官報資料版 平成15年5月21日




                  ▽地方財政白書のあらまし………総 務 省











地方財政白書のあらまし


―地方財政の状況―


総 務 省


 「地方財政の状況」(地方財政白書)は、平成十五年三月二十八日の閣議決定を経て、国会に報告された。これは、地方財政法第三十条の二の規定に基づき、内閣が地方財政の状況を明らかにして、毎年国会に報告するものであり、その内容は、次の二部構成となっている。
 第一部では、平成十三年度地方公共団体の決算を中心として、地方財政の状況を明らかにしている。
 第二部では、最近の地方財政の動向を要約し、当面する主要な課題についてとりまとめている。
 以下、平成十三年度の地方公共団体の普通会計決算の状況を中心に、白書のあらましについて紹介する。

【第一部 平成十三年度の地方財政】

一 地方財政の役割

 地方公共団体は、その自然的・歴史的条件、産業構造、人口規模等がそれぞれ異なっており、これに即応してさまざまな行政活動を行っている。
 地方財政は、このような地方公共団体の行政活動を支えている個々の地方公共団体の財政の集合であり、国の財政と密接な関係を保ちながら、国民経済及び国民生活上大きな役割を担っている。

(1) 国・地方を通じた財政支出の状況
 国・地方を通じた財政支出について、国(一般会計と交付税及び譲与税配付金、公共事業関係等の十特別会計の純計)と地方(普通会計)の財政支出の合計から重複分を除いた歳出純計額は百五十三兆三千四十億円で、前年度と比べると三・六%減(前年度二・六%減)となっている。
 歳出純計額の目的別歳出額の構成比は、平成十三年度においては、社会保障関係費が最も大きな割合(二五・四%)を占め、以下、公債費(一八・七%)、国土保全及び開発費(一八・〇%)、教育費(一三・六%)の順となっている。
 なお、公債費の構成比が高い水準にあるのは、昭和五十年度以降の巨額の財源不足、平成四年度以降の経済対策等に対処するため、国・地方を通じて大量の公債が発行されたことによるものである。
 この歳出純計額を最終支出の主体に着目して国と地方とに分けてみると、国が五十七兆四千七十億円(全体の三七・四%)、地方が九十五兆八千九百七十億円(同六二・六%)で、前年度と比べると、国が八・八%減(前年度〇・四%減)、地方が〇・二%減(前年度三・九%減)となっている。
 また、歳出純計額の目的別歳出額についてさらに詳細に国と地方に分けて示したものが第1図である。これによると、防衛費等のように国のみが行う行政に係るものは別として、公衆衛生、清掃等に係る衛生費、小学校、中学校、高等学校等に係る学校教育費、警察、消防等に係る司法警察消防費、道路整備、都市計画、土地改良等に係る国土開発費等、国民生活に直接関連する経費については、最終的に地方公共団体を通じて支出されている割合が高いことがわかる(第1図参照)。

(2) 国民経済と地方財政
 政府部門は、国民経済計算上、中央政府、地方政府及び社会保障基金からなっており、家計部門に次ぐ経済活動の主体として、資金の調達及び財政支出を通じ、資源配分の適正化、所得分配の公正化、経済の安定化等の重要な機能を果たしている。
 その中でも、地方政府は、中央政府を上回る最終支出主体であり、国民経済上、大きな役割を担っている。
<国内総支出と地方財政>
 国民経済において地方政府が果たしている役割を国内総支出(名目ベース。以下同じ)に占める割合でみると、第2図のとおりである。
 平成十三年度の国内総支出は五百二兆六千二十三億円であり、その支出主体別の構成比は、家計部門が六〇・四%(前年度五九・五%)、政府部門が二四・二%(同二三・七%)、企業部門が一四・七%(同一五・六%)となっている。
 政府部門のうち、地方政府及び中央政府が国内総支出に占める割合は、地方政府が一三・五%(同一三・四%)、中央政府が四・六%(同四・六%)となっており、地方政府の構成比は中央政府の約三倍となっている。なお、地方政府のうち普通会計分は五十八兆六百六十二億円で、国内総支出の一一・六%(同一一・四%)を占めている(第2図参照)。
<公的支出の状況>
 政府部門による平成十三年度の公的支出は、公的総資本形成(公的総固定資本形成と公的在庫品増加の合計額)が前年度を下回ったことから前年度と比べると〇・六%減(前年度〇・四%増)の百二十一兆四千二百四十三億円となっている。また、国内総支出に占める割合は、前年度と比べると〇・五%ポイント上昇の二四・二%となっている。
 公的支出の内訳をみると、政府最終消費支出が八十八兆六千四百五十一億円、公的総資本形成が三十二兆七千七百九十二億円となっており、これらを前年度と比べると、政府最終消費支出は二・〇%増(前年度四・三%増)、公的総資本形成は七・〇%減(同八・一%減)となっている。
 さらに、公的支出の内訳を最終支出主体別にみると、第3図のとおりである。
 中央政府は、前年度と比べると、政府最終消費支出が〇・三%増(前年度四・四%増)、公的総資本形成が七・二%減(同五・二%減)で合計二・九%減(同〇・一%増)であり、公的支出に占める中央政府の割合は前年度(一九・五%)より〇・四%ポイント低下の一九・一%となっている。
 地方政府は、前年度と比べると、政府最終消費支出が〇・九%増(前年度〇・九%減)、公的総資本形成が七・〇%減(同九・二%減)で、合計二・〇%減(同四・一%減)であり、公的支出に占める地方政府の割合は、前年度(五六・四%)より〇・七%ポイント低下の五五・七%となっている。
 また、政府最終消費支出及び公的総資本形成に占める地方政府の割合をみると、政府最終消費支出においては前年度(五〇・五%)と比べると〇・五%ポイント低下の五〇・〇%、公的総資本形成においては前年度(七一・〇%)と同じ七一・〇%となっており、公的総資本形成においては、七割を超える額を地方政府が支出している(第3図参照)。
 なお、ここでいう公的支出には、国・地方の歳出に含まれる経費の中で、移転的経費である扶助費、普通建設事業費のうち所有権の取得に要する経費である用地取得費、金融取引にあたる公債費及び積立金等といった付加価値の増加を伴わない経費などは除かれている。したがって、公的支出に占める中央政府及び地方政府の割合と歳出純計額に占める国と地方の割合は一致していない。

二 地方財政の概況

 地方公共団体の歳入及び歳出は、一般会計と特別会計に区分して経理されているが、特別会計の中には、一般行政活動に係るものと企業活動に係るものがある。このため、地方財政では、これらの会計を一定の基準によって、一般行政部門と水道、交通、病院等の企業活動部門に分け、前者を「普通会計」、後者を「地方公営事業会計」として区分している。
 以下、平成十三年度の地方財政について、普通会計の状況を示すとともに、地方公営事業会計の状況を示す。

(1) 決算規模
 地方公共団体(都道府県四十七団体、市町村三千二百二十三団体、特別区二十三団体、一部事務組合二千六十六団体及び広域連合七十団体(以下、一部事務組合及び広域連合を「一部事務組合等」という)の普通会計の純計決算額は、第1表のとおり、歳入百兆四十一億円(前年度百兆二千七百五十一億円)、歳出九十七兆四千三百十七億円(同九十七兆六千百六十四億円)で、歳入、歳出いずれも二年連続して減少している。また、前年度と比べると、歳入〇・三%減(前年度三・六%減)、歳出〇・二%減(同三・九%減)となっている(第1表参照)。
 このように決算規模が前年度決算額を下回った主な要因としては、歳出については、投資的経費の大部分を占める普通建設事業費が減少したこと、歳入については、普通建設事業費の財源となる国庫支出金等が減少したことなどがあげられる。

(2) 決算収支
<実質収支>
 実質収支(形式収支(歳入歳出差引額)から明許繰越等のために翌年度に繰り越すべき財源を控除した額)の状況は、第2表のとおりである。
 平成十三年度の実質収支は、一兆一千三百十九億円の黒字(前年度一兆一千二百五十九億円の黒字)で、昭和三十一年度以降黒字が続いている。なお、この実質収支には、東京都が地方消費税の清算のための財源として翌年度に繰り越した額が含まれている。
 実質収支が赤字である団体数をみると、平成十二年度に赤字であった二十三団体(都道府県二団体、市町村二十団体、一部事務組合一団体。解散に伴って打切り決算(市町村合併等により、出納整理期間中の歳入、歳出がないことをいう。以下同じ)が行われたことによる赤字団体は除いている)のうち十七団体(都道府県一団体、市町村十六団体)が引き続き赤字であり、九団体(市町村七団体、一部事務組合二団体)が新たに赤字団体となった結果、赤字団体数は二十六団体であり、前年度と比べると三団体増加している。なお、合併に伴う打切り決算により、これ以外に六団体(市町村六団体)が赤字となった(第2表参照)。
 標準財政規模に対する実質収支額の割合である実質収支比率の推移は、平成十三年度の実質収支比率(特別区及び一部事務組合等を除く加重平均)は前年度と同じ一・八%となっている。
 これを団体種類別にみると、都道府県は〇・三%ポイント上昇の〇・三%、特別区及び一部事務組合等を除く市町村は〇・三%ポイント低下の三・一%となっている。
<単年度収支及び実質単年度収支>
 単年度収支(実質収支から前年度の実質収支を差し引いた額)は、三年連続して黒字(前年度一千二百五十億円の黒字)となり、その黒字額は四十七億円となっている。
 これを団体種類別にみると、都道府県は七百四十四億円の黒字(前年度二百二億円の黒字)、市町村は六百九十七億円の赤字(前年度一千四十八億円の黒字)となっている。
 また、実質単年度収支(単年度収支に財政調整基金への積立額及び地方債の繰上償還額を加え、財政調整基金の取崩し額を差し引いた額)は、三年連続して黒字(前年度六千九億円の黒字)となり、その黒字額は三千百八十五億円となっている。これを団体種類別にみると、都道府県は一千六百億円の黒字(前年度二千二百六十六億円の黒字)、市町村は一千五百八十六億円の黒字(前年度三千七百四十三億円の黒字)となっている。

三 地方財源の状況

(1) 歳入の概況
 歳入純計決算額は百兆四十一億円で、前年度と比べると〇・三%減(前年度三・六%減)となり、前年度に引き続き減少した。
 決算額の主な内訳をみると、第3表のとおりである。
 地方税は、前年度と比べるとわずかに増加している。これは、前年度に引き続き都道府県の法人事業税等が増加したこと、市町村の固定資産税が増加に転じたことによるが、その一方、住民税の個人分、利子割は前年度より減少している。地方交付税(六・六%減)、地方特例交付金(一・三%減)は、ともに減少している。
 国庫支出金(〇・七%増)は、普通建設事業費が減少する一方、国の補正予算による緊急地域雇用創出特別交付金等が増加したことにより増加している。地方債(六・三%増)は臨時財政対策債の発行により増加している(第3表参照)。
<租税収入及び租税負担率>
 国及び地方公共団体の行政活動に要する経費は、最終的にはその大部分が租税によって賄われている。
 国税と地方税を合わせ租税として徴収された額は八十五兆五千百七十二億円であり、前年度と比べると三・一%減(前年度四・八%増)となっている。
 国民所得に対する租税総額の割合である租税負担率をみると、十二年度は三年ぶりに増加に転じたものの、十三年度は再び減少し、前年度と比べると〇・一%ポイント低下の二三・一%となっている。なお、主な諸外国の租税負担率をみると、アメリカ二七・四%(二〇〇〇暦年計数)、イギリス四一・一%(同)、ドイツ三一・二%(同)、フランス三九・八%(同)となっている。
 次に、租税を国税と地方税の別でみると、国税四十九兆九千六百八十四億円(五・二%減)、地方税三十五兆五千四百八十八億円(〇・〇%増)となっている。
 租税総額に占める国税と地方税の割合は、第4図のとおりであり、国税五八・四%(前年度五九・七%)、地方税四一・六%(同四〇・三%)となっている(第4図参照)。また、地方交付税、地方譲与税及び地方特例交付金を国から地方へ交付した後の租税の実質的な配分割合は国三八・二%(同四一・一%)、地方六一・八%(同五八・九%)となっている。
<地方税>
 地方税の決算額は三十五兆五千四百八十八億円で、前年度と比べると〇・〇%増(前年度一・五%増)となっており、二年連続の増収となっている。
 このように地方税が前年度決算額を上回ったのは、法人企業の収益改善等により法人関係二税等が増収となったことによるものである。

(2) 地方譲与税
 地方譲与税の決算額は六千二百四十億円で、前年度と比べると〇・六%増(前年度一・九%増)となっている。また、歳入総額に占める割合は〇・六%(同〇・六%)となっている。
 地方譲与税の内訳をみると、地方道路譲与税が二千九百七十二億円(〇・八%増)、自動車重量譲与税が二千八百五十九億円(〇・七%増)、航空機燃料譲与税が百六十一億円(〇・九%増)、石油ガス譲与税が百四十億円(一・五%減)及び特別とん譲与税が百七億円(二・一%減)となっている。

(3) 地方特例交付金
 地方特例交付金は、恒久的な減税に伴う地方税の減収の一部を補てんするため、地方税の代替的性格を有する財源として、平成十一年度に創設された。
 その総額は、当該年度の恒久的な減税に伴う減収見込額の総額の四分の三に相当する額から、国と地方のたばこ税の税率変更による地方たばこ税の増収措置及び法人税に係る地方交付税率の引上げによる措置額を控除した額であり、平成十三年度の決算額は九千十八億円となり、前年度と比べると一・三%減となっている。
 また、地方特例交付金の歳入総額に占める割合は〇・九%(前年度〇・九%)となっている。

(4) 地方交付税
 地方交付税は、地方公共団体の税源の不均衡を調整し、どの地域においても一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するための地方共有の固有財源である。また、その目的は、地方公共団体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を損なわずに、その財源の均衡化を図り、地方行政の計画的な運営を保障することによって、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方公共団体の独立性を強化することである。
 平成十三年度の地方交付税の総額は、地方財政計画においては、国税五税(国税のうち所得税、法人税、酒税、消費税及びたばこ税)のそれぞれの収入見込額に一定割合を乗じて算出した額(平成十三年度においては、所得税及び酒税の収入見込額のそれぞれ三二%に相当する額、法人税の収入見込額の三五・八%に相当する額、消費税の収入見込額の二九・五%に相当する額並びにたばこ税収入見込額の二五%に相当する額)十三兆九千七百三十一億円に、特例措置として、「地方交付税法等の一部を改正する法律」(平成十三年法律第九号)による改正前の地方交付税法附則第四条の二第二項に基づく加算額二千十三億円、同条第六項に基づく加算額三千九百七十億円及び臨時財政対策特例加算額一兆四千三百六十八億円を加え、さらに、交付税特別会計借入金四兆三千四百八十七億円及び交付税特別会計剰余金一千八百億円等を加算し、同特別会計借入金利子充当分六千三百二十九億円を控除した二十兆三千四百九十八億円(普通交付税十九兆一千二百八十八億円、特別交付税一兆二千二百十億円)とされた。
 その結果、前年度と比べると六・六%減(前年度四・四%増)となっており、八年ぶりに前年度決算額を下回っている。
 その内訳は、普通交付税が十九兆一千二百八十八億円、特別交付税が一兆二千二百十億円となっている。また、歳入総額に占める割合は、二〇・三%(前年度二一・七%)である。
 なお、基準財政需要額は四十六兆二千九百億円(財源不足団体分四十一兆七千百九十六億円、財源超過団体分四兆五千七百四億円)、基準財政収入額は二十七兆八千二百八十五億円(財源不足団体分二十二兆五千五百九十九億円、財源超過団体分五兆二千六百八十六億円)で、財源不足団体の財源不足額は十九兆一千五百九十七億円、財源超過団体の財源超過額は六千九百八十二億円となっている。
 普通交付税の交付状況をみると、不交付団体は、都道府県においては前年度と同じく東京都一団体となっており、市町村においては前年度(七十四団体)より二十一団体増加の九十五団体となっている。
 地方交付税の収入状況を団体種類別にみると、道府県が十一兆七百五十三億円で前年度と比べると六・〇%減(前年度五・八%増)、市町村が九兆二千七百四十五億円で七・二%減(同二・七%増)となっており、その地方交付税総額に占める割合は、道府県が五四・四%(同五四・一%)、市町村が四五・六%(同四五・九%)となっている。

(5) 一般財源
 一般財源は、地方税、地方譲与税、地方特例交付金及び地方交付税の合計額(市町村決算においては、これらに加えて、都道府県から交付される地方消費税交付金等各種交付金を加えた合計額)であり、使途が特定されず、どのような経費にも使用できる財源である。
 この一般財源の決算額は五十七兆四千二百四十三億円であり、前年度と比べると二・四%減(前年度三・〇%増)となっており、七年ぶりに減少している。
 また、歳入総額に占める割合は、五七・四%(前年度五八・七%)となっている。なお、一般財源に臨時財政対策債発行額一兆二千二百六十九億円を加えた決算額は、五十八兆六千五百十三億円であり、前年度と比べると〇・三%減(前年度三・〇%増)となっている。また、歳入総額に占める割合は、五八・六%となっている。

(6) 国庫支出金
 国庫支出金の決算額は十四兆五千五百一億円で、前年度と比べると〇・七%増(前年度一二・九%減)となっており、二年ぶりに増加に転じている。
 また、歳入総額に占める割合も一四・五%(同一四・四%)と二年ぶりに増加に転じている。
 次に、国庫支出金の内訳をみると、普通建設事業費支出金が五兆一千五百九十二億円で最も大きな割合(国庫支出金全体の三五・五%)を占め、以下、義務教育費負担金が三兆百十四億円(同二〇・七%)、生活保護費負担金が一兆五千七百五十一億円(同一〇・八%)となっており、以上の支出金等で国庫支出金総額の六七・〇%を占めている。
 さらに、団体種類別に国庫支出金の内訳をみると、都道府県においては、普通建設事業費支出金三兆六千九百四十五億円(三八・四%)、義務教育費負担金三兆百十四億円(三一・三%)の順となっている。
 また、市町村においては、普通建設事業費支出金一兆四千六百四十七億円(二九・六%)、生活保護費負担金一兆三千八百七十一億円(二八・一%)の順となっている。

(7) 地方債
 地方債の決算額は十一兆八千百五十六億円で、普通建設事業の財源としての地方債の発行は減少する一方、臨時財政対策債の発行が皆増となったことなどから前年度と比べると六・三%の増(前年度一五・〇%減)となっている。なお、臨時財政対策債を除いた額は十兆五千八百八十七億円で、前年度と比べると四・七%減となっている。
 地方債依存度(歳入総額に占める地方債の割合)は前年度と比べると〇・七%ポイント上昇の一一・八%となっている。
 地方債の決算額を団体種類別にみると、都道府県においては六兆五千百七十一億円で四・〇%増(前年度一七・九%減)、市町村においては五兆三千五百六十三億円で九・二%増(同一一・一%減)となっている。
 地方債の目的別の発行状況をみると、一般単独事業債が四兆四千二百九億円で最も大きな割合(地方債発行総額の三七・四%)を占め、以下、一般公共事業債が二兆九千三百二十三億円(同二四・八%)、一般廃棄物処理事業債が五千六百四十四億円(同四・八%)、減税補てん債が四千八百九億円(同四・一%)の順となっている。なお、臨時財政対策債は一兆二千二百六十九億円(同一〇・四%)となっている。

四 地方経費の内容

 歳出の分類方法としては、行政目的に着目した「目的別分類」と経費の経済的な性質に着目した「性質別分類」が用いられるが、これらの分類による歳出の概要は、次のとおりである。

(1) 目的別歳出
 地方公共団体の経費は、その行政目的によって、総務費、民生費、衛生費、労働費、農林水産業費、商工費、土木費、消防費、警察費、教育費、公債費等に大別することができる。
 歳出純計決算額は九十七兆四千三百十七億円で、前年度と比べると〇・二%減(前年度三・九%減)となっている。
 目的別歳出の構成比は、第4表のとおりであり、土木費(一九・一%)、教育費(一八・五%)、民生費(一四・四%)、公債費(一三・二%)、総務費(九・二%)の順となっており、土木費、教育費及び民生費で全体の五割以上を占めている。
 これらの項目の伸び率をみると、土木費が五・一%減(前年度六・八%減)、教育費が〇・四%減(同〇・六%減)、民生費が四・九%増(同一一・一%減)、公債費が三・八%増(同四・九%増)、総務費が二・四%減(同〇・二%減)となっており、民生費が増加に転じるとともに、公債費が引き続き増加している(第4表参照)。
 なお、一般財源総額(五十七兆四千二百四十三億円)に占める目的別歳出の割合をみると、教育費が最も大きな割合(一九・七%)を占め、以下、公債費(一八・四%)、民生費(一三・八%)、土木費(一一・九%)、総務費(一一・九%)の順となっている。

(2) 性質別歳出
 地方公共団体の経費は、その経済的な性質によって、義務的経費、投資的経費及びその他の経費に大別することができる。
 義務的経費は、職員給与費等の人件費のほか、生活保護費等の扶助費及び地方債の元利償還金等の公債費からなっており、そのうち人件費が約六割(五八・二%)を占めている。
 また、投資的経費は、道路、橋りょう、公園、公営住宅、学校の建設等に要する普通建設事業費のほか、災害復旧事業費及び失業対策事業費からなっており、そのうち普通建設事業費が大部分(九八・一%)を占めている。
 歳出純計決算額の性質別内訳をみると、第5表のとおりである。
 義務的経費は、前年度決算額を上回っている(一・八%増)。これは、行政改革に伴う定員削減による職員給の減少等により前年度に引き続き人件費(〇・一%減)は減少したが、扶助費(六・二%増)及び公債費(三・八%増)が増加したためである。
 投資的経費は、前年度決算額を下回っている(六・〇%減)。これは、大部分を占める普通建設事業費が、補助事業費(五・三%減)、単独事業費(六・八%減)ともに減少し、前年度決算額を下回ったためである(五・七%減)。
 また、その他の経費は、繰出金(三・九%増)等の増により前年度決算額を上回っている(一・七%増)(第5表参照)。
<義務的経費>
 義務的経費は、人件費、扶助費及び公債費からなっている。
 義務的経費の決算額は四十六兆一千三百三十七億円で、前年度と比べると一・八%増(前年度〇・九%減)となり、前年度、集計を開始(昭和二十九年度)してから初めて減少したところであるが、再び増加に転じている。また、義務的経費の歳出総額に占める割合は四七・三%で、前年度と比べると一・八%ポイントの上昇となっている。
 義務的経費の内訳をみると、人件費が二十六兆八千三百八十三億円で義務的経費に占める割合は五八・二%(前年度五九・三%)、公債費が十二兆八千二百七億円で二七・八%(同二七・二%)、扶助費が六兆四千七百四十六億円で一四・〇%(同一三・五%)となっており、近年は公債費の構成比が上昇している。
 (人件費)
 人件費は、職員給、地方公務員共済組合等負担金、退職金、委員等報酬、議員報酬手当等からなっている。
 人件費の決算額は二十六兆八千三百八十三億円であり、集計を開始(昭和二十九年度)してから初めて減少した前年度に引き続き、二年連続減少(〇・一%減)している。
 人件費の歳出総額に占める割合及び人件費に充当された一般財源の一般財源総額に占める割合の推移は、第5図のとおりである。
 人件費の歳出総額に占める割合は二七・五%で、前年度と同率である。人件費の歳出総額に占める割合を団体種類別にみると、都道府県(二九・九%)が、市町村立義務教育諸学校教職員の給与を負担していることなどから市町村(二一・五%)を上回っている(第5図参照)。
 また、国家公務員の給与水準を一〇〇としたときの、地方公務員の給与水準を指すラスパイレス指数の推移は、第6図のとおり、昭和四十九年の一一〇・六をピークとして昭和五十年以降連続して低下していたが、平成十四年四月一日現在のラスパイレス指数は前年と比べると〇・一ポイント上昇の一〇〇・六となっている(第6図参照)。
 人件費の主な内訳は、職員給が七三・九%を占め、以下、地方公務員共済組合等負担金(一三・二%)、退職金(八・〇%)の順となっている。
 各費目の伸び率をみると、職員給は前年度と比べると〇・三%減となっており、三年連続して減少となっている。また、地方公務員共済組合等負担金は前年度と比べると〇・四%増(前年度〇・六%減)となっている。退職金は退職者の増により一・四%増(同一二・〇%増)となっており、三年連続して増加している。
 (扶助費)
 扶助費は、社会保障制度の一環として、生活困窮者、児童、老人、心身障害者等を援助するために要する経費である。
 この扶助費の決算額は六兆四千七百四十六億円であり、前年度と比べると六・二%増(前年度一一・八%減)となっている。また、扶助費の歳出総額に占める割合は、介護保険制度の実施に伴い十二年度は前年度と比べると〇・六%ポイント低下したが、十三年度は再び増加に転じ、六・六%となっている。
 扶助費の目的別内訳は、児童福祉費が二兆二千八百三十二億円で最も大きな割合(扶助費総額の三五・三%)を占めており、以下、生活保護費の二兆一千二百三十八億円(同三二・八%)、社会福祉費の一兆一千九百五十六億円(同一八・五%)、老人福祉費の三千七百二十七億円(同五・八%)の順となっている。
 これら各費目の伸び率をみると、児童手当の拡充等により児童福祉費が九・五%増(前年度一一・七%増)、生活保護費が七・〇%増(同六・〇%増)、社会福祉費が三・五%増(同〇・六%増)、老人福祉費が五・五%減(同七四・八%減)となっている。
 扶助費に充当された財源の内訳をみると、生活保護費負担金及び児童保護費負担金等の国庫支出金が三兆二千八十億円、一般財源等が二兆九千百八十九億円となっている。
 (公債費)
 公債費は、地方債元利償還金及び一時借入金利子の支払いに要する経費である。
 この公債費の決算額は十二兆八千二百七億円で、前年度と比べると三・八%増(前年度五・〇%増)となっている。また、歳出総額に占める公債費の割合は、平成五年度以降上昇しており、十三年度においては、前年度と比べると〇・六%ポイント上昇の一三・二%となっている。
 これは、近年の地方税収等の落込みや減税による減収の補てん、経済対策に伴う公共投資の追加等に伴い地方債の発行が増加したため、その元利償還金が増加したことなどによるものである。
 公債費の内訳をみると、地方債元金償還金が八兆九千二十八億円で最も大きな割合(六九・四%)を占め、以下、地方債利子が三兆九千八十二億円(三〇・五%)、一時借入金利子が九十七億円(〇・一%)となっている。
 各費目の伸び率をみると、地方債元金償還金が八・三%増(前年度九・四%増)、低金利の影響により新発債及び借換債の金利が低下しているため地方債利子が四・九%減(同二・六%減)となっている。また、一時借入金利子は三三・六%減(同三四・七%減)となっている。
 なお、公債費に充当された財源の内訳をみると、一般財源等が十一兆八千五百七十二億円で全体の九二・五%(前年度九二・四%)を占めており、使用料、手数料等の特定財源が九千六百三十五億円で八・五%(同七・六%)となっている。
<投資的経費>
 投資的経費は、道路・橋りょう、公園、学校、公営住宅の建設等社会資本の整備に要する経費であり、普通建設事業費、災害復旧事業費及び失業対策事業費からなっている。
 投資的経費の決算額は二十二兆九千七百二十八億円で、前年度と比べると六・〇%減(前年度八・九%減)となっている。投資的経費の歳出総額に占める割合は二三・六%であり、前年度と比べると一・四%ポイントの低下となっている。
 投資的経費の内訳をみると、普通建設事業費が九八・一%を占め、以下、災害復旧事業費(一・八%)、失業対策事業費(〇・二%)の順となっている。
 (普通建設事業費)
 普通建設事業費は、道路・橋りょう、学校、庁舎等公共又は公用施設の新増設等の建設事業に要する経費である。
 この普通建設事業費の決算額は二十二兆五千三百十二億円であり、前年度と比べると五・七%減(前年度八・五%減)となっている。
 普通建設事業費の内訳は、単独事業費(四九・一%)、補助事業費(四四・二%)、国直轄事業負担金(六・七%)の順となっている。また、各費目の伸び率をみると、単独事業費は六・八%減(前年度八・〇%減)、補助事業費は五・三%減(同九・八%減)、国直轄事業負担金は〇・九%減(同二・七%減)となっている。これは、厳しい財政状況を反映した単独事業の重点化等と公共投資の減少が主な要因である。
 普通建設事業費の目的別内訳は、第7図のとおりであり、土木費が最も大きな割合(五六・一%)を占め、以下、農林水産業費(一五・六%)、教育費(九・五%)の順となっている。さらに、これらの費目の内訳別に普通建設事業費に占める割合をみると、土木費のうちの道路橋りょう費(二四・四%)が最も大きく、以下、都市計画費(一五・一%)、河川海岸費(一〇・〇%)の順となっている。また、これを団体種類別にみると、都道府県においては道路橋りょう費(二九・一%)、河川海岸費(一六・〇%)、農地費(一三・七%)、都市計画費(九・〇%)、林業費(五・六%)の順となっており、市町村においては都市計画費(二一・三%)、道路橋りょう費(一六・九%)、清掃費(一〇・八%)、小学校費(五・四%)、農地費(四・七%)の順となっている(第7図参照)。
 補助事業費は、地方公共団体が国からの負担金又は補助金を受けて実施する事業に要する経費である。
 補助事業費の決算額は九兆九千五百八十八億円で、前年度と比べると五・三%減(前年度九・八%減)となっている。これを団体種類別にみると、都道府県においては八・六%減(同一一・三%減)、市町村においては〇・三%増(同八・一%減)となっている。
 単独事業は、地方公共団体が国の補助等を受けずに自主的・主体的に地域の実情等に応じて実施する事業であり、住民生活に身近な生活関連施設等の整備や地域の特性を活かした個性豊かで魅力ある地域づくりにおいて大きな役割を担っており、地域経済の下支えを図るうえでも重要な機能を果たしている。
 単独事業に要する経費である単独事業費の決算額は十一兆五百四十六億円で、前年度と比べると六・八%減(前年度八・〇%減)となっている。これを団体種類別にみると、都道府県においては七・三%減(同九・五%減)、市町村においては六・四%減(同七・二%減)とともに減少している。
 普通建設事業費に充当された主な財源の内訳をみると、地方債が四〇・七%と最も大きな割合を占めており、以下、一般財源等が二七・九%、国庫支出金が二二・一%となっている。これを前年度と比べると、地方債は〇・二%ポイント上昇する一方、一般財源等は〇・二%ポイント、国庫支出金は〇・四%ポイントそれぞれ低下している。
 また、補助事業費及び単独事業費に分けてみると、補助事業費については、国庫支出金が五〇・〇%、地方債が三五・六%、一般財源等が八・六%となっており、単独事業費については、一般財源等が四五・三%、地方債が四一・七%となっている。
<災害復旧事業費>
 災害復旧事業費は、暴風、洪水、地震その他異常な自然現象等の災害によって被災した施設を原形に復旧するために要する経費である。
 この災害復旧事業費の決算額は四千三十二億円で、前年度と比べると一九・九%減(前年度二五・二%減)となっている。
 災害復旧事業費の内訳は、補助事業費が前年度と比べると二二・八%減の三千三百四十二億円、単独事業費が四・八%減の五百二十二億円、国直轄事業負担金が六・四%増の百六十八億円となっている。
 また、目的別内訳の構成比をみると、道路、河川、海岸、港湾、漁港等の公共土木施設関係(災害復旧事業費総額の七七・八%)と農地、農業用施設等の農林水産施設関係(同一五・二%)で全体の九三・〇%を占めている。
 さらに、災害復旧事業費に充当された財源の内訳をみると、国庫支出金(災害復旧事業費総額の五九・〇%)と地方債(同二七・五%)で全体の八六・五%を占めている。

(3) その他の経費
 その他の経費には、物件費、維持補修費、補助費等、繰出金、積立金、投資及び出資金、貸付金並びに前年度繰上充用金があり、その決算額は二十八兆三千二百五十二億円で、前年度と比べると一・七%増(前年度四・二%減)となっている。
 また、これらの経費の歳出総額に対する割合をみると、物件費が八・一%(前年度七・九%)、補助費等が六・九%(同六・八%)、貸付金が六・一%(同六・一%)、繰出金が四・二%(同四・〇%)、積立金が二・一%(同二・〇%)等となっている。

五 財政構造の弾力性

(1) 経常収支比率
 地方公共団体が社会経済や行政需要の変化に適切に対応していくためには、財政構造の弾力性が確保されなければならない。財政分析においては、財政構造の弾力性の度合いを判断する指標の一つとして、経常収支比率が用いられている。
 経常収支比率は、経常経費充当一般財源(人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費に充当された一般財源)が、経常一般財源(一般財源総額のうち地方税、普通交付税のように毎年度経常的に収入される一般財源)、減税補てん債及び臨時財政対策債の合計額に対し、どの程度の割合となっているかをみることにより財政構造の弾力性を判断するものである。
 平成十三年度の経常収支比率(特別区及び一部事務組合等を除く加重平均)は、平成十年度(八九・四%)に集計開始(昭和四十四年度)以来最も高い値を示した後、いったん低下したが、三年ぶりに上昇し、前年度(八六・四%)より一・一%ポイント上昇の八七・五%となっている。また、その内訳をみると、人件費が三六・八%(前年度三七・〇%)、公債費が二〇・三%(同一九・六%)等となっている。
 なお、減税補てん債及び臨時財政対策債の発行額を経常収支比率算出上の分母から除いた場合の経常収支比率を求めると、九〇・二%となる。
 近年の経常収支比率の推移をみると、第6表のとおり、平成二年度以降上昇傾向にあり、特に公債費充当分が大幅に上昇している(第6表参照)。
 経常収支比率を団体種類別にみると、都道府県は前年度と比べると一・二%ポイント上昇の九〇・五%、特別区及び一部事務組合等を除く市町村は一・〇%ポイント上昇の八四・六%となっている。このように都道府県の経常収支比率が市町村より高くなっているのは、都道府県が市町村立義務教育諸学校教職員の給与を負担していることなどから人件費充当分が大きいことなどによるものである。

(2) 公債費負担比率及び起債制限比率
 地方債の元利償還金等の公債費は、義務的経費の中でも特に弾力性に乏しい経費であることから、財政構造の弾力性をみる場合、その動向には常に留意する必要がある。その公債費の状況を把握するための指標として、公債費負担比率及び起債制限比率が用いられている。
 公債費負担比率は、公債費充当一般財源(地方債の元利償還金等の公債費に充当された一般財源)が一般財源総額に対し、どの程度の割合となっているかを示す指標であり、公債費がどの程度一般財源の使途の自由度を制約しているかをみることにより、財政構造の弾力性を判断するものである。
 平成十三年度の公債費負担比率(全団体の加重平均)は、前年度より〇・七%ポイント上昇の一八・四%となり、十年連続して上昇している。
 起債制限比率は、地方債元利償還金及び公債費に準ずる債務負担行為に係る支出の合計額から繰上償還された額を除き、さらにこれに充当された一般財源のうち地方交付税が措置されたものを除いたものが標準財政規模及び臨時財政対策債発行可能額の合計額に対しどの程度の割合となっているかをみるものである。
 平成十三年度の起債制限比率(一部事務組合等を除く加重平均)は、前年度と比べると〇・三%ポイント上昇の一一・六%となり、十年連続して上昇している。

六 将来にわたる財政負担

 地方公共団体の財政状況をみるには、単年度の収支状況のみでなく、地方債、債務負担行為等のように将来にわたって財政負担となるものや、財政調整基金等の積立金のように年度間の財源調整を図り将来における弾力的な財政運営に資するために財源を留保するものの状況についても、併せて、総合的に把握する必要がある。
 これらの状況は、次のとおりである。

(1) 地方債現在高
 平成十三年度末における地方債現在高は百三十兆九千五百三十九億円で、前年度末と比べると二・二%増(前年度末二・〇%増)となっている。なお、特定資金公共投資事業債を除いた地方債現在高は、百三十兆八千七百八十四億円で、前年度末と比べると二・二%増(前年度末二・〇%増)となっている。
 地方債現在高の歳入総額及び一般財源総額に対するそれぞれの割合の推移は、昭和五十年度末では歳入総額の〇・四四倍、一般財源総額の〇・八八倍であったが、地方税収等の落込みや減税に伴う減収の補てん、経済対策に伴う公共投資の追加等により地方債が急増したことから、平成四年度末以降急増し、十三年度末には歳入総額の一・三一倍、一般財源総額の二・二八倍となっている。なお、標準財政規模に対する比率では、前年度末と比べると八・三%ポイント上昇の二三七・三%となっている。
 地方債現在高を目的別にみると、一般単独事業債が最も大きな割合(四〇・一%)を占め、以下、一般公共事業債(一九・四%)、減税補てん債(四・八%)、減収補てん債(四・〇%)、公営住宅建設事業債(三・九%)の順となっている。

(2) 債務負担行為額
 地方公共団体は、将来の支出を約束するために、債務負担行為を行うことができる。この債務負担行為は、数年度にわたる建設工事、土地の購入等の場合のように翌年度以降の経費支出が予定されているものと、債務保証又は損失補償のように債務不履行等の一定の事実が発生したときに支出されるものとに大別することができる。
 これらの債務負担行為に基づく翌年度以降支出予定額をみると、平成十三年度末では十三兆九千九十三億円であり、前年度末と比べると五・五%減(前年度末四・一%減)となっている。
 翌年度以降支出予定額を目的別にみると、製造・工事の請負に係るもの(一三・五%減)、土地の購入に係るもの(四・五%減)が減少したことなどから、物件の購入等に係るものは減少(八・〇%減)となり、また、債務保証又は損失補償に係るものも減少(三三・一%減)している。

(3) 積立金現在高
 平成十三年度末における積立金現在高は十五兆六千七百八十九億円で、前年度末と比べると二千七百八十九億円増(一・八%増)となっている。また、標準財政規模に対する比率は、前年度末と比べると〇・九%ポイント上昇の二八・四%となっている。
 積立金現在高の内訳をみると、年度間の財源調整を行うために積み立てられている財政調整基金は七・六%増加している。地方債の将来の償還費に充てるために積み立てられている減債基金は五・二%減少し、将来の特定の財政需要に備えて積み立てられているその他特定目的基金は二・一%増加している。

(4) 将来にわたる実質的な財政負担
 地方債現在高(特定資金公共投資事業債を除く)に債務負担行為に基づく翌年度以降支出予定額を加え、積立金現在高を差し引いた地方公共団体の将来にわたる実質的な財政負担は、百二十九兆一千八十八億円で、前年度末と比べると一・三%増(前年度末一・八%増)となっている。
 なお、標準財政規模に対する比率は、前年度末と比べると六・三%ポイント上昇の二三四・一%となっており、また、名目国内総生産に対する割合では、前年度末と比べると一・〇%ポイント上昇の二五・七%となっている。

(5) 普通会計が負担すべき借入金残高
 交付税及び譲与税配付金特別会計(以下「交付税特別会計」という)借入金残高のうち、地方財政全体で負担することとなるものと企業債現在高のうち普通会計が負担することとなるものを地方債現在高(特定資金公共投資事業債を除く)に加えた普通会計が負担すべき借入金残高の推移をみると、第8図のとおりである。
 これをみると、近年の地方税収等の落込みや平成四年度以降の補正予算による経済対策に加え、六年度以降は、減税等の財源を借入金に依存したことなどから、普通会計が負担すべき借入金残高は急増しており、十三年度末には、百八十七兆七千三百十五億円に達し、前年度末と比べると三・五%増加している(前年度四・四%増)。
 その内訳は、地方債現在高が百三十兆八千七百八十四億円、交付税特別会計借入金残高が二十八兆五千三百三億円、企業債現在高のうち普通会計が負担することとなるものが二十八兆三千二百二十八億円となっている。
 また、この普通会計が負担すべき借入金残高の標準財政規模に対する比率は、前年度末と比べると一六・一%ポイント上昇の三四〇・四%にまで増大しており、普通会計が負担すべき借入金残高の名目国内総生産に対する比率は、前年度末と比べると二・二%ポイント上昇の三七・四%となっている(第8図参照)。

【第二部 最近の地方財政の状況と課題】

一 地方財政の動向

 第一部でみたように、平成十三年度の地方財政は、極めて厳しい状況にある。
 普通会計を中心に具体的にみると、第一に、経常収支比率が三年ぶりに上昇に転じ、八七・五%となっている。また、義務的経費の中でも特に弾力性の乏しい公債費の状況を把握する指標である起債制限比率は、新たな元金償還の増等により公債費が増加したこと等から引き続き上昇し、一一・六%となっている。
 これを、十年前の平成三年度と比べると、経常収支比率は一六・二%ポイント、起債制限比率は二・六%ポイント上昇しており、この十年間で財政構造の硬直化が顕著となっているが、地方債現在高の増加に伴い、今後もその償還による公債費の一層の増加が見込まれることから、その一層の進展が強く懸念されている。
 第二に、地方税収入は前年度に比べてわずかに増加したものの低迷を脱することができず、地方交付税の原資となる国税収入は前年度に比べて減少している一方で、公債費が増加したこと等のため大幅な財源不足が発生し、借入金によりこれを補てんした結果、借入金残高(普通会計の地方債現在高、交付税特別会計借入金残高のうち地方負担分及び企業債現在高のうち普通会計負担分の合計)は引き続き増加し、平成十三年度末で百八十八兆円となっており、平成三年度末からの十年間で、ほぼ二・七倍に増加しており(平成三年度末借入金残高七十兆円)、平成十五年度末には百九十九兆円程度に達するものと見込まれている。
 第三に、都道府県についてみると、実質収支が赤字の団体が四年連続して発生するとともに、市町村については、実質収支が赤字の団体(合併等に伴う打切り決算により実質収支が赤字となったものを除く)が前年度より四団体増加している。
 このように現下の地方財政が極めて厳しい状況にあるのは、少子・高齢化対策、環境問題への対応等の重要政策課題に対処するための財政需要が増嵩する一方、引き続く景気の低迷により国・地方とも大幅な税収不足が生じるなかで、大幅な財源不足の状態にあること等によるものである。

二 地方財政の課題

(1) 地方分権の更なる進展のための行財政基盤の整備
 地方財政は極めて厳しい状況にあり、国と地方を通じる行財政の構造改革のなかで、「地方にできることは地方に委ねる」との原則の下、地方公共団体の自主性・主体性を高める方向で更なる分権改革の進展を図ることが必要である。このため、さまざまな角度から制度と行財政運営のあり方について不断の点検・検討を行いつつ、地方の自立に向けた行財政基盤の整備を進める必要がある。

(2) 健全化への努力
 極めて厳しい状況にある地方財政を健全化するためには、経済社会の構造改革の推進等により経済の活性化を図ることなどを通じて地方税等の地方一般財源の収入増に努めると同時に、国・地方を通じる行財政の簡素・効率化を図ることにより、収支ギャップを縮小し、借入金依存からの脱却を図ることが必要である。
 このような地方財政の健全化の具体的な取組として、平成十五年度の地方財政計画においては、国の歳出予算と歩を一にして、歳出全般にわたり徹底した見直しと重点的配分を図るとともに、中期的な目標の下で、定員の計画的削減等による給与関係経費の抑制や、地方単独事業費の減額を図り、これらを通じて、地方財政計画の規模の抑制を図っている。
 極めて厳しい地方財政の状況を踏まえると、地方公共団体においても、地方分権の時代にふさわしい簡素で効率的な行政システムを確立し、地域の行政課題に適切に対応するため、引き続き徹底した行政改革の推進、歳出の徹底した見直しによる抑制と重点化を進めるとともに、行財政運営の透明性の向上を図り地方財政の健全化への努力を続ける必要がある。

(3) 地域の政策課題への対応
 地域の総合的な行政主体である地方公共団体は、地域の活性化、電子自治体の推進等情報化施策の推進、循環型社会の構築等環境問題への対応、総合的な地域福祉施策の充実等、地域の政策課題に積極的に対応し、住民福祉の向上を図る必要がある。
 主な地域の政策課題についてみると、次のとおりである。
 @地域の活性化
 地域はそれぞれの特性に応じて人材、自然、歴史、文化といった多様な資源を有しており、これらを活かしながら、活力を回復し、魅力を高め、豊かさや快適さを一層誇れる地域づくりを行う必要がある。このため、都市再生、中心市街地再活性化、農山漁村、過疎地域の活性化等地域に応じた活性化策を講じるとともに、地方指定文化財等や歴史的建造物、街並みの保存、修復及び周辺整備、住民等の芸術文化活動の支援、創造的で文化的なまちづくりや地域文化財等の活用による地域おこし等を地域の実情に応じて支援する必要がある。
 なお、地方公共団体と国立大学等の研究開発機関との連携を図ることは、地域経済の活性化につながるものと期待されている。これに関連して、地方財政再建促進特別措置法施行令が改正され、国立大学等が行う地域における産業の振興等に寄与する研究開発等の実施に要する経費を一定の要件の下で地方公共団体が負担することが可能とされている。
 さらに、道路、港湾、住宅、下水道などの生産活動や生活を営む上で欠くことのできない施設や治山、治水などの国土保全施設等の社会資本は、公的主体・民間主体双方の努力により着実に整備が進められ、その整備水準は年々向上してきているが、引き続き、地域の実情に即して、生活関連基盤の整備や地域経済の振興等を図るために必要な事業量を確保し、住民に身近な社会資本の一層の充実を図るとともに、情報通信基盤をはじめ地域の新たな活性化につながる基盤を重点的に整備する必要がある。
 なお、平成十五年度の地方財政計画上、地方単独事業の事業内容については、いわゆる箱物整備を抑制するとともに、地域の基盤整備への重点化を図ることとして引き続き「地域活性化事業」により支援を行うこととされているところである。
 A情報化の推進
 情報通信技術の飛躍的発展は、我が国の経済システムの成長力を高める上で重要な位置付けを占めるとともに、地域社会における人々の生活にも大きな影響を及ぼすことから、その発展に的確に対応しその便益を活用することにより、住民の利便性の向上と地域経済の振興、生活環境の高度化を図る必要がある。
 地方公共団体においては、電子政府を二〇〇三年度までに実現するという国の取組と歩調を合わせて、住民サービスの質的向上、地方公共団体の業務改革及び地域における情報関連産業の育成などの効果をもたらす電子自治体の実現、地域の社会・経済活動の活性化に資するための情報通信基盤の整備等の施策を総合的・戦略的に推進する必要がある。
 このため、庁内LAN整備、地方公共団体を相互に接続するとともに国のネットワークとも接続する広域的でセキュリティの高い総合行政ネットワークへの市町村の参加を促進するとともに、住民基本台帳ネットワークシステムの整備、組織認証基盤及び公的個人認証サービスの整備を推進する。
 また、電子申請受付システムや各種業務処理システムの開発・運用にあたり、都道府県と連携して複数の市町村が共同して推進する共同アウトソーシング・電子自治体推進戦略を進める。その際、情報セキュリティの確保及び個人情報保護の徹底を図っていく必要がある。
 なお、第百五十五回国会において行政手続オンライン化関係三法(「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」(平成十四年法律第百五十一号)、「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成十四年法律第百五十二号)及び「電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律」(平成十四年法律第百五十三号))が成立したことにより、電子自治体実現のための環境整備が図られたところである。
 また、地域間のデジタル・デバイドの是正を図るとともに、活力ある地域社会の形成に資するため、地域公共ネットワークの全国整備等を促進することとしている。
 さらに、地域住民のIT活用能力の向上等、誰もがITを利用できる社会を実現するための取組を引き続き支援することとしている。
 B良質な環境の保全・創造
 地方公共団体は、環境への負荷の少ない持続的発展の可能な循環型社会の構築を推進する基本的枠組みとなる「循環型社会形成推進基本法」(平成十二年法律第百十号)等を踏まえ、廃棄物等の発生抑制・リサイクルの推進、産業廃棄物の不法投棄対策の強化等を総合的かつ計画的に実施する必要がある。
 また、環境問題に対する住民の関心が一段と高まるなか、地域におけるダイオキシン問題や、地球規模の環境問題としての地球温暖化対策、国土保全の見地からの農地、森林等の管理対策等についても積極的な取組を引き続き進めていくことが必要である。
 C総合的かつ効率的な地域福祉施策の推進
 地方公共団体においては、今後急速に進行する少子・高齢化に対応し、ゴールドプラン21、新エンゼルプラン、新障害者プラン等を着実に推進するとともに、地域のニーズに応じた地方単独施策等により総合的かつ効率的な地域福祉施策を積極的に推進していく必要がある。
 特に、平成十二年四月から実施されている介護保険制度については、第二期介護保険事業計画期間を迎えるにあたり、引き続き介護サービス関連施設等の基盤の整備、地域の実情を踏まえた介護保険制度関連施策の実施等総合的な取組を行う必要がある。

(4) 地方公営企業の経営基盤の強化等
 地方公営企業の平成十三年度の決算の状況をみると、地方公営企業の経営状況は、前年度に比べて黒字事業数が増加したものの、未だ一割以上の事業で赤字が生じており、法適用企業全体の経常収支比率(経常費用に対する経常収益の割合)は平成三年度以降一〇〇%を下回った状態が続いているなど、全体として引き続き厳しい状況となっている。
 地方公営企業は住民生活に身近な社会資本を整備し、必要なサービスを提供する役割を果たしてきたが、将来にわたってその本来の目的である公共の福祉を増進していくためには、次の諸点に留意しつつ、経営基盤の一層の強化のための本格的な経営改革に取り組む必要がある。
 第一は、地方公営企業のあり方の不断の見直しである。
 地方公営企業が供給するサービスについては、公共の福祉を増進するため、適切な対価を得て、住民の日常生活に必要なサービスを提供するという地方公営企業の役割を踏まえ、民間企業との役割分担を考慮しつつ、より総合的な行政サービスの実施、住民サービスの向上、経営健全化・効率化の推進、住民負担の軽減等を図る観点から、地域の実情に応じ、適切な経営形態の検討を行いつつ、絶えずその内容、供給方法等の見直しを行う必要がある。
 第二は、計画的な経営等を通じた経営基盤の強化である。
 地方公営企業の経営にあたっては、常に住民の理解と協力の下に経営効率化、住民サービスの向上等を図るため、建設投資、財務、業務等経営に関する計画を策定・公表するとともに、経営目標、経営内容等について積極的に広報を行うことが適当である。また、同種企業との経営状況等の比較による経営分析の強化により、計画の達成に向けた経営健全化・効率化の推進に努める必要がある。
 地方公営企業の組織・機構については、総合的・機能的な企業経営が可能となるよう、簡素で効率的な組織・機構とする必要がある。また、職員の企業意識の徹底を図りつつ、事務事業の見直し、職員配置の適正化等により適正な定員管理を計画的に推進するほか、職員の給与についても、給与水準の適正化を図るとともに、一律の企業手当等不適切な給与制度及びその運用を是正する必要がある。
 地方公営企業の料金は、公正妥当、かつ能率的な経営の下における適正な原価を基礎とし、地方公営企業の健全な経営を確保できるものでなければならない。そのため、経理内容の明確化、透明性の向上等の観点から、特に下水道事業及び簡易水道事業において、地方公営企業法の財務規定等の適用を積極的に推進していく必要があるほか、経営改善・合理化による原価の抑制、適切な事業報酬の設定、受益者負担金の適切な徴収、料金改定時の積極的広報等に努める必要がある。
 地方公営企業は独立採算制を経営の原則としており、地方公営企業の経費のうち、その性質上企業経営に伴う収入をもって充てることが適当でないもの、能率的な経営を行ってもなおその経営に伴う収入をもって充てることが客観的に困難であると認められるもの等を除き、経営に伴う収入をもって充てなければならないものとされている。公営企業会計においては、このような経費負担区分の適正な運用を図り、厳しい地方財政の状況を踏まえ、一層の自助努力により独立採算制の原則に立脚した経営に努める必要がある。
 水道事業における水源の確保、交通事業におけるまちづくりと一体となった需要喚起策等、経営努力のみでは解決の困難な問題については、国、地方公共団体の一般行政部門、その他関係機関等の協力を求め、一体となってその解決を図り、企業環境の整備に努めることが重要である。
 第三は、民間的経営手法の積極的な導入である。
 公的サービス分野への民間参入の動きが強まるなど社会経済情勢の著しい変化がみられるなかで、地方公営企業の一層の自立性の強化と経営の活性化を図ることが必要とされている。
 このため、各地方公共団体において、
 @ アウトソーシング(外部委託)、PFI等の有効活用
 A 業績評価手法の活用
 B 経営情報の積極的な開示
 C 資産の有効活用等を通じた収益性向上
 D 地方公営企業法非適用事業の法適用の推進
等の民間的経営手法を地域の実情を踏まえてさまざまな工夫を講じつつ積極的に導入していく必要がある。
 我が国の医療保険の中核として国民皆保険を支える国民健康保険制度については、被保険者の高齢化に伴う医療費の増嵩、保険税(料)負担能力の低い無職者・低所得者の増加、医療費の地域格差から生じる保険者間の不均衡、小規模保険者の増加など、構造的問題を数多く内包している。
 国保財政の健全化に向けては、これまでにも種々の財政的支援を講じてきているところであるが、安定的な保険運営を可能とする上で、国民健康保険制度の抱える構造的な問題の解決が避けて通れないところである。このため、国民健康保険のみならず、被用者保険を含む医療保険制度全般にわたる抜本改革が必要とされており、そのための検討が進められているところである。
 地方公社等については、経営の適否が地方財政に重大な影響を及ぼす可能性があることから、経営状況を的確に把握するとともに、「行政改革大綱」(平成十二年十二月一日閣議決定)等を踏まえ、経営環境の変化への対応、経営主体の経営効率化、地方公共団体の財政運営のより一層の健全化の観点から、その経営改善等について積極的に取り組む必要がある。
 このうち、土地開発公社については、土地取得にあたっては、土地利用計画等を十分に検討し、現に保有している土地については事業計画の見直し等を含めて処分の促進に努め、土地取得手続の適正化や金利の低減を図るとともに、積極的な情報公開等に努める必要がある。
 土地開発公社の平成十三年度末における土地保有総額は、七兆一千五百六十三億円で、前年度と比べると七・三%減(前年度六・九%減)となっており、五年連続して減少している。このうち、五年以上保有している土地はほぼ横ばいであるが、十年以上保有している土地は増加していることから、特に、保有期間が長期にわたる土地については、処分を積極的に行い、経営の健全化に努めることが重要である。
 また、土地開発公社の経営については、その設立・出資団体の責任において健全化が図られるべきであるが、財政状況等から独力では健全化の達成が困難と考えられる設立・出資団体が、一定の計画に基づき土地開発公社の抜本的な経営健全化に取り組む場合に、地方財政措置を行うこととしたところであり、平成十三年六月三十日までに、七十三市町村が総務大臣又は都府県知事により土地開発公社経営健全化団体の指定を受け、経営の健全化に取り組んでいるところである。
 また、第三セクターに関しては、「第三セクターに関する指針」(平成十一年五月二十日付け自治大臣官房総務審議官通知)の趣旨を踏まえ、定期的に経営状況の点検評価を行い、役職員数及び給与の見直し、組織機構のスリム化等による運営の改善や経営状況に関する情報開示を促すほか、事業や公的関与の内容の積極的な情報開示に努めることが必要である。特に、点検評価の結果、経営の悪化が深刻であると判断される第三セクターについては、できるだけ早期に、第三セクター方式での事業の存廃自体の検討も含め抜本的な経営改善策を講じることが必要である。



五月の気象


 五月は、移動性高気圧に覆われ晴天となり、強い日差しにより気温が急上昇し、時には真夏並みの高温になったり、北・東日本に寒気が入り、北日本や本州の山岳地帯でも稀に、雪が降ったりすることもあります。また、季節の変わり目ということもあり、次々に低気圧が通過し、天気が崩れやすくなることもあります。さらに、九州南部以南では、梅雨入りの時期でもあります(平年の梅雨入りの日は、沖縄地方が五月八日、奄美地方が五月十日、九州南部が五月二十九日となっています)。
 このように、五月の天候は、冬と夏の天気が混在し、地域格差が大きいことが特徴です。また、大雨や降ひょうなど、気象災害も地域によりさまざまです。

◇五月のひょう害

 五月は、冬のなごりで上空に強い寒気が入ることがあり、また、太陽高度が高く強い日差しのため地表付近が熱せられ、大気の状態が不安定になることがあります。このような場合、広い範囲で局地的に雷雲が発達し、激しい雷を伴ってひょうが降ることがあります。
 一九七一年から二〇〇二年において、ひょうが降ったことによって起きた被害(以下、ひょう害という)の発生件数を月別に集計すると、五月がもっとも多く発生していることがわかります。
 同じ期間の五月に発生したひょう害の発生件数を府県別に集計したものでは、関東地方北部や長野県でもっとも多く発生していることがわかります。
 最近の顕著なひょう害としては、平成十三年五月十九日、埼玉県で発生したひょう害があります。
 この日、埼玉県では、上空に寒気が入ったため、大気の状態が不安定になり、昼ごろに発生した雷雲が非常に発達し、夕方には、埼玉県北部と南部の広い範囲で雷雨となり、局地的に雨混じりの激しい降ひょうがありました。この降ひょうにより、埼玉県の十七市町で、梨など果実の損傷を中心に、農作物に多大な被害を受けました。これらの被害金額は、約二十四億三千万円にものぼりました。
 五月は、このような農業災害が起こる可能性があるので十分注意してください。


自動車盗難の防止対策


自動車盗難が急増!


あなたの愛車は大丈夫?


 駐車場に停めておいたはずの愛車が、突然消えてしまった……。ここ数年、こうした自動車盗難の被害が急激に増えています。その被害件数は一日約百七十二件。ねらわれるのは高級車ばかりではありません。最近は、それ以外の自動車の被害が急増しているのです。大事な愛車を盗難から守るための盗難防止対策をご紹介します。

◆キーロックしていても油断は禁物

 平成十四年の自動車盗難の認知件数は六万二千六百七十三件。このうち、被害額が三百万円以上の高級車の被害は一四%で、高級車に限らず、身近な自動車が多く被害に遭っています。
 盗まれやすいのは、キーがつけっぱなしのクルマやキーロックされていないクルマ。クルマの中に簡単に侵入できたり、キーが置いてあったりすれば、犯人にとってそのクルマを盗むのは簡単です。
 しかし、キーロックして、エンジンキーを抜いているからといっても、安心はできません。被害に遭った自動車の約七割は、キーロックしていた自動車。犯人は、合カギを使ったりキーシリンダーを壊したりして、エンジンを始動させ、盗んでしまうのです。

◆防犯への甘い意識が盗難のスキを与える

 自動車盗難の犯人の目的は、盗んだ自動車を売却してお金を得ること。そのため、高く売れる高級車や人気車がねらわれやすいのは事実です。しかし、最近では、高級車は防犯装置を取り付けるなど防犯対策がとられるようになってきたため、被害件数は減少に転じています。一方、高級車以外の自動車では、そうした対策を備えたクルマが少ないため、被害が増え続けているのです。
 ねらわれるような車じゃないから……と思っていると、防犯対策も甘くなってしまいます。しかし、それは犯人に盗むチャンスを与えているようなものです。
 ほんの少し自動車を離れるときでも用心する。その心がけが、盗難のリスクからあなたの愛車を守ります。
 また、最近は、自動車を盗難から守るためのさまざまな機器も登場しています。こうした自動車盗難防止機器を活用し、攻めの姿勢で愛車を守りましょう。

ふだんの心がけが大事です!自動車盗難を防ぐ五つのポイント

<カギを忘れずに>
 車から離れるときは、必ずキーを抜き、ステアリングロックを確実に利かせましょう。
<必ずドアロックを>
 自動車から離れるときは、必ずドアロックを。窓ガラスも完全に閉めておきましょう。
<明るい駐車場に置く>
 暗い駐車場や路上では、自動車盗難や車上あらしなどが発生しやすくなっています。路上駐車はやめ、明るく監視の行き届いた駐車場に停めましょう。
<盗難防止機器を活用する>
 盗難防止機器を活用して積極的に防衛しましょう。ボディカバーの利用も盗難防止に効果的です。
  (Web版広報通信五月号)


いろいろあります!自動車盗難防止機器


●固定タイプ
 ステアリングやギア、ブレーキペダルなど、車の運転に必要な操作系を固定して、動かないようにする装置。

●イモビライザー(電子式移動ロック装置)
 イモビライザーは、電子チップ(トランスポンダ)が埋め込まれた専用のキーと自動車本体の間で電子認証を行い、キーと自動車本体とのIDコードが一致しなければ、エンジンが始動しない盗難防止装置です。
 不正に複製したキーを使ったり、キーシリンダーを破壊したりしてもエンジンはかからないため、自動車盗難防止の切り札として期待されています。
 新車に買い換えるときには、ぜひイモビライザーを装備しましょう。また、車種によっては、新車でなくても後付けできる場合もあるので、メーカーなどに問い合わせてみましょう。

●警告・通報タイプ
 振動や不正なドアの開閉に反応して、光や音で警告したり、携帯電話などを通して車の異常や位置を知らせたりします。
  (Web版広報通信五月号)


政府と業界が一丸となって対策


 自動車盗難等に関する官民合同プロジェクトチーム

 自動車盗難急増の背景には、盗難車の売却や不正輸出などによって利益を得ようとする国際犯罪組織や暴力団などが関与しているとみられており、検挙も困難になっています。
 そのため、警察庁など関連四省庁と民間十六団体は「自動車盗難等に関する官民合同プロジェクトチーム」を設置し、自動車盗難や盗難自動車の不正輸出を防止するための取組を進めています。
 プロジェクトチームは、平成十四年〜十八年までの目標と実施の方針を定めた「行動計画」を策定。この計画に基づき、自動車ユーザーに対する防犯対策の呼びかけを行うとともに、防犯性能の高い自動車の普及や取り締まりの強化、盗難自動車に関する情報交換体制の強化、埠頭の管理強化など、一丸となって自動車盗難と不正輸出の防止に取り組んでいます。
  (Web版広報通信五月号)




    <5月28日号の主な予定>

 ▽国土交通白書のあらまし……………………国土交通省 

 ▽毎月勤労統計調査(平成十四年分)………厚生労働省 

 ▽労働力調査(二月)…………………………総 務 省 




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