官報資料版 平成14年1月16日




                  ▽平成十三年就労条件総合調査結果の概要………厚生労働省

                  ▽平成十三年七〜九月期平均家計収支……………総 務 省

                  ▽毎月勤労統計調査(十月)………………………厚生労働省

                  ▽月例経済報告(十二月)…………………………内 閣 府

                  ▽刑事裁判とは………………………………………最高裁判所











平成13年


就労条件総合調査結果の概要


(旧賃金労働時間制度等総合調査)


厚生労働省


 この調査は、我が国の労働時間制度、賃金制度等の実態を明らかにするため毎年実施しています。平成十三年は労働時間制度、賃金制度及び出向制度について、平成十三年一月一日現在で調査を実施しました。

一 労働時間制度

【週所定労働時間】
 週所定労働時間は、一企業平均三十九時間十四分で前年と同じです。

【週休制】
 「何らかの週休二日制」を採用している企業数割合は九一・六%(前年九一・三%)、「完全週休二日制」は三三・六%(同三三・四%)となっています。

【年次有給休暇】
 年次有給休暇の付与日数(繰越日数は除く)は、労働者一人平均一八・〇日(前年一七・八日)、取得日数は八・九日(同九・〇日)となっています。
 取得率(付与日数に対する取得日数の割合)は四九・五%で、前年に比べ一・〇ポイント低下しました。

【変形労働時間制】
 変形労働時間制を採用している企業数割合は五四・三%(前年五三・〇%)で、その種類別(複数回答)をみると「一年単位の変形労働時間制」は三六・三%(同三三・三%)、「一か月単位の変形労働時間制」は一五・五%(同一六・六%)、「フレックスタイム制」は五・六%(同五・七%)となっています。

二 賃金制度

【基本給の決定要素】
 基本給の決定要素別(複数回答)に企業数割合をみると、「職務遂行能力」が管理職で七九・七%(前回平成十年六九・六%)、管理職以外で七七・三%(同六九・二%)となっており前回と比べて高い伸びを示しています。

【業績賃金】
 個人業績を賃金(賞与も含む。以下同じ)に反映する企業数割合は管理職六五・〇%、管理職以外六六・一%となっています。
 そのうち、過去五年間に業績評価の反映の仕方について賃金制度を見直した企業で、「格差を広げた」とする企業数割合は管理職で四一・三%、管理職以外で三九・五%となっています(第1図参照)。

【業績評価制度】
 業績評価制度がある企業数割合は五〇・二%、業績評価制度を給与に反映させている企業数割合は四五・七%となっています。

三 出向制度

【実施状況】
 出向制度がある企業数割合は三七・三%(前回平成七年三四・二%)で、出向形態別(複数回答)にみると、出向者を送り出す制度のある企業(以下「出向元企業」という)は二四・五%(同二一・六%)、出向者を受け入れる制度のある企業(以下「出向先企業」という)は二九・五%(同二六・二%)となっています。
 出向元企業で在籍出向制度がある企業数割合は二三・四%(同二〇・三%)、移籍出向制度は七・六%(同三・八%)、出向先企業で在籍出向制度がある企業数割合は二八・六%(同二三・九%)、移籍出向制度は五・七%(同五・八%)となっています。

【在籍出向者の最多出向期間】
 在籍出向制度がある出向元企業のうち、出向させた労働者が最も多かった出向期間をみると「五年を超える」企業数割合が三四・一%と最も高くなっています。
 また、在籍出向制度がある出向元企業のうち「出向期間を定めている」企業数割合は三九・一%、「出向期間を定めていない」企業数割合は六〇・九%となっています。
 出向させた労働者が最も多かった出向期間を、出向期間の定めの有無別にみると、出向期間を定めている企業では「二年を超え三年以内」が二六・二%、出向期間を定めていない企業では「五年を超える」が四八・四%と、それぞれ最も高くなっています(第2図第3図参照)。



言葉の履歴書


◇べいごま

 「お正月には凧あげて、こまをまわして遊びましょう」は、明治時代の唱歌「お正月」(東(ひがし)くめ作詞・滝廉太郎作曲)の一曲。こま(独楽)は鉄製の心棒をさした逆円錐形の木製玩具で、巻いた紐で回転させます。大きな独楽を回すのは、男の子が楽しむ正月の遊びでした。
 独楽はコマツブリの略で、ツブリは円いものを意味するツブラと同系の語です。コマは高麗(こま)(古代朝鮮の国名)から渡来したためとされています。「独楽」と書くのは「ひとり楽しむ」という意味の漢語を当てたものでした。
 「べいごま」は「ばいごま」が変化した言葉。江戸時代前期から、巻き貝の一種「バイ(貝・海螺)」の殻を切り、重くするために鉛を詰めた独楽が作られました。鉛のほかに蝋を入れることも行われています。
 たらいや空き箱の上に、ござを敷いてへこみをつくり、紐を巻いて回す「べいごま」は、強くぶつけ合って優劣を競う遊び。のちには、貝を使わず、形が似た鋳物製のものがおもちゃ屋で売られるようになりました。


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消費支出(全世帯)は実質二・一%の減少


―平成十三年七〜九月期平均家計収支―


総 務 省


◇全世帯の家計

 前年同期比でみると、全世帯の消費支出は、平成十一年七〜九月期以降、五期連続の実質減少となった後、十二年十〜十二月期、十三年一〜三月期は二期連続の実質増加となったが、四〜六月期、七〜九月期は二期連続の実質減少となった。
 一人当たりの消費支出は九万三千二百三十円で、前年同期に比べ実質二・一%の減少となった。

◇勤労者世帯の家計

 前年同期比でみると、勤労者世帯の実収入は、平成十一年七〜九月期以降、七期連続の実質減少となった後、十三年四〜六月期は前年同期と同水準となり、七〜九月期は実質減少となった。
 また、消費支出は、平成十二年七〜九月期、十〜十二月期と二期連続の実質減少となった後、十三年一〜三月期は実質増加となったが、四〜六月期、七〜九月期は二期連続の実質減少となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十六万七百四十四円となり、前年同期に比べ、名目四・〇%の減少、実質三・〇%の減少となった。

◇季節調整値の推移(全世帯・勤労者世帯)

 季節調整値でみると、全世帯の消費支出は前期に比べ実質〇・九%の減少となった。
 勤労者世帯の消費支出は前期に比べ実質〇・二%の増加となった。












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賃金、労働時間、雇用の動き


毎月勤労統計調査 平成十三年十月分結果速報


厚生労働省


 「毎月勤労統計調査」平成十三年十月分結果の主な特徴点は次のとおりである。

◇賃金の動き

 十月の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は二十八万五千六百九十八円、前年同月比一・二%減であった。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十八万一千六百二十七円、前年同月比一・三%減であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十六万四千六十七円、前年同月比〇・七%減、所定外給与は一万七千五百六十円、前年同月比は八・六%減であった。
 また、特別に支払われた給与は四千七十一円、前年同月比は八・二%減であった。
 実質賃金は、〇・四%減であった。
 きまって支給する給与の動きを産業別に前年同月比によってみると、伸びの高い順に電気・ガス・熱供給・水道業〇・三%増、サービス業〇・四%減、製造業〇・九%減、建設業一・一%減、卸売・小売業,飲食店一・九%減、金融・保険業二・一%減、運輸・通信業二・四%減、鉱業三・三%減、不動産業四・三%減であった。

◇労働時間の動き

 十月の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は一五五・二時間、前年同月比は一・〇%減であった。
 総実労働時間のうち、所定内労働時間は一四六・〇時間、前年同月比〇・六%減、所定外労働時間は九・二時間、前年同月比八・一%減、所定外労働時間の季節調整値は前月比一・一%減であった。
 製造業の所定外労働時間は一二・二時間、前年同月比一五・九%減、季節調整値の前月比は一・九%減であった。

◇雇用の動き

 十月の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で〇・一%減、常用労働者のうち一般労働者では〇・八%減、パートタイム労働者では二・四%増であった。
 常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、前年同月を上回ったものはサービス業二・四%増、不動産業一・二%増、建設業〇・六%増であった。前年同月を下回ったものは運輸・通信業〇・二%減、電気・ガス・熱供給・水道業〇・三%減、卸売・小売業,飲食店〇・五%減、鉱業二・一%減、製造業二・七%減、金融・保険業四・二%減であった。
 主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者二・四%減、パートタイム労働者四・〇%減、卸売・小売業,飲食店では一般労働者三・一%減、パートタイム労働者三・四%増、サービス業では一般労働者二・〇%増、パートタイム労働者三・六%増であった。









言葉の履歴書


◇京都議定書

 地球温暖化防止に取り組むため、一九九二年に国連で採択され、九四年に発効した「気候変動枠組み条約」は、大気中の二酸化炭素などの温室効果ガスの濃度を気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準に安定化させることを目的としています。
 「京都議定書」は、この条約の目的を達成するため、一九九七年に京都で開催された第三回締約国会議(COP3)で採択されました。これは、先進国に対し、二〇〇八〜二〇一二年における温室効果ガスの排出量を一九九〇年比で一定数値削減することを義務づけるとともに、そのための実施メカニズム(排出削減プロジェクトや排出量取引により排出枠を国家間でやりとりする、いわゆる京都メカニズムなど)の導入を規定するものです。
 二〇〇一年十一月の第七回締約国会議(COP7)では、議定書の実施にかかる細目が決定されました。これにより、先進国などの批准が促進される見通しとなりました。


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月例経済報告(十二月報告)


―景気は、悪化を続けている―


内 閣 府


総 論

(我が国経済の基調判断)

 景気は、悪化を続けている。
  ・個人消費は、弱含んでいる。失業率がこれまでにない高さに上昇するなど、雇用情勢は厳しさを増している。
  ・生産、企業収益は大幅に減少しており、設備投資も減少している。
  ・業況判断は、一層厳しさが増している。
 先行きについては、世界経済が同時的に減速するなど、懸念すべき点がみられる。

(政策の基本的態度)

 政府は、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」及び構造改革の道筋を示す「改革工程表」に基づき、構造改革を断行することとしており、先般決定した「改革先行プログラム」の早急な実施に努めている。
 平成十三年十二月四日には、平成十四年度予算を「改革断行予算」と位置付ける「平成十四年度予算編成の基本方針」を閣議決定した。
 加えて、現在の厳しい経済の状況を踏まえ、構造改革を更に加速しつつ、デフレスパイラルに陥ることを回避するため、十二月十四日に「緊急対応プログラム」を決定した。これを受けて平成十三年度第二次補正予算を編成する。

各 論

一 消費・投資などの需要動向

 平成十三年七〜九月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間企業設備がプラスに寄与したものの、民間最終消費支出がマイナスに寄与したことなどから、前期比で〇・五%減(年率二・二%減)となった。また、名目GDPの成長率は前期比で〇・八%減となった。

◇個人消費は、弱含んでいる。
 消費総合指数をみると、このところ弱い動きが続いている。
 また、需要側統計である家計調査でみると、実質消費支出は、自動車購入などの高額消費の増加により、平成十三年十月は前月を上回っている。
 販売側統計をみると、小売業販売額は、依然として弱い動きが続いている。百貨店販売額は、先月好調だった秋物衣料が今月は鈍化したことなどにより、前年を下回った。チェーンストア販売額は、前年のプロ野球優勝セールの反動や食料品の減少などにより、前年を大きく下回った。
 耐久消費財についてみると、新車販売台数は、軽乗用車は新型車投入効果により前年を上回っているものの、普通・小型乗用車の減少により、弱い動きが続いている。家電販売金額は、パソコンが引き続き前年を大きく下回っていることなどから、弱い動きが続いている。
 旅行は、海外旅行では米国における同時多発テロ事件等の影響から大幅に減少し、国内旅行も前年を下回っている。
 こうした需要側と販売側の動向を総合してみると、個人消費は、弱含んでいる。
 個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、定期給与は引き続き前年を下回っており、弱い動きが続いている。現金給与総額は引き続き前年を下回っている。
 消費者マインドは、雇用環境の悪化等により悪化傾向にある。
 なお、牛海綿状脳症(いわゆる狂牛病)の影響については、牛肉や焼肉店等での外食の減少という形で表れており、それらが個人消費全体に占めるシェアは小さいため、全体を左右するものではないと考えられるが、消費者マインドの動向については、今後も注意を要する。

◇設備投資は、減少している。
 設備投資は、平成十二年中は増加基調が続き、景気を支える要素であったが、生産の減少、企業収益の鈍化等を背景に、平成十三年に入り減少が続いている。
 需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、四〜六月期及び七〜九月期の設備投資は、減少している。また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、年明け以降減少が続いている。なお、ソフトウェア投資は、増加基調を続けている。
 設備投資の今後の動向については、日銀短観の平成十三年度設備投資計画において製造業、非製造業ともに減少が見込まれていること、機械設備投資の先行指標である機械受注が、一〜三月期以降、減少基調で推移し、十〜十二月期も減少の見通しとなっていることなどからみて、減少が続くものとみられる。

◇住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
 住宅建設は、平成十一年以降、おおむね年率百二十万戸前後で推移していたが、年明け以降は、堅調であったマンションの着工が落ち着いてきたことに加え、公庫持家の着工が大きく水準を下げて推移したこと等から、平成十三年一〜三月期、四〜六月期と前期比で2四半期連続の減少となった。七〜九月期は年率百二十万戸を上回ったものの、十月はマンションの着工が減少したことなどから年率百十四万六千戸となった。
 この背景としては、雇用・所得環境が厳しさを増していること、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下していることがあると考えられる。
 先行きについてみると、住宅金融公庫融資の申し込み戸数が減少していることなど、住宅着工を減少させる要因が引き続きみられる。

◇公共投資は、総じて低調に推移している。
 公共投資は、総じて低調に推移している。平成十三年度当初における公共事業関連予算をみると、国の公共事業関係費は前年度に近い予算現額を確保しているものの、地方の投資的経費は、厳しい財政状況を反映して、引き続き前年度を下回っている。
 このような状況を反映して、七〜九月期の公共工事請負金額は、引き続き前年を下回った。四半期での前年割れは、二年半にわたっている。また、大手五十社受注額も3四半期連続で前年比マイナスとなっている。ただし、いずれも一〜三月期、四〜六月期に比較して、マイナス幅は順次縮小している。
 十〜十二月期の公共投資については、地方の投資的経費の減少傾向が続いていることなどを踏まえると、引き続き前年を下回ると考えられる。
 なお、「緊急対応プログラム」(十二月十四日決定)を受けて編成する第二次補正予算においては、「国債発行額三十兆円以下」の方針の下、安易な国債増発によることなく、政府の保有資金を最大限活用した「改革推進公共投資」特別措置の実施により、国費で公共事業一兆五千億円、施設費一兆円の計二兆五千億円の社会資本整備のための無利子貸付けを行い、事業規模で四兆一千億円程度を確保することとしている。

◇輸出は、減少している。輸入は、大幅に減少している。貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
 輸出は、世界経済の減速を背景として、大幅に減少してきたが、このところ電気機器や一般機械などの減少幅が縮小し、また、アメリカ向けを中心に自動車が増加していることから、全体としても減少幅が縮小している。ただし、自動車輸出の増加は一時的と考えられ、基調としては依然として減少している。
 地域別にみると、アメリカ向けは、自動車輸出が増加したことから、全体としても増加した。アジア向けはこのところ減少幅が縮小している。EU向けは減少している。これまでのところ、米国における同時多発テロ事件等のマイナスの影響は明確にはみられていないものの、世界経済の同時的な減速が長期化した場合、これが我が国輸出の下押し要因として作用するものとみられる。
 輸入は、内需の弱さを反映して大幅に減少している。品目別では、IT関連財など機械機器が大幅に減少している。
 地域別にみると、機械機器の減少を主因に、アメリカからの輸入は大幅に減少している。アジアからの輸入も、これまで堅調であった中国からの輸入が減少傾向にあるなど、アジア全体でも減少している。EUからの輸入も、減少傾向にある。
 国際収支をみると、輸出数量の減少幅が縮小したものの、依然減少が続き、輸入数量も大幅に減少していることから、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。

二 企業活動と雇用情勢

◇生産は大幅に減少し、在庫率は高水準にある。
 鉱工業生産は、今年に入ってから大幅に減少している。輸出の減少等により、IT関連品目の生産を減少させていることなどが背景にある。
 生産の先行きについては、十一月は減少、十二月は増加が見込まれている。また、在庫が減少しているものの、在庫率は依然として高い水準にあること及び米国における同時多発テロ事件等による影響を含め、今後の需要動向が不透明であることは、生産の先行きに関して懸念すべき点である。
 一方、第三次産業活動の動向をみると、このところ減少している。

◇企業収益は、製造業を中心に大幅に減少している。また、企業の業況判断は、一層厳しさが増している。倒産件数は、やや高い水準となっている。
 企業収益は平成十一年以降、改善が続いていたが、「法人企業統計季報」によると、今年に入り人件費の削減ペースが鈍化してきたこと、売上高の増収幅が縮小してきたことなどにより、全体としては頭打ちとなっていた。平成十三年七〜九月期には売上高も減収に転じ、電気機械などの製造業を中心に大幅な減益となった。また日銀短観によると、平成十三年度下期も、上期に続き製造業を中心に大幅な減益を見込んでいる。
 企業の業況判断について日銀短観をみると、一層厳しさが増している。特に製造業では鉄鋼や電気機械、非製造業では建設や卸売などで業況判断の厳しさが目立っている。先行きについても、中小企業を中心にさらなる悪化を見込んでいる。
 また、十月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで一千八百四十三件となるなど、やや高い水準となっている。

◇雇用情勢は、厳しさを増している。完全失業率がこれまでにない高さに上昇し、求人や残業時間、賃金も弱い動きが続いている。
 十月の完全失業率は、前月比〇・一%上昇し、五・四%とこれまでにない水準となった。
 女性の完全失業率が低下する一方、男性については雇用者が減少、完全失業者が大きく増加し、完全失業率は上昇している。完全失業者については、最近増加していた自発的な離職による者に加え、非自発的な離職による者も増加している。
 新規求人数は、前年同月比では引き続き減少している。前月比では増加に転じたものの、新規求職件数が大幅に増加したため、新規求人倍率、有効求人倍率とも前月比低下となった。
 製造業の残業時間については、十二か月連続で前月比減となっている。「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合は、七〜九月期は全体では横ばいで推移したが、製造業ではやや上昇した。企業の雇用過剰感は、製造業を中心に引き続き強まっている。
 賃金の動きをみると、現金給与総額、定期給与は前年を下回っており、弱い動きが続いている。

三 物価と金融情勢

◇国内卸売物価は、下落幅をやや拡大している。消費者物価は、弱含んでいる。
 輸入物価は、このところ、契約通貨ベース、円ベースともに下落している。国内卸売物価は、平成十三年入り後弱含んでいる。最近の動きをみると、技術革新や需要の減少等を背景に電気機器などが値下がりしていることや、原油価格低下の影響を受けて、下落幅はやや拡大している。また、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
 消費者物価は、平成十二年秋以降弱含んでいる。最近の動きをみると、一般サービスは横ばいとなっているものの、耐久消費財の下落などにより一般商品は下落していることから、全体としては下落している。
 こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

◇金融情勢については、株式相場及び長期金利は、ほぼ横ばいで推移した。
 短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、十一月から十二月上旬にかけて、日本銀行による金融緩和措置を反映して、〇・〇〇二〜〇・〇〇四%で推移した。
 二、三か月物は、四月以降、低位での推移が続いており、十一月から十二月上旬にかけては、ほぼ横ばいで推移した。長期金利は、昨年秋より低下基調で推移してきたが、七月から八月上旬にかけて上昇した後、ほぼ横ばいで推移した。
 株式相場は、昨年春より下落基調で推移している。米国における同時多発テロ事件の影響等から九月中旬に一段と下落したが、十月に米テロ事件前の水準まで上昇した後、ほぼ横ばいで推移した。
 対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、十月下旬から十一月上旬にかけて、百二十三円台から百二十円台まで上昇した後、十二月上旬にかけて、百二十五円台まで下落した。対ユーロ円相場(インターバンク十七時時点)は、十一月中旬に百七円台まで上昇した後、十二月上旬にかけて、百十二円台まで下落した。
 M+CD(月中平均残高)は、年明け以降、郵便貯金からの資金シフト等を受けて、やや伸び率を高めてきたが、このところほぼ横ばいで推移している(十一月速報:前年同月比三・二%増)。
 民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、九六年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和等を背景に、年明け以降、低下傾向で推移してきたが、このところ横ばい圏で推移している。日銀短観によると、資金繰り判断及び金融機関の貸出態度判断は、大企業、中堅企業、中小企業ともやや悪化している。

四 海外経済

◇世界経済は、同時的に減速している。
 世界経済は、同時的に減速している。
 アメリカの景気は後退している。個人消費は、テロ事件以前にくらべて弱含みの基調にあるが、このところ大幅に増加している自動車販売の影響がみられる。
 また、住宅投資は頭打ちとなっており、設備投資が引き続き大幅に減少していることから、内需は減少している。在庫調整が進むなかで、生産活動が停滞し、稼働率は低下しているが、受注は軍需資本財の大幅増加などから増加している。雇用は大幅に減少しており、失業率は急速に上昇している。物価は、安定基調にあるなかで、このところエネルギー価格下落による低下がみられる。
 ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は減速している。フランスでは、景気の拡大テンポは鈍化している。イギリスでは、景気は緩やかに拡大している。
 アジアをみると、中国では、個人消費や固定資産投資が堅調に推移しているが、輸出の伸びが鈍化していることから、このところ景気の拡大テンポは鈍化している。韓国では、生産や輸出が減少するなど、景気は減速しているが、底堅い動きもみられる。
 金融情勢をみると、ドル、株価ともにアフガニスタン情勢の早期解決への期待などから堅調に推移したが、十一月末にはやや弱含んだ。アメリカでは、十二月十一日のFOMCで短期金利の誘導目標水準が〇・二五%ポイント引き下げられ、一・七五%とされた。これにより、フェデラル・ファンド・レートは一九六一年七月以来の低水準となった。
 国際商品市況をみると、弱含みが続いていた原油価格は、十一月十四日のOPEC臨時総会での減産合意が非加盟国の協調減産を条件としていたことから急落したが、その後非加盟国の一部に協調減産に応じる動きが出たことなどから持ち直した。


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刑事裁判とは


最高裁判所


A 裁判には刑事裁判と民事裁判があると聞きましたが、どのように違うのですか。
B 人の物を盗んだとか、人を殺したというような犯罪を行ったとされる人について、罪を犯したかどうかを証拠によって判断し、仮に罪を犯したと判断された場合には、その人に懲役や罰金といった刑罰を科するという手続が刑事裁判です。一方、貸したお金を返してくれないとか、アパートを建て替えたいのに、住んでいる人が部屋を明け渡してくれないといったような紛争を解決する手続が民事裁判です。

A 犯罪を行ったと疑われると、必ず刑事裁判を受けなければならないのでしょうか。
B そんなことはありません。起訴という形で裁判が申し立てられて被告人という立場に置かれなければ、刑事裁判を受けることはありません。

A 起訴するかどうかはだれが決めているのですか。
B 検察官です。検察官は、捜査の結果、罪を犯した疑いが十分でないと判断すれば、起訴しません。また、罪を犯した疑いが十分あっても、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の悪質さなどを考慮して起訴しないこともあります(起訴猶予処分)。

A 弁護士が活躍するドラマを見たこともあるのですが、刑事裁判では、弁護士はどのような役割を果たしているのでしょうか。
B 弁護士は、通常、弁護人として刑事裁判にかかわります。弁護人の役割は、被告人の正当な権利や利益を守ることで、被告人のために、有利な事情を主張し、それを証明します。

A でも、弁護士に知り合いがいない人が被告人になった場合には、弁護人を依頼することができないのではないでしょうか。
B 弁護人を選任する方法には、被告人自身あるいはその親族等が選任する方法(私選)と、貧困その他の理由で弁護人が選任できないときなどに裁判所が被告人のために選任する方法(国選)とがあります。私選弁護人は、起訴される前、つまり警察などの捜査の対象となっている被疑者の段階でも依頼できますが、国選弁護人は、起訴された後に限り選任されます。

A 被告人は、国選弁護人に、お金を支払わなくてよいのですか。
B 国選弁護人の報酬は裁判所が支払いますが、有罪判決を受けた場合には、原則として、被告人がその費用の負担を命じられることになっています。

A ところで、テレビを見ていると、法廷で裁判官が三人座っていたり、一人で座っていたりしていますよね。
B 刑事裁判では、殺人などの重い刑罰が定められた事件の場合には、三人で裁判を行うことが法律で決められています。もっとも、重い刑罰に相当する事件でも強盗罪の事件などは例外とされ、一人でも裁判ができることになっています。それ以外にも、事件の内容が複雑であるなどといった理由から、三人で裁判をするのが適当と裁判所で判断した場合には、三人で裁判を行うことがあります。

A なるほど、よく分かりました。ところで、刑事裁判はどのように行われるのですか。
B 被告人が起訴されると、裁判所は裁判を行う日(公判期日)を定めます。公判期日には、法廷に、裁判官、検察官、弁護人、被告人などが出席し、冒頭手続、証拠調べ手続、弁論手続、判決の宣告の順で手続が進みます。

A 冒頭手続というのは、何をする手続ですか。
B 冒頭手続は、法廷に現れた人が起訴された被告人に間違いないかどうかを確かめた後に、検察官が犯罪事実を書いた起訴状を朗読し、被告人側がその内容について意見を述べる手続です。

A 証拠調べ手続ではどのようなことが行われるのですか。
B 刑事裁判では、「疑わしきは被告人の利益に」の原則が貫かれていますから、まず、検察官が、証拠によって、被告人が有罪であることを証明するための立証活動をします。

A 被告人側は何もしないのですか。
B 通常、被告人側が犯罪は行っていないなどと犯罪の成立を争っている場合には、検察官の立証活動に対抗して、被告人・弁護人側も立証活動を行います。その場合、被告人が無罪であることを証明する必要はなく、検察官が証明しようとしている事実について、「本当ではないかもしれない」という合理的な疑いを裁判官が持つようにすればよいのです。
 これに対し、被告人が犯罪の成立を認めている場合には、例えば、反省して被害者などに謝罪しているとか、今後は更生するようにきちんと監督できる人がいるなどと被告人にとって有利な事情があることを証明するための活動を行うことが多いようです。

A そうすると、証人尋問は証拠調べの段階で行われるということになるのですか。
B そのとおりです。ところで、証人は、記憶していることを正直に証言しなければならないことは知っていますよね。

A はい。でも、被告人や傍聴人の前では、本当のことを証言しにくい場合もあるように思うのですが。
B 裁判は、公開の法廷で行われるのですから、原則として、証人は、被告人や傍聴人の前で証言することになります。しかし、例外的に、事件によっては、法廷以外の場所で証人尋問を行い、傍聴人のいない状態で質問に答えてもらうことができますし、証人と被告人や傍聴人との間につい立てを置いて、証人の姿が被告人や傍聴人から見えない状態で証人尋問をしたり、証人に法廷の外の部屋にいてもらい、モニターやマイクを用いて証人尋問を行うなど、証人の負担を和らげるため、様々な方法が用意されています。

A 証拠調べが終わると、弁論手続でしたよね。
B そのとおりです。まず、検察官が、事件に対する意見を述べ、通常は、その最後に求刑を行います。次に、弁護人が、被告人側の立場から見た事件に関する意見を述べます。そして、最後に被告人にも意見を述べる機会が与えられます。これで審理は終了し、後は判決が宣告されることになります。仮に、判決に不服がある場合には、検察官も被告人も控訴の申立てをすることができます。

A すべての刑事裁判がこれまでに説明していただいたような手続で行われるのですか。
B いいえ。以上に述べたのは通常の手続ですが、このほかに、比較的軽い罪に相当する事件で被告人が犯罪事実を認めているものについては、略式手続といって、書面による審理のみで、罰金及び科料と呼ばれる財産刑を科する簡略な手続もあります。

A 憲法は、迅速な裁判を受ける権利を保障していると聞いたことがありますが、刑事裁判にはどのくらいの時間がかかるのですか。
B 具体的な事件の裁判にどのくらいの時間がかかるかは、一つ一つの事件の種類や内容その他様々な事情によって変わってくるため、一概には言えません。ちなみに、日本の刑事裁判は長引くと言われることもありますが、通常の手続で行われる事件でも、ほとんどは起訴から三か月前後で判決が出されており、これは諸外国に比べても決して遅くはありません。

A なるほど、刑事裁判について、よく分かりました。
B 最高裁判所のホームページには、刑事裁判を含めた裁判手続のことが詳しく掲載されています。また、各種の判例情報や統計情報なども掲載されていますので、そちらも参考にしてください。
 アドレスは、http://www.courts.go.jp/です。

A いろいろありがとうございました。


◇フロン回収破壊法


 オゾン層の破壊や地球温暖化の原因となるフロン類。このフロン類の大気中への排出を防ぐため、「フロン回収破壊法(特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律)」が平成十三年六月に制定され、平成十三年十二月以降、段階的に運用が開始されています。

Q.フロンって何ですか。どんなところで使われているのですか。
A.フロンとは、炭素とフッ素の化合物で、正式名称を「フルオロカーボン」といいます。化学的に安定しており、引火性や毒性もないという特性があるため、エアコンや冷蔵庫の冷媒、断熱材、洗浄剤、エアゾールなどのさまざまな用途で使用されています。
 フロン回収破壊法は、業務用冷凍空調機器やカーエアコンに冷媒として充てんされているフロン類、具体的には、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)の三種類の物質を対象としています。

Q.なぜ、フロン類を回収し、破壊しなければならないのですか。
A.フロン類が大気中に放出されると、オゾン層の破壊や地球温暖化の原因となるからです。
 地表から十〜五十キロメートルの成層圏にあるオゾン層は、太陽から注がれる有害な紫外線から地球上の生物を守るという重要な働きをしており、これが破壊されると、人体や生態系へ重大な悪影響をもたらすおそれがあります。フロン類のうちCFCとHCFCは、大気中に排出されると、オゾン層破壊の原因となります。これまでもオゾン層保護法に基づき生産の段階的削減・廃止が実施されていましたが、オゾン層の保護を徹底するためには、生産された後に冷媒としてエアコンなどに充てんされたフロン類についても、大気中への排出を防ぐことが必要です。
 また、HFCは、オゾン層には無害ですが、地表から宇宙に出ていく熱を閉じ込める温室効果があるので、地球温暖化を防止するため、CFCやHCFCと同様に回収・破壊を進めることが必要です。

Q.フロン回収破壊法によって、フロン類はどのように回収されることになったのですか。
A.業務用冷凍空調機器(第一種特定製品)やカーエアコン(第二種特定製品)を廃棄しようとする者は、これをそれぞれ定められたフロン類の回収・破壊ルートに乗せ、かつ、回収・運搬・破壊に係る費用を負担しなければなりません。
 具体的な流れは、上図のようになりますが、業務用冷凍空調機からフロン類を回収する業者、カーエアコン(実際は使用済自動車)を引き取る業者、カーエアコンからフロン類を回収する業者は都道府県知事の登録が、フロン類を破壊する業者は主務大臣(経済産業大臣、環境大臣)の許可がそれぞれ必要となります。このルールに従わず、みだりにフロン類を大気中に排出したり、許可や登録を受けずにフロン類を処理したものには罰則(一年以下の懲役または五十万円以下の罰金)が適用されます。また、フロン類が充てんされた業務用冷凍空調機器やカーエアコンの製造業者等は、製品に「フロン類の回収が必要」等の表示をしなければなりません。

<フロン回収破壊法に関するお問い合わせ先>
 ・経済産業省 製造産業局 化学物質管理課 オゾン層保護等推進室
  (http://www.meti.go.jp/)
 ・環境省 地球環境局 環境保全対策課
  (http://www.env.go.jp/)





    <1月23日号の主な予定>

 ▽年次経済財政報告のあらまし………内 閣 府 

 ▽家計収支(十月)……………………総 務 省 




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