官報資料版 平成15年7月2日




                  ▽中小企業白書のあらまし………………………………………………中小企業庁

                  ▽毎月勤労統計調査(三月)……………………………………………厚生労働省

                  ▽月例経済報告(六月)…………………………………………………内 閣 府

                  ▽本付録 平成十五年上半期(1・8〜6・25)の総目次











中小企業白書のあらまし


再生と「企業家社会」への道


中小企業庁


○今回の中小企業白書の特色

 厳しい中小企業の経済環境・金融環境を分析しています。
 数々の試練を乗り越え、我が国経済の発展を支えてきた中小企業の「強み」を確認し、中小企業こそが経済再生の先導役であることを明示しています。
 最新時点の創業動向を把握するとともに、倒産経営者に対する大規模かつ広範な調査により、倒産の実態、倒産者の再起、事業再建のための条件を具体的に考察しています。また、産業集積地区の調査を通じて廃業を希望する者の実態を解明しています。
 大手行が貸出の縮小等を進める中、中小企業金融における地域金融が有している役割を再評価するとともに、金融機関の合併・破綻等近時の金融環境の変化が中小企業に与える影響を明示しています。更に、貸し手の多様化等中小企業の資金調達力の強化の道を探求しています。
 下請企業間の水平連携及び産学連携を成功に導くための多様なあり方を分析しています。また、商店街としての魅力向上のための共同活動事業の成功条件を探求しています。
 七〇年代に「双子の赤字」に悩まされたアメリカも九〇年代以降見事な復活を遂げていることから、我が国にも再生の途は十分に存在します。活力と意欲に溢れた中小企業が多数、活躍する経済−「企業家社会」が日本経済再生につながる旨明示しています。

T 中小企業の「強み」とその活躍

(1) 長期的にみた中小企業の日本経済における地位とその背景としての中小企業の「強み」
 第二次大戦後、我が国経済は、戦後復興に始まり、高度成長期、石油危機を経た安定成長期、バブル期、そしてバブル崩壊後の経済停滞と様々な局面を経てきました。一九六〇年から二〇〇〇年の間に、実質国民総生産は約十二倍、製造業出荷額は約二十倍に拡大し、我が国経済は量的にも質的にも大きく変化しています。しかし、このような経済環境の激変にもかかわらず、中小製造業の付加価値額シェアや従業者数シェアは極めて安定的に推移しており(第1図参照)、四十年間の長期にわたって、中小企業が我が国の経済発展に大きく寄与し続けてきたことがわかります。
 このような中小企業の存立分野は、軽工業分野、金属製品、一般機械器具、精密機械器具等の、供給面では資本集約度が低く、需要面では多品種少量、需要変動の激しい分野にあるといえます。取り組む製品・サービスのライフサイクルでは、従業者規模が小さい企業ほど短く、約六八%の中小企業が、同じ中小企業を競合先として認識している、という特徴があります。このように、中小企業はその特性である柔軟性・機動性を発揮し、多品種少量分野を主な舞台として独自の活動を続けて、大量生産等規模の経済性が発揮できる分野で活躍する大企業との棲み分けを行っているのです。

(2) 中小企業のダイナミズム
 先に述べた、企業規模ごとの「棲み分け」は、中小企業が多品種少量分野に一定規模で留まり続けることを意味するわけではありません。中小企業は新製品開発等を通じて成長を実現しており、しかも大企業に比べ、成長する割合が大きいのです(第2図参照)。実際、中小企業は、その成長過程での新製品開発等を通じて、シュレッダーやカラオケマシン等多くのイノベーションを世の中に提供してきました。
 そして、成長する中小企業には、経営面では@同族企業から非同族企業への脱皮等により外部人材を活用している、A自らの対面する市場にあった水準の技術を洗練化している(第3図参照)等の特徴がみられます。
 このような「強み」を持った中小企業は、イノベーションの創出、雇用の創造等を通じて日本経済再生の担い手となる存在であり、今後ともその活躍が期待されます。

U 創業、退出、再生・再起が容易な経済社会の構築

(1) 我が国の開業の動向と開業率低下の要因
 日本経済再生のための重要な課題の一つに、市場への参入の円滑化、すなわち開業の促進が挙げられます。しかしながら、我が国の開業率は高度成長期を過ぎた一九八〇年代以降、長期的に低下傾向にあり、最新の開業率をみても、依然として低迷しています(第4図参照)。とはいえ、業種によって開業率は大きく異なっており、情報化や人口の高齢化、リサイクル問題への社会的関心の高まりといった経済の流れに対応した分野では、直近時点においても極めて高い開業率を示しています。
 このような開業率低迷の要因の一つとして、開業することと被雇用者でいることとの選択において、開業することが経済的に引き合わない状況にあるということが指摘できます。ただし、創業を希望する者は一九九七年時点でも百二十四万人存在するなど、長期的にも創業希望者数は底堅く推移しており、若年層ほど多くなっています。しかし、創業実現率は若年層ほど低く、特に資金調達、技術・専門知識の不足等が創業実現の制約となっています。これらの制約の解消を図ることが、創業を活性化するためには必要だといえます。

(2) 我が国の廃業の動向
 近年、長引く経済停滞等の中で、廃業率は開業率を上回る水準で推移しており、自営業者数も大きく減少しています。この背景の一つに、廃業を希望する経営者が多数存在する、ということが挙げられます。大田区と東大阪市の製造業者では、自らの代での廃業を考えている経営者が二七・六%にのぼり、このように考える経営者の多くが業績不振をその理由として挙げています(第5図参照)。しかし、廃業を希望したとしても、経営状態の悪化の程度が深刻になった場合、不本意に事業を継続せざるを得ない経営者も少なくありません。こうした不本意な事業継続はかえって傷を深くすることにもつながります。そうした事態を回避するためにも、円滑に市場から退出し、機会をみて再挑戦ができる環境整備が重要です。
 有効な手段の一つとしては、事業を他の企業に譲渡する方法があります。中小企業の経営者は、企業を「自分と一心同体」と考える傾向にあると言われていますが、実際には事業売却・事業譲渡に関心を示す企業は多く存在します。このため、そうした企業に対するマッチング支援の充実は、企業の再生に大きく寄与すると考えられます。

(3) 倒産と再起の実態
 事業継続意思を持ちながら、強制的に市場から退出させられる、すなわち倒産に至る企業も多数存在します。倒産した企業の特徴をみると、経営の危機を感じた際に一時的な資金繰り解決のための対策に走る傾向が強く、同じような危機を感じた際に、事業の収益体質の改善を意図した取組に力を入れた企業がその後も生存し続けていることと、大きな差があります(第6図参照)。
 また、一度倒産に至っても、少なくない経営者が再び事業に挑戦したいという意思を持っています。しかし、倒産した経営者は経済的、非経済的なコストを多く負担しているため、起業までには倒産経験者に特有の困難も存在します。その最も大きな問題は資金調達です。倒産経験者は少なくとも自己資金を頼りにできない状況にあるため、身近な人々から資金援助者を探す以外には、資金調達を克服するすべがありません。この分野での制度的金融の充実が今後の大きな課題といえます。
 現在、こうした再起業希望者に対して、様々な制度、環境の整備が進められています。しかしながら、資金調達の問題からも明らかなように、最も重要なことは周囲の理解と協力なのです。経営者にあっては、倒産時に周囲への影響を極力回避する形での対応をすることが重要ですし、制度面では、意欲と適切な事業計画を持つ再起業志望者に対して必要な資金供給が行われる環境の整備が望まれます。

V 財務だけでは測れない企業の質をみる金融

(1) 中小企業金融の現状
 中小企業の資金調達をみると、大企業に比べ借入金に依存する度合いが高いという特徴があります(第7図参照)。しかし、規模の小さな企業ほど希望額が借りられず、また金利条件も厳しくなっています。また、大部分の中小企業は担保及び保証を提供しているのが現状です。こうした状況の背景には、中小企業金融の「情報の非対称性」の問題が存在していると考えられます。
 また、近年進展している金融機関の合併や経営統合は、短期的には中小企業の資金調達に不利な影響を与えています(第8図参照)。その要因としては、合併等により組織が大きくなることで、中小企業と決裁権者との距離が遠くなり、「情報の非対称性」の問題がより大きくなってしまうこと等が考えられます。

(2) 資金調達の円滑化に向けた中小企業側の課題
 このような状況にあって、借入れ資金を円滑に確保するために重要なのは、積極的な企業情報の公開や長期継続的取引等、金融機関とのリレーションシップの構築により、財務に現れない企業の情報が銀行に伝わる関係を醸成することです。例えば、自主的に企業情報に関する資料を提出する企業は、申し込み額どおりに借入れを行いやすく(第9図参照)、金利引き上げの要請を受けにくくなっています。企業側の小さな努力により、「情報の非対称性」の問題を少しでも小さくすることができるのです。
 また、メインバンクから円滑な借入れができなかったときに備えて、取引先金融機関の多角化を図ることも重要です。複数の金融機関と取引を行うことは、メインバンクへの交渉力強化にもつながります。銀行借入れ以外の様々な資金調達手段について、そのメリット・デメリットを勘案した上で、積極的に活用していくことも、円滑な資金調達のためには必要なことと考えられます。

(3) 中小企業金融の円滑化に向けた金融機関側の課題
 「情報の非対称性」の存在は金融機関にとっても、中小企業向け貸出を推進する際の大きな障害となります。それを乗り越えるための金融機関側の対応としては、審査能力の向上、リレーションシップの再評価、新しい金融手法の開発が考えられます。
 現在、金融機関は、企業の事業を評価することよりも、債務償還能力などの財務状況や、信用保証協会の保証などの保全を重視する傾向にあります(第10図参照)。ところが、中小企業は一時的な財務状況だけで判断することは非常に難しいといえます。例えば、経常赤字や債務超過にあっても、経営努力によって数年後には黒字化を達成したり、債務超過を解消したりする企業は多く(第11図参照)、このため、金融機関には、財務に現れない企業の能力を見抜く審査能力の向上が必要なのです。また、リレーションシップは、情報の溝を埋めるだけでなく、企業のニーズを的確に把握することにより、新しいビジネスチャンスを生み出す可能性も持っています。リレーションシップは構築に長い時間がかかるものの、消滅するのは一瞬であるため、金融機関は長期継続的なリレーションシップを再評価し、中小企業向け貸出に活かすべきだと考えられます。そして、新たな金融手法として、多様な中小企業に対応した金利制度の導入や、中小企業が持つ売掛債権等の資産の証券化なども、中小企業金融円滑化の一助となることが期待されます。

W 事業連携による経営革新

(1) 垂直連携ネットワーク
 日本経済再生のためには、中小企業の経営革新への取組が重要です。従来、中小企業におけるネットワークの代表的なものであった垂直連携(下請関係)は、近年のグローバル経済の進展により、下請取引のメリットは、例えば、「仕事量の安定」から「取引のリスクがないこと」等へ変化し、従来のネットワークが変容しつつあります。そのような中でも、下請中小企業は高付加価値製品開発やコストダウンへの取組を重視しており、取組を行う企業ほど高いパフォーマンスを示しています。例えば、親事業者の海外進出に対応し、このような取組を行った企業は、設備の縮小や従業員の削減を行った企業よりも売上高に対し高いプラスの効果が得られています(第12図参照)。さらに、これらの取組により培った能力を基に、取引先の多角化によって特定親事業者への依存度の低下を目指すことも重要な戦略です。
 しかし、もともと経営資源に乏しい下請企業にとって、自社単独でのこのような経営革新への取組は困難な場合もあります。また、下請企業は取引先が少数であることから、相対的に多様な技術知識に触れる機会が少ないため、取引先を増やしたり、異業種交流活動を行う等、積極的に情報の収集に努めることが重要といえます。

(2) 水平連携ネットワーク
 下請中小企業に限らず、相対的に経営資源に乏しい中小企業では、企業間の共同開発や産学官連携などの事業連携活動への取組によって、自社に不足する経営資源を補っていくことが経営革新への取組に関しては重要になります。他社との事業連携活動には、非常に多くの形態、内容が存在し、その取り組む活動の内容や目的によって異なる効果がみられます。例えば共同研究開発では売上高が増加する企業が多くなり、その他、自社で不足する知識やノウハウの補完、競争相手や取引先に対する地位の強化といった、数字では測れない効果を上げている企業も存在していると考えられます。
 また、このような事業連携活動の苗床となる活動として、異業種交流活動が存在します。特に、規模が小さかったり、営業利益率が低かったりする企業でも、恒常的に研究開発活動に取り組み、他社にはない独自の経営資源を蓄積してきている企業にとっては、異業種交流活動が、積極的に事業連携活動の相手探しを行える場となっている可能性が高いようです。しかし、単に連携活動に参加しているという意識では、有効となるはずの事業連携活動も、企業に何の効果ももたらさないという結果になりかねません。自らが目的意識を持って、積極的に取り組んでいくことが重要なのです。
 産学官連携活動も中小企業にとって重要な活動です。しかし現状では、規模の小さい企業の方が、売上高増加の効果がより出やすい反面で、取組は遅れているという、「ねじれ現象」が起こっています(第13図参照)。そのため、こうした取組に至りにくい層の中小企業の積極的な取組を促進するために、行政あるいは大学等により、企業と大学等との「人的ネットワーク」を形成しやすい環境整備を行っていくことも必要だと考えられます。

X まとめ

 過去、中小企業が日本経済の基盤を支える役割を果たしてきたように、日本経済が再生を果たすためにも中小企業が「強み」を発揮することが必要です。元来、中小企業はダイナミズムに富む存在であり、わずかの期間で急変身を遂げる力を持っています。
 しかしながら、それはすべての中小企業が自然に成し遂げることができるものではありません。これまでに述べてきたとおり、本業における地道な経営努力を行うことが、生き残り、成長する道なのです。そして、このような活力と意欲に溢れた中小企業が多数、活躍する経済−「企業家社会」が日本経済再生につながってゆくのだと考えられます。
 企業経営において、「倒産は終わり」ではありません。日本経済も現在は極めて厳しい状況にありますが、決してこれは終わりの始まりではないのです。財政赤字、貿易赤字の「双子の赤字」に悩まされた七〇年代のアメリカは九〇年代以降、見事な復活を遂げています。それをみると、我が国にも再生の途は十分に存在します。悲観論に陥らずに、経済構造改革を着実に進め、日本経済の再生を実現していかなければなりません。


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賃金、労働時間、雇用の動き


毎月勤労統計調査平成十五年三月分結果速報


厚生労働省


 「毎月勤労統計調査」平成十五年三月分結果の主な特徴点は次のとおりである。

◇賃金の動き

 三月の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は二十九万八千七百三十三円、前年同月比一・一%減であった。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十七万八千八百五円、前年同月比〇・一%減であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十六万三十六円、前年同月比〇・三%減、所定外給与は一万八千七百六十九円、前年同月比は三・三%増であった。
 また、特別に支払われた給与は一万九千九百二十八円、前年同月比は一三・二%減であった。
 実質賃金は、〇・八%減であった。
 きまって支給する給与の動きを産業別に前年同月比によってみると、伸びの高い順に不動産業四・八%増、金融・保険業二・九%増、製造業一・四%増、運輸・通信業及び卸売・小売業,飲食店前年同月と同水準、建設業〇・三%減、サービス業一・四%減、電気・ガス・熱供給・水道業一・七%減、鉱業七・六%減であった。

◇労働時間の動き

 三月の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は百五十・六時間、前年同月比〇・一%増であった。
 総実労働時間のうち、所定内労働時間は百四十・三時間、前年同月比〇・二%減、所定外労働時間は十・三時間、前年同月比五・一%増、所定外労働時間の季節調整値の前月比は一・四%減であった。
 製造業の所定外労働時間は十五・一時間、前年同月比一四・四%増、季節調整値の前月比は〇・三%増であった。

◇雇用の動き

 三月の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で〇・七%減、常用労働者のうち一般労働者では一・二%減、パートタイム労働者では一・三%増であった。
 常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、前年同月を上回ったものは鉱業一・四%増、サービス業一・一%増であった。前年同月を下回ったものは卸売・小売業,飲食店〇・五%減、建設業及び運輸・通信業〇・八%減、不動産業一・七%減、電気・ガス・熱供給・水道業二・〇%減、金融・保険業二・一%減、製造業二・八%減であった。
 主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者三・〇%減、パートタイム労働者一・〇%減、卸売・小売業,飲食店では一般労働者二・三%減、パートタイム労働者一・七%増、サービス業では一般労働者〇・一%増、パートタイム労働者四・七%増であった。












歳時記


夜店

 売られゆく うさぎ匂(にお)える 夜店かな
  五所平之助
 夜店は夏の季語です。神社などの縁日に露天商が店を出す夜店。夏の夕涼みがてら楽しむことが多いので、夏の季語になっているのでしょう。
 夜店は江戸時代から引き続いて明治・大正期には盛んに行われるようになり、現在に至っています。また、縁日以外にも夏の盛り場などに、露天商が夜店を出している地区もあります。最近は見かける機会が少なくなってしまいましたが、昔は夜店の演(だ)し物として、大道芸人が鮮やかな手付きでこまを回したり、ガマの油売りを演じてみせたりというようなことを見るのは、珍しくありませんでした。
 食べ物は、綿飴(あめ)、飴細工、ソースせんべいなどを売っていますが、タコ焼き、焼きそば、お好み焼きなどは、いつでも人気があるようです。
 遊ぶものとしては、金魚すくいや射的、輪投げなどが定番ですが、最近ではテレビゲームをはじめ、ハイテクを駆使した機器なども登場しています。夜店を見て歩くには、面倒でなければ、やはり浴衣で。浴衣姿は、夜店に風情を添えるようです。


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月例経済報告(六月)


―景気は、おおむね横ばいとなっているが、このところ一部に弱い動きがみられる―


内 閣 府


総 論

(我が国経済の基調判断)

 景気は、おおむね横ばいとなっているが、このところ一部に弱い動きがみられる。
 ・輸出は横ばいとなっている中で、生産は弱含んでいる。
 ・企業収益は改善のテンポが緩やかになり、設備投資は持ち直しの動きが緩やかになっている。
 ・雇用情勢は、失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 ・個人消費は、おおむね横ばいで推移している。
 先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、アメリカ経済やアジア経済等の先行きを巡る不透明感により、我が国の最終需要が引き続き下押しされる懸念が存在している。

(政策の基本的態度)

 政府は、持続的な経済成長を実現するため、引き続き構造改革を推進する。このため、六月中を目途として、経済活性化、国民の安心の確保、持続可能な財政の確立等を目指して、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三(仮称)」を取りまとめる。
 日本銀行は、六月十一日、資産担保証券の買入れの具体的スキームの骨子を取りまとめた。政府は、日本銀行と一体となって、金融・資本市場の安定及びデフレ克服を目指し、引き続き強力かつ総合的な取組を行う。

各 論

一 消費・投資などの需要動向

◇個人消費は、おおむね横ばいで推移している。
 個人消費は、収入面での弱い動きが続くなど家計を取り巻く環境が厳しい中、おおむね横ばいで推移している。この背景としては、消費者マインドが低水準ながら悪化傾向に歯止めがかかりつつあることが挙げられる。需要側統計(家計調査)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、乗用車販売台数の減少の影響などから、四月は前月に比べて小幅減少している。
 個別の指標をみると、家計調査では、実質消費支出が前月に比べて増加した。一方、販売側の統計をみると、小売業販売額は、二か月連続で前月比減少となった。チェーンストア販売額は、引き続き前年を下回った。百貨店販売額は、気温が低めとなったことや、週末の天候不順により、減少幅が拡大した。新車販売台数は、四月は自動車税のグリーン化などの見直しに伴う駆け込み需要の反動から前年を大きく下回ったが、五月にはそうした要因が一巡したことから減少幅が縮小した。家電販売金額は、主力商品であるパソコンが前年を大幅に下回って推移していることから引き続き前年を下回っている。旅行は、国内旅行は引き続き前年を下回った。海外旅行は重症急性呼吸器症候群(SARS)による手控えなどから減少幅を大幅に拡大している。
 個人消費の先行きについては、当面、現状のような推移が続くと見込まれるが、依然として雇用情勢が厳しいことなどから、引き続き留意が必要である。

◇設備投資は、持ち直しの動きが緩やかになっている。
 設備投資は、資本ストック調整の進展や外需の増加等を受けて持ち直してきたが、このところ外需が横ばいとなってきていること等を受けて、持ち直しの動きが緩やかになっている。これを需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、季節調整済前期比で平成十四年十〜十二月期に持ち直しに転じたものの、平成十五年一〜三月期はやや減少となっている。また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷の四月までの動きをみると、やや弱含んでいる。ソフトウェア投資は、おおむね横ばいとなっている。
 先行指標や年度計画をみると、日銀短観によれば製造業の十五年度設備投資は三年ぶりに前年度比増加に転じる計画となり、設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感も改善の動きが続いている。しかし、機械設備投資の先行指標である機械受注は持ち直しの動きが緩やかになってきており、建設投資の先行指標である建築着工床面積をみるとおおむね横ばいとなっている。先行きについては当面緩慢なものにとどまると見込まれるが、外需をはじめとする最終需要の先行き不透明が払拭されれば、再び持ち直しに向かうものと見込まれる。

◇住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
 平成十四年度の住宅建設は、貸家は増加したものの、持家、分譲住宅が減少したことから、前年度比二・四%減の百十四万六千戸となり、二年連続で百二十万戸を下回る低い水準となった。これは、雇用・所得環境が厳しいこと、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下していることが要因であると考えられる。平成十五年二月、三月と二か月連続で減少したが、四月は年率百十六万戸に増加した。また、総床面積も同様の動きとなっている。このところの動きをみると、持家は減少幅を縮小し、分譲住宅はおおむね横ばいで推移する中、これまで減少していた貸家の着工が増加したことから、全体としてはおおむね横ばいとなっている。
 先行きについては、引き続き消費者の住宅取得マインドが低下しており、このことが住宅着工の下押し要因になるものと見込まれる。

◇公共投資は、総じて低調に推移している。
 公共投資は、国、地方の予算状況を反映して、総じて低調に推移している。
 国の平成十四年度補正予算では、構造改革推進型の公共投資を計上するなどの予算措置を講じたが、補正後の公共投資は、「改革推進公共投資」特別措置を実施した前年度を大きく下回った。また、平成十四年度における地方の投資的経費のうち単独事業費は、地方財政計画では、前年度比一〇・〇%減となっている。
 このような状況を反映して、平成十四年度においては、平成十三年度から繰り越された平成十三年度第二次補正予算の下支え効果がみられたものの、公共工事請負金額、公共工事受注額は、平成十四年四〜六月期以降平成十五年一〜三月期まで、前年を下回った。なお、大手五十社受注額は、平成十四年十〜十二月期のみ前年を上回った。
 平成十五年度の公共投資の関連予算をみると、国の公共投資関係費においては、前年度比三・七%減と規模を縮減しつつ、「個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方」など重点四分野を中心に、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。また、地方財政計画においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比五・五%減としつつ、計画的な抑制と重点的な配分を行うとしている。
 四〜六月期の公共投資については、四月、五月の公共工事請負金額なども前年を下回っており、国、地方の予算状況などを踏まえると、引き続き前年を下回るものと考えられる。
◇輸出入は、ともに横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、やや増加している。
 輸出は、アジア向け輸出はこのところ減少していること等から、全体として横ばいとなっている。地域別にみると、アジア向け輸出は、中国向けは堅調であるものの、全体としてはこのところ減少している。アメリカ向け輸出は、自動車の輸出が国内販売台数の動向の推移と見合ったものに留まっており、輸出は横ばいとなっている。EU向け輸出は、新型車の投入にともなう年初来の自動車輸出の増加が一服したことから、このところ減少している。先行きについては、アメリカでは弱い景気回復が続いていることに加え、SARSによるアジア経済への影響等、輸出をめぐる環境が厳しいことから、当面の展開としては横ばいないし弱い動きとなる可能性がある。
 輸入は、生産が弱含んでいることに加え、中国からの輸入が横ばいとなっていること等から、全体として横ばいとなっている。地域別にみると、アジアからの輸入は、NIEsからの輸入が減少しているものの、ASEAN、中国からの輸入が横ばいとなっていることから、全体としては横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、航空機等機械機器の輸入増により四月は増加したものの、全体としては弱含んでいる。EUからの輸入は機械機器を中心に減少している。
 国際収支をみると、輸出入数量がともに横ばいとなっていることに加え、原油価格が低下していること、海外旅行客の減少等に伴いサービス収支の赤字幅が縮小していることから、貿易・サービス収支の黒字は、やや増加している。

二 企業活動と雇用情勢

◇生産は、弱含んでいる。
 鉱工業生産は、国内最終需要に力強さがみられず、輸出が横ばいとなっていることを背景に、弱含んでいる。在庫は低水準にあるものの、外需をはじめとする最終需要の先行きが不透明であること等を背景に、企業は在庫積み増しに慎重になっており、生産の増加にはつながっていない。
 先行きについては、在庫面からの生産下押し圧力は少ないと考えられるものの、国内最終需要は当面低調に推移することが見込まれるほか、アメリカ経済等に関する先行き不透明感を背景に輸出による牽引力もそれほど大きなものとはならないと考えられることから、生産の持ち直しに向けた力は当面弱いものにとどまると見込まれる。なお、製造工業生産予測調査においては、五月、六月ともに増加が見込まれている。
 また、第三次産業活動は、弱含んでいる。

◇企業収益は、改善が続いているが、そのテンポは緩やかになっている。また、企業の業況判断は、緩やかながら、引き続き改善がみられる。倒産件数は、緩やかに減少している。
 企業収益の動向を「法人企業統計季報」でみると、人件費削減を中心とする企業のリストラ努力等を背景に、平成十五年一〜三月期においても前年比で増益が続いているが、季節調整済前期比では減益に転じ、改善のテンポは緩やかになっている。「日銀短観」によると、平成十四年度下期から十五年度にかけて、前年比二桁の大幅な増益が見込まれている。業種別にみると、製造業では電気機械や鉄鋼を中心に収益が改善し、十四年度下期では前年比四割の大幅増益となり、十五年度も二桁の増益見込みである。一方、非製造業では十四年度下期はわずかな増益幅にとどまるが、十五年度には二桁の大幅増益となる見込みである。規模別でみても、大企業・中小企業共に十五年度にかけて増益が見込まれている。日本経済新聞の集計によると、上場企業(三月決算)の十四年度経常利益は前年同期比で約七割増益と急回復しており、十五年度も二桁の増益見込みである。
 企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、中小企業製造業を中心に緩やかながら引き続き改善がみられるものの、自動車をはじめとする大企業製造業では改善に足踏みがみられる。先行きについては、若干の悪化を見込んでおり、慎重な見方も続いている。
 また、企業倒産は、セーフティーネット保証の適用件数が増えていること等を背景に、緩やかに減少している。

◇雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 企業の人件費抑制姿勢などの労働力需要面の要因や、雇用のミスマッチなどの構造的要因から、完全失業率が高水準で推移するなど、厳しい雇用情勢が続いている。
 完全失業率は、四月は、前月と同水準の五・四%となった。男女別にみると、男性の失業率が低下する一方で、女性の失業率が上昇している。また、雇用者数は、横ばいで推移している。
 新規求人数は、昨年前半から増加傾向にあったが、このところ、横ばいとなっており、有効求人倍率もおおむね横ばいとなっている。製造業の残業時間についても、横ばいとなっている。一〜三月期に「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合は、やや低下した。
 賃金の動きをみると、四月の定期給与は前年同月比、前月比とも減少するなど、弱い動きが続いている。

三 物価と金融情勢

◇国内企業物価は、弱含んでいる。消費者物価は、横ばいとなっている。
 国内企業物価は、弱含んでいる。最近の動きを類別にみると、鉄鋼などが上昇しているほか、五月の発泡酒に係る酒税増税の影響により加工食品が上昇しているが、他方で電気機器が引き続き下落しているほか、市況の軟化にともなって石油・石炭製品、化学製品などが下落している。また、輸入物価(円ベース)は、五月は原油価格や為替の影響により、下落している。
 企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
 消費者物価は、平成十二年秋以降弱含んでいたが、原油価格の影響等により、このところ前月比で横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、一般商品は、耐久消費財などが下落しているが、原油価格の影響を受けた石油製品の上昇もあり、「その他工業製品」が上昇している。他方、一般サービスは、個人サービスの下落等により、四月は下落に転じている。この間、企業の低価格戦略には一部変化の兆しもみられる。また、公共料金は、四月の医療保険自己負担割合引き上げ等により、上昇している。
 なお、消費者物価は現在横ばいとなっているが、原油価格が下落していることなどの影響も波及するとみられることから、物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。

◇株式相場は、このところ上昇傾向にある。長期金利は、低下傾向で推移している。
 株式相場は、五月上中旬は八千円(日経平均株価)近傍で推移した後、米国株高などを背景にこのところ上昇傾向にある。対米ドル円相場は、五月中旬にかけて百十五円台まで上昇した後、五月下旬にかけて円安方向に動いた。
 短期金利は落ち着いており、長期金利は投資家の旺盛な需要などに支えられ低下傾向で推移している。企業の資金繰り状況におおむね変化はみられず、民間債と国債との流通利回りスプレッドはこのところ縮小している。
 マネタリーベースは、日本銀行の潤沢な資金供給などを背景に一〇%台の高い伸び(日本郵政公社当座預金を除く伸び率は一一・九%)が続いている。M+CDは、昨年末以降伸び率は鈍化している。

四 海外経済

◇アジアの一部で景気拡大が続いているものの、世界の景気回復力は弱まっている。
 アメリカでは、弱い景気回復が続いている。
 消費者、企業のマインドは改善している。これを背景に、消費に持ち直しの動きがみられ、また株価が上昇するなど先行き明るい兆しもみられる。
 しかしながら、生産は減少を続けており、稼働率はさらに低下している。設備投資は再び減少に転じており、資本財受注も減少した。雇用は減少している。こうした企業部門の弱さが、景気の回復力を弱いものとしている。
 また、物価上昇率は低下しており、食料とエネルギーを除いたコア消費者物価は、一九六六年以来の低い上昇率となっている。
 五月下旬に、配当・キャピタルゲイン課税の軽減や、二〇〇一年に決定した所得税減税の前倒し実施などを含む三千五百億ドル規模(十一年間)の減税法案が成立した。

◇アジアでは、中国、タイ等で景気は拡大が続いているが、韓国、台湾等で減速している。
 中国では、投資、輸出を中心に景気は拡大している。タイでは、内外需の堅調な増加から景気は拡大している。マレーシアでは、輸出の伸び鈍化から景気の拡大は緩やかとなっている。韓国、台湾では、消費、投資が鈍化しており景気は減速している。シンガポールでは、生産や輸出が鈍化するなど引き続き景気は減速している。
 重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行が中国、台湾で消費等に、ASEAN諸国では観光業に悪影響を及ぼしている。一方、多くの国・地域でアメリカ向け輸出が持ち直している。

◇ユーロ圏の景気は弱い状態となっており、イギリスでは、景気は減速している。
 ユーロ圏では、昨年秋以降のユーロ高の影響などから、輸出が減少傾向にある。ユーロは、このところ増価基調を一層強めており、五月末には対ドルで導入以来の最高値を更新した。企業マインドの悪化が続く中、成長率は低下し、景気は弱い状態となっている。特にドイツでは、成長率が二期連続でマイナスとなり、物価上昇率も低下が続くなど、景気後退に向かいつつある。フランスでは、内需が緩やかに増加していることから、景気は横ばいとなっている。こうした情勢をうけて、欧州中央銀行(ECB)は、六月五日に政策金利(短期買いオペの最低応札金利)を〇・五%引き下げ、二・〇%とすることを決定した。
 イギリスでは、外需の低迷が続く中で内需の伸びが鈍化しており、景気は減速している。

国際金融情勢等

 金融情勢をみると、アメリカの株価は、五月から六月にかけて先行きの景気回復期待等から上昇した。アメリカの長期金利は、五月上旬の連邦公開市場委員会(FOMC)において、インフレ率がさらに低下するリスクに留意するとの認識が示されたこと等から、低下基調で推移した。また、ドルは対ユーロを中心に大幅な減価が続いている。
 原油価格は、OPEC総会での減産観測等から五月上旬以降おおむね上昇基調で推移した。





七月の気象


◇梅雨明けと気象災害
 七月は、本格的な夏を迎える月ですが、梅雨末期(七月)に、梅雨前線の活動が活発化し、局地的な豪雨が発生する月でもあります。
 昭和五十七年七月に三百四十五人もの死者・行方不明者があった「昭和五十七年七月豪雨」では、「長崎」で二十四日の二十四時間降水量が五五二・五ミリにもなりました。これは、平年の一年間の降水量の四分の一を超える降水量です。大雨災害の多くは、このように短時間に記録的な大雨が降ることによって発生しています。
 近年は、気象災害への対策が進み、人的被害は減る傾向にありますが、災害をもたらす大雨などの現象そのものが、減っているわけではありません。適切な情報の入手や迅速な避難行動により、災害の未然防止・軽減を図ることができます。気象情報は、気象庁ホームページ(http://www.jma.go.jp/)からも見ることができますので、最新の気象情報を活用してください。

◇太平洋高気圧
 日本列島付近に沿って停滞していた梅雨前線は、七月中旬から下旬にかけて姿を消し、日本列島は太平洋高気圧に覆われるようになります。
 札幌、東京、那覇の日照時間の日別平年値を五日ごとに合計して見ると、沖縄地方の梅雨明けの平年日は、六月二十三日ごろ、関東甲信地方の平年日は七月二十日ごろです。梅雨明けごろを境にして日照時間が増えているのがわかります。一方、梅雨がないといわれる札幌を見ると、日照時間に顕著な変化はありませんが、七月二十六〜三十一日の合計が多くなっています。これは、北海道には梅雨がないというものの、梅雨明け直後に日本列島にもたらされる安定した天候の状態が、札幌の日照時間の多さとなって現れているのかもしれません。




暮らしのワンポイント


ぬれた靴の乾かし方

ドライヤーの熱風は禁物

 強い雨の日には、傘をさしても足下の靴がどうしてもぬれてしまいます。雨の多いこのシーズン、ぬれた靴をそのまま放置すると、気持ちよくはける靴が家に一足もなくなってしまう、という事態も起こりかねません。靴を手早く乾かす方法をご紹介します。
 ぬれた靴は、まず水分をよくふき取ってから、丸めた新聞紙を靴の中に入れ、湿気を吸わせます。新聞紙は、できるだけ乾いたものを使ってください。湿気の吸収力が高いものほど、早く乾かすことができます。新聞紙が湿ったら取りかえる作業を繰り返してください。
 中の湿気がだいたい取れたら、新聞紙を入れたまま風通しのよい場所で陰干しします。その際、靴の内側に割りばしなどを渡して中の新聞紙を支えるようにすると、型崩れも防げます。ただし、靴がふくらむほど強く詰め込むのは避けてください。
 靴底の湿り気を抜くことも大切なので、干すときは平置きにせず、壁に立てかけたり靴用のハンガーを利用するほうがいいでしょう。
 早く乾かしたいからといって、靴に直接ドライヤーの熱風を当ててしまうと、革が傷んだり、ゴムや合成皮革は溶けてしまったりすることもあります。急ぐときは扇風機で風を送って乾かしてください。
 革靴は日ごろのこまめな手入れも必要です。一日はいた靴は、ブラシや乾いた布で汚れを落とし、素材に応じた靴クリームを塗ります。薄くムラなく伸ばして塗り、つやが出るまで布で磨き、さらに防水スプレーを吹きつけて軽く磨いておきましょう。新品のうちからこうした手入れをしておくことが、あなたの靴を雨にも強い“長持ちの一足”にするコツです。




言葉の履歴書


たなばた

 「七夕」は七月七日の夜に、牽牛星(けんぎゆう)(鷲(わし)座の首星アルタイル)と織女星(しよくじよ)(琴(こと)座の首星ベガ)が、天の川を越えて出会うという中国のロマンチックな伝説に基づく星祭りです。
 では、「七夕」を「たなばた」と読むのは、なぜでしょうか。
 中国から渡来した陰暦七月七日の行事は、奈良時代に宮中の節会(せちえ)「乞功奠(きつこうでん)」となりました。「乞功」は技芸の上達を願うという意味、「奠」は物を供える祭事を指します。
 その乞功奠が、わが国古来の「棚機(たなばた)」伝承と結びついて、お盆行事の一部となったのです。
 「棚機」は棚と呼ばれる横板の付いた織機(しよつき)のこと。遠来の神を迎えるために、特に選ばれた処女が機(はた)を織りながら待つのが、七夕祭りに先立つ儀礼だったと考えられています。
 七夕は江戸時代には民間の風習として広まりました。裁縫や書道の上達など、願いごとを記した五色の短冊を七夕竹に飾り付けて祈る行事は、今も各地で行われています。しかし、「たなばた」の語源を知る人は少なくなってしまったようです。






    <7月9日号の主な予定>

 ▽家計調査(貯蓄・負債編)………総 務 省 

 ▽消費者物価指数(五月)…………総 務 省 

 ▽家計収支(三月)…………………総 務 省 




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 標題の下の数字は発行月日、その下の丸数字は掲載ページを示す。

 〔国 会 関 係〕

第百五十六回国会
 内閣が提出を予定している法律案・
 条約要旨調(内閣官房)…………………2・19…@
平成十五年度予算及び
 財政投融資計画の概要(財務省)………4・16…@

 〔白 書 関 係〕

経済財政白書のあらまし(内閣府)………1・8……@
犯罪白書のあらまし(法務省)……………1・15…@
障害者白書のあらまし(内閣府)…………1・29…@
消防白書のあらまし(消防庁)……………2・26…@
文部科学白書のあらまし(文部科学省)…3・26…@
人権教育・啓発白書のあらまし
 (法務省、文部科学省)…………………4・23…@
地方財政白書のあらまし(総務省)………5・21…@
国土交通白書のあらまし
 (国土交通省)……………………………5・28…@
外交青書のあらまし(外務省)……………6・11…@
森林・林業白書のあらまし
 (農林水産省)……………………………6・18…@
水産白書のあらまし(農林水産省)………6・25…@

  総務省関係

<総 務 省>
平成十四年七〜九月期平均家計収支………1・29…F
労働力調査
 平成十四年七〜九月平均の概要…………1・29…H
未(ひつじ)年生まれは一千一万人………2・12…H
二〇〇三年の新成人は百五十二万人………2・12…J
平成十四年平均消費者物価指数の動向
 (東京都区部速報値)……………………2・12…N
消費者物価指数の平成十五年一月に
 おける品目の見直しについて……………2・26…H
平成十四年平均
 全国消費者物価指数の動向………………3・5……L
労働力調査
 平成十四年平均結果の概要………………3・26…G
平成十四年
 科学技術研究調査結果の概要……………4・2……@
平成十四年平均家計収支……………………4・2……I
家計調査報告(総世帯・単身世帯)
 平成十四年平均速報………………………4・9……@
平成十四年十月一日現在
 我が国の人口(推計)……………………4・23…G
労働力調査
 平成十四年十〜十二月平均の概要………4・30…M
住民基本台帳人口移動報告に基づく
 平成十四年人口移動の概要………………5・7……@
消費者物価指数の動向 東京都区部
 (平成十四年度平均速報値)……………5・7……K
平成十四年度平均
 全国消費者物価指数の動向………………5・28…N
我が国のこどもの数
 (十五歳未満人口)………………………6・11…L
労働力調査 平成十五年一〜三月平均
 結果の概要…………………………………6・25…N

<公害等調整委員会事務局>
全国の公害苦情の実態………………………2・12…@

  財務省関係

<国 税 庁>
消費税・地方消費税(個人事業者)の
 確定申告と納税は正しくお早めに………1・8……N
確定申告が間違っていたとき………………4・2……K

  文部科学省関係

<文部科学省>
平成十四年度学校基本調査…………………3・5……@

  厚生労働省関係

<厚生労働省>
平成十四年
 就労条件総合調査結果の概要……………1・22…@
平成十四年賃金構造基本統計調査
 結果の概況−初任給−……………………2・5……@
平成十四年毎月勤労統計調査
 特別調査の概況……………………………2・12…L
平成十四年上半期
 雇用動向調査結果の概況…………………3・12…@
平成十四年賃金構造基本統計調査
 (全国結果)の概況………………………5・14…@
毎月勤労統計調査
 (平成十四年分結果)……………………5・28…H

  国土交通省関係

平成十五年地価公示のあらまし……………6・4……@

  会計検査院関係

平成十三年度決算検査報告の概要…………3・19…@

 〔毎月公表されるもの〕

▽月例経済報告………………………………内 閣 府
平成十四年十二月報告………………………1・15…N
平成十五年一月報告…………………………2・5……K
平成十五年二月報告…………………………3・12…M
平成十五年三月報告…………………………4・9……I
平成十五年四月報告…………………………5・7……M
平成十五年五月報告…………………………6・4……M

▽消費者物価指数の動向……………………総 務 省
平成十四年十一月の消費者物価指数………1・22…J
平成十四年十二月の消費者物価指数………2・5……M
平成十五年一月の消費者物価指数…………2・26…I
平成十五年二月の消費者物価指数…………4・9……F
平成十五年三月の消費者物価指数…………5・7……F
平成十五年四月の消費者物価指数…………6・25…I

▽家計収支……………………………………総 務 省
平成十四年九月分……………………………1・8……L
平成十四年十月分……………………………1・29…N
平成十四年十一月分…………………………2・19…N
平成十四年十二月分…………………………3・26…N
平成十五年一月分……………………………5・7……I
平成十五年二月分……………………………5・14…N

▽労働力調査(雇用・失業の動向)………総 務 省
平成十四年十月等結果の概要………………1・29…H
平成十四年十一月結果の概要………………2・19…H
平成十四年十二月等結果の概要……………3・26…D
平成十五年一月等結果の概要………………4・30…M
平成十五年二月結果の概要…………………5・28…K
平成十五年三月結果の概要…………………6・25…L

▽毎月勤労統計調査
 (賃金、労働時間、雇用の動き)………厚生労働省
平成十四年十月分結果速報…………………1・22…M
平成十四年十一月分結果速報………………2・19…K
平成十四年十二月分結果速報………………3・26…K
平成十五年一月分結果速報…………………5・7……C
平成十五年二月分結果速報…………………6・4……H

 〔四半期ごとに公表されるもの〕

▽消費動向調査………………………………内 閣 府
平成十四年十二月実施調査結果……………2・26…L
平成十五年三月実施調査結果………………6・11…G

▽法人企業動向調査…………………………内 閣 府
平成十四年十二月実施調査結果……………3・12…E
平成十五年三月実施調査結果………………6・18…G

▽家計調査報告
 (総世帯集計・単身世帯)………………総 務 省
平成十四年十〜十二月期平均速報…………4・9……@

▽景気予測調査………………………………財 務 省
平成十四年十一月調査………………………2・5……F
平成十五年二月調査…………………………4・30…G

▽法人企業統計季報…………………………財 務 省
平成十四年七〜九月期調査…………………1・22…B
平成十四年十〜十二月期調査………………4・30…@

▽労働経済動向調査…………………………厚生労働省
平成十四年十一月結果速報…………………1・29…K
平成十五年二月結果速報……………………6・4……K



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