官報資料版 平成15年6月25日




                  ▽平成十四年度水産白書のあらまし………農林水産省

                  ▽消費者物価指数の動向(四月)…………総 務 省

                  ▽労働力調査(三月等結果)………………総 務 省











平成14年度


水産白書のあらまし


―水産の動向に関する年次報告―


農林水産省


 「平成十四年度水産の動向に関する年次報告」及び「平成十五年度において講じようとする水産施策」(いわゆる水産白書)は、平成十五年四月二十二日、閣議決定の上、国会に提出、公表された。
 十三年度の白書から、冒頭に「トピックス−水産この一年−」を設け、第一章で特集テーマを設定するなど、一層国民に親しまれる白書とするべく、従前の白書から見直しを行ったところであり、十四年度白書も、十三年度に準じた構成として、全体的に簡潔で平易な記述に心がけ、わかりやすい内容となるよう努めた。
 冒頭のトピックスでは、一年間に生じた水産をめぐる大きな動きとして七項目を取り上げ、紹介している。
 第一章では、十三年に発生したBSE(牛海綿状脳症)問題等を契機として食品の安全性に対する国民的関心が高まっていること、水産物が日本人の食生活の中で重要な地位を占めていることから、特集として「水産物の安全・安心を求めて」を取り上げ、水産物の安全性確保の基本的枠組み、生産現場等における安全性確保や消費者の不安解消に向けた取組などについてまとめた。
 第一章では、我が国の水産物需給、我が国漁業をめぐる国際動向、漁業経営等、十三年度以降の我が国水産の動向について記述した。

トピックス−水産この1年−

一 資源回復計画の実施
 十四年度に作成・実施された「瀬戸内海サワラ資源」、「伊勢湾・三河湾の小型機船底びき網漁業対象資源」など四つの計画について、TAE(漁獲努力可能量)制度の対象とし、効果を担保していくこととなっている(第1図参照)。

二 漁業協同組合(漁協)の合併
 十四年度、過去最高の百三十二(十五年三月現在)漁協が合併に参加し、県全域を対象とするなどの漁協が新設されたが、漁協系統組織が五年前に立てた約七百漁協にする計画とはかけ離れた現状である(第2図参照)。
 近年の漁獲量の減少等による漁協の事業収入の悪化などを背景に、急速に合併の機運が高まっている。こうした状況を踏まえて、十五年三月末が期限となっていた漁業協同組合合併促進法も五年間延長された。

三 WTO新ラウンド交渉
 WTO新ラウンド交渉の決定を受け、我が国は、水産資源の持続的利用の考え方に基づき、WTO交渉に対処していくこととしている。

四 鯨類を含む海洋生物資源の持続的利用に向けて
 十四年五月、IWC下関会議が開催された。IWCでは、商業捕鯨モラトリアムにみられるように、科学的事実以外の要素が資源管理に持ち込まれる傾向がみられる。
 我が国は、科学的根拠に基づく海洋生物資源の持続的利用を進める観点から、国際的な資源管理等に主体的に取り組み、国際的な理解が得られるよう努めていくこととしている。

五 水産生物の人工種苗生産技術の進展
 十四年六月、近畿大学水産研究所が、世界で初めて、人間の飼育管理の下で、クロマグロのライフサイクルを完成させることに成功した(第3図参照)。

六 指定漁業の許可の一斉更新
 十四年八月、指定漁業の許認可が一斉に行われた。一斉更新に当たっては、漁業の実状に即して、対象となる資源や他の漁業に与える影響が大きく、国が統一的に管理を行うことが適当な漁業種類を追加する等の見直しを行った。

七 食品安全基本法制定 食品安全委員会設立へ
 十五年二月、国会に「食品安全基本法案」が提出された。「食品安全基本法案」には、国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下に、食品の安全性の確保のために必要な措置が講じられること等が定められている。

T 特集 水産物の安全・安心を求めて

一 水産物の安全・安心の確保の重要性

 水産物は、国民が摂取する全たんぱく質の二割(動物性たんぱく質の四割)を占める重要な食料であり、近年では、水産物の優れた栄養特性も改めて見直されている。
 日本人の食生活に占める水産物の地位は諸外国と比べても大きく、我が国の食の安全・安心を図る上で、水産物の安全・安心の確保は非常に重要である。

二 水産物の安全性確保の基本的枠組みと取組の強化

(一) 安全性確保のための基本的枠組み
(食品衛生法を中心とする安全性確保)
 食品の安全性確保は食品衛生法に基づく食品などの規格基準等の基本的枠組みを中心に行われている。こうした枠組みの中で、安全な食品の供給に第一義的責任を有する生産者・事業者は、法を遵守し、安全性確保に努める必要があり、水産業も例外ではない。

(食中毒発生状況と最近の傾向)
 食中毒事件は長期的には減少傾向にあり、魚介類及びその加工品に起因するものでは、主な原因である腸炎ビブリオによる食中毒の減少に伴い全体として減少している。しかし、近年、腸管出血性大腸菌O157等による大規模な事件が発生している。
 魚介類等については、十年、十一年と腸炎ビブリオによる食中毒が再び増加した。十三年六月に、切り身・むき身の生食用生鮮魚介類、ゆでがに等について、食品衛生法に基づく規格基準が制定され、また、カキの生食等による小型球形ウィルス(SRSV)による食中毒が増加し、発生源を特定しやすくするため、十一年に食品衛生法が改正され、容器包装された生食用カキの採取海域の表示が義務付けられた。

(化学物質の長期的継続的な摂取による影響)
 総水銀及びメチル水銀やPCBについては、魚介類等について暫定規制値が定められ、規制値を超える魚介類の流通・販売等が禁止されており、一部水域での蓄積状況の監視や採捕自主規制を実施している。
 ダイオキシン類については、WHO専門家会合の基本的な考え方に基づき、耐容一日摂取量(四pg−TEQ/s体重/日)が採用されている。日本人は食事からダイオキシン類の九〇%以上を摂取しており、うち約八割が魚介類を介して摂取と推定されている。
 魚介類中のダイオキシン類の実態調査(中間報告十四年九月)によると、魚介類の種類や生息環境などにより、蓄積程度に違いがみられ、個体差が大きく、いろいろな産地からの多様な魚種を食べ、偏った食べ方を避ければ、耐容一日摂取量を十分下回るものとなっている。食品からの一日摂取量は、昭和五十二年から平成十年までに三分の一程度に減少している(第1表参照)。
 十一年七月に「ダイオキシン類対策特別措置法」が制定され、焼却炉等の基準が強化されて排出量の削減が進展しているが、引き続き削減の努力が必要である。

(輸入品の安全性確保)
 販売又は業務用に輸入される食品等は、食品衛生法に基づく輸入届出が義務付けられており、輸入国、品目、製造者等をもとに審査を行い、必要に応じて検査を実施されている。水産品(水産食品及び水産加工品)は、輸入届出件数の約二割(十三年、重量では約一割)を占めている(第4図参照)。
 我が国の水産物消費は、国産品と輸入品が拮抗し、国産品とともに輸入品の安全性確保が重要である。
 輸入冷凍ホウレンソウなどから基準値を超える残留農薬が度々検出されたこと等を契機に、十四年七月に食品衛生法が改正され、厚生労働大臣が食品衛生上の危害の発生を防止するため、特に必要があると認めるときは、特定の国、地域で製造された特定の食品について、検査を要せずに輸入を禁止できることとなった。
 食品等の輸入届出件数は、最近の十年間でほぼ二倍に増加しており、輸入品の安全性を確保するため、検査の充実・強化を図ることが重要である。

(二) 安全性確保のための取組
(水産物の生産状況)
 生産段階は安全・安心な食品供給の出発点であり、以後の各段階での取組の前提となるものである。
 養殖水産物の生産量は、我が国の水産物生産量の約二割であるが、比率は年々増加しており、魚種によっては七〜八割を占めるようになっている。養殖生産物は人為的管理によって安全性が左右される度合が大きいと考えられる。
 残りの約八割は天然生物の漁獲によるものであり、安全な水産物の供給には、海や川などの水域環境が良好に保たれることが不可欠となっている。

(養殖水産物の安全性確保)
 水産物の養殖は、同一の水域を多数の漁業者が利用して実施しており、一つの生簀に多数の魚が収容されている。このため、いったん病気が発生すると被害が拡大しやすく、漁場環境は水域全体の養殖に影響を与えることから、魚病対策や漁場環境の保全は、養殖業にとって重要な課題となっている。

【水産用医薬品】
 こうした魚病の対策のため、魚類養殖等で水産用医薬品が使用されている。
 生産量の多い重要な魚種(ブリ、マダイ、ウナギなど十一魚種)の残留に注意が必要な医薬品については、使用基準を定めており、違反した場合には使用者が処罰されることになっている。しかし、近年、養殖魚種の多様化が進展していることから、今後、すべての魚種・医薬品に包括的に使用基準を設定することとしている。
 漁場環境の改善と適正飼育を前提とする、病気の予防に重点をおいた魚病対策への移行を促進していくことが必要となっている。近年、病気を予防するためのワクチンが開発され、使用されるようになっている。また、十一年に制定された「持続的養殖生産確保法」に基づき、全国各地で漁場改善計画を策定し、漁協等が漁場改善に取り組んでいる(第2表参照)。

【養殖水産動物用飼料】
 養殖生産物の安全性を確保する上で、養殖水産動物用飼料の安全性は重要である。
 「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(飼料安全法)」に基づき、主な養殖対象魚種(七魚種)の飼料及び飼料添加物の製造や使用方法の基準等が定められており、抗生物質の含有は禁止されている。また、十三年十月には、肉骨粉等の含有が禁止された。
 養殖魚種の多様化に対応し、今後、すべての魚種に包括的に規格・基準等を設定することとしている。

【漁網防汚剤】
 漁網防汚剤は、漁網に付着生物が着生し、生簀内の海水流動が低下するのを防ぐために使用されている。防汚剤の有効成分として使用されていた各種の有機スズ化合物は、平成元年から二年にかけて、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」に基づく製造・輸入等の規制対象となり、漁網防汚剤には使用されなくなっている。

【貝毒】
 麻(ま)ひ性貝毒と下痢(げり)性貝毒それぞれに規制値が定められており、食品衛生法により規制値を超える貝の採取、流通・販売等は禁止されている。
 生産海域では、都道府県及び漁業者等が、原因となる植物プランクトンの発生状況や貝毒の蓄積状況の監視を行い、規制値を超えるおそれがある場合には、漁獲や出荷の自主規制を実施している。

(三) リスク分析の考え方に基づく新たな食品安全行政
(食品安全委員会の設置等)
 十四年六月、食品安全行政に関する関係閣僚会議において、今後の食品安全行政のあり方について、食品安全委員会(仮称)の設置や食品安全基本法(仮称)の制定等により、見直しを図ることが決定された。
 その後の具体的検討を経て、十五年通常国会に提出された「食品安全基本法案」には、国民の健康の保護が最も重要であるという基本認識が規定されている。また、食品安全行政にリスク分析の考え方を導入し、リスク評価を一元的に行う「食品安全委員会」の設置が規定されている。

(リスク管理部門の産業振興部門からの分離・強化)
 リスク管理を担当する行政機関についても、リスク管理部門の産業振興部門からの分離・強化、リスク管理体制の見直しを実施する。
 農林水産省においても、産業振興部門から分離されたリスク管理を行う独立した組織の設置などの再編を行うこととしており、水産関係分野では、水産用医薬品や養殖水産動物用飼料に関する業務が、リスク管理を担う新たな部局に移行する予定である。

三 消費者の不安解消に向けた積極的な情報提供

(一) 水産物の消費の変化と水産物に関する情報
 ライフスタイルの変化に伴う食の外部化の進行、購入先の変化(魚屋→スーパー)、輸入品の増加によって、消費者は、食材や調理過程に関する情報を得にくくなっており、表示に頼らざるを得なくなってきている。

(二) 表示の信頼性確保
(食品表示の実効性確保と消費者の参加)
 食品表示の実効性確保のため、十四年七月にJAS法を改正し、不正表示に対する罰則強化等を実施した。
 また、監視体制強化の取組として、「食品表示一一〇番」を設置し、消費者の協力を得て食品表示の適正化を図るため、「食品表示ウォッチャー」により監視を強化している。

(水産物表示の改善と充実)
 生鮮品については、十二年七月から、「名称」、「原産地」のほか、「解凍」や「養殖」の表示が義務付けられたが、魚介類の表示名称や標記の仕方等について引き続き改善を実施していくこととしており、生産された水域名の表示の仕方について見直しを検討している。
 また、水産加工食品については、十四年二月以降、塩蔵サバなどの六品目について、「原料原産地」表示が義務付けられているが、今後、対象品目を増やしていく予定である。
 さらに、魚介類は、大きさにより名称が変わったり、地域によって名称が異なる等の特殊事情があることから、名称のガイドラインを策定した(第3表参照)。

U 平成十三年度以降の我が国水産の動向

一 我が国の水産物の需給

(一) 国内漁業生産
(漁業・養殖業生産量)
 平成十三年の我が国の漁業生産量は、前年に比べて四%減少し六百十三万トンとなり、漁業生産額は、五%減少して一兆七千八百三億円となった(第4表第5表参照)。

(周辺水域の水産資源の状況)
 我が国周辺水域の主な水産資源について行われた十四年の資源評価結果によると、資源評価が行われている魚種・系群の約半数の資源水準が低位にある。
 十四年度から、「瀬戸内海のサワラ資源」等の資源回復計画を実施しており、今後、このような取組を拡大していくことが必要である。

(水域環境の状況)
 漁業や養殖業にとって重要な沿岸域等の水域環境には、工業排水や生活排水等の流入、藻場・干潟の減少、埋立や海砂利の採取等が影響している。
 藻場の消滅要因についてのこれまでの調査では、人為的要因として、埋立などによる直接消滅のほか、構築物等の影響による流れの停滞や水中の砂の分布変化等の間接的影響が示唆されている。一方、自然的要因として、透明度の低下及び水温の上昇が挙げられ、この他に、ウニ、貝類、魚類による食害も指摘されている。また、衛星画像の解析により広域的な藻場の分布を把握するための技術開発調査を実施している。
 水質について、有機汚濁の代表的指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)の過去十年間の推移をみると、河川や湖沼では改善がみられるのに対して、海域ではほぼ横ばいである。
 赤潮の発生件数は減少しているが、一件当たりの漁業被害は甚大化している。青潮の発生、座礁船から流出する油等による水産資源への悪影響が問題となっているほか、内分泌かくらん物質の影響も懸念される。
 内水面においては、ブラックバス等の外来魚が人為的に移植されて生息域を拡大し漁業や生態系に悪影響を及ぼしている。問題解決のためには、漁場環境や生態系保全に対する国民的理解が不可欠である。

(二) 水産物貿易
(水産物輸入)
 十三年の水産物輸入は、前年に比べて八%増加し三百八十二万四千トンとなった。金額は、ほぼ前年並みの一兆七千二百三十七億円となった。増加分の約半分は魚粉の輸入増によるものである。
 国際的にみると、我が国は、世界の水産物貿易において、輸入額の二六%、輸入量の一三%を占め(いずれも十二年)、金額・数量ともに世界最大の水産物輸入国である。
 また、我が国の水産物の輸入先としては、中国が、十年以降、数量・金額ともに最大であり、十三年では、金額の大きい順に、ウナギ調製品、エビ及びカニ調整品が輸入されており、加工品の輸入が増加している。中国は、近年、水産物輸出国としての地位を高め、十二年には金額ベースで世界第二位の輸出国となっている(第6表参照)。

(水産物輸出)
 十三年の我が国の水産物輸出は、数量ベースでは前年に比べて九万一千トン(四一%)増加し三十一万三千トン、金額ベースでは三十二億円(二%)減少し一千三百五十二億円となった。

(三) 水産物の加工・流通
ア 水産加工
(水産加工品の生産量)
 水産加工品の生産量は、十三年には、塩蔵・塩干サバが増加し、塩蔵・乾製品等の生産量が増加したものの、売れ行き不振や原料供給の不安定等により総じて減少傾向にある。

(水産加工経営体の経営状況)
 十年前と比べ、経営上の課題として、「人件費の上昇」等の労務面の課題を挙げた経営体は減少した。一方、「売れ行き不振」等の販売面の課題を挙げた経営体が増加した。「原料魚介類の減少」を挙げた経営体は約半数と依然多い。また、一般的衛生・品質管理の徹底、HACCP方式による衛生管理の導入促進も課題となっている。

(産地市場)
 十三年の主要産地漁港の上場水揚量は、前年より四%減少し、平均価格は前年並みの一キロ当たり二百四円となった。
 各都道府県において、産地市場の機能の強化や経営合理化を図るための市場統合に向けた取組を実施している。

(四) 水産物消費と自給率
 十三年の水産物の国内消費への仕向量は、前年に比べ四%増加し一千百二十六万トンとなった。このうち食用仕向量は、前年より三%増加して八百八十万トンで、純食料ベースでは、前年より四%増の年間一人当たり三八・七キロとなった。
 食用魚介類の十三年の自給率は前年と同じ五三%、海藻類は一ポイント低下し六二%となった(第5図参照)。

二 我が国漁業をめぐる国際動向

(一) 二国間の漁業関係
(韓国・中国との関係)
 我が国と韓国との間では、相互に相手国水域において操業した。十四年漁期は、韓国サンマ漁船が北方四島周辺水域での操業を行わないことが確認されたため、三陸沖での韓国サンマ漁船の漁獲枠を設定した。
 我が国と中国との間では、相互に相手国水域において操業した。
 違反操業の増大と悪質化が目立っており、我が国周辺水域の取締りの充実・強化が課題である。
 十四年二月、日本・韓国・中国海洋水産資源シンポジウムを開催し、日本海、黄海・東シナ海における水産資源に関する研究について意見交換を実施した。

(ロシアとの関係)
 「日ソ地先沖合漁業協定」に基づき、相手国二百海里水域内に入漁した。
 また、「日ソ漁業協力協定」に基づく北洋サケ・マス漁業、「北方四島周辺操業枠組み協定」に基づき我が国漁船の操業が行われた。

(二) 多国間の漁業関係
ア カツオ・マグロ類をめぐる動き
(便宜置籍漁船等IUU漁船による操業の廃絶に向けた取組)
 大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)、みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)等の地域漁業管理機関において、IUU漁船廃絶に向け精力的に取組が行われている。
 ICCATやインド洋まぐろ委員会(IOTC)では、加盟各国の正規許可を得た漁船をリスト化し、このリストに掲載されていない漁船の漁獲物を国際取引から排除するための枠組構築の取組を実施している。

イ 国際捕鯨委員会(IWC)
 二〇〇二(十四)年五月、山口県下関市でIWC年次会議が開催された。我が国沿岸小型捕鯨地域への暫定捕獲枠要求は否決された。また、米国・ロシア先住民による二〇〇三年以降のホッキョククジラ捕獲枠提案についても否決された。
 十月のIWC特別会合では、米国・ロシアに対するホッキョククジラの捕獲枠設定提案は、米国が資源評価の結果による捕獲枠の再考の義務化に同意し最終的に合意された。また、アイスランドは商業捕鯨モラトリアムへの留保付きで加盟が認められた。我が国の沿岸小型捕鯨地域の窮状を解決するための決議案は否決された。

ウ 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)締約国会議
 二〇〇二(十四)年十一月のCITESの締約国会議において、我が国が資源の豊富なミンククジラ及びニタリクジラについて、ダウンリスティング提案を行ったが否決された。
 ジンベイザメ、ウバザメ、タツノオトシゴなどが附属書Uに掲載され、我が国は条約の規定に基づき、これに留保を付した。

エ 国際連合食糧農業機関(FAO)
 二〇〇二(十四)年四月のFAO水産委員会・養殖小委員会においては、養殖一般について、環境の保全を含めた持続性の確保及び養殖産品に関し消費者の健康の確保の必要性が確認された。
 また、マグロの蓄養について、統計情報の改善が必要と報告書に記載された。

オ 持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)
 二〇〇二(十四)年九月、持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)が開催された。水産部門については、世界の食料安全保障の観点からの水産物の重要性が確認された。また、国際的に取組の必要な分野として、海洋生物資源の持続的利用及び保全が挙げられ、魚類にとどまらず、鯨類を含む広く海洋生物資源が持続的利用の対象であることが確認された。

三 漁業経営

(一) 漁業経営体の動向
 十三年の海面漁業の漁業経営体数は、前年に比べ三%減少し十四万二千となった。そのうち、沿岸漁業経営体が十三万四千、中小漁業経営体が七千、大規模漁業経営体が百二十四である。

(二) 漁業経営の状況
ア 沿岸漁家
(沿岸漁船漁家の収支状況)
 十三年は、漁業収入が前年に比べ一〇%増加、漁業支出が前年に比べ五%増加し、漁業所得は前年より一六%増加して二百二十六万円となった。ただし経営内容は、資源状態の違い等から海域ごとに大きく異なる(北海道区の漁業所得三百四十二万円、東シナ海区の漁業所得百六十三万円)。

(海面養殖業漁家の収支状況)
 十三年度の漁業所得は、各養殖業の加重平均では前年度に比べマイナス一六%と大幅に減少し六百八十七万円となった。タイ類養殖、ホタテガイ養殖、ノリ養殖、ワカメ養殖は前年より所得が増加した一方、ブリ類養殖が価格の低下により漁業収入が大幅に減少し赤字となった。真珠(真珠母貝)養殖、カキ養殖で前年より所得が減少した。

イ 中小漁業の経営
(中小漁業の収益状況)
 十三年度は、中小漁業全体では漁業収入が前年度に比べ八%減少したが、漁業経営費も一一%減少し二十一万円の黒字となった。ただし漁業種類により経営内容は大きく異なる。

(三) 漁業労働者の状況
ア 漁業就業者
 十三年の漁業就業者数は、前年に比べ三%減少し二十五万二千人となった。このうち、男子漁業就業者に占める六十五歳以上の割合は、二ポイント増加して三四%となり、高齢化が一層進行した(第6図参照)。

イ 漁船労働
 十三年の沖合・遠洋漁業雇用労働者は、前年に比べ五%減少し三万三千人となった。
 日本人漁船労働者の不足に対応して、「マルシップ方式」等による外国人漁船部員の乗船が認められている。

(四) 漁業協同組合
 漁協の事業は、漁業生産量の減少、産地魚価の伸び悩み等の漁業環境の悪化を反映し、横ばい又は縮小傾向にあり、漁協の経営は悪化した。
 合併による体質強化、信用事業譲渡の取組が行われている。

四 漁村の現状と活性化への取組

(一) 漁村の生活環境の改善と活性化への取組
ア 漁村の生活環境の改善
 漁村は、辺地、離島、半島等条件不利地域に立地するものも多く、都市と比較して生活環境の整備が立ち後れている。十二年度から、国、地方公共団体、関係団体の連携により漁村生活環境改善推進運動(漁村リフレッシュ運動)を実施している。

イ 漁村の活性化への取組
 漁村においては、近年、新鮮な魚介類、豊かな自然環境、優れた景観等の地域資源を活用した地域活性化を図るためのさまざまな取組が行われている。

(二) 都市と漁村の共生・対流
 漁村には、都市住民に対する健全なレクリエーションの場の提供、子供たちの漁業体験学習の場、癒(いや)し・健康の場の提供等の役割も期待されている。
 政府は、十四年十月、都市と農山漁村の双方向で人々が行き交うライフスタイルを実現すべく、「都市と農山漁村の共生・対流プロジェクトチーム(PT)」を設置し、双方の交流によって、生産者の高齢化や担い手不足に悩む農山漁村を活性化させるとともに、都市住民のゆとりある生活を実現させるための国民運動を推進することとしている。

五 水産業・漁村の有する多面的機能

(水産業・漁村と国民生活)
 水産業・漁村について、国民がどのような認識を持っているかを把握するため十三年に実施したアンケート調査によると、多くの人々が大きな関心や理解を示す結果となっており、所得と雇用の機会の場の提供等の分野について評価を進めていくこととしている(第7表参照)。


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消費者物価指数の動向


―東京都区部(四月中旬速報値)・全国(三月)―


総 務 省


◇四月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成十二年を一〇〇として九七・八となり、前月比は〇・四%の上昇。前年同月比は〇・一%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降三年八か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は九七・五となり、前月比は〇・二%の上昇。前年同月比は〇・四%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降三年七か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

 総合指数の前月比が〇・四%の上昇となった内訳を寄与度でみると、被服及び履物、保健医療などの上昇が要因となっている。
[主な内訳]
●被服及び履物
 シャツ・セーター・下着類(八・八%上昇)…婦人Tシャツ(半袖)など
●保健医療
 保健医療サービス(七・九%上昇)…診療代など

三 前年同月との比較

 総合指数の前年同月比が〇・一%の下落となった内訳を寄与度でみると、住居、教養娯楽、家具・家事用品などの下落が要因となっている。
 なお、食料、保健医療などは上昇した。
[主な内訳]
●住居
 家賃(〇・八%下落)…民営家賃(木造中住宅)など
●教養娯楽
 教養娯楽用耐久財(一三・八%下落)…パソコン(ノート型)など
●家具・家事用品
 家庭用耐久財(九・三%下落)…ルームエアコンなど
●食料
 生鮮野菜(一九・八%上昇)…キャベツなど
●保健医療
 保健医療サービス(一一・一%上昇)…診療代など

◇三月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成十二年を一〇〇として九八・〇となり、前月比は〇・三%の上昇。前年同月比は〇・一%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降三年七か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は九七・八となり、前月比は〇・三%の上昇。前年同月比は〇・六%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降三年六か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

 総合指数の前月比が〇・三%の上昇となった内訳を寄与度でみると、被服及び履物、交通・通信、教養娯楽などの上昇が要因となっている。
[主な内訳]
●被服及び履物
 衣料(六・七%上昇)…女児スカート(夏物)など
●交通・通信
 自動車等関係費(〇・六%上昇)…ガソリン(レギュラー)など
●教養娯楽
 教養娯楽サービス(一・一%上昇)…外国パック旅行など

三 前年同月との比較

 総合指数の前年同月比が〇・一%の下落となった内訳を寄与度でみると、光熱・水道、教養娯楽、家具・家事用品、被服及び履物などの下落が要因となっている。
 なお、食料などは上昇した。
[主な内訳]
●光熱・水道
 電気代(五・一%下落)
●教養娯楽
 教養娯楽用耐久財(一二・九%下落)…パソコン(ノート型)など
●家具・家事用品
 家庭用耐久財(七・七%下落)…電気冷蔵庫など
●被服及び履物
 衣料(二・五%下落)…男児ズボンなど
●食料
 生鮮野菜(二五・一%上昇)…だいこんなど




















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三月の雇用・失業の動向


―労働力調査平成十五年三月等結果の概要―


総 務 省


◇就業状態別の人口

 平成十五年三月末の就業状態別人口をみると、就業者は六千二百六十六万人、完全失業者は三百八十四万人、非労働力人口は四千二百九十二万人と、前年同月に比べそれぞれ三十一万人(〇・五%)減、五万人(一・三%)増、六十二万人(一・五%)増となっている。

◇就業者

(1) 就業者

 就業者数は六千二百六十六万人と、前年同月に比べ三十一万人(〇・五%)の減少となり、二十四か月連続の減少となっている。男女別にみると、男性は三千六百九十四万人、女性は二千五百七十二万人で、前年同月と比べると、男性は四十万人(一・一%)減、女性は八万人(〇・三%)増となっている。

(2) 従業上の地位

 就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千二百九十六万人、自営業主・家族従業者は九百四十三万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は四万人(〇・一%)増、自営業主・家族従業者は四十三万人減となり、雇用者は十九か月ぶりの増加となっている。
 雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千二百六十一万人と、一万人(〇・〇%)減、十九か月連続の減少
 ・常 雇…四千五百五十七万人と、十四万人(〇・三%)減、二十か月連続の減少
 ・臨時雇…五百八十九万人と、三万人(〇・五%)増、十五か月連続の増加
 ・日 雇…百十五万人と、十万人(九・五%)増、二か月ぶりの増加

(3) 産 業

 主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…二百三十八万人と、四万人(一・七%)減少
○建設業…六百五万人と、二十三万人(三・七%)減少
○製造業…一千百七十三万人と、六十五万人(五・三%)減少
○運輸業…三百五十四万人と、三十五万人(一一・〇%)増加
○卸売・小売業…一千百二十三万人と、四万人(〇・四%)増加
○飲食店,宿泊業…三百五十五万人と、四万人(一・一%)減少
○医療,福祉…四百九十九万人と、三十二万人(六・九%)増加
○サービス業…八百五十八万人と、九万人(一・一%)増加
 また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…四百九十万人と、十八万人(三・五%)減少
○製造業…一千八十三万人と、五十六万人(四・九%)減少
○運輸業…三百三十七万人と、三十七万人(一二・三%)増加
○卸売・小売業…九百六十四万人と、十五万人(一・六%)増加
○飲食店,宿泊業…二百六十三万人と、二万人(〇・八%)減少
○医療,福祉…四百六十五万人と、三十三万人(七・六%)増加
○サービス業…六百九十一万人と、六万人(〇・九%)増加
 (注) 日本標準産業分類の改訂に伴い、平成十五年一月結果の公表以降、新産業分類で表章している。

(4) 従業者規模

 企業の従業者規模別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千七百二十九万人と、十万人(〇・六%)減、四か月連続の減少
○三十〜四百九十九人規模…一千七百七十一万人と、六万人(〇・三%)減、三か月連続の減少
○五百人以上規模…一千百九十一万人と、十三万人(一・一%)増、三か月連続の増加

(5) 就業時間

 三月末一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜三十五時間未満…一千四百四十万人と、十五万人(一・〇%)減少
 ・うち一〜三十時間未満…一千四十八万人と、六万人(〇・六%)増加
○三十五時間以上…四千六百六十四万人と、三十四万人(〇・七%)減少
 ・うち四十九時間以上…一千九百二十九万人と、五十四万人(二・九%)増加
 また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四三・一時間で、前年同月と比べ〇・一時間の増加となっている。

◇完全失業者

(1) 完全失業者数

 完全失業者数は三百八十四万人と、前年同月に比べ五万人(一・三%)増となり、二か月ぶりの増加となっている。男女別にみると、男性は二百四十万人、女性は百四十三万人で、前年同月に比べ、男性は十二万人(五・三%)の増加、女性は九万人(五・九%)の減少となっている。
 また、求職理由別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○定年等…三十七万人と、二万人増加
○勤め先都合…百十四万人と、四万人減少
○自己都合…百二十六万人と、十二万人増加
○学卒未就職…三十一万人と、二万人増加
○新たに収入が必要…四十三万人と、二万人増加
○その他…三十万人と、七万人減少

(2) 完全失業率(季節調整値)

 季節調整値でみた完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は五・四%と前月に比べ〇・二ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は五・七%、女性は四・八%と、前月に比べ男性は〇・二ポイントの上昇、女性は〇・一ポイントの低下となっている。

(3) 完全失業率(原数値)

 完全失業率は五・八%と、前年同月に比べ〇・一ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は六・一%、女性は五・三%と、男性は〇・三ポイントの上昇、女性は〇・三ポイントの低下となっている。

(4) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 [男]
○十五〜二十四歳…五十一万人(四万人増)、一四・六%(一・六ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…六十二万人(六万人増)、六・八%(〇・七ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…三十二万人(四万人増)、四・〇%(〇・四ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…三十三万人(五万人減)、三・七%(〇・四ポイント低下)
○五十五〜六十四歳…五十二万人(四万人増)、七・五%(〇・三ポイント上昇)
 ・五十五〜五十九歳…二十二万人(一万人増)、五・三%(〇・一ポイント低下)
 ・六十〜六十四歳…三十万人(三万人増)、一〇・八%(一・二ポイント上昇)
○六十五歳以上…十万人(同数)、三・三%(〇・一ポイント上昇)
 [女]
○十五〜二十四歳…三十七万人(同数)、一一・六%(〇・四ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…三十八万人(九万人減)、六・一%(一・五ポイント低下)
○三十五〜四十四歳…二十六万人(同数)、四・九%(〇・二ポイント低下)
○四十五〜五十四歳…二十三万人(二万人減)、三・六%(〇・一ポイント低下)
○五十五〜六十四歳…十七万人(二万人増)、三・九%(〇・二ポイント上昇)
 ・五十五〜五十九歳…十万人(二万人増)、三・七%(〇・五ポイント上昇)
 ・六十〜六十四歳…七万人(同数)、四・三%(同率)
○六十五歳以上…二万人(同数)、一・一%(同率)

(5) 世帯主との続き柄別完全失業者数

 世帯主の続き柄別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…百六万人と、五万人増加
○世帯主の配偶者…四十八万人と、一万人減少
○その他の家族…百八十万人と、八万人増加
○単身世帯…四十九万人と、七万人減少

(6) 地域別完全失業率

 平成十五年一〜三月平均の地域別完全失業率及び対前年同期増減は、次のとおりとなっている。
北海道…八・一%(〇・九ポイント上昇)
東 北…六・六%(〇・三ポイント上昇)
南関東…五・〇%(〇・三ポイント低下)
北関東・甲信…五・一%(〇・八ポイント上昇)
北 陸…四・五%(同率)
東 海…四・一%(〇・一ポイント上昇)
近 畿…七・〇%(〇・四ポイント上昇)
中 国…四・八%(〇・二ポイント上昇)
四 国…四・四%(〇・九ポイント低下)
九 州…五・八%(〇・六ポイント低下)














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たばこと健康


五月一日からの健康増進法で受動喫煙の防止が図られます

一人ではすまない たばこのリスク


 平成十五年五月一日から新しく施行される健康増進法。この法律の中(二十五条)には、受動喫煙の防止に関する規定が盛り込まれています。この規定では、学校や病院、事務所、飲食店など、さまざまな人が利用する施設の管理者は、これらの施設での受動喫煙の防止に努めるよう定められています。

◆たばこを吸わない人も吸っている?〜受動喫煙とは〜

 「受動喫煙」とは、室内またはこれに準ずる環境で、他人のたばこの煙を吸わされることを言います。この受動喫煙による身体への影響として、次のような症状やリスクが報告されています。
 まず、急性影響としては、体の粘膜が、たばこの煙、特に副流煙にさらされることによって生ずる刺激症状で、せき、喘嗚(ぜんめい)、鼻症状(くしゃみ、鼻閉、鼻汁、かゆみなど)、眼症状(痛み、流涙、かゆみ、瞬目など)、頭痛等の症状や呼吸抑制、心拍増加、血管収縮等の生理反応など。慢性影響としては、肺がん、虚血性心疾患などのリスクの上昇などがあります。
●たばこの煙の成分
 たばこの煙には、喫煙のときに点火部分から立ち上る「副流煙」、喫煙者が直接吸い込む「主流煙」と、これが吐き出された「呼出煙」に分けられます。このたばこの煙には四千種類以上の化学物質が含まれており、それらの成分は、粒子状成分とガス状成分に大別されます。

◆受動喫煙防止のポイント

 受動喫煙防止のためには、その施設内を全面禁煙とする方法と、施設内を喫煙場所と非喫煙場所に分割(分煙)し、喫煙場所から非喫煙場所にたばこの煙が流れ出ないようにする方法があります。
 全面禁煙は、受動喫煙防止対策として極めて有効ですが、施設の規模・構造、利用状況などは、各施設によりさまざまなため、施設の態様や利用者のニーズに応じた受動喫煙防止対策を適切に進める必要があります。その際には、公共性など、その当該施設の社会的な役割も十分に考慮に入れて、「分煙効果判定基準策定検討会報告書」(平成十四年六月)などを参考に、喫煙場所から非喫煙場所にたばこの煙が流れ出ないよう、適切な受動喫煙防止対策をとる必要があります。
 なお、完全禁煙を行っている場所では、そのことを、また、分煙を行っている場所では、禁煙場所と喫煙場所を明確に表示し、周知するとともに、来客者などにその旨を知らせて理解と協力を求めることも受動喫煙防止対策として効果的です。

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◇関連ホームページ
■厚生労働省「たばこと健康に関する情報ページ」
(http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/main.html)
■財団法人 健康・体力づくり事業財団
(http://www.health−net.or.jp/tobacco/front.html)
  (Web版広報通信五月号)



    <7月2日号の主な予定>

 ▽中小企業白書のあらまし…………中小企業庁 

 ▽毎月勤労統計調査(三月)………厚生労働省 




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