官報資料版 平成14年6月26日




                  ▽水産白書のあらまし………………農林水産省

                  ▽法人企業動向調査(三月)………内 閣 府

                  ▽毎月勤労統計調査(三月)………厚生労働省











平成13年度


水産白書のあらまし


―水産の動向に関する年次報告―


農林水産省


 「平成十三年度水産の動向に関する年次報告」及び「平成十四年度において講じようとする水産施策」(いわゆる水産白書)は、平成十四年四月二十六日、閣議決定の上、国会に提出、公表された。
 平成十三年度の水産白書のあらましは次のとおりである。

【はじめに(白書の作成方針)

 平成十三年六月、今後の水産政策の指針となる「水産基本法」が制定された。
 基本法第十条では、政府は、毎年、国会に、水産の動向及び政府が水産に関して講じた施策に関する報告を提出することとされており、「平成十三年度の水産の動向に関する年次報告」(水産白書)は、新たな基本法に基づく最初の白書である。
 今後、水産基本法に示された方向に沿って、現場の実情に即した政策の改革が進められるが、その際、水産白書は、水産の現場と行政、そして国民とを結ぶ重要な役割を担うものである。
 こうした認識に立ち、国民全体の利益の実現をめざすという水産基本法における政策理念の趣旨を踏まえ、一層国民に親しまれる白書となるよう工夫をこらした。
 まず第一は、「トピックス―水産この一年―」を創設し、この一年間に生じた水産をめぐる重大な動き、国民的に関心を集めた出来事等を冒頭に紹介することとした。
 第二は、特集テーマの設定である。水産基本法の理念を実現するための基礎条件として、水産資源の持続的な利用の確保を位置づけており、「水産資源の現状とその持続的利用に向けた課題」について国民の理解を求めることは、最初の水産白書の特集テーマにふさわしいものと考えられる。
 第三は、わかりやすい内容となるように努めたことである。水産分野には国民の日常生活にはなじみの薄いことがらが多くある。そうした実態も踏まえた上で、平易な記述に心がけるとともに、難解な用語には脚注を設け、また、写真や図表も可能な限り用いた。

<トピックス―水産この一年―>

 この一年間に生じた水産をめぐる重大な動き、国民的に関心を集めた出来事として、
  水産基本法制定(第1図参照
  有明海ノリ不作〜その後〜
  北方四島周辺水域〜第三国漁船サンマ操業〜
  WTO閣僚会議〜新ラウンド立ち上げ〜
  資源回復計画〜豊かな海を取り戻すために〜
  新たな水産公共事業
  IWC下関会議に向けて
を紹介している。

T 特集 水産資源の現状とその持続的利用に向けた課題

一 水産資源の現状について

(一) 我が国周辺水域の水産資源の状態
 我が国の排他的経済水域は、国土面積の十倍以上に相当するほど広大なものである。加えて、もともと水産資源が豊かな海であり、世界の主要漁場の一つとなっている。しかし、近年、その資源量が大幅に減少してきている(第1表参照)。
 資源量の減少を反映して漁獲量は減少しており、また、漁業経営の悪化のみでなく、水産加工業や、地域の経済、我々の食生活にも影響を及ぼしている。

(二) 世界の水産資源の状態
 水産資源の悪化は、世界的にも重大な懸案となっている。
 FAOによれば、世界の主な魚種のうち、二割以上について資源の回復力を超えた漁獲、約半数が現在以上に漁獲を行うと資源の回復力を超えてしまう状況になっていると報告されている。
 さらに、特定の水域や魚種についても、多くの資源で大幅な減少が報告されている(第2図参照)。

二 水産資源の減少の要因について

(一) 我が国周辺水域における水産資源の減少の要因
ア 資源の回復力を超えた漁獲
 (我が国漁業の漁獲能力の飛躍的な向上)
 これまでの漁業は、獲ることを優先しがちであった。漁獲量がそれほど多くなかった時には、大きな問題とはならなかった。
 しかし、現在、新しい技術や機器の導入等によって漁獲能力が向上しており、資源の維持・回復には多くの魚種で漁獲量の引き下げが必要である。現状レベルの漁獲が続けば、資源量は減少する可能性がある(第3図参照)。
 (課題を抱えている規制措置)
 従来の漁業許可の規制は、漁業種類間の漁場水域の調整等に重点がおかれていたため、平成九年から、魚種ごとの漁獲量全体に着目したTAC制度が導入されている。しかし、対象魚種は現在七魚種に限られている等の課題もある。
 (外国漁船による漁獲)
 これまで、韓国、中国等の漁船と競合的に操業を行う水域が広く存在したため、漁獲競争に拍車がかかり、資源量の減少を加速させた面がある。
 近年、新たな漁業協定が発効したが、これまでの漁獲競争の影響、資源悪化の状況は継続しており、また、協定違反の操業も資源量減少の要因となっている。
 (無視できなくなった遊漁の影響)
 遊漁者の数は年々増加傾向にあり、海釣りだけで年間のべ三千万人を超えるようになっている。
 魚種によっては、一定海域における釣り人の採捕量が漁業者の漁獲量を超えるものも出てきており、水産資源に対し、無視することができない影響を与え得るものとなっている。

イ 水域環境の悪化
 (排水や廃棄物による水質の悪化)
 産業活動や日常生活は、排水や廃棄物による水質の悪化を通じて、赤潮の発生等、水産資源に影響を与えている。
 (藻場・干潟の減少)
 藻場・干潟は、水産生物の産卵・生育の場となっている。沿岸域の水質浄化機能にも注目されている。しかし、埋立等により消失が進み、水産資源減少の要因となっている。

(二) 世界における水産資源の減少の要因
 (拡大を続ける水産物需要とそれに伴う漁獲量の増大)
 開発途上国を中心とした人口増加、経済成長に伴う食生活の向上等、世界の水産物の需要は拡大傾向で推移してきている。
 FAOの集計によれば、世界の海面漁獲量は一九六〇年代に比べてほぼ二倍になり、近年では特に中国の伸びが著しく、世界の海面漁獲量の二割を占めるようになっている。
 資源の適正な管理が行われないまま漁獲量を増大させれば、一層の資源悪化を引き起こすことが懸念される。
 (便宜置籍漁船等による無秩序な漁獲)
 現状の地域漁業管理機関等による資源管理では、非加盟国に対しては効力が及ばないという限界がある。資源管理のための取り決めを逃れる目的で、非加盟国等に船籍を置く便宜置籍漁船による無秩序な漁獲が重大な懸念となっている。
 我が国は、一国としては世界最大の水産物貿易市場となっている。近年、諸外国において、我が国への輸出を主目的に便宜置籍漁船等によるマグロの無秩序な漁獲などが行われており、我が国の水産物の消費のあり方が世界の水産資源に関係しているともいえる。
 (海産ほ乳類による捕食)
 鯨類による水産資源の捕食が漁業に与える影響に関する調査については、FAOが進めることで合意した。今後、海産ほ乳類の捕食が水産資源に与える影響を明らかにしていく必要がある。

三 水産資源の持続的利用に向けた課題

 (基本的考え方)
 水産資源を回復し、その持続的利用の確保が喫緊の課題である。漁業関係者はもちろん、国民全体の理解と協力を得て、継続的取組が必要である。
 また、国際的な資源管理に積極的に取り組むことも我が国の責務である。
 (具体的な課題)
 一部地域では、すでに漁業者が協力して資源管理に取り組み、一定の成果をあげつつある。今後、このような取組を全国的に展開していくことが重要である。行政としても、資源評価の一層の向上、TAC制度の適切な運用、資源回復計画の実施に取り組むことが必要である。また、環境に配慮し水産生物を積極的に増殖することも有効であり、つくり育てる漁業を推進し、種苗の量産、コスト低減や放流効果の向上のため技術開発を図ることが必要である。
 水産生物の生息環境や生態系の維持・回復が前提条件であり、漁業者が主体となり、植林活動などの環境保全運動が行われるようになってきているが、今後、国民全体の参加と協力を得て、さらに運動の輪を広げていくことが重要である。
 国際的にも、我が国は、世界最大の水産物の輸入国という立場を踏まえ、国際的な資源管理の推進と資源の持続的利用に貢献する貿易ルールの確立に積極的に取り組んでいくことが求められている。
 「水産基本計画」に沿って、水産資源の保存・管理、水産生物の生息環境の保全・改善等の施策を推進していくことが急務である。

U 平成十二年度以降の我が国水産の動向

一 我が国の水産物の需給

(一) 国内漁業生産
 平成十二年の漁業生産量は、前年に比べ四%減少し六百三十八万四千トンとなった(第2表参照)。
 漁業生産額は、前年に比べ六%減少し一兆八千七百五十三億円となった(第3表参照)。

(二) 水産物貿易
 平成十二年の水産物輸入は、前年に比べ四%増加し三百五十四万四千トン、金額は前年並みの一兆七千三百四十億円となった。
 十三年には、輸入水産物と国内生産に関する情報の収集・分析体制を構築・強化するとともに、民間レベルでは海外生産者との情報交換促進、経営体質強化に向けた取組を開始した。
 十二年の水産物輸出は、前年に比べ九%増加し二十二万二千トン、金額は二%減少し一千三百八十四億円となった。

(三) 水産物の加工・流通
ア 水産加工
 平成十二年の水産加工品の生産量は、食用品が一%減少し二百四十三万七千トン、油脂・飼肥料が三%減少し、七十四万四千トンとなった。

イ 水産物流通
 (産地流通)
 平成十二年の産地市場(産地二百五港)の水揚量は、前年に比べ五%減少し、平均価格は三%低下した。
 水揚量が一定しない小規模産地市場が多いこと等が産地側の立場を弱めており、価格不安定化の要因となっている。我が国は、十三年三月末に「水産物産地市場の統合及び経営合理化に関する方針」を作成・公表した。現在、各都道府県において産地市場の統合等に向けた取組が開始されている。
 (消費地市場)
 平成十二年の主な消費地市場(十都市中央卸売市場)における水産物の取扱量は、ほぼ前年並みであったが、平均価格は前年に比べ三%低下した。
 (品質・安全性の確保)
 魚介類、魚介類加工品による食中毒事故は、全事故件数の一割弱を占めている。
 平成十三年六月、腸炎ビブリオによる食中毒防止のため、生食用生鮮魚介類等について、食品衛生法に基づく規格基準設定等が行われた。
 現在、HACCP方式による衛生管理の導入・促進に取り組んでいるが、今後、さらに推進していくことが重要である。

(四) 水産物消費
 (水産物の消費動向)
 平成十二年の魚介類の国内消費仕向量(原魚換算ベース)は、前年に比べ二%増加して一千八十六万トン、このうち食用仕向量は、前年より二%増加して八百五十一万トンであった。
 魚介類の消費量は、純食料ベースで、前年より三%増加して、年間一人当たり三十七キログラムであり、魚介類は動物性たんぱく質供給の四割を占める。
 (家計における消費)
 平成十二年の家計の魚介類購入への支出額は、前年に比べ四%減少した。これは、水産物消費においては、外食や調理食品の比率が増大したためと考えられる。

(五) 水産物の自給率
 (自給率の現状)
 平成十二年の食用魚介類の自給率は、前年より二ポイント低下し五三%となった(第4図参照)。
 海藻類の自給率は、前年より二ポイント向上し、六三%となった。
 (自給率目標の設定)
 国民に対する水産物の安定供給を確保するには、水産資源の持続的利用を確保しつつ、我が国の漁業生産の増大を図ることが重要である。
 水産基本計画では、平成二十四年を目標とした水産物の自給率目標が設定された(第4表参照)。

二 我が国漁業をめぐる国際動向

(一) 二国間の漁業関係
 (韓国・中国との関係)
 韓国との間では、協定に基づき、相互に相手国水域において操業を行った。
 韓国サンマ漁船が我が国の排他的経済水域である北方四島周辺において、我が国ではなくロシアとの政府間の合意に基づき操業を行ったため、これらの漁船の三陸沖での操業を認めなかった。中国との間では、協定に基づき、相互に相手国水域において操業を行った。
 なお、違反操業の増大と悪質化が目立っており、我が国周辺水域の取締体制の充実・強化が課題となっている。
 (ロシアとの関係)
 地先沖合協定に基づき、相手国二百海里水域内に相互入漁を行っている。
 平成十二年十二月の日ロ漁業委員会において、ロシア二百海里水域におけるマダラ等の漁獲割当数量の削減が決定され、これに伴って我が国のたら等、はえ縄漁船については大幅な減船を実施した。

(二) 多国間の漁業関係
ア カツオ・マグロ類をめぐる動き
 (便宜置籍漁船等IUU漁船による操業の廃絶に向けた取組)
 大西洋まぐろ類保存国際委員会、みなみまぐろ保存委員会等の地域漁業管理機関において、IUU漁船廃絶に向け精力的な取組が行われている。
 平成十三年に、「社団法人責任あるまぐろ漁業推進機構」が、台湾資本の便宜置籍はえ縄漁船二十六隻のスクラップを実施した。
 (中西部太平洋におけるカツオ・マグロ類等をめぐる動き)
 中西部太平洋まぐろ条約(通称:MHLC条約)は、関係国の排除、条約作成交渉プロセス、条約自体に問題があり、本条約に懸念を有する国及びEU等、関係国間で協議を継続している。

イ 国際捕鯨委員会(IWC)
 四十三か国の加盟国が鯨資源の利用に無関係な国に偏っていること等から、長期にわたり正常な機能を果たしていない状態である。
 二〇〇一年(平成十三年)の年次総会も、反捕鯨国が多数を占める状況であったが、我が国の要求を支持する国が増えつつあり、鯨類の持続的利用についての理解が進み、IWCにも変化が現れはじめている。

三 漁業経営

(一) 漁業経営体の動向
 平成十二年の海面漁業の漁業経営体数は、十四万六千となった。
 このうち、沿岸漁家経営体が十三万九千、中小漁業経営体が七千、大規模漁業経営体が百二十となっており、多様な経営形態が共存している。

(二) 漁業経営の状況
ア 沿岸漁家
 (沿岸漁船漁家の収支状況)
 平成十二年の沿岸漁船漁家の漁業所得は、前年比一〇%減の百九十五万円となった。
 (海面養殖業漁家の収支状況)
 平成十二年度の海面養殖業漁家の漁業所得は、ワカメ養殖業漁家等で前年度を下回ったが、ノリ養殖業漁家等では前年度を大幅に上回ったため、前年比一九%増の八百二十二万円となった。
 (沿岸漁家の所得)
 平成十二年の沿岸漁家(十トン未満の漁船漁家、小型定置網漁家及び海面養殖業漁家)所得は、前年比一%増の六百七十四万円となった。
 漁家世帯所得と全国勤労者世帯所得は、ほぼ同水準となった。
イ 中小漁業の経営
 平成十二年度の中小漁業の経営は、漁業収入が一億二百万円に対し、漁業支出が一億五百万円で、前年度に引き続き赤字(三百万円減)となった。

(三) 漁業労働者の状況
ア 漁業就業者の動向
 平成十二年の漁業就業者数は、前年比四%減の二十六万人となった。
 男子漁業就業者に占める六十五歳以上の割合は、二ポイント増の三二%で、高齢化が一層進行した。新規就業者数は、前年並みの一千三百七十人であった。

イ 漁船労働
 平成十二年の沖合・遠洋漁業雇用労働者は、前年比三%減の三万五千人となった。
 このため、日本人漁船労働者の不足に対応した「マルシップ方式」等による外国人漁船部員の乗船が認められている。

(四) 漁業協同組合
 漁協事業活動は、横ばい又は縮小傾向にあり、漁協の経営は悪化している。
 漁協の事業基盤を強化するため、漁協系統組織の自主的な方針の下で漁協合併が計画的に推進されており、また、信用事業譲渡により新潟県等六府県で一県一信用事業体制となっている。

四 漁村の現状と活性化への取組

(一) 漁村の役割と現状
 漁村は、漁業活動の根拠地であるばかりでなく、地域住民の生活の場としての役割を果たしている。漁村は条件不利地域に立地するものも多く、道路、下水道等生活環境の整備が依然として都市部に比べ大きく立ち後れている。また、過疎化・高齢化が進展しており、地域全体の活力が低下してきている。

(二) 漁村の生活環境の改善と活性化への取組
ア 漁村の生活環境の改善
 平成十二年度から取り組んでいる漁村リフレッシュ運動の一環として、十三年には、四十都道府県において、生活環境整備目標等を定めた漁村リフレッシュ行動計画が策定された。
 今後、漁村の活性化、振興を図るため、住民の合意の下、この行動計画の着実な実施を図ることが重要となっている。

イ 漁村の活性化への取組
 漁村では、定期市・朝市の開催による新鮮な魚介類の直接販売や漁村民宿等の滞在型余暇活動や漁業体験学習活動への対応など、都市住民との交流により地域を活性化する活動が盛んになってきている。
 漁村の中には、漁業との調整を図りつつ、遊漁等を地域の観光資源として活用し、地域の活性化に成果をあげている例もある。こうした取組は、新たな就労機会や収入機会を創出するものである。
 そのほかにも、平成十三年度から意欲と能力のある青年漁業者を中心としたグループが、漁業経営の改善を通じ、地域の活性化を図っていこうとする取組が行われている。

五 水産業・漁村の有する多面的機能

 (水産業・漁村と国民生活)
 水産業や漁村は、水産物の供給のほかにも、海難救助、国境域の監視への貢献、健全なレクリエーションの場の提供、地域色豊かな魚食文化等の固有の文化の継承等、豊かで安全な国民生活を実現する上で、様々な機能を有している。
 漁港は、船舶の緊急避難、地域住民の高潮等からの防護、災害時の救援物資の運搬拠点等としての役割も果たしている。
 (多面的機能の評価が課題)
 水産基本法においては、こうした水産業及び漁村が有する多面にわたる機能が、適切かつ十分に発揮されるよう施策を充実させていくべきことが位置づけられたところである。
 水産分野の多面的機能については、これまで、農業や森林の分野に比べ、十分な議論や調査の積み重ねがなかったが、平成十三年度においては、客観的な評価を行うための基礎的な調査が開始されたところである。
 今後、WTO新ラウンドにおける水産物に係る交渉等の場で、我が国の立場を説得力あるものとして主張していくためにも、水産業・漁村の有する多面的機能の内容を明らかにし、国民的な理解を深めていくことが課題となっている。

むすび―水産基本法の下での水産白書の役割について―

 水産基本法においては、「水産物の安定供給の確保」と「水産業の健全な発展」を基本理念とし、今後の水産政策が目指すべき方向を明らかにしている。
 従来の沿岸漁業等振興法の政策方向と対比してみると、@政策目的については、他産業と比べて立ち後れていた沿岸漁業等の振興から、国民への水産物の安定供給と、それを支える水産業の健全な発展ということに転換するとともに、A施策対象についても、他産業との較差の是正が必要な沿岸漁業及び中小漁業に限定していたものから、水産業全体を国民に対する食料供給産業ととらえ、すべての漁業部門のみならず水産加工業・水産流通業も包括的に対象としており、Bまた、施策の範囲も、水産物の生産及び消費の両面にわたる指針として水産物の自給率目標を設定することや、遊漁も含めて水産資源の管理を行うこと、さらに、漁村の振興という視点が明確に位置づけられているなど、国民全体の利益の実現という観点から、大きく転換が図られている。
 今後の水産政策は、水産基本法が掲げる基本理念や施策の基本方向に沿って推進されることとなる。
 その際、水産基本法においては、単に基本理念や施策の基本方向を抽象的に掲げるのではなく、基本理念の実現を実効性のある具体的施策により担保するとの考え方から、水産に関する施策についての中期的な指針として「水産基本計画」を定めることとされている。そして、この計画は、水産をめぐる情勢の変化や施策の評価を踏まえ、おおむね五年ごとに見直しが行われる。
 こうした新たな政策の枠組みの中で、水産物の安定供給という国民全体の利益を実現するためには、行政だけでなく、国民各界各層の政策参加とそれぞれの役割に応じた貢献が求められる。
 その際、水産白書は、水産に関する動向について、全国各地でみられる新たな芽生えも的確にとらえた上で客観的に分析し、それを国民に正しく伝達する手段として、益々重要な役割を担うものと考えられる。また、現在、国民は、水産物も含めた食品の安全性に対する関心を高めているが、こうした国民からの要請に応え得る情報発信にも心がける必要がある。
 さらに、今後の政策運営においては、施策の実施状況やその効果についての評価の重要性が高まることから、水産基本計画の定めるところにより講じられる具体的な施策について、その実施状況と施策の評価を国民にわかりやすく開示していくことも期待される。
 このように、水産基本法の制定を機に、水産白書が国民と行政を結ぶ窓口となるよう、その役割を見つめ直し、新たな方向を探っていく努力を積み重ねることは、国民参加型の政策運営にも資するものであると考えられる。
 今回の水産白書は、以上のような考え方に立ち、従来の漁業白書からみれば思い切って装いを新たにした。
 もちろん、水産白書が、国民と水産行政を結ぶ窓口としての役割を的確に果たしていけるようにするためには、内容改善に向けた不断の努力が必要である。そのためにも、多くの国民から、この白書についての意見や要望が寄せられることを期待するものである。


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法人企業動向調査


―平成十四年三月実施調査結果―


内 閣 府


◇調査要領

 本調査は、資本金一億円以上の法人企業について、設備投資の実績及び計画並びに企業経営者の景気と経営に対する判断及び見通しを調査したものである。
 ・調査対象:国内に本社または主たる事務所をもって企業活動を営む資本金一億円以上の法人企業(約三万六千社)から、内閣府が定める方法により選定した四千五百一社を対象とした。
 ・調査時点:平成十四年三月十日
 ・調査方法:調査は、調査客体法人の自計申告により行った。
 なお、資本金が百億円以上の法人企業については、原則として全数調査、百億円未満の法人企業は、層化任意抽出法により選定した法人について調査した。
 ・有効回答率:調査対象法人四千五百一社のうち、有効回答法人四千六十六社、有効回答率九〇・三%

〔利用上の注意〕

(1) 今期三か月の判断とは、平成十三年十〜十二月期と比較した場合の十四年一〜三月期の判断、来期三か月の見通しとは、十四年一〜三月と比較した場合の十四年四〜六月期の見通し、再来期三か月の見通しとは、十四年四〜六月期と比較した場合の十四年七〜九月期の見通しである。ただし、在庫水準と生産設備については、それぞれの調査期間における判断と見通しである。
(2) 第1図第18表の平成十四年一〜三月以前は今期の判断、十四年四〜六月は来期の見通し、十四年七〜九月は再来期の見通しである。
(3) 判断指標(BSI)とは「上昇(強くなる・増加・過大)の割合−下降(弱くなる・減少・不足)」である。
(4) 設備投資の公表数値は、母集団推計値である。また、算出基準は工事進捗ベース(建設仮勘定を含む有形固定資産の減価償却前増加額)である。
(5) 季節調整法は、センサス局法U、X―11で算出した。
(6) 集計上の産業分類は、日本標準産業分類を基準とする会社ベースでの主業分類に基づいて行った。
(7) 昭和六十三年三月調査より、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社、JR関係七社及び電源開発(株)を調査対象に加えるとともに、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社については、六十年四〜六月期、JR関係七社については、六十二年四〜六月期に遡及して集計に加えた。
(8) 平成元年六月調査より消費税を除くベースで調査した。
(9) 平成十年六月調査より以下のとおり産業分類の見直しを行い、昭和五十九年六月調査に遡及して集計を行った。
 @ 「造船」を「その他の輸送用機械」に合併。
 A 「印刷・出版」を「その他の製造業」に合併。
 B 「卸売・小売業,飲食店」の内訳を廃止し、「卸売業」と「小売業,飲食店」に分割。
 C 「運輸・通信業」の内訳を廃止し、「運輸業」と「通信業」に分割。
 D 「電力業」と「ガス業」を合併し、「電力・ガス業」とする。
 E 「サービス業」を「サービス業(除くリース業)」と「リース業」に分割。
 F 製造業を素材型、加工型に分類。

一 景気見通し(全産業:季節調整値)

1 国内景気第1表参照

 企業経営者による国内景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十三年十〜十二月期「マイナス五九」の後、十四年一〜三月期は「マイナス三七」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについても、四〜六月期「マイナス二四」、七〜九月期「マイナス二」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十三年十〜十二月期「マイナス六〇」の後、十四年一〜三月期は「マイナス三四」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについても、四〜六月期「マイナス一九」、七〜九月期「マイナス二」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十三年十〜十二月期「マイナス五九」の後、十四年一〜三月期は「マイナス四〇」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについても、四〜六月期「マイナス二六」、七〜九月期「マイナス五」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。

2 業界景気第2表参照

 所属業界の景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十三年十〜十二月期「マイナス五二」の後、十四年一〜三月期は「マイナス三六」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについても、四〜六月期「マイナス二四」、七〜九月期「マイナス八」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十三年十〜十二月期「マイナス五五」の後、十四年一〜三月期は「マイナス三三」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについても、四〜六月期「マイナス一九」七〜九月期「マイナス四」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十三年十〜十二月期「マイナス五〇」の後、十四年一〜三月期は「マイナス三七」と「下降」超幅が縮小した。先行きについても、四〜六月期「マイナス二六」、七〜九月期「マイナス一一」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。

二 需要・価格関連見通し(季節調整値)

1 内外需要(製造業)(第3表参照

 企業経営者による国内需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、平成十三年十〜十二月期「マイナス五五」の後、十四年一〜三月期は「マイナス三〇」と「弱くなる」超幅が縮小した。
 先行きについても、四〜六月期「マイナス一八」、七〜九月期「マイナス五」と「弱くなる」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、海外需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、十三年十〜十二月期「マイナス四三」の後、十四年一〜三月期は「マイナス一四」と「弱くなる」超幅が縮小した。
 先行きについては、四〜六月期に「マイナス三」と引き続き「弱くなる」超幅が縮小した後、七〜九月期には「九」と「強くなる」超に転じる見通しとなっている。

2 在庫水準(製造業)(第4表参照

 原材料在庫水準に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成十三年十二月末「二二」の後、十四年三月末は「一九」と「過大」超幅が縮小した。
 先行きについても、六月末「一三」、九月末「七」と「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、完成品在庫水準に関する判断指標をみると、十三年十二月末「三二」の後、十四年三月末は「三〇」と「過大」超幅が縮小した。
 先行きについても、六月末「二〇」、九月末「一三」と「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。

3 価格(製造業、農林漁業、鉱業)(第5表参照

 原材料価格に関する判断指標BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十三年十〜十二月期「マイナス一六」の後、十四年一〜三月期は「マイナス三」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについては、四〜六月期に「マイナス四」と「下降」超幅が拡大に転じた後、七〜九月期には「マイナス一」と再び「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、製品価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、十三年十〜十二月期「マイナス三七」の後、十四年一〜三月期は「マイナス三〇」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについても、四〜六月期「マイナス二三」、七〜九月期「マイナス一三」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。

三 経営見通し(季節調整値)

1 売上高(全産業:金融・保険業、不動産業を除く)(第6表参照

 売上高に感する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成十三年十〜十二月期「マイナス三五」の後、十四年一〜三月期は「マイナス二二」と「減少」超幅が縮小した。
 先行きについても、四〜六月期「マイナス一一」、七〜九月期「マイナス六」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十三年十〜十二月期「マイナス四二」の後、十四年一〜三月期は「マイナス二四」と「減少」超幅が縮小した。先行きについても、四〜六月期「マイナス一〇」、七〜九月期「マイナス五」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。他方、非製造業は、十三年十〜十二月期「マイナス二八」の後、十四年一〜三月期は「マイナス二一」と「減少」超幅が縮小した。先行きについても、四〜六月期「マイナス一二」、七〜九月期「マイナス八」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。

2 経常利益(全産業:金融・保険業、不動産業を除く)(第7表参照

 経常利益に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成十三年十〜十二月期「マイナス三六」の後、十四年一〜三月期は「マイナス二四」と「減少」超幅が縮小した。
 先行きについても、四〜六月期「マイナス一二」、七〜九月期「マイナス四」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は十三年十〜十二月期「マイナス四五」の後、十四年一〜三月期は「マイナス二七」と「減少」超幅が縮小した。先行きについても、四〜六月期「マイナス一一」、七〜九月期「マイナス二」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十三年十〜十二月期「マイナス二八」の後、十四年一〜三月期は「マイナス二二」と「減少」超幅が縮小した。先行きについても、四〜六月期「マイナス一二」、七〜九月期「マイナス六」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。

四 生産設備見通し(製造業:季節調整値)(第8表参照

 生産設備に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成十三年十〜十二月期「三九」のあと、十四年一〜三月期は「三六」と「過大」超幅が縮小した。
 先行きについても、四〜六月期「三三」、七〜九月期「二八」と「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。

五 設備投資の動向(全産業:原数値)

1 半期別動向第9表参照

 設備投資の動向を半期別に前年同期比でみると、平成十三年度四〜九月期(実績)〇・三%減の後、十三年度十〜三月期(実績見込み)は七・〇%減と引き続き減少した。
 先行き十四年度四〜九月期(計画)は、五・三%減、十〜三月期(計画)は一二・五%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十三年度四〜九月期一・一%減の後、十〜三月期は一四・六%減と引き続き減少した。先行き十四年度四〜九月期は一〇・一%減、十〜三月期は一四・五%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 他方、非製造業では、十三年度四〜九月期〇・二%増の後、十〜三月期は三・一%減と減少に転じた。先行き十四年度四〜九月期は二・八%減、十〜三月期は一一・六%減と引き続き減少する見通しとなっている。

2 資本金規模別動向第10表参照

 資本金規模別に前年同期比でみると、資本金十億円以上の大企業では、平成十三年度四〜九月期(実績)二・七%増の後、十〜三月期(実績見込み)は七・七%減と減少に転じた。先行き十四年度四〜九月期(計画)は九・一%減、十〜三月期(計画)は九・五%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 他方、資本金一〜十億円の中堅企業では、十三年度四〜九月期五・三%減の後、十〜三月期は五・七%減と引き続き減少した。先行き十四年度四〜九月期は一・八%増と増加に転じ、十〜三月期は一七・八%減と減少に転じる見通しとなっている。

3 年度の動向第11表参照

 設備投資の動向を前年度比でみると、平成十二年度(実績)二・六%増の後、十三年度(実績見込み)は三・九%減と減少に転じた。先行き十四年度(当初計画)は九・一%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十二年度七・七%増の後、十三年度は八・三%減と減少に転じた。先行き十四年度は一二・三%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十二年度〇・一%増の後、十三年度は一・六%減と減少に転じた。先行き十四年度は七・五%減と引き続き減少する見通しとなっている。

4 四半期別動向(季節調整値)

 四半期の動向を前期比でみると、平成十三年十〜十二月期(実績)の一・一%減の後、十四年一〜三月期(実績見込み)は五・六%増と増加に転じた。
 産業別にみると、製造業は、十三年十〜十二月期二・二%減の後、十四年一〜三月期は一・九%減と引き続き減少した。
 他方、非製造業は、十三年十〜十二月期〇・七%減の後、十四年一〜三月期は八・四%増と増加に転じた。

5 四半期別動向(原数値)

 四半期別の動向を前年同期比でみると、平成十三年十〜十二月期(実績)八・八%減の後、十四年一〜三月期(実績見込み)は五・三%減と引き続き減少した。
 産業別にみると、製造業は、十三年十〜十二月期一四・一%減の後、十四年一〜三月期は一五・〇%減と引き続き減少した。
 他方、非製造業は、十三年十〜十二月期六・一%減の後、十四年一〜三月期は〇・三%減と引き続き減少した。




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賃金、労働時間、雇用の動き


毎月勤労統計調査平成十四年三月分結果速報


厚生労働省


 「毎月勤労統計調査」平成十四年三月分結果の主な特徴点は次のとおりである。

◇賃金の動き

 三月の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は三十万千六百五十六円、前年同月比〇・八%減であった。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十七万八千五百二十二円、前年同月比一・七%減であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十六万四百九十三円、前年同月比一・四%減、所定外給与は一万八千二十九円、前年同月比は五・三%減であった。
 また、特別に支払われた給与は二万三千百三十四円、前年同月比は一一・九%増であった。
 実質賃金は、〇・七%増であった。
 きまって支給する給与の動きを産業別に前年同月比によってみると、伸びの高い順に電気・ガス・熱供給・水道業一・七%増、運輸・通信業前年と同水準、金融・保険業〇・九%減、サービス業一・〇%減、製造業一・三%減、建設業一・八%減、鉱業三・三%減卸売・小売業,飲食店三・八%減、不動産業七・五%減であった。

◇労働時間の動き

 三月の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は百五十・四時間、前年同月比は一・六%減であった。
 総実労働時間のうち、所定内労働時間は百四十・七時間、前年同月比一・三%減、所定外労働時間は九・七時間、前年同月比六・二%減、所定外労働時間の季節調整値は前月比〇・七%減であった。
 製造業の所定外労働時間は十三・〇時間、前年同月比九・五%減、季節調整値の前月比は〇・五%増であった。

◇雇用の動き

 三月の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で〇・四%減、常用労働者のうち一般労働者では一・一%減、パートタイム労働者では二・〇%増であった。
 常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、前年同月を上回ったものはサービス業二・三%増、運輸・通信業〇・二%増、不動産業〇・一%増であった。前年同月を下回ったものは卸売・小売業,飲食店〇・二%減、建設業〇・四%減、電気・ガス・熱供給・水道業〇・五%減、金融・保険業二・三%減、製造業四・三%減、鉱業九・三%減であった。
 主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者三・九%減、パートタイム労働者六・四%減、卸売・小売業,飲食店では一般労働者四・一%減、パートタイム労働者五・八%増、サービス業では一般労働者二・二%増、パートタイム労働者三・〇%増であった。














六月の気象

 六月になると、北海道を除く日本の各地に梅雨の季節が訪れます(沖縄や奄美地方だけはおおむね五月に梅雨入りし、六月下旬に梅雨明けとなります)。
 梅雨入りから明けまでの梅雨期間は、例えば東京(関東甲信地方)の平年値(一九七一〜二〇〇〇年の平均)では、梅雨入りは六月八日ごろ、梅雨明けは七月二十日ごろですので、約四十二日間となります。
 梅雨に入ると、前線が日本の南海上に長々と東西に停滞する日が多くなります。梅雨の期間は、雨の降り方から「前半(おおよそ梅雨入りから六月下旬まで)」と「後半(前線が本州付近まで北上する六月下旬から梅雨明けまで)」の二つに分けられます。
 梅雨前半の雨の降り方の特徴は、弱い雨が降り続くことです。これは停滞することの多いオホーツク海高気圧の影響で、北日本から東日本の太平洋側の地方に海上を渡って海面水温より気温の低い湿った北東風が吹き込むためです。
 梅雨後半の雨の降り方の特徴は、強い雨が局地的に短時間に降ることです。これは太平洋高気圧が強まり、梅雨前線が本州付近まで北上し、前線の南側では高温・多湿な南寄りの風が入るためです。
 このように梅雨期間は、前線の北上や活発化によって大雨となることがしばしばあります。そのため、地元の気象台の発表する警報や気象情報に注意し、迅速な対策をとることが必要です。



    <7月3日号の主な予定>

 ▽森林・林業白書のあらまし………農林水産省 

 ▽家計収支(三月)…………………総 務 省 




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