官報資料版 平成14年4月17日




                   <特集>平成十四年度予算の概要………財 務 省

                   ▽総  説

                   ▽一般会計

                     歳  出

                     歳  入

                   ▽特別会計

                   ▽政府関係機関

                   ▽平成十四年度財政投融資計画











平成十四年度予算の概要


―一般会計総額八十一兆二千三百億円―


財 務 省


 「平成十四年度予算」は、平成十四年一月二十五日に国会に提出され、三月二十七日に成立した。
 文中における十三年度の計数は、特に説明のない限り、補正予算(第二号、特第二号及び機第一号)による補正後の改予算額であり、計数の右に付したかっこ書きは、当初予算額である。
 なお、文中における計数は、原則としてそれぞれ四捨五入によっているので、端数において合計とは合致しないものがある。
(文及び表中における符号:原則として「〇」=単位未満、「―」=皆無)

【総  説】

1 予算編成の前提となる経済情勢及び財政事情
 (1) 経済情勢
 我が国経済は、十一年春から緩やかな景気回復過程をたどったものの、その足取りは弱く、十三年に入ってから回復の動きは弱まり、景気回復局面は短期間にとどまった。このため政府は、四月以降、構造改革への取組みを抜本的に強化し、「改革なくして成長なし」との基本的考え方の下、六月に「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」を決定した後、構造改革を加速するために決定された「改革先行プログラム」を受けた第一次補正予算を編成するなど、経済・財政、行政、社会など各般にわたる構造改革を推進している。
 その一方、米国における同時多発テロの発生を契機に世界同時不況のリスクが高まっており、我が国においても景気は悪化を続けている。個人消費が弱含んでいるほか、生産が大幅に減少し、設備投資も減少している。失業率はこれまでにない高さにまで上昇している。さらに、デフレ(持続的な物価下落)が進行している。
 このため、政府としては、十二月十四日に「緊急対応プログラム」を決定し、これを受けた第二次補正予算を編成することとした。これらの着実な実施により、構造改革を更に加速しつつ、我が国経済が物価下落と生産活動の縮小とが相互作用して景気が加速度的に悪化していく、いわゆるデフレスパイラルに陥ることを阻止することとしている。
 (2) 財政事情
 我が国財政は、十三年度末の国と地方を合わせた長期債務残高が約六百七十五兆円にも達する見込みであり、主要先進国中最悪の危機的な状況である。
 また、かつてのような高い経済成長に依存した税収の伸びが期待できない中で、急速な人口の高齢化等に伴う経費の増大や公債の累増に伴う国債費の増大等により、歳入歳出構造はますます硬直化してきており、財政構造についての思い切った見直しがなければ、歳出と税収の多額のギャップは年々拡大していく可能性が強い。
 このような財政の持続可能性に対する懸念の増大を放置することなく、財政構造改革に着実に取り組む必要がある。
2 十四年度予算編成の基本方針
 十四年度予算編成に当たっては、「平成十四年度予算編成の基本方針」(十三年十二月四日閣議決定、以下「基本方針」という。)に基づき、次のような基本方針で編成することとした。
 十四年度予算は、財政構造改革の第一歩として、「国債発行額三十兆円以下」との目標の下、歳出構造を抜本的に見直す「改革断行予算」と位置付けられる。
 現下の厳しい経済情勢の中で、既存の制度・施策を転換し構造改革を推進することは容易なことではない。しかし、「改革なくして成長なし」との精神で新しい未来を切りひらくことは緊急の課題である。十四年度予算では、いわゆる「五兆円を削減する一方で重点分野に二兆円を再配分する」という理念を踏まえつつ、予算配分を大胆にシフトすることによって経済構造の転換を促進する。
 その際、「民間でできることは民間に、地方でできることは地方に」との原則を踏まえ、歳出全般について根底から見直すことにより、国・地方を通じ財政の関与を真に必要なものに限る。また、全ての歳出は究極的には国民の税金でまかなわれているとの認識に立脚し、コスト意識を持って施策の効果や行政の効率性を点検することにより、歳出のムダを省き削減すべき経費は徹底的に削減する。
 予算の配分に当たっては、まず、高齢化の進展など経済社会構造の変化に適合した安定的な制度構築を前提とすることが重要である。
 同時に、中期的な経済の生産性の向上や民間の潜在的な活力を顕在化させる効果及び最近の雇用情勢を踏まえ雇用創出効果について重視するとともに、新たな財政ニーズに的確に対応することが適当である。さらに、改革に伴う当面の負担を国民が分かち合うことにより、社会的弱者に「痛み」が集中しないように配慮することが適当である。
 税制面においては、社会経済情勢の変化や厳しい財政状況を踏まえつつ、構造改革に資する等の観点から、連結納税制度を創設するとともに、中小企業関係税制及び金融・証券税制等につき所要の措置を講ずることとする。
3 十四年度一般会計予算の規模等
 (1) 一般会計予算の規模
 十四年度一般会計予算の規模は、八十一兆二千三百億円であって、十三年度当初予算額に対して、一兆四千二百二十四億円(一・七%)の減少となっている。
 なお、一般歳出の規模は、四十七兆五千四百七十二億円であって、十三年度当初予算額に対して一兆一千百十七億円(二・三%)の減少となっている。
 (注) 十三年度当初予算に計上した公共事業等予備費等の不計上に係る減を除くと六千百十七億円(一・三%)の減少となっている。
 (2) 一般会計予算と国内総生産
 (イ) 一般会計予算の規模を国内総生産と対比すると、第1表のようになる。
 (ロ) なお、十四年度の政府支出の額は、百二十一兆八千億円程度であり、十三年度実績見込みに対して、〇・七%程度の増加となる見込みである。また、そのうち、公的固定資本形成は、二・七%程度の減少となるものと見込まれる。
 (3) 一般会計歳入予算
 (イ) 租税及印紙収入は、現行法による場合、十三年度補正(第一号)後予算額に対して二兆七千八百九十億円減の四十六兆八千三百六十億円になると見込まれるが、連結納税制度、中小企業関係税制等及び関税率の改定等の税制改正を行うこととしている結果、十三年度補正(第一号)後予算額に対して二兆八千九十億円(五・七%)減の四十六兆八千百六十億円になると見込まれる。
 また、その他収入は、十三年度当初予算額に対して、八千六十六億円(二二・四%)増の四兆四千百四十億円になると見込まれる。
 (ロ) 十四年度における公債金は、十三年度当初予算額を一兆六千八百二十億円上回る三十兆円である。
 公債金のうち六兆七千九百億円については、「財政法」第四条第一項ただし書の規定により発行する公債によることとし、二十三兆二千百億円については、「平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律」の規定により発行する公債(以下「特例公債」という。)によることとしている。
 この結果、十四年度予算の公債依存度は三六・九%(十三年度当初予算三四・三%、補正(第二号)後予算三四・七%)となっている。
1 租税及印紙収入  (単位 億円)
 (1) 現行法を十四年度に適用する場合の租税及印紙収入 四六八、三六〇
 (2) 税制改正による増△減収見込額          △   二〇〇
   イ 連結納税制度                  △   二一〇
   ロ 中小企業関係税制                △   一〇〇
   ハ その他                         一四〇
                        (内国税計△   一七〇)
   ニ 関税率の改定等                 △    三〇
 (3) 十四年度予算額(1)+(2)          四六八、一六〇
2 その他収入                       四四、一四〇
3 公 債 金                      三〇〇、〇〇〇
  合   計                      八一二、三〇〇
4 重要施策
 (1) 税制改正
 社会経済情勢の変化や厳しい財政状況を踏まえつつ、構造改革に資する等の観点から、連結納税制度を創設するとともに、中小企業関係税制及び金融・証券税制等につき所要の措置を講ずることとしている。
 (2) 歳出の効率化と予算配分の重点化
 十四年度予算編成に当たっては、「基本方針」を踏まえ、「五兆円を削減する一方で重点分野に二兆円を再配分する」との理念の下、公共投資やODAの一割削減や医療分野を始めとする現行制度の抜本的見直しを行うなど、歳出の一層の効率化を進める一方、予算配分を少子・高齢化への対応、科学技術・教育・ITの推進などの重点分野に大胆にシフトした。
 (注) 国家公務員等の給与に関し、給与改善費(十三年度当初予算額五百二十五億円)を計上しないこととした。
 また、特殊法人等向け財政支出については、特殊法人等の事務事業の抜本的見直しの結果などを反映し、一般会計及び特別会計合わせて、十三年度当初予算額に対して一兆一千百七十六億円の削減を実現した。
 これらの歳出面における諸努力や歳入面における税外収入の確保等により、「国債発行額三十兆円」を達成した。
 十四年度予算における重点分野での具体的な措置は以下のとおり。
 (イ) 都市機能の再生・高度化
 経済社会活動が集中し、活力の源泉でもある「都市」を国際競争力の高い魅力ある都市として再生させることは重要な課題である。したがって、大都市圏における環状道路の整備や国際交流・物流機能の強化など都市再生プロジェクトを強力に推進するほか、都市再生プロジェクトを始めとする都市再生事業の円滑な推進を図るため、関連事業間の進度調整を行うための推進費を創設することとしている。
 さらに、都市再生の推進に民間活力を最大限に活用するため、都市計画・建築規制等を大胆に改革し、再開発事業などの民間都市開発投資を促進することとしている。特に、都市再生本部の定める一定の地域においては、既存の都市計画・建築規制の適用を除外し、自由な事業計画の立案を可能とする新たな都市計画制度を導入するとともに、同地域における一定の民間都市開発について、その立上げ期に重点を置いた支援スキームを創設することとしている。
 また、都市生活をおくる住民のアメニティー向上に対する関心が高いことも踏まえ、都市生活の質を高めるための環境整備に取り組むこととし、PFIを積極的に活用した公共施設の整備を推進するとともに、ボトルネック踏切の立体交差化などによる交通渋滞の解消や電線類の地中化、地下鉄等の整備促進、マンション建替えの円滑化、密集住宅市街地の改善等を図ることとしている。
 (ロ) 環境に配慮した地域の活性化・まちづくり
 経済が持続的に成長するためには、自然環境との調和が重要な課題であることから、循環型経済社会の構築など環境問題に重点的に取り組むこととしている。
 このため、環境技術の実用化に向けた研究開発を促進するとともに、廃棄物の発生の抑制、民間の先導的なリサイクル施設の整備等を通じたリサイクルの促進、「ゴミゼロ」社会の構築等に取り組むこととしている。また、地球温暖化防止のための緑づくり国民活動推進事業等、国民各層一体となった取組みの推進により、京都議定書の実施に向けて、脱温暖化の社会づくりを推進することとしている。さらに、多様な生態系を育む森林整備や河川の水質浄化を実施するなど、自然との共生など環境問題への対応を市民参加を図りつつ推進することとしている。
 次に、地方の個性ある活性化・まちづくりについては、個性ある地域の発展、知恵と工夫の競争による活性化を重視する方向へ施策の重点化を進めることとしている。
 このため、まちづくり総合支援事業を始めとする統合補助金事業の拡充等により個性ある地方の自立した発展と活性化を促進するとともに、市町村合併を推進することとしている。
 また、育成すべき担い手への農地利用の集積や農業経営の法人化の推進等により、農林水産業の構造改革を推進するとともに、「人・もの・情報」が循環する共通社会基盤を備えた新たなむらづくりの推進等による都市と農山漁村の共生と対流の推進や中心市街地の活性化支援等を通じて、個性あるまちづくりを推進することとしている。さらに、地域の安全拠点となる治安基盤施設の整備等を通じて、住民の安全と治安を確保することにより、安心して暮らせる社会を構築することとしている。
 (ハ) 科学技術・教育・ITの推進
 科学技術・教育・ITの推進については、ITを始めとした技術革新が急速に進展する中で、将来を見据え、我が国経済社会が今後一層の発展を遂げるための基盤を整備するため科学技術及び情報通信技術の一層の振興を図るとともに、これらを支える質の高い優れた人材を育成する等の観点から、科学技術、学術研究、高等教育、文化、IT等の各分野の施策について、以下のとおり重点的に推進することとしている。
 科学技術の振興については、将来への発展基盤として着実な充実を図る必要があるとの長期的展望を踏まえつつ、国際的に卓越した基礎研究及び二十一世紀に必要となる重点四分野(@ライフサイエンス、AIT、B環境、Cナノテクノロジー・材料)など産業競争力と質の高い国民生活の基盤となる科学技術分野における重点的な研究開発を進めることとしている。
 また、競争的資金の改革・拡充等優れた成果を生み出す研究開発システムの構築を図るとともに、科学技術を軸として、地域経済を支え、世界に通用する新事業やベンチャー企業の創造を推進するなどの観点から、民間企業の研究開発の促進や国・大学から民間企業への技術移転の促進に資する環境整備など産学官連携の推進及び地域科学技術の振興を図ることとしている。
 教育については、国公私立大学を通じ、国際的にも評価される世界最高水準の大学を育成するため、第三者評価による競争原理を導入しつつ教育投資を重点的に実施するなど支援措置の重点化を図るとともに、初等中等教育について確かな学力と豊かな心を持った人材の育成を図る観点から、第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(十三〜十七年度の五年計画)の着実な推進を図るとともに、小中学校における学力向上への取組みの推進、奉仕・体験活動の推進、いわゆる「いじめ・不登校」等の諸課題への対応等を総合的に推進することとしている。
 また、教育を受ける意欲と能力がある個人への支援を重視する観点から、無利子、有利子を含めた奨学事業全体の充実を図ることとしているほか、文化芸術分野を含めた優れた人材育成を図るため、文化芸術、生涯学習、スポーツの振興等の諸施策を推進することとしている。
 ITについては、「我が国が五年以内に世界最先端のIT国家になる」との目標達成に向け、「e−Japan重点計画」(十三年三月二十九日)及び「e−Japan2002プログラム」(十三年六月二十六日)を基本としつつ、官民の適正な役割分担、施策の重複の排除といった観点を踏まえながら、高速・超高速インターネットの普及推進、教育の情報化・IT人材の育成、コンテンツの制作・流通のための環境整備、電子政府の実現・電子自治体構築の推進といった施策に重点的に取り組むこととしている。
 (ニ) 少子・高齢化への対応
 高齢化への対応については、急速な高齢化が進展する中で、明るく活力ある高齢社会の実現に向けた総合的な取組みを推進することとしている。
 このため、まず、国民皆保険を堅持し、安心して医療を受けられるよう、高齢者医療の見直しなど、医療制度改革を行うこととしている。また、介護保険制度の一層の円滑な定着に向けて、介護サービス供給体制を確保するため、特別養護老人ホーム、ケアハウス等の介護関連施設を効率的に整備するとともに、介護サービスの質的向上のため、ケアマネージャー支援などに取り組むこととしている。
 さらに、高齢者・身体障害者等が自立した日常生活・社会生活を営むことができる環境を整備するため、市街地の駅、病院等の周辺における幅の広い歩道やエレベーター付立体横断施設等の整備による公共空間のバリアフリー化を推進するとともに、鉄道駅・官庁施設におけるバリアフリー化を推進することとしている。農山漁村等においても、広幅員歩道の整備等、高齢者が安心して暮らせる農山漁村づくり・就労環境の整備等を図ることとしている。
 また、安心して子どもを産み育てることができる社会を実現し、仕事と子育ての両立を支援するため、保育所の整備等により待機児童ゼロ作戦を推進するとともに、放課後児童受入れ体制の整備を図ることとしている。
 (3) 特殊法人等向け財政支出
 特殊法人等向け財政支出については、「特殊法人等整理合理化計画」(十三年十二月十九日閣議決定)における特殊法人等の事務事業の抜本的見直しの結果などを反映し、一般会計及び特別会計合わせて、十三年度当初予算額に対して一兆一千百七十六億円(二一・二%)減の四兆一千六百五十二億円(国家公務員共済組合負担金等を除く。)となっている。
 また、各特殊法人等への予算措置について、その透明性を高め、政策目的に合わせた分かりやすいものとする観点から、見合いとなる資産が計上されていないような出資金などは、厳しい見直しを行った上で原則として補助金等へ切り替えることとしている。これに伴い、特殊法人等向け出資金は、一般会計及び特別会計合わせて、十三年度当初予算額に対して一兆九百八十三億円(六七・九%)減の五千百八十二億円とするとともに、出資金から切り替わった補助金等として五千六十六億円を計上している。
 (4) 社会保障の充実・改革
 社会保障については、急速な少子・高齢化の進展に伴い、経済の伸びを上回って給付と負担が増大していくことが見込まれる中で、個人の自助・自律の精神を基本として、世代間・世代内の給付と負担の均衡を図り、制度の合理化・効率化を行うことにより、経済・財政と調和し、将来にわたって持続可能な安定した制度を構築していく必要がある。こうした観点から、十四年度においては、医療等の制度改革に取り組むとともに、歳出の一層の合理化・効率化を図ったところであり、その結果、十四年度の社会保障関係費は、十三年度当初予算額に対して六千六百三十八億円(三・八%)増の十八兆二千七百九十五億円を計上している。
 まず、医療関係については、「医療制度改革大綱」(十三年十一月二十九日政府・与党社会保障改革協議会決定)等に基づき、十四年度において次のような制度改革を実施することとしている。
 高齢者医療制度の改革については、十四年十月より、七十歳以上の高齢者の患者負担は定率一割(一定以上所得者は二割)とし、従来の月額上限制及び定額負担選択制を廃止するとともに、自己負担限度額について所要の見直しを行う。また、老人保健制度の対象年齢及び公費負担割合の段階的引上げや老人医療費拠出金の算定方式の見直し等も併せて行う。さらに、医療費総額の伸びの適正化のために、指針を定め、その指針を遵守できるような有効な方策を検討し、実施することとしている。
 医療保険制度の改革については、十四年十月より高額医療費にかかる自己負担限度額の引上げを行うとともに、乳幼児に係る給付率の引上げを行い、保険料については、十五年度より総報酬制の導入を図るとともに、保険料率の見直しを行う。さらに、国民健康保険の財政基盤強化のために、国保広域化等支援基金の創設等を行うこととしている。
 十四年度医療費改定については、十四年四月に、薬価等について一・四%の減(医療費ベース)、診療報酬について一・三%の減の合計二・七%の引下げを行うこととしている。
 保健医療システムの改革については、健康づくり・疾病予防の推進や医療提供体制の改革を行うこととしている。
 さらに、一元化等を含む医療保険制度の在り方、新たな高齢者医療制度の在り方、診療報酬体系の在り方等医療制度の将来方向についても検討を行うこととしている。
 また、国立病院については、十一年三月に見直された「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」に基づき再編成を進めるほか、経営の改善・合理化を一層強化すること等により国立病院特別会計への一般会計繰入れを、十三年度当初予算額に対して八十九億円縮減している。
 年金については、消費者物価指数の下落に応じた改定を行うこととされているが、現下の社会経済情勢にかんがみ、十四年度は、十二年度、十三年度に引き続き物価スライドを行わない特例措置を講ずることとしている。
 高齢者介護については、介護保険制度の一層の円滑な定着に向けて、訪問介護、通所介護・通所リハビリテーション、短期入所等の在宅サービスの拡充を図るとともに、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、ケアハウス等の整備を進め、ゴールドプラン21を着実に推進することとしている。
 少子化対策については、安心して子どもを産み育てることができる社会を実現し、仕事と子育ての両立を支援するため、保育所の整備・受入れ枠拡大による待機児童ゼロ作戦の推進、延長保育・一時保育等の促進、放課後児童受入れ体制の整備等を図ることとしている。
 障害者対策については、訪問介護事業、身体障害者療護施設、知的障害者更正施設、精神障害者生活訓練施設、精神障害者社会適応訓練事業、グループホーム、授産施設等の拡充を行うなど、障害者プランを着実に推進することとしている。
 児童扶養手当制度については、母子家庭等の就労による自立を促進する等の観点から、就労等による収入が増えれば、手当受給額を合わせた総収入も増えるよう、手当額・所得制限等を見直すこととしている。
 生活保護については、生活扶助基準を前年度同額とするとともに、運用について適正化対策等を実施することとしている。
 雇用対策については、失業者の生活の安定と早期再就職の促進を図る観点から、雇用保険求職者給付の支給に必要な資金を確保するほか、未払賃金立替払制度の適切な実施を図るとともに、円滑な労働移動及び民間活力を活用した職業能力開発等を推進することとし、一般会計において失業対策費を四千八百八十一億円、労働保険特別会計雇用勘定において三兆二千九百四十八億円、労働保険特別会計労災勘定未払賃金立替払に係る事業において二百四十七億円を計上している。
 なお、消費税に対する国民の理解を一層深める観点から、消費税収の使途(地方交付税交付金を除く。)を基礎年金、老人医療及び介護に限る旨を予算総則に明記している。
 (5) 文教及び科学技術の振興
 文教及び科学技術の振興については、高等教育、学術研究、科学技術、文化等の各分野に対し、資金の重点的配分を図るとともに、受益者負担の適正化、執行状況等を踏まえた事業の見直し、特殊法人等向け財政支出の節減等の観点から、各種経費の見直しを行い六兆六千九百九十八億円(十三年度当初予算比五百二十六億円、〇・八%増)を計上している(うち、科学技術振興費は一兆一千七百七十四億円(十三年度当初予算比六百五十億円、五・八%増))。
 公立小中学校等の教職員定数については、第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(十三〜十七年度の五年計画)の第二年次分として、所要の改善措置を講じている。
 公立学校施設については、緊急度の高い改築事業や耐震補強等、耐震性能を向上する事業などを中心に、その必要事業量を確保するとともに、学校施設における安全管理対策の強化を図るため、門・フェンスの設置など安全管理対策に資する工事を国庫補助の対象とするなど、所要の制度改正を行うこととしている。
 国立学校については、国立大学等施設の重点的・計画的整備を推進することとしている。また、大学院の教育研究の高度化・多様化、教育研究の活性化等大学改革の推進、創造的な人材養成をめざす理工系教育の推進、人間性豊かな医療人の育成をめざす医学系教育の推進、高度情報化社会に対応した教育研究の推進、研究支援体制の充実等を図っている。他方、国立学校の授業料については私立学校との格差の現状や自己財源の確保の必要性を考慮し引上げを図ることとしている。
 私学助成については、私立大学等経常費補助及び都道府県による高等学校以下の私立学校に対する経常費助成の補助について、特色ある教育研究を展開する私立学校に対する支援の充実を図ることとし、所要の増額を行うとともに、私立学校教育研究装置等施設整備費補助、私立大学等研究設備整備費等補助及び私立学校施設高度化推進事業について所要の経費を計上している。
 育英奨学事業については、教育を受ける意欲と能力がある人が確実にこれを受けられるよう無利子貸与・有利子貸与併せた貸与人員の増員を図ることとし、所要の経費を計上している。
 このほか、生涯学習の振興、特殊教育の振興、芸術文化・スポーツの振興等についても施策の充実に努めるため、所要の経費を計上している。
 科学技術の振興については、将来への発展基盤として着実な充実を図る必要があるとの長期的展望を踏まえつつ、国際的に卓越した基礎研究及び二十一世紀に必要となる重点四分野(@ライフサイエンス、AIT、B環境、Cナノテクノロジー・材料)など産業競争力と質の高い国民生活の基盤となる科学技術分野における重点的な研究開発を進めるとともに、宇宙開発、海洋開発等を中心として、時代の要請に即応した科学技術の研究開発に努めることとしている。
 また、競争的資金の改革・拡充等優れた成果を生み出す研究開発システムの構築を図るとともに、研究の競争的環境を醸成しつつ国民に開かれた科学技術とする等のため、研究開発に係る評価を推進することとしている。
 このほか民間企業の研究開発の促進や国・大学から民間企業への技術移転の促進に資する環境整備など産学官連携の推進及び地域科学技術の振興を図ることとしている。
 (6) 社会資本の整備
 公共事業関係費にその他施設費を加えた公共投資関係費については、「基本方針」に従い、十三年度当初予算に比して一兆一千百三十三億円(一〇・七%)減の九兆二千五百二十五億円を計上している。
 このほか産業投資特別会計社会資本整備勘定においては、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づき貸付けを受けて実施される公共的建設事業として九百三十八億円を計上しており、これを加えた公共投資関係費は九兆三千四百六十四億円となる。
 公共投資関係費の配分に当たっては、公共投資全体を「基本方針」で示されている七分野(循環型経済社会の構築など環境問題への対応、少子・高齢化への対応、地方の個性ある活性化・まちづくり、都市の再生、科学技術の振興、人材育成・教育・文化及び世界最先端のIT国家の実現)に対して重点化することとしている。
 その上で、「基本方針」に沿って、廃棄物処理施設(十三年度当初予算比六・六%減)、都市環境整備(同八・八%増)、国立学校施設(同一・〇%増)、保育所(同一一四・四%増)、特別養護老人ホーム(同六・三%増)などに重点的な配分を図ったところである。
 また、社会資本のより効率的な整備に向けて、集落排水と合併処理浄化槽など、各分野で従来以上に施策の融合化やハード・ソフト間を含む事業間の連携を推進している。国と地方の役割分担を踏まえ、より一層の補助金の効率的・効果的運用を図る観点から、統合補助金の拡充を行うほか、十四年度において自動車重量税を含めたいわゆる道路特定財源の額が道路予算の額を上回るため、これを使途の限定なく一般財源として活用することとしている。
 なお、前記の七分野への重点化に的確に対応しつつ事業間のより一層の連携を推進する観点から、都市環境整備事業に新たに都市水環境整備を加えるなど、経費区分の見直しを行っている。
 治山治水対策事業については、国土保全施設の整備を進めるとともに、被災河川対策を中心とする河川改修、荒廃山地の復旧等に重点を置くこととし、一兆二千七百二十億円(一般会計一兆二千七百十一億円、産業投資特別会計社会資本整備勘定九億円)を計上している。
 道路整備事業については、都市の再生に資する大都市圏環状道路の整備、交通渋滞の解消・緩和を図るボトルネック踏切の立体交差化、交通結節点整備、また、地域の自立的な発展や地域間の交流・連携を強化する道路整備等を重点的に実施することとし、二兆三千百五十一億円(一般会計二兆二千二百五十三億円、産業投資特別会計社会資本整備勘定八百九十八億円)を計上している。
 港湾空港鉄道等整備事業については、国際海上コンテナターミナル・国際幹線航路の整備、大都市圏拠点空港の整備、整備新幹線の整備等を推進することとし、五千八百九十三億円(一般会計五千八百八十五億円、産業投資特別会計社会資本整備勘定八億円)を計上している。
 住宅都市環境整備事業については、密集住宅市街地の解消等都市居住の再生を図るほか、電線類の地中化、大気汚染等の沿道環境の改善、少子・高齢化へ対応する歩行空間のバリアフリー化、地域の創意工夫を活かした美しいまちづくり、都市における良好な水環境の形成等を推進することとし、一兆四千六百三十三億円(一般会計一兆四千六百十五億円、産業投資特別会計社会資本整備勘定十八億円)を計上している。
 下水道水道廃棄物処理等施設整備事業については、ごみ処理施設の整備に重点を置くほか、地域や課題に応じた下水道等の整備を推進するとともに、都市公園、自然公園の重点的な整備を図ることとし、一兆四千五百七十六億円(一般会計一兆四千五百七十五億円、産業投資特別会計社会資本整備勘定二億円)を計上している。
 農業農村整備事業については、農業の生産性の向上及び農村の生活環境の向上に資する事業等に重点を置くこととし、九千二百四十二億円(一般会計)を計上している。
 森林水産基盤整備事業については、間伐やその効率的実施に資する林道等の整備、我が国周辺水域における水産資源の持続的利用に資する漁港・漁場の整備を推進することとし、三千七百八十九億円(一般会計三千七百八十六億円、産業投資特別会計社会資本整備勘定三億円 )を計上している。
 その他施設費については、「基本方針」に従い、国立学校施設、保育所、特別養護老人ホームなどの整備を重点的に推進することとし、八千二百八十六億円(一般会計)を計上している。
 (7) 経済協力の推進
 一般会計ODA予算については、全体の量的規模を縮減しつつ、アフガニスタン及び周辺国支援への対応や顔の見える援助の推進等、省庁の枠を超えて、援助対象分野等の重点化・効率化を図り、十三年度当初予算額に対して一千四十六億円(一〇・三%)減の九千百六億円を計上している(経済協力費は九百九十六億円(一〇・四%)減の八千五百六十六億円)。
 経済開発等援助費(二国間無償資金協力)については、アフガニスタン及び周辺国支援への対応等の観点から、「セクター・プログラム無償」及び「緊急無償」の拡充や「紛争予防・平和構築無償」の新設を行うとともに、NGOを通じた援助を強化するなどの重点化を図りつつ、十三年度当初予算額に対して一・六%増の二千八十六億円を計上している。
 技術協力については、開発途上国の人造りを支援し、顔の見える援助を推進する観点から、国費外国人留学生の新規受入れ人数の増加、国際協力事業団の実施する青年海外協力隊及びシニア海外ボランティアの派遣人数の維持等を図る一方、事業の合理化・効率化を図ることにより、十三年度当初予算額に対して四・八%減の三千三百四十五億円を計上している。
 国際機関等を通ずる経済協力については、エイズ、結核等の感染症の予防、治療等を支援する「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」に対して新たに八十四億円の拠出を行うとともに、難民支援等を行う「国際連合開発計画」や「国際連合難民高等弁務官事務所」等に対する拠出金を拡充する一方、国際機関拠出金全般について見直しを行い、十三年度当初予算額に対して一〇・八%減としている。
 円借款については、円借款の事業規模の見直し等を行い、その財源となる国際協力銀行の出資金を十三年度当初予算額に対して二三・〇%減としている。
 (8) 防衛力の整備
 防衛関係費については、十二年十二月十五日の安全保障会議及び閣議において決定された「中期防衛力整備計画(平成十三年度〜平成十七年度)」等の下、効率的で節度ある防衛力の整備を行うため、装備品の調達価格の引下げ等経費の一層の効率化・合理化を図りつつ、ITを活用した高度ネットワーク環境整備等所要の経費を計上しており、防衛関係費として、十三年度当初予算額に対して七億円(〇・〇%)増の四兆九千五百六十億円を計上している。
 なお、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)関係経費は百六十五億円であり、これを除いた防衛関係費は、四兆九千三百九十五億円(〇・〇%増)となる。
 (9) 中小企業施策の推進
 中小企業対策費については、限られた財源の効果的・効率的配分に努めつつ、既存事業の執行状況等を踏まえた事業の発展的整理・統合や財投改革の成果を活用した特殊法人向け支出の節減等を通じた支出の抑制を図り、十三年度当初予算額に対して九十八億円(五・〇%)減の一千八百六十一億円を計上している。
 前記のような支出の節減に努める一方、十一年に改正された「中小企業基本法」の新しい理念も踏まえつつ、創業・経営革新など中小企業の構造改革推進に向けた自助努力を積極的に支援するための経費については、増額を行うなど資金の重点的配分を図るとともに、構造改革の進展に伴い、潜在力のある中小企業までもが連鎖的に破綻することを回避するため、中小企業に対する資金供給の円滑化に必要な経費については、十分な予算額を手当てすることとしている。
 このうち、まず創業・経営革新支援に関しては、創業者や経営革新に取り組む中小企業に対し、必要な専門知識を提供するための講座・セミナーの実施など、各商工会・商工会議所等が行う人材育成・能力開発推進事業に対する支援を抜本的に強化するとともに、経営革新支援事業、IT活用型経営革新モデル事業等の積極的な推進を図ることとしている。
 また、構造改革の進展に備え、中小企業に対する資金供給の円滑化を図るため万全の体制を整える(セーフティネットの充実)こととし、国民生活金融公庫及び中小企業金融公庫に対する補給金につき所要の予算額を確保するとともに、公的信用補完の基盤強化のため、中小企業総合事業団信用保険部門に対する出資金及び信用保証協会基金補助を充実することとしている。
 (10) 農林水産業の振興
 農林水産予算については、農業の構造改革を通じた効率的な食料の安定供給システムの構築、都市と農山漁村の共生と対流による地域の活性化を推進するとともに、十三年に改正された「森林・林業基本法」を踏まえた森林・林業政策の展開、新しい「水産基本法」を踏まえた水産政策の展開を図ることとしている。このような中で、「基本方針」等を踏まえ、公共事業から非公共事業へのシフトを行い、地域農業の構造改革対策等の強化を図ることとしている。
 具体的には、農業の構造改革を進める観点から、まず、効率的で安定的な経営体が農業生産の大部分を担う農業構造の確立に向け、農地の利用集積、加工・流通部門も含めた農業経営の法人化等を推進することとしている。次に、「食生活指針の推進について」(十二年三月二十四日閣議決定)の一層の普及・定着、国産食材の利用促進等により食料消費対策を推進するとともに、牛海綿状脳症(BSE)対策の着実な推進等により、安全・安心な食料の供給を図ることとしている。また、輸入急増により国際競争力の確保が求められている野菜等において、生産の高度化、流通システムの改革等を推進することとしている。さらに、稲作を中心とする水田農業について、地域が個性を活かしながら競争力を強化する取組みを実施するとともに、効率的な流通を行う産地に機動的な支援を行うシステムを構築することとしている。このほか、水田の汎用化、畑地かんがい等の推進による食料自給率向上の基礎的条件である生産基盤の整備を経営・生産対策と一体的に実施することとしている。
 次に、都市と農山漁村の共生と対流による地域の活性化を図る観点から、新たなむらづくり、グリーン・ツーリズム、農業体験学習等を通じて農山漁村を振興することとしている。また、農山漁村における社会資本整備を、都市のライフラインを支える緑の基盤として、循環型社会の構築や自然との共生に寄与するものに改革することとしている。さらに、農業の自然循環機能を活用し、食品リサイクルを始めとする有機性資源等の循環利用を促進することとしている。
 林野関係では、森林の有する多面的機能の持続的発揮のため、森林の重視すべき機能に応じた適切な森林整備を進めるとともに、自然林や里山林などを再生・創出する緑の再生を推進するほか、森林整備のための地域における取組みに対する支援を導入することとしている。また、育成すべき担い手への施業や経営の集約化を図ることにより、森林資源の持続的な利用を担う林業を振興するほか、需要構造の変化に対応した低コストでの木材の安定供給のため、木材産業の構造改革を図りつつ、木材利用を積極的に推進することとしている。さらに、山村地域の生活環境の整備、都市と山村の共生と対流の推進等により、活力ある山村づくりを展開することとしている。
 水産関係では、資源回復計画の導入による水産資源の適正な管理と経営安定を推進するとともに、責任ある栽培漁業を通じて、水産資源の積極的な培養と養殖業の構造改革を推進することとしている。また、流通経路の簡素化や物流の合理化等により水産物流通システムの改革を図るとともに、水産加工業の構造改革を推進することとしている。さらに、新たに策定する漁港漁場整備長期計画に基づき、一体的・効率的な水産基盤の整備による豊かな沿岸域環境の創造と漁村の総合的な振興を推進するとともに、水産業・漁村の有する多面的機能について、その適切な発揮に向けた施策を推進することとしている。
 (11) エネルギー対策の推進
 エネルギー対策については、地球温暖化問題への対応が求められる中、省エネルギー対策や新エネルギーの開発・利用の促進等に重点的に取り組むこととしている。また、エネルギーの安定供給の確保や原子力の平和利用の促進等についても着実に取り組むなど、中長期的な観点に立った総合的なエネルギー政策を着実に推進することとしている。
 すなわち、石油資源の探鉱・開発の推進、石油備蓄の維持、石油の生産・流通合理化を図るための諸施策等石油対策の推進に努めるとともに、原子力利用の安全確保のための研究、原子力施設の安全性向上対策、高速増殖炉の研究開発、核融合の研究開発、新エネルギー技術及び省エネルギー技術の研究開発等の推進に努めることとしている。
 これらの施策を実施するため、一般会計のエネルギー対策費として、五千六百九十四億円を計上している。
 (12) 地方財政
 十四年度の地方財政については、国と地方という公経済の車の両輪がバランスのとれた財政運営を行う必要があるという基本的考え方を踏まえ、国の歳出の見直しと歩調を合わせつつ、地方の歳出の見直しを行った上で、地方財政の運営に支障を生じることのないよう所要の措置を講ずることとしている。通常収支の財源不足については、国と地方を通ずる財政の透明化を推進する観点から、国・地方折半による交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金を縮減し、国負担分については一般会計からの特例加算、地方負担分については特例地方債(臨時財政対策債)により補てんする割合を高めつつ、所要の地方交付税総額を確保することとしている。また、恒久的な減税の十四年度における影響については、引き続き十一年度に決定した地方財政対策の枠組みに従って対応することとしている。この結果、同特別会計から十四年度に地方団体に交付される地方交付税交付金及び地方特例交付金の総額は、十三年度に対して八千三十一億円(三・八%)減(前年度繰越額(五千三百二十八億円)を除く当初予算に対しては二千七百三億円(一・三%)減)の二十兆四千四百八十五億円となっている。
 補助金等については、「地方分権推進計画」(十年五月二十九日閣議決定)及び「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(十三年六月二十六日閣議決定)等を踏まえ、国の負担が特に必要なものに限定するとの観点から、全ての行政分野において聖域なく見直しを行い、その整理合理化を積極的に推進している。特に、地方公共団体に対する補助金等のうち、いわゆる「制度的補助金等」であって国庫補助金として区分されているものについては、厳しく見直して、縮減を図り、平成十三年度に対して一千六百二十五億円(五・七%)減の二兆七千百十五億円(一般会計)を計上している。
 また、国が箇所付けしないことを基本とする統合補助金については、「第二次地方分権推進計画」(十一年三月二十六日閣議決定)及び「基本方針」等を踏まえ、地方の裁量を高めるとの観点から、その一層の拡充を図ることとし、
 (イ) 「緊急対応プログラム」(十三年十二月十四日経済対策閣僚会議決定)と併せて、非公共事業の分野においても統合補助金を設けるほか、
 (ロ) 公共事業分野の統合補助金について、対象事業の追加を含む拡充を図るなど、制度改正を含めた積極的な取組みを行い、平成十三年度に対して一千五百五十九億円(二十七件)増の八千八百二十二億円(四十八件)を計上している。
 なお、地方団体においても、極めて厳しい財政状況を踏まえ、行財政運営の簡素化や、定員の管理、給与水準等の適正化の一層の推進など、歳出全般にわたる見直し、合理化・効率化に積極的に取り組むことが期待される。


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【一般会計】

◇歳   出第2表参照

 社会保障関係費

                 (百万円)
    十四年度   一八、二七九、四八四
    十三年度  (一七、六一五、六三八)
           一九、二三八、三八一
    比較増△減    (六六三、八四六)
            △ 九五八、八九七
1 生活保護費
                 (百万円)
    十四年度    一、三八三、七二八
    十三年度   (一、三〇九、一一三)
            一、五八一、九七七
    比較増△減     (七四、六一五)
            △ 一九八、二四九
 この経費は、「生活保護法」に基づき、地方公共団体が支弁する各種の保護費(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、介護扶助、医療扶助、出産扶助、生業扶助及び葬祭扶助の各経費)、保護施設の事務費に対する国の補助に要する経費、生活保護法実施のための指導監査職員の設置に要する国の委託等に必要な経費である。
 経費の内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 保護費
 (イ) 生活扶助については、扶助基準を前年度同額とする(一級地―一の標準三人世帯で月額十六万三千九百七十円)こととし、最近の実績を勘案して扶助人員を百三万人と見込み、四千七百四十二億四千三百万円を計上している。
 (ロ) 介護扶助については、百六十一億六千七百万円を計上している。
 (ハ) 医療扶助については、最近の診療実績等を勘案して件数の増等を見込み、七千百九十七億七千六百万円を計上している。
 また、生活保護の運用については、引き続き一層の適正化を図ることとし、開始決定、開始後の現状把握の適正化、稼働年齢層の就労促進等各般の施策を推進することとしている。
 (2) 保護施設事務費
 各種保護施設の運営費について、入所者の処遇改善等を行うこととし、二百七十七億八百万円を計上している。
2 社会福祉費
                 (百万円)
    十四年度    一、七二一、七五五
    十三年度   (一、六九四、四一〇)
            一、八二七、四四五
    比較増△減     (二七、三四五)
            △ 一〇五、六九〇
 この経費は、「老人福祉法」等に基づく老人福祉費、「身体障害者福祉法」に基づく身体障害者保護費、「児童福祉法」、「母子保健法」等に基づく児童保護費、児童扶養手当及び特別児童扶養手当等の支給に必要な経費、婦人保護費、社会福祉施設整備費、母子福祉費並びに国立更生援護機関の運営に要する経費等である。
 なお、児童扶養手当制度について、母子家庭等の就労による自立を促進する等の観点から、就労等による収入が増えれば、手当受給額を合わせた総収入も増えるよう、手当額・所得制限等を見直すこととしている。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 老人福祉費
 養護老人ホームを始めとする入所施設の運営費について、入所者の処遇改善、入所定数の増加等を行うこととして、七百二十九億五千二百万円を計上している。
 これらにより、老人福祉費については、総額八百十四億三千九百万円を計上している。
 (2) 身体障害者保護費
 (イ) 各種更生援護施設の運営費について、入所者の処遇改善、入所定数の増加等を行うほか、
 (ロ) 七年十二月に策定された障害者プランを推進することとし、
 総額一千百八十四億七千百万円を計上している。
 (3) 児童保護費
 (イ) 各種入所施設及び保育所の運営費について、入所者の処遇改善、保育所受け入れ児童数の拡大等を行うほか、
 (ロ) 児童福祉事業、知的障害者地域生活援助事業、障害児(者)地域療育支援事業等の充実を図ることとし、
 総額八千二百二十六億三千八百万円を計上している。
 (4) 社会福祉諸費
 (イ) 在宅福祉対策等として、介護保険制度を着実に実施するため、介護予防・生活支援対策の推進、生活支援ハウス及び在宅介護支援センターの事業の充実、介護サービスの質の向上に向けた取組み等を推進するとともに、生活福祉資金貸付事業の充実を図るほか、
 (ロ) 社会福祉・医療事業団について、福祉貸付等(平成十四年度財政投融資計画の説明(以下「財政投融資計画の説明」という。)参照)の貸付規模を、十四年度においては五千九百九十八億円とするとともに、心身障害者福祉協会の運営費補助金等として所要の額を計上することとし、
 総額一千七百七億七千二百万円を計上している。
 (5) 社会福祉施設整備費
 各種の社会福祉施設等について、社会的需要に即応して整備改善を図るとともに、在宅老人福祉の拠点施設の整備等を促進することとし、一千三百二億一千五百万円を計上している。
 (6) 母子福祉費
 母子寡婦福祉貸付金の貸付けについて、貸付原資の追加を行うこととし、四十九億七千万円を計上している。
3 社会保険費
                 (百万円)
    十四年度   一四、一五八、三七九
    十三年度  (一三、六五〇、〇八八)
           一四、三九五、三三四
    比較増△減    (五〇八、二九一)
            △ 二三六、九五五
 この経費は、社会保険国庫負担金、厚生年金保険国庫負担金、健康保険組合助成費、厚生年金基金連合会等助成費、国民健康保険助成費、国民年金国庫負担金、農業者年金等実施費、国民年金基金等助成費、日本鉄道共済組合等助成費、児童手当国庫負担金、介護保険推進費、老人医療・介護保険給付諸費及び農業経営対策費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 政府管掌健康保険
 国庫補助については、九千七百四十一億円を計上している。
 なお、医療費支出の適正化を図るため、引き続き、医療機関に対する指導監査の強化、レセプト審査の充実強化等各般の施策を着実に推進することとしている。
 (2) 厚生年金保険
 国庫負担金については、四兆三十六億二千二百万円を計上している。
 なお、年金額については、消費者物価指数の下落に応じた改定を行うこととされているが、現下の社会経済情勢にかんがみ、十四年度は、十二年度、十三年度に引き続き特例措置として物価スライドを行わないこととしている。これにより、年金額は前年同額(モデル年金額(月額)二十三万八千百二十五円)とすることを予定している。
 (3) 組合管掌健康保険
 財政基盤がぜい弱なため厳しい財政状況にある健康保険組合に対する給付費臨時補助金として、二百七十九億円を計上するとともに、事務費負担金を四十八億四千四百万円計上している。
 (4) 国民健康保険
 国民健康保険助成費については、三兆八千三百十一億円を計上している。
 なお、市町村国民健康保険の広域化等を支援するための基金造成を行うとともに医療費支出の適正化を図るため、引き続き、医療機関に対する指導監査の強化、レセプト審査の充実強化を行うこととしている。
 (5) 国民年金
 国庫負担金については、一兆四千五百六十五億三千八百万円を計上している。
 なお、年金額については、消費者物価指数の下落に応じた改定を行うこととされているが、現下の社会経済情勢にかんがみ、十四年度は、十二年度、十三年度に引き続き特例措置として物価スライドを行わないこととしている。これにより、年金額は前年同額(老齢基礎年金の月額六万七千十七円)とすることを予定している。
 (6) 福祉年金
 国庫負担金については、三百十七億六千百万円を計上している。
 なお、年金額の物価スライドは、現下の社会経済情勢にかんがみ、特例的に行わないこととし、これにより、年金額は前年同額(全額支給の月額三万四千三百三十三円)とすることを予定している。
 (7) 農業者年金
 農業者年金については、十三年度に抜本的改革を行ったところであり、旧年金給付に要する費用等として、農業者年金給付費等負担金一千四百六十三億五千八百万円を計上している。
 (8) 児童手当
 児童手当については、「児童手当法」に基づき、支給額を第一子及び第二子月額五千円、第三子以降月額一万円とし、支給年齢については、義務教育就学前(六歳に到達後最初の年度末)として、国庫負担金については、一千九百十六億五千六百万円を計上している。
 (9) 介護保険推進費
 介護保険推進費については、市町村の要介護認定等事務費に対する交付金等として四百六十八億八千二百万円を計上している。
 (10) 老人医療・介護保険給付諸費
 「老人保健法」による老人医療給付費等及び「介護保険法」に基づく市町村の介護給付費に対する国庫負担等として三兆二千五百三十八億七千八百万円を計上している。
4 保健衛生対策費
                 (百万円)
    十四年度      五二七、五五五
    十三年度     (五三二、二六七)
              五三三、四一四
    比較増△減    (△ 四、七一二)
              △ 五、八五八
 この経費は、「結核予防法」等に基づく医療費に対する補助に要する経費、原爆障害対策費、保健衛生諸費、保健衛生施設整備費、国立病院特別会計に対する経営費及び施設費の財源繰入れに必要な経費、国立ハンセン病療養所費、検疫所費、沖縄保健衛生諸費、沖縄保健衛生施設整備費並びに廃棄物再生利用等推進費等である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 結核医療費については、最近の命令入所患者等の医療費の実績等に基づき、八十三億六千五百万円を計上している。
 (2) 精神保健費については、最近の措置入院・通院患者等の医療費の実績等に基づき、六百七十五億九千三百万円を計上している。
 (3) 原爆障害対策費については、引き続き、医療の給付及び各種手当等の交付等を行うこととして、一千五百五十四億四千九百万円を計上している。
 (4) 保健衛生諸費については、
 (イ) 臓器移植対策事業の推進を図る等、疾病予防及び健康づくり推進費として、百一億二千百万円を計上している。
 また、「老人保健法」に基づく保健事業等について、保健事業第四次計画に基づき健康診査、健康教育、訪問指導等の事業を引き続き推進するとともに、新たにC型肝炎ウィルス検査等を実施することとし、二百九十八億六千五百万円を計上している。
 (ロ) 医療提供体制を整備するため、
 @ 救急医療体制について、その体系的整備を図るため、小児救急医療支援事業の推進、重篤患者のための救命救急センターの整備等を行うこととし、これらの所要額のうち運営費について、百四十五億七千四百万円を計上している。
 A へき地保健医療対策についても、引き続き、へき地勤務医師の確保等の事業を行うこととし、二十一億二千七百万円を計上している。
 B また、日本赤十字社、恩賜財団済生会等の開設する救急医療施設等の高度不採算部門の運営費等に対する補助を引き続き行うこととし、十億五千八百万円を計上している。
 (ハ) 地域保健活動推進費については、引き続き保健所における地域保健活動を推進するとともに、新たに牛海綿状脳症(BSE)対策として、食肉衛生検査所等における検査設備等の整備を促進することとし、百十億二百万円を計上している。
 (ニ) ハンセン病対策費については、引き続きハンセン病療養所入所者の家族に対する生活援護等を実施するとともに、ハンセン病療養所退所者の生活基盤の確立及び福祉の増進に資するため、新たに退所者給与金を創設するなど、ハンセン病対策を積極的に推進することとし、三十二億八千万円を計上している。
 (ホ) さらに、血液対策推進費については、血液製剤の安定的確保等の見地から、献血受入確保施設の設備整備を図るほか、引き続き、献血制度の推進、献血者の健康増進事業及び献血推進基盤事業の充実を図るとともに、エイズ発症予防に資するため、血液製剤によるヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者の調査研究等を行うこととし、十五億百万円を計上している。
 これらにより、保健衛生諸費については、八百五十九億二千五百万円を計上している。
 (5) 保健衛生施設整備費については、引き続き、市町村保健センター、救急医療施設、公的医療機関、看護師養成所、へき地医療拠点病院等の整備等を推進し、医療施設近代化を図るための病院整備を推進するほか、治験の管理の円滑な推進を目的とした治験管理施設の整備等を促進することとしている。さらに、医療ケアと日常生活サービスを提供する介護老人保健施設の整備促進、精神障害者社会復帰施設の体系的整備を図ることとし、三百十五億六千三百万円を計上している。
 (6) 国立ハンセン病療養所費については、入所者が緊急時に看護師と連絡が取れる通報システムの整備を行うとともに、療養所施設の整備を推進することとし、四百十六億四千万円を計上している。
 (7) 廃棄物再生利用等推進費については、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の早期かつ適正な処理を進めるため、環境事業団に設置されているポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金に充てる資金として同事業団に対して補助を行うほか、廃棄物の再生利用の推進のための各種施策を行うこととし、二十六億七千九百万円を計上している。
5 失業対策費
                 (百万円)
    十四年度      四八八、〇六七
    十三年度     (四二九、七六〇)
              九〇〇、二一〇
    比較増△減     (五八、三〇七)
            △ 四一二、一四三
 この経費は、特定地域開発就労事業費補助、職業転換対策事業費、雇用保険国庫負担金及び船員雇用促進対策事業費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 雇用保険国庫負担金
 最近における雇用・失業情勢の悪化及び「雇用保険法」の改正により、訓練延長給付制度が拡充されたこと等を踏まえ、雇用保険の最近における受給実績を勘案し、求職者給付のうち、一般分の受給者実人員を月平均八十万二千人、平均受給月額を十五万一千百五十三円、訓練延長給付の受給者を十八万六千人、特例一時金の受給者を二十三万一千人と見込み、さらに、雇用継続給付については、高年齢雇用継続給付及び育児休業給付のそれぞれの月平均受給者実人員を二十八万三千人、六万六千人、介護休業給付の受給者を四万四千人と見込み、求職者給付及び雇用継続給付並びにその事務の執行に要する費用に充てるため、四千四百九十七億七千三百万円を計上している。
 (2) 特定地域開発就労事業
 就職が特に困難な地域において臨時的に就業の機会を与えるため、特定地域開発就労事業を実施する地方公共団体に対して補助を行うもので、対象人員は二千八百七人と見込み、事業の運営を図ることとし、六十五億八千二百万円を計上している。
 (3) 職業転換対策事業及び船員雇用促進対策事業
 「雇用対策法」及び「船員の雇用の促進に関する特別措置法」等に基づき、中高年齢の失業者等について、都道府県等の実施する職業訓練等に対する助成並びにこれらの者の雇用開発に関し支給する給付金、就職指導中に支給する手当及び居住地を移転して就職する場合に支給する手当等の支給を行うもので、最近における事業の実績等を勘案し、事業の円滑な運営に必要な経費を計上している。
 このほか、シルバー人材センターに対する補助について、事業の円滑な運営に必要な経費を計上している。

 文教及び科学振興費

                 (百万円)
    十四年度    六、六九九、七八八
    十三年度   (六、六四七、二三二)
            六、六三八、三二一
    比較増△減     (五二、五五六)
               六一、四六七
1 義務教育費国庫負担金
                 (百万円)
    十四年度    三、〇五六、四一四
    十三年度   (三、〇一五、二六九)
            三、〇一二、二六五
    比較増△減     (四一、一四五)
               四四、一四九
 この経費は、「義務教育費国庫負担法」及び「公立養護学校整備特別措置法」に基づき、公立義務教育諸学校の教職員給与費等の実支出額の二分の一を国が負担するために必要な経費である。
 ただし、財政力指数(当該年度前三か年平均)が一を超える都道府県並びに、教職員総数が「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」に基づいて算定された教職員定数を超える都道府県及び教員の給料その他の給与の額が、国立の義務教育諸学校の教員の俸給その他の給与の額を基準として算定した額を超える都道府県については、「義務教育費国庫負担法」第二条ただし書又は「公立養護学校整備特別措置法」第五条ただし書の規定に基づき、政令の定めるところにより、教職員給与費等の国庫負担額の最高限度を設けることができることとされている。
 給与費等については、これらに基づき必要な経費を計上しており、その算定基礎となる教職員数は、(イ)第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(十三〜十七年度の五年計画)の第二年次分の教職員増五千三百八十人、(ロ)初任者研修の実施に係る教員の増一千十三人、(ハ)公立義務教育諸学校児童生徒数の減少に伴う教職員の減(見込み)七千三百人を合わせ十三年度定数に対して九百七人の減員となる。
2 国立学校特別会計へ繰入
                 (百万円)
    十四年度    一、五四五、二八一
    十三年度   (一、五七二、七三〇)
            一、五六六、九〇四
    比較増△減   (△ 二七、四四九)
             △ 二一、六二三
 この経費は、「国立学校特別会計法」に基づき、国立学校、大学附属病院及び研究所の管理運営等に必要な経費に充てるため、その財源を一般会計から国立学校特別会計へ繰り入れるために必要な経費である。
3 科学技術振興費
                 (百万円)
    十四年度    一、一七七、三九二
    十三年度   (一、一一二、四一七)
            一、一〇四、三二六
    比較増△減     (六四、九七五)
               七三、〇六六
 この経費は、宇宙開発関係経費、海洋開発関係経費、各省試験研究機関経費、独立行政法人経費、科学技術振興調整費及び科学技術研究費補助金等科学技術の振興を図るために必要な経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 宇宙開発関係経費
 宇宙開発については、宇宙開発事業団を中心に研究開発を進めることとし、総額一千五百四十五億一千四百万円(十三年度当初予算額一千六百四十六億円)を計上している。
 宇宙開発事業団では、国際宇宙ステーション計画への参加、環境観測技術衛星、データ中継技術衛星、技術試験衛星[型、陸域観測技術衛星、月周回衛星、超高速インターネット衛星及びH―UAロケット等の開発、衛星・ロケット開発関連地上施設の整備等を推進することとしている。
 また、気象庁では静止気象衛星による観測業務等を行うこととしている。
 (2) 海洋開発関係経費
 海洋開発については、海洋科学技術センターを中心に研究開発を進めることとし、総額三百五十四億円(十三年度当初予算額三百八十億四千五百万円)を計上している。
 海洋科学技術センターでは、地球環境変動に関する海洋諸現象を解明するため、深海地球ドリリング計画の推進、海洋地球研究船「みらい」及び潜水調査船「しんかい六五〇〇」の運航、一万メートル級無人探査機「かいこう」の運用等を行うとともに、地球フロンティア研究、地球観測フロンティア研究、海洋観測研究開発及び海洋利用・生態系の研究開発等を進めることとしている。
 また、文部科学省及び関係省庁において地球環境遠隔探査技術等の研究等を行うほか、農林水産省では水産資源の開発及び増養殖についての基礎調査研究等を行うこととしている。
 (3) 各省試験研究機関経費
 前記の宇宙開発関係経費、海洋開発関係経費を除いた各省試験研究機関の経費は、四百二十一億六千六百万円(十三年度当初予算額百五十一億八千二百万円)となっており、これにより試験研究機関の各部門の研究活動を進めるとともに、研究施設の整備等を行うこととしている。このうち、厚生労働省において医薬品の試験研究や感染症その他の疾病に係る予防治療方法の研究等を引き続き推進するとともに、ゲノム科学やたんぱく質科学を用いた新薬等の研究の開発促進のための基盤整備を行うこととしている。
 また、国土交通省においては、政策企画立案の一環としての研究開発、法令に基づく技術基準の策定及び直轄事業の執行・管理に必要な研究開発を行うこととしている。
 (4) 独立行政法人経費
 各省試験研究機関経費と同様に宇宙開発関係経費、海洋開発関係経費を除いた独立行政法人の経費は、二千七百三十一億八千五百万円(十三年度当初予算額二千七百五億二千六百万円)となっており、これにより独立行政法人の各部門の研究活動を進めるとともに、研究施設の整備等を行うこととしている。このうち、文部科学省の独立行政法人においては、ナノテクノロジー・材料、放射線医療、地震防災及び次世代超音速機技術等の研究開発を推進することとしている。
 また、農林水産省の独立行政法人においては、バイオテクノロジー等先端技術開発研究の推進を図るとともに、生産現場に直結する技術開発を実施することとし、臭化メチル全廃に対応するための病害虫制御技術の開発等環境分野にも重点を置いて研究開発を実施するほか、経済産業省の独立行政法人において、ライフサイエンス、IT、環境、ナノテクノロジー・材料、エネルギー、機械・製造技術、計測標準、地質などの分野においての基礎から応用までの研究に取り組むとともに、十四年度においては、ベンチャー創生に資する研究開発等を推進することとしている。
 (5) 科学技術振興調整費
 この経費は、総合科学技術会議の方針に沿って実施する科学技術の振興に必要な重要事項の総合推進調整を行うための経費であり、十四年度においては、産学・産官共同研究の推進等により、科学技術システム改革に重点的に取り組むこととし、三百六十五億円(十三年度当初予算額三百四十三億一千万円)を計上している。
 (6) 科学技術研究費補助金・委託費等
 国際競争力のある国公私立大学づくりの一環として、新たに第三者評価による競争原理を導入した世界最高水準の大学づくりプログラムを実施することとし百八十二億一千百万円を計上している。
 また、産学官の最適な研究機関によって、国家的、社会的課題に対応した研究開発に重点的に取り組むため、新たに新世紀重点研究創生プランを創設することとし三百六十九億二千二百万円を計上している。
 大学等における科学研究及び民間における技術開発の助成には特に配意し、このうち、科学研究費補助金及び国際深海掘削計画分担金については、一千七百六億六千万円(十三年度当初予算額一千五百八十二億八千百万円)を計上するとともに、未来開拓学術研究費については、将来に向けての知的資産の形成・蓄積が期待される研究を推進するため、九十億円(十三年度当初予算額百八十七億二百万円)を計上することとしている。
 科学技術振興事業団については、戦略的創造事業として四百二十六億八千九百万円(十三年度当初予算額四百四億二千万円)を計上するなど、経済フロンティアの拡大に向け、競争的資金を活用した創造的研究開発の充実を図ることとしている。
 日本学術振興会については、独創的な研究の推進を担う優れた若手研究者を養成・確保するため、特別研究員制度の充実等を図るための経費を計上することとしている。
 ゲノム関連研究経費については、その成果を通じて基礎生命科学の進展のみならず幅広い分野における経済フロンティアの拡大等が期待されることから、理化学研究所に百八億六千八百万円(十三年度当初予算額百四十九億円)を計上するとともに、脳関連及び発生・再生研究並びに免疫・アレルギー研究についても、理化学研究所に二百十二億八千百万円(十三年度当初予算額二百六億九千六百万円)を計上するなど、関係省庁及び関係機関の連携の下、総合的に推進することとしている。
 また、疾病の解明や治療法の開発、少子高齢社会への対応等、国民の保健医療、福祉、生活衛生等のニーズに応える科学技術を推進するため、厚生労働科学研究費補助金を計上している。
 さらに、生体の持つ優れた機能の解明に係る基礎研究を国際的に共同して行うヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムを推進するため、仏国ストラスブールに設立された国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム推進機構に対する拠出金として三十八億一千二百万円(十三年度当初予算額三十九億六千四百万円)を計上している。そのほか、試験研究調査委託費を計上し、イネゲノム研究等の先端的研究の展開を図るとともに農林水産試験研究費補助金その他の試験研究費補助金等を計上し、その中で産学官の連携によるバイオテクノロジー等各種技術開発についての研究の推進を図ることとしている。
 また、産業競争力強化と経済の活性化、地球環境保全と循環型社会の実現等を目指し、ライフサイエンス、IT、環境、ナノテクノロジー・材料の重点四分野について、戦略的な研究開発の推進を図るため重点分野研究開発委託費を計上するとともに、新エネルギー・産業技術総合開発機構において、引き続き、重点四分野を中心とする産業技術研究開発事業、産業技術フェローシップ補助事業、産業技術研究助成事業等を推進することとしている。
 (7) その他の経費
 第四十四次南極地域観測については、定常観測を引き続き実施するとともに、観測船「しらせ」の設備の整備等を行うこととし、三十億六千七百万円(十三年度当初予算額二十八億九千四百万円)を計上している。
 原子力試験研究費については、各省各庁の試験研究機関等における原子力等に関連する各種試験研究の経費として二十一億六千万円(十三年度当初予算額二十四億五百万円)を計上している。
 放射能調査研究費については、放射性降下物の調査、日本周辺の海洋放射能調査、原子力軍艦寄港に伴う放射能調査等を行うための経費として十二億三千万円(十三年度当初予算額十三億三千二百万円)を計上している。
 公害防止等調査研究費については、環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)等の化学物質の健康影響に関する調査研究、地球温暖化対策を推進するための総合モニタリングシステムの基盤強化に必要な調査研究等を実施することとし、三十七億四千九百万円(十三年度当初予算額三十四億三千四百万円)を計上している。
 環境研究総合推進費については、地球環境保全のための研究を総合的に推進するための経費及び環境技術の実用化に向けた研究開発等を助成するための経費として三十六億六千万円(十三年度当初予算額三十三億五千万円)を計上している。
 地球環境保全等試験研究費については、二十億八千百万円(十三年度当初予算額二十億六百万円)を計上し、各省各庁において環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)等に関連する調査研究等を実施する。
4 文教施設費
                 (百万円)
    十四年度      一五一、四七七
    十三年度     (一七三、四四八)
              一九五、六八二
    比較増△減   (△ 二一、九七一)
             △ 四四、二〇五
 この経費は、「義務教育諸学校施設費国庫負担法」に基づき、公立学校施設整備費の一部を国が負担するために必要な経費等である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 公立学校施設については、老朽校舎の改築や補強事業を中心に、その必要事業量を確保することとしている。
 また、学校施設における安全管理対策の強化、学校と地域・家庭との連携など、直面する様々な諸課題に積極的に対応するための所要の制度改正を行うこととしている。
 (2) 高等学校産業教育施設については、産業教育のための実験・実習施設及び高度な知識・技術の習得の場である専攻科施設等の整備に係る所要の経費を計上している。
 (3) 学校給食施設については、引き続き腸管出血性大腸菌O157等の食中毒対策として、衛生管理の充実強化等を図るため所要の経費を計上している。
 (4) 学校体育諸施設については、引き続き水泳プール、武道場等の整備を図ることとし、所要の経費を計上している。
5 教育振興助成費
                 (百万円)
    十四年度      六五六、五二六
    十三年度     (六四八、三六二)
              六四四、七五一
    比較増△減      (八、一六四)
               一一、七七六
 この経費は、生涯学習の振興、義務教育教科書の無償給与、学校教育の振興、私立学校教育の助成及びスポーツの振興のために必要な経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 生涯学習振興費
 生涯にわたる多様な学習活動の振興を図るため、生涯学習の振興等について所要の経費を計上している。
 (2) 義務教育教科書費
 義務教育諸学校の児童生徒が使用する教科用図書を無償給与する等のため必要な経費を計上している。
 (3) 学校教育振興費
 (イ) 放送大学学園に対する補助については、所要の経費を計上している。
 (ロ) 定時制及び通信教育については、経済的に困難な状況にある生徒に対する修学奨励措置の充実等のため所要の経費を計上している。
 (ハ) 理科教育等設備整備費補助については、引き続き、計画的に理科教育等の振興を図るため、所要の経費を計上している。
 (ニ) 園児の保護者のうち一定の所得以下の者に対し、地方公共団体が保護者負担額を減免するための経費を補助する幼稚園就園奨励費補助については、私立幼稚園に係る減免単価の改定を行うとともに同一世帯の複数の園児の減免単価の引き上げを行うこととし、所要の経費を計上している。
 (ホ) 高等学校産業教育設備整備費補助については、産業教育のための実験・実習設備及び高度な知識・技術の習得の場である専攻科設備等の整備に係る所要の経費を計上している。
 (ヘ) 特殊教育については、特殊教育就学奨励費補助につき、帰省費の支給対象回数を増やすとともに、盲・聾(ろう)・養護学校、特殊学級等における教育設備費について、新たに一人一人の障害に対応した最新の情報機器等の整備に係る経費など所要の経費を計上している。
 (ト) 経済的理由で就学困難な児童生徒の就学援助については、援助率を引き上げる等、援助の充実を図ることとしている。
 (チ) へき地学校教育については、公立小中学校寄宿舎居住費及び高度へき地修学旅行費等について、所要の経費を計上している。
 (リ) 教育情報通信設備整備については、学校において、安全で快適に高速インターネット等を活用するために必要な教育センター等の情報通信設備等の整備に係る所要の経費を計上している。
 (ヌ) 公立大学等に対する設備整備費等補助については、高度医療等推進特別研究設備、情報処理教育設備等の整備等について、所要の経費を計上している。
 (ル) 日本体育・学校健康センターに対する補助については、所要の経費を計上している。
 (ヲ) 教職員の研修等については、初任者研修等の実施、在外教育施設における教員の派遣等について、所要の経費を計上している。
 (4) 私立学校助成費
 (イ) 私立大学等経常費補助及び高等学校以下の私立学校に対して、都道府県が行う助成の充実を図るための当面の誘導措置として五十年度から計上した私立高等学校等経常費助成費補助については、所要の増額を行っている。
 (ロ) 私立学校教育研究装置等施設整備費補助については、私立大学等の情報通信技術基盤の整備を推進するとともに、私立大学学術研究高度化推進事業の充実や大型の教育研究装置等の整備について、所要の経費を計上している。
 また、私立高等学校等については、校舎等の高機能化や防災機能の強化及び私立学校エコスクール整備推進モデル事業のための施設整備について、所要の経費を計上している。
 (ハ) 私立大学等研究設備整備費等補助については、私立大学・大学院の研究設備の高度化や私立大学等の教育研究の情報化等を図るための設備整備について、所要の経費を計上している。
 また、私立高等学校等においてコンピュータ等を活用した情報通信教育実施のための設備の整備について、所要の経費を計上している。
 (ニ) このほか、私立学校施設高度化推進事業、私立幼稚園施設整備、私立高等学校産業教育施設整備及び私立学校体育等諸施設整備の補助並びに日本私立学校振興・共済事業団補助について、所要の経費を計上している。
 (5) スポーツ振興費
 スポーツの振興については、地方スポーツの振興、社会体育施設の整備、国民体育大会の助成、国民健康体力増強等について、所要の経費を計上している。
6 育英事業費
                 (百万円)
    十四年度      一一二、六九八
    十三年度     (一二五、〇〇六)
              一二四、九一九
    比較増△減   (△ 一二、三〇八)
             △ 一二、二二一
 この経費は、優れた学生及び生徒であって経済的理由により修学に困難がある者に対し、日本育英会が学資の一部を無利子又は有利子で貸与するために必要な経費である。
 その内容は、次のとおりである。
 (1) 育英資金貸付金
 無利子貸与事業に必要な資金を日本育英会に貸し付ける経費について所要額を計上している。
 (2) 育英資金利子補給金
 財政融資資金等を原資とする有利子貸与事業に係る利子補給金について、所要額を計上している。
 (3) 日本育英会補助
 日本育英会の補助に必要な経費について、所要額を計上している。

 国債費

                 (百万円)
    十四年度   一六、六七一、二一二
    十三年度  (一七、一七〇、五三四)
           一六、二八四、〇〇一
    比較増△減  (△ 四九九、三二二)
              三八七、二一一
 この経費は、一般会計の負担に属する国債及び借入金の償還、国債及び借入金の利子等の支払に必要な経費と、これらの事務取扱いに必要な経費を国債整理基金特別会計へ繰り入れるものである。なお、「平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律」により、交付税及び譲与税配付金特別会計承継債務を定率繰入の対象とすることとしている。
 (1) 債務償還費
 この経費は、前年度首国債総額の百分の一・六に相当する額(定率繰入分)、割引国債に係る発行価格差減額の年割額に相当する額(発行差減額繰入分)、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づく産業投資特別会計からの受入金に相当する額(産業投資特別会計受入金相当額繰入分)、「所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律」に基づく減税特例国債の償還財源に充てるための額(減税特例国債償還分)並びにその他国債及び借入金の償還に必要とされる額を計上するものである。
 (2) 利子及割引料
 この経費は、国債の利子及び割引料、借入金の利子並びに財務省証券割引料の支払に必要な経費である。
 (3) 国債事務取扱費
 この経費は、国債の事務処理に必要な手数料及び事務費である。

 恩給関係費

                 (百万円)
    十四年度    一、二七二、七〇八
    十三年度   (一、三五六、一六一)
            一、三五五、七四四
    比較増△減   (△ 八三、四五三)
             △ 八三、〇三七
1 文官等恩給費
                 (百万円)
    十四年度       五二、〇四一
    十三年度      (五六、九一二)
               五六、八九一
    比較増△減    (△ 四、八七一)
              △ 四、八五一
 この経費は、国会議員互助年金、文官恩給、文化功労者年金等の支給に必要な経費である。
 十四年度においては、新規裁定による増加、失権による減少、十三年度に実施した恩給改善の平年度化等を織り込んで既定分の所要経費を算定している。また、恩給年額の改定については、十三年度の額を据え置くこととし、各種加算の引上げ等を行うことを予定している。
 これらの改定による増九百万円(平年度一千二百万円)を合わせ、五百二十億四千百万円を計上している。
2 旧軍人遺族等恩給費
                 (百万円)
    十四年度    一、一四三、八九七
    十三年度    一、二一七、九六〇
    比較増△減    △ 七四、〇六三
 この経費は、旧軍人及びその遺族等に対する恩給支給に必要な経費である。
 十四年度においては、新規裁定による増加、失権による減少、十三年度に実施した恩給改善の平年度化等を織り込んで既定分の所要経費を算定している。また、恩給年額の改定については、十三年度の額を据え置くこととし、各種加算の引上げ等を行うことを予定している。
 これらの改定による増九億七千六百万円(平年度十三億円)を合わせ、一兆一千四百三十八億九千七百万円を計上している。
3 恩給支給事務費
                 (百万円)
    十四年度        四、〇二三
    十三年度       (四、一六二)
                四、〇三七
    比較増△減      (△ 一三九)
                 △ 一四
 この経費は、文官恩給、旧軍人及びその遺族等に対する恩給並びに国会議員互助年金の支給事務等を処理するために必要な経費である。
4 遺族及び留守家族等援護費
                 (百万円)
    十四年度       七二、七四七
    十三年度      (七七、一二七)
               七六、八五六
    比較増△減    (△ 四、三八〇)
              △ 四、一〇九
 この経費は、「戦傷病者戦没者遺族等援護法」に基づく遺族年金等の支給、「戦傷病者特別援護法」に基づく療養の給付等に必要な経費である。
 (1) 引揚者等援護費については、永住帰国希望者の受入れ及び自立支援等の施策を実施することとし、十九億一千六百万円を計上している。
 (2) 戦傷病者戦没者遺族等援護費については、新規裁定による増加、失権による減少、十三年度に実施した遺族年金等の改善の平年度化等を織り込んで既定分の所要経費を算定しているほか、恩給に準じて各種加算の引上げ等の措置を講ずることを予定しており、これによる増八千二百万円(平年度一億一千万円)を合わせ、六百七十八億九千八百万円を計上している。
 (3) 戦傷病者等援護費については、療養の給付等について最近の実績による減少を見込んで、十八億三千二百万円を計上している。

 地方交付税交付金等

                 (百万円)
    十四年度   一七、〇一一、五七五
    十三年度  (一六、八二二、九六五)
           一六、七〇五、六〇四
    比較増△減    (一八八、六一〇)
              三〇五、九七一
1 地方交付税交付金
                 (百万円)
    十四年度   一六、一〇七、九八七
    十三年度  (一五、九二一、一四七)
           一五、八〇三、七八六
    比較増△減    (一八六、八四〇)
              三〇四、二〇一
 この経費は、所得税及び酒税、法人税、消費税並びにたばこ税の収入額のそれぞれ一定の割合の額を、地方交付税交付金として、交付税及び譲与税配付金特別会計を通じて地方団体に交付するために必要な経費である。
 十四年度においては、各税の収入見込額の一定割合(以下、この割合を交付税率といい、所得税及び酒税にあっては百分の三二、法人税にあっては百分の三五・八、消費税にあっては百分の二九・五、たばこ税にあっては百分の二五)に相当する額十二兆七千三百十七億八千七百万円に、九年度及び十年度の地方交付税の精算額のうち「地方交付税法」に基づき十四年度分の交付税の総額から減額することを定められている額八百七十億円を控除し、三兆四千六百三十二億円を加算した額十六兆一千七十九億八千七百万円を地方交付税交付金として計上している。
 十四年度の地方財政については、歳出面で、国の歳出の見直しと歩調を合わせつつ、地方の歳出を見直すこととしているものの、歳入面では、なお厳しい景気情勢と十一年度の恒久的な減税の影響により、引き続き厳しい状況が見込まれる。この結果、十兆六千六百五十億円の財源不足(ほか、恒久的な減税の影響分三兆四千五百九億七千六百万円)が見込まれ、極めて厳しい状況にある。
 十四年度においては、以上のような大幅な財源不足に対し、国・地方を通じて財政事情が極めて厳しい中、国と地方という公経済の車の両輪がバランスのとれた財政運営を行う必要があるという基本的考え方を踏まえ、国と地方を通ずる財政の透明化を進める観点から国・地方折半による交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金を縮減し、国負担分については一般会計からの特例加算、地方負担分については、「地方財政法」第五条の特例となる地方債(臨時財政対策債)により補てんする割合を高めつつ、地方財政の運営に支障を生じることのないよう所要の措置を講ずることとしている。
 十四年度の地方財政に係る具体的な措置の内容は、次のとおりである。
 (1) 十四年度の通常収支分に係る財源不足額十兆六千六百五十億円については、
 (イ) 地方債措置として、いわゆる財源対策債の増発一兆九千二百億円
 (ロ) 「地方交付税法」において一般会計から加算することと定められている額の加算による地方交付税の増額措置二千九百七十八億円(内訳は、同法附則第四条の二第六項において十四年度に加算することと定められている額(一千四百億円)、同条第二項に基づく八年度、九年度、十年度、十一年度、十二年度、十三年度及び十四年度の交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金のうち国負担分に係る利子相当額の加算一千五百七十八億円)
 (ハ) 地方負担に係る十三年度補正(特第一号)における交付税及び譲与税配付金特別会計での借入金三百九十一億円の元利償還に相当する額三百九十四億円及び十三年度並びに十四年度に発行された臨時財政対策債の利払いに相当する額五百四十一億円についての臨時財政対策債の発行九百三十五億円
 以上の措置を行った上で、なお残る八兆三千五百三十七億円について、国と地方を通ずる財政の透明化を進める観点から、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金により補てんする割合を四分の一(十三年度二分の一)に縮減し、以下の措置を講ずることとしている。
 (ニ) 臨時財政対策債の発行三兆一千三百二十六億円
 (ホ) 一般会計からの特例加算による地方交付税の増額措置三兆一千三百二十六億円
 (ヘ) 交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金による地方交付税の増額措置二兆八百八十五億円(うち、一兆四百四十二億五千万円については、その償還に必要な財源を二十年度以降に地方交付税交付金の額に加算することとしている。)
 (2) 恒久的な減税の十四年度における影響額三兆四千五百九億七千六百万円については、十一年度に決定した地方財政対策の枠組みに従って対応することとし、
 (イ) 地方税の減収見込額一兆九千四百十八億円について、国のたばこ税の税率引下げと同額の地方たばこ税の税率引上げによる地方たばこ税の増収措置一千二百八十一億円、法人税の交付税率引上げ(百分の三・八)四千二百四十六億一千二百万円、地方特例交付金九千三十五億八千八百万円及び減税補てん債の発行四千八百五十五億円により、地方税の減少額を全額補てんすることとしている。
 (ロ) 国税の減税の影響分一兆五千九十一億七千六百万円については、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金一兆四千七百六十三億七千六百万円及び「地方交付税法」附則第四条の二第三項に基づく十一年度、十二年度、十三年度及び十四年度の同特別会計借入金のうち、国負担分に係る利子相当額の加算三百二十八億円により、国税の減収による地方交付税の減少の影響額を補てんすることとしている。
 (3) 以上の結果、十四年度に地方団体に交付する地方交付税の総額は、一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れられる地方交付税交付金十六兆一千七十九億八千七百万円に、剰余金の活用四千八百億円及び同特別会計における借入金三兆五千二百五十七億七千六百万円を加算した額から、同特別会計の借入金等利子負担額五千六百八十九億円を控除した額十九兆五千四百四十八億六千三百万円(十三年度比八千四十八億九千七百万円、四・〇%の減(前年度繰越額五千三百二十八億四千九百万円を除く当初予算に対しては二千七百二十億四千九百万円、一・四%の減))となっている。
 (4) 地方税については、最近における社会経済情勢に対応して早急に実施すべき措置として、特別土地保有税の徴収猶予制度の拡充、株式譲渡益に係る個人住民税の申告不要の特例の創設等の措置を講ずるほか、固定資産税における縦覧制度の見直し等を行うとともに、非課税等特別措置の整理合理化等のため所要の措置を講ずることとしている。
 (5) 地方債については、地方財源の不足に対処するための措置を講ずるとともに、極めて厳しい地方財政の状況の下で、その健全性の確保に留意しつつ、個性と活力ある地域社会の構築を目指して、循環型社会の形成、少子・高齢化への対応、都市の再生、科学技術の振興、ITを活用した社会・経済活動の活性化等地方公共団体が当面する政策課題に重点的・効率的に対応し得るよう、所要の地方債資金の確保を図ることを基本として、十四年度の地方債計画を策定し、地方債計画総額は十六兆五千二百三十九億円(十三年度十六兆四千九百九十八億円)を予定している。
 また、地方債に充てる資金については、地方財政の円滑な運営に十分配慮するため、政府資金七兆六千億円(十三年度七兆八千百億円)を予定している。
 さらに、公営企業金融公庫についても地方向け貸付規模一兆九千億円(十三年度一兆九千六百億円)を確保し、これに応じて政府保証国内債を一兆三千九百二十億円(十三年度一兆五千三百七十億円)、政府保証外債一千四百億円(十三年度一千四百億円)を発行することとしている。
 (6) 以上のほか、補助金等については、「地方分権推進計画」(十年五月二十九日閣議決定)及び「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(十三年六月二十六日閣議決定)等を踏まえ、国の負担が特に必要なものに限定するとの観点から、全ての行政分野において聖域なく見直しを行い、その整理合理化を積極的に推進している。特に、地方公共団体に対する補助金等のうち、いわゆる「制度的補助金等」であって国庫補助金として区分されているものについては、厳しい見直しを行い、縮減を図ることとしている。
2 地方特例交付金
                 (百万円)
    十四年度      九〇三、五八八
    十三年度      九〇一、八一八
    比較増△減       一、七七〇
 この経費は、「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律」に基づき、恒久的な減税の影響による地方税収入の減少の一部を補てんするため、当分の間の措置として、交付税及び譲与税配付金特別会計を通じて地方特例交付金を地方公共団体に交付するために必要な経費であり、十四年度は、九千三十五億八千八百万円を計上している。

 防衛関係費

                 (百万円)
    十四年度    四、九五五、九九九
    十三年度   (四、九五五、三〇〇)
            四、九七五、〇七三
          比較増△減  (六九九)
             △ 一九、〇七四
 この経費は、自衛隊の管理及び運営並びにこれに関する事務、条約に基づく外国軍隊の駐留及び「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定」(以下「相互防衛援助協定」という。)の規定に基づくアメリカ合衆国政府の責務の本邦における遂行に伴う事務並びに安全保障会議の事務に関するものとして計上される経費である。
 十四年度においては、十二年十二月十五日の安全保障会議及び閣議において決定された「中期防衛力整備計画(平成十三年度〜平成十七年度)」等の下、効率的で節度ある防衛力の整備を行うため、装備品の調達価格の引下げ等経費の一層の効率化・合理化を図りつつ、ITを活用した高度ネットワーク環境整備等所要の経費を計上している。
 なお、SACO関係経費として百六十五億二千百万円を計上している。
 (1) 防衛本庁
                 (百万円)
    十四年度    四、三八〇、三五八
    十三年度   (四、三六五、四八三)
            四、三七五、五八五
 この経費は、防衛本庁の業務の遂行に要する経費である。
 また、新たに、継続費として総額一千九百三十三億一千万円(うち十四年度歳出分二十一億九千四百万円)、国庫債務負担行為として総額一兆四千六百二十九億五千万円(うち十四年度歳出分六十一億四千万円)を計上している。
 継続費は、全額艦船建造のためのものである。
 なお、前金の支払方法の変更に伴い、継続費の総額及び年割額の改定並びに国庫債務負担行為の限度額の増額を行っている。
 十四年度の防衛関係費においては、正面装備について、諸外国の技術的水準の動向に対応し得るよう、老朽装備の更新・近代化を基本として、所要の整備を行うこととしている。後方分野については、自衛隊の維持運営、情報収集・分析体制の強化、指揮通信機能の充実及び安全保障対話等の活動の充実を図ることとしている。
 具体的業務の主なものは次のとおりである。
 (イ) ITを活用した高度ネットワーク環境整備等を推進するとともに、重要事態への対処として、各種災害への対応、多様な事態(生物兵器攻撃等)への対処能力の強化等の重点事項を計上している。
 (ロ) 陸上自衛隊においては、90式戦車十八両、99式自走一五五ミリりゅう弾砲七両、多連装ロケットシステムMLRS三両、車両、通信機等の装備品、戦闘ヘリコプターAH―64D二機、輸送ヘリコプターCH―47JA二機等の航空機十二機及び弾薬の調達を行うとともに、各種器材及び施設の整備等を図ることとしている。
 (ハ) 海上自衛隊においては、甲W型警備艦(七千七百トン型)一隻、潜水艦(二千七百トン型)一隻、掃海艇(五百十トン型)一隻の建造並びに哨戒ヘリコプターSH―60K七機及び救難飛行艇US―1A一機等の航空機十一機及び魚雷、機雷等弾薬の調達を行うとともに、各種器材及び施設の整備等を図ることとしている。
 (ニ) 航空自衛隊においては、支援戦闘機F―2八機、輸送ヘリコプターCH―47J二機、ボーイング767空中給油・輸送機一機等の航空機二十三機並びに所要の地対空誘導弾及び弾薬の調達を行うとともに、各種器材及び施設の整備等を図ることとしている。
 (ホ) 技術研究本部においては、現有戦車の後継戦車の開発に着手するほか、ITを始めとする科学技術の著しい進展に対応した各種研究開発を実施することとしている。
 (2) 防衛施設庁
                 (百万円)
    十四年度      五七五、三三五
    十三年度     (五八九、五一三)
              五九九、二〇三
 この経費は、防衛施設庁の業務の運営に必要な経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (イ) 調達労務管理費
 この経費は、アメリカ合衆国軍隊等が使用する駐留軍等労働者の労務管理、離職者対策、福祉対策、従業員対策を行うために必要な経費である。
 なお、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」(以下「特別協定」という。)に基づき基本給等を負担することとしている。
 また、SACO関係経費については、技能教育訓練を行うための経費として、五百万円を計上している。
 (ロ) 独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構運営費
 この経費は、独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構に対する運営費交付金である。
 (ハ) 施設運営等関連諸費
 この経費は、「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」等に基づき、自衛隊施設及び「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」(以下「地位協定」という。)等に基づく提供施設の維持運営等に関連し必要な土地の購入及び借上げ、各種の補償、障害及び騒音の防止措置、飛行場等周辺の移転措置、民生安定施設の助成措置等を行うために必要な経費であり、十四年度においては、以下の経費を計上している。
 @ SACO関係経費については、施設の整備及び基地周辺対策等を行うための経費として百二億八千八百万円を計上している。
 A SACO関係経費以外については、基地周辺対策事業費として一千四百四十一億五千四百万円(十三年度当初予算額一千四百七十九億六千二百万円)、国庫債務負担行為の総額は三百二十六億八千百万円となっている。
 なお、このうち、周辺整備調整交付金については、所要の経費百三十億円(十三年度当初予算額百三十億円)を計上している。
 また、在日米軍への提供施設の整備を行うための経費として七百五十三億一千三百万円(十三年度当初予算額八百十九億二千百万円)、国庫債務負担行為として総額七百二十三億七千五百万円を計上している。そのほか、特別協定に基づき、在日米軍に係る経費のうち光熱水料等及び訓練移転費を負担することとしている。
 (ニ) 提供施設移設整備費
 この経費は、地位協定に基づき、現在提供中の施設及び区域の返還を受けるため、当該施設及び区域を集約移転するために必要な経費である。
 このうち、SACO関係経費については、提供施設の移設整備を行うための経費として、六十二億二千八百万円を計上している。
 (ホ) 相互防衛援助協定交付金
 この経費は、相互防衛援助協定に基づく交付金である。
 (3) 安全保障会議
                 (百万円)
    十四年度          三〇六
    十三年度         (三〇四)
                  二八五
 この経費は、安全保障会議の運営等に要する経費である。

 公共投資関係費

                 (百万円)
    十四年度    九、二五二、五四二
    十三年度  (一〇、三六五、八八六)
           一〇、九四〇、六九八
    比較増△減(△ 一、一一三、三四四)
          △ 一、六八八、一五六
 うち公共事業関係費
    十四年度    八、四二三、九〇五
    十三年度   (九、四三三、五三四)
            九、九〇四、六四七
    比較増△減(△ 一、〇〇九、六二九)
          △ 一、四八〇、七四二
 公共投資関係費は、治山治水対策事業費、道路整備事業費、港湾空港鉄道等整備事業費、住宅都市環境整備事業費、下水道水道廃棄物処理等施設整備費、農業農村整備事業費、森林水産基盤整備事業費、調整費等及び公共土木施設等の災害復旧等事業費の公共事業関係費とその他施設費に大別される。
 このほか、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づき貸付けを受けて実施される公共的建設事業として、産業投資特別会計社会資本整備勘定に九百三十八億円計上している。
 この両者の合計額は次のようになる。
                 (百万円)
    十四年度    九、三四六、三六六
    十三年度  (一〇、四五九、一〇二)
           一三、五一二、一二五
    比較増△減(△ 一、一一二、七三六)
          △ 四、一六五、七五九
 以下の説明は、特に注記のない限り、この両者の合計額について行う。
 以下、公共投資関係費について事項別に説明する。
1 治山治水対策事業費
                 (百万円)
    十四年度    一、二七二、〇〇五
    十三年度   (一、四四四、三九四)
            一、八一八、六六一
    比較増△減  (△ 一七二、三八九)
            △ 五四六、六五六
 (1) 治水事業
                 (百万円)
    十四年度    一、〇二五、五九三
    十三年度   (一、一六〇、三四七)
            一、四六二、四七一
 治水事業については、被災河川対策を中心とする河川改修、既存施設の有効活用等による効率的、効果的なダム建設及び頻発する土砂災害を踏まえた砂防工事等に重点を置いて、事業の推進を図ることとしている。
 (2) 治山事業
                 (百万円)
    十四年度      一五八、八八一
    十三年度     (一八三、七〇二)
              二三三、三〇六
 治山事業については、近年における山地災害の発生状況等にかんがみ、予防治山、荒廃山地の復旧、水土保全機能が低下した森林整備等に重点を置いて推進することとしている。また、国有林野内治山事業については、一般会計の負担で直轄事業及び補助事業を行うこととしている。
 (3) 海岸事業
                 (百万円)
    十四年度       八七、五三一
    十三年度     (一〇〇、三四五)
              一二二、八八四
 海岸事業については、台風常襲地帯、大規模な侵食のある海岸等を重点的に整備することとしている。
2 道路整備事業費
                 (百万円)
    十四年度    二、三一五、一〇一
    十三年度   (二、五九六、五〇七)
            三、〇八六、九三六
    比較増△減  (△ 二八一、四〇六)
            △ 七七一、八三五
 道路整備事業については、都市の再生に資する大都市圏環状道路の整備、交通渋滞の解消・緩和を図る連続立体交差事業、交通結節点整備など交通連携推進事業、また、地域の自立的な発展や人流・物流を支え地域間の交流・連携を強化する道路整備等に重点を置いて事業の推進を図ることとしている。
3 港湾空港鉄道等整備事業費
                 (百万円)
    十四年度      五八九、三〇九
    十三年度     (六五九、三六一)
              七八〇、八二八
    比較増△減   (△ 七〇、〇五二)
            △ 一九一、五一九
 この経費は、港湾、空港、都市・幹線鉄道、新幹線鉄道及び航路標識の公共施設整備のための経費である。
 (1) 港湾整備事業
                 (百万円)
    十四年度      三〇九、七一二
    十三年度     (三四六、六〇七)
              三九一、四六一
 港湾整備事業については、市民生活の安定と産業の国際競争力を支えるために不可欠である中枢・中核国際港湾における国際海上コンテナターミナル及び国際幹線航路の整備、また、循環型経済社会の構築など環境問題への対応に資する廃棄物埋立護岸の整備を最重点施策として、効率的・効果的に推進する。
 (2) 空港整備事業
                 (百万円)
    十四年度      一四六、四〇六
    十三年度     (一六三、七九五)
              二一二、四九九
 空港整備事業については、新東京国際空港、関西国際空港、中部国際空港等の大都市圏拠点空港の整備を中心とし、環境対策、航空路施設の整備等の推進を図ることとしている。
 (3) 都市・幹線鉄道整備事業
                 (百万円)
    十四年度       五六、九二七
    十三年度      (六六、九二〇)
               九一、六八二
 この経費は、地方公共団体等が施行する地下高速鉄道整備事業及びニュータウン鉄道等整備事業、民間事業者が施行する幹線鉄道等活性化事業及び鉄道駅総合改善事業並びに日本鉄道建設公団等が施行する鉄道防災事業及び地方鉄道新線整備事業に対し補助するために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (4) 新幹線鉄道整備事業
                 (百万円)
    十四年度       七〇、〇〇〇
    十三年度       七五、〇〇〇
 この経費は、十二年十二月十八日の政府・与党整備新幹線検討委員会の申合せを受け、日本鉄道建設公団が施行する北陸新幹線長野―富山間、九州新幹線博多―新八代間等の建設に必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (5) 航路標識整備事業
                 (百万円)
          十四年度  六、二六四
         十三年度  (七、〇三九)
               一〇、一八六
 この経費は、灯台、電波標識等の整備に必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
4 住宅都市環境整備事業費
                 (百万円)
    十四年度    一、四六三、二九九
    十三年度   (一、五四八、二〇四)
            一、七六三、七三九
    比較増△減   (△ 八四、九〇五)
            △ 三〇〇、四四〇
 (1) 住宅対策
                 (百万円)
    十四年度      九二九、六三四
    十三年度   (一、〇五七、八三七)
            一、一八七、八九八
 住宅対策については、十四年度、公営住宅等九万七千戸、改良住宅等二千六百戸、公庫住宅五十万戸、公団住宅一万一千八百戸(都市基盤整備公団については、財政投融資計画の説明参照)、計六十一万一千四百戸の公的住宅の建設を予定している。
 (イ) 公営住宅整備事業等及び住宅地区改良事業補助等
 十四年度の建設予定戸数は、公営住宅を三万三千戸、高齢者向け優良賃貸住宅等を三万五千戸とし、特定優良賃貸住宅二万九千戸と合わせて公営住宅等について九万七千戸とするとともに、改良住宅については二千六百戸、計九万九千六百戸(十三年度当初公営住宅等九万三千戸、改良住宅二千九百戸、計九万五千九百戸)としており、公営住宅家賃収入補助等を含め、三千九百九十九億二千三百万円を計上している。
 (ロ) 住宅金融公庫補給金等
 十四年度の住宅金融公庫融資予定戸数は五十万戸(十三年度当初計画五十五万戸)であり、宅地造成融資等と合わせて財政融資資金等四兆九千六百九十九億円を投入することとしているが、補給金等については三千七百五十九億円(十三年度予算額四千四百三十億円)を計上している。
 (ハ) 農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給金等
 農地所有者等による良好な賃貸住宅の建設を促進することとし、五千戸の賃貸住宅の建設を予定している。
 (ニ) 住宅宅地関連公共施設等総合整備事業費補助等
 住宅の建設及び宅地の開発を促進するため、住宅宅地関連公共施設等総合整備事業費補助等四百七十七億六千七百万円及び宅地開発に関連した公共施設整備のための貸付金十八億円(収益回収公共事業資金貸付金)を計上している。
 (ホ) 住宅市街地整備総合支援事業費補助
 大都市等の既成市街地における住宅建設と環境整備を促進するため、住宅市街地整備総合支援事業費補助六百六十六億七千百万円を計上している。
 (2) 都市環境整備事業
                 (百万円)
    十四年度      五三三、六六五
    十三年度     (四九〇、三六七)
              五七五、八四一
 都市環境整備事業については、まちづくり総合支援事業による地域の創意工夫を活かしたまちづくり、市街地再開発事業、都市再生推進事業等による民間活力を活用した都市の高度利用と都市機能の更新を進めるとともに、安全で快適な通行空間の確保や都市景観の向上等を図るための電線類の地中化、大気汚染等の沿道環境問題への対策、少子・高齢化へ対応するための歩行空間のバリアフリー化、水質改善等の河川環境整備等により都市環境の整備を推進することとしている。
5 下水道水道廃棄物処理等施設整備費
                 (百万円)
    十四年度    一、四五七、六四二
    十三年度   (一、六五九、八二八)
            一、九〇〇、一二六
    比較増△減  (△ 二〇二、一八六)
            △ 四四二、四八四
 この経費は、上下水道、廃棄物処理、工業用水道、都市公園、自然公園及び情報通信基盤の施設の整備等を行うために必要な経費である。
 (1) 下水道事業
                 (百万円)
    十四年度      九四五、五一八
    十三年度    一、一六〇、六四二
 十四年度においては、下水道の普及を促進するため、引き続き、一般都市の公共下水道の整備を推進することとして、総事業費二兆六千八百十六億九千二百万円を予定している。
 (2) 水道施設整備費
                 (百万円)
    十四年度      一五五、三六二
    十三年度      一八八、一六四
 この経費は、簡易水道等施設、水道水源開発等施設の整備を推進するために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (3) 廃棄物処理施設整備費
                 (百万円)
    十四年度      一七九、七〇六
    十三年度     (一九二、四〇〇)
              三〇三、四一六
 この経費は、廃棄物処理施設及び合併処理浄化槽の整備を推進するために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (4) 工業用水道事業
                 (百万円)
    十四年度        七、八六四
    十三年度       一一、〇八七
 この経費は、工業地帯における地下水汲み上げによる地盤沈下の防止と立地条件の整備を目的として敷設される工業用水道の事業費の一部を補助するために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (5) 都市公園事業
                 (百万円)
    十四年度      一四八、六五五
    十三年度     (一六七、三一七)
              一八六、五二六
 都市公園事業として一般会計に計上されるのは、一千四百八十五億円であり、国営公園及び都市公園等の整備を行うために必要な経費、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」に基づく特別保存地区内の整備に要する経費並びに「首都圏近郊緑地保全法」、「近畿圏の保全区域の整備に関する法律」及び「都市緑地保全法」に基づく緑地保全に必要な経費である。
 また、産業投資特別会計社会資本整備勘定に計上されるのは、同勘定から都市開発資金融通特別会計へ繰り入れる都市開発資金特別貸付金財源一億五千五百万円(収益回収公共事業資金)である。
 (6) 自然公園等事業
                 (百万円)
    十四年度       一四、六八七
    十三年度      (一七、〇〇二)
               一八、九五〇
 この経費は、国立・国定公園、国民公園等の施設の整備を行うために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (7) 情報通信格差是正事業
                 (百万円)
    十四年度        五、八五〇
    十三年度       (五、七五〇)
               三一、三四一
 この経費は、「e−Japan重点計画」(十三年三月二十九日)、「e−Japan2002プログラム」(十三年六月二十六日)等を踏まえ、「世界最先端のIT国家の実現」を目指す観点から、地域間のデジタル・ディバイド発生の防止、電子自治体の着実な構築等に資する情報通信インフラ(移動通信用鉄塔、地域イントラネット等)の整備を推進するために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
6 農業農村整備事業費
                 (百万円)
    十四年度      九二四、一七〇
    十三年度   (一、〇七六、六〇九)
            一、二四二、五三九
    比較増△減  (△ 一五二、四三九)
            △ 三一八、三六九
 農業農村整備事業は、農業の生産性の向上を目的とするかんがい排水事業、圃場整備事業その他の農業生産基盤整備事業、農村の生活環境の向上等に資する農道整備事業、農業集落排水事業その他の農村整備事業及び農村地域の農地等保全管理事業で構成されている。
 十四年度においては、効率的・安定的な経営体の育成等を通じた国内農業の体質強化及び農村地域の生活環境の整備に資する事業に重点を置きつつ、引き続き本事業の推進を図ることとし、このための経費として一般会計に九千二百四十一億七千万円を計上している。
 事業別の内容は、次のとおりである。
 (1) 農業生産基盤整備事業
                 (百万円)
    十四年度      四八〇、三五三
    十三年度     (五六三、八三二)
              六四四、六八一
 農業用用排水施設の新設又は改修、効率的・安定的な経営体の育成等に重点を置いた圃場条件の整備や畑地帯の条件整備等農業の生産性の向上を目的とする事業である。
 なお、十四年度の畑地帯総合農地整備事業には牛肉等関税収入を財源とする事業費(九十四億五千三百万円)が含まれている。
 (2) 農村整備事業
                 (百万円)
    十四年度      三三〇、二二三
    十三年度     (三八三、八〇六)
              四四〇、九〇九
 農道の新設又は改修、農業集落排水、農村の総合的な整備等農村の生活環境の向上等に資する事業である。
 (3) 農地等保全管理事業
                 (百万円)
    十四年度      一一三、五九四
    十三年度     (一二八、九七〇)
              一五六、九四八
 農地の防災・保全、土地改良施設の管理等農村地域における農地等の保全管理を図る事業である。
7 森林水産基盤整備事業費
                 (百万円)
    十四年度      三七八、九四三
    十三年度     (四三一、九二二)
              四六四、二六〇
    比較増△減   (△ 五二、九七九)
             △ 八五、三一七
 (1) 森林整備事業
                 (百万円)
    十四年度      一七九、七八九
    十三年度      二二三、四三九
 十三年に改正された「森林・林業基本法」において、森林の有する多面的機能の持続的発揮と山村振興への配慮が基本理念とされたこと等を踏まえ、重視すべき森林の機能区分(水土保全林、森林と人との共生林、資源の循環利用林)等に応じ、効率的・効果的な事業展開が可能で、かつ、施策目的が明確な事業体系となるよう、「森林保全整備事業」と「森林環境整備事業」を「森林整備事業」に再編・統合する。
 森林整備事業については、重視すべき森林の機能区分等に応じた森林整備の推進を図るとともに、山村の生活環境の整備や居住地周辺の森林整備等を行うこととしている。
 また、緑資源公団の施行する大規模林道事業、水源林造成事業等について、その推進を図ることとしている。
 (2) 水産基盤整備事業
                 (百万円)
    十四年度      一九九、一五四
    十三年度     (二二七、七四〇)
              二四〇、八二一
 効率的な水産基盤の整備による水産業の抜本的な構造改革を推進するため、現行の漁港整備長期計画及び沿岸漁場整備開発計画を統合し、施策の目的や成果に重点を置いた平成十四年度を初年度とする漁港漁場整備長期計画を策定する。
 水産基盤整備事業については、我が国二百海里水域内水産資源の持続的利用と安全で効率的な水産物供給体制の整備、資源の回復を図るための水産資源の生息環境となる漁場等の積極的な保全・創造、水産業の振興を核とし良好な生活環境の形成を目指した漁村の総合的な振興を図るため、漁港・漁場・漁村といった水産基盤の整備を総合的に実施することとしている。
8 調整費等
                 (百万円)
    十四年度       四四、五八六
    十三年度       三七、二五一
    比較増△減       七、三三五
 この経費は、国土総合開発事業調整費、都市再生プロジェクト事業推進費、北海道特定特別総合開発事業推進費、特定開発事業推進調査費及び沖縄北部特別振興対策特定開発事業推進費である。
 国土総合開発事業調整費は、「国土総合開発法」、「東北開発促進法」等に基づく地域又は区域において実施する開発、保全に関する事業の効率的・一体的実施を図るための各省各庁の所管する事業間の調整を図るほか、全国総合開発計画、東北開発促進計画等の推進を図るため実施する開発、保全に関する事業の調査の総合的な調整、さらに生活空間倍増戦略プランの一環として市町村等が策定した地域戦略プランに係る事業の推進調整を図るために必要な経費であり、一般会計に二百二十九億九千九百万円を計上している(なお、地域戦略プランの推進調整に必要な経費のうち、公共事業関係費以外の経費については、別途一般会計に地域戦略プラン調整費として五億円を計上している。)。
 都市再生プロジェクト事業推進費は、都市再生本部において決定された都市再生プロジェクト及びこれに関連する事業の推進等を図るために必要な経費として、一般会計に百五十億円を新規に計上したものである。
 北海道特定特別総合開発事業推進費は、「北海道開発法」に基づく北海道総合開発計画に関する特定の特別総合開発事業の推進等を図るために必要な経費であり、一般会計に十四億円を計上している。
 特定開発事業推進調査費は、北海道及び沖縄における特定の開発事業の実施を推進するために必要な調査費であり、一般会計に一億八千七百万円を計上している。
 沖縄北部特別振興対策特定開発事業推進費は、沖縄県の均衝ある発展を図る必要があることにかんがみ、北部地域の振興事業を進めるために実施する「沖縄振興特別措置法」に基づく沖縄振興計画に関する特定の振興開発事業の推進等に必要な経費であり、一般会計に五十億円を計上している。
 なお、これらの経費は、実施に当たって、国土交通省、農林水産省等の各省各庁に移し替えることができることとなっている。
9 災害復旧等事業費
                 (百万円)
    十四年度       七二、六七四
    十三年度      (七二、六七四)
              三八一、七〇五
    比較増△減          (〇)
            △ 三〇九、〇三一
 この経費は、公共土木施設、農林水産業施設等の災害復旧事業及び災害関連事業を行うために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (1) 災害復旧事業
 十三年以前に発生した災害の復旧事業については、事業の促進を図ることとし、また、当年発生災害については、発生を見込み迅速な対応を行うこととしている。
 (2) 災害関連事業
 災害復旧事業と合併して施行する一般関連事業及び助成事業については、災害復旧事業の進捗状況を考慮して事業の推進を図ることとしている。また、山地崩壊等の災害に対しては、災害関連緊急事業により緊急に対応することとしている。
10 その他施設費
                 (百万円)
    十四年度      八二八、六三七
    十三年度     (九三二、三五二)
            二、〇三六、〇八〇
    比較増△減  (△ 一〇三、七一五)
          △ 一、二〇七、四四三
 この経費は、国立学校施設、保育所、特別養護老人ホーム等の施設の整備を行うために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 なお、その他施設費は、社会保障関係費、文教及び科学振興費等他の経費の内数であるため、この説明は他の経費の説明の再掲となっている。

 経済協力費

                 (百万円)
    十四年度      八五六、五八三
    十三年度     (九五六、一七九)
              九五五、二五〇
    比較増△減   (△ 九九、五九六)
             △ 九八、六六七
 この経費は、経済協力のための諸施策の実施に必要な経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 経済開発等援助費(二国間無償資金協力)
 アフガニスタン及び周辺国支援への対応等の観点から、「セクター・プログラム無償」及び「緊急無償」の拡充や「紛争予防・平和構築無償」の新設を行うとともに、NGOを通じた援助を強化する観点から、「日本NGO支援無償」を新設するなどの重点化を図ることとし、二千八十五億六千六百万円を計上している。
 (2) 食糧増産等援助費(二国間無償資金協力)
 食糧問題の解決に資するため、開発途上国における計画的な食糧増産に寄与するための援助及び食糧の援助に必要な額として、二百三十五億一千二百万円を計上している。
 (3) 国際協力事業団事業費
 国際協力事業団事業費については、青年海外協力隊及びシニア海外ボランティアの派遣人数の維持、草の根技術協力の新設、国際協力推進員数の増加等を図る一方、単価の見直し等事業の効率化、開発協力事業に係る経費の縮減を行うこととし、所要の交付金一千六百八十八億五千五百万円を計上している。また、横浜国際センターの施設整備に必要な経費として、施設整備費補助金十二億円を計上している。
 (4) 外国人留学生経費
 外国人留学生経費については、国費外国人留学生の新規受入れ人数の増加、私費外国人留学生に対する援助の充実等を図ることとし、四百二十億七千九百万円を計上している。
 (5) 国際分担金・拠出金等
 エイズ、結核等の感染症の予防、治療等を支援する「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」に対して新たに八十四億二千五百万円の拠出を行うとともに、難民支援等を行う「国際連合開発計画」や「国際連合難民高等弁務官事務所」等に対する拠出金を拡充する一方、国際機関拠出金全般について見直しを行うこととし、一千六百億二千三百万円を計上している。
 (6) 国際協力銀行出資金
 国際協力銀行(財政投融資計画の説明参照)については、海外経済協力勘定の投融資規模を七千六百億円とし、その財源の一部として一般会計出資金二千百九十一億円を計上している。

 中小企業対策費

                 (百万円)
    十四年度      一八六、〇八五
    十三年度     (一九五、九一六)
              四三九、七九六
    比較増△減    (△ 九、八三一)
            △ 二五三、七一一
 この経費は、中小企業の創業・経営革新に向けた自助努力の促進及び経営基盤の強化等の諸施策を実施するために必要な経費である。
 十四年度においては、十一年に改正された「中小企業基本法」の新しい理念を踏まえつつ、中小企業の創業・経営革新の推進支援や中小企業に対する資金供給の円滑化等に重点を置くとともに、中小企業の事業環境の整備、中小企業の経営支援、小規模事業対策及び中小企業の技術力強化等を図ることとしている。
 なお、政府系中小企業金融三機関(国民生活金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫)に対する財政投融資については、所要の規模を確保するとともに、貸付制度の改善等を図ることとしている。
 主な施策の内容は、次のとおりである。
 (1) 中小企業の事業環境の整備
 中小企業の事業環境の整備については、創業・経営革新の全国的な展開を促進するための意識喚起事業、中小企業の国際化対策及び中小企業取引適正化対策の実施等のために必要な経費として、四十四億七千万円を計上している。
 (2) 中小企業総合事業団の事業運営
 中小企業総合事業団が店頭公開等を目指すベンチャー企業等を支援するために行う中小企業ベンチャー総合支援センターの運営に必要な経費を計上するとともに、中小企業による技術開発の促進並びに小規模企業共済制度及び中小企業倒産防止共済制度の円滑な運営等に必要な経費として、二百億四千五百万円を計上している。
 (3) 中小企業の経営支援
 中小企業の経営支援については、都道府県等の支援拠点による支援体制整備事業等の実施、身近な相談窓口として地域中小企業支援センターの運営等にかかる経費として、二百九十四億三千四百万円を計上している。
 (4) 小規模事業対策
 小規模事業対策については、商工会・商工会議所が実施する創業・経営革新セミナーの実施等、中小企業の創業・経営革新を推進するための人材育成・能力開発事業に対する支援を抜本的に強化するほか、地域の小規模企業の活性化を図るための事業等を行うこととして、百六十九億二百万円を計上している。
 (5) 小企業等経営改善資金
 小企業等経営改善資金融資制度の貸付規模については、五千五百億円を確保することとしている。
 また、同制度を円滑に実施するため、財政融資資金二百十億円及び小企業等経営改善資金の融資機関である国民生活金融公庫に対する小企業等経営改善資金融資補給金四十億七千九百万円を計上している。
 (6) 中小企業の技術力強化
 中小企業の技術力強化については、創造的な技術研究開発に対する経費の補助等を行うこととして、七十二億二百万円を計上している。
 (7) 中小企業総合事業団信用保険部門出資等
 中小企業に対する信用補完の充実を図るため、中小企業総合事業団信用保険部門に対して、二百八十九億六千万円の出資を行うとともに、信用保証協会基金補助金として、資金供給円滑化信用保証協会基金補助金四十二億円を計上することとしている。
 また、国民生活金融公庫及び中小企業金融公庫については、それぞれ二百二十億円、百九十七億円の補給金を計上している。
 (8) 中小企業退職金共済制度
 中小企業退職金共済事業に対する補助を行うこととして、四十四億二千百万円を計上している。

 エネルギー対策費

                 (百万円)
    十四年度      五六九、四一二
    十三年度     (六一三、八六八)
              六〇九、四七四
    比較増△減   (△ 四四、四五六)
             △ 四〇、〇六二
 この経費は、エネルギーの長期的、安定的な供給を確保するため、原子力平和利用研究の促進、石油及びエネルギー需給構造高度化対策の推進等の諸施策を実施するために必要な経費である。
その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 原子力平和利用研究促進費
 (イ) 日本原子力研究所において、大強度陽子加速器計画等の中性子科学研究、光量子・放射光科学研究、放射線利用研究、物質科学研究、環境科学研究、基礎科学研究等の総合原子力科学研究、高温ガス炉を含む革新的原子炉研究、核融合研究等の原子力エネルギー研究開発、原子力利用の安全確保のための工学的安全研究、保健物理研究等の安全性研究等を行い、原子力科学技術の研究開発を行っている。
 (ロ) 核燃料サイクル開発機構において、高速増殖炉の開発及びこれに必要な研究等を行うとともに、これらの成果の普及等を行い、原子力の開発及び利用の促進を図っている。また、アスファルト固化処理施設の事故等を踏まえ、高速実験炉等の施設、設備の安全対策を行っている。
 (ハ) 理化学研究所において、原子核物理学から生物学・医学に至る幅広い分野で利用可能で、新たな研究領域の開拓や産業の発展、原子力の基礎基盤の拡充をめざした加速器施設である放射性粒子線施設の整備を行っている。
 (2) 石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油及びエネルギー需給構造高度化勘定)へ繰入
 石油公団が行う石油開発事業への支援等の原資の一部等のための財源としての出資、国家備蓄の実施、民間備蓄に対する助成、石油の生産及び流通の合理化を図るための諸施策等の石油対策に要する経費及び石油代替エネルギー対策、省エネルギー対策等、地球環境問題に対応したエネルギー政策の展開を図るための施策に要する経費の財源に充てるため、一般会計から石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油及びエネルギー需給構造高度化勘定)へ繰り入れることとして、四千四百五十六億二千五百万円(十三年度当初予算額四千六百二十億円)を計上している。

 食料安定供給関係費

                 (百万円)
    十四年度      七二九、六六三
    十三年度     (六九五、二三八)
              七三四、七三一
    比較増△減     (三四、四二五)
              △ 五、〇六七
 この経費は、「食料・農業・農村基本法」の基本理念として掲げられている食料の安定供給の確保に直接的に資する諸施策を実施するために必要な経費である。
 (1) 生産振興総合対策費
 この経費は、「食料・農業・農村基本計画」(十二年三月二十四日閣議決定)に示された国内生産の展開方向に即して、耕種部門と畜産部門の連携強化等により、作物ごとの生産努力目標の達成のための、生産・流通等に係る課題の解決、効率的で生産性の高い畜産経営体の育成、有機性資源の適正処理・循環利用の促進等に必要な対策を総合的に実施するために必要な経費である。
 (2) 農畜産物需給等対策費
 この経費は、農畜産物の需給調整等を行い、価格及び供給の安定等に資するための諸施策を行うために必要な経費であって、
 (イ) 野菜の価格補てん事業を内容とする野菜の価格安定及び需給調整対策
 (ロ) 果実計画生産出荷促進事業等を内容とする果実の価格安定及び需給調整対策
 (ハ) 鶏卵価格安定事業を内容とする鶏卵の価格安定対策
 (ニ) 飼料穀物備蓄対策事業を内容とする飼料の供給安定対策
 (ホ) 指定生乳生産者団体補給交付金等を内容とする加工原料乳対策
等の事業を実施するために必要な経費である。
 (3) 水田農業経営確立対策費
 この経費は、作付けの団地化又は土地利用の担い手への集積、地域の気象条件等を踏まえた基本的な栽培技術の実施等の要件を満たして麦・大豆・飼料作物等の本格的生産に取り組む農業者の支援等に必要な経費である。
 (4) 農業経営総合対策費
 この経費は、経営規模の拡大及び効率的・安定的な経営体の育成等を図るための諸施策を行うために必要な経費のうち主なものをとりまとめたものであって、
 (イ) 総合的な経営対策推進体制の構築、経営感覚に優れた農業経営者の養成、補助労働力の確保、農地利用集積の促進、普及活動の推進等を総合的に行う経営対策推進事業
 (ロ) 効率的かつ安定的な経営体が地域農業の相当部分を占める農業構造を確立するため、新規就農の促進、認定農業者の育成、法人経営への発展等担い手となる経営体の確保・育成に必要な施設等の整備を総合的に行う経営構造対策事業
等を実施するために必要な経費である。
 (5) 食糧管理特別会計(調整勘定)へ繰入
 主要食糧の計画的な流通を確保するための措置、政府による主要食糧の買入れ、輸入及び売渡しの措置並びに主要食糧の需給及び価格の安定を図るため、一般会計から食糧管理特別会計(調整勘定)へ繰り入れることとして、二千九百五十五億九千五百万円(十三年度当初予算額二千三百三十三億七千九百万円)を計上している。
 (6) 水産業振興費
 この経費は、水産業の振興を図るため、水産業振興総合対策、水産物流通調整対策、漁業経営対策、沿岸漁業改善資金造成、水産業振興事業指導事務等の諸施策を実施するために必要な経費である。
 十四年度における主な措置は、次のとおりである。
 (イ) 水産業振興総合対策としては、「水産基本法」の基本理念である水産資源の持続的利用の確保を実現していくため、我が国周辺水域における適切な資源管理の一層の強化を図るとともに、漁場環境の保全、つくり育てる漁業の一層の振興を図り、効率的かつ安定的な漁業経営を育成することが必要となっていることから、漁業経営の体質強化、漁協系統組織の経営基盤の強化、水産物の流通・加工の高度化への取組み、漁村地域の活性化の施策を総合的・有機的に実施する。
 (ロ) 水産物流通調整対策については、水産物の需給・価格の安定を図るため、水産物調整保管事業等の実施に要する経費について、財団法人魚価安定基金等に対して補助を行う。
 (ハ) 漁業経営対策については、漁獲努力量の削減に基づく減船・休漁等に伴う経営支援のための事業を創設するほか、農林漁業信用基金への出資、漁業信用基金協会への出資補助等を実施する。
 (ニ) 沿岸漁業改善資金造成については、都道府県が行う漁業経営の改善、漁家生活の改善、漁業後継者の養成等のための資金の貸付けに充てるための資金の造成に要する経費について、助成する。

 産業投資特別会計へ繰入

                 (百万円)
    十四年度      一四五、五二四
    十三年度     (一五三、七一六)
            二、六五三、七四六
    比較増△減    (△ 八、一九二)
            二、五〇八、二二二
 この経費は、無利子貸付け等の財源に充てるため「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」の規定により、産業投資特別会計へ繰り入れるために必要な経費である。

 その他の事項経費

 その他の事項経費のうち主なものは、次のとおりである。
1 沖縄関係経費(裁判所所管、内閣府所管、総務省所管、外務省所管、財務省所管、文部科学省所管、厚生労働省所管、農林水産省所管、経済産業省所管、国土交通省所管及び環境省所管)
                 (百万円)
    十四年度      五一四、八八四
    十三年度     (五六六、七九三)
              五七〇、九二七
    比較増△減   (△ 五一、九一〇)
             △ 五六、〇四三
 十四年度においては、沖縄県民の生活の安定と福祉の向上に資するため、社会資本の整備、産業経済の発展、文教の充実等、各面にわたる施策を講ずるために必要な経費として、五千百四十八億八千四百万円を計上している。
2 北方対策費(内閣府所管及び外務省所管)
                 (百万円)
    十四年度        一、四八九
    十三年度       (一、五六一)
                一、四一五
    比較増△減       (△ 七三)
                   七四
 北方領土問題対策協会補助金など北方領土問題に関する啓発宣伝等を行うために必要な経費十四億八千九百万円を計上している。
3 青少年対策費(裁判所所管、内閣府所管、法務省所管、外務省所管、文部科学省所管、厚生労働省所管及び農林水産省所管)
                 (百万円)
    十四年度      一五六、九〇八
    十三年度     (一五〇、八四〇)
              一五五、三三三
    比較増△減      (六、〇六七)
                一、五七五
 この経費は、健全な青少年活動を助成する等のために必要な経費であり、独立行政法人国立青年の家運営費、農村青少年の研修教育施設及び青少年矯正施設の設置運営、青少年教育の振興、青年の船の運航、青年海外協力隊の派遣等に要する経費を計上している。
4 平和祈念事業特別基金事業運営費(総務省所管)
                 (百万円)
    十四年度        一、二二八
    十三年度       (一、四二九)
                一、一三〇
    比較増△減      (△ 二〇〇)
                   九九
 この経費は、平和祈念事業特別基金が、関係者に対し慰藉の念を示す事業を実施するのに必要な経費である。
5 文化関係費(文部科学省所管)
                 (百万円)
    十四年度       九八、四七六
    十三年度      (九〇、九五〇)
              一〇一、六六一
    比較増△減      (七、五二六)
              △ 三、一八五
 この経費は、芸術文化の振興、文化財保護の充実等に必要な経費である。
 芸術文化の振興については、文化芸術創造プラン(新世紀アーツプラン)を創設し、トップレベルの芸術活動への重点支援、世界に羽ばたく新進芸術家の養成、子どもの文化芸術体験活動を総合的に推進するとともに、地域の芸術文化に対する支援、文化の国際交流の推進、新国立美術展示施設(ナショナル・ギャラリー)等の施設整備等を行うこととして、総額三百八十一億九千四百万円(十三年度当初予算比六十七億六千三百万円、二一・五%増)を計上している。
 文化財保護の充実については、史跡等の保存整備・活用、文化財の保存修理等、地域の伝統文化に対する支援、伝統文化を支える人材養成・確保、文化財保護の国際協力の推進、九州国立博物館等の施設整備等を行うこととして、総額五百八十一億四千二百万円(十三年度当初予算比七億三千六百万円、一・三%増)を計上している。
6 農業振興対策費(農林水産省所管)
 農業の振興に係る諸施策のうち、農業農村整備事業費、食料安定供給関係費及び農業者年金等実施費を除く主な事項について説明すると、次のとおりである。
 (1) 中山間地域等振興対策費
                 (百万円)
    十四年度       四九、七八三
    十三年度      (五七、九三二)
               五七、五七八
    比較増△減    (△ 八、一四九)
              △ 七、七九五
 この経費は、中山間地域等の振興を図るための諸施策を行うために必要な経費のうち主なものをとりまとめたものであって、
 (イ) 担い手の育成等による農業生産活動等の維持を通じて、当該地域における耕作放棄の発生を防止し多面的機能を確保する観点から実施する中山間地域等直接支払い
 (ロ) 生産基盤の整備と生活環境の整備を総合的かつ効果的に行う新山村振興等農林漁業特別対策事業
等を実施するために必要な経費である。
 (2) 肉用子牛等対策費
                 (百万円)
    十四年度      一一八、〇九三
    十三年度     (一一八、〇九三)
              一四三、五〇七
    比較増△減          (〇)
             △ 二五、四一三
 この経費は、牛肉の輸入等需給事情の変化に対処するため、輸入牛肉等の関税収入を財源として肉用子牛の生産安定対策等を実施するために必要な経費である。
7 担い手確保農業者年金実施費(農林水産省所管)
                 (百万円)
    十四年度       一三、八〇九
    十三年度       (四、九三三)
                四、八九九
    比較増△減      (八、八七六)
                八、九一〇
 この経費は、「農業者年金基金法」等に基づき、担い手の確保等を目的とした年金を実施するために必要な経費である。
8 林業振興費(農林水産省所管)
                 (百万円)
    十四年度       四二、二七六
    十三年度      (三九、六八二)
               四四、八七六
    比較増△減      (二、五九四)
              △ 二、六〇〇
 この経費は、林業の振興を図るため、保安林等整備管理、森林計画樹立、林業生産流通総合対策、林業技術の普及指導、森林病害虫等防除、農林漁業信用基金出資、国際林業協力、林業改善資金造成、森林整備地域活動支援対策及び林業振興事業指導事務等に必要な経費である。
 十四年度における主な措置は、次のとおりである。
 (1) 適切な森林整備の推進を通じて森林の有する多面的機能の持続的発揮を図る観点から、森林所有者等による計画的かつ一体的な森林施業の実施に不可欠な地域活動を確保するための支援対策を実施することとしている。
 (2) 林業及び木材産業の抜本的な構造改革を推進するため、育成すべき担い手への施業や経営の集約化による森林資源の持続的利用を担う林業の振興、需要構造に対応した低コストでの木材の安定供給のための木材産業の構造改革、しいたけ等特用林産に係る国際競争力を備えた産業構造への転換と、これらの推進に不可欠な地域材利用推進対策や技術対策等を総合的・重点的に実施することとしている。
 (3) 新たな森林計画の適切な運用や適切な施業の確保、森林管理体制の整備等を推進するとともに、必要な技術の開発・普及等の対策を実施することとしている。
 また、森林の二酸化炭素等の吸収・排出量の計測・報告体制の整備、国民参加による森林保全・整備活動の推進等を実施することとしている。
 (4) 健全で多様な機能を発揮する森林の育成に向け、緊急かつ計画的な間伐を実施するための条件整備等を推進するとともに、間伐材の利用促進等を引き続き実施することとしている。
9 運輸施設整備事業団助成費(国土交通省所管)
                 (百万円)
    十四年度       一〇、三三四
    十三年度      (一六、二五二)
               一六、〇五三
    比較増△減    (△ 五、九一九)
              △ 五、七二〇
 この経費は、都市鉄道、幹線鉄道及び新幹線鉄道の整備の推進等を図るため、運輸施設整備事業団に対して助成を行うために必要な経費である。
10 日本鉄道建設公団助成費(国土交通省所管)
                 (百万円)
    十四年度       六五、〇〇〇
    十三年度       六五、〇〇〇
    比較増△減           〇
 この経費は、「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律」に基づき日本鉄道建設公団が行う年金等負担金の支払等の特例業務に要する経費の同公団に対する補助に必要な経費である。

 予備費

                 (百万円)
    十四年度      三五〇、〇〇〇
    十三年度     (三五〇、〇〇〇)
              二五〇、〇〇〇
    比較増△減          (〇)
              一〇〇、〇〇〇
 予見し難い予算の不足に充てるため、計上することとしている。

◇歳   入

1 租税及印紙収入
                 (百万円)
    十四年度   四六、八一六、〇〇〇
    十三年度  (五〇、七二七、〇〇〇)
           四九、六二五、〇〇〇
    比較増△減(△ 三、九一一、〇〇〇)
          △ 二、八〇九、〇〇〇
 現行法による十四年度の租税及印紙収入は、四十六兆八千三百六十億円であって、十三年度補正(第一号)後予算額に対して二兆七千八百九十億円の減少(十三年度当初予算額に対して三兆八千九百十億円の減少)が見込まれる。
 この金額から、十四年度に予定されている連結納税制度、中小企業関係税制等の内国税関係の改正による減収百七十億円及び関税率の改定等による減収三十億円を差し引くと、十三年度補正(第一号)後予算額に対する減少額は二兆八千九十億円となる。
 したがって、これらの税制改正を織り込んだ十四年度の租税及印紙収入は、四十六兆八千百六十億円である。
2 官業益金及官業収入
                 (百万円)
    十四年度       一九、九五五
    十三年度      (二〇、八二四)
               一八、六五七
    比較増△減      (△ 八六九)
                一、二九八
3 政府資産整理収入
                 (百万円)
    十四年度      三四一、三九五
    十三年度     (三四四、七二六)
              三五七、七四四
    比較増△減     (△三、三三〇)
             △ 一六、三四九
4 雑収入
                 (百万円)
    十四年度    四、〇五一、六〇二
    十三年度   (三、二一六、八一九)
            五、八六七、二三六
    比較増△減    (八三四、七八三)
          △ 一、八一五、六三四
5 公債金
                 (百万円)
    十四年度   三〇、〇〇〇、〇〇〇
    十三年度  (二八、三一八、〇〇〇)
           三〇、〇〇〇、〇〇〇
    比較増△減  (一、六八二、〇〇〇)
 内訳について説明すると、次のとおりである。
 (1) 公債金は、十四年度において、「財政法」第四条第一項ただし書の規定により発行する公債の収入である。
 なお、「財政法」第四条第三項の規定による公共事業費の範囲は、一般会計予算総則第七条に掲げるとおりであるが、その金額並びに出資金及び貸付金の合計額は六兆八千五百六十七億六千二百万円となる。
 (2) 特例公債金は、「平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律」の規定により発行する公債の収入である。
6 前年度剰余金受入
                 (百万円)
    十四年度        一、〇四一
    十三年度      (二五、〇一一)
              四八三、九一八
    比較増△減   (△ 二三、九七〇)
            △ 四八二、八七七
 十二年度の新規剰余金のうち、十三年度の補正予算に計上した額を控除して得た額を受け入れるものである。


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【特別会計】

 特別会計の主なものについて説明すると、次のとおりである。
1 交付税及び譲与税配付金特別会計
 この会計は、地方交付税及び地方譲与税(地方道路譲与税、石油ガス譲与税、航空機燃料譲与税、自動車重量譲与税及び特別とん譲与税を総称する。)の配付に関する経理を明確にするために設けられたものである。
 また、十一年度の恒久的な減税の実施に伴う地方特例交付金については、当分の間、この特別会計に計上することとしている。
 なお、交通安全対策特別交付金の交付に関する経理を明確にするため、当分の間、この特別会計に計上することとし、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定の二勘定を設けている。
 十四年度の主な内容は、次のとおりである。
 (1) 交付税及び譲与税配付金勘定
 (イ) 地方交付税交付金等の財源に充てるため、歳入については、一般会計から、@十四年度の所得税及び酒税の収入見込額の百分の三二に相当する額五兆六千二百十一億二千万円、法人税の収入見込額の百分の三五・八に相当する額四兆二億九千二百万円、消費税の収入見込額の百分の二九・五に相当する額二兆八千九百八十三億七千五百万円並びにたばこ税の収入見込額の百分の二五に相当する額二千百二十億円の合算額十二兆七千三百十七億八千七百万円に、A九年度及び十年度の地方交付税の精算額のうち「地方交付税法」に基づき十四年度分の交付税の総額から減額することと定められている額八百七十億円、B同法に基づき十四年度分の交付税の総額に加算することと定められている額三千三百六億円及び特例加算額三兆一千三百二十六億円を加減算した額十六兆一千七十九億八千七百万円を受け入れるほか、四十六兆一千二百三十五億九千百万円を財政融資資金及び民間から借り入れ、歳出については、@十四年度分の地方団体に交付する地方交付税交付金として十九兆五千四百四十八億六千三百万円、A借入金及び一時借入金の利子支払額五千六百八十九億円並びに十三年度における借入金の償還金四十二兆五千九百七十八億一千五百万円を国債整理基金特別会計へ繰入として計上することとしている。
 (ロ) 「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律」に基づき、地方特例交付金の財源に充てるため、歳入については、一般会計から地方特例交付金九千三十五億八千八百万円を受け入れ、歳出については、十四年度分の地方公共団体に交付する地方特例交付金として九千三十五億八千八百万円を計上することとしている。
 (ハ) 地方道路税の収入をこの勘定に受け入れ、「地方道路譲与税法」に基づき、地方の道路財源に充てるため、地方道路譲与税譲与金として、一定の基準により都道府県及び市町村(特別区を含む。)に譲与することとしている。
 (ニ) 石油ガス税の収入の二分の一に相当する額をこの勘定に受け入れ、「石油ガス譲与税法」に基づき、地方の道路財源に充てるため、石油ガス譲与税譲与金として、一定の基準により都道府県及び「道路法」第七条第三項に規定する指定市に譲与することとしている。
 (ホ) 航空機燃料税の収入の一三分の二に相当する額をこの勘定に受け入れ、「航空機燃料譲与税法」に基づき、空港関係都道府県及び空港関係市町村の航空機騒音対策事業費等の財源に充てるため、航空機燃料譲与税譲与金として、一定の基準により同法に規定する都道府県及び市町村に譲与することとしている。
 (ヘ) 自動車重量税の収入の四分の一に相当する額をこの勘定に受け入れ、「自動車重量譲与税法」に基づき、地方の道路財源に充てるため、自動車重量譲与税譲与金として、一定の基準により市町村(特別区を含む。)に譲与することとしている。
 (ト) 特別とん税の収入をこの勘定に受け入れ、「特別とん譲与税法」に基づき、特別とん譲与税譲与金として、徴収地港の所在する都及び市町村に譲与することとしている。
 (2) 交通安全対策特別交付金勘定
 歳入として交通反則者納金の収入等を受け入れ、歳出としては地方の道路交通安全施設の設置等の財源に充てるため、一定の基準により都道府県及び市町村に交付する交通安全対策特別交付金等を計上することとしている。
2 国債整理基金特別会計
 この会計は、一般会計又は特別会計から受け入れた資金等を国債整理基金として、これを国債の償還発行に関する費途に充てるために設けられたものである。
 十四年度においては、一般会計から十六兆六千七百十二億一千二百万円、交付税及び譲与税配付金特別会計等から五十五兆四千五百三十四億九千七百万円をそれぞれ受け入れるほか、租税二千五百五十八億円、公債金七十一兆六千百五十五億五千百万円、前年度剰余金として「国債整理基金特別会計法」第五条ノ二の規定により十三年度において発行予定の公債金収入七兆円及び「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づき一般会計に繰り入れることとしている日本電信電話株式会社の株式の売払収入の一部一千四百五十五億二千四百万円、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の株式の売払収入五千八百四十五億三千四百万円、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の配当金収入四十五億七百万円並びに運用収入等三千六十億八千万円をそれぞれ受け入れることとしている。
3 産業投資特別会計
 この会計は、産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもって投資を行うことにより国民経済の発展と国民生活の向上に資するとともに、その経理を明確にするために設けられたものである。
 なお、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」の規定により一般会計からの受入金及びこれを財源とする無利子貸付け等を、当分の間、この特別会計に計上することとし、その経理を明確にするため、産業投資勘定と社会資本整備勘定にそれぞれ区分して経理することとしている。
 十四年度の主な内容は、次のとおりである。
 (1) 産業投資勘定
 歳入については、国際協力銀行の納付金、電源開発株式会社、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の配当金等を見込むほか、前年度剰余金として五十四億九千六百万円を受け入れることとしている。
 歳出については、技術開発、中小企業対策等の推進を図ることとして、総額三百六十七億円(十三年度当初予算額七百九十億円)の産業投資支出を行うこととしている。
 (2) 社会資本整備勘定
 歳入については、一般会計が国債整理基金特別会計から受け入れた日本電信電話株式会社の株式の売払収入による国債整理基金の資金の一部に相当する一千四百五十五億二千四百万円の財源を一般会計から受け入れることとしているほか、各特別会計より受入及び償還金収入等一千二百四十一億三千百万円を見込んでいる。
 歳出については、収益回収型の公共事業資金貸付金として総額九百三十八億二千四百万円、民間能力活用施設整備事業資金貸付金五百十七億円、一般会計へ繰入一千二百四十億九千三百万円、事務費等三千八百万円を計上している。
4 石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計
 この会計は、石油及びエネルギー需給構造高度化対策に関する経理を明確にするために設けられたものであり、同対策に要する費用の財源に充てる額は一般会計からの受入れ等である。
 なお、石炭勘定は、十三年度をもって政策的経費の計上を終了し、原油等関税収入等を財源として借入金の償還及び出資金の回収を行う暫定勘定である。
 十四年度の主な内容は、次のとおりである。
 (1) 石油及びエネルギー需給構造高度化勘定
 (イ) 石油安定供給対策
 石油の安定的な供給の確保等に資するため、石油公団が行う石油開発事業への支援等の原資の一部等として、同公団に対し、二百二十三億七千百万円を出資することとしているほか、石油生産技術の研究開発、備蓄事業に必要な経費として石油公団交付金を交付するとともに、石油及び石油ガスの民間備蓄を行うための石油及び石油ガス購入資金融資についての利子補給等に必要な経費を計上している。また、石油開発・精製分野等における産油国との共同研究、人的交流、投資促進事業等の施策に要する経費を計上している。
 (ロ) 石油生産流通合理化対策
 石油産業体質強化対策、石油精製業の合理化・高度化を図るための技術開発等のために必要な経費として二百三十三億円を計上しているほか、石油流通の合理化を図るための石油製品販売業構造改善対策、石油製品需給適正化調査等の施策に必要な経費として三百三億六千四百万円を計上している。
 (ハ) エネルギー需給構造高度化対策
 地球温暖化問題等に対応したエネルギー・環境対策を推進するため、民生・運輸分野に重点をおいた、高効率機器等の技術開発、導入促進等の省エネルギー対策、クリーンエネルギー自動車、太陽熱利用機器の導入促進、燃料電池の技術開発等の新エネルギー対策等の施策の推進に要する経費として二千九十四億一千四百万円を計上している。
 (2) 石炭勘定
 十三年度末をもって、国内石炭政策が終了し、十四年度から十八年度までの間は、十二年度及び十三年度に借り入れた借入金の元本及び利子の償還等を行うこととしている。
5 厚生保険特別会計
 この会計は、「健康保険法」及び「厚生年金保険法」に基づき、被保険者に対する療養給付、年金給付、その他の給付を行うことによって、被用者の福祉の向上を図るとともに、「児童手当法」に基づく児童手当に関する経理を行うために設けられたものである。
 また、当分の間の措置として、老人保健制度の基盤安定化を図るため、特別保健福祉事業資金の運用利益金を財源として実施する特別保健福祉事業に関する経理を行うこととしている。
 十四年度の主な内容は、次のとおりである。
 (1) 健康勘定においては、歳出では、医療費の伸び等による所要の給付費等を見込み、歳入では、保険料収入等を見込むとともに、国庫補助については、九千七百四十一億円を計上している。
 (2) 年金勘定においては、歳出では、年金受給者の増等による給付費の増加等を見込み、歳入では、保険料収入等を見込むとともに、国庫負担金については、四兆三十六億二千二百万円を一般会計から受け入れることとしている。
 (3) 児童手当勘定においては、歳出では、児童手当について、義務教育就学前(六歳に到達後最初の年度末)までの児童を支給対象児童として支給することとしている。さらに、少子化、共働き世帯の増加、核家族化、都市化の進展等子どもを取り巻く環境の変化を踏まえ、特に女性の社会進出に対応して、仕事と子育ての両立支援を図る必要があることにかんがみ、放課後児童受入れ体制の整備・乳児保育促進等事業の拡充等、児童育成事業の推進を図ることとし、歳入では、事業主拠出金収入等を見込むとともに、一般会計から所要の財源として、一千九百十六億五千六百万円を受け入れることとしている。
 (4) 業務勘定においては、業務の取扱い及び事務の機械化等に必要な経費を計上するとともに、特別保健福祉事業について九十億円を計上している。
6 国民年金特別会計
 この会計は、「国民年金法」に基づき、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な年金の給付等を行うことにより、健全な国民生活の維持及び向上に寄与するため設けられたものである。
 十四年度の主な内容は、次のとおりである。
 (1) 基礎年金勘定においては、歳出では、基礎年金給付費としての所要額及び公的年金制度の各保険者の支出する基礎年金相当給付費の財源に充てるための繰入れ所要額等を見込み、歳入では、基礎年金給付等に要する費用の財源として各保険者からの所要の拠出金等による収入を見込んでいる。
 (2) 国民年金勘定においては、歳出では、旧法国民年金の障害年金等の受給者数の減等による給付費の減少並びに基礎年金勘定への繰入れ額等を見込み、歳入では、保険料収入等を見込むとともに、国庫負担金については、一兆四千五百六十五億三千八百万円を一般会計から受け入れることとしている。また、基礎年金相当給付費の財源を、基礎年金勘定から受け入れることとしている。
 (3) 福祉年金勘定においては、歳出では、受給者数の減等により見込んだ所要額を計上するとともに、歳入では、国庫負担金については、三百十七億六千百万円を一般会計から受け入れることとしている。
 (4) 業務勘定においては、業務量の増加等に伴って必要となる経費を計上している。
7 食糧管理特別会計
 この会計は、「食糧管理特別会計法」に基づいて設置され、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」、「農産物価格安定法」及び「飼料需給安定法」に基づき、米、麦、でん粉、輸入飼料等の買入れ、売渡し等を管理するものである。
 十四年度においては、この会計の取扱品目、数量、価格等について、次のような前提に立って、予算を編成している。
 (1) 国内産米については、政府買入数量三十八万トン、政府売却数量五十九万四千トンと見込んでいる。また、政府買入価格は十四年産米の価格、政府売渡価格は十四年一月一日以降に適用される価格で計上している。
 (2) 国内産麦については、買入数量は、大麦、はだか麦、小麦の三麦合わせて五千トン、売却数量は三麦合わせて五千トンと見込んでいる。また、政府買入価格は十四年産麦の価格、政府売渡価格は現行の価格で計上している。
 (3) 輸入食糧については、買入数量は、米穀七十六万七千トン、小麦等五百三十六万トン、売却数量は米穀五十八万四千トン、小麦等五百二十六万一千トンを予定している。また、米麦の政府買入価格は最近の価格動向等を勘案して算定した価格、米麦の政府売渡価格は米については十四年一月一日以降、麦については現行の価格で計上している。
 (4) 農産物等については、でん粉二千トンの買入費等を計上している。
 (5) 輸入飼料については、小麦五十七万トン、大麦百五十万トンの売却及びこれに必要な数量の買入れを予定している。
 また、国内米管理勘定において、自主流通米価格下落時にその影響を緩和する稲作経営安定対策等を講ずるほか、地域の水田農業の構造改革を推進する地域水田農業再編緊急対策等の創設を行うこととしている。
8 道路整備特別会計
 この会計は、道路整備事業の計画的推進を図るため、道路整備事業の経理を明確にすることを目的として設けられたものである。
 この会計は、揮発油税等の特定財源、一般財源、産業投資特別会計社会資本整備勘定からの受入額及び直轄事業に係る地方公共団体の負担金等を受け入れることによって財源の調達を図ることとしており、十四年度における道路整備事業の財源内訳は次のとおりである。
▽一般会計より受入        (百万円)
   十四年度     二、五六五、五〇三 
   十三年度    (二、八〇七、六四八)
            二、八〇八、四四三
 ・揮発油税等特定財源
   十四年度     二、一四四、三五〇
   十三年度     二、一六〇、〇一一
 ・一般財源
   十四年度       四二一、一五三
   十三年度      (六四七、六三七)
              六四八、四三二
▽産業投資特別会計より受入    (百万円)
   十四年度        八九、八一九 
   十三年度       (九〇、五四六)
              六四九、〇四四
 《小 計》
   十四年度     二、六五五、三二二
   十三年度    (二、八九八、一九四)
            三、四五七、四八七
▽前年度剰余金受入等
   十四年度        八〇、七九〇 
   十三年度        六六、四四七
▽地方公共団体負担金
   十四年度       六〇八、九〇四 
   十三年度      (五八五、五八一)
              七四三、六二一
▽揮発油税
   十四年度       七一〇、二〇〇 
   十三年度       七一五、五〇〇
 《合 計》
   十四年度     四、〇五五、二一六
   十三年度    (四、二六五、七二二)
            四、九八三、〇五五
 なお、道路整備事業費としては、前記のほか、沖縄総合事務局及び北海道開発局における道路整備関係の工事諸費十一億一千六百万円及び二百三十三億五千五百万円並びに沖縄総合事務局及び北海道開発局における道路環境整備関係の工事諸費一億一千五百万円及び十五億二千四百万円が一般会計に計上されており、これらを加えると、道路整備のための財源合計は四兆八百十三億二千六百万円となる。


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【政府関係機関】

1 国民生活金融公庫
 この公庫は、独立して継続が可能な事業について当該事業の経営の安定を図るための資金、生活衛生関係の営業について衛生水準を高めるための資金その他の資金であって、一般の金融機関からその融通を受けることを困難とする国民大衆が必要とするものを供給すること等を目的としている。
 十四年度においては、国民大衆の事業資金等に対する融資の円滑化を図るため、小企業等経営改善資金貸付五千五百億円(十三年度五千五百億円)を含め総額三兆六千八百五億円の貸付けを行うこととし、この原資として、財政融資資金の借入れ三兆四千三百億円、国民生活債券の発行による収入三千億円等を予定している。
2 住宅金融公庫
 この公庫は、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設等に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通すること等を目的としている。
 十四年度においては、四十八万戸を建設するための住宅等融資七兆七千九百十三億円、二万戸を建設するための財形住宅融資三千四百億円、関連公共施設等融資二十五億円及び宅地造成融資百四億円(住宅用地の取得四十ヘクタール、造成四十ヘクタールを予定)を行うこととし、総額八兆一千四百四十二億円(十三年度十兆六千百三十一億円)の貸付けを予定している。
3 農林漁業金融公庫
 この公庫は、農林漁業者に対し、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期かつ低利の資金で、農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするもの等を融通することを目的としている。
 十四年度の貸付計画額は四千七百億円(十三年度計画額五千二百億円)を予定している。
4 中小企業金融公庫
 この公庫は、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であって、一般の金融機関が供給することを困難とするものを供給することを目的としている。
 十四年度においては、中小企業金融の円滑化を図るため、総額一兆九千億円の貸付けを行うこととし、この原資として、産業投資特別会計からの出資金三十二億円、回収金等三千二百八十八億円のほか、財政融資資金の借入れ九千四百五十億円、中小企業債券の発行による収入六千二百三十億円を予定している。
5 日本政策投資銀行
 この銀行は、経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済の自立的発展に資するため、一般の金融機関が行う金融等を補完し、又は奨励することを旨とし、長期資金の供給等を行い、もって我が国の経済社会政策に金融上の寄与をすることを目的としている。
 十四年度においては、一兆二千億円の出融資を行うこととし、この原資として、財政融資資金の借入れ六千七百七十億円、産業投資特別会計からの借入れ五百二億円、日本政策投資銀行債券の発行による収入四千三百三十億円等を予定している。
 資金の運用としては、自立型地域創造、豊かな生活創造及び経済活力創造の分野について効率的に実施することとしている。また、社会資本の整備を促進するため、無利子貸付及び低利子貸付を行うこととしている。
6 国際協力銀行
 この銀行は、一般の金融機関と競争しないことを旨としつつ、我が国の輸出入若しくは海外における経済活動の促進又は国際金融秩序の安定に寄与するための貸付け等並びに開発途上にある海外の地域の経済及び社会の開発又は経済の安定に寄与するための貸付け等を行い、もって我が国及び国際経済社会の健全な発展に資することを目的としている。
 十四年度においては、「特殊法人等整理合理化計画」を踏まえ、国際金融等業務(輸出入若しくは海外における経済活動の促進又は国際金融秩序の安定を図るもの)は一兆一千五百億円、海外経済協力業務(政府開発援助の実施に係るもの)は七千六百億円の出融資を行うこととし、この原資として、一般会計からの出資金二千百九十一億円、財政融資資金からの借入金一兆四百三十二億円、国際協力銀行債券の発行による収入四千四百四十億円、貸付回収金等二千三十七億円を予定している。
 資金の運用としては、同様に同計画を踏まえ、輸出金融の先進国関係貸付業務や輸入金融の資源関係以外の貸付業務、一般投資金融の先進国関係貸付業務(新規案件)、海外投融資業務(新規案件)等について平成十四年度の出融資には盛り込まないこととする一方、国際金融等業務においては、我が国への資源エネルギーの安定的供給確保やプラントの輸出を含む我が国企業の国際的事業展開の支援に重点を置いて所要額を計上している。また、海外経済協力業務においては、アジアに重点を置きつつ開発途上国の貧困削減と経済社会開発に資するため経済協力に必要な資金を計上している。


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【平成十四年度財政投融資計画】
第3表参照

1 財政投融資計画策定の基本的考え方
 財政投融資計画については、財政投融資改革、行財政改革の趣旨を踏まえ、全体規模を縮減しつつ、対象事業の重点化を図るとともに、現下の社会経済情勢にかんがみ真に必要と考えられる資金需要には的確に対応することとしている。
 十四年度財政投融資計画の規模は、二十六兆七千九百二十億円(十三年度計画比一七・七%減)となっている。
 最近における財政投融資計画の規模の推移は、次のとおりである。

         金 額(億円)   対前年度伸率(%)
 十年度    三六六、五九二        △六・八
 十一年度   三九三、四九二         七・三
 十二年度   三八二、八五五        △四・六
 十三年度   三二五、四七二       △一五・〇
 十四年度   二六七、九二〇       △一七・七
(注) 1 十二年度以前は、一般財政投融資の金額である。
    2 十三年度以降、財政投融資計画には、政府保証外債が含まれている。これに合わせ、比較対比の便宜のため、十二年度計画額について政府保証外債を加えた額に組替掲記している。
      また、十二年度の伸率については、前年度計画額に政府保証外債を加えた額に対するものである。
 なお、産業投資特別会計については、国際協力銀行の納付金、電源開発株式会社、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の配当金等の原資により、技術開発、中小企業対策等の推進を図ることとしている。
 また、経済事情の変動等に応じ、機動的かつ弾力的に対処するため、引き続き、公庫、公団等に対する財政融資資金等の長期運用予定額及び公庫、公団等の債務に係る政府保証の限度額を年度内に五〇%の範囲内で増額し得るよう、弾力措置を講ずることとしている。ただし、財政融資資金の長期運用予定額の追加の総額に二五%の上限を設けることとしている。
2 重要施策
 (1) 住 宅
 住宅については、十四年度財政投融資計画額全体の二三・〇%に当たる六兆一千七百十二億円(十三年度計画額九兆七千三百三十六億円)の財政投融資を予定しており、第八期住宅建設五箇年計画の的確な実施を図ることとしている。
 住宅金融公庫については、良質な住宅ストックの形成を図るため、貸付戸数を五十万戸とするとともに、特殊法人等整理合理化計画を踏まえ、中低所得者層への融資の重点化及び民間住宅ローンとの協調を図るため、年収に応じた融資限度割合の引下げや特別割増融資の縮減等融資の重点化・スリム化を行うこととしている。
 また、高齢者の持家のバリアフリー化を支援するため、高齢者の個別事情に応じて必要となるバリアフリー工事を追加するとともに、シックハウス問題に対応するため、室内の化学物質を除去するためのリフォームを行う場合の貸付限度額を引き上げる等の貸付制度の改善を行うこととしており、貸付計画額として八兆一千四百四十二億円(十三年度計画額十兆六千百三十一億円)を予定している。
 このほか、都市基盤整備公団については、特殊法人等整理合理化計画を踏まえ、自ら土地を取得して行う公団賃貸住宅の新規建設は行わないこととし、住宅建設戸数を老朽化した賃貸住宅の建替等政策的に特に必要なものに限定し、一万一千八百戸とするとともに良好な居住環境の形成等を図るため、大都市圏の既成市街地等において、住宅市街地の整備、市街地再開発事業、既存賃貸住宅ストックの有効活用を図るためのリニューアル事業等を推進することとしている。
 (2) 生活環境整備
 生活環境整備については、十四年度財政投融資計画額全体の二一・五%に当たる五兆七千五百五十八億円(十三年度計画額六兆四千六百七十八億円)の財政投融資を予定し、健康で豊かな国民生活の実現を図るため、引き続き、日常生活に密着した生活環境施設の整備を推進することとしている。このうち、地方公共団体については、国民生活充実の基盤となる社会資本の整備を推進するため、地方債計画の策定に当たり、下水道、一般廃棄物処理等の事業について、所要の起債額を確保するとともに、これらの事業に対して政府資金(財政融資資金、郵便貯金資金及び簡保積立金をいう。以下同じ。)及び公営企業金融公庫資金を重点的に配分することとしている。
 (3) 厚生福祉、文教
 厚生福祉については、一兆百八十六億円(十三年度計画額一兆二千五百三十二億円)の財政投融資を予定し、社会福祉・医療事業団において、高齢社会に対応するため、所要の貸付計画額を確保することとしているほか、国立病院特別会計、地方公共団体等において、病院、厚生福祉施設等の整備促進を図ることとしている。
 文教については、八千八百十三億円(十三年度計画額九千二百十八億円)の財政投融資を予定している。このうち地方公共団体の義務教育施設整備等の事業については、地方債計画の策定に当たり、所要の政府資金の額を確保することとしている。日本育英会については、引き続き、有利子貸与事業の拡充を図ることとしている。
 (4) 中小企業、農林漁業
 中小企業については、十四年度財政投融資計画額全体の一七・七%に当たる四兆七千三百三十六億円(十三年度計画額五兆二千四百八十二億円)の財政投融資を予定している。その大宗を占める国民生活金融公庫及び中小企業金融公庫については、中小企業に対する円滑な資金供給を図るため、所要の貸付規模を確保するとともに、特別貸付制度の充実等の貸付制度の改善を図ることとしている。このほか、中小企業金融公庫に対し、産業投資特別会計からの出資(三十二億円)を予定している。
 農林漁業については、六千九百五十三億円(十三年度計画額七千八百八十億円)の財政投融資を予定している。このうち、農林漁業金融公庫については、資金需要の動向等を踏まえ、二千八十億円の財政投融資を予定している。
 (5) 道路、運輸通信
 道路については、三兆六千六百六十四億円(十三年度計画額三兆六千三百二十七億円)の財政投融資を予定している。その大宗を占める道路関係四公団(日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団)の事業費として一兆九千十一億円を予定している。
 運輸通信については、六千百六十八億円(十三年度計画額七千四百七十二億円)の財政投融資を予定している。このうち、空港関係四機関(空港整備特別会計、新東京国際空港公団、関西国際空港株式会社及び中部国際空港株式会社)については、引き続き、空港建設事業の推進を図ることとし、合計四千八十一億円の事業費を予定している。
 (6) 産業・技術、貿易・経済協力
 産業・技術については、一千九百五十四億円(十三年度計画額三千二百五十八億円)の財政投融資を予定している。技術開発については、日本政策投資銀行の知的基盤整備枠として六百億円(十三年度計画額七百七十億円)の出融資を予定するとともに、引き続き、通信・放送機構、新エネルギー・産業技術総合開発機構及び科学技術振興事業団に対し、産業投資特別会計からの出資を予定している。
 貿易・経済協力については、開発途上国の経済社会開発等に資する観点から、一兆二千八百七十二億円(十三年度計画額一兆五千五百九十三億円)の財政投融資を予定している。国際協力銀行については、一兆九千百億円(十三年度計画額二兆二千百億円)の出融資を予定している。
3 原 資
 十四年度財政投融資の原資としては、十三年度計画額に対し五兆七千五百五十二億円(一七・七%)減の二十六兆七千九百二十億円を計上している。
 原資の大宗を占める財政融資資金については、十三年度計画額に対し、五兆一千百二十七億円(一九・六%)減の二十一兆二十一億円を計上している。このほか、地方公共団体への貸付原資として、郵便貯金資金九千八百億円及び簡保積立金一兆五千九百億円を計上している。
 政府保証国内債については、二兆四千九百二億円、政府保証外債については、六千九百三十億円を予定している。
 なお、財政融資資金による新たな貸付け及び既往の貸付けの継続に必要な財源として、十四年度において、財政融資資金特別会計国債三十四兆三千五百二十七億円の発行を予定している。
 産業投資特別会計については、国際協力銀行の納付金、電源開発株式会社、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の配当金等を見込むことにより、三百六十七億円を計上している。



    <4月24日号の主な予定>

 ▽国民生活白書のあらまし………内 閣 府 

 ▽労働力調査(一月)……………総 務 省 




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