官報資料版 平成1012





平成9年版


働く女性の実情


労 働 省


 労働省女性局では、毎年、働く女性に関する動きを取りまとめ、「働く女性の実情」として紹介している。
 今回は、「T 平成八年の働く女性の状況」で、平成八年における働く女性の実態とその特徴を明らかにするとともに、「U 職業生活と家庭生活との両立のための課題」では、近年、少子・高齢化の加速及び核家族化等、勤労者家族を取り巻く状況が変化していることから、少子・高齢化、核家族化の進展について実態を整理し、育児や家族介護を担う労働者や、このような労働者を雇用する企業の現状を踏まえつつ、今後の職業生活と家庭生活との両立のための施策の在り方について考察した。

<概 要>

T 平成八年の働く女性の状況

 平成八年の労働経済面では、年央には完全失業率が過去最高になるなど、雇用情勢は厳しい状況で推移した。
 働く女性の状況については、労働力率の伸びの鈍化、完全失業率の上昇等、雇用情勢は厳しい状況で推移したが、新規求人の増加幅の拡大、雇用者数の増加幅の拡大等の改善の動きもみられた。

一 就業、雇用の状況

 (一) 労働力人口
 平成八年の女性の労働力人口(就業者+完全失業者)は二千七百十九万人で、前年に比べ十八万人増加(前年比〇・七%増)し、前年(七年は七万人、〇・三%増)より増加数、増加率ともに拡大した。しかし、労働力率は五〇・〇%と、前年と同率にとどまった(第1表参照)。
 年齢階級別の女性の労働力率をみると、二十〜二十四歳で〇・三%ポイント減、六十〜六十四歳層で〇・七%ポイント減と、若年層と高年齢層で低下している。一方、M字の底である三十〜三十四歳層が一・一%ポイント増(十年間で四・八%ポイント増)と、上昇幅が比較的大きかった(第1図参照)。

 (二) 非労働力人口
 女性の非労働力人口は二千七百十二万人と、前年に比べ十四万人増加した。
 特に家事専業者の増加数二十五万人のうち、六十五歳以上の家事専業者が二十二万人と、増加が大きい。

 (三) 就業者
 女性の就業者数は、前年に比べ、平成八年は十三万人増加した。
 自営業主及び家族従業者の減少が続く一方、雇用者は増加を続けている(第2表参照)。

 (四) 完全失業者
 女性の完全失業者数は九十一万人で、前年に比べ四万人増となった。
 完全失業率は十五〜十九歳層、二十〜二十九歳層の若年層を中心に上昇し、全体では三・三%(男性三・四%)と、前年より〇・一%ポイント上昇し、過去最高水準を示した(第2図参照)。

 (五) 雇用者
 雇用者数は五千三百二十二万人で、そのうち女性は二千八十四万人と、前年に比べ三十六万人増加(前年比一・八%増)し、増加幅が六年ぶりに拡大した。
 また、雇用者総数に占める女性の割合も、三九・二%と、前年に比べ〇・三%ポイント上昇した。
 産業別には、サービス業での増加率が顕著であり、前年と比較して、二十五万人増加(前年比三・六%増)したが、金融・保険業、不動産業は平成四年以降横ばいであったのが、八年は前年より四万人減少(同三・三%減)した(第3表参照)。
 企業規模別では、前年に比べ一〜二十九人規模、三十〜九十九人規模で、それぞれ十三万人増加(前年比一・八%増、三・八%増)、百〜四百九十九人規模で十一万人(同三・二%増)増加したが、五百人以上規模では五万人減少(同一・二%減)している(第4表参照)。
 この傾向は男性についても同様であり、景気回復のテンポが緩やかな中で、大企業でのリストラなどの動きが顕著であることがうかがわれる結果となっている。

二 労働市場の状況

 (一) 求人・求職状況
 平成八年の新規求人倍率は、一・一九倍(七年一・〇六倍)、有効求人倍率は〇・七〇倍(同〇・六三倍)と、それぞれ六年ぶり、五年ぶりに上昇に転じ、労働力需給にやや改善の動きがみられた。パートタイム労働者を除く一般労働市場の動きをみると、新規求人数は月平均で四十万六千七百七十人で、前年に比べ九・五%増と、前年の伸び率を大幅に上回った。
 一方、新規求職者数は、月平均三十八万三百二十九人で、五年ぶりに減少し、その結果、新規求人倍率は一・〇七倍(七年〇・九七倍)と、再び一倍台に回復した。
 パートタイム労働市場では、新規求人数は前年に比べ二〇・七%増と、前年の増加幅(一四・二%増)に比べ、大幅に拡大した。
 新規求職者は、前年より三・七%増加したが、新規求人数の増加幅が大きいため、新規求人倍率は一・九二倍と、前年より〇・二七ポイント上昇した。

 (二) 新規学卒者の就職状況
 平成九年三月の女性の新規学卒就職者数に占める大学卒業者の割合(二七・八%)は上昇したが、短期大学卒業者の割合は、前年に引き続き低下している。
 女性の高等学校卒業者の就職率は二一・三%(八年二一・九%)と、進学率の上昇に伴い年々低下しているが、女性の短期大学卒業者の就職率は六八・九%(同六六・五%)と、前年に比べ二・四%ポイント上昇した。また、女性の大学卒業者の就職率は、六四・九%(同六三・五%)となり、前年に比べ一・四%ポイント増と、六年ぶりに増加に転じた(第5表参照)。
 このように、女性の短期大学卒業者や大学卒業者の就職状況は、改善の兆しがみられた。

三 労働条件の状況

 女性一般労働者のきまって支給する現金給与額は、二十二万一千三百円(前年比一・七%増)で、伸び率は前年と同程度であったが、対前年上昇率は、男性(同一・三%増)に比べ、女性の方が高かった(第3図参照)。
 女性の新規学卒就職者の初任給は、大卒事務系で〇・四%の減少に転じたほか、中学校卒業者を除く新卒就職者の初任給は、依然低い上昇率となっている。
 また、労働時間は、女性の常用労働者一人平均月間総実労働時間が一四三・五時間と、前年より〇・五時間の増加となった。

四 パートタイム労働者の状況

 女性の短時間雇用者数(週間就業時間が三十五時間未満の非農林業)は六百九十二万人(短時間雇用者総数の六八・二%)で、前年に比べ六十万人増加(前年比九・五%増)と大幅に増加した(第4図参照)。
 また、女性の非農林業雇用者に占める短時間雇用者の割合は三四・〇%(七年三一・六%)と、二・四%ポイント上昇した。
 女性のパートタイム労働者の平均勤続年数は、五・〇年で、前年と同じであった。産業別には、製造業が六・四年と最も長くなっている。女性のパートタイム労働者の一時間当たりの所定内給与額は八百七十円で、前年に比べ一・九%上昇した。

U 職業生活と家庭生活との両立のための課題

一 職業生活と家庭生活とを取り巻く現状

 (一) 少子・高齢化の進行
 平成八年の我が国の合計特殊出生率は一・四三であり、史上最低を記録した平成七年の一・四二から横ばい状態にある。このような出生率の低下は、先進諸国に共通の現象である。出生率の低下の要因としては、未婚率の上昇が考えられる。
 出生率の低下もあり、高齢化の一層の加速が見込まれている。

 (二) 家庭の変化
 一世帯当たりの平均人員が減少し、三世代同居世帯が減少している。さらに、共働き世帯の増加や離婚の増加がみられる(第5図参照)。
 また、家庭の機能について、「子供中心」、「子育て」から「夫婦中心」、「心の安らぎ」と考える者の割合が増えている。

二 職業生活と家庭生活との両立をめぐる労働者の実情

 (一) 育児期の女性の就業
 三世代同居の場合に、妻が就業している世帯の割合が高くなっている。これは、夫婦以外にも育児の援助を行う者が同居していることで、出産後も女性が働きながら子供を育てることを容易にしていると考えられる(第6図参照)。

 (二) 地域別にみた女性の年齢階級別労働力率
 地域別に女性の年齢階級別労働力率をみると、一般にM字型カーブを描いているが、その形は地域によってかなり異なっている。特に北陸地域は、育児期も労働力率が高く、年齢階級別労働力率のカーブは、ほぼ台形となっている(第7図参照)。

 (三) 性別役割分担意識の変化、男性の家庭生活への関与
 「男は仕事、女は家庭」といった性別役割分担意識から、「男も女も働き、家庭(生活)を担う」ライフスタイルへと、意識は変化しつつある(第6表参照)。
 しかし、実際の男性の家庭生活への関与は極めて少ない。

 (四) 仕事と育児との両立で困っていること
 仕事と育児との両立で困っていることとしては「病気の時に預かってもらえない」、「費用が高い」、「時間の融通がきかない」などとなっている。
 仕事と育児との両立に必要な施策としては、保育サービスについては「保育施設の時間延長、休日保育」、「保育に要する経費等の援助」、「保育施設の整備・拡充」など、職場環境については「勤務時間についての配慮」、「事業所内託児施設」などがあげられている(第8図参照)。

 (五) 仕事と介護との両立
 家族の介護が必要となったときに、仕事の面で何らかの対応をしているのは女性に多く、年次有給休暇や介護休業制度の利用が多い。
 仕事と介護との両立に必要な施策としては、「家族看護休暇制度」、「フレックスタイム制度」、「短時間勤務制度」など、休暇制度・労働時間に関するものや、「介護費用の助成」、「転勤への配慮」などがあげられている(第9図参照)。

三 職業生活と家庭生活との両立をめぐる企業の実情

 (一) 育児休業制度
 育児休業制度は、平成七年四月からすべての事業主の義務となっている。育児休業制度を就業規則等に規定している事業所は六〇・八%である。
 育児休業取得者は、出産した女性の四四・五%、妻が出産した男性の〇・一六%(妻が専業主婦である男性を含む。)であり、全体の約六割が六か月以上休業している(第10図参照)。

 (二) 介護休業制度
 介護休業制度は、平成十一年四月からすべての事業主の義務となるが、それまでの間にできるだけ早く制度を導入することが、事業主の努力義務とされている。介護休業制度を導入している事業所は二三・四%である。
 介護休業取得者の男女比は、女性八一・三%、男性一八・七%であり、全体の七割強が三か月未満の休業期間となっている(第11図参照)。

 (三) 勤務時間短縮等の措置
 育児のための勤務時間短縮等の措置は、平成七年四月からすべての事業主の義務となっている。
 介護のための勤務時間短縮等の措置は、現在は努力義務となっており、平成十一年四月からすべての事業主の義務となる。
 育児のための勤務時間短縮等の措置を導入している事業所は四一・二%であり、「短時間勤務制度」六〇・〇%、「所定外労働の免除」四八・八%、「始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ」四三・七%などとなっている。
 介護のための勤務時間短縮等の措置を導入している事業所は九・二%であり、「短時間勤務制度」八一・二%、「始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ」三六・三%、「フレックスタイム制度」一六・八%などとなっている。

 (四) 再雇用制度
 再雇用制度がある事業所は二〇・七%であり、そのうち実際に再雇用された労働者がいた事業所は一二・一%である。

 (五) 家族看護休暇制度
 家族看護休暇制度がある事業所は八・二%であり、そのうち実際に休暇を取得した者がいた事業所は二四・一%である。休暇期間は九割弱が一週間未満となっている。

 (六) その他、転勤への配慮など
 配偶者がいる労働者のうち、平成七年一年間に転勤になった者は十三万人で、そのうち単身赴任者は四万人である。
 転勤に配慮した雇用管理制度である「限定勤務制度」や「転勤一時免除制度」を実施している企業もあるが、いずれもまだ少数にとどまっている。

四 まとめ

 我が国の出生率は低下を続けており、既婚者の出生児数は、既婚者が理想と考えている子供の数を下回っている。子供を生む生まないは個人の選択の問題だが、「理想の子供数を生みたくても生めない」状況については、積極的に改善していく必要がある。
 また、急速な高齢化の中で、今後、介護を必要とする高齢者の増加が見込まれ、少なくない労働者が家族の介護と仕事との両立の問題に直面することとなる。家族の介護を行いながら働き続けることができる環境の整備が急務である。
 さらに、「家庭」の姿も変化してきている。育児などの支援が得やすい三世代同居世帯は減少の一途をたどっている。少子・高齢化、核家族化等が進む中で、今後は、これまで三世代同居世帯で行われてきたような、育児、介護を相互の協力で支え合うという仕組みを、社会的な支援システムとして整備し、育児や介護を行う労働者が職業生活と家庭生活とを両立しやすい環境をつくることが必要である。
 法制度の整備については、育児休業制度は平成七年度からすべての事業主の義務となっており、介護休業制度は平成十一年度からすべての事業主の義務になる。しかし、中小企業を中心に就業規則の整備が遅れており、制度の普及・定着が急務である。
 また、休業せずに働き続ける労働者のための勤務時間短縮等の措置も、事業主の義務とされているが、企業の取組は休業制度以上に遅れており、一層の普及・定着が急務である。
 行政による支援施策については、現在の様々な両立支援施策を充実させていく必要がある。特に、育児の援助を行う者と育児の援助を受けたい者からなる会員組織である「ファミリー・サポート・センター」は、地域に根ざした利用しやすい子育て支援活動として、より一層の発展が期待される。
 また、保育所について、利用したい者すべてが利用できる体制づくり、延長保育や病児保育など多様なニーズに対応できる体制づくりが急務である。さらには、事業所内託児施設の設置や、学童保育の多様かつ柔軟な運営、子育てに伴う家計の負担の軽減も必要である。
 介護については、介護を必要とする者すべてが介護サービスを受けられるよう、介護サービスの基盤整備が急務である。
 さらに、各企業においても、育児・介護休業制度、勤務時間短縮等の措置などの就業規則の整備を迅速に進めるとともに、転勤への配慮など、家族的責任を担う労働者の家庭の事情に配慮した雇用管理制度や、福利厚生制度面での工夫が求められている。また、仕事と家庭とを両立しやすい職場の雰囲気づくりも求められている。
 最後に、男女がともに家族的責任を担う社会をつくっていくためには、男性の意識をはじめ、社会全体の意識が変わり、男性の家庭参加が一層進むことが必要である。性別役割分担意識は変化しつつあるが、実際の男性の家庭生活への関与は極めて少ない。男女がともに仕事も家庭も充実した生活を送れる社会づくりに、男性をはじめ社会全体で取り組むことが緊急の課題である。

<参 考> 主な用語の定義

○育児休業制度
 「育児休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下「育児休業法」という。)に規定する子を養育するために休業する制度をいう。育児休業法では、育児休業制度の規定の有無にかかわらず、労働者が育児休業の申出をした場合に、事業主は原則としてこれを拒むことができないこととされている。

○育児のための勤務時間短縮等の措置
 労働者が就業しつつ子を養育することを容易にするための措置をいう。育児休業法では、事業主は、「短時間勤務制度」、「フレックスタイム制度」、「始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ」、「所定外労働をさせない制度」、「託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与」のいずれかの措置を講ずることとされている。

○介護休業制度
 家族の介護のために一定期間休業する制度をいう。なお、平成十一年四月一日から、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下「育児・介護休業法」という。)の施行により、介護休業制度は一律に事業主の義務とされる。

○介護のための勤務時間短縮等の措置
 労働者が就業しつつ家族を介護することを容易にするための措置をいう。
 育児・介護休業法では、事業主は、「短時間勤務制度」、「フレックスタイム制度」、「始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ」、「労働者が利用する介護サービスの費用助成その他これに準ずる制度」のいずれかの措置を講ずることとしている。

○再雇用制度
 育児、介護等により退職した者を再び自社に雇い入れる制度をいい(パートタイム労働者として再雇用された場合を含む。)、企業グループで実施しているものを含む。

○家族看護休暇制度
 家族等の短期間の傷病に関してその看護のために一日単位(又は半日・時間単位)の休暇を認める制度をいう。


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今年の新成人は百七十四万人


総 務 庁


 総務庁統計局では、「成人の日」にちなんで、新成人人口を公表した。その概要は次のとおりである。

一 新成人人口は百七十四万人、総人口の一・四%

 この一年間に、新たに成人に達した人口(平成十年一月十五日現在二十歳の人口)は、推計で百七十四万人(総人口一億二千六百十四万人に占める割合一・四%)となっている。
 男女別にみると、男子は八十九万人、女子は八十五万人で、男子が四万人多くなっている。

二 減少を続ける新成人人口

 新成人人口の推移をみると、第一次ベビーブーム期(昭和二十二年から二十四年)に生まれた人が成人に達した昭和四十三年から四十五年にかけて二百四十万人前後を記録したが、その後減少に転じ、昭和五十三年には百五十二万人と最高値の約三分の二に減少した。
 昭和五十年代後半以降、新成人人口は増加傾向で推移し、第二次ベビーブーム期(昭和四十六年から四十九年)に生まれた人が成人に達した平成四年から七年は再び二百万人前後となったが、平成六年の二百六万人をピークに減少に転じ、今年は昨年より八万人少ない百七十四万人となっている。
 この新成人人口は、今後も減少を続け、平成十二年(二〇〇〇年)には百六十万人程度となり、十七年(二〇〇五年)には百五十万人を下回り、二十二年(二〇一〇年)以降には百二十万人前後になるものと見込まれる。
 (注) 数値は万人単位に四捨五入してあるので、男女の合計は必ずしも総数に一致しない。なお、総人口に占める新成人人口の割合は、それぞれ万人単位の数値で算出した。





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景気予測調査


―平成九年十一月調査―


大 蔵 省


<はじめに>
 大蔵省では、企業経営の現状と見通しを調査し、景気の動向を的確に把握することを目的として、金融・保険業を除く資本金一千万円以上(電気業、ガス・水道業は資本金十億円以上)の営利法人約百十一万社のうち約一万一千社を対象として、四半期ごとに大蔵省景気予測調査を実施している。
 以下は、平成九年十一月に実施した第五十九回調査結果の概要である。今回の調査では一万一千四十五社を対象とし、九千百五社(回収率八二%)から回答を得ている。
 なお、本調査における大企業とは資本金十億円以上の企業を、中堅企業とは資本金一億円以上十億円未満の企業を、中小企業とは資本金一千万円以上一億円未満の企業をいう。

 景 況第1表第1図参照

 九年十〜十二月期の景況判断BSI(前期比「上昇」−「下降」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも引き続き「下降」超となっている。
 先行きを全産業でみると、大企業は十年四〜六月期に「上昇」超に転じる見通しとなっている。一方、中堅企業、中小企業は「下降」超の見通しとなっている。
 九年十〜十二月期の景況判断「下降」の要因(一社二項目以内回答)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「国内景気の下降」が最も多く、次いで「市況の下落、低迷」の順となっている。
 先行きの大企業の景況判断「上昇」の要因についてみると、「市況の上昇、回復」が最も多く、次いで「消費者(利用者)ニーズ・志向の変化」の順となっている。中堅企業、中小企業の景況判断「下降」の要因についてみると、いずれも「国内景気の下降」及び「市況の下落、低迷」をあげる企業が多い。

 売上高第2表参照

 九年度下期の売上高は、全産業合計で前年比一・五%の減収見込みとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業は増収見込み、中小企業は減収見込みとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、電気機械器具などが増収となるものの、金属製品、輸送用機械器具などが減収となり、全体では〇・三%の減収見込みとなっている。
 非製造業では、運輸・通信などが増収となるものの、卸売・小売、建設などが減収となり、全体では二・〇%の減収見込みとなっている。サービス業(新産業分類)についてみると、コンピュータ・サービスなど多くの業種が増収となり、全体では〇・四%の増収見込みとなっている。
 九年度通期の売上高は、全産業合計で前年比〇・八%の減収見込みとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業は増収見込み、中小企業は減収見込みとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、木材・木製品などが減収となるものの、電気機械器具、その他製造など多くの業種が増収となり、全体では一・七%の増収見込みとなっている。
 非製造業では、運輸・通信などが増収となるものの、卸売・小売、建設などが減収となり、全体では一・六%の減収見込みとなっている。サービス業(新産業分類)についてみると、コンピュータ・サービス、広告など多くの業種が増収となり、全体では〇・三%の増収見込みとなっている。

 経常損益第3表第4表参照

 九年度下期の経常損益は、全産業合計で前年比七・七%の減益見込みとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業は増益見込み、中堅企業、中小企業は減益見込みとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、一般機械器具などが増益となるものの、その他製造、輸送用機械器具などが減益となり、全体では、四・六%の減益見込みとなっている。
 非製造業では、不動産などが増益となるものの、建設、卸売・小売などが減益となり、全体では九・八%の減益見込みとなっている。サービス業(新産業分類)についてみると、放送などが減益となるものの、リース、コンピュータ・サービスなど多くの業種が増益となり、全体では六・四%の増益見込みとなっている。
 九年度通期の経常損益は、全産業合計で前年比六・三%の減益見込みとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業は増益見込み、中堅企業、中小企業は減益見込みとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、パルプ・紙・紙加工品などが減益となるものの、一般機械器具、電気機械器具などが増益となり、全体では二・五%の増益見込みとなっている。
 非製造業では、不動産などが増益となるものの、建設、卸売・小売などの業種が減益となり、全体では一二・二%の減益見込みとなっている。サービス業(新産業分類)についてみると、コンピュータ・サービス、リースなどが増益となるものの、放送などが減益となり、全体では三・九%の減益見込みとなっている。
 九年度下期の経常損益見込みを八年度下期と比べると、改善、悪化企業割合では、製造業、非製造業ともに悪化企業割合が高い。
 次に、改善要因としては、製造業、非製造業ともに、「売上数量増」をあげる企業が最も多く、次いで、「人件費減」の順となっている。
 一方、悪化要因としては、製造業、非製造業ともに、「売上数量減」をあげる企業が最も多く、次いで、製造業では「製品・サービス価格低下」、非製造業では「人件費増」の順となっている。

 中小企業の設備投資第5表参照

 設備投資については中小企業のみを調査対象としている。今回の調査における九年度設備投資計画を前年度比でみると、土地購入費を含む場合(以下「含む」という)で一・三%増、除く場合(以下「除く」という)で一〇・八%増となっている。また、前回調査時に比べ、「含む」で八・六%ポイント、「除く」で一四・七%ポイントの上方修正となっている。
 業種別にみると、製造業では、食料品、窯業・土石製品などが減少となっているものの、金属製品、出版・印刷、輸送用機械器具などが増加となっており、全体では「含む」で三五・四%増、「除く」で三七・八%増となっている。非製造業では、個人サービス、映画・娯楽などが増加となっているものの、卸売・小売、不動産、事業所サービスなどが減少となっており、全体では「含む」で一三・九%減、「除く」で四・〇%減となっている。
 九年十二月末時点の設備判断BSI(期末判断「不足」−「過大」社数構成比・季節調整済)をみると、全産業は引き続き「不足」超となっている。業種別では、製造業、非製造業ともに引き続き「不足」超となっている。
 先行きについては、全産業は引き続き「不足」超の見通しとなっている。業種別では製造業、非製造業とも引き続き「不足」超の見通しとなっている。

 中小企業の販売製(商)品在庫

 九年十二月末時点の在庫判断BSI(期末判断「不足」−「過大」社数構成比・季節調整済)をみると、製造業、卸売業、小売業いずれも「過大」超となっている。
 先行きについては、製造業、卸売業、小売業いずれも「過大」超となっているものの、「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。

 中小企業の仕入価格

 九年十〜十二月期の仕入価格判断BSI(前期比「上昇」−「低下」社数構成比・季節調整済)をみると、製造業、卸売業は「上昇」超幅が縮小し、小売業は「上昇」超幅が拡大している。
 先行きについては、製造業、卸売業、小売業いずれも「上昇」超で推移する見通しとなっている。

 中小企業の販売価格

 九年十〜十二月期の販売価格判断BSI(前期比「上昇」−「低下」社数構成比・季節調整済)をみると、製造業、卸売業、小売業、サービス業いずれも「低下」超となっている。
 先行きについては、製造業、卸売業、小売業、サービス業いずれも「低下」超で推移する見通しとなっている。

 雇 用第6表参照

 九年十二月末時点の従業員数判断BSI(期末判断「不足気味」−「過剰気味」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業は製造業を中心に「過剰気味」超となっている。一方、中堅企業、中小企業は製造業、非製造業ともに「不足気味」超となっている。
 先行きについては、大企業は「過剰気味」超、中堅企業、中小企業は「不足気味」超で推移する見通しとなっている。
 九年十〜十二月期の臨時・パート数判断BSI(前期比「増加」−「減少」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「増加」超となっている。
 先行きについては、大企業、中堅企業は「増加」超の見通しとなっており、中小企業は十年四〜六月期に「減少」超に転じる見通しとなっている。
 九年十〜十二月期の所定外労働時間判断BSI(前期比「増加」−「減少」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、中堅企業は「増加」超となっており、大企業、中小企業は「減少」超となっている。
 先行きについては、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「減少」超の見通しとなっている。

 企業金融第7表参照

 九年十〜十二月期の金融機関の融資態度判断BSI(前期比「ゆるやか」−「きびしい」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業は「ゆるやか」超、中小企業では「きびしい」超となっている。
 先行きについては、大企業、中堅企業においては「ゆるやか」超で、中小企業は「きびしい」超で推移する見通しとなっている。
 九年十〜十二月期の資金繰り判断BSI(前期比「改善」−「悪化」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、いずれの規模においても引き続き「悪化」超となっている。
 先行きについては、いずれの規模においても「悪化」超幅は縮小する見通しとなっている。
 九年十二月末時点の金融機関からの設備資金借入判断BSI(前期比「増加」−「減少」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、いずれの規模においても「減少」超となっている。
 先行きについては、いずれの規模においても、「減少」超で推移する見通しとなっている。

 中期的な経営課題第2図参照

 中期的な経営課題(一社二項目以内回答)を全産業でみると、大企業、中堅企業では「国内販売体制、営業力の強化」をあげる企業が最も多く、次いで、「新技術、新製品の開発、製品(サービス)の高付加価値化」の順となっており、中小企業では「後継者、人材の確保、育成」、「国内販売体制、営業力の強化」の順となっている。
 業種別にみると、製造業では、いずれの規模においても「新技術、新製品の開発、製品(サービス)の高付加価値化」が最も多く、次いで、「国内販売体制、営業力の強化」、「国内工場、営業所の再編、生産・流通工程の見直し等によるコストの低減」の順となっている。非製造業では、「国内販売体制、営業力の強化」をあげる企業が多い。

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海外旅行の安全対策


 観光や仕事で海外に出かける日本人は、年間約一千六百七十万人(平成八年)に上っています。こうしたなか、渡航先の国々で事件や事故に遭う方も増えています。
 海外の日本大使館などに報告されたものだけでも、昨年は一万五千二百六十一人が事件・事故などのトラブルに遭い、このうち四百四十四人が亡くなっています(疾病等も含む)。
 海外でのトラブルを避けるには、@渡航前に現地の治安状況などをよく調べ、危険に対する認識を持つこと、A危険(内乱、テロ、凶悪犯罪)が予測される国・地域への渡航を避けること(外務省「海外危険情報」の確認)が必要です。
 外務省の海外安全相談センターでは、海外各国の安全性や旅行の注意点などについての情報を提供しています。二月は学生たちの「卒業旅行」の季節でもあります。海外に出かける前に、ぜひ渡航先の安全確認を行ってください。
 海外安全相談センターでは、電話や手紙(返信用の切手・封筒を同封する)による問い合わせを受け付けるほか、資料の閲覧や安全情報の検索ができます。
 ◇海外安全相談センター(外務省一階)
 〒100―8919 東京都千代田区霞が関二―二―一
 пZ三―三五八一―三七四九
 *土・日曜、祝日を除く午前十時から午後五時半まで
 海外の安全に関する情報は、インターネットの外務省ホームページからも入手できます。
 ●http://www.mofa.go.jp/mofaj/(外務省)





 
    <2月18日号の主な予定>
 
 ▽青少年白書のあらまし……………総 務 庁 

 ▽消費者物価指数の動向……………総 務 庁 
 



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