官報資料版 平成15年4月16日




                  <特集>平成十五年度予算及び財政投融資計画の概要………財 務 省

                  T 平成十五年度予算の概要

                  ▽総  説

                  ▽一般会計

                    歳  出

                    歳  入

                  ▽特別会計

                  ▽政府関係機関

                  U 平成十五年度財政投融資計画の概要







平成15年度


予算及び財政投融資計画の概要



財 務 省

T 平成十五年度予算の概要



 「平成十五年度予算」は、平成十五年一月二十四日に国会に提出され、三月二十八日に成立した。
 文中における十四年度の計数は、特に説明のない限り、当初予算額である。
 なお、文中における計数は、原則としてそれぞれ四捨五入によっているので、端数において合計とは合致しないものがある。
(文及び表中における符号:原則として「〇」=単位未満、「―」=皆無)


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【総  説】


1 予算編成の前提となる経済情勢及び財政事情
 (1) 経済情勢
 十四年度の我が国経済は、年初来の輸出の増加や生産の持ち直しの動き等により、景気に一部持ち直しの動きがみられたが、年後半にかけて世界経済への先行き懸念や株価低迷の影響等が最終需要の下押し要因となり、年度後半はほぼ横ばいで推移することが見込まれる。
 政府は、経済社会の活性化を通じた民間需要主導の本格的な回復軌道に乗せるため、六月に「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二」を策定した。それ以降、十月には、金融・経済情勢の不確実性の高まりを踏まえ、日本経済再生のための政策強化として、「改革加速のための総合対応策」をとりまとめ、さらに、十二月には、この総合対応策を補完・強化する「改革加速プログラム」を策定するとともに、補正予算を編成した。
 (2) 財政事情
 我が国財政は、十四年度末の公債残高が約四百二十八兆円にも達する見込みであり、主要先進国中最悪の危機的状況である。
 また、かつてのような高い経済成長に依存した税収の伸びが期待できない中で、急速な人口の高齢化等に伴う経費の増大や公債の累増に伴う国債費の増大等により、歳入歳出構造はますます硬直化してきており、財政構造についての思い切った見直しがなければ、歳出と税収の多額のギャップは年々拡大していく可能性が強い。
 このような財政の持続可能性に対する懸念の増大を放置することなく、財政構造改革に着実に取り組む必要がある。
2 十五年度予算編成の基本的考え方
 十五年度予算編成に当たっては、「平成十五年度予算編成の基本方針」(十四年十一月二十九日閣議決定、以下「基本方針」という)に基づき、次のような基本的考え方に立って編成することとした。
 十五年度予算は、活力ある経済社会と持続的な財政構造の構築を図るため、「改革断行予算」と位置付けた十四年度予算の基本路線を継承する。このため、「官から民へ」、「国から地方へ」の観点に立ち、制度・政策の抜本的な見直しの検討を踏まえ、歳出改革を加速し、歳出全体にわたる徹底した見直しを行う。その際、政策評価の結果を活用する。十五年度予算においては、一般歳出及び一般会計歳出全体について実質的に十四年度の水準以下に抑制する。また、十四年度の「国債発行三十兆円以下」の基本精神を受け継ぎ、国債発行額を極力抑制する。
 十五年度予算においては、歳出構造改革を推進するとの観点から、活力ある経済社会の実現に向けた将来の発展につながる分野に予算の重点的な配分を行う。また、当面の経済情勢を踏まえ、民間の潜在的な活力を顕在化させる効果及び雇用創出効果を重視するとともに、改革に伴う影響に対応し、雇用や中小企業のセーフティネットに万全を期すことが適当である。
 予算配分の重点化・効率化を行うため、一般歳出を「公共投資関係費」、「義務的経費」、「裁量的経費」に区分するほか、二割増の要望を認めつつ厳しい予算配分を行う。このうち、公共投資関係費については、その総額を対前年度△三%の範囲内に抑制する。第二に、義務的経費については、制度・施策の抜本的見直しを行い、歳出の抑制を図る。第三に、裁量的経費については、前年度予算額から二%減算(科学技術振興費に相当する額を除く)した額を上限として縮減を図る。
 税制面においては、現下の経済・財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するための「あるべき税制」の構築に向け、改正を行うこととする。
 具体的には、我が国産業の競争力強化のための研究開発・設備投資減税の集中・重点化、次世代への資産移転の円滑化に資する相続税・贈与税の一体化及び税率の引下げ、「貯蓄から投資へ」の改革に資する金融・証券税制の軽減・簡素化、土地の有効利用の促進に資する登録免許税の軽減、人的控除の簡素化等の観点からの配偶者特別控除(上乗せ部分)の廃止、消費税に対する信頼性・透明性を向上させるための免税点制度等の改革、酒税及びたばこ税の見直しその他の所要の措置を一体として講ずる。
 なお、前記措置の実施により、十五年度において一兆五千億円程度の減税となり、多年度においては税収中立となる。
3 十五年度一般会計予算の規模等
 (1) 一般会計予算の規模
 十五年度一般会計予算の規模は、八十一兆七千八百九十一億円であって、十四年度当初予算額に対して、五千五百九十一億円(〇・七%)の増加となっている。
 なお、一般歳出の規模は、四十七兆五千九百二十二億円であって、十四年度当初予算額に対して四百五十億円(〇・一%)の増加となっている。
 (注) このうち、高齢者数の増加によるやむを得ない経費増(二千三百五十一億円)や、造幣局特別会計の廃止に伴う貨幣製造費の一般会計移管及び既往のNTT―Bタイプ無利子貸付に係る補助率差額相当分である追加貸付に伴う歳入・歳出の両建て増(四百六十九億円)、国債残高の増に伴う定率繰入の増等(四千七百九十一億円)、財源不足に対する交付税及び譲与税配付金特別会計における通常収支に係る新規借入の解消に伴う繰入れの増(一兆三千八百五十四億円)といったやむを得ない経費の増要因を除くと、十五年度予算の一般歳出及び一般会計歳出の規模は、十四年度の水準を実質的に下回るものとなっている。
 (2) 一般会計予算と国内総生産
 (イ) 一般会計予算の規模を国内総生産と対比すると、第1表のようになる。
 (ロ) なお、十五年度の政府支出の額は、百二十兆七千億円程度であり、十四年度実績見込みに対して、ほぼ横ばいとなる見込みである。また、そのうち、公的固定資本形成は、五・二%程度の減少となるものと見込まれる。
 (3) 一般会計歳入予算
 (イ) 租税及印紙収入は、現行法による場合、十四年度当初予算額に対して三兆四千七十億円減の四十三兆四千九十億円になると見込まれるが、法人関連税制、相続税・贈与税、金融・証券税制、土地税制、酒税・たばこ税等の税制改正を行うほか、自動車重量譲与税の譲与割合を引き上げることとしている結果、十四年度当初予算額に対して五兆三百億円(一〇・七%)減の四十一兆七千八百六十億円になると見込まれる。
 また、その他収入は、十四年度当初予算額に対して八千五百五十九億円(一九・四%)減の三兆五千五百八十一億円になると見込まれる。
 (ロ) 十五年度における公債金は十四年度当初予算額を六兆四千四百五十億円上回る三十六兆四千四百五十億円である。
 公債金のうち六兆四千二百億円については、「財政法」第四条第一項ただし書の規定により発行する公債によることとし、三十兆二百五十億円については、「平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律」の規定により発行する公債によることとしている。この結果、十五年度予算の公債依存度は四四・六%(十四年度当初予算三六・九%)となっている。
1 租税及印紙収入  (単位 億円)
 (1) 現行法を十五年度に適用する場合の租税及印紙収入    四三四、〇九〇
 (2) 税制改正による増△減収見込額            △ 一五、三〇〇
  イ 法人関連税制                     △ 一三、〇四〇
  ロ 相続税・贈与税                    △  一、〇三〇
  ハ 金融・証券税制                    △    九六〇
  ニ 土地税制                       △  二、一〇〇
  ホ 酒税・たばこ税                       一、六三〇
  ヘ その他                              六〇
                            (小計△ 一五、四四〇)
  ト 石油税                             一四〇
 (3) 自動車重量譲与税の譲与割合の引上げによる減収見込額 △    九三〇
 (4) 十五年度予算額(1)+(2)+(3)         四一七、八六〇
2 その他収入                          三五、五八一
3 公 債 金                         三六四、四五〇
  合   計                         八一七、八九一
4 重要施策
 (1) 税制改正
 現下の経済・財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するための「あるべき税制」の構築に向け、改正を行うこととする。
 具体的には、我が国産業の競争力強化のための研究開発・設備投資減税の集中・重点化、次世代への資産移転の円滑化に資する相続税・贈与税の一体化及び税率の引下げ、「貯蓄から投資へ」の改革に資する金融・証券税制の軽減・簡素化、土地の有効利用の促進に資する登録免許税の軽減、人的控除の簡素化等の観点からの配偶者特別控除(上乗せ部分)の廃止、消費税に対する信頼性・透明性を向上させるための免税点制度等の改革、酒税及びたばこ税の見直しその他の所要の措置を一体として講ずる。
 なお、前記措置の実施により、十五年度において一兆五千億円程度の減税となり、多年度においては税収中立となる。
 (2) 将来の発展につながる分野への重点配分
 十五年度予算においては、「改革断行予算」を継続することとし、予算の配分に当たり、歳出構造改革を推進するとの基本的考え方を踏まえ、活力ある経済社会の実現に向けた将来の発展につながる以下の四つの分野で政策効果が顕著なものについて重点的に推進することとする。
 (イ) 教育・文化、科学技術、IT
 人間力の向上・発揮を推進するため、一人一人の基礎的能力を引き上げ、世界に誇る専門性、多様性ある人材を育成するとともに、ITをはじめとした技術革新が急速に進展する中で、民間活力を引き出しつつ我が国の一層の発展基盤を整備するため科学技術や情報通信技術の一層の振興を図ることが重要な課題である。このため、教育・文化、科学技術、ITの各分野の施策について、以下のとおり重点的に推進することとしている。
 教育・文化については、高等教育の分野において競争的環境の中で世界最高水準の大学を育成するため、大学の構造改革を推進することとしている。また、初等中等教育について、学校や教員の個性と競争を通じて、豊かな心を持ち確かな学力と創造性を持った人材の育成を図るため、義務教育費国庫負担制度等の既存施策を見直し、教育改革を推進することとしている。また、教育を受ける意欲と能力がある個人への支援を重視する観点から、育英奨学事業の充実を図ることとしているほか、文化芸術分野を含め優れた人材育成を図ることにより、心豊かな活力ある社会を形成するとともに地域社会の活性化を図ることとしている。
 科学技術分野については、科学技術創造立国の実現のため、国際的に卓越した基礎研究及び@ライフサイエンス、A情報通信(IT)、B環境、Cナノテクノロジー・材料の四分野などに重点化するとともに、経済活性化のための研究開発プロジェクトを官民の適切な負担の分担の下で推進し、さらに、科学技術システム改革を進めることとしている。その際、科学技術予算については、科学技術政策担当大臣及び総合科学技術会議有識者議員による「優先順位付け(SABC)」も踏まえたメリハリをつけつつ、質的向上を図ることとしている。また、競争的研究資金について、制度の改革と重点的推進を図ることとしているとともに、民間主導による産学官連携の推進を図ることとしている。なお、真に重要な施策に研究開発資源を重点的に配分すべく、公正で透明性の高い研究開発評価システムの改革等を行うとともに、必要な整理・合理化・削減も併せて行うこととしている。
 ITについては、世界最先端のIT国家を目指し、「e−Japan重点計画―二〇〇二」(平成十四年六月十八日IT戦略本部決定)を踏まえ、世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成をはじめとする五分野に係る施策を重点的かつ戦略的に実施することとしている。また、施策の推進に当たっては、民間が主導的な役割を担うとの原則に沿って官民の役割分担を明確にするとともに、政府は、電子政府・電子自治体やETC等公的部門の電子化や基盤的技術の研究開発等に重点化することとしている。なお、施策の重複の排除や、成果の検証等の観点を踏まえた既存のプロジェクトの見直しを行うこととしている。
 (ロ) 個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方
 我が国の活力の源泉である都市の魅力と国際競争力を高め、都市の再生を実現することは重要な課題であり、このことは、資産市場の活性化を通じた経済再生の実現にも資することが期待される。このため、都市再生に関し公共・民間が総力を傾注して取り組むための共通指針である「都市再生基本方針」(平成十四年七月十九日閣議決定)に基づく施策を、優先度を踏まえつつ、重点的に実施することとしている。具体的には、三大都市圏における環状道路の整備や国際交流・物流機能の強化、密集市街地の整備などの都市再生プロジェクトを活用し、各種の都市基盤整備を重点的に進めること等により、民間資金やノウハウ等を引き出し新たな民間投資や消費を喚起することとしている。また、「都市再生特別措置法」に基づき指定された都市再生緊急整備地域における民間都市再生事業に対し、既存の都市計画・建築規制の適用を除外し、自由な事業計画の立案を可能とする都市計画制度の利用を可能とするとともに、民間都市開発推進機構を通じた金融支援などによる重点的な支援を行うこととしている。
 次に、個性ある地方の自立した発展と活性化を促進するため、国から地方に対する関与・規制を縮小するとともに、市町村合併を効果的に支援するほか、やる気と能力のある中小企業者への円滑な資金供給等のセーフティネットを確保することとしている。また、まちづくり総合支援事業をはじめとする統合補助金の活用等により、地域産業の活性化、中心市街地活性化、都市と農山漁村との共生・対流、安全な地域づくり等地域の主体的な取組を支援することとしている。このほか、地域社会におけるNPOとの連携施策の推進や、国際観光の振興を通じた特徴的なまちづくりを推進することとしている。さらに、地域の安全拠点となる治安基盤施設の整備等を通じて、住民の安全と治安を確保することにより、安心して暮らせる社会を構築することとしている。
 (ハ) 公平で安心な高齢化社会・少子化対策
 少子化の進展により、我が国の人口は二〇〇七年から減少に転じ、急速に高齢化が進むことが予測される中で、持続可能な社会保障制度の構築に努めることが重要な課題である。
 仕事と子育ての両立支援のための保育所待機児童ゼロ作戦の推進などに加え、職場や地域ぐるみで子育てを支援する取組を強化することなどにより、少子化の流れを変え、次代の社会を担う子供を安心して産み育てることができる環境の整備を推進する。
 さらに、PFI方式の活用等により、介護、保育サービスの供給体制を効率的に整備するとともに、社会の支え手として元気に働き、生活を享受することができる期間が長いという健康寿命の増進や公共施設、公共交通などの公共空間のバリアフリー化による移動手段の確保を図り、高齢者が尊厳を保ちつつ積極的に社会参加できるような社会の構築を目指す。
 また、「食」の安全に対する消費者意識の高まりや輸入食品の増加等に適切に対応するため、「食品安全基本法」の制定、食品安全委員会の設置、トレーサビリティシステム(生産流通履歴情報把握システム)の整備、「食品衛生法」の改正等に伴う基準・体制の整備、輸入食品や健康食品等の安全対策の強化等を通じて、消費者に信頼される食の安全・安心体制の構築を進める。さらに、健康に対する食の重要性にかんがみ、いわゆる「食育」を推進する。
 (ニ) 循環型社会の構築・地球環境問題への対応
 経済が持続的に成長するためには、自然環境との調和が重要な課題であることから、循環型社会の構築に重点的に取り組むこととしている。
 このため、廃棄物・リサイクル処理などの環境技術の実用化に向けた研究・開発の推進、廃棄物の発生抑制・再使用・リサイクルのいわゆる3Rの着実な実施やバイオマスの利活用の推進などにより、「ゴミゼロ社会」の構築に取り組むこととしている。
 また、地球環境問題に対しては、京都議定書の国会承認も踏まえ温室効果ガスの削減目標達成に向け、国民各層一体となった取組の推進、温室効果ガスの削減に向けた研究・開発、多様で健全な森林の育成、ヒートアイランド対策などに取り組むことにより脱温暖化社会づくりを進めることとしている。
 (3) 予算執行調査の結果の活用
 予算執行調査については、予算が実際に効率的・効果的に執行されているかを十分に把握することが必要との観点から、四十三の事業についてそれぞれの現場に赴き、予算の執行状況を調査し、この結果を予算編成等に反映したところである。
 具体的には、予算編成に反映した事項については、国立学校文教施設及び公務員宿舎の建築単価、政府米の保管料単価等の見直しや競争入札を導入すること等によるコスト削減を図ったこと等により総額で△百八十九億円の反映を行い、また予算の執行を改善した事項については、事業の効率化を図ったものや事業の効果の増大を図ったものがある。
 今後ともあらゆる機会をとらえ、執行状況について充実した調査・把握に努め、予算執行の適正化・効率化を図るとともに、歳出の効率化を図っていくこととしている。
 (4) 社会保障の充実
 社会保障については、急速な少子・高齢化の進展に伴い、経済の伸びを上回って給付と負担が増大していくことが見込まれる中で、個人の自助・自律の精神を基本として、世代間・世代内の給付と負担の均衡を図り、制度の合理化・効率化を行うことにより、経済・財政と調和し、将来にわたって持続可能な安定した制度を構築していく必要がある。
 こうした考え方の下、十五年度においては、年金等の物価スライドの実施(十四年分)、雇用保険制度改革等、歳出の合理化・効率化を行ったところであり、その結果、十五年度の社会保障関係費は、十四年度当初予算額に対して七千百三十九億円(三・九%)増の十八兆九千九百七億円を計上している。
 まず、年金及び諸手当については、物価・賃金の状況等を踏まえ、十四年の消費者物価の下落に応じた物価スライドを行うこととしている。
 雇用対策については、若年者雇用対策の推進、官民による労働力需給調整機能の強化、雇用関係情報の積極的提供、トライアル雇用への支援の実施、民間を活用した職業能力開発など、円滑な労働移動、早期再就職の実現等のための施策を推進するとともに、雇用保険制度について、制度の安定的運営を確保する観点から、保険給付の重点化・合理化を図るための制度改正を実施することとし、一般会計において、失業対策費を五千七百六十四億円、労働保険特別会計雇用勘定において三兆二千二百二十三億円を計上している。
 高齢者介護については、介護報酬の改定に当たって、賃金・物価の下落傾向、事業者の経営状況等を踏まえ、報酬水準全体を二・三%引き下げるとともに、介護保険給付費の適正化対策を推進するほか、介護保険制度の円滑な実施のため、PFI等も活用した介護サービス基盤の整備を効率的に進めることとしている。
 少子化対策については、安心して子どもを産み育てることができる社会を実現し、仕事と子育ての両立を支援するため、待機児童ゼロ作戦の推進、放課後児童受入れ体制の整備を着実に進めていくこととしている。
 障害者対策については、障害者の自立と社会参加を推進するため、新たにとりまとめられた新障害者プラン等を推進するとともに、雇用と福祉の連携等による障害者雇用を推進することとしている。
 医療については、最近の医療費の動向、十五年度に発現する十四年度改革の効果等を織り込んだ上で、国庫負担七兆七千五百二十一億円(十四年度当初予算比三千百二十六億円、四・二%増)を計上しているほか、医療安全対策や医療提供体制の整備等を推進することとしている。
 また、国立病院については、十一年三月に見直された「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」に基づき再編成を進めるほか、経営の改善・合理化を一層強化すること等により国立病院特別会計への一般会計繰入れを、十四年度当初予算額に対して九十七億円縮減している。
 生活保護については、国民の消費動向や年金額の物価スライドの実施等を総合的に勘案し、生活扶助基準等について〇・九%の引下げを行うとともに、運用について適正化対策等を実施することとしている。
 なお、消費税に対する国民の理解を一層深める観点から、消費税収の使途(地方交付税交付金を除く)を基礎年金、老人医療及び介護に限る旨を予算総則に明記している。
 (5) 文教及び科学技術の振興
 文教及び科学技術の振興については、人間力の向上・発揮のための環境整備を推進するため、義務教育費国庫負担制度の見直しを進めるとともに、予算執行状況等を踏まえた事業の見直しを実施するなど各種経費の見直しを行う一方で、確かな学力の育成等教育改革の推進や世界的水準の大学づくりのための大学改革の推進、科学技術政策担当大臣及び総合科学技術会議有識者議員による「優先順位付け(SABC)」も踏まえた科学技術予算の戦略的重点化を積極的に図ることとし、六兆四千七百十二億円(十四年度当初予算比二千三百四十四億円、三・五%減)を計上している(うち、科学技術振興費は一兆二千二百九十八億円(十四年度当初予算比四百六十六億円、三・九%増))。
 義務教育費国庫負担制度については、義務教育に関する地方の自由度を大幅に拡大する観点から制度的な見直しを進めることとし、これに伴い、十五年度から共済費長期給付及び公務災害補償基金負担金について全額一般財源化を行うこととしているほか、公立小中学校等の教職員定数について「第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(平成十三年度〜十七年度の五年計画)」の第三年次分として、所要の改善措置を講じている。
 公立学校施設については、緊急度の高い改築事業や耐震補強等、耐震性能を向上する事業などを中心に、その必要事業量を確保するとともに、これら施設整備に当たっては環境への負荷の低減、IT化、バリアフリー化などに配慮することとし、直面する様々な諸課題に積極的に対応できる学校施設づくりを推進することとしている。
 国立学校については、大学院の教育研究の高度化・多様化、教育研究の活性化等大学改革の推進、創造的な人材養成をめざす理工系教育の推進、人間性豊かな医療人の育成をめざす医学系教育の推進、高度情報化社会に対応した教育研究の推進、研究支援体制の充実等を図ることとしている。
 私学助成については、私立大学等経常費補助及び都道府県による高等学校以下の私立学校に対する経常費助成への補助について、特色ある教育研究を展開する私立学校に対する支援の充実を図ることとし、所要の経費を計上するとともに、私立学校教育研究装置等施設整備費補助、私立大学等研究設備整備費等補助及び私立学校施設高度化推進事業費補助について所要の経費を計上している。
 育英奨学事業については、教育を受ける意欲と能力のある学生への支援を重視する観点から無利子貸与及び有利子貸与ともに貸与人員の拡充を図るほか、無利子貸与では貸与月額を増額、有利子貸与では入学時の需要に対応した奨学金(一時金)を創設することとし、所要の経費を計上している。
 このほか、生涯学習の振興、特殊教育の振興、芸術文化・スポーツの振興等について施策の充実を図るため、所要の経費を計上している。
 科学技術の振興については、将来への発展基盤として着実な充実を図る必要があるとの長期的展望を踏まえつつ、科学技術政策担当大臣及び総合科学技術会議有識者議員による「優先順位付け(SABC)」も踏まえた戦略的重点化を図ることとしている。
 また、我が国経済を活性化する観点から、実用化を視野に入れた産学官連携による経済活性化のための研究開発プロジェクトを立ち上げることとしている。
 さらに、競争的資金の改革・充実等優れた成果を生み出す研究開発システムの構築を図るとともに、研究の競争的環境を醸成しつつ国民に開かれた科学技術とする等のため、研究開発に係る評価を推進することとしている。
 このほか国・大学から民間企業への技術移転の促進に資する環境整備など知的財産戦略の推進、産学官連携の推進及び地域科学技術の振興を図ることとしている。
 (6) 社会資本の整備
 公共投資関係費については、「基本方針」に基づき、十四年度当初予算額に対して三千四百八億円(三・七%)減の八兆九千百十七億円を計上している。このほか、産業投資特別会計社会資本整備勘定において、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づき貸付けを受けて実施される公共的建設事業として九百二十五億円を計上しており、これを加えた公共投資関係費は九兆四十三億円となる。
 このように公共投資の水準を抑制する一方、歳出の質的改善を図る観点から、「基本方針」に掲げた重点四分野に施策を集中するほか、その中でも大都市圏拠点空港などの事業に絞り込んで重点配分を行っている。
 さらに、社会資本整備の効率的推進の観点から、規格の見直しなどによるコスト縮減を進めるほか、汚水処理施設(下水道、集落排水、浄化槽)について関係機関の連携強化を図ることとしている。
 また、地方分権の観点から、国庫補助負担事業について、「事務・事業の在り方に関する意見」(平成十四年十月三十日地方分権改革推進会議)を踏まえ、採択基準の引上げ等を行うほか、統合補助金を拡充することとしている。
 治山治水対策事業については、国土保全施設の整備を進めるとともに、被災河川対策を中心とする河川改修、荒廃山地の復旧等に重点を置くこととし、一兆二千百十九億円(一般会計一兆二千百十九億円、産業投資特別会計社会資本整備勘定二千万円)を計上している。
 道路整備事業については、都市の再生に資する三大都市圏環状道路の整備、空港・港湾等の拠点と道路のアクセス強化、都市交通の円滑化を図るボトルネック踏切の除却・改良、鉄道駅等交通結節点の整備、地域の連携・交流を促進する幹線交通体系の整備等を重点的に実施することとし、二兆一千六百八十八億円(一般会計二兆七百九十三億円、産業投資特別会計社会資本整備勘定八百九十五億円)を計上している。
 道路関係四公団民営化に関しては、民営化後の新会社による高速道路整備の補完措置として、必要な高速道路を国及び地方公共団体の負担により整備する新直轄方式を導入するほか、本州四国連絡橋公団の債務処理として、有利子債務のうち一兆三千四百三十九億円を一般会計において承継し、自動車重量税収により当該債務を償還することとしている。
 道路特定財源の在り方の見直しについては、地方への税源移譲(市町村道整備に係る補助負担対象範囲の限定及び高速道路整備への地方負担の導入に伴う影響を踏まえ、自動車重量譲与税に係る譲与割合を四分の一から三分の一に引上げ)、本州四国連絡橋公団の債務処理のほか、地下鉄整備やディーゼル微粒子除去装置の装着による自動車の低公害化など新たな分野に活用することとしている。
 港湾空港鉄道等整備事業については、国際海上コンテナターミナル・国際幹線航路の整備、大都市圏拠点空港の整備、整備新幹線の整備等を推進することとし、五千七百五十億円(一般会計五千七百四十九億円、産業投資特別会計社会資本整備勘定一億円)を計上している。
 住宅都市環境整備事業については、密集住宅市街地の解消等都市居住の再生を図るほか、電線類の地中化、歩行空間のバリアフリー化、沿道環境改善対策、地域の創意工夫を活かした美しいまちづくり、都市における良好な水環境の形成等を推進することとし、一兆四千九百六十一億円(一般会計一兆四千九百四十七億円、産業投資特別会計社会資本整備勘定十四億円)を計上している。
 下水道水道廃棄物処理等施設整備事業については、浄化槽の整備に重点を置くほか、合流式下水道の緊急改善、広域防災公園の緊急整備等を推進することとし、一兆三千七百四十九億円(一般会計一兆三千七百四十三億円、産業投資特別会計社会資本整備勘定六億円)を計上している。
 農業農村整備事業については、基盤整備を契機とした経営体の育成、ストックマネジメントの導入による農業水利施設等の整備及び都市と「人・もの・情報」の循環が可能となる新たなむらづくりに重点をおいて事業を推進することとし、八千七百八十九億円(一般会計)を計上している。
 森林水産基盤整備事業については、森林の多面的機能の持続的発揮に向けた間伐等の実施やその効率的実施に資する林道等の整備、我が国周辺水域における水産資源の持続的利用等に資する漁港・漁場・漁村の整備を推進することとし、三千七百十五億円(一般会計三千七百六億円、産業投資特別会計社会資本整備勘定九億円)を計上している。
 その他施設費については、不審船対応巡視船、公立学校施設、保育所、特別養護老人ホームなどの整備を重点的に推進することとし、八千百四十六億円(一般会計)を計上している。
 (7) 経済協力の推進
 一般会計ODA予算については、援助対象分野等の更なる戦略化・効率化、執行の透明性向上等を図り、国際情勢を踏まえて我が国の国際的責任の十全かつ適切な遂行に努めつつ、予算規模を見直すとの方針の下、十四年度当初予算額に対して五百二十九億円(五・八%)減の八千五百七十八億円を計上している(経済協力費は四百五億円(四・七%)減の八千百六十一億円)。
 経済開発等援助費(二国間無償資金協力)については、現下の国際情勢等を念頭に、「草の根・人間の安全保障無償」、「水資源無償」及び「麻薬対策無償」の新設を行う等、人間の安全保障分野での援助を強化し、また、「緊急無償」も前年同額を確保する一方、途上国やNGO等の要望に応えて「債務救済無償」を廃止することとし、十四年度当初予算額に対して一六・八%減の一千七百三十六億円を計上している。
 技術協力については、開発途上国の人造りを支援し、顔の見える援助を推進する観点から、国費外国人留学生の新規受入れ人数の増加、青年海外協力隊及びシニア海外ボランティアの派遣人数の維持等を図る一方、単価の見直し等事業の効率化・合理化を図ることにより、十四年度当初予算額に対して三・五%減の三千二百二十八億円を計上している。
 国際機関等を通ずる経済協力については、会計検査院の指摘も踏まえ、多額の滞留金が発生している国際機関への任意拠出金を減額する一方、難民支援等を行う「国際連合開発計画」や「国際連合難民高等弁務官」等に対する拠出金は前年並みの水準を維持する等、拠出先の重点化・戦略化を行い、十四年度当初予算額に対して六・八%減としている。
 円借款については、円借款の事業規模の見直し等を行い、その財源となる国際協力銀行の出資金を十四年度当初予算額に対して八・六%減としている。
 (8) 防衛力の整備
 防衛関係費については、十二年十二月十五日の安全保障会議及び閣議において決定された「中期防衛力整備計画(平成十三年度〜平成十七年度)」の第三年度目として、多様な事態(生物兵器攻撃等)への対処能力の強化、各種災害への対応、情報機能の強化等の重要施策を推進するとともに、自衛隊の任務遂行や維持運営のため、所要の経費を計上しており、防衛関係費として、十四年度当初予算額に対して三十億円(〇・一%)減の四兆九千五百三十億円を計上している。
 なお、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)関係経費は二百六十五億円であり、これを除いた防衛関係費は、四兆九千二百六十五億円(〇・三%減)となる。
 (9) 中小企業施策の推進
 中小企業対策費については、限られた財源の効果的・効率的配分に努めつつ、また十一年に改正された「中小企業基本法」の理念も踏まえ、創業・経営革新など中小企業の自助努力を積極的に支援するための経費については増額を行うなど資金の重点的配分を図るとともに、中小企業に対する資金供給の円滑化に必要な経費については、十分な予算額を手当てすることとする一方、地方向け補助金の縮減、事業の執行状況等を踏まえた既存事業の見直し等により支出の抑制を図り、十四年度当初予算額に対して百三十二億円(七・一%)減の一千七百二十九億円を計上している。なお、十五年度予算では、かねてからの経営努力と財投改革の成果が相まって国民生活金融公庫の収支差補給金(十四年度二百二十億円)がゼロとなったが、これを除いてみた場合、対前年度比八十八億円(五・四%)増となっている。
 具体的には、創業・経営革新支援については、創業者や経営革新に取り組む中小企業に対し、必要な専門知識を提供するための講座・セミナーの実施など、各商工会・商工会議所等が行う人材育成・能力開発推進事業に対する支援を抜本的に強化するとともに、中小製造業の技術力強化の観点から、戦略的基盤技術力強化事業等の積極的な推進を図ることとしている。
 また、構造改革の進展に備え、中小企業に対する資金供給の円滑化を図るため万全の体制を整える(セーフティネットの充実)こととし、公的信用補完の基盤強化のため、中小企業総合事業団信用保険部門に対する出資金及びセーフティネット保証等に係る信用保証協会への補助金を充実することとしている。
 (10) 農林水産業の振興
 農林水産予算については、食の安全と安心の確保、農業の構造改革の加速化、都市と農山漁村の共生・対流による地域の活性化を推進するとともに、十三年に改正された「森林・林業基本法」を踏まえた新たな森林・林業政策の展開、「水産基本法」を踏まえた水産政策の展開を図ることとしている。このような中で、「基本方針」等を踏まえ、公共事業から非公共事業へのシフトを前年度予算に引き続き行い、農林水産業の緊急かつ重要な課題に対する施策の強化を図ることとしている。
 具体的には、食の安全と安心の確保を図る観点から、消費者に生産履歴情報等を伝達するトレーサビリティシステムについて、牛肉に導入するために必要な体制の整備と青果物等その他の品目への導入を推進するとともに、不正を見逃さない監視体制の整備を通じた食品表示の信頼性の回復を図るほか、国民一人一人が食の安全と安心について自ら考えるための食育活動を推進することとしている。
 また、農業の構造改革の加速化を図る観点から、意欲と能力のある経営体への施策の集中を図るため、総合的な認定農業者支援システムの構築、農業経営の法人化の加速等による多面的戦略の展開、既存ストックの有効活用による生産基盤や農業利水施設の整備等を推進することとしている。
 次に、都市と農山漁村の共生・対流による地域の活性化を図る観点から、新たなグリーン・ツーリズムの展開、農業・農村体験学習の推進、農山漁村のIT化を目指す「e−むらづくり計画」の推進等を通じて、農山漁村を振興することとしている。また、循環型社会の構築と地球温暖化防止に向け、バイオマスを利活用する社会を実現するため、新たなモデル施設の整備、利活用システムの構築等を推進することとしている。
 林野関係では、地球温暖化防止等に資する観点から、森林整備事業については、十四年度当初予算額に対して一・〇%増の一千八百十六億円を計上するとともに、地球温暖化対策推進大綱(平成十四年三月十九日地球温暖化対策推進本部決定)に定められた我が国の森林によるCO吸収量目標を達成する観点から、国際的な審査に対応しうる森林施業情報の一元管理システム等の整備を図ることとしている。また、林業・木材産業の構造改革を推進するため、地域材及び木質バイオマスの利活用の推進や、今後の森林整備を支える林業就業者等の育成とその受け皿たる森林組合などの林業事業体の経営基盤の強化を図るとともに、林業改善資金等について、林業・木材産業の経営改善等に必要な資金が円滑に供給される制度に再構築することとしている。さらに、定住促進のための受入体制の整備や森林資源等を活用した新たな産業の育成、森林環境教育活動や里山林等を活用した健康づくり、国民参加の森林づくり等の推進により、都市と山村の共生・対流を通じた活力ある山村の振興を図ることとしている。
 水産関係では、安全・安心な水産物供給体制を整備するとともに、将来にわたって継続的・安定的に漁業生産を増大していけるよう、基盤となる水産資源の適切な利用・管理体制を構築し、つくり育てる漁業の推進、内水面における生態系の保全等を実施することとしている。また、漁業経営を担うべき人材を確保・育成する観点から漁業信用保証保険制度の充実を図るとともに、認定漁協につながる合併等による組織再編を進めるなど漁協改革を実施するほか、市場統合の促進等を通じた水産物流通の効率化や安全・安心で高品質な水産加工品の開発等による水産加工業の事業基盤強化を図ることとしている。さらに、漁港と漁場の一体的・総合的な水産基盤の整備を推進するとともに、都市と漁村の共生・対流による地域の活性化を図るため、体験学習施設、海洋深層水体験施設等の整備等による魅力ある漁村づくりを推進することとしている。
 (11) エネルギー対策の推進
 エネルギー対策については、地球温暖化問題への対応が求められる中、省エネルギー対策や新エネルギーの開発・利用の促進等に重点的に取り組むこととしている。また、エネルギーの安定供給の確保や原子力の平和利用の促進等についても着実に取り組むなど、中長期的な観点に立った総合的なエネルギー政策を着実に推進することとしている。
 すなわち、石油資源の探鉱・開発の推進、石油備蓄の維持、石油の生産・流通合理化を図るための諸施策等石油対策の推進に努めるとともに、原子力利用の安全確保のための研究、原子力施設の安全性向上対策、高速増殖炉の研究開発、核融合の研究開発、新エネルギー技術及び省エネルギー技術の研究開発等の推進に努めることとしている。
 これらの施策を実施するため、一般会計のエネルギー対策費として、五千五百六十七億円を計上している。
 (12) 地方財政
 十五年度の地方財政については、国と同様財政事情が極めて厳しい中、国と地方という公経済の車の両輪がバランスのとれた財政運営を行う必要があるという基本的考え方を踏まえ、国の歳出の徹底した見直しと歩調を合わせつつ、地方の歳出を徹底して見直した上で、地方財政の運営に支障を生じることのないよう所要の措置を講ずることとしている。
 通常収支の財源不足については、国と地方の財源不足対策の責任を明確化し、地方歳出の効率化を図る観点から、交付税及び譲与税配付金特別会計における新規借入金を行わないこととし、国負担分については一般会計からの繰入(特例加算)、地方負担分については特例地方債(臨時財政対策債)により補てんすることにより、所要の地方交付税総額を確保することとしている。また、恒久的な減税の十五年度における影響については、引き続き十一年度に決定した地方財政対策の枠組みに従って対応することとしている。なお、今次の税制改正による影響額については、地方税の減収の影響は減税補てん債により、国税の減収に伴う地方交付税の減収は交付税及び譲与税配付金特別会計での借入金により対応することとし、国庫補助負担金の見直しに伴い地方において必要となる財源については、暫定措置として二分の一を地方特例交付金により、二分の一を地方交付税(同特別会計借入金)により対応し、所要財源を確保している。
 この結果、十五年度に一般会計から同特別会計に繰り入れる地方交付税交付金及び地方特例交付金は、十四年度当初予算額に対して三千八百七十二億円(二・三%)増の十七兆三千九百八十八億円、また同特別会計から地方団体に交付される地方交付税交付金及び地方特例交付金の総額は、十四年度当初予算額に対して一兆三千七百三十億円(六・七%)減の十九兆七百五十五億円となっている。
 地方公共団体に対する補助金等については、十五年度予算においては、国と地方の役割を見直し、国の関与を縮小するとともに、国・地方を通じた行政のスリム化を実現する観点から、その整理合理化を積極的に推進している。具体的には、義務教育費国庫負担金の共済費長期給付等の一般財源化、公共事業関係の国庫補助負担金の削減(一般会計及び特別会計の合計で二千六百二十五億円(地方道路整備臨時交付金を除く))、国庫補助金の削減(一千八百八十三億円)、統合補助金の対象事業の拡充(八件(七百九十九億円)の創設)等を図ることとしている。


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【一般会計】


◇歳   出第2表参照

 社会保障関係費

                 (百万円)
    十五年度   一八、九九〇、七三一
    十四年度   一八、二七六、八〇五
    比較増△減     七一三、九二六
1 生活保護費
                 (百万円)
    十五年度    一、五二一、六八四
    十四年度    一、三八三、七二八
    比較増△減     一三七、九五六
 この経費は、「生活保護法」に基づき、地方公共団体が支弁する各種の保護費(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、介護扶助、医療扶助、出産扶助、生業扶助及び葬祭扶助の各経費)、保護施設の事務費に対する国の補助に要する経費、生活保護法実施のための指導監査職員の設置に要する国の委託等に必要な経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 保護費
 (イ) 生活扶助については、扶助基準を〇・九%の引下げを行う(一級地―一の標準三人世帯で月額十六万二千四百九十円)こととし、最近の実績を勘案して扶助人員を百五万六千人と見込み、五千二百三十九億三千九百万円を計上している。
 (ロ) 介護扶助については、二百二十億五千万円を計上している。
 (ハ) 医療扶助については、最近の診療実績等を勘案して件数の増等を見込み、七千五百二十億三千四百万円を計上している。
 また、生活保護の運用については、引き続き一層の適正化を図ることとし、被保護者の長期入院の計画的な解消、稼働年齢層の就労促進等各般の施策を推進することとしている。
 (2) 保護施設事務費
 各種保護施設の運営費について、入所者の処遇改善等を行うこととし、二百八十二億二百万円を計上している。
2 社会福祉費
                 (百万円)
    十五年度    一、七二七、〇七五
    十四年度    一、七二一、七五五
    比較増△減       五、三二〇
 この経費は、「老人福祉法」等に基づく老人福祉費、「身体障害者福祉法」に基づく身体障害者保護費、「児童福祉法」、「母子保健法」等に基づく児童保護費、児童扶養手当及び特別児童扶養手当等の支給に必要な経費、婦人保護費、社会福祉施設整備費、母子福祉費並びに国立更生援護機関の運営に要する経費等である。
 なお、児童扶養手当については、十四年の制度改正を踏まえ、十五年十月分から十四年の消費者物価の下落に応じた物価スライドを行うこととしている。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 老人福祉費
 養護老人ホームをはじめとする入所施設の運営費について、入所者の処遇改善、入所定数の増加等を行うこととして、七百二十九億五千七百万円を計上している。
 これらにより、老人福祉費については、総額七百八十二億二千万円を計上している。
 (2) 身体障害者保護費
 (イ) 各種更生援護施設における施設訓練等支援費について、入所者の定数の増加等を行うほか、
 (ロ) 十四年十二月に策定された新障害者プラン等を推進することとし、
 総額一千百七十億三千八百万円を計上している。
 (3) 児童保護費
 (イ) 各種入所施設及び保育所の運営費等について、入所者の処遇改善、保育所受入れ児童数の拡大等を行うほか、
 (ロ) 児童福祉事業、知的障害者地域生活援助事業等の充実を図ることとし、
 総額八千三百九十六億二千万円を計上している。
 (4) 社会福祉諸費
 (イ) 在宅福祉対策等として、介護保険制度を着実に実施するため、介護予防・地域支え合い対策の推進、生活支援ハウス及び在宅介護支援センターの事業の充実、介護サービスの質の向上に向けた取組等を推進するとともに、生活福祉資金貸付事業の充実を図るほか、
 (ロ) 社会福祉・医療事業団及び十五年十月に社会福祉・医療事業団が解散し、新たに設立され、その業務を承継することとなる独立行政法人福祉医療機構について、福祉貸付等(平成十五年度財政投融資計画の概要(以下「財政投融資計画の概要」という)参照)の貸付規模を、十五年度においては、合わせて六千四百八十七億円とするとともに、心身障害者福祉協会の運営費補助金等として所要の額を計上することとし、
 総額一千六百三十億五百万円を計上している。
 (5) 社会福祉施設整備費
 各種の社会福祉施設等について、社会的需要に即応して整備改善を図るとともに、在宅老人福祉の拠点施設の整備等を促進することとし、一千二百六十一億三千八百万円を計上している。
 (6) 母子福祉費
 母子寡婦福祉貸付金の貸付けについて、貸付原資の追加を行うこととし、六十億三千万円を計上している。
3 社会保険費
                 (百万円)
    十五年度   一四、六五一、三七九
    十四年度   一四、一五八、三七九
    比較増△減     四九三、〇〇〇
 この経費は、社会保険国庫負担金、厚生年金保険国庫負担金、健康保険組合助成費、厚生年金基金連合会等助成費、国民健康保険助成費、国民年金国庫負担金、農業者年金等実施費、独立行政法人農業者年金基金運営費、国民年金基金等助成費、日本鉄道共済組合等助成費、児童手当国庫負担金、介護保険推進費、老人医療・介護保険給付諸費及び農業経営対策費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 政府管掌健康保険
 国庫補助については、八千八百六億四千八百万円を計上している。
 なお、医療費支出の適正化を図るため、引き続き、医療機関に対する指導監査の強化、レセプト審査の充実強化等各般の施策を着実に推進することとしている。
 (2) 厚生年金保険
 国庫負担金については、四兆一千四十五億一千九百万円を計上している。
 なお、十五年度の年金額については、物価・賃金の状況等を踏まえ、十四年の消費者物価の下落に応じた物価スライドを行うこととしており、過去三年間(十一年から十三年)の消費者物価の下落分については、特例措置を講じ、これに応じた引下げは行わないこととしている。
 (3) 組合管掌健康保険
 財政基盤がぜい弱なため厳しい財政状況にある健康保険組合に対する給付費臨時補助金として、百五十一億三千万円を計上するとともに、事務費負担金を四十八億一千百万円計上している。
 (4) 国民健康保険
 国民健康保険助成費については、四兆八百六十九億八千五百万円を計上している。
 なお、市町村国民健康保険の安定的運営を図る観点から、十七年度までの措置として保険基盤安定制度の拡充、高額医療費共同事業の拡充・制度化を行うとともに、医療費支出の適正化を図るため、引き続き、医療機関に対する指導監査の強化、レセプト審査の充実強化、退職被保険者の適用の適正化等を行うこととしている。
 (5) 国民年金
 国庫負担金については、一兆四千九百六十二億八千五百万円を計上している。
 なお、十五年度の年金額については、物価・賃金の状況等を踏まえ、十四年の消費者物価の下落に応じた物価スライドを行うこととしており、過去三年間(十一年から十三年)の消費者物価の下落分については、特例措置を講じ、これに応じた引下げは行わないこととしている。
 (6) 福祉年金
 国庫負担金については、二百七十六億三百万円を計上している。
 なお、十五年度の年金額については、物価・賃金の状況等を踏まえ、十四年の消費者物価の下落に応じた物価スライドを行うこととしており、過去三年間(十一年から十三年)の消費者物価の下落分については、特例措置を講じ、これに応じた引下げは行わないこととしている。
 (7) 農業者年金
 農業者年金については、十三年度に抜本的改革を行ったところであり、旧年金給付に要する費用等として、農業者年金給付費等負担金一千五百十二億二百万円を計上している。
 (8) 児童手当
 児童手当については、「児童手当法」に基づき、支給額を第一子及び第二子月額五千円、第三子以降月額一万円とし、支給年齢については、義務教育就学前(六歳に到達後最初の年度末)として、国庫負担金については、一千八百八十一億五千百万円を計上している。
 (9) 介護保険推進費
 介護保険推進費については、市町村の要介護認定等事務費に対する交付金等として四百九十一億四千二百万円を計上している。
 (10) 老人医療・介護保険給付諸費
 「老人保健法」による老人医療給付費等及び「介護保険法」に基づく市町村の介護給付費に対する国庫負担等として三兆四千七百十四億一千七百万円を計上している。
4 保健衛生対策費
                 (百万円)
    十五年度      五一四、一五七
    十四年度      五二四、八七六
    比較増△減    △ 一〇、七一九
 この経費は、「結核予防法」等に基づく医療費に対する補助に要する経費、原爆障害対策費、保健衛生諸費、保健衛生施設整備費、国立病院特別会計に対する経営費及び施設費の財源繰入れに必要な経費、国立ハンセン病療養所費、検疫所費、沖縄保健衛生諸費及び沖縄保健衛生施設整備費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 結核医療費については、最近の命令入所患者等の医療費の実績等に基づき、七十八億六千七百万円を計上している。
 (2) 精神保健費については、最近の措置入院・通院患者等の医療費の実績等に基づき、七百三十四億九百万円を計上している。
 (3) 原爆障害対策費については、引き続き、医療の給付及び各種手当等の交付等を行うこととして、一千五百三十九億七百万円を計上している。
 (4) 保健衛生諸費については、
 (イ) 移植対策事業やエイズ予防対策事業の推進を図る等、疾病予防及び健康づくり推進費として、九十六億五千九百万円を計上している。
 また、「老人保健法」に基づく保健事業等について、保健事業第四次計画に基づき健康診査、健康教育、訪問指導等の事業を引き続き推進するとともに、C型肝炎ウイルス検査等を実施することとし、二百九十六億二千百万円を計上している。
 (ロ) 医療提供体制を整備するため、
 @ 救急医療体制について、その体系的整備を図るため、十床規模の新型救命救急センターの創設、救急救命士の病院実習受入促進措置を新たに講ずるほか、小児救急医療支援事業等を推進することとし、これらの所要額のうち運営費について、百四十五億五千五百万円を計上している。
 A へき地保健医療対策についても、引き続き、へき地勤務医師の確保等の事業を行うこととし、二十億九千七百万円を計上している。
 B また、日本赤十字社、恩賜財団済生会等の開設する救急医療施設等の高度不採算部門の運営費等に対する補助を引き続き行うこととし、九億七千八百万円を計上している。
 (ハ) 地域保健活動推進費については、保健所における地域保健活動を推進するとともに、牛海綿状脳症(BSE)対策として、引き続き、食肉衛生検査所等における検査設備等の整備を促進することとし、百二億百万円を計上している。
 (ニ) ハンセン病対策費については、引き続き、ハンセン病療養所入所者の家族に対する生活援護等を実施するとともに、ハンセン病療養所退所者に対する退所者給与金の支給等の社会復帰支援策の充実を図るなど、ハンセン病対策を積極的に推進することとし、三十八億二千六百万円を計上している。
 (ホ) さらに、血液対策推進費については、血液製剤の安定的確保等の見地から、献血受入確保施設の設備整備を図るほか、引き続き、献血制度の推進、献血者の健康増進事業及び献血推進基盤事業の充実を図るとともに、エイズ発症予防に資するため、血液製剤によるヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者の調査研究等を行うこととし、十四億六千二百万円を計上している。
 これらにより、保健衛生諸費については、八百五十三億八千三百万円を計上している。
 (5) 保健衛生施設整備費については、引き続き、市町村保健センター、救急医療施設、公的医療施設、看護師養成所、へき地医療拠点病院等の整備等を推進するほか、新型救命救急センター、医師臨床研修病院研修医宿舎の整備等を促進することとしている。さらに、医療ケアと日常生活サービスを提供する介護老人保健施設の整備促進、精神障害者社会復帰施設の体系的整備を図ることとし、三百四億二千万円を計上している。
 (6) 国立ハンセン病療養所費については、入所者の高齢化を踏まえ、引き続き、老人対策等の充実を図るとともに、療養所施設の整備を推進することとし、四百十一億四千二百万円を計上している。
5 失業対策費
                 (百万円)
    十五年度      五七六、四三六
    十四年度      四八八、〇六七
    比較増△減      八八、三六九
 この経費は、特定地域開発就労事業費補助、職業転換対策事業費、雇用保険国庫負担金及び船員雇用促進対策事業費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 雇用保険国庫負担金
 雇用保険については、最近における受給実績等を勘案するとともに、保険給付の重点化・合理化を図るための制度改正を実施することとし、求職者給付のうち、一般分の受給者実人員を月平均百三万七千人、平均受給月額を十三万九千七百三十四円と見込み、さらに、雇用継続給付については、高年齢雇用継続給付及び育児休業給付のそれぞれの月平均受給者実人員を三十五万八千人、七万二千人、介護休業給付の受給者を四万四千人と見込み、求職者給付及び雇用継続給付並びにその事務の執行に要する費用に充てるため五千三百四十七億七千三百万円を計上している。
 (2) 特定地域開発就労事業
 就職が特に困難な地域において臨時的に就業の機会を与えるため、特定地域開発就労事業を実施する地方公共団体に対して補助を行うもので、対象人員は二千六百五十五人と見込み、事業の運営を図ることとし、六十二億二千五百万円を計上している。
 (3) 職業転換対策事業及び船員雇用促進対策事業
 「雇用対策法」及び「船員の雇用の促進に関する特別措置法」等に基づき、中高年齢の失業者等について、都道府県等の実施する職業訓練等に対する助成並びにこれらの者の雇用開発に関し支給する給付金、就職指導中に支給する手当及び居住地を移転して就職する場合に支給する手当等の支給を行うもので、雇用保険給付の見直し等を踏まえた支給上限額等の見直しを行うとともに、最近における物価・賃金等の動向及び事業の実績等を勘案し、事業の円滑な運営に必要な経費を計上している。
 このほか、シルバー人材センターに対する補助について、事業の円滑な運営に必要な経費を計上している。

 文教及び科学振興費

                 (百万円)
    十五年度    六、四七一、二三一
    十四年度    六、七〇五、六二一
    比較増△減   △ 二三四、三九〇
1 義務教育費国庫負担金
                 (百万円)
    十五年度    二、七八七、八六四
    十四年度    三、〇五六、四一四
    比較増△減   △ 二六八、五五〇
 この経費は、「義務教育費国庫負担法」及び「公立養護学校整備特別措置法」に基づき、公立義務教育諸学校の教職員給与費等の実支出額の二分の一を国が負担するために必要な経費である。
 ただし、財政力指数(当該年度前三か年平均)が一を超える都道府県並びに教職員総数が「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」に基づいて算定された教職員定数を超える都道府県及び教員の給料その他の給与の額が国立の義務教育諸学校の教員の俸給その他の給与の額を基準として算定した額を超える都道府県については、「義務教育費国庫負担法」第二条ただし書又は「公立養護学校整備特別措置法」第五条ただし書の規定に基づき、政令の定めるところにより、教職員給与費等の国庫負担額の最高限度を設けることができることとされている。
 給与費等については、これらに基づき必要な経費を計上しており、その算定基礎となる教職員数は、(イ)「第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(平成十三年度〜十七年度の五年計画)」の第三年次分の教職員増五千三百八十人、(ロ)公立義務教育諸学校児童生徒数の減少に伴う教職員の減(見込み)四千九百人を合わせ十四年度定数に対して四百八十人の増員となる。
 また、国と地方の役割分担を見直し、義務教育に関する地方の自由度を大幅に拡大する観点から制度的な見直しを進めることとし、これに伴い、十五年度から共済費長期給付及び公務災害補償基金負担金について全額一般財源化することとしている。
2 国立学校特別会計へ繰入
                 (百万円)
    十五年度    一、五二五、六〇六
    十四年度    一、五四五、二八一
    比較増△減   △  一九、六七五
 この経費は、「国立学校特別会計法」に基づき、国立学校、大学附属病院及び研究所の管理運営等に必要な経費に充てるため、その財源を一般会計から国立学校特別会計へ繰り入れるために必要な経費である。
3 科学技術振興費
                 (百万円)
    十五年度    一、二二九、七八二
    十四年度    一、一八三、二二五
    比較増△減      四六、五五七
 この経費は、ライフサイエンスなどの重点四分野の研究開発の推進、競争的資金の充実、産学官連携の推進、地域科学技術の振興、各省試験研究機関及び独立行政法人における研究開発の推進等科学技術の振興を図るために必要な経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 重点四分野の研究開発の推進
 (イ) ライフサイエンス分野
 ライフサイエンス分野の推進に当たっては、基礎的・基盤的な研究開発の実施に加え、生物遺伝資源等の知的基盤の整備と幅広い利用の促進、科学的知見に基づく安全性の確保とそのための基盤整備等を推進するための経費として、九百六十三億九千四百万円を計上している。
 文部科学省では、個人の遺伝情報に応じた医療の実現を図るための研究開発、タンパク質の構造機能解析を行うこととしている。また、脳科学研究、ゲノム科学研究や国家的な生物資源の開発・収集などを行うこととしている。
 厚生労働省においては、医薬品・医療機器等の産業活性化プロジェクト研究に新たに取り組むとともに、国民の健康で安全な生活を守る上で欠くことのできない医薬品、食品等の安全確保等の研究やがん予防に関する研究等を行うこととしている。
 農林水産省においては、食品の表示項目を科学的に検証するための研究開発、BSE(牛海綿状脳症)診断技術の開発、イネゲノムの重要形質関連遺伝子に着目した機能解明による応用研究等の研究開発を行うほか、経済産業省においては、健康維持・増進のためのバイオテクノロジー基盤研究プログラムなどの研究開発を行うこととしている。
 (ロ) IT分野
 IT分野の推進に当たっては、この分野の多様性と技術革新の速さといった特性を持つことを踏まえつつ、基礎的・先導的な領域の研究開発等を推進するための経費として、三百四十一億一千四百万円を計上している。
 総務省においては、インターネット等において行われた電子商取引等の契約等において、第三者に証明することができる有効なタイムスタンプ(時刻認証)を安全に発行するための研究開発等を行うこととしている。
 文部科学省においては、高性能コンピュータによる超高速ネットワーク形成のための技術開発及びそれを活用したIT分野と異分野間の融合領域の研究や高信頼高性能情報通信システムの基盤となるソフトウェアの開発等の研究開発を行うほか、経済産業省において、次世代半導体デバイスプロセス等基盤技術プログラムなどの研究開発を行うこととしている。
 (ハ) 環境分野
 環境分野の推進に当たっては、環境対策が経済社会に適切に組み込まれるよう、地球規模の観測や共通基盤技術開発、モデル的な実証評価等を推進するための経費として、百九十三億九千八百万円を計上している。
 文部科学省では、地球温暖化予測や水循環の変動予測の研究を行うとともに、都市や地域から排出される廃棄物の無害化処理と再資源化を図るための研究開発、世界最高水準の計算能力を有する地球シミュレータを活用した研究開発等を行うこととしている。
 農林水産省においては、家畜排せつ物、食品加工残さ等の循環利用技術、地域におけるバイオマス利用促進のためのシステム化技術、有機性資源を用いた化石燃料代替エネルギー生産技術等の開発、農林水産生態系における有害化学物質のリスク低減技術の開発等を行うこととしており、また、経済産業省においては、化学物質総合評価管理プログラムなどの研究開発を行うこととしている。
 環境省では、地球温暖化対策を推進するための総合モニタリングシステムの基盤強化に必要な調査研究、内分泌攪乱化学物質の健康影響等に関する調査研究等を行うこととしている。
 (ニ) ナノテクノロジー・材料分野
 ナノテクノロジー・材料分野の推進に当たっては、基礎的・先導的な研究開発や産業化を視野に入れた研究開発等を推進するための経費として、七十八億五千二百万円を計上している。
 文部科学省では、産学官の研究者による戦略的かつ効率的な研究や研究分野を越えた横断的な研究活動の支援を行うとともに、ナノテクノロジーを活用した人工臓器・人工感覚器や燃料電池の開発などの研究開発を行うこととしている。
 経済産業省では、ナノテクノロジープログラムなどの研究開発を行うこととしている。
 (2) 競争的資金の充実
 創造的な研究開発活動を展開していくため、研究者が研究機関の外部から研究資金を獲得することにより、競争原理が働き、個人の能力が最大限に発揮されるよう、所要の環境を整備するための経費として、三千八億九千七百万円を計上している。
 科学研究費補助金は、人文・社会科学から自然科学まであらゆる分野における優れた独創的・先駆的な研究に対して研究助成を行うための経費であり、一千七百六十五億円を計上している。また、科学技術振興調整費については、総合科学技術会議の方針に沿って実施する科学技術の振興に必要な重要事項の総合推進調整を行うための経費であり、十五年度においては、科学技術振興に関する基盤的調査等により、科学技術システム改革に重点的に取り組むこととし、三百七十七億円を計上している。
 疾病の解明や治療法の開発、少子高齢社会への対応等、国民の保健医療、福祉、生活衛生等のニーズに応える科学技術を推進するため、厚生労働科学研究費補助金三百八十億一千百万円を計上している。
 地球環境保全のための研究を総合的に推進するための経費及び環境技術の実用化に向けた研究開発等を助成するための経費として三十七億三千万円並びに廃棄物処理に係る諸問題に資する研究・技術開発を推進するための経費として十一億五千万円を計上している。
 (3) 産学官連携の推進
 研究開発の成果が国民生活や産業活動に広く活用されるとともに、経済社会のニーズが研究開発に適切に反映されるよう、産学官の連携を促進するための経費として、百十八億三千五百万円を計上している。
 文部科学省においては、大学等の優れた研究成果の産業界への移転を促進するための産学官連携コーディネータ派遣事業を行うとともに、知的財産の創出・活用による産学官連携の促進を目的に、大学における知的財産の戦略的マネジメント体制の整備を行うこととしている。
 経済産業省では、大学の研究成果の事業化のために、企業・大学等が連携して行う研究開発等の支援を行うこととしている。
 (4) 地域科学技術の振興
 地域の資源を活用し革新技術・新産業の創出を図ることにより、科学技術の高度化や経済の活性化を図るための経費として、二百二十八億六千七百万円を計上している。
 文部科学省においては、大学等の公的研究機関を核として、研究機関や研究開発企業による国際的な競争力のある技術革新のための集積を図る知的クラスター創成事業を行うとともに、将来的に知的クラスターへの発展が期待できる地域の体制整備の支援事業を行うこととしている。
 経済産業省では、地域において新産業・新事業を創出し、地域経済の活性化を図るため、大学等の技術シーズや知見を活用し産学官の強固な共同研究体制の下で行われる、実用化研究開発等の支援事業を行うこととしている。
 (5) 各省試験研究機関経費
 各省試験研究機関の経費は、四百十六億三千九百万円となっており、これにより試験研究機関の各部門の研究活動を進めるとともに、研究施設の整備等を行うこととしている。
 厚生労働省においては、医薬品の試験研究や感染症その他の疾病に係る予防治療方法の研究等を引き続き推進するとともに、ゲノム科学やたんぱく質科学を用いた新薬等の研究の開発促進のための基盤整備を行うこととしている。
 国土交通省においては、政策企画立案の一環としての研究開発、法令に基づく技術基準の策定及び直轄事業の執行・管理に必要な研究開発を行うこととしている。
 (6) 独立行政法人経費
 独立行政法人の経費は、四千九百五十五億五千三百万円となっており、これにより独立行政法人の各部門の研究活動を進めるとともに、研究施設の整備等を行うこととしている。
 文部科学省の独立行政法人においては、ライフサイエンス、ナノテクノロジー・材料、放射線医療、地震防災及び宇宙科学技術等の研究開発を推進することとしている。
 農林水産省の独立行政法人においては、バイオテクノロジー等先端技術開発研究の推進を図るとともに、生産現場に直結する技術開発を実施することとし、臭化メチル全廃に対応するための病害虫制御技術の開発等環境分野にも重点を置いて研究開発を実施するほか、経済産業省の独立行政法人において、ライフサイエンス、IT、環境、ナノテクノロジー・材料、エネルギー、機械・製造技術、計測標準、地質などの分野においての基礎から応用までの研究に取り組むこととしている。
 (7) その他の経費
 第三者評価に基づく競争原理により、国公私立大学を通じて世界的な研究教育拠点の形成を重点的に支援する「二十一世紀COEプログラム」を実施するため三百三十三億九千五百万円を計上している。
 宇宙開発については、宇宙開発事業団において、H―UAロケットの開発、温室効果ガス観測技術衛星等各種人工衛星の研究開発等を行うため六百六十七億四千百万円を計上している。
 海洋開発については、海洋科学技術センターにおいて、深海地球ドリリング計画の推進、地球フロンティア研究等を行うため三百四十六億四千二百万円を計上している。
 原子力試験研究費については、各省各庁の試験研究機関等における原子力等に関連する各種試験研究の経費として十九億四千万円を計上している。
 放射能調査研究費については、環境放射能調査研究等を行うための経費として十一億七千百万円を計上している。
4 文教施設費
                 (百万円)
    十五年度      一五七、〇〇二
    十四年度      一五一、四七七
    比較増△減       五、五二五
 この経費は、「義務教育諸学校施設費国庫負担法」に基づき、公立学校施設整備費の一部を国が負担するために必要な経費等である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 公立学校施設については、緊急度の高い改築事業や耐震補強等、耐震性能を向上する事業などを中心に、その必要事業量を確保することとしている。
 また、これら施設整備に当たっては環境への負荷の低減、IT化、バリアフリー化などに配慮することとし、直面する様々な諸課題に積極的に対応できる学校施設づくりを推進することとしている。
 (2) 高等学校産業教育施設については、産業教育のための実験・実習施設及び高度な知識・技術の習得の場である専攻科施設等の整備に係る所要の経費を計上している。
 (3) 学校給食施設については、引き続き腸管出血性大腸菌O157等の食中毒対策として、衛生管理の充実強化等を図るため所要の経費を計上している。
 (4) 学校体育諸施設については、引き続き水泳プール、武道場等の整備を図ることとし、所要の経費を計上している。
5 教育振興助成費
                 (百万円)
    十五年度      六五五、五四六
    十四年度      六五六、五二六
    比較増△減     △   九八〇
 この経費は、生涯学習の振興、義務教育教科書の無償給与、学校教育の振興、私立学校教育の助成及びスポーツの振興のために必要な経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 生涯学習振興費
 生涯にわたる多様な学習活動の振興を図るため、生涯学習の振興等について所要の経費を計上している。
 (2) 義務教育教科書費
 義務教育諸学校の児童生徒が使用する教科用図書を無償給与する等のため必要な経費を計上している。
 (3) 学校教育振興費
 (イ) 放送大学学園に対する補助については、所要の経費を計上している。
 (ロ) 定時制及び通信教育については、経済的に困難な状況にある生徒に対する修学奨励措置の充実等のため所要の経費を計上している。
 (ハ) 理科教育等設備整備費補助については、引き続き、計画的に理科教育等の振興を図るため、所要の経費を計上している。
 (ニ) 園児の保護者のうち一定の所得以下の者に対し、地方公共団体が保護者負担額を減免するための経費を補助する幼稚園就園奨励費補助については、私立幼稚園に係る減免単価の改定を行うこととし、所要の経費を計上している。
 (ホ) 高等学校産業教育設備整備費補助については、産業教育のための実験・実習設備及び高度な知識・技術の習得の場である専攻科設備等の整備に係る所要の経費を計上している。
 (ヘ) 特殊教育については、特殊教育就学奨励費補助につき、帰省費の支給対象回数を増やすとともに、盲・聾(ろう)・養護学校及び小・中学校の特殊学級等において、障害の状況に応じた適切な教育を実施するに当たり、特別に必要となる設備の整備等、所要の経費を計上している。
 (ト) 経済的理由で就学困難な児童生徒の就学援助については、援助率を引き上げる等、援助の充実を図ることとしている。
 (チ) へき地学校教育については、スクールバス・ボート等購入費及び保健管理費等について、所要の経費を計上している。
 (リ) 教育情報通信設備整備については、学校が安全で快適に高速インターネット等を活用するために必要な教育センター等の情報通信設備等の整備に係る所要の経費を計上している。
 (ヌ) 公立大学等に対する設備整備費等補助については、教育内容・方法の改善等に資するよう教育研究設備の整備等について、所要の経費を計上している。
 (ル) 日本体育・学校健康センターに対する補助については、所要の経費を計上している。
 (ヲ) 教職員の研修等については、新たに創設する十年経験者研修及び初任者研修等の実施、在外教育施設における教員の派遣等について、所要の経費を計上している。
 (ワ) 義務教育諸学校等の管理下における児童生徒等の災害に対する共済給付事業については、所要の経費を計上している。
 (4) 私立学校助成費
 (イ) 私立大学等経常費補助及び高等学校以下の私立学校に対して都道府県が行う助成の充実を図るための当面の誘導措置として昭和五十年度から計上した私立高等学校等経常費助成費補助については、特色ある教育研究を展開する私立学校に対する支援の充実を図ることとし、所要の経費を計上している。
 (ロ) 私立学校教育研究装置等施設整備費補助については、私立大学等の情報通信技術基盤の整備を推進するとともに、私立大学学術研究高度化推進事業の充実や大型の教育研究装置等の整備について、所要の経費を計上している。
 また、私立高等学校等については、校舎等の高機能化や防災機能の強化及び私立学校エコスクール整備推進モデル事業のための施設整備について、所要の経費を計上している。
 (ハ) 私立大学等研究設備整備費等補助については、私立大学・大学院の研究設備の高度化や私立大学等の教育研究の情報化等を図るための設備整備について、所要の経費を計上している。
 また、私立高等学校等においてコンピュータ等を活用した情報通信教育実施のための設備の整備について、所要の経費を計上している。
 (ニ) このほか、私立学校施設高度化推進事業、私立幼稚園施設整備、私立高等学校産業教育施設整備及び私立学校体育等諸施設整備の補助並びに日本私立学校振興・共済事業団補助について、所要の経費を計上している。
 (5) スポーツ振興費
 スポーツの振興については、地方・民間スポーツの振興、社会体育施設の整備、国民健康体力増強等について、所要の経費を計上している。
6 育英事業費
                 (百万円)
    十五年度      一一五、四三一
    十四年度      一一二、六九八
    比較増△減       二、七三三
 この経費は、優れた学生及び生徒であって経済的理由により修学に困難がある者に対し、日本育英会が学資の一部を無利子又は有利子で貸与するために必要な経費である。
 その内容は、次のとおりである。
 (1) 育英資金貸付金
 無利子貸与事業に必要な資金を日本育英会に貸し付ける経費であり、貸与人員の増員及び貸与月額の増額を行うこととし、所要額を計上している。
 (2) 育英資金利子補給金
 財政融資資金等を原資とする有利子貸与事業(「財政投融資計画の概要」参照)に係る利子補給金について、所要額を計上している。
 (3) 日本育英会補助
 日本育英会の補助に必要な経費について、所要額を計上している。

 国債費

                 (百万円)
    十五年度   一六、七九八、〇六九
    十四年度   一六、六七一、二一二
    比較増△減     一二六、八五七
 この経費は、一般会計の負担に属する国債及び借入金の償還、国債及び借入金の利子等の支払に必要な経費と、これらの事務取扱いに必要な経費を国債整理基金特別会計へ繰り入れるものである。なお、このうち二千二百四十五億三千六百万円は、本州四国連絡橋公団の債務処理として一般会計において承継する債務の償還に必要とされるものである。
 (1) 債務償還費
 この経費は、前年度首国債総額の百分の一・六に相当する額(定率繰入分)、割引国債に係る発行価格差減額の年割額に相当する額(発行差減額繰入分)、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づく産業投資特別会計からの受入金に相当する額(産業投資特別会計受入金相当額繰入分)、「所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律」に基づく減税特例国債の償還財源に充てるための額(減税特例国債償還分)並びにその他国債及び借入金の償還に必要とされる額を計上するものである。
 (2) 利子及割引料
 この経費は、国債の利子及び割引料、借入金の利子並びに財務省証券割引料の支払に必要な経費である。
 (3) 国債事務取扱費
 この経費は、国債の事務処理に必要な手数料及び事務費である。

 恩給関係費

                 (百万円)
    十五年度    一、二〇二、八五四
    十四年度    一、二七二、七〇八
    比較増△減   △  六九、八五四
1 文官等恩給費
                 (百万円)
    十五年度       四八、二三八
    十四年度       五二、〇四一
    比較増△減     △ 三、八〇三
 この経費は、国会議員互助年金、文官恩給、文化功労者年金等の支給に必要な経費である。
 十五年度においては、新規裁定による増加、失権による減少、十四年度に実施した恩給改善の平年度化等を織り込んで既定分の所要経費を算定し、また、恩給年額等については、十四年度の年額を据え置くこと等を予定しており、四百八十二億三千八百万円を計上している。
2 旧軍人遺族等恩給費
                 (百万円)
    十五年度    一、〇八二、八八五
    十四年度    一、一四三、八九七
    比較増△減   △  六一、〇一二
 この経費は、旧軍人及びその遺族等に対する恩給支給に必要な経費である。
 十五年度においては、新規裁定による増加、失権による減少、十四年度に実施した恩給改善の平年度化等を織り込んで既定分の所要経費を算定し、また、恩給年額等については、十四年度の年額を据え置くこと等を予定しており、一兆八百二十八億八千五百万円を計上している。
3 恩給支給事務費
                 (百万円)
    十五年度        三、九一九
    十四年度        四、〇二三
    比較増△減       △ 一〇四
 この経費は、文官恩給、旧軍人及びその遺族等に対する恩給並びに国会議員互助年金の支給事務等を処理するために必要な経費である。
4 遺族及び留守家族等援護費
                 (百万円)
    十五年度       六七、八一二
    十四年度       七二、七四七
    比較増△減     △ 四、九三五
 この経費は、「戦傷病者戦没者遺族等援護法」に基づく遺族年金等の支給、「戦傷病者特別援護法」に基づく療養の給付等に必要な経費である。
 (1) 引揚者等援護費については、永住帰国希望者の受入れ及び自立支援等の施策を実施することとし、十七億六千八百万円を計上している。
 (2) 戦傷病者戦没者遺族等援護費については、新規裁定による増加、失権による減少、十四年度に実施した遺族年金等の改善の平年度化等を織り込んで既定分の所要経費を算定しているほか、恩給に準じて年額を据え置くことを予定しており、六百三十一億四千八百万円を計上している。
 (3) 戦傷病者等援護費については、療養の給付等について最近の実績による減少を見込んで、十七億三千五百万円を計上している。

 地方交付税交付金等

                 (百万円)
    十五年度   一七、三九八、八〇〇
    十四年度   一七、〇一一、五七五
    比較増△減     三八七、二二五
1 地方交付税交付金
                 (百万円)
    十五年度   一六、三九二、六三二
    十四年度   一六、一〇七、九八七
    比較増△減     二八四、六四五
 この経費は、所得税及び酒税、法人税、消費税並びにたばこ税の収入額のそれぞれ一定の割合の額を、地方交付税交付金として、交付税及び譲与税配付金特別会計を通じて地方団体に交付するために必要な経費である。
 十五年度においては、各税の収入見込額の一定割合(所得税及び酒税にあっては百分の三二、法人税にあっては百分の三五・八、消費税にあっては百分の二九・五、たばこ税にあっては百分の二五。以下「交付税率」という)に相当する額十一兆二千六百五十億七千七百万円に、九年度、十年度及び十三年度の地方交付税の精算額のうち「地方交付税法」に基づき十五年度分の交付税の総額から減額することとされている額六千五百九億四千五百万円を控除し、五兆七千七百八十五億円を加算した額十六兆三千九百二十六億三千二百万円を地方交付税交付金として計上している。
 十五年度の地方財政については、国の歳出の徹底的な見直しと歩調を合わせつつ、地方の歳出を徹底的に見直すこととしているものの、歳入面では、当面の経済情勢と十一年度の恒久的な減税の影響、更に十五年度の税制改正と国庫補助負担金の見直しの影響もあり、引き続き厳しい状況にある。通常収支においては、十三兆四千四百五十六億七千五百万円の財源不足(ほか、恒久的な減税の影響三兆二千四百三十六億八千二百万円、十五年度税制改正の影響六千八百七十三億四千六百万円及び国庫補助負担金の見直しの影響二千三百四十四億円)が見込まれる。
 十五年度においては、以上のような大幅な財源不足に対し、国・地方を通じて財政事情が極めて厳しい中、国と地方という公経済の車の両輪がバランスのとれた財政運営を行う必要があるという基本的考え方を踏まえつつ、国と地方の財源不足対策の責任を明確化し、地方の歳出を効率化する観点から、通常収支分について交付税及び譲与税配付金特別会計における新規借入を行わないこととした上で、国負担分については一般会計からの繰入(特例加算)、地方負担分については「地方財政法」第五条の特例となる地方債(臨時財政対策債)の発行によりその全額を補てんすることとし、地方財政の運営に支障を生じることのないよう所要の措置を講ずることとしている。
 十五年度の地方財政に係る具体的な措置の内容は、次のとおりである。
 (1) 十五年度の通常収支分に係る財源不足額十三兆四千四百五十六億七千五百万円については、
 (イ) 地方債措置として、いわゆる財源対策債の増発一兆八千四百億円
 (ロ) 「地方交付税法」において一般会計から加算することと定められている額の加算による地方交付税の増額措置一千九百四十五億円(内訳は、同法附則第四条の二第六項において十五年度に加算することと定められていた額三十七億円、同条第二項の規定に基づく通常収支に係る交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金のうち国負担分に係る利子相当額の加算一千六百八十四億円及び十五年四月一日から同年十二月三十一日までの間配当所得について個人住民税が課税されないことを勘案して行う加算二百二十四億円)
 (ハ) 臨時財政対策債の発行三千二百七十九億七千五百万円(内訳は、地方負担に係る十四年度の交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金の十五年度における元利償還額に相当する額八百三十六億七千五百万円、既往の臨時財政対策債の元利償還額に相当する額一千二百十三億円及び十四年度における臨時財政対策債の発行可能額を縮減することとした額の二分の一に相当する額一千二百三十億円)
 以上の措置を行った上で、なお残る十一兆八百三十二億円について、以下の措置を講ずることとしている。
 (ニ) 臨時財政対策債の発行五兆五千四百十六億円
 (ホ) 一般会計からの繰入(特例加算)による地方交付税の増額措置五兆五千四百十六億円
 (2) 恒久的な減税の十五年度における影響額三兆二千四百三十六億八千二百万円については、十一年度に決定した地方財政対策の枠組みに従って対応することとし、
 (イ) 地方税の減収見込額一兆八千百三十七億円について、国のたばこ税の税率引下げと同額の地方たばこ税の税率引上げによる地方たばこ税の増収措置一千二百五十億円、法人税の交付税率引上げ(百分の三・八)三千四百六十三億三千二百万円、地方特例交付金八千八百八十九億六千八百万円及び減税補てん債の発行四千五百三十四億円により、その全額を補てんすることとしている。
 (ロ) 国税の減収による地方交付税の影響分一兆四千二百九十九億八千二百万円については、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金一兆三千八百七十九億八千二百万円及び「地方交付税法」附則第四条の二第三項に基づく恒久的減税の影響に係る同特別会計借入金のうち国負担分に係る利子相当額の加算四百二十億円により、その全額を補てんすることとしている。
 なお、十五年度の新規借入金のうち六千七百二十四億四千百万円については、その償還に必要な財源を二十一年度以降に地方交付税交付金の額に加算することとしている。
 (3) 十五年度税制改正に伴う影響額六千八百七十三億四千六百万円については、地方税の減収見込額二千四百十億円は減税補てん債の発行により、国税の減収による地方交付税の減収見込額四千四百六十三億四千六百万円は交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金により、その全額を補てんすることとしている。
 (4) 国庫補助負担金の見直しに伴う影響額二千三百四十四億円については、二分の一に相当する額一千百七十二億円を地方特例交付金により、二分の一に相当する額一千百七十二億円を地方交付税(交付税及び譲与税配付金特別会計借入金)により、その全額を措置することとしている。なお、前記借入金の四分の三に相当する額八百七十九億円については、十五年度の発生利子四億円を一般会計から加算し、その償還に必要な財源は二十一年度以降に地方交付税交付金の額に加算することとしている。
 (5) 以上の結果、十五年度に地方団体に交付する地方交付税の総額は、一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れられる地方交付税交付金十六兆三千九百二十六億三千二百万円に、返還金一千万円、剰余金の活用四千二百億円及び同特別会計における借入金一兆八千七百十六億五千三百万円(十五年度の新規借入金一兆九千五百十五億二千八百万円から十五年度に行う借入金の償還額七百九十八億七千五百万円を控除した額)を加算した額から、同特別会計の借入金等利子負担額六千百五十億円を控除した額十八兆六百九十二億九千五百万円(十四年度当初予算比一兆四千七百五十五億六千八百万円、七・五%の減)となっている。
 (6) 地方公共団体に対する補助金等については、十五年度予算においては、国と地方の役割を見直し、国の関与を縮小するとともに、国・地方を通じた行政のスリム化を実現する観点から、その整理合理化を積極的に推進している。具体的には、義務教育費国庫負担金の共済費長期給付等の一般財源化、公共事業関係の国庫補助負担金の削減(一般会計及び特別会計の合計で二千六百二十五億一千百万円(地方道路整備臨時交付金を除く))、国庫補助金の削減(一千八百八十二億八千九百万円)、統合補助金の対象事業の拡充(八件(七百九十九億八百万円)の創設)等を図ることとしている。
 (7) 地方税については、現下の経済・財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するための「あるべき税制」の構築に向け、法人事業税への外形標準課税の導入、不動産取得税の税率の引下げ、特別土地保有税の課税停止、新増設に係る事業所税の廃止、十五年度の固定資産税の評価替えに伴う土地に係る固定資産税・都市計画税の税負担の調整、個人住民税について配偶者特別控除(上乗せ分)の廃止、配当所得・株式等譲渡所得に係る課税方式の見直し、地方のたばこ税の見直しその他の所要の措置を講じることとしている。
 (8) 地方債については、「地方財源の不足に対処するための措置を講じるとともに、極めて厳しい地方財政の状況の下で、その健全性の確保に留意しつつ、地方公共団体が個性豊かで活力ある地域社会の構築を目指して、それぞれの特性を活かし相互に魅力を共有できる地域づくり、ITを活用した住民生活の向上と地域の振興、すべての人にやさしいまちづくり、環境と調和した循環型社会の形成、災害に強く安全な地域づくり等当面する政策課題に重点的・効率的に対応しうるよう、所要の地方債資金の確保を図る」ことを基本として、十五年度の地方債計画を策定し、地方債計画総額は十八兆四千八百四十五億円(十四年度十六兆五千二百三十九億円)を予定している。
 また、地方債に充てる資金については、地方財政の円滑な運営に十分配慮するため、政府資金七兆六千九百億円(十四年度七兆六千億円)を予定している。
 さらに、公営企業金融公庫についても地方向け貸付規模一兆七千八百億円(十四年度一兆九千億円)を確保し、これに応じて政府保証国内債を一兆三千九百十億円(十四年度一兆三千九百二十億円)、政府保証外債一千四百億円(十四年度一千四百億円)を発行することとしている。
2 地方特例交付金
                 (百万円)
    十五年度    一、〇〇六、一六八
    十四年度      九〇三、五八八
    比較増△減     一〇二、五八〇
 この経費は、「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律」に基づき、恒久的な減税の影響による地方税収入の減少の一部を補てんすること、及び国庫補助負担金の見直しに対応することを目的として、当分の間の暫定措置として、交付税及び譲与税配付金特別会計を通じて地方特例交付金を地方公共団体に交付するために必要な経費であり、十五年度は一兆六十一億六千八百万円を計上している。

 防衛関係費

                 (百万円)
    十五年度    四、九五二、九六七
    十四年度    四、九五五、九九九
    比較増△減   △   三、〇三二
 この経費は、自衛隊の管理及び運営並びにこれに関する事務、条約に基づく外国軍隊の駐留及び「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定」(以下「相互防衛援助協定」という)の規定に基づくアメリカ合衆国政府の責務の本邦における遂行に伴う事務並びに安全保障会議の事務に関するものとして計上される経費である。
 十五年度においては、十二年十二月十五日の安全保障会議及び閣議において決定された「中期防衛力整備計画(平成十三年度〜平成十七年度)」の第三年度目として、多様な事態(生物兵器攻撃等)への対処能力の強化、各種災害への対応、情報機能の強化等の重要施策を推進するとともに、自衛隊の任務遂行や維持運営のため、所要の経費を計上している。
 なお、SACO関係経費として二百六十四億九千万円を計上している。
 (1) 防衛本庁
                 (百万円)
    十五年度    四、三七一、九一六
    十四年度    四、三八〇、三五八
 この経費は、防衛本庁の業務の遂行に要する経費である。
 また、新たに、継続費として総額一千八百十八億九千七百万円(うち十五年度歳出分十八億四千二百万円)、国庫債務負担行為として総額一兆四千九百五十三億九千九百万円(うち十五年度歳出分六十五億二千六百万円)を計上している。
 継続費は、全額艦船建造のためのものである。
 なお、前金支払の変更に伴い、継続費の総額及び年割額の改定並びに国庫債務負担行為の限度額の増額を行っている。
 十五年度の防衛関係費においては、正面装備について、防衛力の合理化・効率化・コンパクト化を推進しつつ、諸外国の技術的水準の動向に対応しうるよう、老朽装備の更新・近代化を基本として所要の整備を行うこととしている。後方分野については、自衛隊の維持運営、情報収集・分析体制の強化、指揮通信機能の充実及び安全保障対話等の活動の充実を図ることとしている。
 具体的業務の主なものは次のとおりである。
 (イ) 多様な事態(生物兵器攻撃等)への対処能力の強化、各種災害への対応、情報機能の強化等の重点事項を計上している。
 (ロ) 陸上自衛隊においては、90式戦車十七両、99式自走一五五ミリりゅう弾砲八両、多連装ロケットシステムMLRS三両、車両、通信機等の装備品、戦闘ヘリコプターAH―64D二機、輸送ヘリコプターCH―47JA一機等の航空機十二機、新中距離地対空誘導弾及び弾薬の調達を行うとともに、各種器材及び施設の整備等を図ることとしている。
 (ハ) 海上自衛隊においては、甲W型警備艦(七千七百トン型)一隻、潜水艦(二千七百トン型)一隻、掃海艇(五百十トン型)一隻等の建造並びに哨戒ヘリコプターSH―60K七機、新掃海・輸送ヘリコプター一機の航空機八機及び魚雷、機雷等弾薬の調達を行うとともに、各種器材及び施設の整備等を図ることとしている。
 (ニ) 航空自衛隊においては、支援戦闘機F―2六機、輸送ヘリコプターCH―47J四機、ボーイング767空中給油・輸送機一機等の航空機二十三機並びに所要の地対空誘導弾及び弾薬の調達を行うとともに、各種器材及び施設の整備等を図ることとしている。
 (ホ) 技術研究本部においては、ハイテク化に対応し、ITをはじめとする先進科学技術を取り入れた技術研究開発等を推進する。また、弾道ミサイル防衛に関する日米共同技術研究等を引き続き実施する。
 (2) 防衛施設庁
                 (百万円)
    十五年度      五八〇、七四七
    十四年度      五七五、三三五
 この経費は、防衛施設庁の業務の運営に必要な経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (イ) 調達労務管理費
 この経費は、アメリカ合衆国軍隊等が使用する駐留軍等労働者の労務管理、離職者対策、福祉対策、従業員対策を行うために必要な経費である。
 なお、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」(以下「特別協定」という)に基づき基本給等を負担することとしている。
 また、SACO関係経費については、技能教育訓練を行うための経費として、五百万円を計上している。
 (ロ) 独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構運営費
 この経費は、独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構に対する運営費交付金である。
 (ハ) 施設運営等関連諸費
 この経費は、「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」等に基づき、自衛隊施設及び「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」(以下「地位協定」という)等に基づく提供施設の維持運営等に関連し必要な土地の購入及び借上げ、各種の補償、障害及び騒音の防止措置、飛行場等周辺の移転措置、民生安定施設の助成措置等を行うために必要な経費であり、十五年度においては、以下の経費を計上している。
 @ SACO関係経費については、施設の整備及び基地周辺対策等を行うための経費として百六億六千二百万円を計上している。
 A SACO関係経費以外については、基地周辺対策事業費として一千四百十二億五千三百万円(十四年度当初予算額一千四百四十一億五千四百万円)、国庫債務負担行為の総額は三百二十六億九千六百万円となっている。
 なお、このうち、周辺整備調整交付金については、所要の経費百三十億円(十四年度当初予算額百三十億円)を計上している。
 また、在日米軍への提供施設の整備を行うための経費として七百五十億三千八百万円(十四年度当初予算額七百五十三億一千三百万円)、国庫債務負担行為として総額六百六十三億九千二百万円を計上している。そのほか、特別協定に基づき、在日米軍に係る経費のうち光熱水料等及び訓練移転費を負担することとしている。
 (ニ) 提供施設移設整備費
 この経費は、地位協定に基づき、現在提供中の施設及び区域の返還を受けるため、当該施設及び区域を集約移転するために必要な経費である。
 このうち、SACO関係経費については、提供施設の移設整備を行うための経費として、百五十八億二千三百万円を計上している。
 (ホ) 相互防衛援助協定交付金
 この経費は、相互防衛援助協定に基づく交付金である。
 (3) 安全保障会議
                 (百万円)
    十五年度          三〇五
    十四年度          三〇六
 この経費は、安全保障会議の運営等に要する経費である。

 公共投資関係費

                 (百万円)
    十五年度    八、九一一、七一六
    十四年度    九、二五二、五四二
    比較増△減   △ 三四〇、八二六
 うち公共事業関係費
    平成十五年度  八、〇九七、〇八六
    平成十四年度  八、四二三、九〇五
    比較増△減   △ 三二六、八一九
 公共投資関係費は、治山治水対策事業費、道路整備事業費、港湾空港鉄道等整備事業費、住宅都市環境整備事業費、下水道水道廃棄物処理等施設整備費、農業農村整備事業費、森林水産基盤整備事業費、調整費等及び公共土木施設等の災害復旧等事業費の公共事業関係費とその他施設費に大別される。
 このほか、産業投資特別会計社会資本整備勘定において、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づき貸付けを受けて実施される公共的建設事業として九百二十五億三千六百万円を計上している。
 この両者の合計額は次のようになる。
                 (百万円)
    十五年度    九、〇〇四、二五二
    十四年度    九、三四六、三六六
    比較増△減   △ 三四二、一一三
 以下の説明は、特に注記のない限り、この両者の合計額について行う。
 以下、公共投資関係費について事項別に説明する。
1 治山治水対策事業費
                 (百万円)
    十五年度    一、二一一、九四二
    十四年度    一、二七二、〇〇五
    比較増△減   △  六〇、〇六三
 (1) 治水事業
                 (百万円)
    十五年度      九八二、六七六
    十四年度    一、〇二五、五九三
 治水事業については、被災河川対策を中心とする河川改修、既存施設の有効活用等による効率的、効果的なダム建設及び頻発する土砂災害を踏まえた砂防工事等に重点を置いて、事業の推進を図ることとしている。なお、新たに重点区間を設定・公表し、重点投資を行うほか、本体工事中のダムにも重点投資を行うこととしている。
 (2) 治山事業
                 (百万円)
    十五年度      一四五、五六九
    十四年度      一五八、八八一
 治山事業については、近年における山地災害の発生状況等にかんがみ、予防治山、荒廃山地の復旧、水土保全機能が低下した森林整備等に重点を置いて推進することとしている。また、国有林野内治山事業については、一般会計の負担で直轄事業及び補助事業を行うこととしている。
 (3) 海岸事業
                 (百万円)
    十五年度       八三、六九七
    十四年度       八七、五三一
 海岸事業については、台風常襲地帯、大規模な侵食のある海岸等を重点的に整備することとしている。
2 道路整備事業費
                 (百万円)
    十五年度    二、一六八、七五〇
    十四年度    二、三一五、一〇一
    比較増△減   △ 一四六、三五一
 道路整備事業については、新たに直轄事業による高速道路整備を導入するほか、都市の再生に資する三大都市圏環状道路の整備、空港・港湾等の拠点と道路のアクセス強化、都市交通の円滑化を図るボトルネック踏切の除却・改良、鉄道駅等交通結節点の整備、地域の連携・交流を促進する幹線交通体系の整備等に重点を置いて事業の推進を図ることとしている。
3 港湾空港鉄道等整備事業費
                 (百万円)
    十五年度      五七四、九八一
    十四年度      五八九、三〇九
    比較増△減    △ 一四、三二八
 この経費は、港湾、空港、都市・幹線鉄道、新幹線鉄道及び航路標識の公共施設整備のための経費である。
 (1) 港湾整備事業
                 (百万円)
    十五年度      二九四、五六三
    十四年度      三〇九、七一二
 港湾整備事業については、中枢国際港湾における国際海上コンテナターミナル及び国際幹線航路の整備、また、循環型経済社会の構築など環境問題への対応に資する廃棄物埋立護岸の整備を最重点施策として、効率的・効果的に推進する。
 (2) 空港整備事業
                 (百万円)
    十五年度      一五三、五五〇
    十四年度      一四六、四〇六
 空港整備事業については、関西国際空港、中部国際空港等の大都市圏拠点空港の整備を中心とし、環境対策、航空路施設の整備等の推進を図ることとしている。
 (3) 都市・幹線鉄道整備事業
                 (百万円)
    十五年度       五二、三八九
    十四年度       五六、九二七
 この経費は、地方公共団体等が施行する地下高速鉄道整備事業及びニュータウン鉄道等整備事業、民間事業者が施行する幹線鉄道等活性化事業及び鉄道駅総合改善事業並びに日本鉄道建設公団(日本鉄道建設公団が解散し、その業務を独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が行うこととなった場合には、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)等が施行する鉄道防災事業及び地方鉄道新線整備事業に対し補助するために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (4) 新幹線鉄道整備事業
                 (百万円)
    十五年度       六八、六〇〇
    十四年度       七〇、〇〇〇
 この経費は、十二年十二月十八日の政府・与党整備新幹線検討委員会の申合せを受け、日本鉄道建設公団(日本鉄道建設公団が解散し、その業務を独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が行うこととなった場合には、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が施行する北陸新幹線長野―富山間、九州新幹線博多―新八代間等の建設に必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (5) 航路標識整備事業
                 (百万円)
    十五年度        五、八七九
    十四年度        六、二六四
 この経費は、灯台、電波標識等の整備に必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
4 住宅都市環境整備事業費
                 (百万円)
    十五年度    一、四九六、〇八二
    十四年度    一、四六三、二九九
    比較増△減      三二、七八三
 (1) 住宅対策
                 (百万円)
    十五年度      九三二、四九〇
    十四年度      九二九、六三四
 住宅対策については、十五年度、公営住宅等九万八千戸、改良住宅等二千六百戸、公庫住宅三十七万戸、公団住宅九千九百戸、計四十八万五百戸の公的住宅の建設を予定している。
 (イ) 公営住宅整備事業等及び住宅地区改良事業補助等
 十五年度の建設予定戸数は、公営住宅を二万八千戸、高齢者向け優良賃貸住宅等を四万二千戸とし、特定優良賃貸住宅二万八千戸と合わせて公営住宅等について九万八千戸とするとともに、改良住宅については二千六百戸、計十万六百戸(十四年度当初公営住宅等九万七千戸、改良住宅二千六百戸、計九万九千六百戸)としており、公営住宅家賃収入補助等を含め、三千六百九十三億二百万円を計上している。
 (ロ) 住宅金融公庫補給金等
 十五年度の住宅金融公庫融資予定戸数は三十七万戸(証券化支援事業における買取予定戸数一万戸を除く。十四年度当初計画五十万戸)であり、宅地造成融資等と合わせて財政融資資金等二兆九百四十七億円を投入することとしているが、補給金等については三千六百四十四億円(十四年度当初予算額三千七百五十九億円)を計上している。
 (ハ) 農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給金等
 農地所有者等による良好な賃貸住宅の建設を促進することとし、四千戸の賃貸住宅の建設を予定している。
 (ニ) 住宅宅地関連公共施設等総合整備事業費補助等
 住宅の建設及び宅地の開発を促進するため、住宅宅地関連公共施設等総合整備事業費補助等四百二十六億円及び宅地開発に関連した公共施設整備のための貸付金十四億円(収益回収公共事業資金貸付金)を計上している。
 (ホ) 住宅市街地整備総合支援事業費補助等
 大都市等の既成市街地における住宅建設と環境整備を促進するため、住宅市街地整備総合支援事業費補助六百二十三億円及び密集住宅市街地における防災性の向上と居住環境の改善を促進するため、密集住宅市街地整備促進事業費補助百五十億円を計上している。
 (ヘ) 都市基盤整備公団補給金
 都市基盤整備公団の借入金等に係る利息等の一部の同公団に対する補給金五百十九億円を計上している。
 (2) 都市環境整備事業
                 (百万円)
    十五年度      五六三、五九二
    十四年度      五三三、六六五
 都市環境整備事業については、まちづくり総合支援事業による地域の創意工夫を活かしたまちづくり、市街地再開発事業、都市再生推進事業等による民間活力を活用した都市の高度利用と都市機能の更新を進めるとともに、安全で快適な通行空間の確保や都市景観の向上等を図るための電線類の地中化、少子・高齢化へ対応するための歩行空間のバリアフリー化、大気汚染等の沿道環境問題への対策、水質改善等の河川環境整備等により都市環境の整備を推進することとしている。
 都市環境整備事業費として一般会計に計上されるのは、 五千六百三十五億九千二百万円である。
5 下水道水道廃棄物処理等施設整備費
                 (百万円)
    十五年度    一、三七四、八九一
    十四年度    一、四五七、六四二
    比較増△減   △  八二、七五一
 この経費は、上下水道、廃棄物処理、工業用水道、都市公園、自然公園及び情報通信基盤の施設の整備等を行うために必要な経費である。
 (1) 下水道事業
                 (百万円)
    十五年度      八九九、二三四
    十四年度      九四五、五一八
 十五年度においては、下水道の普及を促進するため、引き続き、一般都市の公共下水道の整備を推進することとして、総事業費二兆五千百五十一億四千三百万円を予定している。
 (2) 水道施設整備費
                 (百万円)
    十五年度      一四七、五二〇
    十四年度      一五五、三六二
 この経費は、簡易水道等施設、水道水源開発等施設の整備を推進するために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (3) 廃棄物処理施設整備費
                 (百万円)
    十五年度      一五八、一四二
    十四年度      一七九、七〇六
 この経費は、廃棄物処理施設及び浄化槽の整備を推進するために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (4) 工業用水道事業
                 (百万円)
    十五年度        六、三八四
    十四年度        七、八六四
 この経費は、工業地帯における地下水汲み上げによる地盤沈下の防止と立地条件の整備を目的として敷設される工業用水道の事業費の一部を補助するために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (5) 都市公園事業
                 (百万円)
    十五年度      一四三、四二一
    十四年度      一四八、六五五
 都市公園事業として一般会計に計上されるのは、一千四百二十八億三千九百万円であり、国営公園及び都市公園等の整備を行うために必要な経費、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」に基づく特別保存地区内の整備に要する経費並びに「首都圏近郊緑地保全法」、「近畿圏の保全区域の整備に関する法律」及び「都市緑地保全法」に基づく緑地保全に必要な経費である。
 また、産業投資特別会計社会資本整備勘定に計上されるのは、同勘定から都市開発資金融通特別会計へ繰り入れる都市開発資金特別貸付金財源五億八千二百万円(収益回収公共事業資金)である。
 (6) 自然公園等事業
                 (百万円)
    十五年度       一四、二七八
    十四年度       一四、六八七
 この経費は、国立・国定公園、国民公園等の施設の整備を行うために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (7) 情報通信格差是正事業
                 (百万円)
    十五年度        五、九一二
    十四年度        五、八五〇
 この経費は、「e−Japan重点計画―二〇〇二」(平成十四年六月十八日IT戦略本部決定)等を踏まえ、「世界最先端のIT国家の実現」を目指す観点から、地域間のデジタル・ディバイド発生の防止、電子自治体の着実な構築等に資する情報通信インフラ(移動通信用鉄塔、地域イントラネット等)の整備を推進するために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
6 農業農村整備事業費
                 (百万円)
    十五年度      八七八、八八〇
    十四年度      九二四、一七〇
    比較増△減    △ 四五、二九〇
 農業農村整備事業は、農業の生産性の向上を目的とするかんがい排水事業、経営体育成基盤整備事業その他の農業生産基盤整備事業、農村の生活環境の向上等に資する農道整備事業、農業集落排水事業その他の農村整備事業及び農村地域の農地等保全管理事業で構成されている。
 十五年度においては、基盤整備を契機とした経営体の育成、ストックマネジメントの導入による農業水利施設等の整備及び都市と「人・もの・情報」の循環が可能となる新たなむらづくりに重点を置きつつ、引き続き本事業の推進を図ることとし、このための経費として一般会計に八千七百八十八億八千万円を計上している。
 事業別の内容は、次のとおりである。
 (1) 農業生産基盤整備事業
                 (百万円)
    十五年度      四六九、二七六
    十四年度      四八〇、三五三
 安定的な農業用水の供給を図る農業用用排水施設の計画的かつ着実な整備、意欲ある経営体の育成に重点を置いた水田整備や地域特性に応じた野菜等畑作物の産地強化に向けた畑地整備等農業の生産性の向上を目的とする事業である。
 なお、十五年度の畑地帯総合農地整備事業には牛肉等関税収入を財源とする事業費(九十四億五千三百万円)が含まれている。
 (2) 農村整備事業
                 (百万円)
    十五年度      二九三、六七二
    十四年度      三三〇、二二三
 地域の営農に即応した農道の整備、都市と農村が共生・対流する新たなむらづくりに向けた農村の総合的な整備等農村の振興等に資する事業である。
 (3) 農地等保全管理事業
                 (百万円)
    十五年度      一一五、九三二
    十四年度      一一三、五九四
 農業災害を防止し、併せて地域の安全を確保する農地の防災・保全、農業水利ストックの有効活用に向けた土地改良施設の管理等農村地域における農地等の保全管理を図る事業である。
7 森林水産基盤整備事業費
                 (百万円)
    十五年度      三七一、五一七
    十四年度      三七八、九四三
    比較増△減     △ 七、四二六
 (1) 森林整備事業
                 (百万円)
    十五年度      一八一、五八七
    十四年度      一七九、七八九
 森林整備事業については、森林の多面的機能の持続的発揮に向け、重視すべき森林の機能区分(水土保全林、森林と人との共生林、資源の循環利用林)に応じた適切な森林の整備を推進するとともに、山村の生活環境の整備や居住地周辺の森林整備等を行うこととしている。
 特に、地球温暖化防止に向けた森林によるCO吸収量の確保を図るため、管理の不十分な森林の整備、複層林化、針広混交林化など多様で健全な森林の整備を積極的に推進することとしている。
 また、緑資源公団(緑資源公団が解散し、その業務を独立行政法人緑資源機構が行うこととなった場合には、独立行政法人緑資源機構)が施行する大規模林道事業、水源林造成事業等について、その推進を図ることとしている。
 (2) 水産基盤整備事業
                 (百万円)
    十五年度      一八九、九三〇
    十四年度      一九九、一五四
 水産基盤整備事業については、水産業の構造改革計画である漁港漁場整備長期計画に基づき、我が国二百海里水域内水産資源の持続的利用と安全で効率的な水産物供給体制の整備、資源の回復を図るための水産資源の生息環境となる漁場等の積極的な保全・創造、水産業の振興を核とし良好な生活環境の形成を目指した漁村の総合的な振興を図るため、漁港・漁場・漁村といった水産基盤の整備を総合的に実施することとしている。
8 調整費等
                 (百万円)
    十五年度       三九、九〇五
    十四年度       四四、五八六
    比較増△減     △ 四、六八一
 この経費は、国土総合開発事業調整費、都市再生プロジェクト事業推進費、北海道特定特別総合開発事業推進費、特定開発事業推進調査費及び沖縄北部特別振興対策特定開発事業推進費である。
 国土総合開発事業調整費は、「国土総合開発法」、「東北開発促進法」等に基づく地域又は区域において実施する開発、保全に関する事業の効率的・一体的実施を図るための各省各庁の所管する事業間の調整を図るほか、全国総合開発計画、東北開発促進計画等の推進を図るため実施する開発、保全に関する事業の調査の総合的な調整、さらに生活空間倍増戦略プランの一環として市町村等が策定した地域戦略プランに係る事業の推進調整を図るために必要な経費であり、一般会計に百八十四億円を計上している(なお、地域戦略プランの推進調整に必要な経費のうち、公共事業関係費以外の経費については、別途一般会計に地域戦略プラン調整費として四億円を計上している)。
 都市再生プロジェクト事業推進費は、都市再生本部において決定された都市再生プロジェクト及びこれに関連する事業の推進等を図るために必要な経費であり、一般会計に百五十億円を計上している。
 北海道特定特別総合開発事業推進費は、「北海道開発法」に基づく北海道総合開発計画に関する特定の特別総合開発事業の推進等を図るために必要な経費であり、一般会計に十三億二千万円を計上している。
 特定開発事業推進調査費は、北海道及び沖縄における特定の開発事業の実施を推進するために必要な調査費であり、一般会計に一億八千五百万円を計上している。
 沖縄北部特別振興対策特定開発事業推進費は、沖縄県の均衝ある発展を図る必要があることにかんがみ、北部地域の振興事業を着実に進めるために実施する「沖縄振興特別措置法」に基づく沖縄振興計画に関する特定の振興開発事業の推進等に必要な経費であり、一般会計に五十億円を計上している。
 なお、これらの経費は、実施に当たって、国土交通省、農林水産省等の各省各庁に移し替えることができることとなっている。
9 災害復旧等事業費
                 (百万円)
    十五年度       七二、六七四
    十四年度       七二、六七四
    比較増△減           〇
 この経費は、公共土木施設、農林水産業施設等の災害復旧事業及び災害関連事業を行うために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (1) 災害復旧事業
 十四年以前に発生した災害の復旧事業については、事業の促進を図ることとし、また、当年発生災害については、発生を見込み迅速な対応を行うこととしている。
 (2) 災害関連事業
 災害復旧事業と合併して施行する一般関連事業及び助成事業については、災害復旧事業の進捗状況を考慮して事業の推進を図ることとしている。また、山地崩壊等の災害に対しては、災害関連緊急事業により緊急に対応することとしている。
10 その他施設費
                 (百万円)
    十五年度      八一四、六三〇
    十四年度      八二八、六三七
    比較増△減    △ 一四、〇〇六
 この経費は、社会保障関係施設及び文教科学振興関係施設等の整備を行うために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 なお、その他施設費は、社会保障関係費、文教及び科学振興費等他の経費の内数であるため、この説明は他の経費の説明の再掲となっている。

 経済協力費

                 (百万円)
    十五年度      八一六、〇七一
    十四年度      八五六、五八三
    比較増△減    △ 四〇、五一二
 この経費は、経済協力のための諸施策の実施に必要な経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 経済開発等援助費(二国間無償資金協力)
 現下の国際情勢等を念頭に、「草の根・人間の安全保障無償」、「水資源無償」及び「麻薬対策無償」の新設を行う等、人間の安全保障分野での援助を強化し、「緊急無償」も前年同額を確保する一方、途上国やNGO等の要望に応えて「債務救済無償」を廃止することとし、一千七百三十六億一千万円を計上している。
 (2) 食糧増産等援助費(二国間無償資金協力)
 開発途上国における計画的な食糧増産に寄与するための食糧増産援助について、外務省「変える会」の提言等を踏まえて見直しを行うこととし、十四年度当初予算額に対して七十六億四千四百万円(三二・五%)減の、百五十八億六千八百万円を計上している。
 (3) 国際協力事業団交付金及び独立行政法人国際協力機構運営費交付金
 平成十五年十月一日に、国際協力事業団が解散し独立行政法人国際協力機構が成立する予定である。
 開発途上国に対する技術協力を充実強化し、我が国の顔の見える援助を推進するため、青年海外協力隊及びシニア海外ボランティアの派遣人数の維持、草の根技術協力の拡充等を図る一方、単価の見直し等事業の効率化・合理化を行うこととし、両法人にそれぞれ国際協力事業団交付金六百九十七億一千五百万円、独立行政法人国際協力機構運営費交付金九百四十二億九千百万円を計上している。
 (4) 留学生関係経費
 留学生関係経費については、国費外国人留学生の新規受入れ人数の増加、私費外国人留学生に対する援助の充実等を図ることとし、四百十六億九千六百万円を計上している。
 (5) 国際分担金・拠出金等
 会計検査院の指摘も踏まえ、多額の滞留金が発生している国際機関への任意拠出金を減額する一方、難民支援等を行う「国際連合開発計画」や「国際連合難民高等弁務官」等に対する拠出金は前年並みの水準を維持する等、拠出先の重点化・戦略化を行うこととし、一千六百十三億五千八百万円を計上している。
 (6) 国際協力銀行出資金
 国際協力銀行(「財政投融資計画の概要」参照)については、海外経済協力勘定の投融資規模を七千四百億円とし、その財源の一部として一般会計出資金二千三億円を計上している。

 中小企業対策費

                 (百万円)
    十五年度      一七二、八八一
    十四年度      一八六、〇八五
    比較増△減    △ 一三、二〇四
 この経費は、中小企業の創業・経営革新に向けた自助努力の促進及び経営基盤の強化等の諸施策を実施するために必要な経費である。
 十五年度においては、十一年に改正された「中小企業基本法」の新しい理念を踏まえつつ、中小企業の創業・経営革新の推進支援や中小企業に対する資金供給の円滑化等に重点を置くとともに、中小企業の事業環境の整備、中小企業の経営支援、小規模事業対策及び中小企業の技術力強化等を図ることとしている。
 なお、政府系中小企業金融三機関(国民生活金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫)に対する財政投融資については、所要の規模を確保するとともに、貸付制度の改善等を図ることとしている。
 主な施策の内容は、次のとおりである。
 (1) 中小企業の事業環境の整備
 中小企業の事業環境の整備については、創業・経営革新の全国的な展開を促進するための意識喚起事業、中小企業の国際化対策及び中小企業取引適正化対策の実施等のために必要な経費として、三十六億八千万円を計上している。
 (2) 中小企業総合事業団の事業運営
 中小企業総合事業団が店頭公開等を目指すベンチャー企業等を支援するために行う中小企業ベンチャー総合支援センターの運営に必要な経費を計上するとともに、中小企業による技術開発の促進並びに小規模企業共済制度及び中小企業倒産防止共済制度の円滑な運営等に必要な経費として、二百二十二億一千万円を計上している。
 (3) 中小企業の経営支援
 中小企業の経営支援については、都道府県等の支援拠点による支援体制整備事業等の実施、身近な相談窓口として地域中小企業支援センターの運営等にかかる経費として、三百十九億八千三百万円を計上している。
 (4) 小規模事業対策
 小規模事業対策については、商工会・商工会議所が実施する創業・経営革新セミナーの実施等、中小企業の創業・経営革新を推進するための人材育成・能力開発事業に対する支援を抜本的に強化するほか、地域の小規模企業の活性化を図るための事業等を行うこととして、百八十五億一千四百万円を計上している。
 (5) 小企業等経営改善資金
 小企業等経営改善資金融資制度の貸付規模については、五千五百億円を確保することとしている。
 また、同制度を円滑に実施するため、財政融資資金二百十億円及び小企業等経営改善資金の融資機関である国民生活金融公庫に対する小企業等経営改善資金融資補給金四十億円を計上している。
 (6) 中小企業新技術等振興費
 中小企業新技術等振興費については、創造的な技術研究開発事業等にかかる経費として、五十一億七千万円を計上している。
 (7) 中小企業総合事業団信用保険部門出資等
 中小企業に対する信用補完の充実を図るため、中小企業総合事業団信用保険部門に対して、三百八十億円の出資を行うとともに、信用保証協会基金補助金として、資金供給円滑化信用保証協会基金補助金四十二億円を計上するほか、セーフティネット保証等の実施に必要な信用保証協会への補助金として経営安定関連保証等対策費補助金を十二億円計上することとしている。
 また、中小企業金融公庫については、百九十七億円の補給金を計上し、国民生活金融公庫については、第三者保証人特例措置等補給金として十億二千八百万円を計上している。
 (8) 中小企業退職金共済制度
 中小企業退職金共済事業に対する補助等を行うこととして、四十三億一千四百万円を計上している。

 エネルギー対策費

                 (百万円)
    十五年度      五五六、六九一
    十四年度      五六九、四一二
    比較増△減    △ 一二、七二一
 この経費は、エネルギーの長期的、安定的な供給を確保するため、原子力平和利用研究の促進、石油及びエネルギー需給構造高度化対策の推進等の諸施策を実施するために必要な経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 原子力平和利用研究促進費
 (イ) 日本原子力研究所において、大強度陽子加速器計画等の中性子科学研究をはじめとする総合原子力科学研究、革新的原子炉研究、核融合研究等の原子力エネルギー研究開発、原子力利用の安全確保のための安全性研究等を行うこととしている。
 (ロ) 核燃料サイクル開発機構において、高速増殖炉の開発及びこれに必要な研究等を行うとともに、これらの成果の普及等を行い、原子力の開発及び利用の促進を図ることとしている。また、アスファルト固化処理施設の事故等を踏まえ、高速実験炉等の施設、設備の安全対策を行うこととしている。
 (ハ) 理化学研究所及び独立行政法人理化学研究所において、原子核物理学から生物学・医学に至る幅広い分野で利用可能で、新たな研究領域の開拓や産業の発展、原子力の基礎基盤の拡充をめざした加速器施設である放射性粒子線施設の整備を行うこととしている。
 (2) 石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油及びエネルギー需給構造高度化勘定)へ繰入
 石油公団が行う石油開発事業への支援等の原資の一部等のための財源としての出資、国家備蓄の実施、民間備蓄に対する助成、石油の生産及び流通の合理化を図るための諸施策等の石油対策に要する経費並びに石油代替エネルギー対策、省エネルギー対策、エネルギー起源の二酸化炭素の排出抑制対策等、地球環境問題に対応したエネルギー政策の展開を図るための施策に要する経費の財源に充てるため、一般会計から石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油及びエネルギー需給構造高度化勘定)へ繰り入れることとして、四千四百十億円(十四年度当初予算額四千四百五十六億二千五百万円)を計上している。

 食料安定供給関係費

                 (百万円)
    十五年度      六八七、五〇九
    十四年度      七二九、六六三
    比較増△減    △ 四二、一五四
 この経費は、「食料・農業・農村基本法」の基本理念として掲げられている食料の安定供給の確保に直接的に資する諸施策を実施するために必要な経費である。
 (1) 農業生産振興費
 この経費は、耕種部門と畜産部門の連携等による農畜産業の生産振興総合対策、農業生産資材総合対策、植物防疫対策、需給調整等による農畜産物の価格及び供給安定等に資するための諸施策等を行うために必要な経費であって、
 (イ) 産地の特色を活かした新鮮でおいしい農産物の供給体制の確立、効率的で生産性の高い畜産経営体の育成、有機性資源の適正処理・循環利用の促進等を内容とする農畜産業の生産振興総合対策
 (ロ) 肥料、農業機械、農薬等の農業生産資材の資材費低減、技術開発及び安全・品質確保を内容とする農業生産資材総合対策
 (ハ) 農作物病害虫発生予察、適切な病害虫管理体制整備、奄美群島等における特殊病害虫特別防除等を内容とする植物防疫対策
 (ニ) 野菜の価格補てん事業を内容とする野菜の価格安定及び需給調整対策
 (ホ) 果実計画生産出荷促進事業等を内容とする果実の価格安定及び需給調整対策
 (ヘ) 鶏卵価格安定事業を内容とする鶏卵の価格安定対策
 (ト) 飼料穀物備蓄対策事業を内容とする飼料の供給安定対策
 (チ) 指定生乳生産者団体補給交付金等を内容とする加工原料乳対策
等の事業を実施するために必要な経費である。
 (2) 水田農業経営確立対策費
 この経費は、作付けの団地化又は土地利用の担い手への集積、地域の気象条件等を踏まえた基本的な栽培技術の実施等の要件を満たして麦・大豆・飼料作物等の本格的生産に取り組む農業者の支援等に必要な経費である。
 (3) 農業経営対策費
 この経費は、経営規模の拡大及び効率的・安定的な経営体の育成等を図るため、農業経営総合対策、農業委員会等、協同農業普及事業等の諸施策を実施するために必要な経費であって、
 (イ) 認定農業者の経営改善に向けた支援の強化、農業経営の法人の加速化、集落営農の効率化、新規就農の促進、地域農業の担い手となる経営体の育成・確保等に必要な施設の整備等を総合的に推進する農業経営総合対策
 (ロ) 担い手への農地の利用集積の推進、農業委員会の広域連携による現場での農地の監視活動の強化、農業委員会の職員設置等の経費について交付金の交付及び農業会議の会議員手当等の負担
 (ハ) 効率的・効果的な普及事業を展開するため、普及職員の設置、地域農業改良普及センターの運営等の基礎的経費について交付金の交付
等を実施するために必要な経費である。
 (4) 農林漁業金融費
 この経費は、農業近代化資金融通制度の円滑な運営を図るための都道府県が行う融資機関への利子補給に対する一部補助や農林漁業金融公庫の業務の円滑な運営に資するための補給金等に要する経費である。
 (5) 食糧管理特別会計(調整勘定)へ繰入
 主要食糧の計画的な流通を確保するための措置、政府による主要食糧の買入れ、輸入及び売渡しの措置並びに主要食糧の需給及び価格の安定を図るため、一般会計から食糧管理特別会計(調整勘定)へ繰り入れることとして、二千七百五十八億九千二百万円(十四年度当初予算額二千九百五十五億九千五百万円)を計上している。
 (6) 水産業振興費
 この経費は、水産業の振興を図るため、水産業振興総合対策、水産物流通調整対策、漁業経営対策、沿岸漁業改善資金造成、水産業振興事業指導事務等の諸施策を実施するために必要な経費である。
 十五年度における主な措置は、次のとおりである。
 (イ) 水産業振興総合対策としては、「水産基本計画」(平成十四年三月二十六日閣議決定)を踏まえ「水産物の安定供給の確保」や「水産業の健全な発展」といった水産政策の理念実現のため、安全・安心な水産物供給体制の整備やブランド化に向けた生産・加工・流通体制の確立を図るとともに、水産資源の適切な利用・管理体制の構築、つくり育てる漁業の推進、効率的かつ安定的な漁業経営を担うべき人材の確保・育成、漁業・漁村を支える中核的な組織である漁業協同組合の改革、水産物流通の効率化、加工業の事業基盤の強化、都市と漁村の共生・対流による地域の活性化等の施策を総合的かつ計画的に実施する。
 (ロ) 水産物流通調整対策については、水産物の需給・価格の安定を図るため、水産物調整保管事業等の実施に要する経費について、財団法人魚価安定基金等に対して補助を行う。
 (ハ) 漁業経営対策については、漁業者への資金供給の円滑化を図るため、担保や保証人なしでも必要な融資を円滑に受けられる仕組みを創設するなど漁業保証保険制度を充実するほか、減船・休漁等に伴う経営支援等を実施する。
 (ニ) 沿岸漁業改善資金造成については、都道府県が行う漁業経営の改善、漁家生活の改善、漁業後継者の育成等のための資金の貸付けに充てるための資金の造成に要する経費について、助成する。

 産業投資特別会計へ繰入

                 (百万円)
    十五年度      一六三、六〇四
    十四年度      一四五、五二四
    比較増△減      一八、〇八〇
 この経費は、無利子貸付け等の財源に充てるため「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」の規定により、産業投資特別会計へ繰り入れるために必要な経費である。

 その他の事項経費

 その他の事項経費のうち主なものは、次のとおりである。
1 沖縄関係経費(裁判所所管、内閣府所管、総務省所管、外務省所管、財務省所管、文部科学省所管、厚生労働省所管、農林水産省所管、経済産業省所管、国土交通省所管及び環境省所管)
                 (百万円)
    十五年度      五二四、〇七四
    十四年度      五一四、八八四
    比較増△減       九、一九〇
 十五年度においては、沖縄県民の生活の安定と福祉の向上に資するため、社会資本の整備、産業経済の発展、文教の充実等、各面にわたる施策を講ずるために必要な経費として、五千二百四十億七千四百万円を計上している。
2 北方対策費(内閣府所管及び外務省所管)
                 (百万円)
    十五年度        一、四四二
    十四年度        一、四八九
    比較増△減       △  四七
 北方領土問題対策協会補助金など北方領土問題に関する啓発宣伝等を行うために必要な経費十四億四千二百万円を計上している。
3 青少年対策費(裁判所所管、内閣府所管、法務省所管、外務省所管、文部科学省所管、厚生労働省所管及び農林水産省所管)
                 (百万円)
    十五年度      一四一、四二六
    十四年度      一五六、九〇八
    比較増△減    △ 一五、四八一
 この経費は、健全な青少年活動を助成する等のために必要な経費であり、独立行政法人国立青年の家運営費、農村青少年の研修教育施設及び青少年矯正施設の設置運営、青少年教育の振興、青年の船の運航、青年海外協力隊の派遣等に要する経費を計上している。
4 平和祈念事業特別基金事業運営費(総務省所管)
                 (百万円)
    十五年度        一、一一六
    十四年度        一、二二八
    比較増△減       △ 一一二
 この経費は、平和祈念事業特別基金が、関係者に対し慰藉の念を示す事業を実施するのに必要な経費である。
 なお、平和祈念事業特別基金は、十五年十月一日から独立行政法人へ移行することとしている。
5 貨幣製造費(財務省所管)
                 (百万円)
    十五年度       二三、四九〇
    十四年度            ―
    比較増△減      二三、四九〇
 この経費は、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第四条の規定による貨幣の製造に必要な経費である。
 貨幣の製造に必要な経費については、従来、造幣局特別会計において経理されてきたが、造幣局が十五年四月一日に独立行政法人へ移行することに伴い同特別会計は廃止されることから、一般会計の歳出に貨幣製造費を計上し、貨幣の製造を独立行政法人造幣局に行わせることとしている。
 なお、一般会計の歳入において、貨幣の製造に必要な経費の財源を貨幣回収準備資金から受け入れることとしている。
 十五年度の貨幣の製造数量は、十八億枚、額面金額二千八百三十五億四千万円を予定している。
6 文化関係費(財務省及び文部科学省所管)
                 (百万円)
    十五年度      一〇〇、三三三
    十四年度       九八、四七六
    比較増△減       一、八五七
 この経費は、芸術文化の振興、文化財保護の充実等に必要な経費である。
 芸術文化の振興については、「日本文化の魅力」発見・発信プランを創設するとともに、文化芸術創造プラン(新世紀アーツプラン)による文化芸術創造活動に対する支援、舞台芸術の振興等及び新国立美術展示施設(ナショナル・ギャラリー)等の施設整備等を行うこととして、総額三百八十二億一千四百万円(十四年度当初予算比二千百万円、〇・一%増)を計上している。
 文化財保護の充実については、史跡等の保存整備・活用、文化財の保存修理等、地域の伝統文化に対する支援、伝統文化を支える人材養成・確保、九州国立博物館等の施設整備等を行うこととして、総額五百九十五億九千六百万円(十四年度当初予算比十四億五千四百万円、二・五%増)を計上している。
7 肉用子牛等対策費(内閣府所管、農林水産省所管及び国土交通省所管)
                 (百万円)
    十五年度      一三〇、二一二
    十四年度      一一八、〇九三
    比較増△減      一二、一一八
 この経費は、牛肉の輸入等需給事情の変化に対処するため、輸入牛肉等の関税収入を財源として肉用子牛の生産安定対策等を実施するために必要な経費である。
8 農業保険費(農林水産省所管)
                 (百万円)
    十五年度      一二二、六〇七
    十四年度      一三〇、九一九
    比較増△減     △ 八、三一二
 この経費は、「農業災害補償法」等に基づき、農業災害補償制度を円滑に実施するために必要な経費である。
9 農村振興費(農林水産省所管)
                 (百万円)
    十五年度       八八、七三九
    十四年度       九三、一三七
    比較増△減     △ 四、三九八
 この経費は、農村の振興を図るため、農村の総合的な振興、中山間地域等の振興及び都市と農村の交流等の施策を展開するために必要な経費である。
10 林業振興費(農林水産省所管)
                 (百万円)
    十五年度       四〇、一一一
    十四年度       四二、二七六
    比較増△減     △ 二、一六六
 この経費は、林業の振興を図るため、保安林等整備管理、森林計画樹立、林業生産流通総合対策、林業技術の普及指導、森林病害虫等防除、国際林業協力、林業・木材産業改善資金造成、森林整備地域活動支援対策、森林整備活性化資金利子補給、林業信用保証事業及び林業振興事業指導事務等に必要な経費である。
 十五年度における主な措置は、次のとおりである。
 (1) 適切な森林整備の推進を通じて森林の有する多面的機能の持続的発揮を図る観点から、森林所有者等による計画的かつ一体的な森林施業の実施に不可欠な地域活動を確保するための支援対策を引き続き実施することとしている。
 (2) 林業及び木材産業の抜本的な構造改革を推進し、地球温暖化防止及び循環型社会の構築を図るため、消費者ニーズに応える家づくり等による地域材利用や木質バイオマス利活用のための施設整備等の推進、今後の森林整備を支える林業就業者等の育成とその受け皿たる森林組合などの林業事業体の経営基盤の強化、林業改善資金等について、より使いやすく、林業・木材産業の経営改善等に必要な資金が円滑に供給される制度への再構築等を実施することとしている。
 (3) 森林計画の適切な運用や適切な施業の確保、森林管理体制の整備等を推進するとともに、必要な技術の開発、普及等の対策を実施することとしている。また、地球温暖化対策推進大綱(平成十四年三月十九日地球温暖化対策推進本部決定)に定められた我が国のCO吸収量の目標三・九%を達成する観点から、国際的な審査に対応できるよう、森林のCOの吸収・排出量の報告・検証体制の整備、国民参加の森林づくりの推進等を実施することとしている。
 (4) 多様で健全な森林の育成に向け、緊急かつ計画的な間伐を実施するための条件整備等を推進するとともに、間伐材の利用促進等を引き続き実施することとしている。
11 運輸施設整備事業団等助成費(国土交通省所管)
                 (百万円)
    十五年度        九、一〇一
    十四年度       一〇、三三四
    比較増△減     △ 一、二三二
 この経費は、都市鉄道、幹線鉄道及び新幹線鉄道の整備の推進等を図るため、運輸施設整備事業団(運輸施設整備事業団が解散し、その業務を独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が行うこととなった場合には、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)に対して助成を行うために必要な経費である。
12 日本鉄道建設公団等助成費 (国土交通省所管)
                 (百万円)
    十五年度       六五、〇〇〇
    十四年度       六五、〇〇〇
    比較増△減           〇
 この経費は、「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律」に基づき日本鉄道建設公団(日本鉄道建設公団が解散し、その業務を独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が行うこととなった場合には、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が行う年金等負担金の支払等の特例業務に要する経費の同公団に対する補助に必要な経費である。

 予備費

                 (百万円)
    十五年度      三五〇、〇〇〇
    十四年度      三五〇、〇〇〇
    比較増△減           〇
 予見し難い予算の不足に充てるため、計上することとしている。

◇歳   入

1 租税及印紙収入
                 (百万円)
    十五年度   四一、七八六、〇〇〇
    十四年度   四六、八一六、〇〇〇
    比較増△減 △ 五、〇三〇、〇〇〇
 現行法による十五年度の租税及印紙収入は、四十三兆四千九十億円であって、十四年度当初予算額に対して三兆四千七十億円の減少が見込まれる。
 この金額から、十五年度に予定されている法人関連税制、相続税・贈与税、金融・証券税制、土地税制、酒税・たばこ税等の改正による減収一兆五千三百億円を差し引き、更に自動車重量譲与税の譲与割合の引上げによる減収九百三十億円を差し引くと、十四年度当初予算額に対する減少額は五兆三百億円となる。
 したがって、これらの税制改正を織り込んだ十五年度の租税及印紙収入は、四十一兆七千八百六十億円である。
2 官業益金及官業収入
                 (百万円)
    十五年度       一六、六〇一
    十四年度       一九、九五五
    比較増△減     △ 三、三五四
3 政府資産整理収入
                 (百万円)
    十五年度      三二二、五一三
    十四年度      三四一、三九五
    比較増△減    △ 一八、八八二
4 雑収入
                 (百万円)
    十五年度    三、二一八、九六四
    十四年度    四、〇五一、六〇二
    比較増△減   △ 八三二、六三八
5 公債金
                 (百万円)
    十五年度   三六、四四五、〇〇〇
    十四年度   三〇、〇〇〇、〇〇〇
    比較増△減   六、四四五、〇〇〇
 内訳について説明すると、次のとおりである。
 (1) 公債金は、十五年度において、「財政法」第四条第一項ただし書の規定により発行する公債の収入である。
 なお、「財政法」第四条第三項の規定による公共事業費の範囲は、一般会計予算総則第七条に掲げるとおりであるが、その金額並びに出資金及び貸付金の合計額は六兆四千九百七十三億六千万円となる。
 (2) 特例公債金は、「平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律」の規定により発行する公債の収入である。


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【特別会計】

 特別会計の主なものについて説明すると、次の通りである。
1 交付税及び譲与税配付金特別会計
 この会計は、地方交付税及び地方譲与税(地方道路譲与税、石油ガス譲与税、航空機燃料譲与税、自動車重量譲与税及び特別とん譲与税を総称する)の配付に関する経理を明確にするために設けられたものである。
 また、十一年度の恒久的な減税の実施及び十五年度の国庫補助負担金の見直しに伴う地方特例交付金については、当分の間、この特別会計に計上することとしている。
 なお、交通安全対策特別交付金の交付に関する経理を明確にするため、当分の間、この特別会計に計上することとし、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定の二勘定を設けている。
 十五年度の主な内容は、次のとおりである。
 (1) 交付税及び譲与税配付金勘定
 (イ) 地方交付税交付金等の財源に充てるため、歳入については、一般会計から、@十五年度の所得税及び酒税の収入見込額の百分の三二に相当する額四兆九千七百三十七億六千万円、法人税の収入見込額の百分の三五・八に相当する額三兆二千六百二十八億一千二百万円、消費税の収入見込額の百分の二九・五に相当する額二兆七千九百九十二億五千五百万円並びにたばこ税の収入見込額の百分の二五に相当する額二千二百九十二億五千万円の合算額十一兆二千六百五十億七千七百万円に、A九年度、十年度及び十三年度の地方交付税の精算額のうち「地方交付税法」に基づき十五年度分の交付税の総額から減額することとされている額六千五百九億四千五百万円、B同法に基づき十五年度分の交付税の総額に加算することと定められている額二千三百六十九億円及び特例加算額五兆五千四百十六億円を加減算した額十六兆三千九百二十六億三千二百万円を受け入れるほか、四十八兆五千二百七十七億一千百万円を財政融資資金及び民間から借り入れ、歳出については、@十五年度分の地方団体に交付する地方交付税交付金として十八兆六百九十二億九千五百万円、A借入金及び一時借入金の利子支払額六千百五十億円並びに十四年度における借入金の償還金四十六兆六千五百六十億五千八百万円を国債整理基金特別会計へ繰入として計上することとしている。
 (ロ) 「地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律」に基づき、地方特例交付金の財源に充てるため、歳入については、一般会計から地方特例交付金一兆六十一億六千八百万円を受け入れ、歳出については、十五年度分の地方公共団体に交付する地方特例交付金として一兆六十一億六千八百万円(第一種交付金八千八百八十九億六千八百万円、第二種交付金一千百七十二億円)を計上することとしている。
 (ハ) 地方道路税の収入をこの勘定に受け入れ、「地方道路譲与税法」に基づき、地方の道路財源に充てるため、地方道路譲与税譲与金として、一定の基準により都道府県及び市町村(特別区を含む)に譲与することとしている。
 (ニ) 石油ガス税の収入の二分の一に相当する額をこの勘定に受け入れ、「石油ガス譲与税法」に基づき、地方の道路財源に充てるため、石油ガス譲与税譲与金として、一定の基準により都道府県及び「道路法」第七条第三項に規定する指定市に譲与することとしている。
 (ホ) 航空機燃料税の収入の一三分の二に相当する額をこの勘定に受け入れ、「航空機燃料譲与税法」に基づき、空港関係都道府県及び空港関係市町村の航空機騒音対策事業費等の財源に充てるため、航空機燃料譲与税譲与金として、一定の基準により同法に規定する都道府県及び市町村(特別区を含む)に譲与することとしている。
 (ヘ) 自動車重量税の収入の四分の一に相当する額に譲与割合の引き上げによる増収見込額を加算して算出した額をこの勘定に受け入れ、「自動車重量譲与税法」に基づき、地方の道路財源に充てるため、自動車重量譲与税譲与金として、一定の基準により市町村(特別区を含む)に譲与することとしている。
 (ト) 特別とん税の収入をこの勘定に受け入れ、「特別とん譲与税法」に基づき、特別とん譲与税譲与金として、徴収地港の所在する都及び市町村に譲与することとしている。
 (2) 交通安全対策特別交付金勘定
 歳入として交通反則者納金の収入等を受け入れ、歳出としては地方の道路交通安全施設の設置等の財源に充てるため、一定の基準により都道府県及び市町村に交付する交通安全対策特別交付金等を計上することとしている。
2 国債整理基金特別会計
 この会計は、一般会計又は特別会計から受け入れた資金等を国債整理基金として、これを国債の償還発行に関する費途に充てるために設けられたものである。
 十五年度においては、一般会計から十六兆七千九百八十億六千九百万円、交付税及び譲与税配付金特別会計等から六十五兆三千百二十億五千四百万円をそれぞれ受け入れるほか、租税二千四百六十三億円、公債金七十四兆九千六百八十九億八千五百万円、前年度剰余金として「国債整理基金特別会計法」第五条ノ二の規定により十四年度において発行予定の公債金収入九兆円及び「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づき一般会計に繰り入れることとしている日本電信電話株式会社の株式の売払収入の一部一千六百三十六億四百万円、日本電信電話株式会社の株式の売払収入三千七百四億円、日本電信電話株式会社の配当金収入二十四億円並びに運用収入等二千八百億八千二百万円をそれぞれ受け入れることとしている。
3 産業投資特別会計
 この会計は、産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもって投資を行うことにより国民経済の発展と国民生活の向上に資するとともに、その経理を明確にするために設けられたものである。
 なお、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」の規定により一般会計からの受入金及びこれを財源とする無利子貸付け等を、当分の間、この特別会計に計上することとし、その経理を明確にするため、産業投資勘定と社会資本整備勘定にそれぞれ区分して経理することとしている。
 十五年度の主な内容は、次のとおりである。
 (1) 産業投資勘定
 歳入については、国際協力銀行の納付金、電源開発株式会社、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の配当金等を見込むほか、前年度剰余金として十六億四千九百万円を受け入れることとしている。
 歳出については、技術開発、地域開発等の推進を図ることとして、総額四百四十七億円(十四年度当初予算額三百六十七億円)の産業投資支出を行うこととしている。
 (2) 社会資本整備勘定
 歳入については、一般会計が国債整理基金特別会計から受け入れた日本電信電話株式会社の株式の売払収入による国債整理基金の資金の一部に相当する一千六百三十六億四百万円の財源を一般会計から受け入れることとしているほか、各特別会計より受入及び償還金収入等一千二百六十六億三千九百万円を見込んでいる。
 歳出については、収益回収型の公共事業資金貸付金九百二十五億三千六百万円、補助金型(補助率差額相当分)の追加貸付金二百三十三億六千八百万円、民間能力活用施設整備事業資金貸付金四百七十七億円、一般会計へ繰入一千二百六十六億一千万円、事務費等二千九百万円を計上している。
4 石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計
 この会計は、石油及びエネルギー需給構造高度化対策に関する経理を明確にするために設けられたものであり、同対策に要する費用の財源に充てる額は一般会計からの受入れ等である。
 なお、石炭勘定は、十三年度をもって政策的経費の計上を終了し、原油等関税収入等を財源として借入金の償還及び出資金の回収を行う暫定勘定である。
 十五年度の主な内容は、次のとおりである。
 (1) 石油及びエネルギー需給構造高度化勘定
 (イ) 石油安定供給対策
 石油・天然ガスの安定供給確保のため、必要な開発案件への支援、石油・天然ガス開発関連技術の研究開発の効果的・効率的な推進のために必要な経費を計上しているほか、石油等の備蓄の着実な維持・管理、LPガス国家備蓄基地建設の推進に必要な経費を計上している。さらに、アジア諸国と連携したエネルギー安定供給対策や、開発・精製分野を中心とした産油・産ガス国との共同研究、人的交流、投資促進事業等の施策に要する経費を計上している。
 (ロ) 石油生産流通合理化対策
 石油産業の体質強化対策、石油精製設備の高度化に資する技術開発等に必要な経費や、石油製品販売業・LPガス販売業の構造改革支援対策、石油製品需給適正化調査等の施策に必要な経費を計上している。
 (ハ) エネルギー需給構造高度化対策
 地球温暖化問題等に対応したエネルギー・環境対策を実施するため、エネルギー起源二酸化炭素の排出抑制対策に要する予算を計上しているほか、天然ガスへの転換の加速化、燃料電池の技術開発をはじめとする新エネルギー対策、高効率機器等の技術開発・導入促進等の省エネルギー対策等の施策の推進に要する経費を計上している。
 (2) 石炭勘定
 十三年度末をもって、国内石炭政策が終了し、十四年度から十八年度までの間は、十二年度及び十三年度に借り入れた借入金の元本及び利子の償還等を行うこととしている。
5 厚生保険特別会計
 この会計は、「健康保険法」及び「厚生年金保険法」に基づき、被保険者に対する療養給付、年金給付、その他の給付を行うことによって、被用者の福祉の向上を図るとともに、「児童手当法」に基づく児童手当に関する経理を行うために設けられたものである。
 また、当分の間の措置として、老人保健制度の基盤安定化を図るため、特別保健福祉事業資金の運用利益金を財源として実施する特別保健福祉事業に関する経理を行うこととしている。
 十五年度の主な内容は、次のとおりである。
 (1) 健康勘定においては、歳出では、所要の医療給付費等を見込み、歳入では、保険料収入等を見込むとともに、国庫補助については、八千八百六億四千八百万円を計上している。
 (2) 年金勘定においては、歳出では、年金受給者の増等による給付費の増加等を見込み、歳入では、保険料収入等を見込むとともに、国庫負担金については、四兆一千四十五億一千九百万円を一般会計から受け入れることとしている。
 (3) 児童手当勘定においては、歳出では、児童手当について、義務教育就学前(六歳に到達後最初の年度末)までの児童を支給対象児童として支給することとしている。さらに、少子化、共働き世帯の増加、核家族化、都市化の進展等子どもを取り巻く環境の変化を踏まえ、特に女性の社会進出に対応して、仕事と子育ての両立支援を図る必要があることにかんがみ、放課後児童受入れ体制の整備・地域子育て支援センター事業の拡充等、児童育成事業の推進を図ることとし、歳入では、事業主拠出金収入等を見込むとともに、一般会計から所要の財源として、一千八百八十一億五千百万円を受け入れることとしている。
 (4) 業務勘定においては、業務の取扱い及び事務の機械化等に必要な経費を計上するとともに、特別保健福祉事業について九十億円を計上している。なお、福祉施設事業費については、健康保険病院整備費の見直し等を図り、一千八百五十四億八百万円を計上している。
6 国民年金特別会計
 この会計は、「国民年金法」に基づき、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な年金の給付等を行うことにより、健全な国民生活の維持及び向上に寄与するため設けられたものである。
 十五年度の主な内容は、次のとおりである。
 (1) 基礎年金勘定においては、歳出では、基礎年金給付費としての所要額及び公的年金制度の各保険者の支出する基礎年金相当給付費の財源に充てるための繰入れ所要額等を見込み、歳入では、基礎年金給付等に要する費用の財源として各保険者からの所要の拠出金等による収入を見込んでいる。
 (2) 国民年金勘定においては、歳出では、旧法国民年金の障害年金等の受給者数の減等による給付費の減少並びに基礎年金勘定への繰入れ額等を見込み、歳入では、保険料収入等を見込むとともに、国庫負担金については、一兆四千九百六十二億八千五百万円を一般会計から受け入れることとしている。また、基礎年金相当給付費の財源を、基礎年金勘定から受け入れることとしている。
 (3) 福祉年金勘定においては、歳出では、受給者数の減等により見込んだ所要額を計上するとともに、歳入では、国庫負担金については、二百七十六億三百万円を一般会計から受け入れることとしている。
 (4) 業務勘定においては、業務の取扱い等に必要な経費を計上している。
7 食糧管理特別会計
 この会計は、「食糧管理特別会計法」に基づいて設置され、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」、「農産物価格安定法」及び「飼料需給安定法」に基づき、米、麦、でん粉、輸入飼料等の買入れ、売渡し等を管理するものである。
 十五年度においては、この会計の取扱品目、数量、価格等について、次のような前提に立って、予算を編成している。
 (1) 国内産米については、政府買入数量十五万トン、政府売却数量二十二万二千トンと見込んでいる。また、政府買入価格は十五年産米の価格、政府売渡価格は十五年一月一日以降に適用される価格で計上している。
 (2) 国内産麦については、買入数量は、大麦、はだか麦、小麦の三麦合わせて五千トン、売却数量は三麦合わせて五千トンと見込んでいる。また、政府買入価格は十五年産麦の価格、政府売渡価格は現行の価格で計上している。
 (3) 輸入食糧については、買入数量は、米穀七十六万七千トン、小麦等五百三十八万二千トン、売却数量は米穀五十八万三千トン、小麦等五百万六千トンを予定している。また、米麦の政府買入価格は最近の価格動向等を勘案して算定した価格、米麦の政府売渡価格は米については十五年一月一日以降、麦については現行の価格で計上している。
 (4) 農産物等については、でん粉二千トンの買入費等を計上している。
 (5) 輸入飼料については、小麦十四万トン、大麦百四十五万トンの売却及びこれに必要な数量の買入れを予定している。
 また、国内米管理勘定において、自主流通米価格下落時にその影響を緩和する稲作経営安定対策、地域の水田農業の構造改革を推進する地域水田農業再編緊急対策等を講ずることとしている。
8 道路整備特別会計
 この会計は、道路整備事業の経理を明確にすることを目的として設けられたものである。
 この会計は、揮発油税等の特定財源、一般財源、産業投資特別会計社会資本整備勘定からの受入額及び直轄事業に係る地方公共団体の負担金等を受け入れることによって財源の調達を図ることとしており、十五年度における道路整備事業の財源内訳は次のとおりである。
▽一般会計より受入      (百万円)
    十五年度  二、四四三、五七九
    十四年度  二、五六五、五〇三
 ・揮発油税等特定財源
    十五年度  二、一二四、〇五七
    十四年度  二、一四四、三五〇
 ・一般財源
    十五年度    三一九、五二二
    十四年度    四二一、一五三
▽産業投資特別会計より受入  (百万円)
    十五年度     九七、九九二
    十四年度     八九、八一九
 《小 計》
    十五年度  二、五四一、五七一
    十四年度  二、六五五、三二二
▽前年度剰余金受入等
    十五年度     七四、五九八
    十四年度     八〇、七九〇
▽地方公共団体負担金
    十五年度    六四二、六一〇
    十四年度    六〇八、九〇四
▽揮発油税
    十五年度    七〇三、三〇〇
    十四年度    七一〇、二〇〇
 《合 計》
    十五年度  三、九六二、〇七九
    十四年度  四、〇五五、二一六
 なお、道路整備事業費としては、前記のほか、沖縄総合事務局及び北海道開発局における道路整備関係の工事諸費十億七千二百万円及び二百二十四億一千九百万円並びに沖縄総合事務局及び北海道開発局における道路環境整備関係の工事諸費一億四百万円及び十五億四千六百万円が一般会計に計上されており、これらを加えると、道路整備のための財源合計は三兆九千八百七十二億二千万円となる。


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【政府関係機関】

 政府関係機関の主なものについて説明すると、次のとおりである。
1 国民生活金融公庫
 この公庫は、独立して継続が可能な事業について当該事業の経営の安定を図るための資金、生活衛生関係の営業について衛生水準を高めるための資金その他の資金であって、一般の金融機関からその融通を受けることを困難とする国民大衆が必要とするものを供給すること等を目的としている。
 十五年度においては、国民大衆の事業資金等に対する融資の円滑化を図るため、小企業等経営改善資金貸付五千五百億円(十四年度五千五百億円)を含め総額三兆六千八百五億円の貸付けを行うこととし、この原資として、財政融資資金の借入れ二兆八千五百億円、国民生活債券の発行による収入四千四百億円等を予定している。
2 住宅金融公庫
 この公庫は、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設等に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通すること等を目的としている。
 十五年度の住宅資金融通事業においては、三十五万戸を建設するための住宅等融資五兆四千十一億円、二万戸を建設するための財形住宅融資三千四百億円、関連公共施設等融資二十五億円及び宅地造成融資五十七億円(住宅用地の取得二十二ヘクタール、造成二十二ヘクタールを予定)を行うこととし、合計五兆七千四百九十三億円(十四年度八兆一千四百四十二億円)の貸付けを予定している。また、証券化支援事業においては、一万戸で二千億円の買取りを予定しており、住宅資金融通事業と合わせて、総額五兆九千四百九十三億円の貸付け等を予定している。
3 農林漁業金融公庫
 この公庫は、農林漁業者に対し、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期かつ低利の資金で、農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通すること等を目的としている。
 十五年度の貸付計画額は四千六百億円(十四年度計画額四千七百億円)を予定している。
4 中小企業金融公庫
 この公庫は、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であって、一般の金融機関が供給することを困難とするものを供給することを目的としている。
 十五年度においては、中小企業金融の円滑化を図るため、総額一兆九千億円の貸付けを行うこととし、この原資として、産業投資特別会計からの出資金二十五億円、回収金等三千九百九十億円のほか、財政融資資金の借入れ八千九百七十五億円、中小企業債券の発行による収入六千十億円を予定している。
5 日本政策投資銀行
 この銀行は、経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済の自立的発展に資するため、一般の金融機関が行う金融等を補完し、又は奨励することを旨とし、長期資金の供給等を行い、もって我が国の経済社会政策に金融上の寄与をすることを目的としている。
 十五年度においては、一兆一千七百八十億円の出融資を行うこととし、この原資として、産業投資特別会計からの出資金百二十億円、財政融資資金からの借入金六千五百三十億円、産業投資特別会計からの借入金四百六十七億円、日本政策投資銀行債券の発行による収入五千三百億円等を予定している。
 資金の運用としては、構造改革・経済活力創造、自立型地域創造及び豊かな生活創造の分野について効率的に実施することとしている。また、社会資本の整備を促進するため、無利子貸付及び低利子貸付を行うこととしている。
6 国際協力銀行
 この銀行は、一般の金融機関と競争しないことを旨としつつ、我が国の輸出入若しくは海外における経済活動の促進又は国際金融秩序の安定に寄与するための貸付け等並びに開発途上にある海外の地域の経済及び社会の開発又は経済の安定に寄与するための貸付け等を行い、もって我が国及び国際経済社会の健全な発展に資することを目的としている。
 十五年度においては、「特殊法人等整理合理化計画」を踏まえ、国際金融等業務(輸出入若しくは海外における経済活動の促進又は国際金融秩序の安定を図るもの)は一兆一千四百億円、海外経済協力業務(政府開発援助の実施に係るもの)は七千四百億円の出融資を行うこととし、この原資として、一般会計からの出資金二千三億円、財政融資資金からの借入金九千二百二十四億円、国際協力銀行債券の発行による収入五千八十四億円、貸付回収金等二千四百八十九億円(このうち、我が国の債務救済方式を、従来の債務救済無償制度から、国際協力銀行が債権放棄し償却する方式に変更することに伴い、新規に発生する同行の財務への影響を緩和すべく、償却費用の一部に充てる目的で一般会計からの交付金三百億円を計上している)を予定している。
 資金の運用としては、国際金融等業務においては、我が国への資源エネルギーの安定的供給確保やプラントの輸出を含む我が国企業の国際的事業展開の支援に重点を置いて所要額を計上している。また、海外経済協力業務においては、アジアに重点を置きつつ開発途上国の貧困削減と経済社会開発に資するため経済協力に必要な資金を計上している。


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U 平成十五年度財政投融資計画の概要
第3表参照

 「平成十五年度財政投融資計画」は、平成十五年一月二十四日に国会に提出され、三月二十八日に成立した。
 文中における十五年度の計数は、特に説明のない限り、当初計画の額である。
 なお、文中における計数は、原則としてそれぞれ四捨五入によっているので、端数において合計とは合致しないものがある。
(文及び表中における符号:原則として「〇」=単位未満、「―」=皆無)
1 財政投融資計画策定の基本的考え方
 十五年度財政投融資計画の策定に当たっては、行財政改革の趣旨を踏まえ、全体規模を縮減しつつ、構造改革に資する分野に重点を置き対象事業を見直すとともに、現下の経済金融情勢を踏まえ、企業再生・中小企業金融等真に政策的に必要と考えられる資金需要には的確に対応することとした。
 この結果、十五年度財政投融資計画の規模は、二十三兆四千百十五億円(十四年度計画比一二・六%減)となっている。
 最近における財政投融資計画の規模の推移は、次のとおりである。

           金 額   対前年度
           (億円)  伸率(%)
 十一年度  三九三、四九二    七・三
 十二年度  三八二、八五五  △ 四・六
 十三年度  三二五、四七二  △一五・〇
 十四年度  二六七、九二〇  △一七・七
 十五年度  二三四、一一五  △一二・六
(注) 1 十二年度以前は、一般財政投融資の金額である。
    2 十三年度以降、財政投融資計画には、政府保証外債が含まれている。これに併せ、比較対比の便宜のため、十二年度計画額について政府保証外債を加えた額に組替掲記している。
      また、十二年度の伸率については、前年度計画額に政府保証外債を加えた額に対するものである。
 なお、産業投資特別会計については、国際協力銀行の納付金、電源開発株式会社、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の配当金並びに運用金回収等の原資により、技術開発、地域開発等を推進するため、所要の出融資を行うこととした。
 また、経済事情の変動等に応じ、機動的かつ弾力的に対処するため、公庫、公団等に対する財政融資資金等の長期運用予定額及び公庫、公団等の債務に係る政府保証の限度額を年度内に五〇%の範囲内で増額しうるよう、弾力措置を講ずることとした。ただし、財政融資資金の長期運用予定額の追加の総額に二五%の上限を設けることとした。
2 重要施策
 (1) 住 宅
 住宅については、十五年度財政投融資計画額全体の一四・〇%に当たる三兆二千七百六十億円(十四年度計画額六兆一千七百十二億円)の財政投融資を予定しており、第八期住宅建設五箇年計画の的確な実施を図ることとしている。
 住宅金融公庫については、特殊法人等整理合理化計画を踏まえ、特別割増融資の縮減等業務のスリム化・重点化を行いつつ、良質な住宅ストックの形成及び健全・確実な住宅取得を支援するため、貸付戸数を三十七万戸とすることとしている。また、長期・固定の住宅ローンを民間金融機関が円滑に供給できるよう証券化支援事業を創設することとしている。この結果、貸付計画額等として五兆九千四百九十三億円(十四年度計画額八兆一千四百四十二億円)を予定している。
 このほか、都市基盤整備公団については、特殊法人等整理合理化計画を踏まえ、老朽化した賃貸住宅の建替えのほか、民間事業者による実施が困難な再開発・まちづくり関連住宅等政策的に特に必要なものに限定し、住宅建設戸数を九千九百戸とすることとしている。また、良好な居住環境の形成等を図るため、大都市圏の既成市街地等において、住宅市街地の整備、市街地再開発事業、既存賃貸住宅ストックの有効活用を図るための増改築事業等を推進することとしている。
 (2) 生活環境整備
 生活環境整備については、十五年度財政投融資計画額全体の二二・四%に当たる五兆二千四百九十億円(十四年度計画額五兆七千五百五十八億円)の財政投融資を予定し、健康で豊かな国民生活の実現を図るため、引き続き、日常生活に密着した生活環境施設の整備を推進することとしている。このうち、地方公共団体については、国民生活充実の基盤となる社会資本の整備を推進するため、地方債計画の策定に当たり、下水道、一般廃棄物処理等の事業について、所要の起債額を確保するとともに、これらの事業に対して政府資金(財政融資資金、郵便貯金資金及び簡易生命保険資金をいう。以下同じ)及び公営企業金融公庫資金を重点的に配分することとしている。
 (3) 厚生福祉、文教
 厚生福祉については、一兆百八十四億円(十四年度計画額一兆百八十六億円)の財政投融資を予定し、社会福祉・医療事業団及び独立行政法人福祉医療機構において、高齢社会に対応するため、所要の貸付計画額を確保することとしているほか、国立病院特別会計、地方公共団体等において、病院、厚生福祉施設等の整備促進を図ることとしている。
 文教については、八千五百五十四億円(十四年度計画額八千八百十三億円)の財政投融資を予定している。このうち、地方公共団体の義務教育施設整備等の事業については、地方債計画の策定に当たり、所要の政府資金の額を確保することとしている。日本育英会については、引き続き、有利子貸与事業の充実を図ることとしている。
 (4) 中小企業、農林漁業
 中小企業については、十五年度財政投融資計画額全体の一八・〇%に当たる四兆二千百十八億円(十四年度計画額四兆七千三百三十六億円)の財政投融資を予定している。その大宗を占める国民生活金融公庫及び中小企業金融公庫については、中小企業に対する円滑な資金供給を図るため、所要の貸付規模を確保するとともに、特別貸付制度の充実等の貸付制度の改善を図ることとしている。このほか、中小企業金融公庫に対し、産業投資特別会計からの出資(二十五億円)を予定している。
 農林漁業については、八千六十八億円(十四年度計画額六千九百五十三億円)の財政投融資を予定している。このうち、農林漁業金融公庫については、資金需要の動向等を踏まえ、一千九百八十億円の財政投融資を予定している。
 (5) 道路、運輸通信
 道路については、三兆九千七百七十七億円(十四年度計画額三兆六千六百六十四億円)の財政投融資を予定している。その大宗を占める道路関係四公団(日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団)の事業費として一兆八千四百八十八億円を予定している。
 運輸通信については、六千七百八十四億円(十四年度計画額六千百六十八億円)の財政投融資を予定している。このうち、空港関係四機関(空港整備特別会計、新東京国際空港公団、関西国際空港株式会社及び中部国際空港株式会社)については、引き続き、空港建設事業の推進を図ることとし、合計五千四百六十七億円の事業費を予定している。
 (6) 産業・技術、貿易・経済協力
 産業・技術については、二千九百十二億円(十四年度計画額一千九百五十四億円)の財政投融資を予定している。技術開発については、日本政策投資銀行の知的基盤整備枠として四百億円(十四年度計画額六百億円)の出融資を予定するとともに、引き続き、通信・放送機構、新エネルギー・産業技術総合開発機構等に対し、産業投資特別会計からの出資を予定している。
 貿易・経済協力については、開発途上国の経済社会開発等に資する観点から、一兆一千九百八億円(十四年度計画額一兆二千八百七十二億円)の財政投融資を予定している。国際協力銀行については、一兆八千八百億円(十四年度計画額一兆九千百億円)の出融資を予定している。
3 原 資
 十五年度財政投融資の原資としては、十四年度計画額に対し三兆三千八百五億円(一二・六%)減の二十三兆四千百十五億円を計上している。
 原資の大宗を占める財政融資資金については、十四年度計画額に対し、四兆一千六百九億円(一九・八%)減の十六兆八千四百十二億円を計上している。財政融資資金による新たな貸付け及び既往の貸付けの継続に必要な財源として、十五年度において、財政融資資金特別会計国債三十兆百億円の発行を予定している。このほか、地方公共団体への貸付原資として、郵便貯金資金一兆円及び簡易生命保険資金一兆六千二百億円を計上している。
 産業投資特別会計については、国際協力銀行の納付金、電源開発株式会社、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の配当金並びに運用金回収等を見込むことにより、四百四十七億円を計上している。
 また、政府保証国内債については、三兆一千八百六十二億円、政府保証外債については、七千百九十四億円を予定している。




言葉の履歴書


黄金週間

 四月二十九日はみどりの日、五月三日は憲法記念日、四日は国民の休日、五日はこどもの日です。
 戦前のこの時期の祝日は、四月二十九日の天長節(昭和天皇の誕生日)だけでしたが、昭和二十三年に五月三日と五日が国民の祝日となり、六十年から四日の国民の休日が加わっています。映画産業界では、観客の多い連休週間をゴールデン・ウイーク(golden week)と呼びましたが、「黄金週間」と訳されるこの和製英語は昭和二十七、八年から一般用語になりました。
 黄金週間は英語のゴールデン・エージ(golden age)、訳して「黄金時代」からの造語。古代ギリシャ人が人類史を金・銀・銅・鉄の四期に分け、第一期を純潔・幸福に満ちた最盛期とした史観に基づくものです。十一月三日の「文化の日」を中心とした期間が「シルバーウイーク」と和製英語で呼ばれることもあるようですが、訳語はありません。英語でも日本語でもない言葉ということになります。






    <4月23日号の主な予定>

 ▽人権教育・啓発白書のあらまし………法 務 省 
                   文部科学省 

 ▽我が国の人口(推計)…………………総 務 省 




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