官報資料版 平成15年4月9日




                  ▽家計調査報告(総世帯・単身世帯)平成十四年十〜十二月期平均及び十四年平均速報………総 務 省

                  ▽消費者物価指数の動向(二月)………………………………………………………………………総 務 省

                  ▽月例経済報告(三月)…………………………………………………………………………………内 閣 府











家計調査報告(総世帯・単身世帯)


―平成十四年十〜十二月期平均及び十四年平均速報―


総 務 省


T 平成十四年十〜十二月期平均

一 総世帯

 (1) 全世帯の家計
 全世帯の消費支出は、一人当たり十万六千四百七十五円となり、前年同期に比べ、名目〇・三%の増加、実質〇・八%の増加となった。

 (2) 勤労者世帯の家計
 勤労者世帯の実収入は、実質減少となった。また、平均消費性向は、前年同期を上回った。
 消費支出は、実質減少となった。

 (3) 勤労者以外の世帯の家計
 勤労者以外の世帯の消費支出は、一人当たり十万六千八百十二円となり、前年同期に比べ、名目三・二%の増加、実質三・七%の増加となった。

 (4) 財・サービス区分別の支出
 財(商品)全体では、実質二・〇%の増加となった。
 サービスは、実質一・五%の増加となった。

二 単身世帯

 (1) 全世帯の家計
 全世帯の消費支出は、一人当たり十七万八千百九十九円となり、前年同期に比べ、名目〇・一%の減少、実質〇・四%の増加となった。

U 平成十四年平均

一 総世帯

 (1) 全世帯の家計
 全世帯の消費支出は、一人当たり十万二千五百九十九円となり、前年に比べ、名目〇・三%の増加、実質一・四%の増加となった。

 (2) 勤労者世帯の家計
 勤労者世帯の実収入は、実質減少となった。また、平均消費性向は、前年を上回った。
 消費支出は、実質増加となった。

 (3) 勤労者以外の世帯の家計
 勤労者以外の世帯の消費支出は、一人当たり十万一千七百二十七円となり、前年に比べ、名目二・三%の増加、実質三・四%の増加となった。

 (4) 財・サービス区分別の支出
 耐久財、半耐久財及び非耐久財が実質増加したため、財(商品)全体では、実質一・九%の増加となった。
 サービスは、実質一・七%の増加となった。

二 単身世帯

 (1) 全世帯の家計
 全世帯の消費支出は、十七万四千六百九十円となり、前年に比べ、名目一・〇%の減少となったものの、実質〇・一%の増加となった。

































四月の気象


 四月の天気は、「春うらら」に代表される晴天イメージと、対照的な「春の嵐」といった悪天イメージをあわせ持っています。この時期、日本付近は寒暖の差が大きい「冬の気団」と「夏の気団」の境目にあたり、低気圧と高気圧が交互に短い周期で通過します。このため、晴天はあまり長続きせず、時には激しい気象現象も発生します。また、本州の南海上に前線が停滞して長雨となることがあるのも、この時期の特徴です。

◇春の嵐

 低気圧が日本海や北日本を通過すると、低気圧の南側では暖かい南風が吹いて、全国的に気温が高くなることがあります。この際、低気圧の発達する程度によっては、融雪洪水・雪崩・フェーン現象による火災などの災害を引き起こすことがあり、特に大陸からの強い寒気を伴った寒冷前線が通過する際には、突風・雷雨・竜巻など、荒れ模様の天気になることもあります。さらに、本州の南岸沿いを進んだ低気圧が日本の東海上で台風並に発達して、北海道で暴風雪となることもあります。
 昨年(平成十四年)の四月も、低気圧の通過に伴い、竜巻が発生したり(三日・沖縄)、強風で杉並木が倒れたり(四日・日光で最大瞬間風速毎秒三七・一メートル)、大雨が降る(二十一日・三重県尾鷲で日降水量一六一ミリ)など、顕著な現象が発生しました。

◇春の晴天

 日本付近が移動性高気圧に覆われると「春うらら」の天気となりますが、春の空は埃っぽく霞んでしまい、秋のような澄んだ青空はあまり見られません。
 これは、大気中に浮かんでいるさまざまな細かい粒子(水滴、土壌粒子、煤塵など)によって、遠くがはっきり見えないためで、「春がすみ」とも呼ばれます。また、中国大陸の黄土地帯で低気圧によって巻き上げられた多量の砂塵が、上空の西風に乗って日本付近まで飛来する黄砂も、視界を悪くする一因となります。近年、黄砂の観測日数が多くなり、社会的な関心が高まってきたことから気象庁もきめ細かな情報を発表することを計画しています。

◇平均気温が高かった昨年

 昨年(平成十四年)の四月は、低気圧が日本海や日本の北を通過することが多かったため南風が吹きやすく、平均気温が全国的に平年を一度以上も上回りました。北海道の一部では平年を三度以上も上回ったところがあり、札幌をはじめ全国の九地点で月平均気温の記録を更新しました。
 また、桜の開花もはやく、入学式までには散ってしまった地方も多かったようです。





目次へ戻る


消費者物価指数の動向


―東京都区部(二月中旬速報値)・全国(一月)―


総 務 省


◇二月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成十二年を一〇〇として九七・二となり、前月比は〇・三%の下落。前年同月比は〇・二%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降三年六か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は九七・〇となり、前月比は〇・二%の下落。前年同月比は〇・七%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降三年五か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

(1) 食料は九九・四となり、前月に比べ〇・五%の下落。
  生鮮魚介は三・〇%の下落。
   <値上がり> かれい、さけ
   <値下がり> かき、あじなど
  生鮮野菜は四・〇%の下落。
   <値上がり> レタス、トマトなど
   <値下がり> ほうれんそう、ねぎなど
  生鮮果物は二・〇%の下落。
   <値上がり> りんご、バナナ
   <値下がり> いよかん、みかんなど
(2) 被服及び履物は九一・三となり、前月に比べ二・一%の下落。
  衣料が三・六%の下落。
   <値下がり> 婦人コートなど
(3) 交通・通信は九八・一となり、前月に比べ〇・二%の下落。
  自動車等関係費が〇・四%の下落。
   <値下がり> 車庫借料など
(4) 教養娯楽は九二・六となり、前月に比べ〇・二%の下落。
  教養娯楽用耐久財が一・八%の下落。
   <値下がり> パソコンなど

三 前年同月との比較

○下落に寄与している主な項目
 家賃(一・一%下落)、電気代(五・九%下落)、教養娯楽用耐久財(一二・一%下落)、家庭用耐久財(九・三%下落)
 (注) 下落又は上昇している主な項目は、総合指数の前年同月比に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

◇一月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成十二年を一〇〇として九八・〇となり、前月比は〇・三%の下落。前年同月比は〇・四%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降三年五か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は九七・六となり、前月比は〇・六%の下落。前年同月比は〇・八%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降三年四か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

(1) 食料は九九・二となり、前月に比べ〇・六%の上昇。
  生鮮魚介は二・二%の上昇。
   <値上がり> いか、かれいなど
   <値下がり> えび、ぶりなど
  生鮮野菜は六・二%の上昇。
   <値上がり> レタス、ピーマンなど
   <値下がり> はくさい、しめじなど
  生鮮果物は四・五%の上昇。
   <値上がり> みかん、バナナなど
   <値下がり> いちご、レモンなど
(2) 家具・家事用品は九一・一となり、前月に比べ〇・四%の下落。
  家庭用耐久財が一・三%の下落。
   <値下がり> 温風ヒーターなど
(3) 被服及び履物は九一・一となり、前月に比べ六・五%の下落。
  衣料が一〇・二%の下落。
   <値下がり> 婦人上着など
(4) 教養娯楽は九三・一となり、前月に比べ一・三%の下落。
  教養娯楽サービスが二・〇%の下落。
   <値下がり> 外国パック旅行など

三 前年同月との比較

○下落に寄与している主な項目
 電気代(五・一%下落)、教養娯楽用耐久財(一二・五%下落)、家庭用耐久財(八・六%下落)、衣料(三・三%下落)
 (注) 下落又は上昇している主な項目は、総合指数の前年同月比に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。
























目次へ戻る


月例経済報告(三月)


―景気は、おおむね横ばいとなっているが、イラク情勢等から不透明感が増している―


内 閣 府


総 論

(我が国経済の基調判断)

 景気は、おおむね横ばいとなっているが、イラク情勢等から不透明感が増している。
 ・企業収益は改善しており、設備投資は持ち直している。
 ・雇用情勢は、求人が増加傾向にあるものの、失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 ・個人消費は、おおむね横ばいで推移するなかで、足元弱い動きがみられる。
 ・輸出は横ばいとなっている一方、生産は弱含んでいる。
 先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、イラク情勢等からくる不確実性の高まりや世界的な株価の低迷のなかで、我が国の最終需要が下押しされる懸念が強まっている。

(政策の基本的態度)

 政府は、内外の金融・経済情勢等を注視しつつ、引き続き金融、税制、歳出及び規制の四本柱の構造改革を一体的かつ整合的に実行することにより、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図る。平成十四年度補正予算を着実に実施するとともに、平成十五年度予算及び税制改正法案等の関連法案の早期成立に努める。また、株式市場の適正な運営を確保する観点から、その厳格な監視など、所要の措置を講じた。
 政府は、日本銀行と一体となって、金融危機を起こさせないよう万全を期すとともに、金融・資本市場の安定及びデフレ克服を目指し、引き続き強力かつ総合的な取組を行う。

各 論

一 消費・投資などの需要動向

◇個人消費は、おおむね横ばいで推移するなかで、足元弱い動きがみられる。
 個人消費は、昨年初以降、おおむね横ばいで推移するなかで、足元弱い動きがみられる。この背景としては、収入面での弱い動きが続くなど家計を取り巻く環境が厳しいことに加え、消費者マインドがこのところ弱含みとなっていることが考えられる。
 需要側の動向をみると、昨年来、底固い動きが続いていたが、足元では弱い動きがみられる。消費総合指数は三か月前比で、二か月連続で減少している。支出項目ごとの動向について家計調査をみると、実質消費支出は、前月に比べて増加しているが、大幅に落ち込んだ十二月の反動の側面が強い。また、食料が引き続き前年を下回るなど、基礎的な支出項目の増加基調が緩やかになっていることに加え、選択的な支出項目もこのところ減少幅が大きくなっている。
 販売側の動向をみると、全体的に弱含んでいる。小売業販売額は弱い動きが続いている。チェーンストア販売額は、引き続き前年を下回った。百貨店販売額は、初売りの前倒し効果がみられたことや、前月に大きく落ち込んだ反動から、前年比の減少幅が縮小した。新車販売台数は、小型乗用車が引き続き大幅に増加したことから、引き続き前年を上回っている。家電販売金額は、主力商品であるパソコンが前年を下回って推移していることから前年を下回った。旅行は、国内旅行は引き続き前年を下回った。海外旅行は前年大きく減少した反動から増加しているが、増加幅は縮小した。

◇設備投資は、持ち直している。
 設備投資は、平成十三年に入って以降減少が続いてきたが、企業収益の改善等を受けて持ち直している。これを需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、平成十三年一〜三月期以降減少が続いてきたが、平成十四年十〜十二月期に持ち直しに転じている。また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、やや持ち直している。ソフトウェア投資は、弱含んでいる。
 先行きについては、機械設備投資の先行指標である機械受注は平成十四年前半に底入れし持ち直しの動きがみられるものの、十五年一〜三月期の見通しは慎重な見込みとなっており、その回復力は弱いと見込まれる。また、日銀短観等によれば企業は依然高い設備過剰感を有していること、外需をはじめとする最終需要の先行きが依然不透明で企業の生産活動の持ち直しに向けた力も当面弱いものにとどまるものと考えられること等から、設備投資の持ち直しの動きは当面緩慢なものにとどまると見込まれる。

◇住宅建設は、緩やかに減少している。
 平成十四年の住宅建設は、二年連続で百二十万戸を下回る低い水準となった。また、平成十四年四〜六月期以降、マンションの着工が減少したこと等から、住宅建設は緩やかに減少している。これは、雇用・所得環境が厳しいこと、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下していることが要因であると考えられる。
 平成十五年一月は、持家、貸家、分譲住宅のすべてが増加し、年率百十九万五千戸となったが、先行きについては、引き続き消費者の住宅取得マインドが低下しており、住宅着工を減少させる要因になるものと見込まれる。

◇公共投資は、総じて低調に推移している。
 公共投資は、国、地方の予算状況を反映して、総じて低調に推移している。
 国の平成十四年度補正後予算では、構造改革推進型の公共投資等に災害対策費を含め、国費ベースで二兆円程度(事業規模で三兆四千億円程度)の公共投資を計上するなどの予算措置を講じたが、補正後の公共投資は、「改革推進公共投資」特別措置を実施した前年度を大きく下回った。地方の投資的経費のうち単独事業費は、地方財政計画では、前年度比一〇・〇%減となっている。
 このような状況を反映して、平成十四年度に入って、今年度に繰り越された平成十三年度第二次補正予算の下支え効果がみられたものの、公共工事請負金額、公共工事受注額、大手五十社受注額は、四〜六月期以降十〜十二月期まで、大手五十社受注額が十〜十二月期に前年比プラスだったことを除いて、前年を下回っている。
 一〜三月期の公共投資については、一月の公共工事請負金額なども前年を下回っており、国、地方の予算状況を踏まえると、引き続き前年を下回るものと考えられる。

◇輸出は、横ばいとなっている。輸入は、緩やかに増加している。貿易・サービス収支の黒字は、やや減少している。
 輸出は、昨年初来のIT関連品目を中心とする在庫積み増しの動きが一服したことから昨年半ばまでの増勢は失われているものの、輸送機械を中心に機械機器が比較的底堅く推移していること等から、全体として横ばいとなっている。地域別にみると、アジア向け輸出は、中国向けを中心に機械機器や化学製品等の輸出が増加していることから、全体として緩やかに増加している。ただし、一月の増加は二月初の春節に向けて前倒し輸出があったとみられること等から、実勢よりも高めに出ている可能性があることに留意する必要がある。アメリカ向け輸出は、在庫補充の一服や販売台数の減少の影響により自動車の輸出が減少したこと等から、足元弱含んでいる。EU向け輸出は、新型車投入のため自動車の輸出が増えたこと等から、おおむね横ばいとなっている。先行きについては、アジアにおける景気の緩やかな拡大が輸出の下支えになると考えられるものの、イラク情勢の緊迫を背景に、アメリカの景気回復が弱まりつつあること等から、当面の輸出の回復力は弱いものと見込まれる。
 輸入は、生産が弱含んでいるものの、鉱物性燃料が引き続き増加しているほか、中国からの輸入が趨勢的に増加していること等から、緩やかに増加している。地域別にみると、アジアからの輸入は、NIEs、ASEANからの輸入は減少しているものの、中国からの輸入が機械機器、繊維製品を中心に増加していることから、全体として増加している。アメリカからの輸入は、同国西海岸における港湾封鎖解除の影響により足元高い伸びとなっているが、その動きを均してみれば、おおむね横ばいとなっている。EUからの輸入は、おおむね横ばいとなっている。
 以上のように、輸出数量が横ばいとなる一方、輸入数量が緩やかに増加していること等を反映し、貿易・サービス収支の黒字は、やや減少している。

二 企業活動と雇用情勢

◇生産は、弱含んでいる。
 鉱工業生産は、輸出の増加や在庫調整の進展・一巡を背景に、昨年に入ってから持ち直してきたが、国内最終需要の弱い動きが続くなか、輸出が横ばい傾向で推移していることから、昨年末以降、弱含んでいる。在庫は低水準にあるものの、外需をはじめとする最終需要の先行きが不透明であること等を背景に、企業は在庫積み増しに慎重になっており、生産の増加にはつながっていない。
 先行きについては、在庫面からの生産下押し圧力は少ないと考えられるものの、国内最終需要は当面低調に推移することが見込まれるほか、アメリカ経済等をはじめとする世界経済の先行き不透明感を背景に輸出による牽引力もそれほど大きなものとはならないと考えられることから、生産の持ち直しに向けた力は当面弱いものにとどまると見込まれる。なお、製造工業生産予測調査においては、二月は微減、三月は微増となることが見込まれている。
 また、第三次産業活動は、卸売・小売業,飲食店を中心に緩やかに減少している。

◇企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかながら、引き続き改善がみられる。倒産件数は、減少している。
 企業収益の動向を「法人企業統計季報」によりみると、平成十三年七〜九月期以降、電気機械等の製造業を中心に前年比で大幅な減益となってきたが、売上高は引き続き減収となっているものの、人件費を中心とする企業のリストラ努力によりコスト削減が進んでいること等を背景に平成十四年七〜九月期には前年比で増益に転じ、十〜十二月期においても増益が続いている。業種別にみると、製造業では輸出増加の影響の大きい電気機械や輸送用機械を中心に大幅な増益となっているのに対し、非製造業では、中小企業の減益幅が大きく、全体としても若干の減益となった。なお、「日銀短観」によると、下期については製造業を中心に大幅な増益が見込まれている。
 企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、中小企業では低い水準にあり、依然厳しさがみられるものの、製造業を中心に緩やかながら、引き続き改善がみられる。先行きについては、若干の悪化を見込んでおり、慎重な見方が出てきている。
 また、企業倒産は、セーフティーネット保証の適用件数が増えていること等を背景に、減少している。

◇雇用情勢は、依然として厳しい。求人が増加傾向にあるものの、完全失業率が高水準で推移し、賃金も弱い動きが続いている。
 企業の人件費抑制姿勢などの労働力需要面の要因や、雇用のミスマッチなどの構造的要因から、完全失業率が高水準で推移するなど、厳しい雇用情勢が続いている。
 完全失業率は、一月は、前月比〇・二%ポイント上昇し五・五%と、昨年八月及び十月と並んで過去最高となった。雇用者については、三か月ぶりに前月比減少し、弱含んでいる。
 新規求人数は、二〇〇二年前半から増加傾向にある。有効求人倍率についても、引き続き緩やかに上昇している。製造業の残業時間については、緩やかな増加傾向が続いているが、一月は大きく増加した。
 賃金の動きをみると、定期給与は前年同月比、前月比とも増加したものの、現金給与総額は前年を下回っており、弱い動きが続いている。

三 物価と金融情勢

◇国内企業物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、弱含んでいる。
 輸入物価(円ベース)は、平成十四年末以降上昇傾向が弱まっていたが、足元で上昇している。国内企業物価は、横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、電気機器などが下落しているが、輸入価格の上昇により石油・石炭製品、化学製品が上昇しているほか、在庫調整の一巡などにより鉄鋼が上昇している。
 企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
 消費者物価は、平成十二年秋以降弱含んでいる。最近の動きを類別にみると、一般商品は、足元で石油製品が上昇に転じたこともあり、その他工業製品が下落幅を縮小しているが、耐久消費財や繊維製品の下落などにより、全体として下落している。また、一般サービスは横ばいとなっているが、公共料金は下落している。
 なお、原油価格上昇の影響が国内企業物価(石油・石炭製品、化学製品)、消費者物価(石油製品)ともにみられていることから、原油価格の動向には引き続き留意する必要がある。
 こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

◇国際政治情勢等の不透明感から、株安となっている。三月期末に向けて、短期金融市場は落ち着いている。
 国際政治情勢等の不透明感から、株式相場は軟調に推移し、為替相場は二月中旬以降円高・ドル安局面にある。
 三月期末に向けて、金融市場は落ち着きがみられる。短期金利は〇・〇〇一〜〇・〇〇二%でほぼ横ばい、長期金利は投資家の旺盛な需要などに支えられ〇・七%台で推移している。企業の資金繰り状況におおむね変化はみられず、民間債と国債との流通利回りスプレッドはこのところ縮小している。
 マネタリーベースは、日本銀行の潤沢な資金供給などを背景に一〇%台の高い伸びが続いているが、伸び率は鈍化している。M+CD(月中平均残高)は、昨年末以降二%程度の伸び率となっている。

四 海外経済

◇アジアでは景気が緩やかに拡大しており、アメリカでは景気回復が続くなかでその力が弱まりつつある。イラク情勢の緊迫から原油価格が上昇している。
 アメリカでは、景気回復が続いているが、このところ回復力が弱まりつつある。
 個人消費は、消費者マインドの悪化などから、持ち直しの動きが弱まっている。マインド悪化の背景には、イラク情勢の緊迫と、雇用環境が厳しさを増していることが大きい。また、東海岸が七年ぶりの豪雪に見舞われたことや、ガソリン等価格が大幅に上昇していることも、個人消費の動きを弱めた要因と考えられる。物価は、安定基調にあるが、このところ原油価格上昇の影響がみられる。
 設備投資は、機械設備投資等を中心に持ち直しており、また、先行指標となる資本財の受注は増加している。
 先行きについては、イラク情勢の緊迫が消費者や企業のマインドを大きく悪化させていることが懸念される。

◇アジアでは、景気は緩やかに拡大している。
 中国では、内需が堅調に拡大すると同時に、輸出の増加が続いており、景気は拡大している。韓国では、景気は拡大しているが、機械受注の伸びが鈍化するなど設備投資に弱い動きがみられる。タイで景気拡大が続くほか、台湾、マレイシアでも内需の増加から、景気は緩やかに拡大している。
 しかし、多くの国・地域では、アメリカ向けを中心として輸出の伸びが鈍化している一方、原油価格上昇が消費者物価上昇率を高めている。

◇ユーロ圏では、景気は減速している。
 ドイツでは、消費者・企業マインド悪化傾向のもとで、消費や投資は弱い動きとなっており、景気は弱い状態が続いている。フランスでは、消費者マインドの冷え込みから、これまで高い伸びを示した消費が横ばいとなるなど、景気は減速している。また、昨年秋以降のユーロ高の影響を主因として、ユーロ圏では輸出の伸びが急速に鈍化している。他方、物価はおおむね安定しており、原油価格上昇の影響はきわめて小さいものにとどまっている。
 こうしたなかで欧州中央銀行(ECB)は、経済成長の減速に対処するため、三月六日政策金利(短期買いオペの最低応札金利)を〇・二五%引き下げ二・五〇%とすることを決定した。また、欧州委員会は、一〜三月期の経済成長見通しが前期比〇・一%減〜〇・三%増となり、減速が続くものと見込んでいる。

◇国際金融情勢等
 金融情勢をみると、イラク情勢の緊迫、アメリカ経済の先行き不透明感の高まりから二月上旬以降、アメリカの株価は弱含み、長期金利は低下した。ドルは、二月上旬に増価したが、その後は減価基調で推移した。
 原油価格は、イラク情勢の緊迫等から上昇基調で推移し、二月下旬には一九九〇年秋以来の水準となった。




地上テレビジョン放送のデジタル化


デジタル化でどう変わる?
新しい、楽しいテレビスタイル

 本年末から、地上テレビジョン放送がこれまでのアナログ放送からデジタル放送へ、順次変更されていきます。「見る」メディアから「使う」メディアへ。私たちの生活に深く溶け込んでいるテレビ放送が、デジタル化でより楽しく、より便利に変わります。

●テレビを見ながら番組に参加
 デジタル放送は、従来のアナログ放送にはないさまざまな特徴を備えています。ハイビジョンに迫る高画質、CD並みの高音質、地域情報や文字放送などの豊富なデータ放送。そして双方向通信が可能となるため、生放送のクイズ番組に参加したり、番組のプレゼントにその場で応募したりと、いままでとは違った新しいテレビの楽しみ方が生まれます。
 またデジタル放送は電波障害に強いため、従来、電波の届きにくかった地域や、移動中の車、さらに、携帯端末でも、二重映りのない鮮明な画像でテレビが楽しめるようになります。

●本年末から放送開始
 関東・近畿・中京の三大広域圏を中心に本年末までに、その他の地域では二〇〇六年末までに順次放送が開始され、二〇一一年にはデジタル放送への完全移行(アナログ放送終了)が予定されています。

●デジタル放送を見るためには
 デジタル放送を視聴するためには、UHF対応アンテナと地上デジタルチューナーを取り付ける必要があります。また、ハイビジョン対応型のテレビやデジタル端子付きのテレビがある場合には、デジタル放送の特徴でもある高画質・高音質な放送を楽しむことができます。

●アナログ周波数変更対策工事にご協力を
 二〇一一年のデジタル放送への完全移行までの間、テレビはデジタル放送と従来のアナログ放送が並行して放送されます(サイマル放送)。このため、放送用の周波数帯域が一時的に過密状態になり、一部地域ではテレビの受信チャンネルの変更やアンテナ取替などの工事が必要となります。該当する地域の方には、あらかじめチラシなどでお知らせされます。なお、一般家庭における工事費用は、すべて国によって負担されます。
 地上テレビジョン放送のデジタル化にご理解とご協力をお願いします。

二〇一一年までに、すべての放送はデジタル放送に変わります

 現在、本年末の放送に向け、関東・近畿・中京の三大広域圏でアナログ周波数変更対策工事が開始されています。工事のスケジュールに関しては、こちらをご覧ください。
・社団法人 電波産業会
 http://www.arib.or.jp/arib_kari/skj.html
■詳しくは、総務省またはお近くの総合通信局にお問い合わせください。
・総務省情報通信政策局(地上放送課)
 03―5253―5949・5793
・東海総合通信局(放送部放送課)
 052―971―8292
・関東総合通信局(放送部放送課)
 03―3243―8686
・近畿総合通信局(放送部放送課)
 06―6942―0820
  (Web版広報通信 四月号)




テレビ調査員、工事人を名乗る悪徳商法にご注意ください


 「アナログ周波数変更対策工事(アナ・アナ変換)」の一般家庭における工事費用は、すべて国によって負担されます。このため、工事に伴いその場で費用を請求したり、該当する地域のご家庭に請求書を送ったりすることは一切ありません。このような内容の請求があった場合、悪徳商法の疑いがありますので、ご注意ください。
 また、工事を行う場合には必ず、あらかじめ希望の日時を確認した上で「テレビ受信対策員」と書かれた腕章を付けた者が工事を行います。突然に工事に現れたり、費用を請求するなどの不審な行為があったりした場合には、左記の連絡先または最寄りの警察署、交番にご連絡ください。
●総務大臣指定 指定周波数変更対策機関
 社団法人 電波産業会
 電話 03―3500―1660
関連ホームページ
■総務省:「情報通信行政(IT政策)」
 http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/joho_tsusin.html
■社団法人 電波産業会:「地上デジタルテレビ放送スタート!!」
 http://www.arib.or.jp/arib_kari/index.html
  (Web版広報通信 四月号)






    <4月16日号の主な予定>

 ▽平成十五年度予算及び財政投融資計画の概要………財 務 省 




目次へ戻る