官報資料版 平成13年12月19日




                  ▽賃金構造基本統計調査結果の概要……………………………厚生労働省

                  ▽月例経済報告(十一月)………………………………………内 閣 府

                  ▽労働力調査特別調査(平成十三年八月結果の概要)………総 務 省

                  ▽新年一般参賀について…………………………………………宮 内 庁











平成13年


賃金構造基本統計調査結果の概要


―初 任 給―


厚生労働省


T 調査の概要

◇ この調査は、我が国の賃金構造の実態を明らかにするため、毎年六月分の賃金等について実施しているものであり、調査対象は、日本標準産業分類による九大産業(鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業)に属する五人以上の常用労働者を雇用する民営事業所及び十人以上の常用労働者を雇用する公営事業所から抽出した約七万一千事業所である。
◇ 本速報は、このうち十人以上の常用労働者を雇用する民営事業所約四万三千事業所の中で新規学卒者(平成十三年三月に中学、高校、高専・短大又は大学を卒業した者)を採用した約一万五千事業所の初任給の結果をとりまとめたものである。
 (注)本調査の初任給は、通常の勤務をした新規学卒者の所定内賃金(所定内労働時間に対して支払われる賃金。基本給のほか諸手当が含まれるが、超過労働給与額は含まない)から通勤手当を除いたものであり、平成十三年六月末現在で本年度の初任給として確定したものである。
 なお、新規学卒者で平成十三年六月末現在、実際に雇用されている者のうち、本年度の初任給が確定した新規学卒者の割合は九五・七%であった。未確定(ベースアップが決まっていない等のため確定していないもの)の四・三%については、今回の集計対象外となっている。

U 調査結果の概要

一 学歴別にみた初任給

(1) 平成十三年の初任給を高卒以上の学歴別にみると、男女計は、大卒十九万五千百円(対前年増減率〇・七%)、高専・短大卒十六万五千九百円(同〇・〇%)、高卒十五万四千円(同〇・六%)となっており、これを男女別にみると、男性では、大卒十九万八千三百円(同〇・七%)、高専・短大卒十七万三百円(同マイナス〇・八%)、高卒十五万八千百円(同〇・六%)、女性では、大卒十八万八千六百円(同〇・六%)、高専・短大卒十六万三千八百円(同〇・一%)、高卒十四万八千七百円(同〇・七%)となった。
  男女計では、大卒と高卒が前年を上回っており、高専・短大卒は前年と同水準になっている。
  男女別では、男性の高専・短大卒を除き、各学歴とも一%未満の低い水準ではあるが、前年を上回っている(第1表第2表第1図参照)。
(2) 初任給の学歴間格差(大卒=一〇〇)を男女別にみると、男性は高専・短大卒が八六、高卒が八〇、女性は高専・短大卒が八七、高卒が七九となっている。
  この五年間では、大卒と他の各学歴との格差は、男女とも明確な拡大傾向や縮小傾向はみられず、ほぼ横ばいとなっている(第2図参照)。

二 企業規模別にみた初任給

(1) 企業規模別の初任給をみると、男女計は、大卒では大企業(常用労働者千人以上)と中企業(同百〜九百九十九人)が十九万円台、小企業(同十〜九十九人)が十八万円台、高専・短大卒では各規模とも十六万円台、高卒では各規模とも十五万円台となっている。
  これを男女別にみると、男性は、大卒では大企業が二十万円台、中企業と小企業が十九万円台、高専・短大卒では大企業と小企業が十七万円台、中企業が十六万円台、高卒では各規模とも十五万円台となっている。
  一方、女性は、大卒では中企業が十九万円台、大企業と小企業が十八万円台、高専・短大卒では各規模とも十六万円台、高卒では大企業と中企業が十五万円台、小企業が十四万円台となっている。
  また、対前年増減率は、女性の小企業の大卒と高専・短大卒、中企業の高専・短大卒を除き、各企業規模の男女各学歴とも小幅な動きとなっている(第3表参照)。
(2) 初任給の企業規模間格差(大企業=一〇〇)を男女別にみると、男性は、中企業九七〜九九、小企業九六〜一〇一と、各学歴とも大きな格差はみられない。
  女性は、中企業九九〜一〇二、小企業九四〜一〇〇となっており、高卒で小企業が九四と最も格差が大きくなっている。
  また、男性の高卒では小企業が一〇一、女性の大卒と高専・短大卒では、中企業がそれぞれ一〇一、一〇二となっており、大企業を上回る傾向が続いている(第4表参照)。

三 産業別にみた初任給

(1) 主要産業別の初任給をみると、男女計は大卒では製造業が高く十九万八千二百円、高専・短大卒と高卒では建設業が高く、それぞれ十七万二千八百円、十六万一千五百円となっている。
  一方、低いのは、各学歴とも金融・保険業で、大卒十八万四千円、高専・短大卒十五万二千円、高卒十四万三千百円となっている。
  これを男女別にみると、男性は、大卒では製造業が高く十九万九千八百円、高専・短大卒と高卒では建設業が高く、それぞれ十七万七千六百円、十六万五千七百円となっている。
  一方、低いのは、大卒では、金融・保険業で十八万九千七百円、高専・短大卒では運輸・通信業で十六万六千五百円、高卒では、サービス業で十五万二千百円となっている。
  女性は、大卒ではサービス業が高く十九万三千円、高専・短大卒では卸売・小売業,飲食店が高く十六万六千三百円、高卒では運輸・通信業が高く十五万八千円となっている。
  一方、低いのは、大卒と高専・短大卒では、金融・保険業で、それぞれ十七万七千八百円、十五万一千六百円、高卒では、建設業で十四万二百円となっている(第5表参照)。
(2) 初任給の産業間格差(製造業=一〇〇)を男女別にみると、男性は、各学歴ともほとんど格差はみられないが、高専・短大卒と高卒の建設業、高卒の運輸・通信業が高く、大卒の金融・保険業が低くなっている。
  女性は、男性と比べ各学歴とも格差が大きく、金融・保険業が各学歴を通じて低くなっている(第6表参照)。

四 初任給の分布第7表参照

(1) 初任給の分布をみると、男女計は、大卒では十九万、二十万円台で五二・三%、高専・短大卒では十五万〜十七万円台で六五・七%、高卒では十五万、十六万円台で五二・七%となっている。
  これを男女別にみると、男性は、大卒では十九万、二十万円台で五八・六%、高専・短大卒では十六万〜十八万円台で六一・〇%、高卒では十五万、十六万円台で六〇・四%となっている。
  女性は、大卒では十七万〜十九万円台で五八・七%、高専・短大卒では十五万〜十七万円台で六八・三%、高卒では十四万〜十六万円台で六四・二%となっている。
(2) 初任給の散らばりの度合いを十分位分散係数でみると、男性より女性のほうがやや散らばりが大きく、男性の大卒と高卒が他の男女・学歴と比べてやや散らばりが小さい。



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月例経済報告(十一月)


―景気は、一段と悪化している―


内 閣 府


総 論

(我が国経済の基調判断)

 景気は、一段と悪化している。
 ・個人消費は、弱含んでいる。
 ・失業率がこれまでにない高さに上昇し、求人や残業時間、賃金も弱い動きが続いている。
 ・輸出、生産が大幅に減少し、企業収益、設備投資も減少している。
 先行きについては、米国における同時多発テロ事件等の影響もあり、世界経済が同時的に減速するなど、懸念が強まっている。

(政策の基本的態度)

 政府は、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」に基づき、構造改革の道筋を示す「改革工程表」をとりまとめた。さらに、構造改革を強力かつ迅速に遂行するため、先行して決定・実施すべき施策を十月二十六日に「改革先行プログラム」として決定したところであり、その早急な実施に努めることとしている。
 これを受けて平成十三年度補正予算を十一月九日に国会に提出した。こうした措置を講ずるほか、経済財政諮問会議において、内外の情勢を絶えず監視・分析し、さまざまな状況の変化に、構造改革の推進を始めとする新たな政策対応ができるようあらかじめ検討している。

各 論

一 消費・投資などの需要動向

◇個人消費は、弱含んでいる。
 消費総合指数をみると、このところ弱い動きが続いている。
 また、需要側統計である家計調査でみると、実質消費支出は、平成十三年九月は前月を下回り、このところ弱い動きが続いている。
 販売側統計をみると、小売業販売額やチェーンストア販売額は、依然として弱い動きが続いている。百貨店販売額は、秋物衣料に動きがみられたことなどにより、前年を上回った。
 耐久消費財についてみると、新車販売台数は、これまで好調に推移していた新型車の受注減により前年を下回り、弱い動きが続いている。家電販売金額は、パソコンが引き続き前年を大きく下回っていることなどから、弱い動きが続いている。
 旅行は、海外旅行は大幅に減少し、国内旅行も前年を下回っている。
 こうした需要側と販売側の動向を総合してみると、個人消費は、弱含んでいる。
 個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、定期給与は引き続き前年を下回っており、弱い動きが続いている。現金給与総額は引き続き前年を下回っている。
 消費者マインドは、雇用環境の悪化等により悪化傾向にある。
 なお、米国における同時多発テロ事件等の影響については、消費者マインドの悪化傾向に寄与した可能性や、海外旅行の大幅な減少が考えられる。

◇設備投資は、減少している。
 設備投資は、平成十二年中は増加基調が続き、景気を支える要素であったが、生産の減少、企業収益の鈍化等を背景に平成十三年に入り頭打ちに転じ、このところ減少している。「法人企業統計季報」でみると、四〜六月期の設備投資は、減少している。
 大中堅企業について「法人企業動向調査」でみると、七〜九月期(実績見込み)は、製造業、非製造業ともに減少している。また、機械設備投資の参考指標である資本財出荷は、年明け以降減少を続けている。
 設備投資の今後の動向については、日銀短観の平成十三年度設備投資計画において非製造業を中心に減少が見込まれていること、機械設備投資の先行指標である機械受注が一〜三月期以降減少基調で推移し、十〜十二月期も減少の見通しとなっていることなどからみて、減少が続くものとみられる。

◇住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
 住宅建設は、平成十一年以降おおむね年率百二十万戸前後で推移していたが、昨年堅調であったマンションの着工が落ち着いてきたことに加え、公庫持家の着工が大きく水準を下げて推移したことを主因として、年明け以降弱含み、平成十三年四〜六月期は百十五万戸程度となり、前期比で2四半期連続の減少となった。
 この背景としては、雇用・所得環境が厳しさを増していること、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下していることがあると考えられる。七〜九月期は年率百二十万戸を上回ったが、これは、マンションの着工が大幅に増加したことなどによる。
 先行きについてみると、住宅金融公庫融資の申し込み戸数が減少していることなど、住宅着工を減少させる要因が引き続きみられる。

◇公共投資は、総じて低調に推移している。
 公共投資は、総じて低調に推移している。平成十三年度当初における公共事業関連予算をみると、国の公共事業関係費は前年度に近い予算現額を確保しているものの、地方の投資的経費は、厳しい財政状況を反映して引き続き前年度を下回っている。
 このような状況を反映して、七〜九月期の公共工事請負金額は、引き続き前年を下回った。四半期での前年割れは、二年半にわたっている。また、大手五十社受注額も3四半期連続で前年比マイナスとなっている。ただし、いずれも一〜三月期、四〜六月期に比較して、マイナス幅は順次縮小している。
 十〜十二月期の公共投資については、地方の投資的経費の減少傾向が続いていることなどを踏まえると、引き続き前年を下回ると考えられる。

◇輸出、輸入は、ともに大幅に減少している。貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
 輸出は、世界経済の減速を背景として、電気機器や一般機械などが減少していることから、大幅に減少している。
 地域別にみると、アジア、EU向けは減少している。アメリカ向けは、自動車輸出がこのところ増加しているものの、全体の基調としては減少している。米国における同時多発テロ事件等が世界経済に与える影響に対する懸念が強まっており、世界経済の減速が長期化した場合、これが我が国輸出のさらなる下押し要因として作用するものとみられる。
 輸入は、内需の弱さを反映して大幅に減少している。品目別では、IT関連財など機械機器が大幅に減少している。地域別にみると、機械機器の減少を主因にアメリカからの輸入は大幅に減少している。アジアからの輸入も、これまで堅調であった中国からの輸入が減少傾向にあるなど、アジア全体でも減少している。EUからの輸入も、減少傾向にある。
 国際収支をみると、輸出・輸入数量ともに大幅に減少していることから、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。

二 企業活動と雇用情勢

◇生産は大幅に減少し、在庫率は高水準にある。
 鉱工業生産は、今年に入ってから3四半期連続で大幅に減少している。輸出の減少等により、IT関連品目の生産を減少させていることなどが背景にある。
 生産の先行きについては、十月は減少、十一月は増加が見込まれている。また、在庫が減少しているものの、在庫率は依然として高い水準にあること及び米国における同時多発テロ事件等の影響を含め、今後の需要動向が不透明であることは、生産の先行きに関して懸念すべき点である。
 一方、第三次産業活動の動向をみると、おおむね横ばいで推移している。
 また、農業生産の動向をみると、米の作況は「やや良」となっている。
 企業収益は、減少している。また、企業の業況判断は、製造業を中心に大幅に悪化しており、一層厳しさが増している。倒産件数は、やや高い水準となっている。
 企業収益は平成十一年以降改善が続いていたが、「法人企業統計季報」によると、人件費が増加してきたこと、売上高の増収幅が縮小してきたこと等により、全体としては頭打ちとなっており、平成十三年四〜六月期には電気機械を中心に製造業では減益に転じた。また、日銀短観によると、平成十三年度は増益を見込んでいた下期も減益の見込みに転じ、年度を通しても減益の計画となった。「法人企業動向調査」によると七〜九月期における大中堅企業の経常利益の判断(前期比「増加」−「減少」)は、「減少」超幅が拡大している。
 企業の業況判断について日銀短観をみると、大企業・製造業では電気機械などの加工産業だけではなく、鉄鋼、化学など素材産業も急速に悪化するなど、一層厳しさが増している。また、「法人企業動向調査」で大中堅企業の業界景気の判断をみると、製造業、非製造業ともに悪化している。
 また、九月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで一千五百九十二件となるなど、やや高い水準となっている。

◇雇用情勢は、厳しさを増している。完全失業率がこれまでにない高さに上昇し、求人や残業時間、賃金も弱い動きが続いている。
 九月の完全失業率は、前月比〇・三%上昇し、五・三%とこれまでにない水準となった。これは、雇用者数がサービス業等を除き減少していること、同時に完全失業者数も大きく増加していることによる。完全失業者については、最近増加していた自発的な離職による者に加え、非自発的な離職による者も増加している。
 また、新規求人数は、前年同月比、前月比ともに減少している。製造業の残業時間については、十一か月連続で前月比減となっている。完全失業者全体に占める失業期間一年以上の者の割合も、増加傾向にある。このように、雇用情勢は厳しさを増している。賃金の動きをみると、現金給与総額、定期給与は前年を下回っており、弱い動きが続いている。

三 物価と金融情勢

◇国内卸売物価、消費者物価は、ともに弱含んでいる。
 輸入物価は、このところ、契約通貨ベース円ベースともに下落している。国内卸売物価は、平成十三年入り後弱含んでいる。最近の動きをみると、技術革新や需要の減少等を背景に、電気機器や化学製品などが値下がりしていることから、下落幅はやや拡大している。また、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
 消費者物価は、平成十二年秋以降弱含んでいる。最近の動きをみると、一般サービスは横ばいとなっているものの、耐久消費財の下落などにより一般商品は下落していることから、全体としては下落している。
 こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。
 金融情勢については、株式相場は、十月は、米国における同時多発テロ事件前の水準まで上昇した。
 短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、十月は、日本銀行による金融緩和措置を反映して、おおむね〇・〇〇二〜〇・〇〇三%で推移した。二、三か月物は、四月以降、低位での推移が続いており、十月は、ほぼ横ばいで推移した。長期金利は、昨年秋より低下基調で推移してきたが、七月から八月上旬にかけて上昇した後、ほぼ横ばいで推移している。
 株式相場は、昨年春より下落基調で推移している。米国における同時多発テロ事件の影響等から、九月中旬には一段と下落した。十月は、米国株価の動向等を背景に、米テロ事件前の水準まで上昇した。
 対米ドル円相場は、九月下旬に百十七円台まで上昇した後、十月下旬には百二十三円台まで下落し、月末にかけて、百二十一円台から百二十二円台で推移した。対ユーロ円相場は、六月から七月にかけて百九円台に下落した後横ばいで推移し、十月は、百九円台から百十一円台で推移した。
 M+CD(月中平均残高)は、昨年後半以降、おおむね前年同月比二・〇%増程度で推移してきたが、年明け以降、郵便貯金からの資金シフト等を受けて、やや伸び率を高めている(十月速報:前年同月比三・六%増)。
 民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、九六年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和等を背景に、年明け以降低下傾向にある。

四 海外経済

◇世界経済は、同時的に減速している。
 世界経済は、同時的に減速している。
 アメリカの景気は弱い状態となっており、景気後退入りの懸念がある。個人消費は、テロ事件の直接の影響は収まりつつあるが、事件以前にくらべて弱含んでおり、消費者の信頼感は大幅に低下している。また、住宅投資は頭打ちとなっており、設備投資が引き続き大幅に減少していることから、内需は減少している。在庫調整が進むなかで、生産活動が停滞し、稼働率が低下している。雇用は大幅に減少しており、失業率は急速に上昇している。
 ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は減速している。フランスでは、景気の拡大テンポは鈍化している。イギリスでは、景気は緩やかに拡大している。
 アジアをみると、中国では、個人消費や固定資産投資が堅調に推移しているが、輸出の伸びが鈍化していることから、このところ景気の拡大テンポは鈍化している。韓国では、生産や輸出が減少するなど、景気は減速している。
 金融情勢をみると、ドル、株価ともに堅調に推移したが、月末にはやや弱含んだ。アメリカでは、十一月六日のFOMCで短期金利の誘導目標水準が〇・五〇%ポイント引き下げられ、二・〇〇%とされた。これにより、フェデラル・ファンド・レートは一九六一年九月以来の低水準となった。また、ユーロ圏、イギリスでも政策金利がそれぞれ〇・五〇%ポイントずつ引き下げられた。
 国際商品市況をみると、世界経済の減速に伴う需要減少懸念などから、原油価格は下落基調で推移した。




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労働力調査特別調査


―平成十三年八月結果の概要―


総 務 省


◇就業者

(1) 雇用形態別の構成

 役員を除く雇用者は、四千九百七十四万人と前年同月に比べ三十四万人減少した。これを雇用形態別にみると、正規の職員・従業員は、三千五百九十七万人と前年同月に比べ九十八万人減少した。
 一方、パート・アルバイト、派遣社員等の非正規の職員・従業員は、一千三百七十七万人と前年同月に比べ六十四万人増加した(第1図参照)。

(2) 転職者

 転職者(就業者のうち過去一年間に離職を経験した者)のうち、転職で収入が減った者は四三・四%、収入が増えた者は二八・三%となっている。
 これを年齢階級別にみると、男性では十五〜二十四歳を除くすべての年齢階級で収入減の割合が収入増の割合を上回っており、年齢階級が高くなるほど収入減の割合が高くなっている。
 また、女性ではすべての年齢階級で収入減の割合が収入増の割合を上回っている(第2図参照)。

◇完全失業者

(1) 失業期間

 完全失業者数は、三百三十六万人と前年に比べ二十六万人増加した。
 これを失業期間別にみると、特に「一年以上」の完全失業者数が九十二万人と、前年に比べ十二万人増加するなど、すべての失業期間で前年に比べ完全失業者数が増加した(第3図参照)。

(2) 仕事につけない理由

 完全失業者について、仕事につけない理由の割合を年齢階級別にみると、四十五〜五十四歳、五十五歳以上では「求人の年齢と自分の年齢とがあわない」が最も高い割合となっており、特に五十五歳以上では五二・九%を占めている。
 一方、十五〜二十四歳、二十五〜三十四歳及び三十五〜四十四歳では「希望する種類・内容の仕事がない」の割合が最も高くなっている(第4図参照)。

◇非労働力人口

 非労働力人口は、四千九十四万人と前年に比べ六十八万人増加した。このうち、就業希望者は五百六十八万人となっており、これを非求職理由別にみると、「家事・育児のため仕事があっても続けられそうにない」の割合が二七・五%と最も高く、次いで「勤務時間・賃金などが希望にあう仕事がありそうにない」の割合が一二・三%などとなっている(第1表第2表参照)。


私の職場は大自然です


 ―あなたの新しい仕事として農業を考えてみませんか―

 一九七〇年に全国で約八百四十二万人いた農林業就業者数は、八〇年には約五百三十二万人、九〇年には約四百十一万人となり、二〇〇〇年には約二百九十七万人にまで大きく減少しています(「労働力調査報告」総務庁<当時>)。
 農業・農村の持続的な発展を図るためには、その担い手の減少と高齢化が進む現状は大きな課題となっており、就農者を安定的に確保していくことが不可欠です。
 一方、三十九歳以下の新規就農者の数は、九〇年の約四千三百人を底として増加に転じ、九九年には約一万一千九百人に上っています。また、四十〜六十四歳の離職就農者も、九〇年の約一万七百人から、九九年には約四万七千二百人にまで増えています。
 農林水産省では、新規就農成年のさらなる増加を目指して、さまざまな支援事業を行っています。その一つとして、各都道府県の「新規就農相談センター」などでは、就農希望者に就農関連情報を発信したり就農相談に応じたりしています。
 また、農業技術習得のために、道府県農業大学校や就農準備校などにおいて受講者の技術レベルに応じた研修コースを設けています。公立や民間の農業大学校は、多くが高卒二年課程ですが、最近ではUターン者向けの一年コースを設けるところも増えています。特に、就農準備校は、ほかの職業に従事したまま農業の基礎技術を習得できるように工夫されているほか、インターネットによって全国どこからでも授業を受けられる「Eメール塾」も設けており、人気を集めています。
 さらに、農業技術などを実地に習得するために必要な「就農研修資金」や、就農の事前活動に必要な「就農準備資金」、農業経営開始時の施設や機械の購入・設置などに必要な「就農施設等資金」を無利子で貸しつける就農支援資金制度もあり、農業への参入を考える若者たちを力強く後押ししています。
●就農準備校で学ぼう
 将来、農業をやってみたいと考えている人のために、農業の基本技術や知識を教える教室が、就農準備校です。
 準備校がスタートした一九九六年春から今年一月までののべ受講者数は六千六百四十九人。その数は、年々増加しています。今年度は全国十校十六教室で受講生が学んでいます。
 調査によると、就農前に準備校の研修を受けた人は、研修を受けなかった人よりも二〜三年早く農業で生活が可能になるという結果もあり、準備校の役割はますます高まってくると考えられます。
 ・問い合わせ先
  全国農村青少年教育振興会
  「就農準備校本部」
  рO3―3291―5727
  http://www.agriworld.or.jp/sinkokai/
●Eメール塾で就農準備
 インターネットによって、全国どこからでも学ぶことができる新規就農者向けの学校が、「Eメール塾・就農準備校」です。Eメールを通じて専門の講師による添削指導も受けることができ、働きながらでも農業についての入門知識をしっかりと学ぶことができます。
 ・申し込み方法
  下記ホームページ上よりお申し込みください。
  http://www.agriworld.or.jp/sinkokai/emailjuku/
●そのほかの相談窓口
 ・全国新規就農相談センター
  рO3―3213―4110
  http://www.nca.or.jp/guide/
 ・都道府県新規就農相談センター
  (各都道府県の担当課にお問い合わせください)




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新年一般参賀について


宮 内 庁


 新年一般参賀は、一月二日、皇居で次のとおり行われます。
 天皇皇后両陛下が、おおむね七回長和殿ベランダにお出ましになる予定です。
  そのうち、二回目までは皇太子同妃両殿下始めお出ましになれる成年の皇族方が、三回目以降は皇太子同妃両殿下、秋篠宮同妃両殿下及び紀宮殿下が、御一緒にお出ましになる予定です。
  参賀者は、午前九時三十分から午後三時までに、皇居正門(二重橋)から参入し、宮殿東庭の参賀会場を経て、坂下門、桔梗門又は乾門から退出することとなります。
  なお、お出ましは、午前十時十分頃、同十一時頃、同十一時五十分頃、午後零時四十分頃、同一時三十分頃、同二時二十分頃及び同三時二十分頃の七回が予定されておりますが、混雑が予想されますので、参賀者は余裕を持ってお越しください。
 皇居東御苑は休園ですので、入園できません。
 参賀当日は非常な混雑が予想されますので、次の点に御注意ください。
(1) 一般参賀の閉門時刻は午後三時となっていますが、多数の参賀者が参集されると思われますので、早目にお越しください。
(2) 混雑する場合は、参入の際、あらかじめ、正門前で列を作って入門するようになりますが、入門する場合は、列を崩したり、立ち止まったりなどしないでください。
(3) 雑踏による転倒事故も考えられますので、履物には十分御注意ください。
  特に、移動コース上には坂道がありますので、ハイヒール、下駄ばきの方は御注意ください。
 危険物を携行する者、旗ざお、大きな荷物等で参賀行事を妨げ、又は他に危害、迷惑等を及ぼすおそれのある物を携行する者、その他参賀行事の運営上支障があると認められる者は、入門をお断りします。
 参賀者は、皇居内においては、次に挙げる行為をしないでください。
  これに反した場合は退去を求めることがあります。
(1) 立入りを禁じた場所に入ること。
(2) 喫煙所以外での喫煙等火災の危険がある行為をすること。
(3) 施設その他の物を破損し、又は移動すること。
(4) 業として写真又は映画を撮影すること。
(5) 集会又は示威行為をすること。
(6) 貼紙をし、又はビラ類を配布し若しくは散布すること。
(7) その他皇居内の秩序又は風紀を乱す行為等参賀行事運営上支障があると認められる行為をすること。
 その他
(1) 荒天等の場合は、お出ましが中止されることがあります。
(2) 混雑や危険を防止するため、参入門の外で携帯品をお預かりすることがあります。
(3) 駐車場の用意はありませんので御注意願います。


◇放火火災予防のために


 ―多発するのは「冬」の「夜間」。放火にご注意ください―

 「放火」と「放火の疑い」による火災は、一九八五年以降連続して出火原因のトップを占めています。九二年からは毎年一万件を超え、二〇〇〇年中には一万三千八百五十二件(概算値)が発生しています(すべての火災の二二・二%)。傾向は、冬から春先、夜間から明け方(夜八時〜翌朝六時)にかけて多く発生しています。
 放火の危険性から地域社会を守るには、住民や町内会、関係機関などが一体となって協力し、放火されにくい環境をつくりだす必要があります。放火火災の予防のために、次のような点に注意しましょう。
@建物への放火に注意
 建物に放火されたケースをみると、建物外周部、倉庫や物置、共同住宅の玄関ホールや階段など、外部の者に侵入されやすい場所や人気のない暗がりにおける放火が目立ちます。
 まず、建物の周囲に燃えやすい物を放置しないこと。さらに門扉などをしっかりと施錠し、照明や侵入監視センサーを設置することなどで、放火の予防に努めましょう。
Aごみへの放火に注意
 ごみ捨て場のごみや放置された古新聞・雑誌などに、夜間に放火される事例が多くみられます。
 夜間にごみをださない、放置しないなどのルールを地域ぐるみで守るようにしましょう。また、ごみ収集場のライトアップやコンテナ化などの放火予防対策も効果的です。
B 車両への放火に注意
 路上や屋外駐車場に駐車した車のボディカバーや荷台に放火する例、施錠されていない車の社内に放火する例もあります。不用意に車を放置しないことはもちろん、ボディカバーは防炎製品を使用し駐車場に常夜灯を設置することなども有効です。
C 放火危険箇所の改善
 放火は、道路が狭く死角の多い場所や、街灯など明かりが少ない場所、可燃物が不用意に放置されている場所で発生しやすい傾向にあります。このような危険箇所チェック用の町内地図を作成して自分たちの住むまちを診断し、危険要因を排除するように努めること、さらに夜間巡回活動など「見せる警戒活動」を実施することも重要です。






    <12月26日号の主な予定>

 ▽障害者白書のあらまし………内 閣 府 

 ▽労働力調査(十月)…………総 務 省 


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