官報資料版 平成14年8月7日




                  ▽防災白書のあらまし……………………………………内 閣 府

                  ▽平成十三年平均消費者物価地域差指数の概況………総 務 省

                  ▽月例経済報告(七月)…………………………………内 閣 府

                  ▽審判と調停………………………………………………最高裁判所











防災白書のあらまし


内 閣 府


 平成十四年版防災白書(「防災に関してとった措置の概況」及び「平成十四年度において実施すべき防災に関する計画」)が、六月四日に閣議決定され、同日付けで国会に報告された。

第1部 災害の状況と対策

第1章 我が国の災害の状況

【災害を受けやすい日本の国土と自然災害の状況】
○ 我が国は、その位置、地形、地質、気象などの自然条件から、地震、台風、豪雨、火山噴火などによる災害が発生しやすい国土となっている(第1図参照)。
○ 我が国では、毎年、自然災害により多くの尊い人命や財産が失われているが、昭和三十年代以降、死者・行方不明者の数は、長期的にみれば逓減傾向にある(第2図参照)。
○ 災害原因別死者・行方不明者数は、地震により大きな死者・行方不明者を出した平成五年、七年を除くと、土砂災害をはじめとした風水害によるものが、大きな割合を占めている(第3図参照)。

【平成十三年に発生した主要な災害とその対策】
○ 平成十三年には、十二年のように大規模な火山噴火や地震が立て続けに発生するようなことはなかったが、三月には芸予地震、七月から九月にかけては梅雨前線や台風等による風水害が発生した(第1表参照)。
○ 平成十三年の台風は、発生箇所が北上しているものが多かったり、長期間停滞するものが特徴的だった(第4図参照)。

【新しい防災対策に向けて】
○ 二十一世紀中に懸念される新しい災害の態様
 ・二酸化炭素等の温室効果ガスの影響により、二十一世紀中に全地球平均気温が一・四〜五・八度上昇、海面が九〜八十八センチメートル上昇することが予測される。
 ・都市部においては災害に強いまちづくりが必要である。また、特に新しい市街地においては地域コミュニティが未成熟なことも多い。
 ・過疎化の進展により、過疎地域の集落約四万八千のうち約一〇%において、住民相互の助け合いや農林地の維持・管理が困難となっている。国土の六〇%を占める無人化地域が更に拡大し、農地や森林等の管理が行き届かなくなることから、災害の発生に結びつくおそれがある。また、高齢化の進行と相まって、過疎地域の防災対応力の低下も懸念される。
 ・高齢化の進行に伴い、災害時における高齢者対策の重要性が増大している。また、ネットワーク化の進展により、災害で一部の地域が被害を受けると、その影響が広範囲に及ぶ。
○ 「自助」「共助」「公助」の適切な役割分担に基づく防災対策の必要性(第2表参照

第2章 我が国の災害対策の推進状況

【震災対策】
○ 東海地震について、「大規模地震対策特別措置法」に基づく「地震防災対策強化地域」の範囲を見直したところ、旧来の強化地域の西側等においても著しい被害が発生するおそれが明らかになったことから、平成十四年四月の中央防災会議において、五都県九十六市町村を追加し、強化地域は八都県二百六十三市町村となった(第5図参照)。
○ 都市再生プロジェクト第一次決定(平成十三年六月)で、東京圏において広域あるいは甚大な災害が発生した際、広域的災害対策活動の核となる基幹的広域防災拠点を整備することとし、これを受けて十二月にその整備の基本方針を決定し、早期の事業着手に向けた協議を行っている。また、大阪圏においても基幹的広域防災拠点の必要性及び広域防災拠点の適正配置に関する検討を行っている。
○ 中央防災会議に「東南海、南海地震等に関する専門調査会」を設け、中部圏、近畿圏及び東海から九州にかけての太平洋沿岸域等における地震防災対策のあり方の検討に着手した。
○ 震災対策上住宅等の耐震性の向上が最重要課題の一つであり、耐震改修の前提となる耐震診断と耐震改修の促進に向けた施策が講じられている。

【風水害対策】
○ 「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」を制定し、著しい土砂災害が発生するおそれのある地域における一定の開発行為の制限等を行うこととした(平成十三年四月施行)。
○ 「水防法」を改正し、洪水予報を行う河川の拡充、河川がはん濫した場合に浸水が予想される区域とその水深の公表、浸水予想区域内に地下施設がある場合に利用者の迅速な避難が行えるような洪水予報の伝達等を行うこととした(平成十三年七月施行)。
○ 前記の土砂対策、洪水対策の進展等を踏まえ、防災基本計画風水害対策編を修正した(平成十四年四月)。

【火山対策】
○ 火山噴火の影響範囲や避難施設等を示したハザードマップは、有珠山等「活動的で特に重点的に観測研究を行うべき火山」十三のうち海底火山を除く十二火山全部と、岩手山等合わせて二十四火山について作成されている(第6図参照)。
○ 富士山が仮に噴火した場合には、首都圏にも被害が及ぶおそれがあり、広域的な防災対策を確立する必要があることから、平成十三年七月に地元県市町村、関係省庁からなる「富士山ハザードマップ作成協議会」を設立し、火山ハザードマップの作成に着手した。

【事故災害対策】
○ 原子力災害対策について、原子力艦が我が国に寄港した際の原子力災害に備え、防災基本計画原子力災害対策編を修正し、政府の活動体制や避難誘導、救助・救急等に係る関係機関の役割について記述した(平成十四年四月)。

【近年に発生した災害への復興対策等】
○ 阪神・淡路大震災
 ・阪神・淡路大震災については、被災地の復興を目指して、政府は地元地方公共団体と連携の下、被災者の住宅再建、生活再建支援、各種インフラの復旧、産業復興の対策等に取り組んできた。
 ・「阪神・淡路大震災メモリアルセンター(仮称)」は、公募の結果名称を「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」とし、大震災の資料収集及び展示、防災に関する総合的・実践的な能力を有する人材の育成等を事業概要として、平成十四年四月に開館した。
○ 有珠山噴火災害
 ・平成十三年六月に虻田町において「タウンミーティングイン北海道」を開催し安全性のPRを行うとともに、村井防災担当大臣を議長とし、関係省庁で構成される「有珠山噴火災害復旧・復興対策本部」を設置し、地元の取組みを支援した。
 ・平成十四年四月に有珠山周辺において「活動火山対策特別措置法」に基づく避難施設緊急整備計画を策定した。
○ 三宅島噴火災害
 ・平成十二年七月に噴火した三宅島については、九月の全島民の島外避難以降、現在も大量の火山ガスの放出が継続しており、避難している島民の帰島の目途はたっておらず、都営住宅等における避難生活が続いている。
 ・火山活動の状況を的確に把握するため観測監視体制の強化を図るとともに、火山ガス放出の収束の見通しがたち、帰島の目途がついた場合に一日も早く帰島できるよう、
   −電力、ガス等のライフラインの機能維持
   −仮橋の設置等による島内周回道路の全周にわたる通行の確保
   −泥流等による被害拡大防止のための対策
  等を進めている。
 ・島民の生活支援については、政府、東京都、三宅村が連携して、被災者生活再建支援金の支給、都営住宅等の無償提供、緊急地域雇用特別交付金等を用いた雇用の確保、中小企業者の既往債務に係る利子補給等が行われている。

第3章 国民の防災活動

○ 一人ひとりの国民が「自らの身の安全は自らが守る」という自覚を持ち、平常時より災害に対する備えを心がけ、災害発生時には自発的な防災活動への参加に努めることが重要であるとともに、消防団・水防団、自主防災組織、防災ボランティア団体及び企業による防災活動が大きな役割を果たすことが期待される。
○ 「国土の将来像に関する世論調査」(平成十三年六月)によれば、これからの国土づくりにおいて力を入れるべき点について「災害に対する安全性の確保」を挙げた人の割合が最も多かった(第7図参照)。
○ 「自助」「共助」の面からみた地域の防災対応力の事例
 ・広島県呉市内全自治会の防災リーダー役に対するアンケート(平成十四年一月)によれば、地域住民の災害による危険に対する理解は必ずしも高くなく、地域の防災リーダーも災害時に的確な誘導ができるか不安に思っており、正しい防災知識の普及とリーダー育成が必要である(第8図第9図参照)。
○ リスクマネジメントからみた企業防災
 ・各企業に、リスクマネジメントの対象として捉えているリスクについて尋ねたところ、重視するものは、火災・爆発、地震、製造物責任の順となり、その対応が不十分なものとしては、テロ・誘拐、地震、水害、台風といった回答が多く、地震等の自然災害は、重要な課題として捉えられているが、対応については不十分と認識している(第10図第11図参照)。
○ 防災情報の共有化による行政・地域・住民の連携
 ・近年、豪雨災害等を経験した広島県広島市、呉市、高知県高知市において、住民がどのような防災情報を必要としているかについて聞いたところ、どこで災害が起きる可能性があり、その時、どこに逃げればよいかという具体的で身近な防災情報であることがわかった。行政は、住民のニーズに応じた具体的な防災情報をわかりやすい形で住民に伝える努力が必要である(第12図第13図参照)。
 ・住民が、居住地域の災害発生の可能性を正しく理解していることが、災害時の被害の軽減につながる。例えば、平成十二年三月に噴火した有珠山では、噴火直前に出された予知情報に基づき、的確な避難勧告・指示が出され、これに従って一人の死者も出さずに、住民が迅速に避難できた。これは、地元の市町が、住民向けに地域の火山防災啓発活動を行っていたこと等により住民が噴火の危険性や避難の方法などを十分に理解していたことが大きな要因と考えられる。
 ・総合的な地域防災力の向上、強化のためには、行政、住民、地域の様々な連携が不可欠であり、その前提をなすのが、地域の防災情報の共有である。

第4章 世界の自然災害と国際防災協力

○ 一九七五(昭和五十)年から九九(平成十一)年までの二十五年間に、全世界で少なくとも延べ約三十七億人が被災し、約百五十万人の生命が失われた。特に九〇年代には、阪神・淡路大震災等大きな災害が先進国を見舞ったため、直接被害額は約九千五百二十億ドルにのぼっている。
○ 近年の自然災害は、台風・サイクロン・洪水といった風水害によるものが多く、特にアジア地域で大きな被害をもたらしており、二〇〇〇年代に入ってからも、インド西部地震、南アジア諸国の季節風による豪雨、及び東南アジアのモンスーンによる豪雨等の災害が発生している(第14図参照)。
○ 我が国は、以下のとおり積極的に国際防災協力に取り組んでいる。
 ・被災国・地域に対し、緊急救助隊の派遣や救援物資の供与等の緊急支援を行っている。平成十三年度においては、ペルー、アフガニスタンの地震、ナイジェリア、アルジェリアの洪水、コンゴ民主共和国の火山噴火等に対して緊急支援を行った。
 ・国際連合が実施している「国際防災戦略(ISDR)」活動を支援するため、国内に関係省庁からなる「国際防災連絡会議」を設置し、二〇〇二(平成十四)年一月には、インド・ニューデリーにおいて、「国際防災戦略アジア会合」を開催したほか、アジア地域における国際防災活動方針について幅広く討議した。
 ・二〇〇一(平成十三)年八月、アジア地域における防災協力を推進するため、兵庫県神戸市に設けられた「アジア防災センター」内に、災害に関する総合的な情報発信・提供を行う国連人道問題調整事務所(OCHA)災害情報事務所(リリーフウェブ)神戸オフィスが開設された。

第2部 平成十二年度において防災に関してとった措置の概況

○ 平成十二年度において各省庁は、予算額約四兆一千五百億円をもって科学技術の研究、災害予防、国土保全、災害復旧等の防災に関する具体的措置を実施している。

第3部 平成十四年度において実施すべき防災に関する計画

○ 平成十四年度において各省庁は、予算額約二兆七千四百億円をもって科学技術の研究、災害予防、国土保全、災害復旧等の防災に関する具体的措置を講じる予定である(第3表参照)。


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平成13年平均


消費者物価地域差指数の概況


総 務 省


1 地方別の物価水準
 平成十三年平均消費者物価地域差指数(全国平均=一〇〇)を地方別にみると、持家の帰属家賃を除く総合指数は、関東が一〇二・三と最も高く、次いで北海道が一〇二・二、近畿が一〇二・一となっている。
 一方、最も低いのは、沖縄の九四・四で、次いで四国が九六・九、九州が九七・〇となっている。

2 都市階級別の物価水準
 都市階級別にみると、大都市が一〇四・六、中都市が一〇〇・一、小都市Aが九八・四、小都市Bが九七・〇、町村が九七・六となっており、大都市の指数は町村に比べ七・二%高くなっている。

3 都道府県庁所在市別の物価水準
 都道府県庁所在市別にみると、東京都区部が一〇九・五と最も高く、次いで大阪市が一〇八・〇、横浜市が一〇七・七、名古屋市が一〇五・一の順に続いている。
 一方、最も低いのは、那覇市の九六・九で、東京都区部との格差は一三・〇%となっており、次いで松山市及び宮崎市が九七・九、徳島市が九八・三の順に続いている。






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月例経済報告(七月)


―景気は、依然厳しい状況にあるが、一部に持ち直しの動きがみられる―


内 閣 府


総 論

(我が国経済の基調判断)

 景気は、依然厳しい状況にあるが、一部に持ち直しの動きがみられる。
 ・失業率が高水準で推移するなど、雇用情勢は依然として厳しい。個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
 ・輸出は大幅に増加しており、生産は持ち直しの動きがみられる。業況判断は全体として改善がみられ、設備投資は減少しているものの、先行きについて下げ止まる兆しもみられる。
 ・公共投資は、このところ平成十三年度第二次補正予算の効果がみられる。
 先行きについては、輸出の大幅な増加や生産の持ち直しの影響が、今後経済全体に波及していくなかで、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、このところの世界的な株安やドル安により世界経済の先行き不透明感が高まっており、我が国の最終需要が下押しされる懸念がある。

(政策の基本的態度)

 政府は、自律的経済成長を実現するため、民間需要・雇用の拡大に力点を置いた構造改革を進めることとし、経済活性化戦略、税制改革、歳出改革などを内容とする「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二」(六月二十五日閣議決定)を早期に具体化する。
 また、デフレ克服に向け、政府・日本銀行は引き続き一体となって強力かつ総合的な取組を行う。

各 論

一 消費・投資などの需要動向

◇個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
 個人消費は、需要側と販売側の動向を総合してみると、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。所得面で弱い動きが続いていることなどから全体的な基調の改善には至らないものの、消費者マインドに改善の動きがみられることなどから一部の業種や支出項目においては増加の動きがみられる。
 需要側の動向をみると、昨秋以降底固さがみられる。消費総合指数は三か月前と比べ増加している。支出項目ごとの動向について家計調査をみると、実質消費支出は、一時的な要因により大きく減少した項目がみられる一方で、食料が引き続き前年を上回るなど主に基礎的な支出項目に底固さがみられる。
 販売側の動向をみると、全体的に弱い動きとなっている。小売業販売額は弱い動きが続いている。チェーンストア販売額は、弱い動きが続いているものの、このところ減少幅を縮小してきている。百貨店販売額は、昨夏以降一進一退の動きを続けており、均してみれば横ばいとなっている。新車販売台数は、軽乗用車と小型乗用車が引き続き好調に推移しているものの、普通乗用車が大幅に前年を下回ったことから、前年をやや下回った。家電販売金額は、パソコンが引き続き前年を大きく下回っているものの、テレビが大幅に増加したことなどから、全体では減少幅を大きく縮小した。旅行は、国内旅行はほぼ前年横ばいとなり、海外旅行は前年を下回っているものの減少幅を縮小してきている。
 消費者マインドは、依然として水準は低いものの、やや改善がみられる。
 なお、ワールドカップサッカーが個人消費に与えた影響としては、テレビの販売動向に一時的なプラスの効果がうかがわれた。また、小売業・飲食業等においては、来客数減少等によるマイナスの効果が大きかったものと見込まれる。外国人入国者数は、前年同時期と比べ約三万人の増加となった。

◇設備投資は、減少しているものの、先行きについて下げ止まる兆しもみられる。
 設備投資は、生産及び企業収益の減少等を背景に平成十三年に入って以降減少が続いてきた。需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、平成十三年一〜三月期以降減少が続いている。また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、平成十三年に入って以降減少が続いていたが、このところ下げ止まりつつある。なお、ソフトウェア投資は、比較的堅調に推移している。
 設備投資の今後の動向については、機械設備投資の先行指標である機械受注が平成十三年一〜三月期以降減少基調で推移してきたが、このところ下げ止まりつつあることからみて、次第に下げ止まりに向かうものとみられる。ただし、日銀短観の平成十四年度設備投資計画において減少が見込まれていることなどを考慮すれば、下げ止まった後も低調に推移することが見込まれる。

◇住宅建設は、弱含みとなっている。
 住宅建設は、平成十三年に入り、貸家は増加したものの、これまで堅調であったマンションの着工が落ち着いてきたことに加え、公庫持家の着工が大きく水準を下げて推移したこと等から、平成十三年度は、前年度比三・三%減の百十七万三千戸と平成十年度以来三年ぶりに百二十万戸を下回る低い水準となった。
 五月は、前月と比べ持家は減少したものの、貸家、分譲住宅は、大規模物件の着工が多かったことなどから大幅に増加し、年率百二十六万九千戸となった。先行きについては、雇用・所得環境が厳しいこと、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下しており、こうしたことが引き続き住宅着工を減少させる要因になるものと見込まれる。

◇公共投資は、総じて低調に推移しているが、このところ平成十三年度第二次補正予算の効果がみられる。
 公共投資は、総じて低調に推移している。国の平成十三年度第二次補正後予算をみると、「改革推進公共投資」特別措置もあり、ほぼ前年度並みを確保している。地方の投資的経費は、厳しい財政状況を反映して引き続き前年度を下回っている。このような状況を反映して、一〜三月期の公共工事請負金額は12四半期連続で、大手五十社受注額も5四半期連続で前年を下回った。
 平成十四年度の公共事業関連予算をみると、国の当初予算においては、施設費を含む公共投資関係費について、前年度比一〇・七%減と規模を縮減しつつ、「予算編成の基本方針」の重点七分野に重点化しているほか、地方財政計画においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比一〇・〇%減としつつ、国の歳出予算と歩を一にして歳出の徹底した見直しと重点的な配分を行うこととしている。
 四〜六月期の公共投資については、国の平成十三年度第二次補正予算の大半が今年度に繰り越されていると見込まれることから、その下支え効果が発現するものと考えられる。五月の公共工事請負金額、大手五十社受注額は、前年を上回った。

◇輸出は、アジア向けを中心に大幅に増加している。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。
 輸出は、世界的な景気回復を背景に、半導体等電子部品など電気機器と一般機械が大幅に増加、輸送用機器も堅調に推移しており、全体でも大幅に増加している。地域別にみると、アジア向け輸出は、電気機器、一般機械を中心に大幅に増加している。アメリカ向け輸出は、電気機器と一般機械を中心に緩やかに増加している。EU向け輸出は、電気機器、輸送用機器を中心に増加に転じている。今後については、世界的な景気回復が、引き続き我が国輸出にとっての増加要因になるとみられるが、このところの世界的な株安やドル安によって、世界経済の先行きについて不透明感が高まっていることに留意する必要がある。
 輸入は、電気機械を中心とした生産の持ち直しの動きを背景にIT関連など機械機器の輸入が増加しているものの、鉱物性燃料などが減少しており、全体としては横ばいとなっている。地域別にみると、アジアからの輸入は、機械機器の輸入が堅調に推移しており、緩やかに増加している。EUからの輸入は横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、航空機など機械機器が増加していることを要因として、増加している。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、増加している。輸入数量が横ばいで推移するなか、輸出数量が増加していることが、黒字幅の拡大に寄与している。

二 企業活動と雇用情勢

◇生産は、持ち直しの動きがみられる。
 鉱工業生産は、昨年初めから大幅に減少していたが、一〜三月期には五期ぶりに増加に転じ、四月に続き五月も増加した。輸出が大幅に増加していることや在庫調整がおおむね終了していること等を背景に、生産は、持ち直しの動きがみられる。
 ただし、設備投資の減少が続くとみられること等、懸念すべき点もあることには留意する必要がある。なお、製造工業生産予測調査によると六月は横ばい、七月は減少が見込まれている。
 一方、第三次産業活動の動向をみると、おおむね横ばいで推移している。

◇企業収益は、下げ止まりの兆しがみられる。また、企業の業況判断は、中小企業を中心に依然厳しさがみられるものの、全体として改善がみられる。倒産件数は、高い水準となっている。
 企業収益は、「法人企業統計季報」によると、平成十三年七〜九月期以降、電機機械などの製造業を中心に大幅な減益となっていた。平成十四年一〜三月期は製造業で減益が続いているものの、非製造業で増益に転じ、全体として減益幅が縮小した。また、日銀短観によると、平成十四年度については、上期はおおむね横ばい、下期は大幅な増益を見込んでいる。
 企業の業況判断について、日銀短観をみると、中小企業を中心に低い水準にあり、依然厳しさがみられるものの、製造業、非製造業ともすべての規模で改善している。先行きについても、中小企業非製造業で若干悪化が見込まれている以外は、改善を見込んでいる。
 また、五月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで一千七百三十件になるなど、高い水準となっている。

◇雇用情勢は、依然として厳しい。残業時間が増加しているものの、完全失業率が高水準で推移し、賃金も弱い動きが続いている。
 五月の完全失業率は、前月比〇・二%ポイント上昇し五・四%となった。完全失業者について求職理由別にみると、最も多い非自発的な離職による者の増加幅は横ばいとなっている。雇用者数については、このところ下げ止まっていたが、五月は前月比で減少した。
 新規求人数は、二か月連続で前月比増加し、新規求人倍率、有効求人倍率とも上昇しており、求人は持ち直しつつある。製造業の残業時間については、生産の動きを反映し、五か月連続で増加している。企業の雇用過剰感は、製造業で低下したものの、依然として高い水準にある。
 賃金の動きをみると、定期給与は前月比で減少しており、弱い動きが続いている。

三 物価と金融情勢

◇国内卸売物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、弱含んでいる。
 輸入物価は、このところ、契約通貨ベース、円ベースともに上昇している。国内卸売物価は、横ばいとなっている。最近の動きをみると、電気機器、電力・都市ガス・水道は下落しているものの、原油高を背景として、石油・石炭製品は上昇している。また、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
 消費者物価は、平成十二年秋以降弱含んでいる。最近の動きをみると、一般サービス(外食など)はやや上昇しているものの、耐久消費財の下落などにより一般商品は下落していることから、全体としては下落している。
 こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

◇金融情勢をみると、株式相場は、大幅に下落した後、やや上昇した。対米ドル円相場は、上昇した。
 短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、六月は、日本銀行による金融緩和措置を反映して、〇・〇〇一〜〇・〇〇二%で推移した。二、三か月物は、六月は、おおむね横ばいで推移した。長期金利は、二月上旬から四月上旬にかけてやや低下した後、おおむね横ばいで推移したが、株価や為替の動向を懸念する市場の見方などから、六月下旬に低下した。
 株式相場は、米国株式相場の下落等を背景に、大幅に下落した後、月末にかけて、やや上昇した。
 対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、三月下旬に百三十三円台まで下落した後、日米の景気の先行きに対する見方などを背景に上昇基調で推移し、六月は、百十九円台まで上昇した。対ユーロ円相場(インターバンク十七時時点)は、四月以降、百十四円台後半から百十七円台前半で、ほぼ横ばいで推移した後、六月上旬にやや下落し、中下旬は、百十七円台前半から百十九円台前半で推移した。
 マネタリーベース(月中平均残高)は、日本銀行の潤沢な資金供給など(六月日銀当座預金平均残高十五・〇兆円)を背景に、高い伸び率となっている(六月:前年同月比二七・六%)。M+CD(月中平均残高)は、このところ、三%台半ばで推移している(六月速報:前年同月比三・四%増)。民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、九六年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和等を背景に、昨年初来低下傾向で推移してきたが、このところ横ばい圏で推移している。企業の資金繰り状況をみるとやや改善の動きがみられ、民間債と国債との流通利回りスプレッドがこのところやや縮小している。

四 海外経済

◇世界の景気は、緩やかに回復している。
 世界の景気は、緩やかに回復している。
 アメリカでは景気の回復は緩やかになっている。個人消費は緩やかに増加している。住宅建設は増加傾向にある。設備投資の減少幅は縮小しており、非軍需資本財受注は増加している。生産は緩やかに増加している。雇用は持ち直しているものの、失業率は上昇した。物価は安定している。
 アジアをみると、景気は回復している。中国では、景気の拡大テンポはやや高まっている。韓国、タイでは、景気は拡大している。台湾、シンガポール、マレイシアでは、景気は回復している。
 ヨーロッパをみると、@ユーロ圏では、景気は持ち直している。ドイツでは、景気は緩やかに持ち直している。フランスでは、景気は着実に持ち直している。Aイギリスでは、景気は持ち直している。
 金融情勢をみると、ドルは、アメリカの貿易収支赤字の拡大、株価の下落や経済の先行き懸念等から、六月中旬以降大幅に減価した。アメリカの株価は、企業会計不信の高まりや企業業績予想の下方修正、新たなテロへの懸念等から六月を通じて下落基調で推移した。また、その他の主要な株式市場でも株価は下落基調で推移した。アメリカの長期金利は、証券市場における米国債への資金シフト等から六月前半まで下落し、その後おおむね横ばいで推移した。台湾では六月下旬に利下げを実施した。
 国際商品市況をみると、原油価格は六月上旬は弱含んだものの、その後はアメリカの原油在庫の減少やOPEC臨時総会での減産継続決定等から上昇基調で推移した。
 世界経済の先行きについては、このところの世界的な株安やドル安が今後の景気回復に不透明感を増している。


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審判と調停


最高裁判所


 家庭裁判所では、夫婦、親子、親族等の家庭に関するいろいろな問題を取り扱っています。具体的には、離婚や生活費などの夫婦に関する問題、親権や養育費などの子どもに関する問題、遺産分割や遺言などの相続に関する問題、氏名の変更などの戸籍に関する問題などを取り扱っており、これらの問題を家庭裁判所では家事事件と呼んでいます。家事事件を解決する手続として、審判と調停があります。いずれも、地方裁判所などで行われる一般の裁判とは異なり、当事者のプライバシーに配慮して、非公開で行われ、形式にとらわれず、和やかな雰囲気の中で、自分の考えを述べることができるという特徴があります。
 審判は、裁判官である家事審判官が判断を示すことによって事件を解決する手続で、裁判の一種です。判断する前に当事者の話を聴いたり、当事者から提出された書類などを調べたり、家庭裁判所調査官に調査をさせたりします。
◇      ◇      ◇
 調停は、当事者間の話し合いを経て、その合意によって紛争を解決する手続で、多くの場合、裁判官と二人以上の調停委員が調停委員会というチームを組んで手続を進めます。調停委員は、実情に即し、社会常識にかなった解決を実現するため、民間の人たちの良識を調停の手続に反映させようということから設けられているもので、地域社会で幅広く活動してきた人や、弁護士、医師、不動産鑑定士、大学教授などの専門家など、社会の各分野から選ばれています。
◇      ◇      ◇
 例えば、離婚した夫婦の一方から他方に対して子どもの養育料を請求するような調停では、調停委員会が出席した当事者から子どもを育てている状況や父母それぞれの収入や支出などの生活状況を詳しく聴いたり、その関係の資料を提出してもらったりしたうえで、解決のための案を示します。また、事実関係が込み入っている場合や当事者の間に深刻な争いがある場合には、改めて家庭裁判所調査官が調査をすることがあります。さらに、心理的に大きく動揺している当事者などについて、必要があれば、医務室の医師がその心身の状況の診断等をすることもあります。そして、当事者双方に十分に納得のいく合意ができると、調停が成立します。話し合いがどうしてもつかない場合には調停は打ち切られ、この事例では、手続は審判に移り、家庭裁判所の判断が示されることになります。
◇      ◇      ◇
 家事事件には、このように調停と審判のいずれの手続でも取り扱うことのできる事件のほか、離婚のように調停だけしかすることができず、調停が不成立の場合には地方裁判所に訴えを起こす必要がある事件があります。また、後見人の選任や離婚後の子どもの戸籍の問題などのように、調停での話し合いになじまないため審判だけでしか取り扱うことができない事件もあり、事件の性質に応じて手続が考えられているということができます。
◇      ◇      ◇
 なお、申立人など一定の範囲の人は、審判の結果に不服があれば、事件の種類にもよりますが、二週間以内に高等裁判所に不服を申し立てることにより、再審理してもらうことができます。調停は、全員が納得して合意した場合に成立するので、不服申立ての手続はありません。審判や調停で決まったことは、判決と同じ効力があるので、金銭の支払等がされない場合には、強制執行の手続をとることもできます。
◇      ◇
 審判と調停を合わせた年間申立件数は、家庭裁判所が誕生した昭和二十四年には約三十三万件でしたが、平成九年には約四十三万件に上り、多くの方が審判や調停を利用するようになりました。家庭裁判所を更に利用しやすくするため、一部の家庭裁判所では、電話とファクシミリを使って家事事件の手続などを案内する「家事事件手続案内サービス」を始めています。これにより、だれでも必要なときに、裁判所に足を運ぶことなく、手続の概要や必要書類などの情報を手軽に入手できるようになりました。また、事件に関する事務を迅速に処理するために、OA化も順次進めています。
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 家庭裁判所は、親しみやすく利用しやすい裁判所です。審判、調停の制度を利用する必要が生じたときは、御遠慮なく最寄りの家庭裁判所にお問い合わせください。






八月十九日は「バイクの日」


 バイクをファッションとしてとらえる若者が増えています。しかし、ファッションは自分の体があって初めて生きるもの。ふさわしい服装でバイクと向き合うこと。それが本当のファッションであり、バイクに対する最低限の礼儀ではないでしょうか。
 自由に道を駆け抜けることのできるバイクは、ともすればドライバーに過度な自信を与えがちです。バイクは、ほかの乗り物にはない自由度の高さや爽快感があるだけ、交通ルールやマナーに対するドライバーのより強い責任が求められます。
 毎年八月十九日は「バイクの日」です。交通社会での安全な二輪車の利用を促進するために、政府の交通安全対策本部が平成元年に制定しました。この日を中心に、関係機関や団体が連携し、バイクの安全利用に関する各種のキャンペーン活動を行っています。
 より楽しく、安全にバイクを乗りこなすために、関連キャンペーンに参加してみてはいかがでしょう。ドライバーだけではなく、ご家族、友人同士などでぜひご参加ください。






    <8月14日号の主な予定>

 ▽土地白書のあらまし……………………国土交通省 

 ▽消費者物価指数の動向(六月)………総 務 省 

 ▽労働力調査(五月)……………………総 務 省 




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