官報資料版 平成15年3月12日




                  ▽平成十四年上半期雇用動向調査結果の概況………厚生労働省

                  ▽法人企業動向調査(十二月)………………………内 閣 府

                  ▽月例経済報告(二月)………………………………内 閣 府











平成十四年上半期

雇用動向調査結果の概況

厚生労働省


T 調査の概要

 この調査は、事業所における常用労働者の一年間の移動状況等を把握し、我が国の労働市場の動向を明らかにすることを目的として、毎年上半期(一月〜六月)及び下半期(七月〜十二月)に分けて実施している。今回平成十四年上半期分の概要を取りまとめた。

 調査対象は、日本標準産業分類による九大産業[鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業、サービス業(家事サービス業、教育、外国公務を除く)]に属する常用労働者五人以上を雇用する事業所から抽出した一万四千一事業所及び同事業所における平成十四年一月から六月までの入職者・離職者から抽出した。
 有効回答(集計)事業所数は一万八百九十二事業所、有効回答率は七七・八%、集計入職者数は四万八千五百二十六人、集計離職者数は六万三百九十八人であった。

U 調査結果の概要

1 労働移動の状況

(1) 平成十四年上半期の労働移動者は入職者が約三百六十三万人(前年同期約三百七十九万人)、離職者が約三百八十四万人(同約三百七十九万人)で、延べ労働移動者は約七百四十七万人(同約七百五十八万人)、延べ労働移動率は一八・一%(同一八・三%)となった。入職率は八・八%(同九・二%)、離職率は九・三%(同九・一%)で、上半期としては調査開始以来初めて離職超過となった(第1図第1表参照)。
(2) 入職・離職率を男女別にみると、男は入職率が七・二%(前年同期七・六%)、離職率が七・八%(同七・五%)、女は入職率が一一・三%(同一一・六%)、離職率が一一・七%(同一一・七%)で、男女とも離職超過となった(第2図第1表参照)。
(3) 入職・離職率を就業形態別にみると、一般労働者は入職率が七・二%(前年同期七・四%)、離職率が八・〇%(同七・五%)、パートタイム労働者は入職率が一五・五%(同一七・三%)、離職率が一四・九%(同一六・七%)で、一般労働者は離職超過、パートタイム労働者は入職超過となった(第3図第1表参照)。
(4) 入職・離職率を主な産業別にみると、入職率は卸売・小売業,飲食店が一一・〇%、サービス業が一〇・七%、建設業が八・七%、製造業が五・四%で、離職率は建設業が一一・〇%、卸売・小売業,飲食店が一〇・四%、サービス業が九・七%、製造業が七・三%で、サービス業、卸売・小売業,飲食店は入職超過、建設業、製造業は離職超過となった(第4図参照)。

2 入職者の状況

(1) 入職者を職歴別にみると、転職入職者が約百九十九万人、未就業入職者が約百六十四万人となった。
 転職入職率は四・八%(前年同期五・一%)、未就業入職率は四・〇%(同四・〇%)となり、前年同期と比べると転職入職率が〇・三ポイント低下した(第5図第1表参照)。
(2) 転職入職者の離職期間別構成比をみると、「十五日未満」が三〇・八%で最も高く、次いで「一か月〜三か月未満」が二二・一%、「六か月〜一年未満」が一八・五%、「三か月〜六か月未満」が一六・四%、「十五日〜一か月未満」が一二・〇%となった(第6―1図参照)。
 転職入職者に、今回新たに調査した入職前一〜二年間に就業経験のある者を加えた結果でみると、離職期間一年未満が八九・一%となり、一年以上二年未満が一〇・九%となった(第6―2図参照)。

3 離職者の状況

 離職者の離職理由別構成比をみると、「個人的理由」が六三・八%(前年同期六八・〇%)で最も高く、次いで「経営上の都合」が一四・四%(同一一・一%)、「契約期間の満了」が一〇・六%(同九・六%)となり、前年同期と比べると「経営上の都合」「契約期間の満了」の割合が上昇、「個人的理由」の割合が低下した(第7図参照)。

4 未充足求人の状況

 平成十四年六月末日現在の未充足求人数は約三十四万人(前年約三十七万人)で、欠員率(在籍常用労働者に対する未充足求人の割合)は〇・八%(同〇・九%)となり、前年に引き続き低下した(第8図参照)。




歳時記


春雷

 下町は雨になりけり春の雷  正岡 子規
 春雷、春の雷は春の季語です。春に雷が鳴ることは少なく、すぐに鳴りやむので気づかないこともあります。それだけに、より風情があるとして句が作られるようです。
 雷は春、夏、冬と三つの季語になっています。夏の雷は特に北関東、鈴鹿山脈周辺、九州の日田盆地などに多く、三日に一度は夕立とともに雷が鳴るという地方もあるようです。
 冬の雷は、雪起こしとか、ぶり起こしといわれ、北陸など日本海側の豪雪地帯で雪の季節の前ぶれとして、激しく鳴ります。ぶり起こしと呼ぶのは、このころから寒ぶりが捕れ始めるので、豊漁の前兆として喜ばれています。
 ところで、雷におへそを取られるとよくいいますが、春雷や雪起こしの雷もそのような例えに用いられるのでしょうか。夏の雷雨により気温が下がり、子どもの薄着を戒めた話だとしたら、おへそを取るといわれているのは夏の雷だけかもしれませんね。
 三月一日から七日までは、「全国山火事予防運動」の期間です。「春の全国火災予防運動」が併せて行われます。春先は空気が乾燥し、枯れ草や落ち葉が乾きやすい季節です。もしそうした物に火がついて山火事が起き、さらに強風が吹いていたら大きな被害につながります。春になるとアウトドアレジャーや山菜採りなどで山に入る人が増えます。山歩きのマナーに気をつけましょう。




目次へ戻る


法人企業動向調査


―平成十四年十二月実施調査結果―


内 閣 府


◇調査要領

 本調査は、資本金一億円以上の法人企業について、設備投資の実績及び計画並びに企業経営者の景気と経営に対する判断及び見通しを調査したものである。
 ・調査対象:国内に本社又は主たる事務所をもって企業活動を営む資本金一億円以上の法人企業(約三万七千社)から、内閣府が定める方法により選定した四千五百六十一社を対象とした。
 ・調査時点:平成十四年十二月二十五日
 ・調査方法:調査は、調査客体法人の自計申告により行った。
 なお、資本金が百億円以上の法人企業については原則として全数調査、百億円未満の法人企業は、層化任意抽出法により選定した法人について調査した。
 ・有効回答率:調査対象法人四千五百六十一社のうち、有効回答法人四千百六十一社、有効回答率九一・二%

〔利用上の注意〕

(1) 今期三か月の判断とは平成十四年七〜九月期と比較した場合の十四年十〜十二月期の判断、来期三か月の見通しとは十四年十〜十二月期と比較した場合の十五年一〜三月期の見通し、再来期三か月の見通しとは十五年一〜三月期と比較した場合の十五年四〜六月期の見通しである。ただし、在庫水準と生産設備については、それぞれの調査期間における判断と見通しである。
(2) 第1図第18表の平成十四年十〜十二月以前は今期の判断、十五年一〜三月は来期の見通し、十五年四〜六月は再来期の見通しである。
(3) 判断指標(BSI)とは「上昇(強くなる・増加・過大)の割合−下降(弱くなる・減少・不足)の割合」である。
(4) 設備投資の公表数値は、母集団推計値である。また、算出基準は工事進捗ベース(建設仮勘定を含む有形固定資産の減価償却前増加額)である。
(5) 季節調整法は、センサス局法U、X―11で算出した。
(6) 集計上の産業分類は、日本標準産業分類を基準とする会社ベースでの主業分類に基づいて行った。
(7) 昭和六十三年三月調査より、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社、JR関係七社及び電源開発(株)を調査対象に加えるとともに、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社については六十年四〜六月期、JR関係七社については六十二年四〜六月期に遡及して集計に加えた。
(8) 平成元年六月調査より消費税を除くベースで調査した。
(9) 平成十年六月調査より以下のとおり産業分類の見直しを行い、昭和五十九年六月調査に遡及して集計を行った。
 @ 「造船」を「その他の輸送用機械」に合併。
 A 「印刷・出版」を「その他の製造業」に合併。
 B 「卸売・小売業,飲食店」の内訳を廃止し、「卸売業」と「小売業,飲食店」に分割。
 C 「運輸・通信業」の内訳を廃止し、「運輸業」と「通信業」に分割。
 D 「電力業」と「ガス業」を合併し、「電力・ガス業」とする。
 E 「サービス業」を「サービス業(除くリース業)」と「リース業」に分割。
 F 製造業を素材型、加工型に分類。

一 景気見通し(全産業:季節調整値)

1 国内景気第1表参照

 企業経営者による国内景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十四年七〜九月期「マイナス二二」の後、十〜十二月期は「マイナス二三」と「下降」超幅が拡大した。
 先行きについては、十五年一〜三月期「マイナス一九」の後、四〜六月期も「マイナス一九」と同水準で推移する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十四年七〜九月期「マイナス一八」の後、十〜十二月期は「マイナス一九」と「下降」超幅が拡大した。先行きについては、十五年一〜三月期「マイナス一五」、四〜六月期「マイナス一二」と「下降」超幅は縮小する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十四年七〜九月期「マイナス二四」の後、十〜十二月期は「マイナス二六」と「下降」超幅が拡大した。先行きについては、十五年一〜三月期に「マイナス二二」となった後、四〜六月期には「マイナス二四」と「下降」超幅が拡大する見通しとなっている。

2 業界景気第2表参照

 所属業界の景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十四年七〜九月期「マイナス二二」の後、十〜十二月期は「マイナス二三」と「下降」超幅が拡大した。
 先行きについては、十五年一〜三月期「マイナス一九」の後、四〜六月期も「マイナス一九」と同水準で推移する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十四年七〜九月期「マイナス一七」の後、十〜十二月期は「マイナス一九」と「下降」超幅が拡大した。先行きについては、十五年一〜三月期「マイナス一五」、四〜六月期「マイナス一二」と「下降」超幅は縮小する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十四年七〜九月期「マイナス二五」の後、十〜十二月期は「マイナス二六」と「下降」超幅が拡大した。先行きについては、十五年一〜三月期「マイナス二三」、四〜六月期「マイナス二一」と「下降」超幅は縮小する見通しとなっている。

二 需要・価格関連見通し(季節調整値)

1 内外需要(製造業)(第3表参照

 企業経営者による国内需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、平成十四年七〜九月期「マイナス一六」の後、十〜十二月期は「マイナス一八」と「弱くなる」超幅が拡大した。
 先行きについては、十五年一〜三月期「マイナス一二」の後、四〜六月期も「マイナス一二」と同水準で推移する見通しとなっている。
 他方、海外需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、十四年七〜九月期「マイナス五」の後、十〜十二月期は「マイナス四」と「弱くなる」超幅が縮小した。
 先行きについては、十五年一〜三月期に「マイナス八」となった後、四〜六月期には「マイナス六」と「弱くなる」超幅が縮小する見通しとなっている。

2 在庫水準(製造業)(第4表参照

 原材料在庫水準に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成十四年九月末「一四」の後、十二月末は「一二」と「過大」超幅が縮小した。
 先行きについても、十五年三月末「一一」、六月末「九」と引き続き「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、完成品在庫水準に関する判断指標をみると、十四年九月末「二二」の後、十二月末は「一九」と「過大」超幅が縮小した。
 先行きについても、十五年三月末「一四」、六月末「一三」と引き続き「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。

3 価格(製造業、農林漁業、鉱業)(第5表参照

 原材料価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十四年七〜九月期「二」の後、十〜十二月期は「九」と「上昇」超幅が拡大した。
 先行きについては、十五年一〜三月期に「五」となった後、四〜六月期には「マイナス二」と「下降」超に転じる見通しとなっている。
 他方、製品価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、十四年七〜九月期「マイナス一七」の後、十〜十二月期は「マイナス一五」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについては、十五年一〜三月期「マイナス一六」、四〜六月期「マイナス一七」と「下降」超幅は拡大する見通しとなっている。

三 経営見通し(季節調整値)

1 売上高(全産業:金融・保険業、不動産業を除く)(第6表参照

 売上高に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成十四年七〜九月期「マイナス一三」の後、十〜十二月期は「マイナス一二」と「減少」超幅が縮小した。
 先行きについては、十五年一〜三月期も「マイナス一二」と同水準で推移した後、四〜六月期は「マイナス五」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十四年七〜九月期「マイナス一〇」の後、十〜十二月期は「マイナス九」と「減少」超幅が縮小した。先行きについても、十五年一〜三月期「マイナス八」、四〜六月期「マイナス四」と引き続き「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十四年七〜九月期「マイナス一四」の後、十〜十二月期は「マイナス一三」と「減少」超幅が縮小した。先行きについては、十五年一〜三月期に「マイナス一四」となった後、四〜六月期には「マイナス八」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。

2 経常利益(全産業:金融・保険業、不動産業を除く)(第7表参照

 経常利益に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成十四年七〜九月期「マイナス一三」の後、十〜十二月期は「マイナス一二」と「減少」超幅が縮小した。
 先行きについても、十五年一〜三月期「マイナス一一」、四〜六月期「マイナス七」と引き続き「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十四年七〜九月期「マイナス一三」の後、十〜十二月期は「マイナス一一」と「減少」超幅が縮小した。先行きについても、十五年一〜三月期「マイナス一〇」、四〜六月期「マイナス四」と引き続き「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十四年七〜九月期「マイナス一三」の後、十〜十二月期は「マイナス一二」と「減少」超幅が縮小した。先行きについては、十五年一〜三月期に「マイナス一三」となった後、四〜六月期には「マイナス八」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。

四 生産設備見通し(製造業:季節調整値)(第8表参照

 生産設備に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成十四年七〜九月期「二八」の後、十〜十二月期は「二六」と「過大」超幅が縮小した。
 先行きについても、十五年一〜三月期「二五」、四〜六月期「二四」と引き続き「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。

五 設備投資の動向(全産業:原数値)

1 半期別動向第9表参照

 設備投資の動向を半期別に前年同期比でみると、平成十三年度十〜三月期(実績)八・八%減の後、十四年度四〜九月期(実績)は一三・〇%減と引き続き減少した。
 先行き十四年度十〜三月期(計画)は、三・二%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十三年度十〜三月期(実績)一七・六%減の後、十四年度四〜九月期(実績)は二〇・五%減と引き続き減少した。先行き十四年度十〜三月期(計画)は、一一・六%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十三年度十〜三月期(実績)四・三%減の後、十四年度四〜九月期(実績)は九・一%減と引き続き減少した。先行き十四年度十〜三月期(計画)は、〇・五%増と増加に転じる見通しとなっている。

2 資本金規模別動向第10表参照

 資本金規模別に前年同期比でみると、資本金十億円以上の大企業は、平成十三年度十〜三月期(実績)一〇・三%減の後、十四年度四〜九月期(実績)は一二・四%減と引き続き減少した。先行き十四年度十〜三月期(計画)は五・一%増と増加に転じる見通しとなっている。
 他方、資本金一億〜十億円の中堅企業は、十三年度十〜三月期(実績)六・一%減の後、十四年度四〜九月期(実績)は一四・二%減と引き続き減少した。先行き十四年度十〜三月期(計画)は、一七・四%減と引き続き減少する見通しとなっている。

3 年度の動向第11表参照

 平成十四年度の全産業の設備投資額(修正計画U)は約三十七兆八千億円で、前年度に比べ七・九%減の見通しとなっている。これは修正計画T(九月調査時)に比べ〇・二%の上方修正となっている。
 産業別にみると、製造業は、約十一兆一千億円で、前年度に比べ一六・一%減の見通し(修正計画Tに比べ二・一%の下方修正)となっている。
 他方、非製造業は、約二十六兆六千億円で、前年度に比べ四・〇%減の見通し(修正計画Tに比べ一・一%の上方修正)となっている。
 また、資本金規模別にみると、資本金十億円以上の大企業は、前年度に比べ三・四%減の見通しとなっている。このうち製造業は二〇・二%減、非製造業は五・三%増の見通しとなっている。
 他方、資本金一億〜十億円の中堅企業は、一五・九%減の見通しとなっている。このうち製造業は七・七%減、非製造業は一九・三%減の見通しとなっている。

4 四半期別動向(季節調整値)

 四半期の動向を前期比でみると、七〜九月期(実績)三・一%増の後、十〜十二月期(実績見込み)は〇・七%減と減少に転じた。
 産業別にみると、製造業は、七〜九月期(実績)〇・五%減の後、十〜十二月期(実績見込み)は四・四%減と引き続き減少した。
 他方、非製造業は、七〜九月期(実績)四・九%増の後、十〜十二月期(実績見込み)は一・六%増と引き続き増加した。

5 四半期別動向(原数値)

 四半期別の動向を前年同期比でみると、七〜九月期(実績)九・八%減の後、十〜十二月期(実績見込み)は二・九%減と引き続き減少した。
 産業別にみると、製造業は、七〜九月期(実績)一六・四%減の後、十〜十二月期(実績見込み)は一五・六%減と引き続き減少した。
 他方、非製造業は、七〜九月期(実績)六・五%減の後、十〜十二月期(実績見込み)は二・九%増と増加に転じた。




目次へ戻る


月例経済報告(二月)

―景気は、引き続き一部に持ち直しの動きがみられるものの、このところ弱含んでいる―

内 閣 府


総 論

(我が国経済の基調判断)

 景気は、引き続き一部に持ち直しの動きがみられるものの、このところ弱含んでいる。
 ・企業収益は改善しており、設備投資は下げ止まっている。
 ・雇用情勢は、求人が増加傾向にあるものの、失業率がこれまでの最高水準となるなど、依然として厳しい。
 ・個人消費は、おおむね横ばいで推移するなかで、足元弱い動きがみられる。
 ・輸出は横ばいとなっている一方、生産は弱含んでいる。
 先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、世界経済の先行き懸念や我が国における消費者マインドが弱含んでいることなどにより、我が国の最終需要が引き続き下押しされる懸念が存在している。

(政策の基本的態度)

 政府は、一月二十四日に、「平成十五年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議決定し、平成十五年度予算を国会に提出した。平成十五年度予算においては、経済活性化や将来の発展につながる分野に重点配分を行うとともに、平成十五年度税制改正において、国・地方合わせて一兆八千億円程度の減税を先行させるなど、平成十四年度補正予算の着実な実施と併せ、両年度を通じた切れ目ない対応を図ることとしている。また、同日、「改革と展望−二〇〇二年度改定」を閣議決定した。
 デフレ克服を目指し、できる限り早期のプラスの物価上昇率実現に向け、政府・日本銀行は引き続き一体となって強力かつ総合的な取組を行う。

各 論

一 消費・投資などの需要動向

 平成十四年十〜十二月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間住宅、公的固定資本形成がマイナスに寄与したものの、財貨・サービスの純輸出(輸出−輸入)、民間企業設備がプラスに寄与したことなどから、前期比で〇・五%増(年率二・〇%増)となった。また、名目GDPの成長率は前期比で〇・一%減となった。

◇個人消費は、おおむね横ばいで推移するなかで、足元弱い動きがみられる。
 個人消費は、需要側と販売側の動向を総合してみると、おおむね横ばいで推移するなかで、足元弱い動きがみられる。この背景としては、収入面での弱い動きが続くなど家計を取り巻く環境が厳しいことに加え、消費者マインドがこのところ弱含みとなっていることが考えられる。
 需要側の動向をみると、これまで底固い動きが続いていたが、足元弱い動きがみられる。消費総合指数は三か月前比で、十一月までは増加していたが、十二月は減少している。支出項目ごとの動向について家計調査をみると、実質消費支出は、前月に比べて大幅に減少した。また、食料が前月に引き続き前年を下回るなど、基礎的な支出項目の増加基調が緩やかになっている。
 販売側の動向をみると、全体的に弱含んでいる。小売業販売額は弱い動きが続いている。チェーンストア販売額は、引き続き前年を下回った。百貨店販売額は、主力商品である衣料品が前年比減少幅を大きく拡大したことや、歳末商戦が十一月に一部前倒しされたことの反動などから、全体では前年を大幅に下回った。新車販売台数は、小型乗用車が引き続き大幅に増加したことから前年を上回っている。家電販売金額は、テレビ等が引き続き増加したものの、パソコンが前年を下回って推移していることから、全体でも前年を下回った。旅行は、国内旅行は前年を下回ったものの、海外旅行は米国における同時多発テロ事件の影響もあって前年大きく減少した反動から、大きく上回った。
 消費者マインドは、このところ弱含みとなっている。

◇設備投資は、下げ止まっている。
 設備投資は、平成十三年に入って以降減少が続いてきたが、企業収益の改善等を受けて下げ止まっている。需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、平成十三年一〜三月期以降減少が続いてきたが、このところ次第に減少幅が縮小してきている。「法人企業動向調査」(資本金一億円以上)で平成十四年十〜十二月期(実績見込)の設備投資でみても、ほぼ下げ止まっている。また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、横ばい基調が続いている。ソフトウェア投資は、弱含んでいる。
 今後の動向については、機械設備投資の先行指標である機械受注は平成十四年前半において底入れしたものの、その後は横ばい基調で推移しており回復力は弱い。また、このところ生産が弱含んでいることや日銀短観の平成十四年度計画において設備投資の減少が見込まれていること等を考慮すれば、設備投資は下げ止まった後も低調に推移するものと見込まれる。

◇住宅建設は、緩やかに減少している。
 平成十四年の住宅建設は、貸家は増加したものの、持家、分譲住宅が減少したことから、前年比一・九%減の百十五万一千戸となり、二年連続で百二十万戸を下回る低い水準となった。平成十四年度に入って、マンションの着工が減少したこと等から、四〜六月期は年率百十七万五千戸、七〜九月期は年率百十三万六千戸、十〜十二月期は年率百十二万五千戸となり、このところ緩やかに減少している。
 十二月は、持家、貸家は減少したものの、分譲住宅が増加し、年率百十一万九千戸となった。先行きについては、雇用・所得環境が厳しいこと、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下しており、こうしたことが引き続き住宅着工を減少させる要因になるものと見込まれる。

◇公共投資は、総じて低調に推移している。
 国の平成十四年度補正後予算では、構造改革推進型の公共投資等に災害対策費を含め、国費ベースで二兆円程度(事業規模で三兆四千億円程度)の公共投資を計上するなどの予算措置を講じたが、補正後の公共投資は、「改革推進公共投資」特別措置を実施した前年度を大きく下回った。地方の投資的経費のうち単独事業費は、地方財政計画では、前年度比一〇・〇%減となっている。
 このような状況を反映して、公共投資は、総じて低調に推移している。平成十四年度に入って、今年度に繰り越された平成十三年度第二次補正予算の下支え効果がみられたものの、四〜六月期では引き続き前年を下回り、公共工事請負金額は七〜九月期、十〜十二月期ともに前年を下回った。
 一〜三月期の公共投資については、一月の公共工事請負金額も前年を下回っており、国、地方の予算状況を踏まえると、引き続き前年を下回るものと考えられる。

◇輸出は、横ばいとなっている。輸入は、伸びが鈍化している。貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
 輸出は、昨年年初来の在庫積み増しの動きに一服感がみられたことなどにより弱含んでいたが、このところ輸送機械をはじめとする機械機器が比較的堅調に推移していることから、全体として横ばいとなっている。地域別にみると、アジア向け輸出は、全体としておおむね横ばいとなっている。アメリカ向け輸出は、港湾封鎖解除の影響によって増加した十一月の反動として、十二月は減少したが、全体としては横ばいとなっている。EU向け輸出は、ユーロ圏において景気が減速していることを背景に、全体として減少している。先行きについては、世界の景気回復に底堅い動きがみられるが、ユーロ圏の景気が減速していることに加えて、中東を巡るリスクが存在することに留意する必要がある。
 輸入は、鉱物性燃料が引き続き増加しているものの、生産が弱含んでいることを背景に、全体として伸びが鈍化している。地域別にみると、アジアからの輸入は、IT関連等の機械機器を中心に伸びが鈍化している。EUからの輸入は横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、機械機器を中心に減少している。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、輸出数量が横ばいとなる一方、輸入数量の伸びが鈍化していることから、おおむね横ばいとなっている。

二 企業活動と雇用情勢

◇生産は、弱含んでいる。
 鉱工業生産は、輸出の増加や在庫調整の進展・一巡を背景に、昨年に入ってから増加してきたが、輸出が横ばいとなったほか、国内最終需要が弱く、また企業が在庫積み増しに慎重であることから、弱含んでいる。
 今後については、製造工業生産予測調査によると平成十五年一月は増加、二月は減少が見込まれているが、国内最終需要の動向やアメリカをはじめとする世界経済の動向には引き続き留意する必要がある。
 また、第三次産業活動は、弱含んでいる。

◇企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかながら、引き続き改善がみられる。倒産件数は、減少している。
 「法人企業統計季報」によると、平成十三年七〜九月期以降、電機機械等の製造業を中心に大幅な減益となっていた企業収益は、平成十四年七〜九月期には、売上高は引き続き減収となったものの、企業のリストラ努力等により増益に転じた。また、日銀短観によると、下期については大幅な増益を見込んでいる。「法人企業動向調査」によると、平成十四年十〜十二月期における大中堅企業の経常利益の判断(前期比「増加」−「減少」)は、「減少」超幅が縮小している。
 企業の業況判断について、日銀短観をみると、中小企業では低い水準にあり、依然厳しさがみられるものの、製造業を中心に緩やかながら、引き続き改善がみられる。先行きについては、若干の悪化を見込んでおり、慎重な見方が出てきている。日銀短観に先行する傾向のみられる「法人企業動向調査」によっても、大中堅企業の業界景気の判断(前期比「上昇」−「下降」)は、「下降」超幅がやや拡大している。
 また、一月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで一千四百四十四件となるなど、減少している。

◇雇用情勢は、依然として厳しい。求人が増加傾向にあるものの、完全失業率がこれまでの最高水準となり、賃金も弱い動きが続いている。
 十二月の完全失業率は、前月比〇・二%ポイント上昇し五・五%と、過去最高に並んだ。男女とも非労働力人口が減少する一方で、女性では失業者数が増加し、男性では雇用者数が増加している。完全失業者については、最も多い非自発的な離職による者が微増となり、自発的な離職による者も増加した。雇用者については、ここ二か月連続で微増しているものの、基調としては弱含んでいる。
 新規求人数は、引き続き増加傾向にある。有効求人倍率については、引き続き緩やかに上昇している。製造業の残業時間については、前月比横ばいとなるなど、増加傾向が弱まっている。
 賃金の動きをみると、定期給与は前月比微減、前年同月比でも減少が続いており、ボーナスを含む特別給与についても前年を下回るなど、弱い動きが続いている。

三 物価と金融情勢

◇国内企業物価、消費者物価は、ともに弱含んでいる。
 輸入物価は、このところ契約通貨ベース、円ベースともに上昇しているが、足元では、為替の影響により、円ベースでは下落している。国内企業物価は、弱含んでいる。最近の動きを類別にみると、石油・石炭製品が上昇しているほか、在庫調整の一巡により鉄鋼が上昇しているものの、電気機器、輸送用機器、農林水産物などが下落している。
 企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
 消費者物価は、平成十二年秋以降弱含んでいる。最近の動きを類別にみると、一般サービスは横ばいとなっているものの、耐久消費財やその他工業製品の下落などにより一般商品が下落しているほか、公共料金が下落している。
 こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

◇金融情勢をみると、株式相場は、八千円台(日経平均株価)半ばで推移している。長期金利は、低下傾向が続いている。
 短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、日本銀行による金融緩和措置を反映して、〇・〇〇一〜〇・〇〇二%で推移した。二、三か月物は、ほぼ横ばいで推移した。長期金利は、投資家の旺盛な需要などに支えられ低下傾向が続いており、一月下旬には一時〇・七%台半ばとなった。
 株式相場は、一月中旬は大手銀行の増資報道等を受けやや上昇した後、一月下旬にかけて下落したが、総じて見れば、昨年十二月下旬以降八千円台(日経平均株価)半ばで推移している。
 対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、昨年十二月上旬から一月中旬にかけて百二十五円台から百十八円台まで上昇し、その後一月下旬までほぼ横ばいで推移した後、二月に入りやや下落している。対ユーロ円相場(インターバンク十七時時点)は、昨年十二月は百二十二円台から百二十五円台で推移した後、一月上旬から二月上旬にかけて、百二十四円台から百三十円台まで下落した。対ユーロドル相場(十七時時点)は、二月上旬に三年十一か月ぶりの安値水準へと下落した。
 マネタリーベース(月中平均残高)は、日本銀行の潤沢な資金供給など(一月日銀当座預金平均残高二十兆一千億円)を背景に、高い伸びが続いているが、伸び率は鈍化している(一月:前年同月比一三・四%)。M+CD(月中平均残高)は、二〇〇二年後半を通じて三%台前半で推移してきたが、昨年十二月以降は二%台前半となっている(一月速報:前年同月比二・〇%増)。民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、九六年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和等を背景に、昨年初来低下傾向で推移してきたが、このところ横ばい圏で推移している。企業の資金繰りの状況は横ばいとなっており、民間債と国債との流通利回りスプレッドはほぼ横ばいで推移している。

四 海外経済

◇世界の景気は、ユーロ圏で減速しているものの、回復に底堅い動きがみられる。
 世界の景気は、ユーロ圏で減速しているものの、回復に底堅い動きがみられる。
 アメリカでは、引き続き景気の回復力に底堅さがみられる。個人消費は持ち直しつつある。住宅建設は高い水準にある。設備投資は機械設備等を中心に持ち直しているが、非軍需資本財受注は減少している。生産は横ばいとなっている。雇用は改善の動きがみられる。物価は安定している。
 アジアをみると、一部で緩やかさがみられるが、景気回復が続いている。中国では、景気の拡大テンポは高まっている。韓国、タイでは、景気は拡大している。台湾、シンガポール、マレイシアでは、景気は緩やかに回復している。
 ヨーロッパをみると、@ユーロ圏では、景気は減速している。ドイツでは景気は弱い状態となっている。フランスでは景気は減速している。Aイギリスでは、景気は回復の動きが弱まっている。
 金融情勢をみると、アメリカの株価は、一月前半は上昇したが、その後はイラク情勢の緊迫や企業業績への懸念等から下落基調で推移した。アメリカの長期金利は、一月上旬は強含んで推移したが、その後は低下基調で推移した。ドルは、対ユーロを中心に一月中旬以降減価基調で推移した。イギリスでは、イングランド銀行が、二月六日に政策金利(レポ金利)を〇・二五%ポイント引き下げ、三・七五%とした。
 原油価格は、イラク情勢の緊迫等から上昇基調で推移し、二〇〇〇年秋以来の水準となった。



身体障害者補助犬法


わたしたちの大切なパートナー、身体障害者補助犬

 「身体障害者補助犬」を知っていますか? これは、盲導犬、聴導犬、介助犬の三種類の犬を指す言葉です。盲導犬は現在、全国で約九百頭が活躍していますが、介助犬や聴導犬は、それぞれ三十頭にも満たず、盲導犬のようにその存在を十分に知られていません。
 デパートや電車、ホテルなど、盲導犬の同伴を受け入れる公共施設や交通機関は増えていますが、受け入れを拒否されるケースもまだ後を絶ちません。まして介助犬や聴導犬などは、その数も少なく、普通のペットと同様に扱われてしまい、社会的な受け入れがほとんど進んでいないため、身体障害者の自立や社会参加に支障が生じています。
 こうした現状を改善し、補助犬の社会への受け入れを進めるための「身体障害者補助犬法」が平成十四年十月一日から施行されました。

◆施設などでの身体障害者補助犬の同伴・使用ができるようになりました

 身体障害者補助犬法の施行により、電車やバスなどの交通機関、郵便局や博物館などの各施設などへ補助犬(介助犬・聴導犬を含む)を同伴したり、職場や公団住宅、デパートなどで使用したりすることができるようになりました。
 使用者は、補助犬に、使用者のために訓練された身体障害者補助犬であることを明らかにするための表示をすることが義務づけられます。また、施設を利用する場合は、使用者は、補助犬が他の施設利用者へ迷惑をかけないように、補助犬の健康・衛生面に常に気を配り、公共の場などで公衆衛生上の危害を生じさせないようにする必要があります。

◆身体障害者補助犬の利用には、国民一人一人の理解が必要です

 補助犬は、障害のある方々の手足や目、耳の代わりとなる大切なもの。日常生活や仕事の場などで、障害のある方々が社会参加を行うためには必要不可欠な存在です。
 平成十五年四月一日から、介助犬・聴導犬の訓練事業が社会福祉事業に位置づけられ、今後、介助犬・聴導犬も社会の中で増えていくことが期待されます。公共施設や公共交通機関などで身体障害者補助犬を見かけたら、わたしたちも補助犬の役割を理解して、社会の中に積極的に受け入れていきたいものです。

□わたしたちを助ける、三種類の補助犬たち□

●盲導犬
 盲導犬は、視覚障害により日常生活に障害のある方のために、道路などでの安全を確保し、移動を補助する役割を果たします。道路交通法の規定により、盲導犬になるための訓練を受けた犬が盲導犬として認定され、白または黄色のハーネス(胴輪)を着けることが義務づけられています。身体障害者補助犬の中ではもっとも数の多い盲導犬ですが、その数が約四千頭といわれるイギリスや約一万頭とされるアメリカなどと比べると、日本ではまだまだ数が足りない現状です。

●介助犬
 介助犬は、肢体が不自由なため日常生活に障害がある方のための手助けを行います。常に障害者の側に寄り添い、物を運ぶ、ドアを押す、エレベーターのボタンを押す、車いすを引っ張る、脱衣の助手をする、電話やインターホンまたは不審な音や異常な音を知らせるなど、日常生活を補助するために必要な活動を行います。

●聴導犬
 聴導犬の仕事は、家の中で音を教えるだけでなく、聴覚障害者が災害や事故に巻き込まれる危険を回避することも期待されています。日常的な場面では、目覚まし時計の音や料理タイマーの音、ドアベルや電話・ファクスなどの音を聞き分けて知らせます。また、煙報知器の音を聞くと伏せをして危険を知らせたり、泣いている赤ちゃんや幼児のいるところまで導いたりするなど、その活動は多岐にわたります。

◇    ◇    ◇

関連ホームページ
■厚生労働省
 「身障者補助犬法ホームページ」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/syakai/kaijoken/top.html
  (Web版広報通信三月号)





言葉の履歴書


お彼岸

 「お彼岸」は春分(三月二十一日ごろ)、秋分(九月二十四日ごろ)の日の前後七日間。春秋ともに昼と夜の長さが同じになり、気候も快適な時期です。
 俳句で「手に持ちて線香売りぬ彼岸道」(高浜虚子)のように「彼岸」とだけいえば春。
 秋は「陸橋の空の白雲秋彼岸」(石原舟月)のように「秋彼岸」とか「後(あと)の彼岸」と呼ばれます。
 生死の苦しみに迷う現実世界の「此岸(しがん)」に対して「彼岸」は悩みを断って悟りを得た理想世界を指す仏教語。お彼岸の仏事「彼岸会(ひがんえ)」は、平安時代から行われています。
 わが国では古く、太陽が真東から出て真西に入るこのころ、日を追って山野を歩く習俗がありました。それに西方の日没を拝む仏教の浄土信仰が結びついたものとされています。
 「暑さ寒さも彼岸まで」は、春の余寒の終わり、秋の残暑の終わりをいったことわざですが、年により所によって寒い春の彼岸もあります。正岡子規の句「毎年よ彼岸の入りに寒いのは」は、母の言葉をそのまま俳句にしたものでした。






    <3月19日号の主な予定>

 ▽平成十三年度決算検査報告の概要………会計検査院 




目次へ戻る