官報資料版 平成13年6月20日




                  ▽漁業白書のあらまし………………水 産 庁

                  ▽家計収支(三月分)………………総 務 省

                  ▽労働力調査(四月)………………総 務 省

                  ▽平成十二年度平均家計収支………総 務 省











漁業白書のあらまし


―平成十二年度 漁業の動向に関する年次報告―


水 産 庁


 「平成十二年度漁業の動向に関する年次報告」及び「平成十二年度において沿岸漁業等について講じようとする施策」(いわゆる漁業白書)は、平成十三年四月十七日、閣議決定の上、国会に提出、公表された。
 平成十二年度の漁業白書のあらましは次のとおりである。

はじめに(白書の作成方針)

 我が国水産業をめぐっては、国連海洋法条約や日韓・日中の漁業協定の発効による本格的な二百海里体制への移行、周辺水域の資源悪化等による漁業生産の減少、担い手の減少・高齢化の進展等内外の諸情勢が大きく変化している。
 水産業は、国民への水産物の安定供給をはじめ豊かな国民生活の基盤を支える産業であり、こうした諸情勢の変化に的確に即応し、今後ともその健全な発展を確保していくためには、これまでの政策を見直し、新たな政策を構築していく必要がある。
 こうした認識に立ち、平成十一年十二月、今後の水産政策の指針となる水産基本政策大綱が策定され、今後、これに沿って施策の具体化が進められることになっている。
 我が国の水産行政は、これまで、昭和三十八年に制定された沿岸漁業等振興法に示された方向に沿って展開されてきたが、今後、新たな理念を明確にし、これに基づき政策展開を行うに当たっては、これまで講じてきた施策の成果や評価を踏まえることが重要である。こうした政策評価を踏まえた新たな政策構築の姿勢は、国民からの理解や支持が得られる政策推進につながるものと考えられる。
 「十二年度漁業の動向に関する年次報告」は、このような観点に立ち、沿岸漁業等振興法の下での諸施策の成果と今日的評価について検討を行うことに重点を置いた。

第T章 沿岸漁業等振興法の成果と課題

一 沿岸漁業等振興法の制定

 昭和三十年代に入り高度経済成長期を迎える中、漁家所得は他産業従事者の所得と比較してかなり低い水準にあった。このような状況の中、三十八年に、沿岸漁業及び中小漁業についての政策の基本方向を示す法律として、「沿岸漁業等振興法」(以下「沿振法」という)が制定された。
 沿振法では、沿岸漁業及び中小漁業の発展を促進するとともに、沿岸漁業等の従事者が他産業従事者と均衡する生活を営むことができるようにすることを政策目標に位置付けている。
 また、この政策目標を実現するため、水産資源の維持増大、生産性の向上と経営の近代化、水産物の流通の合理化、従事者の福祉の増進等の施策の基本方向が明らかにされている。

二 沿岸漁業等振興法の下での施策の展開と成果等

 沿振法で方向付けが行われた基本的な施策ごとに、具体的な施策の展開状況とその成果等を概観すると以下のとおりである。
(一) 水産資源の維持増大
 (ア) 水産資源の適正な利用
  漁業法等により、漁獲についての調整・管理等の規制措置を講じてきている。しかしながら、漁獲努力量の管理よりも漁業調整に重点が置かれ、資源特性に見合った適正な利用が必ずしも十分に図られなかった。
  国連海洋法条約に基づく新たな海洋法秩序の下で、我が国においても漁獲可能量(TAC)制度等の新たな政策が導入されたが、今後、水産資源の適切な保存管理と持続的利用の確保が重要な課題である。現在、我が国周辺水域の多くの魚種が低い資源状態にある実態を踏まえれば、漁獲努力量の削減等による資源の回復が急務となっている。
 (イ) 水産動植物の増殖
  さけ・ます類のふ化放流事業の推進、栽培漁業センターの整備による種苗の生産・放流等により資源の増大に寄与した。
  今後さらに栽培漁業を推進していくためには、放流規模の拡大や定着を図っていく必要がある。同時に、コスト低減等を進める必要がある。
(二) 漁業の生産性の向上
 (ア) 漁港の整備並びに漁場の整備及び開発
  漁港については、漁港整備計画に従って計画的に整備が進められることになった。また、漁場の整備及び開発については、魚礁設置、増養殖場の造成等が沿岸漁場整備開発事業として総合的・計画的に実施されている。これらの積極的な取組により、漁業の生産性の向上に貢献している。
  今後、水産資源の持続的利用や安全で効率的な水産物の供給体制の整備といった新たな政策課題に対応し、効果的、効率的な事業実施が求められている。
 (イ) 漁業技術の向上
  漁業技術については、その時々に漁業が直面している課題に対応し、関係機関で役割分担を行いながら、その開発と普及が進められた。さらに、補助、融資等の制度を活用して生産現場等への導入が積極的に進められ、生産量の増大や生産の効率化等に貢献してきている。
  今後の技術開発においては、適切に管理しないと枯渇するおそれのある有限天然資源を利用するという漁業の特質を踏まえ、水産資源の持続的利用体制の構築への貢献が求められている。
(三) 漁業経営の近代化と経営安定対策
 沿岸漁業構造改善事業等の補助事業や農林漁業金融公庫資金等の各種融資措置を活用し、漁船の建造・改造、新技術の導入等が進められてきた。これらの取組により、漁船の動力化・大型化が急速に進んだ。また、漁業の効率化・省力化が図られてきている。
 今後とも、経営内容の充実を図るため、最新の技術の導入等を進めていく必要があるが、同時に、持続的・安定的な経営展開が促進されるような条件を整備していくことも重要な課題となっている。
(四) 水産物の流通の合理化等
 (ア) 水産物の流通の合理化
  水産物の保蔵、輸送施設、産地市場等の流通施設等の総合的な整備が進められてきている。これにより、コールドチェーンが確立されるとともに、水産物の安定供給とこれを通じた需要拡大に大きな役割を果たし、漁家の所得向上にも貢献した。
  今後、消費者ニーズに的確に対応し、安全性の向上のための施設整備に加え、的確な表示等の体制の整備を進める必要がある。
 (イ) 加工及び需要の増進
  水産加工施設は、流通関係施設と一体となって補助事業による整備が進められ、水産加工場の団地化が進んだ。これらの施策の効果もあり、水産加工業は、漁獲物の最大の販路となるとともに、水産物の需要の開拓にも貢献した。
  今後、水産加工業については、業界の組織強化、原料調達や製品販売の協業化等の取組への支援により、体質強化を図ることが必要となっている。
(五) 水産物の輸出振興、輸入の調整等
 我が国の水産物輸出については、輸出取引の秩序の確立のため、輸出水産業組合による調整行為が行われてきている。また、「輸出検査法」等により、品質の維持向上が図られてきた。これらにより、水産物の輸出は増加したものの、円高の影響等により近年は総じて低調に推移している。
 一方、我が国の沿岸・沖合漁業の主要対象漁獲物については、その無秩序な輸入が我が国漁業及び国内需給に悪影響を与えないよう、輸入割当制度(IQ制度)を実施してきている。
 IQ制度は、水産資源の適切な保存・管理を補完する役割を果たすものであり、今後とも、IQ制度のこのような役割・機能は適正に評価していく必要がある。
(六) 漁業従事者の養成確保等
 試験研究の成果は、水産業改良普及事業を通じ、また、沿岸漁業改善資金等を活用し、現場への導入が進められてきた。また、漁業関係研修所や水産大学校等における水産教育の充実が行われてきている。これらにより、漁業従事者の資質向上に貢献してきたと考えられる。
 今後、漁業就業者の減少・高齢化が進む中、生産技術だけでなく加工・流通や経営ノウハウも含め、水産物の供給を担う経営者として養成していくことが重要な課題となっている。
(七) 漁業従事者の福祉の増進
 (ア) 漁村における生活環境の整備
  関係省庁の各種事業の下で、道路、上下水道施設等の整備が進められてきているほか、漁港機能の増進と生活環境の改善を一体的に図るため、漁業集落環境整備事業が創設され、その推進が図られている。
  今日においても、都市部や農村部と比べ生活環境の整備が大きく立ち後れており、今後、生活環境の整備を加速化させていくことが必要である。
 (イ) 労働関係の近代化
  漁船船員について、賃金の固定給化への転換や雇用期間の延長等の雇用条件の改善が図られてきている。また、船員の安全・衛生の確保等の労働環境の改善が図られてきている。
  漁船船員の不足が懸念される中、今後、さらに船員確保のため、労働時間の短縮、船内居住環境の改善等、労働条件や労働環境の改善等に努める必要がある。

三 沿岸漁業等振興法の成果の総括と課題

(一) 沿岸漁業等振興法の成果の総括
 沿振法制定後、法律に示された方向に沿った施策展開が行われたこと等により、漁業生産量は増大し、また、生産の効率化等が推進され、結果として、漁業者の所得も向上し、沿振法は、所期の目的の実現に一定の成果を上げたものと考えられる(第1図)。
(二) 沿岸漁業等振興法制定後の諸情勢の変化と課題
 しかしながら、その後、沿振法制定時には予期し得なかったような諸情勢の変化により、沿振法に示されている政策の方向だけでは必ずしも対処し得ないような新たな課題が生じてきている。
@ 経済情勢の変化
 沿振法制定後の我が国のめざましい経済成長の下で、水産物貿易をめぐる環境が大きく変化し、現在、食用魚介類の四割以上が輸入水産物によって賄われるようになっている。こうした中で、可能な限り国内生産を基本とし、将来にわたり水産食料を国民に対し安定的に供給していく体制を構築することが求められている。
A 国際海洋法秩序の変化
 戦後、沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へと漁場の外延的拡大により発展してきた我が国漁業は、諸外国の二百海里水域の設定により漁場の喪失等大きな制約を受けるとともに国連海洋法条約の発効等に伴い、水産資源の適切な保存・管理措置が義務付けられた。我が国水産業については、資源の持続的利用に向けた枠組みを構築しながら発展を図っていくことが求められている。
B 経営条件の変化
 担い手については、今日では若い漁業者の減少が進み、将来の漁業の担い手の確保さえ憂慮される状況に立ち至っている。また、漁業経営について、漁場や資源面でのさまざまな制約が生じてきている。こうした中で、意欲ある担い手の確保・育成と、その経営の安定と発展のための条件を整備していくことが求められている。
C 水産物需要の変化
 食料消費水準の飽和化、経済成長の低下等の中で、水産物需要は横ばい傾向に転じた。消費者は、食料供給の安定性や食品の品質・安全性等に強い関心を寄せるようになってきており、水産物の供給サイドには、こうした消費者ニーズへの的確な対応が求められている。
D 水産資源の変化
 近年、我が国周辺水域では、過剰漁獲や漁場環境の悪化等から資源状態が悪化し、漁獲量も減少傾向にある。水産資源は国民への水産物供給や水産業発展の基礎であり、資源の増大やその持続的利用の体制を早急に構築するため、的確な対応が求められている。

第U章 平成十一年度以降の我が国水産業の動向

一 水産物需給

(一) 国内漁業生産
 平成十一年の漁業生産量は、前年に比べ一%減少し六百六十二万六千トンとなった(第2図)。魚種別にみると、まいわし、すけとうだら、するめいか等が増加したものの、さば類、まあじ、かつお等が減少した。
 漁業生産額は、前年に比べ二%減少し一兆九千八百六十八億円となった。
(二) 水産物貿易
 十一年の水産物輸入は、数量ベースで三百四十一万六千トン、金額ベースで一兆七千三百九十五億円となった。
 なお、近年の国内漁業の状況や水産物輸入の動向にかんがみ、WTO(世界貿易機関)協定で認められている一般セーフガードの迅速な発動に資するため、輸入水産物が国内漁業に及ぼす影響等に関する情報を早期に把握できる体制の整備が講じられた。
(三) 水産物消費
 十一年七月の「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)改正により、一般消費者向けのすべての飲食料品について、品質に関する表示を行うことが義務付けられた。
 水産物については、生鮮品が十二年七月から、加工食品は十三年四月から適用されている。生鮮品の品質表示の実施状況について調査(十二年十一月)を行った結果、水産物の原産地表示については、他の食品に比べ低い状況であったことから、今後、業界への指導や場合によっては、JAS法に基づく指示を行うなど厳正に対処することとしている。
(四) 水産物の自給率
 我が国の食用魚介類の需要量は、おおむね横ばい傾向で推移している。供給面では、国内生産量が減少する一方で水産物輸入が増加傾向にあることから、我が国の食用魚介類の自給率は低下傾向で推移しており、十一年においては五五%となった。海藻類の自給率も低下し、六一%となった(第3図)。

二 水産資源の持続的利用

(一) 我が国周辺水域の水産資源の動向
 主要魚種の資源状態は、まいわし、まさば、さんま、多くの底魚類等多数の魚種で低い水準になっている。さらに、それら資源の動向は、多くの魚種、系群で横ばい又は減少の傾向にある。
(二) 水産資源の持続的利用に向けた取組
 (ア) TAC制度の運用状況
  現在、さんま、すけとうだら、まあじ、まいわし、さば類、するめいか、ずわいがにの七魚種を対象にして運用されているTACについては、さんま、まあじ、さば類において、海況等の要因により漁場形成が悪かったことから、消化状況が低い水準であった。
 (イ) 海面養殖業の現状
  十一年五月、「持続的養殖生産確保法」が制定され、十二年十一月までに、六県、八十三の漁業協同組合で漁場改善計画が作成されている。
  なお、十二年末頃から、九州の有明海において、珪藻赤潮の大発生により、養殖のりの「色落ち」が発生し、記録的な不作に見舞われた。このため、農林水産省では、十三年一月に「農林水産省有明海ノリ不作対策本部」を設置した。
 また、原因究明のための緊急調査を開始するとともに、学識経験者や漁業者の代表等からなる「有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会」の議論を踏まえ、十三年度からは、有明海の海域環境やのりの不作原因の究明を目的とした総合的な調査を実施することとしている。
 さらに、のり養殖共済金の早期支払い等の指導に加え、沿岸漁業経営安定資金の貸付利率の無利子化等の措置を講じている。

三 我が国漁業をめぐる国際的な動き

(一) 世界の漁業生産と水産物貿易の動向
 (ア) 世界の漁業生産の動向
  世界の漁業生産量は、一九九八年(平成十年)は前年比三%減の一億二千六百九十一万トンとなった。うち、中国の漁業生産量は四千四百四十七万トンで世界の漁業生産量の三五%を占め、一九八八年以降世界第一位の生産国となっている。
 (イ) 世界の水産物貿易の動向
  世界の水産物貿易の規模は、一九九八年は前年に比べ縮小した。
  我が国は、世界の輸入量の一五%、輸入額の二三%を占め、いずれも世界第一位となっている。
(二) 我が国漁業をめぐる国際動向
 (ア) 中国との漁業関係
  平成九年十一月に新たな漁業協定が署名されたが、操業条件等の協議が難航した。その後、協議が進められた結果、中間水域の設定、中間水域の外側水域における操業条件等について意見が一致し、十二年六月、我が国と中国との間で、新たな漁業協定が発効し、両国漁船はともに相手国の決定した条件の下、相手国水域における操業を開始した。
 (イ) 地域漁業管理機関をめぐる動き
  近年、地域漁業管理機関では、便宜置籍漁船等IUU漁船による無秩序な操業の廃絶に向けた動きが活発化している。
  我が国は、国際的な資源管理を推進する観点から、ICCATの勧告等に沿い、便宜置籍漁船対策を強化している。また、十二年十二月には、まぐろ資源の保存及び管理の強化を目的とした「社団法人責任あるまぐろ漁業推進機構」が設立された。
 (ウ) 国際捕鯨委員会
  国際捕鯨委員会(IWC)では、我が国は、科学的根拠に基づいた鯨資源の保存と持続的利用の必要性を一貫して主張している。このような中、十二年の北西太平洋鯨類捕獲調査は、資源の極めて豊富なみんくくじらのほか、にたりくじら及びまっこうくじらによるさんま、すけとうだら、するめいかなどの海洋生物資源の捕食量を把握し、増加しつつある鯨類資源の漁業資源への影響を研究することを主目的としており、我が国周辺水域の漁業管理に貢献するものである。

四 漁業生産構造と漁業経営

(一) 漁業生産構造
 海面における漁業経営体数は、経営主の高齢化、後継者不足等により減少を続けており、平成十一年の漁業経営体数は、十五万二百二十八となった。
 漁業就業者は減少傾向が続いており、十一年には二十七万人となった。男子漁業就業者に占める六十歳以上の割合は四四%、六十五歳以上の割合は三〇%で、高齢就業者の割合は年々高まっている。
(二) 漁業経営
 十一年の漁家(十トン未満の漁船漁家、小型定置網漁家及び海面養殖業漁家)所得は、沿岸漁船漁業の漁家所得、海面養殖業の漁家所得がともに増加したことにより、前年比一%増の六百五十六万円となった。
 十一年度の中小漁業の漁業利益は、漁業収入の減少等により前年度に引き続き赤字となった。

五 海洋環境の保全

 藻場・干潟、砂浜等は、埋立、護岸工事等により、依然として減少傾向にある。
 ダイオキシン類、内分泌かく乱物質等については、発生源対策や魚介類に蓄積されるメカニズム等に関する調査・研究の強化が必要である。
 赤潮、油濁等の漁業被害は減少したが、十二年七月、コックロディニウム赤潮によって八代海のかんぱち養殖等に甚大な被害(被害金額約三十九億八千万円)が発生した。

六 漁村の現状と活性化への取組

(一) 国民生活と漁村
 漁港を中心として形成されている漁村は、国民に対する水産物の供給基地としての役割のほか、国民への健全なレクリエーションの場の提供など多面にわたる役割を果たしている(第1表)。
 漁村の活力の低下が懸念される中、これらの役割・機能について調査を進めるとともに、国民的な理解の増進を図るため、情報提供や普及活動等の取組が必要である。
(二) 漁村の生活環境の改善と活性化への取組
 (ア) 漁村の生活環境の改善
  漁村は、都市と比較して道路、下水道、廃棄物処理施設等の生活関連公共施設の整備は低い水準にある。
  このような中、漁村の生活環境の積極的な改善を図るため、平成十二年度から、漁村生活環境改善推進運動(漁村リフレッシュ運動)を展開し、官民一体となって、生活環境改善のための施設整備等を推進していくこととしている。
 (イ) 漁村の活性化への取組
  漁村では、漁業世帯数、世帯員数ともに減少傾向で推移しており、また、漁業世帯員の三割が六十歳以上となるなど高齢化が進んでおり、漁村の活力の低下が懸念されている。
  このような中、漁村の活性化を図るため、新鮮な魚介類、豊かな自然や景観等の地域資源を見直し、これらを活用したさまざまな取組が行われるようになってきている。
  また、体験学習の場の提供等による都市住民との交流により地域の活性化を図ろうとする取組も行われている。

七 試験研究と技術開発の推進

 平成十二年六月に、二十一世紀に向けた今後の我が国の水産分野における技術開発・試験研究の一層の効率的な推進を図るため、「水産研究・技術開発戦略」が策定された。
 この戦略においては、試験研究・技術開発の一層の効率的推進を図るための方向性とともに、今後、重点的に実施すべき課題を提示し、おおむね十年を見通した期別目標を設定している。

むすび

 水産業や漁村が、将来にわたり国民の期待に応え得るようその発展を確保していくためには、これまでの水産政策を抜本的に見直し、新たな政策の枠組みに再構築していくことが求められている。その際、特に、以下の視点は、現在の沿振法には欠けている又は十分な位置付けがない点である。
@ 二百海里体制の下で、我が国の漁業生産の増大を図ることを基本に、国民に対し水産物を安定的に供給していくこと
A 水産資源は適切な管理を行わなければ枯渇する有限天然資源であり、持続的利用を図っていくことが重要であること
B 漁業だけでなく水産加工業、水産流通業も含めた水産業全体を食料供給産業としてとらえ、その健全な発展を図り、消費者ニーズに的確に対応していくこと
C 漁村を水産業発展の基盤ととらえ、その振興を図っていくこと
 こうした点も踏まえ、今日及び将来において、水産業及び漁村に関し求められている基本的な政策方向を整理すると、以下のとおりである。
(水産物の安定供給の確保)
 水産物は、国民に対する良質なたんぱく質の重要な供給源であるとともに、優れた栄養特性を有しており、国民の健全な食生活において重要な地位を有している水産物については、良質なものが安定的に供給されなくてはならない。
 その水産物の安定的な供給については、世界の水産物の需給及び貿易が不安定な要素を有していることから、水産資源の持続的な利用を確保しつつ、我が国の漁業生産の増大を図ることを基本とし、これに、我が国の水産業による生産では需要を満たすことができないものの輸入を適切に組み合わせていく必要がある。
(水産資源の持続的利用)
 水産資源については、生態系を構成する有限天然資源であることから、持続的な利用が確保される必要がある。国連海洋法条約において、沿岸国は、自国の排他的経済水域における水産資源の保存管理が義務付けられたが、我が国は四面を海に囲まれ、広大な排他的経済水域を有しており、これを高度に活用していくことが求められている。
 しかしながら、我が国周辺水域の資源状態は過剰漁獲等により悪化しており、資源水準の回復と持続的利用体制の構築が急務である。
(水産業の健全な発展)
 水産業は、国民に対する水産物の供給という重要な使命を担っているが、その健全な発展のためには、水産資源を持続的に利用し、かつ、多様化する国民の需要に即した漁業生産並びに加工・流通が行われるようにすることが重要である。
 こうした観点に立ち、効率的・安定的な漁業経営を育成するとともに、漁業、水産加工・流通業の連携の確保や漁港、漁場その他の基盤の整備を進めていくことが重要である。
(漁村の振興)
 漁村は、漁業者を含めた地域住民の生活の場として水産業の発展の基盤としての役割を果たしている。またこのことが、水産業や漁村が食料供給以外の多面にわたる機能を発揮する基礎条件になっている。
 その漁村については、依然として都市部に比べ生活環境の整備が大きく立ち後れている一方で、遊漁等の海洋性レクリエーションに対する新たな期待も寄せられており、こうした状況を踏まえ、生活環境の整備を含めた総合的な地域振興対策が求められている。
 今後、こうした視点を踏まえ、今日及び将来において、水産業が我が国経済社会において果たすべき役割と目指すべき方向を国民合意として明確にする必要がある。このため、沿振法に代わる新たな基本法を急ぎ制定することが必要である。


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消費支出(全世帯)は実質一・五%の増加


―平成十三年三月分家計収支―


総 務 省


◇全世帯の家計

 前年同月比でみると、全世帯の一世帯当たりの消費支出は、平成十二年五月以降四か月連続の実質減少となった後、九月は実質増加、十月、十一月は実質減少、十二月は実質増加、十三年一月は実質減少となり、二月、三月と二か月連続の実質増加となった。
 一人当たりの消費支出は、十万四千四百七十一円で、前年同月に比べ実質二・一%の増加。

◇勤労者世帯の家計

 前年同月比でみると、勤労者世帯の実収入は、平成十二年五月に実質増加となった後、六月以降四か月連続の実質減少、十月、十一月は実質増加となり、十二月以降四か月連続の実質減少となった。
 また、消費支出は、平成十二年五月以降四か月連続の実質減少となった後、九月は実質増加、十月、十一月は実質減少、十二月は実質増加、十三年一月は同水準となり、二月、三月と二か月連続の実質増加となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十九万四千二百七円。
 前年同月に比べ、名目二・九%の増加、実質三・四%の増加。

◇季節調整値の推移(全世帯・勤労者世帯)

 季節調整値でみると、全世帯の消費支出は前月に比べ実質三・三%の減少となった。勤労者世帯の消費支出は、前月に比べ実質三・〇%の減少となった。












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四月の雇用・失業の動向


―労働力調査平成十三年四月結果の概要―


総 務 省


◇就業状態別の人口

 平成十三年四月末の就業状態別人口をみると、就業者は六千四百二十七万人、完全失業者は三百四十八万人、非労働力人口は四千八十四万人と、前年同月に比べそれぞれ十三万人(〇・二%)減、二万人(〇・六%)増、六十三万人(一・六%)増となっている。

◇就業者

(1) 就業者

 就業者数は六千四百二十七万人と、前年同月に比べ十三万人(〇・二%)の減少となり、七か月ぶりの減少となっている。男女別にみると、男性は三千七百九十五万人、女性は二千六百三十三万人で、前年同月と比べると、男性は六万人(〇・二%)減、女性は六万人(〇・二%)減となっている。

(2) 従業上の地位

 就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千三百五十九万人、自営業主・家族従業者は、一千四十六万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は七十万人(一・三%)増、自営業主・家族従業者は八十三万人減となり、雇用者は十二か月連続の増加となっている。
 雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千三百二十一万人と、六十七万人(一・三%)増、十二か月連続の増加
 ・常 雇…四千六百六十七万人と、三十六万人(〇・八%)増、六か月連続の増加
 ・臨時雇…五百三十七万人と、三十万人(五・九%)増、平成八年九月以降、増加が継続
 ・日 雇…百十七万人と、一万人(〇・九%)増、二か月連続の増加

(3) 産 業

 主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…二百九十四万人と、二十二万人(七・〇%)減
○建設業…六百四十七万人と、十七万人(二・六%)減、五か月連続の減少
○製造業…一千二百九十一万人と、一万人(〇・一%)増、三か月連続の増加
○運輸・通信業…三百九十四万人と、二十万人(四・八%)減、五か月連続の減少
○卸売・小売業,飲食店…一千四百六十四万人と、二十万人(一・四%)増、二か月連続の増加
○サービス業…一千七百五十九万人と、二十九万人(一・七%)増、十四か月連続の増加
 また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…五百三十万人と、十六万人(二・九%)減
○製造業…一千百八十六万人と、十六万人(一・四%)増
○運輸・通信業…三百七十五万人と、十三万人(三・四%)減
○卸売・小売業,飲食店…一千百九十二万人と、三十四万人(二・九%)増
○サービス業…一千五百二十六万人と、四十七万人(三・二%)増

(4) 従業者規模

 企業の従業者規模別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千七百二万人と、一万人(〇・一%)増、六か月連続の増加
○三十〜四百九十九人規模…一千七百八十三万人と、六十四万人(三・七%)増、八か月連続の増加
○五百人以上規模…一千二百六十九万人と、八万人(〇・六%)増、三か月連続の増加

(5) 就業時間

 四月末一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜三十五時間未満…一千九百万人と、四百八十七万人(三四・五%)増加
 ・うち一〜三十時間未満…一千百三十六万人と、百三十八万人(一三・八%)増加
○三十五時間以上…四千三百九十六万人と五百十九万人(一〇・六%)減少
 ・うち四十九時間以上…一千五百六十八万人と、二百二十三万人(十二・五%)減少
 また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四一・一時間で、前年同月と比べ一・七時間の減少となっている。

◇完全失業者

(1) 完全失業者数

 完全失業者数は三百四十八万人と、前年同月に比べ二万人(〇・六%)増となり、三か月ぶりの増加となっている。男女別にみると、男性は二百十三万人、女性は百三十五万人で、前年同月に比べ、男性は七万人(三・四%)の増加、女性は四万人(二・九%)の減少となっている。
 また、求職理由別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非自発的な離職による者…百十一万人と、三万人減少
○自発的な離職による者…百二十二万人と、六万人増加
○学卒未就職者…二十四万人と、同数
○その他の者…七十八万人と、五万人減少

(2) 完全失業率(季節調整値)

 季節調整値でみた完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は四・八%で前月と比べ〇・一ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は五・〇%、女性は四・四%と、前月に比べ男性は〇・一ポイントの上昇、女性は〇・一ポイントの低下となっている。

(3) 完全失業率(原数値)

 完全失業率は五・一%と、前年同月と同率となっている。男女別にみると、男性は五・三%と〇・二ポイントの上昇、女性は四・九%と〇・一ポイントの低下となっている。

(4) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 [男]
○十五〜二十四歳…四十一万人(一万人増)、一〇・四%(〇・五ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…五十三万人(五万人増)、五・七%(〇・四ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十三万人(同数)、三・〇%(同率)
○四十五〜五十四歳…三十四万人(一万人増)、三・六%(〇・一ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…五十一万人(一万人減)、七・七%(同率)
 ・五十五〜五十九歳…二十二万人(二万人増)、五・七%(〇・八ポイント上昇)
 ・六十〜六十四歳…二十九万人(三万人減)、一〇・五%(一・三ポイント低下)
○六十五歳以上…十一万人(一万人増)、三・五%(〇・二ポイント上昇)
 [女]
○十五〜二十四歳…三十五万人(同数)、九・四%(〇・三ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…四十四万人(三万人増)、七・三%(〇・四ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十一万人(同数)、四・一%(同率)
○四十五〜五十四歳…二十万人(三万人減)、二・九%(〇・五ポイント低下)
○五十五〜六十四歳…十四万人(四万人減)、三・五%(〇・八ポイント低下)
 ・五十五〜五十九歳…七万人(一万人減)、二・八%(〇・三ポイント低下)
 ・六十〜六十四歳…七万人(三万人減)、四・四%(一・九ポイント低下)
○六十五歳以上…二万人(一万人増)、一・一%(〇・六ポイント上昇)

(5) 世帯主との続き柄別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 世帯主との続き柄別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…九十六万人(二万人減)、三・六%(同率)
○世帯主の配偶者…四十二万人(八万人減)、二・九%(〇・六ポイント低下)
○その他の家族…百六十四万人(十二万人増)、八・八%(〇・七ポイント上昇)
○単身世帯…四十七万人(同数)、六・〇%(同率)












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消費支出(全世帯)は実質〇・五%の減少


―平成十二年度平均家計収支―


総 務 省


◇全世帯の家計

 前年度比でみると、全世帯の消費支出は平成四年度以降三年連続の実質減少となった後、七年度は実質増加となったが、八年度から十一年度にかけて実質減少が続き、十二年度も実質〇・五%の減少と五年連続の実質減少となった。
 一人当たりの消費支出は九万七千九百二十二円で、前年度に比べ実質一・〇%の増加。

◇勤労者世帯の家計

 前年度比でみると、勤労者世帯の実収入は、平成五年度、六年度に実質減少となった後、七年度、八年度は実質増加となったが、九年度から十一年度にかけて実質減少が続き、十二年度も実質一・五%の減少と四年連続の実質減少となった。
 また、消費支出は、平成五年度、六年度に実質減少となった後、七年度、八年度は実質増加となったが、九年度から十一年度にかけて実質減少が続き、十二年度も実質〇・四%の減少と四年連続の実質減少となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十八万一千三百二十二円。
 前年度に比べ、名目〇・六%の減少、実質〇・一%の増加。












悪質業者の手口を知ろう


 品物やサービスの代金分割払いかと思っていたら、実は金融業者からの借金契約だった、というトラブルも発生しています。契約書をよく読み、説明をよく聞きましょう。
 また、国や都道府県に無登録で貸金業を営業して、高い金利をとったり暴力的な取り立てをしたりする業者もあります。返済に困っている多重債務者をターゲットにした悪質業者もあるので注意してください。
@紹介屋…あたかも低金利で融資するように思わせて多重債務者を呼び込み、「あなたの信用状態はよくない。うちでは貸せないのでほかの店を紹介する」などと言って、紹介料をだまし取る。
A整理屋…「あなたの債務を整理・解決します」などと広告し、多重債務者から「整理手付金」といった名目で現金などを預かり、「整理」を引き延ばした上、整理をしないで金をだまし取る。
B買取屋…融資の条件としてクレジットカードで商品を次々と買わせ、それらを定価以下で買い取り、さらに高金利で融資する商法。申込者には業者への借金のほかにクレジット会社への債務も残る。
C名義貸し…「消費者金融会社の調査」の「お金を借りるだけのアルバイト」と称して消費者金融会社から金銭を借り受けさせ、アルバイト料を支払った上で「返済はこちらでやっておく」と発行されたカードとともに金をだまし取る。集めた金とカードで返済と借入を繰り返すため返済が行われている間は発覚せず、長期間だまされていることに気づかない。




    <6月27日号の主な予定>

 ▽平成十二年賃金構造基本統計調査結果………厚生労働省

 ▽消費者物価指数の動向(五月)………………総 務 省




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