官報資料版 平成13年5月30日




                  ▽食料・農業・農村白書のあらまし………………………農林水産省

                  ▽月例経済報告(四月報告)………………………………内 閣 府

                  ▽消費動向調査(平成十三年三月実施調査結果)………内 閣 府

                  ▽申告納税制度を支えるために……………………………国 税 庁











食料・農業・農村白書のあらまし


―平成十二年度 食料・農業・農村の動向に関する年次報告―


農林水産省


 「平成十二年度食料・農業・農村の動向に関する年次報告」(食料・農業・農村白書)は、平成十三年四月十日閣議決定の上、国会に提出、公表された。
 平成十二年度食料・農業・農村白書は、食料・農業・農村基本計画(以下、基本計画という)に基づく食料自給率目標の達成に向けた取組みが始まって最初の白書であることから、食料・農業・農村基本法(以下、基本法という)の四つの理念を基本視点として、食料・農業・農村の動向と課題や基本計画に即した具体的施策の実施状況等の分析・検証を行い、これらを通じて基本法の理念の浸透や基本計画の実現の必要性について、広く国民の理解を深めるとともに、国民的取組みを促進する上での素材を提供することをねらいとしている。
 本報告のあらましは、次のとおりである。

第T章 食料の安定供給確保

第1節 我が国の食料消費・食生活
(1) 食料消費の現状
 平成十一年度の食料品価格は、全体に安定基調で推移した。また、非農家世帯の世帯員一人当たり実質食料消費支出(食料費)は、引き続き消費支出全体が低調に推移する中、前年度比一・三%減となった。
 単身世帯の増加や高齢化の進展、生活スタイルの多様化等を背景に、「食」の外部化・サービス化、簡便化が進展しており、十二年には食料消費支出の二七%を家庭外に依存している。
 こうした中、消費者の食料に関する知識や農業に対する関心が低下するなど、「食」と「農」の距離が拡大しており、今後、両者の結び付きを強めるため、情報提供や農業体験等の取組みの強化が必要である(第1図参照)。
(2) 我が国の食生活がかかえる課題
 我が国の食生活は、「飽食」といわれるほど豊かになったが、脂質の摂取過多等、栄養バランスの崩れ等に加え、飲食店や家庭における食べ残し等、生産から消費に至る各段階での「食料ロス」への対応も課題となっている。可食部分の食品ロスの発生実態は、一般家庭の平均で七・七%、また、外食産業の消費段階では五・一%となっている。こうした食料ロスの削減は、資源の有効利用や処理に伴う環境への負荷の軽減等の観点から重要な課題である。
 さらに、生活スタイルの変化に伴う「欠食」等の食習慣の乱れも問題で、とりわけ、子ども達の食習慣の乱れは、心身の成長のみならず、食文化の継承等にも多大な影響を及ぼすおそれがある。
(3) 食生活指針の推進
 上述した食生活上の課題の解決には、国民一人ひとりの自らの食生活の見直しが必要である。このための指針として、農林水産省、文部省、厚生省は共同で、栄養バランスの改善や食生活におけるむだ・廃棄の減少等を内容とする「食生活指針」を策定した(平成十二年三月閣議決定)。
 今後、本指針の普及・定着に向けて、国や関係機関の支援のもと、学校教育の場、家庭、職場、地域等における国民運動的な取組みの推進が必要である。

第2節 食料自給率と食料安全保障
(1) 食料自給率
 我が国の食料自給率は、昭和四十年度から平成十一年度の間に供給熱量自給率が七三%から四〇%、穀物自給率が六二%から二七%へと、いずれも大きく低下している。これは、国民の食生活が多様化し、自給品目である米の消費が減少するとともに、畜産物や油脂類の消費増に伴う飼料穀物や油糧種子の輸入が大幅に増加したことが大きな要因となっている。
 我が国の食料自給率について、国民の半数以上が低いと認識している中で、国民に対する食料の安定供給を確保していくことは国の重要な責務である。
 基本計画において、食料自給率の目標(供給熱量総合食料自給率では四五%)が設定された。今後は、この達成に向けた生産、消費両面からの関係者が一体となった取組みを推進することが重要である。
(2) 食料安全保障
 国民の八割が我が国の将来の食料供給について不安感を表明している。
 食料の安定供給確保には、国内の農業生産の増大に加え、安定的な輸入の確保と適切な備蓄の実施が不可欠である。このため、情報収集体制の整備や食料供給力の確保・強化、備蓄制度の適切かつ効率的な管理・運営が必要である。
 北欧諸国等では、公的備蓄等、不測の事態に対応するための施策を整備している。我が国においても、不測時において食料の供給が確保できるよう、食料安全保障の確立が必要である。

第3節 食料の安定供給を支える食品産業と安全・良質な食料の供給
(1) 食品産業
 農業・食料関連産業の国内総生産は約五十五兆八千億円(平成十年度)で、全産業の一割強、また、食品産業の生み出す付加価値は、我が国のフードシステムの中で八割強を占めている。こうした中で合理的な食料品価格の形成を促進するため、流通システムの透明化が重要となっている。
 食品産業と農業の連携は、良質な食材の安定的確保、国産農産物の需要の拡大等、双方にメリットがあり、双方の連携推進の取組みが必要である。
 食品産業の事業活動に伴う環境負荷の軽減に向け、循環型社会に適合する仕組みづくりが重要となっている。
(2) 食品の安全性の確保と表示・規格制度の充実
 大規模な食中毒事故の発生等により、国民の食品の安全性に対する不安感が増大しており、信頼回復に向け、生産から消費に至る一貫した衛生管理体制の確立が必要である。
 改正JAS法の施行により、すべての生鮮食料品について義務付けされた原産地表示については、専門店の対応の遅れが課題となっている。なお、加工食品の原産地表示については、梅干し及びらっきょう漬けについて、平成十三年十月から適用する予定となっている。

第4節 世界の食料需給と農業政策の動向等
(1) 世界の穀物需給の動向
 二〇〇〇〜二〇〇一年度の世界の穀物需給は、穀物の消費量がほぼ前年並みと見込まれる中、主要生産国の作付面積の減少等により、穀物生産は減少が見込まれる。また、世界の農産物貿易は、北米等の輸出国・地域と日本等の輸入国・地域に二極分化している(第2図参照)。
 世界の穀物生産量の増加率は、単収の伸びの縮小及び収穫面積の減少のため鈍化している。一方、人口増加と畜産物消費の拡大による穀物需要の大幅増加が見込まれ、世界の食料需給は中長期的にはひっ迫する可能性がある。
(2) 我が国の農産物貿易の動向
 我が国の農産物の輸入状況(金額ベース)をみると、一九九九年には六〇年の約七倍の四兆一千億円にも増加しており、八四年以降、我が国は世界第一位の農産物純輸入国となっている。また、我が国の主要農産物の輸入構造は、米国等の少数の国・地域への依存度が高いという特徴を有している。
(3) 内外価格差の動向
 平成十一年の我が国(東京)の食料品小売価格は、海外主要都市に比べ三割程度割高となっており、急激な円高の進行のため、内外価格差は拡大した。
 内外価格差の要因は生産資材価格や流通・加工・消費等の各段階にみられ、各段階にわたるコスト低減等の努力が必要である。
(4) 最近の諸外国の農政の動き
 米国、カナダ、EU等主要先進国では、生産刺激的な政策の切換えを図る観点から、価格政策から所得政策への転換が農政の潮流となっている。
(5) 国際協力
 我が国は世界有数の食料・農業分野の援助供与国である。農林水産分野のODAに関しては、国内施策との連携を図りつつ、効果的・効率的な推進とともに、WTO農業交渉との連携が必要である。

第5節 WTOをめぐる動き
(1) WTO農業交渉の位置付け
 WTO農業交渉は二十一世紀の世界の農産物貿易ルールの方向が決定される重要な交渉であり、公平で公正な貿易ルールの確立が図られること、また、我が国にとっては、基本法の理念等が、国際規律の中で正当に位置付けられることがきわめて重要である。
(2) 我が国の交渉提案とWTO農業交渉の今後の課題
 二〇〇〇年十二月、我が国は、「多様な農業の共存」を基本的目標とし、農業の多面的機能への配慮や食料安全保障の確保、輸出国と輸入国に適用されるルールの不均衡の是正等を追求する観点から対応方針を明らかにした「WTO農業交渉日本提案」を取りまとめ、WTOに提出した。
 この提案に対する国際的理解を得るため、EU、韓国等との連携を強化しつつ、ねばり強い交渉を行っていくことが必要である。また、関連情報の積極的開示等により、交渉過程の透明化を図り、国民的理解のもとでの交渉に努めることも必要である。

地方公共団体における先駆的な取組み事例

 基本法第八条において、地方公共団体が地域の諸条件に即して施策を策定・実施する責務が規定されたことを踏まえ、ここでは、先駆的な取組みを行う地方公共団体の事例を紹介している。
(青森県)
 平成十一年十二月、「青森県新規就農促進条例」を策定し、県外出身の就農希望者等を支援している。また、県独自の認証制度の推進、「食と農の文化伝承財」の認定等により、農業・農村の活性化を促進している。
(三重県)
 平成十二年七月から「三重県地産地消推進県民運動」を展開しているほか、契約栽培の推進により、新開発の県産米の生産拡大を図っている。
 また、環境対策として、無洗米加工した県産米の普及を推進している。
(高知県南国市)
 給食米に地域の棚田の減農薬米を使用するなど、学校給食を通じた食教育を実践するとともに、生産者と児童との交流を積極的に推進している。
 需要が安定的に確保されたことは、棚田の保全にも寄与している。
(宮崎県綾町)
 「自然生態系農業の推進に関する条例」に基づき、町ぐるみで環境保全型農業を推進している。また、農畜産物の価格下落時にも再生産可能な所得を保証する仕組みを整備している。

第U章 農業の持続的発展

第1節 担い手の育成確保と農業経営
(1) 農家、農業労働力の動向
 平成十二年の総農家戸数は三百十二万戸(七年比九・四%減)で、このうち販売農家は二百三十三万七千戸となっている。また、大規模層の増加テンポが鈍化しており、近年の農産物価格の動向等による規模拡大意欲の減退等が懸念される。
 農業就業人口(販売農家)は三百八十九万人(昭和六十年に比べ約三割減)で、高齢化の一方、昭和一けた世代のリタイアも進んでおり、農業の担い手の育成確保が重要・緊急の課題となっている(第3図参照)。
 他方、近年、新規就農者は増加傾向にあるが、その拡大に向けた一層きめ細やかな支援が必要である。
(2) 多様な担い手の動向
 効率的かつ安定的な農業経営が生産の相当部分を担う望ましい農業構造の確立に向け、地域の条件に応じた多様な担い手を育成し、専ら農業を営む者等の意欲的な経営展開を促進していくことが必要である。
・認定農業者
 平成十二年十二月末現在で十五万九千に到達している。目標所得の達成等に向けた主体的な取組みを通じて経営改善が円滑に図られるよう、施策の重点化・集中化を進めていくことが必要である。
・法人経営
 法人形態のメリットを十分発揮した効率的かつ安定的な経営の実現が必要である。農地法改正を踏まえた農業生産法人の活動の活性化が期待される。
・農業サービス事業体
 個別経営等を支援し、優れた技術水準のサービス等を提供する役割を担うなど、重要性は増大している。
・集落営農
 担い手に農地等を集積する取組みを法人等へ発展させるための積極的支援が必要である。また、特定農業法人の設立を進めることも重要である。
・第三セクター
 公的な性格上、赤字経営となりやすい面があり、地域事情等を踏まえた上での設立や運営が重要である。
・女性農業者
 農業経営とのかかわりについては、約六割が共同経営意識を表明している。一方、家事や育児の負担は重く、就業環境の改善が必要である。
(3) 農業経営を支援する経営安定対策等の展開
 平成七年から十一年にかけて、経営規模の拡大等を通じて主業農家の農業粗収益は増加したが、所得率の低下により、農業所得はほぼ横ばいとなった。また、近年、価格変動が大きい米に依存する地域では、農業所得の低下が顕著となっている。
 育成すべき農業経営に対して、諸施策を重点的かつ集中的に講じられるよう、経営政策全体の見直しが必要となっている。経営全体でみて、農産物価格の変動に伴う農業収入または所得の変動を緩和する仕組み等について、その確立を求める声がある中で、国民の理解が得られることを基本に、地域の経営類型ごとの実態を十分に踏まえつつ、検討を行うこととしている。
(4) 農業協同組合の動向
 農協系統においては、社会情勢の変化に応じた改革が求められ、地域農業の中核となる担い手等のニーズに十分対応した事業展開が必要である。

第2節 農地等の確保と有効利用
 転用や耕作放棄による農地の減少傾向が続き、平成十二年の耕地面積は四百八十三万ヘクタールとなった。一方、十一年の耕地利用率は九四・四%と、前年より〇・三ポイント上昇した。
 良好な営農条件を備えた農地及び農業用水を確保し、有効利用することは重要であり、特に水田の汎用化は、麦・大豆・飼料作物等の本格的生産による安定した水田農業経営の確立に貢献する。
 優良な農地の確保及び有効利用を図る上で、計画的な土地利用の確保や農業生産基盤整備の推進、育成すべき農業経営への農地の利用集積の推進等による耕作放棄の防止等が重要となっている。
 農地の権利移動は増加傾向にあり、大規模層への農地の利用集積が進展している。しかしながら、まだ不十分で、規模拡大に意欲的な経営の不確実性を減じるなどの取組みの強化が重要である。

第3節 農業分野における情報化及び技術開発・普及の推進
(1) 農業分野における情報通信技術の活用の展望と課題
 農業者によるインターネットの活用により新たな商取引の動きがみられる。ホームページ開設農業者の七割が、インターネットを営農活動に役立つと認識する一方、販売農家全体で、パソコンを農業経営に利用する者は七%にとどまり、今後、情報化に意欲的に取り組む農業者のニーズに即した条件整備が必要である。
(2) 我が国農業の発展に資する技術の開発・普及
 基本計画で示された基本的方向に即し、関係機関が連携した技術開発の具体的取組みが進展している。
 消費者からの認知度は高まっている反面、慎重な意見も聞かれる遺伝子組換え農作物について、国民の理解を深めるため、平成十二年にはコンセンサス会議を開催した。
 平成十二年十月に、安全性が未承認の遺伝子組換えとうもろこし「スターリンク」が国内流通していることが確認され、米国との政府間協議の結果、混入防止策として輸出前検査の実施を合意した。

第4節 農産物需給の動向
(1) 最近の農業生産の動向
 平成十一年の農業生産(数量)は、畜産が減少する一方で、米や果実、野菜等が増加し、前年に比べ一・六%増加した。農産物生産者価格は、野菜や米が収穫量の増加等の影響により低下したことから、全体で七・二%低下した。農業生産資材価格は、飼料等が低下したため一・八%低下した。
(2) 水田を中心とした土地利用型農業等の発展
ア 米の需給動向
 近年の米需給は、大幅な緩和基調で推移し、平成十一、十二年産の自主流通米価格も低調に推移した。こうした状況に対応して、緊急に米の需給と稲作経営の安定を図る観点から「平成十二年緊急総合米対策」を実施した。今後、現場への対策の趣旨、仕組みの十分な浸透、適切な進行管理及び関係各機関一体となった取組みが重要である。
 家庭における米消費の減少は下げ止まりの兆候がみられる。米の消費拡大は、「食生活指針」に沿った健全な食生活の実現、食料自給率の向上にもつながる。このため、子どもや若い女性への情報提供や、米飯による学校給食(十一年五月現在週に二・七回)の推進、食教育の充実等の取組みが必要となっている。
イ 麦・大豆の需要に応じた生産拡大
 平成十二年産の麦・大豆の作付面積は、前年産に比べ、麦が七・二%、大豆が一三・二%増加するなど、麦・大豆の生産は近年増加基調で推移している。土地利用型農業の活性化を図るためには、米と麦・大豆等を適切に組み合わせた収益性の高い水田農業経営の確立が課題である。
 麦・大豆においても、市場原理を重視した価格形成の導入により、実需者・消費者のニーズを生産者が把握できる仕組みが整いつつある。今後、品質・価格面で需要に応じつつ、生産性を向上させることが重要である。
ウ 野菜及び果実の国内生産の維持増大に向けて
 平成九〜十一年度の間に、ねぎの輸入量が約九倍になるなど、生鮮野菜の輸入量の大幅な増加傾向を踏まえ、一般セーフガードの発動について、十二年十二月から政府調査を開始した。国内生産を維持増大し、輸入野菜に対抗するため実需者ニーズに応じた生産・流通対策への取組みが必要である。
 生産量の変動が大きいうんしゅうみかん、りんごについては、十三年度から需給調整対策の強化と、これを前提とした経営安定対策を実施する。
エ 飼料基盤の強化等を通じた畜産の発展
 畜産物需給は安定的に推移している。平成十二年六月、加工乳等に起因する大規模な食中毒事故が発生したが、生乳生産への大きな被害は回避された。
 十二年三〜五月には、中国産麦わらが侵入源と疑われる口蹄疫が発生した。稲わら等の輸入が増加している中、安全な粗飼料の確保による経営安定化のため、国産稲わらの飼料利用(十一年度で国内生産量の約一割を利用)等、自給飼料生産の促進が必要で、この際、水田等既耕地の活用等が重要な課題である。
 一方で、酪農経営の労働負担軽減等の観点から、飼料生産受託組織(コントラクター)の活用等、飼料生産の組織化・外部化が進展している。
 十二年下期に入り、欧州で牛海綿状脳症が広がりをみせたことから、EU諸国等からの牛肉等の輸入停止等の防疫措置を強化・徹底した。

第5節 農業の自然循環機能の維持増進
(1) 農業生産に由来する廃棄物の循環利用システムの構築
 廃棄物処理法に基づく産業廃棄物のうち農業由来のものが二割強を占め、その大半は家畜排せつ物と推察される。その適正な管理と利用のため、平成十二年現在、すべての都道府県で家畜排せつ物処理施設の整備目標等を内容とする計画が作成されている。また、バイオマス資源として発電用エネルギー源に利用する新たなリサイクルの取組みも一部で開始されている。
 農業用使用済みプラスチックを適正処理するための市町村段階での体制整備が進んだ結果、十一年における焼却処理量は九年に比べ半減した。
(2) 農業の自然循環機能を活用した生産方式の定着・普及
 販売農家の二一・五%に当たる五十万二千戸が、環境保全型農業として化学肥料・農薬使用の低減や土づくりを実践している。環境保全型農業に取り組む野菜農家の経営をみると、販売価格、所得の有利性がある一方、収量が不安定、労力がかかるなどの問題が存在している。
 環境と調和のとれた農業生産の確保を図るため、平成十一年に持続農業法が施行され、これに基づく導入計画の認定が進展している。また、平成十二年十月からたい肥の品質表示が義務化され、これらの制度のメリットや環境問題への啓発を図りつつ、活動支援やPR等の一層の取組みが必要である。

第V章 農村の振興と農業の有する多面的機能の発揮

第1節 農村の現状
(1) 農村社会の現状と課題
 農村では継続的に人口が減少しており、特に中山間地域では過疎化が問題となっている。また、高齢化や少子化が進行している。
 農業集落における混住化が進行し、都市的地域を中心とする非農家の流入により集落規模も拡大している。これに伴う農業集落機能の低下が懸念され、農業用施設の維持管理への地域ぐるみの対応も必要となっている。
(2) 農村の有する魅力
 近年、都市住民の多くは農村に「ゆとり」「やすらぎ」等を期待している。
 農村は農業生産活動を通じ、食料等の農産物の生産とともに、多面的機能の発揮により、国民全体の日常生活を支え、都市は農産物の消費等を通じて農村を支えており、農村と都市は相互依存している。
 農村には、地域性や農業に由来する有形・無形の文化財が伝承されており、これらは、地域づくりを支える柱として機能している。

第2節 農業の有する多面的機能と中山間地域
(1) 農業の有する多面的機能の発揮
 農村で農業生産活動が行われることによって生じる多面的機能は、国民生活及び国民経済の安定にとって重要な役割を果たしている。
 農業が食料の生産・供給以外に果たしている役割について、国民の六割超が認識している(第4図参照)。また、九割以上は、農業を将来に残すべきと考えており、そのほとんどが何らかの施策による支援を支持している。
 多面的機能に関する評価手法は十分確立されておらず、幅広い学術分野からの調査検討等、関係機関による活動が展開されている。
(2) 中山間地域の農業生産条件と中山間地域等直接支払制度の実施
 中山間地域は、我が国農業生産の約四割を担い、農業生産活動による多面的機能の発揮を通じ、下流域の住民の生活基盤を守る防波堤としての役割を発揮している。しかし、地形条件等から農業生産条件は厳しく、耕作放棄地率は平地農業地域の約二倍の水準になっている。
 こうした状況を踏まえ、耕作放棄地発生の防止、多面的機能の確保を目的に、「中山間地域等直接支払制度」が平成十二年度から実施された。初年度の取組みは、地域の取組み姿勢により差異がみられたが、今後、地方公共団体の一層の取組み強化と本制度を契機とした地域活性化の活動等の活発化が期待される。

第3節 農村の総合的な振興
(1) 農村の地域特性とニーズに応じた適切な整備の推進
 農村の基礎的な生活環境の整備水準は依然、低水準で、生活環境の整備等による利便性の向上のほか、高齢化への対応や移住者を念頭においた田園居住空間の整備等の地域ニーズへの対応が必要である。
 産業基盤や生活環境の整備に際して、農村の美しい景観や豊かな自然への積極的な配慮が必要である。個性ある農村振興の目標が効率的・効果的に達成されるよう、各省庁のハード事業及びソフト施策間の連携とともに、計画段階から一貫した地域住民の参加の促進が重要である。
(2) 農村の活性化に向けた取組み
 都市と農村の間における人・物・情報の交流が、新たな農村活性化の契機として広がる傾向にあり、こうした中で都市から農村への移住者の受入れに向けた支援が重要となっている。また、農業生産に加工・流通や都市との交流までを複合的に加えたアグリビジネスの展開(いわゆる「六次産業化」)が、農村における雇用の確保に大きな効果をもつと期待されており、こうした活動の担い手となる人材の育成等が必要となっている。
(3) 農村の高度情報化がもたらす多様な可能性
 農村の高度情報化は、快適な生活の実現に多様な可能性を有しており、特に情報の受発信の手段として、インターネットに高い期待が寄せられている。
 情報に関する地域間格差が生じないよう、情報通信基盤の整備を推進することが必要である。

第4節 都市と農村との交流等の促進
(1) 都市と農村との交流の促進
 グリーン・ツーリズム等の都市と農村との交流が活発化しているが、国民に考え方や内容が十分理解されていない面もあり、交流活動の運営には多くの課題が存在している。
 都市住民の都市農村交流等に対する潜在的ニーズが高まる中で、交流を積極的に進め、農村の活性化等に結び付けるためには、都市住民の意識やニーズを踏まえた取組みの推進が必要である。
(2) 期待される子ども達の農業体験・農業体験学習
 子ども達の自然体験は、豊かな心を育み、人格形成にも大きな効果を及ぼすものとして、近年、教育の面から注目されている。
 農業体験は、貴重な自然体験となるばかりではなく、子ども達の農業に対する理解の醸成等の観点からも重要な取組みであり、関係機関の連携による取組みの充実が必要である。
(3) 都市農業の果たす役割
 都市農業は、生鮮野菜の生産・供給や景観の形成、レクリエーションの場の提供等の多様な役割を果たしている。今後とも地域と調和し、都市住民のニーズに対応した発展を図るとともに、市民農園の整備を進めるなど、適切な施策の実施が必要である。


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月例経済報告(四月報告)


内 閣 府


総 論

(我が国経済の基調判断)
 景気は、弱含んでいる。
・アメリカ経済の減速から輸出が減少し、それに伴い、生産が減少している。
・企業部門の自律的回復に向けた動きはなお続いているが、このところ弱まっている。設備投資は増加しているが、企業収益の伸びが鈍化し、企業の業況判断は製造業を中心に急速に悪化している。
・失業率は高水準で推移し、個人消費はおおむね横ばいの状態が続いている。
 先行きについては、アメリカ経済の減速や設備投資に鈍化の兆しなど、懸念すべき点がみられる。

(政策の基本的態度)
 政府は、経済を自律的回復軌道に確実に乗せるため、引き続き景気回復に軸足を置きつつ、我が国経済を二十一世紀にふさわしい構造に改革する。
 政府としては、政府・与党緊急経済対策本部等での議論を踏まえ、四月六日に、@金融再生と産業再生、A証券市場の構造改革、B都市の再生、土地の流動化、等を柱とした緊急経済対策を決定したところであり、その着実な実行に努める。
 なお、日本銀行においては、三月十九日に、量的指標を主たる操作目標とした金融市場調節方式の採用に踏み切り、持続的な物価下落が終結するまで、実質的にゼロ金利政策の有する効果を実現する政策を継続する措置を講じた。

各 論

一 消費・投資などの需要動向

◇個人消費は、一時的な要因もあって、年末に比べれば増加しているものの、おおむね横ばいの状態が続いている。
 個人消費は、需要側統計である家計調査でみると、平成十三年二月は、気候要因による暖房用燃料などの需要増や家電リサイクル法施行前の駆け込み需要もあって、前月と比べ増加している。また、購入頻度の低い高額商品等による振れの除去と国民経済計算との概念調整を行うために、自動車等購入、住居、仕送り金等を除いたベースでみても、三か月連続で増加している。
 販売側統計をみると、小売業販売額やチェーンストア売上高は改善の動きがみられる。家電販売金額は、パソコン販売が伸び悩んだものの、家電リサイクル法施行前の駆け込み需要などもあって引き続き前年を上回っている。旅行は、国内旅行が前年割れとなったものの、海外旅行は前年を上回っており、総じてみれば引き続き好調に推移している。
 一方、百貨店販売額は弱い動きが続いており、新車販売台数は年初から伸び悩んでいる。
 こうした需要側、販売側の動向を総合してみると、個人消費は、気候要因や家電リサイクル法施行前の駆け込み需要などの一時的な要因もあって、年末に比べれば増加しているものの、おおむね横ばいの状態が続いている。
 個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、定期収入が二か月連続で減少となるなど弱い動きがみられ、二月は現金給与総額、実質賃金とも前年割れとなった。

◇設備投資は、増加している。当面は堅調に推移すると見込まれるものの、先行きについては鈍化の兆しがみられる。
 設備投資は、平成十一年末に持ち直しに転じて以降増加基調が続いており、景気を支える要素となっている。これまで電気機械を中心とする製造業から他の業種へと広がりをみせながら増加してきた。「法人企業統計季報」でみると、十〜十二月期は、製造業は増加を続け、非製造業も前年比プラスに転じている。また、一〜三月期についても、機械受注や資本財出荷の動きなどから、増加基調が続いているとみられる。
 設備投資の先行きについては、先行指標である機械受注が、昨年後半は増勢が続いていたため、当面は堅調に推移すると見込まれる。しかしながら、日銀短観の平成十三年度設備投資計画において非製造業を中心に減少が見込まれていること、一〜三月期の機械受注が減少の見通しとなっていることなど、先行きについては鈍化の兆しがみられる。

◇住宅建設は、弱含みとなっている。
 住宅建設は、平成十一年以降おおむね年率百二十万戸前後で推移してきたが、直近の動きをみると、マンション着工の大幅増などにより十二月に増加した後、二か月連続で減少し、二月は年率百十三万五千戸となった。十二か月振りに持家、貸家、分譲住宅の全てが前月比で減少し、全体の水準を押し下げた。
 また、住宅金融公庫融資の申し込み戸数が減少していることなど、先行き、住宅着工を減少させる要因もみられる。

◇公共投資は、総じて低調に推移している。
 公共投資は、公共工事請負金額が昨年六月以降継続して前年を下回るなど、総じて低調に推移している。平成十二年度の公共事業関連予算の動向をみると、国においては、前年度の予算が比較的高水準であったため、補正後予算は前年度の規模を下回っている。地方においては、厳しい財政状況から投資的経費を抑制する動きが続いている。
 工事の受注動向をみると、十月以降前年を上回る動きがみられ、前年を下回っている指標についてもマイナス幅は年度前半に比較して縮小していた。これは、平成十一年度が前倒し執行を実施した後に反動で低調な動きとなったのに対し、平成十二年度は前倒し執行をしておらず、年度内での発注時期の差異による影響が考えられる。しかし、年度内での発注時期の差異がおおむね解消されてきたことから、二月の受注には再び前年を大きく下回る指標がみられる。
 一〜三月期の公共投資については、比較的高水準であった前年度に比べれば、総じて下回って推移すると見込まれるが、十一月に編成された補正予算による下支え効果が本格的に発現するものと考えられる。

◇輸出は、減少している。輸入は、伸びが鈍化している。貿易・サービス収支の黒字は、減少している。
 輸出は、アメリカ向けはアメリカ経済の減速の影響から、EU向けは既往のユーロ安の影響から、それぞれ減少している。また、アジア向けはアメリカやアジアの景気減速を背景として、アジアNIEs向けを中心に急速に減少しており、輸出全体としても減少している。今後は、アメリカ経済の減速が持続した場合、我が国輸出の下押し要因として作用するものと見込まれる。
 輸入は、平成十一年初めから増加基調を続けてきたが、これまでの増加を牽引してきたIT関連財を中心とした機械機器が減少していることなどから、全体の伸びが鈍化している。EUからの輸入は既往のユーロ安の影響から増加傾向にあるが、足元での伸びにはやや一服感もみられる。アジアからの輸入は増加テンポが緩やかになっており、アメリカからの輸入は弱含みで推移している。 国際収支をみると、輸出数量が減少していることから、貿易・サービス収支の黒字は、基調としては減少している。しかし、二月単月では、輸入金額が大幅に減少したことを主因に、黒字額は大幅に増加した。

二 企業活動と雇用情勢

◇生産は、減少している。
 鉱工業生産は、平成十一年初めの景気回復初期から増加基調を続けてきたが、平成十二年秋頃から増加のテンポが緩やかになり、このところ減少している。輸出が減少していることに加え、この影響等によりIT関連品目の生産も減少に転じたことが要因である。
 生産の先行きについては、三月は減少、四月は増加が見込まれているが、三月が見込み伸び率どおりに推移した場合、一〜三月期は前期比で大幅な減少に転じることには留意しておく必要がある。
 鉱工業の在庫は、全体としてはおおむね横ばいで推移しているが、半導体需給の緩和等により生産財の在庫の増加が続いている。
 第三次産業活動の動向をみると、おおむね横ばいで推移している。

◇企業収益は、これまでの高い伸びが鈍化している。また、企業の業況判断は、製造業を中心に急速に悪化している。
 企業収益は、平成十一年以降改善しており、特に平成十二年半ば以降は大幅な改善が続いていた。今回の改善の背景としては、企業のリストラ努力が挙げられるが、製造業において売上高が伸びていることや、非製造業において平成十二年初までは変動費を削減してきたことも大きく寄与していた。しかし、日銀短観によると平成十二年度下期から平成十三年度上期にかけて、伸びが鈍化する見込みとなっている。
 企業の業況判断は、日銀短観をみると、電気機械等の製造業を中心に急速に悪化している。大企業・中小企業、製造業・非製造業別にみても、それぞれ悪化がみられる。

◇倒産件数は、やや高い水準となっている。
 二月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで一千四百六十件となるなど、やや高い水準となっている。原因別にみると、いわゆる「不況型倒産」(販売不振、赤字累積、売掛金回収難を主因とする倒産)が七割前後と大きな割合を占めている。業種別にみると、建設業や卸小売業などの倒産が増加している。

◇雇用情勢は、依然として厳しい。完全失業率が高水準で推移し、求人も弱含んでいる。
 完全失業率は、二月は四・七%とやや低下したものの、依然として高水準にある。
 また、これまで続いてきた雇用情勢の改善の動きは足踏み状態にあり、先行きを懸念すべき動きもみられる。新規求人数は、前年同月比でみると引き続き増加となっている(二月前年同月比一三・一%増)が、前月比では二か月連続で減少した(二月前月比一・九%減)。生産の動きを反映して最近減少がみられている製造業の残業時間は、四か月連続で前月比減となった。企業の雇用過剰感も、製造業では強まっている。

三 物価と金融情勢

◇国内卸売物価、消費者物価は、ともに弱含んでいる。
 国内卸売物価は、電気機器や鉄鋼の下落などにより、平成十三年入り後弱含んでいる。三月は、石油・石炭製品などが上昇したものの、鶏卵などの食料用農畜水産物が前月上昇した反動で下落したほか、電気機器や一般機器などが値下がりしたことから、前月比〇・一%の下落となり、前年比でみても〇・五%の下落とマイナス幅を拡大している。輸出物価(円ベース)は、契約通貨ベースでは電気機器(集積回路)を中心に値下がりしたものの、円安の影響を受けて上昇した。輸入物価(円ベース)は、契約通貨ベースで原油などが上昇したことに加え、円安の影響を受けて上昇した。なお、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
 消費者物価は、繊維製品や外食の下落などにより、平成十二年秋以降弱含んでいる(生鮮食品を除く総合=二月前年同月比〇・六%下落)。なお、三月の東京都区部では、前年同月比下落幅は前月と同じであった(同=三月前年同月比一・一%下落)。
 こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

◇金融情勢については、短期金利は、二度にわたる日本銀行の金融緩和措置を受けて、大幅に低下した。
 短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、三月は、二月末の誘導目標水準の引下げ(〇・二五%から〇・一五%へ)により、中旬まで〇・一五%前後で推移し、その後は十九日の日本銀行による一段の金融緩和措置を受けて、おおむね〇・〇三%前後で推移した。二、三か月物は、二度にわたる日本銀行の金融緩和措置を受けて、大幅に低下した。長期金利は、景気の先行きを懸念する市場の見方などもあって、昨年秋より低下基調で推移しており、三月は、日本銀行の金融緩和措置などを受けて大幅に低下した後、下旬には上昇した。
 株式相場は、昨年春より下落基調で推移している。三月は、月半ばにかけて、東証株価指数(TOPIX)で九九年三月以来の水準まで下落(日経平均株価は一万一千八百十九円まで下落)したが、不良債権処理の進展に対する期待等もあって、その後やや持ち直している。
 対米ドル円相場は、昨年末から円安が進み、三月は九九年五月以来の水準となる百二十四円台まで下落した。対ユーロ円相場は、昨年末からユーロ独歩高が進んできたが、三月は一進一退で推移した。
 M+CD(月中平均残高)は、昨年後半以降、おおむね前年同月比二・〇%増程度で推移してきたが、年明け以降、郵便貯金からの資金シフト等を受けて、やや伸び率を高めている(三月速報:前年同月比二・六%増)。民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、九六年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷などを背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、ゼロ金利政策解除後緩やかに上昇してきたが、二月はやや低下した。
 なお、日本銀行は、三月十九日の金融政策決定会合において、金融市場調節に当たり、主たる操作目標をこれまでの無担保コールレート(オーバーナイト物)から日本銀行当座預金残高に変更し、当面、日本銀行当座預金残高を五兆円程度に増額することを決定した。また、これに併せて、新しい金融市場調節方式は、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続するとともに、必要に応じて、日本銀行が保有する長期国債の残高(支配玉<現先売買を調整した実質保有分>ベース)は銀行券発行残高を超えないとの条件の下、長期国債の買い入れを増額することが決定された。

四 海外経済

◇アメリカの景気は、昨年末に比べれば減速は緩やかになっているものの、株価下落などで先行きに不透明感がある。アジアでは景気の拡大テンポは鈍化している。
 世界経済をみると、全体として成長に減速がみられる。
 アメリカでは、耐久財消費や住宅投資などに底堅い動きがみられるものの、企業収益の悪化から設備投資が抑制されているなど、内需は緩やかな伸びにとどまっている。一方で、消費者心理や企業の景況感に下げ止まりの兆しもみられる。製造業では、在庫調整が進むなかで、生産活動が停滞し雇用調整が行われているが、建設業、サービス業等では雇用の拡大が続いている。景気は、昨年末に比べれば減速は緩やかになっているものの、株価下落などで先行きに不透明感がある。
 ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は緩やかに拡大している。フランスでは、固定投資が内需の伸びを支え、景気は安定した拡大を続けている。イギリスでは、原油生産の減少はみられるものの、景気は安定した拡大を続けている。
 アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポはやや鈍化している。韓国では、生産や個人消費の伸びの鈍化に加えて、輸出の伸びが鈍化したことから、景気は減速している。
 金融情勢をみると、アメリカでは、三月二十日に短期金利の誘導目標水準が〇・五%ポイント引き下げられ、五・〇〇%とされた。イギリスでは、四月五日に政策金利が〇・二五%ポイント引き下げられ、五・五〇%とされた。
 国際商品市況をみると、景気減速による需要減少の見通しなどから原油価格は下落基調で推移した。


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消費動向調査


―平成十三年三月実施調査結果―


内 閣 府


 消費動向調査は、家計消費の動向を迅速に把握し、景気動向判断の基礎資料とするために、全国の普通世帯(単身世帯及び外国人世帯を除いた約三千万世帯)を対象に、約五千世帯を抽出して、消費者の意識、主要耐久消費財等の購入状況、旅行の実績・予定、サービス等の支出予定について、四半期ごとに調査している。また、年度末にあたる三月調査時には、主要耐久消費財等の保有状況、住宅の総床面積についても併せて調査している。
 今回の報告は、平成十三年三月に実施した調査結果の概要である。

1 調査世帯の特性
 平成十三年三月の調査世帯の世帯主の平均年齢は五二・四歳(全世帯、以下同じ)、平均世帯人員は三・五人、うち就業者数は一・七人、平均持家率は七四・三%となっている。また、有効回答率は九九・九%(有効回答世帯数は五千三十六世帯)となっている。

2 消費者の意識
(1) 消費者態度指数(季節調整値)の調査結果
 消費者意識指標七項目中五項目を総合した消費者態度指数は、「物価の上がり方」に関する意識が改善したものの、「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」、「暮らし向き」及び「収入の増え方」に関する意識が悪化したため、四〇・二(前期差二・八ポイント低下)となり、二期連続で低下した(第1図参照)。
(2) 各調査項目ごとの消費者意識指標(季節調整値)の調査結果
 各消費者意識指標について十三年三月の動向を前期差でみると、「物価の上がり方」に関する意識(一・一ポイント上昇)が改善したものの、「雇用環境」に関する意識(七・〇ポイント低下)、「耐久消費財の買い時判断」に関する意識(五・〇ポイント低下)、「暮らし向き」に関する意識(二・八ポイント低下)及び「収入の増え方」に関する意識(一・八ポイント低下)が悪化を示した(第1表参照)。

3 サービス等の支出予定(季節調整値)
 十三年四〜六月期のサービス等の支出予定八項目の動きを「今より増やす予定と回答した世帯割合」から「今より減らす予定と回答した世帯割合」を控除した数値(サービス支出DI)でみると、以下のとおりである(第2図参照)。
(1) 高額ファッション関連支出DIは、このところマイナスとなっているが、前期がマイナス五・九%のところ、今期はマイナス六・七%となっている。
(2) 学習塾等補習教育費DIは、他の支出D1と比較して高い水準にあり、前期が六・六%のところ、今期は五・七%となっている。
(3) けいこ事等の月謝類DIは、他の支出D1と比較して高い水準にあり、前期が三・一%のところ、今期は二・九%となっている。
(4) スポーツ活動費DIは、このところプラスが続いていたが、前期が一・四%のところ、今期はマイナス〇・一%となっている。
(5) コンサート等の入場料DIは、このところプラスに転じており、前期が四・五%のところ、今期は二・六%となっている。
(6) 遊園地等娯楽費DIは、このところマイナスとなっているが、前期がマイナス七・四%のところ、今期はマイナス一〇・三%となっている。
(7) レストラン等外食費DIは、このところマイナスとなっているが、前期がマイナス一一・六%のところ、今期はマイナス一七・〇%となっている。
(8) 家事代行サービスDIは、おおむね安定した動きが続いており、前期がマイナス〇・七%のところ、今期はマイナス一・二%となっている。

4 旅行の実績・予定(季節調整値)
(1) 国内旅行
 十三年一〜三月期に国内旅行(日帰り旅行を含む)をした世帯割合は、前期差で〇・ニポイント低下し三四・三%となった。旅行をした世帯当たりの平均人数は、前期差で〇・一人減少し二・九人となった。
 十三年四〜六月期に国内旅行をする予定の世帯割合は、十三年一〜三月期計画(以下「前期計画」)差で一・一ポイント低下し三一・九%、その平均人数は、前期計画差で横ばいの二・九人となっている。
(2) 海外旅行
 十三年一〜三月期に海外旅行をした世帯割合は、前期差で〇・三ポイント低下し五・〇%となった。その平均人数は、前期差で横ばいの一・六人となった。
 十三年四〜六月期に海外旅行をする予定の世帯割合は、前期計画差で〇・一ポイント低下し四・六%、その平均人数は、前期計画差で横ばいの一・八人となっている。

5 主要耐久消費財等の普及・保有状況
(1) 普及状況(所有している世帯数の割合)
 平成十三年三月末における主要耐久消費財等の普及率をみると、第2表のとおりである。パソコン(十二年三月末三八・六%→十三年三月末五〇・一%、以下同じ)、ベッド(五六・七%→五九・六%)、洗髪洗面化粧台(四三・九%→四六・七%)、ファクシミリ(三二・九%→三五・五%)及び温水洗浄便座(四一・〇%→四三・二%)などの普及率が前年度に比べて上昇した。
 また、電気洗たく機、電気冷蔵庫及びカラーテレビについては、大型化、高性能化を反映して下位品目の普及率が低下し、上位品目の普及率が伸びている(電気洗たく機・全自動七八・六%→八二・〇%・その他二六・三%→二二・六%、電気冷蔵庫・三〇〇リットル以上七〇・二%→七二・五%・三〇〇リットル未満四〇・三%→三八・八%、カラーテレビ・二九インチ以上四九・〇%→五〇・九%・二九インチ未満八四・三%→八三・五%)(第2表参照)。
(2) 保有状況(一〇〇世帯あたりの保有数量)
 平成十三年三月末における主要耐久消費財等の一〇〇世帯あたりの保有数量をみると、第3表のとおりである。パソコン(十三年三月末六五・八台、前年度差一七・二台増、以下同じ)、ルームエアコン(二一七・四台、九・八台増)、ベッド(一一六・五台、七・〇台増)、カラーテレビ(二三〇・六台、四・四台増)及び温水洗浄便座(五三・〇台、三・八台増)などの保有数量が前年度に比べて増加した。
 また、ルームエアコン、電気洗たく機及び電気冷蔵庫については、下位品目の保有数量が減少し、上位品目の保有数量が増加している(ルームエアコン・冷暖房用一〇・〇台増・冷房用〇・二台減、電気洗たく機・全自動四・八台増・その他三・六台減、電気冷蔵庫・三〇〇リットル以上二・〇台増・三〇〇リットル未満二・二台減)(第3表参照)。

(参 考)

1 消費者意識指標(季節調整値)
 (レジャー時間、資産価値)
 十三年三月の「レジャー時間」に関する意識は、前期差で二・一ポイント低下し四二・八となった。
 「資産価値」に関する意識は、前期差で三・三ポイント低下し三八・六となった。

2 主要耐久消費財等の購入状況
 (品目別購入世帯割合の動き)(原数値)
 十三年一〜三月期実績は、二十八品目中十三品目の購入世帯割合が前年同期に比べて増加し、九品目が減少した。なお、六品目が横ばいとなった。
 十三年四〜六月期実績見込みは、二十八品目中七品目の購入世帯割合が前年同期に比べて増加し、十五品目が減少している。なお、六品目が横ばいとなっている(第4表参照)。

3 主要耐久消費財の買替え状況
 十三年一〜三月期に買替えをした世帯について買替え前に使用していたものの平均使用年数をみると、普及率の高い電気冷蔵庫、電気洗たく機などは八〜十二年となっており、その理由については故障が多い。また、「上位品目への移行」による買替えが多いものとしてビデオカメラ、「住居の変更」による買替えが多いものとしては、ルームエアコンがあげられる。




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申告納税制度を支えるために


国 税 庁


 我が国の税制は、自分の所得や財産などの状況を最も良く知っている納税者が、自ら税法に従って自分の所得と税額を計算して正しい申告と納税をするという申告納税制度を採用しており、昭和二十二年に我が国に申告納税制度が導入されて、既に五十年以上が経過しました。
 税務署では、申告納税制度の基本である「正しい申告と納税」のために、広報、相談、指導、調査を通じて、正しい税知識の普及や税負担の公平確保に努めていますが、あくまでも申告納税制度の主役は納税者の皆さんです。
 そこで、税務署では、税理士会、青色申告会、法人会、間税会、納税貯蓄組合などの関係民間団体との連携を図りながら、申告納税制度が円滑に機能し、さらに発展していくように努めています。
 今回は、申告納税制度を支えている税務関係の主な団体について紹介しましょう。
【税理士会】
 税理士制度は、税理士が税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、納税者に対し正しい申告と納税ができるよう援助することにより、申告納税制度をより健全に発展させるために設けられた制度です。
 現在、全国で約六万五千人の税理士が、全国に十四ある税理士会に入会して業務を行っています。また、各税理士会が構成員となって日本税理士会連合会が組織されています。
 各税理士会では、会員に対する指導、連絡、監督を行うほか、経済的な理由から税理士に依頼することが困難な小規模事業者に対して、無料又は低い報酬で税務相談に応じたり、記帳指導等を行ったりしています。また、税理士会では、常設の税務相談所を開設しているほか、所得税、消費税及び地方消費税の確定申告時期や毎年十一月の「税を知る週間」などには、各地に臨時の相談所を設けて、簡単な相談に無料で応じるなどの活動を行っています。
 このほかにも税理士会は、税制改正に関する建議を行ったり、税務等に関する論文等のうち、特に優秀なものを表彰するなど幅広い活動をしています。
【日本税務協会】
 日本税務協会は、納税者に対して税に関する知識の普及・向上を図ることを目的に財団法人として設立されました。
 日本税務協会では、国の委託を受けて全国の主要都市に相談所を設けており、税理士資格を有する指導員や委嘱された税理士等が記帳等に関する相談や小規模事業者を対象とした記帳指導を行っています。このほか、改正税法、年末調整等に関し、一般納税者等を対象とする説明会や講習会を開催したり、税金に関する各種パンフレットを作成・配付するなどして、税に関する知識の普及・向上に努めています。
【青色申告会】
 青色申告会は、青色申告制度が設けられた昭和二十五年以降、個人事業者を中心とした青色申告者が集まり自主的につくられた団体です。その後、青色申告制度の普及とともに発展し、昭和三十年には全国組織として全国青色申告会総連合がつくられ、現在では全国に約二千五百の単位会があり、約百万人の会員を擁しています。
 各青色申告会では、青色申告の特典などを有効に活用した決算の仕方や税制改正事項などに関する説明会を開催しているほか、会員に対する個別の記帳指導等も行っています。
 また、青色申告会は、税知識の普及や納税道義の高揚のための活動だけでなく、会員個々の企業繁栄や福祉増進などを目指して幅広い活動を行っています。
【法人会】
 法人税については、昭和二十二年に申告納税制度が採用されましたが、それと前後して、帳簿の整備や税知識の理解と普及を図ることを目的として、自主的に結成されたのが法人会です。以来、各地に法人会が誕生し、現在では都道県単位の連合会を含め全国に四百八十三会を数え、その全てが社団法人化を達成し、会員数も約百二十五万社となっています。また、全国組織として、財団法人全国法人会総連合が結成されています。
 各法人会では、役員や経営者、経理担当者などを対象とした税の講習会、研修会や地域社会貢献運動を展開するなど、納税意識の向上と企業経営及び社会の健全な発展に貢献するための幅広い活動をしています。
【間税会】
 間接税については、昭和三十七年に申告納税制度が採用されましたが、自主申告納税のためには、間接税に関する法令の知識が必要であるという理由などから、各地に個別消費税の納税者の団体が地域、税目、そして業種の各別に結成されました。昭和四十八年にはこれらの全国組織として全国間税会総連合会が結成され、現在では全国に五百四十三団体を数え、会員も約十二万四千名となっています。
 間税会は、消費税を中心に、揮発油税、印紙税など間接税関係の研修会を開催し税知識の普及に努めるとともに、消費税、揮発油税などの間接税の適正な申告納税体制の確立を目指して活動しています。
 特に、消費税を長期的に安定した税制として定着させるため、消費税定着運動を積極的に展開するとともに、近年においては、消費税の滞納防止に貢献すべく消費税完納推進運動にも取り組んでいます。
 また、間接税の納税環境整備のため、税制及び税の執行の改善のための提言活動なども行っています。
【納税貯蓄組合】
 税金を期限内に完納するためには、資金繰りの都合なども考え、計画的に納税資金を貯蓄するように心がけておくことが大切です。そこで、日ごろから納税のための貯蓄を通じて期限内完納を継続していこうとする人々が集まって自主的に組織された団体が納税貯蓄組合で、昭和二十六年に定められた納税貯蓄組合法に基づき設立されています。その後、昭和三十三年には全国組織としての全国納税貯蓄組合連合会が結成され、現在、国税、地方税合わせて十四万九千組合を超える組織となっています。
 納税貯蓄組合は、納税資金の貯蓄を基にした所得税並びに個人事業者に係る消費税及び地方消費税の振替納税の推進や消費税完納推進運動に努めています。また、税法研修会を実施したり、中学生を対象にした税の作文募集を行うなど、税知識の普及と納税道義の高揚のために幅広い活動を行っています。
【納税協会】
 納税協会は、税知識の普及と納税道義の高揚を図ることを目的に大阪国税局管内の各税務署ごとに設立された団体です。以来、租税を通じて企業経営の健全な発展と明るい地域社会の建設に貢献するという会の趣旨が理解され、会員数も個人・法人合わせて約三十五万人社の団体に発展するとともに、八十三納税協会すべてが社団法人となっています。また、昭和二十一年には各納税協会間の連携を図るとともに、統一的な事業の推進及び調整等を行うことを目的として、納税協会連合会(昭和四十九年に財団化)が設立されています。
 各納税協会では、税知識の普及等のため、税の広報活動や会員のニーズに応じた各種説明会・講習会及び簿記教室の開催など、幅広い事業活動を行っています。



    <6月6日号の主な予定>

 ▽林業白書のあらまし……………………林 野 庁 

 ▽消費者物価指数の動向(四月)………総 務 省 




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