官報資料版 平成15年9月24日




                  ▽土地白書のあらまし…………………………国土交通省

                  ▽法人企業動向調査(六月)…………………内 閣 府

                  ▽平成十五年四〜六月期平均家計収支………総 務 省











土地白書のあらまし


―平成十四年度土地の動向に関する年次報告―


国土交通省


 政府は、土地基本法(平成元年法律第八十四号)第十条の規定に基づき、「平成十四年度 土地の動向に関する年次報告」及び「平成十五年度において土地に関して講じようとする基本的な施策」(土地白書)を六月六日に閣議決定した。
 本年の土地白書では、第一部「土地に関する動向」において、近年の経済・社会の情勢下での地価の動向や、土地に関する国民の意識の変化について分析するとともに、土地取引の活性化と土地の有効利用のためには、都市の再生や魅力ある地域づくり、地籍調査をはじめとする土地に関する情報の一層の整備・提供が必要であること等について記述するとともに、土地の利用や所有・取引の動向等を概観している。
 第二部「土地に関して講じた基本的な施策」では、平成十四年度を中心として政府が最近において講じた土地に関する施策について取りまとめている。
 さらに、「土地に関して講じようとする基本的な施策」では、平成十五年度に政府が講じようとする施策について取りまとめている。
 以下、第一部の概要について紹介する。

<第一章> 社会経済の変化と土地の有効利用のための課題

第一節 土地市場の最近の動き

1 実需中心の土地市場における地価の個別化
 地価が十二年連続で下落している中で、土地を所有するだけで将来的に利益が得られるという状況ではなくなっている。土地は、「うまく利用することによってのみ価値が生み出せるものとなってきている」ということを、企業も個人も認識しつつあり、我が国の土地市場は実需中心の市場へと構造的に変化してきている。
 また、こうした中で、収益性・利便性の差や個別の地点のおかれた状況により地価の変動状況が異なるという「地価の個別化」の傾向がさらに強まっている(第1図参照)。
 バブル期からの地価の動向をみてみると、バブル期には、地価全体が高騰する中、地価水準の高い地点ほど大きく上昇し、バブル後には、大きく上昇した地点ほど下落幅が大きかったが、近年では、収益性・利便性の高い地点においては地価の横ばい・上昇もみられるのに対し、それ以外の地点においては大幅な下落が続いている(第2図参照)。

2 土地取引の動向
(1) 企業行動の変化
 我が国の企業は、長期にわたって土地所有に対する強い志向を有していたが、バブルの崩壊後、地価の下落が続く中で、土地が資産として有利であるという意識が低下し、収益性を重視する方向への変化がみられる(第3図参照)。
 地価の下落により、土地を所有している企業にとっては、バランスシートの悪化を招くとともに、土地の担保価値の減少によって資金調達が困難になる。このため、企業は、資本市場から直接資金の提供が受けやすくなるよう、不採算資産の売却を進めたり、土地購入に慎重になる傾向がある。
 しかし、一方で、地価の下落は、事業コストの削減や、より良い立地・条件での事業活動の実施が可能となるなど、企業にとってプラスに働く面がある。地価や賃料の下落により、取引の活発化やまちの新陳代謝が促進されることも期待される。
 二〇〇三年の地価公示では一〇%近く地価が上昇した地点も出現するなど、収益性が高い土地を対象として取引が活発化していることがうかがえる。国民経済計算における制度部門別土地投資規模をみると、企業部門で平成十二年、十三年と純購入に転じている(第4図参照)。企業による土地の売却が思うように進んでいない状況がみられる(第5図参照)一方で、収益性が高い土地を中心に、企業が利用するための土地を購入する動きもうかがえる。
 また、このような土地市場・経済状況の中で、企業は、事業の遂行に当たって、賃借を主とするなど、土地に係るコストをなるべく低く、また、資産価値の変動に係るリスクを小さくして事業収益性を向上させる経営に変化しつつある。このような状況を背景に、オフバランス化してリスクを分散する不動産の証券化や、期間を限定して賃借する定期借地権等の利用が広がりつつあると考えられる。
(2) 個人の土地需要
 「土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産である」と考える国民は、ここ十年で減少傾向にあるが、近年はほぼ一定割合で推移している(第6図参照)。
 土地と他の資産との比較評価について、「収益性の面で現在最も優れている資産」を尋ねたところ、「わからない」を除くと「土地」が最も高く、「安全性の面で現在最も優れている資産」については、「土地」は「預貯金」に次いで高くなっている(第7図参照)。
 土地の資産としての絶対的な有利性は失われたが、他の資産との比較では、有利だと考えている人がなお相当数存在することがうかがえる。
 また、世帯の構成やライフスタイルの多様化に応じて、住宅選択や住み替え志向が高まっている。住宅については、持家志向が約八割を占めるものの、借家で構わないと答える割合は増加する傾向にあり、現在賃貸住宅に居住している者でみると、三六・七%が借家で構わないと回答している(第8図参照)。
 また、賃貸志向の理由では、金銭的理由が減少傾向にある一方、住み替え志向は増加傾向にあることがうかがえる。
 少子・高齢化、世帯構成の変化など社会の成熟化に伴い、人々の住まい方に対する考えも変化しており、ライフステージに応じた住み替えができるよう賃貸住宅市場や中古住宅市場を活性化していくことが重要である。

第二節 土地の流動化・有効利用のための土地市場の整備

1 定期借地権制度・定期借家制度の利用状況と課題
(1) 定期借地権制度
 定期借地権付き住宅は、所有権住宅と比較して、敷地面積、価格等の点で有利な条件となっており、平成十三年十二月までの累計では、三万五千二百十五戸(うちマンション一万一千七百三十二戸)となっている(定期借地権普及促進協議会調べ)。ただし、賃貸借の場合には、借地権の譲渡・転貸に制約があること、抵当権の設定が困難であること等から、民間の金融機関のローンの適用が少ないことや、借地の残存期間が短くなるほど売却が困難となること等が指摘されている。
 他方、事業用地については、期間を定めてコストを確定した上で利用計画が立てられること、所有権の場合に比べてより少ない初期投資で事業を行うことが可能であること等から、定期借地権の利用が活発化している。経済状況が不透明な中で、思い切った事業展開ができるというメリットも指摘されている。
(2) 定期借家制度
 平成十二年三月に創設された定期借家制度は、借家契約の更新がなく、賃貸人及び賃借人双方の合意で定めた期間の満了により契約が終了する建物賃貸借制度であり、明け渡しの際のトラブルの回避や、期間中の収益の見通しが確実になるというメリットがあり、不動産市場の活性化に資することが期待される。しかし、本制度の認知度は高くなく、テナントを中心に利用への不安があり、活用は進んでいない。一層のPRに努めるとともに、利用の際のガイドライン等の策定を進めることが重要である。

2 不動産証券化の普及
 不動産の証券化は、平成十四年度において引き続き活発に実施された。
 平成十四年度に実施された不動産の証券化の対象となった不動産またはその信託受益権の額は約二兆八千億円であり、平成十四年度までの累計は約九兆円となっている。また、Jリート(不動産投資法人及び不動産投資信託)については、平成十四年度末現在、六銘柄で合計百十三万口、時価で約五千三百億円の投資証券が流通している。Jリートがこれまで取得した不動産またはその信託受益権の額は、総額で約九千億円にのぼっている。

3 土地情報の整備・提供
 我が国の不動産市場は透明性が低く、個人や中小企業にとって土地情報へのアクセスが必ずしも容易ではないと言われている。実需中心の市場においては、情報の非対称性を解消して市場メカニズムをさらに発揮させ、潜在的な需要を引き出すことにより市場の活性化を図っていくことが必要であると考えられる。
(1) 土地に関する情報の必要性
 収益性・利便性といった利用価値により地価が決まるという市場においては、土地に対する投資を行おうとする者にとって、その土地がどの程度の収益を生むのか、現実にどの程度の価格で売買されているのかなど、その物件に関する様々な情報の重要性は、これまで以上に高くなる。これらの情報の開示が不十分な場合には、投資リスクが増大するため、国際的な都市間競争においても不利な立場におかれるおそれもある。
 「価格」は、その物件の価値や個別事情の総体が市場で評価され、集約された結果であるが、価格がその物件の価値を適正に表し、一般国民も安心して取引ができるようになるには、市場での需給状況等を示す取引情報が誰にでも入手可能であることが必要である。
(2) 土地に関する情報の提供による効果
 実際の取引価格に関する情報が入手可能であれば、国や都道府県の公表する標準的な土地の価格に関する情報とあわせ、不動産が市場においてどのような評価付けがされるのか、適正な価格なのかを判断する際の有効な材料となり得る。一般の国民も、こうした情報が簡単に入手できれば、取引に安心感が生まれ、住宅の住み替えや、別荘・古民家などの購入といった、必ずしも顕在化しにくい需要が喚起されると考えられる。自ら情報を分析するだけでなく、専門家による分かりやすい助言を受けることも可能となり、より安心して取引ができるようになる。情報を解析して提供するビジネス(米国のタイトル・カンパニー等)も拡がると考えられる。
 また、誰でも常に情報を入手できるようになれば、取引の裾野が広がり、市場規模の拡大が期待される(米国のメリーランド州では、取引価格情報がインターネット上に無料で公開されており、一日約六十万件のアクセスがあると言われている)。
 さらに、土地に関する情報を整備し、提供することは、我が国の都市の国際的な競争力の維持や国際資本の呼び込みのためにも重要である。
(3) 土地情報の整備に係る課題
 我が国では、現在、国や都道府県により標準的な土地の価格の情報は公表されているが、実際の取引価格の情報は国民に提供されていない。社会経済状況の変化に合わせて、市場のメカニズムを一層機能させるよう、土地市場の情報環境を市場基盤として公的に整備していくことが急務である。

4 地籍調査の効果
 土地の流動化や都市基盤整備の推進を図るためには、土地の最も基本的な情報である地籍(土地の所有者、地番、地目、境界及び地積)を明確にしていく必要がある。しかし、その進捗率は、全国で四五%、都市部においては一八%にとどまっている(平成十四年三月末現在)。
 農地や丘陵部が無秩序に住宅地化した地域やミニ開発が行われた地域では、地籍が混乱している状況が多く発生している。中心市街地においても、ごく一部の地籍の問題によって再開発事業や土地の有効利用が妨げられることもある。地籍調査が完了した地域では、公図と現況の整合性が図られ、権利関係が明確になり、土地の流動化が促進されるほか、公共事業においても、地籍調査の成果が計画に反映されることにより、その円滑な実施につながるものと期待される。

第三節 土地利用の課題と取組

1 競争力のある都市の構築
(1) オフィスビルの供給と人口の都心回帰
 現在、都心を中心として、大規模な開発が相次いでいる。この背景には、旧国鉄用地や企業の遊休地などの大型の用地が供給されたことに加え、平成七年の阪神・淡路大震災を契機にビルの耐震性について関心が高まったことや、インターネットの普及、経済のグローバル化による外資系企業の進出などを背景に、国際的な競争力の観点からも、ビルのグレードが問われるようになったことが挙げられる。
 また、産業構造の変化等を背景に都心の生産施設や未利用地などが市場に放出され、都心においてマンション等の供給が増えたことに加え、地価や建設単価の下落により住宅価格が低下したことから、人口の都心回帰が進んでいる。
 近年では、職住近接や業務機能と商業機能の混在など、都市のトータルな生活空間としての質の向上が求められるようになっており、大規模なオフィスビルの建設や都心へのマンション供給は、都市の魅力と競争力の向上に資するものとして重要である。
 一方で、景気の低迷等により新規のオフィス需要が低迷する中、本年、東京二十三区における大規模オフィス開発が過去最大の水準となることから、市況の悪化を懸念する「二〇〇三年問題」が関心を集めている。これについては、中小ビルを含めたオフィスビルの総供給量がバブル期のおおむね六割程度にとどまっており、また、来年以降の供給は大きく落ち込むと見込まれることから、今後数年間に需給は調整されていくものと考えられる。しかし、経済情勢の悪化が続くことなどによりオフィス需要が大きく落ち込むようなことになれば、需給改善が難しくなることも懸念される。オフィスビルの需給改善のためにも、総合的な経済対策を進め、経済全体の回復を図ることが何よりも重要である。
 また、オフィスビル自体、国際競争の観点からも、質の良いものの供給が必要であり、既存ビルのリニューアル等が求められる。競争力の向上が見込めない中小ビル等については、オフィスから住宅への用途変更(コンバージョン)を行うことも有効である。
(2) 郊外住宅地の課題と今後の方向
 都心回帰の一方で、郊外の住宅地に関しては、利便性が劣るところで地価の下落幅が拡大したり、高齢化等によりコミュニティの活力が低下したりすることが懸念されており、将来的に新たな郊外宅地開発は縮小していくと考えられる。しかし、身近に自然環境が存在する中でゆとりある生活ができる郊外住宅へのニーズは強いと考えられる。
(3) 景観の整備による都市再生
 都市再生の方法として、景観や個性ある風景を整備することにより地域の魅力を高めることも有効である。現在、国民の街並みや景観への評価は芳しくないが、少子・高齢化、経済の成熟化の中では、居住者にとって生活しやすく、多くの人が訪れるまちづくりがますます重要となってきている。
 現在、全国各地で景観条例が策定されており(平成十四年七月末現在で、全国市町村の約一三%に当たる四百十四市町村で四百四十五の景観条例が策定)、それぞれの地域で取組が行われている。
【事例:環境整備街区の取組と効果(埼玉県川越市)】
 川越一番街商店街は、明治中期から末期にかけて建設された蔵造りの町家が中心となって形成された商店街であるが、明治二十八年の鉄道開通をきっかけに、商業の中心が徐々に駅周辺に移動し、一番街商店街は商業地として衰退することになった。
 昭和五十八年頃から、商店街の活性化のため、景観保存を手段とするまちづくりの取組が始まった。昭和六十三年には「町並み委員会」が結成され、翌年同委員会により「町づくり規範」が策定され、商店街が自主的に審査を行いながら町並み景観整備を行う体制が整った。同年には川越市景観条例も策定され、現在も、マンション規制等景観や歩きやすさを向上させる取組が続いている。
 景観整備の効果として、平成に入ってから観光客数が増加傾向にあり、地価についても、県の平均や同じく東京から三〇キロメートル圏にある県内の都市に比べ、下落幅が縮小していることが挙げられる。

2 地方の土地利用の課題と活性化に向けた取組
 地方経済の不振、少子・高齢化の進展等に伴い、特に地方の土地需要は減少している。また、東京圏や中枢都市への人口の集中が再びみられる一方で、その他の地方圏の人口は減少傾向にある。
 地方では、工場の海外等への移転や地場産業の不振による工場用地の未利用地化、中心市街地の空洞化、農地等における無秩序な開発、生活環境の悪化、里山林や美しい農村風景等の身近な自然の喪失など、土地利用上の問題が顕在化している。
@ 土地利用調整基本計画の策定
 地域住民の参加による土地利用に関する計画策定の取組が行われている地域もある。
【事例:ボトムアップ型の土地利用調整基本計画の策定(山形県飯豊(いいで)町)】
 昭和六十二年から平成十二年にかけて、住民が主体となって地区の土地利用に関する計画が策定され、これをもとに町全体の計画として土地利用調整基本計画を策定している。
A 利用転換による有効活用
 特徴のあるテーマを設定して土地の有効利用を図っている地域もある。
【事例:北九州エコタウン】
 北九州市若松区響灘地区には、二千ヘクタールの広大な土地が造成されている。循環型社会の構築に向けた取組が進む中、北九州市では、平成九年に「北九州エコタウンプラン」を作成し、環境産業を軸とした産業集積が進められている。
 環境総合コンビナートと響リサイクル団地には、環境・リサイクル産業が集積し、相互の連携によりゼロ・エミッション型の環境産業拠点を目指した事業展開が進められている。実証研究エリアでは、企業、行政、大学の連携により、最先端の廃棄物処理技術やリサイクル技術を実証的に研究する機関が集積し、環境関連技術開発拠点を目指している。
B 中心市街地の活性化
 中心市街地問題は、人口規模が小さい都市ほど、深刻化している。
 少子・高齢化、社会経済の安定成長が基調となる今後は、居住者の生活の充実と持続的なまちづくりを目指していくことが求められている。そのためには、居住者の活動の場であり、まちの顔となる中心市街地が必要であると考えられる。
 中心市街地を活性化させるには、それぞれの地域が課題と目標を明確にし、個性を活かした工夫をしていく必要がある。その際、中心市街地に人口を戻し、安全で歩きやすいまちづくりを行っていくことが重要である。
【事例:住環境の整備による市街地再生(長野県飯田市)】
 長野県飯田市は、人口十万人程度の中小都市で、他の多くの地方都市と同様に、人口の郊外流出、医療・教育・商業施設など多くの都市機能が郊外に移転し、中心市街地の空洞化が問題となっていた。飯田市は、中心部が住みにくくなったことが空洞化の主因ととらえ、住環境としての暮らしやすさを追求する再開発を目指した。
 飯田市は、再開発ビルを核としたコミュニティづくりを主眼として、商業店舗、歯科医、市役所の総合窓口と福祉事務所、市民サロンを低層階に、その上層をマンションとする、敷地面積約三千七十平方メートル・十階建ての再開発ビル「トップヒルズ本町」を二〇〇一年七月に完成させた。
 この再開発においては、市民有志により設立されたTMO(Town Management Organization:まちづくり団体)である「(株)飯田まちづくりカンパニー」が重要な役割を担い、事業性を考慮して投資を集中する戦略をとっている。

3 農地・森林の保全
 耕作放棄地や放置森林が増加していることも、問題となっている。このまま事態が放置されれば、農地や森林が果たしてきた食料・木材などの供給、土砂崩れ防止等の国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成などの多面的な機能の低下を招くおそれもある。
 一方で、人口の都市への集中が進み、経済が成熟する中で、国民の価値観として自然環境やこれによって得られる心の豊かさを重視する傾向が強まっており、農地や森林は、都市住民にとっての癒しの場として再認識されつつある。都市住民が農業や里山の手入れに参加できる仕組みづくりが各地で行われている。
【事例:里山林オーナー制度(富山県氷見(ひみ)市)】
 富山県氷見市では、かつてそこに住む人達が利用していた里山林が、生活の変化に伴い、放置されていた。一方、都市部の人々からは、森とのふれあいを求める声が寄せられていた。そこで、様々な利用活動を通じて里山林の再生を図るために、平成十三年度より、森林所有者から提供された里山林を対象に里山林オーナー制度を実施している。平成十五年三月現在、十四組の里山林オーナーが活動を行っており、里山林オーナー、森林所有者及び地域の人々が一体となって里山の保全・利用を行う取組を始めている。

<第二章> 土地利用の動向

 我が国の国土面積三千七百七十九万ヘクタールのうち、森林(二千五百十万ヘクタール)及び農用地(四百八十七万ヘクタール)は、逐年減少しており、宅地(百八十万ヘクタール)はわずかながら増加している。

<第三章> 土地所有・取引の動向(略)

<第四章> 地価の動向

 平成十五年地価公示により昨年一年間の全国の地価の状況を概観すると、
・住宅地は下落幅が拡大したが、商業地は下落幅が縮小した。
・地方圏においては、住宅地・商業地ともに下落幅が縮小した。
・三大都市圏においては、住宅地の下落幅は横ばい、商業地は下落幅が縮小した。
・利便性・収益性の差や個別の地点のおかれた状況による地価の個別化がより進行している。


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法人企業動向調査


―平成十五年六月実施調査結果―


内 閣 府


◇調査要領

 本調査は、資本金一億円以上の法人企業について、設備投資の実績及び計画並びに企業経営者の景気と経営に対する判断及び見通しを調査したものである。
 ・調査対象:国内に本社又は主たる事務所をもって企業活動を営む資本金一億円以上の法人企業(約三万七千六百社)から、内閣府が定める方法により選定した四千五百十社を対象とした。
 ・調査時点:平成十五年六月二十五日
 ・調査方法:調査客体法人の自計申告により行った。
 なお、資本金が百億円以上の法人企業については原則として全数調査、百億円未満の法人企業は、層化任意抽出法により選定した法人について調査した。
 ・有効回答率:調査対象法人四千五百十社のうち、有効回答法人四千百二十一社、有効回答率九一・四%

〔利用上の注意〕

(1) 今期三か月の判断とは、平成十五年一〜三月期と比較した十五年四〜六月期の判断、来期三か月の見通しとは、十五年四〜六月期と比較した十五年七〜九月期の見通し、再来期三か月の見通しとは、十五年七〜九月期と比較した十五年十〜十二月期の見通しである。ただし、在庫水準と生産設備については、それぞれの調査期間における判断と見通しである。
(2) 第1図第18表の平成十五年四〜六月以前は今期の判断、十五年七〜九月は来期の見通し、十五年十〜十二月は再来期の見通しである。
(3) 判断指標(BSI:Business Survey Index)とは「上昇(強くなる・増加・過大)の割合−下降(弱くなる・減少・不足)の割合」である。
(4) 設備投資の公表数値は母集団推計値である。また、算出基準は工事進捗ベース(建設仮勘定を含む有形固定資産の減価償却前増加額)である。
(5) 季節調整法はセンサス局法U、]―11を用いた。
(6) 集計上の産業分類は、日本標準産業分類を基準とする会社ベースでの主業分類に基づいて行った。
(7) 昭和六十三年三月調査より、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社、JR関係七社及び電源開発(株)を調査対象に加えるとともに、日本電信電話(株)、第二電電(株)等七社については六十年四〜六月期、JR関係七社については六十二年四〜六月期に遡及して集計に加えた。
(8) 平成元年六月調査より消費税を除くベースで調査した。
(9) 平成十年六月調査より以下のとおり産業分類の見直しを行い、昭和五十九年六月調査に遡及して集計を行った。
 @ 「造船」を「その他の輸送用機械」に合併。
 A 「印刷・出版」を「その他の製造業」に合併。
 B 「卸売・小売業,飲食店」の内訳を廃止し、「卸売業」と「小売業,飲食店」に分割。
 C 「運輸・通信業」の内訳を廃止し、「運輸業」と「通信業」に分割。
 D 「電力業」と「ガス業」を合併し、「電力・ガス業」とする。
 E 「サービス業」を「サービス業(除くリース業)」と「リース業」に分割。
 F 製造業を素材型、加工型に分類。

一 景気見通し(全産業:季節調整値)

1 国内景気第1表参照

 企業経営者による国内景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十五年一〜三月期「マイナス二八」の後、四〜六月期は「マイナス二二」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについては、七〜九月期に「マイナス七」と引き続き「下降」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「六」と「上昇」超に転じる見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十五年一〜三月期「マイナス二二」の後、四〜六月期は「マイナス一七」と「下降」超幅が縮小した。先行きについては、七〜九月期に「マイナス四」と引き続き「下降」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「七」と「上昇」超に転じる見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十五年一〜三月期「マイナス三一」の後、四〜六月期は「マイナス二七」と「下降」超幅が縮小した。先行きについては、七〜九月期に「マイナス九」と引き続き「下降」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「四」と「上昇」超に転じる見通しとなっている。

2 業界景気第2表参照

 所属業界の景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十五年一〜三月期「マイナス二四」の後、四〜六月期は「マイナス二二」と「下降」超幅が縮小した。
 先行きについても、七〜九月期に「マイナス一一」、十〜十二月期には「マイナス三」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十五年一〜三月期「マイナス一六」の後、四〜六月期は「マイナス一四」と「下降」超幅が縮小した。先行きについては、七〜九月期に「マイナス七」と引き続き「下降」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「〇」となる見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十五年一〜三月期「マイナス二九」の後、四〜六月期は「マイナス二六」と「下降」超幅が縮小した。先行きについても、七〜九月期「マイナス一三」、十〜十二月期「マイナス六」と「下降」超幅が縮小する見通しとなっている。

二 需要・価格関連見通し(季節調整値)

1 内外需要(製造業)(第3表参照

 企業経営者による国内需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、平成十五年一〜三月期「マイナス一六」の後、四〜六月期は「マイナス一四」と「弱くなる」超幅が縮小した。
 先行きについては、七〜九月期に「マイナス五」と引き続き「弱くなる」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「一」と「強くなる」超に転じる見通しとなっている。
 他方、海外需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、十五年一〜三月期「マイナス一一」の後、四〜六月期は「マイナス一〇」と「弱くなる」超幅が縮小した。
 先行きについては、七〜九月期に「三」と「強くなる」超に転じた後、十〜十二月期「八」と「強くなる」超幅が拡大する見通しとなっている。

2 在庫水準(製造業)(第4表参照

 原材料在庫水準に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成十五年三月末「一一」の後、六月末は「一一」と同水準で推移した。
 先行きについては、九月末「六」、十二月末「四」と「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、完成品在庫水準に関する判断指標をみると、十五年三月末「一八」の後、六月末は「一七」と「過大」超幅が縮小した。
 先行きについても、九月末「一三」、十二月末「九」と「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。

3 価格(製造業、農林漁業、鉱業)(第5表参照

 原材料価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成十五年一〜三月期「一五」の後、四〜六月期は「六」と「上昇」超幅が縮小した。
 先行きについても、七〜九月期に「二」、十〜十二月期は「一」と「上昇」超幅が縮小する見通しとなっている。
 他方、製品価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、十五年一〜三月期「マイナス一四」の後、四〜六月期は「マイナス一五」と「下降」超幅が拡大した。
 先行きについても、七〜九月期「マイナス一二」、十〜十二月期「マイナス一三」と「下降」超で推移する見通しとなっている。

三 経営見通し(季節調整値)

1 売上高(全産業:金融・保険業、不動産業を除く)(第6表参照

 売上高に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成十五年一〜三月期「マイナス一〇」の後、四〜六月期は「マイナス九」と「減少」超幅が縮小した。
 先行きについても、七〜九月期「マイナス五」、十〜十二月期には「マイナス二」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十五年一〜三月期「マイナス八」の後、四〜六月期は「マイナス五」と「減少」超幅が縮小した。先行きについては、七〜九月期「マイナス二」の後、十〜十二月期には「三」と「増加」超に転じる見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十五年一〜三月期「マイナス一三」の後、四〜六月期は「マイナス一三」と同水準で推移した。先行きについては、七〜九月期に「マイナス六」、十〜十二月期には「マイナス三」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。

2 経常利益(全産業:金融・保険業、不動産業を除く)(第7表参照

 経常利益に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成十五年一〜三月期「マイナス一二」の後、四〜六月期は「マイナス八」と「減少」超幅が縮小した。
 先行きについては、七〜九月期に「マイナス二」と引き続き「減少」超幅が縮小した後、十〜十二月期には「二」と「増加」に転じる見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十五年一〜三月期「マイナス一二」の後、四〜六月期は「マイナス四」と「減少」超幅が縮小した。先行きについては、七〜九月期に「〇」となった後、十〜十二月期には「三」と「増加」超に転じる見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十五年一〜三月期「マイナス一三」の後、四〜六月期は「マイナス一一」と「減少」超幅が縮小した。先行きについても、七〜九月期「マイナス五」、十〜十二月期には「マイナス一」と「減少」超幅が縮小する見通しとなっている。

四 生産設備見通し(製造業:季節調整値)(第8表参照

 生産設備に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成十五年一〜三月期「二三」の後、四〜六月期は「二二」と「過大」超幅が縮小した。
 先行きについても、七〜九月期「二一」、十〜十二月期「二〇」と「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。

五 設備投資の動向(全産業:原数値)

1 半期別動向第9表参照

 設備投資の動向を半期別に前年同期比でみると、平成十四年七〜十二月期(実績)六・五%減の後、十五年一〜六月期(実績見込み)は〇・九%減と引き続き減少した。
 先行き七〜十二月期(計画)は、五・三%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十四年七〜十二月期(実績)一六・九%減の後、十五年一〜六月期(実績見込み)は一二・二%減と引き続き減少した。
 先行き七〜十二月期(計画)は、八・〇%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十四年七〜十二月期(実績)一・五%減の後、十五年一〜六月期(実績見込み)は四・一%増と増加に転じた。先行き七〜十二月期(計画)は、四・二%減と減少に転じる見通しとなっている。

2 資本金規模別動向第10表参照

 資本金規模別に前年同期比でみると、資本金十億円以上の大企業は、十四年七〜十二月期(実績)三・五%減の後、十五年一〜六月期(実績見込み)は〇・六%増と増加に転じた。先行き七〜十二月期(計画)は、一・六%増と引き続き増加する見通しとなっている。
 他方、資本金一億〜十億円の中堅企業は、十四年七〜十二月期(実績)一一・七%減の後、十五年一〜六月期(実績見込み)は三・六%減と引き続き減少した。先行き七〜十二月期(計画)は、一八・五%減と引き続き減少する見通しとなっている。

3 暦年の動向

 暦年の動向を前年比でみると、平成十四年(実績)九・四%減の後、十五年(計画)は三・一%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 産業別にみると、製造業は、十四年(実績)一九・九%減の後、十五年(計画)は一〇・二%減と引き続き減少する見通しとなっている。
 他方、非製造業は、十四年(実績)四・一%減の後、十五年(計画)は〇・一%減と引き続き減少する見通しとなっている。

4 四半期別動向(季節調整値)

 四半期の動向を前期比でみると、一〜三月期(実績)二・二%減の後、四〜六月期(実績見込み)は七・一%減と引き続き減少した。
 産業別にみると、製造業は、一〜三月期(実績)六・四%減の後、四〜六月期(実績見込み)は二・三%減と引き続き減少した。
 他方、非製造業は、一〜三月期(実績)一・六%減の後、四〜六月期(実績見込み)は七・四%減と引き続き減少した。

5 四半期別動向(原数値)

 四半期の動向を前年同期比でみると、一〜三月期(実績)五・三%減の後、四〜六月期(実績見込み)は五・二%増と増加に転じた。
 産業別にみると、製造業は、一〜三月期(実績)一八・三%減の後、四〜六月期(実績見込み)は四・四%減と引き続き減少した。
 他方、非製造業は、一〜三月期(実績)〇・二%増の後、四〜六月期(実績見込み)は九・八%増と引き続き増加した。






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消費支出(全世帯)は実質〇・三%の減少


―平成十五年四〜六月期平均家計収支―


総 務 省


◇全世帯の家計

 前年同期比でみると、全世帯の消費支出は、平成十四年四〜六月期、七〜九月期に二期連続の実質増加となった後、十〜十二月期以降三期連続の実質減少となった。
 内訳をみると、被服及び履物、家具・家事用品、食料などが実質減少となった。

◇勤労者世帯の家計

 前年同期比でみると、勤労者世帯の実収入は、平成十四年一〜三月期に実質増加となった後、四〜六月期以降五期連続の実質減少となった。
 また、消費支出は、平成十四年四〜六月期、七〜九月期に二期連続の実質増加となった後、十〜十二月期以降三期連続の実質減少となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十七万八百四十九円となり、前年同期に比べ、名目〇・六%の増加、実質〇・八%の増加となった。

◇季節調整値の推移(全世帯・勤労者世帯)

 季節調整値でみると、全世帯の消費支出は前期に比べ実質一・九%の増加となった。
 勤労者世帯の消費支出は前期に比べ実質一・六%の増加となった。













言葉の履歴書


目白押し

 「目白押しに並ぶ」といえば、大勢の人が先を争って、押し合いながら横一列に並ぶこと。この「目白押し」は、小鳥のメジロが木にとまるときの習性から生まれた表現です。
 メジロはスズメより小さい鳥で、目の周囲に白い輪があるのが特色。名称もここからきています。晩秋には低地の林にきて、枝の上に押し合うように並んでとまるので、「目白押し」という言葉が生まれました。
 「目白押し」は、戸外遊戯の一つでもあります。塀などを背にして一列に並んだ子どもたちが、両端から横に押し合い、中央の子が左右から押し出されて再び端に加わる遊びです。
 「押しくらまんじゅう、押されて泣くな」と唱えるのも同じで、これは箱にまんじゅうがぎっしり詰まったさまを連想したものでしょう。
 また、「押し漬け沢庵(たくあん)、押されて泣くな」は、腹ばいになった子の上に、大勢が次々に折り重なって、沢庵石のように押しつける遊びでした。昔は児童の遊戯にも、生活実感が伴っていたことが分かります。



知っておきたい国際・外交キーワード

WTO=世界貿易機関

設立:一九九五年
本部:ジュネーブ
 世界貿易機関(WTO=World Trade Organization)は、モノやサービスの漸進的な自由貿易を実現するために、一九九五年に設立された国際機関です。
 その主な任務は、世界貿易における保護主義的な動きを防止し、開かれた市場での公平な貿易を行うための協定を結ぶなど、多角的自由貿易体制の基盤を整備することにあります。
 WTOの前身は、一九四八年に発効されたGATT(General Agreement on Tariffs and Trade=関税と貿易に関する一般協定)。GATTは、貿易の自由化と無差別を原則として、貿易に関するルールづくりを行ってきました。WTOでは、それを発展的に引き継ぎ、物品だけでなく、金融や通信などのサービス分野、著作権・商標などの知的所有権など、あらゆる分野にわたる国際貿易のルールづくりを行います。また、加盟国間での貿易上の問題が生じたときには、それを解決する役割を担っています。
 WTO発足以来、貿易をめぐる国際紛争がここに持ち込まれるケースが増えています。お互いの利害対立により、解決が難しい国家間での交渉と異なり、WTOでは、国際ルールに照らし、客観的な立場から判断されます。この紛争解決制度は、WTOがもつ最も重要な機能であり、加盟国からも高く評価されています。
 戦後、多角的自由貿易体制の下で、日本は貿易によって多くの利益を得てきましたが、世界経済の繁栄を保つためには、貿易・投資の自由化や多角化を一層促進し、WTO体制を強化していかなければなりません。そのためにも、発展途上国が現在の多角的自由貿易体制にうまく適応し、その恩恵を享受できるよう、財政的・技術的に支援していく日本の役割が期待されています。




    <10月1日号の主な予定>

 ▽第百五十六回国会で審議された法律案・条約の一覧表………内閣官房 




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