官報資料版 平成15年10月8日




                  ▽高齢社会白書のあらまし……………………………………内 閣 府

                  ▽法人企業統計季報(平成十五年四〜六月期調査)………財 務 省











高齢社会白書のあらまし


平成十四年度高齢化の状況及び高齢社会対策の実施の状況に関する年次報告
平成十五年度において講じようとする高齢社会対策


内 閣 府


 高齢社会白書は、高齢社会対策基本法に基づき、政府が毎年国会に提出するものである。「平成十五年版高齢社会白書」は、「平成十四年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施の状況に関する年次報告」及び「平成十五年度において講じようとする高齢社会対策」の二つからなっており、去る六月十日、閣議決定され、同日国会に提出された。
 白書のあらましは次のとおりである。

平成十四年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施の状況に関する年次報告

第1章 高齢化の状況

第1節 高齢化の状況

(高齢化の現状と推移)
○ 六十五歳以上の高齢者人口は、平成十四(二〇〇二)年十月一日現在、二千三百六十三万人であり、総人口に占める割合(高齢化率)は一八・五%となっている。このうち、前期高齢者(六十五〜七十四歳)人口は一千三百五十九万人、後期高齢者(七十五歳以上)人口は一千四万人となっており、後期高齢者人口が初めて一千万人を上回った(第1表参照)。
○ 高齢者人口は平成三十二(二〇二〇)年まで急速に増加し、その後はおおむね安定的に推移する一方、総人口が減少に転ずることから、高齢化率は上昇を続け、二十七(二〇一五)年には二六・〇%、六十二(二〇五〇)年には三五・七%に達すると見込まれている(第1図参照)。

(地域別にみた高齢化)
○ 都道府県別の高齢化率は、三大都市圏で低く、それ以外の地域で高い。平成十二(二〇〇〇)年現在、最も高い島根県で二四・八%、最も低い埼玉県で一二・八%となっている。今後、高齢化率はすべての都道府県で上昇し、三十七(二〇二五)年には、最も高い秋田県で三三・八%、最も低い滋賀県でも二二・八%に達すると見込まれている。
○ 高齢化率による市区町村の分布は、昭和五十五(一九八〇)年、六十(一九八五)年には高齢化率一〇〜一五%未満を中心に集中していたが、平成十二(二〇〇〇)年には、高齢化率二〇〜二五%未満が最も多く、分布の広がりも大きくなっている。

(高齢化の要因)
○ 我が国の平均寿命は戦後大幅に伸び、平成十三(二〇〇一)年には男性が七八・〇七年、女性は八四・九三年となっている。また、六十五歳時の平均余命は、男性一七・七八年、女性二二・六八年となっており、男女とも高齢期が長くなっている。
○ 出生の状況をみると、合計特殊出生率は、第一次ベビーブーム以降急速に低下して昭和三十一(一九五六)年に二・二二となり、五十(一九七五)年に一・九一と二・〇〇を下回った。平成十三(二〇〇一)年現在一・三三であり、過去最低水準にとどまっている。

(高齢化の影響)
○ 平成十四(二〇〇二)年の六十五歳以上の労働力人口は四百八十七万人であり、労働力人口総数の七・三%を占めている。今後労働力人口総数が減少に転ずる中、労働力人口の高齢化は一層進展していくものと見込まれる。
○ 年金・医療・福祉における社会保障給付をみると、平成十二(二〇〇〇)年度は七十八兆一千二百七十二億円であり、国民所得に占める割合は、昭和四十五(一九七〇)年度の五・八%から二〇・五%に上昇している。

(高齢化の国際的動向)
○ 世界の高齢化率は、二〇〇〇(平成十二)年の六・九%から二〇五〇(六十二)年には一五・九%まで上昇するものと見込まれており、今後半世紀で高齢化が急速に進展する。
○ 先進諸国の高齢化率を比較すると、我が国は一九八〇年代までは下位、九〇年代にはほぼ中位であったが、二十一世紀初頭には最も高い水準となることが見込まれている。

第2節 高齢者の状況

(高齢者と家族)
○ 六十五歳以上の者のいる世帯数は一千六百三十七万世帯であり、全世帯(四千五百六十六万世帯)の三五・八%を占めている。内訳は、「単独世帯」が三百十八万世帯(一九・四%)、「夫婦のみの世帯」が四百五十五万世帯(二七・八%)、「親と未婚の子のみの世帯」が二百五十六万世帯(一五・七%)、「三世代世帯」が四百十八万世帯(二五・五%)であり、三世代世帯の割合が低下し、夫婦のみの世帯及び親と未婚の子のみの世帯の割合が大きくなってきている。
○ 高齢者の子との同居率は、平成十三(二〇〇一)年現在、四八・四%となっており、低下傾向にある。
○ 高齢者人口に占める一人暮らし高齢者の割合は、昭和五十五(一九八〇)年には男性四・三%、女性一一・二%であったが、平成十二(二〇〇〇)年には男性八・〇%、女性一七・九%と顕著に増加している。今後も一人暮らし高齢者は増加を続け、特に男性の一人暮らし高齢者の割合が大きく伸びることが見込まれている。

(高齢者の経済状況)
○ 高齢者の生活意識をみると、全世帯における割合と比べ、高齢者世帯(六十五歳以上の者のみで構成するか、又はこれに十八歳未満の未婚の者が加わった世帯)では、現在の暮らしについて「普通」とする世帯の割合が高く、「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」を合わせたもの)とする世帯の割合は低くなっている。
○ 高齢者世帯の年間所得(平成十二年の平均所得)は三百十九万五千円となっており、全世帯平均(六百十六万九千円)の半分程度にすぎないが、世帯人員一人当たりでみると、高齢者世帯の平均世帯人員が少ないことから、二百三万六千円となり、全世帯平均(二百十二万一千円)との間に大きな差はみられなくなる。
○ 高齢者の個人所得の平均は、六十五歳以上男性は三百三万六千万円、女性は百十二万四千円と、女性は男性の三分の一強にすぎず、所得のない者の割合も六十五歳以上の男性四・四%に対し女性一六・五%と、女性が大きく上回っている。
○ 現在の貯蓄額が老後の備えとして十分かどうかについては、「十分」と「最低限はある」とを合計した「足りると思う」が三四・一%となっている。また、「少し足りない」と「かなり足りない」とを合計した「足りないと思う」は五七・一%と半数を超えており、その割合は年齢が低くなるほど高くなっている。

(高齢者の就業)
○ 高齢者の就業状況は、男性の場合、就業者の割合は、五十五〜五十九歳で八九・九%、六十〜六十四歳で六六・五%、六十五〜六十九歳で五一・六%となっている。また、六十〜六十四歳の不就業者(三三・五%)のうち五割以上が、六十五〜六十九歳の不就業者(四八・四%)のうち四割近くの者が、就業を希望している。
○ 女性の就業者の割合は、六十〜六十四歳で四一・五%、六十五〜六十九歳で二八・七%となっている。不就業者でも、六十〜六十四歳の不就業者(五八・五%)の三割以上、六十五〜六十九歳の不就業者(七一・三%)の二割以上が就業を希望している。

(高齢者と健康・福祉)
○ 高齢者の健康状態について、平成十三(二〇〇一)年における六十五歳以上の高齢者(入院者を除く)の有訴者率(人口一千人当たりの病気やけが等で自覚症状のある者の数)は五〇二・七である。日常生活に影響のある六十五歳以上の高齢者(健康上の問題で、日常生活の動作・外出・仕事・家事・学業・運動・スポーツ等に影響のある者。入院者を除く)の割合は、高齢者人口一千人当たりで二三五・〇となっている。
○ 健康の維持増進のために日ごろ心がけていることについてみると、「休養や睡眠を十分とる」が六〇・四%と最も高く、次いで「規則正しい生活を送る」五三・〇%、「栄養のバランスのとれた食事をとる」四九・五%の順となっている。
○ 介護保険制度における要介護者又は要支援者と認定された者のうち、六十五歳以上の人数についてみると、平成十三年度末で二百八十七万七千人となっている。また、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設における六十五歳以上の在所者数は、それぞれ三十万六千人、二十二万人、十万五千人(六十五歳以上人口一千人当たりそれぞれ一三・四、九・六、四・六)となっている。

(高齢者の社会参加活動)
○ 高齢者の近所の人たちとの交流について、「ほとんどない」が二五・五%、「ほとんど毎日」が二一・〇%となっている。特に男性は「ほとんどない」が三一・五%となっており、三人に一人が近所の人たちとの交流を持っていない。

(高齢者の住生活)
○ 高齢者の住宅について、高齢単身主世帯の七〇・八%、高齢夫婦主世帯では七六・六%が誘導居住水準(「住宅建設五箇年計画」における、住宅ストックの質の向上を誘導する上での指針)を満たしている。このうち、借家に住む世帯では、高齢単身主世帯で四一・一%、高齢夫婦主世帯で三四・〇%の世帯が水準を満たすにとどまっている。
○ 高齢者向けに必要な住宅の構造・設備の改造希望について、「特にない」は五四・一%にとどまっており、半数近くが改造を希望している。改造の内容は、「手すりを設置したい」二〇・九%、「住宅内の床の段差をなくしたい」一九・六%、「浴槽を入りやすいものに取り替えたい」一一・〇%、「浴室に暖房装置をつけたい」八・六%、「玄関から道路までの段差を解消したい」八・四%などとなっている。

(高齢者の生活環境)
○ 高齢者の外出状況についてみると、「ほとんど毎日」が四一・七%と最も多く、「週に二〜三日」が二五・二%、「週に四〜五日」が一七・二%となっている。男女別にみると、「ほとんど毎日」の割合は男性が高く、「週に一日以下」の割合は女性が高くなっている。年齢階級別にみると、年齢が高くなるほど「ほとんど毎日」の割合は低く、「週に一日以下」の割合は高くなっている。

(高齢者と安全)
○ 六十五歳以上の高齢者の交通事故死者数は三千百四十四人、交通事故死者全体の三七・八%を占めている。交通事故死者数は、平成四年までは十六〜二十四歳の若者が多かったが、五年に高齢者が若者の死者数を上回り、その後も高齢者の割合の増加と若者の割合の低下が続いている。

第2章 高齢社会対策の実施の状況

第1節 高齢社会対策の基本的枠組み

○ 我が国の高齢社会対策の基本的枠組みは、高齢社会対策基本法(平成七年法律第一二九号)に基づいている。
○ 高齢社会対策会議は、内閣総理大臣を会長とし、委員には閣僚が任命されており、高齢社会対策に関する重要事項の審議等が行われている。
○ 高齢社会対策大綱は、高齢社会対策基本法によって政府に作成が義務付けられているものであり、政府の高齢社会対策の基本的かつ総合的な指針となるものである。
○ 平成八年七月に最初の高齢社会対策大綱が策定されてから五年が経過し、経済社会情勢も変化したことから、十三年十二月二十八日、高齢社会対策会議における案の作成を経て、新しい高齢社会対策大綱が閣議決定された。
○ 高齢社会対策大綱に基づく施策の総合的推進のため、大綱の「横断的に取り組む課題」について、政策の指標づくりや政策体系の構築など、掘り下げた政策研究を行っている。

(高齢社会対策関係予算)
○ 高齢社会対策は、就業・所得、健康・福祉、学習・社会参加、生活環境、調査研究等の推進という広範な施策にわたり、着実な進展をみせている。一般会計予算における関係予算をみると、平成十四年度においては十一兆七千四百八十八億円となっている。
 これを各分野別にみると、就業・所得五兆六千三百八十七億円、健康・福祉五兆九千二百六十四億円、学習・社会参加三百五十八億円、生活環境二百九十二億円、調査研究等の推進一千百八十七億円となっている。

第2節 高齢社会対策の動き

(高齢化に関する国際的な取組)
○ 国際連合(以下「国連」という)による「第二回高齢化に関する世界会議(Second World Assembly on Ageing)」が百五十九か国の参加を得て、二〇〇二(平成十四)年四月八日〜十二日の五日間にわたり、スペインのマドリッドにおいて開催された。我が国も関係府省の職員からなる政府代表団を派遣した。
○ 一九八二(昭和五十七)年の第一回世界会議(ウィーン)以降急速に進んでいる人口構造の変化、特に開発途上地域において今後顕在化する高齢化の加速という状況を踏まえ、高齢化に関連する諸問題を話し合い、共通の行動戦略である「高齢化に関する国際行動計画」について二十年ぶりの見直しを行うことが会議の目的であり、主要テーマとして「すべての世代のための社会の構築(building a society for all ages)」が掲げられた。
○ 世界会議で採択された「高齢化に関するマドリッド国際行動計画二〇〇二」は、二十一世紀の高齢化対策において優先すべき方向性として、@高齢者と開発、A高齢期にわたる健康と福祉の増進、B活動可能かつ支援的な環境の確保の三つを掲げている。これら三つの方向性の下、論点別に三十五の行動目標を設定し、各目標を達成するために必要な具体的行動勧告を行っている。今後、国連加盟各国は、あらゆる関係主体との協力の下、この計画を積極的に推進していくこととされた(第2表参照)。

第3節 分野別の施策の実施の状況

1 就業・所得
○ 少なくとも六十五歳までの雇用の場を確保する企業の割合は、平成十四年一月現在で六八・三%と高い割合を示しているが、希望者全員を対象として六十五歳までの雇用を確保する企業の割合は二七・一%にとどまっている。
○ 平成十四年度においては、公共職業安定所が事業主に対して、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の指導を行う場合に、都道府県高年齢者雇用開発協会の高年齢者雇用アドバイザーが同行又はフォローアップ相談を行うなど、各都道府県労働局と同協会とが密接に連携を図り、効率的かつ効果的な指導・援助等を実施している。
○ 高年齢雇用継続給付については、失業者の給付とのバランスを図るため、給付率等の見直しを行うことを内容とする雇用保険法等の一部を改正する法律案を第百五十六回国会に提出した。
○ 平成十三年十月に施行された改正雇用対策法(昭和四十一年法律第一三二号)に、募集・採用時の年齢制限緩和の努力義務が規定されたことに伴い、その実効をあげるため、官民の職業紹介機関の窓口や、中央・地方の経済団体、地方自治体及びマスメディアへの働きかけ等を通じ、事業主への周知と理解の徹底を図っている。
○ 年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向け、平成十三年四月より「年齢にかかわりなく働ける社会に関する有識者会議」において雇用システムの在り方や採用から退職までの条件整備の在り方について幅広く意見交換を行い、十五年一月に最終報告書を取りまとめた。
○ 平成十三年五月に策定された「第七次職業能力開発基本計画」(計画期間:十三〜十七年度)を踏まえ、雇用・能力開発機構都道府県センターにおけるキャリア形成支援コーナーの運営、キャリア・コンサルティングを担う人材の養成、個々の労働者のキャリア形成を支援する事業主に対して、キャリア形成促進助成金の支給等を行った。
○ 平成十三年十一月に、労働者の仕事と家庭の両立の負担を軽減するため、時間外労働の制限等を内容とする育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律(平成十三年法律第一一八号)が成立し、十四年四月から全面的に施行された。同法に基づき、労働者の仕事と育児・介護との両立を支援する施策を推進している。
○ 公的年金制度の基本的な考え方や重要性について、年金週間(十一月六〜十二日)等において、その広報、普及を図るとともに、特に、国民年金については、平成十四年度から保険料収納事務が市町村から国へと移管されたことを契機として、電話や戸別訪問による納付督励の実施等徹底した保険料収納対策を講じている。
○ 少子高齢化の急速な進行等の状況の変化に対応して、将来にわたって持続可能で安心できる制度を確立するため、平成十六年に行うこととなっている次期財政再計算に向けて、社会保障審議会年金部会等において、制度全般にわたる検討を行っており、十四年十二月には、それまでの議論を参考に、改革に向けた今後の議論のたたき台として、厚生労働省において「年金改革の骨格に関する方向性と論点」を取りまとめ、公表した。
○ 年金額等は前年の物価の変動に合わせて改定を行うこととなっているが、物価が下落した平成十二年度からの三年間は特例措置に基づいて据え置かれた。しかし、十四年についても消費者物価指数が対前年比マイナス〇・九%となったことに加え、十五年度においては、年金額等を据え置いた過去三年とは異なり現役世代の賃金の低下傾向が明らかとなっている中で、保険料を負担する現役世代との均衡の観点から、十五年度の年金の額等については物価スライドを実施することとし、法令どおりの取扱いであれば十五年度の年金額等は、過去三年分と合わせてマイナス二・六%の改定となるが、高齢者の生活に配慮しつつ、十四年分の物価指数の下落分のみの改定を行うこととした。この特例措置の実施のため、平成十五年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律(平成十五年法律第一九号)が成立した。
○ 平成十四年六月より、雇用と年金に関する論点について、「雇用と年金に関する研究会」を開催し、労働経済をはじめとする専門的な観点から、短時間労働者等への厚生年金の適用拡大や在職老齢年金制度の在り方等について検討を行った。十五年三月には報告書「多様な働き方に対応できる中立的な年金制度を目指して」を取りまとめており、短時間労働者に対する厚生年金の適用については、就労形態の多様化等に対応し、被用者としての年金保障の充実等を図る観点から、適用を拡大する方向で検討を進める必要があるとしている。
○ 「公的年金制度の一元化の推進について」(平成十三年三月閣議決定)にのっとり、厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律(平成十三年法律第一〇一号)が制定され、平成十四年四月に農林漁業団体職員共済組合は厚生年金保険に統合された。
○ 平成十四年四月には、確定給付企業年金法(平成十三年法律第五〇号)が施行され、厚生年金給付を代行しない企業独自の年金のみの「確定給付企業年金」が新たな選択肢として加わった。なお、同法により、一定期間経過後に適格退職年金が廃止され、確定給付企業年金等に移行するとともに、厚生年金基金の代行返上も可能となることとなった。
○ 平成十四年に、都道府県社会福祉協議会において、所有する住居に将来にわたり住み続けることを希望する低所得の高齢者世帯に対し、当該不動産を担保として生活資金の貸付を行う長期生活支援資金貸付制度を創設した。
○ 高齢者の財産管理の支援等に資する痴呆性高齢者等の権利擁護のための成年後見制度について周知を図っている。

2 健康・福祉
○ 健康づくりや疾病予防を国民的な合意の下、国全体として積極的に推進するための法的基盤を整備するため、@健康づくりを総合的に推進するため、国が全国的な目標や基本的な方向を提示すること、A地域の実情に応じた健康づくりを進めるため、地方公共団体において、健康増進計画を策定すること、B職域、地域、学校などの健康診査について、生涯を通じた自らの健康づくりに一層活用できるものとするため、共通の指針を定めること、等を内容とする健康増進法が第百五十四回通常国会にて成立し、平成十四年八月に公布された(十五年五月施行)。
○ 介護報酬の見直しに当たっては、必要な介護サービスの確保と、サービスの質の向上を図るための所要の財源も確保しつつ、保険料の上昇幅をできる限り抑制するため、近年の賃金・物価の下落傾向や、事業者の経営実態も考慮して、全体で二・三%のマイナス改定を行い、平成十五年四月から適用することとした。特に、居宅介護支援、訪問介護の引上げ、通所リハビリテーションにおける個別リハビリテーションの評価、特別養護老人ホームにおけるユニットケアの評価など、在宅重視、自立支援、要介護度の改善を念頭におき、重点的な評価を行った。
○ 痴呆性高齢者グループホームの適正な普及を図る観点から、住宅地における建設の促進、管理者等に対する研修の義務付け、情報公開の推進、市町村との連携強化等の施策を講じているほか、平成十四年十月より外部の第三者が行うサービス評価(外部評価)を義務付けている。
○ 医療保険制度については近年、急速な高齢化、経済の低迷、医療技術の進歩、国民の意識の変化など、医療制度を取り巻く環境が大きく変化する中で、将来にわたり、医療制度を持続可能な制度へと再構築していくために、その構造的な改革が求められていた。このため、政府・与党一体となって医療制度改革が議論され、第百五十四回国会において、健康保険法等の一部を改正する法律(平成十四年法律第一〇二号)が成立した。
○ 少子高齢化がピークを迎える将来においても制度の安定的な運営を図るため、健康保険法等の一部を改正する法律の附則に基づき、保険者の再編・統合を含む医療保険制度の体系の在り方、新しい高齢者医療制度の創設、診療報酬体系の見直しに関し、平成十五年三月に基本方針を策定した。
○ 平成十五年三月に「次世代育成支援に関する当面の取組方針」を取りまとめるとともに、国・地方公共団体・企業が一体となり、集中的・計画的に次世代の育成を支援するための次世代育成支援対策推進法案や地域における子育て支援の強化を図るための児童福祉法改正法案を第百五十六回国会に提出した。

3 学習・社会参加
○ 国民の生涯を通じた多様な学習需要に対応した学習機会が適切に提供されるためには、国や地方公共団体が、生涯学習の振興について積極的に取り組んでいくことが重要であり、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律(平成二年法律第七一号)に基づき、生涯学習社会の形成を図っている。
○ 生涯学習情報提供事業として、生涯学習情報を全国的に提供する事業を推進しているほか、生涯学習の普及・啓発については、全国生涯学習フェスティバルを開催し、シンポジウム、体験教室等を行った(平成十四年十月十〜十四日、石川県にて「学びごころ 伝えよう かがやく あすへ世界へ」をテーマに開催)。
○ 平成十四年度から実施している、小・中学校の新学習指導要領においては、ボランティア活動や高齢者との交流を積極的に取り入れるなどの改善を図っており、その円滑な実施に努めている(高等学校は十五年度から実施)。
○ 小・中・高等学校等の児童生徒が、ボランティア活動などの社会奉仕体験活動をはじめとする多様な体験活動に取り組むことを促進する目的で、各都道府県に「体験活動推進地域」及び「推進校」を指定し、他校のモデルとなる体験活動の展開を図る「豊かな体験活動推進事業」を平成十四年度より行っている。
○ 公民館をはじめ、図書館、博物館、女性教育施設等の社会教育施設や教育委員会において、幅広い年齢の人々を対象とした多くの学習機会が提供されている。この中には、高齢社会について理解を促進するためのものや高齢者を直接の対象とする学級・講座も開設されている。
○ 平成十三年一月から十四年十二月において、高齢者を含めすべての国民がIT(情報通信技術)基礎技能を習得することを目指し、社会教育施設及び学校施設等においてIT基礎技能講習を実施した(十四年十二月現在、受講者数約五百二十万人)。
○ 高齢者自身が社会における役割を見いだし、生きがいを持って積極的に社会に参加できるよう、各種社会環境の条件整備に努めることが重要になっている。このため、地域において、社会参加活動を総合的に実施している老人クラブに対し助成を行い、その振興を図っている。
○ 高齢者の生きがいと健康づくりを推進するため、市町村が行う高齢者の社会活動の啓発普及、高齢者のボランティア活動への支援等に対し補助を行っている。平成十四年十月には、全国健康福祉祭(ねんりんピック)を福島県で開催した。
○ 高齢者の持つ豊かな知識・経験や学習の成果をいかした社会参加活動を支援する観点から、高齢者の社会参加活動の振興方策について国民各層による幅広い意見交換を行う全国高齢者社会参加フォーラムの開催(平成十四年度は十月十一日石川県にて「学ぶ楽しみ いきいき人生」をテーマに開催)等を行った。
○ 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)に基づき、法人格を付与すること等を通じて、ボランティア活動をはじめとしたNPOの活動を促進するための環境整備を図っている。十四年十二月には、特定非営利活動を一層促進する観点から、特定非営利活動促進法の一部を改正する法律(平成十四年法律第一七三号)が成立した(十五年五月一日施行)。さらに、十五年度税制改正において、認定NPO法人制度における認定要件の緩和や認定NPO法人に対するみなし寄付金制度の導入が実現した。

4 生活環境
○ 平成十四年度においては、LSA(ライフサポートアドバイザー:生活援助員)制度を拡充し、生活支援サービスの対象となる住宅を拡大するとともに、公営住宅等においてLSA等のサービス提供の拠点となる高齢者生活相談所の整備の促進を図っている。
○ 公共交通機関の旅客施設、車両等について、バリアフリー化の望ましい内容を示し、交通事業者等がバリアフリー化を進める際の目安としてもらうことにより、利用者にとってより望ましい公共交通機関のバリアフリー化が進むことが期待される。このため、旅客施設については、平成十三年八月に策定した「公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン」に基づきバリアフリー化を実施するとともに、本ガイドラインの検討過程において残された課題に対応するため、十四年十月に「旅客施設における音による移動支援方策ガイドライン」を策定し、同年十二月には、視覚障害者誘導用ブロックに関するガイドラインを取りまとめた。
○ 歩行空間について、平成十四年十二月に、交通バリアフリー法に基づく道路の移動円滑化基準の具体的な考え方等を解説した「道路の移動円滑化整備ガイドライン」を策定した。
○ 高齢者の移動の円滑化を図るため、駅・空港等の公共交通ターミナルのエレベーター・エスカレーターの設置等の高齢者の利用に配慮した施設の整備、ノンステップバス等の車両の導入などを推進している(第3表参照)。
○ 高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(平成六年法律第四四号)について、平成十四年度に、一定の用途及び規模の特定建築物についてバリアフリー対応の義務付けの創設及び努力義務の対象の拡大、容積率特例制度をはじめとする認定建築物に対する支援措置の拡大等を内容とする改正を行った。
○ 「高齢者の交通安全総合対策について」後の交通事故情勢及び今後の本格的な高齢社会への移行等に的確に対応するとともに、高齢社会対策大綱を踏まえた交通安全対策の一層の充実を図るため、平成十五年三月に交通対策本部において「本格的な高齢社会への移行に向けた総合的な高齢者交通安全対策について」を決定した。
○ 「防災基本計画」(平成十四年四月中央防災会議決定)において高齢者等の災害弱者に配慮した防災対策を実施することとされており、病院、老人ホーム等の施設を守る土砂災害対策等を重点的に実施している。また、高齢化率の特に高い地域等が激甚な水害、土砂災害を受けた場合の再度災害防止等を図っている。
○ 農村高齢者の農業関係活動や地域活動への取組を推進するため、都市の高齢者も交えたワークショップの開催等を行うほか、平成十四年度からは世代間の交流も推進するなど、高齢者の自立的活動を促進している。また、高齢者の持つ経験や能力をいかし、森林の利用に関する社会参画を促進するため、森林環境教育活動の企画運営者研修や指導者情報の提供などを行っている。

5 調査研究等の推進
○ 痴呆、悪性新生物(がん)等の高齢期にかかりやすい疾患については、メディカル・フロンティア戦略の一環として研究を推進するとともに、長寿科学総合研究事業等において調査研究が行われており、平成十四年度までに、免疫不全症の治療法開発の進展、アルツハイマー病の早期確定診断法の開発、骨粗しょう症治療のガイドラインの作成等に関する研究が推進されている。また、長寿医療の専門家で研究班を組織し、老年病の成因、診断、治療、予防等に関する基礎的、臨床的研究を推進している。
○ がんについては、平成六年度から「がん克服新十か年戦略」を推進し、がんの本態解明の研究の充実、がん克服を主眼とした臨床や予防研究の重点的な推進を図っている。十三年度からは、十五年度以降のがん研究の中長期的な方策について検討を進めている。
○ がん及び心筋梗塞、要介護状態の大きな原因となる脳卒中、痴呆及び骨折について、ゲノム科学やタンパク質科学など先端科学を用いた治療技術・新薬の研究や、自己修復能力を用いた再生医療の実現のための研究等を行っている。
○ 平成十四年度から、我が国の研究開発能力を結集して三千種以上のタンパク質の基本構造・機能の解析を行い、ゲノム創薬の実現等を目指すプロジェクトや、大学等の研究機関における基礎的な研究成果を適切に社会に還元するための橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)等の推進に着手するとともに、個人個人にあった予防・治療を可能とする医療(テーラーメイド医療)や幹細胞を用いた再生医療の実現化を目指した研究開発、細胞・生体機能を生命情報技術・先端イメージング技術によってシミュレーションするプログラムの開発、光技術を融合した生体機能診断及び検診技術の開発のための基盤的設備の整備等を行った。
○ 医療福祉機器技術に関しては、最先端の産業技術を駆使し、安全性、利便性に優れた機器の研究開発を産学官の連携の下に取り組んでいる。平成十四年度においては、現場ニーズに的確に対応した研究開発を効率的・効果的に進めるため、戦略的かつ長期的な観点から日本人の二大死因である心疾患・脳疾患の治療に有効な再生医療を支援するための「細胞組織工学利用医療支援システムの研究開発」等を新たに実施するとともに、十三年度からの継続三十四の研究開発プロジェクトを推進している。

平成十五年度において講じようとする高齢社会対策

第1 平成十五年度の高齢社会対策

(高齢社会対策関係予算)
 高齢社会対策を、就業・所得、健康・福祉、学習・社会参加、生活環境、調査研究等の推進の各分野にわたり着実に実施する。
 一般会計予算における平成十五年度の高齢社会対策の関係予算は、十二兆七百四十二億円であり、各分野別では、就業・所得五兆七千七百四億円、健康・福祉六兆一千三百二億円、学習・社会参加三百四十七億円、調査研究等の推進一千百十五億円となっている。

第2 分野別の高齢社会対策

 平成十五年度の主な新規施策を各分野別に挙げれば、次のとおりである。

(1) 就業・所得
○ 地域の事業主団体と連携し、その傘下企業を対象として集団的に指導・助言を行うことにより、六十五歳までの継続雇用制度の導入比率の上昇を図る。
○ また、中高年長期失業者に対して、民間のノウハウを活用した就職支援セミナー、カウンセリングの実施、求職者同士の経験交流等の再就職支援を行う。
○ さらに、平成十六年の年金制度改正に向け、「年金改革の骨格に関する方向性と論点」を基に、国民的な幅広い議論を行っていくとともに、年金制度改正の具体化に向けて、社会保障審議会年金部会等において議論を進めていく。

(2) 健康・福祉
○ 高齢者が寝たきりなどの要介護状態にならずに、住み慣れた地域社会の中で自立した生活を送ることができるよう、加齢に伴う運動機能の低下を防ぐ観点から、高齢者向けのトレーニング機器等を用いたトレーニングを実施する事業等を、新たに補助対象とする。
○ また、全室個室・ユニットケアの小規模生活単位型特別養護老人ホームの特徴をいかした適切なサービスの提供を確保するため、施設管理者及び介護職員を対象とした研修の実施について、新たに補助対象とする。
○ さらに、高齢者医療制度の改革に関しては、平成十四年度に策定した基本方針に示された改革の基本的方向に基づき、具体的な改革の内容について検討を進める。

(3) 学習・社会参加
○ ボランティア活動や高齢者との交流を行うこととした新学習指導要領の円滑な実施に努める(小・中学校は平成十四年度、高等学校は十五年度より実施)。
○ また、平成十五年五月一日から施行される特定非営利活動促進法の一部を改正する法律(平成十四年法律第一七三号)や、十五年度税制改正において拡充された認定NPO法人制度の普及定着をはじめとして、NPO活動などのボランティア活動を促進するための環境整備を図る。

(4) 生活環境
○ 交通事故が多発している住居系地区や商業系地区において、面的かつ総合的な事故対策の実施により歩行者等の安全通行を確保する「あんしん歩行エリア」を中心に、高齢歩行者等の安全を確保するための施策に重点的に取り組む。
○ 住居系地区において、通過交通の排除を徹底して、車よりも歩行者等の安全・快適な利用を優先し、沿道と協働した道路緑化、無電柱化等による質の高い生活環境を創出する「くらしのみちゾーン(仮称)」を形成するため意欲の高い地区を募集し、先導的な取組を支援する。

(5) 調査研究等の推進
○ 我が国の強みをいかして、個人個人にあった予防・治療を可能とする医療(テーラーメイド医療)や幹細胞を用いた再生医療の実現化を目指した研究開発等を推進するとともに、引き続き我が国の研究開発能力を結集して三千種以上のタンパク質の基本構造・機能の解析を行い、ゲノム創薬の実現等を目指すプロジェクト等を推進する。


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法人企業統計季報


平成十五年四〜六月期調査


財 務 省


 法人企業統計調査は、統計法(昭和二十二年法律第十八号)に基づく指定統計第百十号として、我が国における金融・保険業を除く資本金一千万円以上の営利法人を対象に、企業活動の短期動向を把握することを目的として、四半期ごとの仮決算計数を調査しているものである。
 本調査結果については、国民所得統計の推計をはじめ、景気判断の基礎資料等として広く利用されている。
 この調査は標本調査であり、標本法人は層別無作為抽出法により抽出し、回収した調査票は業種別、資本金階層別に集計を行い、これを母集団に拡大して推計値を算定した。
 なお、平成十三年十〜十二月期調査から売上高、経常利益及び設備投資の三項目(業種については、全業種、製造業及び非製造業の三系列とし、資本金規模はそれぞれ全規模のみ)について、参考値として、季節調整済前期比増加率を公表している(詳細は最後尾を参照)。
 以下は、平成十五年九月四日に発表した平成十五年四〜六月期における調査結果の概要である。
 今回の調査対象法人数等は次のとおりである。
  調査対象法人      一、一七七、五〇九社
  標本法人数          二五、一五一社
  回答法人数          一九、五二八社
  回答率              七七・六%
 当調査結果から平成十五年四〜六月期の経営動向をみると、売上高については、製造業は引き続き増収となり、非製造業は増収に転じた。経常利益については、製造業は引き続き増益となり、非製造業は増益に転じた。また、設備投資については、製造業、非製造業ともに増加に転じた。

一 売上高と利益の動向第1図第2図参照

(1) 売上高第1表参照

 売上高は、二百九十五兆九千七百七億円で、前年同期(二百八十八兆九千百三十七億円)を七兆五百七十億円上回り、前年同期増加率(以下「増加率」という)は二・四%(前期△一・四%)となった。
 業種別にみると、製造業では、食料品などで減収となったものの、輸送用機械、一般機械などで増収となったことから、製造業全体では三・九%(同三・六%)の増収となった。一方、非製造業では、電気業などで減収となったものの、サービス業、卸・小売業、建設業などで増収となったことから、非製造業全体では一・八%(同△三・三%)の増収となった。
 資本金階層別の増加率をみると、資本金十億円以上の階層は二・五%(同二・二%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は三・八%(同三・〇%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は一・九%(同△六・三%)となった。

(2) 経常利益第2表参照

 経常利益は、八兆六千八百六十億円で、前年同期(七兆六千四百九十四億円)を一兆三百六十六億円上回り、増加率は一三・六%(前期一〇・〇%)となった。
 業種別にみると、製造業では、化学、食料品などで減益となったもの、一般機械、輸送用機械、電気機械などで増益となったことから、製造業全体では三六・三%(同三六・六%)の増益となった。一方、非製造業では、運輸・通信業、電気業などで減益となったものの、建設業、卸・小売業、サービス業などで増益となったことから、非製造業全体では一・六%(同△一・二%)の増益となった。
 資本金階層別の増加率をみると、資本金十億円以上の階層は一六・四%(同二二・五%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は二一・九%(同一二・七%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は七・二%(同△一・七%)となった。

(3) 利益率第3表参照

 売上高経常利益率は、二・九%(前年同期二・六%、前期三・二%)となった。
 業種別にみると、製造業は四・〇%(前年同期三・〇%、前期三・九%)、非製造業は二・五%(前年同期二・五%、前期二・八%)となった。

二 投資の動向第3図参照

(1) 設備投資第4表参照

 設備投資額は、八兆三千百十九億円で、前年同期増加率は六・四%(前期△三・〇%)となった。
 業種別にみると、製造業は、食料品、化学などで減少したものの、輸送用機械、出版・印刷などで増加したことから、製造業全体では三・八%(同△五・五%)の増加となった。一方、非製造業では、電気業、建設業などで減少したものの、サービス業、不動産業などで増加したことから、非製造業全体では七・七%(同△一・九%)の増加となった。
 資本金階層別の増加率をみると、資本金十億円以上の階層は四・二%(同△三・六%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は〇・四%(同△三・三%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は一七・三%(同△一・二%)となった。
 なお、ソフトウェア投資額は五千二百二十四億円となり、ソフトウェア投資を含んだ設備投資額は八兆八千三百四十三億円で、増加率は六・三%となった。

(2) 在庫投資第5表参照

 在庫投資額(期末棚卸資産から期首棚卸資産を控除した額)は、四兆五千八百四十九億円(前年同期三兆一千六百十九億円)となった。
 業種別にみると、製造業の投資額は一兆六千四十七億円(同一兆四千四百三十五億円)、非製造業の投資額は二兆九千八百三億円(同一兆七千百八十三億円)となった。
 また、在庫率は八・八%(同九・六%)となった。

三 資金事情第6表参照

 受取手形・売掛金は、百八十六兆四千二百八十五億円(増加率△五・二%)、支払手形・買掛金は百五十五兆六千十二億円 (同△三・八%) となった。
 短期借入金は百七十九兆九百八十九億円(同△七・三%)、長期借入金は二百三十九兆六千五百四十七億円(同△八・八%)となった。
 現金・預金は百二十一兆二千十二億円(同△一・四%)、有価証券は十五兆一千五百八十六億円(同二・七%)となった。
 また、手元流動性は一一・六%(前年同期一二・二%)となった。

四 自己資本比率第7表第4図参照

 自己資本比率は、二八・六%(前年同期二六・四%)となった。

〈参考〉

◇四半期別法人企業統計調査の季節調整方法について

一 採用した季節調整法

(1) 法人企業統計の季節調整法

 法人企業統計における季節調整では、米国商務省センサス局で開発しているX−12−ARIMA (2002)(Version0.2.9)を用いて季節調整系列を作成している。

(2) Reg−ARIMAモデルの選択

 X−12−ARIMA中のReg−ARIMAモデルにおける階差次数・季節階差次数はそれぞれ一に固定し、他の次数は二以下の範囲内でAIC(赤池情報量規準)の最小化により定めている。なお、平成十五年四〜六月期にモデルの見直しをしている。

(3) 選択されたReg−ARIMAモデル

 対象項目、業種ごとに参考表のReg−ARIMAモデル対応表のスペックを使用している。
 変化点・異常値分析の結果、売上高と経常利益の非製造業については、平成元年一〜三月期、四〜六月期および平成九年一〜三月期を変化時点として消費税効果をモデルに取り入れている。また、曜日効果については取り入れていない。
 データ利用期間は昭和六十年四〜六月期以降、先行き予測期間は四期(一年分)としている。

二 季節調整法を採用した対象項目

(1) 対象項目は売上高、経常利益、設備投資の三項目としている。
(2) 業種については、全産業、製造業、非製造業の三系列とし、資本金規模はそれぞれ全規模のみとしている。
 全産業については、製造業と非製造業の季節調整値の合計によっている。

三 季節調整済前期比増加率の公表方法

 毎四半期ごとに、新たなデータを追加してReg−ARIMAモデルによる推定を行い、当該調査期の季節調整済前期比増加率を公表する。また、過去の季節調整済前期比増加率の改訂は、毎回の季報発表時に遡及して行われる。
     ※  ※  ※
 なお、次回の調査は平成十五年七〜九月期について実施し、法人からの調査票の提出期限は平成十五年十一月十日、結果の公表は平成十五年十二月四日の予定である。




暮らしのワンポイント


金属アレルギー

アクセサリーの材質にご注意

 アレルギーといえば、花粉症やアトピー性皮膚炎などがその代表格ですが、化粧品や食品など、ほとんどの人には何でもないものが原因となって引き起こされるアレルギーも少なくありません。
 なかでも最近増えているのが、金属のアクセサリーによるアレルギー。長時間、イヤリングやピアス、ネックレスなどの金属が触れていたところに、かゆみや炎症が現れたら、おそらく金属アレルギーです。ひどくなると水疱(すいほう)ができたり、はれ上がって痛みを感じる場合もあります。
 アレルギーを引き起こしやすい金属は、ニッケルやコバルト、パラジウム、クロームなど。これらはアクセサリー以外に、腕時計のベルトや眼鏡のフレームなどに使われることもあります。
 また、入れ歯や義歯などに使われている金属が溶け、アレルギーを起こすことがあります。この場合、手のひらや足の裏に小さな膿疱(のうほう)が現れたり、湿疹やかぶれなど皮膚炎を起こしたりします。
 それまでなんともなかったのに、ある時から突然症状が出る例も少なくありません。いずれにしろ、おかしいと感じたら、すぐに医師に相談することです。病院では、まずパッチテストを行って、何のアレルギーか診断します。原因物質と疑われる金属片を皮膚に張りつけ、患部の変化を見るのです。原因物質が判明したら、その金属を使ったアクセサリー類を身辺から遠ざけ、医師の指導に従います。
 アレルギー対策に素人判断は危険です。誤った薬品を使用してかえって悪化させたり、何年も後遺症に悩まされたりすることもあります。必ず専門医に相談し、検査を受けたうえで治療するようにしましょう。



言葉の履歴書


そばだつ

 高くそびえ立つ意味の「峙(そばだ)つ」という言葉と、食べる「蕎麦(そば)」とは一見何の関係もないようにみえます。しかし、語源のうえでは、ちゃんとしたつながりがあるのです。
 「峙つ」の「そば」は、とがった角のこと。漢字では「稜(そば)」が当てられますが、「岨(そば)」と書くと絶壁や急な坂など、険しい地形を指すことになります。
 一方、蕎麦は初秋に小さな白い花が咲き、晩秋に三角形の実を結びます。実にとがった稜角(りようかく)があるので「そばむぎ」と名付けられ、略して「そば」と呼ばれるようになりました。「そばがら」は蕎麦粉を作った後の茶色い殻で、枕(まくら)などに詰めるものとして用いられます。
 「そばかす」は、もともとは「そばがら」の同義語でしたが、いま「そばかす」といえば、顔面に生じる茶色の小さな斑点(はんてん)を指すことの方が多いようです。
 「雀斑(そばかす)」の字が当てられるのは、色素変化の症状が雀の卵にみられる斑点に近いためですが、医学用語の「雀卵斑(じやくらんはん)」になると、もう「そば」とは関係がありません。




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食生活改善普及月間

平成十五年度 食生活改善普及月間

はじめよう まずは「食」から健康生活

厚生労働省

がん、心臓病、脳卒中、糖尿病、高血圧などの生活習慣病が、現代人にとって深刻な健康問題となっています。
 食事、運動、休養など、日常的な生活習慣と深くかかわる「生活習慣病」。それらの多くは、「食生活」との関連が指摘されています。
 毎年十月一日から三十一日は「食生活改善普及月間」です。正しい食生活で生活習慣病を予防し、豊かで健康な暮らしを実現しましょう。

健康ですか? あなたの食生活
 近年、ライフスタイルや家族のあり方の多様化に伴い、食生活をとりまく社会環境は大きく変化しています。個人の食生活も多様化し、最近では、外食、加工食品、調理済み食品、栄養機能食品、特定保健用食品などを利用する人が増えています。特に若い世代を中心に、朝食をとらない、インスタント食品のとりすぎ、偏食などの問題が見られ、生活習慣病の若年化が心配されています。
 食生活は、健康の保持・増進、疾病予防の基本です。心身ともに充実した毎日を過ごすためにも、一人一人が食生活を見直し、規則正しく、栄養バランスのとれた健康的な食生活を実践することが重要です。

実践しよう! 「食生活指針」
 私たちが日々の生活のなかで、何をどれだけ、どのように食べればよいのか、具体的に実践できる目標として、平成十二年三月、新しい「食生活指針」が策定されました。
 十項目からなる「食生活指針」は、食料生産、流通、食文化、健康など、複雑にかかわりあう食生活全体を幅広く視野に入れた内容となっており、それぞれの項目はいずれも、健康的で豊かな生活を送るために大切なものです。
 次に紹介する「食生活指針」の実践ポイントを参考に、健康的な食生活を心がけましょう。

食事を楽しみましょう
・心とからだにおいしい食事を、味わって食べましょう。
・毎日の食事で、健康寿命をのばしましょう。
・家族の団らんや人との交流を大切に、また、食事づくりに参加しましょう。

一日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを
・朝食で、いきいきした一日を始めましょう。
・夜食や間食はとりすぎないようにしましょう。
・飲酒はほどほどにしましょう。

主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを
・多様な食品を組み合わせましょう。
・調理方法が偏らないようにしましょう。
・手作りと外食や加工食品・調理食品を上手に組み合わせましょう。

ごはんなどの穀類をしっかりと
・穀類を毎食とって、糖質からのエネルギー摂取を適正に保ちましょう。
・日本の気候・風土に適している米などの穀類を利用しましょう。

野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて
・たっぷり野菜と毎日の果物で、ビタミン、ミネラル、食物繊維をとりましょう。
・牛乳・乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などで、カルシウムを十分にとりましょう。

食塩や脂肪は控えめに
・塩辛い食品を控えめに、食塩は一日十グラム未満にしましょう。
・脂肪のとりすぎをやめ、動物、植物、魚由来の脂肪をバランスよくとりましょう。
・栄養成分表示を見て、食品や外食を選ぶ習慣を身につけましょう。

適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を
・太ってきたかなと感じたら、体重を量りましょう。
・ふだんから意識して身体を動かすようにしましょう。
・美しさは健康から。無理な減量はやめましょう。
・しっかりかんで、ゆっくり食べましょう。

食文化や地域の産物を生かし、ときには新しい料理も
・地域の産物や旬の素材を使うとともに、行事食を取り入れながら、自然の恵みや四季の変化を楽しみましょう。
・食文化を大切にして、日々の食生活に生かしましょう。
・食材に関する知識や料理技術を身につけましょう。
・ときには新しい料理を作ってみましょう。

調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく
・買いすぎ、作りすぎに注意して、食べ残しのない適量を心がけましょう。
・賞味期限や消費期限を考えて利用しましょう。
・定期的に冷蔵庫の中身や家庭内の食材を点検し、献立を工夫して食べましょう。

自分の食生活を見直してみましょう
・自分の健康目標をつくり、食生活を点検する習慣を持ちましょう。
・家族や仲間と、食生活を考えたり、話し合ったりしてみましょう。
・学校や家庭で食生活の正しい理解や望ましい習慣を身につけましょう。
・子どものころから、食生活を大切にしましょう。

「食生活改善普及月間」

〜毎年十月一日〜三十一日は「食生活改善普及月間」〜

 がん、心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病の増加が大きな健康課題となっています。国民一人一人の食生活改善に対する自覚を高め、日常生活での実践を促すことを目的に、昭和二十四年から食生活改善普及運動が実施されています。平成十五年度も、十月一日〜三十一日までの一か月間、「はじめよう まずは“食”から健康生活」を統一標語に、食生活改善普及月間として、全国各地でさまざまな食生活改善普及運動が展開されます。

関連ホームページ
■厚生労働省「健康日本21」
 (http://www1.mhlw.go.jp/topics/kenko21_11/top.html)
■厚生労働省「食生活指針」
 (http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1203/h0323−1_11.html)
(Web版広報通信十月号)






    <10月15日号の主な予定>

 ▽男女共同参画白書のあらまし………………内 閣 府 

 ▽平成十四年国民生活基礎調査の概況………厚生労働省 




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