官報資料版 平成13年9月19日




                  ▽情報通信白書のあらまし…………………………総 務 省

                  ▽労働力調査(七月)………………………………総 務 省

                  ▽税金365日 公売に参加したいときは………国 税 庁











情報通信白書のあらまし


総 務 省


 総務省は、「平成十二年情報通信に関する現状報告」(情報通信白書)を、平成十三年七月十日の閣議に報告後、公表した。
 これまで旧郵政省では「通信に関する現状報告」(通信白書)を、昭和四十八年から毎年作成していたが、省庁再編後、初の発行となる今回の白書では、総務省への移行を踏まえ、電子政府や地域情報化関連の施策やデータについて記述を充実させるとともに、名称についても内容に照らしふさわしいものとする観点から、「情報通信に関する現状報告」(情報通信白書)に変更した。
 今回の白書では、インターネットの急速な普及やブロードバンド化への流れを踏まえ、「加速するIT革命〜ブロードバンドがもたらすITルネッサンス〜」と題して、加速度的に進展するIT革命の現状や我が国社会にもたらす影響等に焦点をあて、特集した。
 情報通信白書のあらましは、次のとおりである。

第1章 特集「加速するIT革命」
    〜ブロードバンドがもたらすITルネッサンス〜

T 進むIT社会の構築

第1節 IT社会発展の基礎となるブロードバンド化の進展

1 インターネットの急速な普及
 我が国のインターネット利用人口は、順調に増加しており、平成十二年末には、我が国の十五歳以上七十九歳以下の個人におけるインターネット利用者数は四千七百八万人(推計値、対前年比七四・〇%増)にまで増加しており、平成十七年(二〇〇五年)には八千七百二十万人まで増加するものと見込まれる(第1図)。
 また、我が国のインターネット利用者において、何らかの端末から「ほぼ毎日」インターネットを利用している人は、全体の半数以上の二千五百九十三万人となっている。自宅のパソコンからのインターネット利用では一般電話回線による接続は約五割、ISDN(128kbps)以上の回線速度がほぼ五割に達している。また、各国・地域における人口に対するインターネット利用者の割合をみると、二五%を超えているのは二十一の国及び地域であり、日本は第十四位となっている。

2 ブロードバンド・アクセスの普及
 DSLは、平成十二年三月の二百十一加入に対し、平成十三年四月末には約十一万加入に達したほか、ケーブルインターネットへの加入数も、平成十二年三月の二十一万六千加入から平成十三年三月には七十八万四千加入に達するなど、ブロードバンド・アクセス・ネットワークは急速に増加しており、いわば「ブロードバンド元年」ともいうべき状況となっている。

3 定額料金サービスの普及
 インターネットの常時接続化に向けて定額料金サービスに対するニーズの高まりを受け、DSLやケーブルインターネットなど定額料金制のサービス提供が増加し、常時接続サービスに要する料金(定額制のインターネット接続料金とアクセス回線の通信料金の合計)についても低廉化が進んでおり、海外の主要国と比較して遜色ない水準となっている。

4 インターネット接続端末の多様化
 平成十二年末におけるインターネット利用人口の大幅な増加は、パソコンの普及とともに携帯電話・PHS端末からのインターネット接続が二千三百六十四万人に達したことが大きな要因となっており、端末の多様化がインターネット利用人口の伸びに大きく寄与している。
 またインターネット利用者について、タイピング能力別に利用している接続端末をみると、キーボードがほとんど使えない人では携帯電話・PHSの利用が七五%を超えており、これらがパソコンの利用が不得意な人にもインターネットの利用を促す効果があると考えられる。

5 コンテンツの多様化・大容量化
 閲覧回数の上位三十位のサイトを我が国と米国・韓国で比較すると、我が国では総合ポータルサイトやプロバイダ系ポータルサイトなど、情報検索や情報入手を主目的としたサイトが八〇%を占めているのに対し、米国においては四分の一程度、韓国でも三分の一程度にとどまっており、両国ではソフトウェア提供サイト等、エンターテインメント系コンテンツへの需要が高まっている状況がうかがえる。我が国においても、ブロードバンド化の進展に伴い、このようなインターネット利用の高度化・多様化がさらに進展するものと想定される。

6 諸外国の動向
 諸外国における一般世帯へのブロードバンド・アクセス・インターネットの普及状況については、米国でケーブルインターネットの利用契約数が二百二十四万契約となっているほか、韓国ではDSL利用契約数は二百五十四万契約を超え、ケーブルインターネットについても百三十二万人弱の利用者となっている。

7 ブロードバンド時代のネットワーク利用者像
 ブロードバンド時代のインターネット利用者像を展望するため、インターネット上でのアンケート調査を行った結果、利用回線速度の向上に伴い、より高速のアクセス回線を指向する傾向が顕著にみられ、現在一Mbps以上の回線利用者では約七割が十Mbps以上の回線速度を希望している。
 他方、コンテンツ利用についてみると、ブロードバンド回線利用者はインターネット放送や音楽配信などエンターテインメント系コンテンツに対して現在利用・将来利用希望ともに比率が高く、ブロードバンド接続環境の経験がより高速の接続環境のニーズを喚起し、インターネット上のコンテンツ・サービスの高度化・大容量化を促すものと思われる(第2図)。

第2節 ITが先導する経済新生

1 ITがマクロ経済に与える影響
 企業のIT化の進展が我が国の経済成長にどの程度寄与してきたかを検証するため、特にIT資本蓄積による効果に着目し、一九八五年以降における経済成長の要因をIT資本、一般資本(ITを除く資本)、労働の各要素に分解して寄与率(同時期の経済成長率(全体)の中でIT資本蓄積にともなう経済成長率が占める比率)を推計したところ、一九九五〜九九年のIT資本の寄与率は、一九八五〜九五年の二倍以上となる一〇〇・八%にまで達し、IT資本が同期間における経済成長の牽引役となっていることが分かる。

2 インターネットビジネス
 インターネット上での電子商取引やパソコン等の端末機器等、個人や企業のインターネット利用に関係する産業を「インターネットビジネス」として、その平成十二年における市場規模について調査・分析したところ、四十七兆八千三十一億円と対前年比で二・二六倍となっており、昨年に引き続き大きく成長していることが分かる(第3図)。

3 電子商取引(最終消費財)市場
 平成十二年のインターネットビジネス市場のうち電子商取引(最終消費財)市場は六千二百三十三億円(対前年比七八・一%増)となっており、平成十七年(二〇〇五年)には八兆円近くにまで拡大するものと予測される。また、モバイルコマース市場は、携帯電話・PHSによるインターネット利用の爆発的な増加にともない、前年から十倍以上の五百四十一億円となっている。

4 電子商取引(中間財)市場
 電子商取引(中間財)市場については、平成十二年の市場規模で三十八兆一千億円(前年の二・五倍以上)にまで拡大しており、平成十七年(二〇〇五年)には九十八兆九千億円に達すると予測される。このうち、e−マーケットプレイス市場は、平成十二年には八百億円にすぎないものの、平成十七年には約十六兆円にまで成長すると予測される。

5 インターネット関連ビジネス
 インターネット関連ビジネス市場については、平成十二年の市場規模で九兆七百九十八億円(対前年比四二・〇%増)となっており、平成十七年(二〇〇五年)には二十六兆二百八十五億円まで拡大すると予測される。
 このうちモバイルコマース関連ビジネス市場は、平成十二年には前年から十倍以上の一兆八千二百三十三億円となり、平成十七年には四兆五千九百九十七億円にまで増加すると予測される。また、ASPの市場規模は平成十二年には二十億円にとどまっているものの、平成十七年(二〇〇五年)には九百七十五億円にまで達するものと見込まれる。

第3節 電子政府

1 政府の事務・事業の情報化
 国の行政機関(本省庁)では、平成十一年度の調査において一人一台のパソコン整備を達成しているほか、国立大学を除いた国の行政機関全体では、パソコン一台あたりの職員数が平成八年度の二・八人から平成十二年度には一・四人になるなど、パソコンの整備が着実に進展している。

2 地方公共団体における情報化
 地方公共団体については、都道府県ではパソコン一台あたりの職員数が一・三人と「一人一台」の状態に近づきつつある。 また、市区町村ではパソコン一台あたりの職員数が二人以上であるものの、平成十年度との比較では二倍前後の整備水準となっており、全体的には着実にパソコンの整備が進んでいるといえる。

3 国民・企業と政府との間の情報化
 国の行政機関一府十二省庁においては、既にホームページの開設が完了しており、施設等機関・地方支分部局等を含めた国の行政機関全体で一千二百十五(対前年比三九・〇%増)のホームページが開設されている。
 また、申請・届出等手続のオンライン化については、平成十五年度のできるだけ早期にすべての手続きをインターネット等で行えるように各種の取組を進めており、平成十三年度早期に、新たなアクション・プランを策定することとしている。

4 住民・企業と地方行政との間の情報化
 都道府県及び政令指定都市におけるホームページ開設は、平成十年度時点で既に完了しているほか、市区町村においても、平成十年度から平成十二年度にかけて、市区では五七・七%から八三・六%、町村では三四・九%から六一・一%へと急速に進展している。
 また、申請・届出等手続の電子化については、一部の地方公共団体において公共事業の入札参加申請等の電子化の実証実験を開始し、平成十三年度から本格運用を行っているなど、先行的な取組を行う例も出始めている。

5 電子政府に対する国民意識
 電子政府についてある程度知っている人は全体の三分の一程度にとどまっており、認知度は必ずしも高くないと言える。他方、国民・住民の電子政府に対するサービスニーズについてみると、国では、投票に関するものや法令・制度のデータベース提供など、国の運営への参加拡大や理解促進への期待感に応じたものが五割を超えており、地方公共団体では、各種申請・届出等の身近な行政サービスに対するニーズが高くなっている。今後はこれらを踏まえた取組を進めることが重要である。

第4節 国民生活に浸透するIT

1 情報通信機器の保有状況
 平成十二年におけるパソコン、携帯電話、携帯情報端末等の情報通信機器の世帯保有はいずれも増加傾向にある。また、パソコン保有者に対してパソコン購入時期とその動機を調べたところ、最近購入した人ほどインターネット利用を動機とする割合が高く、インターネットの利用ニーズがパソコン等情報通信機器の普及率の伸びを維持させる大きな要因となっているものと考えられる。

2 日常生活におけるインターネット利用実態
 インターネット上でのアンケート調査を実施したところ、日常生活におけるレジャー・観光情報や商品・製品情報、娯楽情報の取得に際しては、インターネットを最もよく利用すると回答した人が最も多かった。インターネットの情報量の多さと範囲の広さ、情報検索の容易さなどの長所が、能動的なこれらの情報取得に適している状況がうかがえる。

3 ショッピング
 個人が利用する電子商取引のうち、平成十二年に注目されてきているものにネット・オークションがある。ネットオークションへの参加理由について、インターネット上でのアンケート調査の結果では、自分の興味の対象などで比較的一般に出回っていないものの売買の場として利用している状況がうかがえる。

4 仕事
 テレワークやSOHOという新たな就労形態が徐々に広がりつつあり、インターネットホームページ上でのアンケート調査では、今後テレワークをしたいと考えている人が男性、女性ともに七〇%前後みられた。

U IT社会実現への課題

第5節 デジタル・オポチュニティの確保

1 インターネット利用等における地域間格差の現状
 インターネットの利用格差について郵送アンケート調査を行ったところ、都市規模別については、パソコンインターネット利用では都市規模が小さくなるにつれ低下しているのに対し、携帯電話・PHSインターネット利用では都市規模による差はそれほど大きくない(第4図)。携帯電話・PHSインターネットには、パソコンと比較して廉価で、操作の習得が容易といった特徴があり、これらがパソコンインターネットと比較して普及に格差が生じにくい要因の一つになっているものと考えられる。

2 インターネット利用等における個人属性別格差の現状
 個人属性(職業、年齢、世帯年収)別については、まず職業別のインターネットの利用比率では、「学生」や「勤務者」について非常に高くなっている。年齢別においては、二十歳代等に比較して高齢者層でインターネット利用者の割合が低く、大きな格差が存在している。
 また世帯年収別の格差に関しては、パソコンインターネット利用について世帯年収と利用比率が比例する傾向にあり、大きな格差がみられるが、携帯電話・PHSインターネット利用では比較的格差が小さい上、六百万円以上においては格差がほとんど生じていない。

3 インターネット普及促進に向けて
 地域や個人属性とインターネット利用の有無との関係についてみると、年齢、世帯年収、職業の三つがインターネット利用の有無と関連性が強く、地域や都市規模は比較的影響力が小さい要素であるといえる。また、インターネット非利用者が今後利用するための条件についてみると、インターネットを気軽に練習できる機会の確保についての希望が多く、次いで機器の操作性向上に関する希望が続いている。
 これは、現在実施されているIT講習の推進が格差是正に有効であるとともに、今後インターネット接続機器について電話機や双方向テレビ受信機など、パソコン以外の端末でのインターネット利用を可能にすることが操作性の問題解決に向けた手段となり得ることを示していると思われる。

第6節 電子商取引の円滑な普及・発展

1 電子商取引普及のためのシステム基盤整備
 インターネット上での電子商取引等において、相手方が本当に本人であることを確認する手段である「電子署名」の法的位置付けや、その電子署名が本人のものであることを証明する「認証業務」に対する国の認定制度を設けるための「電子署名及び認証業務に関する法律」が、平成十三年四月一日から施行された。認証業務に関する法的な枠組みの整備により、今後、電子署名・電子認証市場の大きな発展が期待される。

2 電子商取引に対する安全性確保
 近年、インターネット消費者取引に関する苦情やトラブルが大幅に増加し、またインターネット利用者へのアンケート調査では、決済方法への不安感などから電子商取引を行っていない人が四割を超える結果も出ている状況にある。このような不安感を払拭するため、個人情報の漏洩や提供される商品・サービスの品質について、各方面における不安解消の取組が求められる。

3 インターネット・ガバナンスと解決すべき課題
 インターネットにおいて活動する経済主体の飛躍的な拡大にともない、ドメインネームについて、例えば自らの商標に関連するドメインネームを第三者が取得し、当該企業に高額で転売しようとする等の紛争事例が増加していくことが予想される。
 今後はこのような紛争を適切に処理するための体制整備が必要であるとともに、「インターネット・ガバナンス」への我が国の国際貢献などの観点からICANNにおける議論への積極的支援・参画を図っていくことが重要である。

第7節 人材育成

1 情報リテラシーの現状分析
 ITの急速な普及・進展の中で、国民が等しく情報化の恩恵を享受するためには、情報リテラシーを習得していることが重要である。我が国における情報リテラシーの現状についてみると、インターネット利用の有無と情報リテラシーの高さには強い相関が認められた。
 また、インターネットを利用するにあたっての情報リテラシーについてみると、年齢別格差が特に大きくなっており、また世帯年収別についても、比較的大きな格差がみられる。これは、比較的高い割合でインターネット利用がなされている二十歳代や高年収世帯等においては、内容的にもある程度使いこなしている状態に達しつつある一方、特に高齢者等に対して引き続き積極的な取組が必要であることを示唆していると考えられる。

2 情報リテラシーの向上に向けた取組の進展
 平成十二年三月時点で中学校・高等学校等については、既にすべての公立学校にコンピュータが導入されているほか、現在、平成十三年度にはすべての公立学校がインターネットに接続されることを目標に環境整備が進められている。
 さらに、回線速度の向上も不可欠であることから、平成十三年度内には全国約四万校の公立学校のうち四千校以上が、高速アクセス回線によりインターネット接続される予定である。
 また、国民全体の情報リテラシー向上の観点から、地方公共団体が開催するIT基礎技能講習を支援するため、「情報通信技術(IT)講習推進特例交付金」が創設され、平成十三年一月の事業開始から三か月間で、全国で約十一万人が講習を受講し、今後、平成十三年度末までに約五百五十万人程度の受講を見込んでいる。

第8節 情報セキュリティの確立

1 不正アクセス・コンピュータウィルス
 不正アクセスに対する企業の対応状況をみると、何らかの対応をしている企業の割合は七七・五%に達しているが、内容的にはID・パスワードによるアクセス制御が全体の六七・五%を占めており、ファイアウォールの利用は三九・一%にとどまっている。
 また、個人のコンピュータウィルス対策の状況についてみると、「一応ワクチンソフトを導入している」との回答が三五・二%に及んでいるが、「メール添付ファイル等はウィルス検査後使用」との回答は一五・三%にとどまっている。

2 違法・有害情報
 警察庁発表によると、平成十二年中のハイテク犯罪等に関する相談受理件数のうち約二六%を違法・有害情報(わいせつ画像、違法薬物販売等)が占めている。違法・有害情報に対する対応としては、現在インターネット接続サービス等を提供する事業者による自主的対応が中心となっているが、他方、受信者自身が違法・有害情報の受信を拒否できるよう、フィルタリング(選別)技術の開発・導入も進みつつある。

V IT国家戦略の実現に向けた取組の推進

第9節 IT国家戦略の策定

1 IT社会の推進に向けた戦略体制の整備
 IT革命に取り組み、その恩恵をすべての国民が享受でき、かつ国際的に競争力のある「IT立国」の形成を目指した施策を総合的に推進するため、政府は平成十二年七月に内閣に「情報通信技術(IT)戦略本部」を設置するとともに、二十名の有識者から構成される「IT戦略会議」を設置して検討を行い、平成十二年十一月に、IT戦略会議において、我が国が五年以内に世界最先端のIT国家となることを目標とする「IT基本戦略」が策定された。
 また、平成十三年一月には内閣に「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)」を設置し、第一回戦略本部会合において「e−Japan戦略」、第三回戦略本部会合において「e−Japan重点計画」が決定された。さらにその後、各府省の平成十四年度の施策に反映する年次プログラムとして、「e−Japan二〇〇二プログラム」を策定することとされた。

2 IT社会の推進に向けた総務省における横断的取組
 すべての国民がITを積極的に活用し、かつその恩恵を最大限に享受できる知識創発型社会の早期実現に向け、総務省では、今後の施策の検討に資することを目的として平成十三年一月から「総務省IT推進有識者会議」を開催している。
 また、IT革命の進展に対応した地方公共団体における情報化施策の推進を積極的に支援するため、平成十二年七月に「IT革命に対応した地方公共団体における情報化推進本部(地域IT推進本部)」を設置し、同年八月には地方公共団体が早急に取り組むべき事項等を具体的に示した「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」を、十二月には総務省が取り組む事項等を年度ごとに明示したアクション・プランを策定した。

第10節 IT社会実現に向けた基盤整備・環境整備のための政策の推進

1 世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成
 「世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成」については、「e−Japan重点計画」において、五年以内に超高速アクセスが可能な世界最高水準のネットワークが整備され、国民にとって安価で使いやすいネットワーク・インフラとなるような環境の実現に向け、電気通信事業における公正競争条件の整備、光ファイバ等の敷設の円滑化等の施策に取り組むこととされている。

2 教育及び学習の振興並びに人材の育成
 「教育及び学習の振興並びに人材の育成」については、「e−Japan重点計画」において、すべての国民の情報リテラシーの向上を図り、ITのフロンティアを開発する技術者、研究者などの高度な専門家を育成するよう、学校のIT環境の整備、IT普及国民運動の推進、大学改革の積極的推進、外国人人材の受け入れ促進等の施策に取り組むこととされている。

3 電子商取引等の促進
 「電子商取引等の促進」については、「e−Japan重点計画」において、平成十五年(二〇〇三年)に便利で使い勝手の良い電子商取引市場が形成されるよう、電子商取引を阻害する規制の改革や新しいルールの整備、商法等の見直し、知的財産権の適正な保護及び利用等の施策に取り組むこととされている。

4 横断的な課題
 「e−Japan重点計画」では、前述の五分野の施策を推進して高度情報通信ネットワーク社会を実現するに当たって、重点的な対応が必要となる横断的な課題が存在することから、「研究開発の推進」、「デジタル・ディバイドの是正」、「社会経済構造の変化に伴う新たな課題への対応」、「国際的な協調・貢献の推進」の四つの課題に分けて、これらについても積極的な対応を行うこととしている。

第2章 情報通信の現況

第1節 情報通信産業

1 国内生産額
 我が国における情報通信産業の実質国内生産額を推計したところ、平成十一年には百八兆九千億円となり、全産業に占める割合は一一・四%となった。主な産業について比較すると、情報通信産業は建設を上回り、国内生産額で最大規模の産業となっている。情報通信産業を部門別にみると、平成十一年において最も大きいのは情報通信機器製造(二十八兆四千億円)、次いで情報関連サービス(二十五兆一千億円)となっている。

2 生産性
 平成十一年における情報通信産業の労働生産性(実質国内生産額÷雇用者数)は二千七百六十九万円と、昭和六十年以来順調に伸びており、特に平成七年以降は伸びが加速している。昭和六十年から平成十一年における労働生産性の年平均成長率を、主な産業について比較すると、情報通信産業は最も高い四・四%となっている。昭和六十年から平成十一年における年平均成長率を情報通信産業における部門別に比較すると、電気通信が最も高く(一三・一%)なっている。

3 情報通信ベンチャー
 平成八年から十一年の我が国における企業増加率をみると、電気通信業の企業増加率は七九・一%と、他の産業がおおむね横ばいであるのに対し大幅に伸びており、倒産率では、電気通信業は三・五%と主な産業において最も低い。ベンチャーキャピタルの投資先を産業別にみると、IT関連分野の構成比が平成十二年四月から六月にかけては減少しているものの、インターネット関連と通信は、平成十二年度に入っても引き続き投資の構成比が上昇している。

第2節 情報通信ネットワーク

1 移動体
 平成十二年度末現在、携帯電話の普及率は東京都が最も高く、百人当たり五十台を超えている。また、人口百人当たりの普及台数が三十台未満の県は、十一年度末には六県あったが、平成十二年度末にはなくなり、地域における普及率の底上げが図られた。一方、PHSについては、宮城県が最も普及しており、約十人に一台の割合となっている。

2 衛星
 第一種電気通信事業者が国内サービスに使用中の静止衛星は、平成十二年度末現在十三機であり、総トランスポンダ(電波中継器)数は四百十一本である。平成十二年十月には、宇宙通信とJSATが、東経百十度に共同利用衛星(スーパーバード−D及びJCSAT−110)の打上げに成功している。一方、放送衛星は、平成十二年度末現在四機である。また、第一種電気通信事業者が国際サービスに使用中の静止衛星は、平成十二年度末現在二十一機である。

第3節 情報通信サービスの展開

1 電気通信事業者
 平成十二年度に新規参入を行った電気通信事業者は一千四百八十六社(平成十一年度は一千二百十八社)であり、ケーブルテレビ事業者による第一種電気通信事業への参入、インターネットサービスプロバイダ事業者による第二種電気通信事業への参入は、引き続き増加傾向にある。第一種電気通信事業者の平成十一年度の電気通信事業による営業収益(附帯事業収益を除く)は、十二兆四千百九十七億円(対前年度比三・三%増)、第二種電気通信事業者の十一年度の営業収益は九千百八十八億円(対前年度比五・四%減)であった。

2 電気通信サービス
 我が国の固定系電気通信サービスについてみると、東・西NTTの加入電話契約数は平成十三年三月末現在で五千二百九万契約(対前年度比六・一%減)となっており、連続して減少している。これらは、携帯電話・PHSの契約数の伸び等が原因であると考えられる。
 また、ISDNにおいては、平成十二年三月末現在、基本インターフェースが九百五十七万加入(対前年度比六四・二%増)、一次群速度インターフェースが十三万加入(同七二・六%増)と平成七年度以降、急激な伸びを示しており、インターネットの利用者の増加等が要因と考えられる。
 他方、移動系通信については、携帯電話サービスの総契約数が、平成十二年度末現在、六千九十四万二千契約(対前年同期比一九・二%増)となっており、またPHSサービスの総契約数についても平成十二年度末現在五百八十四万二千契約(対前年同期比二・四%増)と増加に転じている。

3 放送事業者
 平成十二年度末現在、地上系放送事業者数は三百三十九社、衛星系放送事業者数は百五十五社、自主放送を行うケーブルテレビ事業者は六百四十六社である。また、収益については、地上系民間放送事業者の平成十一年度営業収益は、二兆四千七百三十三億円(対前年度比一・三%増)と全体として増加、衛星系民間放送事業者の平成十一年度営業収益は、一千六百五億円(対前年度比二一・一%増)と大幅に増加、ケーブルテレビ事業者の平成十一年度営業収益は、二千二百四十四億円(対前年度比一六・二%増)で単年度黒字を計上した事業者は五割を超えた。

4 放送サービス
 地上放送については、平成四年にコミュニティFM放送が、平成七年に外国語FM放送がそれぞれ導入され、コミュニティ放送については平成十二年度末現在で百三十九社と着実に増加している。NHKの受信契約は、平成十三年三月末現在、三千七百二十七万であり、このうち一般受信契約数は二千六百六十五万、衛星放送受信契約数は一千六十二万となっている。
 衛星放送については、平成十二年十二月にBSデジタル放送が開始され着実な普及動向を見せており、CSの百十度衛星による放送が早ければ平成十三年末に開始されることとあわせて、今後一層の発展が期待される。ケーブルテレビについては、比較的規模の大きな施設及び自主放送を行うものの普及が進んでおり、ケーブルテレビのサービスは多様化してきている。

5 情報流通
 我が国における情報流通量の過去十年間の推移をみると、一貫して増加しており、特に近年その増加は加速している。また、平成十一年度における各都道府県別のシェアをみると、東京都が、発信情報量については一七・九%、選択可能情報量については一三・一%、消費情報量については一〇・二%と、いずれにおいても最も大きくなっている。

第4節 技術

1 研究開発投資
 平成七年度以降毎年増加を続けていた我が国における全産業の研究開発費は、平成十一年度において減少に転じたが、情報通信分野における研究開発費は、三兆三千六百五億円(対前年度比一・九%増)となり、平成六年度から増加傾向にある。また、全産業に占める割合も平成六年度以降増加を続け、平成十一年度は、三一・六%とシェアを拡大している。

2 研究水準
 IMDの世界各国の競争力ランキングによると、我が国は科学技術に関して、ここ数年間第二位を保持しており、科学技術の水準は全体的には依然高いレベルにあるという結果になっている。しかし、OS、ブラウザ等インターネット関連の技術の多くは米国がデファクトスタンダードを確立しており、また、情報通信分野における論文発表・引用数及び特許件数をみると、全体的に米国に大きく水を開けられている。

第5節 郵便事業

1 概況
 郵便事業財政は、平成十年度に単年度赤字となり、平成十三年度予算においても三百三億円の赤字を見込んでいる。しかしながら、赤字額は縮小傾向にあり、平成十三年度についても更に縮小の見込みである。

2 取扱数
 平成十二年度の総引受郵便物数は二百六十五億通(対前年度比一・五%増)と過去最高である。平成十一年度における各国の総引受郵便物数を比較すると、我が国は米国・フランスに次いで世界第三位である。しかし、国民一人当たりの年間差出郵便物数を比較すると、我が国は世界第十八位となっており、第一位の米国における一人当たり差出郵便物数は、我が国の約三・六倍となっている。

第6節 海外の動向

1 米国
 電気通信分野では、世界最大の市場を抱え、電気通信事業者は激しい競争を展開し、業態を超えた競争・提携・統合が進行している。また、各省庁にIT政策を企画・立案・実施する上での権限を与えられた専任の最高情報責任者(CIO)を置き、六つの戦略目的を掲げるとともに、分野別に詳細な具体的目標を設定するなどを行っている。

2 欧州
 EUにおいてもIT推進に係る戦略が策定され、電気通信規制枠組みの見直しや電子商取引にかかる法整備として、@eEurope二〇〇二、A電子商取引指令、BEUによる電気通信規制枠組みの見直し、Cローカル・ループのアンバンドリングに関する規則等の情報通信政策等が積極的に展開されている。

3 アジア
 香港におけるIT戦略としては、一九九八年十一月に「デジタル21」を発表、香港を二十一世紀における先導的なデジタル・シティとすることを目的としている。
 韓国においては、一九九九年に、次世代インターネットや光通信等の研究開発を含む情報通信技術開発五か年計画(二〇〇〇年から二〇〇四年まで)、及び二〇〇二年には世界で十位圏の情報化先進国になることを目標とした「CYBER KOREA 21」を発表した。
 シンガポールは、二〇〇〇年に、IT分野における二〇〇一年からの十年間の国家計画であるICT21マスタープランを発表した。

第3章 情報通信政策の動向

第1節 高度情報通信ネットワーク社会実現に向けた政府の主な取組

1 日本新生のための新発展政策
 政府は、平成十二年十月、「日本新生のための新発展政策」を取りまとめた。新発展政策の重点としては、@IT革命の飛躍的推進、A循環型社会の構築など環境問題への対応、B活力に満ちた未来社会を目指す高齢化対策、C便利で住みやすい街づくりを目指す都市基盤整備、の四分野が挙げられ、情報通信はその一つとして位置付けられるなど、対策の根幹をなす重要項目となっている。

2 インターネット博覧会(インパク)
 「インターネット博覧会=楽網楽座=」(インパク)は、経済新生対策(平成十一年十一月経済対策閣僚会議決定)に盛り込まれた「新千年紀記念行事」として、平成十二年十二月三十一日から一年間、インターネット上で行われる博覧会である。国が博覧会会場に相当するサーバを準備し、国、地方公共団体、企業、非営利団体、個人等がホームページ(パビリオン)を開設、インターネット上で様々な情報発信を行うことを目指している。

第2節 情報通信改革の推進

1 新料金制度の導入
 郵政省[現総務省]では、平成十二年十月、競争が十分に進展していないサービスについて、適切な料金水準である基準料金指数を設定し、基準料金指数以下の料金は届出対象料金とする一方、基準料金指数を超える料金は認可対象料金とする上限価格方式(プライスキャップ規制)を導入した。

2 電話会社事前登録制
 従来、利用者がNTTの加入電話から他の事業者経由で電話を利用する場合には、事業者識別番号(「〇〇××」)をダイヤルすることが必要であり、NTTと他の事業者の公正な競争が図られない懸念があったため、郵政省[現総務省]では、優先接続制の実現に向けた検討を行い、この検討結果を受け、平成十三年五月から優先接続制(サービス名「マイライン」)が導入された。

3 接続制度の見直し
 東・西NTTの事業者間接続料につき一層の低廉化を目指し、平成十二年五月に電気通信事業法の一部改正により接続料について長期増分費用方式を導入する制度の見直しを行った。また、事業者間接続料の引下げ問題についての日米規制緩和対話では、平成十二年七月に日米両政府間において、三年間で二二・五%の引下げを行うことなどについて合意に至った。
 さらに平成十二年十二月には、電気通信審議会から、接続制度に係る移動体通信事業者の設備や東・西NTTの光ファイバ設備の取扱い、事業者向け割引料金(キャリアズレート)の拡大等についての考え方を示す「接続ルールの見直しについて」の第一次答申を得た。

第3節 ネットワークの高速化

1 ネットワークインフラの整備
 加入者系無線アクセスシステムについては、電気通信基盤充実臨時措置法の支援対象に追加すること等をその内容とする同法の改正法案を第百五十一回通常国会に提出し、成立した。また、総務省では次世代無線アクセスシステムの研究開発を推進するとともに、更なる周波数の追加割当てについて検討を行っている。

2 情報通信格差是正の推進
 携帯電話サービスの地域間格差の是正に向けた過疎地域等における移動通信用鉄塔施設整備事業について、平成十三年度から公共事業関係費からの支出や、国庫補助率の三分の一から二分の一への引き上げなどを行った。

3 放送の高度化の推進
 デジタル放送への移行について、地上デジタルテレビジョン放送では、一部地域において既存のアナログ放送の周波数を変更するのに必要な対策経費につき、平成十三年度予算に約百二十三億円を計上するとともに、電波法の一部を改正する法律案を第百五十一回通常国会に提出、平成十三年六月に成立した。

第4節 コンテンツの振興

1 コンテンツ流通市場の形成
 放送のデジタル化、インターネットのブロードバンド化による多メディア・多チャンネル化の進展に対応したコンテンツ流通の円滑化を図るため、総務省では環境整備に向けた取組を推進している。

2 モバイルインターネット・コンテンツの振興
 モバイルネットワークを利用したコンテンツビジネスが高度化・多様化する一方、コンテンツの質や利用者保護の在り方が問われている。総務省では、モバイルコンテンツビジネスが社会的な信任にこたえ、成長していくために必要な環境の整備を図るため研究会を開催している。

第5節 研究開発の推進

1 産学連携によるIT研究開発
 総務省では、我が国の情報通信技術分野における研究開発力の向上、新規産業の創出等を図るため、平成十一年度に通信・放送機構に「産学連携支援・若手研究者支援型研究開発制度」を創設したほか、産学の恒常的な連携を促すため、通信・放送機構により、平成十三年三月、埼玉県本庄市に共同利用型研究開発施設を整備するなどの取組を進めている。

2 スーパーインターネットの実現に向けた取組の推進
 総務省では、情報家電とインターネットの活用により多様なコンテンツの円滑な流通を実現するための基盤技術の確立や、あらゆる電子機器にインターネット接続機能を持たせてすべての国民が「いつでも」「どこでも」あらゆるインターネット・サービスを受けることが可能となることを目指す研究開発に取り組んでいる。

3 量子情報通信技術の研究開発
 量子情報通信技術について、郵政省[現総務省]では、平成十二年六月に取りまとめた「量子力学的効果の情報通信技術への適用とその将来展望に関する研究会」の報告書を踏まえ、平成十三年度から、産学官での分担・連携による量子情報通信技術の研究開発を戦略的・総合的に推進している。

4 新世代移動通信システムの実現に向けた取組
 新世代移動通信システムの実現に向け、その基本コンセプト、実現のための技術開発課題、標準化課題及びその推進方策等について、早急に検討することが必要となっていることから、総務省では平成十二年十月に「新世代移動通信システムの将来展望」を電気通信技術審議会に諮問したところである。

第6節 情報通信高度化の環境整備

1 高齢者・障害者対策関連
 総務省では、年齢・障害面でのデジタル・ディバイドの解消に向け、高齢者・障害者の様々な障害に対応できる通信・放送システムを実現するための様々な取組を実施している。また、視聴覚障害者がテレビジョン放送等の内容を理解する上で必要不可欠なサービスである字幕放送等を提供するための番組制作支援措置等を講じている。

2 電波利用環境の整備
 総務省では、不要電波問題について、国際無線障害特別委員会(CISPR)の規定に準拠した無線妨害波等の技術的条件について、規格の策定又は改訂を行っている。また、無線設備から発射される電波が人体に好ましくない影響を及ぼすのではないかという懸念に対し、無線機器に適用される電波防護指針を策定、無線機器の製造等におけるガイドラインとして活用されている。

第7節 公共分野の情報化の推進

1 公共システムの開発
 通信・放送機構では、公共性を有する業務の用に供する電気通信システム(特定公共電気通信システム)の研究開発を実施している。また、住民票の記載事項として新たに加えられた住民票コードを基に、市町村の区域を越えた住民基本台帳に関する事務の処理や国の機関等に対する本人確認情報の提供を行うための仕組みとして「住民基本台帳ネットワークシステム」を構築することとしている。

2 ITによる地域振興
 地方公共団体が、地域の有形・無形の文化財、歴史的遺産を保存し、それらを住民にも公開していくこと等を目的として、総務省では、地域の文化施設に蓄積された文化財などのデジタル情報をネットワークを通じて誰もがアクセス可能な状態にする「デジタル・ミュージアム構想」を推進している。

第8節 グローバル化への対応

1 国際政策の推進
 二〇〇〇年七月に開催された九州・沖縄サミットにおいては「IT憲章」が採択され、デジタル・ディバイドの解消に向けて各国首脳が共通の認識をもって取り組んでいくこととされた。また、二〇〇〇年五月にメキシコで開催されたAPEC電気通信・情報産業大臣会合においては、電子商取引の推進に向けたカンクン宣言が採択された。

2 国際協力の推進
 総務省では、外務省、国際協力事業団(JICA)、国際協力銀行(JBIC)と協力し、ODA(政府開発援助)を通じた開発途上国における情報通信分野の継続的な発展に貢献している。また、九州・沖縄サミットで採択されたIT憲章等を踏まえ、国際的なデジタル・ディバイド解消に向けた一層積極的な取組が期待されている。

第9節 郵便局ネットワークの活用とサービスの充実

1 郵便局におけるワンストップ行政サービスの推進
 総務省では郵便局でのワンストップ行政サービスの推進を図っており、郵便局に設置された情報端末から地方公共団体が提供する各種行政サービスの申込み等を行う実証実験を平成九年度から実施しており、平成十二年度は、都道府県庁も実験自治体に加え、広域的行政サービスを郵便局で実施している。

2 郵便局を利用した高齢者等のための情報化支援
 総務省郵政事業庁では、平成十年度から、郵便局の地域サービスの一環として、高齢者等のパソコンやインターネットを利用した情報化を支援するため、郵便局の施設等を利用し、地方公共団体等との連携によって、無料の高齢者等パソコン教室を実施している。


本気でチェック!!


 家庭の地震対策

 最も身近な自主防災組織は家庭です。大地震発生の際にも家族があわてず行動できるように「家庭内防災会議」を開き、必要事項を確認し合っておきましょう。
○とっさの安全確保と火災防止の手順は?
○家屋の補強、家具の転倒・落下の防止策は?
○非常持出袋の準備と置き場所は?
○幼児や高齢者の避難補助の役割分担は?
○避難経路と避難場所は?
○家族間の連絡方法と最終的な避難場所は?

【非常持出品の備え】
 避難生活に最低限必要な物をリュックサックなどの非常持出袋に入れて、すぐに持ち出せる場所に備えておきましょう。

【消火器などの備え】
 万一の出火に備えて、消火器や消火用三角バケツなどをすぐ使える場所に用意。風呂の水はいつもためておくように心がけを。火災が発生したときに確実に消火できるように、普段から防災訓練などに参加し、消火器の使い方に慣れておきましょう。
 夜間に避難するための懐中電灯や、床に飛散したガラスでけがをしないように厚手のスリッパや運動靴を身近な場所に用意しておきましょう。


歳時記


 秋風

 北日本など一部の地域を除くと、九月初旬はまだ夏の内。残暑に悩まされる日が続きますが、それでも朝方や夕暮れどきなど、ふと秋の気配が感じられるようになります。
 やがて、夜がだんだんと長くなり、朝夕が冷え込み、露の降りる日も現れるようになると、秋気が募ってきます。
 そんな秋の訪れを、二十四節気では「白露」といい、新暦の九月七日前後がその時期に当たります。このころになると、それまで生暖かかった風にも冷たさが加わります。
 「秋風」とは、文字どおり秋に吹く風を指しますが、夏や冬の季節風のように定まった風向きはありません。俳句の世界では、秋の初風をいう場合もあり、晩秋の身にしみるような冷たい風をいう場合もあるようです。
 「秋」と読み方が同じ「愁(しゅう、うれい)」、「飽き」にかけて、うれいを含んだ風の意味で「愁風」、心の破綻があるという意味で「飽き風」と詠んだ詩や句が、昔から多くつくられています。
 秋風を色に配して白、素風と呼ぶこともあります。

 石山の石より白し秋の風    芭蕉

 これは、白露を連想させる白く光った風です。実体のない風に色を与えることで、その特色を浮かび上がらせた句です。
 同じ秋に吹く風である台風や、初冬の木枯らしなど、さまざまな風を色にたとえてみるのも面白いですね。


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七月の雇用・失業の動向


―労働力調査 平成十三年七月結果の概要―


総 務 省


◇就業状態別の人口

 平成十三年七月末の就業状態別人口をみると、就業者は六千四百五十二万人、完全失業者は三百三十万人、非労働力人口は四千九十二万人と、前年同月に比べそれぞれ三十七万人(〇・六%)減、二十三万人(七・五%)増、七十二万人(一・八%)増となっている。

◇就業者

(1) 就業者
 就業者数は六千四百五十二万人と、前年同月に比べ三十七万人(〇・六%)の減少となり、四か月連続の減少となっている。
 男女別にみると、男性は三千七百九十八万人、女性は二千六百五十五万人で、前年同月と比べると、男性は二十四万人(〇・六%)減、女性は十三万人(〇・五%)減となっている。

(2) 従業上の地位
 就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千三百九十万人、自営業主・家族従業者は一千三十八万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は二十九万人(〇・五%)増、自営業主・家族従業者は七十万人減となり、雇用者は十五か月連続の増加となっている。
 また、雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりである。
○非農林業雇用者…五千三百五十一万人と、二十二万人(〇・四%)増、十五か月連続の増加
 ・うち常 雇…四千六百五十七万人と、一万人(〇・〇%)増、二か月ぶりの増加
 ・うち臨時雇…五百七十四万人と、二十三万人(四・二%)増、平成八年九月以降、増加が継続
 ・うち日 雇…百二十一万人と、一万人(〇・八%)減、三か月連続の減少

(3) 産 業
 主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりである。
○農林業…三百十九万人と、八万人(二・四%)減
○建設業…六百二十九万人と、二十一万人(三・二%)減、八か月連続の減少
○製造業…一千二百八十八万人と、五十八万人(四・三%)減、三か月連続の減少
○運輸・通信業…四百十九万人と、十二万人(二・九%)増、二か月連続の増加
○卸売・小売業,飲食店…一千四百九十万人と、三十二万人(二・二%)増、二か月連続の増加
○サービス業…一千七百四十五万人と、十七万人(一・〇%)増、十七か月連続の増加
 また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりである。
○建設業…五百二十一万人と、十三万人(二・四%)減
○製造業…一千百八十八万人と、四十四万人(三・六%)減
○運輸・通信業…三百九十七万人と、十三万人(三・四%)増
○卸売・小売業,飲食店…一千二百二十万人と、四十三万人(三・七%)増
○サービス業…一千五百二十一万人と、三十二万人(二・一%)増

(4) 従業者規模
 企業の従業者規模別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりである。
○一〜二十九人規模…一千七百三十九万人と、十三万人(〇・八%)増、二か月連続の増加
○三十〜四百九十九人規模…一千八百三万人と、五十二万人(三・〇%)増、十一か月連続の増加
○五百人以上規模…一千二百四十五万人と、三十四万人(二・七%)減、三か月連続の減少

(5) 就業時間
 七月末一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)、及び対前年同月増減は、次のとおりである。
○一〜三十五時間未満…一千四百九十二万人と、二十九万人(二・〇%)増加
 ・うち一〜三十時間未満…一千八十四万人と、二十五万人(二・四%)増加
○三十五時間以上…四千八百二十八万人と、七十一万人(一・四%)減少
 ・うち四十九時間以上…一千八百十万人と、十六万人(〇・九%)減少
 また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四二・七時間で、前年同月と比べ〇・二時間の減少となっている。

◇完全失業者

(1) 完全失業者数
 完全失業者数は三百三十万人と、前年同月に比べ二十三万人(七・五%)増となり、四か月連続の増加となっている。
 男女別にみると、男性は二百三万人、女性は百二十七万人で、前年同月に比べ、男性は十三万人(六・八%)の増加、女性は十万人(八・五%)の増加となっている。
 また、求職理由別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりである。
○非自発的な離職による者…九十九万人と、同数
○自発的な離職による者…百十四万人と、十五万人の増加
○学卒未就職者…十八万人と、六万人の増加
○その他の者…八十六万人と、一万人の減少

(2) 完全失業率(季節調整値)
 季節調整値でみた完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は五・〇%で、前月に比べ〇・一ポイントの上昇となっている。
 男女別にみると、男性は五・二%、女性は四・七%と、前月に比べ男性、女性ともに〇・一ポイントの上昇となっており、男女計及び男性の完全失業率は、比較可能な昭和二十八年以降、最高となっている。

(3) 完全失業率(原数値)
 完全失業率は四・九%と、前年同月に比べ〇・四ポイントの上昇となっている。
 男女別にみると、男性は五・一%、女性は四・六%と、男女ともに〇・四ポイントの上昇となっている。

(4) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)
 年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりである。

 [男]
○十五〜二十四歳…四十万人(二万人増)、一〇・三%(〇・八ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…五十万人(六万人増)、五・四%(〇・六ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十七万人(六万人増)、三・五%(〇・八ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…三十四万人(同数)、三・六%(同率)
○五十五〜六十四歳…四十三万人(二万人減)、六・六%(〇・一ポイント低下)
 ・うち五十五〜五十九歳…十八万人(一万人増)、四・七%(〇・五ポイント上昇)
 ・うち六十〜六十四歳…二十五万人(三万人減)、九・四%(一・二ポイント低下)
○六十五歳以上…七万人(同数)、二・三%(同率)
 [女]
○十五〜二十四歳…二十九万人(三万人増)、八・〇%(一・一ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…四十二万人(二万人増)、六・九%(〇・一ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十万人(一万人増)、三・八%(〇・一ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…十八万人(同数)、二・六%(同率)
○五十五〜六十四歳…十六万人(三万人増)、三・九%(〇・八ポイント上昇)
 ・うち五十五〜五十九歳…八万人(一万人増)、三・二%(〇・六ポイント上昇)
 ・うち六十〜六十四歳…八万人(二万人増)、五・〇%(一・一ポイント上昇)
○六十五歳以上…一万人(一万人減)、〇・五%(〇・五ポイント低下)

(5) 世帯主との続き柄別完全失業者数及び完全失業率(原数値)
 世帯主との続き柄別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりである。
○世帯主…八十六万人(二万人増)、三・二%(〇・一ポイント上昇)
○世帯主の配偶者…四十二万人(四万人増)、二・九%(〇・三ポイント上昇)
○その他の家族…百四十八万人(十三万人増)、八・一%(〇・八ポイント上昇)
○単身世帯…五十四万人(五万人増)、六・八%(〇・六ポイント上昇)














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税金365日 公売に参加したいときは


国 税 庁


 「公売」という制度をご存じですか?
 納税者が税金を滞納した場合、これを徴収するために納税者所有の財産を差し押さえ、最終的には差押財産を金銭に換えて滞納国税に充てるという手続きが採られます。この差押財産を入札の方法により売却することを「公売」といいます。
 公売には、原則としてだれでも参加することができます。
 公売される物件の種類は不動産が大部分ですが、有価証券(株券・国債等)、ゴルフ会員権、宝石、電話加入権など多種にわたっています。
 また、見積価額は、公売物件の時価を基準としていますが、時価の三割程度安くなっているものもありますので、お買い得といえます。
 以下、公売の手続きについて説明しましょう。

【公売に参加するには】

1 公売公告について
 差押財産を公売する場合には、多くの方々に参加していただくため、公売日の少なくとも十日前までに、その公売を実施する国税局や税務署の掲示板等に、公売される物件の内容、公売の日時・場所等が掲示(公売公告)されます。
 また、より広く皆さんに公売の情報をお知らせするために、新聞・住宅情報誌等の刊行物への掲載や、国税局のホームページへの公売物件の掲載、情報誌を作成している場合があります。
 詳しいことは、国税局又は税務署の公売担当へ電話などでお気軽にお問い合わせください。

2 見積価額について
 差押財産を公売するときは、国税局長又は税務署長は、あらかじめ公売物件の見積価額を決定します。
 入札に当たっては、見積価額以上で行う必要があります。

3 入札に当たり用意するもの
 参加者は、入札に当たって次のものを用意する必要があります。
 @印鑑
 A公売保証金(見積価額のおおむね一〇%)及び買受代金(不動産の場合は一週間後の支払い)相当額の現金又は小切手(銀行振出のもの)
 B委任状(代理人が入札する場合)
 (注) 公売物件によって@〜B以外の書類が必要な場合があります。
  例:農業委員会が発行する「買受適格証明書」(農地を入札する場合)

4 入札の方法
 買受希望者は、定められた入札時間内に、入札価額等の必要事項を記載した入札書を、公売保証金を納付した上で入札箱に投入します。

5 開札と最高価申込者の決定
 入札終了後、ただちに開札が行われ、公売物件について見積価額以上で入札した者の中で、最高額をつけた者が最高価申込者に決定されます。
 なお、最高価申込者が入札に際して納付した公売保証金は、買受代金に充当することができ、最高価申込者とならなかった入札者の公売保証金は返還されます。

【代金納付と不動産を買い受けたときの権利の移転手続き】

 最高価申込者は、買受代金を、動産や有価証券の場合は公売の日に、不動産の場合は公売の日から一週間後に納付する必要があり、納付したときに公売物件を取得しますが、権利の移転については、農地、電話加入権のように関係機関の許可又は承認等がなければその効力が生じないものもあります。
 公売物件が不動産である場合の所有権移転手続きは、買受人の請求に基づいて、国税局長又は税務署長が行います。
 権利移転に要する手数料は無料ですが、所有権移転登記に必要な登録免許税及び登記嘱託書等の郵送料は、買受人が負担することとなります。

<しごと情報ネットの運用開始  厚生労働省>

 今年八月八日から、「しごと情報ネット」の運用が開始されています。
 これは、インターネットを利用して、民間の求人情報とハローワークの求人情報によるインデックス情報を一度に検索できるようにするなどの仕組みで、仕事を探している皆さんの、効果的な就職活動を支援しようというものです。
 「しごと情報ネット」を民間機関の方に積極的に活用していただくことで、失業中の方の早い再就職や、在職中の方の円滑な転職を実現することができます。
 このシステムには、次の方々が『一般参加機関』または『特定参加機関』として参加できます。
 ・民間の職業紹介所の方
 ・情報誌、インターネットなどで求人情報提供の事業を行っている方
 ・求人情報提供の事業を行っている経済団体の方
 また、労働者派遣事業、労働者供給事業を行っている方も、『参考情報提供機関』としてシステムに参加することができます。
 「しごと情報ネット」に、参加機関の方々が個別に持っている求人情報を提供する場合、その参加機関を『一般参加機関』と呼びます。その場合の情報提供の仕組みや、求人情報の入手の仕方は次のようになります。

【参加機関による情報提供】
・参加機関が、「しごと情報ネット」のシステムを通じて、保有している個別の求人情報にかかわるインデックス情報を提供します。
・仕事を探している方などの利用者が、インターネット上で「しごと情報ネット」にアクセスして、給料や就業場所などについて、希望する条件で求人情報を検索できます。
・検索結果は、利用者の条件に合う複数の参加機関のインデックス情報が表示されます。検索結果から、ハローワークインターネットサービスや参加機関のホームページにアクセスしたり、掲載されている連絡先に電話をしたりすることで、より詳細な求人情報を入手することができます。
 『一般参加機関』は、個別に持っている求人情報と併せて、自らの事業を「しごと情報ネット」に掲載することもできます。また、自らの事業を紹介するという形だけでも参加できます。この場合の参加機関を『特定参加機関』と呼びます。

【参加機関の募集】
 「しごと情報ネット」に参加を希望される機関の方々のために、三月二十七日から「しごと情報ネット運営協議会」(事務局は厚生労働省職業安定局民間需給調整課)において申請を受け付けています(八月八日から運用が開始されていますが、引き続き申請を受け付けます)。

【問い合わせ先】
 ご不明な点がありましたら、各都道府県の労働局職業安定部へお気軽におたずねください。また、厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp)の「トピックス欄」に「しごと情報ネット」への参加に当たっての関係規定、手続書式などを掲載しておりますので、参加を希望する各機関の方はぜひご覧ください。



    <9月26日号の主な予定>

 ▽観光白書のあらまし………………国土交通省 

 ▽毎月勤労統計調査(七月)………厚生労働省 




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