官報資料版 平成14年5月8日




                  ▽平成十三年十月一日現在 我が国の人口(推計)…………………………………………………………………総 務 省

                  ▽家計総世帯集計・単身世帯収支調査結果(平成十三年十〜十二月期平均及び平成十三年平均速報)………総 務 省

                  ▽月例経済報告(四月)…………………………………………………………………………………………………内 閣 府

                  ▽家計収支(一月)………………………………………………………………………………………………………総 務 省











平成十三年十月一日現在


我が国の人口(推計)


総 務 省


 総務省統計局では、平成十三年十月一日現在の推計人口を十四年三月二十七日に公表した。
 我が国の人口は、国勢調査によって五年ごとに調査年の十月一日現在の人口の詳細を明らかにしているが、その中間時点においては、国勢調査の人口を基礎として、その後の出生児数、死亡者数、入国者数、出国者数等を加減して、毎月一日現在で「全国、年齢五歳階級、男女別推計人口」を算出している。
 また、毎年十月一日現在で「全国、年齢各歳、男女別推計人口」及び「都道府県、年齢五歳階級、男女別推計人口」を算出している。
 今回、公表したのは、平成十三年十月一日現在の「全国、年齢各歳、男女別推計人口」及び「都道府県、年齢五歳階級、男女別推計人口」で、その概要は次のとおりである。

T 全国人口

一 総人口

◇総人口は平成十三年十月一日現在で一億二千七百二十九万一千人、この一年間に三十六万五千人の増加
 平成十三年十月一日現在における我が国の総人口は一億二千七百二十九万一千人で、十二年十月から十三年九月までの一年間に三十六万五千人(〇・二九%)増加した。人口増加数は、昭和五十四年に百万人を、平成元年に五十万人を下回ってからも減少傾向で推移していたが、二年連続して前年を上回っている。
 総人口を男女別にみると、男性が六千二百二十四万四千人(総人口の四八・九%)、女性が六千五百四万七千人(同五一・一%)で、女性が男性より二百八十万三千人多く、人口性比は九五・七となっている。この一年間に男性が十三万三千人(〇・二一%)の増加、女性が二十三万二千人(〇・三六%)の増加となっている(第1図第1表第2表参照)。
 総人口の増加率は、第二次ベビーブーム期(昭和四十六〜四十九年)には一・四%前後と高い水準(最高は昭和四十七年の一・四一%)であったが、その後、出生児数の減少により昭和五十二年に一・〇%を、六十二年に〇・五%を下回るなど低下傾向で推移し、平成六年以降は〇・二%台となり、十一年は〇・一六%となったが、十二年は〇・二一%と上昇に転じ、十三年も引き続き上昇している(第1図第1表参照)。
 自然動態(出生・死亡)をみると、出生児数は、第二次ベビーブーム期(最高は昭和四十八年の二百十万七千人)以降は減少傾向が続いており、平成十三年は百十八万五千人で前年より九千人減少した。一方、死亡者数は九十六万六千人で、前年を二千人下回っている。
 この結果、出生児数と死亡者数の差である自然増加数は二十一万九千人で、前年(二十二万六千人)に比べ七千人の減少となり、戦後最低だった十一年(二十一万二千人)に次いで低い水準となっている(第1表参照)。
 自然増加数を男女別にみると、男性が八万一千人、女性が十三万八千人と、女性が約三分の二を占めている(第2表参照)。
 また、社会動態(出入国)をみると、平成十三年の入国者数は一千九百二十六万六千人で前年(一千八百四十六万二千人)に比べ八十万五千人の増加、出国者数は一千九百十二万人で、前年(一千八百四十二万四千人)に比べ六十九万七千人の増加となっている。入国者数と出国者数の差である社会増加数は十四万六千人で、平成十二年の増加数(三万八千人)に比べ、大きく増加している。平成十三年の社会増加数が大きく増加したのは、アメリカで起きた同時多発テロの影響で九月の社会増加数が大きく増加したためとみられる(第1表第3表参照)。
 社会増加数を男女別にみると、男性は五万二千人、女性は九万四千人と、女性が約三分の二を占めている(第2表参照)。

二 年齢別人口

(1) 人口ピラミッドはひょうたん型に近い
 我が国の人口ピラミッドは、近年、出生児数が第二次ベビーブーム期をピークとして減少傾向が続いていたことを反映し、すそが狭まった「ひょうたん型」に近い形となっている(第2図参照)。
 平成十三年十月一日現在における、明治生まれの人口は九十七万一千人(総人口に占める割合は〇・八%)、大正生まれの人口は八百八十三万八千人(同六・九%)、昭和生まれの人口は一億二百二十万九千人(同八〇・三%)、平成生まれの人口は一千五百二十七万三千人(同一二・〇%)となった。また、戦後生まれの人口は九千四百二十八万六千人で、総人口の七四・一%となっている。

(2) 老年人口の割合は過去最高の一八・〇%
 平成十三年十月一日現在の総人口を年齢三区分別にみると、年少人口(〇〜十四歳)は一千八百二十八万三千人で前年より二十二万二千人減少、生産年齢人口(十五〜六十四歳)は八千六百十三万九千人で二十四万一千人減少しているのに対し、老年人口(六十五歳以上)は二千二百八十六万九千人で八十二万八千人の増加となった。老年人口は二年連続して八十万人以上の増加となっている(第3図参照)。
 年齢三区分別人口の割合は、年少人口が一四・四%、生産年齢人口が六七・七%、老年人口が一八・〇%で、前年に比べ、年少人口、生産年齢人口がそれぞれ〇・二ポイント、〇・四ポイント低下し、老年人口が〇・六ポイント上昇している。
 年齢三区分別人口の割合の推移をみると、年少人口の割合は昭和五十年(二四・三%)から低下を続け、平成十一年には一五・〇%を下回った。
 生産年齢人口の割合は、昭和五十七年(六七・五%)から上昇を続けていたが、平成四年(六九・八%)をピークに低下している。一方、老年人口の割合は昭和二十七年(五・〇%)以降上昇が続いており、平成十三年(一八・〇%)は過去最高となっている(第4図第4表参照)。
 将来推計(※注)では、老年人口は平成十八年には二〇・五%、二十六年には二五・三%になると予測されている。
 (※注)「日本の将来推計人口―平成十四年一月推計―」(国立社会保障・人口問題研究所)中位推計による。

(3) 老年化指数は一二五・一
 年齢構造指数についてみると、生産年齢人口に対する年少人口の比率(年少人口指数)は二一・二、老年人口の比率(老年人口指数)は二六・五となっている。
 年少人口指数は昭和五十二年以降低下を続けているのに対し、老年人口指数は三十八年以降上昇を続けており、平成十三年は、前年と比べ、年少人口指数が〇・二ポイント低下、老年人口指数が一・〇ポイント上昇した結果、この両者の和(従属人口指数)は〇・九ポイント上昇して四七・八となった。
 年少人口に対する老年人口の比率(老年化指数)は一二五・一となっている。この老年化指数は、平成元年に六一・七と六〇を超えた後、毎年ほぼ五・〇ポイントの上昇を続け、九年には一〇二・〇と一〇〇を超え、十三年は前年よりさらに六・〇ポイント上昇している(第4表参照)。

(4) 年齢構造はイタリアとほぼ同じ
 我が国の人口の年齢構造を各国と比べてみると、調査年次に相違はあるものの、年少人口は低い水準、老年人口は高い水準となっている。
 年齢三区分別人口の割合全体を通じてみると、老年人口が年少人口より多いなど、我が国の年齢構造はイタリアとほぼ同じになっている(第5表参照)。

U 都道府県別人口

一 人口

(1) 人口六百万以上の上位五都府県で全国人口の三分の一
 平成十三年十月一日現在における都道府県別の人口は、東京都の一千二百十三万八千人を最高に、大阪府(八百八十一万八千人)、神奈川県(八百五十七万人)、愛知県(七百八万七千人)、埼玉県(六百九十七万八千人)と続いている。以下、五百万人台が四道県、三百万人台が一県、二百万人台が十府県、百万人台が二十県、百万人未満が七県となっている。上位五都府県の順位は、昭和五十八年以降、変わっていない。
 なお、東京都、大阪府、神奈川県、愛知県及び埼玉県の上位五都府県の人口で全国人口の三四・二%を占め、三分の一を超えている(第6表参照)。

(2) 人口減少県は二十二道県
 平成十三年に人口が増加したのは、神奈川県、沖縄県、滋賀県など二十五都府県で、減少したのは、秋田県、和歌山県、山形県など二十二道県となっている。
 人口減少県の数は、平成六、七年には九県にまで減少、八年から増加に転じ、十二年まで増加していたが、十三年は二十二道県と、六年ぶりに前年を下回った。
 なお、人口減少県のうち、秋田県では人口減少が二十年続いている(第5図第7表参照)。

(3) 人口増加率は神奈川県の〇・九四%が最高
 都道府県別の人口増加率をみると、全国平均(〇・二九%)を上回っているのは十一都県で、このうち、神奈川県が〇・九四%で最も高く、以下、沖縄県が〇・七九%、滋賀県が〇・七七%、千葉県が〇・七一%、愛知県が〇・六三%、東京都が〇・六二%、埼玉県が〇・五七%となっている。
 人口が増加している二十五都府県のうち十八都県で自然増加かつ社会増加となっている。
 一方、人口が減少している二十二道県のうち十一県で自然減少かつ社会減少となっている(第7表第6図第8表参照)。

二 年齢別人口

(1) 年少人口が老年人口を上回っているのは三県
 平成十三年十月一日現在の年少人口(〇〜十四歳)の割合を都道府県別にみると、沖縄県が一九・七%で最も高く、次いで滋賀県、佐賀県の一六・一%となっている。一方、最も低いのは東京都の一一・九%となっており、次いで秋田県、高知県など八道府県が一三・〇%台となっている。
 この年少人口の割合は、近年、出生児数の減少により各都道府県とも低下傾向にあり、平成十三年は前年と比べ、東京都でわずかに上昇したものの、他の道府県ではすべて低下している。
 また、老年人口(六十五歳以上)の割合をみると、島根県が二五・五%で最も高く、次いで、秋田県、高知県、山形県、鹿児島県となっており、二十五県で二〇・〇%以上となっている。一方、最も低いのは埼玉県の一三・五%で、次いで神奈川県、沖縄県及び千葉県が一四・〇%台となっている。
 この老年人口の割合は、年少人口とは対照的に、すべての都道府県で上昇している。
 この結果、年少人口の方が老年人口を上回っているのは、沖縄県、埼玉県及び愛知県の三県のみとなり、前年より三県(千葉県、神奈川県、滋賀県)減少した。
 老年人口と年少人口の割合の差をみると、島根県、秋田県及び高知県で老年人口が一〇・〇ポイント以上、上回っている。一方、沖縄県では年少人口の割合が五・〇ポイント以上、上回っている(第9表参照)。

(2) 生産年齢人口の割合はすべての都道府県で低下
 生産年齢人口(十五〜六十四歳)の割合を都道府県別にみると、埼玉県が七一・九%と最も高く、東京都及び神奈川県が七一・六%、以下、千葉県、大阪府となっており、この五都府県で七〇・〇%を超えている。一方、最も低いのは島根県の六〇・三%で、次いで鹿児島県、山形県、秋田県、高知県となっている。
 生産年齢人口の割合は、前年と比べ、すべての都道府県で低下している。そのうち、東京都、大阪府、神奈川県、京都府、埼玉県の五都府県では〇・五ポイント以上の低下となっている(第9表参照)。

(3) 老年人口の対前年増加率は埼玉県の六・〇%が最高
 老年人口の対前年増加率を都道府県別にみると、全国平均(三・八%)を上回っているのは九都府県で、このうち、埼玉県が六・〇%と最も高く、以下、千葉県(五・八%)、神奈川県(五・七%)と、老年人口割合の低い県で増加率が高くなっている(第10表参照)。


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家計総世帯集計・単身世帯収支調査結果


―平成十三年十〜十二月期平均及び平成十三年平均速報―


総 務 省


T 平成十三年十〜十二月期平均

一 全世帯の家計

 家計総世帯の全世帯の消費支出は、一人当たり十万六千百六十円となり、前年同期に比べ、名目二・六%の減少、実質一・三%の減少となった。

二 勤労者世帯の家計

 家計総世帯の勤労者世帯の実収入は、実質減少となった。また、平均消費性向は、前年同期と同水準となった。
 消費支出は、実質減少となった。

三 勤労者以外の世帯の家計

 家計総世帯の勤労者以外の世帯の消費支出は、一人当たり十万三千五百二十一円となり、前年同期に比べ、名目三・二%の減少、実質一・九%の減少となった。

四 財・サービス区分別の支出

 耐久財が実質増加したものの、半耐久財及び非耐久財が実質減少したため、財(商品)全体では、実質〇・七%の減少となった。
 サービスは、実質一・七%の減少となった。

U 平成十三年平均

一 全世帯の家計

 家計総世帯の全世帯の消費支出は、一人当たり十万二千三百十六円となり、前年に比べ、名目一・八%の減少、実質〇・九%の減少となった。

二 勤労者世帯の家計

 家計総世帯の勤労者世帯の実収入は、実質減少となった。また、平均消費性向は、前年を下回った。
 消費支出は、実質減少となった。

三 勤労者以外の世帯の家計

 家計総世帯の勤労者以外の世帯の消費支出は、一人当たり九万九千四百七十三円となり、前年に比べ、名目一・五%の減少、実質〇・六%の減少となった。

四 財・サービス区分別の支出

 耐久財が実質増加したものの、半耐久財及び非耐久財が実質減少したため、財(商品)全体では、実質〇・五%の減少となった。
 サービスは、実質〇・六%の減少となった。






















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月例経済報告(四月)


―景気は、依然厳しい状況にあるが、底入れに向けた動きがみられる―


内 閣 府


総 論

(我が国経済の基調判断)

 景気は、依然厳しい状況にあるが、底入れに向けた動きがみられる。
 ・設備投資は、大幅に減少している。失業率が高水準で推移するなど、雇用情勢は依然として厳しい。
 ・個人消費は、横ばいとなっている。
 ・輸出と生産は、下げ止まってきている。業況判断は、大企業においては下げ止まりの兆しがみられる。
 ・アメリカの景気回復の動きが、製造業を中心とした世界主要経済の生産回復につながりつつある。
 先行きについては、厳しい雇用・所得環境などが、今後の民間需要を下押しする懸念がある一方、対外経済環境の改善や在庫調整の進展が、今後の景気を下支えすることが期待される。

(政策の基本的態度)

 政府は、構造改革を断行する一方で、デフレスパイラルに陥ることを回避するために細心の注意を払い、日本銀行と一致協力して、デフレ阻止に向けて強い決意で臨む。
 平成十四年度予算の成立を受け、これと平成十三年度補正予算を一体として切れ目なく実施していく。

各 論

◇個人消費は、横ばいとなっている。
 個人消費は、需要側と販売側の動向を総合してみると、横ばいとなっている。このところ一部の業種や支出項目において増加の動きがみられるものの、全体を下支えするような力強さを伴うものではない。この背景としては、所得面で弱い動きが続いていることに加えて消費者マインドも低水準にあることが考えられる。
 需要側の動向をみると、昨秋以降、底固さがみられる。消費総合指数は三か月前と比べ増加している。
 支出項目ごとの動向について家計調査をみると、実質消費支出は、自動車等購入や住宅リフォーム、授業料など比較的高額な支出項目や、暖冬の影響により光熱・水道が減少した。一方で、食料は前年横ばいとなり底固く推移している。
 販売側の動向をみると、全体的に弱い動きとなっている。
 小売業販売額とチェーンストア販売額は、弱い動きが続いている。家電販売金額は、パソコンが引き続き前年を大きく下回っていることなどから、前年を下回っている。旅行は、国内旅行は前年を上回っており、海外旅行は減少幅を縮小してきているものの引き続き前年を大幅に下回っている。百貨店販売額は、平成十四年二月は、暖冬の影響で冬物衣料のクリアランスセールが不振だったことなどにより前年を下回ったが、昨夏以降、一進一退の動きを続けており、均してみれば下げ止まりの感がある。新車販売台数は、軽乗用車の新型車投入効果に一服感がみられることなどにより前年を下回っている。
 個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、定期給与(所定内及び所定外給与の合計)は引き続き前年を下回っており、弱い動きが続いている。現金給与総額は引き続き前年を下回っている。
 消費者マインドは、大きく悪化した後も改善がみられず厳しい状態にある。

◇設備投資は、大幅に減少している。
 設備投資は、生産及び企業収益の減少等を背景に平成十三年に入って以降減少が続いている。
 需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、平成十三年一〜三月期以降減少が続き、十〜十二月期には減少幅を拡大している。また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、平成十三年に入って以降、減少が続いている。なお、ソフトウェア投資は、増加基調を続けている。
 設備投資の今後の動向については、機械設備投資の先行指標である機械受注が平成十三年一〜三月期以降、減少基調で推移し平成十四年一〜三月期も減少の見通しとなっていること、日銀短観の平成十四年度設備投資計画において製造業、非製造業ともに減少が見込まれていることなどからみて、減少が続くものとみられる。

◇住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
 住宅建設は、平成十三年に入り、貸家は増加したものの、これまで堅調であったマンションの着工が落ち着いてきたことに加え、公庫持家の着工が大きく水準を下げて推移したこと等から、年間を通じておおむね年率百十五〜百二十万戸で推移した。
 この結果、平成十三年の住宅建設は、前年比四・六%減の百十七万四千戸と平成十年以来三年ぶりに百二十万戸を下回る低い水準となった。
 この背景としては、雇用・所得環境が厳しいこと、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下していることがあると考えられる。
 二月は、マンションの着工は増加したものの、持家、貸家、一戸建て分譲住宅が減少したため、前月比四・九%減の年率百十八万四千戸となった。
 先行きについてみると、住宅金融公庫融資の申し込み戸数が減少傾向にあることなど、住宅着工を減少させる要因が引き続きみられる。

◇公共投資は、総じて低調に推移している。
 公共投資は、総じて低調に推移している。国の平成十三年度第二次補正後予算を、施設費を加えた公共投資関連予算ベースでみると、「改革推進公共投資」特別措置もあり、ほぼ前年度並みを確保している。地方の投資的経費は、厳しい財政状況を反映して引き続き前年度を下回っている。
 このような状況を反映して、十〜十二月期の公共工事請負金額は11四半期連続で、大手五十社受注額も4四半期連続で前年を下回った。七〜九月期までは順次マイナス幅が縮小する傾向にあったが、 十〜十二月期はいずれも再び拡大している。
 一〜三月期の公共投資については、一月、二月の公共工事請負金額も前年を下回っており、地方の投資的経費の減少傾向が続いていることなどを踏まえると、 引き続き前年を下回ると考えられる。
 なお、国の平成十四年度当初予算においては、施設費を含む公共投資関係費について、前年度比一〇・七%減と規模を縮減しつつ、「予算編成の基本方針」の重点七分野に重点化しているほか、平成十四年度地方財政計画においては、投資的経費のうち地方単独事業費について対前年度比一〇・〇%減としつつ、国の歳出予算と歩を一にして歳出の徹底した見直しと重点的な配分を行うこととしている。

◇輸出は、下げ止まっている。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、やや増加している。
 輸出は、世界的なIT関連の在庫調整の進展などによって半導体等電子部品を中心に電気機器が増加傾向にある。また、一般機械も下げ止まりつつあるなど、全体に下げ止まっている。
 アジア向け輸出は、電気機器、一般機械を中心に緩やかに増加している。アメリカ向け輸出は、一般機械や自動車が堅調に推移していることから、おおむね横ばいとなっている。EU向け輸出は、ヨーロッパの内需低迷を背景に減少が続いている。
 先行きについては、ヨーロッパでは景気が低迷しているものの、為替レートの円安傾向やアメリカでの景気回復の動きなど対外経済環境の改善が我が国輸出を下支えする要因になるとみられる。
 輸入は、IT関連を中心とした国内の在庫調整の進展によって機械機器の輸入が横ばいとなったことなどから、全体として横ばいとなっている。
 地域別にみると、アジアからの輸入は横ばいとなっている。これは、機械機器の輸入が堅調に推移しているものの、これまで繊維製品や食料品を中心に増加に寄与していた中国からの輸入が横ばいとなったことなどによる。EUからの輸入は横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、機械機器を中心に減少している。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、やや増加している。輸出数量が下げ止まり、輸入数量が横ばいとなるなか、輸出金額の増加が輸入金額の増加を上回っていることが、黒字幅の拡大に寄与している。

二 企業活動と雇用情勢

◇生産は、下げ止まりつつある。
 鉱工業生産は、昨年初めから大幅に減少していたが、このところ減少幅が小さくなっている。輸出の下げ止まりや在庫調整の進展等を背景に、IT関連品目を中心に生産は下げ止まりつつある。
 ただし、設備投資の減少が続くとみられること等、懸念すべき点もあることには留意する必要がある。なお、製造工業生産予測調査によると三月、四月は増加が見込まれている。
 一方、第三次産業活動の動向をみると、おおむね横ばいで推移している。

◇企業収益は、製造業を中心に大幅に減少している。また、企業の業況判断は、厳しい状態が続いているが、大企業においては下げ止まりの兆しがみられる。倒産件数は、高い水準となっている。
 企業収益は、「法人企業統計季報」によると、平成十三年に入って以降、人件費の削減ペースが鈍化してきたこと、売上高の増収幅が縮小してきたこと等により、全体としては頭打ちとなっていたが、平成十三年七〜九月期以降は売上高も減収に転じ、電機機械などの製造業を中心に大幅な減益となった。また日銀短観でも、平成十三年度下期について、製造業を中心に大幅な減益を見込んでいる。一方、平成十四年度については増益を見込んでいる。
 企業の業況判断について、日銀短観をみると、厳しい状態が続いている。規模別でみると、中小企業において悪化が続いているものの、大企業においては下げ止まりの兆しがみられる。先行きについても、中小企業が引き続き悪化を見込む一方で、大企業では改善を見込んでいる。
 また、二月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで一千六百七十四件になるなど、高い水準となっている。

◇雇用情勢は、依然として厳しい。完全失業率が高水準で推移し、求人や賃金も弱い動きが続いている。
 二月の完全失業率は、前月比同水準の五・三%となった。完全失業者については、非自発的な離職による者の増加幅が引き続き拡大している。
 求人は、新規求人数が前月比で増加となったが、有効求人数は引き続き前月比減少、有効求人倍率も低下しており、弱い動きが続いている。
 製造業の残業時間については、生産が下げ止まりつつあることを反映し、一月前月比増加に転じた後、二月は若干減少となっている。企業の雇用過剰感は、製造業で低下したものの、依然高い水準にある。
 賃金の動きをみると、現金給与総額、定期給与は前年を下回っており、弱い動きが続いている。

三 物価と金融情勢

◇国内卸売物価は、下落幅が縮小している。消費者物価は、弱含んでいる。
 輸入物価は、このところ、契約通貨ベースでは下落しているものの、円ベースでは円安を背景に上昇している。国内卸売物価は、下落幅が縮小している。
 最近の動きをみると、食料用農畜水産物が下落しているものの、非鉄金属が上昇していることに加え、石油・石炭製品が上昇に転じたこと、在庫調整の進展などにより電気機器の値下がり幅が縮まっていることから、全体としては下落幅が縮小している。また、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
 消費者物価は、平成十二年秋以降弱含んでいる。最近の動きをみると、一般サービス(外食など)はやや上昇しているものの、耐久消費財の下落などにより一般商品は下落していることから、全体としては下落している。
 こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

◇金融情勢をみると、株式相場は、二月下旬から三月上旬にかけて大きく上昇した後、中下旬に下落した。長期金利は、三月は、やや低下した。
 短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、三月は、日本銀行による金融緩和措置を反映して、〇・〇〇一〜〇・〇一二%で推移した。二、三か月物は、年明け以降、やや上昇した後、三月は、決算期末要因の剥落などから、月末にかけてやや下落した。
 長期金利は、昨年八月中旬以降、ほぼ横ばいで推移したが、一月にやや上昇した後、三月は、やや低下した。
 株式相場は、株式空売り規制の強化などを背景に、当面の下値不安が後退したとの市場の見方などもあり、二月下旬から三月上旬にかけて大きく上昇した後、中下旬に下落し、平成十三年度末は、日経平均株価一万一千二十円(東証株価指数では一、〇六〇ポイント)で取引を終えた。
 対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、十一月中旬から一月にかけて、百二十円台から百三十四円台まで下落した。三月は、株式相場の上昇等を背景に上旬に百二十七円台まで上昇したが、中下旬は百三十三円台まで下落した。
 対ユーロ円相場(インターバンク十七時時点)は、十一月中旬から一月上旬にかけて、百七円台から百十八円台まで下落した。三月は、株式相場の上昇等を背景に上旬に百十二円台まで上昇したが、中下旬は百十六円台まで下落した。
 マネタリーベース(月中平均残高)は、日本銀行の潤沢な資金供給などを背景に、大きく伸びを高めている(三月:前年同月比三二・六%増)。M+CD(月中平均残高)は、このところ、流動性預金の伸び率が上昇したことなどから、若干伸びを高めている(二月速報:前年同月比三・七%増)。
 民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、九六年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している。
 貸出金利は、金融緩和等を背景に、昨年初来低下傾向で推移してきたが、このところ横ばい圏で推移している。なお、企業の格付等に応じた資金調達条件の格差が、このところ拡大している。
 日銀短観によると、資金繰り判断は、大企業、中堅企業、中小企業ともやや悪化しており、金融機関の貸出態度判断は、大企業を中心に悪化している。

四 海外経済

◇アメリカの景気回復の動きが、製造業を中心とした世界主要経済の生産回復につながりつつある。
 世界経済をみると、アメリカの景気回復の動きが、製造業を中心とした生産の回復につながりつつある。
 アメリカの景気は回復の動きがみられる。個人消費は回復している。住宅建設は増加傾向にある。設備投資は大幅に減少しているが、非軍需資本財受注は増加に転じている。企業の景況感は改善が続いている。生産は回復しており、稼働率は上昇している。失業率は上昇したものの、雇用は持ち直している。物価は安定している。
 アジアをみると、製造業を中心に生産回復への動きがみられる。中国では、景気の拡大テンポは鈍化しているが、生産は持ち直している。韓国では、景気は回復している。台湾やシンガポールでは、生産は持ち直している。タイでは、内需に回復の動きがみられる。
 ヨーロッパをみると、@ユーロ圏では、景気は低迷しているものの生産は下げ止まりつつある。ドイツでは、景気は低迷しているものの生産は下げ止まりつつある。フランスでは、景気は減速しているものの生産に下げ止まりの兆しがみられる。Aイギリスでは、景気は減速している。
 金融情勢をみると、ドルは、三月上旬に対円で減価したが、その後は増価基調で推移した。アメリカの株価は、アメリカの景気回復期待などから上昇基調で推移し、三月十九日にはテロ事件後の最高値となったが、下旬にはやや弱含んだ。アメリカの長期金利は、三月上旬に株価上昇などから上昇し、その後はほぼ横ばいで推移している。
 国際商品市況をみると、原油価格は、三月十五日のOPEC総会で減産継続が決定されたことや中東情勢の不透明感などから、大幅に上昇した。


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消費支出(全世帯)は実質〇・八%の増加


―平成十四年一月分家計収支―


総 務 省


◇全世帯の家計

 前年同月比でみると、全世帯の一世帯当たりの消費支出は、平成十三年十月、十一月に二か月連続の実質増加となった後、十二月は実質減少となったが、十四年一月は実質増加となった。
 また、一人当たりの消費支出は九万四千七百七十九円で、前年同月に比べ実質一・四%の増加となった。

◇勤労者世帯の家計

 前年同月比でみると、勤労者世帯の実収入は、平成十三年九月以降三か月連続の実質増加となった後、十二月は実質減少となったが、十四年一月は実質増加となった。
 また、消費支出は、平成十三年十月、十一月に二か月連続の実質増加となった後、十二月は実質減少となったが、十四年一月は実質増加となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十七万三千四百三十九円となり、前年同月に比べ、名目〇・八%の増加、実質二・五%の増加となった。

◇季節調整値の推移(全世帯・勤労者世帯)

 季節調整値でみると、全世帯の消費支出は前月に比べ実質六・二%の増加となった。
 勤労者世帯の消費支出は前月に比べ実質四・六%の増加となった。













言葉の履歴書


◇登竜門

 端午(たんご)の節句には鯉のぼりが立てられますが、「鯉の滝登り」といえば、昔から立身出世のたとえに使われてきました。この「滝」は高いがけから流れ落ちる滝ではなく、川の傾斜が急な激流のこと。「鯉の滝登り」は中国の竜門の故事に基づくものです。
 竜門は中国の山西省と陝西省(せんせいしよう)との間にある黄河の急流。竜門の下に数千の大魚が集まっても、流れをさかのぼることは極めて難しく、登れば竜となるといわれました。立身出世の関門が「登竜門」と呼ばれるのも、この故事に由来します。「芥川賞は文壇の登竜門」などと言ったりするのは、その一例です。
 「甍(いらか)の波と雲の波…」と歌い出される文部省唱歌『鯉のぼり』(一九一三年)の第三節では、鯉のぼりが男の子たちに向かって「多くの早瀬をさかのぼれば、竜になることのできる、私のようになりなさい」と、次のように歌っています。

 「百瀬(ももせ)の滝を登りなば、忽(たちま)ち竜になりぬべき わが身に似よや男子(おのこご)と 空に躍るや鯉のぼり」






    <5月15日号の主な予定>

 ▽地方財政白書のあらまし………総 務 省 

 ▽労働力調査(二月)……………総 務 省 




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