官報資料版 平成17





厚生白書のあらまし


「健康」と「生活の質」の向上をめざして


厚 生 省


1 平成九年版厚生白書の主題は「健康」と「生活の質」


 平成九年版厚生白書が去る六月十九日に閣議報告された。今回の白書は、「健康」と「生活の質」を主題に取り上げている。
 戦後、医療の進歩とあいまって、我が国の健康水準は大きく向上し、今日、世界有数の長寿社会を実現している。しかし、二十一世紀を目前に控え、O157やエイズの問題に限らず、かつて克服するかと思われた感染症が国際化時代の新たな脅威となってきている一方、生活習慣病や「心の病」といった現代人の生活に根ざした疾病が増加し、また、高齢化の進行に伴い、介護の問題が深刻化するなど、健康をめぐる状況は新たな時代を迎えている。さらに、科学技術の進歩に伴い科学と社会の調和の問題も大きくなっている。
 このため、今回の白書では、こうした現代的な状況を「健康」と「生活の質」の観点から捉え直し、今後の課題と展望を考えることをめざした。

2 厚生白書がめざしたこと


 今回の厚生白書では、次の三点をめざした。
 第一に、「分かりやすい白書」であること。今回の白書は、身近な問題を取り上げ、それを分かりやすく伝えるという姿勢を貫いた。このため、第一部については、見開きの左側に文章を、右側に図表を配置するとともに、外国語や難解な用語を極力避けるなど、全体を見やすく、分かりやすく工夫をしている。
 第二に、「利用価値の高い白書」であること。単に行政の取組みのみを説明するのではなく、日常生活を送る上で参考となる情報を記載している。また、初めての試みとして、付録の「はやわかり厚生行政」を作成し、厚生行政の仕事や生活に密着した行政サービスを紹介している。厚生行政を理解し、活用していくための役に立つ「便利帳」として、これを積極的に利用していただければ幸いである。
 そして第三に、「ともに考える白書」であること。厚生省は、国民の生命と健康を守るという重大な任務を遂行する上で、今日、多くの課題に直面している。こうした様々な問題に対し、ともに課題を考え、ともに立ち向かっていくという姿勢が、何よりも重要であると考えている。このため、今年の白書は、健康危機の問題のほかにも、喫煙や児童虐待、高齢化をめぐる状況といった課題を取り上げ、これらについて、ともに考えるための必要な情報提供を行うことを、基本姿勢としている。

3 平成九年版厚生白書の概要


第一部 「健康」と「生活の質」の向上をめざして


 厚生白書の第一編第一部は、毎年異なる話題について、重点的な解説を行っている部分である。今回は「健康」と「生活の質」をめぐる課題を取り上げ、@新興・再興感染症、A生活習慣病、B心の病、C高齢化をめぐる課題、D厚生科学と技術評価について記述している。

<第一章> 新興・再興感染症と医薬品による健康被害―健康の危機管理―
 第一章では、エボラ出血熱、エイズ、O157といった新興感染症や、結核などの再興感染症への対応について記述している(第1図は、世界における新興感染症の発生状況)。
 いかに科学技術が進歩しようとも、すべての感染症が克服されることはあり得ない。また、国際交流が増大する中で、感染症対策は国内のみを視野に入れたものでは限界が明らかである。
 このため、地球的規模の対応を行っていくことや、感染症が発生した際の健康危機管理体制を構築していくことが求められている。
 また、血液製剤による健康被害の発生については、これを重い教訓として、現在、健康危機管理の体制づくりを推進している(第2図参照)。

<第二章> 生活習慣病
 現在、がん、脳血管疾患、心臓病は死因の第一位から第三位までを占め、平成七年には五十万人、全死亡の六割以上がこれらの疾病によって死亡している(第3図参照)。
 これらの疾患への対策としては、従来の「早期発見・早期治療」ばかりでなく、健康増進や疾病予防という「一次予防」が重要であり、食生活、運動、休養など、個々人の生活習慣の改善が鍵となっている。このため、昨年十二月には公衆衛生審議会が「生活習慣病」という概念を提唱し、積極的に健康増進を図ることとしている。特に、生活習慣の身に付く子ども時代に、健康的な生活習慣の確立をめざすことが大切である。
 また、現在我が国の男性の喫煙率は五二・七%と、世界で最も高い水準である。女性の喫煙率も一〇・六%と低率であるものの、徐々に上昇している。しかしながら、喫煙が健康へ与える影響は大変大きく(第4図参照)、加えて受動喫煙の問題などを考えると、喫煙習慣は個人の嗜好にとどまらない問題であり、たばこ対策の一層の推進が必要である。

<第三章> 現代社会と「心の健康」
 近年、神経症、うつ病、心身症のほか、睡眠障害、摂食障害、不登校が増加している。また、阪神・淡路大震災の際に注目されたPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの問題が提起されている。
 最近の意識調査によると、五四・六%の人が調査前一か月間にストレスを感じたと答えているが、現代社会における過大なストレスが、さまざまな「心の病」の原因の一つ(5ページへ)となっていることから、ストレスへの対策を図ることが重要である。このほか、アルコール依存症と薬物依存についての予防対策の一層の推進も必要である。
 また、子どもの心に大きな傷を残す「児童虐待」が増加している(第5図参照)。これを防ぐためには、地域の支援体制づくりを進め、児童の身体の保護と親子の心のケア体制を充実することが必要である。
 さらに、精神疾患による入院は多数になっており(第6図参照)、入院期間も他の先進諸国に比べ長期にわたっているが、ノーマライゼーション(障害のある人も家庭や地域で通常の生活ができるようにする社会づくり)の考え方を更に普及させていくため、精神疾患に対する「心の障壁の除去(心のバリアフリー化)」を進め、「地域ケア体制」を構築していくことが重要である。

<第四章> 高齢化をめぐる課題
 本年一月に公表された将来推計人口によると、今後、高齢化が急速に進行し、二〇五〇年には老年人口の割合は三二・三%に達することが見込まれている。このような高齢社会においては、高齢者を「第二の現役世代」と位置づけ、高齢者が社会で積極的な役割を果たし、生きがいを持って生活できるような環境を構築していくことが重要である。そのためには、「老化しているかどうかは年齢で決まる」、「高齢者は非生産的である」などといった高齢者に対する先入観(老人神話)を取り除くことが必要である(第7図参照)。
 また、今後は、寝たきりの予防に力を入れるとともに、高齢者が介護を必要とする状態になっても、できる限り自立した生活が送れるような支援策を講じることが重要である。
 さらに、高齢者の介護を支える人材の育成に努めるとともに、地域住民やボランティアなどの幅広い参加を進めていくことが重要である。

<第五章> 厚生科学と技術評価
 国民の生命・健康を守る上で科学技術が果たしてきた役割は大きく、今後とも厚生科学を振興していくことが必要である(厚生科学の推進体制については、第8図参照)。
 また、近年の医療技術や医薬品の進歩には目覚ましいものがあるが、安全性の問題や経済面、さらには社会倫理面での問題が生じている。このため、技術革新がもたらす影響について、医学的な観点のみならず、経済的・社会的な観点から「技術評価」を行っていくことが重要である。例えば、医療の分野においては、技術評価の考え方を踏まえ、標準的な診断・治療法のあり方の検討や、患者に対し科学的で分かりやすい情報提供を行うべき時期に来ているといえる。

第二部 主な厚生行政の動き


 第二部は、平成八年度における厚生行政の動きを中心に、第一部で取り上げなかった内容について記述している。

<第一章> 社会保障の構造改革
(第一節 少子・高齢化の急速な進展)
 本年一月に発表された「日本の将来推計人口」を紹介し、少子・高齢化の急速な進行について記述している。少子化は、今後の我が国の社会経済に大きな影響を与えることが予想されていることから、少子化について国民的な議論を進めていく必要がある旨を記述している。
(第二節 社会保障構造改革の方向)
 国民の需要の変化や少子・高齢化の進展といった社会保障をめぐる状況の変化の中で、社会保障の役割と課題やその構造改革の必要性を記述し、改革の方向を提示している。
(第三節 介護保険制度の創設に向けて)
 今日、高齢者介護の問題が大きくなってきている中で、介護保険制度の創設に向けた取組みが行われていることを紹介している。
 また、制度案の概要を詳細に記述するとともに、介護サービス基盤の整備や施設整備業務等の再点検についても言及している。
(第四節 医療制度改革をめざして)
 経済基調の変化や医療費の増大により、大幅な赤字構造となっている医療保険制度について、医療提供体制も含めた総合的かつ段階的な改革を進める必要性を記述している。
 また、平成九年医療保険制度改正の動向と、今後の医療制度改革を紹介している。
 さらに、第三次医療法改正など、医療提供体制の現状や国立病院・療養所の再編成、難病対策についても言及している。
(第五節 年金改革への展望)
 少子・高齢化の進行、経済基調の変化、国の財政状況の悪化といった環境変化の中で、公的年金制度を長期的に安定したものとするため、制度全体にわたる見直しが必要であることを記述し、平成十一年度次期財政再計算時に向けた取組みを紹介している。また、年金制度をめぐる最近の動向として、基礎年金番号の実施や年金自主運用の検討、さらには厚生年金基金制度等の見直しについても言及している。

<第二章> 安全性の確保と生活環境の整備
(第一節 エイズ問題への取組みと医薬品等の安全性確保)
 血液製剤によるHIV感染問題への取組みを記述している。エイズ対策の概要とともに、訴訟の提起と和解の成立を踏まえた恒久対策、再発防止対策を記述している。
(第二節 医薬品・医療機器の振興対策等)
 医薬品・医療機器についての研究開発の振興、医薬分業の推進について記述している。
(第三節 多様化時代の「食品」の安全)
 O157の発生など食品をめぐる最近の動向を記述し、「危害分析に基づく重要管理点(HACCP、ハサップ)方式」の導入、添加物規制の見直し、農薬・動物用医薬品の残留基準値の問題、遺伝子組換え食品の安全性、栄養表示基準等を紹介している。
(第四節 大量に排出される廃棄物への取組み)
 産業廃棄物の大量排出、最終処分場のひっ迫、不法投棄の多発といった産業廃棄物をとりまく現状を紹介し、廃棄物処理法の趣旨及び概要を記述している。
 また、一般廃棄物処理をめぐる状況や、本年四月に本格施行となった容器包装リサイクル法を紹介し、併せて近年問題となっているダイオキシンの削減対策や合併処理浄化槽の整備促進についても言及している。
(第五節 安全でおいしい水の確保)
 安全で良質な水を確保するため、水道原水の水質保全、水道の水質管理について記述するとともに、質の高い水道を確保するため、水道未普及地域の解消、高度浄水施設の整備促進、直結給水の推進について記述している。
 そのほか、地震・渇水に強い水道づくりなどについても言及している。

<第三章> 新たな福祉施策の展開
(第一節 子育て支援と児童家庭福祉体系の見直し)
 子どもの最善の利益を尊重する考え方の定着、夫婦共働き家庭の一般化、家庭や地域の子育て機能の低下といった児童と家庭をとりまく環境の変化や、児童虐待や不登校の増加といった問題の多様化、深刻化を記述し、エンゼルプランなど子育て支援策の推進や、児童福祉法の改正について記述している。
(第二節 ノーマライゼーションの理念に基づく障害者施策の推進)
 障害者が地域で通常の生活ができるような社会づくりを行うノーマライゼーションの理念を紹介し、障害保健福祉部の設置や障害者プランの策定など、障害者施策の推進状況を記述している。

<第四章> 広がる国際協力と情報化の推進
(第一節 世界福祉構想と国際協力)
 社会保障政策について、各国が互いの知識と経験を共有することにより、それぞれの国が抱える問題の解決をめざす「世界福祉構想」を紹介し、その一環として、昨年末、沖縄で開催された東アジア社会保障担当閣僚会議や、OECDにおける取組みについて記述している。
 そのほか、保健医療分野における国際協力の動向にも言及している。
(第二節 中国残留邦人への援護施策)
 中国残留孤児の調査、帰国支援、定着・自立の促進など、中国残留邦人への援護施策を紹介するとともに、今後の課題にも言及している。
(第三節 情報化の推進)
 近年における情報処理や情報通信の技術進歩の中で、政府及び厚生省における情報化の推進状況を紹介している。


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賃金、労働時間、雇用の動き


毎月勤労統計調査 平成九年五月分結果速報


労 働 省


 「毎月勤労統計調査」平成九年五月分結果の主な特徴点は次のとおりである。

◇賃金の動き

 五月の規模五人以上事業所の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は二十九万四千八百三十六円、前年同月比二・一%増(規模三十人以上では三十二万四千二百八十二円、前年同月比二・二%増)であった。
 現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十八万九千二百五十六円、前年同月比二・〇%増(同三十一万六千八百九十八円、二・一%増)であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十七万百十一円、前年同月比一・七%増(同二十九万一千百円、一・七%増)で、所定外給与は一万九千百四十五円、前年同月比六・四%増(同二万五千七百九十八円、六・六%増)となっている。
 また、特別に支払われた給与は五千五百八十円、前年同月比五・〇%増(同七千三百八十四円、八・三%増)となっている。
 実質賃金は、〇・三%増(同〇・三%増)であった。
 産業別にきまって支給する給与の動きを前年同月比によってみると、不動産業六・五%増(同四・〇%増)、製造業二・九%増(同二・八%増)、電気・ガス・熱供給・水道業二・六%増(同一・四%増)、建設業二・五%増(同二・〇%増)、金融・保険業一・九%増(同一・六%増)、サービス業一・八%増(同一・五%増)、運輸・通信業一・五%増(同〇・六%増)、卸売・小売業、飲食店〇・八%増(同三・〇%増)、鉱業〇・二%増(同一・五%増)であった。

◇労働時間の動き

 五月の規模五人以上事業所の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は一五六・一時間、前年同月比一・〇%増(規模三十人以上では一五七・一時間、前年同月比一・四%増)であった。
 総実労働時間のうち、所定内労働時間は一四六・一時間、前年同月比〇・八%増(同一四四・九時間、一・〇%増)、所定外労働時間は一〇・〇時間、前年同月比三・二%増(同一二・二時間、五・二%増)、季節変動調整済の前月比は三・一%減(同一・五%減)であった。
 製造業の所定外労働時間は一三・七時間で前年同月比一四・一%増(同一五・五時間、一四・八%増)、季節変動調整済の前月比は〇・七%増(同〇・八%増)であった。

◇雇用の動き

 五月の規模五人以上事業所の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で〇・九%増(規模三十人以上では前年と同水準)、季節変動調整済の前月比は〇・二%増(同〇・一%増)、常用労働者のうち一般労働者では〇・三%増(同〇・二%減)、パートタイム労働者では三・九%増(同一・七%増)であった。
 常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、建設業四・二%増(同〇・九%増)、サービス業二・一%増(11ページへ)(同一・八%増)、不動産業一・六%増(同〇・五%増)、運輸・通信業一・一%増(同一・二%増)、卸売・小売業、飲食店〇・三%増(同〇・八%減)とこれらの産業は前年を上回っているが、製造業〇・五%減(同〇・九%減)、電気・ガス・熱供給・水道業一・〇%減(同一・六%減)、金融・保険業三・七%減(同四・六%減)、鉱業五・〇%減(同一五・六%減)と前年同月を下回った。
 主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者一・一%減(同一・三%減)、パートタイム労働者五・三%増(同四・八%増)、卸売・小売業、飲食店では一般労働者〇・六%減(同前年と同水準)、パートタイム労働者二・四%増(同二・九%減)、サービス業では一般労働者一・四%増(同一・二%増)、パートタイム労働者六・五%増(同四・九%増)となっている。

















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消費者物価指数の動向


東京都区部(六月中旬速報値)・全国(五月)


総 務 庁




◇六月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇一・九となり、前月比は〇・一%の上昇。前年同月比は三月〇・〇%、四月一・二%の上昇、五月一・四%の上昇と推移した後、六月は一・九%の上昇となり、上昇幅は前月に比べ〇・五ポイント拡大。これは、生鮮野菜が前年の価格水準を上回ったことなどによるもの。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇一・八となり、前月と同水準。前年同月比は三月〇・一%の上昇、四月一・四%の上昇、五月一・六%の上昇と推移した後、六月は一・七%の上昇。

二 前月からの動き

(1) 食料は一〇二・七となり、前月に比べ〇・四%の上昇。
  生鮮魚介は三・七%の下落。
   <値上がり>えび、ぶりなど
   <値下がり>いか、かつおなど
  生鮮野菜は一〇・四%の上昇。
   <値上がり>ねぎ、レタスなど
   <値下がり>トマト、さやいんげんなど
  生鮮果物は一・二%の下落。
   <値上がり>レモン、りんご(ふじ)など
   <値下がり>すいか、メロン(アンデスメロン)など
(2) 光熱・水道は一〇三・一となり、前月に比べ〇・四%の上昇。
  上下水道料は一・七%の上昇。
   <値上がり>下水道料など
(3) 教養娯楽は一〇一・五となり、前月に比べ〇・三%の下落。
  教養娯楽用品は一・二%の下落。
   <値下がり>切り花(カーネーション)など
○上昇した主な項目
 生鮮野菜(一〇・四%上昇)
○下落した主な項目
 生鮮魚介(三・七%下落)

三 前年同月との比較

○上昇した主な項目
 生鮮野菜(一四・七%上昇)、外食(三・八%上昇)、教養娯楽サービス(三・六%上昇)、家賃(〇・九%上昇)
○下落した主な項目
 教養娯楽用耐久財(六・七%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇一・九となり、前月に比べ〇・四%の上昇となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇一・六となり、前月に比べ〇・一%の上昇となった。








◇五月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇二・四となり、前月比は〇・二%の上昇。前年同月比は二月〇・六%の上昇、三月〇・五%の上昇、四月一・九%の上昇と推移した後、五月は一・九%の上昇となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇二・四となり、前月比は〇・二%の上昇。前年同月比は二月〇・四%の上昇、三月〇・五%の上昇、四月二・〇%の上昇と推移した後、五月は二・一%の上昇となった。

二 前月からの動き

(1) 食料は一〇二・五となり、前月と同水準。
  生鮮魚介は二・三%の下落。
   <値上がり>さけ、えびなど
   <値下がり>かつお、いかなど
  生鮮野菜は一・四%の下落。
   <値上がり>ねぎ、ほうれんそうなど
   <値下がり>トマト、きゅうりなど
  生鮮果物は四・〇%の上昇。
   <値上がり>レモン、バナナなど
   <値下がり>メロン(プリンスメロン)、なつみかんなど
(2) 光熱・水道は一〇四・九となり、前月に比べ〇・九%の上昇。
  電気・ガス代は一・一%の上昇。
   <値上がり>電気代など
(3) 被服及び履物は一〇五・七となり、前月に比べ一・三%の上昇。
  衣料は一・九%の上昇。
   <値上がり>スーツ(夏物)など
(4) 交通・通信は九九・八となり、前月に比べ〇・四%の下落。
  自動車等関係費は〇・九%の下落。
   <値下がり>自動車保険料(自賠責)など
○上昇した主な項目
 衣料(一・九%上昇)
○下落した主な項目
 自動車等関係費(〇・九%下落)

三 前年同月との比較

○上昇した主な項目
 家賃(一・五%上昇)、外食(三・〇%上昇)、教養娯楽サービス(三・〇%上昇)、電気代(五・〇%上昇)
○下落した主な項目
 教養娯楽用耐久財(五・四%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇二・一となり、前月に比べ〇・一%の上昇となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇二・一となり、前月に比べ〇・一%の上昇となった。










































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六月の雇用・失業の動向


労働力調査 平成九年六月分結果の概要


総 務 庁


◇就業状態別の動向

 平成九年六月の十五歳以上人口は、一億六百六十四万人(男子:五千百八十一万人、女子:五千四百八十三万人)となっている。
 これを就業状態別にみると、労働力人口(就業者と完全失業者の合計)は六千九百八万人、非労働力人口は三千七百四十六万人で、前年同月に比べそれぞれ九十二万人(一・三%)増、三万人(〇・一%)減となっている。
 また、労働力人口のうち、就業者は六千六百七十九万人、完全失業者は二百二十九万人で、前年同月に比べそれぞれ八十九万人(一・四%)増、三万人(一・三%)増となっている。

◇就業者

 (一) 就業者
 就業者数は六千六百七十九万人で、前年同月に比べ八十九万人(一・四%)増と、前月に引き続き増加し、増加幅は前月(百二万人増)に比べ縮小している。男女別にみると、男子は三千九百四十万人、女子は二千七百三十九万人で、前年同月と比べると、男子は五十四万人(一・四%)の増加、女子は三十六万人(一・三%)の増加となっている。
 (二) 従業上の地位
 就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千四百三十五万人、自営業主は八百十六万人、家族従業者は四百十万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は六十八万人(一・三%)増と、前月に引き続き増加し、増加幅は前月(七十三万人増)に比べ縮小している。また、自営業主は十万人(一・二%)の増加、家族従業者は三万人(〇・七%)の増加となっている。
 雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 ○非農林業雇用者…五千四百一万人で、七十万人(一・三%)増加
 ○常 雇…四千八百二十万人で、四十六万人(一・〇%)増加
 ○臨時雇…四百六十四万人で、二十二万人(五・〇%)増加
 ○日 雇…百十七万人で、二万人(一・七%)増加
 (三) 産 業
 主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 ○農林業…三百八十一人で、六万人(一・六%)増加
 ○建設業…六百九十四万人で、三十五万人(五・三%)増加
 ○製造業…一千四百四十九万人で、二十六万人(一・八%)減少
 ○運輸・通信業…四百六万人で、七万人(一・七%)減少
 ○卸売・小売業、飲食店…一千四百九十六万人で、二十一万人(一・四%)増加
 ○サービス業…一千六百七十九万人で、五十五万人(三・四%)増加
 対前年同月増減をみると、建設業及びサービス業は前月(それぞれ三十三万人増、十六万人増)に比べ増加幅が拡大している。「卸売・小売業、飲食店」は前月(五十八万人増)に比べ増加幅が縮小している。一方、運輸・通信業は前月(二十二万人減)に比べ減少幅が縮小している。また、製造業は前月の十四万人増から減少に転じている。
 また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 ○建設業…五百七十二万人で、二十八万人(五・一%)増加
 ○製造業…一千三百十四万人で、十二万人(〇・九%)減少
 ○運輸・通信業…三百八十二万人で、八万人(二・一%)減少
 ○卸売・小売業、飲食店…一千百八十二万人で、十八万人(一・五%)増加
 ○サービス業…一千四百三十万人で、四十七万人(三・四%)増加
 対前年同月増減をみると、サービス業は前月(十一万人増)に比べ増加幅が拡大している。建設業及び「卸売・小売業、飲食店」は前月(それぞれ三十万人増、五十二万人増)に比べ増加幅が縮小している。一方、運輸・通信業は前月(二十万人減)に比べ減少幅が縮小している。また、製造業は前月の十四万人増から減少に転じている。
 (四) 従業者階級
 企業の従業者階級別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 ○一〜二十九人規模…一千七百六十八万人で、二十七万人(一・六%)増加
 ○三十〜四百九十九人規模…一千七百八十四万人で、十五万人(〇・八%)増加
 ○五百人以上規模…一千二百八十二万人で、五万人(〇・四%)減少
 (五) 就業時間
 非農林業の従業者(就業者から休業者を除いた者)一人当たりの平均週間就業時間は四三・三時間で、前年同月に比べ〇・六時間の減少となっている。
 このうち、非農林業雇用者についてみると、男子は四七・三時間、女子は三七・二時間で、前年同月に比べ男子は〇・六時間の減少、女子は〇・七時間の減少となっている。
 また、非農林業の従業者の総投下労働量は、延べ週間就業時間(平均週間就業時間×従業者総数)で二六・八六億時間となっており、前年同月に比べ〇・〇一億時間(〇・〇%)の増加となっている。
 (六) 転職希望者
 就業者(六千六百七十九万人)のうち、転職を希望している者(転職希望者)は五百六十六万人で、このうち実際に求職活動を行っている者は二百十六万人となっており、前年同月に比べそれぞれ二十二万人(四・〇%)増、十三万人(六・四%)増となっている。
 また、就業者に占める転職希望者の割合(転職希望者比率)をみると、男女共に八・五%で、前年同月に比べ男子は〇・三ポイントの上昇、女子は〇・一ポイントの上昇となっている。







◇完全失業者

 (一) 完全失業者数
 完全失業者数は二百二十九万人で、前年同月に比べ三万人(一・三%)の増加となっている。男女別にみると、男子は百三十二万人、女子は九十七万人で、前年同月に比べ男子は五万人(三・六%)の減少、女子は七万人(七・八%)の増加となっている。
 また、求職理由別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 ○非自発的な離職による者…五十六万人で、三万人増加
 ○自発的な離職による者…八十九万人で、六万人増加
 ○学卒未就職者…十三万人で、二万人減少
 ○その他の者…五十八万人で、四万人減少
 (二) 完全失業率(原数値)
 完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は三・三%で、前年同月と同率となっている。男女別にみると、男子は三・二%、女子は三・四%で、前年同月に比べ男子は〇・二ポイントの低下、女子は〇・二ポイントの上昇となっている。
 また、年齢階級別完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 〔男女計〕
 ○十五〜二十四歳……六・六%で、前年同月と同率
 ○二十五〜三十四歳…四・一%で、〇・三ポイント上昇
 ○三十五〜四十四歳…二・二%で、〇・一ポイント低下
 ○四十五〜五十四歳…二・二%で、〇・一ポイント上昇
 ○五十五〜六十四歳…三・七%で、〇・三ポイント低下
 ○六十五歳以上………一・二%で、〇・一ポイント上昇
 〔男 子〕
 ○十五〜二十四歳……六・七%で、〇・二ポイント低下
 ○二十五〜三十四歳…三・一%で、〇・一ポイント低下
 ○三十五〜四十四歳…一・九%で、〇・一ポイント低下
 ○四十五〜五十四歳…二・三%で、〇・一ポイント低下
 ○五十五〜六十四歳…四・六%で、〇・五ポイント低下
 ○六十五歳以上………一・六%で、〇・一ポイント低下
 〔女 子〕
 ○十五〜二十四歳……六・三%で、〇・一ポイント上昇
 ○二十五〜三十四歳…五・六%で、〇・七ポイント上昇
 ○三十五〜四十四歳…二・七%で、〇・一ポイント上昇
 ○四十五〜五十四歳…二・〇%で、〇・四ポイント上昇
 ○五十五〜六十四歳…二・二%で、前年同月と同率
 ○六十五歳以上………〇・五%で、前年同月と同率
 (三) 完全失業率(季節調整値)
 季節調整値でみた完全失業率は三・五%で、比較可能な昭和二十八年以降で最も高い水準であった昨年の五月、六月及び前月と同率となっている。男女別にみると、男子は三・四%、女子は三・六%で、前月に比べ男子は〇・一ポイントの上昇、女子は〇・二ポイントの低下となっている。












 

動物愛護週間 九月二十日〜二十六日


 ペットは生活に潤いや安らぎをもたらします。しかし、愛情だけで動物を飼うことはできません。飼育に伴うさまざまな手間やトラブルを十分に考え、経済的な負担や住環境も見据えた上で、あなたの新しい家族―ペットを迎え入れてください。
 ◇飼い主の責任
 大きくなってかわいくなくなったからと、ペットを捨てる身勝手な飼い主は後を絶ちません。どうしても飼い続けることができなくなったという理由で、平成八年度に全国の保健所などで引き取られ、処分された犬は約二十一万匹、猫は三十万匹にのぼります。こうした悲しい現実をなくすためにも、動物の一生の面倒をみるという覚悟が、飼い主には欠かせません。
 ◇増えるトラブル
 ペットに関する苦情や住民間のトラブルが増えています。食事の世話や健康管理はもちろん、犬のけい留、むだぼえに対するしつけ、ふん尿・抜け毛の始末、放し飼いをしている猫のトイレのしつけ、また繁殖を希望しない場合は、そのための制限措置も飼い主の務めです。
 ◇しつけの大切さ
 犬にはきちんとした「しつけ」が必要です。しつけや訓練ができないまま成長し、手に負えなくなって手放すという結末は、人にとっても犬にとっても不幸なことです。「人に対する従順な態度」「人をかまない」「むだぼえをしない」「トイレ」などの基本をきちんと教え込むことが大切です。
 しかし、犬のしつけや管理を子どもに任せてはいけません。飼育の責任は大人がもち、家族全員で協力し合うことが大切です。(総理府)







 
    <9月24日号の主な予定>
 
 ▽公害紛争処理白書のあらまし………………公害等調整委員会事務局

 ▽家計収支………………………………………総 務 庁
 



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