官報資料版 平成1029






平成8年度


法人企業統計年報


大 蔵 省


 この調査は、統計法(昭和二十二年法律第一八号)に基づく指定統計第一一〇号として、我が国における金融・保険業を除く営利法人を対象に、企業の決算期における資産、負債及び資本、損益、利益処分等を調査し、企業活動の動向を把握することを目的としている。
 なお、本調査は、標本調査であり(計数等は、標本法人の調査結果に基づいて調査対象法人全体の推計値を算出したもの)、標本法人は層別無作為抽出法により抽出している。
 今回の調査対象法人数等は次のとおりである。
  調査対象法人 二、四六七、八四六社 
  標本法人数  三〇、一三七社 
  回答率    八五・二% 
 当調査結果から平成八年度の企業動向をみると、売上高については、製造業では三年連続で増収となり、非製造業では二年ぶりに減収となった。
 経常利益については、製造業では三年連続で増益となり、非製造業では二年ぶりに減益となった。
 また、設備投資については、製造業は二年連続の増加となり、非製造業も二年連続の増加となった。在庫投資については、製造業は前年度を下回り、非製造業も引き続き前年度を下回った。

一 収益の状況

 (1) 売上高第1表第1図参照

 売上高は、一千四百四十八兆三千八百三十億円であり、前年度(一千四百八十四兆六千九百七十七億円)を三十六兆三千百四十七億円下回った。対前年度増加率(以下「増加率」という。)は△二・四%(前年度三・二%)と二年ぶりに減収となった。
 業種別にみると、製造業の売上高は四百八兆四千五百二十二億円で、増加率は〇・二%(同一・五%)となった。また、非製造業の売上高は一千三十九兆九千三百八億円で、増加率は△三・四%(同三・八%)となった。
 製造業では、「食料品」「繊維」等が減収となったものの、「電気機械」「輸送用機械」等が増収となった。一方、非製造業では、「卸・小売業」「サービス業」等が減収となった。
 資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は五百四十七兆八千二百三十億円で、増加率は三・二%(同四・五%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は二百十五兆一千七百一億円で、増加率は五・七%(同一・四%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は五百二十八兆三千五十八億円で、増加率は△七・〇%(同七・一%)、資本金一千万円未満の階層は百五十七兆八百四十一億円で、増加率は△一三・六%(同△八・八%)となった。

 (2) 営業利益第2表参照

 営業利益は、三十四兆四千百六億円であり、前年度(三十五兆四千八百十億円)を一兆七百四億円下回り、増加率は△三・〇%(前年度七・九%)となった。
 業種別にみると、製造業の営業利益は十四兆六千九百二十億円で、増加率は七・七%(同一五・六%)となった。一方、非製造業の営業利益は十九兆七千百八十六億円で、増加率は△九・七%(同三・六%)となった。
 製造業では、「石油・石炭製品」「食料品」等が減益となったものの、「一般機械」「輸送用機械」「化学」等が増益となった。一方、非製造業では、「運輸・通信業」等が増益となったものの、「不動産業」「卸売・小売業」等が減益となった。
 資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は十九兆五千七百二十三億円で、増加率は七・二%(同九・五%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は四兆四千五百十二億円で、増加率は三・一%(同△〇・三%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は九兆三千九百九十四億円で、増加率は△一九・四%(同四・八%)、資本金一千万円未満の階層は九千八百七十六億円で、増加率は△二一・一%(同六七・九%)となった。

 (3) 経常利益第3表第2図参照

 経常利益は、二十七兆七千八百七十八億円であり、前年度(二十六兆二千六百九十三億円)を一兆五千百八十五億円上回り、増加率は五・八%(前年度二〇・二%)と三年連続の増益となった。
 業種別にみると、製造業の経常利益は十三兆八千八十七億円で、増加率は一五・四%(同二六・四%)となった。また、非製造業の経常利益は十三兆九千七百九十一億円で、増加率は△二・三%(同一五・四%)となった。
 製造業では、「石油・石炭製品」「電気機械」等が減益となったものの、「化学」「一般機械」「輸送用機械」等が大幅な増益となった。一方、非製造業では、「運輸・通信業」「サービス業」などで増益となったものの、「不動産業」で赤字拡大となったほか、「卸売・小売業」などで減益となった。
 資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は十五兆七千八百三億円で、増加率は一三・五%(同二〇・七%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は三兆七千六百二十一億円で、増加率は二一・六%(同九・三%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は七兆四千七百八十億円で、増加率は△一四・五%(同一七・八%)、資本金一千万円未満の階層は七千六百七十三億円で、増加率は四六・三%(同五四四・四%)となった。

 (4) 諸比率第4表参照

 売上高営業利益率は二・四%(前年度二・四%)で、前年度と同水準となり、売上高経常利益率は一・九%(同一・八%)と前年度を〇・一ポイント上回った。
 売上高営業利益率を業種別にみると、製造業は前年度を〇・三ポイント上回り、非製造業は前年度を〇・一ポイント下回った。
 また、売上高経常利益率を業種別にみると、製造業は前年度を〇・五ポイント上回り、非製造業は前年度と同水準であった。

 (5) 利益処分第5表参照

 当期純利益は八兆八千五百九十一億円で、前年度(七兆六千八百十九億円)を一兆一千七百七十二億円上回った(増加率一五・三%)。
 利益処分の構成比をみると、役員賞与は一・七ポイント前年度を下回り、配当金は七・九ポイント前年度を上回ったことから、内部留保は前年度を六・二ポイント下回った。

二 付加価値第6表第3図参照

 付加価値は二百六十九兆七千二百六億円で、前年度(二百七十七兆二千七百三十二億円)を七兆五千五百二十六億円下回った(増加率△二・七%)。
 付加価値の構成比をみると、人件費、動産・不動産賃借料、租税公課は前年と同水準となり、支払利息・割引料は一・三ポイント前年度を下回ったことから、営業純益は前年度を一・二ポイント上回った。
 また、付加価値率は一八・六%と前年度を〇・一ポイント下回り、労働生産性は七百三十四万円で、前年度(七百三十二万円)を二万円上回った。

三 投資の動向

 (1) 設備投資第7表参照

 設備投資額は四十五兆五千九百三十四億円であり、前年度(四十四兆百五十六億円)を一兆五千七百七十八億円上回った(増加率三・六%)。
 業種別にみると、製造業の設備投資額は十四兆三千四百十六億円で、増加率は三・六%(前年度七・六%)となった。また、非製造業の設備投資額は三十一兆二千五百十八億円で、増加率は三・六%(同二・二%)となった。
 製造業では、「電気機械」「食料品」などで減少となったものの、「輸送用機械」「化学」等の業種で増加となった。一方、非製造業では、「電気業」「不動産業」等で減少となったものの、「サービス業」「運輸・通信業」等の業種で増加となった。
 設備投資額を資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は二十五兆一千五百三十三億円で、増加率は九・八%(同一・四%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は六兆八千九百十一億円で、増加率は一八・九%(同一二・九%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は十兆二千二百八十四億円で、増加率は△一一・六%(同五・二%)、資本金一千万円未満の階層は三兆三千二百六億円で、増加率は△一一・一%(同二・六%)となった。

 (2) 在庫投資第8表参照

 在庫投資額は△一兆二千三百七十九億円で、前年度(一兆一千三百十五億円)を二兆三千六百九十四億円下回った。
 業種別にみると、製造業の在庫投資額は六千五百二十億円、非製造業の投資額は△一兆八千八百九十八億円となった。製造業では「鉄鋼」「電気機械」等が減少となり、非製造業では「建設業」「卸売・小売業」等がそれぞれ前年に比べて減少となった。
 在庫投資額を種類別にみると、製品・商品が△二千五百八十八億円、仕掛品が△二兆四百八十二億円、原材料・貯蔵品が一兆六百九十一億円となっている。
 在庫率は九・七%で、前年度(一〇・一%)を〇・四ポイント下回った。

四 資金事情

 (1) 資金関連項目の状況第9表参照

 受取手形・売掛金は前年度比で減少(増加率△七・四%)し、支払手形・買掛金も減少(同△四・一%)となった。
 短期借入金は減少(同△四・六%)し、長期借入金も減少(同△四・一%)となった。また、現金・預金は減少(同△九・五%)し、一時保有の有価証券は増加(同二三・三%)となった。
 手元流動性は一二・二%で、前年度と同水準となった。

 (2) 資金調達の状況第10表参照

 資金調達額は、四十八兆三千四百八十一億円であり、前年度(四十七兆六千八百九十五億円)を六千五百八十六億円上回った。
 外部資金は、増資が増加となったものの、社債、長期借入金、短期借入金が減少したため前年度を下回り、全調達額に占める割合も六・〇%と前年度を一・七ポイント下回った。
 内部資金は、留保利益、減価償却ともに増加したため前年度を上回り、全調達額に占める割合は九四・〇%と上昇した。

五 自己資本比率第11表参照

 自己資本比率は一九・九%で、前年度(一八・九%)を一・〇ポイント上回った。
 業種別にみると、製造業は前年度を一・五ポイント上回り、非製造業も前年度を〇・九ポイント上回った。

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平成八年平均


消費者物価地域差指数の概況


総 務 庁


◇消費者物価地域差指数の概要

 消費者物価地域差指数は、毎月作成している消費者物価指数の副次的統計として、毎年一回作成している。

一 価格資料

 指数計算に用いる価格資料は、小売物価統計調査によって調査された百六十七市町村における小売価格であり、消費者物価指数の場合と同様である。

二 ウエイト

 指数計算に用いるウエイトは、作成年における家計調査の全国平均品目別支出金額であるが、家計調査の集計項目と指数品目との対応は、消費者物価指数の場合と同様である。

三 算 式

 算式は、「基準地域加重相対法算式(ラスパイレス型)」である。

四 作成の範囲

 消費者物価地域差指数は、全国平均の価格を基準(=一〇〇)として全国都市階級(五階級)、地方別(十地方)及び主要都市(都道府県庁所在市、川崎市及び北九州市)について総合指数(持家の帰属家賃を除く。)及び食料指数並びに家賃を除く総合指数を作成している。また、東京都区部基準(=一〇〇)の指数は、これらの指数を東京都区部の指数で除して求めた。

◇平成八年平均消費者物価地域差指数の概況

一 大都市の物価水準は町村に比べ九・八%高い

 平成八年平均消費者物価地域差指数(全国平均=一〇〇)を都市階級別にみると、総合指数(持家の帰属家賃を除く。)は、大都市が一〇五・二、中都市が九九・五、小都市Aが九八・〇、小都市Bが九五・七、町村が九五・八となっており、総じて人口規模が大きい階級ほど物価水準が高く、大都市の指数は町村に比べ九・八%高くなっている。
 大都市と町村の格差を最近十年間でみると、昭和六十二年から平成四年まではおおむね拡大傾向にあり、六十二年は八%台、六十三年から平成三年は九%台、四年から六年は一〇%台となっていたが、七年は九・四%と九%台に縮小し、八年は九・八%とわずかながら拡大となった。

二 関東地方の物価水準が最も高い

 地方別にみると、関東が一〇三・二と最も高く、次いで近畿が一〇一・八、北海道が一〇〇・一で、これら三地方が全国平均を上回っている。
 一方、最も低いのは、沖縄の九五・一で、次いで四国が九五・九、九州が九六・二となっている。

三 物価水準の最も高い東京都区部と最も低い宮崎市の格差は一七・二%

 都道府県庁所在市別にみると、前年に引き続き東京都区部が一一一・七と最も高く、次いで横浜市が一〇八・六、大阪市が一〇七・一、京都市が一〇五・六、浦和市が一〇四・二、神戸市が一〇四・一の順に続いている。
 一方、最も低いのは、前年に引き続き宮崎市の九五・三で、東京都区部との格差は一七・二%となっており、次いで松山市が九六・四、那覇市が九七・〇、大分市及び鳥取市が九七・七、福島市及び高松市が九八・二の順に続いている。

四 食料の物価水準の最も高い東京都区部と最も低い秋田市の格差は一一・〇%

 食料の指数を地方別にみると、関東が一〇二・四と最も高く、次いで近畿が一〇一・八、北陸が一〇〇・七、東海が一〇〇・四、北海道が一〇〇・二で、これら五地方が全国平均を上回っている。
 一方、最も低いのは、東北及び九州の九六・八で、次いで四国が九七・四、中国が九七・七、沖縄が九八・〇となっている。
 また、都道府県庁所在市別にみると、東京都区部が一〇七・六と最も高く、次いで京都市が一〇七・一、大阪市が一〇六・七、横浜市が一〇六・三、福井市が一〇五・〇の順に続いている。
 一方、最も低いのは、秋田市の九六・九で、東京都区部との格差は一一・〇%となっており、次いで鳥取市が九七・〇、山口市が九七・四、福島市、高松市及び佐賀市が九七・八の順に続いている。






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消費者物価指数の動向


―東京都区部(七月中旬速報値)・全国(六月)―


総 務 庁


◇七月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況
(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇一・四となり、前月比は〇・四%の下落。前年同月比は四月一・二%の上昇、五月一・四%の上昇、六月一・八%の上昇と推移した後、七月は一・四%の上昇となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇一・五となり、前月比は〇・二%の下落。前年同月比は四月一・四%の上昇、五月一・六%の上昇、六月一・六%の上昇と推移した後、七月は一・六%の上昇となった。
二 前月からの動き
(1) 食料は一〇一・六となり、前月に比べ一・〇%の下落。
  生鮮魚介は二・二%の下落。
   <値上がり>かれい、あじなど
   <値下がり>いか、かつおなど
  生鮮野菜は七・六%の下落。
   <値上がり>にんじん、きゅうりなど
   <値下がり>レタス、なすなど
  生鮮果物は七・四%の下落。
   <値上がり>グレープフルーツ、レモンなど
   <値下がり>メロン(アンデスメロン)、すいかなど
(2) 光熱・水道は一〇三・八となり、前月に比べ〇・七%の上昇。
  電気・ガス代は一・〇%の上昇。
   <値上がり>都市ガス代など
(3) 被服及び履物は一〇一・四となり、前月に比べ二・六%の下落。
  衣料は二・九%の下落。
   <値下がり>スーツ(夏物)など
(4) 教養娯楽は一〇〇・八となり、前月に比べ〇・七%の下落。
  教養娯楽サービスは〇・七%の下落。
   <値下がり>ゴルフプレー料金など
(5) 諸雑費は一〇三・三となり、前月に比べ〇・三%の上昇。
  理美容サービスは〇・五%の上昇。
   <値上がり>入浴料(大人)など
三 前年同月との比較
 ○上昇した主な項目
 外食(三・九%上昇)、家賃(〇・九%上昇)、教養娯楽サービス(三・二%上昇)、肉類(五・五%上昇)
 ○下落した主な項目
 教養娯楽用耐久財(六・七%下落)、生鮮野菜(四・四%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。
四 季節調整済指数
 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇一・六となり、前月に比べ〇・二%の下落となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇一・五となり、前月と変わらなかった。

◇六月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況
(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇二・四となり、前月と同水準。前年同月比は三月〇・五%の上昇、四月一・九%の上昇、五月一・九%の上昇と推移した後、六月は二・二%の上昇となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇二・三となり、前月比は〇・一%の下落。前年同月比は三月〇・五%の上昇、四月二・〇%の上昇、五月二・一%の上昇と推移した後、六月は二・〇%の上昇となった。
二 前月からの動き
(1) 食料は一〇二・七となり、前月に比べ〇・二%の上昇。
  生鮮魚介は二・二%の下落。
   <値上がり>ぶり、えびなど
   <値下がり>いか、かつおなど
  生鮮野菜は七・三%の上昇。
   <値上がり>レタス、キャベツなど
   <値下がり>トマト、さやいんげんなど
  生鮮果物は二・五%の下落。
   <値上がり>レモン、グレープフルーツなど
   <値下がり>すいか、メロン(アンデスメロン)など
(2) 光熱・水道は一〇五・三となり、前月に比べ〇・四%の上昇。
  上下水道料は一・七%の上昇。
   <値上がり>水道料など
(3) 教養娯楽は一〇〇・七となり、前月に比べ〇・四%の下落。
  教養娯楽用品は一・一%の下落。
   <値下がり>切り花(カーネーション)など
三 前年同月との比較
 ○上昇した主な項目
 家賃(一・六%上昇)、生鮮野菜(一一・四%上昇)、外食(三・二%上昇)、教養娯楽サービス(二・九%上昇)
 ○下落した主な項目
 (特になし)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。
四 季節調整済指数
 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇二・四となり、前月に比べ〇・三%の上昇となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇二・一となり、前月と変わらなかった。





























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消費支出(全世帯)は実質三・二%の増加


―平成九年七月分家計収支―


総 務 庁


◇全世帯の家計

 全世帯の消費支出は、平成九年三月に消費税率引上げを控えた駆け込み需要もあって、大幅な実質増加となった。四月には前月の反動による需要の低下がみられたこともあって、実質減少となり、五月、六月も引き続き実質減少となったが、七月は実質増加となった(第1図第2図第1表参照)。

◇勤労者世帯の家計

 勤労者世帯の実収入は、平成八年八月以降十か月連続の実質増加となった後、九年六月は実質減少となったが、七月は大幅な実質増加となった。
 消費支出は、平成九年四月以降三か月連続の実質減少となったが、七月は実質増加となった(第1図第2表参照)。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は二十九万四百三十九円で、名目四・五%、実質二・六%の増加

◇財・サービス区分別の消費支出

 財(商品)は実質〇・七%の増加
  <耐久財>実質二・六%の減少
  <半耐久財>実質〇・二%の増加
  <非耐久財>実質一・六%の増加
 サービスは実質五・一%の増加





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月例経済報告(十月報告)


経 済 企 画 庁


 概 観

 我が国経済
 需要面をみると、個人消費は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減が薄れつつあるものの、回復テンポは緩やかである。住宅建設は、低金利が継続するなか、消費税率引上げに伴う駆け込み需要により大きく増加した反動もあって、弱い動きとなっている。設備投資は、回復傾向にある。
 産業面をみると、鉱工業生産は、伸びが鈍化し、このところ横ばいで推移している。企業収益は、緩やかに改善している。また、企業の業況判断には、慎重さがみられる。
 雇用情勢をみると、完全失業率が高い水準で推移するなど厳しい状況にあるものの、改善の動きがみられる。
 輸出は、強含みに推移している。輸入は、おおむね横ばいで推移している。国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、増加傾向にある。対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、九月は、おおむね百十九円台から百二十一円台で推移した。
 物価の動向をみると、国内卸売物価、消費者物価ともに、安定している。なお、九月の消費者物価(東京都区部中旬速報値)は、医療保険制度改正の影響等によりやや上昇した。
 最近の金融情勢をみると、短期金利は、九月はおおむね横ばいで推移した。長期金利は、九月はやや低下した。株式相場は、九月は一進一退で推移した。マネーサプライ(M2+CD)は、八月は前年同月比三・二%増となった。
 海外経済
 主要国の経済動向をみると、アメリカでは、景気は拡大している。実質GDPは、一〜三月期前期比年率四・九%増の後、四〜六月期は同三・三%増(確定値)となった。個人消費、設備投資は増加している。住宅投資はこのところ伸びに鈍化がみられる。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大している。物価は安定している。七月の貿易収支赤字は、前月から拡大した。九月の長期金利(三十年物国債)は、上旬に上昇した後、中旬に大幅に低下した。九月の株価(ダウ平均)は、乱高下したが、総じて上昇した。
 西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は緩やかに回復しており、フランスでは、景気は回復している。イギリスでは、景気は拡大している。鉱工業生産は、回復しているが、イギリスでは回復テンポは緩慢である。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準で推移しているが、イギリスでは低下している。物価は安定しているが、イギリスでは上昇率がやや高まってきている。
 東アジアをみると、中国では、景気は拡大している。韓国では、景気は緩やかに減速している。
 国際金融市場の九月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、やや弱含んで推移した。
 国際商品市況の九月の動きをみると、全体では上旬・中旬と弱含みで推移した後、下旬やや強含みで推移した。九月の原油スポット価格(北海ブレント)は、おおむね横ばいで推移し、十八ドル台での動きとなった後、月末には十九ドル台となった。

*     *     *

 我が国経済の最近の動向をみると、設備投資は回復傾向にあり、純輸出は増加傾向にある。また、個人消費は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減が薄れつつあるものの、回復テンポは緩やかである。住宅建設は、低金利が継続するなか、消費税率引上げに伴う駆け込み需要により大きく増加した反動もあって、弱い動きとなっている。こうしたなかで、生産は伸びが鈍化し、このところ横ばいで推移している。以上のように、足元は回復テンポが緩やかになっており、企業の景況感にも慎重さがみられるものの、民間需要を中心とする景気回復の基調は続いている。なお、雇用情勢は厳しい状況にあるものの、改善の動きがみられる。
 政府は、今後とも、景気の回復力を強めその持続性を確保し、中長期的な安定成長につなげていくため、適切な経済運営に努めるとともに、規制緩和をはじめとした各種経済構造改革を推進する。

1 国内需要
―個人消費は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減が薄れつつあるものの、回復テンポは緩やか―

 個人消費は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減が薄れつつあるものの、回復テンポは緩やかである。
 家計調査でみると、実質消費支出(全世帯)は前年同月比で七月三・二%増の後、八月は〇・五%減(前月比〇・八%増)となった。世帯別の動きをみると、勤労者世帯で前年同月比〇・三%減、勤労者以外の世帯では同〇・七%減となった。形態別にみると、耐久財等は減少し、非耐久財は増加となった。なお、消費水準指数は全世帯で前年同月比〇・八%減、勤労者世帯では同〇・四%減となった。また、農家世帯(農業経営統計調査)の実質現金消費支出は前年同月比で五月一・〇%減となった。小売売上面からみると、小売業販売額は前年同月比で七月二・四%減の後、八月は〇・五%減となった。全国百貨店販売額(店舗調整済)は前年同月比で七月一・六%減の後、八月〇・四%増となった。チェーンストア売上高(店舗調整後)は、前年同月比で七月四・一%減の後、八月二・四%減となった。一方、耐久消費財の販売をみると、乗用車(軽を除く)新車新規登録台数は、前年同月比で九月は九・一%減となった。また、家電小売金額は、前年同月比で八月は二・七%増となった。レジャー面を大手旅行業者十三社取扱金額でみると、八月は前年同月比で国内旅行が一・六%増、海外旅行は〇・七%減となった。
 賃金の動向を毎月勤労統計でみると、現金給与総額は、事業所規模五人以上では前年同月比で七月二・二%増の後、八月(速報)は〇・四%減(事業所規模三十人以上では同〇・八%減)となり、うち所定外給与は、八月(速報)は同三・〇%増(事業所規模三十人以上では同三・八%増)となった。実質賃金は、前年同月比で七月〇・三%増の後、八月(速報)は二・五%減(事業所規模三十人以上では同二・九%減)となった。なお、六〜八月合算の特別給与(速報)は、前年同期比〇・一%増(前年は同一・三%増)となった。
 住宅建設は、低金利が継続するなか、消費税率引上げに伴う駆け込み需要により大きく増加した反動もあって、弱い動きとなっている。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で七月七・六%減(前年同月比二七・八%減)となった後、八月は五・六%増(前年同月比一七・五%減)の十万九千戸(年率百三十一万戸)となった。八月の着工床面積(季節調整値)は、前月比六・六%増(前年同月比二一・八%減)となった。八月の戸数の動きを利用関係別にみると、持家は前月比八・二%増(前年同月比三一・九%減)、貸家は同二・一%減(同一二・四%減)、分譲住宅は同二四・二%増(同〇・二%減)となっている。
 設備投資は、回復傾向にある。
 日本銀行「企業短期経済観測調査」(九月調査)により設備投資の動向をみると、主要企業の九年度設備投資計画は、製造業で前年度比八・九%増(六月調査比〇・四%上方修正)、非製造業で同二・五%増(同〇・二%下方修正)となっており、全産業では同四・六%増(同横ばい)となった。また、中堅企業では、製造業で前年度比二・一%増(六月調査比一・五%上方修正)、非製造業で同六・一%減(同二・二%上方修正)となり、中小企業では、製造業で同〇・一%増(同四・六%上方修正)、非製造業で同一二・三%減(同五・六%上方修正)となっている。
 なお、九年四〜六月期の設備投資を、大蔵省「法人企業統計季報」(全産業)でみると、前年同期比で六・八%増(うち製造業二・一%増、非製造業九・〇%増)となった。
 先行指標の動きをみると、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で六月は一〇・六%減(前年同月比五・六%増)の後、七月は五・九%増(同〇・三%増)となり、全体として緩やかな増加傾向にある。なお、当庁「機械受注調査(見通し)」によれば、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、七〜九月期は前期比で二・二%増(前年同期比九・一%増)と見込まれている。民間からの建設工事受注額(五十社、非住宅)をみると、前月比で七月二五・〇%増の後、八月は一七・六%減(前年同月比五・一%減)となった。内訳をみると、製造業は前月比一四・九%減(前年同月比五・四%減)、非製造業は同一三・一%減(同五・〇%減)となった。
 公的需要関連指標をみると、公共投資については、着工総工事費は、前年同月比で六月六・九%増の後、七月は二・六%減となった。公共工事請負金額は、前年同月比で七月〇・六%増の後、八月は七・四%減となった。官公庁からの建設工事受注額(五十社)は、前年同月比で七月二・三%減の後、八月は八・九%減となった。

2 生産雇用
―鉱工業生産は伸びが鈍化し、このところ横ばいで推移―

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、伸びが鈍化し、このところ横ばいで推移している。在庫はこのところ増加している。
 鉱工業生産は、前月比で七月一・七%増の後、八月(速報)は化学、鉄鋼等が増加したものの、輸送機械、一般機械等が減少したことから、二・二%減となった。また製造工業生産予測指数は、前月比で九月は機械、化学等により〇・七%増の後、十月は機械、軽工業等により〇・八%増となっている。鉱工業出荷は、前月比で七月一・〇%増の後、八月(速報)は生産財、耐久消費財等が減少したことから、一・八%減となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で七月〇・五%増の後、八月(速報)は、輸送機械、石油・石炭製品等が減少したものの、電気機械、化学等が増加したことから、〇・二%増となった。また、八月(速報)の鉱工業生産者製品在庫率指数は一一八・八と前月を二・二ポイント上回った。
 主な業種について最近の動きをみると、輸送機械では、生産、在庫ともに八月は減少した。一般機械では、生産は八月は減少し、在庫はこのところ増加している。化学では、生産、在庫ともに八月は増加した。
 農業生産の動向をみると、平成九年産水稲の全国作況指数(九月十五日現在)は、一〇二の「やや良」となっている。
 雇用情勢をみると、完全失業率が高い水準で推移するなど厳しい状況にあるものの、改善の動きがみられる。
 労働力需給をみると、有効求人倍率(季節調整値)は、七月〇・七四倍の後、八月〇・七二倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は、七月一・一五倍の後、八月一・二〇倍となった。雇用者数は、緩やかに増加している。総務庁「労働力調査」による雇用者数は、八月は前年同月比〇・九%増(前年同月差四十七万人増)となった。常用雇用(事業所規模五人以上)は、七月前年同月比〇・九%増(季節調整済前月比〇・〇%)の後、八月(速報)は同〇・九%増(同〇・〇%)となり(事業所規模三十人以上では前年同月比〇・〇%)、産業別には製造業では同〇・四%減となった。八月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差三万人減の二百二十九万人、完全失業率(同)は、七月三・四%の後、八月三・四%となった。所定外労働時間(製造業)は、事業所規模五人以上では七月前年同月比八・三%増(季節調整済前月比〇・〇%)の後、八月(速報)は同四・七%増(同一・二%減)となっている(事業所規模三十人以上では前年同月比四・九%増)。
 前記「企業短期経済観測調査」(全国企業、九月調査)をみると、企業の雇用人員判断は、製造業、非製造業ともに過剰感がやや後退している。
 企業の動向をみると、企業収益は、緩やかに改善している。また、企業の業況判断には、慎重さがみられる。
 前記「企業短期経済観測調査」(九月調査)によると、主要企業(全産業)では、九年度上期の経常利益は前年同期比五・一%の増益(除く電力・ガスでは同四・二%の増益)の後、九年度下期には同六・四%の増益(除く電力・ガスでは同六・〇%の増益)が見込まれている。産業別にみると、製造業では九年度上期に前年同期比一〇・〇%の増益の後、九年度下期には同四・七%の増益が見込まれている。また、非製造業(除く電力・ガス)では九年度上期に前年同期比六・二%の減益の後、九年度下期には同八・九%の増益が見込まれている。売上高経常利益率は、製造業では九年度上期に三・九八%になった後、九年度下期は四・四八%と見込まれている。また、非製造業(除く電力・ガス)では九年度上期に一・六〇%となった後、九年度下期は一・六一%と見込まれている。こうしたなかで、企業の業況判断をみると、製造業では「良い」超幅が縮小し、非製造業では「悪い」超幅が拡大した。
 また、中小企業の動向を同調査(全国企業)でみると、製造業では、経常利益は九年度上期には前年同期比一・九%の増益の後、九年度下期には同五・〇%の増益が見込まれている。また非製造業では、九年度上期に前年同期比二四・六%の減益の後、九年度下期には同七・四%の増益が見込まれている。こうしたなかで、企業の業況判断をみると、製造業、非製造業とも「悪い」超幅が拡大した。
 企業倒産の状況をみると、件数は、前年の水準を上回る傾向にある。
 銀行取引停止処分者件数は、八月は九百五十四件で前年同月比一七・一%増となった。業種別に件数の前年同月比をみると、小売業で一七・三%、建設業で三一・一%の増加となる一方、製造業で八・〇%の減少となった。

3 国際収支
―貿易・サービス収支の黒字は増加傾向―

 輸出は、強含みに推移している。
 通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で七月三・二%増の後、八月は〇・一%減(前年同月比八・九%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、輸送用機器等が増加し、一般機械等が減少した。同じく地域別にみると、EU等が増加し、アジア等が減少した。
 輸入は、おおむね横ばいで推移している。
 通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で七月七・三%増の後、八月は八・九%減(前年同月比一・一%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、鉱物性燃料、製品類(繊維製品)等が減少した。同じく地域別にみると、アジア、中近東等が減少した。
 通関収支差(季節調整値)は、七月に七千二百七十七億円の黒字の後、八月は一兆七百八十億円の黒字となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、増加傾向にある。
 七月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が縮小し、サービス収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、四千三百三十八億円となった。また、経常収支(季節調整値)は、経常移転収支の赤字幅が縮小したものの、貿易・サービス収支及び所得収支の黒字幅が縮小したため、その黒字幅は縮小し、九千三百十五億円となった。投資収支(原数値)は、一兆二千五百四十億円の赤字となり、資本収支(原数値)は、一兆二千九百六十四億円の赤字となった。
 九月末の外貨準備高は、前月比十六億八千万ドル増加して二千二百五十五億七千万ドルとなった。
 外国為替市場における対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、九月は、おおむね百十九円台から百二十一円台で推移した。一方、対マルク相場(インターバンク十七時時点)は、九月は、月初の六十六円台から一時六十五円台に上昇したものの、その後下落し六十七円台から六十八円台で推移した。

4 物 価
―安 定―

 国内卸売物価は、安定している。
 八月の国内卸売物価は、化学製品(ソーダ灰)等が上昇したものの、石油・石炭製品(燃料油)等が下落したことから、前月比〇・二%の下落(前年同月比一・八%の上昇)となった。なお、前記「企業短期経済観測調査」(主要企業、九月調査)によると、製品需給バランスは、幾分引緩み方向の動きとなっている。輸出物価は、契約通貨ベースで下落したものの、円安から円ベースでは前月比一・一%の上昇(前年同月比一・二%の上昇)となった。輸入物価は、契約通貨ベースで下落したものの、円安から円ベースでは前月比〇・六%の上昇(前年同月比五・四%の上昇)となった。この結果、総合卸売物価は、前月比保合い(前年同月比二・一%の上昇)となった。
 九月上中旬の動きを前旬比でみると、国内卸売物価は上旬、中旬ともに保合い、輸出物価は上旬が一・二%の上昇、中旬が〇・二%の上昇、輸入物価は上旬が〇・八%の上昇、中旬が保合い、総合卸売物価は上旬が〇・二%の上昇、中旬が保合いとなっている。
 企業向けサービス価格は、八月は前年同月比一・六%の上昇(前月比保合い)となった。
 商品市況(月末対比)は石油等は下落したものの、非鉄等の上昇により九月は上昇した。九月の動きを品目別にみると、C重油等は下落したものの、すず地金等が上昇した。
 消費者物価は、安定している。なお、九月(東京都区部中旬速報値)は医療保険制度改正の影響等によりやや上昇した。
 全国の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で七月二・〇%の上昇の後、八月は一般生鮮商品の上昇幅の拡大等により、二・一%の上昇(前月比〇・一%の下落)となった。なお、総合は、前年同月比で七月一・九%の上昇の後、八月は二・一%の上昇(前月比〇・一%の上昇)となった。
 東京都区部の動きでみると、生鮮食品を除く総合は、前年同月比で八月一・八%の上昇の後、九月(中旬速報値)は公共料金(広義)の上昇幅の拡大等により二・三%の上昇(前月比〇・八%の上昇)となった。なお、総合は、前年同月比で八月一・六%の上昇の後、九月(中旬速報値)は二・一%の上昇(前月比〇・七%の上昇)となった。

5 金融財政
―長期金利は史上最低を更新―

 最近の金融情勢をみると、短期金利は、九月はおおむね横ばいで推移した。長期金利は、九月はやや低下した。株式相場は、九月は一進一退で推移した。マネーサプライ(M2+CD)は、八月は前年同月比三・二%増となった。
 短期金融市場をみると、オーバーナイトレート、二、三か月物ともに、九月はおおむね横ばいで推移した。
 公社債市場をみると、国債流通利回りは、九月はやや低下した。なお、国債指標銘柄流通利回り(東証終値)は、九月二十九日に一・八六五%となり史上最低を更新した。
 国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、八月は短期は〇・〇六六%低下し、長期は〇・〇九四%低下したことから、総合では前月比で〇・〇七六%低下し一・八八三%となった。
 マネーサプライ(M2+CD)の月中平均残高を前年同月比でみると、八月(速報)は三・二%増となった。また、広義流動性でみると、八月(速報)は三・五%増となった。
 企業金融の動向をみると、金融機関の貸出平残(全国銀行)は、八月(速報)は前年同月比〇・二%減と十一か月連続で前年水準を下回った。九月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が一千三十億円となる一方、国内公募事業債の起債実績は六千億円となった。
 前記「企業短期経済観測調査」(主要企業、九月調査)によると、資金繰り判断の「楽である」超幅はわずかながら縮小し、手元流動性は緩やかに低下している。また、金融機関の貸出態度の「緩い」超幅は縮小している。
 株式市場をみると、日経平均株価は、九月は一進一退で推移した。

6 海外経済
―ヨーロッパ、景気回復進む―

 主要国の経済動向をみると、アメリカでは、景気は拡大している。実質GDPは、一〜三月期前期比年率四・九%増の後、四〜六月期は同三・三%増(確定値)となった。個人消費、設備投資は増加している。住宅投資はこのところ伸びに鈍化がみられる。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大している。雇用者数(非農業事業所)は七月前月差三十六万五千人増の後、八月は同四万九千人増となった。失業率は八月四・九%となった。物価は安定している。八月の消費者物価は前月比〇・二%の上昇、八月の生産者物価(完成財総合)は同〇・三%の上昇となった。七月の貿易収支赤字は、前月から拡大した。九月の長期金利(三十年物国債)は、上旬に上昇した後、中旬に大幅に低下した。九月の株価(ダウ平均)は、乱高下したが、総じて上昇した。
 西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は緩やかに回復しており、フランスでは、景気は回復している。イギリスでは、景気は拡大している。四〜六月期の実質GDPは、ドイツでは前期比年率四・一%増、フランスでは同四・〇%増、イギリスでは同四・〇%増となった。鉱工業生産は、回復しているが、イギリスでは回復テンポは緩慢である(鉱工業生産は、ドイツ八月前月比三・二%減、フランス六月同〇・一%減、イギリス七月同〇・六%増)。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準で推移しているが、イギリスでは低下している(八月の失業率は、ドイツ一一・六%、フランス一二・五%、イギリス五・三%)。物価は安定しているが、イギリスでは上昇率がやや高まってきている(八月の消費者物価上昇率は、ドイツ前年同月比二・一%、フランス同一・五%、イギリス同三・五%)。
 東アジアをみると、中国では、景気は拡大している。物価上昇率は、低下している。貿易収支は、大幅な黒字が続いている。韓国では、景気は緩やかに減速している。失業率は、低下傾向となってきている。物価上昇率は、このところ低下している。貿易収支は、赤字幅が縮小している。
 国際金融市場の九月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、やや弱含んで推移した(モルガン銀行発表の米ドル名目実効相場指数(一九九〇年=一〇〇)九月三十日一〇五・九、八月末比〇・七%の減価)。内訳をみると、九月三十日現在、対円では八月末比〇・四%減価、対マルクでは同二・八%減価した。
 国際商品市況の九月の動きをみると、全体では上旬・中旬と弱含みで推移した後、下旬やや強含みで推移した。九月の原油スポット価格(北海ブレント)は、おおむね横ばいで推移し、十八ドル台での動きとなった後、月末には十九ドル台となった。
 

灯台記念日について


 十一月一日は、灯台記念日です。
 我が国における西洋技術に基づく灯台の建設は、明治元年から始まり、今年は、数えて百二十九年目に当たります。この間、灯台の光は、数知れぬ船の航海の安全を見守り続けてきました。
 明治期における灯台は、イギリス、フランス等から政府が雇い入れた技術者によって建設されました。灯台建設の技術は、当時、多方面にも大いに活用され、我が国における近代建築及び近代科学の発展に大いに寄与したばかりでなく、多くの外国船を来航させることとなり、これによって外国との交易が増え、日本における近代文化導入に多大に貢献しました。
 このように灯台は、日本における近代文化の象徴であり、また、先駆けでもあったとの認識から、海上保安庁では昭和二十四年に、文化の日(十一月三日)の前、十一月一日を「灯台記念日」と定め、永い歴史を有する航路標識事業を支えてきた先人の偉業をしのぶとともに、航路標識事業の周知を図ることにしました。
 海上保安庁では「灯台記念日」に当たり、全国各地で灯台の一般公開を実施したり、航路標識の灯火等の監視を続けている看守補助員の方や、航路標識の定期点検のための船舶を提供してくださっている用船従事者の方など、永年にわたり航路標識業務に協力してきた方への海上保安庁長官表彰の伝達などの行事を行ったりしています。また、永年にわたり航路標識の管理に携わってきた航路標識職員が夫人同伴で、皇居において、天皇・皇后両陛下への拝謁を賜ります。(海上保安庁)
 

住宅防火診断のすすめ


 住宅防火診断は、住宅火災による死者の発生を防止するために、過去の火災事例を踏まえ、住宅の防火安全性の現状評価と、防火安全性を改善するために防火対策を実施した場合の効果を、それぞれパソコンを用いて数値で表し、居住者に住宅の防火対策を認識できるようにしたものです。
 具体的には、家族構成や火気の管理状況、火気使用器具等の安全度、内装等の不燃化や衣類・布団類の防炎化、火災警報器・消火装置の設置状況等を分析することにより、火災が発生した場合に死者が発生する危険性を数値化します。この数値が大きいほど、死者が発生する危険性が小さいことを意味します。
 ふだん目には見えない安全性を数値化することにより客観視できますので、我が家の“弱点”を具体的に知ることで、効果的な対処方法がわかり、住宅の防火安全性向上の一つの指針となります。

▽住宅防火診断の受け方

 住宅防火診断は、消防機関により無料で行われています。消防署員が各家庭を訪問し、その場でパソコンを用いて実施したり、消防署で行っている防火講習会やイベント等を通して実施したりと、消防機関により地域性を考慮し、様々に工夫して実施されています。
 秋(十一月上旬)と春(三月上旬)の全国火災予防運動の期間中には、各消防署において様々なイベントが開催されていますので、期間中にイベントに参加し、一度は住宅防火診断を受けて、我が家の防火安全性を確認してみてください。
 なお、実施方法など、詳しくは最寄りの消防署にお問い合わせください。(消防庁)






 
    <11月5日号の主な予定>
 
 ▽平成九年度学校基本調査…………文 部 省 

 ▽毎月勤労統計調査…………………労 働 省 
 



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