官報資料版 平成16年1月7日




                  ▽平成十五年度公益法人に関する年次報告………………………………総 務 省

                  ▽消費者物価指数の動向(十月)…………………………………………総 務 省

                  ▽家計収支(九月)…………………………………………………………総 務 省

                  ▽本付録 平成十五年下半期(7・2〜12・24)の総目次











平成15年度


公益法人に関する年次報告


総 務 省


経緯及び構成

◇経 緯

 公益法人に関する年次報告は、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」について(平成八年九月二十日閣議決定)に基づき、公益法人の実態及びこれらの基準の実施状況等を明らかにするため、平成九年度から作成することとなったものである。

◇構 成

 この報告は、四章から構成されている。
 第1章においては、公益法人制度の概要について解説し、第2章においては、公益法人の現況を、第3章においては、公益法人と行政とのかかわりを概観している。また、第4章においては、公益信託制度についての概要と現況を記述している。

第1章 公益法人制度の概要

第1節 公益法人の定義

1 公益法人の定義
 公益法人とは、民法(明治二十九年法律第八九号)第三十四条に基づいて設立される社団法人又は財団法人のことであり、その設立には、@公益に関する事業を行うこと、A営利を目的としないこと、B主務官庁の許可を得ることが必要である。

2 社団法人と財団法人
 社団法人は、一定の目的の下に結合した人の集合体であって、団体として組織、意思等を持ち、社員と別個の社会的存在として団体の名において行動する団体であり、財団法人は、一定の目的の下に拠出され、結合されている財産の集まりであって、公益を目的として管理運営される団体である。

3 広義の公益法人等
 社団法人及び財団法人に加え、民法以外の特別法に基づいて設立される公益を目的とする法人を含めて、広義の公益法人ということがある。その例としては、学校法人(私立学校法)、社会福祉法人(社会福祉法)、宗教法人(宗教法人法)、医療法人(医療法)、更生保護法人(更生保護事業法)、特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法)等がある。これらの法人の設立に当たっては認可主義あるいは認証主義が採られており、民法に基づく公益法人の設立は許可主義が採られていることに比べて、主務官庁の裁量の幅が狭まっている。
 公益も営利も目的としない中間的な団体については、一般的な法制度として中間法人法が平成十四年四月に施行された。また、特別法の規定に基づく中間的な団体としては、例えば、労働組合(労働組合法)、信用金庫(信用金庫法)、協同組合(各種の協同組合法)、共済組合(各種の共済組合法)等がある。

第2節 公益法人に関する法制度

 公益法人は、民法第三十四条に基づき設立されるものであり、民法第一編第二章(法人)においては、公益法人の設立、公益法人の組織、定款の変更、公益法人の登記、公益法人の能力、公益法人の解散等の事項に関する規定が置かれている。

第3節 公益法人に対する指導監督等に関する制度及び取組

1 主務官庁制
 民法の規定により、公益法人の設立許可及び指導監督に関する権限は、主務官庁に与えられている。主務官庁とは、公益法人の目的・事業に関連する事務を所掌している内閣府及び十省の中央官庁を指し、その目的・事業が複数の中央官庁の所掌に関連する場合には、それらの中央官庁が共管として主務官庁となる。

2 都道府県知事等による事務の処理等
 主務官庁の権限は、政令の定めるところにより、国に所属する行政庁に委任したり、都道府県の知事その他の執行機関が当該権限に属する事務を処理することとすることができる旨民法に規定されている。この規定に基づき制定された公益法人に係る主務官庁の権限に属する事務の処理等に関する政令(平成四年政令第一六一号)により、地方支分部局の長への委任や都道府県知事等による事務処理が定められている。

3 公益法人の所管官庁
 公益法人の設立許可、指導監督等に係る事務を実際に担当している行政庁を、指導監督基準等において、「所管官庁」と称している。所管官庁は、内閣府及び各省(十一)、内閣府外局大臣庁等(三)、地方支分部局の長(百七十六)、都道府県知事(四十七)、都道府県教育委員会(四十七)の合計二百八十四となっている。

4 統一的な指導監督等を行うための仕組み
 公益法人の設立許可及び指導監督は、各主務官庁及びその権限に属する事務を処理することとされた都道府県知事等、多数の所管官庁において行われていることから、これらの所管官庁が行う事務の統一性を図る必要がある。
 このため、現在では、全閣僚により構成する「公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議」等を随時開催することにより、公益法人に対する指導監督の適切化等を統一的かつ強力に推進する体制となっている。
 統一的な指導監督等の基準としては、公益法人に対する指導監督の一層の適正化、公益法人による行政代行的行為等の透明化等を統一的かつ強力に推進するため、平成八年九月二十日に、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」が閣議決定された。各所管官庁においては、これらの基準等に沿った指導監督等が行われている。

5 公益法人の指導監督及びディスクロージャーの充実等
 一部公益法人の不祥事により、公益法人の運営の在り方やその指導監督の在り方が厳しく問われている現状を踏まえ、政府は、厳正な指導監督を更に徹底するため、平成十三年二月九日、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会において、@各府省に公益法人指導監督官を置くなど指導監督の責任体制を確立する、A立入検査について少なくとも三年に一回実施するなどの充実を図る、B一定規模以上の公益法人に対する外部監査の要請等について所要の措置を講ずる等を内容とする「公益法人の指導監督体制の充実等について」の申合せを行った。
 また、公益法人のディスクロージャーの充実による業務運営の透明化・適正化を図るとともに、「行政改革大綱」等に基づく公益法人改革の推進に資するための取組として、平成十三年八月二十八日、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会において「インターネットによる公益法人のディスクロージャーについて」の申合せを行った。現在、各府省は、本申合せに基づき、所管公益法人の一覧表をホームページ上に公開しており、さらに総務省においては、「公益法人データベース」を同省のホームページ上に公開している。
 なお、各都道府県に対しては、前記二つの申合せと同様の措置を講ずるよう要請した。

6 公益法人の会計処理
 昭和五十二年三月、公益法人会計基準が決定され、その後見直しを行い、六十年九月に現行の公益法人会計基準が決定された(六十二年四月一日から適用)。
 この会計基準は、民法第三十四条に基づいて設立されるすべての公益法人に適用されることが原則である。
 実際の公益法人会計基準の適用状況は以下のとおりである。
 ・公益法人会計基準を完全に適用している…
   一万九千三十六(七三・一%)
 ・公益法人会計基準を一部適用している…
   四千六百五十(一七・九%)
 ・企業会計基準を適用している…
   八百三十一(三・二%)
 ・その他(官庁会計等、他の会計基準)を適用している…
   一千五百二十六(五・九%)

7 営利法人等への転換に関する指針の申合せ
 平成十年三月に公表された法人制度研究会報告書において、公益法人の営利法人等への転換は現行法制度においても基本的に可能であるとされたことを受けて、同年十二月四日の公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会において、営利法人等への転換の手順、転換後の対応を盛り込んだ「公益法人の営利法人等への転換に関する指針」を申し合わせた。

8 公益法人の指導監督等に関する研修会等の実施
 多くの所管官庁において行われている設立許可及び指導監督に関する事務が、統一性を持って実施されるために、これらに関する事務に従事する職員に対する研修等を実施することにより、その周知徹底を図る必要がある。このため、総務省、各都道府県等においては、公益法人行政担当者研修会、都道府県公益法人行政主管課長会議、公益法人地方講習会、都道府県公益法人事務担当者ブロック会議等を実施している。

第4節 公益法人に関する税制

1 公益法人に対する税制
 公益法人に関する税としては、法人税、所得税、消費税等の国税、住民税、事業税、地方消費税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税等の地方税がある。これらの中には、公益法人に対し税制上の優遇措置を設けているものがある。

2 公益法人に対する寄付に関する税制
 公益法人に対する寄付金のうち、教育や科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献等の公益性の高い事業を行う公益法人に対する一定の寄付金については、寄付金控除等の特別の配慮が行われている。

第5節 公益法人に関する最近の施策

1 公益法人制度の抜本的改革
 我が国の公益法人制度は、明治二十九年の民法制定以来、百余年にわたり抜本的な見直しが行われておらず、様々な批判、指摘を受けるに至っている。
 このため、政府においては、平成十四年三月二十九日に「公益法人制度の抜本的改革に向けた取組みについて」を閣議決定し、最近の社会・経済情勢の進展を踏まえ、民間非営利活動を社会・経済システムの中で積極的に位置付けるとともに、公益法人について指摘される諸問題に適切に対処する観点から、公益法人制度について、関連制度を含め抜本的かつ体系的な見直しを行うこととした。
 前記閣議決定を受けて、内閣官房の行政改革推進事務局は、平成十四年四月から数次にわたる有識者ヒアリングを実施し、同年八月二日に「公益法人制度の抜本的改革に向けて(論点整理)」(以下「論点整理」という)を政府の行政改革推進本部に報告し、公表した。この論点整理については、広く国民から意見等を募集し、同年十月にその結果の概要を公表した。その後、更なる具体的検討を進めるため、同年十一月以降、学識経験者、法人関係者等有識者からなる「公益法人制度の抜本的改革に関する懇談会」を行政改革担当大臣の下に開催し、個別の論点について、専門的な意見の聴取を行った。
 また、与党においても、公益法人制度の抜本的改革に向けた意見集約が図られ、平成十五年五月三十日、政府に申入れが行われた。
 政府は、平成十五年六月二十七日、公益法人制度の抜本的改革の基本的枠組みやスケジュール等を明らかにした「公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針」を閣議決定した。同基本方針においては、@新たな非営利法人制度の創設、A新たな非営利法人に対する税制上の措置、B新たな非営利法人類型への移行措置について検討することとされており、今後は、内閣官房において、新たな非営利法人制度の検討を進め、十六年末までを目途に更に基本的枠組みを具体化した上で、所管省において税制上の措置に係る専門的検討を進めることとし、平成十七年度末までに法制上の措置等を講ずることを目指すとしている。

2 公益法人に対する行政の関与の在り方の改革
 公益法人に対する行政の関与の在り方については「行政改革大綱」において、官民の役割分担、規制改革、財政負担の縮減・合理化の観点から、@国から公益法人が委託等、推薦等を受けて行っている検査・認定・資格付与等の事務・事業、A国から公益法人に対して交付されている補助金・委託費等について厳しい見直しを行うこととされている。これを受け、政府部内で必要な検討・調整をした結果、平成十四年三月二十九日に「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」が閣議決定された。同実施計画は、集中改革期間内に位置付けられる平成十七年度末までの間に取り組むべき内容を示したものであり、各府省においては、同実施計画に基づく改革を着実に実行しているところである。

3 公益法人会計基準の見直しについて
 「公益法人会計基準」については、前回改正から十八年が経過し、公益法人を取り巻く状況も一変していることにかんがみ、平成十二年四月から、総理府(省庁再編後は総務省)において公益法人会計基準検討会を開催し、より現状に即した基準の在り方について検討を行った。検討の結果、十三年十二月に「公益法人会計基準の見直しに関する論点の整理(中間報告)」を公表した。
 こうした検討の結果や、「行政改革大綱」において公益法人会計基準の改善策の検討を行うこととされていること等を踏まえ、平成十四年三月、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会の下に有識者で構成する「公益法人会計基準検討会」を開催し、約一年をかけて検討を行った。
 そして平成十五年三月、「公益法人会計基準(案)」を中心とする「公益法人会計基準検討会報告書」を取りまとめ、公表した。この報告書は、@財務情報の透明化、A公益法人の受託責任の明確化、B財務諸表の簡素化を柱としている。今後は、公益法人制度の抜本的改革の動向等を踏まえつつ、適用の在り方、適用時期等について検討を行う予定としている。

4 休眠法人、所管不明法人の整理に関する取組
 正当な理由なく長期間にわたって事業を行っていない休眠法人、登記はあるが所管官庁が不明である所管不明法人は、買収等により役員に就任した者による目的外事業の実施や、税法上の優遇措置を利用した収益事業の実施など、公益法人制度の悪用を招くおそれがある。
 その対策として、休眠法人については、昭和五十四年に民法の一部改正が行われたほか、六十年には「休眠法人の整理に関する統一的基準」等が策定され、現在、各所管官庁では、この基準等に沿って所管の休眠法人の整理に努めている。国所管では平成四年十月一日現在三十七法人であったものが、十四年十月一日現在では六法人に、都道府県所管では四年十月一日現在四百五十三法人であったものが、十四年十月一日現在では二百二法人に減少している。
 一方、所管不明法人については、平成七年度に、「所管不明公益法人調査」を実施した結果、全国で約一千八百六十の所管不明法人が存在することが明らかとなり、総理府(当時)から各省庁又は都道府県に割振りを実施し、割り振られた各官庁で処理を進めている。
 平成十四年三月、総務省は、各所管官庁に対し、原則として、十四年内にすべての所管不明法人の処理を終了することを目標として、未処理法人について、処理作業を進めるための手順と目標期限を示した処理の促進についての通知を行った。
 本通知を踏まえ、平成十四年度末現在における処理状況を調査したところ、処理が終了・確定したものは六六・六%(一千二百五十一法人。国所管が八七・五%、都道府県所管が五九・三%)となっている。

5 公務員制度改革大綱に基づく措置
 平成十三年十二月二十五日に閣議決定された「公務員制度改革大綱」において、適正な再就職ルールの確立を図るため、公益法人への再就職についても、営利企業や特殊法人等への再就職とともに、公益法人の再就職についても、民間法人としての性格を踏まえつつ、所要の見直しを行うこととされた。
 前記閣議決定を受け、平成十四年三月二十九日、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会において、各府省が所管公益法人に対し指導等すべき具体的事項を定めた「公務員制度改革大綱に基づく措置について」を申し合わせた。

第2章 公益法人の現況

第1節 基礎的事項

1 公益法人の数
 平成十四年十月一日現在の公益法人数は二万六千四十三法人(国所管が七千八十六法人、都道府県所管が一万九千百三十二法人)で前年より〇・五%減少している。このうち、社団法人数が一万二千八百七十二法人、財団法人数が一万三千百七十一法人である(第1表第2表参照)。
 現在の公益性に関する基準から判断して公益法人を性格別に分類すると、@本来の公益法人二万一千九百六十三法人、A互助・共済団体等三千八百八十二法人、B営利転換候補三十七法人、Cその他百六十一法人となっている(第3表参照)。
 最近七年間における新設法人数、解散法人数は、第4表のとおりである。新設法人数については、近年のピークであった平成八年の四百三十四法人と比べると、十四年は百四十七法人と大幅に減少している。

第2節 個別事項の分析

1 役職員の状況
(1) 理事
 理事は民法上、法人を代表するとともに業務の執行機関として位置付けられており、法人運営上重要な役割を担っている。理事の総数は四十一万二千七百五十八人、一法人当たりの平均は一五・八人、メジアンは十三人となっている((参考)公益法人の全体像参照)。規模別に多い順にみると、十〜十九人が一万二千三十六法人(四六・二%)、〇〜九人が七千九百九十法人(三〇・七%)、二十〜二十九人が三千七百七十法人(一四・五%)となっており、これらを合わせると全体の約九割になる(第5表参照)。
 常勤理事(最低でも週三日以上出勤している理事)の総数は二万二百七十五人、平均は〇・八人となっている(第6表参照)。


    《メジアン(中央値、中間値)》
 変数を大きさの順に並べたとき、その中央で全変数を二群に等分する境界点の数値。
 変数が偶数個のときには中央の二つの値の平均をメジアンとする。例えば、二万六千四十三の全公益法人の資産額を大きい順に並べたときに、第一万三千二十二位の公益法人の資産額がメジアンになる。


(2) 公務員出身理事
 国所管法人の理事における国家公務員出身者(原則として本省庁課長相当職以上を経験し、退職後十年未満の間に当該法人の理事に就任し現在に至っている国家公務員出身者を指す)は、理事数の四・〇%に当たる六千二十七人(前年比百五十八人減少)で、法人数では三三・七%に当たる二千三百九十一法人(前年比八十二法人減少)となっている(第7表参照)。このうち、常勤理事への就任は、国家公務員出身理事の一八・二%に当たる一千六百三十二人(前年比二十人減少)となっている(第8表参照)。
 都道府県所管法人の理事における都道府県公務員出身者は、理事数の五・一%に当たる一万三千五百五十一人(前年比五百一人減少)で、法人数では二七・五%に当たる五千二百六十五法人(前年比百七十八法人減少)となっている(第7表参照)。このうち常勤理事への就任は、都道府県公務員出身理事の二二・九%に当たる三千百六人(前年比百二人減少)となっている(第8表参照)。
(3) 所管官庁出身理事
 所管官庁出身理事は、国所管法人で一千九百八十八法人(前年比八十五法人減少)、四千二百六十九人(前年比百三十三人減少)、都道府県所管法人で四千九百九十五法人(前年比百五十九法人減少)、一万二千六百六十一人(前年比四百十四人減少)となっている。
 また、指導監督基準においては、理事現在数に占める所管官庁出身者の割合を三分の一以下にするよう求めている(共管法人の場合は、全共管官庁出身者の合計が三分の一以下とする)が、所管官庁出身者が理事現在数の三分の一を超えている法人数は、第9表のとおり、国所管が十法人(前年比一法人増加。平成十五年九月一日現在で八法人が改善済)、都道府県所管が五百二十三法人(前年比六法人減少)となっている。
 指導監督基準決定直後の平成八年十月一日現在の法人数からの推移を示したのが第10表である。これによると、指導監督基準の決定以後、理事構成の適正化が進んだことがみてとれるが、都道府県所管法人では、まだ多数の法人が三分の一を超えている状況にある。
(4) 同一業界関係者理事
 指導監督基準においては、同一業界関係者の理事現在数に占める割合を二分の一以下にするように求めているが、同一業界関係者が理事現在数の二分の一を超えている法人数は、六千二百七十八法人(前年比三十七法人減少)となっている。
 なお、理事全員が同一業界関係者である法人数は、全体で三千六百八十二法人となっている。
(5) 監事
 監事は、法人の運営等を監査する役割を担っており、民法上は設置を任意とされているが、指導監督基準においては、監事を必ず設置するよう規定している。監事の総数は五万七千六百九十四人、一法人当たりの平均は二・二人である。規模別では、二人が一万八千九百七十五法人(七二・九%)と大半を占めている(監事制度がない法人は四十一)。五人以上という法人も二百二十二存在している。
(6) 有給常勤役員の平均年間報酬額
 指導監督基準においては、役員の報酬等について、「当該法人の資産及び収支の状況並びに民間の給与水準と比べて不当に高額に過ぎないものとすること。」と規定している。公益法人の定款又は寄附行為においては、役員は無報酬であるが、常勤の役員については有給とすることができる旨定められていることが多い。有給役員に対する年間報酬一人当たりの平均額を示したものが、第11表である。
 これによると、有給役員がいる法人の中では、四百万円以上八百万円未満の法人が三千八百六法人(有給役員がいる法人の三六・六%)、四百万円未満の法人が三千二百二十六法人(同三一・〇%)となっており、八百万円未満の法人で、有給役員がいる法人の七割弱を占めている。一方、二千万円以上の年間報酬を支払っている法人も百十五法人(前年比十一法人減少)あった。
(7) 職員
 職員は、理事の事務を助け、実際の法人の活動を担う中核的存在である。こうした職員の総数は五十六万六千四百二十二人、一法人当たりの平均が二一・七人であり、メジアンは三人である((参考)公益法人の全体像参照)。規模別には、二〜九人が一万一千九百十五法人(四五・八%)と半数近くを占め、次に多いのが十〜四十九人の五千十九法人(一九・三%)である。
 一方、職員が一人の法人が四千五百五十六法人(一七・五%)あり、また、職員がいない法人も二千六百五十法人(一〇・二%)ある。
 常勤職員の総数は四十八万六千四百二十八人であり、職員総数の八五・九%となっている。
(8) 評議員
 財団法人における評議員は、法人の重要事項について諮問を受けたり決定をしたりする役割を担うものであり、指導監督基準においては、財団法人には原則として評議員会を設け、理事の選任及び予算・決算等の重要事項の諮問を行うことを求めている。
 評議員(会)制度がある法人は一万一千六百五十五法人(四四・八%)であるが、財団法人においては一万百四十二法人となっており、八割近い財団法人で評議員(会)制度が導入されている。評議員の総数は二十九万百八十三人で、評議員(会)制度がある法人に限っての一法人当たりの平均は二四・九人、メジアンは十五人となっている((参考)公益法人の全体像参照)。

2 財務・会計の状況
(1) 年間収入額
 公益法人の収入は、大きく分けると、会費収入、財産運用収入、寄付・補助金等収入、事業収入等からなっており、年間収入額の合計は二十兆三千八百十八億円(前年比二千七十六億円増加)、平均は七億八千二百六十二万円、メジアンは、五千九百六十八万円となっている((参考)公益法人の全体像参照)。年間収入の構成状況をみると、第12表のとおり、社団・財団の双方において事業収入が大きなウエイトを占めている。
(2) 年間支出額
 公益法人の支出は、大きく分けると、事業費、管理費、固定資産取得支出等からなっており、年間支出額の合計は二十兆四千五百九十七億円(前年比三百十五億円増加)、平均は七億八千五百六十一万円、メジアンは五千九百七十五万円である((参考)公益法人の全体像参照)。年間支出の構成状況をみると、第13表のとおり、社団・財団の双方において事業費が大きなウエイトを占めている。なお、事業費については、指導監督基準において、公益法人本来の事業(付随的に行う収益を目的とする事業を除く)の規模を「可能な限り総支出額の二分の一以上」にするよう規定しているが、これを満たす法人は、一万一千三百十五法人(四三・四%)となっている。また、管理費については、指導監督基準において、管理費の割合を「可能な限り総支出額の二分の一以下」にするよう規定しているが、これを満たす法人は、二万三千三百九十五法人(八九・八%)となっている。
(3) 指導監督上の収益事業
 公益法人が健全な運営を維持し、本来の公益活動の実施に充てるために収入確保の一方法として収益事業を行うことも認められている。収益事業は、あくまで本来の公益事業に付随して行われるべき性格のものであり、指導監督基準では、収益事業の規模、業種、利益の使用等の点について定められているほか、収益事業を行う場合には事業計画書に明記し、他の事業と区分して経理を行うことを求めている。
 収益事業収入の合計は、一兆八百四十九億円(前年比二千二百九十億円減少)、平均は四千百六十六万円、メジアンは〇である。規模別にみると、第14表のとおり、収益事業を実施していない法人が二万一千六法人(八〇・七%)と最も多くなっている。一方、収益事業に支出した費用は、合計で九千百八十億円であり、単純に言えば、収入との差額一千六百七十億円の利益が出たということになる。
 なお、指導監督基準では、収益事業の支出規模は、「可能な限り総支出額の二分の一以下」とする旨規定しているが、これに適合していない法人は、六百三十法人存在している。
(4) 内部留保の状況
 指導監督基準において、いわゆる「内部留保」は、公益事業の適切かつ継続的な実施に必要な程度とすることとされており、総資産額から「@財団法人における基本財産、A公益事業を実施するために有している基金、B法人の運営に不可欠な固定資産、C将来の特定の支払いに充てる引当資産等、D負債相当額」を差し引いた額を「内部留保」と定義している。さらに、指導監督基準の運用指針においては、内部留保の水準について、「一律に定めることは困難であるが、原則として、一事業年度における事業費、管理費及び当該法人が実施する事業に不可欠な固定資産取得費(資金運用等のための支出は含めない)合計額の三〇%以下であることが望ましい。」とされている。
 内部留保の水準は、第15表のとおり、全体の六割以上を占める一万六千百二十九法人が、指導監督基準で定める三〇%以下の水準にある。

3 その他
(1) 株式保有の状況
 指導監督基準においては、運用財産の管理運用(公開市場を通じる等ポートフォリオ運用であることが明らかな場合)又は財団法人において基本財産として寄付された場合を除いて、株式を保有することを原則として禁止しており、これ以外の性格の株式を保有している場合には、平成十一年九月末までに処分することとされている。
 株式の保有状況は、第16表のとおりである。株式を保有しているのは、一千八百四十八法人(前年比十法人増加)であり、このうちポートフォリオ運用を行っているものが四百九十一法人、基本財産(財団法人のみ保有を許される)に当たるものが八百六十七法人あるが、その他の理由で保有しているものは七百十六法人となっている。
(2) 情報公開の状況
 公益法人の情報公開については、民法上規定がないこともあり、従来あまり行われてこなかった。我が国の社会経済において重要な役割を担い、相応の社会的責任を有する公益法人は自主的に情報を公開する必要があることから、指導監督基準において、「@定款又は寄附行為、A役員名簿、B(社団法人の場合)社員名簿、C事業報告書、D収支計算書、E正味財産増減計算書、F貸借対照表、G財産目録、H事業計画書、I収支予算書を主たる事務所に備えて置き、原則として、一般の閲覧に供すること。」という規定が盛り込まれ、平成十年一月以降に始まる新事業年度から実施されている。
 情報公開の状況は、第17表のとおり、公開を求められている各項目の公開率の平均は、八七・六%(前年比〇・三ポイント増加)となっている。
(3) ホームページの開設状況
 公益法人のディスクロージャーの充実による業務運営の透明化・適正化を図るとともに、「行政改革大綱」等に基づく公益法人改革の推進に資するための取組として、平成十三年八月に「インターネットによる公益法人のディスクロージャーについて」(第1章第3節参照)を申し合わせた。本申合せに基づき、各府省は所管公益法人に対し、可能な限り十三年内を目途に業務・財務等に関する資料をインターネットで公開するよう要請したところである。
 平成十四年十月一日時点の国及び都道府県公益法人におけるホームページの開設状況は、第18表のとおり、国所管法人のホームページ開設率が六一・二%、都道府県所管法人のホームページ開設率が二六・三%となっている。
(4) 立入検査の実施状況
 所管官庁は、民法上、職権で調査(立入検査)を行うことができることとなっている。過去三年間における立入検査の実施状況は、第19表のとおり、検査対象となったのは全体の約六割の法人となっている。平成十三年二月には、指導監督体制の充実のため、立入検査の定期的実施について申合せを行い、これを受けて第20表のとおり、平成十三、十四両年度には国所管法人の七五・三%に対して立入検査が実施された。

第3章 公益法人と行政とのかかわり

第1節 行政委託型法人等の状況

 公益法人の行う行政代行的行為等の透明化を図るため、政府は平成八年九月に閣議決定された「公益法人の検査等の委託等に関する基準」を踏まえ、平成九年度から、公益法人概況調査に併せて「行政代行的行為等に関する状況調べ」を実施している。
 本節では、前記調査の結果について記述している。

1 行政委託型法人等の定義
 「行政委託型法人等」とは、特定の法令等により、各官庁から制度的に事務・事業の委託等・推薦等を受けている公益法人の総称である。行政委託型法人等が実施する事務・事業は、行政の関与の形態に応じ「委託等」と「推薦等」に、また、行政委託型法人等が実施する事務・事業の性格に応じ「検査等」と「検査等以外」に分けてとらえることができる。
 「委託等」とは、事務・事業の内容等を法令等で定め、特定の法人を何らかの形で指定し、制度的にその事務を行わせているもののことであり、「推薦等」とは、法人が独自に行っている事務・事業を奨励等するために、制度的に官庁が関与(認定、公認等)を行うことである。
 「検査等」とは、あるものが有する能力、性能、技術等を調査・判定したり、また、その結果について評価・承認するような業務を意味し、「検査等以外」は、例えば研究、促進啓発、指導助言などの業務がこれに該当する。
 以上を整理すると、行政委託型法人等への行政の関与の形態は、次の四つに整理することができる。
 @検査等の委託等
 A検査等以外の委託等
 B検査等の推薦等
 C検査等以外の推薦等
 前記の@とBについては、後述のとおり、検査等の委託・推薦等を受ける場合に必要な要件を定めた「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」(平成八年九月二十日閣議決定)及び「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」(平成十四年三月二十九日閣議決定)の「公益法人に対する国の関与等を透明化・合理化するための措置」(透明化・合理化ルール)が適用される。

2 行政委託型法人等の数
 国所管の行政委託型法人等の数は、第21表のとおり五百五十七法人となっている。このうち委託等を受けているものが四百五法人、推薦等を受けているものが百九十五法人となっている。検査等、検査等以外の別でみると、委託等についてはそれぞれ二百五十四法人、百七十一法人、推薦等についてはそれぞれ百八十九法人、八法人となっており、行政委託型法人等の約七割は検査等の委託等・推薦等を受けている法人である。

3 行政委託型法人等が行う事務・事業の内容
 行政委託型法人等が各府省から委託等・推薦等を受けて行う事務・事業の内容を、その性格によって区分すると、第22表のとおり、委託等では、検査検定六十六(三〇・三%)、試験四十六(二一・一%)、講習研修三十一(一四・二%)が多く、推薦等では、講習研修六十二(五三・九%)、審査証明二十三(二〇・〇%)、試験十二(一〇・四%)が多くなっている。

4 指定条項数
 今回の調査で挙げられた行政委託型法人等への委託等・推薦等に係る指定条項数は第23表のとおり三百三十三となっている。このうち、委託等が二百十八、推薦等が百十五となっており、これを検査等、検査等以外の別に区分すると、委託等についてはそれぞれ百四十四、七十四、推薦等については百二、十三となっている。

5 都道府県から委託等・推薦等を受けている行政委託型法人等
 各都道府県が指定する行政委託型法人等の数は、合計一千二百四十五法人となっている。なお、事務・事業の内容は、施設・設備等の管理運営が最も多くなっており、国とは異なった傾向がみられる。

第2節 公益法人に対する補助金・委託費等

1 国所管の公益法人に対する補助金・委託費等
 平成十三年度決算ベースにおける各府省から国所管の公益法人に対する補助金等の交付総額は第24表のとおり約三千九百億円、交付法人数は五百四法人となっている。また、委託費の交付総額は約一千九百五十七億円、交付法人数は六百七十五法人となっている。

2 都道府県所管の公益法人に対する補助金・委託費等
 平成十三年度決算ベースにおける各都道府県から所管公益法人に対する補助金等の交付総額は、第25表のとおり約三千六百四十八億円、交付法人数は四千六百三十一法人となっている。また、委託費の総額は約五千三百八億円、委託法人数は三千百六十六法人となっている。

第3節 「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」の推進状況

1 実施計画の策定に至る経緯
 平成十二年十二月に閣議決定された「行政改革大綱」において、公益法人について、指定法人、国から補助・委託を受ける法人を中心として業務の見直し等の検討を行うこととされた。具体的には、公益法人に対する行政の関与について、官民の役割分担、規制改革、財政負担の縮減・合理化の観点から、
@国から公益法人が委託等、推薦等(以下、「委託・推薦等」という)を受けて行っている検査・検定、資格付与等の事務・事業
A国から公益法人に対して交付されている補助金・委託費等
について厳しい見直しを行い、平成十三年度末を目途に実施計画を策定した上で、十七年度末までのできる限り早い時期に実行することとされた。
 「行政改革大綱」の策定を受け、内閣官房行政改革推進事務局が中心となり関係府省と必要な検討・調整を行った結果、平成十四年三月に「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」(以下、「実施計画」という)が閣議決定された。

2 実施計画のフォローアップ
 実施計画は、国から公益法人が委託・推薦等を受けて行っている検査・認定・資格付与等の事務・事業及び国からの公益法人への補助金・委託費等(以下「補助金等」という)について、集中改革期間に位置付けられる平成十七年度末までに取り組むべき内容を示しているほか、公益法人に対する国の関与等を透明化・合理化するための措置を定めている。また、総務省は、関係府省の協力を得て、実施計画の実施状況の概要について毎年度の「公益法人に関する年次報告」等において公表するなど、本計画のフォローアップに当たることとされている。これを受け、総務省においては、平成十四年度末時点の実施計画の推進状況の調査を行ったところである。

3 委託等に係る事務・事業の改革
 実施計画に定められた措置のうち、委託等に係る事務・事業については、第26表のとおり、実施計画において措置を講ずることとした制度が八十三制度(対象法人は二百二十九法人)ある。これに加えて、新たに措置を講ずることとした制度が五制度(対象法人は五法人)あった。これらのうち、必要な措置を講じたものは六十四制度(対象法人は百八十五法人)あり、全体で七二・七%が措置済となっている。また、平成十四年度が措置期限となっていた二十一件はすべて措置済である。

4 推薦等に係る事務・事業の改革
 推薦等に係る事務・事業については、第26表のとおり、実施計画において措置を講ずることとした制度が百七制度(対象法人は二百法人)ある。これに加えて、新たに措置を講ずることとした制度が六制度(対象法人は四法人)あった。これらのうち、必要な措置を講じたものは三十六制度(対象法人は五十五法人)あり、全体で三一・九%が措置済となっている。また、平成十四年度が措置期限となっていた二件はすべて措置済である。

5 補助金等の見直し
 補助金等の見直しについては、第27表のとおり、実施計画において措置を講ずることとした項目が三百三十二件(対象法人は百八十三法人)あるほか、平成十三年度決算において新たに措置を講ずることとしたものが三十三件(対象法人は二十六法人)ある。これらのうち、必要な措置を講じたものは二百三十七件(対象法人は百三十六法人)あり、全体から例外事項(六十二件)を除いた七八・二%が措置済となっている。また、平成十四年度が措置期限となっていた二百三十六件のうち二百三十二件(九八・三%)が措置済である。

6 国の関与等を透明化・合理化するための措置
 国の関与等を透明化・合理化するための措置のうち、検査等の委託・推薦等に関する事項の推進状況をみると、事務・事業を所管する府省が講ずべき事項の措置状況については、第28表のとおり、対象となる事務・事業全二百三十二件のうち、すべての事項について必要な措置を講じている事務・事業は百五十二件(全体の六五・五%)である。また、法人が講ずべき事項の措置状況については、対象となる全二百三十二制度のうち、すべての事項について必要な措置を講じている法人は百六十七制度(全体の七二・〇%)である。
 実施計画の対象事項に対する措置の進捗状況をみると、実施計画で措置を講ずることとした三百三十二件に、平成十三年度決算において新たに措置を講ずることとした三十三件を加えた全三百六十五件のうち、すべての事項について必要な措置が講じられている項目は二百八十件(全体の七六・七%)である。
 公益法人向け補助金等全般に対する措置の推進状況をみると、第29表のとおり、対象となる全九百四十四法人のうち、すべての事項について必要な措置が講じられている法人は五百八十八法人(全体の六二・三%)である。

第4節 「公務員制度改革大綱」に基づく公益法人の役員に関する措置の推進状況

1 経緯
 平成十三年十二月二十五日に閣議決定された「公務員制度改革大綱」において、適正な再就職ルールの確立を図るため、営利企業や特殊法人等への再就職とともに、公益法人への再就職についても、民間法人としての性格を踏まえつつ見直しを行うこととされた。
 これに基づき、平成十四年三月二十九日、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会において、前記閣議決定に基づき各府省が所管公益法人に対し指導等すべき具体的事項を定めた「公務員制度改革大綱に基づく措置について」を申し合わせ、平成十四年度から公益法人に対する指導等を行うこととされた。

2 「公務員制度改革大綱に基づく措置について」の推進状況
 政府は、「公務員制度改革大綱に基づく措置について」(以下「申合せ」という)の推進状況について、平成十四年十一月一日現在で調査し、十五年三月にその結果を公表した。
(1) 退職公務員の役員就任状況に関する情報開示
 申合せ記一では、各府省は、所管公益法人に対し、役員名簿に、国家公務員出身者である役員についてはその最終官職を付記するよう指導することとされている。
 その実施状況をみると、対象法人(三千百九十九法人)のうち、二千八百三十三法人(対象法人全体の八八・六%)において退職公務員の役員就任状況を開示している。
(2) 役員の報酬・退職金規程の整備・公開
 申合せ記二では、各府省は、国から補助金等を受けている等の公益法人に対し、役員の報酬・退職金に関する規程を定めるよう指導することとされている。その実施状況をみると、対象法人(一千三百四十五法人)中、役員報酬規程の整備については一千百九十四法人(対象法人全体の八八・八%)、退職金規程の整備については一千百八十九法人(対象法人全体の八八・四%)において申合せに沿った対応が採られている。
(3) 役員の報酬・退職金の水準及び在任年齢に関する措置の状況
 申合せ記三では、各府省は、国と特に密接な関係を持つ公益法人に対し、常勤の役員の報酬・退職金等については、民間だけでなく、国家公務員の給与・退職手当の水準と比べても不当に高額に過ぎないよう指導することとされている。また、役員の在任年齢について、従来の特殊法人役員に加え、独立行政法人についても決定(「特殊法人の役員の給与・退職金等について」(平成十四年三月十五日閣議決定)により、原則六十五歳まで(ただし、理事長等は七十歳まで)とされた)がなされたことを踏まえ、適切な規程を整備するよう要請することとされた。
 まず、役員の報酬・退職金の水準をみると、役員の平均年間報酬額については、申合せ記三の対象法人(五百九法人)のうち、有給役員がいる法人は三百八十五法人(対象法人全体の七五・六%)であり、平均額が一千二百万円以上一千六百万円未満の法人が百四十二法人(対象法人全体の二七・九%)と最も多かった。役員の平均退職金額については、退職金額の算出が可能な法人(五百法人。以下「算出可能法人」という)のうち、仮に常勤役員が四年で退職した場合に支給される退職金の平均額をみると、退職金の支給のない法人が百四十九法人(算出可能法人全体の二九・八%)と最も多かった。
 次に、在任年齢に関する規程の整備状況をみると、在任年齢に関する規程を整備している法人は百五十六法人、整備を検討中の法人は二百三十五法人あり、対象法人(五百九法人)全体の七六・八%において、所管府省の要請を受けて申合せに沿った対応が採られている。

第5節 「公益法人の設立許可について」の実施状況

 平成十三年十月二日以降、十四年十月一日までの一年間に国が設立を許可した公益法人は二十四法人であった。このうち、基本財産の造成等に当たり、許認可対象企業等からの出捐がある法人が二法人、公務員経験者が常勤役員へ就任している法人は二法人(就任者は三名)であった。国又は特殊法人等から委託される事業を主たる事業とする法人はなかった。

第4章 公益信託制度について

第1節 公益信託制度の概要

(1) 公益信託の定義
 公益信託とは、信託法(大正十一年法律第六二号)に基づき、委託者が祭祀、宗教、慈善、学術、技芸その他一定の公益目的のため、受託者に対してその財産を移転し、受託者をしてその公益目的に従ってその財産を管理又は処分させ、もってその公益目的を実現しようとする制度である。
(2) 公益信託の特色
 公益法人においては、法人という新たな法主体を創設し、これが公益目的のために自律的活動を行うものであるのに対し、公益信託においては、拠出された財産(信託財産)が既存の法主体である受託者に名義上帰属し、設定された公益目的のため受託者の固有財産とは別に管理、運用されていくものであって、両者の法律的構造は異なる。また、公益法人においては、永続的又は相当長期間にわたってその存続が予定されているのに対し、公益信託においては、信託の制度上、比較的短期間のものであっても差し支えないなど、より弾力的な運用が可能である。
(3) 公益信託の仕組み
 公益信託は、委託者が受託者との間で一定の公益目的のために財産を信託する信託契約を締結することにより、又は委託者の遺言により、信託の法律関係をつくり、これについて受託者が、主務官庁の許可を受けることによって成立する。
 公益信託は、主務官庁の監督に属し、受託者は、信託行為の定めるところに従って、自己の名で信託財産を管理、処分して公益事業を営む。信託財産は、受託者に移転されるが、受託者の固有財産とは区別される。受託者は、その事務処理について善管注意義務等を負い、信託義務違反に対しては損失てん補をしなければならない。
(4) 公益信託に対する統一的な指導監督等の基準
 公益信託に対する適正な指導監督等を行うための統一的基準として、平成六年九月十三日に公益法人等指導監督連絡会議で決定された「公益信託の引受け許可審査基準等について」があり、主務官庁においては、この基準にのっとった指導監督等が行われている。
(5) 公益信託の税制
 公益信託に財産を拠出したときの税制として、個人・法人の双方につき、特定の公益信託のために支出した金銭についてのみなし寄付金制度等、各種の優遇措置がある。

第2節 公益信託の現況

(1) 信託数及び信託財産
 平成十四年十月一日現在の信託数及び信託財産は、第30表のとおり、それぞれ五百八十一件(前年比一件増加)、約七百三十二億円(前年比約八億円増加)となっている。
(2) 信託目的別信託数
 信託目的別信託数では、第31表のとおり、奨学金支給、教育振興、国際協力・国際交流促進がそれぞれ上位を占めている。
(3) 授益行為の状況
 授益行為の状況は、第32表のとおり、個人を対象としているものが、件数及び金額ともに最多となっている。




歳時記


門松

 お正月の歌に、「年のはじめのためしとて……松竹立てて門ごとに」という歌があります。“何でお正月に松茸(まつたけ)を立てるの”と思った子どももいるそうです。
 それはさておき、門松というと家の門に松と竹を立てるのが一般的と思っている方もいるようですが、東京などでは江戸時代からのしきたりで、松と竹ですが、地方では昔からの風習で、ツバキやサカキ、杉やナラなど、いろいろな木を使うようです。
 飾る場所も門の前とは限らず、家の中や神棚に飾ったりします。いずれにしても、神様の宿る “よりしろ ”と考えられているのでしょう。
 さて、その飾りを外す日ですが、これもさまざまです。地域によっては“松の内”を一月三日までといったり、七日までといったりまちまちだからです。なかには、十四日まで飾っておいて、十五日の小正月にそれを焼いて、“どんとさま”という行事をする地域もあります。
 最近の都会の集合住宅では、松飾りを立てる習慣も少なくなり、クリスマスの飾りをドアにつけたまま、お正月を迎える家も見かけます。でも、昔からの伝統文化を大切にする気持ちだけは、忘れたくないものです。




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消費者物価指数の動向


―東京都区部(十月中旬速報値)・全国(九月)―


総 務 省


◇十月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1)総合指数は平成十二年を一〇〇として九七・六となり、前月と同水準。前年同月比は〇・三%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降四年二か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2)生鮮食品を除く総合指数は九七・八となり、前月比は〇・二%の上昇。前年同月比は〇・一%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降四年一か月連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

 総合指数が前月と同水準となった内訳を寄与度でみると、被服及び履物などは上昇し、教養娯楽などは下落した。
[主な内訳]
被服及び履物
 衣料(二・二%上昇)…男児ズボンなど
教養娯楽
 教養娯楽サービス(〇・七%下落)…外国パック旅行など

三 前年同月との比較

 総合指数の前年同月比が〇・三%の下落となった内訳を寄与度でみると、食料、家具・家事用品などの下落が要因となっている。
 なお、保健医療などは上昇した。
[主な内訳]
食料
 生鮮野菜(五・二%下落)…レタスなど
家具・家事用品
 家庭用耐久財(七・五%下落)…ルームエアコンなど
保健医療
 保健医療サービス(七・八%上昇)…診療代など

◇九月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1)総合指数は平成十二年を一〇〇として九八・三となり、前月比は〇・一%の上昇。前年同月比は〇・二%の下落となった。
 なお、総合指数は、平成十一年九月以降四年一か月連続で前年同月の水準を下回っている。
(2)生鮮食品を除く総合指数は九八・二となり、前月と同水準。前年同月比は〇・一%の下落となった。
 なお、生鮮食品を除く総合指数は、平成十一年十月以降四年連続で前年同月の水準を下回っている。

二 前月からの動き

 総合指数の前月比が〇・一%の上昇となった内訳を寄与度でみると、被服及び履物、食料などの上昇が要因となっている。
 なお、教養娯楽、交通・通信などは下落した。
[主な内訳]
被服及び履物
 衣料(七・七%上昇)…婦人スラックス(冬物)など
食料
 生鮮野菜(七・八%上昇)…キャベツ、きゅうりなど
教養娯楽
 教養娯楽サービス(三・六%下落)…外国パック旅行など
交通・通信
 交通(三・二%下落)…航空運賃など

三 前年同月との比較

 総合指数の前年同月比が〇・二%の下落となった内訳を寄与度でみると、食料、教養娯楽などの下落が要因となっている。
 なお、保健医療などは上昇した。
[主な内訳]
食料
 生鮮魚介(四・四%下落)…さんまなど
教養娯楽
 教養娯楽用耐久財(一四・一%下落)…パソコン(デスクトップ型)など
保健医療
 保健医療サービス(一一・一%上昇)…診療代など




















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消費支出(全世帯)は実質一・八%の減少


―平成十五年九月分家計収支―


総 務 省


◇全世帯の家計

 前年同月比でみると、全世帯の一世帯当たりの消費支出は、平成十五年八月に実質増加となったが、九月は実質減少となった。
 内訳をみると、食料、教養娯楽などが実質減少となった。

◇勤労者世帯の家計

 前年同月比でみると、勤労者世帯の実収入は、平成十四年四月以降十八か月連続の実質減少となった。
 また、消費支出は、平成十五年八月には実質増加となったが、九月は実質減少となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は、一世帯当たり二十五万五千七百三十六円となり、前年同月に比べ、名目一・四%の減少、実質一・二%の減少となった。

◇季節調整値の推移(全世帯・勤労者世帯)

 季節調整値でみると、全世帯の消費支出は前月に比べ実質〇・二%の増加となった。
 一方、勤労者世帯の消費支出は前月に比べ実質〇・九%の減少となった。












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〔国 会 関 係〕

第百五十六回国会で審議された法律案・条約の一覧表(内閣官房)…10・ 1…(5)

〔白 書 関 係〕

中小企業白書のあらまし(中小企業庁)………………………………… 7・ 2…(1)
政府開発援助(ODA)白書のあらまし(外務省)…………………… 7・16…(1)
食料・農業・農村白書のあらまし(農林水産省)……………………… 7・23…(1)
防災白書のあらまし(内閣府)…………………………………………… 7・30…(1)
循環型社会白書のあらまし(環境省)…………………………………… 8・ 6…(1)
国民生活白書のあらまし(内閣府)……………………………………… 8・13…(1)
環境白書のあらまし(環境省)…………………………………………… 8・20…(1)
首都圏白書のあらまし(国土交通省)…………………………………… 8・27…(1)
交通安全白書のあらまし(内閣府)……………………………………… 9・ 3…(1)
科学技術白書のあらまし(文部科学省)………………………………… 9・10…(1)
観光白書のあらまし(国土交通省)……………………………………… 9・17…(1)
土地白書のあらまし(国土交通省)……………………………………… 9・24…(1)
高齢社会白書のあらまし(内閣府)………………………………………10・ 8…(1)
男女共同参画白書のあらまし(内閣府)…………………………………10・15…(1)
製造基盤白書のあらまし(経済産業省・厚生労働省・文部科学省)…10・22…(1)
障害者白書のあらまし(内閣府)…………………………………………10・29…(1)
青少年白書のあらまし(内閣府)…………………………………………11・ 5…(1)
通商白書のあらまし(経済産業省)………………………………………11・12…(1)
情報通信白書のあらまし(総務省)………………………………………11・19…(1)
公害紛争処理白書のあらまし(公害等調整委員会事務局)……………11・26…(1)
防衛白書のあらまし(防衛庁)……………………………………………12・ 3…(1)
厚生労働白書のあらまし(厚生労働省)…………………………………12・10…(1)
労働経済白書のあらまし(厚生労働省)…………………………………12・17…(1)
原子力安全白書のあらまし(原子力安全委員会)………………………12・24…(1)

内閣府関係

<宮 内 庁>
天皇誕生日一般参賀について………………………………………………12・ 3…(16)
新年一般参賀について………………………………………………………12・17…(14)

総務省関係

<総 務 省>
家計調査(貯蓄・負債編)の概況―平成十四年平均速報の結果―…… 7・ 9…(1)
平成十四年度平均家計収支………………………………………………… 7・16…(8)
平成十四年平均消費者物価地域差指数の概況…………………………… 8・13…(11)
平成十五年四〜六月期平均家計収支……………………………………… 9・24…(14)
個人企業経済調査……………………………………………………………11・26…(13)

財務省関係

<財 務 省>
平成十四年度法人企業統計年報……………………………………………10・29…(6)

<国 税 庁>
高齢者や障害者と税………………………………………………………… 9・10…(15)
公売に参加したいときは…………………………………………………… 9・10…(16)
租税史料の収集にご協力を…………………………………………………10・15…(15)
リデュース・リユース・リサイクル推進月間……………………………10・15…(16)
給与所得者の年末調整………………………………………………………11・19…(16)
所得税の予定納税(第二期分)……………………………………………11・26…(16)

文部科学省関係

平成十四年度体力・運動能力調査の結果…………………………………12・24…(9)

厚生労働省関係

平成十四年国民生活基礎調査の概況………………………………………10・15…(12)
平成十四年雇用動向調査結果の概況………………………………………10・22…(21)

〔毎月公表されるもの〕

▽月例経済報告………………………………………………………………内 閣 府
平成十五年六月報告………………………………………………………… 7・ 2…(12)
平成十五年七月報告………………………………………………………… 8・ 6…(14)
平成十五年八月報告………………………………………………………… 9・ 3…(14)
平成十五年九月報告…………………………………………………………10・ 1…(15)
平成十五年十月報告…………………………………………………………11・ 5…(15)
平成十五年十一月報告………………………………………………………12・10…(13)

▽消費者物価指数の動向……………………………………………………総 務 省
平成十五年五月の消費者物価指数………………………………………… 7・ 9…(12)
平成十五年六月の消費者物価指数………………………………………… 7・30…(14)
平成十五年七月の消費者物価指数………………………………………… 8・27…(11)
平成十五年八月の消費者物価指数…………………………………………11・12…(13)
平成十五年九月の消費者物価指数…………………………………………11・19…(12)

▽家計収支……………………………………………………………………総 務 省
平成十五年三月分…………………………………………………………… 7・ 9…(15)
平成十五年四月分…………………………………………………………… 8・20…(7)
平成十五年五月分…………………………………………………………… 9・10…(13)
平成十五年六月分…………………………………………………………… 9・17…(15)
平成十五年七月分……………………………………………………………11・ 5…(13)
平成十五年八月分……………………………………………………………12・10…(15)

▽労働力調査
(雇用・失業の動向)………………………………………………………総 務 省
平成十五年四月等結果の概要……………………………………………… 7・16…(13)
平成十五年五月結果の概要………………………………………………… 8・ 6…(11)
平成十五年六月等結果の概要……………………………………………… 9・ 3…(7)
平成十五年七月等結果の概要………………………………………………10・29…(13)
平成十五年八月結果の概要…………………………………………………12・10…(10)

▽毎月勤労統計調査
(賃金、労働時間、雇用の動き)………………………………………厚生労働省
平成十五年三月分結果速報………………………………………………… 7・ 2…(9)
平成十五年四月分結果速報………………………………………………… 7・16…(10)
平成十五年五月分結果速報………………………………………………… 8・20…(9)
平成十五年六月分結果速報………………………………………………… 9・17…(12)
平成十五年七月分結果速報…………………………………………………11・ 5…(10)
平成十五年八月分結果速報…………………………………………………12・ 3…(13)

〔四半期ごとに公表されるもの〕

▽消費動向調査………………………………………………………………内 閣 府
平成十五年六月実施調査結果……………………………………………… 9・ 3…(10)
平成十五年九月実施調査結果………………………………………………12・17…(12)

▽法人企業動向調査…………………………………………………………内 閣 府
平成十四年六月実施調査結果……………………………………………… 9・24…(7)

▽家計調査報告(総世帯・単身世帯)…………………………………総 務 省
平成十五年一〜三月期平均及び十四年度平均速報……………………… 7・ 9…(5)
平成十五年四〜六月期平均速報……………………………………………10・ 1…(1)

▽景気予測調査………………………………………………………………財 務 省
平成十五年五月調査………………………………………………………… 7・30…(8)
平成十五年八月調査…………………………………………………………11・12…(7)

▽法人企業統計季報…………………………………………………………財 務 省
平成十五年一〜三月期調査………………………………………………… 7・23…(9)
平成十五年四〜六月期調査…………………………………………………10・ 8…(8)

▽労働経済動向調査…………………………………………………………厚生労働省
平成十五年五月結果速報…………………………………………………… 8・27…(14)
平成十五年八月結果速報……………………………………………………11・19…(9)




一月の気象


 一月は「西高東低」の冬型の気圧配置になることが多く、日本付近の等圧線がほぼ南北にのびて縦じま模様になり、強い北西の季節風が吹きます。
 北西の季節風は、大陸では冷たく乾いていますが、日本海を渡る時に下層は暖かく湿った空気になり、大気の状態が不安定になります。この結果、対流が起こり積雲ができます。積雲はやがて積乱雲に発達して、日本海側に雪を降らせます。季節風が日本列島の脊梁山脈(せきりょうさんみゃく:背骨のように列島を縦断している山脈。奥羽山脈、越後山脈、飛騨山脈などの総称)を越えて太平洋側に出ると、下降気流になるので雲が消えます。このため、太平洋側の各地では、乾燥した晴れの天気になります。
 日本海側の雪の降りかたには、山間部を中心に大雪が降る「山雪型」と日本海沿岸の平野部に大雪が降る「里雪型」の二つがあります。
 山雪型の天気図では、日本付近の等圧線がほぼ南北に走っています。日本海で発生した積雪が脊梁山脈にぶつかり、上昇気流によって積乱雲に発達するとき、山間部に大雪を降らせるのです。
 里雪型の天気図では、同じ西高東低の気圧配置ですが、日本海の等圧線に袋状のたるみがみられます。これは、日本海上空に寒冷渦と呼ばれる非常に強い寒気があるためです。
 この上空の寒気のため、大気の状態が著しく不安定になり、平野部で積乱雲の発達が盛んになって大雪となります。
 また、どちらの型でも大雪が降るときには、雷を伴うことが多いです。
 これまでの大雪の事例として、昭和三十八年一月後半に非常に強い寒気が連続して流入し、日本海側の広い範囲で大雪となる日が続きました。積雪は、福井で二百十三センチメートルとなるなど北陸や山陰で記録的な値となりました。この大雪による死者・行方不明者は全国で合わせて二百三十一人に上ったほか、北陸では国鉄(現在のJR)が一週間、私鉄が一か月にわたって運休し、都市部でも孤立するところが出るなど、広い範囲で社会的な影響が出ました。
この雪害は「昭和三十八年一月豪雪」と命名され、「38(サンパチ)豪雪」とも呼ばれています。
 また、昭和五十五年十二月末から昭和五十六年一月半ばに三回の大雪に見舞われました。雪崩の多発や登山者の遭難などで死者・行方不明者は百七人、北陸本線が一週間以上運休するなど「38豪雪」に次ぐ被害が発生し、「56(ゴーロク)豪雪」と呼ばれています。
(気象庁資料から転載)



言葉の履歴書


しめ飾り

 正月の「しめ飾り」は、長い歴史をもった言葉です。「注連(しめ)」「七五三(しめ)」「標(しめ)」の漢字が当てられますが、「しめ」はもともと「占める」という意味。注連縄(しめなわ)は、神が占める清浄な区域を示し、不浄の侵入を防ぐ縄張りの標識だったのです。
 古代の日本人は、新年には年神(としがみ)が訪れてきて人々の暮らしを見守り、一年の幸せを約束してくれると信じていました。門口の注連飾りは年神が滞在中という目印だったわけです。
 「七五三縄」と書くのは、左ねじりの縄にわらを三本、五本、七本の順に垂らし、その間に白紙を細長く切った「しで」(四手・垂・幣)を下げたところからきています。
 また、「注連」は、中国の注連(ちゆうれん)の文字を用いたもの。死んだ人の出棺後、家の入り口に清めの水を注いだ縄を連ねて張ったのが注連で、再び死者の霊魂が入らないようにするための習俗でした。
 中国の「注連」と日本の「注連」には、両国の民族の共通点と相違点がうかがえるといえそうです。






    <1月14日号の主な予定>

 ▽警察白書のあらまし………警 察 庁 

 ▽労働力調査(九月)………総 務 省 




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