▽新年一般参賀について…………宮 内 庁
労働経済白書のあらまし
第T部 平成十四年労働経済の推移と特徴
第1章 雇用・失業の動向
二〇〇二年の労働市場を総括すると、一部に改善への動きがみられるものの、完全失業率が引き続き高水準となるなど、依然として厳しい状況となった。
(1) 有効求人倍率は二〇〇二年初めから緩やかに上昇した。
(2) 雇用者数は男性の雇用者数が減少傾向で推移する一方で、女性の雇用者数が増加傾向で推移する動きが続き、男女計では三年ぶりの減少となった。
(3) 完全失業率は高水準で推移し、二〇〇二年平均では五・四%となった(第1図参照)。
(4) 長期失業者や世帯主失業者も引き続き増加した。
有効求人倍率は二〇〇二年初より緩やかな上昇傾向にあるものの、二〇〇二年平均では前年を下回った。新規求人倍率も二〇〇二年初より緩やかな上昇傾向にあるものの、二〇〇二年平均では前年を下回った(第2図参照)。
二〇〇二年平均の就業者数は六千三百三十万人と五年連続の減少、雇用者数は二〇〇二年平均で五千三百三十一万人と三年ぶりの減少となった。
二〇〇二年平均(原数値)の完全失業者数は三百五十九万人となり、過去最高を更新し、特に景気の悪化に伴う勤め先や事業の都合等の非自発的理由による離職者が増加している。
男女とも長期的に失業率は上昇しているが、景気循環による変動を伴いつつも一九九〇年頃より失業頻度は上昇傾向、失業継続期間は長期化傾向にある。
近年では、景気が回復し所定外労働時間が増加しても常用雇用がなかなか改善しない傾向があるが、この背景として、一九九〇年代に総じて低い成長が続き、企業の期待成長率が低下する中で雇用過剰感が高く、雇用面での調整に時間を要し、しかも、景気の回復力が弱く、こうした調整が十分に終了しないうちに景気が反転するという状況がある。
第2章 賃金、労働時間の動向
二〇〇二年の現金給与総額は、所定外給与の減少幅が縮小したものの、所定内給与、特別給与の減少幅が拡大したことから、二年続けて減少し、減少幅は比較可能な一九九一年以降で最大となった。実質賃金についても、二年連続で減少した(第1表参照)。
所定内給与の減少には、パートタイム労働者構成比の上昇が平均でみた労働時間の減少と時間当たり賃金の減少の双方に寄与したことに加え、賃上げ率の低下を背景に一般労働者の所定内給与が比較可能な一九九四年以降初めて減少したこと等が影響している。また、特別給与の大部分を占める賞与をみると、夏季賞与と年末賞与ともに減少幅は比較可能な一九九一年以降で最大となった。
二〇〇二年の総実労働時間は、生産の持ち直しを反映し所定外労働時間は若干の増加となったが、所定内労働時間が出勤日数の減少やパートタイム労働者の構成比の上昇などにより引き続き減少したことから、二年連続で減少した。製造業の所定外労働時間は、生産の動向を反映して、二〇〇一年十〜十二月期を底に二〇〇二年は増加傾向で推移した(第3図参照)。
第3章 物価、勤労者家計の動向
二〇〇二年の物価は、消費者物価が四年連続で下落し、国内企業物価も下落幅が縮小したものの、二年連続の下落となり、デフレの傾向が鮮明になった。物価がデフレ傾向となったのは、技術革新や安い輸入品との競合等によりコストが低下したこと、消費が引き続き低調であったこと等によるものと考えられる。
二〇〇二年の勤労者世帯の消費支出は、消費者心理に持ち直しの動きがみられたものの、厳しい雇用・所得環境が続く中で、前年比名目一・三%減、実質〇・二%減と、ともに五年連続の減少となった。
二〇〇二年の平均消費性向は、消費者心理が七〜九月期までは緩やかに回復したものの、年末に大きく冷え込んだことなどにより、七三・一%と前年差一・〇%ポイントの上昇となった。
供給側に着目した統計をみると、二〇〇二年の小売業における販売額が六年連続で減少し、減少幅も前年に比べて拡大するなど、全体的に弱い動きとなった。
第U部 経済社会の変化と働き方の多様化
第1章 経済・雇用の動向と働き方の多様化
第1節 中長期的な経済、雇用等の動向の概観
我が国の経済成長率は一九九〇年代に大きく低下しており、デフレも進行している。労働市場においては、少子高齢化、女性の労働力人口に占める比率の上昇、高学歴化など労働力供給面及び産業構造・就業構造の変化、情報化の進展など労働力需要面の変化が生じている。また、雇用創出・喪失の動きをみると、新設及び既存事業所の増加寄与が低下する一方、廃止事業所による雇用の減少寄与が高まり、一九九六〜二〇〇一年では従業者数は減少している。
我が国の実質労働生産性上昇率(年率)の動向をみると、資本ストックと技術進歩等の全要素生産性の上昇寄与の縮小から、一九八〇年代の三・九%から一九九〇年代は一・九%へと低下している。製造業では全産業よりその低下幅が小さいが、この要因として全要素生産性の上昇寄与が依然として高かったことが寄与している(第4図参照)。
経済の国際化が進展する中で、国際分業が進展し、海外生産比率が上昇しているが、これらは製造業の国内就業機会の喪失に結びついている可能性がある。
第2節 デフレ下における企業・家計行動
我が国経済の低成長と長期的なデフレ状態が継続している中で、販売価格の低下、期待成長率の低下、人員構成の高齢化による人件費負担感の高まりなどもあり企業における人件費抑制圧力・雇用過剰感が高まっている。
労働分配率は一九九〇年代に入ってから高止まりの状態で推移している。企業が人件費抑制などコスト削減への取組を進めているものの、デフレ下での製品価格低下や売上高の落ち込みなどから労働分配率が高止まっているものと考えられる(第5図参照)。
今回の景気後退期の雇用調整の状況をみると、「希望退職の募集・解雇」といった厳しい雇用調整を行う事業所割合は、水準は低いものの高まりをみせ、中高年齢層を中心に非自発的失業が増加している一方、一般労働者からパートタイム労働者への代替は限定的である。また、厳しい賃金調整も行われており、賃上げ率の低下、賞与等の特別給与の大幅減といった要因から、二〇〇二年は、特に一般労働者について厳しい状況となっている。
人員削減に伴う影響として、企業経営の観点からすれば、コスト削減、経営の効率性向上といったプラスの側面がある一方で、従業員の士気の低下、優秀な人材の流出、職業能力開発機会の減少といったマイナスの側面もある。また、従業員の士気の低下を招くような人員削減は、生産性に対してもマイナスの影響を与える傾向が強い。
さらに、人員削減に伴う雇用量の減少は、雇用者所得の減少及び将来不安に伴う消費マインドの悪化を通じて、個人消費の抑制要因となっている。
デフレは、実質購買力増加による消費拡大につながる可能性があるものの、アンケート調査によればデフレは消費抑制的という結果になった。
第3節 地域の労働経済の動向
ここ十年程度の間に失業率は大きく上昇しており、特に東北、近畿の各県で上昇幅が大きい。バブル期後、各地域とも完全失業率が上昇し有効求人倍率が低下しているが、この間、地域間格差は縮小している。これまで雇用情勢が良かった地域で、大きく悪化したためである。
都道府県データをもとに人口構成・産業構造と失業率との相関をみると、若年労働力人口比率が高い地域で失業率が高く、製造業比率が高い地域で失業率が低い状況がみられる。また、各地域の失業率の上昇につき、@就業者数の変化、A十五歳以上人口の変化、B労働力率の変化で要因分解すると、一九九二〜一九九七年は人口の増加が、一九九七〜二〇〇二年は就業者数の減少が失業率の押し上げに寄与している。一九九〇年代を通じて製造業就業者数が減少する中、一九九〇年代前半は公共工事の下支えもあり建設業が雇用の受皿となっていたが、一九九〇年代後半からは建設業就業者数も減少に転じたため、産業計でみても就業者数が減少となった。
製造業就業者の減少の背景には、経済の国際化の影響が考えられる。特に産業集積地域では、海外で生産している企業割合の増加、下請け等の中小企業における受注減少、原価引下げなどがみられており、減少の大きい地域がみられる。しかし、地域によってばらつきがあり、輸送機械工業など輸出競争力の強い業種が基盤となっている地域では従業者数の減少割合は小さい。
サービス業従業者は、すべての都道府県で増加しており、特に高齢者ケアサービスの増加率は各地域ともに大きい。今後とも、これまで我が国経済を支えてきた製造業がある程度の雇用の受皿となることが必要だが、地域の実情に応じたサービス業等の雇用創出を図り、あわせて製造業や建設業などからの円滑な労働移動を支援していくことが重要である。
第2章 企業行動、労働者の就業行動の変化と働き方の多様化
第1節 企業の雇用方針・労働者の就業行動の変化と就業形態の多様化
就業形態の多様化とは、正規雇用(特定の企業と継続的な雇用関係を持ち、雇用先の企業においてフルタイムで働くこと)以外のさまざまな就業形態の拡大を指す。
就業形態の多様化の流れは中長期的に進展しているが、一九九〇年代後半にやや加速している。二〇〇二年では、就業者のうち、雇用者は就業者数の八四・四%、正規雇用は六一・五%、「パート・アルバイト」、派遣労働者等の非正規雇用は二三・〇%となっている(第6図参照)。「パート・アルバイト」が非正規雇用の七二・六%を占めている。
就業形態の多様化の背景として、労働者側の要因としては、中長期的には女性や高齢者が非正規雇用で就業するようになったことがあるが、最近では、特に若年層で就労に対する価値観が多様化し、非正規の雇用形態を希望する労働者が増加していること、正社員での雇用機会が減少し、やむなく非正規雇用で就職している者が増加していることが考えられる。
企業側の要因としては、非正規雇用比率の高い第三次産業の拡大のほか、最近では、個々の企業における非正規雇用の活用拡大が考えられる。また、景気に対する不透明感が高まる中で、人件費削減や雇用における柔軟性の確保や、専門的人材、即戦力・能力のある人材の確保といった目的から、非正規雇用が活用されている(第7図@、A参照)。さらに厳しい雇用情勢を反映して非自発パートも増加している。
非正社員の活用による影響について、企業は、「正社員が高度な仕事に専念できている」等の長所を挙げる一方で、「ノウハウの蓄積・伝承ができていない」等の短所を挙げている。実際に働いている正社員は、非正社員の活用により、「正社員が高度な仕事に専念できている」等の長所を挙げる一方で、「正社員の労働時間が長くなっている」等の短所を挙げている。
第2節 就業形態の多様化の動向
非正規雇用において就業形態の広がりがみられる。
「パート等労働者」のうち役職についている者の割合も上昇している(第8図参照)。従来、正社員が行っていた役割の一部を「パート」が担うようになり、パートの基幹化が進展している。契約社員、派遣労働者も増加している。
自営業主・家族従業者数は長期的に減少傾向にある。自営業主が減少している背景には、新規開業の減少及び廃業の増加があると考えられる。また、新規開業者の平均年齢が上昇しており、リストラされた中高年が新たな開業の担い手となっていると考えられる。一方、テレワーク等の就業時間や就業場所といった点でより弾力的な就業形態や、テレワークのうち非雇用の就業形態であるSOHOや、NPOといった就業形態も注目を集めている。
フリーターの人数(二〇〇二年平均)を推計したところ、二百九万人となった(第9図参照)。フリーター増加の背景としては、厳しい学卒労働市場における学卒無業者の増加や若年離職率の高まり、若年者を取り巻く経済環境が豊かになり必ずしも正社員とならなくても生活できること、若年者の就職環境が厳しく不満足な形での就職が増加していることが影響していると考えられる。
国際的にみると、我が国のパートタイム労働者比率は男性ではOECD諸国の平均とほぼ同水準、女性ではOECD諸国の平均よりやや高くなっている。
労働移動という観点からみると、現状では非正規雇用の労働需要が強いことから、全般的に非正規雇用への流入が強まっている。
第3節 賃金制度等の動向
正社員の賃金については、年齢や役職、性別の違いによる格差は縮小傾向であるが、男性大卒中高年層の中ではばらつきの拡大がみられる。この背景としては、従業員の高齢化、高学歴化が進む中で、企業が比較的賃金の高い大卒中高年層を中心に、能力や成果の評価の厳格化等により、賃金コストの抑制を図っていることがうかがえる。
企業の賃金制度をみると、三割以上の企業が、賃金の決定要素として、業績・成果部分を五年前より拡大している。また、今後も七割以上の企業が賃金制度の変更を考えているなど、成果主義化・能力主義化の動きがみられる。
正社員は成果主義の導入と評価の結果として賃金格差がつけられることを容認しているが、評価が公正に行われるか不安を感じている。成果主義的賃金が機能するためには、適切な目標の設定、評価の透明性・公正性の確保、能力開発機会の確保等により、従業員の納得性を高めることが重要である。しかしながら、業績評価制度の公開や結果の本人への通知、評価者訓練などの企業の取組は不十分である。
一九九〇年代を通じて、パートタイム労働者の割合が継続的に上昇している中で、パートタイム労働者と一般労働者との賃金格差は職種構成の違いを考慮しても拡大している。
一方、非正社員の意識をみると、自律的に仕事を進めているパートタイム労働者ほど賃金が安いことに不満を持つ者が多く、処遇が不十分であり働きに見合ったものになっていない可能性がある。このような状況で非正社員と正社員との労働条件の格差が拡大を続けると、非正社員の就業意欲、自己の能力を向上させる意欲等が減退することにつながり、今後さらに非正社員の活用を進めていく上での制約となるおそれがある。
このため、正社員との職務・責任分担の明確化を図り、職務の能力要件を明らかにした上で、非正社員についても働きに見合った適切な評価の実施と処遇の向上を図ることが必要である。
また、就業実態と意欲に応じて、計画的なOJT、研修、自己啓発支援などを適切に実施し、職務に関連した職業能力の開発を進めていくことが、今後さらに非正社員の活用を図る上で必要である。
第4節 人事制度等の動向
長期雇用慣行は、現在のところ企業、労働者双方で大方の支持を受けており、部分的な修正はあるものの今後も多くの企業が維持することが予想されるが、長期雇用慣行の下におかれる正社員は、当面、減少が見込まれる。
企業間競争の激化や経営環境の変化のスピードの速まり等に対応するため、即戦力重視の中途採用志向の高まりがみられる。さらに、通年採用や勤務地を限定した採用など多様な採用方法を導入する企業の割合が増加している。一方、労働者の側でも、就業意識の多様化が進む中で、若年層において転職率が上昇する傾向がみられる。
また、正社員の人事制度の個別化・多様化が進んでいる。昇進格差のつき始める時期が早期化する動きもみられ、今後一層選別が厳しくなることも予想される(第10図参照)。さらに、専門職制度や自己申告制度、社内公募制度等を導入する企業が、大規模企業を中心に増えている。成果主義的賃金・処遇制度の導入が進みつつある中で、人事考課制度における従業員の納得性の確保がより重要となるが、人事考課の方法・基準、考課者訓練の在り方等が課題である。
非正社員の評価・処遇に対する満足度についてみてみると、正社員への転換制度、自己啓発支援制度等がある場合は、「パートタイマー」の満足度(D.I.)は上昇する。非正社員の仕事に対する満足度を高め意欲を喚起する上で、転換制度や教育訓練関連制度の充実が、ポイントの一つとなることが示唆される。非正社員の評価・処遇を充実させていくことは、企業にとっても、非正社員の就業意欲の維持向上やその能力の有効活用を通じて、事業活動の活性化に資するものである。
第5節 労働時間等の動向
我が国の年間総実労働時間は着実に減少してきている一方で、所定外労働時間の水準は高く、年次有給休暇の取得率は上昇していない。また、近年、労働時間が分散化する傾向がみられ、短時間労働者の割合が上昇傾向にある中で、若年層・中堅層や大規模企業で労働時間が長時間の者の割合が上昇傾向にある(第11図、第12図、第13図参照)。労働者の心身の健康維持、仕事と生活のバランスがとれた働きやすい環境作りの観点はもとより、仕事の効率・創造性の観点からも、労働時間の一層の短縮が重要である。
近年、大企業ホワイトカラー層を中心に導入が進んでいる裁量労働制について、導入事業場の状況についてみると、仕事が効率的になったとする回答が相対的に多く、裁量労働制の導入の効果はみられているが、一方で、追加の仕事が多く、業務量や業務の期限の設定に無理があるという回答がみられるほか、特に専門業務型では、健康面で留意すべき点がある旨の回答が企画業務型より多くなっている。裁量労働制について、業務量や労働時間の状況の把握が適正に行われること、健康・福祉確保措置が充実されることが必要である。また、裁量労働制がうまく機能するためには、仕事の範囲や目標を明確にし評価を適正に行うことや、管理者が業務の状況を的確に把握し必要な調整を行うこと、さらに労働者自身も自己管理を十分に行うことが重要である。
第6節 人材育成の動向
企業、労働者とも人材育成を重視している。企業の能力開発支援は正社員、非正社員ともに能力開発意欲・就業意欲を高めることができる(第2表参照)。
しかしながら、企業の教育訓練の実施や従業員の自己啓発の実施は十分とはいえない。計画的なOJT、Off―JTを実施した事業所の割合は一九九〇年代後半に低下傾向にある(第14図参照)。OJTについては、企業の能力開発計画・体系を整備し、計画的に実施していくことが重要である。Off―JTについては、企業の労働費用総額に占める教育訓練費の割合は低下傾向にあり、人材育成に対する投資が不十分となっている可能性がある。自己啓発については、時間や費用の面で企業が従業員を支援していくことが今後も重要である。
また、成果主義の下では、職場が短期指向に陥り、人材育成が軽視されるおそれがある。これを防止するためには、成果目標に部下の育成や自身の能力開発の課題を設定するなど、成果主義的賃金・処遇制度を従業員の能力開発を進める仕組みとする必要がある。
離職失業者や、学卒未就職者、フリーターが増加する中で、企業外の人材育成機能(公共職業訓練機関、学校)の重要性が高まっている。
若年者では、学卒未就職者や早期離職者、フリーターなどが増加している。若年者の人材育成を促進するため、学校、企業、職業安定機関等が連携、協力して、若年者自らの職業意識の向上、企業実習も含む実践的な職業能力開発機会の充実等の課題に取り組むことが重要である。
非正社員の自らの職業能力開発についての意欲は高いものの、企業における非正社員の職業能力開発は十分に行われていないとみられる。非正社員の現在の仕事・職場における能力開発についての満足度は低くなっているが、勤め先で自己啓発支援や研修といった能力開発に関する支援を受けられる者についてみると満足度は高くなっている(第2表参照)。このことから、企業の能力開発支援は、非正社員についても就業意欲を高めることができることが分かる。
今後、企業がさらに非正社員の活用を図っていくためには、職務遂行に必要な訓練を実施するとともに、職務内容、意欲、職業能力等の就業実態に見合ったキャリア形成・処遇を実施していくことが、人材育成の重要な課題になると考えられる。
第3章 総括
働き方の多様化の背景となっている企業の行動や労働者の意識等における変化は、今後も進むものと考えられ、働き方の多様化は経済社会の変化に沿った流れである。
労働者が意欲、能力やライフスタイルの変化に応じて、就業形態にかかわらず多様な働き方を選択でき自己の能力を十分に発揮できる状況は、企業にとっても生産性の向上につながるものであり、ひいては我が国経済の活性化に資するものである。
今後の働き方の多様化のあるべき姿を実現するために、以下の取組が望まれる。
@雇用・就業機会が十分に確保されていること
A労働者の納得性のある処遇・評価が行われていること
B多様な働き方の選択肢が十分に確保されていること
C仕事と生活のバランスがとれた勤労者生活が実現されていること
D意欲のある労働者に能力開発機会が確保されていること
ICAO=国際民間航空機関
設立:一九四七年
本部:モントリオール(カナダ)
海を隔てた遠い国々にもひとっ飛び。リンドバーグが飛行機による大西洋横断に成功してから、航空機の発達と世界中に張り巡らされた航空網のおかげで、いまや飛行機での旅は当たり前のようになっています。
民間航空会社の国際線が各国に登場しはじめたのは第二次世界大戦直後のこと。航空輸送の安全性を図るため、一九四四年にシカゴ条約が結ばれ、その実際の適用にあたる期間として、国際民間航空機関(ICAO=International Civil Aviation Organization)が発足しました。
ICAOの目的は、航空機の安全運航。そのために、ICAOは国際民間航空のあらゆる分野にわたって、加盟国への協力・調整と助成を行っています。
その主な活動は、航空機の設計や性能についての国際標準を規定し、それを維持することです。それだけではなく、パイロットや乗組員、航空管制官、地上整備員などの職務、航空路図、気象通報方式、空港施設、出入国管理、税関、航空管制、航空航法、事故調査に至るまで、ICAOは安全性を図るためのきめ細かな基準を設けているのです。
また、航空保安の面でも重要な役割があります。ハイジャックや航空機の安全な運航を脅かす不法行為などを防止するため、東京条約、ハーグ条約、モントリオール条約のいわゆるハイジャック防止三条約を作成したのもICAOでした。
日本は一九五三年に加盟して以来、ICAOの活動に積極的に参画し、その役割も年々大きくなっています。五六年からは理事国となり、委員会の議長にもたびたび選出されています。
一 調査世帯の特性
平成十五年九月の調査世帯の世帯主の平均年齢は五三・〇歳(全世帯、以下同じ)、平均世帯人員は三・五人、うち就業者数は一・七人、平均持家率は七六・八%となっている。また、有効回答率は一〇〇%(有効回答世帯数は五千四十世帯)となっている。
二 消費者の意識
(1) 消費者態度指数(季節調整値)の調査結果(第1図参照)
平成十五年九月の消費者態度指数は、「物価の上がり方」に関する意識が悪化したものの、「雇用環境」、「暮らし向き」、「耐久消費財の買い時判断」及び「収入の増え方」に関する意識の四項目が改善したため、前期差二・七ポイント上昇の四〇・〇となった。
(2) 各調査項目ごとの消費者意識指標(季節調整値)の調査結果(第1表参照)
各消費者意識指標について平成十五年九月の動向を前期差でみると、「物価の上がり方」に関する意識(一・九ポイント低下)が低下したものの、「雇用環境」に関する意識(八・九ポイント上昇)、「暮らし向き」に関する意識(二・九ポイント上昇)、「耐久消費財の買い時判断」に関する意識(二・六ポイント上昇)及び「収入の増え方」に関する意識(二・四ポイント上昇)の四項目が改善を示した。
三 サービス等の支出予定(季節調整値)(第2図参照)
平成十五年十〜十二月期のサービス等の支出予定八項目の動きを「今より増やす予定と回答した世帯割合」から「今より減らす予定と回答した世帯割合」を控除した数値(サービス支出DI)でみると、以下のとおりである。
(1)高額ファッション関連支出DIは、マイナスが続いており、前期が「マイナス一〇・九%」のところ、今期は「マイナス七・六%」となっている。
(2)学習塾等補習教育費DIは、他の支出DIと比較して高い水準にあり、前期が「六・二%」のところ、今期は「六・三%」となっている。
(3)けいこ事等の月謝類DIは、他の支出DIと比較して高い水準にあり、前期が「〇・七%」のところ、今期は「二・五%」となっている。
(4)スポーツ活動費DIは、十三年七〜九月期以来マイナスが続いており、前期が「マイナス二・〇%」のところ、今期も「マイナス一・五%」となっている。
(5)コンサート等の入場料DIは、十五年一〜三月期以来マイナスとなっており、前期が「マイナス二・〇%」のところ、今期も「マイナス〇・三%」となっている。
(6)遊園地等娯楽費DIは、マイナスが続いており、前期が「マイナス一三・七%」のところ、今期も「マイナス一一・六%」となっている。
(7)レストラン等外食費DIは、マイナスが続いており、前期が「マイナス二三・九%」のところ、今期も「マイナス二〇・〇%」となっている。
(8)家事代行サービスDIは、マイナスが続いており、前期が「マイナス二・四%」のところ、今期も「マイナス二・七%」となっている。
四 旅行の実績・予定(季節調整値)
(1) 国内旅行
平成十五年七〜九月期に国内旅行(日帰り旅行を含む)をした世帯割合は、前期差で〇・三ポイント上昇し三三・五%となった。旅行をした世帯当たりの平均人数は、前期差で〇・二人減少し二・八人となった。
十五年十〜十二月期に国内旅行をする予定の世帯割合は、十五年七〜九月期計画(以下「前期計画」)差で〇・三ポイント減少し二九・八%、その平均人数は、前期計画差で横ばいの三・〇人となっている。
(2) 海外旅行
十五年七〜九月期に海外旅行をした世帯割合は、前期差で〇・九ポイント上昇し三・一%となった。その平均人数は、前期差で〇・一人増加し一・八人となった。
十五年十〜十二月期に海外旅行をする予定の世帯割合は、前期計画差で一・一ポイント上昇し三・四%、その平均人数は、前期計画差で〇・一人増加し一・九人となっている。
(参 考)
一 消費者意識指標(季節調整値)(レジャー時間、資産価値)
平成十五年九月の「レジャー時間」に関する意識は、前期差で二・一ポイント上昇し四一・四となった。
「資産価値」に関する意識は、前期差で四・九ポイント上昇し四一・七となった。
二 主要耐久消費財等の購入状況品目別購入世帯割合の動き(原数値)(第2表参照)
平成十五年七〜九月期実績は、三十品目中、十六品目の購入世帯割合が前年同期に比べて減少し、九品目が増加した。なお、五品目が横ばいとなった。
十五年十〜十二月期実績見込みは、三十品目中、十二品目の購入世帯割合が前年同期に比べて減少し、十一品目が増加している。なお、七品目が横ばいとなっている。
三 主要耐久消費財の買替え状況
平成十五年七〜九月期に買替えをした世帯について買替え前に使用していたものの平均使用年数をみると、普及率の高い電気洗たく機、電気冷蔵庫などは九〜十一年となっており、その理由については故障が多い。また、「上位品目への移行」による買替えが多いものとして携帯電話、「住居の変更」による買替えが多いものとしては、電気洗たく機があげられる。
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新年一般参賀について
◇国際的な環境問題「地球温暖化」
地球温暖化は、異常気象や動植物の減少など、すでに私たちの生活に影響をもたらしています。このまま温暖化が進むと、二一〇〇年には、地球の平均気温が最大五・八度上がることが予想されています。これにより、海面は八十八センチ上昇、さらに、洪水や土食侵食、農作物の減少、渇水や森林火災、伝染病の流行など、その影響は一層深刻です。
◇「六%削減約束」達成を目指して
二酸化炭素(CO2)の排出量を国別にみると、日本は四番目に多く二酸化炭素を排出しています。
一九九七年に採択された京都議定書では、先進国を中心に、温室効果ガスを一九九〇年(基準年)比で、二〇〇八年〜二〇一二年に一定数値を削減することが義務づけられ、そのなかで日本は六%の削減を約束しました。
平成十三年度、日本の温室効果ガスの総排出量は、一九九〇年と比べ、五・二%も上回っており、京都議定書の目標を達成するには、合計で約一一%の削減が必要です。
大気中の二酸化炭素は、産業などによる排出だけではありません。二酸化炭素の総排出量の約四分の一は、私たちがふだんの暮らしの中で使用する自動車や家電製品などから排出されています。便利な生活の裏で、私たちはたくさんのエネルギーを消費しているのです。
京都議定書の六%削減約束を達成するためには、まず、私たち一人一人が日常生活を見直し、具体的な行動をおこすことが重要です。
◇身近なところからはじめよう「エコライフ」
最近では、電気製品や自動車などに環境を配慮した製品がたくさん開発されています。このような製品をかしこく利用しながら、毎日の生活で省エネ・節電などを実践することは、身近で実践できる「エコライフ」の第一歩です。エコライフの実践は、地球の温暖化を防ぐことはもちろん、「家計の節約」というメリットもあります。
毎日の生活を見直し、地球にも人にもやさしいライフスタイルを実践しましょう。
☆すぐにできる 十のエコライフ
□テレビを一日一時間ガマン
→一日一時間でCO2約十三キログラムカット/年。約一千円/年の節約。
□お風呂の残り湯を洗濯に使う
→毎日残り湯を使えばCO2約十七キログラムカット/年。約五千円/年の節約。
□冷房の温度を一度高く、暖房を一度低く設定
→一度でCO2約三十一キログラムカット/年。約二千円/年の節約。
□電気製品の主電源を切って待機電力を節約
→待機電力を九〇%減らせばCO2約八十七キログラムカット/年。約六千円/年の節約。
□買い物袋を持ち歩いて省包装の商品を選ぶ
→トレーやラップを減らせばCO2約五十八キログラムカット/年。
□夜中のジャーの保温を止める
→毎日保温を止めればCO2約三十一キログラムカット/年。約二千円/年の節約。
□家族全員がシャワーを一日一分減らして節水
→一日一分でCO2約六十五キログラムカット/年。約四千円/年の節約。
□一日五分間のアイドリングストップ
→一日五分間でCO2約三十九キログラムカット/年。約二千円/年の節約。
□車の運転を止めてバスや自転車を利用
→週二回八キロメートル車の利用を減らせばCO2約百八十五キログラムカット/年。約八千円/年の節約。
□家族同じ部屋で団らん
→暖房と照明を二割減らせばCO2約二百四十キログラムカット/年。約一万一千円/年の節約。
参考:環境省ホームページ「みんなでできる十のコマメ」
◇地域で活躍!「地球温暖化防止活動推進員」
毎年十二月は「地球温暖化防止月間」です。この期間、全国で地球温暖化防止に関する普及啓発や各種行事が集中的に実施されます。
平成十五年十二月七日に千葉市(幕張メッセ)で開催される「地球温暖化対策推進全国大会」では、地域の住民に対して地球温暖化防止に関する情報提供や日常生活における指導や助言などを行う、各都道府県で活躍中の「地球温暖化防止活動推進員」が一堂に会し、温暖化対策の現状や最新の企業の取組状況報告、推進員間の意見交換などを行います。
また、同会場では、地球温暖化防止に顕著な功績のあった人を表彰する「平成十五年度地球温暖化防止活動大臣表彰式」も行われます。
☆関連ホームページ
■「環のくらし」(http://www.wanokurashi.ne.jp/)
(『オンライン広報通信』十二月号から転載)
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