官報資料版 平成13年8月1日




                  ▽平成十三年版男女共同参画白書のあらまし……………………内 閣 府

                  ▽景気予測調査(五月調査)………………………………………財 務 省

                  ▽消費者物価指数の動向(東京都区部六月中旬速報値)………総 務 省











平成13年版


男女共同参画白書のあらまし


内 閣 府


 平成十三年六月二十二日、「平成十二年度男女共同参画社会の形成の状況に関する年次報告」及び「平成十三年度において講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策」(この二つを合わせて「男女共同参画白書」と称している。)が、閣議決定の後、国会に提出され、公表された。
 男女共同参画白書は、平成十一年六月に公布、施行された男女共同参画社会基本法に基づき、政府が毎年国会に提出することとされているものであり、内閣府及び関係府省において執筆し、内閣府において整理・編集し、取りまとめている。
 「平成十二年度男女共同参画社会の形成の状況に関する年次報告」は、第一部「男女共同参画社会の形成の状況」と第二部「平成十二年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策」に分かれている。「平成十三年度において講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策」においては、平成十三年度予算に盛り込まれた男女共同参画の推進に係る施策を中心に取りまとめている。なお、施策の記述に当たっては、平成十二年十二月に閣議決定された「男女共同参画基本計画」の構成に従っている。
 白書の概要は、以下のとおりである。

平成十二年度 男女共同参画社会の形成の状況に関する年次報告

序説 男女共同参画社会の実現に向けて〜二十一世紀を豊かで活力あるものするために〜

T はじめに
 「女性は地球の主役であるばかりか、地球の将来は女性の肩にかかっている」。平成十二年にニューヨークで行われた国連特別総会「女性二〇〇〇年会議」の開会に際して、アナン国連事務総長はこのように述べている。
 我が国においても、二十一世紀を豊かで活力のあるものとするには、男女共同参画が、最重要課題であり将来を展望する上で不可欠の視点である。
 男女共同参画という言葉自体は新しく、法令に初めて登場するのは平成六年の総理府組織令の改正により男女共同参画室が設置された時であるが、日本における女性の政治的、経済的、社会的、そして文化面での参画は長い歴史をもっている。

 前の千年紀の始まった頃、紫式部は中宮彰子に仕えながら、世界で最も古い小説といわれる源氏物語を書きついでいた。同僚の和泉式部は天才的歌人として豊かな感情をきらめく詞に凝縮していた。清少納言、赤染衛門など数多くの女性たちが仮名を駆使して随筆を、歴史書を、評論を著していた。こうした女性たちの文化面での活躍は、記紀万葉の時代から連綿と続いており、時代による変遷、盛衰はあっても、昭和平成の現在も大輪の花を咲かせている。
 経済的にも女性たちは農業や手工業や商業の支え手、担い手として働きつづけ、娘たちは親の家を相続してそこで子どもを育てる時代が長く続いた。嫁入りや男性中心の家族制度が武士階層だけでなく広く国民に普及したのは比較的最近のことといわれる。
 卑弥呼・臺与(とよ)から、推古・持統など数多くの女王、天皇も史上活躍し、実家を背景に、あるいは母親として政治に影響を与えた女性も少なくない。しかし、中世以降武士の力が強まるとともに儒教等の影響もあって、男尊女卑的な価値観が行きわたり、明治になっても継続強化された。
 昭和二十一年には、婦人参政権が実現するとともに、日本国憲法は法の下の男女平等を宣言し、家族、教育等の法制上の平等が明記された。日本の社会や経済はその後、高度経済成長を経て世界第二の経済大国になり、生産面の効率は高まり、物質的に豊かな生活、便利な生活を楽しむ国民が飛躍的に増加した。平均寿命も女性は八三・九九歳、男性は七七・一〇歳にまで伸び、教育水準も青年女子の半数近くが高等教育を受けるようになった。
 しかしこの間、雇用者化が急速に進み、大都市部に人口が移動し、職場と家庭が離れ、男は仕事、女は家庭という性別的役割分担が拡大し専業主婦が国民的に広がった。終身雇用・年功を基本とするいわゆる「日本型雇用」は男性従業員から失業(解雇)の不安を除き、その能力と帰属意識を高める一方、企業内訓練経験を重視する雇用慣行の下で女性たちはともすれば二流の労働力とみなされ、責任ある地位や仕事につくことが困難だった。また、子育てや介護への親族や地域からの援助は乏しく、女性たちは孤立しがちでまた能力を発揮する機会も乏しかった。
 しかし二十世紀末のバブル崩壊後、国際化や情報革命など画期的な環境の変化が進む中で、協調性と忍耐力に富み与えられた業務を大過なく遂行するだけの均質的な社員では新たな地平を切り開くことが難しくなっている。一方、新しい企業が新しい分野のリスクにチャレンジすることなしに日本の雇用や生活水準を維持することはできなくなっている。
 女性たちが今までの均質的な日本企業に乏しかった新しい人材として活躍し、また社会においても従来の常識にとらわれることなく、個性と創造力を発揮することが、豊かで活力に満ちた日本をつくる上で不可欠となっているのである。
 単に少子化、高齢化が進む中で労働力人口が減るのを補うため女性の労働力を利用せざるを得ないというだけではなく、男性と異なる個性、創造力、価値観をもつ女性が社会で活躍することによって、我が国の経済社会がより幅広い視点や新しい多様な知恵を得ることが期待されている。
 女性たちが新規分野に進出し、就業形態・勤務形態の多様化を進め、新しいライフスタイルを生み出すことにより、男性たちにも仕事だけではなく、家庭生活、社会生活、趣味などとの両立が可能な人生の選択肢が広がることになる。

 しかし、現実の日本社会には男女共同参画とはほど遠い現実が随所にみられる。
 例えば、UNDP(国連開発計画)が人類の進歩を測るために経済成長に係る指標として平均寿命や教育水準、一人当たり国民所得などから算定しているHDI(人間開発指数)によると、日本は二〇〇〇(平成十二)年で百七十四か国中九位と高位にあるが、女性が積極的に経済や政治などの意思決定に参画しているかどうかを国会議員や管理・行政職のうち女性の占める割合や賃金の男女格差から算定したGEM(ジェンダーエンパワーメント指数)は七十か国中四十一位となっている。これは、女性の能力の開発は進んでいるにもかかわらず、その能力を発揮する機会が十分には整っていないことを示している。
 日本でも、男女共同参画社会基本法の制定を始め多くの努力が行われているが、一九七五(昭和五十)年の国際婦人年以来、各国で日本以上のスピードで女性の社会進出が進み、地位向上を図る法制度が整備された結果、日本は国際的にみて立ち遅れているという現状が反映している。
 男女雇用機会均等法施行後十五年を経ても女子学生の就職は厳しく、非正規社員として働く女性が増加しており、民間企業で働く女性の約三分の二が年収三百万円以下であり、管理職・行政職への進出は緩やかである。町村議会のうち約五六%が女性議員ゼロであり、家庭内暴力、職場のセクシュアル・ハラスメントなど女性に対する暴力は個人の尊厳に関わる課題だが、根絶にはほど遠い。
 こうした状況が、男性の方が優遇されていると答えた者の割合が女性で八一・四%、男性で七〇・九%という世論調査の結果につながっているのであろう。
 日本ではまだ女性は社会な対等の構成員としてあらゆる分野に参画しているとはいえない状況だからこそ、男女共同参画社会の形成のための努力を強力に推し進めなければならないのである。

U 男女共同参画基本計画の策定と推進体制の強化

<男女共同参画基本計画の策定>
 平成十二年十二月十二日、男女共同参画社会基本法第十三条を受けて、「男女共同参画基本計画」が閣議決定された。この計画は、@男女共同参画社会基本法に基づく男女共同参画に係る初めての法定計画であること、A八年十二月に男女共同参画参画推進本部が決定した国内行動計画「男女共同参画二〇〇〇年プラン」に代わる新たな国内行動計画として位置付けられること、B十三年一月からの中央省庁再編後の新たな体制を前提とした計画であることにおいて、大きな意義を有している。
<推進体制の強化>
 平成十三年一月六日、中央省庁等改革に伴い、内閣機能強化の一環として、内閣総理大臣を長とする内閣府が新たに設置された。内閣府は、内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けること、及び内閣総理大臣が政府全体の見地から管理することがふさわしい行政事務の円滑な遂行を図ることを任務とする機関であり、各省より一段高い立場から行政各部の施策の統一を図るための企画立案及び総合調整を行うことを主な所掌事務としており、国政上の重要課題への対応を担うこととされている。
 とりわけ、男女共同参画社会の実現は二十一世紀の我が国社会の最重要課題であることから、この施策を推進していくために、各省庁にまたがる機能を政府として取りまとめていく国内本部機構の整備・強化が必要であった。
 このため男女共同参画会議が新設された。男女共同参画会議は、@男女共同参画基本計画に関する処理、A男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な方針、基本的な政策及び重要事項を調査審議すること、B@、Aに関し調査審議し、必要があると認めるときは内閣総理大臣及び関係各大臣に対し意見を述べること、C政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況を監視し、及び政府の施策が男女共同参画社会の形成の促進に及ぼす影響を調査し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び関係各大臣に意見を述べることを所掌事務としている。
 また、従来の総理府男女共同参画室の機能強化を図り、内閣府に男女共同参画局が設けられた。男女共同参画局は、行政各部の施策の統一を図るために必要となる男女共同参画社会の形成の促進に関する事項の企画立案・総合調整、男女共同参画基本計画の推進等を所掌事務とし、男女共同参画会議の事務局としての機能も担うこととされている。

第一部 男女共同参画社会の形成の状況

第一章 政策・方針決定過程への女性の参画

<立候補者、当選者に占める女性割合は増加>
 国政選挙における立候補者及び当選者に占める女性の割合をみると、衆議院では昭和三十五年(第二十九回選挙)以降、立候補者に占める女性の割合が当選者に占める割合を上回っており、立候補者、当選者ともに増加傾向にある。特に、平成十二年六月の選挙では、立候補者の一四・四%、当選者の七・三%を女性が占め、八年十月の立候補者一〇・二%、当選者四・六%から大きく増加している。
 また参議院では、昭和五十八年(第十三回選挙)以降、立候補者に占める女性の割合が大きく増加しており、平成十年七月の選挙では、立候補者の二三・二%、当選者の一五・九%を女性が占めている。
<着実に増加する国の審議会等における女性委員の割合>
 国の審議会等における女性委員の登用の促進について、政府は、平成八年五月の男女共同参画推進本部決定による「平成十二年(西暦二〇〇〇年)度末までのできるだけ早い時期に二〇%を達成する」という当面の目標に向けて取組を進めてきたが、期限より一年早く目標を達成した実績を踏まえ、十二年八月、男女共同参画推進本部は、国の審議会等における女性委員登用の当面の目標値として、「平成十七年(西暦二〇〇五年)度末までのできるだけ早い時期に」「三〇%を達成する」と決定したところである。
 平成十二年九月三十日現在の国の審議会等における女性委員の割合は二〇・九%となっている。

第二章 就業の分野における男女の共同参画

<年齢階級別労働力率のM字カーブは上方にシフト>
 我が国の女性の年齢階級別の労働力率の形状は、欧米が逆U字カーブを描いているのと異なりM字カーブを描いている。このようなM字カーブは、家庭の主婦の職場進出が進んだ昭和四十年代からみられる我が国の女性労働力率の特徴である。この形状は、我が国の女性には、出産・育児期にいったん就業を中断し、子育てが一段落したところで再就職するという就業パターンを持つ者が多いことを意味する。
<潜在的労働力率を年齢階級別にみると台形に、就業希望はあるものの実現していない>
 我が国でも、出産・育児期にある女性の就労意欲は高い。非労働力化している女性のうち就業を希望する者の状況について、これらの者に労働力人口を加えて算出した潜在的労働力率でみると、その形状は逆U字カーブを描き、先進諸国の形状に近づくことがわかる(第1図)。
<女性雇用者の高学歴化はさらに進展、女子新規学卒就職者に占める大卒と高卒の順位が逆転>
 女性雇用者の学歴構成をみると、昭和六十年当時と比べて大卒、高専・短大卒の割合は上昇傾向にある一方、高卒、中卒は減少している。平成十一年において、大卒が一一・〇%と前年と比べて一・一ポイント上昇し、高専・短大卒が二七・五%(前年比〇・八ポイント上昇)、高卒が五二・三%(前年比一・〇ポイント低下)、中卒が九・二%(前年比〇・九ポイント低下)とそれぞれ低下がみられ、女性雇用者の高学歴化が進んでいることがわかる。
 女子新規学卒就職者の構成比についても高学歴化が顕著となっている。昭和六十年当時と比べて、大卒の割合は上昇傾向にある一方、短大は上昇傾向にあったものが平成八年に減少に転じており、高卒、中卒については減少している。十二年においては、女子新規学卒就職者に占める大卒の割合が最も高く三六・一%、次いで高卒が三四・〇%と、大卒と高卒の順位が十二年に逆転している。
<一般労働者とパートタイム労働者との賃金の差は六六・九>
 厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」(平成十一年)により、一か月(平成十一年九月)に支払われた短時間パートの平均賃金月額をみると約八万九千七百円となっており、「十万円未満」とする者が七〇・六%を占める。また、国税庁「民間給与実態統計調査」(平成十一年)で一年間を通じて勤務した給与所得者の給与階級別分布をみると、男性では七百万円を超える者が二四・四%を占める一方で、女性は三・〇%に過ぎず、さらに女性は三百万円以下で六三・二%(男性一五・六%)、二百万円以下で三七・九%(男性六・二%)、百万円以下とする者も一四・五%(男性は一・九%)に及ぶ(第2図)。
 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(平成十二年)により、女性一般労働者の所定内給与を一〇〇とした場合の女性パートタイム労働者の賃金をみると六六・九である。
 一方、日本労働研究機構「職場における多様な労働者の活用実態に関する調査」(平成十一年)により、短時間労働者について職務レベルが自分と同程度と認識している一般正社員と比較してみた場合の状況をみると、時間当たり賃金の差について「自分の方が低い」と思う短時間労働者は七五・二%で、そのうち、その差について納得できない人は二九・六%みられる。さらに、納得できない理由をみると、最も高いのは「職務内容や責任が同じだから」が五一・八%、「職務内容や責任の違いに見合っていないから」が二九・四%となっている。
 企業においてできる限り多様な就業形態を用意し、これらを男女とも主体的に選択でき、また、どのような選択をしても、性別にかかわりなく公正な評価が担保される。こうした真に人々の意欲と能力をいかす企業が増えていくことが望まれているのではないか。

第三章 男女の職業生活と家庭・地域生活の両立

<精神的な面での役割が求められている、家庭の役割>
 平成十二年の内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」をみると、家庭のもつ役割について、「経済的に安定する」、「社会的に認められる」と答えた者が二〜三割程度であるのに対し、約八割の者が「精神的安らぎの場が得られる」と答えたほか、「子どもを生み育てることにより、生きがいが得られる」、「お互いに高め合うことができ、人間として成長できる」と答えた者の割合も比較的高くなっている。こうしたことから、家庭に対して、配偶者に対する依存等を前提とした経済的あるいは社会的な面での役割よりも、個々の自立を前提とした上で精神的な面での役割を求める者が多いことがうかがわれる。
<依然として根強く残る固定的役割分担意識>
 「男は仕事、女は家庭」という考え方について、同感する方か否かについては、「同感しない方」と答えた者の割合は、昭和六十二年(二六・九%)と平成十二年(四八・三%)を比べると増加しているが、七年(四八・〇%)と十二年(四八・三%)においては変化があまり見られず、性別による固定的な役割分担意識は、長期的には解消される方向にあるものの、依然として未だ根強く残っている状況にある。
 また、性別に見ると、「同感しない方」と答えた者が、女性で五三・五%、男性で四一・九%と、女性の方が高くなっている。年齢階級別にみると、女性の三十歳代、四十歳代で「同感しない方」と答えた者の割合が高く六割を超えているほか、女性の二十歳代、五十歳代も六割弱の者が「同感しない方」と答えている。男性では二十歳代、三十歳代で「同感しない方」と答えた者の割合が高く五割を超えている。
 一方、「同感する」と答えた者の割合は、女性の七十歳以上、男性の六十歳代及び七十歳以上で高くなっている。
<三十〜四十歳代女性は就業継続型を支持>
 女性が職業をもつことについてどう考えるかについては、平成十二年においては、「子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつ方がよい」と答えた者(以下「再就職型」という。)の割合が、三七・六%と最も大きく、「子どもができてもずっと職業を続ける方がよい」と答えた者(以下「就業継続型」という。)の割合(三三・一%)を上回っている。
 性別にみると、再就職型の割合は、女性で三九・八%、男性で三五・〇%、就業継続型の割合は、女性で三四・四%、男性で三一・五%と、いずれも女性の方が高くなっている。
 年齢階級別にみると、女性では、二十歳代から四十歳代までは、再就職型が減少し、就業継続型が増加する傾向にあり、四十歳代では、就業継続型(四〇・二%)が再就職型(三八・一%)を上回っている。五十歳代以降は、再就職型が増加し、就業継続型が減少している。三十歳代から四十歳代にかけて、就業継続型が増加傾向にあるが、これは、育児により仕事をやめた、あるいは育児の壁と奮闘しながら実際に仕事を継続している三十歳代から四十歳代の女性が、再就職の難しさを反映して就業継続のメリットを実感することによるものと考えられる。
 なお、男性では三十歳代と五十歳代で就業継続型が再就職型を上回っている(第3図)。
 少子・高齢化が急速に進展する中、二十一世紀の我が国は女性が社会のあらゆる分野に参画することを前提とした社会システムが必要となる。仕事と子育ての両立の負担を軽減するための取組を政府を挙げて進めることは、我が国にとって、重要かつ喫緊の課題となっている。

第四章 高齢男女の暮らし

<介護に対する社会の支援>
 介護の問題は、高齢化の問題と切り離すことができない。
 介護保険法に基づく要支援又は要介護の認定を受けている者は十三年一月末現在で約二百五十一万人であり、六十五歳以上人口の約一一%に相当する(ただし、要支援又は要介護の認定を受けている者には、老化に伴って生じた要介護状態にある四十歳から六十五歳までの者が含まれる。)。
 介護の負担を要介護者の家族、とりわけ女性に集中することなく、社会全体で支えていくことが重要である。

第五章 女性に対する暴力

<女性の人権に関する意識>
 内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」(平成十二年)において、「女性の人権が尊重されていないと感じるのは、どのようなことか」について聞いたところ、男女ともに最も多かったのは、「痴漢行為」(女性三六・九%、男性二九・六%)で、以下、「職場におけるセクシュアル・ハラスメント(性的いやがらせ)」(女性三四・七%、男性二七・〇%)、「家庭内での夫から妻への暴力(酒に酔ってなぐるなど)」(女性三〇・四%、男性二四・〇%)などが続き、女性の人権を侵害するものとして女性に対する暴力を選ぶ人が多くなっている。また、女性と男性で感じ方の違いが最も大きい項目は「職場におけるセクシュアル・ハラスメント(性的いやがらせ)」(七・七ポイントの差)、次いで「痴漢行為」(七・三ポイントの差)、「女性に対するストーカー(つきまとい行為)」(女性二七・二%、男性一九・九%で七・三ポイントの差)となっている。「特にない」と答えた者は、男性で一九・七%、女性で一四・〇%となっている。
 これを性別・年齢階級別にみると、「痴漢行為」、「職場におけるセクシュアル・ハラスメント(性的いやがらせ)」は、二十歳代で半数近くの者が女性の人権が尊重されていないと感じているが、年齢層が高くなるにつれて急激にその割合が減っている。次に、「家庭内での夫から妻への暴力(酒に酔ってなぐるなど)」、「女性に対するストーカー(つきまとい行為)」は、年齢層が低いほど女性の人権が尊重されていないと感じる割合は高いが、年齢層が高くなってもその割合はそれほど減少しない。さらに、「女性の働く風俗営業」、「売春・買春」、「女性のヌード写真などを掲載した雑誌」については、女性の人権が尊重されていないと感じる割合が女性では四十歳代で最も高くなっている反面、男性では年齢層が上がるにつれてその割合は高くなる傾向にある。
<配偶者間における刑法犯の被害者の多くは女性>
 警察庁の統計によると、平成十二年中に検挙された配偶者(内縁関係を含む。)間における刑法犯は一千四百七十六件、そのうち一千三百五件(八八・四%)は女性が被害者となった事件である。
 殺人においては、女性が被害者となった割合は六八・〇%と刑法犯全体に比べやや低くなっているが、暴行については百二十七件中百二十四件(九七・六%)、傷害については八百八十八件中八百三十八件(九四・四%)とそれぞれなっており、配偶者(内縁関係を含む。)間における被害者のほとんどが女性となっている。
<潜在する被害実態>
 内閣府「男女間における暴力に関する調査」(平成十一年)において、夫から身体的な暴行(「命の危険を感じるくらいの暴行」、「医師の治療が必要となる程度の暴行」、「医師の治療が必要とならない程度の暴行」)を受けた女性のうち、被害を警察、人権擁護委員、婦人相談所等公的な機関に相談している者の割合はそれぞれ一%未満と低くなっており、関係機関によって被害実態が把握されておらず、被害が潜在している状況が明らかになっている。
<男女差のある売買春に対する感じ方>
 内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」で、成人同士の売買春に対する感じ方について平成九年と十二年を比較すると、「当事者間に合意があっても許せないことである」と回答した者の割合は男女ともに増加しており、「当事者間に合意があれば、よくないことだが、やむをえない」、「当事者間に合意があればなんらとがめることはない」と売買春を許容する選択肢を回答した者の割合は男女ともに減少している。しかしながら、男女間での感じ方の差は依然として大きく、「当事者間に合意があっても許せないことである」と感じる女性の割合は六六・七%と男性に比べ一七・四ポイント多くなっている一方、「当事者間に合意があれば、よくないことだが、やむをえない」と感じる女性の割合は一九・四%と男性に比べ一五・二ポイント少なくなっている。
<求められる被害女性のための相談機関や保護施設の整備>
 女性に対する暴力をなくすためにはどうしたらよいと思うか聞いたところ、「被害女性のための相談機関や保護施設を整備する」を挙げた者の割合が女性で五二・〇%、男性で四〇・四%と最も高くなっている。また、「捜査や裁判における担当者に女性を増やすなど、被害を受けた女性が届けやすいような環境を作る」を挙げた者の割合が女性で四六・九%、男性で三六・八%となっており、二番目に高くなっている(第4図)。
 この結果からも、女性に対する暴力をなくすためには、被害を潜在させないよう、被害を第三者に申告しやすい環境を整備していくことが重要であり、公的機関の対応が強く求められているといえる。

第六章 生涯を通じた女性の健康

<減少傾向にあるものの若年層の比重が増す人工妊娠中絶件数>
 人工妊娠中絶件数・人工妊娠中絶実施率(十五歳以上五十歳未満女子人口千対)の昭和五十年から平成十年までの動向をみると、総数では件数、実施率ともに減少傾向にある。ただし、年齢階級別にみると、二十五歳以上では総じて減少傾向にある一方で、二十歳未満では増加傾向にあるなど、全体として若年層の割合が高くなってきている。これには、人工妊娠中絶が女性の心身に及ぼす影響に対する認識や安全な避妊の知識が十分でないことも影響していると考えられる。
 女性が、その生涯を通じて健康を保持できるようにしていくためには、性と生殖に関することを含め、自らの健康について正しい情報を入手し、自分で判断し、健康を享受できるようにしていくことが重要である。

第七章 メディアにおける女性の人権

<家庭でもIT化が進展、利用率には男女差>
 情報関連機器の個人利用率を性・年齢階級別にみると、総じて若年層、男性の方が利用率が高い傾向にあり、二十歳代に男女間に利用率の差がはほとんどみられないが、特に四十歳以上では男女に大きな開きがみられる。
 特に四十歳以上の層を中心に、女性が情報通信の高度化の恩恵を十分に享受できず、情報活用能力の差が生じていることがうかがえる。こうした能力の差を是正し、情報通信技術の恵沢をあまねく享受できるよう取組を進めていくことが望まれる。

第八章 男女共同参画を推進する教育・学習

<上位の職に少ない女性教員の割合>
 初等中等教育について女性教員の割合をみると、小学校では六割を占めているが、中学校、高等学校と段階が上がるにつれて低くなっており、また、校長及び教頭に占める女性の割合は、近年上昇しているものの教諭に比べて全般的に低い。
 高等教育機関でも、女性教員の割合は短期大学で四割を超えているが、大学では一割台にとどまっており、特に教授、学長に占める女性の割合は低くなっている。
<男女で異なる生涯学習を行う目的>
 生涯学習をしてみたい理由を男女別にみると、女性の割合が男性より多いものは、「趣味を豊かにするため」(六・六ポイント差)、「他の人との親睦を深めたり、友人を得るため」(一一・〇ポイント差)、「老後の人生を有意義にするため」(一〇・六ポイント差)、「自由時間を有効に活用するため」(五・九ポイント差)、「家庭・日常生活や地域をよりよくするため」(八・一ポイント差)などであり、逆に男性の方が女性より多いものは、「高度な専門的知識を身につけるため」(八・六ポイント差)、「現在の仕事や就職・転職に役立てるため」(八・九ポイント差)などである。
 また、生涯学習を通じて身につけた知識・技能や経験をどのようにいかしているかについては、「自分の人生がより豊かになっている」(一三・七ポイント差)、「日常の生活や地域での活動に活かしている」(八・一ポイント差)などで女性が男性を上回っている一方、「仕事や就職の上で活かしている」(一四・五ポイント差)、「その知識・技能や経験を土台にして、さらに広く、深い知識・技術を身につけるよう努めている」(六・三ポイント差)などで男性が女性を上回っている。
 男女共同参画社会の形成に向けて、今後は、女性が生涯学習によって高度な専門的知識を習得し、その成果を職業にいかし、あるいは、男性が職場においてのみならず、自分の人生をより豊かにしたり日常の生活や地域での活動にその成果をいかすなどにより、生涯学習の成果が男女を問わず様々な分野で活用され、あらゆる領域での男女共同参画が進むことが期待される。

<コラム>
○ フランスでは、選挙での男女の候補者数を同数にする「パリテ法」が成立。下院選挙においては、男女候補者数の差が二%を超える場合には政府から政党助成金削減という制裁もある。二〇〇一年三月の選挙の結果、市町村議会議員に占める女性の割合は約二二%から約四八%に飛躍的に上昇した。
○ 労働時間の短縮と雇用の再分配を基礎とし、夫婦で一・五人分稼ぐ「オランダ・モデル」は、高い失業率と不況下にあるオランダを救う契機になるとともに、男性が家事・育児・介護等の仕事以外の時間をもつことを可能にした。
○ 子育てと賃金・ポストのうちどちらを重視するかについての調査によれば、男女差が顕著であり、「子育て重視型」が、女性で約八八%であるのに対し男性では約五二%にすぎなかった。「賃金・ポスト重視型」は、女性で約四%であるのに対し男性では約四〇%に上っている。
○ 育児休業法が施行されてから九年が経過しているが、出産した女性のうち四割を超える人が育児休業を取得しなかったという現状にある。なぜ育児休業を取らなかったのか。この背景には職場優先の企業風土等の障害が潜んでいる。仕事と子育てが両立できるファミリー・フレンドリー企業の普及が望まれる。
○ 平成十一年に、国連は十一月二十五日を「女性に対する暴力撤廃国際日」と定めた。我が国においては十三年四月に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が成立した。ドメスティック・バイオレンス(DV)への取組は世界的に重要な課題となっている。

第二部 平成十二年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

第一章 政策・方針決定過程への女性の参画の拡大

 これまで、平成八年五月の男女共同参画推進本部決定による「平成十二年(西暦二〇〇〇年)度末までのできるだけ早い時期に二〇%を達成する」という当面の目標に向けて取組を進めてきたが、十二年三月三十一日時点の調査において、女性委員の割合が二〇・四%となり、期限より一年早く目標を達成した実績を踏まえ、男女共同参画推進本部は、十二年八月十五日、「平成十七年(西暦二〇〇五年)度末までのできるだけ早い時期に、ナイロビ将来戦略勧告で示された国際的な目標である『三〇%』を達成するよう鋭意努めるものとする」という新たな目標を決定した。

第二章 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革

 平成十二年七月から、女性と年金の在り方について指摘されている問題について、民事法制、税制、他の社会保障制度等との関連や諸外国の動向、社会実態など幅広く研究しながら検討を行うため、各分野の専門家からなる検討会(「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会」)を厚生大臣の下に開催した。

第三章 雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保

 都道府県労働局では、機会均等推進責任者を通じて各事業所にポジティブ・アクションの重要性と手法などについて理解させ、取組を促すとともに、トップセミナー、業種別使用者会議等の実施により、ポジティブ・アクションを行う企業に対し情報提供を行っている。

第四章 農山漁村における男女共同参画の確立

 農山漁村における女性の社会参画は着実に進んできたところである(平成四年度には全国で百三人だった女性の農業委員は、十一年度に九百七十七人に増加した。)。また、全国農業協同組合中央会(JA全中)では、十二年十月に開催された全国大会において具体的な参画目標を決議した。これを受けて、三十二の都道府県中央会でJAへの女性参画の基本方針が策定された。

第五章 男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援

 少子・高齢化社会の進展に対応し、職業生活と家庭生活との両立支援をより充実し、職業生活の円滑な継続を援助、促進するため、育児休業給付及び介護休業給付について、平成十三年一月より給付率を二五%から四〇%に引き上げ、より一層の活用の促進を図っている。

第六章 高齢者等が安心して暮らせる条件の整備

 老後の最大の不安である介護問題にこたえるため、高齢者が介護を要する状態になっても自立した生活が送ることができるよう、高齢者の介護を国民皆で支える仕組みとして、平成十二年四月より、介護保険制度が施行された。

第七章 女性に対するあらゆる暴力の根絶

 平成十二年五月十八日、ストーカー規制法が成立し、同年十一月二十四日に施行された。同法では、つきまとい等に対する警告、禁止命令等の行政上の措置、ストーカー行為に対する処罰及び被害者に対する援助措置について定められている。

第八章 生涯を通じた女性の健康支援

 厚生労働省(厚生省)では、関係者の協力を得ながら、国民の健康増進、疾病予防及び生活の質の向上のために国民の保健医療上重要な課題となる対象分野を設定し、保健医療水準の指標となる二〇一〇(平成二十二)年を目標年度とした具体的目標を定め、これを達成するための諸施策を体系化した「健康日本21」を策定し、平成十二年から実施している。

第九章 メディアにおける女性の人権の尊重

 郵政省では、平成十一年十一月から十二年六月まで「放送分野における青少年とメディア・リテラシーに関する調査研究会」を開催し、メディア・リテラシーの向上に向けた施策の方向性について検討を行った。本研究会の提言を受け、総務省(郵政省)では、メディア・リテラシー教材の開発に取り組んでいる。

第十章 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実

 個性を大切にし、理由のない男女の固定的役割分担意識にとらわれない、男女共同参画の視点に立った教育を家庭及び地域で推進するため、教育研究者、民間団体等の連携により、地域社会全体で取り組むモデル的な事業を実施した。

第十一章 地球社会の「平等・開発・平和」への貢献

 女性二〇〇〇年会議が、二〇〇〇(平成十二)年六月五日から十日まで、国連特別総会として、ニューヨークで開催され、各国の決意表明や理念をうたう「政治宣言」及び「北京宣言及び行動綱領実施のための更なる行動とイニシアティブ」(いわゆる「成果文書」)が採択された。

第十二章 計画の推進

 平成十二年九月二十六日、男女共同参画審議会は、「男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」を答申した。この答申を受け、政府は、男女共同参画基本計画の策定作業を進め、同年十二月十二日、政府は、男女共同参画社会基本法に基づく初めての計画である「男女共同参画基本計画」を閣議決定した。

平成十三年度において講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

第一章 政策・方針決定過程への女性の参画の拡大

 人事院では、幅広い職務経験の付与を通じた女性の計画的育成など女性の採用・登用の拡大に向けた施策を各府省が計画的に着実に推進するための指針の策定に向けた検討などを進めることとしており、各府省においては、策定された指針を踏まえ、女性の採用・登用の拡大に向けた施策に関する計画を策定するなど、総合的かつ計画的な取組を推進することとしている。

第二章 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革

 平成十三年度より、六月二十三日から二十九日までの一週間、「男女共同参画週間」を実施することとしており、地方公共団体、女性団体その他の関係団体の協力の下、全国的に各種行事を行い、広報啓発活動を行うこととしている。

第三章 雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保

 厚生労働省では、「パートタイム労働旬間」(十一月一日〜十日)を中心に、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号。以下「パートタイム労働法」という。)及び同法に基づく「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針」(平成五年労働省告示第百十八号)に基づき指導等を行う。また、パートタイム労働法第五条に基づく短時間労働者対策基本方針の改定に向けた検討を行うこととしている。

第四章 農山漁村における男女共同参画の確立

 新たに、女性農業者自らのライフステージに応じて出産・育児期にある女性の農業経営参画が可能となるよう経営管理等の研修、母性保護のためのセミナーの開催等を行う。

第五章 男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援

 ファミリー・サポート・センター事業(仕事と家庭両立支援特別援助事業)については、厚生省と労働省の省庁統合のメリットをいかす形で、対象者を雇用労働者だけではなく自営業者や家庭の主婦にも拡大するほか、身近な地域単位での支部の設置を促進するとともに、保育所との連携を強化するなど、地域の子育て支援機能の強化に向けて事業を推進する。

第六章 高齢者等が安心して暮らせる条件の整備

 「今後五か年間の高齢者保健福祉施策の方向(ゴールドプラン21)」に基づき、要介護高齢者の需要に応じた良質な介護サービス基盤の計画的な整備を進める。

第七章 女性に対するあらゆる暴力の根絶

 平成十一年十二月、第五十四回国連総会において、十一月二十五日が「女性に対する暴力撤廃国際日」と定められたことを踏まえ、十二年度は五月に実施した「女性に対する暴力をなくす運動」を、十三年度からは十一月二十五日を最終日とする二週間(十一月十二日〜二十五日)に実施期間を変更し、主唱各府省において同運動の一層の推進に努めることとしている。

第八章 生涯を通じた女性の健康支援

 日常生活圏において、妊娠から出産まで一貫して、健康診査、保健指導・相談、医療援護等の医療サービスの提供等が受けられるよう施策の一層の推進を図る。

第九章 メディアにおける女性の人権の尊重

 人権擁護推進審議会において、平成十三年半ばころに答申することを目途に、メディアによる人権侵害の問題も含めた「人権が侵害された場合における被害者の救済に関する施策の充実に関する基本的事項」について調査審議を進める予定である。

第十章 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実

 文部科学省では、日本学術振興会が行う科学研究費補助金の公募において、時限付き分科細目「ジェンダー」(設定期間:平成十三〜十五年度)を設けており、当該分野における基礎的研究に対して引き続き助成する。

第十一章 地球社会の「平等・開発・平和」への貢献

 国内における男女共同参画社会の実現に向けた取組を行うに当たって、男女共同参画に関連の深い各種の条約や、女性二〇〇〇年会議の成果文書、国際会議における議論等、女性の地位向上のための国際的規範や基準、取組の指針を積極的に国内に取り入れるように努めていく。

第十二章 計画の推進

 男女共同参画会議では、「仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会」において引き続き調査審議を進めるほか、「基本問題専門調査会」、「女性に対する暴力に関する専門調査会」、「苦情処理・監視専門調査会」及び「影響調査専門調査会」を設置し、調査審議を進めることとしている。


オンライン登記情報提供サービス


あなたの自宅や会社から登記情報をオンラインで確認
 登記所に行かなければ閲覧できなかった不動産登記、商業登記などの登記簿が、インターネットを通じて確認することができるようになりつつあります。コンピュータ化された一部の登記所に限られていたサービスが、今年八月からは、コンピュータ化されたすべての登記所(注)で利用できるようになりました。
●対象となる情報
 サービス対象となる登記の種類は、不動産登記、商業登記、そのほか政令で定める登記です。
●利用時間
 午前八:三〇〜午後五:〇〇
●休業日
 土曜日、日曜日、祝日、年末年始(十二月二十九日〜一月三日)
●利用料金
 一件当たり九八〇円(不動産の所有権の登記名義人のみの情報は四七〇円)
●登録費用
 @個人利用=三〇〇円
 A法人利用者=七四〇円
 B国・地方公共団体=五六〇円
●申込み方法
 サービスを利用するには、利用者があらかじめ(財)民事法務協会(左記参照)と情報提供契約を交わし、利用者識別番号(ID)とパスワードの交付を受ける必要があります。
●個人で利用する場合は、インターネットで申し込むことができます。パソコンの画面上から「登記情報提供サービス」のホームページにアクセスし、「利用者登録画面」に必要事項を入力。法人や国・地方公共団体の場合は、ホームページ上の「利用申込書」をプリントアウトし、必要事項を記入して必要書類とともに郵送でお申し込みください。
●問い合わせ先
(財)民事法務協会登記情報提供センター
 рO3―5297―3751
 http://www.touki.or.jp/
(注) 不動産登記事務のコンピュータ化が一部のみの登記所については、すべてがコンピュータ化された時点から利用できるようになります。


目次へ戻る

景気予測調査


―平成十三年五月調査―


財 務 省


<はじめに>

 財務省では、企業経営の現状と見通しを調査し、景気の動向を的確に把握することを目的として、金融・保険業を除く資本金一千万円以上(電気業、ガス・水道業は資本金十億円以上)の営利法人約百十九万社のうち約一万二千社を対象として、四半期ごとに財務省景気予測調査を実施している。  以下は、平成十三年五月に実施した第七十三回調査結果の概要である。今回の調査では一万二百二十社を対象とし、八千六十一社(回収率七八・八%)から回答を得ている。  なお、本調査における大企業とは資本金十億円以上の企業を、中堅企業とは資本金一億円以上十億円未満の企業を、中小企業とは資本金一千万円以上一億円未満の企業をいう。

 景 況第1表第1図参照

 十三年四〜六月期の景況判断BSI(前期比「上昇」−「下降」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「下降」超となっている。
 先行き十三年七〜九月期を全産業でみると、大企業は「上昇」超に転じる見通し、中堅企業、中小企業は引き続き「下降」超の見通しとなっている。
 先行き十三年十〜十二月期を全産業でみると、大企業は引き続き「上昇」超の見通し、中堅企業、中小企業は引き続き「下降」超の見通しとなっている。

 売上高第2表参照

 十三年度上期の売上高は、全産業合計で前年比二・二%の増収見込みとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも増収見込みとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、食料品、輸送用機械器具などが増収となるものの、衣服・その他の繊維製品、石油製品等などが減収となり、全体では〇・〇%の横ばい見込みとなっている。
 非製造業では、建設、電気・ガス・水道などが減収となるものの、映画・娯楽、事業所サービスなどが増収となり、全体では三・〇%の増収見込みとなっている。
 十三年度下期の売上高は、全産業合計で前年比一・一%の増収の見通しとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも増収の見通しとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、一般機械器具、石油製品等などが減収となるものの、電気機械器具、食料品などが増収となり、全体では〇・二%の増収の見通しとなっている。
 非製造業では、建設、その他のサービスなどが減収となるものの、映画・娯楽、卸売・小売などが増収となり、全体では一・四%の増収の見通しとなっている。
 十三年度通期の売上高は、全産業合計で前年比一・六%の増収の見通しとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも増収の見通しとなっている。

 経常損益第3表参照

 十三年度上期の経常損益は、全産業合計で前年比三・六%の増益見込みとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業は減益見込み、中堅企業、中小企業は増益見込みとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、輸送用機械器具、金属製品などが増益となるものの、電気機械器具、その他製造などが減益となり、全体では七・三%の減益見込みとなっている。
 非製造業では、電気・ガス・水道、事業所サービスなどが減益となるものの、卸売・小売、その他のサービスなどが増益となり、全体では一〇・二%の増益見込みとなっている。
 十三年度下期の経常損益は、全産業合計で前年比九・三%の増益の見通しとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも増益の見通しとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、一般機械器具、出版・印刷などが減益となるものの、衣服・その他の繊維製品、輸送用機械器具などが増益となり、全体では六・八%の増益の見通しとなっている。
 非製造業では、建設が減益となるものの、卸売・小売、映画・娯楽などが増益となり、全体では一〇・八%の増益の見通しとなっている。
 十三年度通期の経常損益は、全産業合計で前年比六・八%の増益の見通しとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも増益の見通しとなっている。

 中小企業の設備投資第4表参照

 設備投資については中小企業のみを調査対象としている。今回の調査における十三年度の全産業の設備投資計画額を前年比でみると、土地購入費を含む場合(以下「含む」という)で三七・四%減、除く場合(以下「除く」という)で二九・五%減の見通しとなっている。なお、前回調査時に比べ、「含む」で四・八%ポイントの下方修正、「除く」で七・〇%ポイントの下方修正となっている。
 十三年六月末時点の設備判断BSI(期末判断「不足」−「過大」社数構成比・季節調整済)をみると、全産業は「不足」超となっている。
 先行きについては、全産業でみると「不足」超で推移する見通しとなっている。

 中小企業の販売製(商)品在庫

 十三年六月末時点の在庫判断BSI(期末判断「不足」−「過大」社数構成比・季節調整済)をみると、製造業、卸売業、小売業いずれも「過大」超となっている。
 先行きについては、製造業、卸売業、小売業いずれも「過大」超となっているものの、「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。

 中小企業の仕入れ価格

 先行き十三年七〜九月期については、製造業、小売業は「低下」超、卸売業は「上昇」超で推移する見通しとなっている。

 中小企業の販売価格

 十三年四〜六月期の販売価格判断BSI(前期比「上昇」−「低下」社数構成比・季節調整済)をみると、製造業、卸売業、小売業、サービス業いずれも「低下」超となっている。
 先行きについては、製造業、卸売業、小売業、サービス業いずれも「低下」超で推移する見通しとなっている。

 雇 用第5表参照

 十三年六月末時点の従業員数判断BSI(期末判断「不足気味」−「過剰気味」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業は「過剰気味」超、中堅企業、中小企業は「不足気味」超となっている。
 先行きについては、大企業は「過剰気味」超、中堅企業は「不足気味」超で推移する見通しとなっている。中小企業は「過剰気味」超に転じる見通しとなっている。
 十三年四〜六月期の臨時・パート数判断BSI(前期比「増加」−「減少」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「増加」超となっている。
 先行きについては、大企業は引き続き「増加」超で推移する見通しとなっている。中堅企業、中小企業は「減少」超に転じる見通しとなっている。
 十三年四〜六月期の所定外労働時間判断BSI(前期比「増加」−「減少」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中小企業は「減少」超、中堅企業は「増加」超となっている。
 先行きについては、いずれの規模においても「減少」超で推移する見通しとなっている。

 企業金融第6表参照

 十三年四〜六月期の金融機関の融資態度判断BSI(前期比「ゆるやか」−「きびしい」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業は「ゆるやか」超、中小企業は「きびしい」超となっている。中堅企業は「きびしい」「ゆるやか」の社数構成比が同じとなっている。
 先行きについては、大企業は引き続き「ゆるやか」超で推移する見通しとなっている。中堅企業は十三年七〜九月期に「きびしい」超に転じる見通しとなっている。中小企業は引き続き「きびしい」超で推移する見通しとなっている。
 十三年四〜六月期の資金繰り判断BSI(前期比「改善」−「悪化」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「悪化」超となっている。
 先行きについては、大企業は十三年十〜十二月期に「改善」超に転じる見通しとなっている。中堅企業、中小企業は引き続き「悪化」超で推移する見通しとなっている。
 十三年六月末時点の金融機関からの設備資金借入判断BSI(前期比「増加」−「減少」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「減少」超となっている。
 先行きについては、いずれの規模においても「減少」超で推移する見通しとなっている。

 中期的な経営課題第2図参照

 中期的な経営課題(一社二項目以内回答)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「国内販売体制、営業力の強化」をあげる企業が最も多く、次いで、大企業、中堅企業は「新技術、新製品の開発、製品(サービス)の高付加価値化」、中小企業は「後継者、人材の確保、育成」の順となっている。
 業種別にみると、製造業では、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「新技術、新製品の開発、製品(サービス)の高付加価値化」が最も多く、次いで大企業は「国内工場・営業所の再編、生産・流通工程の見直し等によるコストの低減」、中堅企業は「国内工場・営業所の再編、生産・流通工程の見直し等によるコストの低減」及び「国内販売体制、営業力の強化」、中小企業は「国内販売体制、営業力の強化」の順となっている。非製造業では、いずれの規模においても「国内販売体制、営業力の強化」をあげる企業が多い。 


道路ふれあい月間 道の日


 あなたは、道路のない生活が考えられますか? 道路は、わたしたちの毎日の暮らしや経済を支える欠くことのできない基本的な社会資本ですが、空気のようにあまりにも身近な存在であるため、その重要性が見過ごされがちです。
 八月の「道路ふれあい月間」、八月十日の「道の日」を契機に、道路の役割や大切さをもう一度見直してみたいものです。
●道路ふれあい月間(八月一日〜三十一日)
 国土交通省(旧建設省)では、昭和三十三年から「道路をまもる月間」の運動を展開してきました。この月間では、道路を常に広く美しく、安全に利用するために、国民の皆さんに道路の役割や重要性をもう一度考えていただくことを目的としていました。
 本年度からは、皆さんに、より道路に親しみ、ふれあっていただくために、月間の名称を「道路ふれあい月間」に変更しました。
●道の日(八月十日)
 「道の日」は、道路の意義や大切さを国民の皆さんに改めて考えていただくために、昭和六十一年に制定されました。
 大正九年の八月十日に、日本で初めての道路整備についての長期計画である第一次道路改良計画が実施されたことや「道路をまもる月間」の期間中であることなどが「道の日」制定の由来となっています。
 国土交通省では、地方公共団体や関係公団、関係団体などに各種行事・活動の実施をよびかけており、今年も八月十日の「道の日」を中心として全国各地で展開される予定です。
 東京では、「道の日」実行委員会が主催する「道の日」中央行事(本年で十六回目)が八月十一日に都内のイベントスペースで開催されます。道路施設見学会の報告や「道路ふれあい月間」推進標語表彰式、ステージショーなどが予定されています。
(国土交通省)


水の日・水の週間


●八月一日は「水の日」
 わが国の水需要は、生活水準の向上や経済の進展などに伴って増えています。
 しかし一方で、水資源の開発は次第に困難になっており、渇水時には水不足が生じることが予想される状況になっています。毎年八月一日は「水の日」です。これは、限りある水資源の大切さを再確認し、水の貴重さを改めて国民の皆さんに理解していただくための記念日となっています。
 「水の大切さ」は、普段の生活ではなかなか意識しにくいものです。しかし、雨不足による渇水で節水を余儀なくされたとき、わたしたちは水の大切さを痛感するはずです。
 常日ごろから水の貴重さを認識し、有効利用に努めることが大切です。
●「水の週間」
 「水の日」を初日とする一週間は、「水の週間」となっています。「水の日」と同様に、昭和五十二年五月三十一日に制定されたこの週間は、今年で二十五回目を迎えます。期間内には、全国各地で水に関するさまざまな行事が開催されます。
【ウォーターフェア01東京水の週間記念式典】
◇主催
 国土交通省
 東京都
 水の週間実行委員会
◇実施日時
 平成十三年八月七日(火)
◇開催会場
 東京都庁第一本庁舎(五階)大会議場
◇主な内容
・水源地域からのメッセージ
・水資源功績者、中学生水の作文コンクール、フォトコンテスト各表彰式
・記念講演 など
◇問い合わせ先
 国土交通省 土地・水資源局
 水資源部水資源政策課
 рO3―5253―8386
 水資源開発公団総務部広報課
 рO3―3584―3769
(国土交通省)


目次へ戻る

消費者物価指数の動向


―東京都区部(六月中旬速報値)・全国(五月)―


総 務 省


◇六月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇〇・〇となり、前月比は〇・四%の下落。前年同月比は三月〇・九%の下落、四月〇・九%の下落、五月〇・七%の下落と推移した後、六月は〇・六%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降二十二か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇〇・三となり、前月比は〇・二%の下落。前年同月比は三月一・一%の下落、四月〇・九%の下落、五月一・〇%の下落と推移した後、六月は〇・七%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降二十一か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

(1) 食料は九九・〇となり、前月に比べ〇・九%の下落。
  生鮮魚介は五・八%の下落。
   <値上がり> たこ、あじなど
   <値下がり> かつお、いかなど
  生鮮野菜は二・九%の下落。
   <値上がり> レタス、かぼちゃなど
   <値下がり> トマト、さやいんげんなど
  生鮮果物は七・五%の下落。
   <値上がり> りんご(ふじ)、グレープフルーツなど
   <値下がり> メロン(アンデスメロン)、すいかなど
(2) 住居は九八・五となり、前月に比べ〇・二%の下落。
  家賃が〇・三%の下落。
   <値下がり> 民営家賃(木造中住宅)など
(3) 家具・家事用品は八八・三となり、前月に比べ〇・二%の下落。
  家庭用耐久財が〇・五%の下落。
   <値下がり> 電気冷蔵庫など
(4) 被服及び履物は一〇三・〇となり、前月に比べ〇・四%の下落。
  衣料が〇・六%の下落。
   <値下がり> スーツ(夏物)など
(5) 教養娯楽は九八・五となり、前月に比べ〇・八%の下落。
  教養娯楽サービスが〇・九%の下落。
   <値下がり> 宿泊料など

三 前年同月との比較

○上昇している主な項目
 授業料等(一・六%上昇)、保健医療サービス(二・三%上昇)
○下落している主な項目
 家賃(〇・九%下落)、通信(五・六%下落)、家庭用耐久財(六・〇%下落)、シャツ・セーター・下着類(二・九%下落)
(注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は九九・九となり、前月に比べ〇・二%の下落となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇〇・一となり、前月に比べ〇・二%の下落となった。

◇五月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇一・三となり、前月と同水準。前年同月比は二月〇・一%の下落、三月〇・四%の下落、四月〇・四%の下落と推移した後、五月は〇・五%の下落となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇一・五となり、前月比は〇・一%の上昇。前年同月比は二月〇・六%の下落、三月〇・六%の下落、四月〇・五%の下落と推移した後、五月は〇・七%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降二十か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

(1) 食料は一〇〇・四となり、前月と同水準。
  生鮮魚介は〇・九%の下落。
   <値上がり> いわし、あじなど
   <値下がり> かつお、いかなど
  生鮮野菜は一・八%の下落。
   <値上がり> ばれいしょ、ねぎなど
   <値下がり> キャベツ、トマトなど
  生鮮果物は四・六%の上昇。
   <値上がり> バナナ、りんご(ふじ)など
   <値下がり> メロン(プリンスメロン)
(2) 被服及び履物は一〇三・六となり、前月に比べ一・二%の上昇。
  衣料が二・一%の上昇。
   <値上がり> スーツ(夏物)など
(3) 交通・通信は九六・七となり、前月に比べ〇・四%の下落。
  通信が一・五%の下落。
   <値下がり> 通話料
(4) 教養娯楽は九八・三となり、前月に比べ〇・七%の上昇。
  教養娯楽サービスが一・三%の上昇。
   <値上がり> 宿泊料など

三 前年同月との比較

○上昇している主な項目
 生鮮野菜(六・一%上昇)、家賃(〇・三%上昇)
○下落している主な項目
 通信(五・八%下落)、教養娯楽サービス(一・九%下落)、衣料(三・三%下落)、家庭用耐久財(六・一%下落)
(注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇一・〇となり、前月に比べ〇・二%の下落となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇一・二となり、前月に比べ〇・一%の下落となった。





















おとぎ話


 秋は読書のシーズン。子ども時代におとぎ話を読んだことのない人はいないでしょう。しかし、「おとぎ話」という言葉の由来は、だれでも知っているとは言えないようです。
 「とぎ」は、お相手をするという意味の古語「とぐ」の名詞形と考えられています。御伽(おとぎ)」はお相手をして退屈を慰めること。戦国・江戸時代の武家社会では、夜などに主君のそばにはべり、話し相手を務める「御伽衆(おとぎしゆう)」という役職がありました。
 戦国大名の御伽衆は、戦陣で主君が眠ってしまわないように、話の相手役を務めたのが始まりといわれます。
 経験豊かな老臣、僧、医師などが、合戦の物語や体験談を語ったもので、豊臣秀吉の御伽衆、曽呂利新左衛門(そろりしんざえもん)のように、とんち話、おどけ話をするケースもありました。江戸時代には、幼君の遊び相手として「御伽小姓」も生まれています。
 明治時代になって、巌谷小波(いわやさざなみ)が、『日本お伽噺』『世界お伽噺』を刊行し、子ども向きの昔話や童話をさす「おとぎ話」という言葉の意味を定着させました。



    <8月8日号の主な予定>

 ▽科学技術白書のあらまし…………………………………………文部科学省 

 ▽第百五十一回国会で審議された法律案・条約の一覧表………内閣官房 




目次へ戻る