官報資料版 平成15年6月18日




                  ▽平成十四年度森林・林業白書のあらまし………農林水産省

                  ▽法人企業動向調査(三月)………………………内 閣 府











平成14年度


森林・林業白書のあらまし


―「平成十四年度森林及び林業の動向に関する年次報告」
「平成十五年度において講じようとする森林及び林業施策」―


農林水産省


 「平成十四年度森林及び林業の動向に関する年次報告」と「平成十五年度において講じようとする森林及び林業施策」が去る四月十八日、閣議決定の上、国会に提出、公表された。
 平成十四年はヨハネスブルグ・サミットの開催、国内での京都議定書の批准や「地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策」の策定など、森林・林業に関して節目の年となった。
 今回の白書では、平成十四年のこのような状況にかんがみ、第T章の特集章において、世界の森林を取り上げている。
 なお、「わかりやすい白書」とする観点から事例、写真や図表を用いているほか、今回から、冒頭に特徴的な出来事等を紹介するトピックスが新たに設けられ、「地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策」の策定やバイオマス・ニッポン総合戦略の推進など六項目を紹介している。
 年次報告のうち森林及び林業の動向の概要は次のとおりである。

T 世界の森林の動向と我が国の森林整備の方向

一 森林の減少・劣化とその影響

 日本人の日常生活に使われている製材用材の七割、パルプ・チップ用材の九割、合板用材のほとんどは海外の森林で生産されたものであり、生産国は、世界百十三か国もの国々に及んでいる。また、森林は大気や水の循環に大きな役割を果たしており、これにより生物が生きていくことができる温暖湿潤な地球環境がつくられている。

(一) 世界的に進行する森林の減少・劣化
 このように、私たちの生活は、世界の森林に依存している。しかし、世界の森林は、平成十二年までの十年間で、我が国の国土面積の二・五倍に当たる九千四百万ヘクタール減少している(第1図参照)。
 その大部分は、アフリカと南米の熱帯林であり、これらの開発途上地域では、人口の増加や食料不足を背景とした過度の焼畑や放牧、薪炭材の過剰な採取、商業用木材の過剰又は違法な伐採等が複合的に作用し、森林が減少・劣化している。また、先進地域では、大気汚染による樹木の立ち枯れ、大規模な森林火災、天然林伐採後の生育不十分な更新地等の発生により、劣化が進行している地域もみられる。

(二) 増加傾向にある木材消費
 一人当たりの木材消費量は、経済の発展度合いに応じて増加している。その結果、世界の木材消費量は、人口の増加とも相まって、長期的には増加傾向で推移している。特に、開発途上地域の木材消費量や輸入量の伸びは顕著であり(第2図参照)、平成十二年までの三十五年間で、アフリカの消費量は倍増し、中国では経済発展により木材輸入量が十六倍に急増した。
 世界的には、人口は引き続き増加傾向にあること、開発途上地域での経済発展が予想されることから、FAOの見通しによると、今後の世界の木材消費量は、平成二十二年には現在より一五%増加する。

(三) 森林の減少・劣化の影響
 このような中で進行する森林の減少・劣化は、世界で水不足の状態におかれる人口の割合が平成三十七年に三分の二となるとの国連の予測を一層深刻化させるおそれがある。
 また、化石燃料の消費による二酸化炭素濃度の増加、世界の陸地の四分の一に達している砂漠化に拍車をかける要因となる。
 利便性や効率性を優先し、森林の持続的利用への配慮を怠った木材貿易は、過剰な伐採や違法な伐採を誘発し、森林の減少・劣化に拍車をかけるおそれがある。
 このため、我が国は、WTOの非農産品市場アクセス交渉の中で、林産物については、地球規模の環境問題の解決への貢献、再生産可能な有限天然資源である森林の持続的利用の観点から、市場アクセスの検討に当たっての特別の配慮等を求めている。

二 世界の「持続可能な森林経営」の推進

(一) 「持続可能な森林経営」の推進の重要性
 限りある地球環境の中で、人類が将来とも生存していくためには、世界全体での資源循環型社会の構築が不可欠であり、森林についても、その保全と利用を両立する「持続可能な森林経営」の推進に国際社会が一体となって取り組む必要がある。開発途上地域でも、薪炭材等森林からの様々な恩恵を持続的に受けられるよう、森林に関係するすべての人々が自らの手で森林づくりを進めるとともに、再生産可能な木材資源を有効に利用していくことが、地球環境の面からも重要である。

(二) 地球サミットからヨハネスブルグ・サミットへ
 地球サミットから十年目の平成十四年八月に開催されたヨハネスブルグ・サミットで持続可能な開発を進めるための「実施計画」が採択され、この中で、「持続可能な森林経営」を推進する重要性が改めて確認された。また、アジア地域の「持続可能な森林経営」を推進するため、我が国とインドネシアの提唱によって、違法伐採対策等の活動を行う「アジア森林パートナーシップ」が発足した。
 「持続可能な森林経営」の推進を支援する認証・ラベリングの取組が進展しており、このような取組は、国際問題となっている違法伐採の防止にも有効であると考えられる。「世界森林白書2001」によると、認証された森林は約九千万ヘクタールに達すると推測されている。我が国でも、関係者を含めた国民の関心は高く、森林の状況に応じた認証制度の確立に向けた準備が進められている。

(三) 森林のもつ機能の発揮に向けた世界の動向
 地球温暖化防止への対応は、平成四年に採択された「気候変動に関する国際連合枠組条約」以降、締約国会議において議論、検討されてきた。平成九年三月の「第三回締約国会議(COP3)」(地球温暖化防止京都会議)で採択された「京都議定書」では、温室効果ガスの排出量を、先進国全体で平成二年の水準に比べ少なくとも五%削減することが取り決められたが、いまだ京都議定書の発効には至っておらず、早期の発効が望まれる。
 また、平成十五年三月に開催された第三回世界水フォーラムでは、水問題の解決における「持続可能な森林経営」の重要性が取り上げられた。

三 我が国の国際貢献と国内での適切な森林整備の推進

(一) 世界の「持続可能な森林経営」に向けた我が国の国際協力
 「持続可能な森林経営」に向けた世界の動向を踏まえ、我が国は先進国として、開発途上地域における森林の多面的機能が持続的に発揮されるよう、国際協力を推進していく必要がある。特に熱帯林の保全や復旧のための植林協力をはじめ、住民が自発的に森林の保全、造成に取り組む社会林業の確立等の支援を重点的に実施していく必要がある。

(二) 我が国の森林整備の現状
 国内においても、森林を確実に利用し、森林のもつ多面的機能を持続的に発揮させていくことが、「持続可能な森林経営」を推進する上での課題であるが、長引く木材価格の低下等から林業生産活動は停滞しており、資源的に充実してきた森林は十分に利用されない状況にある。この結果、管理水準の低下により森林のもつ多面的機能の発揮にも支障をきたすおそれがある。
 世界の森林は、過剰な利用によって減少・劣化しているが、我が国の森林は資源として利用されないことによって整備されず、世界の森林とは逆の形で劣化するおそれがある。

(三) 減少を続ける国内の森林からの木材生産
 我が国の林業の停滞は、戦後の木材需給構造の変化に大きく影響を受けている。木材需要の増大に対し、供給は国内生産量を輸入が補完する形で行われた。その後価格とロット面で有利な外材の割合が次第に増加し、用材自給率は平成十三年には一八・四%まで低下した。

(四) 我が国の適切な森林整備に向けて
 世界有数の木材輸入国である我が国は、世界の「持続可能な森林経営」を推進する観点から、国内の森林を資源として十分に利用していくことが国際社会の一員としての責務である。これは資源循環型社会を構築していく上でも避けて通れない課題である。
 また、近年増加している、上下流の地方公共団体等が連携した水源地等の森林整備の取組や、森林ボランティアを含む広範な国民による森林の整備・保全活動等の取組を通じて、森林の役割、森林の整備や保全の必要性及び木材利用の重要性に関して幅広い国民の理解を得つつ、社会全体で森林の整備と保全を支え、森林を将来の世代に引き継いでいくことが重要である。

U 森林の整備、保全と山村の活性化

一 地球温暖化防止、生物多様性の保全に向けて

 地球温暖化防止に向け二酸化炭素等の排出削減が課題であり、森林はその吸収源として重要な役割を発揮している。平成九年の地球温暖化防止京都会議において、我が国は平成二十年から二十四年までの温室効果ガス排出量を平成二年の水準に比べ六%削減することを約束した。このうち森林による吸収量の上限は三・九%とされており、算入できるものは、「森林経営」が行われている森林や新たに造成された森林による吸収量である。
 森林・林業基本計画に定められた森林整備の目標が達成できれば、三・九%の確保は可能であるが、現状程度の水準で森林整備が推移した場合、三・九%を大幅に下回るおそれがある。このため、平成十四年十二月、平成二十四年までの各般の取組を盛り込んだ「地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策」が策定され(第1表参照)、今後、着実に実施していくこととされている。
 平成十二年の温室効果ガスの排出量は、平成二年比で約八%増加しており、六%達成には、一四%の削減が必要となることから、森林による吸収量の確保の重要性はますます高まっている。
 生物多様性の保全に向けては、平成十四年三月、生物多様性国家戦略が見直されたことろであり、原生的な自然や希少動植物だけでなく、身近な自然の保全、針葉樹と広葉樹の混交林化、間伐等の適切な森林整備を推進することの重要性が盛り込まれている。
 地球温暖化防止や生物多様性保全のために重要な役割を果たす森林について、関係府省が必要な連携を強化していくことが重要である。

二 多面的機能の発揮に向けた森林の整備、保全の推進

(一) 適切な森林整備の推進
 平成十四年度から、森林施業計画の策定に当たっては、約三十ヘクタールの団地的なまとまりを確保すること、森林所有者以外の林業事業体でも策定できることとなり、適切な森林整備を進める上での制度的な条件整備が行われた。
 また、平成十二年度から五年間に民有林において百五十万ヘクタールの間伐を行うことを目標とした「緊急間伐五カ年対策」を推進しており、平成十三年度の実施面積は前年に引き続き三十万ヘクタールとなった。
 さらに、森林のもつ多面的機能を高度に発揮させる必要のある森林を中心に、育成複層林施業、長伐期施業、広葉樹の導入等を推進し、多様な森林を造成する必要がある。
 このほかにも、林内路網の適切な整備や、優良種苗の確保、技術開発、スギ等の花粉症対策の推進を進める必要がある。

(二) 森林の保全
 保安林は平成十三年度末で、我が国の森林の四割に当たる九百五万ヘクタール(延べ九百六十九万ヘクタール)に達しており(第3図参照)、平成十四年には、第五期保安林整備計画(平成六年度〜平成十五年度)を一斉変更し、水源かん養、保健、魚つき保安林を主体に指定していくこととした。
 安全で安心できる暮らしを実現するため、治山事業を計画的に推進するとともに、トキの野生復帰に向けた生息環境としての松林を保全するため、的確な松食い虫対策を推進している。また、シカ、カモシカ、イノシシ等の野生鳥獣による被害を防止するため、防護柵の設置による防除の実施、生息環境となる広葉樹林の造成などの対策を総合的に推進することが必要である。

(三) 公的な関与による森林整備
 民有林は、森林所有者等が林業生産活動を通じて森林整備を行うことを基本とするが、公益的機能の発揮に対する要請が高く、かつ森林所有者の自助努力では適切な森林整備が期待されない森林については、治山事業や緑資源公団、森林整備法人等による森林整備を進める必要がある。

(四) 多様な主体による森林づくりの推進
 上下流の自治体が協力して進める森林整備や森林ボランティア活動等の国民参加の森林づくりが活発化している。
 そのような中、森の恵みを活かし、持続的に森林資源を循環させていくことを訴える「もりのくに・にっぽん運動」が国民運動として展開されている。

(五) 森林環境教育の推進
 平成十四年度から実施されている完全学校週五日制や総合的な学習の時間の導入に対応し、森林環境教育を積極的に推進しており、文部科学省との連携による「森の子くらぶ」活動には、平成十三年度、延べ二十四万人が参加した。
 また、全国三千三百校余りに設定されている学校林も森林環境教育のフィールドとして期待される。

(六) 里山林の保全、整備
 身近な存在である里山林は、森林環境教育やレクリエーションの場のほか、近年では、健康づくりや生涯学習の場として積極的に利用していくことが期待される。

三 山村に期待される役割

(一) 山村の現状
 山村の人口は我が国の人口の四%にすぎず、若年層を中心に減少し、高齢化が進行しており、また、多くの山村は総戸数二十九戸以下の集落が全集落の半数以上を占めているなど、集落の機能の低下につながるおそれがある。

(二) 山村に対する新たな期待の高まり
 山村に対する国民の期待は心身をリフレッシュする場として利用することや森林の二酸化炭素の吸収源・貯蔵庫としての機能を発揮させることなど多様化・高度化している。
 また、山村は都市にはない様々な可能性をもっており、山村と都市が連携し、共生していく意義には大きいものがある。

四 山村の活性化に向けた取組

(一) 地域資源を活用した多様な産業の育成
 山村においては、農林業の振興を図り、生産された木材や農産物、しいたけ等の特用林産物に付加価値をつけて販売する取組が必要である。

(二) 多様な人々が活動できる地域づくり
 山村の若者やUIターン者の定住の場所となるよう、医療、文教関係施設、上下水道、集落排水施設等の整備の推進が必要である。

(三) 資源循環型の社会システムの構築
 再生可能な資源である木質バイオマス等を利用した資源循環型の社会を目指した地域づくりが各地で展開されており、山村は森林をはじめとする豊富な地域資源を有効に、かつ、多段階に利用する素地を持っていることから、持続可能な社会システムのモデルとなる可能性がある。

V 林業の持続的かつ健全な発展と課題

一 林業経営をめぐる動向と課題

(一) 厳しい経営環境にある林業経営体
 立木価格の低下は、森林所有者の林業経営に対する意欲を減退させる大きな要因である。平成十四年のスギ立木価格は昭和五十五年の二四%で、昭和三十一年の水準にある。林業経営体等が意欲を持ち、持続的に林業生産活動が維持されるような条件を整えることが課題となっている。
 林産物を販売した林家の割合は、昭和三十五年の四九%から平成十二年には七%となった。木材価格の低迷などによる伐り控えから、民有林人工林の伐採実施率は九齢級では昭和六十二年の六%から平成十二年には一%へと低下した。
 このような状況において、林家一戸当たりの林業所得は平均で二十一万三千円と、前年度に比べ一七・九%減少した。
 不在村者の森林施業の実施割合は、在村者より低水準にあり、平成十二年に私有林面積の二五%まで増加した不在村者保有森林面積と、林業後継者の不在は森林施業の実施割合を低下させることが懸念されている。

(二) 林業事業体の現状
 民有林の新植の九割、間伐の七割を担う森林組合は、森林施業の委託先として、重要な役割を果たしている。育林を主とする林業事業体において、受託する金額が大きくなるほど森林組合の割合が大きくなっている(第4図参照)。また、林業従事日数が二百十日以上の従業者の七割は、森林組合が雇用しており、雇用の受け皿としても重要な位置付けにある。
 しかし、多くの森林組合の経営基盤は概して脆弱であることから、全国森林組合連合会は「森林組合改革プラン」を策定し、経営基盤の強化に向けた合併等を推進することとした。
 森林組合を除く民間事業体は素材(丸太)生産量の六割を生産しており、林業の担い手として重要な役割を果たしている。規模の大きい事業体ほど高性能林業機械の利用率が高く、労働生産性も向上している。

(三) 林業の生産性の向上と施業や経営の集約化
 近年、集材は、高性能林業機械等を主体とした方法が徐々に増えてきており(第5図参照)、生産性の向上に向けて、急峻な地形に対応する小型で低価格の高性能林業機械の開発、改良を促進するとともに、簡易な構造を有する林道や作業道等を効果的に組み合わせた路網の整備を進める必要がある。
 しかし、我が国は小規模分散的な森林所有構造であり、経営意欲が減退している状況下では、効率的かつ安定的な林業経営を担う林業事業体や林業経営体に長期の施業受委託等により施業や経営を集約化する必要がある。
 そのためには所有権の移転を推進すると同時に、施業や経営の長期受委託を推進していくことが重要である。
 委託者と受託者の信頼関係の下で、将来にわたって長期の受委託を継続していくためには、それにより受託者が経営基盤を強化するだけではなく、委託者への利益の還元も重要である。

(四) 採算性を確保するための経営の工夫
 森林所有者の利益の確保と、再造林が可能となる立木価格の設定にも資する取組として、木材供給者や工務店等が森林所有者も含めて連携する、「顔の見える木材での家づくり」が各地で展開されている。

(五) 特用林産物の生産などに係る構造改革
 林家(二十〜五十ヘクタールの山村を保有)の林業所得に占める特用林産物等の割合は、約三割で推移しており、間断的な木材販売収入を補っている。
 特用林産物の生産額の約四分の一を占める生しいたけについては、国際競争力を備えた生産・流通体制を確立するため、生産・流通・消費にわたる総合的な対策を実施し、構造改革を積極的に推進している。

二 林業労働をめぐる動向

 適切な森林整備、林業の持続的な発展を図っていくためには、これを支える担い手としての林業就業者の育成、確保が不可欠である。
 林業の新規就業者数は、増加傾向にあるものの、林業就業者数は減少と高齢化が進行している。新規就業者の九割は就業先の経営基盤の強化や林道等の整備など何らかの支援を希望している。
 このような中、緊急地域雇用創出特別交付金事業(緊急雇用対策)による森林作業員が円滑に従事できるよう、就業相談会、就業前研修を実施しており、平成十三、十四年で一万五千人が森林作業に従事した。
 さらに、緊急地域雇用創出特別交付金事業で森林作業に従事した者を対象に、OJT研修等を行う「緑の雇用担い手育成対策事業」を創設し、本格就業と地域への定着を促進できるよう取り組んでいる。

W 木材の供給の確保と利用の推進

一 木材利用の推進

(一) 森林のもつ多面的機能の発揮と木材利用
 森林のもつ多面的機能を発揮させていくには、森林から生産される木材の利用を推進することを通じて森林を適切に整備していくことが必要である。
 木材は再生産可能であり、製造時に必要なエネルギーが少なく、また、繰り返し利用でき、固定した炭素を長く貯蔵できるなど、環境への負荷の小さい資材である。同時に、防菌、防カビ作用など健康面でも優れた特徴を持っている。木材利用の推進にはこのような木材の有用性を積極的にPRすることが重要である。

(二) 住宅建築の状況と木材利用の推進
 新設住宅着工戸数は五十二万戸に減少しているものの、戸建て住宅の木造率は八二%であり、国民の木造志向は依然高くなっている。
 大工・工務店、森林所有者等が連携し、地域材を利用した「顔の見える木材での家づくり」が各地で展開されており、地域材の利用を促進する上でこのような取組は有効である。

(三) 公共部門等における木材利用の推進
 近年、学校施設、郵便局等公共施設において木造化が進展しているとともに、鉄骨造が主流の事務所や店舗においても構造用大断面集成材や接合金具を用いることにより、木造化が進展している。
 木材利用の推進に当たっては、マンション等の内装材、リフォーム資材等の新たな需要に対応できるよう、パネル化、ユニット化した木材製品の供給のほか、近年、進展している公共施設や公共土木工事における地域材の利用を更に推進するため、性能や施工性に優れた土木用木質資材の開発等木材を利用しやすい環境整備を進めることが重要である。

(四) 消費者に理解されやすい価格の表示
 一本当たりの価格等、消費者にとってわかりやすい木材価格を表示することは、木材に対する正しい理解を得る上で重要である。

(五) 多様な用途への木材の有効利用の推進
 平成十四年十二月に閣議決定された「バイオマス・ニッポン総合戦略」に基づき、木質バイオマスの活用を推進している。
 製材工場などの残材は、九割以上がパーティクルボードの原料、家畜の敷料、乾燥施設の熱源などに有効利用されている。しかし製材工場等において焼却、棄却処分される残材のうち四分の三を占める丸太の樹皮や林地残材のほとんどは利用されていないことからこれらの利用が課題である。

二 木材の需給動向

(一) 大幅に落ち込んだ木材需要
 平成十三年の木材需要量は、九千百万立方メートルで前年に比べ八百万立方メートル減少した。これは、我が国の経済が低成長であった昭和五十八年以来の低水準であり、木造住宅の割合の高い一戸建て住宅の落ち込みが主な要因である。

(二) 木材供給をめぐる状況
 平成十三年の木材供給量は国産材、外材ともに減少したが、自給率は〇・二ポイント上昇し、一八・四%となった。
 木材輸入では、徹底した人工乾燥や量産により価格競争力の高い欧州材が増加傾向にあり、米材は大幅に減少している。
 平成十一年以降、国産材の製材用材は、製材用材全体の供給量が増加しても生産量が減少する状況にある。

(三) 木材価格の動向
 木材価格については、平成十四年六月以降、構造用集成材の価格が上昇しており、これは欧州材の対米向け輸出の増加、ユーロ高等が要因である。
 一方、スギ製材品の年平均価格は、人工乾燥材の供給体制が不十分なことなどにより需要量が減少していることから下落傾向にある(第6図参照)。

三 木材の供給体制の確立に向けた課題と取組

(一) 地域別の森林資源の動向
 規模拡大によるコストの低減やロットの確保には、地域内で一定の利用可能な資源量が存在することが前提であるが、スギ人工林資源は九州をはじめ中部・東海、近畿、四国で充実しつつあり、安定供給ができる地域が西日本から形成されつつある。

(二) 原木の流通
 スギ原木価格が十年前に比べて三七%下落したことなどから、原木市場の経営は悪化している。このため市場の整理、合理化、原木直送化等により流通を改善する必要がある。

(三) 製材品の生産
 我が国の乾燥材の割合は、一三%といまだ低位な水準にあり、建築後に変形しない品質の確かな木材の供給が求められる中で、高温乾燥による乾燥日数の短縮、工場残材の熱源利用等により乾燥コストを縮減し、乾燥材生産を拡大していく必要がある。

(四) 製材品の流通
 プレカット化の進展もあり製材品の流通は再編されつつあり、需要者側との連携を模索する動きがみられる。今後、木材加工や流通においても更なるIT化を進め、流通コストの低減、需要者ニーズへの迅速な対応を図っていくことが必要である。

(五) 集成材の生産
 また、住宅の品質・性能の確保に対する需要者のニーズの高まりを背景に、住宅に使用される木材において、強度や寸法等品質・性能の明確な集成材の需要が増大している。
 国産材も曲がり材等の単価の安い原木を活用したコスト縮減、スギとベイマツとの組み合わせによる強度の確保等、新たな集成材生産の取組が進められている。

(六) 合板等の生産
 最近では、間伐材等の細い原木でも処理できる加工機械の開発や単価の安い原木の活用により、集成材や合板の生産への国産材の利用が進展しており、合板では、平成十三年に国産針葉樹材が前年に比べ六割増加した(第7図参照)。

(七) シックハウス問題に対応した木材製品の供給
 シックハウス問題に対応した木材製品の供給も拡大しており、近年、学校施設の内装においても、地域材を利用する取組が進展している。

(八) 関係者が一体となった総合的な木材供給の推進
 品質・性能の明確な製品を生産する地域も生まれており、資源も充実しつつあることから、各都道府県が、地域の実情を踏まえながら作成した「都道府県林業・木材産業構造改革プログラム」に基づき、関係者が一体となって、地域材の利用の促進と木材産業の体制整備に向けた取組を推進することが重要である。

X 国有林野事業における改革の推進

一 国有林野事業の役割

(一) 国有林野に期待される役割
 国有林野は、国土の約二割、森林面積の約三割を占め、その多くが奥地脊梁山脈や水源地域に分布しており、森林のもつ公益的機能の発揮に大きな役割を果たしている。
 国有林野に期待される役割に応えるため、国民の生命や財産を脅かす土砂の崩壊防止や洪水の緩和、貴重な自然環境の保全、民有林からは供給が難しい林産物の供給に加え、地球温暖化防止のための森林吸収源としての整備、森林環境教育に必要なフィールドの提供を推進している。

(二) 改革の枠組み
 このため、森林・林業基本法や国有林野事業改革関連二法に掲げる理念に基づき、公益的機能の維持増進を旨とし、管理経営を推進している。

二 「国民の森林」に向けた取組

(一) 公益的機能の維持増進を旨とする管理経営
 「水土保全林」「森林と人との共生林」「資源の循環利用林」に三区分し、区分に応じた森林づくりを推進しており、その方法や効果を国民が目で見て理解できるよう、全国で百二十二か所、約二千ヘクタールの「森林施業モデル林」を設定している。
 優れた自然環境を維持・保存するため、新たな保護林の設定や、保護林同士を連結し、野生動植物の移動経路を確保するための「緑の回廊」を民有林と連携しつつ設定している。平成十三年度には、新たに三か所、九万ヘクタールを設定した。
 また、伝統的木造建築物の修復に必要な大径長尺材の供給を目指した国民参加型の「古事の森」づくりを推進している。

(二) 国民に開かれた管理経営
 学校等が国有林野内で体験活動等を実施するため、平成十四年度から森林管理署等と協定を締結する「遊々の森」を創設した(第2表参照)。

(三) 森林の流域管理システムの下での管理経営
 平成十三年度から「国有林野事業流域管理推進アクションプログラム」を作成し、国有林野での先導的・積極的な取組を進めている。
 アクションプログラムでは、地域の要望を流域ごとに把握し、取り組むべき課題を絞り込んだ上で、関係行政機関や民間企業、NPO等と連携して取り組むこととしている。

三 改革の推進

(一) 簡素で効率的な管理経営体制の確立
 事業実施の民間委託を推進しており、伐採、人工造林、下刈の委託割合は前年度よりさらに拡大している。

(二) 財政の健全化
 財政の健全化に向けては、職員数の適正化等により人件費を縮減するとともに、新規借入金は前年度よりも百七十四億円減少した。




目次へ戻る


法人企業動向調査


―平成十五年三月実施調査結果―


内 閣 府


◇調査要領

 本調査は、資本金一億円以上の法人企業について、設備投資の実績及び計画並びに企業経営者の景気と経営に対する判断及び見通しを調査したものである。
 ・調査対象:国内に本社又は主たる事務所をもって企業活動を営む資本金一億円以上の法人企業(約三万七千社)から、内閣府が定める方法により選定した四千五百六十一社を対象とした。
 ・調査時点:平成十五年三月十日
 ・調査方法:調査は、調査客体法人の自計申告により行った。
 なお、資本金が百億円以上の法人企業については原則として全数調査、百億円未満の法人企業は、層化任意抽出法により選定した法人について調査した。
 ・有効回答率:調査対象法人四千五百六十一社のうち、有効回答法人四千百十二社、有効回答率九〇・二%

〔利用上の注意〕

(1) 今期三か月の判断とは平成十四年十〜十二月期と比較した場合の十五年一〜三月期の判断、来期三か月の見通しとは十五年一〜三月期と比較した場合の十五年四〜六月期の見通し、再来期三か月の見通しとは十五年四〜六月期と比較した場合の十五年七〜九月期の見通しである。ただし、在庫水準と生産設備については、それぞれの調査期間における判断と見通しである。
(2) 第1図第18表の平成十五年一〜三月以前は今期の判断、十五年四〜六月は来期の見通し、十五年七〜九月は再来期の見通しである。
(3) 判断指標(BSI)とは「上昇(強くなる・増加・過大)の割合−下降(弱くなる・減少・不足)の割合」である。
(4) 設備投資の公表数値は、母集団推計値である。また、算出基準は工事進捗ベース(建設仮勘定を含む有形固定資産の減価償却前増加額)である。
(5) 季節調整法は、センサス局法U、X―11で算出した。
(6) 集計上の産業分類は、日本標準産業分類を基準とする会社ベースでの主業分類に基づいて行った。
(7) 昭和六十三年三月調査より、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社、JR関係七社及び電源開発(株)を調査対象に加えるとともに、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社については六十年四〜六月期、JR関係七社については六十二年四〜六月期に遡及して集計に加えた。
(8) 平成元年六月調査より消費税を除くベースで調査した。
(9) 平成十年六月調査より以下のとおり産業分類の見直しを行い、昭和五十九年六月調査に遡及して集計を行った。
 @ 「造船」を「その他の輸送用機械」に合併。
 A 「印刷・出版」を「その他の製造業」に合併。
 B 「卸売・小売業,飲食店」の内訳を廃止し、「卸売業」と「小売業,飲食店」に分割。
 C 「運輸・通信業」の内訳を廃止し、「運輸業」と「通信業」に分割。
 D 「電力業」と「ガス業」を合併し、「電力・ガス業」とする。
 E 「サービス業」を「サービス業(除くリース業)」と「リース業」に分割。
 F 製造業を素材型、加工型に分類。

一 景気見通し(全産業:季節調整値)

1 国内景気第1表参照

 企業経営者による国内景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十四年十〜十二月期「マイナス二四」の後、十五年一〜三月期は「マイナス二七」と「下降」超幅が拡大した。
 先行きについては、四〜六月期に「マイナス三一」となった後、七〜九月期には「マイナス八」と「下降」超幅は縮小する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十四年十〜十二月期「マイナス一九」の後、十五年一〜三月期は「マイナス二一」と「下降」超幅が拡大した。先行きについては、四〜六月期に「マイナス二三」となった後、七〜九月期には「マイナス五」と「下降」超幅は縮小する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十四年十〜十二月期「マイナス二六」の後、十五年一〜三月期は「マイナス三〇」と「下降」超幅が拡大した。先行きについては、四〜六月期に「マイナス三六」となった後、七〜九月期には「マイナス一一」と「下降」超幅は縮小する見通しとなっている。

2 業界景気第2表参照

 所属業界の景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十四年十〜十二月期「マイナス二四」の後、十五年一〜三月期も「マイナス二四」と同水準で推移した。
 先行きについては、四〜六月期に「マイナス二六」となった後、七〜九月期には「マイナス一〇」と「下降」超幅は縮小する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十四年十〜十二月期「マイナス一九」の後、十五年一〜三月期は「マイナス一七」と「下降」超幅が縮小した。先行きについては、四〜六月期に「マイナス二〇」となった後、七〜九月期には「マイナス四」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十四年十〜十二月期「マイナス二六」の後、十五年一〜三月期は「マイナス二九」と「下降」超幅が拡大した。先行きについては、四〜六月期に「マイナス三〇」となった後、七〜九月期には「マイナス一三」と「下降」超幅は縮小する見通しとなっている。

二 需要・価格関連見通し(季節調整値)

1 内外需要(製造業)(第3表参照

 企業経営者による国内需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、平成十四年十〜十二月期「マイナス一八」の後、十五年一〜三月期は「マイナス一七」と「弱くなる」超幅が縮小した。
 先行きについては、四〜六月期も「マイナス一七」と同水準で推移した後、七〜九月期には「マイナス六」と「弱くなる」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、海外需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、十四年十〜十二月期「マイナス四」の後、十五年一〜三月期は「マイナス一一」と「弱くなる」超幅が拡大した。
 先行きについても、四〜六月期に「マイナス一四」と引き続き「弱くなる」超幅が拡大した後、七〜九月期には「三」と「強くなる」超に転じる見通しとなっている。

2 在庫水準(製造業)(第4表参照

 原材料在庫水準に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成十四年十二月末「一二」の後、十五年三月末は「一〇」と「過大」超幅が縮小した。
 先行きについても、六月末「八」、九月末「六」と引き続き「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、完成品在庫水準に関する判断指標をみると、十四年十二月末「一九」の後、十五年三月末は「一八」と「過大」超幅が縮小した。
 先行きについても、六月末「一四」、九月末「一〇」と引き続き「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。

3 価格(製造業、農林漁業、鉱業)(第5表参照

 原材料価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十四年十〜十二月期「一〇」の後、十五年一〜三月期は「一五」と「上昇」超幅が拡大した。
 先行きについては、四〜六月期「一二」、七〜九月期「四」と「上昇」超幅は縮小する見通しとなっている。
 他方、製品価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、十四年十〜十二月期「マイナス一五」の後、十五年一〜三月期は「マイナス一四」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについては、四〜六月期も「マイナス一四」と同水準で推移した後、七〜九月期は「マイナス一一」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。

三 経営見通し(季節調整値)

1 売上高(全産業:金融・保険業、不動産業を除く)(第6表参照

 売上高に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成十四年十〜十二月期「マイナス一三」の後、十五年一〜三月期は「マイナス一一」と「減少」超幅が縮小した。
 先行きについても、四〜六月期「マイナス九」、七〜九月期「マイナス七」と引き続き「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十四年十〜十二月期「マイナス一〇」の後、十五年一〜三月期は「マイナス八」と「減少」超幅が縮小した。先行きについても、四〜六月期「マイナス六」、七〜九月期「マイナス四」と引き続き「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十四年十〜十二月期「マイナス一三」の後、十五年一〜三月期も「マイナス一三」と同水準で推移した。先行きについては、四〜六月期に「マイナス一四」となった後、七〜九月期には「マイナス九」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。

2 経常利益(全産業:金融・保険業、不動産業を除く)(第7表参照

 経常利益に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成十四年十〜十二月期「マイナス一三」の後、十五年一〜三月期は「マイナス一二」と「減少」超幅が縮小した。
 先行きについても、四〜六月期「マイナス一〇」、七〜九月期「マイナス四」と引き続き「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十四年十〜十二月期「マイナス一一」の後、十五年一〜三月期は「マイナス一二」と「減少」超幅が拡大した。先行きについては、四〜六月期「マイナス八」、七〜九月期「マイナス三」と「減少」超幅は縮小する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十四年十〜十二月期「マイナス一二」の後、十五年一〜三月期は「マイナス一三」と「減少」超幅が拡大した。先行きについては、四〜六月期「マイナス一一」、七〜九月期「マイナス八」と「減少」超幅は縮小する見通しとなっている。

四 生産設備見通し(製造業:季節調整値)(第8表参照

 生産設備に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成十四年十〜十二月期「二五」の後、十五年一〜三月期は「二三」と「過大」超幅が縮小した。
 先行きについては、四〜六月期に「二四」となった後、七〜九月期には「二二」と「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。

五 設備投資の動向(全産業:原数値)

1 半期別動向第9表参照

 設備投資の動向を半期別に前年同期比でみると、平成十四年度四〜九月期(実績)一三・〇%減の後、十〜三月期(実績見込み)は二・五%減と引き続き減少した。
 先行き十五年度四〜九月期(計画)は、四・二%減、十〜三月期(計画)は一二・四%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十四年度四〜九月期(実績)二〇・五%減の後、十〜三月期(実績見込み)は一二・〇%減と引き続き減少した。先行き十五年度四〜九月期(計画)は〇・三%減、十〜三月期(計画)は四・六%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 他方、非製造業では、十四年度四〜九月期(実績)九・一%減の後、十〜三月期(実績見込み)は一・七%増と増加に転じた。先行き十五年度四〜九月期(計画)は六・〇%減と減少に転じ、十〜三月期(計画)は一五・四%減と引き続き減少する見通しとなっている。

2 資本金規模別動向第10表参照

 資本金規模別に前年同期比でみると、資本金十億円以上の大企業では、平成十四年度四〜九月期(実績)一二・四%減の後、十〜三月期(実績見込み)は四・八%増と増加に転じた。先行き十五年度四〜九月期(計画)は九・三%減と減少に転じ、十〜三月期(計画)は一七・〇%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 他方、資本金一億〜十億円の中堅企業では、十四年度四〜九月期(実績)一四・二%減の後、十〜三月期(実績見込み)は一四・八%減と引き続き減少した。先行き十五年度四〜九月期(計画)は五・五%増と増加に転じ、十〜三月期(計画)は二・九%減と減少に転じる見通しとなっている。

3 年度の動向第11表参照

 設備投資の動向を前年度比でみると、平成十三年度(実績)四・九%減の後、十四年度(実績見込み)は七・五%減と引き続き減少した。先行き十五年度(当初計画)は八・七%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十三年度(実績)九・九%減の後、十四年度(実績見込み)は一六・三%減と引き続き減少した。先行き十五年度(当初計画)は二・五%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十三年度(実績)二・三%減の後、十四年度(実績見込み)は三・三%減と引き続き減少した。先行き十五年度(当初計画)は一一・三%減と引き続き減少する見通しとなっている。

4 四半期別動向(季節調整値)

 四半期の動向を前期比でみると、平成十四年十〜十二月期(実績)の三・四%増の後、十五年一〜三月期(実績見込み)は一・一%減と減少に転じた。
 産業別にみると、製造業は、十四年十〜十二月期(実績)三・九%減の後、十五年一〜三月期(実績見込み)は二・四%減と引き続き減少した。
 他方、非製造業は、十四年十〜十二月期(実績)六・六%増の後、十五年一〜三月期(実績見込み)は三・四%減と減少に転じた。

5 四半期別動向(原数値)

 四半期別の動向を前年同期比でみると、平成十四年十〜十二月期(実績)三・一%減の後、十五年一〜三月期(実績見込み)は一・九%減と引き続き減少した。
 産業別にみると、製造業は、十四年十〜十二月期(実績)一七・五%減の後、十五年一〜三月期(実績見込み)は六・七%減と引き続き減少した。
 他方、非製造業は、十四年十〜十二月期(実績)三・五%増の後、十五年一〜三月期(実績見込み)は〇・一%増と引き続き増加した。





六月の気象

◇南北で大きく異なる梅雨期の天候
 梅雨は、季節が春から夏に移る間に現れる雨の多い時期のことで、北海道地方を除く日本の各地域で見られる季節現象です。平年ですと、沖縄や奄美地方で五月上旬、九州から東北地方で六月上旬から中旬に梅雨の時期に入ります。
 この春から夏に移る季節の日本は、日本付近を覆う大陸の高気圧に代わって、日本の南海上から暖かい太平洋高気圧が強まってきます。その際、二つの高気圧の境目にある梅雨前線が北上していくために、雨の降りやすい地域も南から順番に北上していきます。
 ここでは、地域ごとに雨の降りやすい時期を見てみましょう。四月中旬から下旬には、日本付近を低気圧と高気圧が交互に通過して天気が周期的に変化し、平均して三〜四日に一回雨が降ります。一ミリ以上の降水のある日は、北海道、関東甲信、沖縄の各地方とも十日のうち三日程度です。五月になると、梅雨前線が南西諸
島付近に現れて、沖縄地方で梅雨入りとなり、降水日数が増えてきます。
 六月になると、本州付近に梅雨前線が停滞するようになります。関東甲信地方では、六月中旬から降水日数が増え、六月下旬には降水日数は約五日になります。こうした状況は九州地方から東北地方でおおよそ同じで、七月中旬までは曇りや雨の日が多い状態が続きます。
 一方、梅雨前線が本州付近に北上すると、沖縄地方は太平洋の高気圧に覆われるようになり、晴れる日が多くなります。このため、沖縄地方では六月下旬には降水日数が二日程度まで減少します。
 また、梅雨のない北海道地方の降水日数はあまり変化しませんが、本州付近に梅雨前線が停滞するころには、北海道地方は前線の北の高気圧に覆われることが多くなるため、降水日数はやや減少します。
 このように、梅雨期は梅雨前線を挟んで南北に性質の異なる高気圧があるために、日本の南の地方と北の地方で天候が大きく異なります。




目次へ戻る




住宅火災から命を守る

燃えない工夫してますか?

〜備えて安心。住宅用防災機器&防災品〜

 新聞やテレビで伝えられる火災事故のニュース。外から聞こえる消防車のサイレン。でも「わが家は大丈夫!」と思っていませんか。
 全国では約一万七千件の住宅火災が発生し、かけがえのない命や大切な財産が奪われています。
 ちょっとした気のゆるみから発生する住宅火災の防止には、日ごろの心がけとともに、住宅用防災機器や防炎品などを活用することがとても効果的です。

◆高齢者が危ない〜住宅火災の実態〜

 平成十三年中、一万七千二百八十件の住宅火災が発生し、九百二十三人(一日約二・六人)の尊い命が奪われました。
 住宅火災による死者の約七割は逃げ遅れによるものです。年齢別では六十五歳以上の高齢者が約半数を占め、年齢が高くなるにつれて死者発生率も増加しています。高齢者は身体機能の低下により、とっさの判断や行動が遅れ、調理中に衣服へ着火したり、逃げ遅れたりすることが多くなるためです。

◆あなたの家は大丈夫?〜住宅火災の危険ポイント〜

 住宅火災は、たばこの火の不始末やこんろでの出火など、不注意から発生しやすくなっています。まずは、台所やリビング、寝室や屋外などに危険なポイントがないか再点検しましょう。火の周りを整理整とんすることは、「火を出さない」ための第一歩です。
●危険ポイント要チェック!
 ▼台所
 急な来客や電話でこんろのそばを離れるとき、必ず火を消していますか。弱火にするだけでは危険です。エプロンなど、衣服への着火にもご注意を。
 ▼リビング
 たばこやストーブの近くに燃えやすいものはありませんか。また古い電化製品やコンセントもホコリがたまると出火原因になります。
 ▼寝室
 寝室で起きた火災の原因の多くは布団への着火。寝たばこは絶対にしないこと。また、ストーブなどの火気を布団に近づけないようにしましょう。
 ▼屋外
 燃えやすいものを外に放置していませんか。家の周りを整理整とんし、放火されない環境づくりを心がけましょう。

◆住宅を火災から守る四つの柱〜防炎グッズを上手に活用〜

 就寝中に台所やリビングの火災の発生に気づかず、逃げ遅れるといった事例も多くみられます。日ごろどんなに防火を心がけていても、人間の注意力には限界があります。安全装置付調理器具などの住宅用防災機器や防炎品を有効に活用することは、「火を出さない」「火災を早く知る」「火を早く消す」「火を広げない」という、住宅を火災から守るための重要な四つの柱を支える、より効果的な住宅防火対策になります。
●火災から大切な命・住宅を守るために
(1) 火を出さない
 火災を発生させないためには、安全装置がついた調理器具や暖房器具を使用することが有効です。安全装置付調理器具には、異常に加熱すると自動的に火が消えるもの、使用中に火が消えると自動的にガスを止めるものなどがあります。
(2) 火災を早く知る
 万一の場合、逃げ遅れないように住宅用火災警報器を設置しましょう。煙や熱を自動的にキャッチし、いち早く警報で知らせる装置や、戸外にベルなどを取り付けて近隣に知らせるものもあります。就寝中でも音で火災の発生を知ることができます。
(3) 火を早く消す
 すばやく火を消すために住宅用消火器や住宅用スプリンクラー設備を設置すると効果的です。住宅用消火器には、大きく分けて粉末消火器と強化液消火器があります。住宅用スプリンクラー設備は火の勢いを抑えるのに役立ちます。
(4) 火を広げない
 火災の拡大を防止するために、寝具や衣類などには防炎品を使用しましょう。火が触れても燃えにくい防炎品には、パジャマ、シーツ、エプロン、カーテン、布製ブラインド、じゅうたん、枕や布団などがあります。

◆もしも火災が発生したら……

●周りの人に知らせよう
 火災を見つけたとき、まず必要なのは「通報・初期消火・避難」。火災によって優先順位は違いますが、どのような場合でも大きな声や音を出し、とにかく周りの人に知らせることが第一です。
●あわてずに落ち着いて「一一九」
 一一九番通報は、落ち着いて正しく情報を伝えることが重要です。あわてないためにも、電話のそばに一一九番通報メモを張っておくようにしましょう。
●すばやく消火
 一般的には、炎が天井付近に達するまでは消火器で消すことができます。消火器はいつでも使えるところに置き、防災訓練などに参加して使い方を身につけておきましょう。
●無理をしないですぐ避難
 初期消火ができなかったら、無理をせず、煙から身を守るために部屋のドアを閉め、できるだけ低い姿勢で避難します。ぬれタオルなどを鼻と口にあてると呼吸を楽にすることができます。また、一度避難したら絶対に家の中に戻らないようにしましょう。

*     *     *

【関連ホームページ】
■消防庁(http://www.fdma.go.jp/)
■住宅防火対策推進協議会(http://www.jubo.go.jp/)
  (Web版広報通信六月号)







    <6月25日号の主な予定>

 ▽水産白書のあらまし……………農林水産省 

 ▽消費者物価指数(四月)………総 務 省 

 ▽労働力調査(三月)……………総 務 省 




目次へ戻る