官報資料版 平成16年3月17日




                  ▽全国の公害苦情の実態…………………………………………公害等調整委員会事務局

                  ▽平成十五年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況………厚生労働省

                  ▽毎月勤労統計調査(十一月)…………………………………厚生労働省

                  ▽海外勤務者と税…………………………………………………国 税 庁











全国の公害苦情の実態


―平成十四年度公害苦情調査結果報告書の概要―


公害等調整委員会事務局


 公害等調整委員会では、公害苦情の動向を把握するため、毎年度、全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口に寄せられた公害苦情の受付状況や処理状況等について調査を実施している。このたび、平成十四年度の調査結果を「平成十四年度公害苦情調査結果報告書」として取りまとめたので、その概要を紹介する。

第1 公害苦情の受付状況

1 全国の公害苦情件数

<全国の公害苦情は過去最高の九万六千六百十三件、前年度に比べて一・九%の増加。二年連続の九万件台>
 平成十四年度に全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口で受け付けた公害苦情(他の機関等から移送されたものを含む)の件数は九万六千六百十三件で、前年度に比べて一千八百四十六件(一・九%)増加した(第1図参照)。
 近年の公害苦情件数の推移をみると、平成八年度以降は十一年度に減少したのを除き増加が続いており、十四年度は昭和四十一年度の調査開始以来、最も多くなっている。

2 公害の種類別苦情件数

<典型七公害の苦情件数は六万六千七百二十七件で、前年度に比べ一・三%の減少>第1図参照
 平成十四年度の公害苦情(九万六千六百十三件)のうち、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下及び悪臭のいわゆる「典型七公害」の苦情件数は六万六千七百二十七件(全公害苦情件数の六九・一%)で、前年度に比べて九百五件(一・三%)減少した。
 また、廃棄物の不法投棄、動物の死骸放置、害虫等の発生、火災の危険、ふん・尿の害、電波障害、土砂の散乱、土砂の流出、光害、日照、通風障害など「典型七公害以外」の苦情件数は二万九千八百八十六件(全公害苦情件数の三〇・九%)で、前年度に比べて二千七百五十一件(一〇・一%)増加した。

(1) 典型七公害の種類別苦情件数

<典型七公害の苦情件数では大気汚染が最も多く、全体の四割以上を占める。騒音のみが増加>第2図第1表参照
 平成十四年度の典型七公害の苦情件数を種類別にみると、大気汚染が二万七千四百二十九件(典型七公害苦情件数の四一・一%)と最も多く、次いで、騒音が一万四千八百三十四件(同二二・二%)、悪臭が一万三千五百八十九件(同二〇・四%)、水質汚濁が八千八百六十三件(同一三・三%)、振動が一千七百二十二件(同二・六%)、土壌汚染が二百七十一件(同〇・四%)、地盤沈下が十九件(同〇・〇%)となっている。
 また、前年度に比べると、大気汚染(三・六%減)、水質汚濁(一・三%減)、土壌汚染(八・一%減)、振動(二・〇%減)、地盤沈下(一三・六%減)及び悪臭(三・〇%減)は減少し、騒音(五・一%増)のみが増加した。
 典型七公害の最近十年間の苦情件数の推移をみると、平成八年度までは四万件台で推移していたが、九年度から増加傾向を示し、十年度には昭和五十三年度以来の六万件台となった。平成十一年度には四年ぶりに減少した後、十二年度からは再び六万件台となり、十四年度は六万六千七百二十七件で依然として六万件を超えているが、十三年度と比較して一・三%減少した。

(2) 典型七公害以外の種類別苦情件数

<廃棄物の不法投棄が増加し、前年度と同率で全体の四五・七%を占める>
 平成十四年度の典型七公害以外の苦情件数を種類別にみると、廃棄物の不法投棄が一万三千六百四十九件(典型七公害以外の苦情件数の四五・七%)と最も多く、次いで、動物の死骸放置が三千四百二十四件(同一一・五%)、害虫等の発生が一千九百九十九件(同六・七%)、火災の危険が八百五十六件(同二・九%)、ふん・尿の害が六百四件(同二・〇%)、電波障害が百八十件(同〇・六%)などとなっている。
 前年度と比べると、火災の危険のほか苦情件数の比較的少ない土砂の散乱、土砂の流出が減少した以外は増加しており、近年増加が著しく苦情件数が最も多い廃棄物の不法投棄が一〇・一%増となっている。
 廃棄物の不法投棄に対する苦情件数をみると、一般廃棄物が一万八十七件(廃棄物の不法投棄に対する苦情件数の七三・九%)、産業廃棄物が三千五百六十二件(同二六・一%)となっており、前年度に比べると、共に増加している。
 一般廃棄物について、廃棄物の種類別にみると、粗大ごみが四千八百二十二件(廃棄物の不法投棄に対する苦情件数の三五・三%)と最も多く、次いで、焼却不適物が一千六百四十三件(同一二・〇%)、燃焼物が一千三百八十二件(同一〇・一%)、生ごみが一千五十八件(同七・八%)などとなっており、焼却不適物以外は増加となっている。
 また、産業廃棄物では、建設廃材が一千八百八件(同一三・二%)と最も多く、次いで、金属くずが二百二十九件(同一・七%)、紙・木・繊維・ゴムのくずが百五十九件(同一・二%)などとなっている(第2表参照)。

3 公害の発生源別苦情件数

<公害の発生源は建設業、製造業、家庭生活の順に多く、道路の増加が大きい>第3図第3表参照
 平成十四年度の公害苦情件数を発生源別にみると、建設業が一万五千七百八十七件(全公害苦情件数の一六・三%)と最も多く、次いで、製造業が一万二千四百六十二件(同一二・九%)、家庭生活が一万二千百十五件(同一二・五%)、空地が八千五百八十二件(同八・九%)、サービス業が八千百七十八件(同八・五%)、道路が八千百三十一件(同八・四%)、農業が七千百九十件(同七・四%)、「卸売・小売業、飲食店」が五千五百六十一件(同五・八%)などとなっている。
 前年度に比べると、主な産業では減少傾向であったが、道路、家庭生活、空地、農業の発生源での増加が目立ち、特に道路(一千七百六十九件、二七・八%増)の増加が大きい。
 また、公害の発生源別苦情件数の推移をみると、平成九年度まで最も件数の多かった製造業の件数が横ばいであるのに対し建設業の増加傾向が続いていたため、十年度以降は建設業の件数が最も多くなっているが、十四年度は前年度に比べ減少した。また、比較的件数が多い発生源の中では、家庭生活と道路の増加傾向が続いている。

4 被害の発生地域別苦情件数

<被害の約四割が住居地域内>
 平成十四年度の苦情件数を被害の発生地域別にみると、都市計画法による都市計画区域が八万四千五百三十件(全公害苦情件数の八七・五%)、都市計画区域以外の地域が一万二千八十三件(同一二・五%)となっている。
 さらに、都市計画区域の苦情件数を用途地域別にみると、住居地域(第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域及び準住居地域をいう)が三万八千八百十件(同四〇・二%)と最も多く、次いで、市街化調整区域が一万七千六百二十三件(同一八・二%)、その他の地域(市街化調整地域を除く用途地域の指定がない区域をいう)が九千百六十件(同九・五%)、準工業地域が七千五百八十一件(同七・八%)、商業地域が四千百三十四件(同四・三%)、工業・工業専用地域が四千五十一件(同四・二%)、近隣商業地域が三千百七十一件(同三・三%)となっている。

5 被害の種類別苦情件数

<被害の七割強が感覚的・心理的被害>
 平成十四年度の苦情件数を被害の種類別にみると、感覚的・心理的被害が七万三百五十九件(全公害苦情件数の七二・八%)と最も多く、次いで、健康被害が五千八百五十七件(同六・一%)、財産被害が三千二百九十五件(同三・四%)、動・植物被害が一千七百二十五件(同一・八%)などとなっている。

6 都道府県別の苦情件数

(1) 都道府県別苦情件数

<二十六府県で苦情件数が増加>
 平成十四年度の苦情件数を都道府県別にみると、埼玉県が九千二百四十五件と最も多く、次いで、東京都が八千三百二十六件、愛知県が七千二百五十九件、福岡県が五千五百二十三件、大阪府が五千七十五件、千葉県が五千五件、神奈川県が三千九百十六件、茨城県が三千九百十件などとなっている。一方、苦情件数の少ない都道府県は、鳥取県が二百八十件、富山県が三百五十九件、秋田県が三百九十七件、島根県が四百六十件などとなっている(第4図参照)。
 前年度に比べると、熊本県(三六・八%増)、茨城県(三一・〇%増)など、二十六府県では増加した。一方、福島県(二五・二%減)、島根県(二〇・六%減)、山梨県及び徳島県(共に一八・一%減)などの二十一都道県で減少した。
 また、人口十万人当たりの苦情件数をみると、全国平均では七五・八件(前年度に比べて一・四件の増加)となった。都道府県別にみると、群馬県が一四三・五件と最も多く、次いで、埼玉県が一三二・一件、茨城県が一三〇・八件、和歌山県が一一六・六件などとなっており、これらの県を含む九県が百件以上となっている。一方、件数が少ない都道府県は、富山県が三二・一件で最も少なく、次いで、福島県が三二・五件、秋田県が三三・八件、北海道が三六・七件などとなっており、これらの県を含む七道県では五十件以下となっている。

(2) 典型七公害の都道府県別苦情件数

<典型七公害の苦情件数を人口十万人当たりでみると、群馬県、埼玉県、愛知県、福岡県の順に多い>
 平成十四年度の典型七公害の苦情件数を都道府県別にみると、東京都が七千百四十件と最も多く、次いで、埼玉県が五千四百四十八件、愛知県が五千四百件、大阪府が四千五百二十九件、神奈川県が三千七百十二件、福岡県が三千五百二十七件となっている。一方、苦情件数の少ない都道府県は、鳥取県が二百十九件、島根県が二百五十九件、富山県が二百七十五件、秋田県が二百八十一件などとなっており、これらの県を含む十県では苦情件数が五百件未満となっている。
 また、前年度と比べると、二十五都道府県で減少し、二十二府県で増加した。
 次に、人口十万人当たりの典型七公害の苦情件数をみると、全国平均が五二・四件(前年度に比べて〇・七件の減少)となっており、都道府県別にみると、群馬県が八一・六件、埼玉県が七七・八件、愛知県が七五・八件、福岡県が六九・九件、山梨県が六九・二件などとなっている。一方、件数の少ない都道府県では、熊本県が二三・六件、秋田県が二三・九件、北海道が二四・四件、富山県が二四・六件などとなっている(第5図参照)。

7 複合型公害の苦情件数

<複合型公害は公害苦情全体の一三・三%>
 公害苦情には、公害の種類が一種類のもの(単独型公害)と、二種類以上のもの(複合型公害)がある(平成六年度の調査から、複合型公害については主な公害以外に関連する公害の種類を最大四つまで調査している)。
 平成十四年度の苦情件数について単独型公害か複合型公害かをみると、単独型公害が八万三千七百四十一件(全公害苦情件数の八六・七%)、複合型公害が一万二千八百七十二件(同一三・三%)となっている。
 また、複合型公害において、主な公害と関連公害を合わせた延べ公害種類の件数は二万六千九百二十四件となっており、複合型公害は平均二・一種類の公害となっている。

第2 公害苦情の処理状況

1 公害苦情の取扱件数

<全国の公害苦情の総取扱件数は十万五千百十件で、うち直接処理した苦情は九万一千七百八十四件>第4表参照
 平成十四年度に全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口で取り扱った公害苦情件数は十万五千百十件である。その内訳は、十四年度に新規に受け付けた苦情件数が九万六千六百十三件、前年度から繰り越された苦情件数が八千四百九十七件となっている。
 一方、苦情の処理状況をみると、平成十四年度に公害苦情相談窓口で直接処理(当該地方公共団体の他の部局で処理したものを含む)した苦情件数(以下、「直接処理件数」という)が九万一千七百八十四件、他の機関等へ移送した苦情件数が二千百七十三件、翌年度へ繰り越した苦情件数が八千六百五十三件、その他の苦情件数が二千五百件となっている。
 また、総苦情件数(他の機関等へ移送した苦情件数を除く)に占める直接処理件数の割合(以下、「処理率」という)をみると、公害苦情全体では八九・二%、典型七公害は八七・三%、典型七公害以外は九三・八%となっている。さらに、典型七公害について公害の種類別に処理率をみると、大気汚染が八九・九%と最も高く、次いで、水質汚濁が八八・九%、悪臭が八五・九%、騒音が八三・八%、振動が八三・三%、土壌汚染が七五・五%、地盤沈下が七二・七%となっている。

2 苦情の処理に要した期間別処理件数

<苦情の七割強が苦情申立てから一か月以内に処理>第5表参照
 平成十四年度の典型七公害の苦情のうち、直接処理した苦情件数について苦情の申立てから処理までに要した期間別にみると、「一週間以内」が四万一千二百七十四件(典型七公害の直接処理件数の六四・四%)と最も多く、次いで「一週間超一か月以内」が六千三百十一件(同九・九%)、「三か月超六か月以内」が五千八百四十八件(同九・一%)、「一か月超三か月以内」が四千四百八十八件(同七・〇%)、「六か月超一年以内」が三千二百八十五件(同五・一%)、「一年超」が一千九百七十四件(同三・一%)となっている。
 「一週間以内」と「一か月以内」を合わせると四万七千五百八十五件(同七四・三%)となり、典型七公害の直接処理件数の七割強が苦情申立てから一か月以内に処理されている。

3 被害の発生態様別処理件数

<苦情の四割弱は一時的・一過性の被害>
 平成十四年度の典型七公害の苦情のうち、直接処理した苦情件数について被害の発生態様別にみると、一時的に行われる野焼き等による「一時的・一過性現象」が二万五千八十九件(典型七公害の直接処理件数の三九・二%)と最も多く、次いで、工場操業などに伴いほとんど常時発生する「経常的な発生」が一万七千八百八十二件(同二七・九%)、農薬散布のように季節的又は一日以上空けて繰り返し発生する「季節的・周期的発生」が八千九百四十八件(同一四・〇%)、建築・土木工事などに伴い一定の期間発生する「一定期間の常時発生」が六千三百四十九件(同九・九%)などとなっている。

4 被害戸数別処理件数

<被害戸数一戸が四割強>
 平成十四年度の典型七公害の苦情のうち、直接処理した苦情件数について被害戸数別にみると、「一戸」が二万七千九百六十七件(典型七公害の直接処理件数の四三・七%)と最も多く、次いで、「二〜九戸」が一万一千六百十一件(同一八・一%)、「十戸以上」が二千四百八十六件(同三・九%)となっている。
 公害の種類別にみると、騒音、振動及び地盤沈下はそれぞれ被害戸数一戸が五割以上を占めている。

5 苦情の処理のために行政当局が採った措置別処理件数

<発生源側に対する行政指導が七四・一%>
 平成十四年度の典型七公害の苦情のうち、直接処理した苦情件数について苦情の処理のために行政当局が採った措置(特に力を入れた手段)別にみると、「発生源側に対する行政指導」が四万七千五百六件(典型七公害の直接処理件数の七四・一%)と最も多く、次いで、「原因の調査」が八千三百二十五件(同一三・〇%)、「申立人に対する説得」が一千八百六十一件(同二・九%)、「当事者間の話合い」が一千七百十六件(同二・七%)などとなっている。
 また、行政当局により文書による勧告・命令等がなされたかどうかについてみると、「文書による勧告・命令等がなされた」が三千十二件(典型七公害の直接処理件数の四・七%)、「なされなかった」が六万一千五十七件(同九五・三%)となっている。

6 防止対策の実施状況

 平成十四年度の典型七公害の苦情のうち、直接処理した苦情件数について、苦情の処理のための防止対策の有無、防止対策を講じたものについてはその内容及び対策の実施までに要した期間をみると、次のとおりとなっている。

(1) 防止対策実施の有無等

<約七割が防止対策を実施>
 苦情の処理のための防止対策の有無をみると、「防止対策を講じた」が四万三千六百七十件(典型七公害の直接処理件数の六八・二%)、「講じなかった」が一万一千三百六十一件(同一七・七%)となっている。
 また、「防止対策を講じた」場合の防止対策を講じた者についてみると、発生源者が三万九千八百二十五件(同六二・二%)、行政機関が三千六十九件(同四・八%)、被害者が二百二十九件(同〇・四%)などとなっている。

(2) 防止対策の内容

<「作業方法、使用方法の改善」が最も多く、防止対策を講じた苦情件数の四一%>第6表参照
 苦情の処理のために講じた防止対策(調査票への回答は三つまでの複数回答)の延べ件数は四万七千二百九十五件となっており、防止対策を講じた苦情件数一件当たり平均一・〇八種類の防止対策が講じられている。
 また、実施した防止対策の内容別にみると、「作業方法、使用方法の改善」が一万八千二十八件(防止対策を講じた苦情件数の四一・三%)と最も多く、次いで、「営業・操業停止、行為の中止」が一万三千十八件(同二九・八%)、「原因物質の撤去、回収、除去」が五千三百五十九件(同一二・三%)、「機械、施設の改善」が三千八百九十五件(同八・九%)などとなっている。

(3) 防止対策に要した期間

<七割が一週間以内に防止対策を実施>
 平成十四年度の典型七公害の直接処理した苦情のうち防止対策が講じられた苦情について、防止対策が決まってから実施されるまでに要した期間をみると、「一日」が二万百八十四件(防止対策を講じた件数の四六・二%)と最も多く、次いで、「一日超一週間以内」が一万四百九件(同二三・八%)、「一週間超一か月以内」が四千五百三十二件(同一〇・四%)、「一か月超三か月以内」が二千五百三十四件(同五・八%)、「三か月超六か月以内」が一千二百四十九件(同二・九%)、「六か月超一年以内」が七百九件(同一・六%)、「一年超」が四百九十九件(同一・一%)となっている。
 「一日」と「一日超一週間以内」を合わせると三万五百九十三件(同七〇・一%)となり、防止対策を講じた苦情件数の七割の苦情が、防止対策が決まってから一週間以内に実施されている。

7 苦情申立人の処理結果に対する満足度

<苦情申立人の約半数が処理結果に満足>
 平成十四年度の典型七公害の苦情のうち、直接処理した苦情件数について苦情の処理結果に対する申立人の満足度別にみると、「一応満足」が一万九千三百九件(典型七公害の直接処理件数の三〇・一%)と最も多く、次いで「満足」が一万百三十件(同一五・八%)、「あきらめ」が二千九百四十六件(同四・六%)、「不満」が二千百三十二件(同三・三%)となっている。

8 法令との関係別処理件数

<典型七公害の公害規制法令違反は一九・六%>
 平成十四年度の典型七公害の苦情のうち、直接処理した苦情件数について苦情の対象となった事業活動等の法令との関係別にみると、次のとおりである。
 公害規制法令との関係では、「法令に違反していた」が一万二千五百五十一件(典型七公害の直接処理件数の一九・六%)で、「法令に違反していなかった」が三万二千五百八十八件(同五〇・九%)となっている。
 また、公害規制法令以外の法令との関係では、「法令に違反していた」が九千八十三件(同一四・二%)、「法令に違反していなかった」が三万一千百七件(同四八・六%)となっている。

第3 公害苦情処理事務担当の職員数

<公害苦情処理事務担当の職員数は全国で一万三千二百十六人>
 平成十四年度末現在で、全国の地方公共団体で公害苦情の処理を担当している職員数は一万三千二百十六人となっている。職員数の内訳をみると、公害紛争処理法(昭和四十五年法律第一〇八号)第四十九条第二項の規定に基づき任命又は指名を受けた公害苦情相談員が二千五百二十二人(公害苦情処理事務担当職員総数の一九・一%)、その他の職員が一万六百九十四人(同八〇・九%)となっている。




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平成15年


賃金構造基本統計調査(初任給)の概況


厚生労働省


T 調査の概要

 この調査は、指定統計であり、主要産業に雇用される常用労働者について、その賃金の実態を労働者の種類、職種、性、年齢、学歴、勤続年数及び経験年数別に明らかにすることを目的とし、五人以上の常用労働者を雇用する民営事業所及び十人以上の常用労働者を雇用する公営事業所から都道府県、産業及び事業所規模別に一定の方法で約七万一千事業所を抽出し、初任給については、そのうち十人以上の常用労働者を雇用する民営事業所(約五万七千事業所)を対象とした。
 本概況は、このうち有効回答を得た事業所(約四万二千事業所)の中で新規学卒者(平成十五年三月に中学、高校、高専・短大又は大学を卒業した者)を採用した事業所(約一万三千事業所)の結果をとりまとめた。
 (注) 本調査の初任給は、通常の勤務をした新規学卒者の所定内給与額(所定内労働時間に対して支払われる賃金であって、基本給のほか諸手当が含まれているが、超過労働給与額は含まれていない。)から通勤手当を除いたものであり、平成十五年六月末現在で初任給額として確定したものである。
 なお、新規学卒者で平成十五年六月末現在実際に雇用されていた者のうち、本年度の初任給額が確定した割合は九五・八%であった。未確定の四・二%については、今回の集計対象外となっている。

U 結果の概要

1 学歴別にみた初任給

 男女計は大卒十九万八千百円(対前年増減率一・五%)、高専・短大卒十六万五千三百円(同マイナス〇・四%)、高卒十五万二千九百円(同マイナス〇・七%)となっており、大卒が前年を上回り、高専・短大卒、高卒ともに前年を下回っている。
 これを男女別にみると、男は大卒二十万千三百円(同一・四%)、高専・短大卒十六万九千八百円(同〇・二%)、高卒十五万七千五百円(同〇・〇%)、女は大卒十九万二千五百円(同二・〇%)、高専・短大卒十六万三千五百円(同マイナス〇・五%)、高卒十四万七千円(同マイナス一・二%)となっており、大卒では、男女とも対前年増減率がこの十年間で最も高い伸びとなり、男は初めて二十万円台になっている。高専・短大卒及び高卒では、男は概ね前年と同水準であり、女は前年を下回っている(第1表第2表第1図参照)。

2 企業規模別にみた初任給

 企業規模別の初任給を学歴別にみると、男女計は、大卒では中企業(常用労働者百〜九百九十九人)が二十万円台、大企業(同千人以上)と小企業(同十〜九十九人)が十九万円台と中企業が高く、高専・短大卒では各規模とも十六万円台、高卒では各規模とも十五万円台となっている。
 これを男女別にみると、大卒では、男は大企業と中企業が二十万円台、小企業が十九万円台、女は大企業と中企業が十九万円台、小企業が十八万円台、高専・短大卒では、男は大企業が十七万円台、中企業と小企業が十六万円台、女は各規模とも十六万円台、高卒では、男は各規模とも十五万円台、女は大企業が十五万円台、中企業と小企業が十四万円台となっている。
 初任給の企業規模間格差(大企業=一〇〇)をみると、男は中企業が九八〜一〇一、小企業が九七〜一〇〇と、各学歴とも大きな格差がみられない。女は中企業が九七〜一〇一、小企業が九四〜九九で、高卒の小企業が九四と最も格差が大きい。また、大卒では、男女とも中企業が一〇一で、大企業を上回っている(第3表参照)。

3 産業別にみた初任給

 主要産業別の初任給を学歴別にみると、大卒では、男女計、男女とも卸売・小売業,飲食店がそれぞれ二十万四千百円、二十万五千九百円、二十万七百円と高く、金融・保険業がそれぞれ十八万三千四百円、十八万九千二百円、十七万七千三百円と低い。
 高専・短大卒では、男女計は建設業が十八万四百円と高く、金融・保険業が十五万千三百円と低い。
 高卒では、男女計は建設業が十六万三百円と高く、サービス業が十四万七千九百円と低い。男女別には、男は建設業が十六万円台、他の産業が十五万円台、女は各産業とも十四万円台で、産業間格差が小さい(第4表参照)。

4 初任給の分布

 初任給の分布を男女別にみると、大卒では、男は十九〜二十万円台に五一・四%と集中し、女は十七万円台に二〇・四%、二十万円台に二三・一%と二つの階級に山がみられる。
 高専・短大卒では、男は十六〜十七万円台で五一・六%、女は十五〜十六万円台で四九・七%、高卒では、男は十五〜十六万円台で五七・〇%、女は十四〜十五万円台で五五・五%となっている。
 全体的にみると、男より女のほうがやや散らばりが大きい(第5表参照)。




知っておきたい国際・外交キーワード


ICPO(Interpol)=国際刑事警察機構

設立:一九二三年(五六年改称)
本部:リヨン(フランス)

 インターポール(Interpol)の名でも知られるICPO(International Criminal Police Organization=国際刑事警察機構)。それは、犯罪捜査における国際的な捜査協力を目的とした、警察機関唯一の世界的な組織です。一九二三年に設立されたICPC(International Criminal Police Commission)が前身となっており、五六年に現在の名称に改められました。
 国際化が進むなか、殺人や誘拐、詐欺、密輸、テロなどのあらゆる犯罪捜査も、国境を超えた捜査活動が必要なケースが増えています。ICPOは、そうした犯罪捜査や犯人逮捕に携わる各国の警察の連携を図り、各国間の情報の伝達ルートの役割を果たします。
 ICPOの主な活動は、国外逃亡被疑者や行方不明者、盗難美術品などの発見、身元不明死体の身元確認などに努める「国際手配制度」や、国際犯罪および国際犯罪者に関する情報のデータベース化とフィードバックなど。
 運営は、総会および執行委員会の二つの非常設機関と、事務総局および加盟各国に設置された国家中央事務局(NCB)の二つの常設機関により行われています。NCBは自国の警察と事務総局や加盟各国の警察とをつなぐ窓口機関にあたるもので、日本では警察庁が指定されています。
 日本は一九五二年に加盟し、現在、アジア地域の地域局として、また、アジア地域の途上国に対して通信網の整備や技術の提供などを行うなどの貢献をしています。



歳時記


ネコヤナギ

 早春のまだ川風も冷たい時期、川べりにネコヤナギがかれんな花をつけているのを見つけることがあります。ネコヤナギは、春に葉が出る前に花をつけます。都会生活のなかでは、こうした風情に春を感じる機会も少なくなりました。
 ネコヤナギの花は、ネコの尾に似た銀色の花が美しいので、花材としても喜ばれ、花屋さんの店先でも見かけます。ネコの尾のような形の花は花穂で、たくさんの花がそこに群がっているのです。この木は雌雄別株で、雄花にはおしべだけ、雌花にはめしべだけしかありません。
 ネコヤナギは、またの名をエノコロヤナギとかカワヤナギともいい、主として北半球の温帯から亜寒帯まで広く分布しています。日本全国の、ほとんどの地域でみることができます。
 ヤナギというと、「柳腰」とか「柳に風と受け流す」などの言葉があるように、枝の垂れ下がった木を連想しますが、ネコヤナギのように下垂しないものもヤナギ科の仲間です。中国では下垂するものを「柳」、それ以外を「楊」と区別しています。
 それにしても、日本は四季おりおりの区別がはっきりしていて、それぞれの季節の風情が楽しめるので幸せです。ところが最近、地球環境の変化で異常気象が起こっているようでちょっと気がかりです。




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賃金、労働時間、雇用の動き


毎月勤労統計調査 平成十五年十一月分結果速報


厚生労働省


 「毎月勤労統計調査」平成十五年十一月分結果の主な特徴点は次のとおりである。

◇賃金の動き

 十一月の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は二十九万千八百二十五円、前年同月比〇・五%減であった。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十八万五百三円、前年同月比〇・三%減であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十六万八百十五円、前年同月比〇・六%減、所定外給与は一万九千六百八十八円、前年同月比は四・二%増であった。
 また、特別に支払われた給与は一万千三百二十二円、前年同月比は七・二%減であった。
 実質賃金は、〇・一%増であった。
 きまって支給する給与の動きを産業別に前年同月比によってみると、伸びの高い順に製造業及び金融・保険業一・〇%増、卸売・小売業,飲食店及び不動産業〇・五%増、建設業前年同月と同水準、電気・ガス・熱供給・水道業〇・七%減、運輸・通信業〇・八%減、サービス業一・七%減、鉱業六・五%減であった。

◇労働時間の動き

 十一月の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は百五十四・三時間、前年同月比一・九%減であった。
 総実労働時間のうち、所定内労働時間は百四十三・八時間、前年同月比二・三%減、所定外労働時間は十・五時間、前年同月比四・〇%増、所定外労働時間の季節調整値の前月比は〇・六%減であった。
 製造業の所定外労働時間は十六・二時間、前年同月比八・七%増、季節調整値の前月比は一・五%増であった。

◇雇用の動き

 十一月の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で〇・二%減、常用労働者のうち一般労働者では〇・七%減、パートタイム労働者では〇・八%増であった。
 常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、前年同月を上回ったものは鉱業二・八%増、サービス業一・六%増、運輸・通信業及び不動産業〇・一%増であった。前年同月を下回ったものは卸売・小売業,飲食店〇・八%減、建設業一・三%減、製造業一・八%減、金融・保険業二・七%減、電気・ガス・熱供給・水道業四・二%減であった。
 主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者二・一%減、パートタイム労働者〇・六%減、卸売・小売業,飲食店では一般労働者〇・五%減、パートタイム労働者一・〇%減、サービス業では一般労働者〇・五%増、パートタイム労働者五・七%増であった。











言葉の履歴書


マネキン

 模型や標本を指す外来語「モデル」は、美術用語としては、絵画や彫刻の制作対象となる人を言います。
 「モデル」に対して、人体模型の美術用語は、フランス語で「マヌカン」、英語では「マネキン」です。日本では大正時代に、デパートや商店などの陳列用人形として、和服や洋服を着た「マネキン人形」が登場しました。我が国では、江戸時代からお客を招き寄せるための看板や店舗の飾り物を「招き」と呼んでいたので、当時の人形業者のなかには、外来語の「マネキン人形」を「招きの人形」という日本語のつもりで使っていた人もいたそうです。
 「マネキン・ガール」は、人形の代わりに着飾って歩いてみせたり、商品の宣伝文句をしゃべりながら売りさばいたりする若い職業女性のこと。初めはほとんどが和服姿でした。
 三月二十四日の「マネキン記念日」は、昭和三年(一九二八年)のこの日、御大礼記念博覧会で、初めてマネキン・ガールが登場したのにちなむ記念日です。




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海外勤務者と税


国 税 庁


 経済活動の国際化に伴い、日本企業の海外進出も盛んに行われています。その結果、海外勤務などのため長期間にわたって日本を離れる人も年々増加しており、その場合、日本国内から得る給料や不動産貸付けによる所得についての課税がどのようになるのかという疑問が生じます。
 そこで、海外へ転勤した場合、逆に海外から日本に帰国した場合の課税関係について、居住者と非居住者の区分とともに説明します。

【居住者と非居住者】

 所得税法では、居住者と非居住者では課税される所得の範囲が異なっているため、まず、海外勤務者が居住者・非居住者のいずれに該当するのかという点について判定する必要があります。
 所得税法上、「居住者」とは、日本国内に住所を有するか又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する人をいい、「非居住者」とは、居住者以外の人をいいます。
 (注) 住所とは、生活の本拠をいい、居所とは、生活の本拠ではないが現実に居住している場所をいいます。
 この場合、国内又は国外において継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有するときは、それぞれ国内又は国外に住所を有する者と推定することとされていますので、その地における在留期間が契約等によりあらかじめ一年未満であることが明らかな場合を除き、これに該当するものとして取り扱っています。
 したがって、海外勤務のため出国した人は、その海外勤務の期間があらかじめ一年未満とされている場合を除き、出国のときから非居住者に該当することとなります。
 なお、海外における勤務期間が当初は一年未満の予定であったのに、何らかの事情により結果的に一年以上となった場合又は延長命令等により一年以上となることが明らかとなった場合には、出国当初は居住者と判定され、一年を経過した日又は一年以上滞在することが明らかとなった日から非居住者と判定されることになります(海外から日本に転勤となったケースについては、居住者・非居住者の判定がそれぞれ逆になります)。

【非居住者に対する課税】

 居住者の課税所得の範囲は、日本国内・国外で得たすべての所得ですが、非居住者の場合には、日本国内で行う勤務による給与所得や、日本国内にある不動産の貸付けによる不動産所得など、日本国内に源泉がある所得(これを「国内源泉所得」といいます)に限って課税されます。

1 海外勤務に伴い居住者から非居住者になった場合
 年の中途で海外勤務のために出国し居住者から非居住者になった人については、国内での勤務期間に対応する給与(その計算期間が一か月以下のものについては、その全額が国内勤務に対応するものである場合を除き、その総額が国内源泉所得に該当しないものとして取り扱われていますので、通常は、出国後最初に支給される賞与などがこれに該当します)が課税対象となり、国外において勤務した部分に対応する給与については、原則として、我が国では課税されません。
 なお、給与所得者が年の中途で居住者から非居住者になる場合には、出国の時点においてそれまでの国内勤務期間中に支給を受けた給与(前記の出国後に支給を受ける国内勤務に対する給与は含まれません)について年末調整を行うこととされており、また、給与所得以外に確定申告を要する一定の所得を有する人で納税管理人の届出を行わない場合には、出国の時までに確定申告と納税を行う必要があります。

2 非居住者に対する源泉徴収
 非居住者に対し一定の国内源泉所得を支払う場合については、その支払の際、源泉徴収を要することとされており、国内での勤務期間に対応する給与や預金利子・株式配当などについては、原則として二〇%(利子は一五%)の源泉徴収だけで我が国の課税関係が終結することとされています(不動産所得については、源泉徴収がされた上、確定申告(総合課税)を要することとされています)。
 なお、支払を受ける人の居住する国によっては、租税条約により所得税が免除されたり、軽減される場合があります。

【居住者に対する課税】

 居住者(非永住者を除きます)については、前述のとおり、その所得が国内・国外のいずれで発生したかにかかわらず、全世界で発生した所得について課税されます。
 (注) 非永住者とは、居住者のうち、国内に永住する意思がなく、かつ、現在まで引き続いて五年以下の期間国内に住所又は居所を有する人をいい、課税所得の範囲が若干異なります。

1 海外勤務者が帰国し非居住者から居住者になった場合
 海外勤務者が年の中途で国内勤務となったため帰国し非居住者から居住者になった人については、その帰国後に支給された給与は国外において勤務した部分に対するものであってもすべて課税対象となり、帰国後に支給を受けた給与の総額を基に年末調整が行われます。この場合、非居住者期間中に支給された給与で国内源泉所得に該当するとして二〇%の税率による源泉徴収を受けたものがある場合であっても、その給与は分離課税の対象となる所得に該当するため、年末調整の対象となる給与には含まれません。
 なお、不動産所得があるため確定申告を要する人については、非居住者期間中及び居住者期間中に発生した総額を基として所得計算を行い、前記の年末調整後の給与所得と併せたところで確定申告をする必要があります。

2 外国で税金が課された場合
 居住者は、国内で得た所得だけでなく国外で得た所得についても所得税が課されます。一方、居住者が、外国で事業を行うなどして所得を得た場合には、通常、その国において我が国の所得税に相当する税金が課されます。このように、居住者の所得について外国で課税された場合には、一つの所得に対してその国と我が国の双方で課税され、国際的二重課税が生じることとなります。そこで、我が国の所得税法においては、このような二重課税を排除するため、外国税額控除の制度を設けています。この制度の適用を受けますと、居住者が外国で納付した所得税に相当する税額を我が国の所得税から一定の金額を限度として控除することができます。
 この場合、控除の対象となる外国税額は、外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により、個人の所得を課税標準として課される税(その所得に対する負担が高率な部分は除かれます)に限られます。また、この中には、利子、配当、使用料等について源泉徴収される所得税なども含まれます。



    <3月24日号の主な予定>

 ▽原子力白書のあらまし………原子力委員会 




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