官報資料版 平成10





公益法人に関する年次報告


総 理 府


 公益法人に関する年次報告(いわゆる「公益法人白書」)は、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」について(平成八年九月二十日閣議決定)に基づいて、公益法人の実態及びこれらの基準の実施状況等を明らかにするために、本年度から作成することになったものである。
 今回の報告は、昨年十二月十六日に「公益法人の指導監督等に関する関係閣僚会議」に報告した後、同日の閣議に配布した。
 この報告は、四章から構成され、第1章においては、公益法人に関する基本的な制度についての解説を行い、第2章においては、戦前から現在までの公益法人に関する行政の沿革についての記述を行い、第3章においては、最近の公益法人に関する状況・施策を見渡し、第4章においては、行政とのかかわりを含めた公益法人の現況を概観している。
 報告の概要は以下のとおりである。

<第1章> 公益法人制度の概要


<第1節> 公益法人の定義

一 公益法人の定義
 公益法人は、民法第三十四条に基づいて設立される社団法人又は財団法人のことである。その設立には、@公益に関する事業を行うこと、A営利を目的としないこと、B主務官庁の許可を得ることが必要である。

二 社団法人と財団法人
 社団法人は、一定の目的のもとに結合した人の集合体であって、団体として組織、意思等を持ち、社員とは別個の社会的存在として団体の名において行動する団体である。
 財団法人は、一定の目的のもとに拠出され、結合されている財産の集まりであって、公益を目的として管理運営される団体である。

三 広義の公益法人等
 (一) 広義の公益法人
 民法以外の特別法に基づいて設立される公益を目的とする法人のことを広義の公益法人という。広義の公益法人には、学校法人(私立学校法)、社会福祉法人(社会福祉事業法)、宗教法人(宗教法人法)、医療法人(医療法)、更生保護法人(更生保護事業法)がある。
 (二) 中間法人
 民法においては公益法人又は営利法人の設立しか規定されていないため、公益も営利も目的としない中間的な団体は、特別法の規定がある場合に限り法人格を取得することができる。このような中間法人には、労働組合(労働組合法)、信用金庫(信用金庫法)、協同組合(各種の協同組合法)、共済組合(各種の共済組合法)がある。
 (三) 特殊法人等
 公益法人は、行政改革の観点から特殊法人等とともに議論されることがあるが、特殊法人は、「法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為(政府が命じる設立委員が行う設立に関する行為)をもって設立すべきものとされる法人」のことである。

<第2節> 公益法人に関する法制度

 公益法人は、民法第三十四条に基づいて設立されるものであり、民法には、@公益法人の設立、A法人の組織、B定款の変更等、C法人の登記、D法人の能力、E法人の解散に関する規定がなされている。

<第3節> 公益法人に対する指導監督等に関する制度

一 主務官庁制
 民法においては、公益法人の設立許可及び指導監督に関する権限は、その目的・事業に関連する事務を所掌している総理府及び十二省の中央官庁に与えられている。この中央官庁のことを主務官庁といい、その目的・事業が複数の中央官庁の所掌に関連する場合には、それらの中央官庁が共管として主務官庁となる。

二 統一的な指導監督等を行うための仕組み
 「公益」の概念が抽象的なものであること等から、主務官庁の間での設立許可及び指導監督基準等の統一性が図られていない等の問題点が生じ、その統一性を確保するために、次のような会議が設置されている。
 @ 公益法人監督事務連絡協議会(昭和四十六年十二月二十二日:各省庁課長クラス)
 A 公益法人指導監督連絡会議(昭和六十年六月十日:各省庁局長クラス)
 B 公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議(平成八年七月十六日:全閣僚)

三 都道府県知事等への機関委任等
 主務官庁の権限は、政令の定めるところにより、行政庁に委任することができる旨の規定が民法にある。この規定に基づいて制定された「公益法人に係る主務官庁の権限の委任に関する政令」によって、主務官庁の権限が都道府県知事等に委任されている。

四 公益法人の所管官庁
 機関委任等により、公益法人の設立許可、指導監督等に係る事務を実際に担当している行政庁(所管官庁)は、以下のとおりとなっている(第1図参照)。
 @ 総理府及び十二省
 A 総理府の外局である大臣庁(公益法人の指導監督等に係る内閣総理大臣の権限を専決処理しており、総理府及び十二省に準ずるものといえる。)
 B 地方支分部局の長(法務省、大蔵省、運輸省、郵政省、労働省)
 C 都道府県知事
 D 都道府県教育委員会

五 公益法人に対する指導監督等の方法
 主務官庁は、民法第六十七条第一項及び第二項の規定に基づいて、公益法人の事業の実施状況の監督を行うために、事業に関する報告書等の提出を求めている。また、民法第六十七条第三項により、職権をもっての調査(立入検査)を行っている(第1表参照)。

<第4節> 公益法人の会計処理

一 公益法人会計基準の策定
 昭和五十二年三月、公益法人会計基準が決定され、昭和五十三年四月一日以降できるだけ速やかに適用することとした。
 昭和六十年九月、旧会計基準を改正した新たな公益法人会計基準が決定され、昭和六十二年四月一日から適用することとした。

二 公益法人会計基準の適用
 公益法人会計基準は、民法第三十四条に基づいて設立されるすべての公益法人に適用されることが原則である。
 実際の公益法人会計基準の適用状況は以下のとおりである。
・公益法人会計基準を完全に適用している
      一万六千二百七十六(六二・四%)
・公益法人会計基準を一部に適用している
        五千九百三十九(二二・八%)
・企業会計を適用している
          一千百七十九(四・五%)
・その他(官庁会計等他の会計基準を適用している)二千六百九十五(一〇・三%)

<第5節> 公益法人に関する税制

一 公益法人に対する税制
 法人税、所得税、消費税、地価税等の国税、住民税、事業税、地方消費税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税等の地方税がある。

二 公益法人に対する寄付に関する税制
 公益法人に対する寄付金のうち、教育や科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献等の公益性の高い事業を行う公益法人に対する一定の寄付金については、寄付金控除等の特別の配慮が行われている。

三 税法上の収益事業の状況
 公益法人が、法人税法上の収益事業を開始した場合には、その開始した日以後二か月以内に、収益事業開始届出書を所轄税務署長に提出しなければならない。
 総理府の調査によると、収益事業の届出をしていると回答した公益法人数は、約七千八百となっている。

<第2章> 公益法人行政の沿革


<第1節> 公益法人制度の成立

一 戦前・戦中の状況
 戦前は、主務官庁が民法に基づいて、簡素な内容の監督規則(省令等)を定め、設立許可等を行っていた。昭和十八年には、行政の簡素化を図るため、「許可認可等臨時措置法」(昭和十八年法律第七十六号)等が制定され、公益法人に関しては、主務大臣の許可・認可の権限等を府県知事等に行わせることができることになった。

二 戦後の状況
 昭和二十年代後半、公益法人の設立許可及び指導監督に関する事務の増加等もあり、各省においては、戦前及び終戦直後に制定された設立許可及び指導監督に関する省令、訓令等の改正等を行うなど、公益法人に関する規定の整備が図られていった。

<第2節> 統一的な公益法人行政推進に向けての取組

一 内閣審議室における対応
 昭和四十二年、公益法人に関連して、休眠法人の売買等公益法人等に関する問題点が提起されるようになったこと等を受け、内閣審議室において調査を行うとともに、同年十月、「公益法人に対する監督強化方策に関する要綱」の閣議口頭了解が行われた。

二 公益法人監督事務連絡協議会の活動
 @ 昭和四十五年四月、総理府に内閣総理大臣官房管理室が設置された。
 A 昭和四十六年十二月の行政管理庁(現総務庁)の勧告を受けて、同月二十二日、各府省庁文書課長会議決定により「公益法人監督事務連絡協議会」が設置され、「公益法人設立許可審査基準に関する申し合せ」等が策定された。
 B 昭和五十二年三月、公益法人会計基準が決定され、昭和六十年九月、従来の公益法人会計基準を改正した新たな「公益法人会計基準」が決定された。
 C 昭和五十四年十二月、公益法人関係の規定の改定を含む民法及び民法施行法の一部改正が行われた。これによって、正当な事由がなく引き続き三年以上事業を行わない公益法人の設立許可を取り消すことができることになった。
 これに関連して、公益法人監督事務連絡協議会において実務的な検討を行った。

<第3節> 統一的な公益法人行政の一層の推進

一 公益法人指導監督連絡会議の設置
 昭和六十年には、国会においても、個別の問題法人のほか公益法人行政全般に関して、その統一的改善、休眠法人の整理、補助金の交付、元公務員の役員就任状況等について質疑が行われた。このような状況のもとで、昭和六十年六月、事務次官等会議において、「公益法人行政の推進について」の申合せが行われ、「公益法人指導監督連絡会議」が設置された。

二 公益法人の運営に関する指導監督基準等の策定
 @ 昭和六十年九月の総務庁の勧告を受けて、公益法人指導監督連絡会議は、同月、「休眠法人の整理に関する統一的基準」を決定し、昭和六十一年七月、「公益法人の運営に関する指導監督基準」を策定した。
 A 平成四年四月、「信託法」(大正十一年法律第六十二号)の規定に基づく公益信託の引受けの許可及び監督についても、公益法人と同様に、政府全体で統一的かつ整合性を保った行政の推進を図っていくこととされた。

三 公益法人に対する指導監督基準のマニュアル等の策定
 @ 平成四年六月の総務庁の勧告を受けて、平成五年六月、公益法人指導監督連絡会議は、設立許可及び指導監督基準を可能な限り具体化・明確化した運用マニュアルである「公益法人設立許可審査基準等に関する申し合せ解説」及び「公益法人の運営に関する指導監督基準解説及び取扱指針」を策定した。
 A 行政改革の一環として特殊法人等の見直しに関連して、公益法人についても適正な運営の一層の推進を図ることとなり、平成七年三月、公益法人指導監督連絡会議は、新設法人の抑制等の基準となる「公益法人の設立許可について」を決定した。

四 その他の総理府における公益法人行政総合調整事務等
 @ 公益法人の概況を把握することにより、公益法人行政の統一的改善に資するため、昭和六十年十一月に国所管の法人に対する調査を実施した。昭和六十一年からは毎年十月一日現在の国所管及び都道府県所管の公益法人についての概況調査を実施している。
 A 平成三年五月、「行政事務に関する国と地方の関係等の整理及び合理化に関する法律」(平成三年法律第七十九号)により、「許可認可等臨時措置法」は廃止され、同時に、民法、信託法等に必要な規定が付加された。これにより、平成四年五月、「公益法人に係る主務官庁の権限の委任等に関する政令」(平成四年政令第百六十一号)等が制定され、都道府県知事等への権限の委任が行われるようになった。

<第3章> 公益法人に関する最近の施策


<第1節> 公益法人を巡る最近の状況

一 低金利の影響
 @ 公定歩合は景気後退を受けて平成三年七月以降、順次引き下げられ、平成七年九月には〇・五%にまで引き下げられた。このような金利の低下は、マクロの実質消費にプラスの影響を与えるものではあるが、利子収入の減少をもたらしている。
 A 金利の低下は、前記のようなマクロ的に見た場合の利子及び配当収入の大幅な減少という影響を与えているが、当然のことながら、個々の公益法人の運営にも大きな影響を与えているものと考えられる。
 財団法人は、基本的に基本財産の運用収入の減少による影響は極めて大きいものと考えられ、社団法人は、社員からの会費収入が収入の基礎となるものであるが、基金等を有しているものもあり、相当な影響があるものと考えられる(第2図参照)。
 B 低金利時代にあっては、事業内容や管理費の見直しを行うことが必要と考えられ、また、公益事業の適切かつ継続的な実施のためには、高金利時に基金として蓄えをもつ等金利変動に備えることが必要であると考えられる。

二 公益法人を巡る批判
 (一) 公益法人の運営に係る問題
 子会社を保有している法人、理事長が多額の報酬を得ている法人などがあり、所管官庁の指導監督の在り方についても問われていることが多い。
 (二) 公益法人と行政との関係に係る問題
 行政は検査等の事務を特定の公益法人に委託しているが、その根拠が不明確であったり、受託した公益法人が実施する検査等の独占性を利用して多額の収益を挙げているというものがある。
 (三) 公益法人制度等に係る問題
 社会経済情勢の変化により、公益性が失われた事業を行っている法人、所管不明法人など、公益法人に関する法制度の在り方に関するものや、法制度上想定されなかったものがある。

<第2節> 公益法人に関する最近の施策

一 「公益法人の設立許可及び指導監督基準」の決定等
 (一) 与党行政改革プロジェクトチームの議論の経緯
 平成八年一月から自民党行政改革推進本部規制緩和委員会が、また、同年三月からは、与党行政改革プロジェクトチームが公益法人問題を取り上げ、同年七月、「公益法人の運営等に関する提言」を取りまとめ、政府に提出した。
 (二) 「公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議」の開催等
 与党行政改革プロジェクトチームの提言を踏まえ、政府としても、公益法人に対する指導監督等の一層の適正化、公益法人による行政代行的行為の実施の透明化等を強力に進めていく必要があると考え、平成八年七月十六日、閣議において、内閣官房長官から次のような内容の発言が行われた。
 @ 「公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議」を適宜開催すること
 A 「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」を閣議決定するべく作業を進めること
 B 平成九年度から、「公益法人に関する年次報告」を作成すること
 (三) 「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」の閣議決定
 平成八年九月二十日、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」が閣議決定された。
 @ 「公益法人の設立許可及び指導監督基準」は、「公益法人設立許可審査基準等に関する申し合せ」等を一本化しこれらに代わるものとして、与党行政改革プロジェクトチームの提言を踏まえ、閣議決定というこれまでより高いレベルで決定されたものであり、以下の項目について新たに規定がなされた。
 また、本基準は、新規に設立される法人だけではなく、既存の公益法人に対しても適用されるものであるため、既存の公益法人においては、本基準が閣議決定された日から三年以内に本基準に適合させるべきことが定められた。
 ア 理事構成
 公益法人の理事構成については、従来から同一の親族、特定の企業の関係者その他特別の関係にある者が占める割合は、理事会を実質的に支配するに至らない程度にとどめる旨定められていたが、今回、所管する官庁の出身者が理事現在数に占める割合は三分の一以下、同一の業界の関係者が占める割合は二分の一以下とすることを定めた。
 イ 過大な内部留保の禁止
 事業目的、非営利性等から税制上の優遇が与えられているため、公益事業を適切かつ継続的に行うために必要な水準を超える過大な内部留保を有していることは適当でないと考えられるため、過大な内部留保を行うことを禁止した。
 ウ 株式保有の原則禁止
 営利企業の実質的経営につながる株式保有は従来から禁止されていたが、必ずしも遵守されていなかったため、株式の保有等を、以下の例外を除いて、原則として禁止した。
 ・運用財産の管理運用である場合。ただし、公開市場を通じる等ポートフォリオ運用であることが明らかな場合に限る。
 ・財団法人において、基本財産として寄付された場合
 エ 自主的な情報公開
 公益法人については、法令上、情報公開の規定はないが、相応の社会的責任を有しているものであるため、事業及び財務に関する情報について自主的に開示させることとした。
 A 「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」は、行政代行的行為を行っている公益法人の透明化を図るために定められたものである。
 これは、不特定又は多数の者に対する検査・認定・資格付与等の事務を公益法人に委託等する場合、また、公益法人が独自に行っている検査等の推薦・認定等を行う場合に必要とされる要件等を定めたものである。
 B 平成八年十二月十九日、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会は、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」の運用に当たっての具体的、統一的な指針となる「公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針」を申し合わせた。

二 休眠法人、所管不明法人の整理に関する取組
 正当な理由がなく引き続き三年以上事業を行っていない休眠法人、登記はあるが所管官庁が不明である所管不明法人は、いわゆる「買収」等により、役員に就任した者による目的外事業の実施や、税法上の特典を利用した収益事業の実施など、公益法人制度の悪用を招くおそれがあり、その対策が必要である。
 (一) 休眠法人
 昭和五十四年、民法の一部改正が行われ、「正当ノ事由ナクシテ引キ続キ三年以上事業ヲ為サザル」法人について、主務官庁はその設立許可を取り消すことができることとなった。休眠法人の一層の整理促進を図るため、昭和六十年、「休眠法人の整理に関する統一的基準」、「休眠法人の整理に関するモデル要綱」が策定された。
 休眠法人の推移は、〔第3図〕のとおりである。
 (二) 所管不明法人
 平成七年、登記所の公益法人索引名簿と主務官庁の公益法人名簿等とを対照させ、前者に記載されているが後者には記載されていないものを抜き出すという「所管不明公益法人調査」を総理府が実施した。その結果、全国で約一千八百六十の所管不明法人が存在することが明らかとなり、平成八年一月、約一千六百法人が総理府から各省庁又は都道府県に割り振られた。
 平成八年十二月十九日、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会が「所管不明法人の所管確定作業の進め方について」を了解したことを受け、平成九年三月、第二次分として約百法人、同年六月、第三次分として約八十法人の割振を実施した。残りの分についても平成九年度中に割振を終えることにしている。
 なお、第一次分の割振について平成八年十月一日現在の整理状況をフォローアップしたところ、既に解散の登記がなされたものは全体の四%弱、また、存続が確定したものは全体の三%弱となっている(第2表参照)。

三 公益法人の指導監督等に関する研修会の実施
 公益法人に対する設立許可及び指導監督については、これらが統一性をもって実施されるように「公益法人の設立許可及び指導監督基準」等が定められている。これらの基準等の周知徹底を図る必要があるため、総理府、各都道府県等においては、公益法人行政担当者研修会、都道府県公益法人行政主管課長会議、公益法人地方講習会、全国都道府県文書法令主管課長研修会公益法人分科会、都道府県公益法人事務担当者ブロック会議、文教関係公益法人等事務担当者協議会等を実施している。

<第4章> 公益法人の現況


<第1節> 公益法人の現況

一 公益法人概観
 (一) 公益法人の数
 平成八年十月一日現在、全国に二万六千八十九あり、社団法人が一万二千六百十八、財団法人が一万三千四百七十一ある。
 公益法人の数は年々増加し、平成元年から平成八年にかけては一四%増加しており、民間公益活動の広がりを反映しているものと考えられる。
 最近三年間における新設法人数は、平成六年度が五百一、平成七年度が四百三十一、平成八年度が四百三十四となっており、解散法人数は、平成六年度が九十四、平成七年度が百七十一、平成八年度が三百四十一となっている(第3表参照)。
 (二) 主要データから見る公益法人
 公益法人の主要なデータについて二万六千八十九法人全体の数値は、以下のとおりである。
 年間支出額は、二十一兆六千九百六十一億円に達しており、平成七年度のGDP(四百四十八兆五千二百二十五億円)比四・四%に当たり、平成七年度の一般政府総支出(百七十五兆二千四百八十四億円)比一二・四%に当たる。
 職員は五十二万四千人であり、全産業従業者数の〇・八%に相当し、銀行(普通銀行、信託銀行等)の従事者四十九万人を上回り、生命保険業の従事者五十四万二千人に匹敵する。
 民法上の社員は一千九百八十一万会員で、うち個人会員は一千六百八十万人であり、単純に計算すると、国民の七・六人に一人が公益法人の社員になっていることになる(第4図参照)。
 (三) 情報公開の状況
 情報公開は、民法に規定がないこともあり十分なものとはいえなかったため、今回の「公益法人の設立許可及び指導監督基準」には「業務及び財務等に関する情報については、自主的に開示すること。」という規定が盛り込まれた。
 なお、平成八年度公益法人概況調査によると、六割程度の法人が、事業報告書、収支計算書、貸借対照表、財産目録、事業計画書、収支予算書及び社員名簿を公開している(第4表参照)。

二 個別事項の分析
 (一) 基礎的事項
 @ 設立年別公益法人数
 設立された年代を調査した結果、昭和四十年代以降に設立されたものが約七割を占めている(第5図参照)。
 A 所在地別公益法人数
 公益法人の主たる事務所の所在地は、東京都が群を抜いており、五千二百六十六で全法人の二〇%になる。次が大阪府の一千二百七十五(五%)、三番目が北海道の一千四十八法人(四%)、以下、福岡県、神奈川県、愛知県、兵庫県と大都市圏の数が多い。
 B 主務官庁別公益法人数
 主務官庁別の所管法人数は、文部省関連が二四・九%(六千七百七十三)を占め、厚生省関連が二一・四%(五千八百十二)、以下、通商産業省、農林水産省、労働省と続いている(第5表参照)。
 C 設立目的別公益法人数
 設立目的を四つに分類すると、生活一般が五二・三%(うち保健・衛生・医療が一四・四%)と半分以上を占め、教育・学術が三九・七%、政治・行政が一一・七%、産業が二八・二%となっている(第6表参照)。
 (二) 役職員の状況
 @ 理 事
 総数は四十二万人、平均一六・二人、メジアン(注)十三人となっている。
 規模別には、十〜十九人が一万一千九百六十八(四五・九%)と半数近くを占め、〇〜九人が七千七百四十九(二九・七%)、二十〜二十九人が三千九百三十三(一五・一%)と続き、これで全体の九割になる。
 常勤理事(「最低でも週三日以上出勤している者」と定義している。)の総数は二万一千百八十五人、平均〇・八人となっている。半数の法人が常勤理事は〇人である。
 (注) メジアン(中央値、中間値)
  変数を大きさの順に並べたとき、その中央で全変数を二群に等分する境界点の数値。例えば、全法人二万六千八十九の資産額を大きい順に並べたときに、中央=第一万三千四十五位の法人の資産額がメジアンになる。
 A 理事のうち公務員出身者
 国所管法人の理事における国家公務員出身者(原則として国の本省庁課長相当職以上を経験し、退職後十年未満の間に当該法人の理事に就任し現在に至っている国家公務員出身者を指す。)は七千八十人で、理事全体(十五万三百九十五人)の四・七%、法人数では二千四百八十三(三六・四%)になっている。
 都道府県所管法人の理事における都道府県公務員出身者は一万四千六百三十三人で、理事全体(二十七万二千六百六人)の五・四%、法人数では五千四百四十三(二八・一%)になっている(第7表参照)。
 B 所管する官庁出身理事
 「公益法人の設立許可及び指導監督基準」では、理事構成について、所管する官庁出身者の占める割合を三分の一以下にするよう求めている(共管の場合は全共管官庁出身者の合計が三分の一以下とする。)が、所管する官庁出身者の占める割合が三分の一を超える公益法人数は、国所管が二百三十九、都道府県所管が七百十、合計九百四十九となっている(第8表第9表参照)。
 C 同一業界関係者理事
 「公益法人の設立許可及び指導監督基準」では、同一業界関係者の占める割合を二分の一以下にするように求めているが、同一業界関係者が占める割合が二分の一を超える公益法人数は、国所管が一千六百三十一、都道府県所管が六千百九十一、合計七千七百七十四となっている。
 D 監 事
 総数は五万七千三百人、平均二・二人で、規模(人数)別でも二人が一万九千五(七二・八%)と大半を占めている(監事が置かれていない法人は百二十六)。一人から三人までにほとんどの法人が収まるが、六人以上というところも三十九存在している。
 E 現職公務員の役員就任状況
 現職公務員については、法人を指導監督する立場にあることから、公益法人の役員への就任は適当でないものと考えられており、現在では、国所管法人においては、ごくわずかの者のみが就任しているにとどまっている。
 しかしながら、都道府県所管の法人においては、地方自治体が直接出捐して設立した外郭団体的公益法人が多数存在し、業務の実施、監督のために、現在においても現職の公務員が多数役員に就任しているのが実情である。
 F 職 員
 職員の総数は五十二万四千人、平均二〇・一人、メジアンは三人である。規模別には、二〜九人の法人が一万二千三百七十八(四七・四%)、十〜四十九人が五千八十一(一九・五%)、一人が四千七百二十三(一八・一%)、〇人が二千百九十二(八・四%)である。
 常勤職員の総数は四十五万九千五百七十六人であり、職員総数の八七・七%になる。
 G 評議員
 評議員とは、法人の重要事項について諮問を受けたり決定をしたりする役割を担う者であり、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」では、財団法人には原則として評議員会を設け、評議員会において予算・決算等の重要事項の諮問及び理事選任を行うことを求めている。
 評議員制度がある法人は一万百二十九(三八・八%)で、評議員の総数は二十九万一千人、平均一一・一人であるが、評議員制度がある法人に限っての平均は二八・七人になる。
 (三) 財務、会計の状況
 @ 総収入額・年間支出額
 公益法人の収入は、大きく分けて、財産運用による収入、会費による収入、事業による収入、寄付や補助による収入等からなっており、総計は二十四兆三千五百七億円、平均は九億三千三百三十七万円、メジアンは六千九百三十一万円となっている(第10表参照)。
 公益法人の支出は、大きく分けると事業費、管理費、固定資産取得支出等からなっており、総計は二十一兆六千九百六十一億円、平均は八億三千百六十二万円、メジアンは五千五百四十四万円である。このうち事業費の総計は十五兆一千四百四億円、平均は五億八千三十四万円、メジアンは二千七百二十二万円である(第11表参照)。
 A 収益事業
 公益活動の実施に充てるために収入確保の一方法として、収益事業を行うことも認められており、収益事業収入の総計は二兆七百二十五億円、平均は七千九百四十四万円である。
 規模別にみると、収益事業収入ゼロが二万三百六十七(七八・一%)となっており、収益事業を行っていないところが大半である。
 B 資産・負債・正味財産
 資産額の総計は百十二兆八千四百十億円、平均は四十三億二千五百二十三万円、メジアンは八千八百三十一万円であるが、総計のうち半分以上の五十九兆九千四百三億円を一法人が占めている(第12表参照)。
 負債額の総計は九十六兆六千七百三十八億円、平均は三十七億五百五十四万円、メジアンは五百三十三万円であるが、総計の半分以上の五十九兆九千三百五十八億円を一法人が占めている(第13表参照)。
 正味財産額の総計は十六兆一千六百二十億円、平均は六億一千九百五十万円、メジアンは五千四百九十六万円である(第14表参照)。

<第2節> 公益法人と行政とのかかわり

一 「指定法人」の状況
 (一) 「指定法人」の定義等
 特定の事業法又は規制法によって主務大臣の認定を受け、特定の公共的・公益的事業を実施し、又は特定の規制事務処理の権限を取得行使する公益法人を指定法人と定義している。平成八年十月一日現在、指定の根拠となる条項数は百六十七、指定を受けている法人数(実数)は百五十一であることが明らかとなった(第15表参照)。
 (二) 指定が行われた時期等
 昭和五十年代後半以降、法人数、事項数ともに増加している。この理由としては、第二次臨時行政調査会最終答申(昭和五十八年三月)において、行政事務の簡素化等を推進する観点から、民間団体への委託や民間指定検査機関等の活用を図るべき旨の提言がなされていること等から、行政的な事務を担う民間機関として、公益法人が一層積極的に活用されるようになったためと考えられる。
 この答申が提出された昭和五十八年度以降とそれ以前を比較すると、昭和五十八年度以降が法人数では百三十法人で全体の約六割、事項数では百十一事項で全体の約七割を占めるに至っている(第16表参照)。
 (三) 法令に基づき指定法人が実施する事務
 指定法人が法令に基づいて実施している事務を分類し根拠条文数で整理すると、検査検定五十六(三三・三%)、情報収集三十七(二二・〇%)、国家試験三十三(一九・六%)となっている(第17表参照)。

二 検査等の委託等と推薦等
 政府においては、行政代行的行為等を行っている公益法人の透明化を図るため、平成八年九月、「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」を閣議決定した。
 この基準は、あるものが有する能力、性能、技術等を調査・判定したり、また、その結果について評価・承認したりするような業務を「検査等」とし、このような検査等を公益法人に委託等する場合、また、公益法人が独自に行っている検査等の推薦・認定等を行う場合に必要とされる要件を定めたものである。
 検査等の委託等は、根拠となる法令等の条項数は、全省庁で二百十あり、これらの規定に基づいて、検査等の委託等を受けている法人数は、全省庁で延べ三百五法人となっている。
 検査等の推薦等は、根拠となる法令等の条項数は、全省庁で百四十四あり、これらの規定に基づいて、検査等の推薦等を受けている法人数は、全省庁で延べ二百四十一法人となっている(第18表参照)。

三 公益法人に対する補助金・委託費
 (一) 国所管の公益法人に対する補助金・委託費 補助金の交付額は約二千四百六十億円、交付法人数は四百十一となっている。また、委託費の委託額は約一千四百五十億円、委託法人数は五百九十二となっている(第19表参照)。
 (二) 都道府県所管の公益法人に対する補助金・委託費
 補助金の交付額は約三千三百七十四億円、交付法人数は四千七百九十八となっている。また、委託費の委託額は約五千百四十億円、委託法人数は三千百九十となっている(第20表参照)。

四 公益法人と行政の関係の在り方
 行政事務の委託等・推薦等は今後とも続けられていくことになると思われるが、行政と公益法人との関係については透明性を図っていく必要がある。

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賃金、労働時間、雇用の動き


毎月勤労統計調査 平成九年十一月分結果速報


労 働 省


 「毎月勤労統計調査」平成九年十一月分結果の主な特徴点は次のとおりである。

◇賃金の動き

 十一月の規模五人以上事業所の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は三十万四百八十三円、前年同月比一・〇%減(規模三十人以上では三十三万三千四百九十七円、前年同月比一・二%減)であった。
 現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十八万九千四百八十八円、前年同月比〇・六%増(同三十一万七千三百六十九円、同〇・七%増)であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十六万九千六百五十八円、前年同月比〇・七%増(同二十九万七百二十八円、同〇・七%増)で、所定外給与は一万九千八百三十円、前年同月比は前年と同水準(同二万六千六百四十一円、同〇・六%増)となっている。
 また、特別に支払われた給与は一万九百九十五円、前年同月比二八・九%減(同一万六千百二十八円、同二七・六%減)となっている。
 実質賃金は、三・一%減(同三・四%減)であった。
 産業別にきまって支給する給与の動きを前年同月比によってみると、不動産業二・四%増(同二・三%増)、製造業一・三%増(同一・二%増)、サービス業一・二%増(同〇・八%増)、卸売・小売業、飲食店〇・九%増(同一・八%増)、電気・ガス・熱供給・水道業〇・六%増(同一・二%増)、金融・保険業は前年と同水準(同〇・七%減)、運輸・通信業〇・六%減(同〇・八%減)、建設業一・一%減(同〇・三%増)、鉱業一・五%減(同〇・五%減)であった。

◇労働時間の動き

 十一月の規模五人以上事業所の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は一五九・七時間、前年同月比三・三%減(規模三十人以上では一六〇・五時間、前年同月比三・一%減)であった。
 総実労働時間のうち、所定内労働時間は一四九・二時間、前年同月比三・三%減(同一四七・八時間、同三・二%減)、所定外労働時間は一〇・五時間、前年同月比二・八%減(同一二・七時間、同一・六%減)、季節変動調整済の前月比は一・四%減(同〇・五%増)であった。
 製造業の所定外労働時間は一四・四時間で前年同月比は〇・八%減(同一六・一時間、同〇・六%減)、季節変動調整済の前月比は〇・四%減(同〇・二%増)であった。

◇雇用の動き

 十一月の規模五人以上事業所の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で一・一%増(規模三十人以上では〇・一%増)、季節変動調整済の前月比は〇・五%増(同〇・一%減)、常用労働者のうち一般労働者では〇・四%増(同〇・四%減)、パートタイム労働者では五・一%増(同四・七%増)であった。
 常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、建設業三・八%増(同〇・三%減)、サービス業二・八%増(同一・四%増)、運輸・通信業一・一%増(同〇・八%増)、不動産業一・〇%増(同〇・三%増)、卸売・小売業、飲食店〇・三%増(同〇・二%増)と、これらの産業は前年を上回っているが、製造業〇・四%減(同〇・五%減)、電気・ガス・熱供給・水道業一・一%減(同一・〇%減)、金融・保険業三・二%減(同三・六%減)、鉱業九・四%減(同二二・六%減)と前年同月を下回った。
 主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者〇・九%減(同一・〇%減)、パートタイム労働者四・一%増(同四・七%増)、卸売・小売業、飲食店では一般労働者〇・七%減(同〇・三%減)、パートタイム労働者二・九%増(同一・五%増)、サービス業では一般労働者二・二%増(同〇・八%増)、パートタイム労働者六・三%増(同五・一%増)となっている。






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税金365日


海外勤務者と税


国 税 庁


 経済活動の国際化に伴い、日本企業の海外進出も盛んに行われています。その結果、海外勤務などのため長期間にわたって日本を離れる人も多くなっています。
 一方、国際化が進むと、どの国でどのように課税されるのかという疑問が生じます。
 そこで、外国で働く日本人の税金はどうなっているのか、非居住者と居住者の課税関係とともに国際課税の調整がどのように図られているのかを説明しましょう。

【非居住者等に対する税制】

 海外勤務などのため長期間にわたって日本を離れる人の場合、日本に住所があるかどうかによって、所得税の課税所得の範囲が異なります。また、長期間日本を離れるときには、出国前に申告・納税をしなければならない場合もありますので注意が必要です。

一 居住者と非居住者

 所得税法で「居住者」とは、日本国内に住所を有している人、又は現在まで引き続いて一年以上日本国内に居所を有する人のことをいいます。「非居住者」とは、居住者以外の人をいいます。
 なお、国内又は国外において継続して一年以上居住することを通常必要とする職業についているような場合には、それぞれ国内又は国外に住所を有するものと推定されます。
 居住者の課税所得の範囲は、日本国内・国外で得たすべての所得ですが、非居住者の場合には、日本国内で行う勤務による給与所得や、日本国内にある不動産から生じる不動産所得など、日本国内に源泉がある所得(「国内源泉所得」といいます。)に限って課税されます。

 (一) 居住者から非居住者となった場合
 年の中途で出国したため居住者から非居住者となった人の場合、居住者であった期間内に生じたすべての所得に対して課税されます。
 その人が給与所得者の場合には、一般的には出国の時に年末調整を行うことになりますが、給与所得以外の所得を有する人については、原則として、出国の時までに、その年の一月一日から出国の日までの期間の所得について確定申告と納税を行う必要があります。非居住者となった後は、日本国内に源泉がある所得だけ課税されることになります。

 (二) 非居住者が居住者となった場合
 年の中途で入国したため非居住者から居住者となった人の場合、非居住者であった期間内に生じた国内源泉所得と居住者であった期間内に生じたすべての所得に対して課税されます。

二 非居住者に対する源泉徴収

 非居住者に対して国内源泉所得の支払をする際には、源泉徴収が必要な場合があります。この場合、源泉徴収の対象となる支払の範囲や源泉徴収税率は、居住者に支払う場合とは異なっていますので、注意が必要です。
 なお、非居住者の場合、源泉徴収の税率は、原則として二〇%(土地等の譲渡による対価の場合には一〇%、利子所得などの場合には一五%)と定められていますが、支払を受ける人が居住する国によっては、租税条約により所得税が免除されたり、軽減される場合があります。

【外国税額控除】

 居住者は、国内で生じた所得だけでなく国外で生じた所得についても所得税が課されます。一方、居住者が、外国で事業を行うなどして所得を生じると、通常、その国の所得税に相当する税金が課せられます。このように、居住者の所得について外国で課税された場合には、一つの所得に対してその国と我が国の双方で課税され、国際的二重課税が生じることになります。そこで、我が国の所得税法においては、このような国際的二重課税を排除するため、外国税額控除の制度を設けています。この制度の適用を受けますと、居住者が外国で納付した所得税に相当する税額を我が国の所得税から一定の金額を限度として控除することができます。
 この場合、控除の対象となる外国税額は、外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により、個人の所得を課税標準として課される税(その所得に対する負担が高率な部分は除かれます。)に限られます。また、この中には、利子、配当、使用料等について源泉徴収される所得税なども含まれます。

◇     ◇     ◇

 

三月の気象


 季節の変化を表す二十四節気では、三月六日ごろが啓蟄で、これは冬眠していた虫が穴からはい出すことを意味します。実際に虫が活動を始めるのは日平均気温が一〇度以上になってからですので、日本の多くの地方ではもう少し先になります。
 また、三月二十一日ごろは、昼夜の長さがほぼ同じになる春分で、この日を境に昼間の時間が長くなります。
◇春の大雪
 雪害の発生件数は、真冬の一、二月が最も多いのですが、三月には南岸低気圧(日本の南岸を急速に発達しながら北東に進む低気圧)が通過する際、冬の間、雪がほとんど降らない太平洋側の地方にも大きな雪害をもたらすことがあります。
◇花粉症
 病気のなかで特定の季節に発病しやすくなるものを「季節病」と呼びます。杉などの花粉が風にのって飛び散るこの季節に発病者が多くなる花粉症は、春の季節病といえます。また、日々の気象の変化あるいは一定の気象条件によって症状が悪化したり、発作が起こったりする病気を「気象病」と呼びます。花粉の飛散量は日々の気象条件に大きく左右され、それによって花粉症の症状が変化することから、花粉症は気象病の一種ともみられます。
◇三月二十三日は「世界気象デー」
 世界気象デーは、一九五〇年三月二十三日にWMO(世界気象機関)条約が発効したことを記念して、一九六〇年に制定されました。今年のテーマは「気象・海洋と人間活動」です。(気象庁)




 
    <3月11日号の主な予定>
 
 ▽科学技術研究調査結果
  の概要………………………………総 務 庁 

 ▽労働力調査…………………………総 務 庁 
 



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