官報資料版 平成14年9月18日




                  ▽情報通信白書のあらまし…………総 務 省

                  ▽法人企業動向調査(六月)………内 閣 府

                  ▽毎月勤労統計調査(六月)………厚生労働省











情報通信白書のあらまし


総 務 省


 総務省は、「平成十四年情報通信に関する現状報告」(情報通信白書)を、平成十四年七月二日の閣議に報告後、公表した。
 今回の白書では、「IT活用型社会の胎動」を特集として取り上げ、ビジネス、行政、生活の各分野におけるIT活用の進展状況を明らかにするとともに、IT活用が進展していくための横断的な課題となる魅力あるコンテンツの流通、情報セキュリティの確保、新規サービスと技術開発の推進について分析している。
 情報通信白書のあらましは、次のとおりである。

第1章 特集 「IT活用型社会の胎動」

第1節 世界最先端を目指す情報通信ネットワークの現状

1 我が国におけるインターネットの着実な普及
 平成十三年末における我が国のインターネットの利用状況をみると、利用者数は五千五百九十三万人(対前年比八百八十五万人増)、人口普及率は四四・〇%(同六・九ポイント増)と、ここ数年で急速に増加を続けている(第1図参照)。また、インターネット利用者数を端末別にみると、パソコンによるインターネット利用者数は四千八百九十万人、携帯電話・PHS、携帯情報端末からのインターネット利用者数は二千五百四万人となっている。

2 世界におけるインターネットの普及状況
 世界におけるインターネット人口普及率を国・地域別にみると、三五%以上は二十一の国及び地域となっている。我が国のインターネット人口普及率である四四・〇%は全世界中、十六番目、利用者数である五千五百九十三万人は米国に次いでいる。

3 飛躍的に拡大するブロードバンド
 平成十三年版情報通信白書は「ブロードバンド元年」を宣言したが、その後ブロードバンド利用は飛躍的に拡大している。平成十四年三月末におけるブロードバンド回線加入数は、三百八十七万加入に達し、一年間で約四・五倍と飛躍的に拡大している(第2図参照)。中でも、DSLの加入数は爆発的な伸びを示しており、我が国のブロードバンド化の牽引役を果たしているといえる。ブロードバンドの急速な拡大の背景には、通信事業者間の競争の進展により料金の低廉化が進んでいることが挙げられる。従前、我が国のインターネット接続に係る料金は、欧米に比べて割高であったが、現在では世界で最も低い水準となっている。
4 世界をリードする携帯インターネット
 我が国の携帯電話によるインターネット接続サービス(以下「携帯インターネット」という)の利用は、世界を大きくリードしている。平成十一年二月に開始された携帯インターネットの加入数は、平成十四年三月末現在で五千百九十三万加入に達している。また、携帯電話の加入者に占める携帯インターネット加入数の割合は、七五・一%と、世界最高水準にある。

5 第三世代携帯電話のスタート
 平成十三年十月、我が国では世界に先駆けて二ギガヘルツ帯の第三世代移動通信システム(以下「IMT−二〇〇〇」という)の本格サービスが開始された。IMT−二〇〇〇(International Mobile Telecommunications−二〇〇〇)は、グローバルな高速データ通信を可能にする高品質なデジタル方式の新世代移動通信サービスである。我が国では、平成十三年十月からNTTドコモが本格サービスを開始し、年内には、KDDI、J−フォンを加えた三社での競争が開始される見込みである。

第2節 競争力あるビジネスの創出

1 情報化投資とマクロ経済
 我が国における平成十二年の民間情報化投資額は、二十兆八千億円(対前年比二一・七%増)と大幅に増加している。情報化投資を実施することによる我が国経済への波及効果を推計すると、生産誘発額が三十八兆六千百五十九億円、雇用創出が約百四十九万人となった(第3図参照)。また、我が国における平成十二年の民間情報通信資本ストックも、約四十四兆円(対前年比一三・三%増)と大きく増加している。情報通信資本、一般資本(情報通信を除く資本)、労働の各生産要素がどの程度経済成長の押上げに寄与しているか、いわゆる寄与度を推計したところ、例えば、平成七〜十二年には、経済成長率一・四%のうち一・一%が情報通信資本によるものと推計されるなど、情報通信資本が我が国の経済成長において大きな役割を担っていることが分かる。

2 情報化投資と企業行動
 我が国の上場企業における情報化の状況をみると、社内における情報通信インフラの基盤整備等を目的とする「基盤整備型」、経理・人事等の基幹業務における業務効率の向上等を目的とする「コスト削減型」、新規市場の開拓、顧客へのサービスや顧客満足度の向上等を目的とする「付加価値創造型」の順で取組が進められている。また、情報化投資の効果を発現するために、企業が必要と考えている条件をみると、「業務内容や業務の流れの見直し」(八三・七%)、「経営トップの強い意志」(六一・五%)等の割合が高くなっている。さらに、情報化の効果に対する上場企業の認識は、約六割の企業が「コストに見合った効果があった」と回答しており、企業は情報化による効果をおおむね前向きに捉えていることが分かる。

3 成長するインターネット・ビジネス
 今後市場の拡大が著しいと期待される、電子認証ビジネス、データセンタ、ASP、eラーニング及び電子商取引の平成十三年(度)の市場規模をみると、電子認証ビジネス市場(公開鍵基盤に基づくもの)が約六十三億四千万円、データセンタ市場が一千三百七十一億四千万円、ASP市場が六十億三千万円、eラーニング市場は二百九十億円、電子商取引(最終消費財)市場が一兆二千二百十八億円、電子商取引(中間財)市場が五十三兆九千億円と推計される。

4 情報通信ベンチャー企業の起業環境
 情報通信ベンチャー企業の創業時における課題は、「資金調達」が最も高く、次いで「人材確保」、「販売・マーケティング」となっている。他方、創業後の課題は、「販売・マーケティング」が最も高く、次いで「人材確保」、「資金調達」となっている。これらの課題を克服した情報通信ベンチャー企業が、一層の事業拡大を図るための競争力強化策をみると、非情報通信ベンチャー企業と比べて「他企業との提携」の割合が高く、企業間のネットワークを活用する傾向が強いと考えられる。実際、全国各地において情報通信ベンチャー企業を中心としたベンチャー企業の集積がみられる。

第3節 効率・簡素・透明・便利な行政の実現

1 電子政府・電子自治体の推進
 行政分野においても、国や地方公共団体が行政サービスの提供に当たって情報通信を活用し、行政情報の入手、手続等をインターネットで行うことができる電子政府・電子自治体を実現するため、様々な取組が推進されている。例えば、国の申請・届出等手続のオンライン化状況は、平成十三年度末に五百九十件(実施率五・三%)が完了されており、平成十五年度末には一万八百六十八件(同九七・七%)を完了することとしている。他方、国の電子政府の取組と歩調をあわせ地方公共団体においても、高度な情報通信技術の便益を最大限に活用し、行政事務の効率化・高度化、住民サービスの向上、地域の振興、地域間の情報格差の是正等に取り組んでいる。

2 電子自治体の現状
 住民・企業が電子自治体に期待している効果についてみると、「手続事務対応の迅速化」、「行政サービスの利便性向上」、「行政サービスコストの削減」の順となっている。電子化の現状に対する地方公共団体の自己評価をみると、行政機関内部の情報化を「十分満足な内容」あるいは「ある程度満足な内容」と回答している団体が多いことがうかがえる。すでにまた、地方公共団体の職員に、地方公共団体の電子化による仕事の変化を聞いたところ、仕事の質やスピードについて、六〜八割前後の職員が「非常によい影響」あるいは「良い影響」があったとしていることから、電子自治体の推進が職員の業務遂行に当たって一定の効果があるものと考えられる。

3 電子自治体の実現に必要な条件
 地方公共団体の電子化に当たって必要と思われる条件をみると、地方公共団体は「全庁的な財源の確保」、「専門知識を有する人材の確保」、「職員の情報リテラシー向上」を挙げている。このうち、「全庁的な財源の確保」への対応として地方公共団体では、「汎用パッケージの活用」や「民間企業へのアウトソーシング活用」等に取り組んでいる。他方、電子化された行政サービスの利用を促進するに当たって必要と思われる条件をみると、住民・企業ともに「住民・企業のインターネット普及促進」、「住民・企業のニーズ把握」、「セキュリティ基盤の整備」、「ブロードバンド・ネットワークの整備」を挙げている。

4 利用者本位の電子自治体の実現へ向けて
 住民が優先的な行政サービスの電子化の整備を期待している行政分野をみると、最も優先する分野として、「住民記録関係」(四八・三%)がその他の分野よりも二倍以上の期待が示されており、最優先での整備が求められていることが分かる。また、電子自治体の実現によって期待される行政サービスの提供方法を行政分野別にみると、住民では、「文化財・観光・レク」、「生涯学習・芸術・スポーツ」、「都市計画・基盤・交通」において「行政情報等の電子的提供」が、「廃棄物・公害・環境」、「子育て支援・教育」、「医療・保健、年金」において「住民・企業との情報交流の電子化」が、「住民記録関係」において「申請・届出等手続の電子化」が重視されていることが分かる。

第4節 ゆとりと豊かさを実感できる生活の実現

1 日常生活における情報通信の活用
 インターネット利用者に対して、日常生活におけるインターネットの必要性について聞いたところ、三人に二人が、日常生活にインターネットは「必要不可欠」と考えており、インターネット利用者にとって、インターネットは生活必需品になっていることがうかがえる(第4図参照)。また、インターネットの利用用途をみると、二年前、現在ともに、「電子メール」の利用が最も多くなっているが、二年前と比べて、「ネット・ショッピング」、「オークション」といった消費関連の利用率が比較的大きく伸びているほか、ブロードバンドに適した「オンライン・ゲーム」、「動画の受信・ダウンロード」、「eラーニング」の利用率が増加しており、本格的な普及の兆しがみえている。

2 情報リテラシーの向上
 インターネット利用者のインターネット操作能力(インターネット・リテラシー)について、現在と二年前を比較すると、二年前の全項目平均が四・八であるのに対し、現時点での平均が六・五と着実に向上していることが分かる(八点満点)。また、詳細にみてもすべての項目において活用能力の向上をみることができる。さらに、性別、年齢別、職業別にみると、特に職業別で大きな差がみられ、専業主婦が勤務者、学生と比べて低い得点となっている。この背景としては、専業主婦が、勤務者、学生と比べて、インターネットに接する機会が少ないことが考えられる。

3 デジタル・オポチュニティの確保
 インターネット利用率を世代別にみると、十歳台の利用率が最も高くなっている。また、都市規模別にみると、政令指定都市・特別区が最も高く、その他の市部、町村部と都市規模が小さくなるにつれて利用率は低下している。さらに、性別でみると、男性は女性よりも利用率が高い傾向にあり、依然としてデジタル・ディバイドが存在している。インターネット未利用者がインターネットを利用しない最大の理由としては、三割以上が「利用する必要がない」、「パソコンを使えない」を挙げており、動機付け、機器操作能力が障壁となっていることがうかがえる。インターネット利用率が低い傾向にある主婦及び高齢者のうち、インターネット未利用者のインターネット利用に対する意識をみると、インターネット利用の「必要性」を感じ、かつ、インターネットを「利用したい」と考えている「主婦」は五割強、「高齢者」は四割弱に上っている。また、利用を開始する条件として、主婦は経済的な条件、高齢者は指導者の存在等を重視している点に特徴があるといえる。

第5節 魅力あるコンテンツの流通

1 ネットワーク・コンテンツの現状
 我が国のインターネット上のコンテンツの総データ量は平成十年八月から十三年八月までの三年間で六・七倍になるなど急激な増加を示している。これをファイルタイプ別(HTML、画像、動画、音声)にみると、動画ファイル・音声ファイルにおける単位当たりのデータ量が増加することによって高度なコンテンツが現れつつあるものの、総ファイル数に占める動画ファイル・音声ファイルの割合はおおむね横ばいにとどまっており、その利用が十分には進んでいないことがうかがえる。また、メディア・ソフト(コンテンツ)の流通市場をみると、約十兆九千億円となっている。

2 ネットワーク・コンテンツに対する利用者ニーズ
 今後のブロードバンドを利用して受けられるサービスに対するユーザーのニーズについてみると、いずれのサービスも現在の利用状況に比べて高い利用意向が示されており、特に、高品質なコンテンツを用いたエンターテインメント性の高いサービスに対する希望が強い。また、映像・音楽コンテンツの有料での利用意向についてみると、レンタルビデオやレンタルCD程度の価格以下ならば有料でも利用したいという意見が大半を占めている。

3 知的財産権の保護と利用者の意識
 デジタル・コンテンツは容易に複製が可能であり、しかも複製による劣化がほとんどないことから、コピープロテクト等の問題は今までもたびたび議論の対象となってきた。現在では、ファイル交換システムや音楽CDの違法コピー等による著作権等の侵害が問題となってきている。インターネット利用者の著作権に対する意識についてみると、「著作権者の権利保護を優先すべき」(四〇・三%)とする回答が最も多いものの、「利用者の便益を優先すべき」との回答も二七・五%となっている。今後、著作権者の権利の保護と利用者の利便性を両立し、利用者の著作権に対する認識を深めるとともに、コンテンツの流通を促進させるルール作りが重要となってきているといえる。

4 著作権等の保護と利用者の利便性向上
 映像コンテンツには多数の著作物が使用され、多数の者が製作に関与することが多いため、権利関係が複雑である。既に権利者とその権利の利用者との間で、放送コンテンツのネットワーク流通に向けた権利クリアランス・システムの在り方に関する議論が開始されている。これらを踏まえ、総務省では、ブロードバンド・コンテンツのネットワーク流通の円滑化に向けて、平成十四年度から、権利クリアランス・システムに関する実証実験を実施する予定である。

第6節 情報セキュリティの確保

1 情報セキュリティ侵害等の現状
 インターネットが急速に普及し、その利用が国民に浸透しつつある中、コンピュータ・ウイルス、迷惑メール、電子商取引による詐欺、わいせつ画像等の不適切コンテンツ等の問題が、インターネット利用者に直接影響を及ぼす事態が生じている。例として、コンピュータ・ウイルスについてみると、過去一年間に、東証一部・二部上場企業の約六〇%で情報セキュリティに対する侵害事案が発生している。

2 セキュリティ・プライバシーに対する利用者のニーズ
 電子商取引を行う際に感じる不安として、インターネット利用者の五割以上が「クレジットカード番号や個人情報が第三者に盗まれないか」、「画面で見た商品のデザインや外観がイメージどおりのものか」、「購入した商品が無事に届くか」といった不安を感じており、ネットワーク上での個人情報の送信、取引相手の信頼性について高い不安感を持っていることがうかがえる。他方、企業では、個人情報保護に対する取組として、消費者向けビジネス(電子商取引を含む)を行っている企業の約六割が「プライバシーポリシーの策定」等、何らかの取組に着手している。

3 健全なネットワーク社会形成に向けた制度の整備
 情報セキュリティを確保するためには、技術等による対策だけではなく、ネットワーク社会における新たな制度/ルールの確立も必要となってきている。このような状況に対応するため、政府として、「電子署名及び認証業務に関する法律」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律案」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律案」等の制度整備を行っているところである。

第7節 早期の実現が期待される新規サービスと技術開発

1 ネットワーク・サービスの変化と技術開発の方向性
 インターネット利用者の急激な増加とともに、インターネット利用環境は、通信ネットワーク環境の高速化・多様化、インターネット接続端末の多様化、データやアクセス権管理の高度化等の変化をみせており、ユビキタス・ネットワーク社会の実現に向けた新たなサービス・技術が実用化されつつある。

2 ネットワーク社会に対応した通信サービス・技術
 従来、個人のインターネット利用者がインターネットへ接続する回線としては、アナログ回線やISDN回線が主流であったが、近年ブロードバンド回線の利用者が急増している。さらに、無線LAN技術やBluetooth等の無線通信技術(通信プロトコル)を搭載した各種端末の開発・販売が開始されており、これらを応用した無線アクセスシステムの導入により、「誰でも、いつでも、どこでも、どんな端末でも」利用できるユビキタス・ネットワーク環境が実現する兆しをみせている。

3 IPv6ネットワークでつながる情報家電
 インターネット利用者が今後利用したいと考えているネットワーク端末についてみると、現在利用しているパソコン、携帯電話、PDAに次いで、遠隔操作が可能な家電やテレビへの期待が高くなっている。しかしながら、現在の標準的なインターネット・プロトコルであるIPv4(Inter− net Protocol version 4)では、すべての家電をインターネットに接続するとIPアドレスが不足することが懸念されている。そこで、現在、IPv4から、次世代のインターネット・プロトコルであるIPv6(Internet Protocol version 6)への移行が官民を挙げて進められている。IPv6の実用化に向けた研究開発については、我が国は世界に先んじて、様々な実証実験等が行われているところである。

4 日米欧の技術開発戦略
 IT分野の研究開発については、米国や欧州等の先進国も積極的な取組を行っている。日米の研究開発水準を比較すると、日本が米国よりも優れている技術は、移動体端末、情報家電、スーパー・コンピュータ、音声合成、言語情報処理、電子・光学材料となっている。従来のインターネットの技術開発は米国が先導してきたが、今後は我が国が強みである移動体通信、情報家電、ヒューマン・インタフェース技術等の研究を一層進め、世界へ貢献していくことが有意義であると考えられる。

第2章 情報通信の現況

第1節 情報通信産業の動向

1 市場規模
 平成十二年における我が国の情報通信産業の市場規模は、百十三兆八千億円(対前年比六・五%増)と、平成七年以降、一貫して増加しており、我が国の経済活動が低迷を続ける中、堅調な成長を続けている。また、主な産業と比較すると、平成八年に建設を上回り、主な産業中、最大規模の産業となっており、全産業の市場規模総額に占める割合は一一・六%(対前年比〇・五ポイント増)となっている。

2 情報通信経済分析
 情報通信産業の成長が経済成長率をどの程度押し上げたか、いわゆる寄与度を推計したところ、平成十二年における経済成長率二・三六%のうち、情報通信産業の成長による寄与は〇・七%となっている。また、これを経済成長率に対する情報通信産業の寄与の割合、いわゆる寄与率でみると、三割程度となっており、情報通信産業が経済成長の下支えとなっていることが分かる。

3 雇用
 我が国における平成十二年の情報通信産業の雇用者数は三百八十二万人、全雇用に占める割合は七・一%である。また、産業別にみると、情報通信産業は、小売業の六百三十万人、建設業の五百三十万人に次ぐ雇用者を擁している。

4 設備投資
 通信・放送産業における平成十三年度の設備投資計画は四兆三千三百七十八億円(同一・七%増)と、全産業の設備投資合計が減少に転じると見込まれる中、携帯電話契約者の増加やIMT−二〇〇〇のサービス開始等の需要増加に対応した移動系電気通信事業者の積極的な設備増強等により、増加する見込みとなっている。

5 業界再編
 国内における業界再編について固定系通信市場をみると、平成十三年五月にKDDI、日本テレコム、NTTコミュニケーションズが地域通信市場に参入している。また、平成十四年二月に東京電力が本体で第一種電気通信事業許可を取得し、平成十四年三月からFTTH事業を開始している。

第2節 電気通信事業

1 電気通信事業者
 平成十三年度末における電気通信事業者数は一万五百二十社と、初めて一万社を上回った。また、電気通信事業者のうち、インターネット接続サービスを提供している事業者は六千七百四十一社と引き続き増加している。
 また、平成十二年度における電気通信事業者の営業収益は、第一種電気通信事業者が十六兆九千八百二十六億円、第二種電気通信事業者が一兆三千七百五十一億円となっている。

2 電気通信サービス
 我が国における電気通信サービスは、サービスの多様化が進展しており、とりわけ、近年ではDSL、ケーブル・インターネット、IMT−二〇〇〇等、インターネットを中心とした高速・大容量のデータ通信に適した電気通信サービスが急速に普及している。また、主な電気通信サービスにおける平成十三年度末の契約数等をみると、加入電話契約数が五千七十四万契約(対前年度比二・六%減)と、五年連続で減少している。ISDNの加入者数は一千三十三万契約(同六・五%増)と、急速なインターネットの普及等により、加入者数が初めて一千万加入を上回った。また、携帯電話の加入契約数は六千九百十二万契約(同一三・四%増)となり、増加のペースがやや鈍化している。

3 電気通信料金
 平成十三年における我が国の通信料金について、日本銀行「企業向けサービス価格指数(平成七年基準)」をみると、固定系通信では、国内電話及びISDNが低下幅を拡大させている。また、近年の太平洋海底ケーブルの敷設ラッシュに伴う事業者の新規参入増加により米国への国際専用線料金が低廉化したこと等から国際専用線の低下が著しいものとなっている。

第3節 放送事業

1 放送事業者
 平成十三年度末における放送事業者は、地上系一般放送事業者三百四十八社(うち、コミュニティ放送事業者百五十二社)、衛星系一般放送事業者百四十六社、自主放送を行うケーブルテレビ事業者六百六十九社となっている。また、平成十四年一月に電気通信役務利用放送が新たに制度化された。
 平成十二年度の放送事業者の営業収益についてみると、地上系民間放送事業者が二兆六千四百六十六億円(対前年度比六・六%増)、衛星系民間放送事業者が一千八百九十一億円(対前年度比一七・七%増)、ケーブルテレビ事業者が二千四百六十三億円(対前年度比九・八%増)といずれも増加している。

2 放送サービス
 平成十三年度末における地上民間テレビジョン放送局の開局数は百二十七局となっており、約九割の世帯で四チャンネル以上が視聴可能となっている。衛星放送についてみると、CS放送では、平成十二年十月にBSと同じ東経百十度に打ち上げられたN−SAT−一一〇を用いて、平成十四年三月から放送サービスの提供を開始している。また、ケーブルテレビでは、近年、衛星系放送における番組の再送信や自主制作番組の増加等により、放送番組が多様化しつつある。

3 放送料金
 地上系放送及び衛星系放送の受信料及び料金の体系についてみると、NHKは受信料、民間放送は広告収入・有料放送料金が財源となっている。

第4節 郵便事業

1 概況
 平成十二年度における郵便事業財政は百億円の赤字となっているが、郵便業務収入が減少した中、人件費及び物件費等の費用を圧縮するなどの経営努力により、平成十一年度に比べ赤字額が四百五十三億円縮小している。

2 取扱数
 平成十三年度における総引受郵便物数(内国郵便物数と国際引受郵便物数の合計)は、二百六十七億通(対前年度比〇・七%増)と昨年に引き続き過去最高を更新している。また、平成十二年度における各国の総引受郵便物数を比較すると、我が国は米国・フランスに次いで世界第三位である。

第5節 情報通信ネットワーク

1 高速・超高速ネットワーク
 加入者と電気通信事業者の収容局の間を結ぶ加入者系ネットワークは、近年の高速かつ大容量のデータ通信に対するニーズの高まりなどにより、光ケーブルによる整備が進むなど急速に多様化が進展している。光ファイバ網の整備状況についてみると、平成十二年度末には電気通信事業者の集線点ベースで全国平均四三%(対前年度比七ポイント増)と着実に整備が進展している。他方、中継系ネットワークの整備においても光ファイバの敷設による増強が図られており、交換局間を結ぶ中継系ネットワークは、ほぼ一〇〇%の光ファイバ化が完了している。

2 無線局
 平成十三年度末における無線局数は、七千四百三十四万五千六百三十四局(対前年度比一一・七%増)となっている。内訳をみると、携帯電話の急速な普及に伴い、携帯電話端末等の陸上移動局が七千百七十万九千二百七十八局(対前年度比一二・四%増)と大幅に増加している。また、基地局数は、七十九万三千八百六十局(対前年度比三・四%減)と二年連続で減少しているものの、IMT−二〇〇〇の基地局が八千百十九局(対前年度比四〇四二・三%増)と急激に増加しており、本格サービスの開始に向け、移動系通信事業者が積極的な設備投資を行っていることがうかがえる。

第6節 情報流通

 過去十年間の我が国における情報量の推移をみると、いずれの情報量も一貫して増加しており、とりわけ近年その増加は著しいものとなっている。これには、情報化、ネットワーク化の進展等に伴い、「専用サービス(データ伝送)」、「ISDN(データ伝送)」の情報流通量が毎年加速度的に増加していることが大きく寄与している。

第7節 海外の動向

1 米国
 IT関連分野における主な国家プロジェクトとしては、次世代超高速インターネット・インフラの研究開発(IT、Information Technology for the 21st Century)、電子政府の構築(E Government Project)、人材育成(人材投資法による二十一世紀人材委員会による戦略的提言)、国家、公安のセキュリティ強化(大統領命令「Infrastructure Protection in the Information Age」に基づくサイバー・セキュリティ委員会の設置)等があり、国家的な観点からその推進に取り組んでいる。

2 EU
 従来の電気通信分野における規制の枠組みを見直し、電気通信産業における競争を更に促進させることを目的とした「電気通信規制パッケージ」が二〇〇二年四月二十四日に公布施行された。これによって、EU加盟国は二〇〇三年七月二十四日までに同パッケージを国内法制化することが義務付けられた。

3 アジア
 中国では、二〇〇〇年九月に「電信条例」が制定され、電気通信事業を「基礎通信業務」と「付加価値通信業務」に分類し、「基礎通信業務」への外資の出資を四九%まで認めるとともに、「付加価値通信業務」では外資制限に関する規定を設けないなど、外資に対し市場が開放された。インドでは、電気通信サービスの自由化、事業体の民営化等の変革に対応するため、一九九四年に「一九九四年電気通信政策」が発表され、すでに二〇〇二年四月に自由化された国際通信を含むすべての電気通信サービスが民間に開放されている。

第3章 情報通信政策の動向

第1節 高度情報通信ネットワーク社会の実現

 情報通信技術の活用により世界規模で生じている社会経済構造の変化に的確に対応するため、平成十三年一月に「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」が施行された。同法に基づき、政府に設置されたIT戦略本部では、我が国が五年以内に世界最先端のIT国家となることを目指した「e−Japan戦略」を制定し、平成十三年三月に、同戦略を具体化する「e−Japan重点計画」、同年六月に、同重点計画を平成十四年度の施策に反映する年次プログラム「e−Japan二〇〇二プログラム」が制定された。
 さらに、これから二〇〇五(平成十七)年という目標年次への中間段階に差し掛かることから、「e−Japan重点計画」を全面的に見直し、三百を超える施策を盛り込んだ新たな「e−Japan重点計画−二〇〇二」を、平成十四年六月に策定することとしている。

第2節 情報通信新時代に向けた政策展開

1 IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策
 総務省では、@非対称規制の整備、A卸電気通信役務の制度整備、B電気通信事業紛争処理委員会の設置、Cユニバーサル・サービス(基礎的電気通信役務)の提供の確保に係る制度の整備、D東・西NTTの経営自由度を高めるための業務範囲の拡大、等を主な内容とする「電気通信事業法等の一部を改正する法律案」を第百五十一回通常国会に提出し、同法案は平成十三年六月に成立・公布、同年十一月より施行された。

2 ユニバーサル・サービス基金の導入
 総務省は、ユニバーサル・サービス基金の具体的な制度設計に関して、平成十四年三月に関係政省令を情報通信審議会に諮問した。これによれば、対象となる基礎的電気通信役務の範囲は、加入電話、公衆電話及び緊急通報とされ、交付金の算定方式として、「相殺型の収入費用方式」を採用することとされた。
 平成十四年六月には、改正法及び関係政省令が施行され、基金制度が導入される予定となっている。
3 電波の有効利用政策の推進
 総務省では、電波の逼迫状況に対処するため、まず電波行政の一層の透明化を確保することとして、電波の利用状況を調査、評価、公表する制度及び無線局に関する情報提供制度の拡充を内容とする「電波法の一部を改正する法律案」を第百五十四回通常国会に提出した。同法律案は、平成十四年五月に成立・公布された。

第3節 ネットワークの高度化

1 ネットワーク・インフラの整備・推進
 総務省では、高速・超高速インターネットの全国的な普及に関して、平成十七年度までのスケジュールや官民の役割分担、実際の利用見込み、期待される社会生活の変化を明らかにした「全国ブロードバンド構想」を平成十三年十月に公表した。また、平成十四年二月に、無線LAN等の導入・高度化等を図るため、二・四ギガヘルツ、二十五ギガヘルツについて関係省令を改正した。

2 放送の高度化の推進
 放送のデジタル化は、視聴者に多くのメリットをもたらすとともに、アナログ放送と比較して使用周波数を大幅に節減することが可能となり、移動体通信等の新しい周波数ニーズへの対応が可能となる。我が国では、すでにCS放送、BS放送、ケーブルテレビについてデジタル放送が開始されている。地上テレビジョン放送については、デジタル化への移行に先立ち、既存のアナログ放送周波数の変更(いわゆる「アナアナ変更」)に伴い必要となる対策経費を平成十三年度、十四年度に予算計上するとともに、この経費を国が電波利用料により措置するため、平成十三年七月に電波法の一部改正が行われた。

3 通信と放送の融合
 総務省では、通信・放送融合技術の開発を行う者を支援し、サービスの開発の加速・推進を図ることを目的として、第百五十一回通常国会に「通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律案」を提出した。同法律案は、平成十三年十一月に施行された。また、通信と放送の伝送路の融合が進展してきていることに対応し、電気通信役務を利用した放送を制度化することを目的とした「電気通信役務利用放送法案」を、第百五十一回通常国会に提出した。同法律案は、平成十四年一月に施行された。

第4節 コンテンツ・アプリケーションの推進及び人材の育成

1 ブロードバンド・ネットワーク時代に対応した新たなコンテンツ流通市場の形成
 総務省は、ブロードバンド・ネットワーク時代に対応した新たなコンテンツ流通市場の形成に向けて、各種施策を推進している。例えば、平成十年度より十三年度まで、「創造的情報通信システムの研究開発」の一環として、双方向機能や蓄積機能等、デジタル技術を活用した高機能なブロードバンド・コンテンツの利用促進を実現するコンテンツ流通システムについて、通信・放送機構において研究開発を委託して実施している。

2 人材の育成
 将来の高度情報通信社会に生きる児童生徒に、情報化に主体的に対応できる資質や能力を育成することは、学校教育の極めて大きな課題である。平成十三年度にはすべての公立学校がインターネットに接続可能な環境整備が行われたところである。また、総務省では、平成十三年度より、急速に高度化が進む情報通信分野の専門的な知識及び技能を有する人材を育成することにより、IT人的資源大国となることに貢献することを目的として、「情報通信人材研修支援制度」を導入した。

第5節 公共分野の情報化の推進

1 地域情報化の推進
 総務省では、教育・福祉等の住民サービスの向上、行政の効率化、情報格差(デジタル・ディバイド)の是正等の観点から総合的に地域の情報化を推進している。特に、平成十七年度までの地域公共ネットワークの全国整備の実現に向けて、「地域イントラネット基盤施設整備事業」等の補助事業を充実するとともに、地方単独事業の活用も図ることとし、補助事業、単独事業ともに適切に地方財政措置を講ずるなど、総務省全体として地方公共団体等を支援している。

2 行政手続のオンライン化と公的認証基盤の整備
 総務省では、申請、届出等に限らず法令に基づく行政手続について、書面による手続に加え、原則としてすべてオンラインによる手続も可能とするために必要な事項を定めることにより、国民の利便性の向上、行政運営の簡素化及び効率化に資することを目的とする「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律案」を国会に提出する予定である。また、平成十三年度からブリッジ認証局並びに総務省、経済産業省及び国土交通省の認証局が運用を開始している。

3 地方公共団体における申請・届出等手続の電子化
 地方公共団体における汎用受付システムについては、平成十三年度から三か年計画で「電子自治体推進パイロット事業」が実施されており、平成十四年三月には自治事務等オンライン化推進関係省庁連絡会議において基本仕様が策定された。

第6節 情報通信高度化の環境整備

1 電気通信利用環境の整備
 インターネットのウェブページや電子掲示板等(特定電気通信)への情報掲載による他人の権利の侵害に、プロバイダ等が迅速かつ適切な対応が行えるよう責任を明確化するための必要なルール整備として、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(通称:プロバイダ責任制限法)」が平成十四年五月に施行された。また、第百五十四回通常国会に議員提出法案として「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律案(通称:特定電子メール法)」が提出、可決された。

2 安全・信頼性の向上及び危機管理対策の推進
 警察庁、郵政省(現総務省)及び通商産業省(現経済産業省)の三省庁共管により、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(通称:不正アクセス禁止法)」が、平成十二年二月(一部については同年七月)から施行されている。また、「被災者支援安否情報登録検索システム」の共同開発が独立行政法人通信総合研究所において行われており、平成十三年九月に起きた米国同時多発テロにおいても利用されたところである。

第7節 研究開発の推進

1 総合科学技術会議による情報通信分野の推進戦略の策定
 平成十三年三月に閣議決定された「第二期科学技術基本計画」では、科学技術分野において、知的資産の増大、経済的効果、社会的効果について寄与の大きいものとして、情報通信分野を含む四つの分野において特に重点を置き、優先的に研究開発資源を配分することとした。さらに、重点分野における研究開発の推進のために、平成十三年九月に分野別推進戦略が取りまとめられた。

2 競争的資金による研究開発支援
 情報通信技術の研究開発力の向上及び競争的な研究環境の形成による研究者のレベルアップを図り、世界をリードする知的財産を創出していくため、総務省では、平成十四年度に戦略的情報通信研究開発推進制度を創設し、戦略的な重点課題に沿った独創性・新規性に富んだ研究開発を積極的に推進していくこととしている。

3 テラビット級スーパー・ネットワークの開発
 「e−Japan重点計画」では、「現在のインターネットの一万倍の処理速度と三万倍の接続規模」を有する「スーパー・インターネット」の実現が掲げられている。総務省では、平成十四年度から「テラビット級スーパー・ネットワークの開発」を推進しており、テラビット級のトラフィックを安定かつ最適な経路で制御・管理する技術及び伝送品質・伝送速度の異なるIPやモバイル等の多様なシステムからの接続を迅速に処理する技術について研究開発を実施している。
4 スーパー・インターネットの実現に向けた取組
 総務省では、情報家電とインターネットの活用により多様なコンテンツの円滑な流通を実現するための基盤技術の確立や、あらゆる電子機器にインターネット接続機能を持たせてすべての国民が「いつでも」「どこでも」様々なインターネット・サービスを受けることが可能となることを目指し、情報家電インターネットに関する研究開発(情報家電IPv6化に関する総合的な研究開発)、スーパー・インターネットに関する研究開発に取り組んでいるところである。

5 ネットワーク・セキュリティ基盤技術の開発
 総務省では、情報セキュリティに関する基盤技術の研究開発を推進するため、平成十三年度より、@ネットワーク系セキュリティ技術、Aアクセス系セキュリティ技術、B流通情報(コンテンツ)系セキュリティ技術、Cセキュリティ共通要素技術/評価・検証の四分野からなるネットワーク・セキュリティ基盤技術の研究開発を実施している。

6 独立行政法人通信総合研究所(CRL)における研究開発の取組
 通信総合研究所は、平成十三年四月一日をもって独立行政法人として新たなスタートを切り、国立研究所時代からの研究成果の蓄積を活かしつつ、独立行政法人の効率的・機動的な研究実施体制のメリットを最大限活用し、情報通信分野の公的研究開発機関として責務を果たすことが期待されている。

第8節 グローバル化への対応

1 国際政策の推進
 G8サミットでは、「デジタル・オポチュニティ作業部会(ドット・フォース:Digital Opportunity Task Force)」によって提出された国際的デジタル・ディバイド解消に向けた行動計画(ジェノバ行動計画)等に関する報告書が、二〇〇一年七月に開催されたジェノバ・サミット首脳会合において支持され、二〇〇二年六月開催予定のカナナスキス・サミット(カナダ)で、ジェノバ行動計画の実施状況をレビューすることについて合意される予定である。

2 電気通信機器の国際流通の進展への対応
 総務省では、従来から諸外国との相互承認を推進している。例えば、欧州共同体との間では、電気通信機器、電気製品、化学品及び医薬品の四分野において相互承認を実施する「相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定」が、平成十三年四月に署名、十四年一月に発効された。これを受けて総務省は、欧州共同体との相互承認を推進し、もって電気通信機器等の輸出入の円滑化を図ることを目的とする「特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律」及び関係政省令を公布、施行している。

第9節 郵便局ネットワークの活用

1 郵政事業の公社化と郵便事業への民間参入
 総務省では、第百五十四回通常国会に、「日本郵政公社法案」、「日本郵政公社法施行法案」、「民間事業者による信書の送達に関する法律案」、「民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」を提出したところである。

2 郵便局におけるワンストップ・サービスの推進
 住民の利便の増進を図るとともに、地方公共団体の組織及び運営の合理化に資するため、住民票の写しの交付等の事務を郵便局において取り扱うことができるようにする「地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案」が第百五十二回臨時国会において成立し、平成十三年十二月一日より施行されている。



歳時記


中秋

 中秋といえば、名月を連想します。名月の句でよく知られているのは、なんといっても松尾芭蕉の
  名月や池をめぐりて夜もすがら
でしょう。
 陰暦では七月から九月の三か月が秋にあたり、その真ん中の八月を「中秋」と呼んでいました。陰暦八月十五日の中秋の名月は、新暦では九月にあたり、今年は九月二十一日です。この時期は天候が比較的安定し、空気が澄み、また、夏の暑さが終わって、月を観賞するのにふさわしい気候です。
 中国では、古くから、この日を中秋節といって、月神やウサギの絵を飾り、月餅(げっぺい)や枝豆を供えて宴(うたげ)を催します。日本では、ススキや十五夜団子、枝豆、イモなどを供える風習があります。
 名月を見上げていると、一句ひねってみたい気分になります。それと同時に思い出されるのは、一九六九年、アメリカのアポロ11号が月の「静かの海」に着陸し、人類が初めて月に降り立ったこと。いま、人類の夢は果てしなく宇宙へと広がっています。
 さて、九月二十日は「空の日」、二十日から三十日は「空の旬間」です。九月二十日は明治四十三年、わが国の飛行機が初めて空を飛んだ日。国際化時代の航空機の役割は大きくなっており、国内交通にも航空輸送は欠かせないものになっています。この旬間を機に、空港の整備や航空の安全にも、関心をもちたいものです。




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法人企業動向調査


―平成十四年六月実施調査結果―


内 閣 府


◇調査要領

 本調査は、資本金一億円以上の法人企業について、設備投資の実績及び計画並びに企業経営者の景気と経営に対する判断及び見通しを調査したものである。
 ・調査対象:国内に本社または主たる事務所をもって企業活動を営む資本金一億円以上の法人企業(約三万七千社)から、内閣府が定める方法により選定した四千五百六十一社を対象とした。
 ・調査時点:平成十四年六月二十五日
 ・調査方法:調査客体法人の自計申告により行った。
 なお、資本金が百億円以上の法人企業については原則として全数調査、百億円未満の法人企業は、層化任意抽出法により選定した法人について調査した。
 ・有効回答率:調査対象法人四千五百六十一社のうち、有効回答法人四千百五十一社、有効回答率九一・〇%

〔利用上の注意〕

(1) 今期三か月の判断とは平成十四年一〜三月期と比較した場合の十四年四〜六月期の判断、来期三か月の見通しとは十四年四〜六月期と比較した場合の十四年七〜九月期の見通し、再来期三か月の見通しとは十四年七〜九月期と比較した場合の十四年十〜十二月期の見通しである。ただし、在庫水準と生産設備については、それぞれの調査期間における判断と見通しである。
(2) 第1図、第1〜8表の十四年四〜六月以前は今期の判断、十四年七〜九月は来期の見通し、十四年十〜十二月は再来期の見通しである。
(3) 判断指標(BSI)とは「上昇(強くなる・増加・過大)の割合−下降(弱くなる・減少・不足)の割合」である。
(4) 設備投資の公表数値は、母集団推計値である。また、算出基準は工事進捗ベース(建設仮勘定を含む有形固定資産の減価償却前増加額)である。
(5) 季節調整法は、センサス局法U、X―11を用いた。
(6) 集計上の産業分類は、日本標準産業分類を基準とする会社ベースでの主業分類に基づいて行った。
(7) 昭和六十三年三月調査より、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社、JR関係七社及び電源開発(株)を調査対象に加えるとともに、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社については六十年四〜六月期、JR関係七社については六十二年四〜六月期に遡及して集計に加えた。
(8) 平成元年六月調査より消費税を除くベースで調査した。
(9) 平成十年六月調査より以下のとおり産業分類の見直しを行い、昭和五十九年六月調査に遡及して集計を行った。
 @ 「造船」を「その他の輸送用機械」に合併。
 A 「印刷・出版」を「その他の製造業」に合併。
 B 「卸売・小売業,飲食店」の内訳を廃止し、「卸売業」と「小売業,飲食店」に分割。
 C 「運輸・通信業」の内訳を廃止し、「運輸業」と「通信業」に分割。
 D 「電力業」と「ガス業」を合併し、「電力・ガス業」とする。
 E 「サービス業」を「サービス業(除くリース業)」と「リース業」に分割。
 F 製造業を素材型、加工型に分類。
(10) 昨年度まで年一回(六月調査時)調査していた「海外直接投資の動向」は、報告者記入負担の軽減にかんがみ、平成十三年度から廃止することとした。

一 景気見通し(全産業:季節調整値)

1 国内景気第1表参照

 企業経営者による国内景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十四年一〜三月期「マイナス三十六」の後、四〜六月期は「マイナス十四」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについては、七〜九月期に「マイナス四」と引き続き「下降」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「十二」と「上昇」超に転じる見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十四年一〜三月期「マイナス三十三」の後、四〜六月期は「マイナス七」と「下降」超幅が縮小した。先行きについては、七〜九月期に「マイナス一」と引き続き「下降」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「十二」と「上昇」超に転じる見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十四年一〜三月期「マイナス三十九」の後、四〜六月期は「マイナス十七」と「下降」超幅が縮小した。先行きについては、七〜九月期に「マイナス七」と引き続き「下降」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「十二」と「上昇」超に転じる見通しとなっている。

2 業界景気第2表参照

 所属業界の景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十四年一〜三月期「マイナス三十五」の後、四〜六月期は「マイナス十九」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについては、七〜九月期に「マイナス九」と引き続き「下降」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「〇」となる見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十四年一〜三月期「マイナス三十二」の後、四〜六月期は「マイナス十一」と「下降」超幅が縮小した。先行きについては、七〜九月期に「マイナス六」と引き続き「下降」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「一」と「上昇」超に転じる見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十四年一〜三月期「マイナス三十七」の後、四〜六月期は「マイナス二十三」と「下降」超幅が縮小した。先行きについても、七〜九月期「マイナス十一」、十〜十二月期「マイナス二」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。

二 需要・価格関連見通し(季節調整値)

1 内外需要(製造業)(第3表参照

 企業経営者による国内需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、平成十四年一〜三月期「マイナス二十九」の後、四〜六月期は「マイナス九」と「弱くなる」超幅が縮小した。
 先行きについては、七〜九月期に「マイナス二」と引き続き「弱くなる」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「五」と「強くなる」超に転じる見通しとなっている。
 他方、海外需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、十四年一〜三月期「マイナス十四」の後、四〜六月期は「〇」となった。
 先行きについては、七〜九月期「五」、十〜十二月期「九」と「強くなる」超幅が拡大する見通しとなっている。

2 在庫水準(製造業)(第4表参照

 原材料在庫水準に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成十四年三月末「十九」の後、六月末は「十五」と「過大」超幅が縮小した。
 先行きについても、九月末「十」、十二月末「七」と「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、完成品在庫水準に関する判断指標をみると、十四年三月末「三十」の後、六月末は「二十二」と「過大」超幅が縮小した。
 先行きについても、九月末「十五」、十二月末「十一」と「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。

3 価格(製造業、農林漁業、鉱業)(第5表参照

 原材料価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十四年一〜三月期「マイナス三」の後、四〜六月期は「マイナス一」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについては、七〜九月期に「二」と「上昇」超に転じた後、十〜十二月期は「一」と「上昇」超で推移する見通しとなっている。
 他方、製品価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、十四年一〜三月期「マイナス二十九」の後、四〜六月期は「マイナス二十一」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについても、七〜九月期「マイナス十三」、十〜十二月期「マイナス十一」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。

三 経営見通し(季節調整値)

1 売上高(全産業:金融・保険業、不動産業を除く)(第6表参照

 売上高に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成十四年一〜三月期「マイナス二十二」の後、四〜六月期は「マイナス九」と「減少」超幅が縮小した。
 先行きについては、七〜九月期に「マイナス四」と引き続き「減少」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「〇」となる見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十四年一〜三月期「マイナス二十三」の後、四〜六月期は「マイナス一」と「減少」超幅が縮小した。先行きについては、七〜九月期「マイナス二」の後、十〜十二月期には「二」と「増加」超に転じる見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十四年一〜三月期「マイナス二十」の後、四〜六月期は「マイナス十三」と「減少」超幅が縮小した。先行きについては、七〜九月期に「マイナス四」と引き続き「減少」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「〇」となる見通しとなっている。

2 経常利益(全産業:金融・保険業、不動産業を除く)(第7表参照

 経常利益に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成十四年一〜三月期「マイナス二十四」の後、四〜六月期は「マイナス九」と「減少」超幅が縮小した。
 先行きについては、七〜九月期に「マイナス四」と引き続き「減少」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「〇」となる見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十四年一〜三月期「マイナス二十六」の後、四〜六月期は「マイナス四」と「減少」超幅が縮小した。先行きについては、七〜九月期に「マイナス一」と引き続き「減少」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「二」と「増加」超に転じる見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十四年一〜三月期「マイナス二十二」の後、四〜六月期は「マイナス十三」と「減少」超幅が縮小した。先行きについては、七〜九月期に「マイナス六」と引き続き「減少」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「〇」となる見通しとなっている。

四 生産設備見通し(製造業:季節調整値)(第8表参照

 生産設備に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成十四年一〜三月期「三十五」の後、四〜六月期は「三十」と「過大」超幅が縮小した。
 先行きについても、七〜九月期「二十七」、十〜十二月期「二十五」と「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。

五 設備投資の動向(全産業:原数値)

1 半期の動向第9表参照

 設備投資の動向を半期別に前年同期比でみると、平成十三年七〜十二月期(実績)六・三%減の後、十四年一〜六月期(実績見込み)は六・六%減と引き続き減少した。
 先行き七〜十二月期(計画)は、六・〇%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十三年七〜十二月期一二・〇%減の後、十四年一〜六月期は一七・八%減と引き続き減少した。先行き七〜十二月期は、一五・七%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十三年七〜十二月期三・四%減の後、十四年一〜六月期は〇・六%減と引き続き減少した。先行き七〜十二月期は、一・四%減と引き続き減少する見通しとなっている。

2 資本金規模別動向第10表参照

 資本金規模別に前年同期比でみると、資本金十億円以上の大企業は、十三年七〜十二月期(実績)四・八%減の後、十四年一〜六月期(実績見込み)は九・九%減と引き続き減少した。先行き七〜十二月期(計画)は、五・三%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 他方、資本金一〜十億円の中堅企業は、十三年七〜十二月期八・九%減の後、十四年一〜六月期は〇・三%減と引き続き減少した。先行き七〜十二月期は、七・三%減と引き続き減少する見通しとなっている。

3 暦年の動向

 暦年の動向を前年比でみると、平成十三年(実績)一・五%減の後、十四年(計画)は六・三%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十三年〇・八%減の後、十四年は一六・八%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十三年一・八%減の後、十四年は一・〇%減と引き続き減少する見通しとなっている。

4 四半期の動向(季節調整値)

 四半期の動向を前期比でみると、一〜三月期(実績)一・五%減の後、四〜六月期(実績見込み)は三・九%減と引き続き減少した。
 産業別にみると、製造業は、一〜三月期五・八%減の後、四〜六月期は〇・二%減と引き続き減少した。
 他方、非製造業は、一〜三月期〇・九%増の後、四〜六月期は四・五%減と減少に転じた。

5 四半期の動向(原数値)

 四半期の動向を前年同期比でみると、一〜三月期(実績)八・八%減の後、四〜六月期(実績見込み)は三・八%減と引き続き減少した。
 産業別にみると、製造業は、一〜三月期二〇・七%減の後、四〜六月期は一四・四%減と引き続き減少した。
 他方、非製造業は、一〜三月期二・七%減の後、四〜六月期は二・〇%増と増加に転じた。








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賃金、労働時間、雇用の動き


毎月勤労統計調査平成十四年六月分結果速報


厚生労働省


 「毎月勤労統計調査」平成十四年六月分結果の主な特徴点は次のとおりである。

◇賃金の動き

 六月の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は四十六万八千十八円、前年同月比三・七%減であった。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十七万九千九十九円、前年同月比一・七%減であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十六万千八百五十一円、前年同月比一・六%減、所定外給与は一万七千二百四十八円、前年同月比は二・七%減であった。
 また、特別に支払われた給与は十八万八千九百十九円、前年同月比は六・六%減であった。
 実質賃金は、二・九%減であった。
 きまって支給する給与の動きを産業別に前年同月比によってみると、伸びの高い順に電気・ガス・熱供給・水道業一・一%増、金融・保険業〇・六%減、製造業一・〇%減、サービス業一・六%減、運輸・通信業一・七%減、卸売・小売業,飲食店二・一%減、建設業三・〇%減、不動産業四・九%減、鉱業五・七%減であった。

◇労働時間の動き

 六月の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は百五十六・三時間、前年同月比は二・二%減であった。
 総実労働時間のうち、所定内労働時間は百四十七・二時間、前年同月比二・三%減、所定外労働時間は九・一時間、前年同月比二・六%減、所定外労働時間の季節調整値の前月比は〇・四%減であった。
 製造業の所定外労働時間は十三・二時間、前年同月比三・五%増、季節調整値は前月と同水準であった。

◇雇用の動き

 六月の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で〇・六%減、常用労働者のうち一般労働者では一・九%減、パートタイム労働者では四・八%増であった。
 常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、前年同月を上回ったものはサービス業二・七%増、電気・ガス・熱供給・水道業及び不動産業〇・一%増であった。前年同月を下回ったものは建設業及び運輸・通信業〇・四%減、卸売・小売業,飲食店〇・八%減、金融・保険業二・二%減、製造業四・九%減、鉱業一〇・四%減であった。
 主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者五・〇%減、パートタイム労働者三・六%減、卸売・小売業,飲食店では一般労働者六・〇%減、パートタイム労働者七・三%増、サービス業では一般労働者二・三%増、パートタイム労働者四・八%増であった。











    <9月25日号の主な予定>

 ▽製造基盤白書のあらまし…………経済産業省 
                 厚生労働省 
                 文部科学省 

 ▽労働経済動向調査(五月)………厚生労働省 




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