官報資料版 平成13年6月6日




                  ▽林業白書のあらまし……………………………………………………………………林 野 庁

                  ▽消費者物価指数の動向(東京都区部四月中旬速報値・全国三月)………………総 務 省

                  ▽労働力調査(平成十三年三月及び平成十三年一〜三月平均結果の概要)………総 務 省

                  ▽我が国のこどもの数……………………………………………………………………総 務 省











林業白書のあらまし


平成十二年度 林業の動向に関する年次報告


林 野 庁


 「平成十二年度林業の動向に関する年次報告」と「平成十三年度において講じようとする林業施策」が去る四月十三日、閣議決定の上、国会に提出、公表された。
 今回の報告の第一部「林業の動向」において、現行林業基本法が果たしてきた役割と現状を整理するとともに、森林・林業・木材産業に関する新たな基本政策の必要性と施策の展開方向について重点的に記述している。
 また、多くの具体的な事例を用いながら、多面的機能の発揮に向けた適切な森林の整備と保全、健全で活力のある森林の整備を担う林業及び山村の振興、森林資源の循環利用を担う木材産業の振興などについて記述している。
 第二部では、平成十二年度において「林業に関して講じた施策」について記述している。
 第一部の概要は次のとおりである。

T これまでの林政の推移と新たな基本政策の方向

一 林業基本法が果たしてきた役割と現状

(一) 林業基本法制定の背景
(高度経済成長と木材需要の急増)
 昭和三十年代には本格的な高度成長期に入り、建築用材やパルプ用材の需要が急速に増大した。
 このため、国有林を中心に木材の増産や、成長が遅く経済的な価格の低い天然林などを針葉樹の人工林に転換する拡大造林が積極的に進められた。
 さらに、木材輸入の自由化が段階的に進められ、丸太、製材、合単板等の輸入が自由化された。
(山村地域の過疎化と林業従事者の減少)
 また、大都市地域に人口が集中する一方で、農山村では、過疎化の進行、林業従事者の減少が顕在化するなど、経済社会が大きく変貌し始めた。
(私有林における所有の零細性)
 森林面積の六割を占める私有林は、所有規模が著しく零細であり、こうしたことが、林業の発展と木材供給の拡大を阻む要因と考えられていた。
(林業基本法の制定)
 こうした社会経済情勢の下で、昭和三十九年に林業基本法が制定された。

(二) 林業基本法が目指したもの
 林業基本法においては、経済の発展と国民生活の向上に応じて、林業の安定的な発展と林業従事者の経済的、社会的な地位の向上を図ることが政策の目標として掲げられた。
 そして、この二つの目標を達成するため、生産対策、構造対策、需給・流通対策、従事者対策が推進された。

(三) 林業基本法の下での施策の展開と評価
 林業基本法の下で展開された施策により、造林が急速に進むなど、生産対策は大きく進展した。しかし、小規模な森林所有者を中心に経営規模の拡大は進まず、小口で分散的な木材の生産構造も改善されないまま残された。
 また、国産材の流通・加工は、零細な素材生産業者、流通業者、加工業者、大工・工務店等の間で少量・多品種の丸太や製材品が取り引きされるのに対し、外材は、輸入業者から需要者まで流通・加工経路が単純であり、均質で大量に取り引きされる。このようなことから、木材需要の増加に国産材は対応できず、競争力が高く、供給力も大きい外材に需要は大きくシフトした。
 昭和五十年代以降、木材需要は頭打ちとなり、その後の円高等の影響も加わって、木材価格は長期的に低迷するようになった。このような中で、森林の所有構造と木材の生産・流通・加工構造の改善は一層停滞し、コストの削減や木材需要への的確な対応が進まず、さらに林業・木材産業が停滞するという悪循環に陥っていった。

(四) 今日林政が直面している状況
(これまで森林整備を担ってきた林業の停滞)
 労賃や苗木代等の経費は大幅に上昇する一方で、木材価格が低迷しており、林業の採算性は低下を続けている。その結果、林家の林業所得は大幅に減少しており、二十ヘクタール以上を保有する林家の年間林業所得は三十六万円にまで減少している。
(手入れや管理が不十分な森林の出現)
 このような状況の下で、間伐が行われない人工林や、植林が行われない伐採跡地がみられるようになってきている。
 今後、森林所有者の世代交代が急速に進むとみられ、手入れや管理の不十分な森林が増加し、森林の多面的機能が十分発揮できなくなることが心配される。
(森林に対する国民の要請)
 その一方で、森林に対する国民の期待や関心は、国民の価値観の多様化等に伴い、木材の供給、国土の保全、水資源のかん養、自然環境・生活環境の保全、保健・文化・教育的活動の場としての活用、地球温暖化の防止など、ますます多様化・高度化しており、これらに的確に応えていけるような森林の整備が求められている。
(これまでの政策では十分な効果を発揮しにくい状況)
 これまで、林業基本法の下で、活発な林業生産活動が広く行われることを前提に、木材生産の量的拡大を中心とする政策が進められてきた。しかし、もはやこれまでのように、森林所有者の自発性だけで森林整備が進むことは期待し難い状況となっている。
 また、持続可能な社会の構築が求められる中にあって、森林を育成しつつ木材を繰り返し生産し、無駄なく利用する「森林資源の循環利用」を進めることが重要である。植林・保育や木材の生産・利用に向けて、森林所有者の自助努力はもちろん、その恩恵を受ける幅広い国民の理解と協力を得ながら、我が国の森林が適切に保全・整備され、有効に活用されるようにしていくことがきわめて重要である。

二 新たな基本政策の考え方

 平成十二年十月になされた林政審議会報告「新たな林政の展開方向」を受けて、農林水産省においては、同年十二月に新たな基本政策の考え方を示した「林政改革大綱」及びその具体化の手順等を示した「林政改革プログラム」が決定された。
 新たな基本政策においては、森林の健全性と活力を維持しつつ、その保全と利用の両立を図っていく「持続可能な森林経営」を推進することにより、森林の多面的機能を持続的に発揮させていくことを基本理念としている。
 また、林業・木材産業は、森林の整備と森林資源の循環利用に重要な役割を果たしており、その健全な発展と、国民のニーズに即した木材の生産・供給と利用の促進を図っていく必要がある。

U 多面的機能の発揮に向けた適切な森林の整備と保全

一 森林資源の現状

 我が国の森林面積は、二千五百万ヘクタールであり、国土の約七割を占めている。このうち、人工林は、一千万ヘクタールで四一%、天然林等は、一千五百万ヘクタールで五九%を占めている。
 また、森林の蓄積は、三十八億立方メートルであり、人工林を中心に毎年およそ八千万立方メートルずつ増加している。
 しかし、人工林の多くは未だ間伐等を必要とする年齢であり、引き続き保全と整備を適切に進めていく必要がある。

二 森林をめぐる近年の動き

(一) 公益的機能の発揮に向けた取組
(保安林の整備及び治山事業による森林の整備)
 水源のかん養等のため、森林面積の約三分の一の八百八十七万ヘクタールを保安林に指定するとともに、災害に強い安全な国土づくり等のため、弱者関連施設の周辺も含め、計画的に治山事業を推進している。
(健全な森林を造成するための間伐の推進)
 人工林の多くが間伐期を迎えていることから、間伐の重点的な実施に取り組む必要がある。このため、平成十二年度から平成十六年度までの五年間に、百五十万ヘクタールの森林を対象に、緊急かつ計画的に間伐を行う間伐対策に取り組んでいる。

(二) 森林整備を支援する取組
 近年、下流の自治体が、上流の自治体と協力して、水源地の植林や間伐等の森林整備の支援、水道料金の一部を活用して森林整備のための基金の造成などの取組が増加している。
 また、ボランティア活動への理解と環境問題への関心が高まる中で、自ら森林の手入れを行おうという一般市民による活動事例も増加しつつある。
 平成十二年に実施した調査によると、森林整備活動を行っているボランティア団体は、全国で五百八十一あり、平成九年に比較して約二倍に増加している。

(三) 森林の新たな利用の動き
(森林の教育的利用)
 子どもたちの「生きる力」を育む観点から、森林整備、木工・炭焼きなどを体験する機会を提供する「森の子くらぶ活動推進プロジェクト」が、林野庁と文部科学省の連携により推進されている。
(高齢社会に対応した森林空間の利用)
 林野庁は、健康づくりや生きがいづくりの場としてなど、幅広い人々が森林に一層親しめるよう、高齢者等の利用にも配慮した森林や各種施設に活用できるユニバーサルデザインのためのガイドラインを作成し、その普及を進めている。

三 森林に対する要請の多様化と森林の果たす役割

 近年、森林に対する国民の関心や期待は、公益的機能を中心に一層多様化・高度化する傾向にあり、保健・文化・教育的な活動の場としてや地球温暖化を防ぐという森林の働き等に関心が高まっている。
 こうした森林の公益的機能の定量的な評価には困難な面があるが、林野庁が一定の前提の下で、森林がないと仮定した場合と比較した試算によれば、年間約七十五兆円という結果となった。

四 今後の適切な森林の整備と保全に向けた新たな取組

(一) 政策展開の基本的な考え方
ア 多面的機能の発揮の基盤としての健全な森林の育成
 森林所有者には、自己の森林を適切に整備し保全する責務があることを明確にしつつ、適切に誘導することが必要である。しかし、自ら森林の手入れ等を行うことが困難な森林所有者でも安心して森林を任せることができ、受託者が森林施業を適切に行えるよう条件整備を進めることが重要である。
 また、自然的、社会経済的な変化に強く、安定した森林を育成するため、状況に応じて、人工林をより多様な樹齢や樹種からなる森林に誘導していくことも重要である。
イ 国民の要請に的確に対応した森林の整備と保全の推進
 多様化・高度化する国民の要請に的確に応えていくためには、森林の状況や地域の要請に応じて特に重視すべき機能を明確にし、その機能を発揮するのにふさわしい姿の森林を整備していくことが一層重要となる。
ウ 森林所有者の自助努力のみでは困難な森林の整備
 森林所有者等の自助努力や林業事業体等への施業や経営の集約化だけでは、その整備が困難な森林については、求められる公益的機能の発揮の程度に応じて国、地方公共団体等の公的セクターが中心となって、整備を進めていく必要がある。

(二) 具体的な取組の方向
ア 森林計画制度の見直し
(森林の保全措置の強化と施業・経営の集約化)
 森林計画制度を活用し、森林所有者による森林の保全措置を強化するほか、森林所有者に代わって森林施業・経営を引き受ける担い手も森林所有者と同様に森林計画の作成主体となるよう、制度を見直す必要がある。
(重視すべき機能に応じた森林の区分と整備)
 森林のもつ機能のうち、特に重視すべき機能に応じた適切な森林整備と保全を推進する観点から、森林を区分し、それぞれの区分に応じた森林整備を実施する必要がある(第1図参照)。
イ 森林整備事業の見直し
(長期育成循環施業の導入)
 一定の要件を満たす人工林において、状況に応じ、皆伐−新植を主体とする画一的な施業に代えて、抜き伐りを繰り返しつつ徐々に更新を行う長期育成循環施業を導入するとともに、施業を効率的に行うため、森林内に林道や作業道を高密度に配置することが必要である。
(間伐等の確実な実施)
 市町村主導による間伐の共同実施、間伐材の利用の推進等を引き続き推進していく必要がある。
(森林の区分に応じた森林整備の推進)
 重視すべき機能に応じて森林を区分した上で、針葉樹、広葉樹の特性を生かしつつ、森林を望ましい姿に誘導する施業を進めることが必要である。
ウ 公的関与による森林整備の実施
 森林所有者等の自助努力だけでは整備が困難な森林について、公益的機能の要請に応じて保安林の指定、治山事業や緑資源公団による整備等、公的関与による森林整備を実施することが必要である。

(三) 新たな取組の推進のため必要となる国民の理解と協力の増進
 森林・林業の重要性についてこれまで以上に普及啓発を推進し、「森林を社会全体で支えていく」という国民意識を醸成するとともに、森林整備への国民の参画を促し、国民の合意の下に取組を推進していくことが重要である。
 その上で、森林の整備を的確に進めていくための社会的なコストの負担のあり方について、幅広い観点から検討をしていくことが必要である。

V 健全で活力ある森林の整備を担う林業及び山村の振興

一 林業経営をめぐる動き

(一) 林産物の生産
 平成十一年の丸太生産量は一千八百七十四万立方メートルであり、昭和四十二年をピークに一貫して減少傾向にある。
 また、平成十一年の特用林産物の生産額は三千百四十四億円で、その七割以上をきのこ類が占めている。
 きのこ類の消費量の拡大に伴い、生産量も平成十一年は三十八万トンと増加傾向にあるが、近年生しいたけの輸入量が急増している。

(二) 森林所有者
 一ヘクタール以上の山林を保有する林家、会社等の森林所有者数の九四%は、保有規模が二十ヘクタール未満であり、我が国の民有林では、森林の所有規模が極めて小さい。
 木材需要の低迷、外材輸入の増加等から、木材価格は、長期的に低下を続けてきており、林業の採算性が悪化している。昭和四十年を基準とする実質価格でみると、平成十一年には、スギ中丸太の価格は七割にまで低下している。一方で、労働者賃金は五・六倍にまで上昇している。
 こうした林業の厳しい情勢の中にあっても、森林資源を活かし、創意工夫をこらした林業経営を積極的に展開している林家や会社も存在している。

(三) 林業事業体
 素材生産や造林を行う林業事業体(森林組合を除く)は、六千三百二十一あり、その経営形態は、全体の六四%を個人経営が占めるなど、小規模で経営基盤の弱いものが多い。
 零細な森林所有構造を反映して、個々の森林所有者の森林からの素材生産は少量で、断続的である。加えて、木材価格の低迷等により、森林所有者の伐採意欲は大幅に減退している。
 このような状況が、林業事業体による事業量の確保や事業の効率化に向けた取組を一層困難にしている。
 このような厳しい経営環境の中で、間伐や造林を請け負って効率的に実施したり、立木を購入して素材生産を活発に行っている林業事業体も存在している。

(四) 森林組合
 森林組合は、民有林における新植面積の九割、間伐面積の七割を実施するなど、民有林における森林整備の中心的な担い手となっている。
 このように森林組合の役割が一層重要となる中で、経営基盤を強化するため、広域合併を進めている。

(五) 林業労働
 林業就業者数は、昭和五十年の二十二万人から平成十一年の七万人へと大幅に減少している。また、林業就業者に占める六十五歳以上の割合は二九%となっており、全産業平均の七%と比較して著しく高齢化が進行している。

二 生産基盤の整備の現状

(一) 林道及び作業道の整備
 平成十一年度末における林道の開設延長は、十二万九千百九十キロメートルであるが、現行の森林資源に関する基本計画に掲げられたおおむね平成四十六年度までの整備目標の五割弱となっている。
 林道や作業道の整備は、林業経営の効率化、森林の整備、山村の生活環境の整備、森林の総合利用等を進めていく上からも重要である。

(二) 林業機械の整備
 高性能林業機械の導入台数は年々増加しており、平成十一年度末には二千百四十台となった。

(三) 研究・技術開発と普及
(森林のもつ多面的機能の発揮や林業の生産性向上等に貢献する研究・技術開発)
 森林のもつ多面的機能が持続的に発揮されるような森林の保全・整備、安定的・効率的な林業経営、木材利用の推進など、様々な研究や技術開発が行われている。
(スギ花粉症対策の一層の推進)
 スギ花粉症対策については、関係省庁が協力して総合的に取り組んでおり、森林・林業分野では、花粉をつける雄花の着花特性の解明等、花粉の少ない品種の選定や供給体制の整備、花粉生産量を予測するシステムの開発、スギ花粉の生産抑制にも資するための間伐や枝打ち等を進めている。

三 山村の活性化に向けた総合的な取組

(一) 安全で豊かな国民生活を支える山村
 山村は、林産物や農産物の安定的な供給に寄与するとともに、安全な国土の形成、清浄な水や空気の提供、美しい自然景観の保全、さらには山村特有の伝統文化の維持にも貢献している。
 山村の活性化は、山村住民だけでなく都市住民も含む国民全体の課題である。このため、地域の個性を十分に活用しつつ、地域住民のニーズと国民各層の多様なライフスタイルの実現に対応できる、活力ある山村を構築していくことが重要である。

(二) 山村の活性化に向けた総合的な取組
 山村の活性化を図っていく上で就業機会の創設・確保は重要な課題の一つである。
 今後は、山村にある多様な地域資源を活かした産業の育成、情報ネットワーク化の推進等による多様な就業機会の創設・確保に向けた幅広い取組が必要である。
 また、山村独自の潤いとゆとりのある生活環境を創造するという観点から、豊かな自然や優れた景観を保全しつつ、それらを活かした居住空間を創出することが重要である。
 さらに、山村のもつ豊かな自然や伝統文化等を活かした都市と山村との交流を推進するため、交流環境の整備や森林体験活動の指導者の育成など、山村側の受け入れ体制の整備を進めることが必要である。
 また、森林や傾斜地の多い中山間地域で広大な森林と耕地を適切に維持・管理していくためには、森林整備と併せて、農業施策等との連携による対策を総合的に進めることが必要である。

四 今後の林業の発展に向けた新たな取組

(一) 森林の整備と森林資源の循環利用を担う林業
(森林資源の循環利用を担う林業)
 林業は、健全で活力ある森林を整備するとともに森林資源を循環利用する営みであり、これらを通じて、地球環境の保全と安全で豊かな国民生活の実現を両立させる産業として、その健全な発展に向けた取組が必要である。

(二) 今後の林業の発展に向けた新たな取組
(意欲と能力のある担い手の育成と施業・経営の集約化)
 施業や経営の受託に取り組み、積極的に林業経営を行っている林家や林業事業体等に焦点を絞り、その育成と経営の安定化を図るとともに、これらの者へ自ら施業や経営を行えない森林所有者の森林の施業や経営の集約化を進めていくことが必要である(第1表参照)。
 森林組合については、森林所有者の共同組織としての性格を活かし、森林の現況把握から施業・経営までを一貫して継続的に実施することができるよう、その経営基盤を一層強化する必要がある(第1表参照)。
(魅力ある林業労働に向けた条件整備)
 林業就業者の減少と高齢化が進行する中で、幅広い知識や技術を備えた人材を育てる必要がある。特に、新規参入者にとって、林業の作業環境や労働条件が魅力あるものとなるよう、その改善を進めていくことが重要である。
(コスト削減と効率的な地域の森林整備のための生産基盤の整備)
 林道や作業道の整備と機械化の推進は、育林や素材生産のコストを削減し、森林の整備を効率的に行うのに不可欠である。林道や作業道の整備を効果的・効率的に進めるため、規格・構造の弾力化を進める必要がある。
 さらに、間伐等の非皆伐施業や作業現場の地形にきめ細かく対応し得る高性能林業機械の開発・普及等を進めていく必要がある。
(消費者の要請と林業経営の安定に資する特用林産物の振興)
 きのこ類の生産に当たっては、消費者の要請に応えられる高品質種菌の開発・導入、品質管理の高度化等を進めることが必要である。
 さらに、特用林産物の生産に当たっては、生産技術の向上、作業の機械化等を通じて低コストで安定的に生産を行える体制を整備する必要がある。

W 森林資源の循環利用を担う木材産業の振興

一 木材需給をめぐる動き

(木材需要の動向)
 平成十一年の木材需要量は対前年比六%増の九千七百八十一万立方メートルと増加したものの、二年連続して一億立方メートルを下回った。
(木材供給の動向)
 平成十一年の国産材の供給量は引き続き減少傾向にあり、対前年比三%減の一千八百七十六万立方メートルとなった。一方、外材の供給量は、対前年比九%増の七千九百五万立方メートルとなった。

二 木材輸入と用途別供給をめぐる動き

 建築材としての需要が多い針葉樹製材品の輸入量は増加に転じた。産地別では、米材が約六割と過半を占めるが、近年シェアが低下している。一方、欧州産は、ユーロ安を背景に価格競争力をつけ、平成十二年には二五%までにシェアを拡大した。

三 木材産業をめぐる現状

(住宅建築の動向)
 新設住宅の着工戸数は、平成八年に百六十万戸台を記録した後、景気の低迷等により大幅に減少し、平成十年以降は百二十万戸台で推移している。
(変化する木材製品の需要動向)
 住宅の品質・性能への要求が高まる中で、建築基準法の改正(平成十年六月)、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(平成十二年四月)の施行に伴い、木材への要求は、表面の見ばえが優れた製材品から、強度や寸法精度等の品質・性能の明確な乾燥材や集成材に急速に変化している。こうした中で、未乾燥材は平成十二年一月以降大きく下落し、スギの未乾燥材と乾燥材の価格差が拡大した(第2図参照)。
(木材産業の現状)
 新設住宅着工戸数の減少による木材需要の伸び悩みと、輸入製材品等のシェアの拡大及び製材品価格の低迷により、国内の木材産業は厳しい経営状況が続いている。

四 木材の優れた特性と木材を利用することの意義

 木材は、断熱性、調湿性等に優れ、情緒を安定させるなど、人の健康にも優しい素材である。
 また、製品の製造に必要なエネルギー量が小さく、炭素を長期間貯蔵できる上、再利用がしやすく、無駄なく繰り返し利用できるなど、環境面でも優れた特性をもっている。
 こうした木材の利用を積極的に進めることは、環境への負荷が少ない社会を構築する上で重要であり、住宅や公共施設への地域材の利用推進、廃材利用やエネルギーとしての利用促進等のための体制づくりや技術開発等を進める必要がある。

五 今後の木材産業の振興に向けた取組

(一) 木材の供給体制の整備
 木材がより多く利用されるためには、需要者のニーズに的確に対応した品質・性能を備えた製品が低コストで安定的に供給されることが必要である。特に、乾燥材の生産体制が早急に整備されるよう、乾燥施設の整備促進が必要である。
 また、森林所有者と木材加工業者との間での原木の安定供給体制の整備や製品の量産化、高能率機械化の推進等による多様な製材品生産の体制整備、木材関連産業の団地的取組を推進する必要がある。

(二) 木材流通の合理化と情報化の推進
 原木流通については、乾燥材生産の効率化のため、原木市場における含水率や強度等に対応した選別の強化等を進める必要がある。
 製品流通については、地域から大消費地に向けた共同出荷体制の整備を促進するとともに、住宅建築現場への部材の直送などの取組が必要である。
 また、品質・性能が明確な木材製品の生産を促進し、取引や物流の効率化を図るため、JAS制度を活用した品質・性能に関わる情報表示の促進や情報技術(IT)を活用した木材取引の情報化等を推進する必要がある。

X 「国民の森林」へ改革の歩みを進める国有林野事業

一 改革の着実な推進

 平成十年に施行された「国有林野事業の改革のための特別措置法」、「国有林野事業の改革のための関係法律の整備に関する法律」に基づき、国有林野事業の抜本的改革を進めている。
 抜本的改革の基本的な考え方は、国有林野を「国民の共通財産として、国民参加により、国民のために」管理経営し、名実ともに「国民の森林」としていくことである。
 具体的には、次のとおりである。
 ア 公益的機能の発揮を重視した管理経営への転換
 イ 組織・要員の合理化、縮減による簡素で効率的な実施体制の確立
 ウ 一般会計からの繰入れを前提とした特別会計制度への移行等

二 「国民の森林」の実現に向けた取組

(一) 公益的機能の発揮を重視した管理経営
(機能類型区分)
 「水土保全林」や「森林と人との共生林」の面積の割合を、それまでの五割から八割に拡大した。
 また、「水土保全林」では、育成複層林施業や長伐期施業等を推進している。
(優れた自然環境をもつ森林の維持、保存)
 貴重な野生動植物が生育・生息する森林等を積極的に保護林に指定しており、平成十二年四月現在、全国に八百十七箇所、五十二万六千ヘクタールの保護林を設定している(第3図参照)。
 また、こうした保護林制度に加え、森林生態系保護地域を中心に他の保護林とのネットワークを形成する緑の回廊の設定作業を進めている。

(二) 国有林野資源の有効利用の推進
 間伐材の一層の利用を進めるため、治山、林道等、森林土木工事に活用するとともに、他の公共土木事業への利用の推進に積極的に取り組んでいる。
 また、民有林からの供給が期待しにくい、大型の公共建築物や社寺等の建築や改築に必要な特殊な樹種や、大径材の供給にも取り組んでいる。

(三) 国民に開かれた国有林野の管理経営を目指して
(多様な活動の場としての国有林野の提供)
 保健・文化・教育的な活動に国有林野を利用できるよう、レクリエーションの森を選定し、広く国民に提供している。平成十二年四月現在、一千二百六十七か所、約四十一万ヘクタールが選定されており、平成十一年度は、延べ一億六千万人の人々に利用されている。
(国民の自主的な森林づくりを進めるふれあいの森の推進)
 自主的な森林づくり活動等を行うボランティア団体等に国有林野をフィールドとして提供するふれあいの森を設定しており、平成十三年一月現在、全国で五十五か所が設定されている。
(巨樹・巨木の保護活動の推進)
 国有林野内にある地域のシンボルとされる巨樹・巨木を健全な形で次世代に守り伝えていくことを目的に、国有林野内の巨樹・巨木を「森の巨人たち百選」として選定する取組を実施しており、巨木のある地元地域の自主的な保護活動を推進している。
(国有林野に関する情報提供の推進)
 「森林の市」、「森林倶楽部」、森林教室等イベントの開催やインターネットを通じて、国民に対し森林や林業に関する情報提供等を行っている。

Y 森林・林業をめぐる国際的な動向と我が国の取組

一 世界の森林資源と木材貿易の現状

(世界の森林の現状)
 世界の森林面積は三十四億五千万ヘクタールで、陸地面積の二七%を占めている。
 また、森林面積は、平成二年からの五年間に、我が国の国土の一・五倍に当たる五千六百三十五万ヘクタールが減少したと推計されている。
(世界有数の木材輸入国である我が国)
 世界の木材輸入額においては、米国に次いで日本が多く、我が国は世界でも有数の木材輸入国である(第4図参照)。
(木材貿易に関する動き)
 平成十一年に米国のシアトルで開催された第三回WTO閣僚会議では、各国間の大きな立場の違いにより、新たなラウンドの立ち上げには至らなかった。
 WTO次期交渉に向けて、我が国は、地球規模の環境問題や資源の持続的利用、輸出入国の権利義務バランスといった観点を踏まえ交渉を行う方針である。

二 森林・林業をめぐる国際的な動向

(一) 持続可能な森林経営に向けた国際的な動向
(国際連合や主要先進国による取組)
 平成十二年十月の国連経済社会理事会で、国連森林フォーラム(UNFF)の設置が決定された。
 また、平成十二年七月に開催された九州・沖縄サミットでは、違法伐採問題について、サミット参加各国で取り組んでいく旨が表明された。我が国もG8の一員として具体的な方策について検討することとしている。
(基準・指標づくりに向けた取組)
 我が国が参加しているモントリオール・プロセスでは、基準・指標に沿って持続可能な森林経営の進捗状況を評価するための取組が行われている。
(持続可能な森林経営を支援する認証・ラベリング)
 森林管理協議会(FSC)等による持続可能な森林経営の認証・ラベリングが国際的に進展しており、我が国におけるFSCの認証は、平成十二年二月に三重県の林家が、また同年十月には高知県の森林組合が取得した。

(二) 地球温暖化防止に向けた取組
(第六回締約国会議)
 平成十二年十一月にオランダのハーグで開催された「第六回締約国会議(COP6)」では、京都議定書の実施に必要となる詳細なルールや手続き等について交渉が行われたものの、合意には至らなかった。平成十三年七月に再開される予定である。
(我が国の地球温暖化対策)
 平成十年六月に「地球温暖化対策推進大綱」が決定され、また「地球温暖化対策推進法」が平成十一年四月に施行された。
 大綱を踏まえ、林野庁では平成十年七月、「森林・林業、木材産業分野における地球温暖化対策の基本方向」を策定し、荒廃地への植林、公共施設の木造化、低コスト乾燥技術の開発等を進めている。

三 持続可能な森林経営の推進に向けた我が国の貢献

 我が国は、技術協力、資金協力等の二国間協力や国際機関への資金拠出、各種調査事業等を行っている。


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消費者物価指数の動向


―東京都区部(四月中旬速報値)・全国(三月)―


総 務 省


◇四月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇〇・三となり、前月比は〇・三%の上昇。前年同月比は一月〇・三%の下落、二月〇・六%の下落、三月〇・九%の下落と推移した後、四月は〇・八%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降二十か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇〇・四となり、前月比は〇・四%の上昇。前年同月比は一月〇・八%の下落、二月一・一%の下落、三月一・一%の下落と推移した後、四月は〇・九%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降十九か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

(1) 食料は一〇〇・〇となり、前月に比べ〇・二%の下落。
  生鮮魚介は〇・四%の上昇。
   <値上がり> いか、たいなど
   <値下がり> あじ、ぶりなど
  生鮮野菜は一・二%の上昇。
   <値上がり> ほうれんそう、キャベツなど
   <値下がり> レタス、きゅうりなど
  生鮮果物は四・三%の下落。
   <値上がり> りんご(ふじ)、グレープフルーツなど
   <値下がり> いちご、なつみかんなど
(2) 光熱・水道は一〇一・六となり、前月に比べ〇・六%の上昇。
  電気・ガス代が〇・九%の上昇。
   <値上がり> 電気代など
(3) 被服及び履物は一〇二・三となり、前月に比べ三・六%の上昇。
  シャツ・セーター・下着類が七・一%の上昇。
   <値上がり> 婦人セーター(半袖)など
(4) 教育は一〇九・六となり、前月に比べ〇・七%の上昇。
  授業料等が一・六%の上昇。
   <値上がり> 私立大学授業料など
(5) 教養娯楽は九八・四となり、前月に比べ〇・五%の上昇。
  教養娯楽サービスが一・四%の上昇。
   <値上がり> ゴルフプレー料金など

三 前年同月との比較

○上昇している主な項目
 生鮮野菜(六・二%上昇)、授業料等(一・六%上昇)、保健医療サービス(二・三%上昇)
○下落している主な項目
 家賃(一・九%下落)、通信(四・八%下落)、家庭用耐久財(七・二%下落)、教養娯楽サービス(一・三%下落)
(注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇〇・二となり、前月と変わらなかった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇〇・四となり、前月に比べ〇・一%の上昇となった。

◇三月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇一・一となり、前月比は〇・一%の下落。前年同月比は十二月〇・二%の下落、一月〇・一%の上昇、二月〇・一%の下落と推移した後、三月は〇・四%の下落となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇一・一となり、前月比は〇・一%の上昇。前年同月比は十二月〇・六%の下落、一月〇・五%の下落、二月〇・六%の下落と推移した後、三月は〇・六%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降十八か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

(1) 食料は一〇一・〇となり、前月に比べ〇・九%の下落。
  生鮮魚介は二・四%の上昇。
   <値上がり> いか、いわしなど
   <値下がり> ぶり、かきなど
  生鮮野菜は一〇・六%の下落。
   <値上がり> はくさい、トマトなど
   <値下がり> レタス、ほうれんそうなど
  生鮮果物は五・五%の下落。
   <値上がり> みかん、りんご(ふじ)など
   <値下がり> いちご、グレープフルーツなど
(2) 家具・家事用品は八九・五となり、前月に比べ〇・三%の下落。
 家庭用耐久財が〇・六%の下落。
   <値下がり> ルームエアコンなど
(3) 被服及び履物は九八・九となり、前月に比べ二・四%の上昇。
 衣料が五・六%の上昇。
   <値上がり> 婦人ブレザーなど
(4) 交通・通信は九七・三となり、前月に比べ〇・二%の下落。
 通信が一・四%の下落。
   <値下がり> 通話料など

三 前年同月との比較

○上昇している主な項目
 保健医療サービス(三・三%上昇)、自動車等関係費(一・〇%上昇)、生鮮野菜(三・〇%上昇)、家賃(〇・三%上昇)
○下落している主な項目
 通信(七・二%下落)、衣料(三・三%下落)、家庭用耐久財(六・七%下落)、教養娯楽サービス(一・三%下落)
(注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇一・三となり、前月に比べ〇・四%の下落となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇一・四となり、前月に比べ〇・三%の下落となった。






















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三月の雇用・失業の動向


―労働力調査 平成十三年三月及び平成十三年一〜三月平均結果の概要―


総 務 省


◇ 就業状態別の人口

 平成十三年三月末の就業状態別人口をみると、就業者は六千三百七十九万人、完全失業者は三百四十三万人、非労働力人口は四千百三十八万人と、前年同月に比べそれぞれ三十四万人(〇・五%)増、六万人(一・七%)減、二十五万人(〇・六%)増となっている。

◇ 就業者

(1) 就業者

 就業者数は六千三百七十九万人と、前年同月に比べ三十四万人(〇・五%)の増加となり、六か月連続の増加となっている。男女別にみると、男性は三千七百八十二万人、女性は二千五百九十六万人で、前年同月と比べると、男性は三万人(〇・一%)増、女性は三十万人(一・二%)増となっている。

(2) 従業上の地位

 就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千三百三十八万人、自営業主・家族従業者は一千二十五万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は六十八万人(一・三%)増、自営業主・家族従業者は二十九万人減となり、雇用者は十一か月連続の増加となっている。
 雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千三百二万人と、六十五万人(一・二%)増、十一か月連続の増加
 ・常 雇…四千六百二十六万人と、二十三万人(〇・五%)増、五か月連続の増加
 ・臨時雇…五百五十三万人と、三十五万人(六・八%)増、平成八年九月以降増加が継続
 ・日 雇…百二十三万人と、七万人(六・〇%)増、七か月ぶりの増加

(3) 産 業

 主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…二百六十一万人と、一万人(〇・四%)減
○建設業…六百三十六万人と、三十一万人(四・六%)減、四か月連続の減少
○製造業…一千三百一万人と、十四万人(一・一%)増、二か月連続の増加
○運輸・通信業…四百四万人と、十二万人(二・九%)減、四か月連続の減少
○卸売・小売業,飲食店…一千四百四十六万人と、六万人(〇・四%)増
○サービス業…一千七百五十一万人と、五十九万人(三・五%)増、十三か月連続の増加
 また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…五百二十五万人と、二十三万人(四・二%)減
○製造業…一千百九十三万人と、二十八万人(二・四%)増
○運輸・通信業…三百八十四万人と、八万人(二・〇%)減
○卸売・小売業,飲食店…一千百七十二万人と、十万人(〇・九%)増
○サービス業…一千五百九万人と、五十五万人(三・八%)増

(4) 従業者規模

 企業の従業者規模別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千七百十五万人と、二十二万人(一・三%)増、五か月連続の増加
○三十〜四百九十九人規模…一千七百五十二万人と、四十一万人(二・四%)増、七か月連続の増加
○五百人以上規模…一千二百六十七万人と、四万人(〇・三%)増、二か月連続の増加

(5) 就業時間

 三月末一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜三十五時間未満…一千三百九十五万人と、十九万人(一・四%)増加
 ・うち一〜三十時間未満…一千十七万人と、二十七万人(二・七%)増加
○三十五時間以上…四千八百三十八万人と、三万人(〇・一%)増加
 ・うち四十九時間以上…一千八百五十九万人と、二万人(〇・一%)増加
 また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四十三・四時間で、前年同月と同数となっている。

◇完全失業者

(1) 完全失業者数

 完全失業者数は三百四十三万人と、前年同月に比べ六万人(一・七%)減となり、二か月連続の減少となっている。男女別にみると、男性は二百九万人、女性は百三十五万人で、前年同月に比べ、男性は八万人(三・七%)の減少、女性は三万人(二・三%)の増加となっている。
 また、求職理由別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非自発的な離職による者…百万人と、四万人減少
○自発的な離職による者…百十七万人と、一万人減少
○学卒未就職者…二十九万人と、三万人減少
○その他の者…八十六万人と、四万人増加

(2) 完全失業率(季節調整値)

 季節調整値でみた完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は四・七%で、前月と同率となっている。男女別にみると、男性は四・九%、女性は四・五%と、前月に比べ男性は〇・一ポイントの上昇、女性は同率となっている。

(3) 完全失業率(原数値)

 完全失業率は五・一%と、前年同月に比べ〇・一ポイントの低下となっている。男女別にみると、男性は五・二%と〇・二ポイントの低下、女性は四・九%と、前年同月と同率となっている。

(4) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 [男]
○十五〜二十四歳…四十二万人(七万人減)、一一・三%(一・二ポイント低下)
○二十五〜三十四歳…五十二万人(一万人減)、五・六%(〇・二ポイント低下)
○三十五〜四十四歳…二十五万人(二万人増)、三・二%(〇・二ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…三十三万人(同数)、三・五%(同率)
○五十五〜六十四歳…四十五万人(四万人減)、六・八%(〇・四ポイント低下)
 ・五十五〜五十九歳…二十万人(同数)、五・二%(〇・三ポイント上昇)
 ・六十〜六十四歳…二十五万人(四万人減)、九・〇%(一・八ポイント低下)
○六十五歳以上…十二万人(二万人増)、三・八%(〇・五ポイント上昇)
 [女]
○十五〜二十四歳…三十九万人(三万人増)、一〇・七%(一・〇ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…四十二万人(四万人増)、七・一%(〇・六ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…十八万人(三万人減)、三・五%(〇・七ポイント低下)
○四十五〜五十四歳…二十万人(二万人減)、二・九%(〇・四ポイント低下)
○五十五〜六十四歳…十四万人(一万人増)、三・五%(〇・三ポイント上昇)
 ・五十五〜五十九歳…七万人(同数)、二・九%(〇・一ポイント上昇)
 ・六十〜六十四歳…七万人(一万人増)、四・三%(〇・四ポイント上昇)
○六十五歳以上…二万人(同数)、一・一%(〇・一ポイント低下)

(5) 世帯主との続き柄別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 世帯主との続き柄別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…九十四万人(同数)、三・五%(同率)
○世帯主の配偶者…三十七万人(七万人減)、二・六%(〇・五ポイント低下)
○その他の家族…百六十三万人(一万人減)、八・九%(〇・一ポイント低下)
○単身世帯…四十九万人(二万人増)、六・三%(同率)

(6) 地域別完全失業率

 平成十三年一〜三月平均の地域別完全失業率及び対前年同期増減は、次のとおりとなっている。
 北海道…六・三%(〇・二ポイント低下)
 東北…五・〇%(同率)
 南関東…四・六%(〇・四ポイント低下)
 北関東・甲信…四・〇%(同率)
 北陸…四・〇%(同率)
 東海…三・八%(〇・二ポイント低下)
 近畿…六・一%(〇・二ポイント上昇)
 中国…四・〇%(〇・二ポイント上昇)
 四国…四・七%(〇・六ポイント上昇)
 九州…五・七%(同率)












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我が国のこどもの数(十五歳未満人口)


平成十三年四月一日現在推計人口


総 務 省


 総務省統計局では、五月五日の「こどもの日」にちなんで、我が国のこどもの数(十五歳未満人口)について公表した。その概要は次のとおりである。

1 こどもの数は一千八百三十四万人、総人口の一四・四%で戦後最低

 平成十三年四月一日現在のこどもの数(十五歳未満人口。以下同じ)は前年より二十四万人少ない一千八百三十四万人で、二十年連続の減少となった。男女別では、男性が九百四十一万人、女性が八百九十三万人で、男性が女性より四十八万人多く、女性一〇〇人に対する男性の数(性比)は一〇五・四となっている。
 総人口に占めるこどもの割合は一四・四%(前年比マイナス〇・三ポイント)で、二十七年連続の低下となり、戦後最低となった(第1表参照)。
 こどもの数を未就学の乳幼児(〇〜五歳)、小学生の年代(六〜十一歳)、中学生の年代(十二〜十四歳)でみると、それぞれ七百十二万人(総人口の五・六%)、七百二十三万人(同五・七%)、三百九十九万人(同三・一%)となっている(第2表参照)。
 これを年齢三歳階級別にみると、中学生の十二〜十四歳が三百九十九万人(総人口の三・一%)と最も多く、次いで小学校高学年の九〜十一歳が三百六十六万人(同二・九%)となっており、以下、〇〜二歳が三百五十八万人(同二・八%)、六〜八歳が三百五十七万人(同二・八%)、三〜五歳が三百五十五万人(同二・八%)と、ほぼ同じ数となっている(第2表第1図参照)。

2 こどもの割合は年々低下

 こどもの割合は、第一次ベビーブーム期(昭和二十二〜二十四年)後の出生児数の減少を反映して昭和二十年代後半から低下し、三十一年には三二・六%と三分の一を、四十一年には二四・八%と四分の一を下回った。
 その後、こどもの割合は、昭和四十年代後半には第二次ベビーブーム期(昭和四十六〜四十九年)の出生児数の増加によりわずかに上昇したものの、五十年代に入って再び低下し、六十三年には一九・五%と五分の一を下回り、平成十三年は一四・四%と、約七分の一となっている(第2図付表1参照)。
 国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、こどもの割合は平成二十五年(二〇一三年)頃まではほぼ横ばいで推移し、その後ゆるやかに低下すると見込まれている(第3図参照)。

3 二〇%を下回った沖縄県のこどもの割合

 こどもの割合(平成十二年十月一日現在推計)を都道府県別にみると、沖縄県が一九・五%で最も高く、東京都が一二・五%で最も低くなっている。沖縄県のこどもの割合は推計開始(昭和四十六年)以来はじめて二〇%を下回った。なお、こどもの割合が全国平均(一四・五%)よりも低いのは、十四都道府県となっている(第4図参照)。
 平成七年と比較すると、すべての都道府県でこどもの割合は低下している。低下幅が大きいのは長崎県の二・七ポイント、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の二・六ポイントとなっており、低下幅が小さいのは東京都の〇・三ポイント、大阪府の〇・五ポイントと、都道府県間で差がみられる(付表2参照)。

4 こどもの割合は諸外国に比べ低い

 我が国のこどもの割合を諸外国と比較すると、調査年次に相違はあるものの、最も低いイタリアとほぼ同じ水準となっている(第3表参照)。
(注) 推計人口は、国勢調査による人口を基礎に、その後の人口動向を他の人口資料から得て算出している。
 平成十三年四月一日現在人口及び十二年十月一日現在人口は、十二年国勢調査要計表による人口を基準として算出した。




 六月一日は多くの川で鮎(あゆ)釣りが解禁になり、この日を待ちわびた釣り人で賑(にぎ)わいます。鮎は優雅な姿、上品な味わいからしばしば川魚の王といわれます。しかし、その一生は短く、寿命はほとんどの場合一年です。
 秋に川底でふ化した鮎の稚魚は、いったん海に入って冬を過ごし、早春になって六、七センチに育つと再び川へ。川を遡(さかのぼ)り、岩についた藻(も)や苔(こけ)などを食べながら成長していく鮎は「若鮎」「小鮎」と呼ばれ、俳句では春の季語に挙げられます。
 夏の間に栄養を十分蓄え、体長二十センチ余、丸々太った鮎は、秋になるとまた川を流れ下り、河口で産卵して一生を終えます。この時期の鮎は「落鮎」「下り鮎」「錆(さび)鮎]の呼び名があり、俳句では秋の季語となっています。
 このように一年で一生を終えることから「年魚」と呼ばれますが、まれに生きながらえて年を越した鮎は「とまり鮎」「通し鮎」と称されます。また、一種独特の香りをもっていることから「香魚」と呼ばれることもあります。ちなみに「鮎」の語源は、川を下り落ちるを意味する古語の「あゆる」に由来するといわれています。
 さて、六月に入ると水に親しむ機会が増えます。海や川などに行くときは天候、自分の体調などを十分チェツクして安全を心がけましょう。また、モーターボートや水上オートバイに乗るときはルールを守り、事故を起こさないようにしたいものです。



ブロードバンド −Broadband−


 直訳すると「広い帯」。最近話題のADSLや光ファイバー利用のCATV回線などで大容量の情報を高速で送受信できる通信環境のことです。これに対して従来の電話回線やISDN回線の通信環境は「ナローバンド(狭い帯)」と呼ばれます。
 いまのところ明確な規定はありませんが、五〇〇kbps(一秒間に五〇〇キロビットを通信)程度以上の通信回線が「ブロードバンド」とされています。従来の電話回線やISDN回線は数十kbpsなので、これまでの数倍から数十倍もの速度で通信することができることになります。
 本格的なブロードバンド時代の到来によって、今後はインターネットで音声や映像の大容量情報を配信するサービスが増えていくと予想され、テレビ放送のようなこともインターネットでできるようになりそうです。
 通信事業者や各種のサービス事業者、ポータルサイトなどの事業者は、こぞってブロードバンド時代に向けた設備投資を進めているところです。



    <6月13日号の主な予定>

 ▽人口移動の概要………………………総 務 省 

 ▽労働力調査特別調査(二月)………総 務 省 




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