官報資料版 平成15年9月17日




                  ▽観光白書のあらまし………………国土交通省

                  ▽毎月勤労統計調査(六月)………厚生労働省

                  ▽家計収支(六月)…………………総 務 省











観光白書のあらまし


国土交通省


 「平成十四年度観光の状況に関する年次報告」及び「平成十五年度において講じようとする観光政策」(二つを併せて「観光白書」と称している)が去る六月十日、閣議決定の上、国会に提出された。

[平成十四年度観光の状況に関する年次報告]

T 観光の現状

1 国民の国内宿泊旅行の動向
 平成十四年において、国民一人当たり国内宿泊旅行回数は平均二・四九回(対前年比八%増)、国内宿泊観光旅行回数は平均一・四一回(対前年比一%減)であり、また、国内宿泊旅行日数は平均四・六五泊(前年比八%増)、国内宿泊観光旅行日数は平均二・二四泊(対前年比増減無し)と、国内宿泊観光旅行は下げ止まりの兆しがみられる(第1図参照)。

2 国民の海外旅行の動向
(1) 平成十四年における日本人海外旅行者数は一千六百五十二万(対前年比一・九%増)となった。
 一方、後に述べるように、訪日外国人旅行者数は五百二十四万人(対前年比九・八%増)となり、初めて五百万人を突破し過去最高を記録した(第2図参照)。
(2) 海外旅行の旅行先(受入国(地域)統計)をみると、上位五位はアメリカ、中国、韓国、香港、タイの順となっており、アメリカは減少傾向、中国は増加傾向にある。
(3) 海外旅行者の性別構成をみると、男性は全体の五五・二%に当たる九百十二万人、女性は全体の四四・八%に当たる七百四十万人であり、男性の比率がやや増加した。また、年齢階層別にみると、男性は三十歳代が二百四万人(男性全体の二二・四%)、女性は二十歳代が二百十万人(女性全体の二八・四%)が一番多くなっている。

3 旅行関連支出の推移
 近年は消費支出総額が減少している中、旅行関連支出が占める割合も低下しており、旅行関連支出は総消費支出よりもさらに切り詰められている様子がうかがえる。一方、自由時間関連支出に占める割合でみると横ばいとなっており、自由時間の中での旅行の位置づけは変わっていないものと推察される(第1表参照)。

4 国民の旅行に対する意識の動向
(1) 国民生活に関する世論調査で「レジャー・余暇生活」についての満足度をみると、「満足している」とする者の割合は五八・九%と前年調査よりその割合は高くなっている。
(2) 国民の余暇活動ごとの潜在需要を、参加希望率から実際の参加率を引いた数値でみてみると、第一位は「海外旅行」三四・三%、第二位が「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」一八・二%となっており、観光旅行に対する潜在需要は依然として他の活動に比べ高い(第3図参照)。

5 外国人訪日観光の動向
(1) 平成十四年における訪日外国人旅行者数は五百二十四万人(対前年比九・八%増)となり、過去最高を記録した(第2図参照)。
(2) 国籍別の訪日外国人旅行者数は、韓国が日韓共催のワールドカップサッカー大会が開催されたこともあり、対前年比一二・二%増の百二十七万人と順調な伸びを維持し、四年連続で首位となった。次いで、台湾八十八万人(同八・七%増)、アメリカ七十三万人(同五・七%増)、中国四十五万人(同一五・六%増)、香港二十九万人(同一〇・八%増)の順となっている。特に訪日団体観光旅行が解禁された中国は特に観光客が好調な成長を維持している。大陸別にみると、アジアが約三分の二を占めている(第4図第5図参照)。

6 世界における国際観光の状況
 平成十三年に各国が受け入れた外国人旅行者総数(国際観光旅行者総数)は六億九千二百五十八万人(対前年比〇・六%減)となり、前年に比べるとわずかに減少している。
 地域別に外国人旅行者受入数をみると、ヨーロッパが四億人を超えて、世界の半数を超える五七・八%を占めている。日本を含む東アジア・太平洋は、一億人程度と実数は少ないが、一三%程度の伸びを示しており、今後このエリアを到着地とする旅行者が急増する兆しがうかがえる。

7 観光の経済に与える影響
 平成十三年の観光消費の経済効果は、生産波及効果が四十八兆八千億円、雇用創出効果が三百九十三万人と推計されている。このように、観光は、関連する幅広い産業を包含した「産業」であり、二十一世紀のリーディング産業として注目を集めている(第6図参照)。

U 観光をめぐる課題〜訪日外国人旅行者倍増に必要なこと〜

1 我が国の国際観光交流
(1) 昭和四十年代前半までは訪日外国人旅行者数が日本人海外旅行者数を上回っていたが、現在は日本人海外旅行者数が円高の影響等で大幅に伸びたことなどから、アンバランスな国際観光交流となっている。
 訪日外国人旅行者数(二〇〇一年)は世界で三十五位、アジアで九位。
 日本人海外旅行者数(二〇〇〇年)は世界で十位、アジアで二位。
 特に、訪日外国人旅行者数は、一九九〇年の五位から中国、マカオ、インドネシア、韓国に抜かれ九位となり、アジアの中でも低位な伸びであった(第2表参照)。

2 訪日外国人旅行者の行動と受入れ体制の実態
(1) 訪日外国人旅行者の日本での行動
 外国人の都道府県別訪問率は、一位が東京都(五六・五%)で半分以上の外国人が訪れており、以下、大阪府(二五・二%)、京都府(一五・八%)、神奈川県(一五・六%)、千葉県(一一・二%)の順となっている(第3表参照)。
(2) 外国人旅行者が感じる日本の問題点
 宿泊施設に関して、訪日前では「言葉」(二二・三%)、「料金」(一六・〇%)の心配を挙げた者が多くみられた。訪日後の評価でも、「料金」(二一・九%)、「言葉」(一九・四%)が多く、五人に一人がこれらの点に問題を感じたと回答している(第7図参照)。
 利用交通機関に関して、新幹線(長距離列車を含む)は、プラス評価としては、「便利」、「時間に正確」、「清潔・きれい」、マイナス評価では、「運賃・料金が高い」、「標識・表示がわかりにくい」、「外国語表記案内がない」などがみられた。
 地下鉄(近距離電車を含む)は、新幹線と同様の評価のほかに、マイナス評価で「混んでいる」、「路線が複雑」などがみられた。
 タクシーは、プラス評価で、「親切」、「清潔・きれい」、マイナス評価で、「運賃・料金が高い」、「言葉が通じない」などがみられた(第8図参照)。
 観光施設に関して、「施設までの標識」は、プラス評価三六・七%、マイナス評価一七・〇%で、「施設内の案内板」は、プラス評価二九・九%、マイナス評価一一・四%であり、また、「パンフレット」は、プラス評価二五・四%、マイナス評価一〇・四%となり、英語以外の言語が不十分など明確に不便を感じた者が一割以上いたという事実を重視し、改善を要するものと考えられる(第9図参照)。
(3) 市区町村の取組みと課題
 @ 市区町村が現在実施している外国人旅行者の受入れに関する取組みは、「外国語版観光案内パンフレット・ガイドブックの作成・配布」(三一・三%)が最も多く、次いで「道路標識、観光案内標示等の多言語化」(一七・六%)、「国際交流イベント等の開催」(一三・七%)と続く(第10図参照)。
 A 市区町村の外国人旅行者の誘致・受入れ施策への今後の取組み姿勢は、全国でみると積極的な姿勢が一〇・二%、消極的な姿勢が三六・七%であった。消極的な市区町村の理由としては「知名度のある観光地や交通ターミナルからの交通の便が悪く、集客が見込めないから」(五一・八%)が最も多く、次いで「外国人旅行者にアピールしそうな魅力的な観光資源が少ないから」(五〇・一%)、「外国人旅行者対応の施設整備やスタッフの増強等コストの負担が大きいから」(三一・五%)が続き、経費面の負担がネックになっていることなどがうかがえる。
 B 市区町村が外国人旅行者の誘致・受入れを進めるに当たって国に要望したい事項としては、「観光地案内標識等の標示・案内等の充実・多言語化」(三二・〇%)が最も多く、次いで、「観光案内所の充実」(二六・九%)、「人材の育成」(二六・七%)が多い(第11図参照)。
(4) 観光関連施設等の取組みと課題
 @ 施設等が現在実施している外国人旅行者の受入れに関する取組みとしては、「外国語版観光案内パンフレット・ガイドブックの作成・配布」(六四・〇%)が最も多く、次いで「外国語の案内板・説明板の設置」(三〇・六%)、「外国語版ホームページの開設・運営」(一五・〇%)が続く(第12図参照)。
 A 施設等が外国人旅行者向けの情報提供や案内標識、緊急時等に対応可能な外国語としては、「英語」(六四・三%)が最も多く、次いで「韓国語」(一六・八%)、「中国語(簡体字)」(一三・二%)、「中国語(繁体字)」(八・七%)と続く。
 B 施設等の外国人旅行者の誘致・受入れの取組み姿勢については、積極的な姿勢を示しているのが二七%程度あり、市区町村の数字一〇%程度を大きく上回っており、意識の高さがうかがえる。
 また、消極的な姿勢は一一・一%あるが、これらの施設等に消極的である理由を尋ねると、「知名度のある観光地や交通ターミナルからの交通の便が悪く、集客が見込めないから」(四〇・五%)、「外国人旅行者対応の施設整備やスタッフの増強等コストの負担が大きいから」(四〇・五%)が並んで最も大きな理由となっている。
 C 施設等が外国人旅行者の誘致・受入れを進めるに当たって国に要望したい事項としては、市区町村と同様に「観光地案内標識等の標示・案内等の充実・多言語化」(四五・三%)が最も多く、次いで、「観光案内所の充実」(四〇・五%)が挙げられている。これに続けて「訪日促進キャンペーンの実施」(三二・四%)、「インターネットによる観光情報の提供、宣伝活動」(三二・一%)、「国際観光振興会(JNTO)の活動強化」(一五・六%)も多く、海外への情報提供面での国の取組みへの期待も大きいことが分かる(第13図参照)。

3 外国人旅行者訪日促進に関する政府の最近の動き
(1) 第百五十四回国会における小泉内閣総理大臣施政方針演説(平成十四年二月)において、海外からの旅行者の増大、それに伴う地域の活性化を言及した。
(2) 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二」を閣議決定(平成十四年六月)において、経済活性化戦略の一つとして「観光産業の活性化・休暇の長期連続化」が取り上げられ、グローバル観光戦略の構築等が記述された。
(3) 平成十四年三月以降五回の副大臣会議において観光振興に関する議論が行われ、「観光振興に関する副大臣報告書」が同年七月四日にとりまとめられた。
(4) 国土交通省は、関係府省の協力を得て、また民間団体等からのヒアリング・意見交換、さらにはパブリックコメントを経て、「グローバル観光戦略」を策定し、平成十四年十二月の閣僚懇談会において、扇国土交通大臣が報告した。
(5) 第百五十六回国会における小泉内閣総理大臣施政方針演説(平成十五年一月)において、観光の振興に政府を挙げて取り組むこと、特に二〇一〇年に訪日外国人旅行者を倍増させることを目標とすることを言及した。
(6) 平成十五年三月には、国土交通大臣を座長とする「グローバル観光戦略を推進する会」が開催された。会は観光その他関係民間五十一団体・企業の参加を得て行われ、堤副座長((社)日本ツーリズム産業団体連合会会長)より、グローバル観光戦略を強力に推進するためのアピールが提案され採択された。
(7) 平成十五年一月に内閣総理大臣主宰の観光立国懇談会の開催が決定され、一月二十四日の第一回を皮切りに、四回の懇談会に加え、数回にわたる有識者のみの会合が開催された。
 この懇談会では、幅広い観点から我が国の観光立国としての基本的なあり方が検討され、平成十五年四月二十四日、「住んでよし、訪れてよしの国づくり」を副題とする報告書がとりまとめられた。
(8) 観光立国懇談会の報告書を受け、関係行政機関の緊密な連携を確保し、観光立国を実現するための施策の総合的な推進を図るため、平成十五年五月に観光立国関係閣僚会議を開催した。

4 ビジット・ジャパン・キャンペーン
(1) 外国人旅行者の訪日を促進するためには、まず、外国人に日本に旅行しようという気持ちを起こさせ、また実際に日本に向けての魅力ある旅行商品が購入できる環境づくりをしなければならないが、我が国の海外広報予算は他国に比べて決定的に不十分であった。
(2) ビジット・ジャパン・キャンペーンは、外国人旅行者の訪日を飛躍的に拡大することを目的とした国、地方公共団体及び民間が共同して取り組む、国を挙げての戦略的なキャンペーンであり、訪日促進の重点市場を絞り(当面、韓国、台湾、米国、中国、香港の五地域)、次のような事業を実施する。
 ・重点市場ごとの旅行市場としての特性の調査(マーケット・リサーチ)
 ・日本への旅行そして日本の魅力の徹底的なPR
 ・日本への旅行商品の造成の促進
 ・個々の施策の効果の評価
 ・日本の観光に関する総合的な情報サイトの構築
(3) 国、地方公共団体、民間団体・企業が共同で事業を展開することが効果的と考え、ビジット・ジャパン・キャンペーン実施本部、執行委員会及び事務局といった組織整備を行った。
(4) 十五年度からのキャンペーンの本格的な展開の事前準備のための経費として、十四年度補正予算が認められ、重点五市場ごとの市場調査や海外観光関係者の招請、地方における会議等の実施、パンフレット等キャンペーン・ツールの作成、ロゴ・キャッチフレーズの策定を行った。

5 訪日外国人旅行者を倍増させるための課題
(1) 国際空港やアクセス鉄道・道路の整備、観光コスト高の是正、査証取得の簡素化・迅速化等、魅力ある観光交流空間づくり等の着実な実現や高等教育機関における観光関連学部の設置等人材育成、国民の外国人に対するホスピタリティの向上などの課題が挙げられるが、それとともに、次の点に十分留意する必要がある。
(2) 国土交通省は関係府省と協力して、また地方公共団体・関係民間団体等と連携して日本の観光魅力の徹底PR等を行うビジット・ジャパン・キャンペーンを、一過性のものとならないよう、継続的かつ強力な展開を必要とする。
(3) 今後はアジアからも欧米諸国の観光旅行者のように個人客が増えることが想定されることから、多言語の案内標識、案内所など外国人が一人歩きできるような環境を積極的に整備していく必要がある。
(4) 政府としては、観光立国懇談会報告書を踏まえて、またグローバル観光戦略等に基づき、二〇一〇年までに我が国を訪れる外国人旅行者を一千万人にするとの目標を達成し、さらに世界に開かれた観光大国となることを目指して、観光立国に向けての施策を強力に推し進める。

V 外国人旅行者訪日促進施策

1 日本の観光魅力の広報・宣伝活動
(1) 国際観光振興会は、十四年度には、韓国、中国、米国を対象に訪日旅行促進キャンペーンを実施したほか、六言語によるJNTOウェブサイト(平成十四年度総アクセス件数一千九百六十万件)を運営するなど、積極的に日本の観光魅力の広報、宣伝活動を行っている。
(2) 在外公館は、対日理解の増進のため様々な努力を行っており、特に三十か所に「広報文化センター」を設置し、我が国の政策、一般事情及び文化の紹介活動を行っている。また国際交流基金の事業や日本放送協会(NHK)の国際放送などでも、我が国の文化等の紹介等を行っている。

2 外国人旅行者の受入れ体制の整備
(1) 「国際観光テーマ地区」において、外国人による診断に基づく受入れ体制の整備を推進する「外客受入重点地域整備促進事業」を中部・北陸地域において実施した。
(2) 外国人旅行者向けの観光案内所や案内表示・案内標識の整備を推進した。
(3) 通訳案内業法による通訳案内業免許制度により通訳案内の質の向上を図るとともに、善意通訳(グッドウィル・ガイド)の普及拡大を図っている。
(4) 一千四百二十六郵便局において外国通貨の両替及び旅行小切手の売買のサービスを提供している。

3 低コスト観光の提供
 旅行業者による外国人旅行者向け国内旅行商品の提供、ウェルカムカード、外国人旅行者向け割引運賃等、外国人旅行者の国内旅行費用の低廉化のための取組みも各方面でなされている。

4 国際コンベンション等の振興
 国際コンベンションの誘致に向けた取組みを行うとともに、二〇〇五年日本国際博覧会(愛・地球博)の開催に向けた支援などを行った。

5 世界の国々との観光交流強化の取組み
(1) 日中国交正常化三十年を記念し、五月に日本、九月に中国双方で大々的な文化観光交流事業を実施した。
 また二〇〇二年日中韓国民交流年として、特に文化・観光分野の交流促進が図られた。
(2) 中国国民訪日団体観光旅行は、二〇〇二年末現在で二千五百二十七団体、五万一千三百五名となっている。十五年二月には日本側指定旅行会社が七十七社となった。また、十五年二月から、在上海日本国総領事館でも訪日団体観光ビザの発給が開始された。
(3) 十七回目の日韓観光振興協議会を、十四年十二月に沖縄にて開催し、相互観光交流の拡大施策や、両国共同誘客施策の可能性などについて意見交換した。
(4) 十四年二月、小泉総理・ブッシュ大統領会談で、日米観光交流の一層の促進が合意された。そして、一千人規模の官民合同使節団を日本からハワイ及びニューヨークに派遣し、交流行事を実施した。また、同年四月、観光交流拡大に関する了解覚書を取り交わし、日米両国間の観光交流を今後五年間で、二〇〇一年の水準から二〇%程度増加させることを目標に、日米観光交流促進協議を相互に開催することとし、同年八月、ハワイにて第一回日米観光交流促進協議会ワーキンググループを開催するなど、観光交流促進の具体策について検討している。
(5) 国際民間交流の拡大に向けて、ワーキング・ホリデー制度は、七か国との間で実施している。

6 外国人旅行者の出入国手続きの円滑化
 適正な出入国管理を行うために査証審査を厳格に行う一方、人的交流を促進する観点から、査証発給手続の簡素化・迅速化を推進するなど、出入国管理、査証発給手続き、検疫、通関等の各種手続き等の円滑化を図った。特に、ワールドカップサッカー共同開催時には、韓国人に対する期間限定査証免除措置を実施した。

7 二〇〇二年ワールドカップを契機とした観光振興
(1) 訪日外国人旅行者の増大に対応し、大会開催期間中、羽田空港への国際チャーター便の乗り入れを昼間の時間帯にも認めたり、新幹線の深夜運行が実施されたほか、全国で延べ二千三百本を超える臨時列車が運行されるなど、航空、鉄道等の輸送力の増強が図られた。
(2) 五月十五日から六月三十日までの間、日韓両国が相互に出入国管理担当職員を派遣し、入国許可の可否の事前確認を行う「プレクリアランス」を実施した。
(3) 国土交通大臣が日本への訪問を直接呼びかける「訪日促進ビデオ」を作成し、日本の航空会社の国際線機内や空港ロビーで放映された。
(4) 日韓の連携のもとに電子乗車券、世界初の複数通貨対応電子マネー等の機能を複合した多機能ICカードプロジェクトを実施した。
(5) 大会開催期間中、交通関係事業者により様々な外国人特別割引運賃制度が実施された。
(6) ワールドカップに関する総合的な情報を六か国語で提供するホームページ「ワールドカップ情報室」を開設した。
(7) ジャパン・トラベル・サポート事業として、東京に英語以外の九言語に対応できる通訳案内要員が待機する「中央コールセンター」を設置するとともに、開催地には、自治体の協力を得て観光案内所等に英語等で対応できる「地方コールセンター」が設置され、電話によるサポートサービスを行った。

W 国民の観光旅行促進施策

1 国民の観光需要の喚起
(1) 都道府県及び観光関係団体・企業等により、旅の総合見本市「旅フェア二〇〇二」が開催されたり、消費者の国内観光への関心を高めるための全国規模のPR活動と国内観光の質的向上運動の二つを柱とした「リアル・ジャパン・キャンペーン」が展開されている。
(2) 電子地図上に様々な情報を表示する地理情報システム(GIS)を活用した携帯情報端末への観光情報の提供について、官民を挙げて、その整備・利用促進を図っている。
(3) (社)日本観光協会が、インターネット上でリアルタイムに全国の観光情報を提供する「全国地域観光情報センター」を開設している。
(4) 平成十五年三月末現在、全国百六十二のコミュニティ放送局が開局し、観光地、各種行事の案内等の番組を放送している。

2 休暇取得の促進
(1) 労働時間は昭和六十三年以降のトレンドとしては大幅に減少しているが、近年は横ばい傾向にあり、平成十四年において、労働者一人平均年間総実労働時間は一千八百三十七時間(うち所定内労働時間一千七百時間)(事業所規模三十人以上の企業。以下、この項同じ)になった。また、平成十三年一年間における労働者一人平均の年次有給休暇の付与日数は一八・一日、そのうち労働者が取得した日数は八・八日で、取得率は四八・四%になっている。
 休日・休暇を国際比較すると、我が国は祝日は多いが有給休暇の取得が諸外国に比べて極めて少ない状況にある。
(2) 国民が有給休暇を活用した「ゆとり休暇」を年間を通じて計画的に取得できるような社会・環境を醸成するため、次の事業を展開した。
 @ 「休暇制度の在り方と経済社会への影響に関する調査研究委員会」は、年次有給休暇の完全取得が実現した場合、十二兆円の経済波及効果と百五十万人の雇用創出効果があることを明らかにした報告書『休暇改革は「コロンブスの卵」』をまとめた。
 A 観光対策関係十二省庁は連名で「ゆとり休暇」の取得を呼び掛ける広報を、地方自治体及び業界・企業等関係者の協力を得ながら行った。
 B ゆとり休暇取得促進キャンペーンの展開
(3) 観光振興に関する副大臣会議において、「関係府省は連携・協力して、学校における長期休業日の分散化を推進する環境を整備する」よう提言されたことを受け、各都道府県教育委員会に対し、学校における長期休業日の分散化について教育上の意義等を勘案して検討するよう依頼した。
 また、全国の小・中学校を対象として、休業日日程の現状についての調査を行い、学校独自の工夫例を収集・公表した。
(4) 社団法人日本ツーリズム産業団体連合会は、平成十四年度から「秋休みキャンペーン」を実施している。

3 多様な旅行商品の提供
(1) 旅行にかかわるインターネット取引は急速に拡大し、利用者の利便増進をもたらしており、旅行にかかわるインターネット市場規模は二〇〇六年には二兆三千七百七十億円に拡大すると予測されている。
(2) 航空、乗合バス、鉄道、タクシー等公共交通機関や高速道路において、各種割引運賃・チケット等が設定されるなど多様な商品の提供が進んでいる。

4 旅行業等に係る施策
(1) 旅行業や観光土産品等における公正な競争を確保し、一般消費者の適正な商品選択に資するため、「不当景品類及び不当表示防止法」(以下「景品表示法」という)に基づいて、各旅行業及び観光土産品の公正取引協議会に対し指導を行った。旅行業公正取引委員会は研修会を開催し公正な競争確保の取組みを行った。また土産品公正取引委員会では適正表示・包装の土産品に対し認定マークを交付した。

5 日本人の海外旅行の円滑化
 出入国管理、検疫、通関等の円滑化を図るとともに、海外での薬物犯罪及び持込み防止策、銃器持込み防止対策、海外での児童買春防止対策などを講じた。

X 観光交流空間の形成

1 観光資源を活用した観光の振興
(1) 地域の創意工夫により当該地域の自然、文化、歴史等を活用した個性的な観光まちづくりを進めるための施策「観光まちづくりプログラム策定推進事業」を実施した。
(2) 自然を題材にしてインタープリター(自然ガイド)の解説を受けながら自然の不思議さや面白さを味わう自然ガイドツアーの造成を推進するため、インタープリターを育成するためのセミナーの開催、事業経営マニュアルの作成等を行った。
(3) 地域伝統芸能等観光振興への活用を推進するため、都道府県が策定する基本計画に沿って実施される地域伝統芸能等を活用したイベントに対して支援を行った。
(4) 自動車旅行者をターゲットに点在する観光資源を魅力ある観光ルートとして紹介するため、一定のテーマコンセプトをもとに広域観光案内板等を整備する「広域観光テーマルート整備事業」を実施した。
(5) 農山漁村に滞在して、余暇活動を楽しむグリーン・ツーリズムについては、農山漁村から都市への情報発信を担い得る人材育成、子どもたちの農林水産業・農山漁村体験活動の促進等を実施した。
(6) 産業観光の振興を図るため、モニターツアー実証実験によるニーズ把握や振興方策調査、産業観光施設マップの作成など地域の取組みに対する支援を行った。
(7) 北海道の観光振興策の推進
 観光基盤の整備、観光資源情報ネットワークの充実、アウトドア活動に資する施設整備や農山漁村における自然体験型活動等の積極的支援により、北海道の特色を活かした観光振興の支援を行った。
(8) 沖縄の観光振興策の推進
 沖縄県観光振興計画により、今後の観光客数を平成十六年五百十万人、平成二十三年六百五十万人と定めるなど各種指標を掲げ、具体的な施策を戦略的かつ重点的に推進するとともに、新たに指定された五地域を含め十四地域を観光振興地域として定めた。
 新たな観光拠点施設として、国営沖縄記念公園海洋博覧会地区に世界的規模の水族館「沖縄美ら海水族館」を十一月に開館させたのをはじめ、観光関連施設、基盤の整備を推進した。
(9) 豪雪地帯、離島地域、奄美群島・小笠原諸島、半島地域の観光対策の推進を実施した。

2 「観光カリスマ百選」の選定・公表
 従来型の個性のない観光地が低迷する中、魅力と集客力のある観光地を作っていくには、地域に根ざして観光振興に全力を注ぐ人材の育成が有効な手段であることから、人材育成を支援するため、各地で観光振興を成功に導いた先達となる人々を「観光カリスマ」と呼び、選定・公表している。

3 観光地の環境づくり
(1) 町並み景観、農山漁村景観、水辺景観、道路景観の形成のための事業を実施し、観光地の景観づくりを推進した。
(2) 公共交通機関、歩行空間、道路交通環境、観光地、地域福祉、宿泊施設、文化施設、水辺空間などの事業を実施し、高齢者・身体障害者等の円滑な移動の確保を推進した。
(3) 魅力ある観光空間、自然を活用した交流、文化遺産の活用など観光資源を活用した地域づくりを実施した。

4 自然の保全
 自然環境の保全、温泉の保護、野生生物の保護、観光資源保護活動、環境衛生施設の整備など自然の保全のための施策を推進した。

5 文化遺産の保全
 文化財の保護、歴史的風土の保存、世界遺産の保存など文化遺産の保全のための施策を推進した。

6 観光関連施設の整備
 博物館等の文化施設、体育・スポーツ施設、オートキャンプ場・旅行村、過疎地域、森林・公園、自然体験施設、親水レクリエーション施設などの観光レクリエーション施設の整備を推進した。

Y 旅客輸送の充実

(1) 十四年十二月一日に東北新幹線盛岡・八戸間が開業、成田空港の暫定平行滑走路の供用を開始するなど旅客輸送施設の整備を実施した。
(2) 羽田空港において、深夜早朝時間帯の運行可能便数を増加させるなど国際航空と外航海運の充実を図った。

Z 観光産業の動向

(1) ホテル・旅館のうち、外客の宿泊に適した一定水準以上の施設を有するものについては、「国際観光ホテル整備法」に基づき登録し、その施設整備を支援しているほか、これらの登録ホテル・旅館の宿泊情報を外国人に提供した。
(2) 平成十三年の米国同時多発テロ事件、イラク攻撃、バリ島爆弾事件、またSARS問題等により、その度に旅行者が減少するなど観光は大きな打撃を受けた。そのため、国民の安全確保に努めるとともに、旅行客の減少により打撃を受けた旅行関連事業者への緊急融資などの措置を講じた。
(3) 旅行の一部を構成する外食業の平成十三年の市場規模は、余暇市場全体の一五・四%を占めている。ただし、外食業の市場規模の推移は、前年より一・二%の減少となっており、景気低迷による個人消費額の低下、低価格競争の影響などがうかがえる。
(4) 日本ツーリズム産業団体連合会は、ツーリズム産業の重要性についてその社会的な認知と理解を高めるため、「ツーリズムサミット二〇〇二」の開催など積極的な活動を行った。

[ 観光に係る安全確保対策

(1) 外務省海外安全相談センターは、事件・事故にあった日本人に対して迅速かつ適切な援護と積極的な情報提供・広報活動を行った。また、国際観光振興会は、日本人海外旅行者の安全確保のための情報提供をするとともに、各海外観光宣伝事務所において相談・案内業務を実施した。
(2) 鉄道、道路交通、航空、海上交通等旅客輸送の安全確保対策を推進した。
(3) 消防法などに基づいて、宿泊施設、林野の火災防止対策を推進した。
(4) 土砂災害、なだれ等のおそれがある観光地において、自然災害防止対策を推進した。
(5) ホームページにおいてリアルタイムでの気象情報の提供等を推進した。
(6) 山岳遭難及び水難の防止対策を推進するとともに、観光地においても旅行者の安全対策の整備を実施した。

[平成十五年度において講じようとする観光政策]

T 外国人旅行者訪日促進のための戦略的取組み

1 日本の観光魅力の戦略的な広報・宣伝活動
(1) ビジット・ジャパン・キャンペーン
 訪日外国人旅行者数と日本人海外旅行者数の格差の早期是正に向けて、諸外国と比較して不十分かつ見劣りがする外客誘致活動を量、質の両面で飛躍的に強化するため、韓国、米国、中国、香港、台湾を重点市場と位置づけた上で、当該重点市場を対象に、国・地方・民間共同による国を挙げてのキャンペーンである「ビジット・ジャパン・キャンペーン」(キャンペーン中核事業二十億円)を実施する。
 十五年度事業の基本方針は、以下のとおりである。
 @ 重点市場ごとに、旅行市場としての特性に応じて、その実施時期、内容等が効果的な施策を選択し、こうした施策を組み合わせて展開する。その際、可能な限り、対象市場の政府や旅行・メディア関係者の協力が得られるよう留意する。
 A 国内に対しても、訪日外国人旅行者の増大施策の意義について全国民的な理解とこの事業に対する協力・支援が得られるよう、効果的な施策を展開する。
 B 国に加え、地方自治体又は民間企業・団体等が共同で実施することにより、事業の規模及び効果が拡大することとなる施策を優先して実施する。
 C 施策の実施後は、必ず、その施策の効果を検討・評価し、その結果をその後の施策の選択と展開に反映する。
 具体的には重点市場ごとの旅行市場としての特性に応じて、以下の施策を組み合わせて実施する。
   @メディア・ミックスを活用した広告キャンペーン、Aメディアセールス、B現地におけるイベント等の実施、C訪日旅行ツアー商品の造成支援、Dジャパン・トラベル・スペシャリスト育成、Eウェブサイトでのキャンペーン情報の発信、F国内におけるキャンペーンイベントの実施等

2 国際観光振興会による広報・宣伝活動
(1) ビジット・ジャパン・キャンペーンの対象とならないタイ及びその周辺国、オセアニア州、カナダ及び欧州の準有望市場に重点を置き、旅行会社、メディア向けのセミナーの開催、報道関係者の招請、取材協力による日本紹介記事・番組制作の支援を地方公共団体、航空事業者、旅行会社等関係者と協力して実施する。
(2) 地方公共団体、航空事業者、旅行会社等の関係者と協力して、世界各地で開催される主要旅行見本市に出展参加し、各市場の一般消費者、旅行業界関係者に最新の旅行情報を提供して訪日旅行の販売を促進する。

3 在外公館等による日本の紹介活動
(1) 在外公館は、各種広報媒体を利用し日本の紹介活動を積極的に展開する。
(2) 諸外国の対日理解の促進及び在外邦人に対する必要な情報の提供のため、我が国の国際放送の一層の充実を図る。

4 訪日外国人の受入れ・交流の促進
(1) 外国人による受入れ体制整備の状況診断を基に、国際観光地としての整備指針をとりまとめ、地域関係者が一体となって受入れ体制の改善を推進する。
(2) 外国人旅行者が周遊できる観光ルートを整備する国際観光テーマ地区整備を進めるとともに、地域の歴史文化の紹介機能や体験機能を備えた国際交流拠点施設を整備する。
(3) 博物館、宿泊施設、飲食店等で割引等の優遇措置を受けられる「ウエルカムカード」及び外国人向けの割引運賃の導入・普及、外国人旅行者の利用に適した低廉な宿泊施設の紹介により外国人旅行者の国内旅行費用の低廉化を図る。
(4) 「i」案内所の整備、善意通訳(グッドウィル・ガイド)の普及、地域限定通訳案内業制度、空港・駅等や観光地における外国語、外国人にもわかりやすい案内表示の整備により、外国人が快適で円滑な旅行ができるよう受入れ体制の整備を図る。
(5) 国際コンベンションの振興を図るため、誘致の促進、開催の円滑化を柱とした総合的な施策を講じる。
(6) 二〇〇五年日本国際博覧会(愛・地球博)の開催に向けて、(財)二〇〇五年日本国際博覧会協会が行う会場建設等の実施を支援する。
(7) 訪日観光客の多数を占める東アジア内の複数都市において共通に利用できる複数通貨対応交通系ICカードについて、研究・実証実験を行うことにより、その開発・普及を促進する。

5 国際協力の推進等
(1) 観光関係二国間協議を我が国と密接な関係を有する国との間で開催し、観光交流の促進を図る。また、日本・シンガポール新時代経済連携協定の枠組みにおいて観光の発展と促進のため、シンガポールとの間で二国間協議の開催を含めた協力を強化する。
(2) 本年は、ペリー来航百五十周年に当たることから、広範な分野での日米交流事業の実施が予想され、十五年四月には閣僚級での第一回日米観光交流促進協議会と官民合同による同ワーキンググループを開催し、両国間の観光交流の促進を図る。

6 外国人旅行者の訪日の円滑化
 出入国管理の適正・円滑化等を図る。

U 国民の観光旅行促進のための取組み

1 休暇取得促進の啓蒙活動
 年次有給休暇を活用した「ゆとり休暇」取得のための環境整備を推進し、国民の生き甲斐の増加や景気浮揚等を図り、豊かで暮らしやすい活力ある社会の創出を図る。

2 旅行需要の喚起
(1) 国内観光のレベルアップ運動等の活動支援として、リアル・ジャパン・キャンペーンを推進する。
(2) 都道府県等の地域側と旅行関連産業が連携し、総合的な情報提供を行う旅の総合見本市「旅フェア二〇〇三」を開催する。
(3) 情報通信ネットワークの進展等の観光情報提供の高度化を図る。
(4) 都市と農山漁村の間で「人・もの・情報」が循環する「都市と農山漁村の共生・対流」を推進する。

3 日本人海外旅行の円滑化施策
 適正で円滑な出入国管理の手続きを図るとともに、海外での感染症予防対策及び検疫の迅速化等に努める。

V 観光交流空間の形成に向けた取組み

(1) 地域の観光振興の自主的な取組みをソフト・ハードの両面から総合的に支援する観光交流空間づくりモデル事業を創設し、連携施策の調査・検討を実施する。
(2) 地域の創意工夫により当該地域の自然、文化、歴史等を活用した個性的な観光まちづくりをすすめるために「観光まちづくりプログラム策定推進事業」を実施する。
(3) インタープリテーションプログラム(自然ガイドツアー)の導入による観光地の振興を図るため、ツアープログラムのモデル的開発調査、自然ガイドツアーの普及促進方策にかかる調査・検討等を行う。
(4) 農山漁村に滞在して、余暇活動を楽しむグリーン・ツーリズムは、健康、ゆとり、やすらぎなどを求める都市住民の多様なニーズに十分対応できるよう、都市部における潜在需要の掘り起こしと農山漁村における受入れ体制づくりを総合的に推進する。
(5) 地域伝統芸能等を活用し、地域の特色を活かした観光の振興を図る。平成十五年度は「第十一回地域伝統芸能全国フェスティバル」を広島市において開催する。
(6) 広域観光テーマルート整備事業を行うほか、高齢者等の観光の促進等を目的としたバリアフリー観光空間整備事業を実施する。
(7) 国際観光振興会を活用して海外での映画のロケ隊誘致宣伝活動を行う等、フィルム・コミッションの活動を支援する。
(8) 良好な街並み景観、農山漁村景観、水辺景観、道路景観などの形成を図る事業を推進するとともに、観光地、交通機関等における高齢者・身体障害者等の円滑な移動の確保の施策の推進を図る。
(9) 地域固有の資源を有効に活用しつつ、各地域が主体的に実施する観光を活かした地域づくりを支援するため、水源地域ビジョン、賑わいの道づくり事業、水辺プラザの整備、シンボルロード整備事業、身近なまちづくり支援街路事業を推進する。
(10) 豊かな自然を活用した観光交流を支援するため、グリーンツーリズム、森林環境教育活動の場、ホーストレッキング用馬の道、ふるさと自然ネットワーク、子どもパークレンジャー事業、リバーツーリズムを推進する。
(11) 歴史的集落・町並み等を保存整備し、保存地区の活性化を図り、文化遺産を活用した地域づくりの推進を図る。
(12) ITを活用した観光ポータルサイト、道の駅、駐車場案内システムの整備により、国民への観光情報提供を推進する。
(13) 北海道において、地域資源を活用した「わが村は美しく―北海道」運動、広域観光ルートの魅力増進を図り、地域と一体となって景観保全、整備を行うシーニックバイウェイ・プログラムを実施する。
(14) 沖縄において、観光案内標識や観光利便施設の整備、多様なニーズに対応できる質の高い人材の育成、多様な情報提供を可能とする共通プラットホームの構築、観光関連産業の連携を図るための沖縄観光土産品対策などを新たに推進する。また、沖縄都市モノレールの開業、国立劇場おきなわを開場し、新たな観光拠点としての活用を図る。
(15) 豪雪地帯、離島地域、奄美群島・小笠原諸島、半島地域における観光振興策を推進する。
(16) 自然公園、森林、河川・湖沼・山地流域、海、都市緑地、温泉、野生生物などの自然環境の保全のための施策を推進する。
(17) 文化財、歴史的風土など文化遺産の保存のための施策を推進する。
(18) 観光資源保護思想、ナショナル・トラスト活動、観光地における美化対策などの観光資源保護のための施策を推進する。
(19) 観光地の環境衛生施設整備のための施策を推進する。
(20) 博物館、国立劇場などの文化施設整備のための施策を推進する。
(21) 体育・スポーツ施設、青少年教育施設、電源地域における公的観光レクリエーション施設、スカイレジャー用施設整備のための施策を推進する。
(22) オートキャンプ場、国民保養温泉地、過疎地域レクリエーション地区、森林・公園等を活用したレクリエーション施設、親水レクリエーション施設などの観光レクリエーション施設整備のための施策を推進する。

W 旅客輸送の充実に向けた取組み

(1) 整備新幹線・大都市鉄道の整備、大都市圏拠点空港の整備、旅客ターミナル・マリーナ等の整備を推進するとともに、高規格幹線道路ネットワークの整備等の道路政策の推進を図る。
(2) 陸・海・空にわたる複数の交通機関の連携を通じて、スピードアップと乗継ぎの円滑化を図る等、効率的で良好な交通環境が提供されるマルチモーダル交通体系の構築を推進する。

X 観光産業の育成・高度化に向けた取組み

(1) ホテル・旅館業の整備については、国際観光の基盤施設として宿泊施設の整備に対し、引き続き財政投融資を行うことにより支援するとともに、高齢者等の利用に配慮した宿泊施設の整備を図るため、シルバー・スター登録制度の普及を促進する。
(2) 旅行に関する消費者保護のため、旅行業法の円滑な実施を引き続き図るとともに、旅行業者の立入検査等を引き続き行う。

Y 観光に係る安全確保のための取組み

(1) 日本人海外旅行者の安全確保のため、外務省海外安全相談センターにより、注意が必要な国・地域の治安状況等を「渡航情報」として国民に周知を図るとともに、海外安全ホームページを通じて、各種海外安全情報の提供及び広報を実施する。
(2) 鉄道事故の防止を図るため、自動列車停止装置(ATS)の設置・改良、列車集中制御装置(CTC)化等による安全対策を推進する。
 道路交通の安全を確保するために、IT化の推進による安全で快適な道路交通環境の実現等を重点事項として、信号機、交通管制システム、交通情報板、光ビーコン等の交通安全施設等の整備を引き続き推進する。
 航空交通の安全を確保するために、管制支援システム等の整備、管制官の技量を向上するための訓練・研修機器の強化等を推進する。また、航空交通量の増大やユーザーニーズの多様化に適切に対応すべく、平成十五年度には運輸多目的衛星新一号機を打ち上げる等、次世代航空保安システムの構築を推進する。
 海上交通の安全を確保するため、海上交通関係法令の励行に重点をおくとともに、航路標識の新設及び改良改修、海図の改訂等を計画的に推進する。
(3) 土砂災害等のおそれがある観光地について、魅力ある観光交流空間づくりや火山噴火警戒避難対策事業等による警戒避難体制の確立等の対策とともに、総合的な土砂災害対策を推進し、安全度の向上を図る。
(4) 台風・集中豪雨・豪雪等の自然現象を早期かつ正確に把握するため、気象観測施設の更新を行うほか、インターネットや携帯端末等を活用した、リアルタイムの観測情報を国民一般に提供する。


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賃金、労働時間、雇用の動き


毎月勤労統計調査平成十五年六月分結果速報


厚生労働省


 「毎月勤労統計調査」平成十五年六月分結果の主な特徴点は次のとおりである。

◇賃金の動き

 六月の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は四十七万八千四百四十五円、前年同月比一・七%増であった。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十七万九千百九円、前年同月比〇・二%増であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十六万千二百五十五円、前年同月比〇・一%減、所定外給与は一万七千八百五十四円、前年同月比は三・〇%増であった。
 また、特別に支払われた給与は十九万九千三百三十六円、前年同月比は四・一%増であった。
 実質賃金は、二・二%増であった。
 きまって支給する給与の動きを産業別に前年同月比によってみると、伸びの高い順に不動産業二・一%増、金融・保険業一・三%増、製造業一・二%増、建設業〇・九%増、運輸・通信業〇・四%増、卸売・小売業,飲食店及びサービス業〇・六%減、電気・ガス・熱供給・水道業〇・八%減、鉱業二・四%減であった。

◇労働時間の動き

 六月の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は百五十八・三時間、前年同月比一・四%増であった。
 総実労働時間のうち、所定内労働時間は百四十八・七時間、前年同月比一・三%増、所定外労働時間は九・六時間、前年同月比四・四%増、所定外労働時間の季節調整値の前月比は〇・五%減であった。
 製造業の所定外労働時間は十四・三時間、前年同月比八・三%増、季節調整値の前月比は一・一%減であった。

◇雇用の動き

 六月の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で〇・六%減、常用労働者のうち一般労働者では〇・八%減、パートタイム労働者では〇・四%減であった。
 常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、前年同月を上回ったものは鉱業一・二%増、サービス業〇・七%増、運輸・通信業〇・五%増であった。前年同月を下回ったものは卸売・小売業,飲食店〇・六%減、不動産業〇・七%減、建設業一・九%減、製造業二・二%減、金融・保険業二・四%減、電気・ガス・熱供給・水道業四・二%減であった。
 主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者二・一%減、パートタイム労働者二・三%減、卸売・小売業,飲食店では一般労働者一・一%減、パートタイム労働者〇・一%減、サービス業では一般労働者〇・一%増、パートタイム労働者二・八%増であった。











言葉の履歴書


うまが合う

 秋空が高く澄み切ってさわやかな季節
を、候文(そうろうぶん)の手紙などでは、「天高く馬肥ゆる候(こう)」と表現しました。これは中国唐代の詩人杜審言(としんげん)が、出征する友人に贈った詩の一節、「秋高くして塞馬(さいば)肥ゆ」からきた成句です。
 秋がくると、騎馬民族の匈奴(きょうど)が辺境の塞(とりで)に体重の増した元気な馬を集めて、侵攻の機を狙っていたのです。しかし、地続きの国境がないわが国では、肥えた馬といえば食欲が進む秋季のシンボルとされてきました。
 うま(uma)、むま(mma)という日本語は、馬自体が大陸から伝わるとともに入ってきた中国語の馬(ma)によるものと考えられます。それ以来、馬と日本人の深いかかわりを示す言葉も少なくありません。
 「うまが合う」は、馬と乗り手の呼吸がぴったりなところから、気が合う、意気投合するの意。「噛(か)む馬にも合い口」は、どんな人にも気の合う相手がいることをいったものです。また、「馬は馬連れ」は、うまの合う人が一緒に行動すればうまくいくたとえに使われてきました。




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消費支出(全世帯)は実質一・六%の増加


―平成十五年六月分家計収支―


総 務 省


◇全世帯の家計

 前年同月比でみると、全世帯の一世帯当たりの消費支出は、平成十四年十一月以降七か月連続の実質減少となった後、十五年六月は実質増加となった。
 内訳をみると、住居、教育、交通・通信などが実質増加となった。

◇勤労者世帯の家計

 前年同月比でみると、勤労者世帯の実収入は、平成十四年一月以降三か月連続の実質増加となった後、四月以降十五か月連続の実質減少となった。
 また、消費支出は、平成十四年十月以降八か月連続の実質減少となった後、十五年六月は実質増加となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十六万八千百四十二円となり、前年同月に比べ、名目二・九%の増加、実質三・四%の増加となった。

◇季節調整値の推移(全世帯・勤労者世帯)

 季節調整値でみると、全世帯の消費支出は前月に比べ実質五・〇%の増加となった。
 勤労者世帯の消費支出は前月に比べ実質四・八%の増加となった。













    <9月24日号の主な予定>

 ▽土地白書のあらまし………国土交通省 




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