官報資料版 平成15年10月22日




                  ▽製造基盤白書のあらまし……………………経済産業省
                                      厚生労働省
                                      文部科学省

                  ▽平成十四年雇用動向調査結果の概況………厚生労働省











製造基盤白書のあらまし


経済産業省

厚生労働省

文部科学省

T 製造基盤白書について

 「平成十四年度ものづくり基盤技術振興基本法第八条に基づく年次報告」、いわゆる製造基盤白書は、「ものづくり基盤技術振興基本法」に基づいて、政府が、ものづくり基盤技術に関して講じた施策に関して国会に報告するものである。平成十一年三月に法律が成立してから今回が三回目の年次報告である。

U 平成十四年度白書の概要

1 変化する内外の経済環境に挑戦する我が国製造業(経済産業省担当箇所)
(1) 我が国製造業の概況と我が国経済における位置付けを踏まえ、我が国製造業が、その活力を維持し、日本経済を牽引していくことが重要な課題である。
(2) 我が国製造業が中国、ASEAN等に事業展開し、アジアにおける生産のコスト優位性を取り込むとともに、成長する現地市場へのアクセスを確保することは必要不可欠である。
(3) 一方、技術開発等を通じた国内立地製造業の競争力の維持・強化も不可欠である。これらの取組が両輪となることで、日本とアジアの棲み分けによる好循環を実現可能とする。
(4) このような課題に対する我が国製造業の具体的な取組事例を紹介するとともに、業種別にみた課題と展望についても分析している。

2 ものづくり労働者の確保等の現状と課題(厚生労働省担当箇所)
(1) コスト競争の激化や顧客志向の高まり等に対応するため、生産管理や品質管理などの技術に通じた技能者や、高度熟練技能者や多能工の育成が重要な問題である。
(2) 今後求められるものづくり労働者を育成していくためには、ものづくりにおける若年者の入職・定着の確保が必要である。具体的には、@就職前のなるべく早い段階から、ものづくりに興味・関心を持つための機会を確保するとともに、A基礎的な能力を段階的に育成していくことが重要である。
(3) このような課題に対する具体的な取組事例を紹介する。

3 ものづくり基盤技術に係る学習の現状と課題(文部科学省担当箇所)
(1) 産業力強化のため、大学等における戦略的な基礎研究や、産学連携を進めていくことが重要である。
(2) ものづくり基盤技術を支える創造性に富んだ人材の育成のため、@学校におけるインターンシップ(就業体験)や科学技術・理科教育の充実、大学や高等専門学校等における実践的な教育の充実をさせていくとともに、A博物館におけるものづくり体験など生涯学習分野でのものづくりに関する学習機会の提供などの更なる取組が重要である。
(3) このような課題に対する具体的な取組事例を紹介する。

第1部 我が国のものづくり基盤技術の現状と課題

第1章 変化する内外の経済環境に挑戦する我が国製造業

第1節 我が国製造業の概況と経済における位置付け

1 我が国製造業の概況
@ 二〇〇二年の我が国製造業の生産は一九九三年以来の低水準にある。雇用も一九九二年のピーク以降三百四十七万人減少している。
○ 鉱工業生産(実質)は前年比マイナスを依然として継続し、二〇〇二年には一九九三年以来の低水準にある。ピークの一九九一年と比べ九・六%減少し、製造業の出荷額(名目)ではピークの一九九一年と比べ二〇〇一年には一四・七%減少している(第1図参照)。
○ 製造業の雇用は一九九二年のピーク以降三百四十七万人減少しており、サービス業の雇用増を上回るスピードである(第2図参照)。
A バブル崩壊後、製造業は設備投資を抑制して、借入の削減にキャッシュフローを充当しており、設備投資は低水準で推移している。
○ 製造業の設備投資は、需要の低迷と設備の過剰を背景に、一九九一年のピーク以降減少基調となって、キャッシュフローを下回る水準で推移し、二〇〇二年度にはピーク時の約五割の水準に低迷している(第3図参照)。
B 製造業は、厳しい経営環境の中で、研究活動を維持する努力を継続しているものの、米国との格差が拡大しており、一層の拡充の必要がある。
○ 製造業の出荷額が低迷している中で、研究費はおおむね増加傾向にあるものの、米国との格差は拡大している(第4図参照)。
C 製造業の収益は人件費の圧縮等のリストラが寄与して二〇〇二年には増益した(第5図参照)。

2 我が国経済における製造業の位置付け
@ 我が国製造業は、以下の観点から、我が国経済において依然として重要な位置付けを有している。
 (i) 我が国経済に占める割合が大きいこと。
 (ii) 製造業の付加価値額の増加が、各産業に対して大きな波及効果をもたらし、産業としての裾野の広がりが大きいこと。
○ 我が国製造業の生み出す付加価値がGDPに占める割合は大きい。

我が国製造業の付加価値額の対GDP比二〇・八%
製造業の事業活動に伴う他産業の付加価値額の増加分を加えたものの対GDP比三二・四%

○ 製造業の付加価値額の増減が全産業の付加価値額に及ぼす波及効果はサービス業よりも大きい。

製造業の付加価値額の増減による波及効果一・九五
サービス業の付加価値額の増減による波及効果一・三五

A 我が国製造業は、(i)経済成長、(ii)外貨獲得、(iii)雇用機会、(iv)研究開発、の担い手として、引き続き我が国経済の牽引力であることが期待されている。
○ <経済成長>我が国製造業の労働生産性の伸びは、全産業の労働生産性の伸びを大きく上回り、経済成長に貢献している。国際的にみても、我が国製造業の生産性は高い(第6図参照)。
○ <外貨獲得>我が国輸出の九割以上は工業製品が占めており、貿易収支は十一兆六千億円の黒字である。我が国のサービス業の輸出入収支はほとんどの分野で赤字であり、サービス収支は五兆二千億円の赤字である(二〇〇二年度国際収支ベース)。
○ <雇用機会>我が国の製造業の就業者数全体に占める割合は、米国、英国を大きく上回る。
 日本:二〇・〇%
 米国:一四・〇%
 英国:一六・五%
 ドイツ:二四・一%
 (参考) 製造業の事業活動に伴う他産業の就業者数の増加分を製造業の就業者数に加えたものの全産業の就業者に占める割合は三四・四%(二〇〇一年)となる。
  資料:OECD「Labour Force Statistics」
  備考:二〇〇一年データ。ドイツのみ一九九八年データ。
○ <研究開発>製造業は我が国民間研究開発投資の中心。
 日本:八九・六%
 米国:六四・二%
 英国:七九・六%
 フランス:八五・七%
 ドイツ:九〇・九%
  資料:OECD「Basic Science and Technology Statistics」
  備考:一九九九年データ。

第2節 事業環境等の変化に直面する我が国製造業

1 我が国製造業の事業環境の変化
@ 我が国製造業は、近年、中国をはじめとする海外での事業活動を活発化している。国内製造業は、取引先の海外移転、競合品の逆輸入の増大など構造的変化に直面している。
○ 輸送機械、電気機械をはじめ我が国製造業の海外生産比率は九〇年代に大幅に拡大した(第7図参照)。
○ 逆輸入は拡大し、貿易黒字は縮小している。
 ・ 逆輸入額は電気機械を中心に四兆四千億円(一九九八年度)から五兆七千億円(二〇〇〇年度)に拡大しており、引き続き拡大の見込みである。
 ・ 貿易黒字は十四兆円(一九九八年)から九兆九千億円(二〇〇二年)に縮小となった。
A 高コスト構造の是正の進捗や対内直接投資増大への動きが徐々に進展しつつあり、我が国製造業はこれらを好機と捉え、競争力強化に向けて取り組むことが必要である。
○ 高コスト構造の是正は進捗しつつあり、例えば、産業用電力料金は、ピーク時に比べて一六%低減しているものの、欧米よりいまだ高く、一層の努力が必要である。
○ 対内直接投資額は、他の先進国に比べて低水準にあるものの、近年、増加傾向にある。政府は五年後に対日直接投資残高を倍増することを目指すこととしており、これに向けた努力により、製造業への投資受入れに伴う人材、ノウハウ、技術の獲得や、外資が提供する新規サービスの活用が期待される(第8図参照)。

2 アジア経済の急速な発展
@ 中国及びASEAN4は、生産拠点として大きく成長し、それぞれの特徴を示してきている。
○ 近年の中国・香港の直接投資受入額は、東アジア各国に比べ高水準であり、直接投資の受入れが中国の急成長を支えている(第9図参照)。
○ 中国は低廉な労働力において競争力を有する。ASEANも同様である(第10図参照)。
A 中国市場、ASEAN4市場は、我が国製造業にビジネス機会を提供している。
○ 中国のGDPは、急成長を持続し、二〇〇二年も八・〇%の成長をしている。ASEAN4も国際的にみると高成長地域であり、二〇〇二年も四・三%の成長をしている。
○ 急速な経済発展を続ける中国沿岸部は、我が国製造業にとっての将来の中・高級品市場として期待される。ASEAN4市場はAFTA(ASEAN自由貿易地域)の促進により、一層の一体化・拡大が期待される。
<中国における市場拡大の状況>
 ・ 発電設備の整備が加速し、二〇〇一年の発電設備能力は三億三千万キロワットに到達した(日本は二億六千百七十三万キロワット)。(二〇〇一年の増加分は九州電力の発電設備能力にほぼ相当)。
 ・ 二〇〇二年の粗鋼の生産量は前年比一九・七%増の一億八千百五十五万トンとなった(日本は一億七百七十五万トン)。(二〇〇二年の増加分は新日本製鉄の年間生産量を上回る)。
 ・ 二〇〇二年の自動車販売は前年比三七%増の三百二十四万台となった(日本は五百七十九万台)。うち乗用車は五五%増の百十二万台(日本は四百四十四万台)。(二〇〇二年の増加分はトヨタ自動車の年間国内販売台数の約五割に達する)。
 ・ 二〇〇〇年末における都市部職工家庭のカラーテレビ普及率は一〇〇%を超え、洗濯機、冷蔵庫の普及率も八〇%を超える。上海では、DVDの普及率が五六%に到達した。
B 我が国製造業の中国・香港、ASEAN4への直接投資の進展に伴い、相互に得意分野を活かして、現地法人による我が国向け逆輸入や我が国からの中間財調達が活発化している。国内製造業との分業的、相互補完的関係を構築しつつある。
C 我が国製造業は、中国については今後の直接投資に強い意欲がある。ASEAN4については、直接投資や事業展開の長い経験があり、蓄積が大きい。一方、事業展開上の課題については、中国に関する指摘が多い。中国、ASEAN4との相互発展に向けて、我が国製造業は、官民を挙げて、これらの課題を解決しながら、これらの国・地域のメリット・デメリットを踏まえつつ、事業展開を戦略的に進めることが重要である。
○ 人民元については、対ドル・レートが事実上ほぼ固定されており、世界銀行統計に基づき購買力平価ベースでみると、近年の水準は、人民元が円に比して約六分の一の過小評価となっていると試算される。こうした為替水準を踏まえた人件費は日中間で十〜二十五倍の格差があるが、我が国製造業の生産額に占める人件費の割合は、平均一九%にとどまる(第11図第12図参照)。

3 厳しい経営環境の中で発展への道を模索する中小製造業
@ 我が国中小製造業の生産水準は近年総じて低調であり、業況も厳しい(第13図参照)。
A 特定分野で高いシェアを獲得するニッチトップ企業は、厳しい経営環境の下でも、高収益を上げている(第14図参照)。
○ ニッチトップ企業の具体例
 ・ 半導体搭載基板用めっき液製造企業A社:国内外シェア七〇〜八〇%。
 ・ 簡易水質検査キット製造企業B社:国内シェア八五%。
 ・ 発泡スチロール再資源化装置製造企業C社:国内シェア八〇%。
○ 比較的小規模な企業(過半数は従業員百人以下の企業)でもニッチトップを獲得し、高い利益率を実現している。ニッチトップ製品創出の最大のきっかけは顧客からの個別相談・要望である(第15図参照)。
○ また、自前販売網の整備、展示会等への出品など販路開拓、技術開発等による製品の不断の改善・改良が課題となっている。
B 需要の低迷する伝統的工芸品産業は、展示会や新製品開発による需要喚起がカギとなる。
○ 国民の生活様式の変化や長引く景気の低迷などを背景に、伝統的工芸品への需要は大幅に減少し、輸入品を中心とする模倣品の被害も発生しており、生産額は九〇年代のほぼ半減となっている(第16図参照)。
○ こうした中で、デザインやブランド戦略、インターネットの利用、海外での販売促進等による需要喚起に成功しつつある産地もあり、伝統を守りつつ、新しい挑戦が期待される。

第3節 我が国製造業の課題と競争力強化のための取組

 我が国製造業が、その活力を維持し、日本経済を牽引していくことは重要な課題である。
 また、我が国製造業が中国、ASEAN等に事業展開し、アジアにおける生産のコスト優位性を取り込み、成長する現地市場へのアクセスを確保することは重要であるが、併せて技術開発等を通じた国内立地製造業の競争力の維持・強化も不可欠である。双方の取組が両輪となって初めて、日本とアジアの棲み分けによる好循環が実現可能となる。
○ 我が国製造業に高い競争力が期待される分野の例
 ・ 統合(擦り合わせ)型完成財:自動車、工作機械、航空機など。
 ・ 高機能部品・素材:高度電子部品、機能性化学品、機能性繊維、ニューガラスなど。
 ・ 高級消費財:先端的技術を用いた情報家電、ファッション性の強い高級衣料、デザイン性の強い電気電子機器など。
 ・ 製品・サービス融合財:消耗品とパッケージとなった複写機、工場システムと一体となったプラントなど。

1 高付加価値をもたらす技術・IT・デザインの戦略的開発・活用
(1) 技術開発・産学官連携の推進
@ 我が国製造業の国際競争力強化の基本は技術開発の推進であり、
 (i) 研究開発促進税制の抜本的拡充等を受けた民間研究開発の拡大・重点化、
 (ii) 科学技術基本計画の着実な実施による政府研究開発の拡大・重点化、
を積極的に行うことが必要である。
  さらに、フォーカス21等の実用化に結びつく技術開発プロジェクトの推進が必要である。
○ 研究開発促進税制の抜本的拡充
 (ア) 二〇〇三年から、試験研究費総額の一定割合を税額控除する制度等を導入する。
 (イ) 減税規模六千六百七十億円(平年度)。
○ 第二次科学技術基本計画
 二〇〇一年度から二〇〇五年度までの五年間に政府研究開発投資総額を約二十四兆円と計画している(第一次基本計画は、一九九六年度から二〇〇〇年度までの五年間に同総額を約十七兆円と計画)。
○ 重点四分野における技術開発
 需要の拡大や産業の創出の期待できる以下の重点四分野の技術開発を進めることが必要である。重点四分野の技術は、幅広い産業の競争力強化に活用が可能であり、多くの産業がその技術を取り入れ、装備していくことが必要である。
 ・ ライフサイエンス(バイオテクノロジー)関連予算(二〇〇三年度)四千六十八億円
 国民生活の基本である「生きる」、「食べる」、「暮らす」を大きく向上させる技術であり、疾病の予防・治療技術の開発、有用物質の生産・環境対応に関する技術の開発、融合領域の研究等の技術開発を推進することが重要である。
 ・ 情報通信 関連予算(二〇〇三年度)一千七百五十三億円
 我々の身の回りのあらゆる電気製品に活用されるなど、社会・経済にとって不可欠な技術であり、ネットワーク社会への技術、ロボットをはじめ新産業の種となる技術、研究開発の基盤となる技術等の技術開発を推進することが重要である。
 ・ 環境・エネルギー 関連予算(二〇〇三年度)七千七百四十七億円
 環境負荷低減、資源・エネルギーの有効利用・安定利用に重要な技術であり、地球温暖化対策関連技術、資源循環型技術、化学物質リスク総合管理技術等の技術開発を推進することが重要である。
 ・ ナノテクノロジー・材料 関連予算(二〇〇三年度)九百四億円
 従来型の技術・工学の限界を超える産業技術のパラダイムを変更し、社会生活を変更しうる技術であり、次世代情報通信システム用ナノデバイス・材料、環境保全・エネルギー利用高度化材料等の技術開発が重要である。
○ 実用化を視野に入れた研究開発の推進
 ・ 「フォーカス21」は、産業競争力強化に直結し、民間のコミットメントが得られた事業を積極的に支援している(二〇〇三年度予算三百六十七億円+二〇〇二年度補正予算六十億円)。
 ・ また、地域の特性を活かした技術開発を推進する(同二百七十四億円+同三十八億円)。
A 大学や民間の研究機関に蓄積されている研究成果の早期の事業化・実用化を図り、産業力強化に資するものとするため、
 (i) TLO(技術移転機関)を通じた研究成果の活用
 (ii) 大学発ベンチャー、スピンオフベンチャーによる事業化
 (iii) 産業クラスターや知的クラスターの形成
などによる産学官連携の推進が重要である。
○ TLO・大学発ベンチャーの促進(二〇〇三年度予算)
 ・ 承認TLOの技術移転事業に対する補助:六億円。
 ・ 大学発事業創出実用化研究開発事業(TLO経由):二十四億一千万円。
 ・ 産業技術実用化開発補助事業(スピンオフベンチャー支援):六十一億三千万円。
 ・ 技術移転支援センターの整備:十五億六千万円。
 ・ 大学発ベンチャー創出のための事業:二十二億九千万円。
○ 「産業クラスター計画」(十九プロジェクト)による産学官の広域的な人的ネットワークの形成、地域の特性を活かした実用化技術開発の推進、起業家育成施設の整備等の取組は着実に進展している。
<産業クラスター計画>(二〇〇二年九月現在)
 ・ 世界市場を目指す中堅・中小企業:約三千八百社。
 ・ 連携大学数:約二百大学。
 ・ 連携公設試験所等:約百機関。
 ・ 連携研究者数:約九百七十人。
 ・ 連携資金供給機関:約百機関。
 ・ 二〇〇三年度予算:三百八十五億円。
○ 「知的クラスター計画」(十三プロジェクト)による大学・公的研究機関を核とした関連研究機関・研究開発型企業の参画による技術開発の取組も着実に進展している。
 ・ 二〇〇三年度予算:六十九億円。
(2) IT(情報通信技術)の戦略的活用による「新たな価値の創造」と「業務プロセスの革新」
@ ITは、製造業の競争力強化にとって不可欠なツールであり、
 (i) 製品機能の向上や新サービスの付加による「新たな価値の創造」や
 (ii) 供給プロセス全体の最適化などによる「業務プロセスの革新的効率化」
をもたらしうるものである。
 こうしたIT活用の取組を、経営、開発・設計、調達、製造、流通、製品リサイクル・廃棄などの企業活動のあらゆる局面で戦略的に行っていくことが重要である。
○ 「新たな価値の創造」
<製品の高付加価値化の例>
 ・ 機械のネットワーク化による工場全体の機能向上→複数の機械をネットワークで連携させたシステム全体としての高付加価値化。
 ・ 災害現場や介護の現場で活躍する高度なロボット→遠隔復旧作業や遠隔医療の実現。
<新たなビジネスモデルの例>
 ・ ITを使って二十四時間稼働の工場メンテナンス・アフター・サービスを提供→ホーム・セキュリティ・サービスの工場版の実現。
 ・ ITを用いた革新的な金型製造→紙による設計図の作成、試作の工程をCAD/CAMの徹底活用により省略。
○ 「業務プロセスの革新的効率化」
 電子タグ等の最新IT技術の活用により、徹底的な事業の改革を実現していくことが重要である。
 <開発・設計への導入例> シミュレーションのIT化による開発・設計プロセスの効率化→金型産業においては、量産用プレス金型のシミュレーションをIT化することにより、開発・設計期間のおおむね五〇%の短縮を実現する。
 <調達への導入例> 手続の簡素化等による資材・部品調達の効率化→自動車産業においては、部品産業などとの調達ネットワークの構築により、発注から納入までの期間が十七日から七日程度への短縮を実現する。
 <製造への導入例> 製造計画の合理化、情報の共有による製造プロセスの効率化→工作機械産業においては、生産指示、納入指示をIT化することにより、製造計画を週次管理から日次管理に変更して在庫を圧縮し、組立日数を三分の一に短縮することを実現する。
 <流通への導入例> ITを活用した供給プロセス全体の最適化による生産・販売の効率化→繊維産業においては、工程管理、販売情報共有のIT化により、不良在庫を九〇%削減し、流通段階からの返品を八五%削減することを実現する。
A 二〇〇三年からのIT投資促進税制の効果が期待される一方、企業の戦略的対応、導入コスト、標準化及び互換性の確保、人材育成、業界全体での導入といった共通課題への対処も必要である。
○ IT投資促進税制の抜本的拡充
 ・ 二〇〇三年から、ソフトウェア及びハードウェアの投資に対して、一〇%の税額控除と取得資産の五〇%の特別償却の選択を認める。
○ IT活用の共通課題の例
 ・ 商取引上のデータ通信様式に限らず、様々なデータ様式を標準化するとともに、CADシステム間のデータの変換の容易化。
 ・ 設計エンジニアなどのITに対応した人材への再教育。
 ・ ITが企業間の連携に一層活用されるよう中小企業を含む業界全体でのIT導入の促進。
 ・ 取引における価格の後決め方式などの旧来型の商慣行や多段階の流通構造などの旧来型の産業構造の改善。
(3) デザインの戦略的開発・活用による高付加価値化・需要開拓の実現
 デザインの戦略的活用は「ブランド形成の近道」。国際競争が激しい分野や、技術的に成熟し技術開発の余地に限りがある製品分野を中心に、デザインの創造・活用は高付加価値化・差別化のために重要である。また、新規需要開拓の視点からもデザインの創造・活用は重要である。
○ 戦略的なデザイン活用の取組
 <事例> 自動車メーカーのデザイン重視の経営戦略の推進
 「デザイン重視の車づくり」の経営戦略を打ち出し、トップ主導によりデザイン重視の経営を徹底している。消費者の嗜好に合致したデザインの自動車を生み出すとともに、販売店の外観・内装、広告、ホームページなど消費者に届くまでのすべての過程にデザイナーが関与している。この結果、六年前に比べグッドデザイン賞受賞が五倍となり、売上げも好調となっている。
 <事例> 福井県鯖江市の眼鏡枠メーカーのデザイン活用による自主ブランド開発
 独自の加工技術とデザインとの結集により国際的に通用する自主ブランドを開発し、確立している。優れたデザインは、国内、イタリアなどで高い評価を受け、グッド・デザイン賞を受賞する会社もみられる。

2 高付加価値をもたらす技術等の保全管理のための取組
@ 我が国製造業が高付加価値をもたらす技術開発やデザインの戦略的開発・活用、ITの戦略的活用を図るに当たり、その成果となる技術、デザイン等を十分に保全管理することが重要である。こうした観点から、
 (i) 知的財産を戦略的に取得・管理するとともに、
 (ii) 知的財産権侵害に対しては、毅然として対応する
 ことが必要である。
○ 知的財産の取得・管理
 ・ 企業それぞれが知的財産を重視した経営戦略を確立し、推進することが不可欠である。
 ・ 二〇〇三年三月に「知的財産の取得・管理指針」を策定し、公表する。
○ 知的財産権侵害に対する毅然とした対応
 ・ 政府の取組として、WTOなどの多国間の枠組や二国間協議を活用し法制面の整備・運用の改善・強化を要請する。
 ・ 産業界横断の取組として、「国際知的財産保護フォーラム」(百六十の企業・団体が参加)は、二〇〇二年十二月、我が国初の大規模・ハイレベルな官民合同ミッション(約九十名)を中国に派遣した。
A また、知的財産権の保護が弱い国・地域を中心として、多く発生している「意図せざる技術流出」を防止することが必要である。
○ 意図せざる技術流出の防止
 ・ 意図した技術移転の範囲を超えた技術流出が多く発生しており、模倣品被害の拡大、海外企業の技術キャッチアップの加速化が懸念されている。
 ・ 二〇〇三年三月に「技術流出防止指針〜意図せざる技術流出の防止のために〜」を策定し、公表した。

3 海外市場の確保と貿易投資環境の整備
 アジア諸国を中心に魅力を増している国・地域が増加する中で、我が国製造業の輸出・海外投資の機会を確保することは重要である。中でも、
 (i) 輸出市場官の拡大のための官民を挙げた取組
 (ii) WTOルールの遵守など
 (iii) WTOラウンドの活用・経済連携協定の推進
などにおいて、効果的に対応していくことが必要である。
○ 輸出市場の拡大のための官民挙げた取組
 ・ 国際展示会への出展等。
  <例> タオル企業がJETROの支援により国際展示会へ出品し、グランプリを受賞。米国・国内からの商談が相次いでいる。
 ・ トップセールスの活用。
  欧米諸国はいわゆる「トップセールス」を積極的に行っており、我が国においても、政府首脳が産業界代表を伴って、外国を訪問する「トップセールス」に対する産業界の期待が高まっている。
○ WTOルールの遵守など
 我が国企業からは、途上国における貿易投資の問題が数多く挙げられており、WTOルールに則した対応をとるとともに、WTOルール外のものについても、官民挙げた取組や自衛手段を講じることが必要である。
  <例> 中国における知的財産に係る法律の運用、自動車輸入割当の運用、写真感光材料の関税譲許不履行、代金回収問題等
○ WTO新ラウンド・経済連携協定の推進
 WTO新ラウンドは、多国間での貿易・投資の自由化により我が国製造業にとりビジネス機会の拡大等に資するものであり重要である。
 また、自由貿易協定などの地域統合が全世界で進展する状況下において、我が国はその取組を推進し始めた段階にあり、東アジアやメキシコ等との経済連携協定の早期締結も重要である。
<我が国製造業にとり有益なWTO新ラウンド(ドーハラウンド)の交渉テーマ>
 ・ 非農産品市場アクセスの改善。
 ・ アンチダンピング措置の濫用防止のための規律強化。
 ・ 投資ルールの構築。
<我が国製造業が関心を有する経済連携協定>
 ・ 日・シンガポール新時代経済連携協定は、二〇〇二年十一月に発効した。
 ・ メキシコと経済連携協定締結に向けて交渉中である。
 ・ ASEANと経済連携の枠組みの検討を実施するとともに、タイ、フィリピン、マレーシアとの間で個別に政府間の作業部会における検討を実施する。
 ・ 韓国と産官学のFTA研究会における検討を実施する。

4 企業改革・戦略的経営の推進
 欧米の製造業は、国境を越えた再編を大胆に進めてきている。これは、重複排除によりコスト削減・事業の効率化を図り、将来に向けた技術開発・設備投資等のための投資余力を拡大するとともに、供給サイドや需要サイドに対する価格形成力の向上を目的としたものである。
 一方、我が国では、一部に再編が進展している業種もみられるものの、全体としては再編の動きが十分進展していない。今後とも設備処理を伴う大胆な再編が必要である。こうした再編に加え、我が国製造業は収益の高い分野への経営資源の集中等を行うことが必要である。

第2章 ものづくり労働者の確保等の現状と課題

第1節 ものづくり労働者をめぐる現状

1 雇用失業情勢
 二〇〇二年の労働市場は、求人が増加するなど一部に改善の動きがみられるものの、完全失業率は高い水準で推移しており、雇用情勢は厳しい状況にある。
 このうち製造業については、新規求人が前年同期比でみて二〇〇二年後半から増加に転じているなど一部に改善の動きがみられるものの、海外生産比率の上昇等を背景として、一九九二年をピークに雇用者の減少が続いている(第17図第18図参照)。

2 求人と求職のミスマッチ
 我が国の労働市場においては、構造的・摩擦的失業が増加しており、欠員と失業が併存する不均衡が拡大している。その主な要因としては職業能力の不一致があげられ、再就職に結びつく効果的な職業能力開発を推進することは重要な課題である(第19図参照)。
 また、特に中高年層においては、年齢によるミスマッチも大きな要因となっている。

3 就業者の年齢構成の変化
@ 製造業においては、新規学卒の入職者数が一九九二年をピークに大幅な減少傾向にあり、他の産業と比較しても減少の度合いは大きい。特に、大企業製造業においては高卒の採用抑制が顕著である(第20図参照)。
A 就業者に占める十五〜二十九歳の割合は製造業において大きく低下する一方、製造業における高齢化は産業平均を上回る速度で進展している(第21図参照)。

4 処遇・評価の現状
 製造業労働者の給与をみると、きまって支給する現金給与額、所定内給与額のいずれも産業計より低い。また、生産労働者の給与は管理・事務・技術労働者を下回る。
 今後、高い技能に見合った処遇が受けられるよう、ものづくりの魅力を高めていくことが重要である(第22図第23図参照)。

第2節 ものづくり労働者の育成に関する課題

1 ものづくり現場の状況と課題
@ 現場の創意工夫を活かした製品開発力は、我が国ものづくりの発展の大きな源泉となってきたが、現在ものづくりにおいては、
 ・ 生産の海外進出により現場そのものが一部喪失
 ・ 外部委託の進展により現場と設計・開発部門とが分離
 ・ 生産の自動化・システム化により技能のブラックボックス化が進展
といった事態が生じ、現場労働者の技能や改善・提案の力などの低下につながるおそれがある(第1表第2表第24図参照)。
A 企業においては、生産の海外進出、外部委託や自動化・システム化が進展する中にあっても今後必要となる技能を見極め、それについて的確な継承・発展を図るとともに、現場の知恵を着実に製品開発等に活かせるよう、設計・製品開発等を担う部門と、現場のものづくり部門とを密接に連携させる必要がある。

2 ものづくり人材に必要な能力
@ 国内の生産拠点においては、コスト競争に対応するため、生産工程の自動化・省力化が進行している。また、国際競争が激化する中、製品の一層の高付加価値化が重要になっている。さらに、顧客志向が高まる中、品質管理が重視されるとともに、顧客ニーズの多様化に対応するため多品種少量生産化が進展している。
A 生産の動向の変化を受け、ものづくり労働者に求められる知識・技能のあり方も変化している。具体的には、
 ・ 機動的に生産工程の合理化に対応するための、設備保全・改善等に係る知識・技能
 ・ 高付加価値を生む技術に係る着想を製品化するための高度熟練技能
 ・ 品質管理や検査試験の知識・技能
 ・ 単独で複数の基本的技能を併せ持ち、多工程を処理する技能
に関するニーズが増大している(第25図第26図参照)。
B 今後求められるものづくり労働者を養成していくに当たっては、その前提として基礎的な技能を習得することが必要である。
<技術者の現場理解等に係る中小企業の取組>
 計測機器等製造を行う中小企業C社では、現場に入った新人には少なくとも一年間はNC機器を使わせず、熟練技能者のもと、汎用旋盤などを用いて基礎技能の習得の徹底を図っている。また、設計部門の者についても、入職当初は製造現場に配属し、基礎技術・技能を養い現場の理解を深めさせることにより、技術と技能の連携を図っている。
C 大企業を中心に外部委託等が進展する中、中堅・中小企業はものづくりの担い手としてますます重要になってきている。今後、中堅・中小企業等がテクノワーカー等ものづくりを支える人材の育成を進めるとともに、ものづくりに入職する若年者を一定数確保していくことが必要である。

第3節 ものづくり労働者の育成のための環境整備

1 ものづくり若年者の育成
@ 学校卒業後の進路をみると、進学者や無業の者が増加する一方、製造業への就業者は大幅に低下している。企業において新規学卒者の採用に慎重になっていること、生産拠点の海外移転等を背景として雇用機会の減少が生じていることに加え、若年者自身も社会が複雑化し職住分離した環境の中、ものづくりに接触する機会が乏しくなってきていること等がその要因としてあげられる(第27図参照)。
A ものづくりにおいて一定数の若年者の入職・定着を確保していくためには、若年者の雇用受入れと併せ、以下の点に留意することが重要である。
 ・ 就職前のなるべく早い段階から、ものづくりに興味・関心を持つための機会を確保するとともに、企業が入職前から実習体験の機会を提供するなど、基礎的な能力を段階的に育成。
 ・ 工業高校や工業高等専門学校など、実践的な知識・技術を身につけるための教育の充実強化。
 ・ 入職後における教育訓練を通じた職業能力の育成。
B ものづくり人材の確保のためには、若年者の働き方に関する多様な指向を踏まえ、起業等の環境整備を図り、新たな雇用の場を生み出すことも必要である。

2 中堅・中小企業におけるものづくり人材の育成の促進
 ものづくり人材育成の重要な担い手である中堅・中小企業においては、OFF―JTや計画的なOJTの実施割合が低い状況にある。単独で人材育成を実施することが困難な中堅・中小企業については、熟練技能をもった指導人材の派遣やニーズに応じたOFF―JTの場の設定など、今後ものづくりに求められる人材を育成する環境を整備していくことが重要な課題となっている。特に集積地域における中堅・中小企業については、集積を活かして重点的に取り組んでいくことが必要である(第28図参照)。
<地域全体での人材育成のための取組>
 山形県長井市では、企業、市、教育機関等が連携して、熟練技能の継承・技能労働者の育成等を目的として、一九九八年に「NAGAIマイスター人材育成協議会」を設立した。地域の若手・中堅社員を対象に講義や演習を行う「マイスター塾」を実施しているほか、地元工業高校に対し技能検定受検を支援するなど、地域社会が一体となってものづくり人材の育成に取り組んでいる。

第3章 我が国の製造業を支える研究開発・学習の振興

第1節 産業力強化のための研究開発の推進

1 大学等公的機関における基礎研究の推進
 優れた研究者が大きな成果を上げられるよう、競争的な各種研究費の充実や、大学・大学共同利用機関の共同利用体制の充実によって研究環境を整備し、国家・社会の発展基盤を構築しうる新たな「知」を創造する。
○ 我が国の研究費総額は近年着実に増加している(第29図参照)。

2 重点四分野を中心とした実用化のための研究開発プロジェクトの推進
 主要四分野(ライフサイエンス、情報、環境、ナノテクノロジー・材料)において、経済活性化に向けた明確な目標、具体的なビジョンを持った研究開発プロジェクトを戦略的に推進する。
○ 戦略的な研究開発を推進する(第30図参照)。

3 産学連携策の強化
 大学等の優れた研究の成果を実用化に結びつけ、独創的な新技術やベンチャー企業の創出等により社会に還元するため、産学連携策を強化する。
○ 国立大学等における産学連携は飛躍的に増大している(第31図参照)。

4 大学改革の推進
 教育や研究などの上でより一層活力に富み、国際競争力のある大学となることを目指し、法人化をはじめとする国立大学改革を一層推進する。

第2節 学校教育でのものづくり人材の育成に関する取組

1 初等中等教育におけるものづくり教育の現状
 初等中等教育においては、
・ 工業高校等の専門高校において、インターンシップ(就業体験)などの実践的な教育を実施する。
・ 普通科高校や小・中学校においては、学習指導要領に基づき、関係教科の中でものづくりに関する教育を実施する。
・ 「科学技術・理科大好きプラン」などにより科学技術・理科教育を充実する。
○ インターンシップ実施率は着実に増加している(第32図参照)。
○ 科学技術・理科教育を充実させる(第33図参照)。
<インターンシップ>
○ 東京都立蔵前工業高等学校
 「技術革新に対応した工業高等学校生徒の実践力と創造性の育成に関する研究開発―企業と提携したデュアルシステムの教育を通して―」という実践研究に取り組んでいる。
 夏期休業期間等の三〜五日程度で実施する従来型のインターンシップに加え、最新技術や伝統技能を実践的に学ぶと共に、企業の一員として参加する経験により社会人としてのマナーや勤労観・職業観を身に付けることを目的とした「企業派遣実習」を教育課程上に位置づけ、一年間を通して週一〜四日程度の通年型と、二〜十週間の集中型の二つのパターンで実施している。
<トライやるウィーク>
 兵庫県では、県内の公立中学校二年生を対象に、生徒が五日間、地域の農家商店、福祉施設、公共施設などの受入れ先において、ボランティアの指導のもと、勤労生産活動、職場体験活動、文化・芸術創作活動等を行う、「トライやる・ウィーク」を実施している。
<修学旅行における職業観の育成>
○ 愛知県立古知野高等学校
 深い専門知識を習得するとともに、職業観や異世代とのコミュニケーションをとる能力を培い、将来の進路決定に向けての意識を高めるため、修学旅行において、各学科に応じた企業研修を実施している。地場産業の商品管理や製造工程の見学・学習、従業員との交流活動等を通して生徒の職業に対する興味・関心が高まっている。
<総合的学習の時間の活用>
○ 東京都大田区立千鳥小学校
 児童の体験学習を重視し、六年生の総合的な学習の時間において「ものづくり」学習を設定した。児童は、「ものづくり」の体験を通して、仕事の苦労や「匠の技」に触れることができた。
<地域の技術者を特別非常勤講師として活用>
○ 群馬県高崎市立南八幡中学校
 宮大工の方が特別非常勤講師として、技術の時間及び総合的な学習の時間を担当した。昔の道具や宮大工特有の道具を用いて作業することなどによって、生徒は、道具の使い方の基本を理解し、ものづくりの楽しさを味わうとともに伝統的な技術への理解が深まった。
<スーパーサイエンスハイスクール>
○ 京都教育大学教育学部附属高等学校
 「科学技術」という学校独自の科目を開設し、ものづくりを通して、理科に関わる基礎的原理を実感を伴って理解させることを目指している。例えばペットボトルを利用した顕微鏡を作り、細胞の観察などを行った。

2 高等教育におけるものづくり教育の現状
 高等教育においては、高等専門学校や大学の理工系学部などにおいて、科学技術の高度化や産業構造の変化など社会のニーズにも対応しつつ、創造的な理工系人材の育成に向けた教育、実践的なものづくり教育を実施している。
<アイデア対決・高専ロボットコンテスト>
 全国八地区で予選が行われ、決勝が両国国技館で大々的に行われる全高専参加の大型イベントであり、テレビ中継が行われることもあって、社会の注目度も高く、ものづくりの魅力を伝えるのに一役買っている。
<高専の地域共同テクノセンター>
○ 鹿児島工業高等専門学校
 同校の地域共同テクノセンターは、地域の中小企業を対象とした技術相談や共同研究、技術者のリフレッシュ教育を集約的に行うための拠点施設であり、これまでに蓄積した技術の開発や研究成果をもとに、地域の技術力を高め、地域産業の振興・活性化を助長し、地域の経済力の向上を図っている。
<高専による小・中学校向けの出前講座等>
○ 福島工業高等専門学校
 「総合的な学習の時間」支援プロジェクトとして、学生が中心となり、市内の小・中学校で、パソコンを使った授業の支援を行っている。プロジェクトでは、学生自身が教え方や授業の流れを決め、教材についても手作りで作成し、小・中学生にインターネットの使い方やマナーを教えた。
<創造的なものづくり教育の実践>
○ ものつくり大学技能工芸学部建設技能工芸学科
 「建設総合実習カリキュラム」(学科二年生対象)において、設計から材料調達、部材加工、組立、屋根、外装、内装まですべて学生自らが行い、十二棟の市民農園の休息小屋を製作した。学生からは、「苦労して家を建てたが、自分で建てたからこそ、技術が身についた」「学内に展示されるので、今後の学習にも、はりが出ている」という感想が聞かれた。
<インターンシップ>
○ 長岡技術科学大学工学部
 学部四年生のうち、修士課程進学予定者に対する必修科目として、学部で修得した学問と社会との関わりを企業等の現場で体験させるとともに、大学院進学後の研究活動への動機付けや社会ニーズを研究活動に活かすことを目的として「実務訓練」を四〜五か月間、インターンシップとして実施している。

3 専修学校における取組
 専修学校は、高等教育機関としての重要な一翼を担い、社会の変化に即応した実践的な職業教育や専門的な技術教育などを実施しているほか、社会人の再教育機関としての役割も担う。
<産学連携によるプログラム開発>
 専修学校において、次世代繊維産業を見据えた視点から、業態変化に即応できる人材を育成するため、ファッション関連業界との連携のもと、高度な教育内容を抽出し、体系化したインターンシップ教育プログラムの開発を実施している。
<全国専門学校ロボット競技会>
 二〇〇二年度に実施された第十一回大会では、全国から七十二チームが参加し、三部門においてプログラミング技術や製作技術などを競った。

第3節 生涯学習分野でのものづくり人材の育成に関する取組

 我が国の科学技術をより一層振興する上で、ものづくりも含めた科学技術に対する国民一般の関心を喚起し、理解の増進を図ることが必要である。
 また、学校の開放による公開講座や公民館・博物館における事業の中で、ものづくり体験やものづくりに関する講座などを実施し、地域住民の学習機会を提供する。
<大学・研究機関の公開による国民の科学技術に対する理解の増進>
 研究施設を一般市民に公開し、研究活動の紹介や講演会などを実施する大学の研究所や大学共同利用機関が多くなっている。例えば、東京大学生産技術研究所では、一般公開の中で中高生を対象とした見学コースや産学研究交流の展示を設けるなど、社会に開かれた研究所づくりを推進している。
<大学Jr.サイエンス&ものづくり(大学等地域開放特別事業)>
○ 岐阜大学
 「古代へのロマン「青銅鏡の製作」」と題し、技術教室講座で開発した鋳造装置などを利用して、木型の製作、鋳型の製作、青銅の製造、鏡面の研磨を行い、子どもたちが考案した文様での青銅鏡を製作した。活動を通して金属加工の難しさと、古代人の金属加工技術に参加者の興味を持たせるものであった。
<大学公開講座>
○ 福井大学
 「夏休みラジオ製作講座」と題し、小学校高学年以上を対象に、身近にあるペットボトルやアルミホイルなどを使い、簡単なラジオを製作した。
<公民館における取組>
 公民館においては、住民の学習への需要や地域の実情に応じた多様な学習機会の提供を行っており、親子で竹細工や木工芸に取り組む教室の開催など、ものづくり意欲をかき立てる様々な事業が行われている。
<国立科学博物館の取組>
 児童生徒や一般成人を対象に様々な実験・観察教室や講座を実施しているほか、「夏休みサイエンススクエア」を実施し「クルクルトンボづくり」や「夏休み理工学教室」などのコーナーで工作教室を開催している。
 また、平成十五年六月から八月まで、特別展「江戸大博覧会―モノづくり日本」を開催し、明治以降の我が国の急速な近代化の下地となった江戸時代のものづくり文化を実物を通じて紹介することにより、その伝統と精神を現代に伝え、国民に広く理解してもらう機会を提供することとしている。
<森の聞き書き甲子園>
 地域の生活様式・文化・伝統・芸能など、今まさに忘れられようとしている山の暮らしや埋もれかけている生業・技能を次の時代に語り受け継ぐため、高校生百人が「森の名手・名人」百人にじかに接し、若者らしいみずみずしい感性と感動とともに、「聞き書き」を行う取組を、林野庁と文部科学省が連携して初めて取り組んだ。

第2部 平成十四年度においてものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策(主な施策)

「ものづくり基盤技術の研究開発及びものづくり基盤産業の育成に関する施策」

@ 研究開発税制等の抜本的強化
 (1) 民間企業における研究開発のインセンティブを高めるため、試験研究費総額の一定割合〔八〜一〇%(ただし、当初三年間は一〇〜一二%)〕を税額控除する制度等を創設した(減税額:六千六百七十億円(平年度))。
 (2) また、短期的な需要創出効果が高く、中長期的にも産業の競争力強化につながるIT投資を促進するため、すべての企業が行う自社利用のIT投資(ソフトウェア・ハードウェア)に対して一〇%の税額控除と資産取得価格の五〇%の特別償却の選択を認める「IT投資促進税制」を創設した(減税額:五千二百四十億円(平年度))。
 (3) さらに、中小企業者等の研究開発を支援するため、中小企業技術基盤強化税制における税額控除率を一〇%から一二%(ただし、当初三年間は一五%)に引き上げた(減税額:七十億円(平年度))。(いずれも平成十五年度税制改正において創設し、平成十五年一月から適用された)。
A 実用化・市場化に直結する研究開発プロジェクト(フォーカス21)の加速的推進(平成十四年度補正六十億三千万円)
  技術開発の成果が迅速に実用化・事業化に結びつき、産業競争力強化に直結するような経済活性化のための研究開発プロジェクトとして、三十プロジェクトを重点的に支援することとし、平成十五年度予算で三百六十七億円を計上するとともに、平成十四年度補正予算においても、その一部事業の前倒し及び関連する研究開発事業を実施した。
B 知的財産取得・管理指針及び技術流出防止指針の策定
  知的財産を自社の競争力の源泉として経営戦略の中に位置づけ、戦略的な知的財産の取得・管理を行うための参考となるべき指針を策定・公表(平成十五年三月)した。また、アジア諸国等への製造業の海外展開に伴い、ノウハウ等の「意図せざる技術流出」が増加しているため、各企業が技術移転戦略の構築及び技術流出防止対策の強化を図るための参考となるべき指針を策定・公表(平成十五年三月)した。
C 産業クラスター計画関連の支援策の拡充(平成十四年度当初三百五十三億円、補正九十一億円)
  地域経済を支え、世界に通用する新事業が次々と展開される産業集積を形成するため、「産業クラスター計画」により、産学官の広域的な人的ネットワークの形成を促すとともに、地域の特性を活かした技術開発の推進、起業家育成施設(ビジネス・インキュベータ)の整備を三位一体で推進した。

「ものづくり労働者の確保等に関する施策」

○ 変化に対応した職業能力開発の展開
 事業の新分野展開や製品の高付加価値化に対応して民間で行われる教育訓練を支援するため、公共職業能力開発施設において実習場や検査機器等の施設設備の貸与や指導員の派遣等を行うとともに、産業界の人材ニーズに応じた高度な職業訓練コース(FA(生産自動化)システム構築技術等)を実施した。
○ 技能検定制度の運用
 技能検定制度は労働者の技能と地位の向上を図ることを目的とした国家検定であり、機械加工、機会保全等のものづくり産業に関係の深い職種を中心に実施している。民間機関の活用による適正な職業能力評価を促進するため、指定試験機関制度により、二〇〇二年度は新たに四団体を指定試験機関に指定し、指定試験機関の数は合計六機関となった。
○ 高度熟練技能の活用(三億四千百万円)
 技能の継承の必要性の高い高度熟練技能者四百五十六名を選定し、データベースを作成し情報提供を行うとともに、工業高校や企業等に高度熟練技能者等を実地指導のため派遣し、その活用を図った。また、技能者の処遇及び技能継承のための労使の取組方策について調査研究を行った。
○ 高校における職業意識形成支援事業の実施(九億五千九百万円)
 生徒に対して早い段階から適職選択のための自己理解の取組を進めるため、各都道府県労働局と教育委員会等が連携し策定する支援計画の下、学校と連携しつつ生徒に対して職業ガイダンスや製造業を含む様々な業種に関するジュニアインターンシップ等を実施した。

「ものづくり基盤技術に係る学習の振興に関する施策」

@ 専門高校と小・中学校との連携推進事業(三千六百万円)
 工業高校などの専門高校生が小・中学校のものづくりなどの体験学習を指導することなどを通じて、専門高校と小・中学校との連携によるものづくりなどの教育の推進についての実践的な調査研究を全国四十四地域で実施した。
A ものづくり学習振興支援事業(一千四百万円)
 小・中学校などにおけるものづくり基盤技術に関する学習の振興を図るため、ものづくり教育関係者による支援体制を整備し、ものづくり学習指導者のデータベースの構築などを全国九地域で行った。
B ものづくり教育推進経費(一億一千九百万円)
 我が国の生命線ともいうべき「ものづくり産業」を担う人材の育成・確保の観点から、ものづくりを中心に据えた実践的な教育プログラムの開発・実施や企業などの現場の技能者などを活用した技術教育の向上、推進を図った。
C インターンシップ推進経費(七億二千三百万円)
 学生が企業などにおいて就業体験を行うインターンシップを実施する大学・高等専門学校に対して、必要となる経費の支援を行った。
D ロボット・実験学習支援メニュー開発支援
 小・中学校などにおける「ものづくり」に関する科学技術的学習要素を含んでいる学習メニューの開発支援、ロボット競技を学習メニューとするための開発支援などを行うことにより、子ども自らが知的好奇心や探求心を持って科学的なものの見方や考え方を体得できるように支援を実施している。
E 科学系博物館教育機能活用推進事業(一億一千百万円)
 科学系博物館の豊富な学習資源や教育機能を地域において積極的に活用するため、学校や公民館などとの連携・協力を通じて、地域学習活動や博物館活動の活性化を図り、子どもたちの科学技術・理科離れの防止・解消に資するモデルとなる三十三事業を委託し、その成果の普及を図った。
F 産学連携による専修学校高度職業人育成総合プロジェクト(一億八百万円)
 産業界の需要を踏まえた、より高い職業能力を有する高度な職業人の育成を図るため、産学連携による教育プログラムの開発などを実施した。


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平成14年


雇用動向調査結果の概況


厚生労働省


調査の概要

 この調査は、事業所における常用労働者の一年間の移動状況等を把握し、我が国の労働市場の動向を明らかにすることを目的として、毎年上半期(一月〜六月)及び下半期(七月〜十二月)に分けて実施しています。今回は平成十四年(年間)の概要を取りまとめました。
 調査対象は、日本標準産業分類による九大産業[鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業、サービス業(家事サービス業、教育及び外国公務を除く)]に属する常用労働者五人以上を雇用する事業所から抽出した一万三千七百十五事業所及び同事業所における平成十四年一年間の入職者・離職者から抽出しました。
 有効回答(集計)事業所数は一万八百四十五事業所、有効回答率は七九・一%。集計入職者数は七万六千三百十八人、集計離職者数は十万七千八百五十九人です。

調査結果の概要

1 労働移動の状況
 平成十四年の労働移動者は、入職者が約五百九十七万人(前年約六百二十六万人)、離職者が約六百八十二万人(同約七百一万人)で、延べ労働移動者は約一千二百七十九万人(同約一千三百二十七万人)、延べ労働移動率は三一・〇%(同三二・〇%)となりました。入職率は一四・五%(同一五・一%)、離職率は一六・六%(同一六・九%)で、前年と比べると入職率・離職率ともに低下し、六年連続の離職超過となり超過幅は三年連続で拡大しました(第1図第1表参照)。

2 入職者の状況
 入職者を職歴別にみると、転職入職者が約三百六十三万人、未就業入職者が約二百三十四万人となりました。転職入職率は八・八%(前年九・三%)、未就業入職率は五・七%(同五・八%)で、前年と比べると、いずれも低下しました(第1表参照)。
 転職入職者の就業形態間移動状況を前年と比べると、「一般→パートへ」は〇・六ポイント上昇、「パート→パートへ」は一・〇ポイント上昇し、パートへの移動割合が一・六ポイント上昇しました(第2図参照)。

3 離職者の状況
 離職理由別離職者構成比をみると、「個人的理由」が六五・〇%(前年六六・三%)で最も高く、次いで「経営上の都合」が一二・三%(同一二・〇%)、「契約期間の満了」が一一・九%(同一〇・二%)となり、前年と比べると「個人的理由」の割合が低下し、「経営上の都合」、「契約期間の満了」の割合が上昇しました(第3図参照)。

4 上半期・下半期別移動状況
 上半期・下半期別に移動状況をみると、入職率は上半期が八・八%(前年九・二%)、下半期が五・六%(同五・九%)、離職率は上半期が九・三%(同九・一%)、下半期が七・二%(同七・七%)で、上半期は、入職率が低下し、離職率が上昇しました。下半期は、入職・離職率ともに低下しました(第4図参照)。




言葉の履歴書


三三九度

 秋の結婚シーズンともなれば、あちこちの結婚式場で、「三三九度の杯を交わす」新郎新婦が多くなります。
 「三三九度」は大・中・小三組(みつぐ)みの杯で、三度、杯をやりとりすること。吉数とされる奇数の三を重ねためでたい献杯(けんぱい)の儀式は、昔から、出陣するときや婚礼の際に行われ、「三三九献(くこん)」とか「三種三献」とも呼ばれてきました。
 スポーツの応援などでみられる「三三七拍子(ななびようし)」の拍手は、三・三・七回ずつ手をたたくもので、三も七も吉数ということになります。
 仏教でいう「三三の品(ほん)」は、極楽浄土に往生するものが、生前の行いによって受ける九つの段階「九品(くほん)」のこと。上品(じようぼん)・中品(ちゆうぼん)・下品(げぼん)を、さらに上生(じようしよう)・中生(ちゆうしよう)・下生(げしよう)に分けたもので、上品上生から下品下生までの九段階になっています。
 「九品仏(くほんぶつ)」は、九品に分けた九体の阿弥陀仏(あみだぶつ)。江戸時代は、それを安置した寺へ参詣(さんけい)する「九品仏参り」が盛んでした。極楽へ行きたいという庶民の願いが強かったことの表れでしょう。



歳時記


サンマ

 食べ物に季節感がなくなったといわれる昨今ですが、サンマは秋の味覚の代表格です。サンマは、秋刀魚と書きます。体長四十センチほど、背の部分が青黒色で腹のほうは白銀色、細長く背びれが後ろのほうについていて、刀に似ているところから、こういう字を書くのでしょう。
 サンマの呼び名は、地方によって実にさまざまです。サイラ、サエラ、サイレ、サイレンボウ、サイライワシ、サザなど、最初にサのつくのが多いのですが、バンジョウ、カドなどと呼ぶところもあります。このように、いろいろと呼び名があるのは、それだけサンマが古くから各地で親しまれ、食べられていたからでしょう。
 サンマが秋の味覚とされているのは、毎年秋に産卵のために千島列島付近から南下を始め、東北、関東の沖を通過するこの時期に、漁が盛んになるからです。捕れたサンマの二〇%は生で利用され、六〇%は冷凍となり、そのほかは缶詰などになります。冷凍物はマグロ漁などのエサにも利用されていますから、サンマのおかげでマグロの刺し身や、すしを食べていることにもなるのですね。
 魚を食べることは、成人病の予防に効果があるといわれていますので、もっと魚に親しみたいものですね。成人病の予防には、日ごろの食生活の管理が大切です。特にカルシウムの補給、食塩や脂肪摂取量のコントロールなどに注意したいものです。



暮らしのワンポイント


柿の渋の抜き方

ドライアイスで渋を取る

 柿(かき)は、秋の味覚の代表といえます。ご存じのように、柿には甘柿と渋柿がありますが、果物のなかで甘い、渋いがあるのは柿だけ。長い年月をかけて渋柿を品種改良した結果です。
 柿の渋の正体は、「柿タンニン」と呼ばれるタンニン物質。お茶の渋みと同じ物です。甘柿も渋柿も、実が青いときはどちらも渋いのですが、実が赤くなるころから自然に渋が抜けるのが甘柿です。
 この“渋が抜ける”というのは、タンニン物質がアセトアルデヒド(アルコールの一種)と結合し、不溶性のものに変化すること。不溶性化したタンニン物質は味が無く、もちろん渋くもありません。甘柿の果肉のなかにある黒いツブツブ、俗に「ゴマ」と呼ばれるものは、この不溶性化したタンニン物質の集まりです。
 一方、渋柿は、完熟し、柔らかくなるまで渋が抜けません。しかし、人工的に渋を抜けば、甘柿と同じように食べられます。手っ取り早いのは、アルコールを使い、タンニン物質を不溶性化させ、脱渋する方法です。
 渋柿約一キロをビニール袋に入れ、焼酎か(しようちゆう)ウイスキーを十t吹きかけ、口を縛って日当たりのいいところへ置いておくと、柿の品種にもよりますが、一週間ほどで甘くなります。深いお皿に焼酎を入れ、へたの部分をよく浸してもOKです。
 また、炭酸ガスを使う方法もあります。ビニール袋に渋柿とドライアイスを入れておくと、五日もすれば甘くなります。渋柿一キロに対し、ドライアイス二十グラムが目安です。
 渋柿は赤く色づいた硬めのものを使い、あまり寒くならない十月ごろまでが、このような渋抜きには最適です。



*お詫びと訂正*
 『官報資料版』平成15年10月1日号(『官報』第3702号付録)の11ページ、提出番号「41」、件名「貸金業の規制等に関する法律及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案(財務金融委員長提出)」の右端にある「公布月日及び番号」の「番号」に誤りがありました。「137」とあるのは「136」です。お詫びして、訂正いたします。



    <10月29日号の主な予定>

 ▽障害者白書のあらまし…………………内 閣 府 

 ▽平成十四年度法人企業統計年報………財 務 省 




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