官報資料版 平成10





平成7年度


都道府県・政令指定都市の広報広聴活動


自 治 省





<第1部> 総 論




 広報広聴関係組織

 広報広聴主管課を設置形態別にみると、平成七年度は、広報と広聴をともに主管する組織数が四十一(全体の七五・九%)で、前年度より一減少した。
 なお、広報と広聴との担当課がそれぞれ独立しているのが五団体、広報広聴主管課と広報又は広聴の主管課のいずれかを有しているのが二団体、広報主管課のみが一団体、広報及び広聴とを主管し、なおかつ、その組織が一つのみの団体が三十九となっている。
 また、広報及び広聴の両方を主管する課をその名称により分類すると、広報広聴課型が三十六(八七・八%)で大半を占めている。
 なお、広報広聴主管課の所属部を分類してみると、総務部系統型が二十一で最も多く、次いで知事室型及び知事直轄型十六、企画部系統型八などとなっている。

 広報広聴関係職員

 広報広聴関係職員は九百七十人で、前年度と比べて七人増加しており、平成二年度以来の増加となった(第1表参照)。
 個別組織別にみると、職員数が増加している組織は十三組織、反対に減少した組織は十四組織で、その増減幅はマイナス三〜プラス十の範囲にある。
 この広報広聴関係職員数を「総括者」、「広報担当者」、「広聴担当者」という担当区分ごとにみると、「総括者」は二百十三人となり、前年度比で二人の増加となった。また、構成比は二二・〇%となり、前年度と比較して〇・一ポイントの増加となった。
 次に「広報担当者」は五百十三人となり、前年度比で三人の増加となった。また、構成比は五二・九%となり、前年度と比較して〇・一ポイントの減少となった。
 最後に「広聴担当者」は二百四十四人となり、前年度と比較して二人の増加となった。また、構成比は二五・一%となり、前年度と同じであった。
 次に、広報広聴担当職員をその経験年数によってみると、三年未満の経験年数の者が全体に占める割合は六八・八%となり、前年度六九・三%と比べ〇・五ポイント下回った。傾向としては依然として経験年数の少ない者の割合が高く、広報広聴関係部門が経験年数の少ない職員によって担われていることがうかがえる。この状況を担当区分ごとにみると、総括者(七四・六%)の割合が高く、続いて広聴担当者(六八・九%)、広報担当者(六六・三%)の順となっている(第2表参照)。

 庁内広報主管課

 庁内広報の主管課は、四十五団体で五十課(室)等があり、東京都、神奈川県、長野県、京都府、大分県が二と複数の組織を有している。その担当職員数は三百七十人で、広報主管課が庁内広報を扱っている団体数は二十団体となっている。


 広報広聴関係予算の動向

 (1) 概 要
 平成七年度の広報広聴関係予算は、三百五十億二千五百九十一万円となり、前年度に比べ額で三十三億六千二百六万円、率で一〇・六%の増加となっている。
 また、広報広聴関係予算の伸び率は一般会計予算の伸び率(四・八%)より五・八ポイント上回っており、前年度においては、広報広聴関係予算の対前年度伸び率が、一般会計予算の同伸び率の約一・七倍の伸びであったが、今年度は、約二・二倍の伸びとなった。
 なお、前年度決算を下回った団体は、前年度より、二団体増加し八団体であった。
 (2) 広報広聴関係予算の一般会計に対する割合
 広報広聴関係予算の一般会計に対する割合は、過去十年間をみてみると、〇・〇五八%前後で安定していたが、最近二年間は増加傾向にある。
 七年度の広報広聴関係予算の一般会計に対する割合による団体分布をみると、〇・〇五%が最も多く十一団体、次いで〇・〇四%の八団体、〇・〇六%の七団体となっている。
 なお、〇・一〇%以上の団体は八団体(群馬県、埼玉県、千葉県、富山県、岐阜県、滋賀県、京都府、和歌山県)となっている。
 (3) 人口一人当たりの広報広聴関係予算
 次に、人口一人当たりの広報広聴関係予算についてみると、七年度は二百八十円で前年度より二十六円(一〇・二%)の増加となっている。また、その団体分布をみると、百円以上百五十円未満の団体が二団体、百五十円以上二百円未満の団体が六団体、二百円以上二百五十円未満の団体が七団体、二百五十円以上三百円未満の団体が十団体、三百円以上の団体が二十二団体となっている。
 なお、人口一人当たりの広報広聴関係予算が四百円以上の団体は島根県(四百二十五円)、徳島県(四百三十九円)、東京都(四百六十四円)、佐賀県(四百六十七円)、岐阜県(四百八十四円)、富山県(五百九円)、滋賀県(五百十六円)、鳥取県(五百二十三円)、和歌山県(五百七十七円)、群馬県(五百九十五円)、福井県(六百五円)である。
 次に、広報広聴関係予算を広報関係予算と広聴関係予算に分けてみると、広報関係予算は三百二十六億九千四百九万円で前年度より三十四億七千三百十二万円(一一・九%)の増加、広聴関係予算は二十二億九千七十五万円で一億一千四百九十四万円(四・八%)の減少となっている(第3表参照)。
 広報広聴関係予算に占める割合は、広報関係予算が九三・三%、広聴関係予算が六・六%と、前年度に比べ広報関係予算の割合が一・〇ポイント増加し、広聴関係予算の割合が一・一ポイント減少した。

 広報関係予算の動向

 (1) 概 要
 七年度の広報関係予算は三百二十六億九千四百九万円で、前年度より三十四億七千三百十二万円(一一・九%)の増加となり、広報広聴関係予算に占める割合は、前年度に比べ一・〇ポイント増の九三・三%となっている(第3表参照)。
 広報関係予算の主なものについてみると、テレビ関係予算が百五億七千万円で、広報広聴関係予算の三〇・二%を占め、次いで刊行物関係予算が九十六億円で二七・四%、新聞紙面購入関係予算が六十一億七千万円で一七・六%となっている。
 次に、広報広聴関係予算に占める構成比を前年度と比較すると、テレビ関係予算が二・五ポイントの増加、刊行物関係予算は一・七ポイントの減少、新聞紙面購入関係予算は〇・三ポイントの減少となっている。
 (2) 刊行物関係予算
 刊行物関係予算は九十六億七万円で、前年度より三億七千万円(四・〇%)増加している。広報広聴関係予算に占める割合は、前年度に比べ一・七ポイント減の二七・四%である。
 その内訳をみると、定期刊行物は九十三億五百五十一万円で、前年度より四億三千万円(四・八%)の増加、不定期刊行物は二億九千四百五十六万円で、前年度より六千万円(一五・九%)の減少となっている。
 (3) 新聞紙面購入関係予算
 新聞紙面購入関係予算は、六十一億七千三十六万円となり、前年度と比較して五億百八十八万円の増加となった。これを構成比でみると一七・六%となり、前年度より八・九ポイントの増加となった。
 地域情報発信共同事業関係予算については、三十二億五千五百八十五万円となり、構成比は九・三%となった。また、その他の関係で新聞紙面購入のために措置された予算額は二十九億一千四百五十一万円で、構成比は八・三%となった。
 (4) ラジオ関係予算
 ラジオ関係予算は十四億五千七百七十三万円で、前年度より二千八百六十九万円(二・〇%)の増加となっているが、広報広聴関係予算に占める割合は〇・三ポイント減少の四・二%となっている。
 (5) テレビ関係予算
 刊行物関係予算とともに広報関係予算の大宗をなすテレビ関係予算は、百五億六千六百四十九万円で、前年度より十七億九千七百二十九万円(二〇・五%)増加し、額としては過去最高を記録した。また、広報広聴関係予算に占める割合は二・五ポイント増加して三〇・二%となり、その割合は今回は、第一位となっている。
 (6) 映画・スライド関係予算
 映画・スライド関係予算は二億四千四百九十八万円で、前年度より七千四百九万円(二三・二%)の減少となった。また、広報広聴関係予算に占める割合は〇・七%となっている。
 (7) 有線放送・広報車等関係予算
 有線放送関係予算は一億八百五十六万円で、前年度と比較して二・一%の増加となった。
 広報車関係予算は一千六百二十七万円で、前年度より一一・〇%の減少となっている。
 (8) 補助金等関係予算
 補助金等関係予算は六億三千八百九十一万円で、前年度より一二・〇%の減少となった。また、広報広聴関係予算に占める割合は一・八%となっている。
 (9) 圏域外広報の状況について
 七年度において、各都道府県が圏域外に対する広報広聴活動について予算措置を行った団体は、東京都を除く四十六団体であった。
 その総額は百二十一億三千二百六十万円となっている。
 調査項目のなかで最も多く予算措置がされているのは、「観光・物産の紹介」で四三・一%を占めている。続いて「CI・イメージ向上」、「企業誘致」、「人材確保」の順であった。
 また、圏域外広報を行う場合、最も多く予算措置がされている項目は、新聞紙面の購入であり、続いてイベント関連、テレビ関連となっている。

 広聴関係予算の動向

 (1) 概 要
 七年度の広聴関係予算は二十二億九千七十五万円で、前年度より一億一千四百九十四万円(四・八%)減少しており、広報広聴関係予算に占める割合も六・六%となり、前年度と比較すると一・〇ポイント下がった。
 広聴関係予算の主なものについてみると、県民相談関係予算が八億七千五百十万円で、広報広聴予算の二・五%を占めている。
 その他には世論調査・アンケート関係予算が二億七千七百五十六万円で〇・八%、モニター関係予算が二億二千二百四十一万円で〇・六%となっている(第3表参照)。
 (2) 県民相談室等関係予算
 県民相談室等関係予算は八億七千五百十万円で、前年度より九千五万円(九・三%)減少し、広報広聴関係予算に占める割合は二・五%と、前年度より〇・五ポイント減少した。
 (3) 広聴集会関係予算
 広聴集会関係予算は二億一千九百七十三万円で、前年度より六十四万円(〇・三%)減少し、広報広聴関係予算に占める割合は〇・六%と、前年度より〇・一ポイント減少している。
 (4) モニター関係予算
 モニター関係予算は二億二千二百四十万円で、前年度より一千九十万円(五・二%)増加している。広報広聴関係予算に占める割合は〇・六%で、前年度より〇・一ポイント減少している。
 (5) 世論調査・アンケート関係予算
 世論調査・アンケート関係予算は二億七千七百五十六万円で、前年度より四千三百五十七万円(一八・三%)減少した。

<第2部> 広報活動




 定期刊行物

 定期刊行物は、全団体で二百四十二種のものが発行されており、前年度よりも十七種類減少している。
 体裁により分類すると、広報誌(紙)が百五十七種で六三・六%と最も多く、次いで写真画報が二十二種、市町村広報資料が九種となっている。広報誌(紙)が二種減少している。
 一つの団体が発行する定期刊行物の種類をみると、五〜六種類以上のものを発行する団体が十五団体で三一・九%、次いで七種類以上のものを発行する団体が十団体で二一・三%、三〜四種類のものを発行する団体が八団体で一七・〇%になっている。
 発行回数をみると、年十二回のものが八十一種で三三・九%と最も多く、次いで年一回のものが四十九種で二〇・五%である。
 配布先についてみると、全戸配布の定期刊行物は、四十二団体で四十三種類のものが発行されており、前年度に比べ増加している。
 また、定期刊行物のうち点字広報等、目の不自由な住民を対象としたものは二十八団体、声の広報等、録音テープも十三団体で発行されている。
 次に定期刊行物の配布方法をみると、直接郵送によるものが百六十八種と最も多く、次いで市町村経由五十三種、県の出先機関経由三十八種、新聞折り込み二十六種となっており、それぞれ前年度と比べ、直接郵送が二十一種減少、市町村経由が十三種減少、県の出先機関経由が九種減少、新聞折り込みが一種減少している。これを全戸配布のものについてみると、市町村経由によるものが二十九種、新聞折り込みによるものが二十四種、直接郵送が十二種、県の出先機関経由が六種となっており、前年度に比べ、市町村経由と新聞折り込みが一種増加、直接郵送は同数となっている(一の刊行物で二以上の配布方法をとっているものがあるので、刊行物数の計と一致しない。全戸配布のものについての記述においても同様である)。

 不定期刊行物

 不定期刊行物は、三十二団体で七十七種類が発行されており、前年度と比べると七団体増加して、十六種類の増加となった。
 一つの団体が発行する不定期刊行物の種類をみると、一種類のものを発行する団体が最も多く十四団体で、前年度より二団体増加し、構成比は四三・八%となった。

 庁内広報紙

 庁内広報紙は、石川県を除く四十六団体で九十六種のものが発行されている。前年度と比べると、団体数は同数で、六種増となっている。
 発行の状況をみると、年四回と十二回のものが二十種で二〇・九%、二回のものが十一種で一一・五%、次いで年一回のものが十種で一〇・四%の順となっている。


 新聞紙面の購入は、四十七団体で一千二百四十一件となっており、前年度同様、全都道府県が購入しているが、件数は三百件増加している。
 その購入状況をみると、年一〜三回購入するものが八百四十一件で六七・八%と最も多く、次いで年十二〜三十六回のものが百九十七件で一五・九%となっている。


 テレビ

 民間放送のテレビの時間帯購入は、全団体で実施しており、番組数は四百六十三番組で、前年度と比べ四十九番組増加している。
 また、NHKのテレビ番組に対する制作協力は、団体数、番組数ともに前年度と同数の二団体二番組となっている。
 次に放送時間は、県内向けでは、十五〜三十分未満の番組で週一〜二回放送されるものが五十四番組で最も多く、次いで五〜十分未満の番組で週一〜二回のものが四十三番組、四分以下の番組で週一〜二回のものが三十一番組、三十分以上の番組で週一〜二回のものが二十八番組の順となっている。
 また、県外向けでは、十九の団体が民放五十番組の時間帯を購入し、全国又は他県を対象とする広報活動を展開している。

 ラジオ

 民間放送のラジオの時間帯購入は、全団体で二百五番組となっており、前年度に比べ、団体数は一団体増で、番組数は九番組減少している。
 また、NHKのラジオ番組に対する制作協力は岩手県の一団体のみである。
 次に放送時間は、県内向けでは、五〜十分未満の番組で週五〜七回のものが三十一番組で最も多く、次いで四分以下の番組で週五〜七回のものが十九番組、五〜十分未満の番組で週一〜二回のものが十六番組となっている。
 また、県外向けには、十二の団体が民放三十七番組の時間帯を購入し、広報活動をしている。

 テレビ・ラジオ放送会社に対する出資

 テレビ・ラジオ放送会社に対しては、北海道を除く四十六団体が、百七十三社に対し約五十八億九千五百万円の出資を行っている。出資会社の内訳は、テレビ会社に対するものが四十九社で約三十二億二千七百万円と最も多く、ラジオ会社が四十社で約十五億九百万円、ラジオ・テレビ会社が二十一社で約四億五千六百万円、その他(文字多重放送会社、ビデオテックス、CATV)が六十三社で約四億一千九百万円となっている。
 これを前年度と比べると、テレビ会社に対する出資会社数は四社増加し、出資金額については約三億七千三百万円増加している。団体のラジオ会社に対する出資会社数は、一社増加し、出資金額については、約二千六百万円の増加となっている。しかしラジオ・テレビ会社に対する出資会社数は、二社減少し、出資金額は二千三百万円減少している。
 また、いわゆるニューメディアといわれる文字多重放送、ビデオテックス、CATVに対する出資会社は、十二社一億一千四百万円増加している。
 なお、出資金額をみると、一千万円以上五千万円未満のものが七十二社と、全出資会社中四一・六%を占め、出資金額では約十六億七千八百万円と、全体の約二九・九%となっている。
 なお、市町村からの出資は、百十八社に対して約三十四億八千八百万円行われている。


 映画(ニュース映画及び短編映画)は、十五団体で三十九本制作されている。これを前年度と比べると、団体数は同数で制作本数では十六本減少している。内訳をみると、ニュース映画は、七団体で二十四本制作されており、前年度と比べると、団体数で一団体減少し、本数で四本減少している。短編映画は、十一団体で十五本制作され、前年度と比べると、団体数は一団体増であり、本数で十二本減少している。
 また、ビデオは、二十一団体で二百十本制作され、前年度より団体数で一団体増加し、本数で二十三本減少している。
 次に利用状況は、映画では一般貸出しによる利用形態が十一団体となっており、次いで映画館依頼の五団体となっている。ビデオでは、一般貸出しが十五団体とそのほとんどを占めている。


 前記の広報媒体以外のものを利用した広報は、四十六団体(新潟県を除く)で百三十七種行われている。これを媒体別にみると、TV文字多重放送四十二団体、電光ニュース十六団体、ビデオテックス八団体、CATV九団体、キャプテンシステム七団体、インターネット四団体、パソコン通信三団体となっている。
 その他としては、FAXによる情報サービス、視覚障害者のための声の広報などがある。

<第3部> 広聴活動




 県民相談機関は全団体に設けられており、その数は全体で一千四百三十五機関に達している。そのうち、広聴主管課に属するものは三十七団体で百五十四、広聴主管課以外に属するものは、東京都と鹿児島県を除く四十五団体で一千二十八となっている。
 一団体当たりの県民相談機関の数をみると、五〜九の機関を有する団体及び十〜十九の機関を有する団体が十四団体と最も多く、次いで一〜四の機関を有するものが八団体となっている。
 また、県民相談機関に所属する人員は総計一万二千百二十四人で、広聴主管課に属する者七百十六人、広聴主管課以外に属する者一万一千四百八人となっている。前年度より前者が四十六人減、後者が五千九百十三人増(うち福島県前年比四千四百四十六人増)となっている(非常勤勤務者、兼務者を含む。但し、電話相談機関所属者数を含まない)。
 なお、「県政相談みどりの電話」等、相談専用の電話を設置しているのは三十六団体で二百十八機関設置されており、前年度より団体数では二減少、機関数では四十八増加している。
 次に、県民相談機関が受理した相談件数は四百二十一万一千三百八十六件で、その内訳は、広聴主管課に属するもの四十九万三千二百二十六件、広聴主管課以外に属するもの三百四十一万二千八百九十五件である。また、相談専用電話によるものは三十万五千二百六十五件となっている。
 また、住民一万人当たりの受理件数は三二七・〇件で、このうち、広聴主管課に属するもの三八・三件、広聴主管課以外に属するもの二六五・〇件、その他に相談専用電話によるもの二三・七件となっている。


 広聴集会は四十二団体で延べ百十六種類、九百二回開催され、団体数は前年度と変わらないが、開催回数は三十六回減少している。
 広聴集会の名称テーマ別による種類で、主なものは知事との対話・語る集い・懇談会で、広聴集会を実施している全団体で八十四種類行われており、全体の実施回数の七二・四%に及んでいる。
 団体別に広聴集会の種類の数をみると、一〜二種類の団体が最も多く二十四団体と、開催団体全体の五七・一%を占めている。六種類以上の広聴集会を開催している団体は、岩手県(七種類)、宮城県、東京都、山梨県(各六種類)となっている。
 団体別に年間開催回数をみると、五回未満、五〜九回がそれぞれ十一団体で最も多く、次いで十〜十九回が十団体となっている。
 一つのテーマで開催回数が多いのは、茨城県の「明日の地域づくり委員会」延べ百四十三回、同じく茨城県の「明日の茨城を考える女性フォーラム」八十九回、北海道の「市庁長の広聴活動」八十五回、栃木県の「地区座談会」四十九回等が目立っている。
 次に、集会一回当たりの参加者数をみると、百人以上と二十人未満が三十四種類と最も多く、次いで二十〜三十九人が二十三種類となっている。
 なお、県民側発言者の選定方法をみると、ほとんどの広聴集会が自由発言となっているが、あらかじめ市町村長の推薦などにより選定しているものもある。


 モニター制度を採用している団体は四十三団体、モニターの種類では百六十七種類で、前年度と比べて六種類の減少となっている。
 モニターの主題別実施件数は、消費生活・物価に関するものが五十五件で一番多く、次いで都道府県政に関するもの三十八件、道路に関するもの十一件、計量に関するもの六件などとなっている。
 モニターの総数は二万五千三百五人で、前年度より三千四百八十二人減少し、それに伴い一団体当たりの平均モニター数も五百八十八人と、前年度より八十一人減少している。
 モニターの種類が多い団体としては、愛知県(十一種類)、千葉県(九種類)、香川県、愛媛県(各八種類)が挙げられる。また、モニター数では、愛知県(三千百十七人、十一種類)が多い。
 モニターの選任方法は、市町村長の推薦に基づいて選任するものが六十一種類で最も多く、次いで市町村長の推薦と公募の併用によるものが二十九種類、公募によるものが二十五種類、その他五十二種類となっている。
 次に、モニターの利用状況をみると、定期的に主題を与えて報告を求めているものが百一種類あり、このうち年間十二回主題を与えているものが最も多く二十種類、次いで二回主題を与えているものが十五種類、八回主題を与えているものが十三種類、一回主題を与えているものが十一種類となっている。
 また、報告の収集方法は、郵送によるものが圧倒的に多いが、モニター会議における直接聴取や面接及び電話を併用する団体も見受けられる。
 モニターに対する報酬としては、年間報酬によるものが八十四種類と最も多く、次いで記念品によるものが三十五種類、月額報酬を支払うものが二十四種類、会議及び報告の都度、報酬を支払うものが二十二種類、無報酬は七種類となっている(二つ以上の報酬の支給方法をとっているモニターがあるので、モニターの種類と一致しない)。
 なお、年間報酬によるものは最低二千円から最高五万七千六百円で、平均一万五千七百三十七円(対前年度比二百四十二円減)、記念品による報酬は最低二千円から最高一万二千円相当のもので、平均三千九百三十四円(同十二円増)相当のものとなっている。また、月額報酬によるものは最低五百円から最高十三万円(山形県の「県庁体験モニター」)で、平均八千五百十八円(同七百六円減)である。


 世論調査を実施している団体は三十五団体で、前年度に比べて一団体増加し、実施件数は五十三件で前年度に比べ四十八件減少している。
 世論調査の主題別実施件数は、都道府県政一般に関するものが十件、都道府県政の特定部門に関するものが四十三件である。
 また、調査機関別では、民間の専門機関に委託したものが四十七件、自主調査が六件となっている。
 一方、アンケート調査を実施している団体は十七団体であり、前年度より五団体増加し、その実施件数は三十九件で、前年度より十三件増加した。
 アンケート調査の主題別では、すべてが都道府県政の特定部門に関するものである。
 また、調査機関別では、民間の専門機関等に委託したものが二十件、各団体の自主調査が十九件となっている。


 その他の広聴活動は、福島県を除く四十六団体で行われており、前年度に比べ増減はない。また、その実施種別数は百六種類で、前年度より十種類増加している。
 その内容をみると、「知事への手紙(ハガキ、提言)」三十四団体、「施設見学広聴」三十一団体などが主なものである。
 また、一つの団体で四種類以上実施しているのは七団体、三種類実施しているのは十一団体、二種類実施しているのは十団体で、他の十八団体は一種類となっている。

<第4部> パブリシティ活動

 記者クラブは全団体に置かれており、二以上の記者クラブが置かれている団体は九団体あり、沖縄県(四)、長野県、和歌山県、山口県、徳島県(各三)、群馬県、千葉県、東京都、新潟県(各二)となっている。
 加入社数は、十社以上十五社未満が十三団体、十五社以上二十社未満が二十六団体、二十社以上が八団体となっている。
 また、加入記者は、登録者数が二千八百五十四人(対前年度比五十四人増)で一団体平均六〇・七人(同一・二人増)、常勤者数は一千五百四十人(同二十七人減)で一団体平均三二・八人(同〇・五人減)となっている。
 次に、パブリシティ活動の状況をみると、定例会見は高知県、兵庫県以外の四十五団体で行われており(対前年度比一団体減)、その回数は延べ一千六回(同三十四回増)、一団体平均二二・四回(同一・七回増)で、年二十五回以上行っている団体が十五団体と最も多くなっている。最も多い団体は千葉県の百五回、最少は富山県、大阪府、岡山県の四回であった。
 また、臨時会見は四十三団体(対前年度比二団体増)で四百二回(同百六回増)、一団体平均九・三回(同四・二回増)行われ、年九回以下行っている団体が二十九団体と多数を占めている。
 これらのほかに、都道府県政の特定事項についてのレクチャー、資料配布が全団体で随時行われており、その数はレクチャーが七千九十五回(対前年度比七回減)、一団体平均百五十回(同一回減)、資料配布が九万三千四十二件(同二千六百八十八件増)、一団体平均一千九百七十九件(同五十七件増)となっている。
 レクチャーが最多の団体は群馬県(二百七十一回)、最少の団体は愛媛県(三十二回)、資料配布が最も多かったのは東京都(四千七百四十三件)、最も少なかったのは沖縄県(二百六十一件)であった。

<第5部> 市町村との関係

 市町村との連絡組織

 都道府県と市町村との連絡組織としては、両者で構成する広報協会が設立されている例が多いが、このほかには、広報連絡会議、広報(広聴)協議会、市町村広報広聴主管課長会議などがある。市町村との広報広聴連絡組織をもつ団体は四十三団体で、前年度と比べ二団体減であった。

 市町村広報広聴担当職員研修会の開催状況

 研修会は北海道、島根県を除く四十五団体で百五回実施され、実施回数は前年より十回減少した。
 一団体当たりの研修回数をみると、一〜二回の団体が三十五団体で全体の七七・八%を占めている。
 研修会への参加者総数は四千七百九十七人(対前年度比五十二人減)で、一回当たり平均四五・七人が参加し、一回当たり平均四・八時間の研修が行われている。

 市町村広報広聴活動の表彰等

 広報コンクール、広報功労者表彰等を行っている団体は、四十一団体(対前年度比一団体増)であった。これらに要する経費の総額は約一千百五十四万円で、一団体平均約二十八万一千円となっている。


<第1部> 総 論




 広報広聴関係組織

 政令指定都市(以下「都市」という)の広報広聴主管課を設置形態別にみると、全都市とも二以上の課(室)の主管課をもっており、札幌市、仙台市、千葉市、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、広島市の八都市は広報主管課と広聴主管課の二課、川崎市は広報を主管する放送担当、報道担当を加えた四課、北九州市、福岡市は報道課を加えた三課、神戸市は市民情報サービス課を加えた三課となっている。
 これを一都市当たりの平均主管課設置数でみると、二・四二課となり、都道府県の一団体当たり一・一四課に比べると約二倍になっている。
 次に、名称別にみてみると、広報のみを主管する広報型が十二で、報道課型が三、その他が一、広聴のみを主管するものは、広聴課型が七、広聴相談課型及び相談課型が三、その他が三である。
 広報広聴主管課の所属局で分類してみると、市民局系統型が十五で最も多く、次いで市長室系統型(秘書部広報報道課室を含む)が八、総務局系統型が四、その他が二などとなっている。

 広報広聴関係職員

 都市の広報広聴関係職員は全体で三百六十七人で、横浜市の四十七人を最高に、大阪市の四十三人、千葉市の四十一人と続いている。
 次に、広報広聴関係職員をその経験年数によってみると、昨年と違い一年以上五年未満の者の割合が最も高く、全体に占める割合は六六・五%となっている(都道府県の同割合は、七一・九%)(第4表参照)。

 庁内広報主管課

 庁内広報の主管課は、すべての都市で十八あり(川崎市が六、福岡市が二と複数の組織を有している)、そのうち、広報担当職員数は百四十九人で一つの主管課当たり八・二人となっている。都道府県の一つの庁内広報主管課平均七・四人と比べると、やや上回っている。


 予算の概要

 平成七年度の広報広聴関係予算総額は、九十九億六千百十五万円で、住民一人当たりの広報広聴予算は、五百三十二円となっている(都道府県二百八十円)。
 また、広報広聴関係予算額を都市個別にみると、七百円台三都市、六百円台一都市、五百円台四都市、四百円台二都市、三百円台一都市、二百円台一都市と団体間に格差がある。なお、七百円台は、仙台市と千葉市と神戸市である。
 次に、広報広聴関係予算を広報関係予算と広聴関係予算に分けてみると、広報関係予算は八十九億五千百九十二万円、広聴関係予算は十億九百二十三万円で、その割合は、八九・九%対一〇・一%となっている(都道府県九三・三%対六・六%)(第5表参照)。

 広報関係予算

 (1) 概 要
 都市の広報関係予算の全体の構成比の順位では、定期刊行物三四・五%(約三十四億四千万円)、テレビ二〇・一%(約二十億一千万円)、ラジオ四・八%(約四億七千万円)、不定期刊行物三・七%(約三億七千万円)の順となっている。
 なお、都道府県の同予算の構成比は、テレビ三〇・二%、定期刊行物二六・六%、新聞紙面購入一七・六%、ラジオ四・二%の順となっており、地域の広い都道府県においてはテレビが、都市においては定期刊行物が、それぞれ上位を占めている。
 (2) 市域外広報の状況について
 平成七年度において、市域外に対する広報広聴活動について予算措置を行った都市は千葉市、京都市を除く十都市である。
 十都市の市域外への広報広聴予算額の総額は、五億二千百九十七万二千円であった。
 調査項目のなかで最も多く予算措置がされているのは、「観光・物産の紹介」で、続いて「CI・イメージ向上」、「人材確保」、「企業誘致」の順であった。
 また、市域外広報を行う場合、最も多く使用される媒体は、イベント関連であり、続いて都市発行の刊行物、雑誌面購入の順となっている。

 広聴関係予算

 (1) 市民相談室
 都市の広聴関係予算は十億九百二十二万円で、その割合は、市民相談室等関係予算が五七・〇%(五億七千五百六十七万円)である。
 また、一都市当たりの市民相談室等関係予算平均額は、四千七百九十七万円となっている。
 (2) 広聴集会関係予算
 広聴集会関係予算は八千九百十五万円で、一都市当たりの平均は七百四十三万円となっている。
 (3) モニター関係予算
 モニター関係予算は、十一都市で計上し、五千七百四十一万円である。最高は、神戸市の二千五百五十一万円で、次いで大阪市の九百八十七万円となっている。
 (4) 世論調査・アンケート関係予算
 世論調査・アンケート関係予算は、十都市で計上し、六千七百六十七万円である。最高は、神戸市の一千六百四十二万円で、次いで名古屋市の九百十三万円となっている。

<第2部> 広報活動




 定期刊行物

 定期刊行物は、全都市で六十六種のものが発行されている。その他の方法によるもの(十種)を除き、これを体裁により分類すると、広報誌(紙)が四十三種(六五・二%)で、写真画報が十三種(一九・七%)となっている。
 一つの都市が発行する定期刊行物の種類をみると、五種類と六種類のものを発行する都市がそれぞれ三都市で二五・〇%、次いで三種類、四種類、七種類のものを発行する都市がそれぞれ二都市で一六・七%となっている。
 発行回数からみると、年一回のものが二十二種で三三・三%と最も多く、次いで年十二回のものが十七種で二五・八%であり、両者を合わせると全体の五九・一%を占める。
 次に、定期刊行物で全戸配布されているものについてみると、全都市で二十種のものが発行されている。
 また、定期刊行物のうち点字広報等、目の不自由な住民を対象としたものは九都市十四種、声の広報等のテープも六都市で八種発行され、増加傾向にある。
 定期刊行物の配布方法をみると、その他の方法によるもの(三十二種)を除くと、直接郵送によるものが二十二種で最も多くなっている。

 不定期刊行物

 不定期刊行物は横浜市、京都市、神戸市、北九州市を除く八市で発行されている。

 庁内広報紙

 庁内広報紙は、全十二都市で発行されており、十六種類となっている。発行の状況をみると、年十二回のものが七種で四三・七%、一回、四回のものが三種で一八・七%となっている。


 新聞紙面の購入は、全都市において実施されており、計百三十二件となっている。
 その購入状況をみると、年一〜三回購入するものが九十八件で、七四・二%と最も多くなっている。
 なお、全都市での掲載回数は六百九十一回、一都市平均では五十七回となっている。


 テレビ

 民間放送のテレビの時間帯購入は、全都市で実施しており、番組数は七十三番組となっている。
 なお、NHKのテレビ番組に対する制作協力はない。
 次に放送時間は、随時のもの(年一回放送のもの、期間を限って放送しているもの)が二十八番組で最も多く、次いで五〜十分未満の番組で週一〜二回のものが十九番組、十五〜三十分未満の番組で週一〜二回のものが十一番組の順となっている。
 また、市外向け(全国も含む)では、四都市が民放の時間帯購入をしている。

 ラジオ

 民間放送のラジオの時間帯購入は、全都市で五十番組となっている。
 なお、NHKのラジオ番組に対する制作協力はない。
 次に放送時間は、随時のもの(年一回放送のもの、期間を限って放送しているもの)が十番組で最も多く、次いで五〜十分未満で週一〜二回のものが七番組、四分以下で週五〜七回のものと、五〜十分未満で週五〜七回のものと、十〜十五分未満で週一〜二回のものがそれぞれ六番組となっている。
 また、市外向け(全国も含む)では、一都市が民放の時間帯購入をしている。

 テレビ・ラジオ放送会社に対する出資

 テレビ・ラジオ放送会社に対しては、十一都市が四十七社に対し約十四億三千五十万円の出資を行っている。
 出資会社の内訳は、テレビ会社に対するものが前年度と変わらず七社で約二億九千八百万円と出資額が最も多く、ラジオ会社が九社で約一億八千七百四十万円、ラジオ・テレビ会社が五社で約七千六百三十万円、その他(文字多重放送会社、CATV等)が二十六社で約八億六千八百八十万円となっている。


 映画(ニュース映画及び短編映画)は、六都市で五一・五本制作されている。内訳をみると、ニュース映画が四都市で五十本、短編映画が二都市で一・五本制作されている。ビデオテープについては、九都市で八十四本が制作されている(二年に一度制作されるものは〇・五本として計算)。
 次に、利用状況をみると、映画では映画館依頼による利用形態が四、一般貸出しが二、テレビ上映が一となっている。ビデオでは、一般貸出しが五、その他が六となっている。
 なお、都市別に利用状況をみると、一般貸出しが六都市、映画館依頼が四都市、テレビ上映が三都市、その他が七都市となっている。


 前記の広報媒体以外のものを利用した広報は十二都市で四十八種行われている。これを媒体別にみると、TV文字多重放送が十都市十種類、電光ニュースが十都市十一種類、キャプテンシステムとテレフォンサービスが、それぞれ七都市七種類と全体の七三%を占めている。
 また、その他の広報媒体では、インターネットやパソコン通信なども使われている。

<第3部> 広聴活動




 市民相談機関は全都市に設けられ、その数は百四十九である。そのうち、広聴主管課に属するものは十二都市で四十三、広聴主管課以外に属するものは十都市で六十二となっている。
 一都市当たりの市民相談機関の数をみると、一〜四機関が七都市、五〜九機関が三都市、十機関以上が二都市である。
 また、市民相談機関に所属する人員は十二都市一千六十二人で、広聴主管課に属する者六百五十九人、広聴主管課以外に属する者四百三人となっている(非常勤勤務者、兼務者を含む。但し、電話相談機関所属者数を含まない)。
 なお、相談専用の電話を設置しているのは七都市、四十四機関、二百四十人(広聴主管課兼務を含む)である。
 次に、市民相談機関が受理した相談件数は、九十九万九千二百八十六件で、その内訳は、広聴主管課に属するもの六十一万五千八百四十七件、広聴主管課以外に属するもの三十八万三千四百三十九件である。
 また、相談専用電話によるものは、七万九百七十八件となっている。また、住民一万人当たりの受理件数は六一九・二件で、このうち、広聴主管課に属するもの三六七・四件、広聴主管課以外に属するもの三〇二・一件である。また相談専用電話によるもの六二・九件となっている。


 広聴集会は全都市で七百二十九回開催されている。このうち市長が出席するものは、十都市で十八種類ある。
 これを種類の数でみると、二種類が六都市と最も多く、一種類が三都市、三種類が一都市となっている。
 また、一つのテーマで開催回数が多いのは、福岡市の「住みよい区市民会議」二百三十六回、名古屋市の「地域懇談会」八十四回、札幌市の「区長懇談会」八十三回等が目立っている。
 次に、集会等一回当たりの参加者数を名称・テーマの種類ごとにみると、十〜二十九人程度の集会等が目立っている。


 モニター制度を採用している都市は、全都市で、モニターの種類は二十八種類になっている。
 モニターの主題別実施件数は、市政一般に関するものが十四件で最も多く、水道等の公共事業に関するものが四件となっている。
 モニターの総数は一万五千六百十五人で、一都市当たりの平均数は一千三百一人となっている。
 モニターの種類は、仙台市の八種類が最も多く、また、モニター数では、札幌市(一万二千人、一種類)、神戸市(約一千人、一種類)、大阪市(五百八十五人、三種類)の順となっている。
 モニターの選任方法は、公募によるものが十九種類で最も多く、次いで住民基本台帳からの抽出によるものが五種類となっている。
 次に、モニターの利用状況をみると、定期的に主題を与えて報告を求めているものが十七種類あり、このうち年間八回主題を与えているものが四種類で最も多く、その内容は、アンケート(調査)が多くなっている。
 また、報告の収集方法では、郵送によるものが二十三種類と最も多いが、その他にモニター会議における直接聴収や面接及び電話を併用する団体も見受けられる。
 モニターに対する報酬としては、年間報酬によるものが十五種類で最も多く、報告及び会議の都度、報酬を支払うものが九種類、次いで記念品によるものが三種類、無報酬のものは一種類となっている。
 また、年間報酬によるものは最高三万一千二百円(福岡市)、最低七千二百円で、その平均は一万二千八百二十七円、記念品による報酬は最高六千円相当となっている。


 世論調査を実施しているのは十一都市で、実施件数は十七件となっている。そのうち市政全般に関するものが三件、市の個別部門に関するものが十一件、市民意識調査に関するものが三件となっている。
 また、調査機関別では、民間の専門機関に委託しているものが十四件、自主調査が三件となっている。
 一方、アンケート調査を実施しているのは、二都市(仙台市、横浜市)で、実施件数は二件である。
 また、調査は自主調査(仙台市)、委託調査(横浜市)それぞれ一都市ずつとなっている。


 その他の広聴活動は、全都市で実施されており、その実施種別数は二十六種類となっている。
 その内容をみると、「市長への手紙(ハガキ・提言)」九都市十種類、「施設見学広聴」九都市十種類が主なもので、その他のものとしては、ふれあいタイム(名古屋市)、街づくりサッポロ会議(札幌市)、まちづくり提案箱・提案FAX(仙台市)などが見受けられる。

<第4部> パブリシティ活動

 記者クラブは全都市に置かれており、このうち横浜市、神戸市においては二つの記者クラブが置かれている。加入社数は、十五社未満が九都市、十五社以上二十社未満が三都市、二十社以上二十五社未満が二都市となっている。
 また、加入記者数は、登録者が六百七十四人で、一都市平均五六・二人、このうち常勤者は二百八十二人で一都市平均二三・五人となっている。
 次に、パブリシティ活動の状況をみると、定例会見は広島市以外の十一都市で行っており、その回数は延べ三百十回、一都市平均二五・八回となっており、回数の最も多い市は横浜市の七十一回、最少は神戸市の一回であった。
 また、臨時会見は九都市で四十八回、一都市平均四・〇回行われ、回数の最も多い都市は広島市の二十回であった。
 これらのほかに、市政の特定事項についてのレクチャー、資料配布が全都市で随時行われ、その数は、レクチャーが一千百七十回、一都市平均九七・五回、資料配布が二万六百二十九回、一都市平均一七一九・一回となっている。このうちレクチャーが最も多い都市は北九州市(二百十七回)、最少は仙台市(十八回)で、資料配布の最も多かった都市は北九州市(二千九百三十六回)、最少は仙台市(五百四十四回)であった。


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統計からみた


我が国の高齢者


―「敬老の日」にちなんで―


総 務 庁


 総務庁統計局では、敬老の日にちなみ、統計からみた我が国の高齢者の姿について取りまとめた。

T 高齢者人口の現状と将来


 平成九年九月十五日現在における我が国の六十五歳以上人口(推計)は一千九百七十三万人で、総人口の一五・六%を占め、人口、割合とも過去最高となった。
 このうち、七十歳以上は一千三百二万人で総人口の一〇・三%、七十五歳以上は七百七十七万人で六・二%、八十歳以上は四百二十六万人で三・四%、八十五歳以上は百八十三万人で一・五%となっている(第1表参照)。
 六十五歳以上人口を男女別にみると、男子は八百十七万人(男子総人口の一三・二%)、女子は一千百五十六万人(女子総人口の一八・〇%)で、女子が男子より三百三十九万人多く、女子三人に対し男子二人の割合となっている。
 なお、女子の人口は、六十五歳以上では男子の一・四倍、七十歳以上では一・六倍、七十五歳以上では一・八倍、八十歳以上では二・〇倍、八十五歳以上では二・四倍となっており、高齢になるほど女子の割合が高くなっている(第1表第1図参照)。


 総人口に占める六十五歳以上人口の割合の推移をみると、第一回国勢調査が行われた大正九年以降、昭和二十五年ごろまでは五%程度で推移していたが、その後、四十五年は七・一%、五十五年は九・一%と年を追って上昇し、六十年には総人口の一〇%を超えた。この割合はその後も上昇を続け、最近では毎年〇・五ポイント程度上昇しており、平成八年に一五%を超え、九年には一五・六%となった。また、高齢者のうち七十五歳以上人口の割合も、昭和六十年は三・九%、平成二年は四・八%、七年は五・七%と上昇し、九年には六・二%と六%を超えた。
 なお、高齢者のうち、七十歳以上人口(数え年の七十歳である「古希」も既に迎えた人)は、一千三百二万人となり、初めて総人口の一〇%を超えた(第2図第2表参照)。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、六十五歳以上人口は今後も増加を続け、平成十二年(二〇〇〇年)に二千百八十七万人(総人口に占める割合は一七・二%)となり、二十七年(二〇一五年)には三千百八十八万人(同二五・二%)と、総人口の四人に一人は六十五歳以上になると見込まれている。
 さらに、第一次ベビーブーム期(昭和二十二〜二十四年)に生まれた世代が七十歳代になる平成三十二年(二〇二〇年)には三千三百三十四万人、三十三年(二〇二一年)には三千三百三十七万人となり、その後、徐々に減少すると見込まれている(第2図第2表参照)。
 生産年齢人口に対する高齢者の比率(老年人口指数(注))をみると、昭和二十五年の八・三(十五〜六十四歳人口十二人に対し六十五歳以上人口一人)から、四十五年は一〇・三、五十五年は一三・五、平成二年は一七・三、七年は二〇・九と次第に上昇し、九年は前年を〇・五ポイント上回って二二・三(同四・五人に対し一人)となっている。この比率は、今後も更に急速な上昇が続くと予測され、平成十二年(二〇〇〇年)には二五・三(同四人に対し一人)、二十二年(二〇一〇年)には三四・六(同三人に対し一人)になると見込まれている(第2表参照)。






 諸外国の総人口に占める六十五歳以上人口の割合をみると、調査年次に相違はあるものの、スウェーデンが一七・五%、イタリアが一六・八%、イギリスが一五・七%、ドイツが一五・六%、フランスが一五・二%などとなっており、我が国の六十五歳以上人口の割合(一五・六%)は、イギリス、ドイツと同水準となっている(第3表参照)。
 六十五歳以上人口の割合が七%(注)から倍の一四%に達した所要年数(倍化年数)をみると、スウェーデンでは八十五年、イギリスでは四十六年、フランスでは百十六年を要しているのに対し、我が国の場合、昭和四十五年(一九七〇年)の七・一%から平成六年(一九九四年)には一四・一%となり、所要年数はわずか二十四年となっている。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、我が国の六十五歳以上人口の割合は、今後も上昇を続け、国際的にみても極めて急速な高齢化が予測されている(第3図参照)。
 (注) 国連は、六十五歳以上人口(老年人口)の割合が七%を超える国を高齢化人口国とする基準を示している。

U 高齢者の暮らし


 平成七年における六十五歳以上人口のうち高齢者のみで暮らしている人の割合をみると、鹿児島県の五七・九%が最も高く、以下、東京都(四六・六%)、宮崎県(四六・六%)、高知県(四五・九%)、北海道(四五・五%)、大阪府(四四・九%)、愛媛県(四四・四%)、広島県(四三・七%)、山口県(四三・五%)、京都府(四一・六%)と続き、主に大都市のある都道府県と中国・四国・九州地方の各県で高くなっている。
 一方、山形県の二〇・四%が最も低く、以下、富山県(二三・〇%)、新潟県(二三・九%)、福井県(二四・二%)と続き、主に日本海側の各県で低くなっている。
 このうち、高齢単身世帯についてみると、高齢者のみで暮らしている人全体とおおむね同様の傾向にあり、鹿児島県(二一・五%)、大阪府(一七・五%)、東京都(一七・三%)、高知県(一七・二%)、宮崎県(一五・五%)の順に高く、山形県(五・九%)、新潟県(六・八%)、富山県(七・二%)の順に低くなっている(第4表参照)。


 住宅に住む高齢親族のいる一般世帯一千二百七十五万世帯について住宅の所有関係別割合をみると、持ち家が八四・九%と最も多く、次いで、民営の借家九・〇%、公営の借家四・〇%などとなっており、住宅に住む一般世帯全体と比べると、持ち家の割合が高く、民営の借家の割合が低くなっている。
 次に、住宅に住む高齢単身世帯についてみると、男子は四十五万世帯のうち、持ち家は五五・六%、民営の借家は三一・二%、女子は百七十三万世帯のうち、持ち家は六五・九%、民営の借家は二一・六%と、女子は男子に比べ持ち家の割合が高くなっている。また、高齢親族のいる一般世帯と比べると、男女とも持ち家の割合が低く、民営の借家の割合が高くなっている。
 また、住宅に住む高齢夫婦世帯についてみると、二百七十五万世帯のうち、持ち家は八五・二%、民営の借家は七・六%となり、高齢親族のいる一般世帯とほぼ同じ構成となっている。
 なお、一人当たりの延べ面積をみると、高齢親族のいる一般世帯は三五・八平方メートル、高齢単身世帯のうち男子は三八・七平方メートル、女子は三八・五平方メートル、高齢夫婦世帯は三四・一平方メートルとなり、いずれも一般世帯全体(二九・九平方メートル)に比べて広くなっている(第5表参照)。

V 高齢者の就業状況


 平成八年の六十五歳以上の高齢者の労働力人口(就業者と完全失業者の合計)は四百五十五万人、労働力人口比率(注)は二四・二%で、四人に一人が労働力人口となっている。
 男女別にみると、男子は労働力人口が二百八十五万人、労働力人口比率が三六・七%で、女子はそれぞれ百七十万人、一五・四%となっている。
 なお、欧米諸国の労働力人口比率をみると、アメリカ(一二・一%)以外はいずれも一〇%を下回っており、我が国は欧米諸国に比べ、男女とも高い水準にあるといえる(第6表参照)。







 六十五歳以上の高齢就業者数(四百四十八万人)を産業別にみると、農林業が百三十四万人(高齢就業者の二九・九%)と約三割を占めて最も多く、次いでサービス業が九十七万人(同二一・七%)、卸売・小売業、飲食店が八十七万人(同一九・四%)、製造業が五十八万人(同一二・九%)などとなっている(第7表参照)。

W 高齢者世帯の消費と貯蓄


 二人以上の世帯について、世帯主が六十五歳以上で無職の世帯(平均世帯人員二・三四人、世帯主の平均年齢七一・七歳)の平成八年の実収入をみると、一世帯当たり一か月平均二十四万九千九百四十九円となっている。内訳をみると、公的年金などの社会保障給付(二十万八千四百十七円)が実収入の八三・四%を占めている。
 消費支出は二十四万三千百九十八円で、可処分所得(二十二万八千六百二十七円)を一万四千五百七十一円上回っており、不足分は貯蓄の取崩しなどで賄っている(第4図参照)。


 単身世帯について、六十歳以上で無職の世帯(平均年齢七一・七歳)の平成八年の実収入をみると、一世帯当たり一か月平均十二万四千四百二十円となっている。内訳をみると、公的年金などの社会保障給付(十一万一千六十九円)が実収入の八九・三%を占めている。
 消費支出は十三万三千九百五十四円で、可処分所得(十一万七千五百十七円)を一万六千四百三十七円上回っている(第5図参照)。


 二人以上の世帯について、世帯主が六十五歳以上の世帯の一世帯当たり貯蓄現在高をみると、平成八年十二月三十一日現在で、有業者世帯(世帯主が有業者の世帯)が二千七百一万円、無職世帯が二千三百二十一万円となっており、これを世帯主が六十五歳未満の世帯の貯蓄現在高一千四百五十三万円と比べると、有業者世帯で約一・九倍、無職世帯で約一・六倍となっている。
 また、内訳を比べると、定期性預貯金が有業者世帯で約二・二倍、無職世帯で約一・八倍、有価証券が有業者世帯で約二・三倍、無職世帯で約二・六倍となっている(第6図参照)。


 世帯主が六十五歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布をみると、六百万円未満の世帯が有業者世帯で一六・八%、無職世帯で一七・六%を占めている一方、三千万円以上の高額の世帯が有業者世帯で三三・一%、無職世帯で二三・四%を占めており、広い範囲に分布している。
 また、世帯主が六十五歳以上の世帯の貯蓄現在高の世帯分布を六十五歳未満の世帯と比べると、有業者世帯、無職世帯とも高額の階級の割合が高くなっている(第7図参照)。


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月例経済報告(九月報告)


経 済 企 画 庁


 概 観

 我が国経済

 需要面をみると、個人消費は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減も引き続きみられるものの、緩やかな回復傾向にある。住宅建設は、低金利が継続するなか、消費税率引上げに伴う駆け込み需要により大きく増加した反動もあって、弱い動きとなっている。設備投資は、回復傾向にある。
 九年四〜六月期(速報)の実質国内総生産は、前期比二・九%減(年率一一・二%減)となり、うち内需寄与度はマイナス四・〇%となった。
 産業面をみると、鉱工業生産は、伸びが鈍化し、このところ横ばいで推移している。企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、製造業では改善が続いている一方、非製造業では慎重さがみられる。
 雇用情勢をみると、完全失業率が高い水準で推移するなど厳しい状況にあるものの、改善の動きがみられる。
 輸出は、強含みに推移している。輸入は、おおむね横ばいで推移している。国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、増加傾向にある。対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、八月は、月初の百十八円台から上昇し一時百十五円台となったが、その後下落し百十九円台となった。
 物価の動向をみると、国内卸売物価、消費者物価ともに、安定している。
 最近の金融情勢をみると、短期金利は、八月は低下した。長期金利は、八月はやや低下した。株式相場は、八月は大幅に下落した。マネーサプライ(M2+CD)は、七月は前年同月比三・〇%増となった。

 海外経済

 アメリカでは、景気は拡大している。実質GDPは、一〜三月期前期比年率四・九%増の後、四〜六月期は同三・六%増(速報値)となった。個人消費、設備投資、住宅投資は増加している。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大している。物価は安定している。六月の貿易収支赤字は、前月から縮小した。八月の長期金利(三十年物国債)は、総じて上昇した。株価(ダウ平均)は、八月に下落した。
 西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は緩やかに回復しており、フランスでは、景気は回復している。イギリスでは、景気は拡大している。鉱工業生産は、回復しているが、イギリスでは回復テンポが鈍化している。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準で推移しているが、イギリスでは低下している。物価は安定しているが、イギリスでは上昇率がやや高まってきている。
 東アジアをみると、中国では、景気は拡大している。韓国では、景気は緩やかに減速している。アセアンでは、通貨が下落しており、タイは、成長が減速する見通しを示した。
 国際金融市場の八月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、ほぼ横ばいで推移した。
 国際商品市況の八月の動きをみると、全体では上旬・中旬と横ばいで推移した後、弱含むが、下旬やや強含みで推移した。八月の原油スポット価格(北海ブレント)は初旬やや強含むが、その後おおむね弱含みで推移した。下旬にかけてはおおむね十七ドル台後半から十八ドル台前半での推移となった。

*      *      *

 我が国経済の最近の動向をみると、設備投資は回復傾向にあり、純輸出は増加傾向にある。また、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減も引き続きみられるものの、個人消費は緩やかな回復傾向にある。住宅建設は、低金利が継続するなか、消費税率引上げに伴う駆け込み需要により大きく増加した反動もあって、弱い動きとなっている。こうしたなかで、生産は伸びが鈍化し、このところ横ばいで推移している。以上のように、足元は回復テンポが緩やかなものになっているものの、民間需要を中心とする景気回復の基調は続いている。なお、雇用情勢は厳しい状況にあるものの、改善の動きがみられる。
 政府は、今後とも、景気の回復力を強めその持続性を確保し、中長期的な安定成長につなげていくため、適切な経済運営に努めるとともに、規制緩和をはじめとした各種経済構造改革を推進する。

1 国内需要
―個人消費は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減も引き続きみられるものの、緩やかな回復傾向―

 実質国内総生産(平成二年基準、速報)の動向をみると、九年一〜三月期前期比一・四%増(年率五・七%増)の後、四〜六月期は同二・九%減(年率一一・二%減)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度はマイナス四・〇%となり、財貨・サービスの純輸出の寄与度はプラス一・〇%となった。需要項目別にみると、民間最終消費支出は前期比五・七%減、民間企業設備投資は同一・五%減、民間住宅は同一一・五%減となった。また、財貨・サービスの輸出は前期比六・四%増、財貨・サービスの輸入は同二・〇%減となった。
 個人消費は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減も引き続きみられるものの、緩やかな回復傾向にある。
 家計調査でみると、実質消費支出(全世帯)は前年同月比で六月四・七%減の後、七月は三・二%増(前月比〇・二%減)となった。世帯別の動きをみると、勤労者世帯で前年同月比三・四%増、勤労者以外の世帯では同二・六%増となった。形態別にみると、耐久財は減少し、非耐久財等は増加となった。なお、消費水準指数は全世帯で前年同月比二・八%増、勤労者世帯では同三・四%増となった。また、農家世帯(農業経営統計調査)の実質現金消費支出は前年同月比で三月八・〇%増となった。小売売上面からみると、小売業販売額は前年同月比で六月二・三%減の後、七月は二・四%減となった。全国百貨店販売額(店舗調整済)は前年同月比で六月三・三%減の後、七月一・六%減となった。チェーンストア売上高(店舗調整後)は、前年同月比で六月五・一%減の後、七月四・一%減となった。一方、耐久消費財の販売をみると、乗用車(軽を含む)新車新規登録・届出台数は、前年同月比で八月は九・四%減となった。また、家電小売金額は、前年同月比で七月は一〇・五%減となった。レジャー面を大手旅行業者十三社取扱金額でみると、七月は前年同月比で国内旅行が三・七%増、海外旅行は〇・一%減となった。
 賃金の動向を毎月勤労統計でみると、現金給与総額は、事業所規模五人以上では前年同月比で六月〇・九%増の後、七月は二・二%増(事業所規模三十人以上では同二・三%増)となり、うち所定外給与は、七月は同二・八%増(事業所規模三十人以上では同三・一%増)となった。実質賃金は、前年同月比で六月一・四%減の後、七月は〇・三%増(事業所規模三十人以上では同〇・四%増)となった。また、民間主要企業の夏季一時金妥結額(労働省調べ)は前年比二・九%増(前年は同三・三%増)となった。
 住宅建設は、低金利が継続するなか、消費税率引上げに伴う駆け込み需要により大きく増加した反動もあって、弱い動きとなっている。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で六月一一・六%減(前年同月比一一・六%減)となった後、七月は七・六%減(前年同月比二七・八%減)の十万三千戸(年率百二十四万戸)となった。七月の着工床面積(季節調整値)は、前月比一〇・二%減(前年同月比三二・三%減)となった。七月の戸数の動きを利用関係別にみると、持家は前月比一四・五%減(前年同月比四〇・三%減)、貸家は同二・四%減(同一八・二%減)、分譲住宅は同一四・二%減(同一八・四%減)となっている。
 設備投資は、回復傾向にある。
 当庁「法人企業動向調査」(九年六月調査)により設備投資の動向をみると、全産業の設備投資は、前期比で九年一〜三月期(実績)二・六%増(うち製造業二・九%増、非製造業二・〇%増)の後、九年四〜六月期(実績見込み)は一・七%減(同〇・四%減、同二・六%減)となっている。また、九年七〜九月期(修正計画)は、前期比で二・一%増(うち製造業二・八%増、非製造業二・五%増)、九年十〜十二月期(計画)は一・六%増(同四・〇%増、同〇・二%減)と見込まれている。通年では、前年比で八年(実績)八・二%増(うち製造業一一・四%増、非製造業六・七%増)の後、九年(計画)は一〇・一%増(同一六・八%増、同六・八%増)となっている。
 なお、九年四〜六月期の設備投資を、大蔵省「法人企業統計季報」(全産業)でみると、前年同期比で六・八%増(うち製造業二・一%増、非製造業九・〇%増)となった。
 先行指標の動きをみると、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で六月一〇・六%減(前年同月比五・六%増)の後、七月は五・九%増(同〇・三%増)となり、全体として緩やかな増加傾向にある。なお、当庁「機械受注調査(見通し)」によれば、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、七〜九月期は前期比で二・二%増(前年同期比九・一%増)と見込まれている。民間からの建設工事受注額(五十社、非住宅)をみると、前月比で六月二六・三%減の後、七月は二五・〇%増(前年同月比〇・七%減)となった。内訳をみると、製造業は前月比二〇・八%増(前年同月比一四・七%増)、非製造業は同二四・九%増(同四・四%減)となった。
 公的需要関連指標をみると、公共投資については、着工総工事費は、前年同月比で六月六・九%増の後、七月は二・六%減となった。公共工事請負金額は、前年同月比で七月〇・六%増の後、八月は七・四%減となった。官公庁からの建設工事受注額(五十社)は、前年同月比で六月六・七%増の後、七月は二・三%減となった。実質公的固定資本形成は、九年一〜三月期に前期比一二・四%減の後、九年四〜六月期は同四・一%増となった。また、実質政府最終消費支出は、九年一〜三月期に前期比〇・〇%増の後、九年四〜六月期同一・三%減となった。

2 生産雇用
―鉱工業生産は伸びが鈍化し、このところ横ばいで推移―

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、伸びが鈍化し、このところ横ばいで推移している。在庫は四か月連続で増加した。
 鉱工業生産は、前月比で六月三・二%減の後、七月(速報)は化学、窯業・土石製品等が減少したものの、輸送機械、一般機械等が増加したことから、一・一%増となった。また製造工業生産予測指数は、前月比で八月は機械、鉄鋼等により〇・九%減の後、九月は機械、化学等により〇・八%増となっている。鉱工業出荷は、前月比で六月一・八%減の後、七月(速報)は資本財が減少したものの、生産財、非耐久消費財等が増加したことから、〇・五%増となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で六月一・七%増の後、七月(速報)は、化学、繊維等が減少したものの、輸送機械、電気機械等が増加したことから、〇・五%増となった。また、七月(速報)の鉱工業生産者製品在庫率指数は一一六・七と前月を一・一ポイント下回った。
 主な業種について最近の動きをみると、輸送機械では、生産は七月は増加し、在庫は五か月連続で増加した。一般機械では、生産は七月は増加し、在庫は四か月連続で増加した。化学では、生産は二か月連続で減少し、在庫は七月は減少した。
 第三次産業活動は、消費税率引上げの影響等により四〜六月期は減少した。
 農業生産の動向をみると、平成九年産水稲の全国作況指数(八月十五日現在)は、一〇二の「やや良」となっている。
 雇用情勢をみると、完全失業率が高い水準で推移するなど厳しい状況にあるものの、改善の動きがみられる。
 労働力需給をみると、有効求人倍率(季節調整値)は、六月〇・七四倍の後、七月〇・七四倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は、六月一・二二倍の後、七月一・一五倍となった。雇用者数は、緩やかに増加している。総務庁「労働力調査」による雇用者数は、七月は前年同月比一・三%増(前年同月差七十一万人増)となった。常用雇用(事業所規模五人以上)は、六月前年同月比〇・九%増(季節調整済前月比〇・〇%)の後、七月は同〇・九%増(同〇・〇%)となり(事業所規模三十人以上では前年同月比〇・二%減)、産業別には製造業では同〇・五%減となった。七月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差四万人減の二百三十二万人、完全失業率(同)は、六月三・五%の後、七月三・四%となった。所定外労働時間(製造業)は、事業所規模五人以上では六月前年同月比一〇・九%増(季節調整済前月比二・一%減)の後、七月は同八・三%増(同〇・〇%)となっている(事業所規模三十人以上では前年同月比九・五%増)。
 また、労働省「労働経済動向調査」(八月調査)によると、「残業規制」等の雇用調整を実施する事業所割合は、四〜六月期は前期と同水準となった。
 企業の動向をみると、企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、製造業では改善が続いている一方、非製造業では慎重さがみられる。
 大企業の動向を前記「法人企業動向調査」(六月調査、季節調整値)でみると、売上高、経常利益の見通し(ともに「増加」−「減少」)は、九年七〜九月期は「増加」超に転じた。また、企業経営者の景気見通し(業界景気の見通し、「上昇」−「下降」)は九年七〜九月期は「上昇」超に転じた。
 また、中小企業の動向を中小企業金融公庫「中小企業動向調査」(六月調査、季節調整値)でみると、売上げD.I.(「増加」−「減少」)は、九年四〜六月期は「減少」超に転じ、純益率D.I.(「上昇」−「低下」)は、「低下」超幅が拡大した。業況判断D.I.(「好転」−「悪化」)は、九年四〜六月期は「悪化」超に転じた。
 企業倒産の状況をみると、件数は、前年の水準を上回る傾向にある。
 銀行取引停止処分者件数は、七月は九百五十三件で前年同月比三・一%増となった。業種別に件数の前年同月比をみると、不動産業で一五・六%の減少となる一方、小売業で一一・三%、建設業で八・三%の増加となった。

3 国際収支
―貿易・サービス収支の黒字は増加傾向―

 輸出は、強含みに推移している。
 通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で六月七・三%減の後、七月は三・二%増(前年同月比一〇・六%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、輸送用機器、電気機器等が増加した。同じく地域別にみると、EU、アジア等が増加した。
 輸入は、おおむね横ばいで推移している。
 通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で六月一・一%減の後、七月は七・三%増(前年同月比四・一%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、製品類(機械機器)等が増加し、鉱物性燃料等が減少した。同じく地域別にみると、中近東、アジア等が減少した。
 通関収支差(季節調整値)は、六月に八千六百二十九億円の黒字の後、七月は七千二百七十七億円の黒字となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、増加傾向にある。
 七月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が縮小し、サービス収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、四千三百三十八億円となった。また、経常収支(季節調整値)は、経常移転収支の赤字幅が縮小したものの、貿易・サービス収支及び所得収支の黒字幅が縮小したため、その黒字幅は縮小し、九千三百十五億円となった。投資収支(原数値)は、一兆二千五百四十億円の赤字となり、資本収支(原数値)は、一兆二千九百六十四億円の赤字となった。
 八月末の外貨準備高は、前月比十六億四千万ドル増加して二千二百三十八億九千万ドルとなった。
 外国為替市場における対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、八月は、月初の百十八円台から上昇し一時百十五円台となったが、その後は下落し百十九円台となった。一方、対マルク相場(インターバンク十七時時点)は、八月は、月初はおおむね六十三円台近辺で推移した。その後は下落し六十六円台となった。

4 物 価
―安 定―

 国内卸売物価は、安定している。
 八月の国内卸売物価は、化学製品(ソーダ灰)等が上昇したものの、石油・石炭製品(燃料油)等が下落したことから、前月比〇・二%の下落(前年同月比一・八%の上昇)となった。輸出物価は、契約通貨ベースで下落したものの、円安から円ベースでは前月比一・一%の上昇(前年同月比一・二%の上昇)となった。輸入物価は、契約通貨ベースで下落したものの、円安から円ベースでは前月比〇・六%の上昇(前年同月比五・四%の上昇)となった。この結果、総合卸売物価は、前月比保合い(前年同月比二・一%の上昇)となった。
 企業向けサービス価格は、七月は前年同月比一・五%の上昇(前月比保合い)となった。
 商品市況(月末対比)は繊維等は上昇したものの、非鉄等の下落により八月は下落した。八月の動きを品目別にみると、生糸等は上昇したものの、銅地金等が下落した。
 消費者物価は、安定している。
 全国の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で六月二・〇%の上昇の後、七月は一般食料工業製品の上昇幅の拡大等の一方、一般生鮮商品の上昇幅の縮小等があり二・〇%の上昇(前月比〇・二%の下落)となった。なお、総合は、前年同月比で六月二・二%の上昇の後、七月は一・九%の上昇(前月比〇・四%の下落)となった。
 東京都区部の動きでみると、生鮮食品を除く総合は、前年同月比で七月一・六%の上昇の後、八月(中旬速報値)は一般食料工業製品の上昇幅の拡大等により一・八%の上昇(前月比保合い)となった。なお、総合は、前年同月比で七月一・四%の上昇の後、八月(中旬速報値)は一・六%の上昇(前月比保合い)となった。

5 金融財政
―長期金利は史上最低を更新―

 最近の金融情勢をみると、短期金利は、八月は低下した。長期金利は、八月はやや低下した。株式相場は、八月は大幅に下落した。マネーサプライ(M2+CD)は、七月は前年同月比三・〇%増となった。
 短期金融市場をみると、オーバーナイトレートは、八月はおおむね横ばいで推移した。二、三か月物は、八月は低下した。
 公社債市場をみると、国債流通利回りは、八月はやや低下した。なお、国債指標銘柄流通利回り(東証終値)は、八月二十九日に二・〇一〇%となり史上最低を更新した。
 国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、七月は短期は〇・〇二六%上昇し、長期は〇・一〇七%上昇したことから、総合では前月比で〇・〇四六%上昇し一・九五九%となった。
 マネーサプライ(M2+CD)の月中平均残高を前年同月比でみると、七月(速報)は三・〇%増となった。また、広義流動性でみると、七月(速報)は三・二%増となった。
 企業金融の動向をみると、金融機関の貸出平残(全国銀行)は、八月(速報)は前年同月比〇・二%減と十一か月連続で前年水準を下回った。八月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が七十億円となる一方、国内公募事業債の起債実績は四千八百億円となった。
 株式市場をみると、日経平均株価は、八月は大幅に下落した。

6 海外経済
―ドイツ、フランス、四〜六月期、前期比年率四%成長―

 主要国の経済動向をみると、アメリカでは、景気は拡大している。実質GDPは、一〜三月期前期比年率四・九%増の後、四〜六月期は同三・六%増(速報値)となった。個人消費、設備投資、住宅投資は増加している。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大している。雇用者数(非農業事業所)は七月前月差三十六万五千人増の後、八月は同四万九千人増となった。失業率は八月四・九%となった。物価は安定している。七月の消費者物価は前月比〇・二%の上昇、八月の生産者物価(完成財総合)は同〇・三%の上昇となった。六月の貿易収支赤字は、前月から縮小した。八月の長期金利(三十年物国債)は、総じて上昇した。株価(ダウ平均)は、八月に下落した。
 西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は緩やかに回復しており、フランスでは、景気は回復している。イギリスでは、景気は拡大している。四〜六月期の実質GDPは、ドイツでは前期比年率四・一%増、フランスでは同四・〇%増、イギリスでは同三・六%増となった。鉱工業生産は、回復しているが、イギリスでは回復テンポが鈍化している(鉱工業生産は、ドイツ七月前月比三・五%増、フランス六月同〇・一%減、イギリス七月同〇・六%増)。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準で推移しているが、イギリスでは低下している(失業率は、ドイツ八月一一・六%、フランス七月一二・五%、イギリス同五・五%)。物価は安定しているが、イギリスでは上昇率がやや高まってきている(八月の消費者物価上昇率は、ドイツ前年同月比二・一%、フランス同一・五%(速報値)、イギリス同三・五%)。
 東アジアをみると、中国では、景気は拡大している。物価上昇率は、低下している。貿易収支は、大幅な黒字が続いている。韓国では、景気は緩やかに減速している。失業率は、低下傾向となってきている。物価上昇率は、このところ低下している。貿易収支は、赤字幅が縮小した。アセアンでは、通貨が下落しており、タイは、成長が減速する見通しを示した。
 国際金融市場の八月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、ほぼ横ばいで推移した(モルガン銀行発表の米ドル名目実効相場指数(一九九〇年=一〇〇)八月二十九日一〇六・七、七月末比〇・二%の増価)。内訳をみると、八月二十九日現在、対円では七月末比一・八%増価、対マルクでは同一・五%減価した。
 国際商品市況の八月の動きをみると、全体では上旬・中旬と横ばいで推移した後、弱含むが、下旬やや強含みで推移した。八月の原油スポット価格(北海ブレント)は初旬やや強含むが、その後おおむね弱含みで推移した。下旬にかけてはおおむね十七ドル台後半から十八ドル台前半での推移となった。

けん銃取締り特別強化月間
〜みんなで力を合わせて銃器犯罪のない社会を〜

 一般市民が暴力団の対立抗争に巻き込まれ死傷する事件が発生し、また、けん銃発砲を伴う強盗事件も多発しています。平成八年中に警察が押収したけん銃は一千五百四十九丁にのぼり、このうち、暴力団以外の人からの押収は、過去最高の五百十四丁と全体の約三分の一を占めています。
 けん銃等を持っている者に対し、銃刀法には厳しい罰則が設けられています。けん銃等の不法所持は一年以上十年以下の懲役、その実包も一緒に持っていた場合は三年以上の懲役、また、けん銃等を密輸入した場合は三年以上の懲役になります。
 しかし、けん銃や実包を持って自首した場合には、その刑罰は許されたり、軽くなったりします。これを自首減免制度といいます。けん銃、実包を持っている人は、直ちにそれらを提出し、自首してください。

▽小さなことでも情報提供を

 皆さんの身近でこんなことはありませんか。
・けん銃や実包を外国から持ち込む話を聞いた。
・けん銃や実包を売っている人がいるらしい。
・けん銃らしいものを持っているマニアがいる。
・けん銃や実包のようなものを預けられた(暴力団などは厳しい取締りから逃れるため、知り合ったばかりの一般人にまで、けん銃であることを告げずに預ける場合があります)。
 これら、けん銃やその実包などに関する情報は、どんな小さなことでもためらわずに、最寄りの警察署か交番、駐在所へ知らせてください。(警察庁)






 
    <10月8日号の主な予定>
 
 ▽規制緩和推進の現況………………総 務 庁 

 ▽法人企業動向調査…………………経済企画庁 
 



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