官報資料版 平成13年10月17日




                  ▽製造基盤白書のあらまし……………………経済産業省・厚生労働省・文部科学省

                  ▽家計収支(七月分)…………………………総 務 省

                  ▽税金365日 リサイクル推進月間………国 税 庁











製造基盤白書のあらまし


経済産業省・厚生労働省・文部科学省


 「ものづくり基盤技術振興基本法第八条に基づく年次報告書」は、ものづくり基盤技術振興基本法第八条に基づいて、政府が、毎年、ものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策に関する報告書を国会に提出するものである。
 法律は、平成十一年三月に議員立法として全会一致で成立し、今回が一回目の年次報告となる。
<年次報告のポイント>
 ものづくり基盤技術は、製造業等における製品やサービスの価値を高める要素として国の存立基盤を形成するものであり、今後もその重要性は、いささかも変わるものではないという観点から、
 ・ものづくり基盤技術をめぐる現状の分析(第一部)と
 ・ものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策(第二部)
をできる限り分かりやすく紹介している。
@ ものづくり基盤技術の振興のためには、「ものづくり基盤技術の研究開発」、「ものづくり労働者の確保」、「産業集積の推進及び中小企業の育成」、「学習の振興」等が重要であることにかんがみ、ものづくり基盤技術をめぐる現状をこれらの視点から分析。
A 「産業集積の構造」、「ものづくり教育の実践」等について、実際の取組事例を紹介。
B ものづくり基盤技術の振興について、平成十二年度に講じた施策を整理。

第一章 ものづくり基盤技術の研究開発の現状

(1) ものづくり基盤技術の研究開発の現状

 <ものづくり基盤技術の水準の向上を図るためには、ものづくり基盤技術に関する研究開発の実施及びその成果の普及、技術の指導、技術者の研修等が重要である。>
○ 我が国の研究開発費は年々増加傾向にあり、平成十年度の研究開発費は約十五兆円と、米国の約三十七兆円に次いで世界第二位となっている。
  国内総生産(GDP)に占める割合は、欧米主要国の中で最高水準となっている(平成十年度)(第1図第2図参照)。
○ 平成十一年度の我が国の研究開発費のうち約十兆六千億円が民間企業によるものであるが、民間企業による研究開発費のうち九兆五千億円(約九〇%)が製造業の研究開発費となっている(第3図第4図参照)。
○ 民間企業の研究者数約四十三万人のうち、製造業における研究者数は約三十九万人(約九〇%)を占めている。しかしながら、多くの企業で研究者が不足していると認識しており、規模の小さい企業ほど、その認識が大きい傾向にある(第5図参照)。
○ ものづくり事業者の多数を占める中小企業者は、自社内で技術者の資質の向上をすべて行うことは困難であるため、技術上の問題や課題について、地元の公設試験研究機関に相談する場合が多い(第6図参照)。
  全国で約百八十か所ある鉱工業系公設試験研究機関では、年間約三十五万件の技術相談、約十一万件の技術指導などを行っている(平成十二年)(第7図参照)。
○ 中小製造事業者のうち八〇%以上が熟練技能を必要と認識している。
  その理由としては「技術的に機械化できない」の次に「経験や知識を基に新たな技術開発などが期待できる」が多い(第8図第1表参照)。
○ 特に売上高が伸びている企業では、技術の継承に際し、将来は人による伝承から技能のマニュアル化・データベース化へと力点が移りつつある(第9図第10図参照)。
○ 新技術の開発、重複した研究開発の回避、研究開発成果の活用のため、特許情報の提供、流通等も行われ、特許流通アドバイザーの派遣、特許流通フェアの開催等の事業により成約に至った件数も急増している(第2表参照)。

【平成十二年度に講じた主な施策】
▽中小企業技術革新新制度(SBIR)
  新産業の創出につながる新技術開発のための補助金・委託費等について、特定補助金等として指定を行い、中小企業者等への支出の機会の増大を図った。
▽中小企業技術基盤強化税制
  中小企業者等の試験研究費の特別税額控除率の割増特例(六%→一〇%)を認める中小企業技術基盤強化税制の適用期限を延長して適用した。
▽特許流通データベース整備事業
  開放意志のある特許情報を集積したデータベースを構築し、インターネットを通じて提供するとともに、製品化イメージ等を付加した開放特許活用例集を作成した。
▽情報通信技術の活用
  製造工程へのIT技術の活用等を目指したデジタル・マイスター・プロジェクトを開始した。

(2) ものづくり事業者と大学等の連携の現状

 <ものづくり事業者が、新たな付加価値を持った製品や事業を生み出し、高めていくためには、自己の経営資源だけでなく、大学、高等専門学校などと連携していくことが重要である。>
○ 民間企業等と国立大学等との共同研究については三千百二十九件(十年前の約四・四倍)、国立大学等における民間企業等からの受託研究については五千八百九十八件(十年前の二・九倍)が実施されている(平成十一年度)(第11図第12図参照)。
○ 平成十年八月の「大学等技術移転促進法」の施行後、平成十三年四月までに全国で二十の技術移転機関(TLO)が承認され、これらTLOにおいては、大学等の研究成果として国内で七百件以上の特許が出願されている(平成十二年十二月末現在)(第3表参照)。

【平成十二年度に講じた主な施策】
▽地域新生コンソーシアム研究開発制度
  地域の国立試験研究機関、大学、民間企業からなるコンソーシアム(研究共同体)から研究開発課題を公募し、産学官の強力な連携の下で研究開発を行った。
▽大学等技術移転促進費補助金
  「大学等技術移転促進法」に基づいて承認したTLO(技術移転機関)に対して、助成金の交付を行った。
▽インターンシップ・プログラム支援事業
  インターンシップを実施する事業者に対して、必要な経費の一部の助成を行った。

第二章 ものづくり労働者の確保等の現状

(1) 雇用・失業の現状

 <我が国のものづくり産業は、高度な技能を持った優れた労働者によって支えられており、その職業の安定を図ることが重要な課題である。>
○ 製造業の雇用者は平成五年に減少に転じて以来減少を続け、平成十二年には一千二百五万人となった(平成二年は一千三百六万人)。
  これには、事業所数そのものが減少したことが大きく影響している(第4表第5表参照)。
○ 景気の低迷を反映して完全失業率は高水準で推移しており、平成十二年は四・七%と前年に引き続き過去最高水準を記録するなど、依然として厳しい状況にある。
  一方、平成十二年の有効求人倍率は〇・五九倍となり、二年続いた低下から上昇に転じた(第13図第14図参照)。
○ 製造業の就業者のうち三十歳未満の者の割合は長期的に低下傾向(昭和四十五年四〇・八%→平成十二年二一・一%)で推移し、就業者の高齢化が進展している(第6表参照)。
○ 高等学校以上の卒業者における製造業への就職者数及び製造業への就業割合は、近年ともに低下している(第7表参照)。

【平成十二年度に講じた主な施策】
▽「中小企業労働力確保法」に基づく雇用創出に対する支援
  創業・異業種進出を行う中小企業が労働者を雇い入れた場合の賃金助成や、雇用管理の改善を行った場合の経費について助成を行った。
▽人材移動特別助成金
  失業を経ることなく出向又は再就職あっせんにより労働者を受け入れた事業主等に対して「人材移動特別助成金」を支給した。
▽高度技能活用雇用安定地域における助成金の支給
  高度技能活用雇用安定地域において、高度の技能等を活用した新事業展開による一層の雇用開発を図るために助成金の支給を行った。
▽大学等と連携した職業意識啓発事業
  学生職業センター等において、大学等と連携して各種セミナーや講習を実施し、学生の職業意識の形成促進を図る事業を行った。

(2) 職業能力の開発及び向上の現状

 <企業が求める職業能力の内容等が変化し、労働者の自発的な職業能力開発の必要性が高まる中で、ものづくり労働者の職業能力の開発・向上を図ることが重要な課題である。>
○ 製造業事業所の約七〇%で教育訓練が実施されているが、中小企業(一千人以上規模九八・九%に対し、三十〜九十九人規模では六五・七%)や生産工程・労務作業者(三五・七%)の実施率は低い水準となっている(第8表参照)。
○ 製造業労働者の約五五%が自己啓発を行っているが、中小企業(一千人以上規模六五・七%に対し、三十〜九十九人規模では四五・七%)や生産工程・労務作業者(四三・一%)の実施率は低い水準となっている(第9表参照)。
○ 中小企業においては、独自に職業訓練を実施することが困難な事業所が多く、公共職業能力開発施設による支援が重要な役割を果たしている。

【平成十二年度に講じた主な施策】
▽事業主に対する助成金の支給
  事業主が、職業能力開発を段階的・体系的に進めるための計画に基づいて職業訓練を行う場合に、その訓練費用等の一部について助成を行った。
▽教育訓練給付の支給
  労働者が自ら費用を負担して一定の教育訓練を受け、その教育訓練を修了した場合に、労働者が負担した費用の八割(平成十三年一月以降三十万円を上限)に相当する額を支給した。
▽公共職業訓練の推進
  在職労働者や離転職者に対する職業訓練を実施するとともに、公共職業訓練の高度化を推進した。
▽「ものつくり大学」の設立への支援
  ものつくり大学について、施設設備の整備について補助を行った(平成十三年四月開学)。

(3) 職業能力評価、職場環境の整備改善等の現状

 <ものづくり基盤技術や熟練技能を保持していくためには、ものづくり労働者の職業能力を適正に評価することや、技能を尊重する気運の醸成を図ること等が重要な課題である。>
○ 約六〇%の企業で、自社や親会社などの社内検定、業界団体の検定・資格などの職業能力評価制度を利用している(第10表第11表参照)。
○ 生産拠点の海外移転等が進む一方、熟練技能者の高齢化や若年者のものづくり離れにより、ものづくり現場においては高度熟練技能の維持・継承が懸念されている(第12表参照)。

【平成十二年度に講じた主な施策】
▽技能検定制度
  技能検定職種に新たに産業車両整備職種を導入し、織機調整職種を廃止するなどのスクラップアンドビルドを実施した。また、新たに、試験業務の委託対象となる民間機関の範囲及び委託業務の範囲を拡大することとした(平成十三年十月施行予定)。
▽青年技能者技能競技大会(技能五輪全国大会)
  平成十二年十一月九日〜十二日に埼玉県において第三十八回大会が開催され、三十四職種に七百六十四人の青年技能者が参加した。
▽若年者を対象としたものづくり教育・学習の推進
  ものづくり教育について熟練技能者を講師とした試行を実施した。
▽高度熟練技能活用促進事業
  九業種について五百二十九人の高度熟練技能者の認定を行った。また、高度熟練技能者の紹介、技能習得過程等の情報を収集し、広く情報提供を行った。

第三章 ものづくり基盤産業の現状

(1) ものづくり基盤産業の現状

 <ものづくり基盤産業の出荷額等の低迷、製造業の立地の低迷、国際化というものづくり基盤産業をめぐる現状に対し、ものづくり基盤産業における事業活動の効率化、高度化等を図るためには、ものづくり事業者の集積の維持活性化等を図ることが重要である。>
○ 一九九〇年代、ものづくり基盤産業の出荷額等はピークであった平成三年の三百十七兆円から平成十年の二百六十六兆円と低迷している。
  製造業の工場立地件数も平成元年をピークに減少し、平成十二年には、一千百三十四件と平成元年の四分の一以下となっている(第15図第16図参照)。
○ 一九九〇年代、近畿地方、関東地方の製造業の製造品出荷額等は、低迷している。
  一方、地方圏においては、東北、九州地方のように、一定の成長を続けている地域が存在している(第17図第18図参照)。
○ プラザ合意以降、我が国製造業の対外直接投資は逐年増加し、平成十一年度には四百二十三億一千万ドル(昭和六十年度の約十八倍)に達し、海外生産比率も一三・一%(昭和六十年度の約四・四倍)と上昇してきている。
  この比率は、米国、ドイツの海外生産比率(それぞれ二七・七%、三二・一%)と比較すると、なお相対的に低いものの、近時、急激な増加傾向を示し、第二の空洞化とも言うべき様相を呈している。
  他方、外資系製造業の対内直接投資も、近時、急激に増加している (第19図第20図参照)。
○ 平成十年の海外生産比率は、輸送機械三〇・八%(平成二年一二・六%)、電気機械二〇・八%(平成二年一一・四%)となっており、加工組立型業種の海外展開が進んでいることが分かる(第13表参照)。
○ 我が国の対外直接投資を地域別にみると、東アジアとの結びつきの強化が顕著である。すなわち、平成十年度の地域別直接投資額を昭和六十年度との比較でみると、対NIESで二・五倍、対ASEAN四か国で五・六倍となっているなかで、対中国で一〇・七倍という大きな拡大を示している(第14表参照)。
○ 加工組立型業種を中心とした量産工場の海外展開により、我が国のものづくり基盤産業を支えてきた京浜地域や大阪中央地域などの産業集積は、後継者不足や立地環境の悪化も加わって、大きな影響を受けている。
  例えば、東京都大田区においては、平成元年から平成十年の間に製造業の事業所が四千百五十四事業者から三千七十事業所、製造品出荷額が一兆六千百七十二億円から一兆一千九百二十億円まで減少している。
  こうした中にあって、産業集積の衰退の懸念に対応するために、各地で産業集積の維持活性化のための取組が鋭意行われている。また、産業集積の持つ高い機能を活かし世界のマーケットを視野に入れ、大きな成功を収めている企業が存在する(第21図参照)。

〔集積活性化に向けた地域の取組例〕
<東京都・神奈川県広域京浜地域(東京都大田区、神奈川県横浜市等)>
●集積の構造・集積形成の経緯
 エンジニアリング、ソフトウエア業等の製造業を支えるものづくり基盤産業の比率が高く、さらに、産業構造を下支えする切削、金型など幅広く層の厚い基盤的技術の集積が形成されており、京浜工業地帯の中枢として、リーディング産業を輩出することで、我が国製造業の発展を牽引してきた。しかし、昭和六十年以降、国際競争の激化、円高の進行、技術革新の進展、地価高騰等により大規模量産型工場の地方・海外移転の加速化により、産業集積に影響が出始めている。
●集積活性化の方向性
 平成十年に策定された集積活性化計画に基づいて、
・NC化など技術革新への対応が難しい「下請型零細企業群」の技術の高度化
・経営安定化等を通じた「脱下請化・自立化」に向けた支援施策の展開
 等を目指している。このため、賃貸工場アパートや産学連携支援施設の整備などを進めている。

〔産業集積の機能を活かし、発展する企業事例〕
<近隣メーカーとの対話により成功した企業(集積の事業高度化機能の活用)>
〔A社:東京都大田区 半導体切断装置〕
 同社は、広島県呉市の海軍工廠の大砲の砲身等を削る研削砥石の専門メーカーであったが、一九五六年に万年筆のペン先をカットする超精密砥石を、一九六八年には四十ミクロンの超極薄砥石を開発、世界市場に展開した。IC産業の成長に対応し、七五年に半導体切断装置の開発に成功し七八年には半導体切断装置の全自動化システムを完成させた。
 我が国有数の半導体メーカーの研究開発部門が周辺地域にあり、メーカーと対話しながらニーズに合致した製品開発を進めるのに適した産業環境があったこと、経営資源を得意な「切る」技術に特化したこと、優れた砥石と工作機械製作のハード力と、それをオペレーションするソフト力を兼ね備えたこと、早い段階からシリコンバレーなどへの海外市場開拓を行ったことが挙げられる。
 産業集積の持つ事業高度化機能を活用し、成功した事例といえる。
○ 平成元年以降、開業率が廃業率を下回り、製造業において特にその差が大きい。
 このような現状を踏まえ、ものづくり事業者に対する新規創業に係る支援機能を充実させていく必要がある(第22図第15表参照)。

【平成十二年度に講じた主な施策】
▽「集積活性化法」に基づく施策の展開
 「地域産業集積活性化法」に基づく産業集積の維持活性化に向けたものづくり事業者の技術の高度化、新分野への進出の支援を行った。
 ・地域産業集積活性化対策施設費補助金
 ・地域産業集積活性化対策事業費補助金
 ・試作開発型事業促進施設整備事業
 ・産業集積活性化事業用地整備事業
 ・中小企業金融公庫、国民生活金融公庫による融資
 ・産業基盤整備基金による保証    等
▽新規創業等に係る支援機能の強化
 「新事業創出促進法」に基づく新規創業促進に向けた「地域プラットフォーム」への支援、インキュベータの整備等を行った。
 ・地域プラットフオームの活動に対するソフト支援
 ・新事業支援施設(インキュベータ)の整備

(2) 中小企業の現状

 <ものづくり基盤産業の振興のためには、その大部分を占める中小事業者の経営基盤の強化、新規創業の円滑化、取引の適正化等が重要である。>
○ 平成十一年における我が国の中小製造業の企業数は六十万五千二百十二社であり、製造業全体の企業数の九九・六%を占める。昭和五十六年における中小製造業企業の数は七十八万六千四十八社であったが、その後は徐々に減少している(第16表参照)。
○ 最近の中小製造業の業況判断DIは、平成十二年十〜十二月期まで上昇していたが、平成十三年から再び低下している。
  昨年の好調は、ITと関連の強い電気機械、一般機械、精密機械の回復が製造業全体を引き上げていたことが要因である(第23図第24図参照)。
○ 平成十二年の中小製造業の設備投資を業種別にみると、情報通信機器向けに電子部品の増産がみられた電気機器等が大幅に増加している。
  また、平成十年度に中小製造業が支出した研究開発費は六千三十四億円であり、ここ数年増加傾向にある(第25図第17表参照)。
○ 中小企業のうち新分野に進出した(業種転換を図った)企業と、そうでない(業種転換を図っていない)企業との付加価値額と出荷額をみると、新分野に進出した企業の方が伸びが高い(第26図参照)。
○ 我が国経済の成長過程において、大企業を中心として形成された従来の系列的な下請分業構
造は、経済のグローバリゼーションと産業構造の変化に伴い、近年においては流動化がみられ、下請企業数は、全体として減少傾向にある。
 具体的には、中小製造業で下請をした企業数は、四十七万(昭和五十六年)→三十八万(昭和六十二年)→三十二万(平成十年)となっており、中小製造業に占める下請企業の割合は、昭和五十六年の六六%をピークに減少に転じ、平成十年には四八%となっている。
 また、中小企業庁は、下請取引の適正化を推進するため、平成十二年度、書面審査七万七千九百三十八件、立入検査二千六百二十四件を行い、そのうち一千六百九十七件については、所要の改善指導を実施した。同じく、公正取引委員会は、書面調査九万一千八百二十三件、改善指導一千百四十件を実施している。

【平成十二年度に講じた主な施策】
▽中小企業の経営基盤の強化
 中小企業のニーズに応じて適切な外部資源を紹介・引き合わせる等の活動を行うコーディネータの支援などによる中小企業の経営基盤の強化等を行った。
▽下請中小企業の自立化支援
 下請企業振興協会を通じた、下請取引オンライン・ネットワークによる取引あっせん事業等に対する支援を行った。
▽中小企業の経営革新の促進
 「中小企業経営革新支援法」により、経済的環境の変化に即応して新商品の開発等の経営革新を行う中小企業の支援を行った。

第四章 ものづくり基盤技術に係る学習の現状

(1) 学校教育におけるものづくり教育の現状

 <初等中等教育においては、体験的な学習等により、児童・生徒のものづくりに対する興味・関心を高めることが重要である。また、高等教育においては、ものづくりを中心に据えながら、より実践的な教育を行っていくことが重要である。>
○ 初等中等教育においては、学習指導要領に基づいて、主に各関係教科の中で、ものづくりに関する知識や技術を児童・生徒に習得させるための指導が行われている。

【具体的事例】
<各教科におけるものづくり教育の例>
・小学校段階
 「社会」我が国の工業生産について学習
 「理科」モーターなどの道具作り
 「図画工作」材料や用具などを使った工作
・中学校段階
 「社会」産業と地域との関わりについて学習
 「美術」工芸の制作
 「技術・家庭」木材加工、金属加工等
・高等学校段階
 (普通教育)
 「公民」我が国の経済が工業を中心として成長してきたことについて学習
 「芸術」工芸のデザインや制作などの創造活動
 (専門教育)
 「工業」ものづくりに必要とされている基礎的・基本的な知識・技術の習得等
<「総合的な学習の時間」の授業事例>
 香川県寒川町立天王中学校では、総合的な学習の時間において、校庭を楽しく使い勝手の良いものに改修するため、生徒自らが造園業者の支援を受けながら、校庭の設計、施工やテーブル、ベンチ等の校庭のオブジェづくりを実施するなど、体験的・問題解決的な学習活動を実施した。
<高等学校におけるインターンシップの実施例>
 埼玉県立新座総合技術高校(電子機械科、工業デザイン科等)では、二年生全員が十日間にわたるインターンシップを実施している。生徒は、電子部品の組み立てや検査、焼物の製作・補助等を体験する中で、働くことや職業に対する見方・考え方等についての理解を深めるなど、大きな成果をあげている。
 〔高等学校におけるインターンシップ実施率〕(平成十一年度)
  高等学校全体 二二・七%
  工業高校   四三・三%
○ 高等教育においては、高等専門学校や大学の理工系学部などの高等教育機関で、ものづくりを中心に据えた実践的な教育が行われている。

【具体的事例】
<創造的なものづくり教育の実践事例>
 電気通信大学電気通信学部では、学生が自主的にものづくりを行う場として、「ロボメカ工房」や「電子工学工房」を設け、ロボメカ工房ではロボットやウィンドカーを、電子工学工房では実践的な電子回路を製作し、それぞれ各種ロボット・コンテストヘ参加するなど、積極的な活動を行っている。
<大学におけるインターンシップの実施例>
 豊橋技術科学大学では、「実務訓練」という必修科目を設け、企業や官公庁などで約二か月間のインターンシップを行っている。実習内容としては、製品開発のための研究テーマを設定して企業内で研究を行うもの、建築現場で設計を行うもの、実際の現場で製品の製作に携わるものなどがある。
 〔高等教育におけるインターンシップ実施率〕(平成十一年度)
  大学     二九・九%
  (工学関係学部 四六・二%)
  短期大学   一四・七%
  高等専門学校 七七・四%
  (工業関係学科 七四・九%)
<大学等体験入学事業の事例>
 宇都宮大学工学部では、平成十二年度、県内外の高校生六百六十名、中学生九名を対象に、各学科が個別に提供するテーマによる体験学習や研究室、実験室等の施設の見学をしてもらう「楽しいテクノロジーへの招待」及び「一日体験化学教室」と題したオープンキャンパス事業を実施した。

【平成十二年度に講じた主な施策】
▽学習指導要領の改訂
  平成十年十二月に小・中学校、平成十一年三月に高等学校の学習指導要領の改訂を行い、ものづくりなどの体験的な学習を積極的に各教科等に取り入れていくこととした。
▽ものづくり学習振興支援事業
  小・中学校等におけるものづくり学習の振興を図るため、ものづくり教育関係者による支援体制の整備など、ものづくり学習に関する支援事業を行う全国八地域を指定した。
▽創造教育プログラムの開発・実施
  学生が自身のアイディアを活かし、ものづくりを行うことにより創造性を養う創造教育プログラムの開発・実施を主目的とした、大学・高等専門学校における取組を支援した。
▽高等教育におけるインターンシップの推進
  インターンシップを実施する大学・高等専門学校に対して、必要となる経費の支援を行った。 等

(2) ものづくりに係る生涯学習の現状

 <ものづくりに関する学習の機会を様々な場で提供できる体制を整備し、ものづくりに係る生涯学習の振興を図ることが必要である。>
○ 専修学校においては、実践的な職業教育や専門的な技術教育等が実施されているとともに、開放講座の開催等、ものづくりに関する多様な学習機会の提供が行われている。

【具体的事例】
<産学連携によるプログラム開発の例>
 職業人として高い能力や技術力を持った人材の育成のため、ファッション関連企業と専修学校が連携し、企業で培われた高度なパターン技術を専修学校に導入し、高レベルのアパレル商品生産技術を教授できるプログラムを開発し、それに基づく研修を実施している。
<専修学校におけるコンテストの例>
 平成十二年に実施された全国専門学校ロボット競技会第九回大会においては、自律型ロボット対戦競技と有線型ロボット対戦競技が行われた。前者については、センサー技術と高度なプログラミング技術が、後者については、設計・製作技術が競われた。
<専修学校開放講座の例>
 九州技術教育専門学校では、地域社会に対する開放講座として、革工芸講座を開催し、革の特徴を理解し、バッグや財布などの身近な生活用品の製作を通じ、実際生活に活用できるものづくりの技術習得の機会を提供した。
○ 地域においては、公民館、博物館や学校開放におけるものづくり教室・科学実験教室等、子どもたちに対する体験的な学習機会の提供が行われている。

【具体的事例】
<教室開放事業の例>
 高知県土佐山田町立香長小学校において、高知工科大学の学生らが指導に当たり、小学生を対象に「電気自動車教室」を開催した。身近な材料である段ボールや太陽電池を使ってソーラーカーの模型を作成し、実際に動かしてみた。また、同大学の学生による本物のソーラーカーも展示された。
<公開講座の例>
 東京学芸大学では、社会人を対象に「工芸教室」を開講し、木工細工や金工細工に取り組んだ。木工細工では、糸鋸(のこ)を使って木の皿を製作し、金工細工では、アルミに銅や真鍮を打ち込み、器を製作した。
<国立科学博物館の取組事例>
 小・中学生を対象とした、ガラス工作、ろうそく製作等の実習用のシナリオ・テキスト等の、科学に対する興味・関心を増進させるための学習プログラムを開発・実施し、その成果を全国の博物館、公民館、学校等に公開し、普及を図っている。

【平成十二年度に講じた主な施策】
▽専修学校教育の振興
  教育内容の高度化等に取り組む意欲的な専修学校に対し補助を行うとともに、より高い職業能力や企業家精神などを有する人材の育成を図るため、産学連携による教育プログラム等の開発を推進した。
▽学校開放の推進
  小・中学校、大学、専修学校等が有する教育機能や施設を地域社会に開放し、子どもたちや地域住民を対象としたものづくり教室を開催するなど、多様な学習機会を提供した。
▽「子ども科学・ものづくり教室」の全国展開
  全国の公民館、科学博物館等において開催する科学・ものづくり教室に対する支援を行うとともに、子どもたちのための科学・ものづくり教育プログラムの充実を図った。 等




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消費支出(全世帯)は実質一・六%の減少


―平成十三年七月分家計収支―


総 務 省


◇全世帯の家計

 前年同月比でみると、全世帯の一世帯当たりの消費支出は、平成十三年一月に実質減少となった後、二月、三月は二か月連続の実質増加となったが、四月以降四か月連続の実質減少となった。
 一人当たりの消費支出は九万七千五百七円で、前年同月に比べ実質一・九%の減少となった。

◇勤労者世帯の家計

 前年同月比でみると、勤労者世帯の実収入は、平成十二年十二月以降六か月連続の実質減少となり、十三年六月は実質増加となったが、七月は実質減少となった。
 また、消費支出は、平成十二年十月、十一月に実質減少となった後、十二月以降四か月連続の実質増加となったが、十三年四月以降四か月連続の実質減少となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十七万六百六十一円となり、前年同月に比べ、名目三・五%の減少、実質二・四%の減少となった。

◇季節調整値の推移(全世帯・勤労者世帯)

 季節調整値でみると、全世帯の消費支出は前月に比べ実質一・五%の増加となった。
 勤労者世帯の消費支出は、前月に比べ実質二・七%の増加となった。











全国・自然歩道を歩こう月間


環 境 省

●毎年十月は「全国・自然歩道を歩こう月間」
 夏の暑さも過ぎ去り、秋風が吹き始めるこの季節。自然の中へと足を伸ばし、心身ともにリフレッシュしてはいかがでしょうか。
 毎年十月は「全国・自然歩道を歩こう月間」です。環境省が定めたこの月間は、多くの人々が、自然や文化に恵まれた自然歩道を歩くことで、自然への理解を深めることを目的としています。期間中は、関係機関や団体が連携して、自然に親しみながら全国各地の自然歩道の中を歩く行事を実施します。

●今年の主な行事
 日本初の長距離自然歩道である東海自然歩道、また、首都圏自然歩道両方の起点でもある東京都八王子市(高尾山)で、「全国・自然歩道を歩こう大会中央大会」が開催されます。
 今年で第二十回を迎えるこの行事は、環境省、東京都、八王子市や各種関連団体との共催により、十月二十一日(日)に開催されます。そのほか、各地区自然保護事務所や都道府県においても開催される予定です。
 自然にふれあい、体を動かすことのできるこの絶好の機会。多くの皆さんのご参加をお待ちしています。

●問い合わせ先
 環境省自然環境局総務課
 自然ふれあい推進室
 рO3−3581−3351(内線6422)




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税金365日 リサイクル推進月間


国 税 庁


 世界的な重要課題となっている地球環境問題の一つとして廃棄物の問題がクローズアップされています。我々の日常生活と深い関わりを持っている酒類についても、その容器をリサイクルすることによって、よりよい自然環境、地球環境に貢献していく必要があります。
 このリサイクルを推進するためには、産業界、消費者及び行政の各関係者の理解と協力が必要不可欠です。このため国では、平成三年から毎年十月を「リサイクル推進月間」とし、広範な啓発普及活動を実施しています。
 地球ともっと仲良くなるために、リサイクルを考えながらお酒を楽しむというのも大切なことではないでしょうか。

【酒類容器のリサイクルについて】
 お酒の容器には、ガラスびん、缶(スチール製、アルミ製)、ペットボトルなどがありますが、その容器の素材により、次のようなリサイクルの方法がとられています。

1 ガラスびん
 (1) 「回収してそのまま再使用」(リターナブル)
   使用済の容器を回収し、洗浄等を行った上、そのままの形で再使用するのが「リターナブル」です。リターナブル容器の代表としては、ビールびんや一升びんがあります。
 ビールびんは年間約三十一億本が使用され、ほぼ一〇〇%が回収されています。また、一升びんについては年間約四億七千万本が使用され、そのうち、九〇%以上が回収されており、いずれも「リサイクルの優等生」となっています。
 リターナブル容器は、廃棄物の発生抑制及び資源の有効利用の観点から優れているといえますが、近年は、使い捨てのワンウェイのガラスびんや、他素材(紙製容器、缶、ペットボトル等)へのシフトに伴い、減少傾向にあります。
 酒類業界においては、資源の有効利用及び環境問題への取り組みの一環として、平成四年二月に五百ミリリットル規格統一びん(通称:アールびん)を導入し、リターナブルの普及に努力しています。
 (2) 「カレットとして、溶かして再利用」
   リターナブルびん以外のガラスびんについては、色別に集められ、カレット(ガラスのくず)化した後、溶かしてガラスびんに再生されます。カレットを利用したガラスびんの製造は、カレットを多く使用すればするほど、けい砂、ソーダ灰、石灰石といった天然の資源を節約できるほか、原料を溶かす時間が短縮できるので、熱エネルギーを節約することができます。
 しかし、カレット化の際、種々の色が混入していたり、耐熱ガラスのように質の違う物が混入していると、再生ガラスの品質が劣化し、使い物にならなくなりますので、排出の際は、タバコの吸殻等の異物を除去し、栓、キャップ等を分離した上で、びんを色別に区分する必要があります。

2 缶(スチール製、アルミ製)
  スチール缶及びアルミ缶については、いずれも溶かして再びスチール、アルミとして再生されます。アルミ缶再生の省エネルギー効果は特に優れていて、平成十二年度に回収、再生地金化されたアルミ缶を例にとると、ボーキサイトから新地金を作る場合に比べて、電力量に換算して四二・五億キロワットの節約となります。これは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県の一都四県一千四百十四万世帯のおおむね一か月の使用電力に相当するものです。
 平成十二年度における再資源化率は、スチール缶で約八四%、アルミ缶では約八一%となっています。
 缶は、材質ごとに再生されることからスチール製、アルミ製を区分し、タバコの吸殻等の異物を除去し、軽くすすいだ後、つぶして排出することが必要です。

3 ペットボトル
  ペットボトルについては、分別して収集された後、ペットボトル再生処理工場で破砕、洗浄などが行われ、フレーク又はペレットというプラスチック原料等になります。これらは、プラスチック製品、繊維製品などの原材料として利用され、ペットボトル再製品のワイシャツ、カーペット、台所洗剤用容器等、さまざまな物に再利用されています。
 このほか、モノマー化と呼ばれる手法により、繊維やペットボトルなどのポリエステル製品の原料を得る方法もとられています。
 ペットボトルは、そのままの状態では非常にかさばるため、必ずキャップを除去し、軽くすすいだ後、つぶしてから排出することが必要です。

【容器包装リサイクル法について】
 一般廃棄物のうち、容量ベースで約六割を占める容器包装廃棄物についてリサイクルを推進し、廃棄物の減量化と資源の有効利用を図ることを目的として、平成七年六月に、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(容器包装リサイクル法)が制定されました。
 この法律では、「消費者による分別排出→市町村による分別収集→事業者による再商品化(リサイクル)」という、各者の役割分担により新たなリサイクルシステムを構築し、容器包装廃棄物のリサイクルを促進していくことを基本としています。平成九年四月からガラスびん及びペットボトルについて、また、昨年四月からは、紙製、プラスチック製の容器、包装についても市町村による分別収集が開始され、事業者の再商品化義務が発生しています。
 消費者の皆さんにも、容器包装廃棄物を排出する際には素材ごとの区別、洗浄、異物除去等に努め、市町村の分別収集に協力していただくことが必要です。

【私たちもリサイクルに貢献するために】
 私たち消費者も毎日の生活の中で、次のような点に少し気を配るだけでリサイクル運動に参加することができます。
@ 商品を購入する際には、なるべく簡易包装化のものやリターナブルびんを使用している商品を選ぶなど、廃棄物の排出抑制に努める。
A 容器包装廃棄物を排出する際には、容器包装に表示された別紙の識別マークにより分別し、市町村の分別収集や集団回収等に協力する。
B リサイクル製品(再生紙や再生プラスチック製品等)を積極的に選択し、リサイクル製品全体の需要拡大に貢献する。



    <10月24日号の主な予定>

 ▽循環型社会白書のあらまし………環 境 省 

 ▽労働力調査(八月)………………総 務 省 




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