともに、主要テーマについては公開討論を実施し、このような活動を経て、九八年十二月に「規制緩和についての第一次見解」を、九九年十二月に「規制改革についての第二次見解」を取りまとめ、それぞれ行政改革推進本部に提出した。これらの見解の内容は、それぞれ規制緩和推進三か年計画の改定計画及び再改定計画に盛り込まれた。
 また、IT化(情報化)を二〇〇〇年度の重点分野と位置付け、同年七月に内閣に設置された「情報通信技術(IT)戦略本部」と同本部の下に置かれた「IT戦略会議」とも密接な連携を取りつつ、関連の諸課題の検討に取り組んでいる。

第3部 公的規制の現状

第1章 公的規制の目的等

 公的規制は、国民や企業の自由な活動に任せていたのでは、国民生活の安全が損なわれる、産業経済の健全な発展が望めないなどの問題が生ずるおそれがある場合に、公共の福祉に寄与する特定の政策目的を達成するために、一定の活動を禁止したり、活動に先立って行政庁の許可、認可などを得なければならないなどの制限を加えたりするものである。
 「公的規制」についての法令上の定義はないが、一九八八年十二月の第二次行革審の「公的規制の緩和等に関する答申」は、「公的規制は、一般に、国や地方公共団体が企業・国民の活動に対して特定の政策目的の実現のために関与・介入するものを指す。それは、許認可等の手段による規制を典型とし、その他にも許認可等に付随して、あるいはそれとは別個に行われる規制的な行政指導や価格支持等の制度的な関与などがある。」と比較的広範囲にとらえている。

第2章 我が国の産業に対する規制の現状

 我が国の産業に対する規制の現状を明らかにするため、一九八五年、九〇年及び九五年の各年の「産業連関表」を基にして、十三産業分野ごとに各分野の事業部門のうち規制を受ける部門に係る付加価値額が当該分野の付加価値額の合計額に占める割合(規制ウエイト)を試算した。試算に当たっては、事業部門には当該部門のすべてが規制を受けているものと、当該部門の一部が規制を受けているものがあるため、規制部門を当該部門のすべてが規制を受けている事業部門に限定して、規制に係る付加価値額を小さく見積もって規制ウエイトを算出する方法と、規制部門を当該部門のすべて又は一部が規制を受けている事業部門ととらえて、規制に係る付加価値額を大きく見積もって規制ウエイトを算出する方法の二通りの方法による数値を示した。
 十三分野全体の規制ウエイトをみると、八五年が三六・一%ないし四五・七%、九〇年が三五・五%ないし四四・八%、九五年が三四・一%ないし四四・一%と、少しずつではあるが減少している(第3表@第3表A参照)。

第3章 許認可等の現状

 総務庁は、一九八五年以来十四回にわたって、許認可等の実態の統一的把握を実施し、この結果を取りまとめて公表している。
 許認可等の件数は、第一回の把握時点(八五年十二月三十一日現在。一万五十四件)から第十四回の把握時点(九九年三月三十一日現在)までの間に一千五百二十七件の純増(三千五百十二件減少、五千三十九件増加)となり、一万一千五百八十一件となっている。第十四回の把握時点においては、第十三回の把握時点(九八年三月三十一日現在)に比べ、八百五十一件の増加、三百八十七件の減少があり、差引き四百六十四件の純増となっている。
 規制緩和と許認可等の件数との関係についてみると、許認可等の件数は、許認可等の根拠法令の項ごとに一事項として数える等の基準に基づいて一律に数えている。これに対し、規制緩和の態様は、@規制の廃止、A規制対象範囲の縮小、B規制基準の緩和、C強い規制から弱い規制への緩和など様々なケースがある。
 許認可等の数え方と前記のような規制緩和の態様の関係をみると、法律の廃止等規制自体が廃止される場合は、その根拠条項も廃止されるため、当然、許認可等の件数は減少するが、その他規制対象範囲の縮小、規制基準の緩和、強い規制から弱い規制への緩和などの場合は、許認可等の根拠条項が残るため許認可等の件数の減少には結び付かない場合、あるいは、逆に、許可対象の一部について届出で足りることとした場合に、届出の根拠条項が設けられるなどによって件数が増加する場合もあり、規制緩和と許認可等の件数の増減とは必ずしも相関関係がない。
 このため、規制緩和の進展(実質的な緩和の効果)を許認可等の件数の増減で表すことは必ずしも適切でない。

第4章 規制緩和を支える諸制度の整備

 規制緩和を推進するに当たっては、単なる規制の緩和や撤廃にとどまらず、これらと一体のものとして、規制自体の適正化や事前規制型行政から事後チェック型行政に転換していくことに伴う新たなルールの創設にも取り組むことが極めて重要である。パブリック・コメント手続等の制度は、規制緩和の取組そのものではないが、規制の新設・改廃や運用に係る意思決定過程を透明化、明確化し、行政の説明責任が全うされるようにすることや、新設から一定期間経過後の見直しの機会を設けることなどにより、規制改革の推進に寄与するものである。

第1節 パブリック・コメント手続等

1 パブリック・コメント手続
 一九九九年三月に閣議決定された「規制の設定又は改廃に係る意見提出手続」(パブリック・コメント手続)は、規制の設定又は改廃に伴い政令、省令等を策定する過程において、国の行政機関等が政令、省令等の案を公表し、この案に対して国民、事業者等から提出された意見・情報を考慮して、意思決定を行うための手続である。
 総務庁は、二〇〇〇年七月に九九年度のパブリック・コメント手続の実施状況を取りまとめ、公表した。それによると、九九年度、各省庁が、閣議決定「規制の設定又は改廃に係る意見提出手続」の対象として、パブリック・コメント手続を経て意思決定を行った案件の件数は、二百五十六件であった。意見・情報の提出状況をみると、二百五十六件のうち「意見・情報の件数なし」が百一件(三九・五%)、「一件から五件」が七十七件(三〇・一%)、「六件以上」が七十八件(三〇・五%)であった。

2 規制の新設審査
 一九九四年二月に閣議決定された「今後における行政改革の推進方策について」(行革大綱)において、@規制の新設に当たっては、原則として当該規制を一定期間経過後に見直すこととする、A法律により新たな制度を創設して規制の新設を行うものについては、各省庁は、その趣旨・目的等に照らして適当としないものを除き、当該法律に一定期間経過後、その規制について見直しを行う旨の条項を盛り込むものとすることなどを内容とする規制の新設審査のシステムが明記された。その内容は、規制緩和推進計画、規制緩和推進三か年計画において、拡充されつつ引き継がれ、現在に至っている。
 これまで法律案に見直し条項を付した実績は、九四年の第百二十九回国会(常会)から二〇〇〇年の第百四十七回国会(常会)までの累計で五十四法案となっている。

第2節 行政手続法

 行政手続法は、@許認可等の申請に対する処分の手続、A不利益処分の手続、B行政指導の手続、C届出の手続について、行政機関と国民・事業者との間の共通的なルールを定めた法律で、一九九四年十月に施行された。
 二〇〇〇年三月の規制緩和推進三か年計画(再改定)において、「行政手続法を遵守し、許認可等の行政処分及び行政指導の透明性、明確性を確保する。」などとされており、行政手続法は、規制緩和の推進を支える制度の一つと位置付けられている。

第3節 情報公開法

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすること等を目的に、行政文書の開示に関する基本的事項や開示決定等についての不服申立ての仕組み等を定めた法律で、二〇〇一年四月から全面施行される。
 二〇〇〇年三月の規制緩和推進三か年計画(再改定)において、自己責任原則の確立に資する情報公開に規制の緩和や撤廃と一体として取り組んでいくことや、規制の効果と負担についての国民への説明責任を果たすことができるシステムの確立に向けて検討を進めることが定められており、情報公開法は、規制緩和の推進を支える一定の役割を期待されているといえよう。

第4節 規制のコストの把握と分析

 規制に係るコストを明らかにすることができれば、規制についての行政の説明責任を果たすことができると同時に、規制の在り方を見直す契機となる。
 今後は、各行政分野ごとの特性を踏まえながら、当該規制のコストの把握に努め、分析・評価のための調査研究を充実させていく必要がある。



歳時記


桃の節句

 桃の節句というのは、三月三日のひな祭りの別名です。
 昼空に 月あり 桃の節句なり
               宮津昭彦
 「桃の節句」のほか、「桃の日」「雛(ひな)の日」という言葉も、季語としてよく使われています。
 桃の日の 子が叩(たた)きをり 浮き氷
                    荏原京子
 春はもうすぐ。氷もとけかかって浮き氷になっている、それをたたいて遊びながら、嬉(き)々としている子どもたちの様子が伝わってきます。
 ところで、三月三日は桃の花が咲くシーズンには早いのですが、昔は旧暦によっていた関係で、このころに桃の花が自然に開花したのでしょう。ちなみに、今年は三月二十七日が、旧暦の三月三日です。
 ひな祭りには桃の花を飾りますが、つぼみの付いた枝を室(むろ)に入れるなどして、早く咲かせたものがほとんどのようです。
 最近のひな祭りは、家で白酒を飲み、ちらし寿司(ずし)を食べながら祝うことが多いようですが、地方によっては、この時期に川辺などで食事をしながら、ひな祭りを楽しむところもあるようです。自然に親しむシーズンの幕開けです。
 三月一日から五月三十一日までは、「緑の募金」のための全国的な春の募金期間です。地球的規模で森林の衰退が深刻化しています。森林の重要性についての普及啓発と地球温暖化防止のために、緑の募金活動に協力し、また、森林づくりのボランティア活動に参加するようにしたいものです。
(『広報通信』平成十三年三月号)



三月の気象


 桜の開花や雪融けなど、三月は多くの人々にとって待ち遠しい月でしょう。特に北国では、昼の時間がこの一か月で一時間半も延びるため、春を実感するようになります。暖かい日差しに誘われて、外出するのもそれほどおっくうではなくなることでしょう。しかし、実際には駆け足で春になるのではなく、冬と行ったり来たりしながら、時には天候が激しく変わる日もあります。このため、早春のイメージに反して、気象に関する災害も起こりやすいので注意が必要です。
 また三月は、気温の変化も大きく、空気が乾燥してほこりっぽくなることから、かぜなどで体調を崩しやすいので、健康管理にも注意してください。

◇気温の変化が大きい

 冬は、日本海側で雪、太平洋側で晴れの日が多いため、気温は太平洋側のほうが高いイメージがありますが、三月はむしろそれが逆になることが多いようです。日中は暖かくなっても、夕方には急激に気温が下がることがあります。このように、地域や時間帯によって気温が大幅に変化しやすい季節ですので、旅行などで外出する場合には、行き先の天気予報の気温予想も参考に、衣類の種類に幅をもたせましょう。

◇乾燥しやすい

 三月は統計上、かぜの症状が多くなる時期となっています。特に太平洋側の地方では、冬の間の雨量が少なく、空気が乾燥しやすい状態になっています。かぜのウイルスは空気が低温で乾燥しているほうが長時間生存できることや、杉などの花粉が飛ぶようになることもその原因と考えられています。
(気象庁)



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消費者物価指数の動向


―東京都区部(十二月中旬速報値)・全国(十一月)―


総 務 省


◇十二月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇〇・五となり、前月と同水準。前年同月比は九月一・四%の下落、十月一・二%の下落、十一月一・〇%の下落と推移した後、十二月は〇・六%の下落となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇〇・七となり、前月比は〇・二%の下落。前年同月比は九月一・〇%の下落、十月一・〇%の下落、十一月〇・九%の下落と推移した後、十二月は一・〇%の下落となった。

二 前月からの動き

(1) 食料は九九・六となり、前月に比べ〇・四%の上昇。
  生鮮魚介は〇・二%の上昇。
   <値上がり> いか、まぐろなど
   <値下がり> いわし、かれいなど
  生鮮野菜は四・四%の上昇。
   <値上がり> レタス、キャベツなど
   <値下がり> にんじん、はくさいなど
  生鮮果物は五・六%の上昇。
   <値上がり> みかん、りんご(王林)など
   <値下がり> りんご(ふじ)、かきなど
(2) 住居は九九・〇となり、前月に比べ〇・五%の下落。
  家賃が〇・五%の下落。
   <値下がり> 民営家賃(木造中住宅)など
(3) 被服及び履物は一〇四・七となり、前月に比べ〇・四%の下落。
  衣料が〇・七%の下落。
   <値下がり> スーツ(冬物)など
(4) 交通・通信は九九・四となり、前月に比べ〇・三%の上昇。
  交通が〇・五%の上昇。
   <値上がり> 航空運賃など

三 前年同月との比較

○上昇している主な項目
 生鮮野菜(一二・四%上昇)、生鮮果物(一九・九%上昇)、ガス代(四・五%上昇)
○下落している主な項目
 家賃(二・〇%下落)、外食(一・八%下落)、通信(四・八%下落)、家庭用耐久財(六・三%下落)
(注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇〇・六となり、前月に比べ〇・一%の上昇となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇〇・六となり、前月に比べ〇・一%の下落となった。

◇十一月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇一・五となり、前月比は〇・二%の下落。前年同月比は八月〇・八%の下落、九月〇・八%の下落、十月〇・九%の下落と推移した後、十一月は〇・五%の下落となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇一・八となり、前月と同水準。前年同月比は八月〇・三%の下落、九月〇・五%の下落、十月〇・六%の下落と推移した後、十一月は〇・五%の下落となった。

二 前月からの動き

(1) 食料は一〇〇・一となり、前月に比べ〇・九%の下落。
  生鮮魚介は一・一%の上昇。
   <値上がり> ぶり、いわしなど
   <値下がり> かき、かれいなど
  生鮮野菜は八・四%の下落。
   <値上がり> きゅうり、えのきだけなど
   <値下がり> はくさい、ほうれんそうなど
  生鮮果物は六・一%の下落。
   <値上がり> グレープフルーツ、オレンジなど
   <値下がり> みかん、かきなど
(2) 光熱・水道は一〇二・七となり、前月に比べ〇・二%の上昇。
  他の光熱が三・四%の上昇。
   <値上がり> 灯油
(3) 家具・家事用品は九〇・七となり、前月に比べ〇・二%の下落。
  家庭用耐久財が〇・五%の下落。
   <値下がり> 石油ストーブなど

三 前年同月との比較

○上昇している主な項目
 自動車等関係費(一・五%上昇)、家賃(〇・五%上昇)
○下落している主な項目
 通信(五・一%下落)、外食(一・四%下落)、家庭用耐久財(七・八%下落)、衣料(二・六%下落)
(注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇一・五となり、前月に比べ〇・四%の上昇となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇一・六となり、前月に比べ〇・一%の上昇となった。






















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賃金、労働時間、雇用の動き


毎月勤労統計調査 平成十二年十一月分結果速報


厚生労働省


 「毎月勤労統計調査」平成十二年十一月分結果の主な特徴点は、次のとおりである。

◇賃金の動き

 十一月の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は二十九万七千四百三十八円、前年同月比は〇・一%増であった。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十八万五千九百五十円、前年同月比一・一%増であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十六万六千二百九十八円、前年同月比〇・九%増、所定外給与は一万九千六百五十二円、前年同月比は三・九%増であった。
 また、特別に支払われた給与は一万一千四百八十八円、前年同月比は一八・六%減であった。
 実質賃金は、〇・八%増であった。
 きまって支給する給与の動きを産業別に前年同月比によってみると、伸びの高い順に金融・保険業八・五%増、運輸・通信業一・九%増、不動産業一・六%増、鉱業及び建設業一・五%増、卸売・小売業,飲食店一・二%増、電気・ガス・熱供給・水道業〇・九%増、製造業〇・六%増、サービス業〇・二%減であった。

◇労働時間の動き

 十一月の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は百五十七・七時間、前年同月比は〇・二%増であった。
 総実労働時間のうち、所定内労働時間は百四十七・四時間、前年同月と同水準、所定外労働時間は十・三時間、前年同月比三・〇%増、所定外労働時間の季節調整値は前月比〇・八%増であった。
 製造業の所定外労働時間は十四・七時間、前年同月比九・七%増、季節調整値の前月比は一・二%減であった。

◇雇用の動き

 十一月の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で前年同月と同水準、常用労働者のうち一般労働者では〇・七%減、パートタイム労働者では二・八%増であった。
 常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、前年同月を上回ったものは不動産業及びサービス業二・二%増であった。前年同月を下回ったものは建設業〇・一%減、運輸・通信業〇・四%減、卸売・小売業,飲食店〇・六%減、製造業一・一%減、金融・保険業三・六%減、電気・ガス・熱供給・水道業七・三%減、鉱業七・六%減であった。
 主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者一・五%減、パートタイム労働者二・一%増、卸売・小売業,飲食店では一般労働者一・三%減、パートタイム労働者〇・五%増、サービス業では一般労働者一・三%増、パートタイム労働者五・九%増であった。










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平成12年平均


東京都区部消費者物価指数の動向


―総合指数は前年比一・〇%の下落―


総 務 省


概 況

 平成十二年平均東京都区部消費者物価指数(速報値)は、平成七年を一〇〇とした総合指数で一〇〇・七となり、前年に比べ一・〇%の下落となった。
(1) 近年の総合指数の動きを前年比でみると、平成六年は耐久消費財を中心とした工業製品の下落幅が拡大したことなどにより〇・七%上昇と昭和六十二年以来七年ぶりに一%を下回った後、七年は工業製品の下落に加え、前年に高騰した米類が下落したほか、生鮮野菜が大幅に値下がりしたことなどにより〇・三%下落と、比較可能な昭和四十六年以降初めて下落となった。八年は工業製品などの商品が引き続き下落した一方、公共サービス料金などのサービスが上昇したことにより前年と同水準となったが、九年は消費税率引上げの影響などにより一・三%上昇と、平成五年以来四年ぶりに一%を上回る上昇となった。十年は天候不順により生鮮野菜が高騰したことに加え、消費税率引上げや医療保険制度改正の影響が残ったことなどにより〇・八%の上昇となったが、十一年は前年に高騰した生鮮野菜が下落したことに加え、繊維製品などの工業製品が下落したことなどにより〇・四%の下落となった。
 平成十二年は、生鮮食品が値下がりしたことに加え、家賃や外食なども値下がりしたことなどにより一・〇%の下落となった。
 なお、総合指数が二年連続して下落となったのは、比較可能な昭和四十六年以降初めてのことである。
(2) 十大費目指数の動きを前年比でみると、食料は生鮮野菜や外食などの値下がりにより二・一%下落、家具・家事用品は家庭用耐久財などの値下がりにより二・四%下落とそれぞれ総合の下落より大きな下落となった。このほか、住居は家賃などの値下がりにより〇・八%下落、被服及び履物は衣料などの値下がりにより〇・五%下落、保健医療は保健医療用品・器具などの値下がりにより〇・九%下落、交通・通信は通信の値下がりにより〇・四%下落、教養娯楽は教養娯楽サービスなどの値下がりにより一・〇%下落、諸雑費は身の回り用品などの値下がりにより〇・五%下落とそれぞれ下落となった。一方、光熱・水道は電気・ガス代などの値上がりにより〇・九%上昇、教育は授業料等などの値上がりにより一・一%上昇とそれぞれ上昇となった。
(3) 商品・サービス分類指数の動きを前年比でみると、商品は一・四%の下落となった。これは、生鮮商品などの値下がりにより農水畜産物が五・〇%下落、耐久消費財などの値下がりにより工業製品が〇・九%下落したことなどによる。また、サービスは〇・七%の下落となった。これは、民営家賃が〇・七%下落、通話料などの公共サービス料金が〇・四%下落、外食が一・四%下落したことなどによる。
 なお、サービスが前年に比べて下落したのは、比較可能な昭和四十六年以降初めてのことである。














言葉の履歴書


ラムサール条約

 正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」。
 一九七一年に、イランのラムサールで採択されました。
 第一条定義のほか全体が十二か条で構成され、各国が渡り鳥などの多い水鳥の生息地等として、国際的に重要性の高い湿地の指定と登録を行い、登録湿地の保全、人為的干渉による変化等情報の通報、湿地への自然保護区の設定と水鳥の保全などについて、協力することを定めています。
 二〇〇〇年現在、世界百二十三か国が加盟しています。
 日本は一九八〇年六月十七日に加入し、同年九月二十二日に公布、十月十七日に発効されました。
 三年ごとに、ラムサール条約締約国の会議が開かれ、湿地の利用、保護のための国際協力などについて、勧告や決議を行います。
 日本は釧路湿原、クッチャロ湖、ウトナイ湖、霧多布湿原、厚岸湖・別寒辺牛湿原、谷津干潟、琵琶湖、片野鴨池、佐潟など十一か所を登録しています。
(『広報通信』平成十三年二月号)





    <3月14日号の主な予定>

 ▽平成十一年度決算検査報告の概要………会計検査院 




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