官報資料版 平成14年5月15日




                  ▽地方財政白書のあらまし………総 務 省

                  ▽労働力調査(二月)……………総 務 省











地方財政白書のあらまし


―地方財政の状況―


総 務 省


 「地方財政の状況」(地方財政白書)は、平成十四年三月二十二日の閣議決定を経て、国会に報告された。これは、地方財政法第三十条の二の規定に基づき、内閣が地方財政の状況を明らかにして、毎年国会に報告するものであり、その内容は、次の二部構成となっている。
 第一部では、平成十二年度地方公共団体の決算を中心として、地方財政の状況を明らかにしている。
 第二部では、最近の地方財政の動向を要約し、当面する主要な課題について取りまとめている。
 以下、平成十二年度の地方公共団体の普通会計決算の状況を中心に、白書のあらましについて紹介する。

【第一部 平成十二年度の地方財政】

一 地方財政の役割

 地方公共団体は、その自然的・歴史的条件、産業構造、人口規模等がそれぞれ異なっており、これに即応してさまざまな行政活動を行っている。
 地方財政は、このような地方公共団体の行政活動を支えている個々の地方公共団体の財政の集合であり、国の財政と密接な関係を保ちながら、国民経済及び国民生活上大きな役割を担っている。

(1) 国・地方を通じた財政支出
 国と地方の財政が担っている役割について、その財政規模と目的別支出からみると次のとおりである。
 なお、ここでは、国・地方を通じた財政支出として、国(一般会計と交付税及び譲与税配付金、公共事業関係等の十特別会計の純計)と地方(普通会計)の財政支出の合計から重複分を除いた歳出純計額を用いている。

<財政規模>
 国と地方の歳出純計額は百五十九兆三百十一億円で、前年度と比べると二・六%減(前年度四・四%増)となっている。
 歳出純計額の目的別歳出額の構成比の推移についてみると、平成十二年度においては、社会保障関係費が最も大きな割合(二三・三%)を占め、以下、公債費(二一・三%)、国土保全及び開発費(一八・三%)、教育費(一三・四%)の順となっている。
 なお、公債費の構成比が高い水準にあるのは、昭和五十年度以降の巨額の財源不足、平成四年度以降の経済対策等に対処するため、国・地方を通じて大量の公債が発行されたことによるものである。
 この歳出純計額を最終支出の主体に着目して国と地方とに分けてみると、国が六十二兆九千六百十四億円、地方が九十六兆六百九十七億円で、前年度と比べると、公債費が増加したものの、国土保全及び開発費、社会保障関係費の減少等により、国が〇・四%減(前年度九・一%増)、地方が三・九%減(同一・六%増)となっている。また、歳出純計額に占める割合は、国が三九・六%、地方が六〇・四%となっている。

<目的別支出>
 歳出純計額の目的別及び支出主体別の規模は、第1図のとおりである。
 これによると、防衛費等のように国のみが行う行政に係るものは別として、公衆衛生、清掃等に係る衛生費、小学校、中学校、高等学校等に係る学校教育費、警察、消防等に係る司法警察消防費、道路整備、都市計画、土地改良等に係る国土開発費等、国民生活に直接関連する経費については、最終的に地方公共団体を通じて支出されている割合が高いことがわかる(第1図参照)。

(2) 国民経済と地方財政
 政府部門は、国民経済計算上、中央政府、地方政府及び社会保障基金からなっており、家計部門に次ぐ経済活動の主体として、資金の調達及び財政支出を通じ、資源配分の適正化、所得分配の公正化、経済の安定化等の重要な機能を果たしている。
 その中でも、地方政府は、中央政府を上回る最終支出主体であり、国民経済上、大きな役割を担っている。

<国内総支出と地方財政>
 国民経済において地方政府が果たしている役割を国内総支出(名目ベース。以下同じ)に占める割合でみると、第2図のとおりである。
 平成十二年度の国内総支出は五百十三兆六十一億円であり、その支出主体別の構成比は、家計部門が五九・八%(前年度六〇・四%)、政府部門が二三・七%(同二三・七%)、企業部門が一五・三%(同一四・四%)となっている。
 政府部門のうち、地方政府及び中央政府が国内総支出に占める割合は、地方政府が一三・三%(前年度一四・〇%)、中央政府が四・六%(同四・六%)となっており、地方政府の構成比は中央政府の約三倍となっている。なお、地方政府のうち普通会計分は五十八兆五千七百五十一億円で、国内総支出の一一・四%(同一一・九%)を占めている(第2図参照)。

<公的支出の状況>
 政府部門による平成十二年度の公的支出は、公的総資本形成(公的総固定資本形成と公的在庫品増加の合計額)が前年度を下回ったことから前年度と比べると〇・三%減(前年度一・一%増)の百二十一兆五千四百二十四億円となっている。また、国内総支出に占める割合は、前年度と同じ二三・七%となっている。
 公的支出の内訳をみると、政府最終消費支出が八十六兆六千九百十七億円、公的総資本形成が三十四兆八千五百七億円となっており、これらを前年度と比べると、政府最終消費支出は三・八%増(前年度三・一%増)、公的総資本形成は九・一%減(同二・九%減)となっている。
 さらに、公的支出の内訳を最終支出主体別にみると、第3図のとおりである。
 中央政府は、前年度と比べると、政府最終消費支出が三・九%増(前年度九・九%増)、公的総資本形成が五・二%減(同四・三%増)で合計〇・二%減(同七・三%増)であり、公的支出に占める中央政府の割合は前年度と同じ一九・六%となっている。
 地方政府は、前年度と比べると、政府最終消費支出が一・三%減(前年度二・三%増)、公的総資本形成が一〇・七%減(同五・四%減)で、合計四・九%減(同〇・八%減)であり、公的支出に占める地方政府の割合は、前年度(五九・一%)より二・八%ポイント低下の五六・三%となっている。
 また、政府最終消費支出及び公的総資本形成に占める地方政府の割合をみると、政府最終消費支出においては前年度(五三・一%)と比べると二・六%ポイント低下の五〇・五%、公的総資本形成においては前年度(七一・九%)と比べると一・二%ポイント低下の七〇・七%となっており、公的総資本形成においては、依然七割を超える額を地方政府が支出している(第3図参照)。
 なお、ここでいう公的支出には、国・地方の歳出に含まれる経費の中で、移転的経費である扶助費、普通建設事業費のうち所有権の取得に要する経費である用地取得費、金融取引に当たる公債費及び積立金等といった付加価値の増加を伴わない経費は除かれている。したがって、公的支出に占める中央政府及び地方政府の割合と歳出純計額に占める国と地方の割合は一致していない。

二 地方財政の概況

 地方公共団体の歳入及び歳出は、一般会計と特別会計に区分経理されているが、各団体の会計区分は全団体一様ではない。このため、地方財政では、これらの会計を一定の基準によって、一般行政部門と水道、交通、病院等の企業活動部門に分け、前者を「普通会計」、後者を「地方公営事業会計」として区分している。
 以下、平成十二年度の地方財政について、普通会計を中心にその状況を述べるとともに、地方公営事業会計についてもその概要を述べる。

(1) 決算規模
 地方公共団体(都道府県四十七団体、市町村三千二百二十七団体、特別区二十三団体、一部事務組合二千九十五団体及び広域連合六十三団体(以下、一部事務組合及び広域連合を「一部事務組合等」という)の普通会計の純計決算額は、第1表のとおり、歳入百兆二千七百五十一億円(前年度百四兆六十五億円)、歳出九十七兆六千百六十四億円(同百一兆六千二百九十一億円)で、歳入、歳出いずれも過去最大であった前年度と比べると、歳入三・六%減(前年度一・一%増)、歳出三・九%減(同一・四%増)となっている(第1表参照)。
 このように決算規模が前年度決算額を下回った主な要因としては、国の補正予算による経済対策が前年度に比べて小規模にとどまったこと、介護保険制度の実施に伴い、関係する収入及び支出が普通会計から介護保険業会計等へ移行したことがあげられる。

(2) 決算収支
<実質収支>
 実質収支(形式収支(歳入歳出差引額)から明許繰越等のために翌年度に繰り越すべき財源を控除した額)の状況は、第2表のとおりである。
 平成十二年度の実質収支は、一兆一千二百五十九億円の黒字(前年度一兆二十五億円の黒字)で、昭和三十一年度以降黒字が続いている。
 実質収支が赤字である団体数をみると、平成十一年度に赤字であった二十六団体(都府県四団体、市町村二十二団体)のうち十九団体(都府二団体、市町村十七団体)が引き続き赤字であり、更に五団体(町村三団体、一部事務組合二団体)が新たに赤字団体となった結果、赤字団体数は二十四団体であり、前年度と比べると二団体減少している(第2表参照)。
 標準財政規模に対する実質収支額の割合である実質収支比率の推移についてみると、平成十二年度の実質収支比率(特別区及び一部事務組合等を除く加重平均)は前年度と比べると〇・二%ポイント上昇の一・八%となっている。
 これを団体種類別にみると、都道府県は〇・一%ポイント上昇の〇・〇%、特別区及び一部事務組合等を除く市町村は〇・三%ポイント上昇の三・四%となっている。

<単年度収支及び実質単年度収支>
 単年度収支(実質収支から前年度の実質収支を差し引いた額)は、二年連続して黒字(前年度一千五百八十八億円の黒字)となり、その黒字額は一千二百五十億円となっている。
 これを団体種類別にみると、都道府県は二百二億円の黒字(前年度六百七十七億円の黒字)、市町村は一千四十八億円の黒字(前年度九百十一億円の黒字)となっている。
 また、実質単年度収支(単年度収支に財政調整基金への積立額及び地方債の繰上償還額を加え、財政調整基金の取崩し額を差し引いた額)は、二年連続して黒字(前年度二千七百八十八億円の黒字)となり、その黒字額は六千九億円となっている。
 これを団体種類別にみると、都道府県は二千二百六十六億円の黒字(前年度六十二億円の黒字)、市町村は三千七百四十三億円の黒字(前年度二千七百二十六億円の黒字)となっている。

三 地方財源の状況

(1) 歳入の概況
 歳入純計決算額は百兆二千七百五十一億円で、前年度と比べると三・六%減(前年度一・一%増)となり、平成九年度(一・四%減)以来三年ぶりに減少している。
 決算額の主な内訳をみると、第3表のとおりである。
 地方税は、三年ぶりに増加に転じている。これは、定額郵便貯金の大量満期により道府県民税の利子割が増加するとともに、企業収益の改善により都道府県の法人事業税等が増加したことによる。また、地方特例交付金(四二・八%増)、地方交付税(四・四%増)は、ともに増加している。
 一方、国庫支出金(一二・九%減)、地方債(一五・〇%減)は、それらを財源とする普通建設事業が減少したことなどから減少している(第3表参照)。

<租税収入及び租税負担率>
 国及び地方公共団体の行政活動に要する経費は、最終的にはその大部分が租税によって賄われている。
 国税と地方税を合わせ租税として徴収された額は八十八兆二千六百七十三億円であり、前年度と比べると四・八%増(前年度三・三%減)となっている。
 国民所得に対する租税総額の割合である租税負担率をみると、近年、低下傾向にあったが、平成十二年度は増加に転じ、前年度と比べると一・一%ポイント上昇の二三・二%となっている。
 なお、主要な諸外国の租税負担率をみると、アメリカ二六・五%(一九九九暦年計数)、イギリス四〇・〇%(同)、ドイツ三一・〇%(同)、フランス四〇・六%(同)となっている。
 次に、租税を国税と地方税の別でみると、国税五十二兆七千二百九億円(七・一%増)、地方税三十五兆五千四百六十四億円(一・五%増)といずれも三年ぶりに増収となっている。
 租税総額に占める国税と地方税の割合は、第4図のとおりであり、国税五九・七%(前年度五八・四%)、地方税四〇・三%(同四一・六%)となっている。また、地方交付税、地方譲与税及び地方特例交付金を国から地方へ交付した後の租税の実質的な配分割合は、国四一・一%(同四二・二%)、地方五八・九%(同五七・八%)となっている(第4図参照)。

<地方税>
 地方税の決算額は三十五兆五千四百六十四億円で、前年度と比べると一・五%増(前年度二・五%減)となっており、三年ぶりに増収となっている。
 このように地方税が前年度決算額を上回ったのは、定額郵便貯金が大量満期を迎えたこと、法人企業の収益改善等により住民税、事業税等が増収となったことによるものである。

(2) 地方譲与税
 地方譲与税の決算額は六千二百二億円で、前年度と比べると一・九%増(前年度二・三%増)となっている。また、歳入総額に占める割合は〇・六%(同〇・六%)となっている。
 地方譲与税の内訳をみると、地方道路譲与税が二千九百五十億円(二・三%増)、自動車重量譲与税が二千八百四十一億円(二・〇%増)、航空機燃料譲与税が百五十九億円(二・七%減)、石油ガス譲与税が百四十二億円(二・〇%減)及び特別とん譲与税が百十億円(〇・二%増)となっている。

(3) 地方特例交付金
 地方特例交付金は、恒久的な減税に伴う地方税の減収の一部を補てんするため、地方税の代替的性格を有する財源として、平成十一年度に創設された。
 その総額は、当該年度の恒久的な減税に伴う減収見込額の総額の四分の三に相当する額から、国と地方のたばこ税の税率変更による地方たばこ税の増収措置及び法人税に係る地方交付税率の引上げによる措置額を控除した額であり、平成十二年度の決算額は九千百四十億円となり、前年度と比べると減税が平年度化したため四二・八%増となっている。
 また、地方特例交付金の歳入総額に占める割合は〇・九%(前年度〇・六%)となっている。

(4) 地方交付税
 地方交付税は、地方公共団体の税源の不均衡を調整し、どの地域においても一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するための地方共有の固有財源である。また、その目的は、地方公共団体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、また、行政を執行する権能を損なわずに、その財源の均衡化を図り、地方行政の計画的な運営を保障することによって、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方公共団体の独立性を強化することである。
 平成十二年度の地方交付税の総額は、地方財政計画においては、国税五税(国税のうち所得税、法人税、酒税、消費税及びたばこ税)のそれぞれの収入見込額に一定割合を乗じて算出した額(平成十二年度においては、所得税及び酒税の収入見込額のそれぞれ三二%に相当する額、法人税の収入見込額の三五・八%に相当する額、消費税の収入見込額の二九・五%に相当する額並びにたばこ税収入見込額の二五%に相当する額)十三兆二千六百六十三億円に、特例措置として、「地方交付税法等の一部を改正する法律」(平成十二年法律第五号)による改正前の地方交付税法附則第四条の二第二項に基づく加算額二千八十七億円、同条第六項に基づく加算額三千九百十三億円及び臨時特例加算額一千五百億円を加え、更に、交付税特別会計借入金八兆八百八十一億円及び交付税特別会計剰余金一千三百億円等を加算し、同特別会計借入金利子充当分八千二百七十九億円を控除した二十一兆四千百七億円(普通交付税二十兆一千二百二十二億円、特別交付税一兆二千八百八十六億円)とされた。
 なお、この特例措置は、平成十二年度において、経費全般について徹底した節減合理化に努めたが、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入の低迷、公債費の累増等により、通常収支のみで九兆八千六百七十三億円の財源不足が生じ、平成八年度以降五年連続して地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当する財源不足が生じる見込みとなったことから、平成十年度に講じた平成十二年度までの間の制度改正を基本として講じられたものである。
 その後、国の補正予算により、国税収入の増額補正による四千二百八十五億円、前年度の地方交付税の精算額四千七百億円が一般会計に繰り入れられた。
 これに対応し、普通交付税が、国の補正予算に伴う追加公共事業等に係る地方負担額分二千二百九十六億円、財源対策債の一部の縮減に要する額三千二百六十六億円等から、給与改定に伴い見込まれる財政需要の減少額二千三百三十一億円を控除した額に相当する三千四百三十八億円が増額されるとともに、特別交付税が、普通交付税の増額の九四分の六に相当する二百十九億円増額され、残余の五千三百二十八億円は平成十三年度分として交付すべき地方交付税の総額に加算して交付することとされた。
 その結果、平成十二年度地方交付税総額の決算額は、二十一兆七千七百六十四億円となり、前年度と比べると四・四%増(前年度一五・六%増)となっており、七年連続して前年度決算額を上回っている。
 その内訳は、普通交付税が二十兆四千六百五十九億円、特別交付税が一兆三千百五億円となっている。また、歳入総額に占める割合は、二一・七%(前年度二〇・一%)である。
 なお、基準財政需要額は四十七兆三千五百七十二億円(財源不足団体分四十二兆九千六百四十一億円、財源超過団体分四兆三千九百三十一億円)、基準財政収入額は二十七兆三千六百八十八億円(財源不足団体分二十二兆四千九百八十二億円、財源超過団体分四兆八千七百五億円)で、財源不足団体の財源不足額は二十兆四千六百五十九億円、財源超過団体の財源超過額は四千七百七十五億円となっている。
 普通交付税の交付状況をみると、不交付団体は、都道府県においては前年度と同じく東京都一団体となっており、市町村においては前年度(八十四団体)より十団体減少の七十四団体となっている。
 地方交付税の収入状況を団体種類別にみると、道府県が十一兆七千八百二十九億円で前年度と比べると五・八%増(前年度二〇・一%増)、市町村が九兆九千九百三十六億円で二・七%増(同一〇・九%増)となっており、その地方交付税総額に占める割合は、道府県が五四・一%(同五三・四%)、市町村が四五・九%(同四六・六%)となっている。

(5) 一般財源
 一般財源は、地方税、地方譲与税、地方特例交付金及び地方交付税の合計額(市町村決算においては、これらに加えて、都道府県から交付される地方消費税交付金等各種交付金を加えた合計額)であり、使途が特定されず、どのような経費にも使用できる財源である。
 この一般財源の決算額は五十八兆八千五百七十億円であり、地方交付税、地方税が増加したことから、前年度と比べると三・〇%増(前年度四・七%増)となっており、六年連続して増加している。
 また、歳入総額に占める割合は、五八・七%(前年度五四・九%)となっている。

(6) 国庫支出金
 国庫支出金の決算額は十四兆四千五百四十三億円で、前年度と比べると一二・九%減(前年度五・四%増)となっており、三年ぶりに減少に転じている。
 また、歳入総額に占める割合も一四・四%(前年度一六・〇%)と三年ぶりに減少に転じている。
 次に、国庫支出金の内訳をみると、普通建設事業費支出金が五兆五千五百十五億円で最も大きな割合(国庫支出金全体の三八・四%)を占め、以下、義務教育費負担金が二兆九千八百一億円(同二〇・六%)、生活保護費負担金が一兆四千七百七十八億円(同一〇・二%)となっており、以上の支出金等で国庫支出金総額の六九・二%を占めている。
 さらに、団体種類別に国庫支出金の内訳をみると、都道府県においては、普通建設事業費支出金四兆五百七億円(四二・〇%)、義務教育費負担金二兆九千八百一億円(三〇・九%)の順となっている。
 また、市町村においては、普通建設事業費支出金一兆五千八億円(三一・二%)、生活保護費負担金一兆二千九百六十六億円(二六・九%)の順となっている。

(7) 地方債
 地方債の決算額は十一兆一千百六十一億円(交付公債を除く)で、地方税収等の落込みに伴う減収に対処するための地方債の発行が減少したこと、普通建設事業が減少したことなどから前年度と比べると一五・〇%の減(前年度一三・六%減)となっている。
 この結果、地方債依存度(歳入総額に占める地方債の割合)も前年度と比べると一・五%ポイント低下の一一・一%(前年度一二・六%)となっている。
 地方債の決算額を団体種類別にみると、都道府県においては六兆二千六百八十二億円で一七・九%減(前年度一一・九%減)、市町村においては四兆九千五十三億円で一一・一%減(同一五・九%減)となっている。
 地方債の目的別の発行状況をみると、一般単独事業債が四兆七千九百十四億円で最も大きな割合(地方債発行総額の四三・一%)を占め、以下、一般公共事業債が三兆一千百二十六億円(前年度二八・〇%)、一般廃棄物処理事業債が四千七百三十一億円(同四・三%)、減税補てん債が四千五百九十八億円(同四・一%)の順となっている。

四 地方経費の内容

 歳出の分類方法としては、行政目的に着目した「目的別分類」と、経費の経済的な性質に着目した「性質別分類」が用いられるが、これらの分類による歳出の概要は、次のとおりである。

(1) 目的別歳出
 地方公共団体の経費は、その行政目的によって、総務費、民生費、衛生費、労働費、農林水産業費、商工費、土木費、消防費、警察費、教育費、公債費等に大別することができる。
 歳出純計決算額は九十七兆六千百六十四億円で、前年度と比べると三・九%減(前年度一・四%増)となっている。
 目的別歳出の構成比は、第4表のとおりであり、主な目的別歳出の構成比は、土木費(二〇・〇%)、教育費(一八・五%)、民生費(一三・七%)、公債費(一二・七%)、総務費(九・四%)の順となっており、土木費、教育費及び民生費で全体の五割以上を占めている。
 これらの項目の伸び率をみると、土木費が六・八%減(前年度四・五%減)、教育費が〇・六%減(同二・二%減)、民生費が一一・一%減(同一二・〇%増)、公債費が四・九%増(同八・二%増)、総務費が〇・二%減(同六・〇%増)となっており、減少する項目が多い中で、公債費は引き続き増加している(第4表参照)。
 なお、一般財源総額(五十八兆八千五百七十億円)に占める目的別歳出の割合をみると、教育費が最も大きな割合(一九・八%)を占め、以下、公債費(一七・八%)、民生費(一三・二%)、土木費(一二・五%)の順となっている。

(2) 性質別歳出
 地方公共団体の経費は、その経済的な性質によって、義務的経費、投資的経費及びその他の経費に大別することができる。
 義務的経費は、職員給与費等の人件費のほか、生活保護費等の扶助費及び地方債の元利償還金等の公債費からなっており、そのうち人件費が約六割(五九・三%)を占めている。
 また、投資的経費は、道路、橋りょう、公園、公営住宅、学校の建設等に要する普通建設事業費のほか、災害復旧事業費及び失業対策事業費からなっており、そのうち普通建設事業費が大部分(九七・八%)を占めている。
 歳出純計決算額の性質別内訳をみると、第5表のとおりである。
 義務的経費は、前年度決算額を下回っている(〇・九%減)。これは、公債費(五・〇%増)が増加したものの、人件費(〇・六%減)が介護保険制度の実施に伴う関係職員の介護保険事業会計等への移行、行政改革の進展等による職員給の減少等により、初めて減少に転じるとともに、老人福祉費関係の扶助費の大部分が介護保険事業会計から保険給付費として支出されることから、扶助費(一一・八%減)が大幅に減少したためである。
 投資的経費も、前年度決算額を下回っている(八・九%減)。これは、大部分を占める普通建設事業費が、国の補正予算による経済対策が小規模であったことに加えて、厳しい財政状況を反映して事業の重点化等が進められたことなどから、補助事業費(九・八%減)、単独事業費(八・〇%減)がともに減少し、前年度決算額を下回ったためである(八・五%減)。
 また、その他の経費は、前年度、介護保険円滑導入等に係る基金の設置により増加(前年度九〇・三%増)した積立金(二二・五%減)等の減により前年度決算額を下回っている(四・二%減)(第5表参照)。

<義務的経費>
 義務的経費は、人件費、扶助費及び公債費からなっている。
 義務的経費の決算額は、四十五兆三千二百億円で、前年度と比べると〇・九%減(前年度二・八%増)となり、集計を開始(昭和二十九年度)してから初めて減少に転じている。また、義務的経費の歳出総額に占める割合は四六・四%で、前年度と比べると一・四%ポイントの上昇となっている。
 義務的経費の内訳をみると、人件費が二十六兆八千七百七十五億円で義務的経費に占める割合は五九・三%(前年度五九・二%)、公債費が十二兆三千四百六十二億円で二七・二%(同二五・七%)、扶助費が六兆九百六十四億円で一三・五%(同一五・一%)となっており、近年は公債費の構成比が上昇している。
 (人件費)
 人件費は、職員給、地方公務員共済組合等負担金、退職金、委員等報酬、議員報酬手当等からなっている。
 この人件費の決算額は二十六兆八千七百七十五億円であり、集計を開始(昭和二十九年度)してから初めて減少(〇・六%減)に転じ、義務的経費減少の要因の一つとなっている。
 人件費の歳出総額に占める割合及び人件費に充当された一般財源の一般財源総額に占める割合の推移は、第5図のとおりである。
 人件費の歳出総額に占める割合は二七・五%で、前年度を〇・九%ポイント上回っている。人件費の歳出総額に占める割合を団体種類別にみると、都道府県(二九・六%)が、市町村立義務教育諸学校教職員の給与を負担していることなどから、市町村(二一・七%)を上回っている(第5図参照)。
 また、国家公務員の給与水準を一〇〇としたときの、地方公務員の給与水準を指すラスパイレス指数の推移は、第6図のとおりであり、昭和四十九年の一一〇・六をピークとして、昭和五十年以降、連続して低下しており、平成十三年四月一日現在のラスパイレス指数は、前年と比べると〇・二ポイント低下の一〇〇・五となっている(第6図参照)。
 人件費の主な内訳は、職員給が七四・〇%を占め、以下、地方公務員共済組合等負担金(一三・一%)、退職金(七・九%)の順となっている。
 各費目の伸び率をみると、職員給は前年度と比べると一・九%減となっており、二年連続して減少となっている。また、地方公務員共済組合等負担金は前年度と比べると〇・六%減(前年度〇・六%減)となっている。退職金は、退職者の増により一二・〇%増(同一二・四%増)となっており、二年連続して増加している。
 (扶助費)
 扶助費は、社会保障制度の一環として、生活困窮者、児童、老人、心身障害者等を援助するために要する経費である。
 この扶助費の決算額は六兆九百六十四億円であり、前年度と比べると一一・八%減(前年度五・六%増)となっている。また、扶助費の歳出総額に占める割合は、平成四年度以降上昇していたが、介護保険制度の実施に伴い十二年度は前年度と比べると〇・六%ポイント低下の六・二%となっている。
 扶助費の目的別内訳は、児童福祉費が二兆八百五十六億円で最も大きな割合(扶助費総額の三四・二%)を占めており、以下、生活保護費の一兆九千八百五十五億円(前年度三二・六%)、社会福祉費の一兆一千五百五十二億円(同一八・九%)、老人福祉費の三千九百四十五億円(同六・五%)の順となっている。
 これら各費目の伸び率をみると、児童手当の拡充等により、児童福祉費が一一・七%増(前年度四・四%増)、生活保護費が六・〇%増(同七・六%増)、社会福祉費が〇・六%増(同五・三%増)、老人福祉費が七四・八%減(同六・二%増)となっている。
 扶助費に充当された財源の内訳をみると、生活保護費負担金及び児童保護費等負担金等の国庫支出金が三兆四十二億円、一般財源等が二兆七千六百三十億円となっている。
 (公債費)
 公債費は、地方債元利償還金及び一時借入金利子の支払いに要する経費である。
 この公債費の決算額は十二兆三千四百六十二億円で、前年度と比べると五・〇%増(前年度八・二%増)となっている。また、歳出総額に占める公債費の割合は、平成五年度以降上昇しており、平成十二年度においても、前年度と比べると一・〇%ポイント上昇の一二・六%となっている。
 これは、近年の地方税収等の落込みや減税による減収の補てん、経済対策に伴う公共投資の追加等により、地方債の元利償還金が増加したことなどによるものである。
 公債費の内訳をみると、地方債元金償還金が八兆二千二百二十四億円で、最も大きな割合(六六・六%)を占め、以下、地方債利子が四兆一千九十一億円(三三・三%)、一時借入金利子が百四十七億円(〇・一%)となっている。
 各費目の伸び率をみると、地方債元金償還金が九・四%増(前年度一四・八%増)、低金利の影響により新発債及び借換債の金利が低下しているため、地方債利子が二・六%減(同一・五%減)となっている。また、一時借入金利子は三四・七%減(同三六・四%減)となっている。
 なお、公債費に充当された財源の内訳をみると、一般財源等が十一兆四千六十二億円で全体の九二・四%(前年度九二・二%)を占めており、使用料、手数料等の特定財源は九千三百九十九億円で七・六%(同七・八%)を占めている。

<投資的経費>
 投資的経費は、道路・橋りょう、公園、学校、公営住宅の建設等社会資本の整備に要する経費であり、普通建設事業費、災害復旧事業費及び失業対策事業費からなっている。
 投資的経費の決算額は二十四兆四千三百三十五億円で、前年度と比べると八・九%減(前年度七・一%減)となっている。
 投資的経費の歳出総額に占める割合は二五・〇%であり、前年度と比べると一・四%ポイントの低下となっている。
 投資的経費の内訳をみると、普通建設事業費が九七・八%を占め、以下、災害復旧事業費(二・一%)、失業対策事業費(〇・一%)の順となっている。
 (普通建設事業費)
 普通建設事業費は、道路・橋りょう、学校、庁舎等公共又は公用施設の新増設等の建設事業に要する経費である。
 この普通建設事業費の決算額は二十三兆九千十七億円であり、前年度と比べると八・五%減(前年度七・七%減)となっている。
 普通建設事業費の内訳は、単独事業費(四九・六%)、補助事業費(四四・〇%)、国直轄事業負担金(六・四%)の順となっている。また、各費目の伸び率をみると、単独事業費は八・〇%減(前年度一二・〇%減)、補助事業費は九・八%減(同二・五%減)、国直轄事業負担金は二・七%減(同七・一%減)となっている。これは、厳しい財政状況を反映した単独事業の重点化等と公共投資の減少が主な要因である。
 普通建設事業費の目的別内訳は、第7図のとおりであり、土木費が最も大きな割合(五七・一%)を占め、以下、農林水産業費(一六・〇%)、教育費(九・五%)の順となっている(第7図参照)。
 さらに、これらの費目の内訳別に普通建設事業費に占める割合をみると、土木費のうちの道路橋りょう費(二四・〇%)が最も大きく、以下、都市計画費(一五・九%)、河川海岸費(一〇・四%)の順となっている。また、これを団体種類別にみると、都道府県においては道路橋りょう費(二八・一%)、河川海岸費(一六・五%)、農地費(一三・八%)、都市計画費(九・六%)、林業費(五・五%)の順となっており、市町村においては都市計画費(二二・五%)、道路橋りょう費(一七・〇%)、清掃費(九・〇%)、小学校費(四・九%)、農地費(四・九%)の順となっている。
 補助事業費は、地方公共団体が国からの負担金又は補助金を受けて実施する事業に要する経費である。
 この補助事業費の決算額は十兆五千百三十八億円で、前年度と比べると九・八%減(前年度二・五%減)となっている。これを団体種類別にみると、都道府県においては一一・三%減(同一・九%減)、市町村においては八・一%減(同二・九%減)といずれも減少している。
 単独事業は、地方公共団体が国の補助等を受けずに、自主的・主体的に地域の実情等に応じて実施する事業であり、住民生活に身近な生活関連施設等の整備や、地域の特性を活かした個性豊かで魅力ある地域づくりにおいて大きな役割を担っており、地域経済の下支えを図る上でも重要な機能を果たしている。
 この単独事業に要する経費である単独事業費の決算額は十一兆八千五百七十億円で、前年度と比べると八・〇%減(前年度一二・〇%減)となっている。これを団体種類別にみると、都道府県においては九・五%減(同一四・三%減)、市町村においては七・二%減(同一〇・二%減)とともに減少している。
 普通建設事業費に充当された主な財源の内訳をみると、地方債が四〇・五%と最も大きな割合を占めており、以下、一般財源等が二八・一%、国庫支出金が二二・五%となっている。これを前年度と比べると、一般財源等は二・九%ポイント上昇する一方、地方債及び国庫支出金はそれぞれ二・四%ポイント、〇・三%ポイント低下している。
 また、補助事業費及び単独事業費に分けてみると、補助事業費については、国庫支出金が五一・一%、地方債が三四・二%、一般財源等が九・二%となっており、単独事業費については、地方債が四三・二%、一般財源等が四四・四%となっている。

<災害復旧事業費>
 災害復旧事業費は、暴風、洪水、地震その他異常な自然現象等の災害によって被災した施設を原形に復旧するために要する経費である。
 この災害復旧事業費の決算額は五千三十五億円で、前年度と比べると二五・二%減(前年度二五・六%増)となっている。これは前年度の梅雨前線、台風等による豪雨災害等により、災害復旧事業の規模が大きくなっていたことなどによるものである。
 災害復旧事業費の目的別内訳の構成比をみると、道路、河川、海岸、港湾、漁港等の公共土木施設関係(災害復旧事業費総額の七五・四%)と農地、農業用施設等の農林水産施設関係(同一九・二%)で全体の九四・六%を占めている。
 さらに、災害復旧事業費に充当された財源の内訳をみると、国庫支出金(災害復旧事業費総額の六二・一%)と地方債(同二六・四%)で全体の八八・五%を占めている。

(3) その他の経費
 その他の経費には、物件費、維持補修費、補助費等、繰出金、積立金、投資及び出資金、貸付金並びに前年度繰上充用金があり、その決算額は二十七兆八千六百二十八億円で、前年度と比べると四・二%減(前年度八・二%増)となっている。
 また、これらの経費の歳出総額に対する割合をみると、物件費が七・九%(前年度七・九%)、補助費等が六・八%(同七・〇%)、貸付金が六・一%(同六・三%)、繰出金が四・〇%(同三・二%)、積立金が二・〇%(同二・五%)等となっている。

五 財政構造の弾力性

(1) 経常収支比率
 地方公共団体が社会経済や行政需要の変化に適切に対応していくためには、財政構造の弾力性が確保されなければならない。財政分析においては、財政構造の弾力性の度合いを判断する指標の一つとして、経常収支比率が用いられている。
 この経常収支比率は、経常経費充当一般財源(人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費に充当された一般財源)が、経常一般財源(一般財源総額のうち地方税、普通交付税のように毎年度経常的に収入される一般財源)に対し、どの程度の割合となっているかをみることにより、財政構造の弾力性を判断するものである。
 平成十二年度の経常収支比率(特別区及び一部事務組合等を除く加重平均)は、集計開始(昭和四十四年度)以来、最も高かった平成十年度(八九・四%)以降二年連続して低下し、前年度(八七・五%)より一・一%ポイント低下の八六・四%となっている。また、その内訳をみると、人件費が三七・〇%(前年度三八・五%)、公債費が一九・六%(同一九・〇%)等となっている。
 なお、恒久的な減税等による減収額を埋めるために発行された減税補てん債の発行額を、経常一般財源に加えた場合の経常収支比率を求めると、八五・七%となる。
 近年の経常収支比率の推移をみると、第6表のとおり、平成二年度に比べると一六・二%ポイント上昇しており、特に公債費充当分が大幅に上昇している(第6表参照)。
 経常収支比率の段階別分布状況をみると、経常収支比率が七五・〇%以上の団体数は、都道府県四十七団体のすべての団体(前年度四十五団体)、特別区及び一部事務組合等を除く市町村においては、全体の八五・八%を占める二千七百六十八団体(同二千六百九十四団体)となっており、多くの団体の経常収支比率が高い水準にある。

(2) 公債費負担比率及び起債制限比率
 地方債の元利償還金等の公債費は、義務的経費の中でも特に弾力性に乏しい経費であることから、財政構造の弾力性を判断する場合、その動向には常に留意する必要がある。その公債費の状況を把握するための指標として、公債費負担比率及び起債制限比率が用いられている。
 公債費負担比率は、公債費充当一般財源(地方債の元利償還金等の公債費に充当された一般財源)が一般財源総額に対し、どの程度の割合となっているかを示す指標であり、公債費がどの程度一般財源の使途の自由度を制約しているかをみることにより、財政構造の弾力性を判断するものである。
 平成十二年度の公債費負担比率(全団体の加重平均)は、前年度より〇・五%ポイント上昇の一七・七%となり、九年連続して上昇している。
 起債制限比率は、地方債元利償還金から繰上償還された額を除き、更にこれに充当された一般財源のうち、地方交付税が措置されたものを除いたものが標準財政規模に対し、どの程度の割合となっているかをみるものである。
 平成十二年度の起債制限比率(一部事務組合等を除く加重平均)は、前年度と比べると〇・三%ポイント上昇の一一・三%となり、九年連続して上昇している。

六 将来にわたる財政負担

 地方公共団体の財政状況をみるには、単年度の収支状況のみでなく、地方債、債務負担行為等のように将来にわたって財政負担となるものや、財政調整基金等の積立金のように、年度間の財源調整を図り将来における弾力的な財政運営に資するために財源を留保するものの状況についても、併せて、総合的に把握する必要がある。
 これらの状況は、次のとおりである。

(1) 地方債現在高
 平成十二年度末における地方債現在高は百二十八兆一千百十六億円で、前年度末と比べると二・〇%増(前年度末四・六%増)となっている。
 地方債現在高の歳入総額及び一般財源総額に対するそれぞれの割合の推移は、昭和五十年度末では歳入総額の〇・四四倍、一般財源総額の〇・八八倍であったが、地方税収等の落込みや減税に伴う減収の補てん、経済対策に伴う公共投資の追加等により地方債が急増したことから、平成四年度末以降急増し、平成十二年度末には歳入総額の一・二八倍、一般財源総額の二・一八倍となっている。なお、標準財政規模に対する比率では、前年度末と比べると〇・三%ポイント上昇の二二九・一%となっている。
 地方債現在高を目的別にみると、一般単独事業債が最も大きな割合(四〇・四%)を占め、以下、一般公共事業債(一八・五%)、減税補てん債(四・七%)、減収補てん債(四・二%)、義務教育施設整備事業債(四・一%)の順となっている。

(2) 債務負担行為額
 地方公共団体は、将来の支出を約束するために、債務負担行為を行うことができる。この債務負担行為は、数年度にわたる建設工事、土地の購入等の場合のように翌年度以降の経費支出が予定されているものと、債務保証又は損失補償のように債務不履行等の一定の事実が発生したときに支出されるものとに大別することができる。
 これらの債務負担行為に基づく翌年度以降支出予定額をみると、平成十二年度末では十四兆七千百七十二億円であり、前年度末と比べると四・一%減(前年度末三・六%減)となっている。
 翌年度以降支出予定額を目的別にみると、製造・工事の請負に係るもの(八・五%減)、土地の購入に係るもの(五・五%減)が減少したことなどから、物件の購入等に係るものは減少(六・〇%減)している。
 一方、債務保証又は損失補償に係るものは増加(一五・九%増)している。

(3) 積立金現在高
 平成十二年度末における積立金現在高は十五兆三千八百三十四億円で、前年度末と比べると四千五十六億円減(二・六%減)となっている。また、標準財政規模に対する比率は、前年度末と比べると一・三%ポイント低下の二七・五%となっている。
 積立金現在高の内訳をみると、年度間の財源調整を行うために積み立てられている財政調整基金は一二・〇%増加している。
 地方債の将来の償還費に充てるために積み立てられている減債基金は一・八%増加し、一方、将来の特定の財政需要に備えて積み立てられているその他特定目的基金は、介護保険円滑導入に係る基金の介護保険事業会計への移行等により、九・一%減少している。

(4) 将来にわたる実質的な財政負担
 地方債現在高に債務負担行為に基づく翌年度以降支出予定額を加え、積立金現在高を差し引いた地方公共団体の将来にわたる実質的な財政負担は、百二十七兆四千四百五十五億円で、前年度末と比べると一・八%増(前年度末三・七%増)となっている。
 なお、標準財政規模に対する比率は、前年度末と比べると〇・一%ポイント低下の二二七・九%となっており、また、名目国内総生産に対する割合では、前年度末と比べると〇・五%ポイント上昇の二四・八%となっている。

(5) 普通会計が負担すべき借入金残高
 交付税及び譲与税配付金特別会計借入金残高のうち、地方財政全体で負担することとなるものと企業債現在高のうち普通会計が負担することとなるものを、地方債現在高に加えた普通会計が負担すべき借入金残高の推移をみると、第8図のとおりである。
 これをみると、近年の地方税収等の落込みや平成四年度以降の数次にわたる補正予算による経済対策に加え、平成六年度以降は、減税等の財源を借入金に依存したことなどから、普通会計が負担すべき借入金残高は急増しており、平成十二年度末には、前年度末と比べると四・四%増(前年度末六・七%増)の百八十一兆四千七十二億円にまで増大している。
 その内訳は、地方債現在高が百二十八兆一千百十六億円、交付税及び譲与税配付金特別会計借入金残高(地方負担分)が二十六兆二千六百三十三億円、企業債現在高のうち普通会計が負担することとなるものが二十七兆三百二十三億円となっている。
 また、この普通会計が負担すべき借入金残高の標準財政規模に対する比率は、前年度末と比べると七・九%ポイント上昇の三二四・四%にまで増大しており、普通会計が負担すべき借入金残高の名目国内総生産に対する比率は、前年度末と比べると一・六%ポイント上昇の三五・四%となっている(第8図参照)。

【第二部 最近の地方財政の動向と課題】

一 地方財政の動向

 地方公共団体は、さまざまな行政課題に対応することが求められているが、第一部でみたように、平成十二年度の地方財政は、極めて厳しい状況にある。
 これを、普通会計を中心に具体的にみると、第一に、人件費の減少等により経常収支比率が低下したものの、公債費の負担が引き続き増加している。
 義務的経費の中でも特に弾力性の乏しい公債費の状況を把握する指標である起債制限比率は、新たな元金償還の増加等により公債費が増加したこと等から引き続き上昇している。地方債現在高の増加に伴い、今後もその償還による公債費の一層の増加が見込まれているところであり、財政構造の一層の硬直化が強く懸念されている。
 第二に、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入は、前年度に比べて増加したものの低迷を脱することができていない。
 一方で、公債費が増加したこと等のため大幅な財源不足が発生した結果、借入金残高(普通会計の地方債現在高、交付税特別会計借入金残高のうち地方負担分及び企業債現在高のうち普通会計負担分の合計)は引き続き増加し、平成十二年度末で百八十一兆円となっている。これは、平成二年度末からの十年間で、ほぼ二・七倍に達した(平成二年度末借入金残高六十七兆円)ことになり、更に、平成十四年度当初予算編成時において、平成十四年度末には百九十五兆円程度に達するものと見込まれている。
 第三に、都道府県についてみると、地方税収入の増加にもかかわらず、東京都、大阪府の実質収支が三年連続で赤字となり、全体の実質収支は黒字に転じたものの黒字額はわずかにとどまっている。

二 地方財政の課題

(1) 地方分権の更なる進展のための行財政基盤の整備
 地方財政は極めて厳しい状況にあり、国と地方を通じる行財政の構造改革の中で、「地方にできることは地方に委ねる」との原則の下、地方公共団体の自主性・主体性を高める方向で、更なる分権改革の進展を図ることが必要である。
 このため、さまざまな角度から制度と行財政運営のあり方について不断の点検・検討を行いつつ、地方の自立に向けた行財政基盤の整備を進める必要がある。

(2) 健全化への努力
 極めて厳しい状況にある地方財政を健全化するためには、経済社会の構造改革の推進等により経済の活性化を図ることなどを通じて、地方税等の地方一般財源の収入増に努めると同時に、国・地方を通じる行財政の簡素・効率化を図ることにより、収支ギャップを縮小し、借入金依存からの脱却を図ることが必要である。
 このような地方財政の健全化の具体的な取組として、平成十四年度の地方財政計画においては、国の歳出予算と歩を一にして、歳出全般にわたり徹底した見直しと重点的配分を図るとともに、定員の計画的削減等による給与関係経費の抑制や、地方単独事業費の削減を通じ、地方財政計画の規模の抑制を図っている。
 極めて厳しい地方財政の状況を踏まえると、地方公共団体においても、地方分権の時代にふさわしい簡素で効率的な行政システムを確立し、地域の行政課題に適切に対応するため、引き続き徹底した行政改革の推進、歳出の徹底した見直しによる抑制と重点化を進めるとともに、行財政運営の透明性の向上を図り地方財政の健全化への努力を続ける必要がある。

(3) 地域の政策課題への対応
 地域の総合的な行政主体である地方公共団体は、地域の活性化、電子自治体の推進等情報化施策の推進、循環型社会の構築等環境問題への対応、総合的な地域福祉施策の充実等、地域の政策課題に積極的に対応し、住民福祉の向上を図る必要がある。
 主な地域の政策課題についてみると、次のとおりである。

 @地域の活性化
 地域はそれぞれの特性に応じて人材、自然、歴史、文化といった多様な資源を有しており、これらを活かしながら、活力を回復し、魅力を高め、豊かさや快適さを一層誇れる地域づくりを行う必要がある。
 このため、都市再生、中心市街地再活性化、農山漁村、過疎地域の活性化等地域に応じた活性化策を講じるとともに、歴史的建造物、町並みの保存・修復及び周辺整備、住民等の芸術文化活動の支援、創造的で文化的なまちづくりや地域文化財等の活用による地域おこし等を地域の実情に応じて支援する必要がある。
 また、道路、港湾、住宅、下水道などの生産活動や生活を営む上で欠くことのできない施設や治山、治水などの国土保全施設等の社会資本は、公的主体・民間主体双方の努力により着実に整備が進められ、その整備水準は年々向上してきているが、引き続き、地域の実情に即して、生活関連基盤の整備や地域経済の振興等を図るために必要な事業量を確保し、住民に身近な社会資本の一層の充実を図るとともに、情報通信基盤をはじめ地域の新たな活性化につながる基盤を重点的に整備する必要がある。
 なお、平成十四年度の地方財政計画上、地方単独事業の事業内容については、いわゆる箱物整備を抑制するとともに、地域の基盤整備への重点化を図ることとして新たに「地域活性化事業」を創設し、「経済財政構造改革に関する基本方針」に示された重点七分野等に係る地域の基盤整備の支援を行うこととされている。
 また、地域総合整備事業は平成十三年度をもって廃止することとされている。

 A情報化の推進
 情報通信技術の飛躍的発展は、我が国の経済システムの成長力を高める上で重要な位置付けを占めるとともに、地域社会における人々の生活にも大きな影響を及ぼすことから、その発展に的確に対応しその便益を活用することにより、住民の利便性の向上と地域経済の振興、生活環境の高度化を図る必要がある。
 地方公共団体においては、電子政府を二〇〇三年度までに実現するという国の取組と歩調を合わせて、行政内部における情報の管理・活用の電子化による行政事務の高度化・効率化に加えて、住民がインターネット等を利用して行政情報の閲覧、申請・届出等の行政手続等が実質的に時間的・地理的な制約がなく可能となるような電子自治体の実現、地域の社会・経済活動の活性化に資するための情報通信基盤の整備等の施策を総合的・戦略的に推進する必要がある。
 このため、庁内LAN整備、地方公共団体を相互に接続するとともに、国のネットワークとも接続する広域的でセキュリティーの高い総合行政ネットワークへの市町村の参加を促進するとともに、住民基本台帳ネットワークシステムの整備、組織認証基盤及び公的個人認証サービスの整備、コンピュータ・セキュリティー対策、電子申請システムの整備等を推進することとしている。
 また、地域の情報化を推進し、地域間のデジタル・ディバイドの是正を図るとともに、地域社会・経済活動の活性化に資するため、過疎地等における加入者系光ファイバー網の整備、地域の公共施設を結ぶ高速の地域公共ネットワークの全国整備、各種地域メディアやインターネットを通じた地域の情報発信等を促進することとしている。
 さらに、地域におけるIT分野の人材育成を図るため、地域社会における情報分野の専門家、地域住民のIT実践をサポートする「地域ITリーダー」の育成、住民のIT分野のリテラシーの向上を図るための取組を支援することとしている。

 B良質な環境の保全・創造
 地方公共団体は、環境への負荷の少ない持続的発展の可能な循環型社会の構築を推進する基本的枠組みとなる「循環型社会形成推進基本法」(平成十二年法律第百十号)等を踏まえ、廃棄物等の発生抑制・リサイクルの推進、産業廃棄物の不法投棄対策の強化等を総合的かつ計画的に実施する必要がある。
 また、環境問題に対する住民の関心が一段と高まる中、地域におけるダイオキシン問題や、地球規模の環境問題としての地球温暖化対策、森林・農地等が果たしている国土保全機能を守るための施策等についても、積極的な取組を引き続き進めていくことが必要である。

 C総合的かつ効率的な地域福祉施策の推進
 地方公共団体においては、今後急速に進行する少子・高齢化に対応し、ゴールドプラン21、新エンゼルプラン、障害者プラン等を着実に推進するとともに、地域のニーズに応じた地方単独施策等により総合的かつ効率的な地域福祉施策を積極的に推進していく必要がある。
 特に、平成十二年四月から実施されている介護保険制度については、介護サービス関連施設等の基盤の整備、地域の実情を踏まえた介護保険制度関連施策の実施等総合的な取組を行う必要がある。

(4) 地方公営企業の経営基盤の強化等
 地方公営企業の平成十二年度の決算の状況をみると、地方公営企業の経営状況は、その多くが黒字経営であり、また、前年度に比べ収支が改善されたものがみられる。一方で、事業間に差異はあるが、未だ一割以上の事業で赤字が生じているなど、全体として引き続き厳しい状況となっている。
 地方公営企業は住民生活に身近な社会資本を整備し、必要なサービスを提供する役割を果たしてきたが、将来にわたってその本来の目的である公共の福祉を増進していくためには、次の諸点に留意しつつ、公的サービスの供給方法の多様化、市町村合併の推進、地方分権の進展、規制緩和の進展等地方公営企業を取り巻く環境の変化に適切に対応し、経営の一層の効率化、透明性の向上等経営基盤の一層の強化を図る必要がある。
 第一は、地方公営企業のあり方の不断の見直しである。
 地方公営企業が供給するサービスについては、公共の福祉を増進するため、適切な対価を得て、住民の日常生活に必要なサービスを提供するという地方公営企業の役割を踏まえ、民間企業との役割分担を考慮しつつ、より総合的な行政サービスの実施、住民サービスの向上、経営健全化・効率化の推進、住民負担の軽減等を図る観点から、地域の実情に応じ、絶えずその内容、供給方法等の見直しを行う必要がある。
 第二は、経営基盤の強化である。
 経営基盤の強化に当たっては、企業用資産の有効活用、附帯事業の適切な実施など経営の活性化に努めるとともに、広域的な機能分担や連携等にも留意しながら、広域化・共同化を積極的に推進することにより、施設整備・維持管理の両面において、一層の経営の効率化・健全化を図っていく必要がある。
 また、職員の企業意識の徹底を図るとともに、サービス精神と経営感覚のある人材育成に努めることにより組織の活性化を図る必要がある。
 なお、水道事業における水源の確保、交通事業におけるまちづくりと一体となった需要喚起策等、経営努力のみでは解決の困難な問題については、国、地方公共団体の一般行政部門、その他関係機関等の協力を求め、一体となってその解決を図り、企業環境の整備に努めることが重要である。
 第三は、計画的な経営の推進である。
 地方公営企業の経営に当たっては、常に住民の理解と協力のもとに経営効率化、住民サービスの向上等を図るため、建設投資、財務、業務等経営に関する計画を策定・公表するとともに、経営目標、経営内容等について積極的に広報を行うことが適当である。また、同種企業との経営状況等の比較による経営分析の強化により、計画の達成に向けた経営健全化・効率化の推進に努める必要がある。
 さらに、サービス需要の動向等を踏まえ建設投資を適切に実施するとともに、施設の防災安全対策を速やかに実施するほか、公共工事コスト縮減、入札・契約手続とその運用の改善に積極的に取り組む必要がある。
 第四は、効率的な経営の推進である。
 地方公営企業の組織・機構については、総合的・機能的な企業経営が可能となるよう、簡素で効率的な組織・機構とする必要がある。また、事務事業の見直し、職員配置の適正化等により適正な定員管理を計画的に推進するほか、職員の給与についても、給与水準の適正化を図るとともに、一律の企業手当等不適切な給与制度及びその運用を是正する必要がある。
 さらに、民間委託や業績評価等の民間的経営手法の導入・活用を進めることにより、経営効率化とともにサービス内容の充実に努める必要がある。
 第五は、財務の適正化である。
 地方公営企業の料金は、公正妥当、かつ能率的な経営の下における適正な原価を基礎とし、地方公営企業の健全な経営を確保できるものでなければならない。
 そのため、経理内容の明確化、透明性の向上等の観点から、特に下水道事業及び簡易水道事業において、地方公営企業法の財務規定等の適用を積極的に推進していく必要があるほか、経営改善・合理化による原価の抑制、適切な事業報酬の設定、受益者負担金の適切な徴収、料金改定時の積極的広報等に努める必要がある。
 また、地方公営企業は独立採算制を経営の原則としており、地方公営企業の経費のうち、その性質上企業経営に伴う収入をもって充てることが適当でないもの、能率的な経営をもって充てることが客観的に困難であると認められるもの等、法令等に基づき、一般会計が負担又は補助し、あるいは出資することとされている経費を除き、経営に伴う収入をもって充てなければならないものとされている。
 このような経費負担区分については、その適正な運用を図るとともに、地方公営企業会計においても、社会情勢、厳しい地方財政の状況を踏まえ、一層の自助努力により独立採算制の基本原則に立脚した経営に努める必要がある。
 さらに、地方公営企業会計における適切な資金計画の策定を通じ、効率的な資金管理を行うとともに、内部留保資金の確実有利な運用に努める必要がある。
 地方公社等については、経営の適否が地方財政に重大な影響を及ぼす可能性があることから、経営状況を的確に把握するとともに、「行政改革大綱」(平成十二年十二月一日閣議決定)等を踏まえ、経営環境の変化への対応、経営主体の経営効率化、地方公共団体の財政運営のより一層の健全化の観点から、その経営改善等について積極的に取り組む必要がある。
 このうち、土地開発公社については、土地取得に当たっては、土地利用計画等を十分に検討し、現に保有している土地については事業計画の見直し等を含めて処分の促進に努めるとともに、土地取得手続の適正化や金利の低減を図り、また、積極的な情報公開等に努める必要がある。特に、保有期間が長期にわたる土地については、処分を積極的に行い、より一層の経営の健全化に努めることが重要である。
 なお、土地開発公社の経営については、その設立・出資団体の責任において健全化が図られるべきである。
 財政状況等から独力では健全化の達成が困難と考えられる設立・出資団体が、一定の計画に基づき土地開発公社の抜本的な経営健全化に取り組む場合に、地方財政措置を行うこととした。
 また、平成十三年六月三十日までに、七十三市町村が総務大臣又は都府県知事により土地開発公社経営健全化団体の指定を受け、経営の健全化に取り組んでいるところである。
 また、第三セクターに関しては、「第三セクターに関する指針」(平成十一年五月二十日付け自治大臣官房総務審議官通知)の趣旨を踏まえ、経営状況の点検評価を行い、役職員数及び給与の見直し、組織機構のスリム化等による運営の改善を促すとともに、その事業や公的関与の内容について積極的な情報開示に努めることが必要である。
 特に、点検評価の結果、経営の悪化が深刻であると判断される第三セクターについては、できるだけ早期に、第三セクター方式での事業の存廃自体の検討も含め、抜本的な経営改善策を講じることが必要である。


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二月の雇用・失業の動向


―労働力調査平成十四年二月結果の概要―


総 務 省


◇就業状態別の人口

 平成十四年二月末の就業状態別人口をみると、就業者は六千二百四十八万人、完全失業者は三百五十六万人、非労働力人口は四千二百九十七万人と、前年同月に比べそれぞれ百四万人(一・六%)減、三十八万人(一一・九%)増、百二十六万人(三・〇%)増となっている。

◇就業者

(1) 就業者

 就業者数は六千二百四十八万人と、前年同月に比べ百四万人(一・六%)の減少となり、十一か月連続の減少となっている。
 男女別にみると、男性は三千七百九万人、女性は二千五百三十九万人で、前年同月と比べると、男性は五十二万人(一・四%)減、女性は五十二万人(二・〇%)減となっている。

(2) 従業上の地位

 就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千二百七十二万人、自営業主・家族従業者は九百四十九万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は七十七万人(一・四%)減、自営業主・家族従業者は三十二万人減となり、雇用者は六か月連続の減少となっている。
 雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千二百三十六万人と、八十万人(一・五%)減、六か月連続の減少
 ・常 雇…四千五百四十九万人と、八十四万人(一・八%)減、七か月連続の減少
 ・臨時雇…五百七十六万人と、六万人(一・一%)増、二か月連続の増加
 ・日 雇…百十二万人と、一万人(〇・九%)減、七か月ぶりの減少

(3) 産 業

 主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…二百二十七万人と、五万人(二・二%)減
○建設業…六百十一万人と、十一万人(一・八%)減、十五か月連続の減少
○製造業…一千二百二十三万人と、八十一万人(六・二%)減、十か月連続の減少
○運輸・通信業…三百九十七万人と、四万人(一・〇%)減、三か月ぶりの減少
○卸売・小売業,飲食店…一千四百五万人と、四十九万人(三・四%)減、三か月連続の減少
○サービス業…一千八百三万人と、三十六万人(二・〇%)増、二十四か月連続の増加
 また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…五百三万人と、十八万人(三・五%)減
○製造業…一千百三十一万人と、六十四万人(五・四%)減
○運輸・通信業…三百七十七万人と、四万人(一・〇%)減
○卸売・小売業,飲食店…一千百四十三万人と、四十万人(三・四%)減
○サービス業…一千五百六十三万人と、三十九万人(二・六%)増

(4) 従業者規模

 企業の従業者規模別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千七百三十一万人と、二十七万人(一・六%)増、二か月連続の増加
○三十〜四百九十九人規模…一千七百六十六万人と、十七万人(一・〇%)増、四か月連続の増加
○五百人以上規模…一千百六十三万人と、百十八万人(九・二%)減、十か月連続の減少

(5) 就業時間

 二月末、一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜三十五時間未満…一千四百三万人と、四十二万人(三・一%)増加
 ・うち一〜三十時間未満…一千九万人と、二十六万人(二・六%)増加
○三十五時間以上…四千六百九十四万人と、百六十六万人(三・四%)減少
 ・うち四十九時間以上…一千八百五十四万人と、一万人(〇・一%)減少
 また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四三・〇時間で、前年同月と比べ〇・四時間の減少となっている。

◇完全失業者

(1) 完全失業者数

 完全失業者数は三百五十六万人と、前年同月に比べ三十八万人(一一・九%)増となり、十一か月連続の増加となっている。
 男女別にみると、男性は二百十三万人、女性は百四十三万人で、前年同月に比べ、男性は二十万人(一〇・四%)の増加、女性は十八万人(一四・四%)の増加となっている。
 また、世帯主の続き柄別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…九十八万人と、十一万人増加
○世帯主の配偶者…五十万人と、十三万人増加
○その他の家族…百四十九万人と、六万人増加
○単身世帯…五十八万人と、八万人増加

(2) 完全失業率(季節調整値)

 季節調整値でみた完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は五・三%と前月と同率となっている。
 男女別にみると、男性は五・四%、女性は五・二%と、前月に比べ男性は同率、女性は〇・一ポイントの上昇となっている。

(3) 完全失業率(原数値)

 完全失業率は五・四%と、前年同月に比べ〇・六ポイントの上昇となっている。
 男女別にみると、男性は五・四%、女性は五・三%と、男性は〇・五ポイントの上昇、女性は〇・七ポイントの上昇となっている。

(4) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 [男]
○十五〜二十四歳…四十三万人(九万人増)、一二・五%(二・九ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…五十四万人(五万人増)、五・九%(〇・六ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十五万人(一万人増)、三・二%(〇・一ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…四十万人(十一万人増)、四・三%(一・二ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…四十四万人(二万人減)、六・六%(〇・四ポイント低下)
 ・五十五〜五十九歳…十八万人(同数)、四・六%(同率)
 ・六十〜六十四歳…二十六万人(二万人減)、九・四%(〇・九ポイント低下)
○六十五歳以上…七万人(四万人減)、二・四%(一・三ポイント低下)
 [女]
○十五〜二十四歳…二十八万人(一万人減)、八・九%(〇・四ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…四十五万人(七万人増)、七・三%(一・〇ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十五万人(四万人増)、四・九%(〇・九ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…二十六万人(五万人増)、三・九%(〇・八ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…十七万人(三万人増)、四・二%(〇・七ポイント上昇)
 ・五十五〜五十九歳…九万人(一万人増)、三・七%(〇・五ポイント上昇)
 ・六十〜六十四歳…八万人(二万人増)、四・九%(一・〇ポイント上昇)
○六十五歳以上…二万人(同数)、一・二%(同率)

(5) 求職理由別完全失業者数

 求職理由別完全失業者数は、次のとおりとなっている。
○定年等…三十三万人
○勤め先都合…百十五万人
○自己都合…百十三万人
○学卒未就職…十六万人
○新たに収入が必要…四十三万人
○その他…三十二万人













言葉の履歴書


◇TLO(技術移転機関)

 TLO(Technology Licensing Organization=技術移転機関)は、一九九八年に制定された「大学等技術移転促進法」に基づいて、民間企業などが設立する技術移転のための専門機関です。二〇〇二年二月末日現在、日本国内には、二十七のTLOが国の承認・認定を受けて設立されています。
 TLOの役割は、大学や国の研究機関などでの発明や特許といった技術研究開発の成果を発掘・評価し、それを特許として出願し、その特許権を企業に対してライセンシング(実施許諾)すること。そして、その対価として、企業から実施料収入を得て、大学や研究者に研究資金としてフィードバックすることです。このように、大学などの研究とそれを活用する民間企業とが結ばれることにより、新しいビジネスチャンスや大学などでの研究の活性化につながると期待されています。
 二〇〇一年九月末日までの承認TLOでの特許出願件数は約一千三百件、うち二百二十三件が企業に技術移転されています。






    <5月22日号の主な予定>

 ▽住民基本台帳人口移動に基づく平成十三年の人口移動の概要………総 務 省 

 ▽消費者物価指数の動向(三月)…………………………………………総 務 省 




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