官報資料版 平成14年8月14日




                  ▽土地白書のあらまし……………………国土交通省

                  ▽消費者物価指数の動向(六月)………総 務 省

                  ▽労働力調査(五月)……………………総 務 省











土地白書のあらまし


―平成十三年度土地の動向に関する年次報告―


国土交通省


 政府は、土地基本法(平成元年法律第八十四号)第十条の規定に基づき、「平成十三年度 土地の動向に関する年次報告」及び「平成十四年度において土地に関して講じようとする基本的な施策」(土地白書)を六月四日に閣議決定した。
 本年の土地白書では、第一部「土地に関する動向」において、土地の利用や所有・取引の動向、地価の動向等を概観するとともに、近年における土地市場の構造的な変化や、土地の需給に影響を及ぼす社会経済の情勢の分析、不動産投資の活性化のための土地市場の整備、都市再生に向けた取組の必要性等について記述している。
 第二部「土地に関して講じた基本的な施策」では、平成十三年度を中心として政府が最近において講じた土地に関する施策について取りまとめている。
 さらに、「土地に関して講じようとする基本的な施策」では、平成十四年度に政府が講じようとする施策について取りまとめている。
 以下、第一部の概要について紹介する。

T 我が国社会経済と土地

<第1章> 土地を取り巻く社会経済の変化と土地の有効利用のための課題

第1節 我が国の土地市場の構造的な変化

1 利用中心の土地市場への動き
 バブル崩壊までは、継続的な地価上昇を前提に、資産形成の観点から土地所有を重視する傾向がみられた。しかし、バブル崩壊後の長期にわたる地価下落の結果、現在では、土地を所有するだけで利益が上がることはなくなっており、有効利用することで初めて利益が得られる状況になっている。
 例えば、「列島改造ブーム」直前の昭和四十六年に取得した土地の場合、現在までの地価(全用途平均)の伸びは、名目GDPの伸びを大きく下回り、消費者物価指数の伸びも下回る状況にある。

2 国民・企業の土地に対する意識の変化
 国民・企業の土地に対する意識も、以下のように大きく変化している。
(1) 国民の資産としての土地の有利性に関する意識
 国土交通省「土地問題に関する国民の意識調査」によると、土地が預貯金や株式などと比べて有利な資産であるかについては、「そうは思わない」(三四・二%)と考える者と、「そう思う」(三五・三%)と考える者の割合が、今回の調査ではほぼ同数であったが、調査開始時からの推移をみると「そう思う」と考える者が大幅に減少している(第1図参照)。
(2) 企業の土地所有の有利性に関する意識
 国土交通省「土地所有・利用状況に関する企業行動調査」によると、土地・建物に関して、「今後、所有が有利になる」(三六・八%)と考える者は、「今後、借地・賃借が有利になる」(四八・〇%)と考える者を前回調査に引き続き下回っており、企業においては、土地を有利な資産と考える意識が一段と低下している(第2図参照)。

3 地価形成の個別化の傾向
 近年の我が国の土地市場は、実需中心へと構造的に変化している。最近の地価動向にみられる特徴としては、利便性や収益性が高い地点では地価の下落幅が縮小あるいは上昇する傾向もみられるが、利便性や収益性が劣る地点では、依然として下落傾向にあることが挙げられる。
 最近では、「平均地価」の動向をもとに一律に市況を論ずることは難しくなっており、詳細なエリアや地点ごとの動きをきめ細かくみることが必要になっている。

第2節 土地の需給に影響を及ぼす社会経済の変化

1 需要側をめぐる情勢の変化
(1) 経済活動のグローバル化、産業構造の変化の影響
 大都市を中心に、「近・新・大」の条件を備え、高度な業務に対応できる高機能オフィスビルに対する需要が強い。今後も国際的に通用する優れた都市環境と複合的な機能を備えた高度商業地に対する需要が伸びることが考えられる。
 反面、国内の製造業では、生産拠点を海外に移転させる動きが加速している。さらに、第三次産業へのシフトの進行に伴い、生産・物流施設に関する土地需要が弱まることが考えられる。
(2) 人口構造の変化とそれに伴う住宅需要の動向
 我が国の総人口は平成十八年にピークに達し、その後減少過程に入るため、将来的には住宅需要は沈静化すると考えられる。
 しかし、全国的には世帯数が平成二十六年まで増加することや、第二次ベビーブーム世代(昭和四十六〜四十九年生まれ)の住宅取得が本格化することにより、当面は高水準が続くと考えられる。
 また、生活の利便性等が重視される中、都市における住まい方が変化し、郊外から都心への住み替え等も含めて、都心部やその周辺での住宅需要が強まることが考えられる。

2 供給側をめぐる情勢の変化
 供給側をめぐる情勢の変化の中で、近年の土地市場に及ぼした影響が大きかったのは、企業による土地売却の動きであった。
 企業の土地取引金額の長期的な推移をみると、地価高騰期には大幅な買い越し、それ以外も若干の買い越しになる時期が多かった。しかし、平成四年以降は売り越しの状態が続いていることが特徴になっている。
 国土交通省「企業経営と不動産所有に関する調査」の結果によると、保有不動産のキャッシュフローや収益性を重視する意識が今後も強まる可能性が高い。
 また、現在所有する不動産の水準を過剰と考える企業が約四割、今後の対応として不動産の売却を考える企業が約半数に上っている。こうしたことから、企業による土地売却の動きは、今後も続くと考えられる。

3 土地の需給の変化に伴う土地利用の変化
 前記のような土地の需給をめぐる状況の変化の中で、企業による土地売却等が、土地利用の構造的な変化を促進することになると考えられる。
 大都市では、既に生産・物流施設の跡地や企業が売却した土地が、複合的な都市拠点や都心部のマンション等に利用転換される動きがみられるが、不動産投資の活性化を図ることにより、こうした動きをダイナミックな都市構造の再編に結び付けていくことが重要である。

第3節 不動産投資の活性化のための土地市場の整備

 不動産投資を活性化し、土地の流動性の向上に資する観点から、土地市場の整備を図る必要がある。

1 土地情報の整備・提供の充実
(1) 現在の土地市場では、従来とは異なり、不動産投資に当たってキャッシュフローやリスクを精緻に分析した上で投資判断を行うことが不可欠になっている。このため、取引価格や賃料など収益性を判断するための情報の充実が求められている。
(2) 欧米諸国における取引価格情報の提供に関しては、次のような事例がある。
 @ 登記等により取引価格が公開されている事例
  ・ フランスやイギリスでは、登記に取引価格が記載され、一般に公開されている。
  ・ アメリカの三十六州では、登記や譲渡税のために提出される証明書等に取引価格の情報が記載され、一般に公開されている。
 A 取引価格に基づき算定した価格情報が提供されている事例
  ・ ドイツでは、取引価格は一般には公開されておらず、地方公共団体の機関である鑑定委員会が取引価格に基づき算定した評価額が、地図に記載され、一般に公開されている。
 ただし、取引価格が公開されているフランス、イギリス等においても、@取引面積や仕様等の品質情報が登記に記載されていないこと、A複数の不動産をまとめて取引した場合には、登記から個々の不動産の価格を正確に把握することが難しいこと、B投資形態として、個々の不動産の取引ではなく、不動産を保有する会社そのものを売買する形をとる場合には、不動産の所有者は当該会社のままで変更されないため、登記には記載されないこと等の状況にある。また、取引価格情報に関しては、更地の取引と土地・建物一体の取引との相違や、個別取引における特殊事情の存在といった問題がある。
 したがって、フランス、イギリス等においても、公開された取引価格がそのまま活用されている訳ではなく、これをもとに業者が加工した情報や不動産投資インデックスが活用されていると言われる。
(3) このような欧米諸国の事例を参考にすれば、投資判断に不可欠な収益性に関する指標である不動産投資インデックスの整備が重要であると考えられる。不動産投資インデックスの整備に当たっては、作成主体が取引価格を含む取引事例の情報や賃料情報を十分活用できるようにすることが必要である。
 我が国でも既に民間で作成が試みられているが、作成に当たっての問題点も指摘されていることから、不動産投資の活性化に資するよう、国においてもガイドラインの作成に向けた検討を行っている。
 優良な不動産投資インデックスを整備するためにも、実際の取引価格等の情報を幅広く把握できることが重要であり、これらの情報の整備について、欧米諸国の事例等も踏まえ、早期に検討する必要がある。

2 収益性を重視した不動産の鑑定評価
 不動産の鑑定評価においては、従来より更地の評価が中心であったが、近年、土地・建物を一体の複合不動産としてとらえ、そのキャッシュフローを的確に反映させる評価ニーズが顕在化している。このような高度化・多様化した評価を的確に行うため、以下の点を中心に、不動産鑑定評価基準を近く改定することとしている。

【不動産鑑定評価基準の改定方針のポイント】
@ 鑑定評価手法(収益還元法)の充実
 複合不動産の生み出すキャッシュフローを不動産の価格に的確に反映させる観点から、従来の直接還元法に加えて、将来の収益の見通しやリスクを精緻に評価するDCF法を導入する。
A 広域的な市場分析の重視
 近年、土地や建物の利用・用途が多様化し、より広域的な市場動向の影響を受けて価格形成等が行われる傾向が強まっていることから、代替・競争等の関係にある類似不動産の需給動向等を広域的な観点から分析することを明確化する。
B 詳細な調査の充実
 鑑定評価に際して行う物件調査において、対象不動産の収益性をより精緻に確認・分析する観点から、建物の構造・仕様や土壌汚染を含む環境、地下埋設物等の状況等に関する調査内容を充実する。また他の分野の専門家による調査を活用すべき場合を明確化する。
C 試算価格の調整
 鑑定評価における三手法(収益還元法、取引事例比較法、原価法)により算出した三つの試算価格について、等しくウェイト付けが行われるべきとの印象を改め、対象不動産の特色に応じて、どの試算価格をより重視するかの判断を行い、鑑定評価額を決定することを明確化する。
D 鑑定評価の説明性の向上
 依頼者や一般の投資家が鑑定評価の内容を正確に理解できるよう、調査・分析の結果や鑑定評価額の決定過程を、より明確に鑑定評価報告書に表示する。

3 不動産証券化の普及
(1) 不動産の証券化の現状
 不動産の証券化は平成十三年度においても引き続き活発に実施された。特に、不動産投資ファンドについては、平成十三年三月に東京証券取引所に不動産投資ファンド市場が開設され、本年三月までに三銘柄が上場された(計約四十九万口、平成十四年三月末現在の時価は約二千六百億円)。
 不動産の証券化の現状をみると、以下のとおりである。
 @ 平成十三年度に実施された不動産の証券化の対象となった不動産等の額は約三兆円であり、平成十二年度に比べ五九%増加した。平成十三年度までの資産額の累計は六兆四千億円となっている(第3図参照)。
 A 対象となった不動産の主な用途について資産額ベースでみると、平成十三年度では、オフィス(六五・一%)の割合が最も高く、商業施設(一一・四%)、住宅(六・二%)と続いており、これらで全体の約八割を占めた。
 今年度オフィスの割合が高くなったのは、不動産投資ファンドにおいてオフィスを中心に投資が行われたこと、企業財務体質の改善のために所有するオフィスを流動化したこと等によるためと考えられる。
 B 開発中の物件を証券化・流動化することで調達した資金を当該物件の開発事業そのものに充当する、いわゆる開発型の証券化については、平成十三年度は、二十三件で一千八百億円の実績があった。
 C 不動産投資ファンドが取得した不動産又はその信託受益権の額は六千億円であった。不動産の主な用途別を資産額ベースでみると、オフィスが八五・四%、商業施設が九・八%となっている。
(2) 不動産証券化推進に向けての課題
 @ 不動産投資ファンドについては、より多くの銘柄が市場に上場され、取引されるとともに、投資対象とする不動産の用途や地域配分等の点で、多様な投資方針を持つ不動産投資ファンドが組成されることが必要である。
 A 不動産の取引価格やテナント情報等の収益に関する情報が整備されるとともに、不動産投資の運用成績を評価するための指標である不動産投資インデックスが整備・提供されることなど、不動産証券化の推進策を講ずることが求められる。

第4節 大都市圏・地方圏における土地利用の変化と課題

1 東京圏、大阪圏等の大都市圏
(1) 大都市圏における土地利用の変化と課題
 大都市では、業務機能が中心部に集積し、その周辺を取り巻く形で住宅地を中心とする市街地が拡大した。
 しかし近年では、産業構造の変化等に伴い発生した生産・物流施設の跡地や、企業により売却された土地が、複合的な都市拠点や都心のマンション等に利用転換される動きがみられる。
 社会経済の情勢の変化に伴って、大都市における土地利用が従来とは質的に変化しつつあり、こうした動きを捉えて都市構造の再編をダイナミックに進め、職住のバランスがとれ、国際競争に対応できる魅力を備えた都市への再生を図ることが大きな課題となっている。
 また、経済の活性化の観点からも、土地の利用価値を高めるプロジェクトに民間投資を呼び込むことが求められている。
(2) 都市再生に向けた取組
 土地利用の転換や低未利用地の有効利用等を通じて、複合的な機能を備えた都市拠点の形成や、都心居住の実現、防災性の向上など都市生活の質の向上につながる土地利用に取り組むことが必要である。
 @ 国際競争力のある都市拠点の形成等
 都心部において、再開発等を通じて、低未利用な生産・物流施設等が利用転換され、高機能オフィスビルや商業・住宅・文化施設等の機能を複合的に備えた都市拠点として整備される事例が増えている。
 また、再開発の実施や交通基盤の整備等を通じて、土地の利用価値が向上した結果、周辺地価の下げ止まりや上昇に結び付く事例がみられている。
 都市拠点の整備等を通じて高機能オフィスビルが供給される一方で、国土交通省「都心におけるオフィスビルの維持・管理等に関する意識調査」(都心部で一九八〇年から九四年に竣工した延床面積三千平方メートル未満のオフィスビル所有者が対象)によると、都心の業務地区であっても、バブル期を中心に供給された中小規模のビルに関しては、今後の競争力の低下を懸念する所有者が約六割と高くなっている(第4図参照)。さらに、空室率や賃料水準等の面で、オフィスビルの規模や設備、築年数等に応じた「二極化」が進むと考える割合が約九割に達している。
 こうしたビルに関しては、「一フロアの面積」が狭いことを問題点として挙げる割合(二五・六%)が高く、二極化が進行する中で、住宅への転用や、周辺の土地も含めた住宅地としての整備も今後課題になると考えられる。
 A 都市生活の質の向上のための取組
  (ア) 都心居住の実現
 近年、都心部において、企業が売却した土地等の利用転換を通じてマンションが活発に供給され、利便性重視の傾向と相まって、人口の都心回帰が進んだ。
 特に最近では、都心の業務地区においても、オフィスビルの建て替え等によりマンションが供給される事例がみられる。
 こうした土地利用の変化を捉えて都心居住を推進し、都市生活の質の向上を実現する必要がある。
  (イ) 都市環境の整備の推進
 大都市における土地利用が構造的に変化する中、この時機を捉えて、立ち遅れている公園・緑地等の公共空間の充実に取り組むことが重要である。また、防災性の向上の観点から、都市部に発生した工場跡地等を活用した防災拠点の整備の促進等を図る必要がある。
  (ウ) 郊外住宅地の課題と取組
 今後、ニュータウン等の郊外住宅地の役割が変化していくと考えられる。その地理的な条件等によっても異なるが、画一的にならない個性的な街づくりに取り組むことや、例えば週末等に滞在するセカンドハウスやホームオフィスとしての利用を想定した住宅供給を行うなど、都心周辺の住宅地とは異なる特色を持たせる工夫が必要である。
 また、NPOの活動等を通じて地域コミュニティの活性化を図るなど、街としての持続的な発展を図るためのソフト面での取組も重要である。
【事例:ハード面の取組(住民参加型の住宅供給)】
 都市地域整備公団千葉地域支社の「おゆみ野」地区(千葉市緑区)では、居住予定者がグループを組み、建設予定地でのワークショップの開催等を通じて、道路や広場の配置等をはじめとする街づくりの構想を作成し、これをもとに実際の住宅供給を行うプロジェクトを実施している。
【事例:ソフト面の取組(多摩ニュータウンにおけるコミュニティ活動)】
 多摩ニュータウンでは、地域に密着したNPOやボランティア団体等によるコミュニティの活性化に向けた取組が行われている。NPO「フュージョン長池」は、公園施設の管理・運営、集合住宅の管理組合の支援、地域のリサイクル活動の支援など、コミュニティ醸成のための活動を行っている。このほか、環境保全や地域通貨(エコマネー)の普及など、多様な目的をもったNPOやボランティア団体等が活動している。

2 地方都市
 地方都市の中心市街地では、空き店舗の増加や居住者の減少、低未利用地の発生等の問題が深刻になっている。これからの地方都市の再生に向けた取組では、空き店舗対策や地場産業の活用、地域の歴史・文化を活かした観光振興など、ソフト面での対策等を通じて、個性あるまちづくりを目指すことが重要である。
【事例:地域の歴史・文化的なストックの活用(北九州市門司港地区)】
 北九州市の門司港地区では、旧門司港駅や旧門司税関、旧大阪商船ビルなど歴史的な建築物の保存等を通じて、「門司港レトロスクエア」の整備が進められた。その結果、平成七年のオープン以降、観光客数が急速に伸びている。こうした動きと連動して、同地区の商店街の周辺地価は上昇している。
【事例:多様な主体のまちづくりへの参加(島根県松江市)】
 島根県松江市では、歴史的な建築物である旧日本銀行松江支店の建物を、地場産品やオリジナル商品を中心に取り扱う商業施設として再生した。
 入居した十六店舗のうち、新規起業者が二店舗、空き店舗を活用した「チャレンジショップ」の経験者が六店舗含まれ、新規起業者の活躍の場にもなっている。
 また、歴史的建築物のライトアップや、土蔵の白壁を利用した野外映画上映会の開催など、市民の自発的な参加のもとで活発なまちづくり活動が行われている。
 また、地方都市に関しても、都市圏全体を視野に入れ、都市構造の再編という観点から活性化に取り組むことが重要である。こうした中で、郊外への拡散が進んだ都市機能を中心市街地に誘導する、コンパクトなまちづくりに対する関心が高まっている。
【事例:青森県青森市の取組】
 青森県青森市の都市計画マスタープランでは、中心市街地を含む地区である「インナー(Inner− City)」、その周辺の「ミッド(Mid−City)」、「アウター(Outer−City)」の三つの区分を設定し、中心市街地に蓄積された社会・経済基盤を活かす観点から、「インナー」に商業・行政機能や都心との近接性を活かした居住機能など、都市の核となる諸機能を複合的に配置することとしている。
 一方、「ミッド」と「アウター」では、計画的かつ秩序ある市街地整備にとどめることを基本としており、特に「アウター」では、農地や周辺の自然を保全し、原則として市街地の拡大を抑制する方針が示されており、市民・企業と行政の協働作業を通じて、同マスタープランの具体化・実現を図っていくこととしている。

3 個性ある地域づくりを目指した土地利用上の取組
 各地域においては、小規模な開発の進行や、国土の保全、地球温暖化の防止等に重要な役割を果たす森林等の管理の粗放化など、多様な土地利用上の課題への対応が求められている。
 こうした中で、住民に身近な市町村レベルで、「土地利用のあるべき姿」を地域の実状に応じて即地的かつきめ細かに示すことができる土地利用に関する枠組みが求められている。
 また、地域固有の諸課題に対して条例が十分に活用され、適正かつ合理的な土地利用と個性ある地域づくりを目指すことが望まれる。

U 土地の動向

<第2章> 土地の利用の動向

 我が国の国土面積三千七百七十九万ヘクタールのうち、森林(二千五百十一万ヘクタール)及び農用地(四百九十一万ヘクタール)は、横ばいないし微減となっており、宅地は、逐年増加している。

<第3章> 土地所有・取引の動向(略)

<第4章> 地価の動向

 平成十四年地価公示により昨年一年間の全国の地価の状況を概観すると、
・ 住宅地・商業地ともに下落幅が拡大した。
・ 三大都市圏においても、東京圏の商業地を除き下落幅が拡大したが、東京圏では、横ばいの地点が大幅に増加した。また、利便性・収益性の差や個別の地点のおかれた状況によって、地価の二極化・個別化がより進行している。
・ 地方圏においては、住宅地・商業地ともに下落幅が拡大した。


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消費者物価指数の動向


―東京都区部(六月中旬速報値)・全国(五月)―


総 務 省


◇六月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成十二年を一〇〇として九八・一となり、前月と同水準。前年同月比は〇・八%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降二年十か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は九七・九となり、前月比は〇・一%の下落。前年同月比は一・〇%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降二年九か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

(1) 食料は九九・四となり、前月に比べ〇・二%の下落。
  生鮮魚介は〇・一%の上昇。
   <値上がり> あじ、かつおなど
   <値下がり> たい、えびなど
  生鮮野菜は一・一%の下落。
   <値上がり> レタス、キャベツなど
   <値下がり> トマト、きゅうりなど
  生鮮果物は〇・一%の上昇。
   <値上がり> グレープフルーツ、キウイフルーツなど
   <値下がり> メロン、すいか
(2) 教養娯楽は九五・四となり、前月に比べ〇・二%の上昇。
  教養娯楽サービスが〇・七%の上昇。
   <値上がり> 外国パック旅行

三 前年同月との比較

○下落に寄与している主な項目
 家賃(〇・八%下落)、電気代(五・九%下落)、教養娯楽用耐久財(一四・〇%下落)、家庭用耐久財(八・八%下落)、衣料(三・二%下落)、教養娯楽用品(三・二%下落)
 (注) 下落又は上昇している主な項目は、総合指数の前年同月比に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

◇五月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成十二年を一〇〇として九八・七となり、前月比は〇・三%の上昇。前年同月比は〇・九%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降二年九か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は九八・六となり、前月比は〇・一%の上昇。前年同月比は〇・八%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降二年八か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

(1) 食料は九九・二となり、前月に比べ一・〇%の上昇。
  生鮮魚介は〇・五%の上昇。
   <値上がり> いわし、かつおなど
   <値下がり> いか、たいなど
  生鮮野菜は六・九%の上昇。
   <値上がり> だいこん、ねぎなど
   <値下がり> トマト、たまねぎなど
  生鮮果物は一一・〇%の上昇。
   <値上がり> りんご、キウイフルーツなど
(2) 住居は一〇〇・〇となり、前月に比べ〇・二%の下落。
  家賃が〇・二%の下落。
   <値下がり> 民営家賃(木造中住宅)など
(3) 被服及び履物は九八・〇となり、前月に比べ〇・八%の上昇。
  衣料が二・一%の上昇。
   <値上がり> 婦人スーツ(夏物)など
(4) 交通・通信は九八・八となり、前月に比べ〇・四%の上昇。
  自動車等関係費が〇・六%の上昇。
   <値上がり> ガソリン(レギュラー)など

三 前年同月との比較

○下落に寄与している主な項目
 教養娯楽用耐久財(一五・〇%下落)、教養娯楽サービス(一・九%下落)、家庭用耐久財(七・九%下落)、衣料(三・一%下落)、電気代(二・二%下落)、教養娯楽用品(二・五%下落)
 (注) 下落又は上昇している主な項目は、総合指数の前年同月比に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。




















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五月の雇用・失業の動向


―労働力調査平成十四年五月結果の概要―


総 務 省


◇就業状態別の人口

 平成十四年五月末の就業状態別人口をみると、就業者は六千三百五十六万人、完全失業者は三百七十五万人、非労働力人口は四千百八十二万人と、前年同月に比べそれぞれ百十七万人(一・八%)減、二十七万人(七・八%)増、百三十万人(三・二%)増となっている。

◇就業者

(1) 就業者

 就業者数は六千三百五十六万人と、前年同月に比べ百十七万人(一・八%)の減少となり、十四か月連続の減少となっている。男女別にみると、男性は三千七百四十三万人、女性は二千六百十三万人で、前年同月と比べると、男性は六十四万人(一・七%)減、女性は五十三万人(二・〇%)減となっている。

(2) 従業上の地位

 就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千三百二十万人、自営業主・家族従業者は一千七万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は九十三万人(一・七%)減、自営業主・家族従業者は二十七万人減となり、雇用者は九か月連続の減少となっている。
 雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千二百七十七万人と、九十八万人(一・八%)減、九か月連続の減少
 ・常 雇…四千五百八十五万人と、百二十六万人(二・七%)減、十か月連続の減少
 ・臨時雇…五百八十一万人と、二十九万人(五・三%)増、五か月連続の増加
 ・日 雇…百十一万人と、一万人(〇・九%)減、四か月連続の減少

(3) 産 業

 主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…三百七万人と、十万人(三・二%)減
○建設業…六百七万人と、二十七万人(四・三%)減、十八か月連続の減少
○製造業…一千二百十六万人と、七十五万人(五・八%)減、十三か月連続の減少
○運輸・通信業…三百八十九万人と、二十万人(四・九%)減、四か月連続の減少
○卸売・小売業,飲食店…一千四百六十一万人と、三十九万人(二・六%)減、六か月連続の減少
○サービス業…一千七百八十九万人と、三十一万人(一・八%)増、二十七か月連続の増加
 また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…四百九十三万人と、三十五万人(六・六%)減
○製造業…一千百二十七万人と、六十七万人(五・六%)減
○運輸・通信業…三百七十一万人と、十九万人(四・九%)減
○卸売・小売業,飲食店…一千二百四万人と、二十二万人(一・八%)減
○サービス業…一千五百六十万人と、二十五万人(一・六%)増

(4) 従業者規模

 企業の従業者規模別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千七百十五万人と、六万人(〇・三%)減、五か月ぶりの減少
○三十〜四百九十九人規模…一千七百九十一万人と、一万人(〇・一%)減、二か月連続の減少
○五百人以上規模…一千百九十二万人と、百一万人(七・八%)減、十三か月連続の減少

(5) 就業時間

 五月末一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜三十五時間未満…一千四百十四万人と、二十二万人(一・六%)増加
 ・うち一〜三十時間未満…一千三十万人と、三十四万人(三・四%)増加
○三十五時間以上…四千八百十一万人と、百四十八万人(三・〇%)減少
 ・うち四十九時間以上…一千八百八十六万人と、四十九万人(二・七%)増加
 また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四二・八時間で、前年同月と比べ〇・二時間の減少となっている。

◇完全失業者

(1) 完全失業者数

 完全失業者数は三百七十五万人と、前年同月に比べ二十七万人(七・八%)増となり、十四か月連続の増加となっている。男女別にみると、男性は二百二十五万人、女性は百五十一万人で、前年同月に比べ、男性は十四万人(六・六%)の増加、女性は十五万人(一一・〇%)の増加となっている。
 また、世帯主の続き柄別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…百一万人と、九万人増加
○世帯主の配偶者…四十九万人と、八万人増加
○その他の家族…百七十一万人と、十万人増加
○単身世帯…五十四万人と、一万人増加

(2) 完全失業率(季節調整値)

 季節調整値でみた完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は五・四%と前月に比べ〇・二ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は五・五%、女性は五・三%と、前月に比べ男性は〇・一ポイントの上昇、女性は〇・四ポイントの上昇となっている。

(3) 完全失業率(原数値)

 完全失業率は五・六%と、前年同月に比べ〇・五ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は五・七%、女性は五・五%と、男性は〇・四ポイントの上昇、女性は〇・六ポイントの上昇となっている。

(4) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 [男]
○十五〜二十四歳…四十一万人(四万人減)、一一・一%(〇・二ポイント低下)
○二十五〜三十四歳…五十六万人(三万人増)、六・一%(〇・四ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十九万人(七万人増)、三・七%(〇・九ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…三十六万人(五万人増)、三・九%(〇・六ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…五十四万人(七万人増)、八・〇%(〇・八ポイント上昇)
 ・五十五〜五十九歳…二十二万人(五万人増)、五・七%(一・二ポイント上昇)
 ・六十〜六十四歳…三十一万人(一万人増)、一〇・八%(〇・三ポイント低下)
○六十五歳以上…九万人(三万人減)、二・九%(一・〇ポイント低下)
 [女]
○十五〜二十四歳…三十五万人(一万人増)、九・九%(〇・九ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…四十七万人(三万人増)、七・六%(〇・五ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十五万人(四万人増)、四・八%(〇・七ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…二十七万人(六万人増)、四・一%(一・一ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…十七万人(二万人増)、四・二%(〇・五ポイント上昇)
 ・五十五〜五十九歳…八万人(同数)、三・二%(同率)
 ・六十〜六十四歳…八万人(一万人増)、五・一%(〇・七ポイント上昇)
○六十五歳以上…一万人(一万人減)、〇・五%(〇・六ポイント低下)

(5) 求職理由別完全失業者数

 求職理由別完全失業者数は、次のとおりとなっている。
○定年等…三十九万人
○勤め先都合…百十三万人
○自己都合…百二十一万人
○学卒未就職…二十四万人
○新たに収入が必要…四十二万人
○その他…三十二万人














八月の気象

 一般に八月は一年のうちで最も気温が高く、立秋ごろに暑さは最高潮に達します。一方、夏は熱帯の海水の温度が高くなりますので、八月は九月と並んで台風が多く発生し、日本へ上陸することも多くなります。
 台風が日本に近づくと予想されるときは、テレビやラジオで台風情報が頻繁に放送されますので、対策を早めにとるとともに、仮に登山や海水浴などを計画していても、慎重に行動する必要があります。住んでいる場所の西側を台風が通るときは、台風が進む効果により、東側を通るときよりも風が強くなります。また、前線が日本付近にあるときは、強風だけでなく、大雨になりやすくなります。
 台風が日本からはるかに遠く離れたところにあると、風もないのに大きな波が海岸に押し寄せることがあり、これを土用波といいます。これは、遠くの台風付近で発生した波が衰えずに日本の海岸にうねりとなって押し寄せるものです。また、波の高さは同じでなく、高い波と低い波が混ざっています。このため、低い波ばかりだと安心していると、急に高い波の来ることがありますので注意が必要です。
 自動車の排気ガスや工場からの煙などが太陽の光に当たると複雑な反応を起こし、光化学オキシダントと呼ばれる物質が発生します。風が弱くて日射が強く、気温が高いときに光化学オキシダント濃度が高くなります。人によって差はありますが、オキシダント濃度が高くなると目がチカチカしたり、くしゃみや涙が出たりします。
 大気汚染気象予報を担当する気象台では、オキシダント濃度が基準(〇・一二ppm)を超えると予想されるときにスモッグ気象情報を発表し、都道府県に知らせるとともに報道機関を通じて住民にも注意を呼びかけます。都道府県ではオキシダント濃度が基準以上に上がって被害の生じる恐れがあるときに、光化学スモッグ注意報を発令し、学校や住民に周知します。光化学スモッグ注意報などが発令されたときは、屋外での激しい運動は避けましょう。夏は、学校のプールやクラブ活動などの野外活動が多いので、多くの生徒が光化学スモッグの被害を受けることがあります。
 夏の日中は地面が強く熱せられて、下層の空気の温度が上がり、大気の状態が不安定になって、激しい上昇気流が発生します。このような上昇気流が原因で発生する雷雨を熱雷といいます。内陸部は沿岸部に比べて気温が高くなりやすいので、熱雷が多くなり、局地的な大雨を伴うことがよくあります。
 また、この季節はゴルフや登山などのスポーツをはじめ屋外での活動が多く、それに伴い落雷の被害が起きやすくなります。
 落雷は雲と地面の間の放電現象です。電気の性質として広い平地で高く立っているものに落雷しやすいので、ゴルフ場に限らず、戸外で雷鳴が聞こえたら、早めに近くの安全な場所に避難しましょう。





暮らしのワンポイント

香味野菜の保存

 夏になるとしばしば食卓に上がる冷やっこや冷しそうめん。そしてこれらに欠かせないのが、薬味の大葉、しょうがです。でも、なかなか一度には使い切れません。残りを冷蔵庫に入れておいて、次に使おうと出してみると変色していたり、かびが生えていたり……。こんな経験、ありませんか。
 大葉は、水を含ませたコットンを底に敷いた空きビンに、茎を少し切ってから立てて入れ、ふたをして冷蔵庫で保存します。茎が水分を吸い上げるので二週間くらいは新鮮な状態が保てます。ビンの代わりに大葉が入る大きさのプラスチック容器を縦にして使ってもいいでしょう。
 しょうがは、砂に埋めておくのが一番の保存方法。果物などが入っていたりポリ容器に、きれいに洗って乾かした砂を入れて中にしょうがを埋めます。かびにくいし乾燥も防げます。新聞紙にくるんで常温におく方法でも、比較的長く保存できます。






    <8月21日号の主な予定>

 ▽交通安全白書のあらまし…………内 閣 府 

 ▽循環型社会白書のあらまし………環 境 省 




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