官報資料版 平成13年12月12日




                  ▽公益法人に関する年次報告…………総 務 省

                  ▽天皇誕生日一般参賀について………宮 内 庁











平成13年度


公益法人に関する年次報告


総 務 省


経緯及び構成

◇経 緯

 公益法人に関する年次報告は、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」について(平成八年九月二十日閣議決定)に基づき、公益法人の実態及びこれらの基準の実施状況等を明らかにするため、平成九年度から作成することとなったものである。

◇構 成

 この報告は、四章から構成されている。
 第1章においては、公益法人制度の概要について解説し、第2章においては、公益法人の現況を、第3章においては、公益法人と行政とのかかわりを概観している。また、第4章においては、公益信託制度についての概要と現況を記述している。

第1章 公益法人制度の概要

第1節 公益法人の定義

1 公益法人の定義
 公益法人とは、民法第三十四条に基づいて設立される社団法人または財団法人のことであり、その設立には、@公益に関する事業を行うこと、A営利を目的としないこと、B主務官庁の許可を得ることが必要である。

2 社団法人と財団法人
 社団法人は、一定の目的のもとに結合した人の集合体であって、団体として組織、意思等を持ち、社員と別個の社会的存在として団体の名において行動する団体である。また、財団法人は、一定の目的のもとに拠出され、結合されている財産の集まりであって、公益を目的として管理運営される団体である。

3 広義の公益法人等
・ 社団法人及び財団法人に加え、民法以外の特別法に基づいて設立される公益を目的とする法人を含めて、広義の公益法人ということがある。例としては、学校法人(私立学校法)、社会福祉法人(社会福祉法)、宗教法人(宗教法人法)、医療法人(医療法)、更生保護法人(更生保護事業法)、特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法)等がある。
 これらの法人の設立にあたっては認可主義あるいは認証主義が採られており、民法に基づく公益法人の設立は許可主義が採られていることに比べて、主務官庁の裁量の幅が狭まっている。
・ 公益も営利も目的としない中間的な団体は、特別法の規定がある場合には法人格を取得することができ、労働組合(労働組合法)、信用金庫(信用金庫法)、協同組合(各種の協同組合法)、共済組合(各種の共済組合法)等がある。
 なお、中間的な団体についての一般的な法制度として中間法人法が制定され、平成十四年中に施行される予定である。

第2節 公益法人に関する法制度

 公益法人は、民法第三十四条に基づき設立されるものであり、民法第1編第2章〔法人〕においては、公益法人の設立、公益法人の組織、定款の変更、公益法人の登記、公益法人の能力、公益法人の解散等の事項に関する規定が置かれている。

第3節 公益法人に対する指導監督等に関する制度及び取組

1 主務官庁制
 民法の規定により、公益法人の設立許可及び指導監督に関する権限は、主務官庁に与えられている。
 主務官庁とは、公益法人の目的・事業に関連する事務を所掌している内閣府及び十省の中央官庁を指し、その目的・事業が複数の中央官庁の所掌に関連する場合には、それらの中央官庁が共管として主務官庁となる。

2 都道府県知事等による事務の処理等
 主務官庁の権限は、政令の定めるところにより、国に所属する行政庁に委任したり、都道府県の知事その他の執行機関が当該権限に属する事務を処理することができる旨が、民法に規定されている。
 この規定に基づき制定された「公益法人に係る主務官庁の権限に属する事務の処理等に関する政令(平成四年政令第百六十一号)」により、地方支分部局の長への委任や都道府県知事等による事務処理が定められている。

3 公益法人の所管官庁
 公益法人の設立許可、指導監督等に係る事務を実際に担当している行政庁を、指導監督基準等において、「所管官庁」と称している。
 所管官庁は、内閣府及び各省(十一)、内閣府外局大臣庁等(三)、地方支分部局の長(百八十四)、都道府県知事(四十七)、都道府県教育委員会(四十七)の合計二百九十二となっている。

4 統一的な指導監督等を行うための仕組み
 公益法人の設立許可及び指導監督は、各主務官庁及びその権限に属する事務を処理することとされた都道府県知事等、多数の所管官庁において行われていることから、これらの所管官庁が行う事務の統一性を図る必要がある。
 このため、現在では、全閣僚により構成する「公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議」等を随時開催することにより、公益法人に対する指導監督の適切化等を統一的かつ強力に推進する体制となっている。
 統一的な指導監督等の基準としては、公益法人に対する指導監督の一層の適正化、公益法人による行政代行的行為の透明化等を統一的かつ強力に推進するため、平成八年九月二十日に、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」が閣議決定された。各所管官庁においては、これらの基準等に沿った指導監督等が行われている。

5 営利法人等への転換に関する指針の申合せ
 平成十年三月に公表された法人制度研究会報告書において、公益法人の営利法人等への転換は、現行法制度においても基本的に可能であるとされたことを受けて、同年十二月四日の公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会において、営利法人等への転換の手順、転換後の対応を盛り込んだ「公益法人の営利法人等への転換に関する指針」を申し合わせた。
 前記申合せがなされて以降、平成十二年度末までに指針に従って営利転換を行った法人が八法人、営利競合していた法人で解散した法人が二法人ある(いずれも都道府県所管法人)。

6 休眠法人、所管不明法人の整理に関する取組
 正当な理由なく長期間にわたって事業を行っていない休眠法人、登記はあるが所管官庁が不明である所管不明法人は、いわゆる「買収」等により役員に就任した者による目的外事業の実施や、税法上の特典を利用した収益事業の実施等、公益法人制度の悪用を招くおそれがある。
 その対策として、休眠法人については、昭和五十四年に民法の一部改正が行われたほか、昭和六十年には「休眠法人の整理に関する統一的基準」等が策定され、各官庁では、この基準等に沿って所管の休眠法人の整理に努めている。
 国所管では平成二年十月一日現在、四十九法人であったものが、平成十二年十月一日現在では七法人に、都道府県所管では平成二年十月一日現在、四百八十三法人であったものが、平成十二年十月一日現在では二百二十四法人に減少している。
 一方、所管不明法人については、平成七年度に、「所管不明公益法人調査」を実施した結果、全国で約一千八百六十の所管不明法人が存在することが明らかとなり、総理府から各省庁または都道府県に割振りを実施し、割り振られた各官庁で処理を進めている。
 割り振られた官庁における整理状況を見ると、処理が終了・確定したものは四二・二%(七百九十四法人。国所管が四三・七%、都道府県所管が四一・六%)となっている。

7 公益法人の指導監督等に関する研修会等の実施
 多くの所管官庁において行われている設立許可及び指導監督に関する事務が、統一性をもって実施されるために、これらに関する事務に従事する職員に対する研修等を実施し、その周知徹底を図る必要がある。
 このため、総務省、各都道府県等においては、公益法人行政担当者研修会、都道府県公益法人行政主管課長会議、公益法人地方講習会、都道府県公益法人事務担当者ブロック会議等を実施している。

第4節 公益法人に関する最近の施策

1 行政改革大綱
 平成十二年八月四日の行政改革推進本部における内閣総理大臣からの指示を受けた検討を踏まえ、同年十二月一日に「行政改革大綱」が閣議決定された。
 この中で、公益法人に対する行政の関与について、官民の役割分担、規制改革、財政負担の縮減・合理化の観点から、
 @国から公益法人が委託等、推薦等を受けて行っている検査・認定・資格付与等の事務・事業
 A国から公益法人に対して交付される補助金・委託費等
について厳しい見直しを行い、平成十三年度末を目途に実施計画を策定した上で、平成十七年度末までのできるだけ早い時期に実行することとされた。
 前記大綱の策定を受け、内閣官房に設置された行政改革推進事務局では、平成十三年四月十三日に検討の事務的な指針である「行政委託型公益法人等改革の視点と課題」を公表し、さらに、同年七月二十三日に開催された行政改革推進本部に、個別・具体的な事務・事業の検討を行うにあたっての基本的な方針である「行政委託型公益法人等改革を具体化するための方針」を報告、了承された。
 現在、政府として平成十三年度中を目途に実施計画を決定すべく、この方針に基づき作業を進めている。

2 国の所管する公益法人の総点検の実施
 平成十二年秋頃から、一部公益法人の不適切な運営が大きな問題として国会、マスコミ等で取り上げられ、社会的にも大きな問題となった。このような状況を踏まえ、翌平成十三年一月三十日、閣議後の閣僚懇談会において、行政改革担当大臣から各閣僚に対し、それぞれの府省の権限に基づき、国が所管するすべての公益法人について総点検を行うよう要請が行われた。
 各府省はこれを受けて、それぞれ具体的判断基準を策定した上で所管法人の点検を行い、行政改革推進事務局に結果を報告した。同事務局はそれらを取りまとめ、同年四月十三日の公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議に報告、公表した。
 なお、総点検で是正すべきと判断された事項については、各府省において、できるだけ早急に措置を講ずることとされている。

3 公益法人の指導監督及びディスクロージャーの充実等
 一部公益法人の不祥事により、公益法人の運営の在り方やその指導監督の在り方が厳しく問われている現状を踏まえ、政府は、厳正な指導監督を更に徹底するため、平成十三年二月九日、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会において、@各府省に公益法人指導監督官を置く等の指導監督の責任体制を確立する、A立入検査について少なくとも三年に一回実施する等の充実を図る、B一定規模以上の公益法人に対する外部監査の要請等について所要の措置を講ずる等を内容とする「公益法人の指導監督体制の充実等について」の申合せを行った。また、平成十三年七月二十三日の行政改革推進本部において、内閣総理大臣から、「ディスクロージャー等で速やかに取り組めるものについては、具体的な検討に着手する」よう指示があった。
 この指示を踏まえた検討の結果、公益法人のディスクロージャーの充実による業務運営の透明化・適正化を図るとともに、「行政改革大綱」等に基づく公益法人改革の推進に資するための取組として、同年八月二十八日、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会において「インターネットによる公益法人のディスクロージャーについて」の申合せを行った。
 また、各都道府県に対して、前記二つの申合せと同様の措置を講ずるよう要請を行った。
 なお、平成十三年七月一日現在の公益法人のホームページの開設率は二四・二%(国所管三九・九%、都道府県所管一八・一%)となっている。

4 中間法人制度
 公益も営利も目的としない団体一般については、これまで法人格を付与し、その組織を規律するための法制度がなかった。そのため、従来から、そのような非公益かつ非営利目的の中間的な団体についての法人格の取得に関する一般的な法制度(いわゆる中間法人制度)の必要性が指摘されてきた。
 法制審議会民法部会は、平成十一年九月、中間法人制度の創設を審議事項として取り上げ、平成十二年三月、「中間法人(仮称)制度の創設に関する要綱中間試案」を取りまとめた。
 その後、同部会(平成十三年一月からは法人制度部会)において、この中間試案に対して寄せられた意見等を踏まえた検討が続けられ、同年二月十六日、法制審議会は、「共同法人(仮称)制度の創設に関する要綱案」を法務大臣に答申した。
 この答申に基づき、法務省において法案の立案作業が進められ、「中間法人法案」として、同年三月十三日、第百五十一回国会に提出された。同法案は、同年六月八日、参議院本会議において可決、成立し、同月十五日に公布された(平成十三年法律第四十九号)。

5 公益法人制度の抜本的改革
 一部公益法人の問題を契機に、国民の公益法人全般に対する見方は厳しくなってきている。また、いわゆるNPOや中間法人等の非営利法人制度が導入される一方で、公益法人の設置根拠である民法の関係規定は、制定以来百年以上にわたり基本的に変更されていない。
 このような状況を踏まえ、行政改革推進事務局は前述の「行政委託型公益法人等改革の視点と課題」の中で、公益法人制度の抜本的改革の必要性について言及し、平成十三年七月二十三日に開催された行政改革推進本部において、「公益法人制度についての問題意識〜抜本的改革に向けて〜」を報告した。
 本報告においては、主な検討課題として、次のようなものが掲げられている。
 ○「公益の範囲」「公益性」の判断
 ○公益法人の設立許可
 ○主務官庁の指導監督
 ○公益法人の機関・組織、ガバナンス・規律の在り方、監査等
 ○公益法人のディスクロージャー
 ○公益法人に対する税制
 ○公益法人から中間法人・営利法人への移行
 以上のような諸課題とその対応について、行政改革推進事務局は関係府省と検討を重ねており、平成十三年度中を目標に、今後の公益法人制度の目指すべき方向性と、それに向けた改革のプロセス等を内容とした抜本的改革の基本的方向を示すこととしている。

第5節 公益法人の会計処理

 昭和五十二年三月、公益法人会計基準が決定され、その後見直しが行われて、昭和六十年九月に新たな公益法人会計基準が決定された(昭和六十二年四月一日から適用)。
 この会計基準は、民法第三十四条に基づいて設立されるすべての公益法人に適用されることが原則である。
 実際の公益法人会計基準の適用状況は以下のとおりである。
 ・公益法人会計基準を完全に適用している
   …一万八千二百七十八法人(六九・六%)
 ・公益法人会計基準を一部適用している
   …五千二百七十四法人(二〇・一%)
 ・企業会計基準を適用している
   …一千百十七法人(四・三%)
 ・その他(官庁会計等、他の会計基準)を適用している
   …一千五百九十五法人(六・一%)
 なお、本基準については前回改正から十五年が経過し、公益法人を取り巻く状況も一変していることにかんがみ、平成十二年四月から、総理府(省庁再編後は総務省)において公益法人会計基準検討会を開催し、より現状に則した基準の在り方について検討を行っている。
 今後の見通しとしては、政府・与党の進める公益法人改革の動きを注視しつつ、年内を目途に中間報告を取りまとめ、当該報告について一般の意見を公募し、この結果を踏まえ、更なる検討を行う予定である。

第6節 公益法人に関する税制

1 公益法人に対する税制
 公益法人に関する税としては、法人税、所得税、消費税等の国税、住民税、事業税、地方消費税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税等の地方税がある。これらの中には、公益法人に対し税制上の優遇措置を設けているものがある。

2 公益法人に対する寄付に関する税制
 公益法人に対する寄付金のうち、教育や科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献等の公益性の高い事業を行う公益法人に対する一定の寄付金については、寄付金控除等の特別の配慮が行われている。

第2章 公益法人の現況

第1節 基礎的事項

1 公益法人の数
 平成十二年十月一日現在の公益法人数は二万六千二百六十四法人(国所管が七千百五十四法人、都道府県所管が一万九千二百八十四法人)で前年より〇・三%減少している。このうち、社団法人数が一万二千八百八十九法人、財団法人数が一万三千三百七十五法人である(第1表第2表参照)。
 最近五年間における新設法人数、解散法人数は、第3表のとおりである。新設法人数については、近年のピークであった平成八年の四百三十四法人と比べると、平成十二年は百七十一法人と大幅に減少している。
 現在の公益性に関する基準から公益法人を性格別に分類すると、@本来の公益法人二万二千十法人、A互助・共済団体等四千三十二法人、B営利転換候補五十法人、Cその他百七十二法人となっている(第4表参照)。

第2節 個別事項の分析

1 役職員の状況
(1) 理事
 理事は民法上、法人を代表するとともに業務の執行機関として位置づけられており、法人運営上重要な役割を担っている。理事の総数は四十二万四百十九人、一法人あたりの平均は一六・〇人、メジアンは十三人となっている。
 規模別に多い順に見ると、十〜十九人が一万二千九十八法人(四六・一%)、〇〜九人が七千八百九十九法人(三〇・一%)、二十〜二十九人が三千九百十四法人(一四・九%)となっており、これらを合わせると全体の九割になる。
 常勤理事(最低でも週三日以上出勤している理事)の総数は二万七百六十四人、平均は〇・八人となっている(第5表第6表参照)。


《メジアン(中央値、中間値)》
 変数を大きさの順に並べたとき、その中央で全変数を二群に等分する境界点の数値。
 変数が偶数個のときには中央の二つの値の平均をメジアンとする。例えば、全法人二万六千二百六十四の資産額を大きい順に並べたときに、第一万三千百三十二位と第一万三千百三十三位の公益法人の資産額の平均がメジアンとなる。

(2) 公務員出身理事
 国所管法人の理事における国家公務員出身者(原則として本省庁課長相当職以上を経験し、退職後十年未満の間に当該法人の理事に就任し現在に至っている国家公務員出身者を指す。)は、理事数の四・〇%にあたる六千百三十四人(前年比二十二人増加)で、法人数では三四・五%にあたる二千四百六十九法人(前年比四十一法人増加)となっている。このうち、常勤理事への就任は、国家公務員出身理事の二六・八%にあたる一千六百四十四人(前年比七人減少)となっている。
 都道府県所管法人の理事における都道府県公務員出身者は、理事数の五・四%にあたる一万四千四百五十八人(前年比五百二人減少)で、法人数では二八・六%にあたる五千五百二十三法人(前年比百八法人減少)となっている。このうち常勤理事への就任は、都道府県公務員出身理事の二二・五%にあたる三千二百五十四人(前年比百十六人減少)となっている(第7表第8表参照)。
(3) 所管官庁出身理事
 所管官庁出身理事は、国所管法人で二千五十六法人(前年比二十法人増加)に四千三百二十七人(前年比三十三人減少)、都道府県所管法人で五千百九十一法人(前年比八十法人減少)に一万三千三百八十六人(前年比五百三十九人減少)となっている。
 また、指導監督基準においては、理事現在数に占める所管官庁出身者の割合を三分の一以下にするよう求めている(共管法人の場合は全共管官庁出身者の合計が三分の一以下とする。)が、所管官庁出身者が理事現在数の三分の一を超えている法人数は第9表のとおりで、国所管が十法人(前年比十法人減少)、都道府県所管が五百七十法人(前年比八十九法人減少)となっている。
 指導監督基準決定直後の平成八年十月一日現在の法人数からの推移を示したのが第10表である。これによると指導監督基準の決定以後、国所管法人では理事構成の適正化が進んだことが見て取れるが、都道府県所管法人ではあまり進んでいないことが分かる。
(4) 同一業界関係者理事
 指導監督基準においては、同一業界関係者の理事現在数に占める割合を二分の一以下にするように求めているが、同一業界関係者が理事現在数の二分の一を超えている法人数は、六千四百三法人(前年比三百三十五法人減少)となっている。
 なお、理事全員が同一業界関係者である法人数は、全体で三千七百五十七法人となっている。
(5) 監事
 監事は、法人の運営等を監査する役割を担っており、民法上は設置を任意とされているが、指導監督基準においては、監事を必ず設置するよう規定している。監事の総数は五万八千二百四人、一法人あたりの平均は二・二人である。
 規模別では、二人が一万八千九百九十一法人(七二・三%)と大半を占めている(監事制度がない法人は五十二)。五人以上という法人も二百二十九存在している。
(6) 有給常勤役員の平均報酬額第11表第12表参照
 指導監督基準においては、役員の報酬等について、「当該法人の資産及び収支の状況並びに民間の給与水準と比べて不当に高額に過ぎないものとすること。」と規定している。
 公益法人の定款または寄附行為においては、役員は無報酬であるが、常勤の役員については有給とすることができる旨が定められていることが多い。有給役員に対する年間報酬一人あたりの平均額を示したものが、第11表である。
 これによると、有給役員がいる法人の中では、四百万円以上八百万円未満の法人が三千七百九十三法人(有給役員がいる法人の三五・七%)、四百万円未満の法人が三千三百八十一法人(同三一・九%)となっており、八百万円未満の法人で、有給役員がいる法人の七割弱を占めている。
 一方、二千万円以上の年間報酬を支払っている法人も百二十八法人(前年比十一法人減少)あった。
(7) 職員
 職員は理事の事務を助け、実際の法人の活動を担う中核的存在である。こうした職員の総数は五十五万八千六十九人、一法人あたりの平均が二一・二人であり、メジアンは三人である。
 規模別には、二〜九人が一万二千二百十二法人(四六・五%)と半数近くを占め、次に多いのが十〜四十九人の五千三十八法人(一九・二%)である。
 一方、職員が一人の法人が四千六百七十八法人(一七・八%)あり、また、職員がいない法人も二千四百七十四法人(九・四%)ある。
 常勤職員の総数は四十八万八千五百三十一人で、職員総数の八七・五%となっている。
(8) 評議員
 財団法人における評議員は、法人の重要事項について諮問を受けたり決定をしたりする役割を担うものであり、指導監督基準においては、財団法人には原則として評議員会を設け、理事の選任及び予算・決算等の重要事項の諮問を行うことを求めている。
 評議員(会)制度がある法人は一万一千四百四十法人(四三・六%)であるが、財団法人においては九千九百十九法人となっており、七割以上の財団法人で評議員(会)制度が導入されている。
 評議員の総数は二十九万八千九百六十六人で、評議員(会)制度がある法人に限っての一法人あたりの平均は二六・一人、メジアンは十五人となっている。

2 財務、会計の状況
(1) 年間収入額
 公益法人の収入は、大きく分けると、会費収入、財産運用収入、寄付・補助金等収入、事業収入等からなっており、合計は二十兆四千五百二億円(前年比八百七十七億円増加)、平均は七億七千八百六十三万円、メジアンは、五千九百二十六万円となっている。
 年間収入の構成状況を見ると、第13表のとおりで、社団・財団の双方において事業収入が大きなウエイトを占めている。
(2) 年間支出額
 公益法人の支出は、大きく分けると、事業費、管理費、固定資産取得支出等からなっており、合計は二十兆四千九百九十三億円(前年比二千六百九十六億円増加)、平均は七億八千五十一万円、メジアンは五千九百六十二万円である。
 年間支出の構成状況を見ると、第14表のとおりで、社団・財団の双方において事業費が大きなウエイトを占めている。
 なお、事業費については、指導監督基準において、公益法人本来の事業(付随的に行う収益を目的とする事業を除く)の規模を「可能な限り総支出額の二分の一以上」にするよう規定しているが、これを満たす法人は、一万二千六百六法人(四八・〇%)となっている。
 また、管理費については、指導監督基準において、管理費の割合を「可能な限り総支出額の二分の一以下」にするよう規定しているが、これを満たす法人は、二万三千四百四十二法人(八九・三%)となっている。
(3) 指導監督上の収益事業
 公益法人が健全な運営を維持し、本来の公益活動の実施に充てるために収入確保の一方法として収益事業を行うことも認められている。
 収益事業は、あくまで本来の公益事業に付随して行われるべき性格のものであり、指導監督基準では、収益事業の規模、業種、利益の使用等の点について定められているほか、収益事業を行う場合には事業計画書に明記し、他の事業と区分して経理を行うことを求めている。
 収益事業収入の合計は、一兆四千九十九億円(前年比一千二百七十六億円減少)、平均は五千三百六十八万円、メジアンは零である。
 規模別に見ると、第15表のとおりで、収益事業を実施していない法人が二万一千百三十法人(八〇・五%)と最も多くなっている。一方、収益事業に支出した費用は、合計で一兆一千五百八十一億円であり、単純に言えば、収入との差である約二千五百億円の利益が出たということになる。
 なお、指導監督基準では、収益事業の支出規模は、「可能な限り総支出額の二分の一以下」とする旨を規定しているが、これに適合していない法人は、六百九十五法人存在している。
(4) 内部留保の状況
 指導監督基準において、いわゆる「内部留保」は、公益事業の適切かつ継続的な実施に必要な程度とすることとされており、総資産額から「@財団法人における基本財産、A公益事業を実施するために有している基金、B法人の運営に不可欠な固定資産、C将来の特定の支払いに充てる引当資産等、D負債相当額」を差し引いた額を「内部留保」と定義している。
 さらに、指導監督基準の運用指針においては、内部留保の水準について、「一律に定めることは困難であるが、原則として、一事業年度における事業費、管理費及び当該法人が実施する事業に不可欠な固定資産取得費(資金運用等のための支出は含めない。)合計額の三〇%以下であることが望ましい」とされている。
 内部留保の水準は、第16表のとおりで、全体の六割以上を占める一万六千五百五十四法人が、指導監督基準で定める三〇%以下の水準にある。

3 その他
(1) 株式保有の状況
 指導監督基準においては、運用財産の管理運用(公開市場を通じる等ポートフォリオ運用であることが明らかな場合)または財団法人において基本財産として寄付された場合を除いて、株式を保有することを原則として禁止しており、これ以外の性格の株式を保有している場合には、平成十一年九月末までに処分することとされている。株式の保有状況は、第17表のとおりである。
 株式を保有しているのは、一千八百三十八法人(前年比十一法人減少)であり、このうちポートフォリオ運用を行っているものが四百八十二法人、基本財産(財団法人のみ保有を許される)にあたるものが八百六十二法人あるが、その他の理由で保有しているものは七百二十四法人となっている。
(2) 情報公開の状況
 公益法人の情報公開については、民法上規定がないこともあり、従来あまり行われてこなかった。
 我が国の社会経済において重要な役割を担い、相応の社会的責任を有する公益法人は自主的に情報を公開する必要がある。そのため、指導監督基準において、「@定款または寄附行為、A役員名簿、B(社団法人の場合)社員名簿、C事業報告書、D収支計算書、E正味財産増減計算書、F貸借対照表、G財産目録、H事業計画書、I収支予算書を主たる事務所に備えて置き、原則として、一般の閲覧に供すること」という規定が盛り込まれ、平成十年一月以降に始まる新事業年度から実施されている。
 情報公開の状況は第18表のとおりで、公開を求められている各項目の公開率の平均は、八四・八%(前年比一・七ポイント増加)となっている。
(3) 立入検査の実施状況
 所管官庁は、民法上、職権で調査(立入検査)を行うことができることとなっている。
 過去三年間における立入検査の実施状況は第19表のとおりで、検査対象となったのは全体の四割から五割の法人となっている。
 本年二月には、指導監督体制の充実のため、立入検査の定期的実施について申合せを行ったところであり、的確な実施が望まれる。

第3章 公益法人と行政とのかかわり

第1節 行政委託型法人等の状況

 公益法人の中には、行政代行的行為を行っているものがあり、これらの透明化を図るため、政府は平成八年九月に「公益法人の検査等の委託等に関する基準」を閣議決定した。また、平成九年度から、公益法人概況調査に併せて「行政代行的行為に関する状況調べ」を実施している。
 本節では、前記調査の結果等及び前記基準の適合状況(適合措置期限は平成十二年度末)について記述している。

1 行政委託型法人等の状況
(1) 行政委託型法人等の定義
 「行政委託型法人等」とは、特定の法令等により、各官庁から制度的に事務・事業の委託等・推薦等を受けている公益法人の総称である。
 行政委託型法人等が実施する事務・事業は、行政の関与の形態に応じ「委託等」と「推薦等」に、また、行政委託型法人等が実施する事務・事業の性格に応じ「検査等」と「検査等以外」に分けてとらえることができる。
 以上を整理すると、行政委託型法人等への行政の関与の形態は、次の四つに整理することができる。
 @検査等の委託等
 A検査等以外の委託等
 B検査等の推薦等
 C検査等以外の推薦等
 「委託等」とは、事務・事業の内容等を法令等で定め、特定の法人を何らかの形で指定し、制度的にその事務を行わせているようなもののことであり、「推薦等」とは、法人が独自に行っている事務・事業を奨励等するために、制度的に官庁が関与(認定、公認等)を行うことである。
 「検査等」とは、あるものが有する能力、性能、技術等を調査・判定したり、また、その結果について評価・承認するような業務を意味し、「検査等以外」は、例えば研究・促進啓発・指導助言等の業務がこれに該当する。
(2) 行政委託型法人等の数
 国所管の行政委託型法人等の数は、第20表のとおり延べ六百二十四法人となっている。
 このうち委託等を受けているものが四百二十七法人、推薦等を受けているものが二百四十九法人となっている。
 検査等、検査等以外の別で見ると、委託等についてはそれぞれ二百七十一法人、百七十一法人、推薦等についてはそれぞれ二百四十三法人、八法人となっており、行政委託型法人等の七割以上は検査等の委託等・推薦等を受けている法人である。
(3) 指定条項数
 今回の調査で挙げられた行政委託型法人等への委託等・推薦等に係る指定条項数は第21表のとおり四百十となっている。
 このうち、委託等が二百四十、推薦等が百七十となっており、これを検査等、検査等以外の別に区分すると、委託等についてはそれぞれ百六十五、七十五、推薦等については百五十八、十二となっている。
(4) 行政委託型法人等が行う事務・事業の内容
 行政委託型法人等が各省庁から委託等・推薦等を受けて行う事務・事業の内容を、その事務・事業の性格によって区分すると、第22表のとおりで、委託等では、検査検定八十一(三四%)、試験四十七(二〇%)、調査研究三十三(一四%)が多く、推薦等では、審査証明七十五(四四%)、講習研修六十八(四〇%)、試験十五(九%)が多くなっている。

2 「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」の適合状況
(1) 「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」の概要
 「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」(以下「検査委託基準」という。)は、公益法人が行う行政代行的行為の透明化を図るため、平成八年九月二十日に閣議決定されたものである。
 対象となるのは、各官庁から公益法人が検査等の委託等・推薦等を受けて行っている事務・事業であり、各官庁は、平成十二年度末までに必要な措置をとることとされている。
 同基準は、委託等と推薦等のそれぞれについて、行政代行的行為の根拠や指定された法人の名称を法令上明確に規定すること等、透明化を図るために整備すべき要件を定めており、公益法人が行う検査等に対して各官庁が関与を行うものは、その要件を満たすものに限るとしている。
(2) 「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」の適合状況
 検査委託基準の適合措置期限は、平成十二年度末とされていることから、平成十三年三月三十一日現在で、検査委託基準の閣議決定時点における事務・事業及びその後新設された事務・事業について、その適合状況を調査した。
 検査等の委託等に係る事務・事業の適合状況は第23表のとおりで、調査対象とした百六十八件の事務・事業のうち、すべての項目について適合措置が講じられたものが百八件(措置期限到来前七十八件、到来後三十件)、委託等の制度を廃止したものが四十二件(措置期限到来前四十一件、到来後一件)、公益法人の指定を廃止等したものが十二件(措置期限到来前六件、到来後六件)あり、現時点において、全体の九六%の事務・事業について検査委託基準に沿った措置がとられている。
 検査等の推薦等に係る事務・事業の適合状況は第24表のとおりで、調査対象とした百七十八件の事務・事業のうち、適合措置が講じられたものが九十五件(措置期限到来前七十七件、到来後十八件)、推薦等の制度を廃止したものが六十七件(措置期限到来前六十四件、到来後三件)、公益法人の指定を廃止等したものが十四件(措置期限到来前十二件、到来後二件)あり、現時点において、全体の九九%の事務・事業について検査委託基準に沿った措置がとられている。
 適合措置期限到来後も、わずかではあるが検査委託基準に適合していない事務・事業も存在しており、これらについては、速やかに官庁の関与を廃止する等の措置を講ずる必要がある。

3 行政委託型法人等に対する監督
(1) 監督等に関する規定の整備状況
 監督等に関する制度上の規定の整備状況(規定の有無)を指定の基準、指定の取消し、立入検査、区分経理、事業計画書等の徴収及び事業計画書等の公開の六項目について整理すると、指定の基準は七〇%、取消しは七二%、立入検査は五四%、区分経理は一九%、事業計画書等の徴収は五八%、事業計画書等の公開は〇・五%で規定されている(なお、これらの項目の中には、例えば事業計画書等の公開等、公益法人に対する指導監督一般の事項として、同様の措置が事実上担保されているものもある)。
(2) 行政委託型法人等に対する監督状況
 監督状況を立入検査、区分経理、事業計画書等の徴収及び事業計画書等の公開の四項目について整理すると、自省庁所管法人を指定している場合、立入検査は六〇%、区分経理は七八%、事業計画書等の徴収は八六%、事業計画書等の公開は八六%の法人について実施されている。
 一方、他省庁所管法人を指定している場合における、指定を行った省庁の監督状況は、立入検査は三五%、区分経理は三八%、事業計画書等の徴収は四五%、事業計画書等の公開は六六%の法人について実施されている。
(3) 行政委託型法人等の総点検
 総務庁(行政監察局)による「指定法人等の指導監督に関する行政監察」結果等に基づく勧告を受けて、平成十年十二月四日、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会において、「行政委託型法人等の総点検の推進について」を申し合わせた。
 本申合せは、行政委託型法人等について、事業等の在り方、法人における事業の実施状況、法人の財務状況を基本的な点検項目とし、点検は、おおむね五年間で一巡するよう計画を策定して点検を行うこと等を内容とするものである。
 本申合せに基づき各省庁が策定した実施計画においては、各省庁は、実施期間を短縮して、三年間(平成十二年度まで)で総点検を終了することとした。
 平成十二年度における総点検の結果、指摘された問題点は、行政の関与の在り方についての検討を必要とするもの、委託等された事務・事業について区分経理されていないもの等、多岐にわたっているが、いずれも所管省庁において所要の是正策を講ずることとしている。
 総点検は平成十二年度をもって終了したが、平成十三年二月九日に申合せを行った「公益法人の指導監督体制の充実等について」において、行政委託型法人等については、総点検の着眼点に基づき作成した検査事項を追加して、立入検査を実施することとされている。

4 都道府県指定の行政委託型法人等について
 各都道府県が所管する行政委託型法人等の数は、合計一千二百二十六法人となっている。なお、事務・事業の内容は、施設・設備等の管理運営が最も多くなっており、国とは異なった傾向が見られる。

第2節 公益法人に対する補助金・委託費

1 国所管の公益法人に対する補助金・委託費
 平成十一年度決算ベースにおける各省庁から所管公益法人に対する補助金の交付総額は、第25表のとおり約三千三百四十八億円(平成十年度比約三百十億円減少)、交付法人数は延べ三百八十五法人となっている。また、委託費の総額は約一千四百二十四億円(平成十年度比約五十二億円増加)、委託法人数は延べ六百四十六法人となっている。
 なお、「行政改革大綱」に基づく行政委託型公益法人等改革の検討にあたり、内閣官房行政改革推進事務局において、これまで把握していなかった負担金等や各省庁が所管外の公益法人に対し交付している補助金・委託費等も含めて、その交付状況について概数により調査したところ、国から補助金・委託費等の交付を受けている国所管の公益法人は約千法人であり、補助金・委託費等の総額は約六千五百億円となっている。

2 都道府県所管の公益法人に対する補助金・委託費
 平成十一年度決算ベースにおける各都道府県から所管公益法人に対する補助金の交付総額は、第26表のとおりで、約三千七百八十一億円(平成十年度比約七十五億円増加)、交付法人数は四千五百七十九法人となっている。
 また、委託費の総額は約五千二百八十二億円(平成十年度比約百四十五億円減少)、委託法人数は三千百十八法人となっている。

第3節 「公益法人の設立許可について」の実施状況

 平成十一年十月二日以降、平成十二年十月一日までの一年間に国が設立を許可した公益法人は二十六法人であった。
 このうち、基本財産の造成等にあたり、許認可対象業界団体等の出捐等がある法人は九法人、国または特殊法人等から委託される事業を主たる事業とする法人は五法人、公務員経験者が常勤役員へ就任している法人は七法人(役員数は九人)であった。

第4章 公益信託制度について

第1節 公益信託制度の概要

(1) 公益信託の定義
 公益信託とは、信託法に基づき、委託者が祭祀、宗教、慈善、学術、技芸その他一定の公益目的のため、受託者に対してその財産を移転し、受託者をしてその公益目的に従ってその財産を管理または処分させ、もってその公益目的を実現しようとする制度である。
(2) 公益信託の特色
 公益法人においては、法人という新たな法主体を創設し、これが公益目的のために自律的活動を行うものであるのに対し、公益信託においては、拠出された財産(信託財産)が既存の法主体である受託者に名義上帰属し、設定された公益目的のため受託者の固有財産とは別に管理、運用されていくものであって、両者の法律的構造は異なる。
 また、公益法人においては、永続的もしくは相当長期間にわたってその存続が予定されているのに対し、公益信託においては、信託の制度上、比較的短期間のものであっても差し支えない等、より弾力的な運用が可能である。
(3) 公益信託の仕組み
 公益信託は、委託者が受託者との間で一定の公益目的のために財産を信託する信託契約を締結することにより、または委託者の遺言により、信託の法律関係をつくり、これについて受託者が、主務官庁の許可を受けることによって成立する。
 公益信託は、主務官庁の監督に属し、受託者は、信託行為の定めるところに従って、自己の名で信託財産を管理、処分して公益事業を営む。その際、信託財産は、受託者に移転されるが、受託者の固有財産とは区別される。受託者は、その事務処理について善管注意義務等を負い、信託義務違反に対しては損失てん補をしなければならない。
(4) 公益信託に対する統一的な指導監督等の基準
 公益信託に対する適正な指導監督等を行うための統一的基準として、平成六年九月十三日に公益法人等指導監督連絡会議で決定された「公益信託の引受け許可審査基準等について」があり、主務官庁においては、この基準に則った指導監督等が行われている。
(5) 公益信託の税制
 公益信託に財産を拠出したときの税制として、個人・法人の双方につき、特定の公益信託のために支出した金銭についてのみなし寄付金制度等、各種の優遇措置がある。

第2節 公益信託の現況

(1) 信託数及び信託財産
 平成十二年十月一日現在の信託数及び信託財産は第27表のとおりで、それぞれ五百六十六件(前年比八件増加)、約六百四十二億円(前年比四十五億円増加)となっている。
(2) 信託目的別信託数
 信託目的別信託数は第28表のとおりで、奨学金支給、教育振興、国際協力・国際交流促進がそれぞれ上位を占めている。
(3) 授益行為の状況
 授益行為の状況は第29表のとおりで、個人を対象としているものが、件数及び金額ともに最多となっている。


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天皇誕生日一般参賀について


宮 内 庁


 天皇誕生日一般参賀は、十二月二十三日、皇居で次のとおり行われます。
1 午前の参賀
  天皇陛下が、皇后陛下、皇太子同妃両殿下、秋篠宮同妃両殿下及び紀宮殿下と御一緒におおむね三回長和殿ベランダにお出ましになる予定です。
  参賀者は、午前九時三十分から同十一時十分までに、皇居正門(二重橋)から参入し、宮殿東庭の参賀会場を経て、坂下門、桔梗門、大手門、平川門又は北桔橋門から退出することとなります。
  なお、お出ましは、午前十時二十分頃、同十一時五分頃及び同十一時四十分頃の三回が予定されておりますが、混雑が予想されますので、参賀者は余裕を持ってお越しください。
2 午後の参賀
  当日の午後は、宮殿において天皇誕生日の恒例の祝賀行事が行われますので、天皇陛下始め皇族方のお出ましはなく、宮内庁庁舎前の特設記帳所において記帳又は名刺をお受けします。
  記帳は都道府県名と氏名を記入することになりますが、筆記用具等は記帳所に備え付けてあります。
  参賀者は、午後零時三十分から同三時三十分までに、坂下門から参入し、宮内庁庁舎前の特設記帳所を経て、桔梗門、大手門、平川門又は北桔橋門から退出することとなります。
  退出門は午後四時に閉門しますから、参賀者はその時までに退出されるようお願いします。
  なお、当日は退出門からは入門できませんので、御注意ください。
 皇居東御苑は、天皇誕生日当日は休園となりますが、退出する参賀者は皇居東御苑を通って、大手門、平川門又は北桔橋門から退出することができます。
 参賀当日は非常な混雑が予想されますので、次の点に御注意ください。
(1) 午前の一般参賀の閉門時刻は午前十一時十分となっていますが、多数の参賀者が参集されると思われますので、早目にお越しください。
(2) 混雑する場合は、参入の際、あらかじめ、午前は正門前、午後は坂下門前で列を作って入門するようになりますが、入門する場合は、列を崩したり、立ち止まったりなどしないでください。
(3) 雑踏による転倒事故も考えられますので、履物には十分御注意ください。
  特に、移動コース上には坂道がありますので、ハイヒール、下駄ばきの方は御注意ください。
 危険物を携行する者、旗ざお、大きな荷物等で参賀行事を妨げ、又は他に危害、迷惑等を及ぼすおそれのある物を携行する者、その他参賀行事の運営上支障があると認められる者は、入門をお断りします。
 参賀者は、皇居内においては、次に挙げる行為をしないでください。
  これに反した場合は退去を求めることがあります。
(1) 立入りを禁じた場所に入ること。
(2) 喫煙所以外での喫煙等火災の危険がある行為をすること。
(3) 施設その他の物を破損し、又は移動すること。
(4) 業として写真又は映画を撮影すること。
(5) 集会又は示威行為をすること。
(6) 貼紙をし、又はビラ類を配布し若しくは散布すること。
(7) その他皇居内の秩序又は風紀を乱す行為等参賀行事運営上支障があると認められる行為をすること。
7 その他
(1) 荒天等の場合は、お出ましが中止されることがあります。
(2) 混雑や危険を防止するため、参入門の外で携帯品をお預かりすることがあります。
(3) 駐車場の用意はありませんので、御注意願います。




言葉の履歴書


大つごもり

 樋口一葉の小説「大つごもり」は「大晦日(おおみそか)」の出来事を描いた作品。「晦日」は毎月の最終日、「大晦日」は一年の最終日を意味します。
 晦日は「三十日(みそか)」のこと。陰暦では毎月の最終日はすべて三十日で、陽暦では十二月三十一日の大晦日も、十二月三十日でした。
 晦日を「つごもり」といったのは、「月ごもり」のこと。陰暦では毎月の最終日に、月が隠れて見えなくなったからです。漢字の「晦」には「暗い」という意味があります。
 月の第一日を「ついたち」というのは、「月立ち」からきたもの。「立つ」は「虹が立つ」のように、それまで存在しなかった現象が現れるときに使われる言葉です。
 毎月一日には隠れていた月が見え始めるわけで、だんだん大きくなる月は、十五日の「十五夜」で満月となり、また徐々に小さくなっていきます。
 「晦日に月が出る」といえば、あり得ないことのたとえ。陽暦の現在では、分かりにくいことわざになってしまいました。



    <12月19日号の主な予定>

 ▽賃金構造基本統計調査結果速報の概要………厚生労働省 

 ▽月例経済報告(十一月報告)…………………内 閣 府 




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