官報資料版 平成15年11月19日




                  ▽情報通信白書のあらまし………………総 務 省

                  ▽労働経済動向調査(八月)……………厚生労働省

                  ▽消費者物価指数の動向(九月)………総 務 省

                  ▽給与所得者の年末調整…………………国 税 庁











情報通信白書のあらまし


総 務 省


 総務省は、「平成十五年情報通信に関する現状報告」(情報通信白書)を、平成十五年七月四日の閣議に報告後、公表した。
 今回の白書の特集テーマは、「日本発の新IT社会を目指して」である。我が国の情報通信が米国等に追いつく段階から世界を先導する段階に移行しつつある中、「我が国の強み」を活かした「新しいIT社会」の方向性について、インフラ面、経済・企業面、生活・社会・行政面、文化・コンテンツ(インターネットを流通する情報内容)面、情報セキュリティ(インターネットの安全性)面から、それぞれ分析を行った。
 情報通信白書のあらましは、次のとおりである。

第1章 特集「日本発の新IT社会を目指して」

第1節 世界最高水準のネットワークインフラの整備

1 成長する情報通信
(1) 世界最高水準のブロードバンド
 我が国のブロードバンドの整備と利用は、急成長を遂げ、世界最高の水準に達しつつある。ブロードバンド(FTTH、DSL、ケーブルインターネット、無線(FWA等))利用人口は、平成十四(二〇〇二)年末現在で一千九百五十五万人(人口普及率は一五・三%)と推計され、インターネット利用人口六千九百四十二万人中二八・二%を占める(第1図参照)。
 また五年後の平成十九(二〇〇七)年末には、インターネット利用人口は八千八百九十二万人(人口普及率は六九・六%)となり、このうち、ブロードバンド利用人口は五千九百六十七万人(人口普及率は四六・七%)に達すると予想される。インターネット利用人口の六七・一%がブロードバンドを利用することとなり、インターネットの利用の主流はナローバンドからブロードバンドに逆転する(第1図参照)。ブロードバンド関連の市場規模は、平成十四(二〇〇二)年末の二兆円から平成十九(二〇〇七)年末には約五・一倍の十兆二千億円となり、その経済波及効果は十八兆一千億円と推計され、我が国経済に大きなインパクト(衝撃)を与える(第2図第3図参照)。
 ブロードバンドの普及状況について国際比較すると、契約数では我が国は米国の一千八百七十万契約、韓国の九百八十六万契約に次いで第三位であり、急速に契約数が増加している。

(2) IP電話の本格的普及
 ブロードバンドの普及に伴い、IP電話の利用が急増している。ブロードバンド回線を利用したIP電話の加入数を推計すると、平成十四年末時点で約二百二十七万加入と推計される。また、平成十九(二〇〇七)年までに加入数は約二千二百七十三万加入と約十倍になり、二千万加入を超える可能性がある。

(3) インターネットの着実な普及
 平成十四年末における我が国のインターネット利用人口は六千九百四十二万人(対前年比二四・一%増)と推計され、一年間で一千三百四十九万人増加している。人口普及率は五四・五%とはじめて半数を超えた。

(4) 携帯インターネットの発展
 我が国の携帯インターネット(携帯電話を使ったインターネット接続サービス)の契約数は、平成十四年度末には六千二百四十六万契約に達している。携帯電話の契約数に占める携帯インターネット契約数の割合は、平成十四年度末現在で八二・六%と八割を超えている。

(5) 第三世代携帯電話の展開
 平成十四年度末において、第三世代携帯電話の契約数は七百十六万契約となり、順調に増加している。世界の契約数では、我が国と韓国との両国で、全世界約四千四百万契約の約六割を占めている。

(6) 放送のデジタル化
 平成十五年十二月一日、地上デジタルテレビジョン放送が関東、中京及び近畿の各広域圏において、東京・名古屋・大阪から開始される。これにより、ほぼ全世帯に広く普及しているテレビのデジタル化によって「家庭のIT革命を支える基盤」が構築される。
 アナログ放送からデジタル放送への移行についても、地上ラジオ放送を除き、平成二十三(二〇一一)年までに完了する予定である。地上アナログテレビ放送については、平成二十三(二〇一一)年に停止される計画になっている。

2 次世代を担う情報通信ネットワークの展望と課題
 急速に普及しているブロードバンド、携帯電話、デジタル放送等を更に発展させ、次世代を担うと期待されている情報通信ネットワークが、「いつでも、どこでも、誰でも利用可能なネットワーク」(ユビキタスネットワーク)である。
 ユビキタスネットワークにおいては、空間的、地理的制約を克服する移動通信技術、通信対象や端末の制約を克服する端末技術、通信能力の制約を克服する光技術が中枢的な技術になる。
 情報通信技術の日米欧間の優位性について、我が国及び海外の情報通信研究者に対し調査を行ったところ、ソフトウェア技術等では米国が優位にあるとの回答が顕著に多い。他方、情報家電技術、モバイル端末技術等においては、我が国が優位にあるとの回答が多い(第4図参照)。
 このように、従来のパソコンを中心としたインターネット、さらにはその延長にあるコンテンツ制作やセキュリティの技術分野においては、マーケット・シェアでも、技術開発面でも、米国が優位にある。しかし、ユビキタスネットワークの中核となる技術については、我が国では先見性のある研究開発を官民連携で推進してきており、我が国にも優位性がある。今後、我が国が、これらの優位性を活かして、世界に先駆けてユビキタスネットワークを実現し、モデルを世界に向けて発信すれば、国際競争力の確保や国際貢献にも資すると考えられる。
 他方、ユビキタスネットワークには多大な可能性があるものの、ネットワークの広がりは、プライバシー等の新たな問題をもたらす可能性もある。ユビキタスネットワークが実現するサービス・システムの利用意向について調査を行ったところ、利用者はユビキタスネットワークに対して、「個人情報の流出」、「ネットワークの信頼性」の不安を抱えており、ユビキタスネットワークが社会に受容されるには、これらの不安の払拭が必要である。

第2節 企業の競争力の強化と産業の発展

1 マクロ経済と情報通信産業の動向
 我が国の情報通信産業は、平成七(一九九五)年から平成十三(二〇〇一)年にかけて、市場規模が七十九兆円から百二十三兆円へ拡大するなど、バブル崩壊以降低迷する我が国経済を牽引・下支えしてきた。
 しかしながら、欧米と同様、情報通信機器・サービスの需要一巡、欧米における情報通信産業低迷の影響、当該産業を取り巻く構造的な変化等により、平成十二(二〇〇〇)年から平成十三(二〇〇一)年にかけて情報通信企業の業績は悪化した。また、主要な電気通信事業者も、牽引役であった携帯電話などの需要増の鈍化、IP化による固定電話の需要減少等を背景に業績が悪化した。
 平成十四(二〇〇二)年に入り、情報通信機器・サービスへの需要は、ブロードバンド需要の急増、カメラ付き携帯電話等の新しい機器・サービスへの需要増により一部持ち直している。

2 情報化投資と企業のIT活用の動向
 平成十三年における民間企業の情報化投資額は、二十五兆円(対前年比一〇・九%増)となり、情報化投資額の水準は五年間で約一・七倍に増加した。また、民間設備投資額に占める情報化投資額の比率についても平成九年以降増加を続け、平成十三年には二九・四%(対前年比三・九ポイント増)と民間設備投資額全体の約三割を占めるに至った。
 我が国の経済成長に対し、情報通信資本ストック、一般資本ストック(情報通信を除くもの)、労働の三つの生産要素がどの程度寄与しているかについて、生産関数を用いて分析した。平成七年から十三年においては、経済成長率一・二一%に対し、情報通信資本の寄与度は一・七三%となっており、労働及びその他の寄与度がマイナスになる中、情報通信資本は経済成長を下支えしている。
 我が国の平成十三(二〇〇一)年の情報化投資額は二十五兆円であるが、米国の情報化投資額は五千四百九十九億米ドル(約六十六兆六千億円)と我が国の約二・七倍となっている。また、情報化投資が民間設備投資に占める割合及び情報化投資の増加率のいずれにおいても米国は我が国を上回っている。ただし、平成十三(二〇〇一)年の情報化投資額の対前年比は、我が国は対前年比一〇・九%増と増加が続いているのに対し、米国においては五・四%減と減少に転じている。
 日米企業の情報化投資の効果発揮状況について、コスト削減・業務効率化効果と売上拡大・高付加価値化効果に分けて、比較を行った。その結果、総じてコスト削減・業務効率化効果については日米企業ともに同等の効果を発揮しているといえる。これに対し、売上拡大・高付加価値化効果については、各項目において米国企業の方が我が国企業に比べ効果があったと回答した企業の割合が高い。また、その差も大きく、これが米国企業の競争力強化につながっていると考えられる。
 我が国企業は、米国企業に比べると、情報化投資の効果発揮が限定的である。この要因として、情報化投資の目的意識、社内外での情報システムの連携及び効果発揮に向けた条件整備の三点における違いが考えられる。

3 インターネットを活用したビジネスの動向
 平成十四年における我が国の電子商取引市場の市場規模は「B2C(企業―個人間)」の市場規模が一兆五千八百七十億円(対前年比九〇・一%増)と大幅に増加している。また、「B2B(企業―企業間)」の市場規模は六十兆円(対前年比一〇・五%増)となった。

第3節 豊かな国民生活の実現と社会問題の解決

1 インターネット利用の高度化
 我が国においてブロードバンドは急速に普及しているが、ブロードバンド利用者はナローバンド利用者に比べ、より深くインターネットを活用している。例えば、インターネットの利用用途については、ブロードバンド利用者はナローバンド利用者よりも各用途の利用率が高くなっている。
 自宅のパソコンからのインターネットにおける用途別の利用率は、電子メール(六五・三%)と情報検索(五九・一%)、ニュース・天気予報等の情報入手(四六・五%)が高い。携帯電話・PHSからのインターネットの利用用途は、「電子メール」(八三・三%)の利用率が際だって高く、「着メロ等を含んだ音楽のダウンロード・視聴」(四五・八%)、「有料コンテンツ購入」(三七・三%)がこれに続いている。

2 インターネット利用による生活の変化
 求める情報の内容ごとに、よく利用しているメディアを二つ挙げてもらったところ、インターネット上のホームページは、様々な情報を得る上でテレビや新聞と並んでよく利用されているメディアであった。
 また、パソコンからのインターネット利用者のネットショッピングの利用率は一九・五%となっている。ネットショッピングで購入される品目は、書籍・CD、パソコン関連商品、チケット類等、実際に見なくても商品内容を確認しやすいもののほか、趣味・雑貨や服飾雑貨や貴金属等も多い。

3 デジタル・ディバイドとその解消
 インターネット利用率、ブロードバンド利用率(各属性別の調査対象者全体に占めるブロードバンド利用者の比率)においては、利用者の世代、性、都市規模、年収によって格差が存在する。インターネットの利用/未利用に最も大きい影響を与えている要因は、世代である。また、インターネットの利用者におけるブロードバンドの利用/未利用に最も大きな影響を及ぼしている要因は、都市規模である。

4 社会問題の解決に寄与する情報通信
 今日、我が国は多くの社会的不安や課題を抱えている。情報通信を活用することにより、このような社会的不安や課題の解決や緩和を図ることができる。例えば、各食品についての詳細な情報を消費者に提供するとともに、事故発生時の原因究明や問題食品の回収を容易にする食品トレーサビリティシステム、情報通信技術を活用し、家庭や事業所における機器等の個別のエネルギー使用量や使用状況をモニタリングし、省エネを可能とする省エネモニタリングシステム等が考えられる。
 これらに対するニーズや効果を調査したところ、食品トレーサビリティシステムに関しては、三三・六%の人が食品トレーサビリティシステムを利用した食品を、一般の食品より高い価格でも購入したいと答えている。また省エネモニタリングシステムが家庭に普及すれば、日本全体での家庭における現在の電力消費量の四・六%が削減されると推計される。

5 電子政府・電子自治体の推進
 行政手続のオンライン化については、全府省において、平成十四年度末までに必要となる認証システム、汎用受付等システムの整備を完了したところであり、また、国の行政機関が扱う手続については、平成十五年度末までに一万三千二百九十九件(実施率九八%)の手続がオンライン化されることとなっている。

第4節 デジタルネットワーク文化の発展とコンテンツの流通

1 情報通信が担う文化活動と国際情報発信
 デジタルアーカイブとは、博物館、美術館、公文書館や図書館の収蔵品をはじめ有形・無形の文化資源等をデジタル化して保存等を行うシステムをいう。デジタル化することによって、文化資源等の修復、公開や、ネットワーク等を通じた利用も容易となる。
 平成十四年末現在、全国の主要な美術館・博物館等においてデジタルアーカイブ化に既に着手している施設は百八施設であり、その実施率は平成九年の一五・七%から二五・五%に増加している。

2 インターネット上の魅力あるコンテンツの流通
 平成十三年度におけるコンテンツビジネスの市場規模は約十兆八千四百二十六億円、そのうちデジタルコンテンツビジネス市場が約一兆八千四百十四億円、インターネットコンテンツ市場が約二千十一億円である。インターネットコンテンツ市場は、コンテンツ市場全体の約二%の規模にとどまっている。
 平成十四年のインターネットコンテンツ市場は、二千五百三億円(対前年度比二四・五%増)に成長している。平成十九(二〇〇七)年には五千九百七十五億円になると推計され、平成十四年の約二・四倍に成長する可能性がある。

第5節 情報セキュリティの確保と安心できるIT社会の構築

1 情報セキュリティ確保の必要性
 個人がインターネットを利用する上で感じる不安・不満は、第一位が「プライバシー保護」(五四・一%)であり、第二位が「ウイルスの感染」(四一・四%)である。企業の情報通信ネットワーク利用上の問題点では、第一位が「セキュリティ対策の確立が困難」(六九・七%)、第二位が「ウイルス感染に不安」(六三・六%)である。

2 情報セキュリティ侵害等の動向
 ウイルスによる被害発生件数について、ウイルス被害に関する届出を集計している二社の発表した届出件数を合計すると、平成十三年の三万七千六百二十二件から平成十四年には七万四千一件の約二倍に増加している。
 いわゆる迷惑メールは平成十三年六月頃に急増し、携帯電話事業者等によせられた苦情・相談件数も急増した。平成十四年末に行った調査では、携帯インターネット利用者の五八・〇%とパソコンからのインターネット利用者の一五・五%が過去一年間に迷惑メールを受け取っている。

3 情報セキュリティ被害の状況
 平成十四年の一年間に情報セキュリティに関する被害を受けた者は、パソコンからのインターネット利用者のうち二九・八%と三割弱を占める。被害の内容は、「ウイルス発見・感染」が最も多い。
 平成十四年の一年間に情報通信ネットワーク(インターネットや企業通信網)の利用上、七六・二%と約四分の三の企業が情報セキュリティに関する何らかの被害を受けている。被害内容は、「ウイルス発見・感染」が最も多い。
 平成十四年において個人がウイルスと不正アクセスによって被った被害額を推計すると、総額で約四百十七億円である。また、企業の情報セキュリティ被害額を推計すると、総額で約三千四百六十五億円である。

4 情報セキュリティに関する対策と課題
 インターネット利用者のウイルス・不正アクセス対策の実施率は、「ウイルスチェックソフトの導入」が、三一・四%と最も多い。しかしながら「何も行っていない」者が、三三・六%と約三分の一を占めている。
 平成十四年に企業が講じた情報セキュリティ対策状況としては、「パソコン等の端末にウイルスチェックプログラムを導入」が最も多く、八三・八%の企業が実施している。また、「特に対応していない」とする企業は二・二%にとどまり、ほとんどの企業で何らかの対策を実施している。

5 情報セキュリティビジネスの動向
 平成十四年度における情報セキュリティビジネス市場規模を推計すると、四千六百二十九億円である。平成十九(二〇〇七)年度の情報セキュリティビジネス市場規模を推計すると、一兆九千二百九十億円と平成十四年度の四・二倍に成長すると予想される。

6 情報通信ネットワークの安全性・信頼性
 今日、社会経済全般において情報通信ネットワークへの依存度が増しており、いったん情報通信ネットワークの安全性・信頼性が損なわれた場合には甚大な被害が発生するおそれがある。近年、自然災害に加え、いわゆるサイバーテロなどの人為的な攻撃により、情報通信ネットワークの安全性・信頼性が実際に侵害される事例が発生している。

7 諸外国における対策
 情報セキュリティや情報通信ネットワークに対する危機に対処するため、我が国では、IT戦略本部に、「情報セキュリティ対策推進会議」及び「情報セキュリティ専門家調査会」を設置し、各種の措置を講じてきた。国際機関や米国、EUにおいても、二〇〇一年九月十一日の米国同時多発テロ等を契機に国の安全確保に対する意識が高まっており、情報セキュリティ政策が強化されている。

第2章 情報通信の現況

第1節 情報通信産業等の動向

1 市場規模
 我が国の情報通信産業の市場規模は、平成十三年に百二十三兆一千億円(対前年比七・〇%増)となり、平成七年以降、一貫して増加している。また、全産業の市場規模総額に占める情報通信産業の市場規模の割合も、平成十三年には一二・六%(対前年比〇・八ポイント増)となり、平成七年以降、一貫して増加している。

2 付加価値額
 我が国の情報通信産業の実質GDPは、平成十三年に六十四兆三千億円(対前年比七・四%増)となり、着実に増加を続けている。さらに、平成七年から十三年にかけての我が国全体の実質GDPの年平均成長率が一・二%増であったのに対し、情報通信産業の実質GDPの年平均成長率は九・三%増であり、情報通信産業は非常に高い成長を遂げている。

3 雇用
 我が国における平成十三年の情報通信産業の雇用者数は三百七十九万人であり、全雇用者に占める割合は七・一%となった。情報通信産業の雇用者数は、平成七年から十一年にかけて微増傾向にあったものの、平成十二年から二年連続で若干減少している。

4 生産性
 平成七年から十三年における情報通信産業の全要素生産性上昇率は三・六%であった。これは、全産業中で最も高い伸びを示しており、全産業の〇・二%を大きく上回っている。また、情報通信産業の労働生産性は平成十三年に一千六百九十九万円であった。平成七年から十三年における産業別の労働生産性では、情報通信産業が最も高い成長を遂げている。

5 情報通信産業及び情報化投資のマクロ経済への寄与
 平成十三年において、経済成長率〇・三〇%に対する情報通信産業の成長による寄与度は〇・八三%となっている。平成十三年における情報化投資が各産業に及ぼした生産誘発額は約四十兆七千億円、創出された雇用は約百五十九万人となり、情報化投資は各産業の生産や雇用を大きく増加させている(第5図参照)。

6 設備投資
 平成十三年度における通信・放送産業の設備投資実績額は三兆二千億円(対前年度比二四・四%減)と減少に転じた。また、平成十四年度の設備投資計画額も二兆九千億円(同九・〇%減)と減少している。

7 情報通信ベンチャー
 情報通信分野における大学等発ベンチャーの起業数は、平成十三年には三十二社、十四年(八月末まで)には二十四社となっており、同年に起業した大学等発ベンチャー総数の約三割を占めている。

8 国際貿易・投資
 我が国の平成十四年におけるIT関連貿易額は、輸出が一千四十八億ドル(対前年比二・一%減)、輸入が五百九十六億ドル(対前年比六・七%減)である。ITバブル崩壊の影響を受け、輸出・輸入とも二年連続で減少している。

第2節 電気通信事業

1 電気通信事業者
 平成十四年度末における電気通信事業者数は一万一千三百十八社であった。平成十三年度における電気通信事業の売上高は、十八兆六千九百二十一億円(対前年度比一・八%増)となった。
 通信回数におけるNCCの比率は、十三年度には長距離通信(県間通信)の四九・八%、地域通信(県内通信)の三四・八%、国際通信の五五・九%に増加した。我が国の電気通信事業は、急速に競争が進んでいる。

2 電気通信サービス
 平成十四年度末における加入電話契約数は五千百十六万契約(対前年度比〇・三%増)であり、平成九年度以来減少していたものの、増加に転じた。また、平成十四年度末における携帯電話の契約数は七千五百六十六万契約(対前年度比九・五%増)であり、増加のペースは平成十三年度以降やや鈍化している。

3 電気通信料金
 平成七年から十四年における我が国の通信料金の料金水準は、固定通信料金、移動通信料金ともに企業向けサービス価格指数の総平均より低下幅が大きい。特に、固定通信における国際電話(対平成七年比五一・二ポイント減)、移動通信における携帯電話(同五〇・九ポイント減)の料金の低下が著しい。

4 電気通信メディアの利用状況
 平成十三年度における我が国の総通信回数は一千三百八十四億回(対前年度比四・四%減)、総通信時間は六十五億七千万時間(同六・五%減)であり、いずれも減少に転じた。

5 電気通信ネットワーク
 平成十四年度末における光ファイバ網整備率は、電気通信事業者の集線点ベースで全国平均七二%(対前年度比一三ポイント増)と着実に整備が進展している。しかし、依然として都市部と地方で整備水準に格差が存在している。

6 電気通信サービスに関する苦情・相談等
 平成十四年度に国民生活センターに寄せられた情報通信に関する苦情・相談件数は十四万二千五百三十六件で、十三年度の約一・五倍になった。情報通信の中でもインターネットに関するトラブルの増加が目立っている。

第3節 放送事業

1 放送事業者
 平成十四年度末における民間放送事業者数は一千二十三社(対前年度比十二社増)である。また、平成十三年度における放送事業者の売上高は、三兆七千五百八十九億円(対前年度比〇・七%増)である。

2 放送サービス
 CS放送では、平成十四年三月にBSと同じ東経一一〇度に打上げられたN―SAT―一一〇衛星を用いた放送(東経一一〇度CSデジタル放送)が開始されている。
 平成十四年度末における自主放送を行う許可施設のケーブルテレビの契約数は一千五百十四万契約(対前年度比一六・五%増)、世帯普及率は三一・二%と着実に増加している。

3 放送メディアの利用状況
 平成十四年六月にNHK放送文化研究所が行った全国個人視聴率調査によると、一日当たりのテレビジョン放送視聴時間(週平均)は三時間三十七分であった。

第4節 郵便事業

1 郵便事業財政
 郵便事業財政は、効率化施策の効果が着実に現れたことにより、赤字幅は年々縮小し、平成十三年度には、九年度以来四年ぶりに黒字を計上した。

2 取扱郵便物数
 平成十四年度における総引受郵便物数(内国郵便物数と国際引受郵便物数の合計)は二百六十二億通(対前年度比二・〇%減)であり、平成六年度以来八年ぶりに前年度を下回った。

3 郵便局ネットワーク
 平成十四年度末における郵便を取り扱う施設数は、郵便局が二万四千七百五十二局(対前年度比〇・一%減)、郵便切手類販売所・印紙売りさばき所が十五万六百十七か所(同〇・七%減)、ゆうパック取次所は七万一千百九十四か所(同九・八%減)、郵便ポストが十八万五千九百六十六本(同四・四%増)となっている。

第5節 情報流通

1 全国の情報流通
 過去十年間(平成三年度から十三年度)の我が国における情報流通量の年平均増加率は、原発信情報量が二八・五%、発信情報量が二四・二%等、いずれの情報流通量も一貫して増加している。

2 地域の情報流通
 平成十三年度における発信情報量の都道府県別の比率をみると、情報流通における地域格差は、発信の段階で大きいものの、消費の段階では比較的小さい状況にある。

第6節 人材の育成

1 公立学校におけるIT教育
 公立学校における教育用コンピュータは、平成十三年度には児童生徒一一・一人に一台の整備率となっている。また、公立学校のインターネット接続率は、平成十一年度の五七・四%から十三年度には九七・九%に達している。

2 専門的なIT人材の育成
 文部科学省の調査によると、IT関連の修士・博士号取得者数は、平成十三年度において、それぞれ一万四千八百八人、一千六百六十三人となっている。

第7節 家庭及び企業の情報化

1 家庭の情報化
 世帯における情報通信機器の保有率は、平成十四年末で、携帯電話が八六・一%(対前年比一〇・五ポイント増)、うちインターネット対応型携帯電話が四七・七%(対前年比三・一ポイント増)となった。また、パソコンの世帯保有率は七一・七%(対前年比一三・七ポイント増)と引き続き増加している。
2 企業の情報化
 企業のインターネット利用率は、平成十四年末では、従業員数百〜二百九十九人と比較的小さな企業においても九五・一%(対前年比一・九ポイント増)の利用率となっており、企業規模による格差もほとんど解消している。

第8節 研究開発

1 情報通信産業の研究開発
 情報通信産業の研究開発費は、平成十三年度において四兆六千億円(対前年度比二・一%増)となっている。全産業に占める情報通信産業の研究開発費の割合は、平成十三年度において三九・七%となっている。

2 情報通信分野の研究開発
 平成十三年度に企業等、非営利団体・公的機関、大学等が拠出した情報通信分野を対象とした研究費は、二兆三千億円である。このうち、通信・電子・電気計測機器工業企業の研究費が全体の四二・八%を占めている。

第9節 海外の動向

1 海外におけるIT国家戦略
 海外においても、我が国同様、情報通信の進展に応じ、新たなIT国家戦略の策定や従来の戦略の見直しが行われている。例えば、韓国においては、二〇〇二年四月、「e−KOREA VISION 2006」を策定している。

2 世界の電気通信利用状況及び市場規模
 世界のインターネット利用者数は、引き続き増加している。NUA社が公表している推計によれば、二〇〇二年九月現在のインターネット利用者数は約六億人に達している。

3 海外における通信・放送事業者の動向
 米国では、二〇〇一年には、DSL等の小規模な新興参入事業者の破綻が相次いでいたが、二〇〇二年七月には長距離・国際通信事業で全米第二位のワールドコム(現MCI)が、不正会計発覚を契機に破綻した。また、欧州でも、二〇〇二年中にBT、ドイツテレコム、フランステレコムといった各国主要通信事業者は、負債の増大等経営不振により、海外事業や非中核部門からの撤退、売却を進めている。

4 米国のIT政策の動向
 FCCは、二〇〇三年二月、地域競争促進のためベル系地域電話会社に課されているアンバンドル規制について、一部緩和することを発表した。

5 EUのIT政策の動向
 二〇〇二年六月、欧州理事会は、「eEurope 2005アクションプラン(すべての市民のための情報社会)」を採択した。また、電気通信分野において、EUは、電気通信分野における従来の規制の枠組みを見直し、一連の新たな電気通信規制を公布、施行した。

6 アジアのIT政策の動向
 中国は二〇〇一年十二月にWTOへの正式加入を果たし、法制度の整備とともに、電気通信市場の開放を進めている。法制度については、二〇〇〇年九月に電気通信分野の基本法ともいうべき「電信条例」が制定された。

7 国際的なデジタル・ディバイドの状況
 諸外国における情報通信の普及状況を比較すると、高所得国と低所得国の間で顕著な格差が存在しており、国際的な情報通信の利用格差(国際的なデジタル・ディバイド)の是正は大きな課題となっている。

第3章 情報通信政策の動向

第1節 高度情報通信ネットワーク社会の実現

1 日本発新IT社会の構築
 総務省の情報通信審議会情報通信政策部会インターネット利用高度化委員会(「ブロードバンド情報戦略委員会」)は、IT戦略の方向性について議論を行い、平成十五年一月に中間取りまとめを行った。中間取りまとめでは、インフラの整備と利活用の拡大のバランスに配意した「日本発の新IT社会の構築」について提言している。

2 IT国家戦略の推進
 政府では、平成十三年一月に施行された高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)に基づき、IT戦略本部を設置してIT国家戦略を推進してきた。IT戦略本部では、平成十四年十一月に、「IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会」を設置し、平成十八(二〇〇六)年以降も我が国が世界最先端のIT国家であり続けるため、e−Japan戦略の見直しに取り組んでいる。

3 e−Japan関連予算
 高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する平成十五年度政府予算は、総額で一兆五千三百五十八億円となっている。また、総務省の情報通信行政関係の予算は、前年度当初予算の一千二百五十二億円に比べ四・八%増の一千三百十三億円となっている。また、平成十四年度補正予算では、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する予算として、総額二千八百七十九億円が措置された。

4 e!プロジェクトの実施
 IT革命の推進には、国民のITに対する理解の増進が重要であり、e−Japan二〇〇二プログラムに基づき、「e!プロジェクト」が実施された。平成十四年度予算では、教育、地方行政等の六分野におけるIT利活用の在り方についての実証実験を行った。

第2節 情報通信政策の展開

1 電気通信政策の展開
 総務省の情報通信審議会は、IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方について審議を行い、平成十四年八月に最終答申を行った。最終答申では、ブロードバンド化・IP化の進展を踏まえ、競争政策の積極的な展開、消費者行政の充実、新たな競争の枠組みの導入について提言を行っている。
 総務省では、第百五十六回通常国会に「電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案」を提出した。同法案では、民間事業者がもてる力を最大限に発揮できるよう規制緩和を図る一方で、最低限のセーフティネットを確保しており、制度全体として我が国の利用者利便の増進を図ることとしている。

2 放送政策の展開
 総務省では、平成十三年十一月から平成十五年四月まで「ブロードバンド時代における放送の将来像に関する懇談会」を開催した。懇談会では、平成十五年四月に、放送を巡る諸課題についての大きな方向性を示した「とりまとめ」を公表した。同時に、地上デジタル放送受信機の普及目標等を設定した「デジタル放送推進のための行動計画」(第三次)を策定した。

3 電波の有効利用政策の推進
 我が国の電波のひっ迫状況が非常に深刻化しており、電波の迅速かつ円滑な再配分が求められている。このため総務省では、平成十四年の電波法改正により導入された電波の利用状況の調査、公表及び評価する制度に基づき、国民の意見を求めた上で、電波の有効利用の程度を評価することとしている。

第3節 情報通信ネットワークの高度化

1 ネットワークインフラの整備推進
 総務省の情報通信審議会は「二十一世紀におけるインターネット政策の在り方」について平成十四年八月に第二次中間答申を取りまとめた。第二次中間答申では、インターネットのIPv6移行に向けたロードマップを作成するとともに、IPv6への移行を加速するためのモデル実証実験の実施等が必要であるとしている。

2 放送の高度化の推進
 我が国の厳しい周波数事情において、デジタル放送用の電波を発射できるよう、地上デジタル放送への移行に先立ち、一部の地域において既存のアナログ放送の周波数を変更する必要がある。総務省では、三大広域圏においては、平成十四年八月から送信側の対策を、平成十五年二月から個別世帯等における受信対策をそれぞれ実施している。平成十四年九月には、地上デジタルテレビジョン放送を行う放送局の免許方針を制定し、平成十五年四月に予備免許が付与された。

3 通信と放送の融合
 通信と放送の伝送路の融合が進展してきていることに対応するため、電気通信役務を利用した放送を制度化する「電気通信役務利用放送法」が平成十四年一月から施行されている。平成十五年三月には、本法に基づき、ADSLを用いた有線テレビジョン放送が開始された。

第4節 企業の情報化の推進

1 IT投資促進税制の創設
 企業のIT投資に対し、ハード・ソフトの両面から税制支援措置を行うことにより、企業の事業効率化、高付加価値化等を促進するため、平成十五年度からIT投資促進税制が創設された。なお、本税制の減税効果は初年度で約六千億円に及ぶものである。

2 企業の国際競争力強化に向けた情報化戦略の策定
 総務省では、今後の情報通信ネットワークインフラの整備状況や情報通信分野における新しいビジネスモデルの創出等を踏まえつつ、真に有効な企業情報化の推進方策について検討するため、平成十四年七月から「国際競争力回復のための企業のIT化戦略研究会」を開催し、同年十二月、報告書が取りまとめられた。

3 情報通信ベンチャー企業に対する支援の充実
 総務省では、ITベンチャーの創業・成長を促進するため、資金面、技術面、人材面等の各種支援措置を講じている。また、総務省では、平成十五年三月からITベンチャー振興のための集中的・重点的な施策展開を目指し、ITベンチャーを取り巻く諸課題やITベンチャー振興のための具体的な支援等について総合的に検討を行う「ITベンチャー研究会」を開催している。

4 電子署名認証の普及促進
 総務省、法務省及び経済産業省の三省の共管により平成十三年四月から施行されている「電子署名及び認証業務に関する法律」により、認証業務についての信頼性の目安を国民に提供するため特定認証業務に関し、国による認定制度が導入されており、平成十四年度末現在で、十二件の特定認証業務が認定されている。

第5節 行政・公共分野の情報化の推進

1 地域情報化の推進
 総務省では、教育・福祉等の住民サービスの向上、行政の効率化、情報格差(デジタル・ディバイド)の是正等の観点から、情報通信格差是正事業や電気通信格差是正事業、情報通信を活用したソフト事業等総合的に地域の情報化を推進している。

2 ITを活用した地域経済の活性化
 総務省では、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二」(平成十四年六月閣議決定)に基づき、ITビジネスモデル地区構想を推進している。平成十五年四月、全国八地区に対し、ITビジネスモデル地区の指定を行った。

3 電子政府の実現
 行政手続のオンライン化については、国民・企業からの申請・届出等を含むすべての行政手続(約五万二千件)を、原則として平成十五年度末までに、自宅や事務所からインターネットで、二十四時間いつでも行えるよう措置することとしている。また、法制面の環境整備として、いわゆる行政手続オンライン化関係三法が平成十四年十二月に第百五十五回国会において成立しており、このうち行政手続オンライン化法及び整備法(一部を除く)については、平成十五年二月に施行されている。

4 電子自治体の実現
 電子自治体の実現のため、総務省では平成十四年五月に、複数の地方公共団体の業務を標準化・共同化した上で、民間企業のノウハウ・システム等を有効活用し、住民サービスの向上、地方公共団体の業務改革、IT関連地場産業振興等により、地域経済の活性化を図る「共同アウトソーシング・電子自治体推進戦略」を発表した。また、住民基本台帳ネットワークシステムについては、平成十四年八月から基本部分の運用が開始され、平成十五年八月からは、住民票の写しの広域交付、転入転出手続の簡素化、住民基本台帳カードの交付等が開始される。

第6節 コンテンツ流通の促進及び人材の育成

1 コンテンツの制作流通の促進
 ブロードバンド化、放送のデジタル化等、高度な情報通信インフラの整備が進展する中で、その利活用促進が課題となっている。そのためには、良質なネットワーク・コンテンツを増大させ、インフラ整備とコンテンツ充実の好循環を創出していくことが必要である。総務省では、官民協力体制による実証実験等を推進することにより、コンテンツ制作・流通の促進に向けた市場環境整備に取り組んでいる。

2 人材の育成
 情報通信分野は、高度な技術力により急速に発展している分野であり、情報通信を活用して既存産業の国際競争力を維持・強化していくためには、高度なIT技術者、研究者が不可欠である。そこで、総務省では、平成十三年度から、急速に高度化が進む情報通信分野の専門的な知識及び技能を有する人材を育成し、IT人的資源大国となることに貢献することを目的として、「情報通信人材研修支援制度」を導入した。

第7節 情報通信利用者の保護

1 電気通信利用者の保護
 ワン切り対策としては、総務省では、ワン切りに対する処罰規定を設ける有線電気通信法の一部を改正する法律案を平成十四年十月に国会に提出し、同年十二月、同法案は可決・成立した。また、ウェブページや電子掲示板等における他人の誹謗中傷、プライバシーの侵害等の問題に対応するため「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」が平成十四年五月から施行されている。

2 情報セキュリティ及びプライバシー保護対策の推進
 総務省では、@ネットワークセキュリティ技術に関する研究開発、AセキュアOSに関する調査研究、B無線インターネットのセキュリティに関するガイドラインの作成、C不正アクセス対策等の取組を行っている。また、平成十五年三月に国民一般の情報セキュリティについて周知啓発を図るため、「国民のための情報セキュリティサイト」を開設した。

3 デジタル・ディバイドの克服
 過疎地域等においては、採算性等の問題から民間事業者による光ファイバ網の整備が進まず、地理的要因によるディバイドが顕在化してきており、国・地方公共団体による政策的対応が求められてきている。そこで総務省では、平成十四年度に「地域情報交流基盤整備モデル事業(加入者系光ファイバ網整備)」を創設した(平成十五年度から「地域情報通信ネットワーク基盤整備事業(加入者系光ファイバ網整備)」と名称変更)。

4 電波利用環境等の整備
 電気通信機器(端末機器及び特定無線設備)の基準認証制度に関しては、平成十四年五月に「端末機器及び特定無線設備の基準認証制度に関する研究会」を開催し、同年十二月の報告書を受けて、電気通信機器について、命令、罰則等の事後措置を含む技術基準適合自己確認制度(いわゆる自己適合宣言制度)を導入し、また、指定機関を国の裁量性のない登録制度に移行する電波法及び電気通信事業法の改正法案を第百五十六回通常国会に提出した。

第8節 研究開発の推進

1 情報通信分野の研究開発政策の展開
 第二期科学技術基本計画(平成十三年三月閣議決定)では、科学技術分野において、情報通信分野を含む四分野に特に重点を置き、優先的に研究開発資源を配分することとした。情報通信審議会では「情報通信分野における技術競争力の強化に向けた研究開発・標準化戦略について」検討し、平成十五年三月に答申を行い、取り組むべき研究開発課題や方策を「研究開発基本計画(第四版)」、「研究開発実施戦略」、「標準化戦略」として取りまとめた。

2 重点的な研究開発の実施
 総務省では、ユビキタスネットワークの実現に向けた技術、ネットワーク・ロボット技術、ギガビットネットワーク技術、ネットワーク超高速化技術、量子工学・ナノ技術等を用いた情報通信技術、ネットワーク・ヒューマン・インターフェース、宇宙通信、タイムスタンプ・プラットフォーム技術、ナチュラルビジョン、成層圏プラットフォーム等に関する研究開発が推進されている。

第9節 国際戦略の推進

1 国際政策の推進
 総務省では、関係府省とともに、二〇〇三年三月、アジア域内の情報流通を活性化し、アジアが世界の情報拠点となることを目的とした「アジア・ブロードバンド計画」を策定した。

2 国際協力の推進
 総務省としては、IT分野の人材育成支援、開発途上国の情報通信主管官庁との政策対話を通じたIT政策・制度策定支援、国際共同実験の実施等による情報通信基盤整備への支援及び国際的なデジタル・ディバイドの解消のためにグローバルな協力を推進する国際機関・地域機関への支援等を実施している。

3 国際標準化活動の推進
 情報通信分野の国際標準化では、国際電気通信連合(ITU)が中核的な役割を果たしている。我が国では、電気通信標準化部門(ITU―T)及び無線通信部門(ITU―R)における活動に対し数多くの役職を引き受けるとともに、勧告作成に向けて多数の寄与文書を提出し、SG等会合に多数の専門家が出席するなど、積極的に国際標準化活動を推進している。

第10節 新たな郵政行政の展開

1 「日本郵政公社」のスタート
 平成十四年七月に成立した@日本郵政公社法、A日本郵政公社法施行法、B民間事業者による信書の送達に関する法律、C民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律に基づき、平成十五年四月一日、日本郵政公社が発足した。

2 信書便事業の円滑かつ適正な推進
 平成十五年四月の日本郵政公社の設立に併せて、「民間事業者による信書の送達に関する法律」(「信書便法」)が施行され、従来、国の独占とされてきた信書の送達の事業への民間事業者の参入が認められた。

3 郵便局におけるワンストップサービスの推進
 住民の利便の増進を図るとともに、地方公共団体の組織及び運営の合理化に資するため、住民票の写しの交付等の事務を郵便局において取り扱うことができるようにする「地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律」が、平成十三年十二月より施行されている。平成十四年度末現在、四十三市町村、百四十七郵便局で証明書交付事務を実施している。


目次へ戻る


労働経済動向調査


平成十五年八月結果の概況


厚生労働省


T 調査の概要

 労働経済動向調査は、生産、販売活動及びそれに伴う雇用、労働時間などの現状と今後の短期的見通しなどを把握するため、全国の建設業、製造業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業に属する常用労働者三十人以上を雇用する民営事業所五千三百五十八事業所を対象として、年四回実施(通信調査方式)しているもので、平成十五年八月一日現在の調査結果である。
 (注) 平成十一年二月の調査から、調査対象産業を従来の五産業に金融・保険業、不動産業を追加し七産業とした。

U 結果の要旨

一 生産・売上、所定外労働時間、雇用
(1) 生産・売上
《三産業の実績でマイナス》
 生産・売上判断D.I.(平成十五年四〜六月期実績)は、製造業でマイナス三ポイント、卸売・小売業,飲食店でマイナス五ポイント、サービス業でマイナス一六ポイントとなり、サービス業でマイナス幅が拡大した。先行きは、十五年七〜九月期実績見込、十五年十〜十二月期見込とも三産業でマイナスとなっている(第1表参照)。
(2) 所定外労働時間
《卸売・小売業,飲食店の実績でプラスに転じる》
 所定外労働時間判断D.I.(十五年四〜六月期実績)は、製造業でマイナス三ポイント、卸売・小売業,飲食店でプラス二ポイント、サービス業でマイナス八ポイントとなり、卸売・小売業,飲食店でプラスに転じ、製造業、サービス業でマイナスに転じた。先行きは、十五年七〜九月期実績見込は卸売・小売業,飲食店、サービス業でマイナス、十五年十〜十二月期見込は三産業でマイナスとなっている(第1表参照)。
(3) 常用雇用
《三産業の実績においてマイナス幅拡大》
 常用雇用判断D.I.(十五年四〜六月期実績)は、製造業でマイナス二一ポイント、卸売・小売業,飲食店でマイナス一四ポイント、サービス業でマイナス一四ポイントとなり、製造業でマイナス幅が拡大した。先行きは、十五年七〜九月期実績見込、十五年十〜十二月期見込とも三産業でマイナスとなっているが、その幅はほぼ縮小している(第1表参照)。
(4) パートタイム雇用
《卸売・小売業,飲食店の実績においてマイナス幅縮小》
 パートタイム雇用判断D.I.(十五年四〜六月期実績)は、製造業でマイナス四ポイント、卸売・小売業,飲食店でマイナス一ポイント、サービス業でマイナス七ポイントとなり、卸売・小売業,飲食店でマイナス幅は縮小し、サービス業でマイナスに転じた。先行きは、十五年七〜九月期実績見込、十五年十〜十二月期見込は三産業でマイナスとなっている(第1表参照)。

二 労働者の過不足状況
(1) 常用労働者
《過剰感ほぼ横ばい》
 八月現在の常用労働者過不足判断D.I.により、雇用過剰感の動向をみると、調査産業計ではマイナス五ポイントと前期(マイナス六ポイント)と比べると過剰感がほぼ横ばいとなっている。産業別にみると、金融・保険業、不動産業、サービス業では不足感が強まり、建設業では過剰感が弱まっている(第1図参照)。
(2) パートタイム労働者
《不足感やや弱まる》
 八月現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.により、雇用過剰感の動向をみると、調査産業計ではプラス五ポイントと前期(プラス八ポイント)と比べると不足感はやや弱まっている。
 産業別にみると、建設業では過剰感が強まり、運輸・通信業、金融・保険業では不足感が横ばい、卸売・小売業,飲食店、サービス業では不足感が弱まっている。

三 雇用調整
(1) 実施割合
《実績で横ばい》
 雇用調整を実施した事業所の割合(平成十五年四〜六月期実績)は、調査産業計で二二%と前期と比べると横ばいとなっている。産業別にみると、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、サービス業で低下した(第2図参照)。
(2) 実施方法
 雇用調整の実施方法は、調査産業計では残業規制(一〇%)の割合が高く、次いで配置転換(七%)、中途採用の削減・停止(四%)及び出向(四%)となっている。

四 中途採用
《サービス業を除きおおむね横ばい》
 「中途採用あり」とした事業所割合(平成十五年四〜六月期実績)は、調査産業計で四六%と前年同期(十四年四〜六月期実績)と比べると横ばいとなっている。産業別にみると、サービス業で前年を下回っているほかはおおむね横ばいとなっている。

五 労働者数の変動状況
(1) 一年前との変動状況
《常用ではすべての産業で減少が増加を上回る》
 現在の労働者数が一年前とどのように変わったかを事業所割合でみると、常用労働者ではすべての産業で「減少した」とする割合が「増加した」とする割合を上回った。一方、現在受け入れている派遣労働者数が一年前とどのように変わったかを事業所割合でみると、建設業、サービス業を除くすべての産業で「増加した」とする割合が「減少した」とする割合を上回った。
(2) 一年後の変動状況
《常用ではすべての産業で減少が増加を上回る》
 現在の労働者数が一年後どのように変わるかを事業所割合でみると、常用労働者ではすべての産業で「減少する」と見込む割合が、「増加する」と見込む割合を上回っている。
 現在受け入れている派遣労働者数が一年後どのように変わるかを事業所割合でみると、卸売・小売業,飲食店を除くすべての産業で「減少する」と見込む割合が、「増加する」と見込む割合を上回っている。




目次へ戻る


消費者物価指数の動向


―東京都区部(九月中旬速報値)・全国(八月)―


総 務 省


◇九月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成十二年を一〇〇として九七・五となり、前月と同水準。前年同月比は〇・五%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降四年一か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は九七・六となり、前月比は〇・一%の下落。前年同月比は〇・三%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降四年連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

 総合指数が前月と同水準となった内訳を寄与度でみると、被服及び履物、食料などは上昇し、教養娯楽、交通・通信は下落した。
[主な内訳]
●被服及び履物
 シャツ・セーター・下着類(九・四%上昇)…婦人セーター(長袖)など
●食料
 生鮮野菜(八・四%上昇)…きゅうり、えだまめなど
●教養娯楽
 教養娯楽サービス(四・三%下落)…外国パック旅行など
●交通・通信
 交通(三・五%下落)…航空運賃など

三 前年同月との比較

 総合指数の前年同月比が〇・五%の下落となった内訳を寄与度でみると、食料、教養娯楽、住居、被服及び履物などの下落が要因となっている。
 なお、保健医療などは上昇した。
[主な内訳]
●食料
 生鮮魚介(五・四%下落)…さんまなど
●教養娯楽
 教養娯楽用耐久財(一五・九%下落)…パソコン(デスクトップ型)など
●住居
 家賃(〇・三%下落)…民営家賃(木造中住宅)など
●被服及び履物
 シャツ・セーター・下着類(三・〇%下落)…ブラウス(半袖)など
●保健医療
 保健医療サービス(一一・〇%上昇)…診療代など

◇八月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成十二年を一〇〇として九八・二となり、前月比は〇・二%の上昇。前年同月比は〇・三%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降四年連続で前年同月の水準を下回っている。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は九八・二となり、前月比は〇・一%の上昇。前年同月比は〇・一%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降三年十一か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

 総合指数の前月比が〇・二%の上昇となった内訳を寄与度でみると、教養娯楽、食料などの上昇が要因となっている。
 なお、被服及び履物などは下落した。
[主な内訳]
●教養娯楽
 教養娯楽サービス(三・四%上昇)…外国パック旅行など
●食料
 生鮮野菜(二・四%上昇)…レタス、きゅうりなど
●被服及び履物
 衣料(三・四%下落)…婦人スーツ(夏物)など

三 前年同月との比較

 総合指数の前年同月比が〇・三%の下落となった内訳を寄与度でみると、食料、教養娯楽、被服及び履物などの下落が要因となっている。
 なお、保健医療などは上昇した。
[主な内訳]
●食料
 生鮮魚介(四・六%下落)…かつおなど
●教養娯楽
 教養娯楽用耐久財(一四・一%下落)…パソコン(デスクトップ型)など
●被服及び履物
 衣料(二・九%下落)…男児ズボンなど
●保健医療
 保健医療サービス(一一・一%上昇)…診療代など





















知っておきたい国際・外交キーワード


万国郵便連合=UPU

 設立:一八七四年
 本部:ベルン(スイス)

 万国郵便連合(Universal Postal Union=UPU)は、最も古い歴史をもつ国際機関の一つです。設立は一八七四年、ドイツの提唱により二十二か国の代表がスイスのベルンに集まり、締結した国際郵便条約(ベルヌ条約)によって誕生しました。
 郵便制度そのものの歴史も古く、古代ペルシアの「駅制」や春秋・戦国時代の中国における「駅伝」など、紀元前から発達してきました。当初は公用の信書を運ぶためのものでしたが、時代の移り変わりとともに、一般の人々も利用できるものに発展し、国内の郵便制度が整えられていったのです。
 十九世紀に入り、国境や海を越えての交流が進むにつれて、各国間を往来する郵便物について国際規定を設けることは、時代の要請でもあったのです。
 万国郵便連合の目的は、加盟国間における郵便物を安全かつ迅速に交換し、配達すること、また、そのための郵便業務を組織化することです。
 万国郵便連合の主な業務は、国際郵便業務に適用される共通の規則や通常郵便の業務に関する国際規定を定めること。例えば、書状や郵便ハガキなどの郵便物の重量や大きさ、その料金設定などを定めたり、書留や航空郵便、伝染性あるいは放射性物質のような特別な配慮を必要とする郵便物について規制を設けたりしています。
 また、途上国に対しては、郵便業務の計画立案、組織化から管理、運営、職業訓練まで、技術協力プロジェクトによる幅広い支援を行っています。



言葉の履歴書


エルニーニョ現象

 エクアドルからペルー沖で毎年起こる海流変化で水温が上昇することを、エルニーニョ(スペイン語で神の子の意味)といいます。エルニーニョ現象は、二〜七年おきに広い範囲で季節を越えて海面水温が平年より一度から五度程度高くなる現象で、東太平洋赤道域全体に及び、一年から一年半続くことが多くみられます。エルニーニョ現象と同じ海域で、平年より海面水温が低くなる現象をラニーニャ現象と呼んでいます。
 これらの現象の発生は、地球全体の大気の流れを変えるため、世界各地の異常気象の原因となり、経済活動や社会活動に大きな影響を与えます。
 日本の天候は、エルニーニョ現象のときは、「梅雨明けの遅れ」「多雨の夏」「冷夏」「暖冬」になることが多く、ラニーニャ現象のときは、「寒い秋」「多雨の冬」になることが多くなります。しかし、現象が起きたからといって、必ずこのように天候が変化するとは限りません。日ごろから天候に関心をもつようにしたいものです。




目次へ戻る


給与所得者の年末調整


国 税 庁


 給与所得者の方については、通常、その年最後の給料又は賞与が支払われる際に、その年に支払われた給料や賞与から源泉徴収された所得税の合計額と、一年間の給与総額に対する年税額との過不足額の精算が行われるため、大部分の方が確定申告をする必要がありません。この精算手続は、通常、年末に行われますので「年末調整」と呼ばれており、この「年末調整」により所得税が納め過ぎの場合には還付され、不足の場合には徴収されることとなります。
 以下、年末調整を受ける際に注意していただきたい点について説明しますので、正しく年末調整が受けられるようにしてください。

1 扶養控除等の申告
 年末調整は、勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している方のうち、給与の収入金額が二千万円以下の方について行うことになっていますから、給与所得者が年末調整を受けるためには、扶養親族などがいない場合でもこの申告書を提出する必要があります。
 また、今年、結婚や出産、就職などにより扶養親族などに異動があった場合で、まだ異動申告書を提出していない方は、年末調整に間に合うようできるだけ早く提出してください。

2 配偶者特別控除の申告
 配偶者特別控除とは、本人が生計を一にする配偶者を有する場合に、本人の所得金額から最高三十八万円(配偶者の合計所得金額に応じて控除額が調整されます)を控除するというものです。
 年末調整によりこの控除を受けるためには、「給与所得者の配偶者特別控除申告書」(給与所得者の保険料控除申告書との兼用用紙となっています)を勤務先に提出しなければなりません。
 なお、配偶者の合計所得金額が三十八万円の場合又は七十六万円以上の場合や控除を受けようとする所得者の合計所得金額が一千万円を超える場合など、一定の場合にはこの控除を受けることはできません。

3 保険料控除等の申告
 本人が直接支払った国民健康保険や国民年金の保険料などの社会保険料と小規模企業共済等掛金はその全額を、また、生命保険料と損害保険料はその支払った額に応じて算出した額を、それぞれ年末調整の際に所得金額から控除することになっています。
 これらの控除を受けるためには、「給与所得者の保険料控除申告書」を勤務先に提出する必要があります。控除の種類や控除額などは、次のようになっています。
 (1) 社会保険料控除
 本年中に支払った社会保険料の全額が控除されます。また、本人と生計を一にする親族が負担することになっている社会保険料で、本人自身が支払ったものも控除できます。
 なお、社会保険料については、保険料を支払ったことを証明する書類を添付する必要はありませんが、領収証等により金額を確認して正確に記入してください。
 (2) 小規模企業共済等掛金控除
 中小企業総合事業団と契約した共済契約(旧第二種共済契約を除きます)の掛金や、確定拠出年金法の規定により国民年金基金連合会が実施する個人型年金の加入者掛金、地方公共団体が行う心身障害者扶養共済制度の掛金は、支払金額の全額が控除されます。
 この控除を受けるためには、支払証明書をこの申告書に添付することが必要です。
 (3) 生命保険料控除
 給与所得者の方が、本年中に生命保険契約等の保険料や掛金を支払った場合には、その支払った保険料や掛金を、個人年金保険料(障害特約等が付されている契約にあっては、その特約部分の保険料や掛金を除きます)と一般の生命保険料とに区分し、それぞれの支払金額に応じて最高五万円(合計で最高十万円)が控除されます。
 この控除を受けるためには、一般の生命保険料にあっては支払った一契約の保険料や掛金(分配を受けた剰余金、割戻金の金額を差し引いた残額)が年額九千円を超えるものについて、また、個人年金保険料については支払った金額の多少にかかわらずすべてのものについて、その支払証明書を申告書に添付することが必要です。
 (4) 損害保険料控除
 給与所得者の方が、本年中に本人又は本人と生計を一にする配偶者その他の親族が所有している住宅や家財のうち一定のものを保険の目的とする損害保険契約等、又はこれらの人の身体の障害等に基因して保険金等が支払われる損害保険契約等の保険料や掛金を支払った場合には、保険期間が十年以上で満期返戻金が支払われる長期損害保険料については最高一万五千円が、それ以外の短期損害保険料については最高三千円(長期損害保険料と短期損害保険料の両方がある場合の控除額は合計で最高一万五千円)が控除されます。
 この控除を受けるためには、支払った金額の多少にかかわらず支払証明書を申告書に添付することが必要です。

4 住宅借入金等特別控除の申告
 給与所得者の方についての住宅借入金等特別控除は、最初に控除を受ける年分については確定申告によらなければなりませんが、その後の各年分については年末調整の際に控除を受けることができます。
 年末調整で行う住宅借入金等特別控除は、各人から提出された「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」に基づいて行うことになっていますから、所要事項を記載したこの申告書に、「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」(その方の住所地の税務署長が発行したもの(注))及び「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」(借入等を行った金融機関等が発行したもの)を添付して、年末調整の時までに勤務先へ提出する必要があります。
 なお、@その年の合計所得金額が三千万円を超える場合、Aその家屋に入居後、本年十二月三十一日まで引き続き居住の用に供していない場合など、一定の場合にはこの控除を受けることはできません。
 (注) 既に前年以前の年末調整においてこの控除を受けている人が、引き続き同一の給与支払者の下でこの控除を受ける場合には、一定の事項を住宅借入金等特別控除申告書に記載することによりこの証明書の添付を省略できることになっています。



   <11月26日号の主な予定>

 ▽公害紛争処理白書のあらまし………公害等調整委員会事務局 




目次へ戻る