官報資料版 平成15年7月30日




                  ▽防災白書のあらまし……………………内 閣 府

                  ▽景気予測調査(五月調査)……………財 務 省

                  ▽消費者物価指数の動向(六月)………総 務 省











防災白書のあらまし


内 閣 府


 平成十五年版防災白書(「防災に対してとった措置の概況」及び「平成十五年度において実施すべき防災に関する計画」)が、五月二十七日に閣議決定され、同日付けで国会に報告された。

第1部 災害の状況と対策

第1章 我が国の災害の状況

【災害を受けやすい日本の国土と自然災害の状況】
○ 我が国は、その位置、地形、地質、気象などの自然条件から、地震、台風、豪雨、火山噴火などによる災害が発生しやすい国土となっている(第1図参照)。
○ 我が国では、毎年、自然災害により多くの尊い人命や財産が失われているが、昭和三十年代以降、死者・行方不明者数は、長期的にみれば漸減傾向にある(第2図参照)。
○ 災害原因別死者・行方不明者数については、地震により多くの死者・行方不明者を出した平成五年及び七年を除くと、土砂災害をはじめとする風水害・雪害によるものが大きな割合を占めている(第3図参照)。

【平成十四年に発生した主要な災害とその対策】
○ 平成十四年は、梅雨前線や台風等による風水害が七月から九月にかけて発生した。七月に二個以上の台風が日本に上陸したのは平成五年以来九年ぶりで、一方、例年台風の多い九月には日本本土に接近したものはなかった(第1表参照)。また、林野火災による被害が多く発生し、焼損面積が二十六万四千二百七十九ヘクタールに達した。
○ 火山活動が続く三宅島について、平成十四年七月、「活動火山対策特別措置法」を適用し、全島を避難施設緊急整備地域に指定した。この指定を受けて策定された避難施設緊急整備計画に基づき、政府は脱硫装置を備えたクリーンハウスの建設等の支援を実施し、平成十五年三月にクリーンハウスが完成した。
○ 三宅島の火山ガス放出量は、長期的には低下傾向にあるものの、平成十五年三月現在においても一日あたり三千〜一万トンの二酸化硫黄の放出が継続している。

第2章 我が国の災害対策の推進状況

【防災訓練】
○ 大規模地震の発災時等には、防災関係機関、地域住民等が緊密な連携の下、情報の収集・伝達体制、救急・救助、医療、消火等の災害応急活動を迅速かつ適切に実施する必要があり、実践的な防災訓練が不可欠である。
○ 政府は、毎年九月一日の「防災の日」に東海地震及び南関東地域直下の地震を想定した大規模な総合防災訓練を実施しており、平成十四年度は、東海地域を中心として、内閣総理大臣新官邸の運用開始後初めてとなる、地震災害対応訓練を実施した。
○ 平成十五年一月には、南関東地域直下の地震を想定し、大規模な図上訓練を、関係省庁及び関係地方公共団体(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市及び千葉市の七都県市)と初めて合同で実施した。
○ 平成十五年三月の中央防災会議において、九月一日「防災の日」に南関東地域直下の地震対応訓練を中心に、全閣僚が参加しての政府本部運営訓練等を実施するとともに、平成十六年一月には、東海地震を想定し、関係地方公共団体との合同による図上訓練を実施すること等を内容とする「平成十五年度総合防災訓練大綱」を決定した。

【防災情報システム整備の基本方針】
○ 防災に関する情報は、平常時、災害時を問わずあらゆる防災活動の基礎であり、その情報共有化は防災協働社会の前提条件となる。
○ 平成十四年十月、中央防災会議の下に「防災情報の共有化に関する専門調査会」を設置し、防災情報共有化のあり方について審議を行っている。
○ 行政内部における情報共有化の総合的な推進方策については、平成十五年三月に中央防災会議において、情報を標準化・共通化する共通プラットフォームの構築等が「防災情報システム整備の基本方針」として決定され、この方針に基づき「防災電子政府」の構築が図られることとなった。

【地震防災施設等の整備の現状に関する全国調査の実施】
○ 我が国の地震対策の現状を把握・分析するため、平成十三年度末現在における地震防災施設等の整備の現状に関する調査を内閣府において全国で初めて一斉に実施し、平成十五年一月に最終報告としてとりまとめた。
○ 調査の結果、発災後に必要となる対策に比べ、建築物の耐震化や避難地・避難路の整備など人命に関わる事前の対策が進んでいないこと、都道府県ごとにばらつきがみられることなどが分かった(第4図第5図参照)。
○ 今後、都道府県が作成する「地震防災緊急事業五箇年計画」の推進等、地震防災対策推進の重要な基礎資料として活用することとしている。

【東海地震対策】
○ 平成十五年三月、「東海地震対策専門調査会」は、東海地震対策の基礎とするため、新たな想定震源域に基づく被害の検討を中央防災会議に報告した(第2表参照)。同報告では、阪神・淡路大震災を超える大被害が広域に発生することが想定されるため、同調査会では、広域的な防災体制の確立等の対策を検討することとしている。
○ 調査会の検討を踏まえ、政府は、東海地震に係る防災対策を予防から復旧・復興の全体にわたり総括的にまとめた東海地震に係る地震防災対策についての大綱、及び主に発災時の具体的行動について定める活動要領を新たに作成し、より具体的・実践的な防災対策を推進していく予定である。
○ 警戒宣言時の対応についても、「大規模地震対策特別措置法」に基づく「東海地震の地震防災対策強化地域に係る地震防災基本計画」や「強化計画」を必要に応じ修正することとしている。

【東南海・南海地震対策】
○ 東南海・南海地震は、約百〜百五十年間隔で発生しており、今世紀前半にも発生するおそれがあるとされており、その地震災害、特に津波災害については、極めて広い地域において甚大な被害が予想されるため、今のうちから事前の防災対策を進める必要がある。
○ 平成十四年七月、議員立法により「東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」が公布され、平成十五年七月に施行が予定されている。
○ 同法においては、東南海・南海地震による地震災害を防ぐため、著しい被害が生ずるおそれのある地域(東南海・南海地震防災対策推進地域)を指定し、津波からの避難対策も含め必要な防災対策に関する計画を策定するとともに、観測施設等を含めた地震防災上緊急に整備すべき施設の整備等について規定している。
○ 平成十五年四月、「東南海・南海地震等に関する専門調査会」において、想定される地震の揺れの強さや津波の高さの分析及び、人的被害や建物被害等の被害想定について検討結果をとりまとめた(第3表参照)。

【風水害対策】
○ 平成十四年四月に洪水、土砂災害、高潮の風水害に関して、以下の防災基本計画の修正を行った。
 @洪水
  都市部において多く発生している集中豪雨と、それに伴う地下街への浸水被害の増加を契機として、
 ・洪水予報河川、浸水想定区域の指定及び公表
 ・洪水予報等の住民、地下管理者等への的確かつ迅速な伝達
 等を追加した。
 A土砂災害
  平成十一年六月、広島県を中心に発生した土砂災害を契機として、
 ・土砂災害警戒区域の指定
 ・円滑な警戒避難のための事項の住民への周知
 等を追加した。
 B高潮
  平成十一年九月、熊本県で発生した高潮災害を契機として、
 ・高潮防災施設整備の推進
 ・ハザードマップ作成の促進及び災害関連情報の住民等への周知
 等を追加した。
○ 最近は各自治体で、自然災害による被害の可能性を示すハザードマップや被害想定などの防災情報が数多く提供されるようになった。
○ 水害においては、特にハザードマップが有効で、洪水時等の影響範囲を示すことで、被害の予防や軽減に対する日頃の活動や備えの必要性を啓発できる。洪水ハザードマップについては、二百十七市町村で作成が完了(平成十五年三月現在)している。

【火山災害対策】
○ 平成十五年二月現在、「活動的で特に重点的に観測研究を行うべき火山」に分類される十三火山のうち十二火山(海底火山である伊豆東部火山群を除く)を含む、全国の三十二火山についてハザードマップが作成されている。
○ 平成十二年の有珠山噴火に際しては、ハザードマップが事前に住民に周知され、避難の必要性が理解されており、またハザードマップを参考に避難の範囲を決めて避難指示が出されたために、事前の円滑な住民避難につながった。
○ 富士山では、山梨、静岡、神奈川、東京の各都県、地元市町村、内閣府、国土交通省、消防庁、気象庁により「富士山火山防災協議会」を開催し、連携を取りつつ富士山火山防災対策の検討やその基本となる火山ハザードマップの作成を進めている。

【災害復旧・復興対策】
○ 自然災害により生活基盤に著しい被害を受け、経済的理由により自立して生活を再建することが困難な被災世帯に対しては、「被災者生活再建支援法」に基づき、最高百万円の被災者生活再建支援金が支給される。平成十四年においては、台風第六号豪雨災害に適用している。

【阪神・淡路大震災への復興対策等】
○ 阪神・淡路大震災については、被災地の復興を目指して、政府は地元地方公共団体と連携の下、被災者の住宅再建、生活再建支援、各種インフラの復旧、産業復興の対策等に取り組んできている。
○ 「人と防災未来センター」は、第一期施設である「防災未来館」の平成十四年四月の開館に続き、平成十五年四月には第二期施設である「ひと未来館」が開館した。

第3章 国民の防災活動

【国民の防災に関する意識】
○ 平成十四年九月に政府広報室(内閣府)により、「防災に関する世論調査」が実施された。
○ この中で、「家族との連絡方法などを決めている」と回答した者は、平成三年の調査では九・七%であったが、阪神・淡路大震災直後の平成七年九月の調査では、一六・三%に急上昇した。しかし、その後、減少傾向に転じており、阪神・淡路大震災で高まった防災意識について、風化の兆しがみられる(第6図参照)。

【企業と防災】
○ 阪神・淡路大震災の際には、企業の活動が目覚ましく、災害時における企業活動の重要性が再認識された。
○ 行政と企業の連携の一つの形態として、近年、地方自治体と企業とが協定を結び、災害時に企業の地域防災活動が円滑にスタートするような仕組みを構築している事例が増加している(第7図参照)。

【ボランティア】
○ 平成七年一月十七日に発生した阪神・淡路大震災において、各種のボランティア活動及び住民の自発的な防災活動についての防災上の重要性が広く認識された。
○ 内閣府では、毎年一月の「防災とボランティア週間」に、防災とボランティアに関する普及・啓発の行事開催等を通じて、災害発生時におけるボランティア活動や自主的な防災活動の重要性に対する認識を一層深め、災害に対する備えの充実・強化を図ることとしている。
○ 平成十四年度は、静岡県において、「地域とボランティアの連携」をテーマに、災害時だけでなく、日常からの防災まちづくり活動について、参加者とともに考える「防災とボランティアのつどい」を静岡県と共同開催した(平成十五年一月十九日、静岡県地震防災センター)。
○ 平成九年一月に発生したナホトカ号海難・流出油災害や平成十二年九月の東海豪雨災害などにおいても多数のボランティアが活動しているように、最近の主要な災害ではボランティア活動の事例が増加している(第4表参照)。

【生活から考える防災まちづくり】
○ 阪神・淡路大震災において、要救出者三万五千人のうち約八割の二万七千人が家族や近隣者により救助された。これは、「日常生活における人々の結びつきは、お互いの心配りや助け合いを通じて、平素の生活自体を豊かにするという観点からだけでなく、災害時に人の命を救う上で大きな力を発揮するという意味でも重要である」ということを再認識させる契機となった。
○ 被災地の神戸においては、震災後、そのような認識が定着し、「福祉活動」と「防災活動」を結合させた「防災福祉コミュニティ」が小学校区を単位として拡大していった(第8図参照)。
○ しかしながら、都市部では、高度成長による都市化の進展に伴い、居住地の遠隔化が進む一方で、通勤、通学、買い物等の生活圏が拡大し、地域コミュニティと生活圏の乖離が拡大してきた。これに伴い、従来の地縁に基づいた地域コミュニティが弱体化してきている。他方、行政区域を超えた様々な経済・社会活動等を手がかりに、新たな「つながり」が生まれ、住宅地、商店街、業務市街地において、新たなコミュニティ活動が生まれてきている。
○ 一方で、過疎地においては、人口減少、高齢化の進行により、住民相互間の助け合いや農林地の維持・管理等が困難となっている。このため、過疎地においては、都市との交流・連携を図ることと合わせて、国土保全的な観点からの防災対策も重要である。
○ また、インターネットの普及等により、地縁と不可分の関係にあった従来のコミュニティの仕組みから離れて、市民、企業、NPO等が、様々な形で参加するという新しい形のコミュニティが生まれつつある。これにより、多様な主体による新たな連携の可能性が開かれてきている。

第4章 世界の自然災害と国際防災協力

【世界の自然災害の状況】
○ 一九七七年から二〇〇一年までの二十五年間に、全世界で少なくとも述べ四十一億人が被災し、約百五十万人の生命が失われた。特に、九〇年代は、阪神・淡路大震災等、先進国を大きな災害が見舞ったため、直接被害総額は、約九千三百二十億ドルに上っている。
○ 二〇〇二年は、アフガニスタン、イラン、中国の地震、アジア、ヨーロッパ各地の長期降雨による大規模な洪水、韓国の台風等の災害が発生している。
○ 特に、アジア地域は災害が多発しており、この五年間の世界全体に占めるアジア地域の災害の割合は、災害発生件数で約四割、死者数で約五割、被災者数で約九割、直接被害額で約五割と、大きな割合を占めている(第9図参照)。

【国連防災世界会議の開催】
○ 一九九〇年より国連を中心として進められた「国際防災の十年」の活動では、中間年の一九九四年に横浜で、防災分野では初めての国連会議を開催し、その後の防災対策の指針となる「横浜戦略」を採択した。
○ 二〇〇一年の国連総会で、「横浜戦略」のレビューを行うことが採択された。このレビューを総括し、二十一世紀の新たな国際防災戦略を策定するため、日本政府は、各国等と協力しつつ、二〇〇五年一月に兵庫で「国連防災世界会議」を開催することを検討している旨を国連の場で公式に表明した。

【国際防災戦略(ISDR)の推進】
○ 国際連合が推進している「国際防災戦略(ISDR)」活動を支援するため、国内に関係省庁からなる「国際防災連絡会議」を設置するとともに、二〇〇三年一月には兵庫で「アジア防災会議二〇〇三」を開催した。
○ 「アジア防災会議二〇〇三」は、アジアを中心とする二十四か国、二十六国際機関の参加のもと、都市における災害対策、異常気象への対応、NGO等様々な主体との連携の必要性等について議論された。
○ 日本政府の全面的な協力により、国連の防災機関である国際防災戦略(ISDR)は、初の世界防災白書を作成し、二〇〇二年八月に東京で公表した。

【アジア防災センター】
○ 災害の形態や防災対策に共通点を有するアジア地域の国際防災協力を推進するため、一九九九年、兵庫に、アジアの二十四か国をメンバー国とするアジア防災センターが設立された。
○ 同センターは、インターネット等を活用して、最新の災害情報等を提供するとともに、アジアの防災責任者を集めた会議を定期的に開催している。
○ 二〇〇三年一月に開催された第五回アジア防災センター専門家会議では、災害による被害を軽減するための教育、メディア、科学技術等の多様な分野との連携、コミュニティレベルの活動を強化するための地方政府、NGO等との連携を推進していくため、同センターが中核となり、アジアでの協力体制を構築していくこととなった。

第2部 平成十三年度において防災に関してとった措置の概況

○ 平成十三年度において各省庁は、予算額約三兆九千七百億円をもって科学技術の研究、災害予防、国土保全、災害復旧等の防災に関する具体的措置を実施している(第5表参照)。

第3部 平成十五年度において実施すべき防災に関する計画

○ 平成十五年度において各省庁は、予算額約二兆六千七百億円をもって科学技術の研究、災害予防、国土保全、災害復旧等の防災に関する具体的措置を講じる予定である(第5表参照)。


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景気予測調査


―平成十五年五月調査―


財 務 省


<はじめに>

 財務省では、企業経営の現状と見通しを調査し、景気の動向を的確に把握することを目的として、金融・保険業を除く資本金一千万円以上(電気業、ガス・水道業は資本金十億円以上)の営利法人約百二十万社のうち約一万二千社を対象として、四半期ごとに財務省景気予測調査を実施している。
 以下は、平成十五年五月に実施した第八十一回調査結果の概要である。今回の調査では一万五百九十一社を対象とし、八千四百五十一社(回収率七九・七%)から回答を得ている。
 なお、本調査における大企業とは資本金十億円以上の企業を、中堅企業とは資本金一億円以上十億円未満の企業を、中小企業とは資本金一千万円以上一億円未満の企業をいう。

◇景況第1図第1表参照

 平成十五年四〜六月期の景況判断BSI(前期比「上昇」−「下降」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも引き続き「下降」超となっている。
 先行きを全産業でみると、いずれの規模においても「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。

◇売上高第2表参照

 平成十五年度上期の売上高は、全産業合計で前年比〇・六%の増収見込みとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも増収見込みとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、電気機械器具、輸送用機械器具などが減収となるものの、食料品、化学工業などが増収となり、全体では〇・二%の増収見込みとなっている。
 非製造業では、建設、事業所サービスなどが減収となるものの、卸売・小売、不動産などが増収となり、全体では〇・八%の増収見込みとなっている。
 十五年度下期の売上高は、全産業合計で前年比〇・二%の増収の見通しとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業は横ばいの見通し、中堅企業は増収の見通し、中小企業は減収の見通しとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、輸送用機械器具、船舶製造・修理などが減収となるものの、食料品、電気機械器具などが増収となり、全体では〇・四%の増収の見通しとなっている。
 非製造業では、建設、その他の非製造業などが減収となるものの、卸売・小売、不動産などが増収となり、全体では〇・二%の増収の見通しとなっている。
 十五年度通期の売上高は、全産業合計で前年比〇・四%の増収の見通しとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも増収の見通しとなっている。

◇経常損益第3表参照

 平成十五年度上期の経常損益は、全産業合計で前年比一〇・三%の増益見込みとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも増益見込みとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、輸送用機械器具、パルプ・紙・紙加工品などが減益となるものの、電気機械器具、鉄鋼などが増益となり、全体では五・九%の増益見込みとなっている。
 非製造業では、電気、ガス・水道、事業所サービスなどが減益となるものの、卸売・小売、建設などが増益となり、全体では一二・二%の増益見込みとなっている。
 十五年度下期の経常損益は、全産業合計で前年比九・四%の増益の見通しとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも増益の見通しとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、輸送用機械器具、船舶製造・修理などが減益となるものの、電気機械器具、食料品などが増益となり、全体では七・四%の増益の見通しとなっている。
 非製造業では、建設、その他の非製造業などが減益となるものの、卸売・小売、電気、ガス・水道などが増益となり、全体では一〇・六%の増益の見通しとなっている。
 十五年度通期の経常損益は、全産業合計で前年比九・八%の増益の見通しとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも増益の見通しとなっている。

◇中小企業の設備投資第4表参照

 設備投資については中小企業のみを調査対象としている。今回の調査における平成十五年度の全産業の設備投資計画額を前年比でみると、土地購入費を含む場合(以下「含む」という)で一〇・七%減、除く場合(以下「除く」という)で二・二%減の見込みとなっている。なお、前回調査時に比べ、「含む」で一・九%ポイントの上方修正、「除く」で三・七%ポイントの上方修正となっている。
 十五年六月末時点の設備判断BSI(期末判断「不足」−「過大」社数構成比・季節調整済)をみると、全産業は「過大」超となっている。
 先行きについては、全産業でみると「過大」超で推移する見通しとなっている。

◇中小企業の販売製(商)品在庫

 平成十五年六月末時点の在庫判断BSI(期末判断「不足」−「過大」社数構成比・季節調整済)をみると、製造業、卸売業、小売業いずれも「過大」超となっている。
 先行きについては、製造業、卸売業、小売業いずれも「過大」超で推移する見通しとなっている。

◇中小企業の仕入れ価格

 平成十五年四〜六月期の仕入れ価格判断BSI(前期比「上昇」−「低下」社数構成比・季節調整済)をみると、製造業は「上昇」超、卸売業、小売業は「低下」超となっている。
 先行きについては、製造業は「上昇」超、小売業は「低下」超で推移するものの、卸売業は十五年七〜九月期に「上昇」超となった後、十五年十〜十二月期に「低下」超に転じる見通しとなっている。

◇中小企業の販売価格

 平成十五年四〜六月期の販売価格判断BSI(前期比「上昇」−「低下」社数構成比・季節調整済)をみると、製造業、卸売業、小売業、サービス業いずれも「低下」超となっている。
 先行きについては、製造業、卸売業、小売業、サービス業いずれも「低下」超で推移する見通しとなっている。

◇雇用第5表参照

 平成十五年六月末時点の従業員数判断BSI(期末判断「不足気味」−「過剰気味」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「過剰気味」超となっている。
 先行きについては、いずれの規模においても「過剰気味」超で推移する見通しとなっている。
 十五年四〜六月期の臨時・パート数判断BSI(前期比「増加」−「減少」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「増加」超となっている。
 先行きについては、大企業、中堅企業は「増加」超で推移する見通し、中小企業は十五年十〜十二月期に「減少」超に転じる見通しとなっている。
 十五年四〜六月期の所定外労働時間判断BSI(前期比「増加」−「減少」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「減少」超となっている。
 先行きについては、いずれの規模においても「減少」超で推移する見通しとなっている。

◇企業金融第6表参照

 平成十五年四〜六月期の金融機関の融資態度判断BSI(前期比「ゆるやか」−「きびしい」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「きびしい」超となっている。
 先行きについては、いずれの規模においても「きびしい」超で推移する見通しとなっている。
 十五年四〜六月期の資金繰り判断BSI(前期比「改善」−「悪化」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「悪化」超となっている。
 先行きについては、大企業は十五年十〜十二月期に「改善」超に転じるものの、中堅企業、中小企業は引き続き「悪化」超で推移する見通しとなっている。
 十五年六月末時点の金融機関からの設備資金借入判断BSI(前期比「増加」−「減少」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「減少」超となっている。
 先行きについては、いずれの規模においても「減少」超で推移する見通しとなっている。

◇中期的な経営課題第2図参照

 中期的な経営課題(一社二項目以内回答)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「国内販売体制、営業力の強化」をあげる企業が最も多く、次いで、大企業、中堅企業は「新技術、新製品の開発、製品(サービス)の高付加価値化」、中小企業は「後継者、人材の確保、育成」の順となっている。
 業種別にみると、製造業では、大企業、中堅企業は「新技術、新製品の開発、製品(サービス)の高付加価値化」、中小企業は「国内販売体制、営業力の強化」が最も多く、次いで、大企業、中堅企業は「国内工場・営業所の再編、生産・流通工程の見直し等によるコストの低減」、中小企業は「新技術、新製品の開発、製品(サービス)の高付加価値化」の順となっている。非製造業では、いずれの規模においても「国内販売体制、営業力の強化」をあげる企業が多い。





知っておきたい国際・外交キーワード

UNESCO=国連教育科学文化機関

設立:一九四六年
本部:パリ(フランス)

 国際的な「知的協力」機関として活動する国連教育科学文化機関、ユネスコ(UNESCO=United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization)。第二次世界大戦終戦の翌年に誕生したこの機関は、「戦争を招く偏見や無知をなくし、人の心の中に“平和のとりで”を築く」という目標を掲げています。
 「平和は人類の知的及び精神的連帯の上に築かれなければならない」という立場から、ユネスコは、教育、科学、文化及びコミュニケーションを通じて、諸国民の協力を促進する役割を担っています。
 その役割を果たすために、教育の普及と充実、例えば海洋学や生態学のような科学的知識の増進と共有、文化遺産の保存と活用、伝統文化の保護の促進などさまざまな活動を行っています。
 なかでも最も力を入れているのは、教育面の活動です。現在、世界には九億人近くの成人非識字者(文字を読み書きできない人)と一億人以上の不就学児童がいます。そのほとんどは、開発途上国の人々です。このような教育の格差は貧富の差を広げ、国際理解を妨げることとなります。教育の普及なしには世界の連帯や協調、平和も社会開発も望めません。
 そこで、「万人のための教育」を合言葉に、ユネスコは他の国連機関と連携しながら、すべての人々が基礎教育を受けられるようにするための事業に取り組んでいます。
 五一年に加盟した日本も、ユネスコの諸事業に積極的に参加・協力しています。特にアジア・太平洋地域の一員として、域内諸国における教育の普及や科学の振興、文化遺産のための協力などの活動に力を入れています。





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消費者物価指数の動向


―東京都区部(六月中旬速報値)・全国(五月)―


総 務 省


◇六月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成十二年を一〇〇として九七・六となり、前月比は〇・二%の下落。前年同月比は〇・四%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降三年十か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は九七・五となり、前月比は〇・一%の下落。前年同月比は〇・四%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降三年九か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

 総合指数の前月比が〇・二%の下落となった内訳を寄与度でみると、食料、被服及び履物などの下落が要因となっている。
[主な内訳]
食料
 生鮮野菜(六・一%下落)…キャベツ、トマトなど
被服及び履物
 衣料(一・二%下落)…婦人スーツ(夏物)など

三 前年同月との比較

 総合指数の前年同月比が〇・四%の下落となった内訳を寄与度でみると、教養娯楽、住居、食料、家具・家事用品などの下落が要因となっている。
 なお、保健医療などは上昇した。
[主な内訳]
教養娯楽
 教養娯楽用耐久財(一五・八%下落)…パソコン(ノート型)など
住居
 家賃(〇・五%下落)…民営家賃(木造中住宅)など
食料
 生鮮魚介(六・一%下落)…かつおなど
家具・家事用品
 家庭用耐久財(八・四%下落)…ルームエアコンなど
保健医療
 保健医療サービス(一一・〇%上昇)…診療代など

◇五月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成十二年を一〇〇として九八・五となり、前月比は〇・二%の上昇。前年同月比は〇・二%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降三年九か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は九八・二となり、前月比は〇・一%の上昇。前年同月比は〇・四%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降三年八か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

 総合指数の前月比が〇・二%の上昇となった内訳を寄与度でみると、食料、被服及び履物などの上昇が要因となっている。
[主な内訳]
食料
 生鮮果物(一八・八%上昇)…りんご、バナナなど
被服及び履物
 衣料(二・三%上昇)…婦人スーツ(夏物)など

三 前年同月との比較

 総合指数の前年同月比が〇・二%の下落となった内訳を寄与度でみると、教養娯楽、家具・家事用品、被服及び履物などの下落が要因となっている。
 なお、保健医療などは上昇した。
[主な内訳]
教養娯楽
 教養娯楽用耐久財(一五・三%下落)…パソコン(ノート型)など
家具・家事用品
 家庭用耐久財(七・五%下落)…電気冷蔵庫など
被服及び履物
 衣料(二・七%下落)…男児ズボンなど
保健医療
 保健医療サービス(一一・二%上昇)…診療代など





















    <8月6日号の主な予定>

 ▽循環型社会白書のあらまし………環 境 省 

 ▽労働力調査(五月)………………総 務 省 

 ▽月例経済報告(七月)……………内 閣 府 




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