官報資料版 平成14年6月5日




                  ▽原子力安全白書のあらまし…………………………………原子力安全委員会

                  ▽月例経済報告(五月)………………………………………内 閣 府

                  ▽毎月勤労統計調査(二月)…………………………………厚生労働省

                  ▽労働力調査(三月及び平成十四年一〜三月平均)………総 務 省

                  ▽全国消費者物価指数の動向(平成十三年度平均)………総 務 省











平成13年版


原子力安全白書のあらまし


原子力安全委員会


 原子力安全委員会は、原子力の安全確保の諸活動の概要を「平成十三年版原子力安全白書」として取りまとめ、平成十四年四月九日の閣議を経て、公表いたしました。
 本白書は、「平成十三年を振り返って」の後、第一編、第二編、第三編及び資料編から構成されています。
 第一編では、「プルトニウムに関する安全確保について」と題し、今後の原子力政策上の重要課題であり、「プルサーマル」などの国民の関心も高いプルトニウム利用に係る安全確保について、科学的、技術的に説明しています。
 第二編では、「平成十三年の動き」と題し、原子力安全委員会における過去約一年間(平成十三年一〜十二月)の活動状況を紹介しています。
 第三編では、「原子力安全確保のための諸活動」と題し、我が国における原子力施設等の安全規制体制、防災体制、原子力安全研究、原子力安全に関する国際協力等について紹介しています。
 資料編では、原子力安全委員会関係の各種資料、安全確保の実績に関する各種資料等を取りまとめています。
 以下では、「平成十三年を振り返って」並びに第一編の概要について記述しています。
 なお、本白書の全文は、原子力安全委員会のホームページ(http://nsc.jst.go.jp)にて公開されています。

【平成十三年を振り返って】

<安全確保のための感受性と先見性の涵養(かんよう)を>
 原子力施設の安全確保と事故防止に向けて、現場をはじめ様々な関係者の間では、恒常的に適切な緊張感を持った努力が続けられています。しかし、平成十三年十一月に発生した浜岡原子力発電所一号機の場合も含めて、一連の事故・故障をみますと、事故・故障の「種(タネ)」に対する感性の大切さを思わざるを得ません。
 施設の設計や作業の計画に当たっては、対象施設に限らずプラント全体に何か変化を起こす可能性はないか十分に気を配り、変化の可能性が見込まれる場合には、それらへの対策を講じておかなくてはなりません。
 特に、企画者、設計者、作業計画者及び現場管理者には、安全確保・事故防止のための感受性と先見性の涵養を強く望みたいと思います。「失敗に学ぶ」ことは、そのための最もよい訓練です。

<安全確保対策の強化>
○平成十三年一月の中央省庁の再編に伴い、原子力安全委員会が内閣府に移管され事務局体制が強化されました。また、経済産業省にエネルギー利用に関する安全規制を所掌する「原子力安全・保安院」が設立されました。
 この結果、我が国の原子力安全行政に関わる人員も約二百八十人から約四百五十人に拡充されるなど、原子力安全確保のための多重補完的な体制が整備・強化されました。

○行政庁が行う保安検査等の内容について、報告を受けるとともに、その実施状況について把握・確認する規制調査を本格的に実施しました。
 そのうち、重要と考えられるもの等については、必要に応じ現地調査を含めて詳細な調査を行っています。

○防災に関しては、緊急事態応急対策調査委員を大幅に増員するなど体制を整備するとともに、地方公共団体などとも連携し、各種防災訓練に積極的に参加・協力してきました。

○安全文化醸成に向けた現場での意見交換、現地調査を含む規制調査の実施等々の新たな取組みを実施するなど、原子力施設等の現場における意思疎通の強化に意を用いながら、原子力安全の実効性の向上に努めています。

○情報公開については、従来から、会議を公開で開催していますが、地方原子力安全委員会の開催、原子力安全意見・質問箱の活用、原子力公開資料センターの設置や情報公開法へ適切に対応すること等を通じ、一般の方々により近い関係を一層築くとともに、より透明性の高い安全行政の実施に努めています。

○緊急被ばく医療の在り方やヨウ素剤の服用方法、審査指針類の体系化、放射線防止の基本的考えから、高レベル放射性廃棄物の最終処分における安全確保等について、各専門部会等で検討を行いました。

○安全目標について、国際的な動向を踏まえた定量的リスク管理に向けて検討を開始しました。
 原子力安全に関する知的基盤の体系的な蓄積・整備については、安全研究の年次計画の策定や成果発表会の開催による研究成果の普及等を通じて、積極的に取り組んでいます。

○我が国の初期の商業用原子力発電所が運転を開始してから約三十年が経過しました。今後、原子力発電所の高経年化への対策が重要な課題となっています。原子力安全委員会としても効果的な高経年化対策に取り組んでいきます。

○電気事業者が自主保安として実施しているアクシデントマネジメントの整備については、平成十三年度中に終了し、その妥当性及び有効性評価の結果が経済産業省より原子力安全委員会に報告される予定です。
 原子力安全委員会においても、評価の結果について、その妥当性を審議することとしています。

○平成十三年九月十一日に米国において発生した同時多発テロ事件を契機として、現在、原子力発電所をはじめとする我が国の原子力施設でも、万一の事態に備え、一層の警備の強化が図られています。
 一般的に原子力発電所については、他の産業施設に比較して堅固な設計となっており、核物質防護対策がとられています。さらに万一の原子力災害時に備えて防災体制の整備も進んでいます。
 不測の事態が発生した場合にも、これらの対策が基本的なものであると考えられ、防災対策を着実に講じるとともに、常にその実効性を維持・向上させることが重要です。

<平成十三年の原子力施設の事故・故障の件数は減少したが>
 近年の原子力安全の状況は、原子炉等規制法等に基づく電気事業者からの事故の報告件数をみると、過去五年で、それぞれ、二十三件、二十五件、十八件、三十件、三十件となっており、平成十三年は十四件で、平成十二年と比べて、その件数は減少しています。
 平成十三年に報告された十四件の事故・故障の国際原子力事象評価尺度(INES*1)に基づく評価は、レベル一が一件、レベル0+が三件、レベル0−が九件及び評価対象外が一件となっています。
  (*1)INES(International Nuclear Event Scale):原子力施設で発生したトラブルの安全上の重要度を放射線障害・災害防止の観点から簡明かつ客観的に判断するための国際的な評価尺度。国際原子力機関(IAEA)と経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)の協力で策定された原子力事象評価尺度。
 原子力発電所における一年一基当たりの事故・故障の報告件数についても、昭和六十一年は二・二件でしたが、徐々に低下しており、この数年は〇・四から〇・六件程度で推移し、平成十三年は〇・三件となっています(第1図参照)。
 平成十一年の我が国の原子力発電所の一年一基当たりの計画外停止頻度は、米国等海外と比較してみても、〇・三回と米国の一・三回、仏国の三・二回に比べて低い値を示しています(第2図参照)。
 また、第3図に示すとおり、我が国の原子力発電所の設備利用率は八〇%を超えており、高い水準を維持しています(第3図参照)。
 このように、我が国の原子力安全に対するレベルは、関係者の日常の努力により、国際的にみても良好なものとなっています。
 平成十三年十一月七日、中部電力浜岡原子力発電所一号機で、非常用炉心冷却系に接続されている余熱除去系配管が瞬時に破断するという事故が発生し、また、十一月九日には、同機において原子炉圧力容器下部からの水漏れが発見されました。
 これら続けて発生した事故・故障は、原子炉の安全にただちに重大な影響を及ぼすものではありませんでした。しかし、原子炉の安全確保機能に深く関わる部分で起きたものであり、事態を重く受け止め、徹底した原因究明と再発防止対策に取り組むことが必要であると考えます。
 このような認識の下、原子力事故・故障調査専門部会及び同部会の下に置かれた特別のワーキンググループで、徹底した調査審議を実施しました。
 本件原因は、配管に蓄積された水素の急速な燃焼による配管内部の圧力の過大な上昇である可能性が高いと推定されています。
 今後、事故の詳細な原因究明と再発防止対策の検討を行い、その結果を踏まえて安全対策に反映していくこととしています。
 一方、我が国を含む世界各国でも産業や医療などの分野での放射線利用は、年々拡大しています。我が国の放射線利用に係る事故はここ十年では、年平均で三件程度発生しています。
 原子力安全委員会においては、原子力施設の事故・故障について原子力事故・故障調査専門部会の中で定期的に調査・審議を行っています。特に安全上重要なものについては独自に事故調査委員会を設置して調査審議を行い、そこで出された提言等については、フォローアップすることとしています。
 これまで事故に関連した設備機器に関わるハード面での対応に関しては、着実に改善が図られてきています。
 一方、人間の関与する部分などソフト面での対応に関しては、ハード面に比較して、これまで対応が遅れています。このため、原子力安全委員会は、運転管理における安全基準や技術的能力の審査の在り方に関する検討等を行っています。

<プルトニウム利用技術の安全性への関心>
 プルトニウム利用技術の安全性に関しては、国民の関心も高く、また、今後の原子力政策上の重要な課題となっています。今回の白書の特集としてプルトニウムに関する安全確保上の課題等について取り上げています。

第一編 プルトニウムに関する安全確保について

第一章 プルトニウムの利用技術と特性

<プルトニウムの物質特性>
 プルトニウムは天然にはほとんど存在せず、原子炉内のウランからプルトニウムが発生します。

<放射線による身体への影響>
 プルトニウムが体外にある時は問題ありませんが、プルトニウムを吸入すると、長期間体内に滞留し、アルファ線による体内被ばくのためガン発病の可能性があります。原子力安全委員会は、定める指針等に基づき、適切な対策を講じることを求めています。

<プルトニウムの利用技術>
○核燃料のリサイクル
 原子力発電に使用された使用済燃料からウランとプルトニウムを化学的処理により取り出し、再利用します。
○MOX燃料
 使用済燃料から取り出したウランとプルトニウムを混合した燃料です。新型転換炉「ふげん」では、MOX燃料を七百体以上使用した実績があります。
○プルサーマル
 軽水炉においてMOX燃料を使用することを意味します。
○高速増殖炉
 プルトニウムを燃料として使用します。高速中性子でプルトニウムを核分裂させながら、燃料中のウラン238をプルトニウム239に変えます。
 また、発電しながら消費した以上のプルトニウムを生成します。

<国際的管理体制>
 IAEAの査察の積極的受け入れ等、管理の透明性の確保等に取り組んでいます。

<プルトニウム関係の事故例>
○これまで少なくとも八件の事例が発生していますが、一九七九年以降は、プルトニウム施設において臨界事故は発生していません。

○過去の事故において、施設外の一般人に被ばくの影響を与えた例はありません。

第二章 原子炉におけるプルトニウムに関する安全確保

 原子炉施設は、災害を防止し、公共の安全を図るために、放射線を遮へいし、放射性物質を閉じ込めることが要求されます。
 平常時においては、放射線被ばくを合理的に達成できる限り低く(ALARA(As Low As Reasonably Achievable)の原則)するための対策を講じ、また、異常時においても、異常の拡大を防止し、過度の放射線被ばくを及ぼさないための方策を講じることが求められています。
 原子炉施設、特に軽水炉のような発電用原子炉施設においては、内包する放射能が著しく高いため、事故時に放出される潜在的エネルギーは非常に大きくなります。このため、安全確保に際しては、原子炉を止める、冷やす、放射性物質を閉じ込めるという機能が特に重要となります。

<軽水炉(プルサーマル)>
 原子力安全委員会の原子炉安全基準専門部会(現原子力安全基準専門部会)では、平成六年二月に「MOX燃料検討小委員会」を設置し、同年三月より翌年三月まで、約一年間にわたって検討を行いました。その結果は、「発電用軽水型原子炉施設に用いられる混合酸化物燃料について」(平成七年六月十九日 原子力安全委員会了承。以下、「1/3MOX報告書」という)にまとめられています。
 そこでは、MOX燃料の特性はウラン燃料と大きな差はなく、MOX燃料の割合が炉心(*2)全体の三分の一程度までの範囲内ならば、現在の安全設計・評価手法を使うことができると結んでいます。
 なお、三分の一程度という数字は、現在使われている軽水炉のうちの代表的な原子炉において、特段の設備変更などを行うことなく、ウラン燃料の場合と同等な条件で、原子炉を利用できる目安として設定されたものです。
 その後、改良型沸騰水型原子炉では、全炉心にMOX燃料を装荷した場合にも、現在の安全設計・評価手法を使うことができるという検討結果(従来のウラン燃料装荷炉心と大きくは変わらない特性を有する炉心設計が可能である等)を得ています。
 その内容は、「改良型沸騰水型原子炉における混合酸化物燃料の全炉心装荷について」(平成十一年六月二十八日 原子力安全委員会了承)にまとめられています。
  (*2)炉心:原子炉の燃料が装荷された部分。
○原子炉特性に関する問題第4図参照
 MOX燃料を使用する場合、制御棒等反応度制御材の効き、原子炉出力の上昇抑制、原子炉を制御するための時間的余裕等に関する技術的課題があります。
 「1/3MOX報告書」によれば、原子炉の出力を調整する反応度制御材の効き、原子炉内の圧力上昇時及び温度低下時における反応、原子炉制御のための時間的余裕に関する技術的課題については、現在計画されているMOX燃料を装荷した原子炉の場合、従来のウラン炉心が有する設計余裕の範囲内で十分対応できるので、特別な対策は要しないことが示されています。
 例えば、BWR(*3)の1/3MOX炉心における反応度投入事象評価では、燃料が壊れるか否かを判断するための指標としての発生熱量は、ウラン燃料の場合と比べてほとんど変化しないことが分かっています。
 また、原子炉内の出力分布に関する技術的課題については、解析手法、臨界実験装置での実験と評価結果及び商用軽水炉での照射実績との比較評価等からみて、従来の設計手法をMOX燃料装荷炉心の設計評価に適用することは妥当であり、ウラン燃料炉心と同等の出力分布を有する炉心設計は可能であることが示されています。
  (*3)BWR:Boiling Water Reactor(沸騰水型軽水炉)の略。原子炉内で冷却水を沸騰させ、その蒸気でタービンを直接回し、発電する。
○燃料の特性に関する問題第5図第1表参照
 「1/3MOX報告書」によれば、燃料(ペレット)の融点の低下、温度上昇の増大に関する技術的課題については、検討したプルトニウムの含有率の範囲では、MOXペレットの融点の変化はこれまでの研究等により十分把握されており、ウラン燃料に用いているものと同様の燃料設計手法等にMOX燃料の特性を適切に取り込むことにより、MOX燃料の挙動を評価することは可能であることが示されています。
 また、プルトニウムスポットの影響については、現実の加工工程で考えられるものよりも過大なプルトニウムスポット(数倍程度)を持つ燃料を使用した反応度投入実験の結果などから、現実的に想定される程度のプルトニウムスポットによる燃料破損への影響を特に考慮する必要はないことが示されています。
 ペレット周辺部の発熱割合に関する技術的課題については、現在のMOX燃料の設計において想定されるものと同等及びより厳しい燃料の周辺部における温度上昇に対し、燃料がどの程度耐えられるかを調べた試験結果から、その影響は十分に小さいことが示されています。

<審査実績>
 前記の報告書等に基づき、原子力安全委員会では以下の三件について、プルサーマルの実施についての二次審査を行い、その安全設計の基本方針が妥当であると答申しています。
・東京電力福島第一3号炉(平成十一年六月答申)
・東京電力柏崎刈羽3号炉(平成十二年十二月答申)
・関西電力高浜3及び4号炉(平成十年十二月答申)
 高速増殖炉の安全上の課題は、燃料の形態、冷却材の種類、原子炉の構造や冷却系の設計によって大きく異なります。ここでは「もんじゅ」型の高速増殖炉におけるプルトニウム利用技術について、原子力安全委員会の「高速増殖炉の安全性の評価の考え方」を踏まえて説明します。
 なお、高速増殖炉についてはナトリウムの取扱上の課題等がありますが、ここではプルトニウム利用に伴う安全上の課題に限定して説明します。
○原子炉特性に関する問題
 高い出力密度、燃焼度に関する技術的課題に関しては、燃料の受ける放射線照射量が大きいことを考慮した設計が必要です。
 原子力安全委員会においては、「もんじゅ」を念頭においた安全審査指針の策定、安全研究の推進等により、前記課題へ対応してきています。
 冷却材であるナトリウム中に気泡が混入又は発生すると、ナトリウムによる中性子吸収が減少するなどの理由から、プルトニウムによる核分裂が増大するという技術的課題があります。
 このため、大型の高速増殖炉の設計に当たっては、原子炉内でのナトリウムの沸騰や気泡の混入を防止する設計と、原子炉内の異常を早期に検知して迅速に原子炉を停止する安全設計が重要です。またナトリウムボイド係数が正になることを考慮した事故想定と、それらを踏まえた安全対策の確認が必要となります。
 なお、このような安全設計や安全対策がとられていることを、安全審査によって確認することが求められています。
○燃料の健全性の問題
 燃料集合体は中性子照射下で使用され、かつ、燃焼度が高いため、燃料を覆っている燃料被覆管には膨張(スウェリング)が生じます。
 また、燃料ペレットから放出される核分裂生成物及び燃料棒内のガス圧上昇と燃料ペレットの照射による膨張する力を受け、被覆管にひずみ(クリープ変形)が生じます。したがって、これらを考慮した設計が必要です。
 また、この燃料被覆管のふくれによって冷却材の流路が狭くなり、局所的に冷却材が流れ難い状態になる可能性もありますので、これを防止する設計も必要となります。
 このため、高温クリープ強度や耐スウェリング性を改善した高ニッケルオーステナイト系のステンレス鋼を被覆管に使用することなどにより、燃料の健全性を確保することが必要です。

第三章 核燃料施設におけるプルトニウムに関する安全確保

 核燃料施設は、災害を防止し、公共の安全を図るために、放射線を遮へいし、放射性物質を閉じ込めることが要求されます。平常時においては、放射線被ばくを合理的に、達成できる限り低く(ALARAの原則)するための対策を講じ、また、異常時においては、異常の拡大を防止し、過度の放射線被ばくを及ぼさないための対策を講じることが求められています。
 核燃料施設については、原子炉施設と比べて潜在的エネルギーは小さいものの、核燃料物質を溶液状や粉末状など分散しやすい状態で取り扱うため、扱う核燃料物質の形態に応じた閉じ込めの機能が特に重要となります。また、水溶液系で取り扱う場合では、臨界質量が小さくなることから、臨界事故を防止するための対策も重要となります。
 MOX燃料加工施設では、ウラン燃料加工施設に比べて、次のような特性を考慮した安全対策を講じることが必要になります。
 @放射能量が多く、アルファ線とともにガンマ線と中性子線が出る
 Aプルトニウムは吸入すると特定の臓器に蓄積し、身体に影響を与えるおそれがある
 BMOX燃料は、ウラン燃料より少ない量で臨界に達する
○従事者の内部被ばくの防止
 粉末状のMOXを取り扱うMOX加工施設においては、従事者等のプルトニウムの吸入摂取による内部被ばくの防止を図る観点から、プルトニウムが作業環境や周辺環境に漏れたり、飛散したりしないようにすることが必要です。このため、MOX燃料を密封できるグローブボックスと呼ばれる装置を使用する等の安全確保対策が必要です。
○従事者の外部被ばくの防止
 従事者の外部被ばく量を低減するため、遠隔自動により、原料・製品の出し入れを行えるようにしたり、設備・機器の保守・補修に際しては、グローブボックスの表面等に適切な遮へい材を設置する等の安全確保対策が必要です。
○臨界事故の防止
 プルトニウムはウランと比較して核分裂しやすく、最小臨界量が少なくなります。このため、特に臨界防止の観点から厳重な核燃料管理が必要になります。MOXの取扱では、質量(重さ)管理、形状寸法(入れ物の形)管理等、MOXの形態、形状等に応じて適切に管理することが重要です。
○海外において製造された燃料を輸入する際には、輸入燃料体検査申請書に品質保証に関する説明書を添付させること等が必要です。輸入される燃料の健全性については、規制行政庁によるチェックで確認されています。
 原子力安全委員会では、「再処理施設安全審査指針」(昭和六十一年二月二十日)などを定め、再処理施設の安全審査を行うとともに、行政庁の行う建設、試験及び運転、防災対策などの安全規制活動を把握、確認してきています。
 我が国では、軽水炉燃料(ウラン燃料)の再処理については二十年以上の経験があり、総計約九百八十トンの処理実績があります。
 今後は、経年変化による故障対応、若年者への技術継承、保守補修時の安全確保、品質管理の充実など、一層の安全性向上に努めていくことが重要です。
 安全規制においても、施設定期検査、保安検査、規制調査などを通じて、これらの点について検認と監視を確実に行っていくことが求められています。
 使用済みのMOX燃料を処理する場合には、安全確保上、次の点に一層留意し、安全原則の基本に則って再処理をする必要があります。
 @平常時及び事故時における環境への影響
 A従事者に対する被ばく防止
 B臨界事故の防止
 Cプルトニウム及び超ウラン元素を含む廃棄物(TRU廃棄物*4)量の低減とその処理処分
 ただし、MOX燃料の再処理は、現行ウラン燃料の再処理の延長線上にあり、前述の安全上の留意点に対応した運転条件などのプロセスの設計を行うことにより、ウラン燃料の場合と基本的に同じ安全技術が適用できると考えられています。
 なお、高速増殖炉燃料の再処理については、高い燃焼度による影響や使用済燃料の組成にかなりの変化が予想されるため、その特徴を踏まえ、今後、原子炉及びサイクル技術の安全確保とともに行われている研究開発の成果が期待されます。
  (*4)TRU廃棄物:使用済燃料の再処理段階で出てくる超ウラン元素を含んだ放射性廃棄物。半減期の長いアルファ線を出す核種を含んでいるため、濃度の高いものは、高レベル廃棄物とほぼ同様に取り扱うことが必要と考えられている。
○平常時及び事故時の被ばく防止
 現在の湿式再処理では、廃棄物量の減容、経済性の向上などのため、分離・精製の工程が短縮される傾向(3サイクルから2サイクルへ)にあるため、平常時の放出放射能が「ALARAの原則」に合致しているかどうか十分に評価する必要があります。
 MOX燃料は、ウラン燃料に比してプルトニウム及び核分裂生成物の量が多くなるため、それに対応して、これらの閉じ込め機能を充実させる必要があります。
○従事者に対する被ばく防止
 使用済燃料は核分裂生成物及び超ウランの量が増大しますので、これに対応した遮へい能力の充実が必要であり、これが適切になされているか、作業区域に対応させ検認しなければなりません。
○臨界事故の防止
 使用済燃料中のプルトニウム量が増大するので、一層の臨界管理(特に質量制限)が必要となります。その際、人的過誤も考慮し、プルトニウムの増大量に対応した十分な臨界の防止対策がなされているかの評価が必要です。

第四章 輸送に関する安全確保

 プルサーマル実施のため、当面、海外で加工されたMOX燃料を海上輸送する必要があり、輸送経路での安全性について、国際的な理解を深めていく努力が必要です。
 国内輸送については、輸送方法の確認、輸送容器の健全性確保等の安全確保対策が必要です。

第五章 まとめ〜プルサーマルの安全性とプルトニウム技術の今後の課題

 軽水炉におけるプルトニウム利用(プルサーマル)に係る安全技術については、原子炉内の全燃料に対するMOX燃料の割合が三分の一程度までは、これまでのウラン燃料に係る安全技術をベースとした科学的、技術的知見の蓄積により、その技術的基盤は十分に整っていると考えられます。
 また、改良型沸騰水型原子炉では、全燃料をMOX燃料とした場合にも、現在の安全設計・評価手法を使って原子炉における安全を確保することができるという検討結果が得られています。
 プルトニウムを軽水炉内で利用することは新しいことではなく、現在稼働中の軽水炉で得られるエネルギーのおよそ三分の一は、プルトニウムから得られているものです。ウラン燃料は原子炉の中で核分裂を起こしエネルギーを生産するとともに、その一部がプルトニウムに変換され、変換されたプルトニウムがまた核分裂を起こしてエネルギーを生産しているからです。
 プルトニウムを初めから軽水炉の燃料として使うものがプルサーマルですが、プルサーマルと現在のウラン燃料利用との違いは、最初からプルトニウムを燃料の中に入れてあることと、プルサーマルの方がプルトニウムの混合割合が高いことです。
 このプルサーマル技術には、長年にわたる国際的な経験があります。そのような経験にも示されているとおり、プルトニウムとウランとは特性に違いはあるものの、原子炉燃料としての決定的な違いはありません。
 しかし、実際の設計に当たっては、燃料中心温度や制御棒の原子炉停止余裕等について、計算値の不確かさを見込みつつ、安全余裕をとることが必要になります。
 具体的には、設計値・運転制限値・管理値の設定が規制値を満足する上で十分な余裕があることや、海外での実績や実験結果を活用するなどにより、設計における計算方法の信頼性等を事前に確認することが必要です。また、より一層の安全確保のため、引き続きMOX燃料の利用についてデータ収集を図ることが有効と考えています。
 また、海外で加工されるMOX燃料については、英国BNFL社によるデータ不正問題の反省に立ち、その品質が維持・確保されていることを事業者自らが現地で確認するなどの安全確保対策を講じることが必要です。
 国内のMOX燃料加工に関しては、現在、工場の建設が計画されており、原子力安全委員会において、安全審査指針を策定中です。その安全設計と安全操業に当たっては、海外での実績を十分に参考にするとともに、新型転換炉「ふげん」のMOX燃料を長年にわたって製造してきている核燃料サイクル開発機構の技術を活用することが重要です。ただし、「ふげん」の燃料と軽水炉燃料とでは、設計に異なる点があり、その差を十分に考慮しておく必要があります。
 プルサーマルに関しては、将来的にMOX燃料割合の増大や高燃焼度化が予想されており、それらに備えた研究が、今後、必要になると考えられます。
 国の安全研究年次計画では、これらの将来的課題に備え、プルサーマルなどに関連した研究も取り上げています。
 さらに、民間や原子力発電技術機構等において、安全設計や安全運転の一層の向上を目指した共同研究や国際協力が行われています。
 核燃料サイクル分野では、MOX燃料を軽水炉で使ったあとの使用済みのMOX燃料を安全に再処理する技術を将来的に開発していく必要があり、そのための技術開発が、核燃料サイクル開発機構で進められています。
 長期的にはプルサーマルから高速増殖炉へのより高度なプルトニウム利用の技術体系を目指すことが計画されています。そのため安全面においても、これに応えられる技術や制度を整えていくことが必要です。
 具体的には、これまでに蓄積された知見やデータを活かして安全確保の充実を図るとともに、また、長期的には高速増殖炉におけるプルトニウム利用に当たっての技術的基盤として、各事業者、研究機関による安全技術の研究開発、人材育成・確保が必要であり、これら人材育成の場である研究施設、設備の充実が不可欠です。
 特に、プルトニウムは、ウランと比較して、放射線防護上はもとより核物質管理の面からも、その安全上の取扱に関して特別の対策を必要としています。
 こうした観点から、研究機関、民間を問わず、現在行われている安全技術に関する研究開発を引き続き推進することが必要です。
 今後、行政改革の一環として実施される日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の廃止・統合の結果として、こうした技術基盤が揺らぐことがないようにしなければなりません。
 統合化された新法人を、原子力に関する基盤研究を体系的に実施する総合研究機関として位置付けるとともに、安全規制を支える人材の育成と供給、さらには、それらの人材が、必要な設備等を活用し、事故原因究明などにおいて重要な役割を果たすことができるよう、安全研究のために必要な資金確保を図るなど国の支援が必要です。
 事故の多くは人的過誤によるものであることからみても、ハード面だけではなく、放射線管理と作業管理を適切に実施するとともに、安全文化の醸成を図るなどソフト面での取組みが重要であり、その点からも、人材育成が特に重要です。
 プルサーマルに関しては、プルトニウム利用に係る安全技術などに対する国民的理解を得ていくことが、その社会的基盤として欠かせません。その観点から、原子力安全行政の透明性をより高めるため、情報公開のさらなる徹底が必要です。
 プルトニウム利用に当たっては、地球的規模の理解が重要であり、平和利用や核拡散防止への積極的な取組みと透明性の確保に向けた国際協力が必要です。
 「絶対安全」はあり得ず、事故・故障をできるだけ起きることのないようにする、起きても大きな事故にならないようにする、事故の影響をできるだけ小さくするという原子力安全の基本原則を忘れてはなりません。
 また、安全確保の最後の砦は「人」であって、人材育成に当たって、感受性と先見性の涵養が大切です。原子力安全委員会のみならず広く関係者は、そのような視点を忘れることなく、原子力安全に携わっていくことが必要です。


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月例経済報告(五月)


―景気は、依然厳しい状況にあるが、底入れしている―


内 閣 府


総 論

(我が国経済の基調判断)

 ・景気は、依然厳しい状況にあるが、底入れしている。
 ・設備投資は、減少している。失業率が高水準で推移するなど、雇用情勢は依然として厳しい。
 ・個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
 ・輸出はアジア向けを中心に増加しており、生産は下げ止まっている。業況判断は、大企業においては下げ止まりつつある。
 先行きについては、厳しい雇用・所得環境などが、今後の民間需要を下押しする懸念がある一方、輸出の増加や在庫調整の進展が、今後の景気を下支えすることが期待される。

(政策の基本的態度)

 政府は、底入れしている景気の動きを民需主導の持続的な経済の成長につなげるため、引き続き構造改革を断行しつつ、日本銀行と一致協力して、デフレ阻止に向けて強い決意で臨む。

各 論

一 消費・投資などの需要動向

◇個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
 個人消費は、需要側と販売側の動向を総合してみると、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。所得面で弱い動きが続いていることなどから全体的な基調の改善には至らないものの、消費者マインドに改善の動きがみられることなどから一部の業種や支出項目においては増加の動きがみられる。
 需要側の動向をみると、昨秋以降、底固さがみられる。消費総合指数は三か月前と比べ増加している。支出項目ごとの動向について家計調査をみると、実質消費支出は、食料をはじめ、主に基礎的な支出項目に底固さがみられる。
 一方、授業料や自動車等購入など比較的高額な支出項目が減少し、家具・家事用品に昨年の家電リサイクル法施行前の駆け込み需要の反動減がみられる。
 販売側の動向をみると、全体的に弱い動きとなっている。小売業販売額は弱い動きが続いている。
 チェーンストア販売額は、弱い動きが続いているものの、天候要因等により食料や衣料品が好調なことから減少幅を大きく縮小した。家電販売金額は、パソコンが引き続き前年を大きく下回っていることや、家電リサイクル法対象四品目に昨年の駆け込み需要の反動減がみられることなどから、前年を下回っている。
 旅行は、国内旅行はほぼ前年横ばいであり、海外旅行は引き続き前年を大幅に下回っているものの、減少幅を縮小してきている。
 百貨店販売額は、平成十四年三月は春・初夏物衣料が好調だったことなどにより前年を上回った。昨夏以降、一進一退の動きを続けており、均してみれば横ばいとなっている。新車販売台数は、小型乗用車の新型車投入効果などから前年を上回っている。
 消費者マインドは、依然として水準は低いものの、やや改善がみられる。

◇設備投資は、減少している。
 設備投資は、生産及び企業収益の減少等を背景に平成十三年に入って以降、減少が続いている。
 需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、平成十三年一〜三月期以降減少が続き、十〜十二月期には減少幅を拡大している。
 大中堅企業について「法人企業動向調査」でみると、平成十四年一〜三月期(実績見込)は、製造業は減少が続くものの、非製造業が増加に転じ、全産業では増加の見込となっている。
 また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、平成十三年に入って以降、減少が続いている。なお、ソフトウェア投資は、増加基調を続けている。
 設備投資の今後の動向については、機械設備投資の先行指標である機械受注が平成十三年一〜三月期以降減少基調で推移し、平成十四年四〜六月期も減少の見通しとなっていること、日銀短観の平成十四年度設備投資計画において製造業、非製造業ともに減少が見込まれていることなどからみて、減少が続くものとみられる。

◇住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
 住宅建設は、平成十三年に入り、貸家は増加したものの、これまで堅調であったマンションの着工が落ち着いてきたことに加え、公庫持家の着工が大きく水準を下げて推移したこと等から、おおむね年率百十五〜百二十万戸で推移した。
 この結果、平成十三年度の住宅建設は、前年度比三・三%減の百十七万三千戸と平成十年度以来三年ぶりに百二十万戸を下回る低い水準となった。
 この背景としては、雇用・所得環境が厳しいこと、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下していることがあると考えられる。
 三月は、持家の着工は増加したものの、貸家、分譲住宅が減少したため、前月比六・一%減の年率百十一万二千戸となった。
 先行きについてみると、住宅金融公庫融資の申し込み戸数が減少傾向にあることなど、住宅着工を減少させる要因が引き続きみられる。

◇公共投資は、総じて低調に推移している。
 公共投資は、総じて低調に推移している。国の平成十三年度第二次補正後予算を、施設費を加えた公共投資関連予算ベースでみると、「改革推進公共投資」特別措置もあり、ほぼ前年度並みを確保している。地方の投資的経費は、厳しい財政状況を反映して引き続き前年度を下回っている。
 このような状況を反映して、一〜三月期の公共工事請負金額は12四半期連続で、大手五十社受注額も5四半期連続で前年を下回った。
 なお、国の平成十四年度当初予算においては、施設費を含む公共投資関係費について、前年度比一〇・七%減と規模を縮減しつつ、「予算編成の基本方針」の重点七分野に重点化しているほか、平成十四年度地方財政計画においては、投資的経費のうち地方単独事業費について対前年度比一〇・〇%減としつつ、国の歳出予算と歩を一にして歳出の徹底した見直しと重点的な配分を行うこととしている。

◇輸出は、アジア向けを中心に増加している。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。
 輸出は、世界的な製造業を中心とした生産回復への動きなどを背景に、半導体等電子部品など電気機器が増加、一般機械も下げ止まるなど、全体として増加している。また、自動車はアメリカ向けを中心に、引き続き堅調に推移している。
 地域別にみると、アジア向け輸出は、電気機器、一般機械を中心に増加している。アメリカ向け輸出は、一般機械や自動車が堅調に推移していることから、横ばいとなっている。EU向け輸出は、減少が続いている。先行きについては、為替レートにおける既往の円安傾向やアメリカにおける景気回復など対外環境の改善が、引き続き我が国輸出を下支えする要因になるとみられる。
 輸入は、IT関連を中心とした国内の在庫調整の進展によって機械機器の輸入が横ばいとなったことなどから、全体として横ばいとなっている。
 地域別にみると、アジアからの輸入は横ばいとなっている。これは、機械機器の輸入が堅調に推移しているものの、これまで繊維製品や食料品を中心に増加に寄与していた中国からの輸入が横ばいとなったことなどによる。EUからの輸入は、食料品の増加寄与が剥落したことなどによりやや減少している。アメリカからの輸入は、機械機器を中心に減少している。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、増加している。輸入数量が横ばいで推移するなか、輸出数量が増加していることが、黒字幅の拡大に寄与している。

二 企業活動と雇用情勢

◇生産は、下げ止まっている。
 鉱工業生産は、昨年初めから大幅に減少していたが、一〜三月期には五期ぶりに増加に転じた。輸出の増加や在庫調整の進展等を背景に、IT関連品目を中心に生産は下げ止まっている。
 ただし、設備投資の減少が続くとみられることなど、懸念すべき点もあることには留意する必要がある。なお、製造工業生産予測調査によると四月、五月は増加が見込まれている。
 一方、第三次産業活動の動向をみると、おおむね横ばいで推移している。

◇企業収益は、製造業を中心に大幅に減少している。また、企業の業況判断は、厳しい状態が続いているが、大企業においては下げ止まりつつある。倒産件数は、高い水準となっている。
 企業収益は、「法人企業統計季報」によると、平成十三年七〜九月期以降、電機機械などの製造業を中心に大幅な減益となった。日銀短観でも、平成十三年度下期について、製造業を中心に大幅な減益を見込んでいる。
 一方、平成十四年度については増益を見込んでいる。また、「法人企業動向調査」によると、平成十四年一〜三月期における大中堅企業の経常利益の判断(前期比「増加」−「減少」)は、「減少」超幅が縮小している。
 企業の業況判断について、日銀短観をみると、厳しい状態が続いている。
 規模別でみると、中小企業において悪化が続いているものの、大企業においては下げ止まりつつある。先行きについても、中小企業が引き続き悪化を見込む一方で、大企業では改善を見込んでいる。
 また、「法人企業動向調査」で大中堅企業の業界景気の判断(前期比「上昇」−「下降」)をみると、「下降」超幅が縮小している。
 また、三月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで一千七百四十一件になるなど、高い水準となっている。

◇雇用情勢は、依然として厳しい。完全失業率が高水準で推移し、求人や賃金も弱い動きが続いている。
 三月の完全失業率は、前月比〇・一%ポイント低下し五・二%となった。完全失業者について求職理由別にみると、最も多い非自発的な離職による者の増加幅は、前月とほぼ同水準となっている。雇用者数については、減少に歯止めがかかっている。
 新規求職件数が大きく減少したことから新規求人倍率が上昇したものの、新規求人数は減少、有効求人数も引き続き減少しており、求人は弱い動きが続いている。製造業の残業時間については、生産が下げ止まっていることを反映し、緩やかに増加している。
 賃金の動きをみると、定期給与は前月比で減少しており、弱い動きが続いている。

三 物価と金融情勢

◇国内卸売物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、弱含んでいる。
 輸入物価は、このところ、契約通貨ベース、円ベースともに上昇している。国内卸売物価は、横ばいとなっている。最近の動きをみると、電力・都市ガス・水道、電気機器は下落しているものの、原油高や既往の円安などを背景として、石油・石炭製品、非鉄金属は上昇している。また、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
 消費者物価は、平成十二年秋以降、弱含んでいる。最近の動きをみると、一般サービス(外食など)はやや上昇しているものの、耐久消費財の下落などにより一般商品は下落していることから、全体としては下落している。
 こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

◇金融情勢をみると、株式相場は、ほぼ横ばいで推移している。対米ドル円相場は、上昇した。
 短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、四月から五月上旬にかけて、日本銀行による金融緩和措置を反映して、〇・〇〇一〜〇・〇〇三%で推移した。二、三か月物は、四月から五月上旬にかけて、おおむね横ばいで推移した。
 長期金利は、二月上旬から四月上旬にかけてやや低下した後、五月上旬にかけて、おおむね横ばいで推移した。
 株式相場は、二月下旬から三月上旬にかけて大きく上昇した後、ほぼ横ばいで推移している。
 対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、三月上旬に百二十七円台まで上昇し、中下旬は百三十三円台まで下落した後、米国景気回復期待の後退等から、五月上旬にかけて一時百二十六円台まで上昇した。
 対ユーロ円相場(インターバンク十七時時点)は、三月上旬に百十二円台まで上昇し、中下旬は百十六円台まで下落した後、百十五円台から百十七円台でほぼ横ばいで推移している。
 マネタリーベース(月中平均残高)は、日本銀行の潤沢な資金供給など(四月日銀当座預金平均残高二十兆円)を背景に、伸びを高めている(四月:前年同月比三六・三%増)。M+CD(月中平均残高)は、このところ、流動性預金の伸び率が上昇したことなどから、若干伸びを高めている(四月速報:前年同月比三・六%増)。
 民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、九六年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和等を背景に、昨年初来低下傾向で推移してきたが、このところ横ばい圏で推移している。なお、企業の格付等に応じた資金調達条件の格差が、このところ拡大している。

四 海外経済

◇アメリカの景気回復が、製造業を中心とした世界主要経済の生産回復につながっている。
 世界経済をみると、アメリカの景気回復が、製造業を中心とした生産の回復につながっている。
 アメリカの景気は回復している。個人消費は増加している。住宅建設は増加傾向にある。設備投資の減少幅は縮小しているが、非軍需資本財受注は減少した。生産は回復が続いており、稼働率は上昇している。失業率は上昇したものの、雇用は持ち直している。物価は安定している。
 アジアをみると、景気に回復の動きがみられる。中国では、政府支出の拡大から、景気の拡大テンポはやや高まっている。韓国では、景気は緩やかに拡大している。台湾、シンガポール、マレイシアでは、景気に回復の動きがみられる。タイでは、景気は回復している。
 ヨーロッパをみると、@ユーロ圏では、景気は低迷しているものの、生産は下げ止まりつつある。ドイツでは、景気は低迷している。フランスでは、景気は減速しているものの、生産は下げ止まりつつある。Aイギリスでは、景気は減速が続いているものの、持ち直しの兆しがみられる。
 金融情勢をみると、アメリカの株価は、企業業績への懸念や経済の先行きに関する慎重な見方等から、四月は下落基調で推移した。ドルも、減価基調で推移した。アメリカの長期金利は、弱含みで推移した。カナダでは四月中旬に、韓国、オーストラリアでは五月上旬に利上げを実施した。
 国際商品市況をみると、原油価格は、四月前半に弱含んだものの、緊張が続いた中東情勢等を受けて再び上昇した。


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賃金、労働時間、雇用の動き


毎月勤労統計調査平成十四年二月分結果速報


厚生労働省


 「毎月勤労統計調査」平成十四年二月分結果の主な特徴点は次のとおりである。

◇賃金の動き

 二月の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は二十八万二千四百九十八円、前年同月比〇・六%減であった。
 現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十八万八十一円、前年同月比〇・六%減であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十六万二千四百六十円、前年同月比〇・二%減、所定外給与は一万七千六百二十一円、前年同月比は六・七%減であった。
 また、特別に支払われた給与は二千四百十七円、前年同月比は二一・九%増であった。
 実質賃金は、一・二%増であった。
 きまって支給する給与の動きを産業別に前年同月比によってみると、伸びの高い順に電気・ガス・熱供給・水道業及び運輸・通信業〇・七%増、金融・保険業及びサービス業〇・五%増、製造業〇・七%減、建設業一・二%減、卸売・小売業,飲食店二・八%減、不動産業四・二%減、鉱業五・九%減であった。

◇労働時間の動き

 二月の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は百五十一・五時間、前年同月比は〇・一%減であった。
 総実労働時間のうち、所定内労働時間は百四十二・二時間、前年同月比〇・二%増、所定外労働時間は九・三時間、前年同月比五・四%減、所定外労働時間の季節調整値は前月比〇・五%減であった。
 製造業の所定外労働時間は十二・五時間、前年同月比一二・九%減、季節調整値の前月比は一・一%減であった。

◇雇用の動き

 二月の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で〇・三%減、常用労働者のうち一般労働者では一・一%減、パートタイム労働者では二・九%増であった。
 常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、前年同月を上回ったものはサービス業二・六%増、不動産業〇・九%増、運輸・通信業〇・三%増であった。
 前年同月を下回ったものは卸売・小売業,飲食店〇・一%減、建設業〇・三%減、電気・ガス・熱供給・水道業〇・五%減、金融・保険業二・九%減、製造業四・二%減、鉱業九・六%減であった。
 主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者四・〇%減、パートタイム労働者五・三%減、卸売・小売業,飲食店では一般労働者四・九%減、パートタイム労働者七・四%増、サービス業では一般労働者二・七%増、パートタイム労働者二・二%増であった。








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三月の雇用・失業の動向


―労働力調査平成十四年三月及び平成十四年一〜三月平均結果の概要―


総 務 省


◇就業状態別の人口

 平成十四年三月末の就業状態別人口をみると、就業者は六千二百九十七万人、完全失業者は三百七十九万人、非労働力人口は四千二百三十万人と、前年同月に比べそれぞれ八十二万人(一・三%)減、三十六万人(一〇・五%)増、九十二万人(二・二%)増となっている。

◇就業者

(1) 就業者

 就業者数は六千二百九十七万人と、前年同月に比べ八十二万人(一・三%)の減少となり、十二か月連続の減少となっている。
 男女別にみると、男性は三千七百三十四万人、女性は二千五百六十四万人で、前年同月と比べると、男性は四十八万人(一・三%)減、女性は三十二万人(一・二%)減となっている。

(2) 従業上の地位

 就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千二百九十二万人、自営業主・家族従業者は九百八十六万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は四十六万人(〇・九%)減、自営業主・家族従業者は三十九万人減となり、雇用者は七か月連続の減少となっている。
 雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千二百六十二万人と、四十万人(〇・八%)減、七か月連続の減少
 ・常 雇…四千五百七十一万人と、五十五万人(一・二%)減、八か月連続の減少
 ・臨時雇…五百八十六万人と、三十三万人(六・〇%)増、三か月連続の増加
 ・日 雇…百五万人と、十八万人(一四・六%)減、二か月連続の減少

(3) 産 業

 主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…二百四十二万人と、十九万人(七・三%)減
○建設業…六百二十八万人と、八万人(一・三%)減、十六か月連続の減少
○製造業…一千二百六十二万人と、三十九万人(三・〇%)減、十一か月連続の減少
○運輸・通信業…三百九十八万人と、六万人(一・五%)減、二か月連続の減少
○卸売・小売業,飲食店…一千四百十四万人と、三十二万人(二・二%)減、四か月連続の減少
○サービス業…一千七百八十六万人と、三十五万人(二・〇%)増、二十五か月連続の増加
 また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…五百八万人と、十七万人(三・二%)減
○製造業…一千百六十二万人と、三十一万人(二・六%)減
○運輸・通信業…三百七十八万人と、六万人(一・六%)減
○卸売・小売業,飲食店…一千百五十七万人と、十五万人(一・三%)減
○サービス業…一千五百四十八万人と、三十九万人(二・六%)増

(4) 従業者規模

 企業の従業者規模別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千七百三十九万人と、二十四万人(一・四%)増、三か月連続の増加
○三十〜四百九十九人規模…一千七百七十七万人と、二十五万人(一・四%)増、五か月連続の増加
○五百人以上規模…一千百七十八万人と、八十九万人(七・〇%)減、十一か月連続の減少

(5) 就業時間

 三月末一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜三十五時間未満…一千四百五十五万人と、六十万人(四・三%)増加
 ・うち一〜三十時間未満…一千四十二万人と、二十五万人(二・五%)増加
○三十五時間以上…四千六百九十八万人と、百四十万人(二・九%)減少
 ・うち四十九時間以上…一千八百七十五万人と、十六万人(〇・九%)増加
 また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四三・〇時間で、前年同月と比べ〇・四時間の減少となっている。

◇完全失業者

(1) 完全失業者数

 完全失業者数は三百七十九万人と、前年同月に比べ三十六万人(一〇・五%)増となり、十二か月連続の増加となっている。
 男女別にみると、男性は二百二十八万人、女性は百五十二万人で、前年同月に比べ、男性は十九万人(九・一%)の増加、女性は十七万人(一二・六%)の増加となっている。
 また、世帯主の続き柄別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…百一万人と、七万人増加
○世帯主の配偶者…四十九万人と、十二万人増加
○その他の家族…百七十二万人と、九万人増加
○単身世帯…五十六万人と、七万人増加

(2) 完全失業率(季節調整値)

 季節調整値でみた完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は五・二%と前月に比べ〇・一ポイントの低下となっている。
 男女別にみると、男性は五・三%、女性は五・一%と、前月に比べ男女とも〇・一ポイントの低下となっている。

(3) 完全失業率(原数値)

 完全失業率は五・七%と、前年同月に比べ〇・六ポイントの上昇となっている。
 男女別にみると、男性は五・八%、女性は五・六%と、男性は〇・六ポイントの上昇、女性は〇・七ポイントの上昇となっている。

(4) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 [男]
○十五〜二十四歳…四十七万人(五万人増)、一三・〇%(一・七ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…五十六万人(四万人増)、六・一%(〇・五ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十八万人(三万人増)、三・六%(〇・四ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…三十八万人(五万人増)、四・一%(〇・六ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…四十八万人(三万人増)、七・二%(〇・四ポイント上昇)
 ・五十五〜五十九歳…二十一万人(一万人増)、五・四%(〇・二ポイント上昇)
 ・六十〜六十四歳…二十七万人(二万人増)、九・六%(〇・六ポイント上昇)
○六十五歳以上…十万人(二万人減)、三・二%(〇・六ポイント低下)
 [女]
○十五〜二十四歳…三十七万人(二万人減)、一一・二%(〇・五ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…四十七万人(五万人増)、七・六%(〇・五ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十六万人(八万人増)、五・一%(一・六ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…二十五万人(五万人増)、三・七%(〇・八ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…十五万人(一万人増)、三・七%(〇・二ポイント上昇)
 ・五十五〜五十九歳…八万人(一万人増)、三・二%(〇・三ポイント上昇)
 ・六十〜六十四歳…七万人(同数)、四・三%(同率)
○六十五歳以上…二万人(同数)、一・一%(同率)

(5) 求職理由別完全失業者数

 求職理由別完全失業者数は、次のとおりとなっている。
○定年等…三十五万人
○勤め先都合…百十八万人
○自己都合…百十四万人
○学卒未就職…二十九万人
○新たに収入が必要…四十一万人
○その他…三十七万人

(6) 地域別完全失業率

 平成十四年一〜三月平均の地域別完全失業率及び対前年同期増減は、次のとおりとなっている。
 ・北海道…七・二%(〇・九ポイント上昇)
 ・東北…六・三%(一・三ポイント上昇)
 ・南関東…五・三%(〇・七ポイント上昇)
 ・北関東・甲信…四・三%(〇・三ポイント上昇)
 ・北陸…四・五%(〇・五ポイント上昇)
 ・東海…四・〇%(〇・二ポイント上昇)
 ・近畿…六・六%(〇・五ポイント上昇)
 ・中国…四・六%(〇・六ポイント上昇)
 ・四国…五・三%(〇・六ポイント上昇)
 ・九州…六・四%(〇・七ポイント上昇)












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平成13年版度平均


全国消費者物価指数の動向


―総合指数は前年度比一・〇%の下落―


総 務 省


◇平成十三年度平均全国消費者物価指数の動向
一 概 況

(1)総合指数は平成十二年を一〇〇として九八・九となり、前年度比は一・〇%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年度以降三年連続して下落している。
(2)生鮮食品を除く総合指数は九九・〇となり、前年度比は〇・八%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十年度以降四年連続して下落している。

二 十大費目指数の動向

(1)食料は九八・七となり、前年度に比べ一・四%の下落。
  生鮮野菜が五・七%の下落。
   <値下がり> レタスなど
(2)住居は一〇〇・三となり、前年度に比べ〇・三%の上昇。
  家賃が〇・四%の上昇。
   <値上がり> 民営家賃(木造中住宅)など
(3)光熱・水道は一〇〇・八となり、前年度に比べ〇・六%の上昇。
  上下水道料が二・〇%の上昇。
   <値上がり> 水道料など
(4)家具・家事用品は九五・五となり、前年度に比べ三・六%の下落。
  家庭用耐久財が七・六%の下落。
   <値下がり> 電気冷蔵庫など
(5)被服及び履物は九七・二となり、前年度に比べ二・三%の下落。
  衣料が三・一%の下落。
   <値下がり> 婦人上着など
(6)交通・通信は九八・八となり、前年度に比べ一・一%の下落。
  通信が五・六%の下落。
   <値下がり> 固定電話通信料など
(7)教育は一〇一・三となり、前年度に比べ一・〇%の上昇。
  授業料等が一・二%の上昇。
   <値上がり> 私立大学授業料など
(8)教養娯楽は九六・三となり、前年度に比べ二・九%の下落。
  教養娯楽用耐久財が二〇・五%の下落。
   <値下がり> パソコンなど

三 財・サービス分類指数の動向

(1)は九七・九となり、前年度に比べ一・九%の下落。
  工業製品が二・一%の下落。
   <値下がり> 耐久消費財など
(2)サービスは一〇〇・〇となり、前年度と同水準。















歳時記

◇鮎

 六月一日は多くの川で鮎(あゆ)釣りが解禁になり、この日を待ちわびた釣り人で賑(にぎ)わいます。鮎は優雅な姿、上品な味わいからしばしば川魚の王といわれます。しかし、その一生は短く、寿命はほとんどの場合一年です。
 秋に川底でふ化した鮎の稚魚は、いったん海に入って冬を過ごし、早春になって六、七センチに育つと再び川へ。川を遡り(さかのぼ)、岩についた藻(も)や苔(こけ)などを食べながら成長していく鮎は「若鮎」「小鮎」と呼ばれ、俳句では春の季語にあげられます。
 夏の間に栄養を十分蓄え、体長二十センチ余、丸々太った鮎は、秋になるとまた川を流れ下り、河口で産卵して一生を終えます。この時期の鮎は「落鮎」「下り鮎」「錆(さび)鮎」の呼び名があり、俳句では秋の季語となっています。
 このように鮎は、一年で一生を終えることから「年魚」と呼ばれますが、まれに生きながらえて年を越した鮎は「とまり鮎」「通し鮎」と称されます。また、一種独特の香りをもっていることから「香魚」と呼ばれることもあります。
 ちなみに、鮎の語源は、川を下り落ちるを意味する古語の「あゆる」に由来するといわれています。





    <6月12日号の主な予定>

 ▽外交青書のあらまし……………………外 務 省 

 ▽消費者物価指数の動向(四月)………総 務 省 




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