官報資料版 平成14年7月24日




                  ▽観光白書のあらまし…………………………………………国土交通省

                  ▽法人企業統計季報(平成十四年一〜三月期調査)………財 務 省











観光白書のあらまし


国土交通省


 「平成十三年度観光の状況に関する年次報告」及び「平成十四年度において講じようとする観光政策」(二つを併せて「観光白書」と称している)が去る五月三十一日、閣議決定の上、国会に提出された。

[平成十三年度観光の状況に関する年次報告]

T 観光の現状はどのようになっているか

1 観光の経済効果
(1) 観光消費の経済波及効果は広い裾野をもっており、観光は他産業の振興を牽引する二十一世紀のリーディング産業として期待されている(第1図参照)。
 諸外国と比べて、全産業に占める観光産業の規模は小さく、特に観光消費に占める外国人旅行者のシェアは小さい。
(2) 平成十三年における国際旅行収支は三兆六千億円の赤字であった(国際旅行支払は四兆三千億円、国際旅行受取七千億円)。

2 国民の旅行に関する意識、経済環境の動向
(1) 国民のレジャー・余暇生活の充実、中でも旅行の潜在需要は大きい。
(2) 他方、自由時間関連支出、旅行関連支出は減少傾向にあり、平成十三年における旅行関連支出(注)は対前年比五・八%減の十三万七千七百九十九円であった(第2図参照)。
 (注) 一世帯当たり。宿泊料、国内・パック旅行費、交通費及び旅行用かばんの年間消費額の合計。

3 国際観光の動向
(1) 平成十三年における日本人海外旅行者数は一千六百二十一万六千人(対前年比九・〇%減)。景気不振、円安傾向、九月の米国同時多発テロ事件以降二ケタの大幅な減少から、過去最大のマイナス成長を記録した(第3図参照)。
(2) 平成十三年における訪日外国人旅行者数は四百七十七万二千人(対前年比〇・三%増)。上半期のプラス成長と韓国、中国の堅調な成長があったが、九月以降は各地域で成長が鈍化し、年間ではほぼ前年並みの成長にとどまった。訪日団体観光旅行が解禁された中国は、観光客が好調な成長を持続した(一一・三%増)(第3図参照)。

4 国内観光の動向
(1) 平成十三年における国民一人当たり宿泊旅行は、平均二・二六回(対前年比一一・七%減)、四・三一泊(同一六・八%減)と推計される。
 観光及び兼観光については、同平均一・四二回(対前年比七%減)、二・二三泊(同一〇%減)と推計される(第4図参照)。
 景気低迷下、業務及び業務兼観光の宿泊旅行が減少(約四〇%減)したことが背景にある。
 また、観光及び兼観光の消費額は、国民一人当たり年間五万三千五百円(対前年比七・〇%減(名目))と推計される。

5 アメリカ同時多発テロ事件の旅行に与えた影響
(1) 主要旅行業者の日本人海外旅行取扱高は、一月から八月までは堅調に推移していたが、テロ事件以降の九月から十二月分累計は対前年比四〇・〇%減(十一月は対前年比五二・一%減)となった。
(2) 邦社四社の国際航空旅客数は大幅な減少(九月から十二月分累計は対前年比二九・三%減)となった。太平洋線の落込みが激しい。
 湾岸戦争時と比べて、事件による落込みは大きく、また長期化した。
(3) 国内航空旅客数は十月以降減少(九月から十二月分累計は対前年比二・四%減)となった。沖縄線の落込みは激しい。湾岸戦争時は全体として影響はなかった。
(4) 渡航先別の日本人海外旅行者の数は、九月から十二月分累計で米国、カナダ、ハワイ、グァムが約半減した。
 ハワイの訪問旅行者についてみれば、日本人旅行者の落込み、回復の遅れは際立っている(第1表参照)。
(5) 日本人海外旅行者数は、湾岸戦争時は五か月後には前年の水準まで回復したが、米国同時多発テロ事件からの回復は、長引く景気の停滞とテロに対する不安定な国際情勢による旅行者の旅行手控えから長期化が懸念される(第5図参照)。
(6) 主催旅行のうち高品質高価格の国内旅行商品の取扱人数は九月以降対前年比増加で推移しており、また家計消費における国内パック旅行費、鉄道運賃、有料道路料金も対前年比増加で推移しており、海外旅行から国内旅行へのシフトがあったと考えられる(第6図参照)。
(7) 沖縄観光への影響
 (a) 沖縄への観光客数は、十月に対前年比一九・四%減、十一月には同二四・四%減と減少し、また修学旅行は平成十二年度実績の約六五%に相当する十九万人を超えるキャンセルが発生し、沖縄の観光は大きな打撃を受けた。
 (b) このため、沖縄観光の回復と一層の促進を図るべく、十月に@国土交通大臣による観光関係業界トップへの協力要請、A旅行業者、旅行マスコミ等への沖縄に関する正確な情報提供と旅行商品の企画・販売強化の要請(沖縄観光振興セミナーの開催)を行ったほか、十一月には国土交通大臣のほか旅行会社、交通事業者のトップが出席する沖縄観光振興会議の開催、十二月には全国の旅行業者、交通事業者一千人余りが参加する沖縄観光促進シンポジウムを開催した。
 (c) これらの対策により、十二月以降は減少幅が縮小した後、十四年二月には対前年比一・二%の増加に転じ、沖縄への観光客数は回復している。
(8) 旅行の安全性信頼の回復
 テロ事件後、航空機を利用した旅行の不安感等から旅行の手控えが相次いだ。
 (a) このため平成十四年二月に来日したブッシュ大統領と小泉首相との間においても、テロ事件後の旅行の安全性信頼の回復を図り、日米間の観光交流を一層促進することで意見の一致を見たことを受け、米国への観光ハイレベルミッションの派遣(ニューヨーク、ワシントン)、ハワイへの一千人を超える官民合同使節団の派遣(VISIT HAWAII 1000)を行った。
 (b) また、空港警戒体制、航空機内における保安対策等を強化し、国際民間航空機関の航空保安に関する閣僚級会合等における国際的な取組みを通じて、航空を利用した旅行に関する一般の人々の信頼の回復を図った。

U 二十一世紀における持続可能な観光に向けて〜WTO大阪総会の開催

1 第十四回世界観光機関(WTO)総会の開催
(1) 平成十三年九月二十八日からわが国で初めて、またWTO史上初めての日本・韓国の二か国共催による第十四回世界観光機関総会が大阪で開催され、百十七か国から六十一名の大臣級を含む一千四百名を超える観光関係者が参加した。
(2) 総会は、米国におけるテロ事件後初めて開催される大規模な国際会議という点で世界から着目され、わが国と韓国のイニシアティブにより「米国におけるテロ攻撃に関する決議」を採択した。

2 観光の経済波及効果
(1) 観光消費の経済波及効果調査の推計はこれまで平成三年と平成十二年に実施し、生産波及効果、雇用効果を推計した。
(2) 国連で提唱されている、国際的に比較可能なツーリズム・サテライト・アカウントと呼ばれる世界標準に即した旅行・観光産業の経済統計を整備するため、国、都道府県レベルで観光経済統計の分析手法の確立とデータの蓄積を行うことが必要である。

3 休暇取得の促進
(1) 平成十三年における労働者一人平均の年次有給休暇の付与日数は一八・〇日、そのうち労働者の取得した日数は八・九日となっている。
(2) 平成十五年からは「海の日」「敬老の日」をそれぞれ第三月曜日とすることとなった(祝日三連休の倍増)。
(3) 年次有給休暇を活用した「ゆとり休暇」の取得促進に向けて、広報を実施するとともに「長期休暇制度の普及と定着に関するシンポジウム」を開催した。
(4) 年次有給休暇完全取得による経済効果分析とともに、例えば現在一週間程度の夏季連続休暇を二週間程度に拡大する等具体的な取得のあり方について啓蒙活動や就学児童の家族旅行の促進のための環境整備を進めていく必要がある。

4 持続発展可能な観光地づくりの取組み
(1) 自然・文化遺産といった貴重な観光資源の世代を超えた継承を目指す持続可能な観光について、研究・普及が進められている。
(2) 地域住民が主体となって「観光資源」「地域の定住環境」「来訪者の満足」を調和させる「観光まちづくり」の取組みの支援が必要である。

5 観光と情報通信技術革新
(1) 国際観光振興会はインターネットを活用した観光情報の提供を強化した。
(2) 「政府観光機関」としての情報への信頼性を最大限に活用し、インターネット上のホームページによる情報提供の強化が必要である。
(3) 旅行にかかわる電子商取引市場の拡大に伴い、適正な広告表示が行われているかの点検、電子メールによる一方的な商業広告(いわゆる迷惑メール)の防止等消費者保護の措置を講じた。
(4) インターネット取引に係る迅速な紛争処理システムの構築等により消費者保護対策を推進することが必要である。

V 国際観光振興の施策

(1) わが国の国際観光の現状は、訪日外国人旅行者数が日本人海外旅行者数の四分の一程度という片方向の交流である(第7図第8図参照)。
(2) 国際相互理解の増進の観点だけでなく、国際収支の改善、地域の産業・雇用の確保といった経済効果の観点からも訪日外国人旅行者数の増加のための施策の積極的な展開が必要である。
(3) ワールドカップサッカー大会を契機に、わが国の文化伝統や豊かな観光資源を全世界に紹介し、海外からの旅行者数の増大と、地域の活性化を図ることとしている(小泉首相施政方針演説)。
(4) おおむね平成十九年をめどに訪日外国人旅行者数を八百万人に倍増させるとの目標(「新ウェルカムプラン21」)の下に、様々な施策を実施した。

1 魅力ある旅行先として明確なイメージの確立
(1) 「ものづくり」を中心とした工業国イメージを是正し、わが国固有の自然、芸術、伝統文化といった魅力ある観光目的地のイメージの広報を実施した。
(2) 国際観光振興会は、韓国、中国、香港、北米等を対象に、対象市場ごとに訴える観光魅力を相違させるマーケティング戦略に基づき、テレビスポット広告、新聞雑誌広告、ジャーナリスト招請など訪日旅行促進キャンペーンを展開した。
(3) インターネットのホームページを通じ多言語で観光情報を提供した(年間一千七百万件のアクセス)。
(4) 在外公館等と協力して、外国において日本の観光魅力を紹介した。
 総理の施政方針演説を受けて、関係省庁が一体となってワールドカップサッカー大会に訪日した外国人旅行者への文化観光情報等の提供、海外における日本理解・訪日促進のための広報宣伝の充実に取り組んだ。
 十三年度は政府広報として初めて、訪日旅行促進のための海外特別番組をアメリカ、アジア・太平洋のテレビ番組で放映した。

2 ことばの壁を超えた発見、交流の推進
(1) 外国人旅行者に身近で親しい国として理解してもらうため、円滑で快適な旅行ができるよう語学面での対応、民間交流を推進した。
(2) 観光案内所、国際交流拠点の整備を推進した。
(3) 外国語の案内標識の整備に関し、空港や駅等における案内表示についてガイドラインを策定し、外国語併記や外国人にも分かりやすい案内用図記号の使用を働きかけた。地方自治体が行う観光地の案内標識の整備を支援した。
(4) 国際観光振興会のホームページに、外国からの照会に善意通訳ガイドを中心としたボランティアが日本の観光情報を提供する電子掲示板を開設した。

3 高コスト観光の是正
(1) すべての物価の高い国というイメージを是正するため、観光関連業者はインターネットを利用して外国人旅行者向けの国内旅行商品の提供しはじめた。宿泊における泊食分離の取組みが出てきている。
(2) 外国人旅行者が博物館、レジャー施設等で割引措置等を受けられる「ウェルカムカード」の取組みも拡大している(新たに東海ウェルカムカード、マウントフジウェルカムカードを発行)。
(3) 交通機関における外国人向け割引運賃、低廉な宿泊施設「ウェルカム・イン」等の情報とともに、観光案内所、インターネットで低廉旅行情報を提供した。

4 日中韓交流の促進
(1) 中国国民の訪日団体観光旅行による来訪者は二万三千五百十六名(平成十二年九月〜十四年三月三十一日までの累計)であった。
 平成十三年九月の日中政府間協議で、ビザ審査期間の短縮、在上海総領事館でのビザ発給の方向が示された。
(2) 平成十三年九月の日韓観光担当大臣協議で、日韓両国民の相互交流と他地域からの来訪者数の倍増を目指す「東アジア広域観光交流圏構想(EASTプラン)」の推進が正式に合意された。
 また、ワールドカップサッカー大会の開催や日韓国民交流年の取組みに向けて複合型ICカードプロジェクト、各種交流行事の開催について緊密な連携を行った。

5 二〇〇二年ワールドカップ訪日外国人旅行者の受け入れ
(1) 輸送需要予測シミュレーションの結果を交通事業者、開催自治体等に情報提供し、適切な輸送対策の実施を支援した。
(2) 開催会場へのアクセス情報等をインターネットで提供した。
(3) ワールドカップサッカー大会開催時に行う複数の公共交通機関や都市の施設での複合的利用を可能とする多機能ICカード実証実験に向けて、札幌においてプレ実験を行った。
(4) フーリガン対策の一環として、上陸拒否、退去強制の措置を盛り込んだ出入国管理及び難民認定法の一部を改正した(平成十四年三月施行)。

6 国際コンベンション等の振興
 平成十三年度において韓国からの国際会議やインセンティブ旅行の誘致等のため、国際観光振興会ソウル事務所に専任スタッフを配置する等、海外からのコンベンション誘致に取り組んだ。

7 世界の国々との観光交流強化の取組み
 東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターによる観光客誘致キャンペーンに協力した。また、平成十四年一月から新たにアセアン諸国に日韓中を加えた「アセアン+三観光大臣会合」が定期的に開催されることとなった。
 このほか、開発途上国に対する専門家の派遣、開発調査等の協力を行った。

8 国際航空と外航海運の充実
 ワールドカップ大会開催に間に合うように、新東京国際空港における暫定平行滑走路の整備を進め、十月末に完成させた。

9 外国人旅行者の出入国手続きの円滑化
 適正な出入国管理を行うために査証審査を厳格に行いつつ、人的交流を促進する観点から査証発給手続きの簡素化・迅速化を推進するなど、出入国管理、査証発給手続き、検疫、通関等の各種手続き等の円滑化を図った。

W 国内観光振興の施策

1 観光地の魅力の向上
 地域の特色ある自然、歴史、文化、伝統の相違に基づく地域の特徴を観光資源として掘り起こした個性ある魅力的な地域づくりの取組みを支援することが地域の活性化の観点から重要である。

(1) 観光資源の開発
 (a) 地域の自然をインタープリターの解説を受けながら味わう自然ガイドツアーの造成を支援する自然素材の解説書の作成、セミナーを推進した。
 (b) 地域伝統芸能等を活用したイベントの開催、海外披露を支援した。
 (c) 映画、テレビの撮影ロケ地として誘致するフィルム・コミッションの活動を支援した。平成十三年八月には全国フィルム・コミッション連絡協議会が発足した。
 (d) 潜在的観光資源の発掘・整備、サービスの提供、環境整備等を総合的に実施するモデル事業(滞在型観光交流空間づくりモデル事業)を北海道後志、石川県能登で実施した。
(2) 観光地の環境づくり
 (a) 街並み景観、農山漁村景観、水辺景観、道路景観の形成のための事業を実施し、観光地の景観づくりを推進した。
 (b) 観光地における渋滞緩和のため、交通マネジメント実証実験を岐阜県白川村、奈良県飛鳥地域、福島県会津若松市、大分県日出町で実施した。
 (c) 高齢者・障害者等の円滑な移動の確保のため、公共交通機関、歩行空間、水辺空間、観光地の休憩施設・トイレ、宿泊・文化施設についてエレベーター等の設置、段差・傾斜の改善、バリアフリー化を推進した。
(3) 観光地の地域づくり
 賑わいの道づくり(商店街活性化)、水辺プラザの整備(水辺交流空間の整備等)、シンボルロード整備(地域の特色ある道路空間を整備)、身近なまちづくり支援街路事業(歴史的街並み景観を活かした道すじの整備等)を通じ、地域の特色を活用した観光地の地域づくりを支援した。
(4) 自然を活用した交流の機会づくり
 森林、農山漁村地域の中で廃校舎、農業関連施設、農家等を活用し、自然とのふれあい体験、農業体験等を行う事業を実施した。
(5) 文化遺産を活用した地域づくり
 地域の歴史的・文化的なシンボルとなっている史跡等について、保存・整備、活用を図る歴史ロマン再生事業、歴史の道百選の選定、歴史国道整備、歴史的集落・街並み保存、歴史的港湾環境創造事業、瀬戸内海の路事業を実施した。
(6) 情報提供
 道の駅における端末情報やパンフレット等による道路、観光、医療情報等の提供、都市中心部において駐車場案内システムの整備を推進した。

2 旅行の多様化、低廉化
 旅行関係者の工夫による魅力ある旅行商品づくりの取組みが行われている。
(1) 家族向けサービス向上のため、泊食分離など家族客向け低廉料金の設定、家族客がくつろぎやすい部屋の設置、食事内容や方法の選択肢を増やすなどのサービスに取り組んでいる。
(2) 各種航空割引運賃の設定、ワンコインバスや循環観光バスの運行、共通一日乗車券、空港からの定額運賃タクシーなどサービス改善に取り組んでいる。平成十三年九月から高速道路料金スーパー割引が導入されている。

3 観光関係者の連携の拡大
(1) 平成十三年十一月に観光関連企業・団体が協力して社団法人「日本ツーリズム産業団体連合会」が設立された。訪日外客数の大幅増加、経済波及効果を測定しツーリズム産業の重要性をアピール、長期休暇の実現の三本柱を事業目標に活動することとしている。
(2) 各地において観光を考える百人委員会の第二回委員会が開催された。

4 北海道の観光振興策の推進
(1) 平成十三年の来道者数は対前年比二・四%増の一千三百二十九万人であった。
(2) 平成十三年十月に「北海道観光のくにづくり条例」等を制定、北海道民の総意として観光振興に取り組んでいる。
(3) 観光基盤の整備、観光資源情報ネットワークの充実、自然体験型活動等の支援により、観光振興を支援した。
(4) 滞在型観光交流空間モデル事業、携帯端末へのリアルタイムでの観光情報提供の実証実験事業を実施した。

5 沖縄の観光振興策の推進
(1) 沖縄への観光客は、平成十三年度は対前年比一・九%減の四百四十三万人であった。
(2) 平成十年の沖縄振興開発特別措置法等の改正により観光振興地域制度及び沖縄型特定免税店制度を創設した。平成十三年四月からは、関税払い戻し制度を、免税制度に変更するとともに、対象物品をすべてとする制度拡充を実施した。
(3) 平成十四年三月に成立した沖縄振興特別措置法では、観光振興計画の策定、沖縄型特定免税店の空港外への展開、エコツーリズムの推進等支援措置を大幅に充実した。
(4) 米国同時多発テロ事件の影響による観光客数の落込みを防止し、観光需要を喚起するためマスメディアを活用した大規模な沖縄観光キャンペーンを展開するとともに、特別緊急融資、沖縄への修学旅行に対する助成などを実施した。

6 豪雪地帯、離島・半島地域の観光による交流推進等
(1) 豪雪地帯対策基本計画に基づき、豪雪地帯における冬季の観光対策を推進するため、地域の観光資源の発掘・再評価を促進するとともに、冬季利用に配慮した各種施設の整備を実施した。
(2) 観光による離島地域経済の活性化を図ることを目的に、離島における魅力的な観光資源の再発見や観光ルートの開発をモニターツアーにより検証する「離島ツアー交流推進支援事業」を実施した(平成十三年度鹿児島県三島村)。
(3) 観光を通じた半島地域の活性化を図るため、多様な交流・連携の促進方策を検討したほか、半島地域の観光振興を考える「半島ツーリズム大学」を開催した(平成十三年度南房総地域)。
(4) 平成十二年六月の三宅島の噴火以降観光客が激減している伊豆諸島の観光産業振興のため、東京都の市長会等が宿泊費用の一部を助成した。

X 旅行の円滑化

 平成十三年七月から日本人の出帰国の手続きに際し出帰国記録カード(EDカード)の提出を廃止し、機械読取り式旅券の読取り機で記録を取得することとした。

Y 観光関連施設の整備

 ホテル・旅館の整備とともに、博物館等の文化施設、体育・スポーツ施設、オートキャンプ場、森林、公園、長距離自然歩道、親水レクリエーション施設等の観光レクリエーション施設を整備した。
 平成十三年四月に、国内最大級の弥生時代の環壕集落である吉野ヶ里遺跡を保存・活用する国営吉野ヶ里歴史公園が開園した。

Z 自然・文化遺産の保全

(1) 自然公園の整備、森林等の保全管理、河川・湖沼の保全、山地流域の保全、海の環境保全、都市緑地の保全、温泉の保護、野生生物の保護などの自然の保全のための施策を推進した。
(2) 文化財の保護、歴史的風土の保存、世界遺産の保護など文化遺産の保全のための施策を推進した。

[ 観光基盤施設の整備

 鉄道、道路、空港、港湾、道路交通、海上交通等旅客輸送施設の整備を推進した。また、観光地の環境衛生施設の整備を推進した。

\ 観光にかかる安全確保対策

(1) 外務省海外安全相談センター、国際観光振興会により事故・事件に遭った日本人に対する援護や安全情報の提供を行うほか、旅行業者を通じた啓発活動により日本人海外旅行者の安全確保を推進した。
(2) 鉄道、道路交通、航空、海上交通等旅客輸送施設の交通安全対策、宿泊施設の火災防止対策、林野の火災防止対策、観光地における自然災害防止対策を推進した。また、気象等の情報の提供、山岳遭難及び水難の防止対策を推進した。

[平成十四年度において講じようとする観光政策]

T 外国人旅行者訪日促進のための戦略的取組み

1 ワールドカップ・サッカー大会訪日外国人旅行者の受け入れ
(1) 輸送需要予測シミュレーションの最終予測値を算出・公表し、開催自治体、公共輸送事業者等への情報提供を通じて円滑な輸送力の確保を図る(四月二十六日に発表した最終予測値は、片道約四十万人が海外と日本の間を移動する、国内広域移動数は約三百十六万人と予測)。
 成田空港暫定平行滑走路供用開始による定期便の増便や羽田空港におけるチャーター便の受け入れ拡充により航空輸送力の増強を図る。
(2) 日韓両国間の移動に関し迅速な入国手続きを実現させる「プレクリアランス」を実施する。
(3) 交通機関の利用や複数通貨(円、ウォン)による購買が可能となるよう、非接触型の交通機関系カードと接触型の金融系カードを一枚化した複合型ICカードの活用に関する社会実験を実施する。
(4) 外国人旅行者の移動、観光の費用を低減すべく、航空、鉄道、バス、旅客船、高速道路に関し、大会期間中、割引運賃・料金を導入する。
(5) 日本の文化を紹介すべく、国立博物館・美術館、国立民族学博物館、国立劇場等の文化関係施設において入館料を減免する。
(6) 宿泊施設や交通機関における言語トラブルを解消すべく、開催都市の観光案内所等現地では対応できない英語以外の言語による通訳・観光案内を支援するジャパン・トラベル・サポートの実証実験を実施する。
(7) 成田空港において高速インターネット接続環境の構築、リアルタイムの交通機関情報の提供などITを多面的に活用することで空港の利便性を向上する「e−エアポート」の実現に関する実証実験を実施する。

2 日本の観光魅力の戦略的な広報・宣伝活動
 ワールドカップ・サッカー大会開催でわが国が注目される機会を活用して、わが国の豊かな自然、特色ある文化、伝統の魅力を紹介し、訪日旅行の拡大を推進する。
(1) わが国の自然、伝統文化、体験、食文化等の観光魅力を紹介し、扇国土交通大臣が直接訪日旅行を呼びかける訪日促進ビデオをワールドカップ開催前から年内を通じ、日本の航空企業のすべての国際線の機内や空港ターミナルにおいて放映する。
(2) 国際観光振興会は、韓国、中国、米国の有望旅行市場に対してはテレビ、新聞広告等を活用し、マーケティングに基づいた戦略的な訪日旅行促進キャンペーンを実施するとともに、ホームページを大幅に拡充し、九か国語での情報発信を強化する。
(3) 在外公館は、各種広報媒体を利用した日本の紹介活動を積極的に展開する。

3 訪日外国人の受け入れ、交流の促進
(1) 外国人旅行者が周遊できる観光ルートを整備する国際観光テーマ地区、国際交流拠点等を整備する。
(2) 博物館、宿泊施設等を利用する際に割引等の優遇措置を受けられる「ウェルカムカード」の導入・普及、割引運賃制度の導入・普及、低廉な宿泊施設の紹介により、外国人旅行者の国内旅行費用の低廉化を図る。
(3) 外国人総合観光案内所(TIC)とTICと連携する「i」案内所の整備、善意通訳(グッドウィルガイド)の普及、空港・駅等や観光地における外国語、外国人にもわかりやすい案内表示の整備により外国人が快適で円滑な旅行ができるよう受入体制の整備を図る。郵便局での韓国ウォン両替を開始する。
(4) 国際コンベンションの誘致を促進するとともに、二〇〇五年日本国際博覧会(愛知万博)の開催に向けて、(財)二〇〇五年日本国際博覧会協会を支援する。

4 日中韓交流の推進等
(1) 本年は日中国交正常化三十周年という記念すべき年に当たることから、日中両国の幅広い国民層による大規模な相互訪問・交流事業を実施する。
(2) 本年は「日韓国民交流年」として広範な分野での日韓交流事業が計画されていることから、東アジア広域観光交流圏構想(EASTプラン)の種々の施策を着実に推進し、両国間の観光交流の促進を図る。
(3) ワールドカップ・サッカー大会を含む一定期間(五月十五日より六月三十日までの間)三十日以内の短期滞在を目的としてわが国に入国を希望する韓国国民については査証取得を免除することとする。
(4) 世界観光機関(WTO)総会の開催実績を踏まえ、海外旅行者の急増が見込まれる東アジア・太平洋地区の観光交流拡大についての国際的な戦略会議をわが国のイニシアチブにより開催する。

5 外国人旅行者の訪日の円滑化
 四月十八日に成田空港暫定平行滑走路の供用を開始する。この結果空港の処理能力が大幅に増大し、特に中国や韓国などのアジア方面のシェアが増加する見込みである。引き続き、本来の二千五百メートルの平行滑走路の早期完成に最大限の努力を払っていく。

U 国民の旅行促進のための取組み

1 アメリカ同時多発テロ事件後の旅行の安全性信頼の回復
 航空機を利用した旅行への不安感等による海外旅行を中心とした旅行需要の落込みを回復するため
(1) 三月のハワイに続き、五月に一般旅行者を中心とした一千人規模の官民合同使節団をニューヨークに派遣し、両国間の交流行事(ビジット・ニューヨーク(VISITN.Y.1000)を実施する。
 また、四月にエヴァンス米国商務長官が来日する機会に、扇国土交通大臣との間で日米観光交流の拡大について協議する(四月十九日、商務長官と国土交通大臣は、小泉首相とベーカー駐日米国大使の立会いの下に「観光交流の拡大に関する日米間の了解覚書(MOU)」に署名を行った)。
(2) 旅行業、航空事業者による航空機利用による旅行の需要回復キャンペーン(フライワールドキャンペーン)の実施を支援する。

2 休暇取得促進の啓蒙活動
 年次有給休暇を活用した「ゆとり休暇」取得促進のための環境整備を図る。

3 情報通信技術を活用した情報提供等
 インターネット、携帯電話、カーナビゲーション等でのより一層効率的な観光情報提供システムの構築を推進する等観光情報提供の高度化を図る。

4 観光地、旅行商品の魅力の向上
(1) 地域の創意工夫により当該地域の自然、文化、歴史等を活用した個性的な観光まちづくりを進めるため「観光まちづくりプログラム策定推進事業」を実施する。
(2) インタープリテーションプログラム(自然ガイドツアー)の導入による観光地の振興を図るため、インタープリターを育成するためのセミナーを開催する。地域におけるプログラム造成に対する指導等の支援を行う。
(3) 地域伝統芸能等を活用し、地域の特色を活かした観光の振興を図る。
(4) 映画媒体を活用した国際交流を推進するため、国際観光振興会を活用して海外での映画のロケ隊誘致宣伝活動を行う等、フィルム・コミッション(FC)設立の動きを積極的に支援する。
(5) 良好な街並み景観、農山漁村景観、水辺景観、道路景観の形成を図るための事業、高齢者・障害者等の円滑な移動の確保を図るための事業を推進する。
(6) 地域固有の資源を有効に活用しつつ、各地域が主体的に実施する観光を活かした地域づくりを支援するため、賑わいの道づくり事業、水辺プラザの整備、シンボルロード整備事業、身近なまちづくり支援街路事業を推進する。
(7) 自然、歴史的集落・街並みなど文化遺産を活用した地域づくりを推進する。
(8) 情報提供、交通機関・宿泊施設における価格、サービスの多様化の取組みを推進する。
(9) 北海道の観光振興策の推進
 「北海道の観光を考える百人委員会」による来道観光客数一千万人構想の提唱を受け、沿道景観に優れたルートを登録、指定し、景観の保全や整備を図る制度づくり等に新たに取り組む。
(10) 沖縄の観光振興策の推進
 エコツーリズム推進事業、世界遺産周辺整備事業、健康保養型観光推進事業、健康保養食材・メニュー開発促進事業、デジタルアーカイブ整備事業等を新たに推進する。
 沖縄振興特別措置法で支援措置の充実が図られた観光振興地域制度の効果的な運用に努め、魅力ある観光拠点の形成、国際ショッピングモール構想の実現にも取り組む。
(11) 離島地域、半島、豪雪地帯における観光振興策を推進する。
(12) TSA(ツーリズム・サテライト・アカウント)と呼ばれる世界標準に則した旅行・観光産業の経済統計整備のため、十三年度に引き続いて統計の把握、分析手法の検討、データの蓄積のための調査を行う。

5 日本人海外旅行の円滑化施策
 出入国管理に関して今後とも出帰国手続の適正・円滑な処理に努めるとともに、海外での感染症予防対策及び検疫の迅速化等を推進する。

V 観光関連施設の整備

(1) ホテル・旅館の整備については引き続き財政投融資により支援するとともに、高齢者等の利用に配慮した整備を図るため、シルバー・スター登録制度の普及を促進するほか、ハートビル法に基づくバリアフリー化を推進する。
(2) 沖縄振興策の一つとして組踊等沖縄伝統の保存振興と伝統文化を通じたアジア・太平洋地域の交流の拠点となる「国立劇場おきなわ」を平成十四年度中に完成する(予定)。
(3) 地域住民がスポーツや健康に関する活動を円滑に行うためのスポーツ施設、オートキャンプ場、森林、公園、長距離自然歩道、親水レクリエーション施設等の観光レクリエーション施設の整備を行う。

W 自然・文化遺産の保全

(1) 自然公園、森林、河川・湖沼・山地流域、海、都市緑地、温泉、野生生物などの自然の保全のための施策を推進する。
(2) 文化財、歴史的風土、世界遺産など文化遺産の保全のための施策を推進する。

X 観光基盤施設の整備

 鉄道、道路、空港、港湾、道路交通、海上交通等旅客輸送施設の整備を推進する。また、観光地の環境衛生施設の整備を推進する。

Y 観光に係る安全確保対策

(1) 日本人海外旅行者の安全確保のため、外務省海外安全相談センターによる渡航情報の提供及び広報、国際観光振興会による情報の提供、相談・案内業務を実施する(四月二十六日、外務省は「海外危険情報」を見直し、従来の五段階の危険度の数字表記を廃止し、「十分注意して下さい」等四段階の文章表記に変更した)。
(2) 鉄道事故の防止を図るため、自動列車停止装置(ATS)の設置等の整備を進めるとともに引き続き踏切道の立体交差化、構造改良、踏切保安設備の整備等を総合的に推進する。
 安全かつ円滑・快適な道路交通環境の整備を図るため、交通安全施設等の一層の整備拡充を図る。
 観光地周辺の交通渋滞を防止するため、道路交通情報通信システム(VICS)の整備を推進する。
 航空交通の安全性、効率性の向上及び空域容量の拡大を図るため、衛星を利用した航空管制等を行うための航空衛星システムの整備を推進するとともに、航空路監視レーダー性能向上整備の推進、方位・距離情報提供施設の性能向上整備等を進める。
 海上交通の安全を確保するため、海上交通関係法令の励行に重点をおくとともに、航路標識の新設及び改良改修を計画的に推進する。
(3) 旅館、ホテル等のうち、特に既存不適格建築物について、防火・避難上の安全の確保を図るとともに、防火安全体制の整備、高齢者、視聴覚障害者等に対する火災安全対策の推進などを通じた旅館・ホテル等における実態的な防火安全体制の充実及び維持の徹底を促進する。
(4) 土砂災害が発生しやすい環境にある観光地について、火山噴火警戒避難対策事業の実施等総合的な土砂災害対策を推進する。
(5) 台風・集中豪雨・豪雪等の自然現象を早期かつ正確に把握するため、気象観測施設、気象レーダー観測網の更新を行うほか、ホームページによる気象情報の提供による幅広い国民一般の利便性向上を図る。
(6) 山岳救助隊等の救助技術の向上に努めるとともに、救助活動用装備資機材を整備拡充するなど、救助体制の強化、充実を図るほか、安全登山の啓蒙、水難の防止対策等を講じる。


目次へ戻る


法人企業統計季報


平成十四年一〜三月期調査


財 務 省


 法人企業統計調査は、統計法(昭和二十二年法律第一八号)に基づく指定統計第一一〇号として、我が国における金融・保険業を除く資本金一千万円以上の営利法人を対象に、企業活動の短期動向を把握することを目的として、四半期ごとの仮決算計数を調査しているものである。
 本調査結果については、国民所得統計の推計をはじめ、景気判断の基礎資料等として広く利用されている。
 この調査は標本調査であり、標本法人は層別無作為抽出法により抽出し、回収した調査票は業種別、資本金階層別に集計を行い、これを母集団に拡大して推計値を算定した。
 なお、平成十三年十〜十二月期調査から売上高、経常利益及び設備投資の三項目(業種については、全業種、製造業及び非製造業の三系列とし、資本金規模はそれぞれ前規模のみ)について、参考値として、季節調整済前期比増加率を公表している(詳細は最後尾参照)。
 以下は、平成十四年六月五日に発表した平成十四年一〜三月期における調査結果の概要である。
 今回の調査対象法人数等は次のとおりである。
  調査対象法人  一、二〇八、〇〇一社
  標本法人数      二二、九六四社
  回答法人数      一八、〇〇二社
  回答率          七八・四%
 当調査結果から平成十四年一〜三月期の企業の経営動向をみると、売上高については、製造業、非製造業ともに引き続き減収となった。経常利益については、製造業が引き続き減益となったが、非製造業は増益に転じた。また、設備投資については、製造業、非製造業ともに減少となった。

一 売上高と利益の動向第1図第2図参照

(1) 売上高第1表参照
 売上高は、三百三十一兆八千一億円で、前年同期(三百五十八兆一千三百十億円)を二十六兆三千三百九億円下回り、対前年同期増加率(以下「増加率」という)は△七・四%(前期△三・八%)となった。
 業種別にみると、製造業では、出版・印刷、食料品などが増収となったものの、電気機械、一般機械など多くの業種で減収となったことから、製造業全体では△九・六%(同△九・一%)の減収となった。一方、非製造業では、サービス業などが増収となったものの、卸・小売業、建設業など多くの業種で減収となったことから、非製造業全体では△六・四%(同△一・六%)の減収となった。
 資本金階層別の増加率をみると、資本金十億円以上の階層は△七・二%(同△五・四%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は△一二・〇%(同△一三・七%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は△五・七%(同一・二%)となった。

(2) 経常利益第2表参照
 経常利益は、九兆三千八百八十一億円で、前年同期(十兆九千八百六十七億円)を一兆五千九百八十六億円下回り、増加率は△一四・六%(前期△三一・四%)となった。
 業種別にみると、製造業では、輸送用機械が増益となったものの、電気機械、一般機械などほとんどの業種で減益となったことから、製造業全体では△四二・二%(同△五〇・六%)の減益となった。一方、非製造業では、卸・小売業、建設業などの業種で減益となったものの、サービス業、不動産業などの業種で増益となったことから、非製造業全体では六・九%(同△一五・三%)の増益となった。
 資本金階層別の増加率をみると、資本金十億円以上の階層は△二〇・〇%(同△三一・四%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は〇・五%(同△三五・四%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は△一三・六%(同△三〇・三%)となった。

(3) 利益率第3表参照
 売上高経常利益率は、二・八%(前年同期三・一%、前期二・二%)となった。
 業種別にみると、製造業は三・〇%(前年同期四・六%、前期二・六%)、非製造業は二・八%(前年同期二・四%、前期二・一%)となった。

二 投資の動向第3図参照

(1) 設備投資第4表参照
 設備投資額は、十一兆五百五十三億円で、増加率は△一六・八%(前期△一四・五%)となった。
 業種別にみると、製造業は、電気機械、輸送用機械、一般機械などほとんどの業種で減少したことから、製造業全体では△二七・八%(同△一一・五%)の減少となった。一方、非製造業では、建設業などが増加したものの、不動産業、運輸・通信業など多くの業種で減少したことから、非製造業全体では△一一・〇%(同△一五・八%)の減少となった。
 資本金階層別の増加率をみると、資本金十億円以上の階層は△一七・二%(同△一六・三%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は△一〇・七%(同△八・五%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は△一九・三%(同△一三・五%)となった。
 なお、ソフトウェア投資額は七千二百九十五億円となり、ソフトウェア投資を含んだ設備投資額は十一兆七千八百四十八億円となった。

(2) 在庫投資第5表参照
 在庫投資額(期末棚卸資産から期首棚卸資産を控除した額)は、十四兆五千百三十六億円減(前年同期十二兆八千七百三十三億円減)となった。
 業種別にみると、製造業の投資額は三兆八千八百四十一億円減(同二兆七千八百十三億円減)、非製造業の投資額は十兆六千二百九十五億円減(同十兆九百十九億円減)となった。
 また、在庫率は八・〇%(同七・七%)となった。

三 資金事情第6表参照

 受取手形・売掛金は、二百十兆二千八百四十八億円(増加率△九・七%)、支払手形・買掛金は百七十四兆三千五十七億円(同△一〇・四%)となった。
 短期借入金は百八十五兆二百十三億円(同△六・三%)、長期借入金は二百六十五兆六千七百三十一億円(同△一・九%)となった。
 現金・預金は百二十五兆八千二百九億円(同△六・九%)、有価証券は十四兆五千二百八十九億円(同△二六・六%)となった。
 また、手元流動性は一〇・五%(前年同期一〇・八%)となった。

四 自己資本比率第7表第4図参照

 自己資本比率は、二六・三%(前年同期二五・九%)となった。

<参考>

◇四半期別法人企業統計調査の季節調整方法について

一 採用した季節調整法

(1) 法人企業統計の季節調整法
 法人企業統計における季節調整では、米国商務省センサス局で開発しているX−12−ARIMA(2002)(Version0.2.9)を用いて季節調整系列を作成している。
(2) RegARIMAモデルの選択
 X−12−ARIMA中のRegARIMAモデルにおける階差次数・季節階差次数はそれぞれ一に固定し、他の次数は二以下の範囲内でAIC(赤池情報量基準)の最小化により定めている。
(3) 選択されたRegARIMAモデル
 対象項目、業種ごとに右記のスペックを使用している。
 変化点・異常値分析の結果、売上高と経常利益の非製造業については、平成元年一〜三月期、四〜六月期および平成九年一〜三月期を変化時点として消費税効果をモデルに取り入れている。また、曜日効果については取り入れていない。
 データ利用期間は昭和六十年四〜六月期以降、先行き予測期間は四期(一年分)としている。

二 季節調整を採用した対象項目

(1) 対象項目は売上高、経常利益、設備投資の三項目としている。
(2) 業種については、全産業、製造業、非製造業の三系列とし、資本金規模はそれぞれ全規模のみとしている。
 全産業については、製造業と非製造業の季節調整値の合計によっている。

三 季節調整済前期比増加率の公表方法

 毎四半期ごとに、新たなデータを追加してReg ARIMAモデルによる推定を行い、当該調査期の季節調整済前期比増加率を公表する。なお、過去の季節調整済前期比増加率の改訂は、毎年度第1四半期(四〜六月期)分の発表時に遡及して行われる。
     *  *  *
 なお、次回の調査は平成十四年四〜六月期について実施し、法人からの調査票の提出期限は平成十四年八月十日、結果の公表は平成十四年九月五日の予定である。







    <7月31日号の主な予定>

 ▽首都圏白書のあらまし………国土交通省 




目次へ戻る