官報資料版 平成15年1月15日




                  ▽犯罪白書のあらまし……………法 務 省

                  ▽月例経済報告(十二月)………内 閣 府











犯罪白書のあらまし


―暴力的色彩の強い犯罪の現状と動向―


法 務 省


 平成十四年版の犯罪白書は、去る十一月十九日の閣議に報告され、同日公表された。白書のあらましは、次のとおりである。

<はじめに>

 本白書は、平成十三年を中心とした最近の犯罪動向と犯罪者処遇の実情を概観するとともに、最近において増加が著しい強盗を始めとする暴力的な九罪種に焦点を当て、「暴力的色彩の強い犯罪の現状と動向」を特集として取り上げている。
 我が国の刑法犯認知件数は、平成八年以降、連続して戦後ワースト記録を更新し、平成十三年では三百五十八万件を超えた。一方で、交通関係業過を除く刑法犯の検挙率は戦後初めて二〇%を下回った。このうち認知件数の約八六%を占める窃盗及び約五%を占める器物損壊の検挙率の低さが全体の検挙率の低下を招来させる要因であるが、身体的被害を伴うことが多い強盗の検挙率が低下したのは気掛かりな動向である。
 もっとも、入手し得た平成十二年までの資料の範囲内で主な欧米諸国と比較すれば、我が国は、主要な刑法犯の認知件数と発生率が共に低い。その限りでは、今なお安全な国の一つと思料されるが、検挙率の急激な低下は、その安全を脅かす兆候であり、決して楽観視することは許されないであろう。
 こうした状況にかんがみ、昨年の白書では、増加する犯罪の中から、窃盗、交通犯罪、薬物犯罪及び外国人犯罪に焦点を当てて分析を試みたところである。本年も、昨年に引き続き、他に増加がとみに顕著な「暴力的色彩の強い犯罪」として、強盗を始めとする九罪種に焦点を当てて、凶悪重大事犯である殺人と比較しながら、その現状と動向を分析した。
 これらの暴力的九罪種の現状と動向を分析することは、この種の犯罪に対する種々の刑事政策を策定する上でも有益と思われ、今後の施策のための資料を提供するため、本特集を組んだ次第である。
 本白書の構成は五編から成り、第一編では、最近の犯罪動向等を、第二編では、検察、裁判、矯正及び保護の各段階における成人犯罪者の処遇及び刑事司法における国際協力の実情を、第三編では、犯罪被害者の救済と刑事司法について、第四編では、少年非行の動向と非行少年の処遇を、それぞれ紹介し、第五編では、特集として、暴力的色彩の強い犯罪の現状と動向についてそれぞれ記述している(なお、本稿の構成は、要約の便宜上、本白書の構成と一部異なるところがある。)。

<第一編> 犯罪の動向

一 刑法犯の概況第1図第1表参照

1 認知件数・検挙人員
 平成十三年における警察による刑法犯の認知件数は、戦後最高の三百五十八万一千五百二十一件(前年より三十二万五千四百十二件増)となっている。交通関係業過(道路上の交通事故に係る業務上過失致死傷及び重過失致死傷をいう。)を除く刑法犯認知件数についても、十三年は、二百七十三万五千六百十二件(同二十九万二千百四十二件増)と、戦後最高の値を示している。
 平成十三年の刑法犯認知件数を罪名別に見ると、窃盗が最も多く、次いで交通関係業過となっており、両者で全体の約九〇%を占めているが、この傾向は過去十年間に大きな変化はない。
 平成十三年における警察による刑法犯の検挙人員は、百十九万五千八百九十七人となっており、これを罪名別に見ると、交通関係業過が最も多く、次いで窃盗となっており、両者で全体の約八七%を占めている。

2 発生率・検挙率
 平成十三年における刑法犯の発生率(認知件数の人口十万人当たりの比率)は、二千八百十四件(前年より二百四十八件増)と、戦後の最高値を示し、交通関係業過を除く刑法犯の発生率は、五十三年ぶりに二千件を超えて二千百四十九件(同二百二十四件増)となっている。
 平成十三年における交通関係業過を除く刑法犯の検挙率は、一九・八%(前年比三・八ポイント低下)と、戦後初めて二〇%を割り込み、戦後最低記録を更新した。
 検挙率を罪名別に見ると、殺人は過去十年間九四%から九八%と世界でもまれにみる高率を維持しており、平成十三年も九四・一%(前年比〇・九ポイント低下)を維持した。強盗は八年以降低下を続けており、十三年は四八・七%(同八・一ポイント低下)となっている。また、窃盗は、二年以降三〇%台で推移していたが、十二年に二〇%を割り込み、十三年は一五・七%(同三・四ポイント低下)となっている。

3 主要刑法犯の動向
 平成十三年における、凶悪犯の認知件数、検挙件数及び検挙人員を見ると、前年と比べ、殺人については、いずれも減少したが、強盗については、いずれも増加した。
 粗暴犯では、前年と比べ、傷害、暴行、脅迫及び恐喝のいずれについても、認知件数は急増したが、検挙件数及び検挙人員は恐喝を除いて増加したものの、認知件数の急増に追い付かず、検挙率は、いずれも低下した。
 財産犯や知能犯のうち、詐欺、横領(遺失物横領を除く。)、文書偽造・有価証券偽造及び遺失物横領の認知件数は、横領の増加を除き、おおむね減少又は横ばいの傾向が続いている。
 窃盗では、認知件数の急増と検挙率の低下という傾向が続いているが、検挙人員は昨年から反転増加した。侵入盗、すり、ひったくり及び自動車盗という重要窃盗犯は、平成十三年において、全窃盗の認知件数の一八・九%を占め、その検挙率は、二七・一%である。

二 特別法犯の概況

 平成十三年における特別法犯の検察庁新規受理人員総数は、百万九千八百五十人(前年より一万八千六百十四人減、前年比一・八%減)となっている。罪名別に見ると、道路交通法違反が八十九万九百六十九人(総数の八八・二%)と最も多く、次いで、覚せい剤取締法違反が二万六千四百九十六人(同二・六%)となっていて、両者で特別法犯の九〇%以上を占めている。なお、廃棄物処理法違反では、前年より九百九人増加して三千八百十一人となった。
 交通関係法令違反以外の特別法犯の構成比を見ると、薬物関係が最も高く、以下、保安関係(銃刀法違反等)、外事関係(入管法違反等)の順となっている。

三 各種犯罪の概況

1 交通犯罪
 交通事故の発生件数は、昭和五十三年以降増加傾向にあり、平成五年に過去のピークを突破して以降、毎年過去最高記録を更新している。しかし、死者数については、五年以降減少傾向にある。
 交通事故の発生件数の増加に伴い、交通関係業過の検挙人員も増加し、平成十三年では、前年より二・四%増の八十七万六百五人となり、戦後最高となった。

2 薬物犯罪
 覚せい剤事犯の検挙人員は、昭和四十年代半ば以降急激に増加し、五十年代後半から六十三年にかけては二万人を超える水準で推移した。その後は減少を示していたものの、平成七年以降再び増加傾向に転じたが、十三年は、前年比五・五%減の一万八千百十人となっている。
 薬物の押収量を見ると、大麻の押収量の増加傾向が著しく、平成十三年では、過去最高の約九百九十五キログラムとなった。覚せい剤の押収量は約四百十九キログラムである。
 また、麻薬特例法違反に係る没収・追徴金額は、平成十三年において、過去最高の総額約三十七億八千七百万円となった。

3 財政経済犯罪
 平成十三年の財政経済犯罪のうち、税法違反の検察庁新規受理人員を見ると、法人税法違反が三百三十六人(前年比百十六人増)、所得税法違反が九十三人(同六人増)、相続税法違反が七人(同一人増)及び消費税法違反が二人(同一人増)である。

4 ハイテク犯罪
 ハイテク犯罪は、ここ十年で検挙件数が急増し、平成十二年が五百五十九件、十三年が八百十件となった。最近は、セキュリティ・ホール攻撃という高度な犯行手口も見られるようになった。

5 銃器犯罪
 平成十三年の銃器犯罪は、発砲件数が前年比八十一件増の二百十五件となり、同発砲事件における死亡者が前年比十六人増の三十九人となった。また、銃器使用犯罪の検挙件数に占める暴力団以外の者の比率は、四二・二%(前年比一〇・五ポイント上昇)であり、押収けん銃に占める真正けん銃の割合は九二・四%(同二・五ポイント上昇)である。

四 各種の犯罪者による犯罪の動向

1 暴力団犯罪
 暴力団構成員等(暴力団構成員及び準構成員)は、平成八年から増加傾向を示し、十三年末現在では、約八万四千四百人であり、そのうち暴力団構成員は約四万三千百人である。また、同年における暴力団相互の対立抗争事件の発生回数は、前年比六十三回増の八十一回となり、対立抗争事件に占める銃器使用回数の割合も八七・七%である。
 交通関係業過及び道交違反等の交通法令違反を除く暴力団構成員等の検挙人員は、平成元年以降は三万人台を推移しており、十三年には、三万九百十七人(前年比百三十七人減)となっている。

2 外国人犯罪
 外国人による交通関係業過を除く刑法犯検挙件数・検挙人員を見ると、来日外国人以外の外国人では長期減少傾向にある。しかし、来日外国人では、昭和五十五年に検挙件数八百六十七件・検挙人員七百八十二人であったものが、平成十三年には検挙件数が一万八千百九十九件(約二十一倍)、検挙人員が七千百六十八人(約九倍)となっており、最近では、検挙件数が減少傾向を示す反面、検挙人員が増加傾向を示している。
 来日外国人による道交違反等交通関係を除く特別法犯の送致人員は、昭和五十五年の二千二百八十人から平成十三年の七千四百九十二人と約三・三倍となっている。
 平成十三年における来日外国人の検察庁終局処理人員を罪名別に見ると、交通関係業過を除く刑法犯では、窃盗(三千九百五十一人)、傷害(七百十七人)、強盗(三百五十五人)の順に多く、道交違反を除く特別法犯では、入管法違反(九千二百四十五人)、覚せい剤取締法違反(八百七十六人)、大麻取締法違反(二百九人)の順に多い。

3 公務員犯罪
 平成十三年の公務員犯罪は、検察庁新規受理人員が、前年比二千四百四十九人増(九・八%増)の二万七千三百十四人であり、罪名別では、自動車による業務上過失致死傷が八四・八%を占める。その起訴人員は、前年比二百二十二人増(七・二%増)の三千二百九十人である。また、十三年の起訴率は一二・一%である。

4 精神障害者の犯罪
 平成十三年における交通関係業過を除く刑法犯検挙人員のうち、精神障害者は七百二十人、精神障害の疑いのある者は一千三百六十一人で、両者の刑法犯検挙人員に占める比率は〇・六%となっている。また、罪名別検挙人員に占める比率を見ると、放火の一一・九%及び殺人の九・一%が特に高くなっている。
 平成十三年に検察庁で不起訴処分に付された被疑者のうち、精神障害により、心神喪失と認められた者は三百四十人であり、罪名別に見ると殺人(八十七人)、傷害(五十九人)及び放火(五十六人)の順に多い。また、精神障害により、心神耗弱と認められ起訴猶予処分に付された者は二百七十人であり、罪名別では傷害(七十九人)が最も多い。第一審裁判所で心神喪失を理由として無罪となった者は一人(殺人)であり、心神耗弱を理由として刑を減軽された者は八十三人であった。これを罪名別に見ると殺人(二十四人)が最も多い。
 これらの総数六百九十四人を精神障害名別で見ると精神分裂病(四百二十七人)、アルコール中毒(四十六人)、そううつ病(三十五人)の順に多い。

五 諸外国の犯罪動向との対比第2図参照

 我が国とアメリカ、イギリス(イングランド及びウェールズをいう。以下同じ。)、ドイツ及びフランスの計五か国について、近年の主要な犯罪の動向を比較すると、我が国は、認知件数や発生率が最も低い。一方、検挙率は、二〇〇〇年において、フランス、イギリスを下回り、二三・六%となった。
 ただし、殺人については、我が国は、五か国中、認知件数及び発生率ともに最も低い上、検挙率は、二〇〇〇年において、ドイツ(九五・三%)に次いで二番目に高い九四・三%であった。

<第二編> 犯罪者の処遇

一 検察

1 罪名・処理区分別の検察庁終局処理人員第3図参照
 平成十三年における検察庁の終局処理人員総数は二百二十一万九千八百一人(前年比一・八%増)で、その処理別内訳は、公判請求が五・九%、略式命令請求が四〇・二%、起訴猶予が三九・九%などとなっている。
 なお、起訴率は五二・三%、起訴猶予率は四六・四%となっている(「起訴率」とは、起訴人員/(起訴人員+不起訴人員)×一〇〇の計算式で得た百分比をいい、「起訴猶予率」とは、起訴猶予人員/(起訴人員+起訴猶予人員)×一〇〇)の計算式で得た百分比をいう。)。
 さらに、交通関係業過を除く刑法犯の起訴率は五六・九%(前年比〇・七ポイント減)、起訴猶予率は三四・二%(同〇・二ポイント増)で、道交違反(道路交通法違反及び自動車の保管場所の確保等に関する法律違反をいう。)を除く特別法犯の起訴率は七三・一%(同〇・六ポイント減)、起訴猶予率は二三・一%(同〇・一ポイント増)となっている。
 また、平成十三年の終局処理人員の罪名別構成比では、道交違反が四一・九%と最も高く、交通関係業過の四〇・〇%がこれに続いているが、両者を除いた構成比では、窃盗三六・九%、横領九・七%、傷害八・九%となっている。

2 検察庁既済事件の逮捕・勾留状況
 平成十三年における交通関係業過及び道交違反を除く検察庁既済事件について見ると、身柄事件(警察等によって被疑者が逮捕されて身柄付きで送致された事件及び検察庁で被疑者が逮捕された事件)の被疑者が全被疑者に占める比率(身柄率)は、三二・五%であり、これを罪名別に見ると、強盗(七九・一%)が最も高く、以下、強姦(七五・八%)、覚せい剤取締法違反(六八・七%)、殺人(六四・一%)の順となっている。
 また、身柄事件の全被疑者のうち、検察官によって勾留請求された被疑者が占める比率(勾留請求率)は、九三・四%となっており、勾留請求された者のうち、裁判官によって勾留が却下された者の比率は〇・二%である。

二 裁判

1 第一審裁判所の通常の公判手続による終局処理人員第2表参照
 平成十三年における地方裁判所、家庭裁判所及び簡易裁判所の第一審裁判所としての通常の公判手続による終局処理人員総数は八万一千五百三人(前年比三・九%増)であり、そのうち死刑は十人、無期懲役は八十八人、無罪は六十八人(総数の〇・一%)となっている。
 このうち、地方裁判所及び家庭裁判所による第一審における終局処理人員七万五百二十九人について罪名別に見ると、最も多いのは覚せい剤取締法違反の一万四千二百九人(総数の二〇・一%)で、以下、道交違反九千八十三人(同一二・九%)、窃盗八千八百十六人(同一二・五%)、過失傷害(業務上過失致死傷等を含む。)六千六百五十人(同九・四%)の順となっている。
 なお、裁判確定人員についての懲役刑の執行猶予率を見ると、平成五年までは五〇%台であったが、六年以降は六〇%台で推移している。

2 第一審の量刑
 平成十三年における地方裁判所の第一審裁判所としての有期の懲役及び禁錮の科刑状況を見ると、刑期が一年以上二年未満の者が全体の四二・八%と最も多く、次いで、二年以上三年以下が二六・三%、六月以上一年未満が一二・五%となっている。また、無期を含めて刑期が十年を超える者は総数で三百六十九人で、これを罪名別に見ると、殺人(百五十三人)が最も多く、以下、強盗致死傷(百三十七人)、強姦(強制わいせつを含む。)(二十一人)、覚せい剤取締法違反(十九人)、放火(十一人)の順となっている。
 なお、平成十三年の通常第一審における死刑言渡し人員は十人で、殺人と強盗致死傷がそれぞれ五人となっている。また、無期懲役言渡し人員は八十八人で、そのうち、殺人が二十人及び強盗致死傷が六十二人となっている。

三 成人矯正

1 行刑施設一日平均収容人員の推移
 平成十三年における行刑施設の一日平均収容人員は六万三千四百十五人(前年比七・九%増)であり、そのうち受刑者は五万一千六百六十八人(同八・四%増)、未決拘禁者は一万一千三百二十三人(同六・四%増)である。行刑施設の一日平均収容人員は、昭和六十一年に五万五千三百四十八人のピークがあり、その後平成四年までは減少したものの、五年から増加に転じた。
 平成十三年十二月三十一日現在の収容率は、全体で一〇一・二%、既決拘禁者では一〇九・七%であり、本所に限ると、行刑施設の八割強が定員を超過する収容となっている。

2 新受刑者数の推移
 新受刑者数は、平成五年以降、漸増傾向にあり、十三年は、前年より九百七十一人(三・五%)増加して、二万八千四百六十九人となっている。平成十三年における新受刑者の罪名のうち構成比の高いものを男女別で見ると、男子では、窃盗(二六・八%)、覚せい剤取締法違反(二四・四%)、詐欺(七・〇%)の順であり、女子では、覚せい剤取締法違反(四六・四%)、窃盗(二〇・九%)、詐欺(八・二%)の順となっている。
 近年における新受刑者の収容動向として、六十歳以上の者が年ごとに増加し(平成十三年は総数の八・二%)、また、刑期が二年を超える者の割合が漸増傾向にある。

3 出所受刑者の再入状況
 平成八年における出所者について、十三年末までの再入状況を出所事由別に見ると、満期釈放者が約六割、仮釈放者が約四割である。
 出所年を含む五年以内に再入した出所者総数の比率は、平成四年出所者(四四・一%)から七年出所者(四六・〇%)までは上昇傾向を見せていたが、八年出所者は四四・九%が十二年末までに再入した。

四 更生保護

1 仮出獄の許可人員及び仮出獄率
 仮出獄許可人員は、昭和四十五年以降、五十九年の一万八千八百九十七人をピークに、その後平成八年までは減少傾向を示していたが、九年以降増加に転じ、十三年は、一万四千七百十六人(前年比一千百十七人増)となっている。仮出獄率は、元年以降五六%台ないし五八%台で推移しており、十三年は五六・一%である。

2 保護観察事件の受理状況
 平成十三年の保護観察新規受理人員(保護観察処分少年及び少年院仮退院者を含む。)は、七万五千百十四人で、これを保護観察の種類別に見ると、仮出獄者は一万四千四百二十三人、保護観察付き執行猶予者は五千四百九十三人となっている。
 仮出獄者は、平成八年以降増加を続けており、十一年は、八年ぶりに一万三千人を上回り、十三年は前年より一千人余り増加したことで一万四千人を突破した。保護観察付き執行猶予者は、昭和五十年代には七千人台から八千人台であったが、平成九年以降は、五千人台で推移している。

3 保護観察期間中に再処分を受けた者の状況
 平成十三年に保護観察が終了した者のうち、保護観察期間中再度罪を犯しかつ新たな処分を受けた者の占める比率は、仮出獄者が〇・七%(九十七人)、保護観察付き執行猶予者が三五・五%(一千八百七十五人)となっている。

<第三編> 犯罪被害者の救済

一 統計上の犯罪被害

1 刑法犯の被害者総数
 警察に認知された刑法犯(交通関係業過を除く。)の被害者数は、被害者が個人の場合では、近年おおむね横ばいであったものが、女子は平成八年から、男子は九年から増加傾向に転じた。十三年の被害者総数は、前年比二十六万四千六百七十三人増(一二・四%増)の二百四十万五千七百十人である。

2 各被害の実情
 生命・身体に被害を受けた死傷者総数は、平成十二年に四万人を突破し、十三年には、四万五千七百七十七人となった。うち、死亡者は一千四百四十人、重傷者は三千四百三十六人である。特に軽傷者の増加が著しい。
 財産上の被害における被害額を見ると、平成十三年では、被害総額が約三千六百七十億円であり、このうち現金の被害総額(約一千三十億円)の罪名別構成比を見ると、窃盗が五七・一%、詐欺三〇・〇%、横領九・一%の順に多い。
 性犯罪の被害は、被害者及び被害発生率(女子人口十万人当たりの被害者数)のいずれも、近年増加傾向にある。平成十三年では、強姦が、被害者数二千二百二十八人、被害発生率は三・四人であり、強制わいせつが、女子被害者数九千四十四人(前年比一千九百二十二人増)、被害発生率一三・九人である。
 被疑者と被害者との面識の有無を見ると、殺人及び傷害では、親族及びその他の面識者に対して行われる比率が高く、性犯罪や財産犯では、面識のない者に対して行われる比率が高い。

二 刑事司法における被害者への配慮

 我が国では、被害者には告訴を行う権利が認められ、被疑者が不起訴となった場合の救済制度として、検察審査会への審査申立て等の制度が設けられている。これに加えて、刑事訴訟法等の一部改正(平成十二年六月から十三年六月にかけて施行)により、強姦罪等の性犯罪については、告訴期間の制限が撤廃された。
 公判手続に関しても、同改正では、裁判所は、適当と認める者を、証人に付き添わせることができるとされたほか、証人と被告人との間で遮へい措置を採ることや、映像等の送受信により通話するというビデオリンク方式により、別の場所に在席する証人を尋問することが認められた。一方、同改正では、被害者等から、被告事件に関する意見の陳述の申出があるときは、裁判所は、公判期日において、これを陳述させるものとされた。
 同改正と同時に成立した「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」では、被害者等から公判手続の傍聴の申出があるときは、その者が傍聴できるよう配慮しなければならず、また、被害者等から申出があった場合には、係属中の刑事被告事件の訴訟記録の閲覧又は謄写を許可できるなどとされた。

三 犯罪不安と防犯意識に関する国際比較

 法務総合研究所では、罪種別の犯罪被害の有無、警察への申告の有無等を把握するとともに、犯罪被害実態に関する国際比較を行うため、国連犯罪司法研究所を中心として実施されている「二〇〇〇年国際犯罪被害実態調査」に参加する形で、平成十二年二月に、全国から無作為に抽出された三千人を対象として、犯罪被害実態調査を実施した。
 同年の同調査に参加した先進国のうち、我が国と比較可能なデータを有しているのは、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、フランス、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スウェーデン、スイス及びフィンランドの十一か国である。

1 我が国における犯罪不安と防犯意識の実態
 夜間の一人歩きには約八割が安全と回答し、自宅に夜間一人でいることは約九割が安全と回答した。不法侵入の被害に遭うことに関しては、約五割があり得ないと回答し、約三割があり得ると回答した。

2 犯罪不安と防犯意識に関する国際比較
 我が国は、被害に遭ったと回答した者の比率が、国際比較をした十一か国中、フィンランドに次いで低く、平均防犯設備数も、同十一か国中、最も少ない。

<第四編> 少年非行の動向と非行少年の処遇

一 少年非行の動向と特質

1 少年刑法犯検挙人員第4図参照
 少年の刑法犯検挙人員は、昭和二十六年(十六万六千四百三十三人)、三十九年(二十三万八千八百三十人)及び五十八年(三十一万七千四百三十八人)をピークとする三つの大きな波が見られる。五十九年以降は当初、減少傾向を示し、平成七年には二十万人台を割り込んだ後、八年以降増加していたが、十一年と十二年は、ともに減少し、十三年には、前年比二・九%増の十九万八千九百三十九人となっている。
 また、少年比(検挙人員に占める少年の比率)も、交通関係業過を除く刑法犯検挙人員では、平成元年に五七・四%と昭和四十一年以降で最高を記録したが、平成十年からは、低下傾向を示し、十三年には、前年比〇・三ポイント減の四六・〇%となっている。

2 年齢層別の少年刑法犯検挙人員人口比
 交通関係業過を除く少年刑法犯の年齢層(十四・五歳、十六・七歳、十八・九歳)別検挙人員の人口比は、いずれの年齢層においても、平成八年以降上昇し、十一年から低下に転じたものの、十三年には、どの年齢層においても再び上昇した。

3 少年凶悪犯検挙人員第5図参照
 殺人の検挙人員は、昭和五十年代以降、おおむね七十人台から九十人台で推移していたが、平成十年に百人を上回り、十三年は、前年比四人増の百九人と、百人台を維持した。
 強盗の検挙人員は、平成元年以降、増加傾向にあり、特に九年に大幅な増加を示した後、十年は減少したが、十一年以降は、再度増加して、十三年は一千六百九十五人(前年比二十七人増)となっている。

二 非行少年の処遇

1 少年事件の検察及び裁判
 平成十三年における交通関係業過、道交違反及び虞犯を除く少年保護事件の家庭裁判所終局処理人員は十三万七千百六十一人(前年比四・八%増)である。
 処理内容別構成比を見ると、審判不開始が七一・六%と最も高く、以下、保護観察(一三・一%)、不処分(一〇・六%)、少年院送致(三・八%)の順となっており、刑事処分相当として検察官に送致(逆送)された者は〇・四%である。

2 少年鑑別所における鑑別
 少年鑑別所新収容人員は、ピーク時の昭和六十年以降、平成七年までは減少傾向を示していた。しかし、八年から増加に転じ、十三年には二万二千九百七十八人(前年比二・〇%増)となり、戦後における少年非行の第三の波とされる時期のピークである昭和五十九年の総数二万二千五百九十三人を超えた。

3 少年院における処遇
 平成十三年における少年院新収容者は、六千八人(前年比〇・七%減)であり、一日平均収容人員は、四千八百七人(同六・二%増)である。少年院収容受刑者はいない。
 同年の少年院新収容者の非行名別構成比を男女別に見ると、男子は窃盗、傷害、道路交通法違反の順、女子は、覚せい剤取締法違反、窃盗、虞犯の順である。

4 少年受刑者の処遇
 裁判の確定により新たに入所した少年受刑者数(入所時二十歳以上の者を含む。)は、昭和二十七年以降、おおむね減少傾向を示していたが、平成十三年は、前年より五人増加して五十五人(うち女子が三人)となった。

5 少年の更生保護
 保護観察処分少年の新規受理人員は、平成八年以降増加していたが、十一年以降は減少に転じ、十三年は、前年比四・四%減の四万九千四百十人となっている。
 少年院仮退院者は、昭和六十年代初めから減少傾向にあったが、平成九年以降増加に転じ、十三年は五千七百八十八人(前年比八・〇%増)となっている。
 保護観察処分少年及び少年院仮退院者について、保護観察期間中の再処分率を見ると、保護観察処分少年は、平成九年以降一貫して上昇しており、十三年には一八・八%となっているが、少年院仮退院者では、上昇・低下を繰り返しており、十三年には、前年より一・七ポイント上昇して二五・三%となっている。

<第五編> 暴力的色彩の強い犯罪の現状と動向

一 はじめに第6図参照

 本白書の特集では、認知件数の増加が顕著な「暴力的色彩の強い犯罪」として、強盗、傷害、暴行、脅迫、恐喝、強姦、強制わいせつ、住居侵入及び器物損壊(以下、「暴力的九罪種」という。)に焦点を当て、凶悪重大事犯である殺人と対比しながら、その現状と動向を分析した。
 暴力的九罪種は、身近な生活場面で生起する犯罪である上に被害者の心身に与える影響は深刻なものと思われる。これらの罪種に関しては、戦前から各種立法で、死傷結果が生じた場合や危険な態様について重罰化が図られてきた。しかし、過去六年間において、暴力的九罪種の認知件数は増加の一途をたどるのみならず、窃盗と交通関係業過を除く刑法犯の認知件数の増加部分のほとんどは、暴力的九罪種の増加分で占められるに至っており、その検挙率は、平成十三年には、二三・二%まで低下した。

二 認知・検挙状況から見た動向

1 認知件数・検挙件数等の動向第7図参照
 暴力的九罪種の認知件数は、前年より七万五千百八十二件増加したが、いずれの罪種でも、平成八ないし十年ころをターニング・ポイントとして顕著な増加を示しており、これに検挙件数や検挙人員の増加が追い付かず、その結果、検挙率の急落を招いている。罪種としては、器物損壊と住居侵入の認知件数が急増したほか、強盗や恐喝等の認知件数の増加が目立っている。

2 被害状況から見た動向第8図参照
 暴力的九罪種のうち、被害者の死傷結果の統計が存する強盗、恐喝、強姦及び強制わいせつ(ただし、恐喝は負傷結果のみである。)を見ると、認知件数の急増に伴い、死傷被害者数が増加を示している。平成十三年において、強盗では、死傷被害者総数が三千二百十八人(前年比五百七十五人増)、そのうち死亡被害数が八十人(同二九・〇%増)であり、重傷者は昭和四十九年以降で最高の三百一人に達している。恐喝では、負傷被害者数が急増したのみならず、認知件数当たりの軽傷者・重傷者の割合がいずれも上昇している。
 被害者と被疑者とが面識を有する比率を見ると、殺人は八五%から九〇%の間を推移しており、各年に大きな変化は認められない。これに対し、暴力的九罪種では、強盗を除き、おおむね平成七、八年ころから、面識率が上昇する傾向にある。そのうち、傷害や暴行等では、被害者が親族である割合も同様に上昇している。これらを総合すると、面識を有する者や身近な親族を対象とした暴力的事犯が増加していることが認められる。

3 犯行態様から見た動向第9図参照
 殺人及び暴力的九罪種(住居侵入を除く。)について、犯行場所の推移を見ると、屋外(駐車場、駐輪場、道路、広場等)における犯行の比率(屋外比)の上昇が目立っている。強盗では、平成十二年に屋外比が五〇%を超え、恐喝では、十三年の屋外比が七〇%近くに達している。性犯罪の屋外比を見ても、十三年では、強姦が三〇%近くに達し、強制わいせつは五〇%を超えている。
 犯行に際して凶器を使用する率(凶器使用率)を見ると、強盗では、ほぼ五〇%台を推移しているため、認知件数の急増に比例して凶器を使用する事犯が増加している。しかし、傷害や暴行では、凶器使用率が低下傾向を示しており、認知件数の急増にもかかわらず、凶器使用件数はさほど増加していない。脅迫では、凶器使用率が二〇%台を推移しているものの、刃物を使用する率が急上昇しているため、傷害や傷害致死に発展するおそれが否定できない。
 共犯の状況を見ると、平成十三年において共犯率が高い犯罪は、恐喝や強盗であり、低い犯罪は、強制わいせつ、暴行及び殺人である。強盗の共犯形態を子細に見ると、単に共犯化が進行しているだけではなく、多人数化の傾向が認められる。昭和六十二年と平成十三年を比較すると、強盗の検挙件数が約二倍に留まっているのに対し、三人共犯が約三倍(二百七十九件)、五人共犯が約四倍(百十件)、六人以上の共犯は約八倍(百十八件)に増加した。

4 犯罪者の属性から見た動向
 殺人及び暴力的九罪種の年齢層別人口比(人口十万人当たりの検挙件数)の推移を見ると、近年、殺人、脅迫、強姦及び強制わいせつを除く罪種において、成人よりも少年の方が高くなっている。年齢層別に見ると、五十歳代と六十歳代では、すべての罪種で上昇傾向を示しており、特に、強盗、脅迫、強制わいせつ及び器物損壊の増加が目立っている。
 来日外国人の検挙人員に注目すると、昭和六十年ころから増加傾向を示しており、罪種別では、強盗及び住居侵入の増加が目立っている。検挙件数に占める来日外国人の構成比は、昭和六十年にはすべての罪種で一%未満であったものが、平成十三年では、強盗が七・五%、殺人が四・四%及び住居侵入が二・六%に達している。

三 検察・裁判における動向

1 検察における処理状況
 検察庁の終局処理人員を見ると、殺人は、平成期に入っておおむね一千五百人台で推移しており、ここ数年の起訴率も六〇%台の横ばいである。強盗は平成五年ころから、処理人員が増加しており、この増加に歩調を合わせるように起訴率も上昇傾向にあり、五年には八〇%を超え、十一年以降は八五%を超えた。また、性犯罪は、終局処理人員の増減にかかわらず、起訴率が長期的には上昇傾向にある。強姦の起訴率は、昭和五十年代が五〇%台であったものが、六十年以降は六〇%台となり、平成八年以降は、六〇%台後半で推移している。強制わいせつの起訴率は、昭和五十年代前半が三〇%台、同後半が四〇%台と上昇した上、平成に入ると五〇%を超えるようになり、ここ二、三年は、六〇%前後を推移している。

2 裁判所における処理状況
 裁判所における量刑は、殺人及び強盗の執行猶予判決を除き、おおむね実刑判決及び執行猶予判決の言渡し刑期が長期化する傾向がうかがえる。一方、執行猶予率を見ると、殺人及び強盗では、おおむね横ばいであるが、その他の罪種では、強姦を除き、おおむね上昇する傾向が認められる。
 強姦では、執行猶予判決及び実刑判決ともに刑が長期化するのみならず、執行猶予率がおおむね低下しており、性犯罪に対する重罰化が進んでいることをうかがわせる。
 認知件数の急増が認められた器物損壊と住居侵入について、法務総合研究所では、さいたま地裁の公判請求事案でサンプル調査を試みた。器物損壊では、高額物品の損壊事案や器物に対する放火等の危険な損壊事案などについて、懲役刑が言い渡されるものが認められた。住居侵入では、殺人や強姦等を目的とする事案や窃盗目的の事案などについて、懲役刑が言い渡される傾向が見られた。

四 矯正・保護における動向

1 矯正第10図参照
 矯正施設においては、平成八年ころから、傷害、強盗、恐喝、強姦、強制わいせつ及び住居侵入等の新受刑者の増加が目立っている。特に来日外国人の新受刑者で見ると、強盗の急増が著しい。
 殺人及び暴力的九罪種について、新受刑者に占める再入受刑者(行刑施設への入所回数が二度以上の者)を見ると、再入受刑者の構成比が低下し、その分、初めて行刑施設に入所する者(初入受刑者)が増加している。
 少年矯正の動向を見ると、昭和五十七年と比較して、家庭裁判所終局処理人員の少年院送致人員が増加した罪種は、殺人、強盗、傷害、恐喝及び強制わいせつである。増加した罪種について、昭和五十七年を一〇〇とする指数で見ると、平成十三年では、強盗が四一四、傷害が二七九、強制わいせつが二六八、殺人が二五六の順となっている。

2 保護
 殺人及び暴力的九罪種(器物損壊を除く。)の保護観察新規受理人員の動向を見ると、少年(保護観察処分少年及び少年院仮退院者)においては、強盗、傷害、恐喝が増加しており、保護観察処分少年について近時は、住居侵入や強制わいせつも増加傾向を示している。
 成人(仮出獄者及び保護観察付き執行猶予者)では、受理人員が最も多い傷害を見ると、平成七年前後までは長期減少傾向が続いた後、増加傾向に転じている。仮出獄者の強盗等も、同様に七年以降で増加傾向が見られる。保護観察付き執行猶予者では、強制わいせつ及び住居侵入が急増している。

五 むすび

 認知件数の顕著な増加を示す暴力的九罪種の現状や動向を総合すると、@犯罪の内容面では、強盗・恐喝等の物取りを目的とした犯罪、特に模倣性の高いコンビニ強盗や路上強盗が増加していること、A犯罪の態様面では、死傷被害者数の増加や多人数による共犯化が進行するなど、犯罪の凶悪化や集団化の傾向が認められ、また、屋外における犯行、面識者に対する犯行が増加し、衝動的・短絡的な犯行が増加していると推測されること、B犯罪者の属性では、高齢者による犯罪が増加し、来日外国人による凶悪犯罪が依然として多発していること、C犯罪者の主体面では、初犯者というこれまで犯罪経験のない一般市民にまで犯罪を起こす者が拡散しつつあること、D地域性の面では、犯罪における地域性が希薄になりつつあり、粗暴犯の中核をなす傷害が全国的規模で急増していることなどが指摘される。
 このような暴力的九罪種の現状と動向は、その背景要因として、地域社会や家庭・学校の教育機能といった伝統的な犯罪抑止要因の機能が低下しているのではないかと考えられる。
 こうした犯罪情勢に対しては、公的機関の対応のみでは限界があり、官民の協力体制の構築が重要である。また、社会情勢の変動、国際化、少子高齢化の進展、科学技術の加速度的な発展などにより、従来の価値観や枠組みでは想像できない犯罪の出現なども視野に入れる必要がある。こうした近未来の犯罪情勢をも想定し、地域社会、刑事司法機関、犯罪防止に関わる民間組織などが、その連携と相互理解を深めながら、安定した社会を築くための努力が求められている。






言葉の履歴書


GDP=国内総生産

 一つの国の経済規模や経済力を表すのに、GNP(Gross National Product=国民総生産)という用語が一般的によく使われます。GNPは日本国内での生産だけでなく、海外での生産活動で日本人が生み出す所得も含んでいます。
 これに対し、純国内的な生産所得をGDP(Gross Domestic Product=国内総生産)と呼んでいます。
 GDPは「一定期間内に一国内で生産された付加価値の合計額」と定義されています。付加価値とは、生み出された製品から原材料や部品代などを除いて新たに加えられる価値のことです。
 海外で日本人が得た資金や海外への投資から得た配当などは日本国内の生産活動に寄与したものではないので、日本のGDPには含まれませんが、海外からの要素所得の受け取りとしてGNPには含まれます。
 国際機関や各国がGDPを中心に経済規模を比較していることもあり、最近ではGDPの統計を重視する傾向があります。




知っておきたい国際・外交キーワード


PKO(=国連平和維持活動)

 PKOとは、Peacekeeping Operationsの略、日本語では「国連平和維持活動」といいます。武力衝突など世界各地で発生した紛争において、停戦合意が成立した後に、国連が平和維持隊や停戦監視団などを現地に派遣し、紛争の平和的解決に寄与するために行う活動で、一般に、安全保障理事会の決議により設立されます。
 PKOの主な業務は、平和維持隊(各国部隊で編成)による停戦監視や兵力の引き離し、停戦監視団(非武装の軍人で構成)による停戦監視や査察など。近年は、PKOの役割に対する国連加盟国の期待が高まり、選挙の実施や難民の帰還支援、人権の監視、人道援助活動の支援、さらには東ティモールやコソヴォに見られるように行政全般を担当するなど、より多様で包括的な業務をも担うようになっています。
 日本のPKOへの協力は、物資や資金などの支援、政務官の派遣などが主でしたが、国際平和のための国連を中心とする活動に日本がより積極的に協力するため、「国際平和協力法」を一九九二年に制定。これにより、日本の国際平和協力のための活動として、「国連平和維持活動への協力」「人道的な国際救援活動への協力」「国際的な選挙監視活動への協力」の三つの柱を規定し、自衛隊の派遣を含む本格的な協力ができるようになりました。
 国際平和協力法に基づいて、これまでにPKO、国際救援活動、国際選挙監視活動に参加、要員を派遣し、国際社会からも高く評価されています。




一月の気象


 一月は、二月と並んで年間の最低気温や最深積雪が観測される最も寒い月です。
 防災上で特に注意すべき事項は、
・寒波と日本海側の豪雪
・暴風、暴風雪、地吹雪
・なだれ
・太平洋側の乾燥、火災
があげられます。

◇近年の大雪災害
 日本海側や北日本では比較的雪の少ない冬が続いています。積雪の多いことで知られる新潟県上越市高田で、平年の最深積雪値(百三十九センチメートル)を超える積雪を観測したのは平成十三年一月の百四十一センチメートルで、十五年ぶりでした。
 大雪から何年も遠ざかっていると、これまで経験しなかったような災害が現れることがあります。
 近年は、日本海側の都市でも除雪体制が整備され、少々の雪では積雪のない地域と同じような生活が可能になってきているようです。
 今一度、過去の大雪を振り返って、大雪に対する備えを点検してみては、いかがでしょうか。
(近年の大雪災害)
・ 昭和三十八(一九六三)年一月の北陸地方を中心とした大雪災害:通称「三八(さんぱち)豪雪」では、鉄道、主要道路の交通途絶による広範囲の物流障害が顕著でした。また、雪の重みによる全壊家屋が約八百戸もありました。
・ 昭和五十六(一九八一)年の北陸地方を中心とした大雪では、幹線交通はほぼ確保できたものの生活道路の除雪が追いつかず、LPガスの供給、配管破損やゴミ処理、し尿処理の障害など身近な問題がクローズアップされました。雪の重みによる全壊家屋は約七十戸と「三八豪雪」に比べ大幅に少なくなりました。
・ 昭和五十九(一九八四)年の大雪では、大雪による死者は、全国で百十九名に達しました。このうち七十七名が雪下ろし作業中に屋根から転落するなどの二次災害によるもので、高齢者の事故が目立ちました。
 この年は、太平洋側でもたびたび大雪が降り、東京での最深積雪二十二センチメートル、降雪の深さの合計九十二センチメートル、降雪日数が二十九日にもなりました。自動車のスリップ事故や凍った道路で転倒し骨折される方が相次いだようです。
 また、大雪の年はなだれの多い年、大規模ななだれの発生する年でもあります。

◇地吹雪
 積もった雪が強い風で吹き上げられることを「地吹雪(じふぶき)」と呼びます。風速が大きいほど、また気温が低いほど激しくなります。気温がマイナス五度、風速が毎秒五メートルで雪が飛び始め、毎秒八メートル程度になると人の目の高さを超えるという調査があります。
 天気が快晴でも発生し、風が強くなると突然雪が舞いあがり、一瞬にして視界が失われることもあります。
 高速での運転中は特に危険で、路面凍結時の急な運転操作は大事故につながります。地吹雪の発生しやすい場所には防雪柵が設置されていますが、積雪・低温・強風下ではスピードを出さないことです。
 大雪と地吹雪で長時間立ち往生している間に吹きだまりに埋まり、排気ガス中毒や凍死に至る例もあります。
 スノーレジャーなどで慣れない土地でドライブするときは、地元の気象情報・道路情報などの入手に努めてください。





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月例経済報告(十二月)


―景気は、持ち直しに向けた動きが弱まっており、おおむね横ばいで推移している―


内 閣 府


総 論

(我が国経済の基調判断)

 景気は、持ち直しに向けた動きが弱まっており、おおむね横ばいで推移している。
 ・企業収益は改善しており、設備投資は下げ止まりつつある。
 ・雇用情勢は、求人が増加傾向にあるものの、失業率がこれまでの最高水準となるなど、依然として厳しい。
 ・個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
 ・輸出は弱含んでおり、生産は横ばいとなっている。
 先行きについては、世界経済が緩やかに回復すれば、景気は引き続き持ち直しに向かうことが期待される。一方、アメリカ経済等への先行き懸念や我が国の株価の低迷など、厳しい環境が続いており、我が国の最終需要が引き続き下押しされる懸念が存在している。

(政策の基本的態度)

 政府は、先般とりまとめた「改革加速のための総合対応策」を着実に実施している。加えて、現下の金融・経済情勢に応じ構造改革の取組への更なる政策強化を行うことが必要であるとの認識の下、この総合対応策を補完・強化するため、十二月十二日に「改革加速プログラム」を決定した。これに基づき、財政規律を守りつつ、平成十四年度補正予算を編成し、年度を通じた切れ目のない対応を図る。
 また、十一月二十九日には、昨年度に引き続き「改革断行予算」を実現するとの方針を示した「平成十五年度予算編成の基本方針」を閣議決定した。
 デフレ克服及び金融システム安定化に向け、政府・日本銀行は引き続き一体となって強力かつ総合的な取組を行う。

各 論

一 消費・投資などの需要動向

 平成十四年七〜九月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、財貨・サービスの純輸出(輸出−輸入)がマイナスに寄与したものの、民間最終消費支出、民間在庫品増加がプラスに寄与したことなどから、前期比で〇・八%増(年率三・二%増)となった。また、名目GDPの成長率は前期比で〇・四%増となった。

◇個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
 個人消費は、収入面での弱い動きが続くなど家計を取り巻く環境が厳しいなかで、需要側と販売側の動向を総合してみると、年初来、消費支出の動向は横ばいで推移している。全体的な基調の改善につながる動きではないものの、一部の業種や支出項目において増加の動きがみられ、引き続き一部に底固さがみられる。
 需要側の動向をみると、昨秋以降底固さがみられる。消費総合指数は三か月前と比べ増加している。支出項目ごとの動向について家計調査をみると、実質消費支出は、前月に大きく増加した反動や、教育や食料などが減少したことなどから、前月に比べて減少した。
 販売側の動向をみると、全体的に弱い動きとなっている。小売業販売額は弱い動きが続いている。チェーンストア販売額は、食料品は引き続き前年を上回ったものの、全体では前年を下回った。百貨店販売額は、天候要因もあって衣料品が前年を下回り、全体でも前年を下回った。新車販売台数は、小型乗用車が大幅に増加し引き続き好調に推移したことから、前年を上回った。家電販売金額は、テレビ等が引き続き増加し、パソコンもこのところ減少幅を縮小してきているものの、全体では前年を下回った。旅行は、国内旅行はほぼ前年並みとなり、海外旅行は米国における同時多発テロ事件の影響もあって昨年大きく減少した反動から、前年を大きく上回った。
 消費者マインドは、持ち直しの動きがみられたが、足元ではやや弱い動きとなっている。

◇設備投資は、下げ止まりつつある。
 設備投資は、平成十三年に入って以降減少が続いてきたが、生産の持ち直し及び企業収益の改善を受けてこのところ下げ止まりつつある。需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、平成十三年一〜三月期以降減少が続いてきたが、このところ次第に減少幅が縮小してきている。また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、横ばいとなっている。なお、これまで堅調に推移してきたソフトウェア投資は、弱含んでいる。
 設備投資の今後の動向については、機械設備投資の先行指標である機械受注が平成十四年前半において底入れしたものとみられることから、次第に底入れに向かうものとみられる。ただし、機械受注の十〜十二月期の見通しにみられる回復力の弱さや、日銀短観の平成十四年度設備投資計画において減少が見込まれていること等を考慮すれば、底入れした後も低調に推移することが見込まれる。

◇住宅建設は、緩やかに減少している。
 平成十三年度の住宅建設は、前年度比三・三%減の百十七万三千戸となり、平成十年度以来三年ぶりに百二十万戸を下回る低い水準となった。平成十四年度に入って、マンションの着工が減少したこと等から、四〜六月期は年率百十八万戸、七〜九月期は年率百十三万戸となり、このところ緩やかに減少している。
 十月は、持家、貸家、分譲住宅のすべてが増加し、特にマンションが大きく増加したことから、年率百十九万一千戸となった。先行きについては、雇用・所得環境が厳しいこと、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下しており、こうしたことが引き続き住宅着工を減少させる要因になるものと見込まれる。

◇公共投資は、総じて低調に推移している。
 平成十四年度当初における公共事業関連予算をみると、国、地方とも歳出の徹底した見直しと重点的な配分を行っていることから、国の施設費を含む公共投資関係費は、前年度比一〇・七%減、地方の投資的経費のうち単独事業費は、地方財政計画では、前年度比一〇・〇%減となっている。
 このような状況を反映して、公共投資は、総じて低調に推移している。平成十四年度に入って、今年度に繰り越された平成十三年度第二次補正予算の下支え効果がみられたものの、四〜六月期は引き続き前年を下回り、七〜九月期も前年を下回った。このところの動きをみると、公共工事出来高が六月以降四か月連続で前月比増加となっている。
 十〜十二月期の公共投資については、十月、十一月の公共工事請負金額も前年を下回っており、国、地方の予算状況を踏まえると、引き続き前年を下回るものと考えられる。
 なお、「改革加速プログラム」(十二月十二日決定)を受けて編成する補正予算においては、構造改革推進型の公共投資に国費ベースで一兆五千億円程度(事業規模で二兆六千億円程度)を計上するなどの予算措置を講じることとしている。

◇輸出は、弱含んでいる。輸入は、増加している。貿易・サービス収支の黒字は、やや縮小している。
 輸出は、IT関連などの最終需要の伸びが世界的に鈍化するなかで、年初来の在庫積み増しの動きに一服感がみられており、電気機器を中心にこのところ弱含んでいる。地域別にみると、アジア向け輸出は、各品目及び全体としてもおおむね横ばいとなっている。アメリカ向け輸出は、自動車などの輸送用機械が横ばい、一般機械、電気機器などが弱含んでおり、全体として弱含んでいる。EU向け輸出は、ユーロ圏において景気が減速しつつあること等を背景に、減少している。今後については、世界の景気回復に弱い動きがみられていることに留意する必要がある。
 輸入は、生産が横ばいとなっていることを背景にIT関連等の機械機器輸入が鈍化しているものの、鉱物性燃料等の輸入が増加していることから、全体として増加している。地域別にみると、アジアからの輸入は、金属・同製品、原料品等を中心に増加している。EUからの輸入は横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、十月は米国西海岸地区における港湾ストライキの影響により急減したものの、基調としてみれば、おおむね横ばい圏内の動きとなっている。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、輸入数量が増加するなか、輸出数量が弱含んでいることから、やや縮小している。

二 企業活動と雇用情勢

◇生産は、横ばいとなっている。
 鉱工業生産は、在庫調整が終了していること等を背景に3四半期連続で増加してきた。しかし、このところ輸出が弱含んでいること等を反映し、生産は横ばいとなっている。
 また、世界経済の先行き懸念の高まり等、留意すべき点もある。なお、製造工業生産予測調査によると十一月は減少、十二月は増加が見込まれている。
 一方、第三次産業活動の動向をみると、おおむね横ばいで推移している。

◇企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかながら、引き続き改善がみられる。倒産件数は、減少している。
 「法人企業統計季報」によると、平成十三年七〜九月期以降、電機機械等の製造業を中心に大幅な減益となっていた企業収益は、平成十四年七〜九月期には、売上高は引き続き減収となったものの、企業のリストラ努力等により増益に転じた。また、日銀短観によると、下期については大幅な増益を見込んでいる。
 企業の業況判断について、日銀短観をみると、中小企業では低い水準にあり、依然厳しさがみられるものの、製造業を中心に緩やかながら、引き続き改善がみられる。先行きについては、若干の悪化を見込んでおり、慎重な見方が出てきている。
 また、十一月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで一千四百三十五件となるなど、減少している。

◇雇用情勢は、依然として厳しい。求人が増加傾向にあるものの、完全失業率がこれまでの最高水準となり、賃金も弱い動きが続いている。
 十月の完全失業率は、前月比〇・一%ポイント上昇し五・五%と、過去最高となった昨年十二月と並んだ。完全失業者について求職理由別にみると、最も多い非自発的な離職による者は微減となり、十月は自発的な離職による者が増加した。完全失業者全体に占める失業期間一年以上の者の割合は、若干低下した。雇用者数については、三か月連続で前月比で減少となり、弱含んでいる。
 新規求人数は、引き続き増加傾向にある。有効求人倍率については、引き続き緩やかに上昇している。製造業の残業時間については、生産の動きを反映し二か月連続で前月比で減少し、増加傾向が弱まっている。企業の雇用過剰感は、若干低下したものの、依然として高い水準にある。七〜九月期に「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合は、低下している。
 賃金の動きをみると、定期給与は前月比で増加したものの、前年同月比では減少が続いており、弱い動きが続いている。

三 物価と金融情勢

◇国内卸売物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、弱含んでいる。
 輸入物価は、このところ契約通貨ベース、円ベースともに上昇しているが、足元では、為替の影響により、円ベースでは下落している。国内卸売物価は、横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、電力・都市ガス・水道、電気機器などが下落しているものの、在庫調整の進展により鉄鋼、パルプ・紙・同製品が上昇しているほか、輸入価格の上昇により石油・石炭の上昇幅が拡大している。また、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
 消費者物価は、平成十二年秋以降弱含んでいる。最近の動きを類別にみると、一般サービスは横ばいとなっているものの、その他工業製品の下落幅拡大や耐久消費財の下落などにより一般商品が下落しているほか、公共料金の下落幅が拡大している。
 こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

◇金融情勢をみると、株式相場は、十一月下旬に九千二百円台(日経平均株価)まで上昇した後、下落している。長期金利は、〇・九%台〜一・〇%台の水準で推移している。
 短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、日本銀行による金融緩和措置を反映して、〇・〇〇一〜〇・〇〇二%で推移した。二、三か月物は、ほぼ横ばいで推移した。長期金利は、国債増発懸念の後退等を受け、十月中旬より低下し、十一月上旬に〇・九%台となった後、〇・九%台〜一・〇%台の水準で横ばいで推移した。
 株式相場は、十一月中旬に、日経平均株価、TOPIXとも下落し、八九年以降の最安値を更新した。その後、米国株価の上昇を受けて十一月下旬に九千二百円台(日経平均株価)まで上昇したが、十二月に入って下落している。
 対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、十月下旬から十一月中旬にかけて、百二十五円台から百十九円台まで上昇し、十二月上旬にかけて百二十五円台まで下落した後、百二十二円台から百二十三円台で推移している。対ユーロ円相場(インターバンク十七時時点)は、十月上旬から十一月下旬にかけて、百二十円台から百二十三円台で推移し、十二月に入り百二十五円台まで下落した後、百二十三円台から百二十五円台で推移している。
 マネタリーベース(月中平均残高)は、日本銀行の潤沢な資金供給など(十一月日銀当座預金平均残高十八兆一千億円)を背景に、約二割の伸びとなっている(十一月:前年同月比二一・八%)。M+CD(月中平均残高)は、このところ、三%台前半で推移している(十一月速報:前年同月比三・二%増)。民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、九六年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している(主要行の十四年度中間決算時点の貸出残高計は十三年度決算時と比べ五・五%減となった)。貸出金利は、金融緩和等を背景に、昨年初来低下傾向で推移してきたが、このところ横ばい圏で推移している。企業の資金繰りの状況は横ばいとなっており、民間債と国債との流通利回りスプレッドはほぼ横ばいで推移している。

四 海外経済

◇世界の景気は回復に弱い動きがみられる。
 世界の景気は回復に弱い動きがみられる。
 アメリカでは、景気の回復力が弱まっている。個人消費の伸びは鈍化傾向が続いている。住宅建設は高い水準にある。設備投資は機械設備等を中心に持ち直しに向けた動きがみられる。生産は減少している。雇用はほぼ横ばいとなっており、製造業では減少が続いている。また、失業率は上昇している。物価は安定している。
 アジアをみると、景気は回復しているものの、一部で回復が緩やかになっている。中国では、景気の拡大テンポは高まっている。韓国では、景気は拡大しているが、内需の伸びに鈍化の動きがみられる。タイでは、景気は拡大している。台湾、マレイシアでは、景気は緩やかに回復している。シンガポールでは、景気の回復は一層緩やかになっている。
 ヨーロッパをみると、@ユーロ圏では、景気は減速しつつある。ドイツ、フランスでは景気は減速している。Aイギリスでは、景気は回復の動きが続いているものの、企業景況感は悪化している。
 金融情勢をみると、アメリカの株価は、十一月は一部企業の決算や業績見通しが市場予想を上回ったことから上昇基調で推移したが、その後大手航空会社の経営破綻等から弱含んだ。アメリカの長期金利、ドルとも十一月に強含んだが、その後弱含んだ。
 ユーロ圏では、欧州中央銀行(ECB)が、十二月五日に政策金利(短期オペの最低応札金利)を〇・五〇%ポイント引下げ、二・七五%とした。
 国際商品市況をみると、原油価格は、イラクに対する国連査察の開始等を受けて上昇した。



    <1月22日号の主な予定>

 ▽平成十四年就業条件総合調査結果の概要…………………厚生労働省 

 ▽法人企業統計季報(平成十四年七〜九月期調査)………財 務 省 




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