▽月例経済報告(一月)…………………………………内 閣 府
法人企業統計季報
(1) 売上高(第1表参照)
売上高は、三百二十七兆一千八百六十七億円で、前年同期(三百三十五兆七千五百四十八億円)を八兆五千六百八十一億円下回り、対前年同期増加率(以下「増加率」という)は、△二・六%(前期一・三%)となった。
業種別にみると、製造業では、出版・印刷、輸送用機械などが増収となったものの、電気機械、一般機械などで減収となったことから、製造業全体では△四・九%(同△一・六%)の減収となった。
一方、非製造業では、サービス業、建設業などが増収となったものの、卸・小売業、不動産業などで減収となったことから、非製造業全体では△一・六%(同二・五%)の減収となった。
資本金階層別の増加率をみると、資本金十億円以上の階層は△二・五%(同〇・四%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は△一〇・一%(同△六・五%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は〇・四%(同四・八%)となった。
(2) 営業利益(第2表参照)
営業利益は、六兆九千九百四億円であり、増加率は△二七・二%(前期△四・二%)と、引き続き減益となった。
業種別にみると、製造業は、二兆一千百九十三億円で、増加率は△四九・〇%(同△二二・〇%)となった。また、非製造業は、四兆八千七百十一億円で、増加率は△一〇・五%(同七・五%)となった。
資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は四兆三千九百五十七億円で、増加率は△二五・四%(同△九・二%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は八千七百二億円で、増加率は△二九・七%(同△一四・五%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は一兆七千二百四十五億円で、増加率は△三〇・二%(同五・五%)となった。
(3) 経常利益(第3表参照)
経常利益は、五兆九千八百六十七億円で、前年同期(八兆八千七百二十三億円)を二兆八千八百五十六億円下回り、増加率は△三二・五%(前期一・〇%)となった。
業種別にみると、製造業では、輸送用機械などが増益となったものの、電気機械、食料品など多くの業種で減益となったことから、製造業全体では△五三・四%(同△二一・二%)の減益となった。一方、非製造業では、サービス業などが増益となったものの、建設業、不動産業など多くの業種で減益となったことから、非製造業全体では△一五・〇%(同一七・一%)の減益となった。
資本金階層別の増加率をみると、資本金十億円以上の階層は△三二・五%(同△八・四%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は△二七・八%(同△一三・八%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は△三四・八%(同一七・二%)となった。
(4) 利益率(第4表参照)
売上高経常利益率は、一・八%(前年同期二・六%、前期二・九%)となった。
業種別にみると、製造業は二・〇%(前年同期四・一%、前期三・三%)、非製造業は一・八%(前年同期二・〇%、前期二・七%)となった。
二 投資の動向(第3図参照)
(1) 設備投資(第5表参照)
設備投資額は、十兆七千二百三十二億円で、増加率は〇・五%(前期二・三%)となった。
業種別にみると、製造業では、輸送用機械、食料品などが増加したものの、電気機械、出版・印刷などで減少したことから、製造業全体では、△二・七%(同一〇・五%)となった。一方、非製造業では、運輸・通信業、卸・小売業などが減少したものの、サービス業などで増加したことから、非製造業全体では二・四%(同△一・八%)となった。
資本金階層別の増加率をみると、資本金十億円以上の階層は四・八%(同一・五%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は四・五%(同一二・三%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は△一一・七%(同△一・九%)となった。
なお、ソフトウェア投資額は五千二百一億円で、ソフトウェア投資を含むベースでみると、設備投資額は十一兆二千四百三十三億円となった。
(2) 在庫投資(第6表参照)
在庫投資額(期末棚卸資産から期首棚卸資産を控除した額)は、△二兆六千六百七十五億円(前年同期△五千十一億円)となった。
業種別にみると、製造業の投資額は△一兆七千四百三十三億円(同△六千五百十一億円)、非製造業の投資額は△九千二百四十三億円(同一千五百億円)となった。
また、在庫率は八・九%(同八・六%)となった。
三 資金事情(第7表参照)
受取手形・売掛金は、二百三兆七千八百九十八億円(増加率△七・四%)、支払手形・買掛金は百七十兆七千二百十六億円(同△六・八%)となった。
短期借入金は百八十六兆八千七百四十三億円(同△九・二%)、長期借入金は二百六十七兆八千九十七億円(同△〇・五%)となった。
現金・預金は百二十一兆一千七百十一億円(同△九・四%)、有価証券は二十兆二百四十七億円(同△八・四%)となった。
また、手元流動性は一〇・九%(前年同期一一・七%)となった。
自己資本比率は、二六・六%(前年同期二五・六%)となった。
なお、次回の調査は平成十三年十〜十二月期について実施し、法人からの調査票の提出期限は平成十四年二月十日、結果の公表は平成十四年三月六日の予定である。
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消費者物価指数の動向
◇十二月の東京都区部消費者物価指数の動向
一 概 況
(1) 総合指数は平成十二年を一〇〇として九八・一となり、前月比は〇・一%の下落。前年同月比は一・五%の下落となった。
なお、総合指数は、平成十一年九月以降二十八か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は九八・五となり、前月と同水準。前年同月比は一・〇%の下落となった。
なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降二十七か月連続で前年同月の水準を下回っている。
二 前月からの動き
(1) 食料は九七・二となり、前月に比べ〇・五%の下落。
生鮮魚介は〇・一%の上昇。
<値上がり> いか、あじなど
<値下がり> さけ、かれいなど
生鮮野菜は三・二%の下落。
<値上がり> キャベツ、さやいんげんなど
<値下がり> はくさい、ブロッコリーなど
生鮮果物は三・三%の下落。
<値上がり> かき、りんご(ジョナゴールド)など
<値下がり> みかん、りんご(ふじ)など
(2) 住居は九八・二となり、前月に比べ〇・一%の上昇。
家賃が〇・一%の上昇。
<値上がり> 民営家賃(非木造中住宅)など
(3) 被服及び履物は一〇〇・一となり、前月に比べ〇・三%の下落。
衣料が〇・四%の下落。
<値下がり> 男子コートなど
(4) 教養娯楽は九六・〇となり、前月に比べ〇・五%の上昇。
教養娯楽サービスが一・四%の上昇。
<値上がり> 外国パック旅行
三 前年同月との比較
○ 下落に寄与している主な項目
生鮮野菜(一五・六%下落)、教養娯楽用耐久財(二〇・二%下落)、通信(五・三%下落)、生鮮果物(一三・八%下落)、家賃(〇・六%下落)、生鮮魚介(七・七%下落)、家庭用耐久財(八・六%下落)
(注) 下落又は上昇している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。
◇十一月の全国消費者物価指数の動向
一 概 況
(1) 総合指数は平成十二年を一〇〇として九八・七となり、前月比は〇・五%の下落。前年同月比は一・〇%の下落となった。
なお、総合指数は、平成十一年九月以降二十七か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は九九・〇となり、前月比は〇・一%の下落。前年同月比は〇・八%の下落となった。
なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降二十六か月連続で前年同月の水準を下回っている。
二 前月からの動き
(1) 食料は九七・六となり、前月に比べ一・六%の下落。
生鮮魚介は一・九%の下落。
<値上がり> さんま、さばなど
<値下がり> いか、かれいなど
生鮮野菜は一四・一%の下落。
<値上がり> かぼちゃ、なすなど
<値下がり> はくさい、ほうれんそうなど
生鮮果物は九・九%の下落。
<値上がり> グレープフルーツ
<値下がり> みかん、かきなど
(2) 交通・通信は九八・八となり、前月に比べ〇・二%の下落。
自動車等関係費が〇・三%の下落。
<値下がり> ガソリン(レギュラー)など
(3) 教養娯楽は九五・二となり、前月に比べ〇・九%の下落。
教養娯楽サービスが一・五%の下落。
<値下がり> 外国パック旅行など
三 前年同月との比較
○ 下落に寄与している主な項目
教養娯楽用耐久財(一八・九%下落)、通信(五・五%下落)、生鮮野菜(八・一%下落)、生鮮魚介(四・六%下落)、教養娯楽サービス(一・五%下落)、家庭用耐久財(七・八%下落)、生鮮果物(七・一%下落)、衣料(二・八%下落)
(注) 下落又は上昇している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。
◇牡蠣
冷たさをもて滑らかに
酢牡蠣かな
松根東洋城(まつねとうようじよう)
こんな句を読んだだけで、生つばが出てきそうですね。英語でRのつく月がおいしいとされる牡蠣(かき)ですが、なかでも厳寒期の一、二月は旬。和、洋、中と、さまざまな料理に合いますが、牡蠣のおいしさを堪能できるのは、やはり生食でしょう。生の魚介類はあまりたべない欧米でも、牡蠣だけは別格のようです。
端正な殻を持つハマグリなどと同じ二枚貝ですが、牡蠣の外見はゴツゴツと不恰好で、これといって決まった形をしていません。岩肌などにはりついていて動けないので、殻のふたを開け、繊毛を動かして海水を取り込み、その中のプランクトンを食べます。
牡蠣の肉質の独特な柔らかさも、運動をしないためだろうと言われています。また、牡蠣は「海の牛乳」と言われるほど栄養価が高く、病人食としても使われています。
松島の 松に雪ふり
牡蠣育つ
山口青邨(やまぐちせいそん)
現在、日本の牡蠣は、ほとんどがマガキと呼ばれる養殖もので、主な産地は広島、松島湾、伊勢湾など。養殖の方法に違いはありますが、波が穏やかでえさとなるプランクトンが豊富な場所というのが共通しています。マガキは春になると、産卵に備え生殖巣が発達するため味が落ちてきます。
牡蠣は、産卵後しばらくは海中を泳ぎ回っていますが、やがて棒杭や岩礁に付着し、そこに着いたまま、一生を終えます。
総 論
(我が国経済の基調判断)
景気は、悪化を続けている。
・個人消費は、弱含んでいる。
・失業率がこれまでにない高さに上昇するなど、雇用情勢は厳しさを増している。
・輸出に下げ止まりの兆しがみられるが、生産、企業収益は大幅に減少しており、設備投資も減少している。
先行きについては、世界経済が同時的に減速するなど、懸念すべき点がみられるものの、アメリカを中心としてIT関連部門における在庫調整には進展がみられる。
(政策の基本的態度)
政府は、構造改革のさらなる加速、デフレスパイラルの回避のため、「緊急対応プログラム」をはじめとする諸施策の強力な推進に努めている。
また、十二月十九日に「平成十四年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議了解し、同月二十日に平成十三年度第二次補正予算を、同月二十四日に平成十四年度一般会計予算(概算)をそれぞれ閣議決定した。
なお、日本銀行においては、十二月十九日に、金融市場調節方針を変更し日本銀行当座預金残高目標を十〜十五兆円程度とするとともに、長期国債の買い入れを月八千億円ペースに増額すること等を決定した。
各 論
一 消費・投資などの需要動向
◇個人消費は、弱含んでいる。
個人消費は、需要側と販売側の動向を総合してみると、所得面で弱い動きが続いていることに加えて消費者マインドも低水準にあることを背景として、弱含んでいる。ただし、一部の業種や支出項目においては増加しており、昨年央以降の弱い動きがさらに深まっているとは考えられない。
需要側の動向をみると、消費総合指数は七か月ぶりに増加に転じた。支出項目ごとの動向について家計調査でみると、平成十三年十一月は冬物衣料や趣味・レジャー関連消費等が増加している。ただし、実質消費支出全体では前月を下回っている。
販売側の動向をみると、全体的に弱い動きとなっている。小売業販売額とチェーンストア販売額は、弱い動きが続いている。新車販売台数は、軽乗用車は新型車投入効果により前年を上回っているものの、普通乗用車は減少している。家電販売金額は、パソコンが引き続き前年を大きく下回っていることなどから、前年を下回っている。旅行は、国内旅行は前年をやや上回っており、海外旅行では米国における同時多発テロ事件等の影響から大幅に下回っている。一方で、百貨店販売額は、冬物衣料が好調だったことや歳暮ギフトセールの開催時期を早めたことの影響などにより前年を上回っている。
個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、定期給与(所定内及び所定外給与の合計)は引き続き前年を下回っており、弱い動きが続いている。現金給与総額は引き続き前年を下回っている。
消費者マインドは、雇用環境の悪化等により悪化傾向にある。
なお、牛海綿状脳症(いわゆる狂牛病)の影響は、牛肉の消費支出や焼肉店等での外食の減少という形で引き続き顕在化しているものの、それらは個人消費全体に占めるシェアは小さいため全体を左右するものではないと考えられる。しかしながら、消費者マインドの動向については、今後も注意を要する。
◇設備投資は、減少している。
設備投資は、生産の減少、企業収益の鈍化等を背景に平成十三年に入って以降減少が続いている。需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、四〜六月期及び七〜九月期の設備投資は、減少している。また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、平成十三年に入って以降減少が続いている。なお、ソフトウェア投資は、増加基調を続けている。
設備投資の今後の動向については、日銀短観の平成十三年度設備投資計画において製造業、非製造業ともに減少が見込まれていること、機械設備投資の先行指標である機械受注が平成十三年一〜三月期以降減少基調で推移し十〜十二月期も減少の見通しとなっていることなどからみて、減少が続くものとみられる。
◇住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
住宅建設は、平成十一年以降おおむね年率百二十万戸前後で推移していたが、平成十三年一月以降は、堅調であったマンションの着工が落ち着いてきたことに加え、公庫持家の着工が大きく水準を下げて推移したことなどから、平成十三年一〜三月期、四〜六月期と前期比で2四半期連続の減少となった。
この背景としては、雇用・所得環境が厳しさを増していること、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下していることがあると考えられる。その後、貸家の着工が堅調なこともあり、振れを伴いつつもおおむね年率百十五〜百二十万戸で推移している。十一月は、持家、貸家、分譲住宅のすべてが増加し、年率百二十三万八千戸となった。
先行きについてみると、住宅金融公庫融資の申し込み戸数が減少傾向にあることなど、住宅着工を減少させる要因が引き続きみられる。
◇公共投資は、総じて低調に推移している。
公共投資は、総じて低調に推移している。平成十三年度当初における公共事業関連予算をみると、国の公共事業関係費は前年度に近い予算現額を確保しているものの、地方の投資的経費は、厳しい財政状況を反映して引き続き前年度を下回っている。
このような状況を反映して、七〜九月期の公共工事請負金額は、引き続き前年を下回り、大手五十社受注額も3四半期連続で前年比マイナスとなった。ただし、いずれも一〜三月期、四〜六月期に比較して、マイナス幅は順次縮小している。このところの動きをみると、公共工事請負金額が比較的小幅なマイナスとなっているのに対して、大手五十社は大きく前年を下回っている。
十〜十二月期の公共投資については、地方の投資的経費の減少傾向が続いていることなどを踏まえると、引き続き前年を下回ると考えられる。
なお、「緊急対応プログラム」(十二月十四日決定)を受けて編成した第二次補正予算においては、「国債発行額三十兆円以下」の方針の下、安易な国債増発によることなく、政府の保有資金を最大限活用した「改革推進公共投資」特別措置の実施により、国費で公共事業一兆五千億円、施設費一兆円の計二兆五千億円の社会資本整備のための無利子貸付けを行い、事業規模で四兆一千億円程度を確保することとしている。
◇輸出は、下げ止まりの兆しがみられる。輸入は、減少している。貿易・サービス収支の黒字は、やや増加している。
輸出は、IT関連需要の低迷などから大幅に減少していた電気機器や一般機械などの減少幅が縮小しており、下げ止まりの兆しがみられる。地域別にみると、アメリカ向け輸出は、自動車の増加により全体としても増加している。ただし、この自動車輸出の増加は、自動車ローンのゼロ金利キャンペーンの影響によるものでもあり、一時的と考えられる。アジア向け輸出は、このところ急速に減少幅が縮小している。EU向け輸出は減少している。先行きについては、世界経済の同時的な減速が長期化した場合、輸出を引き続き下押しする要因となるものの、為替レートの円安傾向や、世界的なIT関連の在庫調整の進展が我が国輸出を下支えする要因になるとみられる。
輸入は、内需の弱さを反映して減少している。品目別では、このところ、食料品や繊維製品が堅調に推移しているものの、IT関連財を中心に機械機器の減少が続いている。地域別にみると、アメリカからの輸入は、機械機器を中心に減少している。アジアからの輸入も、機械機器が減少しているが、中国からの繊維製品、食料品が堅調に推移しており、全体として減少幅は縮小している。EUからの輸入は、おおむね横ばいで推移している。
国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、やや増加している。輸出数量に下げ止まりの兆しがみられることや、原油輸入価格の低下が輸入金額を下押ししていることに加え、海外旅行客の減少に伴うサービス収支赤字の減少が、黒字幅の拡大に寄与している。
二 企業活動と雇用情勢
◇生産は大幅に減少し、在庫率は高水準にある。
鉱工業生産は、昨年初めから大幅に減少している。これまでIT関連品目が生産の減少に大きく寄与してきたが、このところ、IT関連品目において在庫調整が進んでおり、生産の減少に占める寄与は縮小している。
生産の先行きについては、十二月、一月は増加が見込まれている。在庫が減少しているものの、在庫率は依然として高い水準にあること等は、生産の先行きに関して懸念すべき点である。
一方、第三次産業活動の動向をみると、このところ減少している。
◇企業収益は、製造業を中心に大幅に減少している。また、企業の業況判断は、一層厳しさが増している。倒産件数は、高い水準となっている。
企業収益は平成十一年以降改善が続いていたが、「法人企業統計季報」によると、平成十三年に入って以降、人件費の削減ペースが鈍化してきたこと、売上高の増収幅が縮小してきたこと等により、全体としては頭打ちとなっていた。平成十三年七〜九月期には売上高も減収に転じ、電気機械などの製造業を中心に大幅な減益となった。また日銀短観によると、平成十三年度下期も、上期に続き製造業を中心に大幅な減益を見込んでいる。
企業の業況判断について日銀短観をみると、一層厳しさが増している。特に製造業では鉄鋼や電気機械、非製造業では建設や卸売などで業況判断の厳しさが目立っている。先行きについても、中小企業を中心にさらなる悪化を見込んでいる。
また、十一月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで一千八百十三件となるなど、前年を上回る高い水準となっている。
◇雇用情勢は、厳しさを増している。完全失業率がこれまでにない高さに上昇し、求人や残業時間、賃金も弱い動きが続いている。
平成十三年十一月の完全失業率は、前月比〇・一%ポイント上昇し、五・五%とこれまでにない水準となった。完全失業者については、非自発的な離職による者の増加幅が拡大している。
新規求人数は、前月比でみると十一月は十月に続き増加となったが、前年同月比では製造業を中心に引き続き減少しており、弱い動きが続いている。製造業の残業時間については、十三か月連続で前月比減となっている。
賃金の動きをみると、現金給与総額、定期給与は前年を下回っており、弱い動きが続いている。
三 物価と金融情勢
◇国内卸売物価は、下落幅をやや拡大している。消費者物価は、弱含んでいる。
輸入物価は、このところ、契約通貨ベース、円ベースともに下落している。国内卸売物価は、平成十三年入り後弱含んでいる。最近の動きをみると、技術革新や需要の減少等を背景に電気機器などが値下がりしていることや、原油価格低下の影響を受けて、下落幅はやや拡大している。また、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
消費者物価は、平成十二年秋以降弱含んでいる。最近の動きをみると、一般サービスは横ばいとなっているものの、耐久消費財の下落などにより一般商品は下落していることから、全体としては下落している。
こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。
◇金融情勢については、為替相場は大きく下落した。
短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、平成十三年十二月は、日本銀行による金融緩和措置を反映して、〇・〇〇一〜〇・〇〇二%で推移した。二、三か月物は、昨年四月以降、低位での推移が続いており、十二月は、ほぼ横ばいで推移したが、三か月物については、三月決算期末を控え、十二月末にかけてやや上昇した。長期金利は、一昨年秋より低下基調で推移してきたが、昨年七月から八月上旬にかけて上昇した後、ほぼ横ばいで推移した。
株式相場は、米国における同時多発テロ事件の影響等から昨年九月中旬に一段と下落したが、十月に米テロ事件前の水準まで上昇した後、ほぼ横ばいで推移した。
対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、昨年十月下旬から十一月上旬にかけて、百二十三円台から百二十円台まで上昇した後、一月上旬にかけて、百三十二円台まで下落した。
対ユーロ円相場(インターバンク十七時時点)は、昨年十一月中旬に百七円台まで上昇した後下落し、一月上旬には、百十八円台まで下落した。
M2+CD(月中平均残高)は、このところ、投資信託の解約等もあり、流動性預金の伸び率が上昇したことなどから、若干伸びを高めている(十二月速報:前年同月比三・四%増)。
民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、九六年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和等を背景に、昨年初来、低下傾向で推移してきたが、このところ横ばい圏で推移している。なお、企業の格付等に応じた資金調達条件の格差が、このところ拡大している。
四 海外経済
◇世界経済は、同時的に減速している。
世界経済は、同時的に減速している。
アメリカは、景気後退局面にあるものの底入れの兆しがみられる。個人消費は、テロ事件以前にくらべて弱含みの基調にあるが、このところ消費者信頼感に持ち直しの動きがみられる。また、住宅投資は頭打ちとなっている。設備投資は引き続き大幅に減少しているが、非軍需資本財受注や企業の景況感に改善の動きがみられる。
生産活動は停滞しているが、IT関連部門などで在庫調整が進んでいる。雇用は減少しており、失業率は上昇している。物価は、安定基調にあるなかで、このところエネルギー価格の下落を受けて下落している。
ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は減速している。フランスでは、景気の拡大テンポは鈍化している。イギリスでは、景気は緩やかに拡大している。
アジアをみると、中国では、個人消費は堅調に推移しているが、輸出の伸びが鈍化していることから、景気の拡大テンポは鈍化している。韓国では、輸出が減少するなど、景気は減速しているが、消費の回復など明るい動きもみられる。
金融情勢をみると、ドルは、日本経済の見方に関連して円の下値を探る動きなどから対円で大幅に増価した。
アルゼンチンは、平成十三年十二月末に事実上のデフォルト(債務不履行)状態に陥り、本年一月六日に一ドル=一・四ペソに切り下げた上で、一部を変動為替相場とする二重為替相場制を採用することを発表した。
国際商品市況をみると、原油価格は、需要減退観測などから下落していたが、OPECと非加盟国の協調減産を受けて反発した。
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