官報資料版 平成1022





平成10年度予算の概要


一般会計総額77兆6,692億円


大 蔵 省


 「平成十年度予算」は、平成十年一月十九日に国会に提出され、四月八日に成立した。
 なお、文中における計数は、原則としてそれぞれ四捨五入によっているので、端数において合計とは合致しないものがある。
(文中における前年度予算額は、当初の計数。文中における符号:原則として「〇」は単位未満、「−」は皆無)

【総  説】


1 予算編成の前提となる経済情勢及び財政事情

 (1) 経済情勢
 我が国経済は、バブル期の後、累次の経済対策の実施により景気を下支えしてきたにもかかわらず、未だ力強い景気回復の軌道に乗っていない。平成九年度には、四月の消費税率引上げ前の駆け込み需要の反動等から減速し、さらに、企業や消費者の我が国経済の先行きに対する信頼感の低下から景気は足踏み状態となった。また、複数の金融機関の経営問題が起きており、金融システムの安定性確保が重要な課題となっている。
 これに対し政府は、十一月、規制緩和を中心とした経済構造改革、土地の取引活性化・有効活用、中小企業対策等からなる「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」を決定した。十二月には、所得課税の特別減税の実施を緊急に決定した。さらに、財政投融資の適切な活用等により、民間金融機関におけるいわゆる「貸し渋り」に対応するとともに、金融システムの安定化策の具体化を進めている。
 経済対策の実施、所得課税の特別減税の実施、金融システムの安定化策の具体化などにより経済の先行きに対する信頼感が回復し、我が国経済は次第に立ち直っていくとみられる。
 次に、我が国経済を取り巻く国際経済情勢をみると、平成六年以降堅調な拡大が続いている世界経済は、途上国で成長率の鈍化がみられるものの、先進国の拡大持続から、全体としては拡大傾向で推移している。
 米国経済は、七年目に入った景気拡大が続いている。平成八年後半から緩やかに改善してきた西ヨーロッパ経済は、総じて回復が続いている。アジア経済は、総じて通貨が減価し、減速している。
 (2) 財政事情
 我が国財政は、九年度末の公債残高が約二百五十五兆円に増加する見込みであるなど、主要先進国中最悪の危機的状況に陥っている。このような状況の下、二十一世紀に向けてさらに効率的で信頼できる行政を確立し、安心で豊かな福祉社会、健全で活力ある経済の実現という明るい展望を切り開くためには、経済構造の改革を進めつつ、財政構造改革を推進することは一刻の猶予も許されない喫緊の課題である。

2 予算編成の基本方針

 十年度予算の編成に当たっては、先般成立した「財政構造改革の推進に関する特別措置法」等を踏まえ、「平成十年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」にのっとり、次のような方針で編成することとした。
 (1) 一般会計予算においては、「財政構造改革の推進に関する特別措置法」で定められた各歳出分野における改革の基本方針、主要な経費に係る量的縮減目標に従い、歳出全般について聖域を設けることなく徹底した見直しに取り組むこととする。
 (2) 特に、政策的経費である一般歳出については、各種施策について優先順位の厳しい選択を行うとともに、社会経済情勢の変化に即応した財政需要に対しては、財源の重点的・効率的配分を行うことにより、その額が九年度の当初予算の額を相当程度下回るようにする。
 (3) 社会経済情勢の変化に即応した、簡素にして効率的な行政の実現を目指し、行政の制度・運営について不断のかつ徹底した見直しを行い、所要の改革合理化措置を着実に実施する。
 (4) 税制面においては、当面の金融・経済情勢を踏まえつつ、経済社会の構造的な変化及び諸改革に対応するため、法人税制、金融関係税制、土地・住宅税制等について適切な措置を講ずるほか、たばこ特別税を創設することとする。
 また、平成十年分所得税について、定額の特別減税を行うこととする。
 (5) 公債発行額は、前年度当初発行予定額より一兆一千五百億円減額し、十五兆五千五百七十億円とする。

3 十年度一般会計予算の規模等

 (1) 一般会計予算の規模
 十年度一般会計予算の規模は、七十七兆六千六百九十二億円であって、九年度予算額に対し二千七百九十二億円(〇・四%)の増加となっている。
 なお、一般歳出の規模は、四十四兆五千三百六十二億円であって、九年度予算額に対し五千七百五億円(一・三%)の減少となっている。
 (2) 一般会計予算と国内総生産等
 (イ) 一般会計予算の規模を国内総生産等と対比すると、第1表のようになる。
 (ロ) なお、十年度の国民経済計算上の中央、地方を含めた政府支出の額は、八十七兆三千億円程度であり、九年度実績見込みに対し、一・八%程度の減少となる見込みである。また、そのうち、固定資本形成は、五・九%程度の減少となるものと見込まれる。
 (3) 一般会計歳入予算
 (イ) 租税及印紙収入は、現行法による場合、九年度予算額に対し一兆八千九百七十億円増の五十九兆六千九百九十億円になると見込まれるが、平成十年分所得税の特別減税、法人税制改革、金融関係税制の改正、土地・住宅税制の改正等及び関税率の改定等の税制改正を行うこととしている結果、九年度予算額に対し七千二百億円(一・二%)増の五十八兆五千二百二十億円になると見込まれる。
 また、その他収入は、九年度予算額に対し、七千九十二億円(二四・六%)増の三兆五千九百二億円になると見込まれる。
 (ロ) 十年度における公債発行額は九年度当初発行予定額を一兆一千五百億円下回る十五兆五千五百七十億円である。
 公債発行額のうち八兆四千二百七十億円については、「財政法」第四条第一項ただし書の規定により発行する公債によることとし、七兆一千三百億円については、「平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律」の規定により発行する公債(以下「特例公債」という。)によることとしている。この結果、十年度予算の公債依存度は二〇・〇%(九年度当初予算二一・六%、補正後予算二三・五%)となっている。
1 租税及印紙収入       (単位 億円)
 (1) 現行法を十年度に適用
   する場合の租税及印紙  五九六、九九〇
   収入
 (2) 税制改正による増△減
   収見込額       △ 一一、七七〇
  イ 平成十年分所得税の
    特別減税      △  四、二四〇
  ロ 法人税制改革関係  △  三、二六〇
  ハ 金融関係税制の改正 △  二、一一〇
  ニ 土地・住宅税制の改
    正         △  一、四八〇
  ホ その他の改正    △    六七〇
 (内国税計        △一一、七六〇)
  へ 関税率の改定等   △     一〇
 (3) 十年度予算額(1)+(2)  五八五、二二〇
2 その他収入         三五、九〇二
3 公 債 金        一五五、五七〇
  合   計        七七六、六九二

4 重要施策

 (1) 税制改正
 当面の金融・経済情勢を踏まえつつ、経済社会の構造的な変化及び諸改革に対応するため、法人税制、金融関係税制、土地・住宅税制等について適切な措置を講ずるほか、たばこ特別税を創設することとしている。
 また、平成十年分所得税について、定額の特別減税を行うこととしている。
 (2) 社会保障の構造改革
 今後の急速な少子・高齢化の進展に伴い我が国の社会保障給付費及び社会保障関係予算の増大が見込まれるなか、財政構造改革の推進の観点も踏まえ、経済の発展、社会の活力を損なわないよう、給付と負担の均衡を図る等制度の効率化・合理化を進め、将来にもわたり安定的に運営できる社会保障制度を構築していくための構造改革を推進していく必要がある。
 このような考え方に基づき、十年度の社会保障関係費については、「財政構造改革の推進に関する特別措置法」の趣旨を踏まえ、医療、年金、福祉、雇用各分野の経費を一切の聖域なく見直した結果、九年度予算に対して二千九百二十九億円(二・〇%)増の十四兆八千四百三十一億円となっている。
 医療関係については、薬価の大幅な引下げ、医療費の適正化、保険病床数の適正化により医療費の効率化を図るとともに老人医療費拠出金の負担の公平化の観点から、以下の制度改正を行うこととしている。
 @ 老人加入率上限の見直し
    二五%  →  三〇%
 A 退職被保険者に係る老人医療費拠出金の負担の公平化
  退職被保険者に係る老人医療費拠出金の負担を国民健康保険と被用者保険の折半(二分の一ずつ)とする。
 また、八年度、九年度の二年分の人件費及び物件費の上昇への対応分として一・五%、並びにこれに診療報酬合理化分を加える診療報酬改定を十年四月一日から行うこととしている。
 なお、医療費の効率化・適正化を図るため、重複・頻回受診者に対する訪問指導の強化、医療機関に対する指導監査の強化、レセプト審査の充実強化等各般の施策を強力に推進することとしている。
 医療供給体制の整備については、医療施設の近代化を図るための助成措置を引き続き行い、一般病院の病床を要介護者の生活の質に配慮した療養環境を備えた療養型病床群へ転換することを促進するほか、救急医療対策、へき地保健医療対策、高度不採算医療を行う公的医療機関等に対する助成措置を引き続き行うこととしている。
 また、難病対策を積極的に推進するとともに、国立医療施設を中心として、がん、循環器病、小児医療等の専門医療機能の強化を図ることとしている。
 年金については、年金額の物価スライド(一・九%見込み)を実施するほか、厚生年金等の社会保険事務費国庫負担を見直し、一部保険料財源化を図ることとしている。
 福祉については、少子・高齢化社会のなかでも国民が生涯を通じて心豊かに安心して、活力を持って暮らしていける長寿社会を実現するため、引き続き高齢者や障害者の保健福祉施策、児童家庭対策の充実を図っている。
 特に介護保険法の成立を踏まえ、在宅・施設サービスの整備など新ゴールド・プランの着実な推進を図るとともに、障害者プラン、エンゼル・プランも着実に推進することとしている。
 同時に福祉予算についても、重点化・効率化を進めることとし、児童扶養手当制度や保育所徴収基準額(保育料)等について所要の改正を行うこととしている。
 このほか国立病院についても、八年十一月に見直された「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本方針」に基づき再編成を進めるほか、経営の改善・合理化を一層強化すること等により国立病院特別会計への一般会計繰入れを、九年度予算に対して三百三十四億円縮減している。
 なお、社会保障関係の補助金については、「財政構造改革の推進に関する特別措置法」の趣旨を踏まえ、地方公共団体の事務・事業として同化・定着しているもの等を積極的に一般財源化した。
 雇用対策については、現下の厳しい雇用失業情勢や産業構造の変化等に対応し労働者の雇用の安定を図るため、円滑な労働移動を促進するとともに、多様なニーズに応じた職業能力開発を推進することとしている。
 また、少子・高齢化の進展に対応し、高齢者の六十五歳までの継続雇用や多様な雇用・就業機会の確保を推進するとともに、職業生活と家庭生活との両立を支援するための育児・介護対策や労働者の健康確保対策など雇用環境の整備のための施策を充実することとしている。
 雇用保険については、教育訓練給付金を創設するほか、財政構造改革の観点を踏まえつつ、年金の国庫負担との重複を解消する観点から高年齢求職者給付金に係る国庫負担を廃止するとともに、自己責任原則の観点から失業等給付に係る国庫負担率を当分の間現行の七割に引き下げることとしている。
 (3) 文教及び科学技術の振興
 文教予算については、「財政構造改革の推進に関する特別措置法」の趣旨を踏まえ、児童生徒数の減少に応じた合理化、受益者負担の徹底、国と地方の役割分担及び費用負担等の観点から各種経費について制度の根本に遡った見直しを進めるとともに、資金の重点的、効率的配分を図ることとしている。
 また、科学技術予算については、経済フロンティアを拡大し、国民生活の質の向上を図るために、ライフサイエンスをはじめとした創造的・基礎的研究の一層の充実に配慮する一方で、「財政構造改革の推進に関する特別措置法」に即して分野別の資金配分に配意し、さらに、研究分野・制度の重複の排除や、研究の共同・連携を促進することにより、戦略的な重点的配分を図ることとしている。
 この結果、十年度の文教及び科学振興費については、六兆三千四百五十七億円(九年度予算比二十二億円、〇・〇%増)を計上している(うち、科学技術振興費は、八千九百七億円(九年度予算比四百十四億円、四・九%増))。
 公立小中学校等の教職員定数については、第六次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画(五〜十二年度の八年計画)の十年度分として、所要の改善措置を講じている。
 公立学校施設については、緊急度の高い改築事業や耐震補強等、耐震性能を向上する事業などを優先し、その必要事業量を確保するとともに、特殊教育諸学校建物等の基準面積の改定など、所要の制度改正を行うこととしている。
 国立学校については、既存施設の有効活用に努めつつ、教育研究環境の改善を図るための施設の整備を行うこととしている。また、大学院の充実強化、教育研究の活性化等大学改革の推進、創造的な人材養成を目指す理工系教育の推進、人間性豊かな医療・介護関係人材育成を目指す医学系教育の推進、学生のインターンシップの推進、高度情報化社会に対応した教育研究の推進、研究支援体制等の整備拡充及び卓越した研究拠点(COE)の形成等を図っている。
 他方、国立学校の授業料については物価の動向等や自己財源の確保の必要性を考慮し引上げを図ることとしている。また、在学中に授業料改定が行われた場合に新授業料を適用するスライド制を導入し、十一年度入学者から適用することとしている。
 私学助成については、私立大学等経常費補助及び都道府県による高等学校以下の私立学校に対する経常費助成の補助について、特色ある教育研究プロジェクトを重視するため一般補助から特別補助への配分を高めることとし、所要の経費を計上するとともに、私立学校教育研究装置等施設整備費補助及び私立大学等研究設備整備費等補助について所要の経費を計上している。
 また、私立学校の老朽校舎の改築を計画的に推進するため、私立学校施設高度化推進事業について、所要の経費を計上している。
 育英奨学事業については、大学院の貸与人員の増員、大学予約採用人員の増員及び私立大学貸与人員の増員等を図ることとし、所要の経費を計上している。
 このほか、生涯学習の振興、特殊教育の振興、芸術文化・スポーツの振興等についても施策の充実に努めるため、所要の経費を計上している。
 科学技術の振興については、資源に乏しい我が国が今後一層の発展を遂げるため、その着実な充実を図る必要があるとの長期的展望に立ち、基礎的・創造的研究の充実強化及び若手研究者の養成・確保を図るとともに、宇宙開発、海洋開発、産業技術基盤研究開発、コンピュータの研究開発等を中心として、時代の要請に即応した科学技術の研究開発に努めることとしている。
 また、研究の競争的環境を醸成しつつ研究資金の重点的・効率的配分等を図るとともに、国民に開かれた科学技術とするため、各省庁において事前・中間・事後にわたる外部評価の実施、評価結果の公表等、研究開発に係る評価体制を確立することとし、その一環として、各省庁連絡会議を設置することとしている。また、ゲノム関連研究及びがん対策等を積極的に推進することとしている。
 (4) 社会資本の整備
 公共事業関係費については、本格的な高齢化社会の到来を目前に控え、社会資本整備を着実に推進する必要がある一方、我が国の極めて深刻な財政事情の下で、財政構造改革に取り組むことが喫緊の課題である。このため、十年度の公共事業予算については、「財政構造改革の推進に関する特別措置法」を踏まえ、一般会計においては、八兆九千八百五十三億円(九年度予算比七・八%減)を計上するほか、産業投資特別会計社会資本整備勘定(以下この章において「産投特会」という。)においては、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づき貸付けを受けて実施される公共的建設事業として九百四十四億円(九年度予算比七・〇%減)を計上している。
 この両者を合わせた公共事業関係費は九兆七百九十八億円(九年度予算比七・八%減)である。
 なお、その配分に当たっては、九年六月三日の閣議決定「財政構造改革の推進について」を踏まえ、経済構造改革関連の社会資本について物流の効率化対策に資するものを中心として優先的、重点的に整備するほか、引き続き、相対的に立ち遅れている生活関連の社会資本への重点化を図るとともに、防災対策の充実、自然環境への配慮等といった諸課題にも適切に対処している。
 また、経済構造改革を推進するために創設した「物流効率化による経済構造改革特別枠」の配分に当たり、異なる所管による共同要望プロジェクトに係る経費については、その一元的な執行体制を通じてより緊密な連携及び実効性を確保する観点から、道路整備、港湾整備及び空港整備に要する経費を物流効率化特別対策事業費として国土庁に一括計上(七百九十四億円)している。
 治山治水対策事業については、国土保全施設の整備を進めるとともに、水需要の増大に対処するため、一兆三千九百九十二億円(一般会計一兆三千九百九十二億円、産投特会三千八百万円)を計上している。
 道路整備事業については、物流の効率化対策に資する高規格幹線道路等の整備等を重点的に実施することとし、総額二兆七千七百四十一億円(一般会計二兆六千八百四十三億円、産投特会八百九十七億円)を計上している。
 港湾漁港空港整備事業については、地域発展の基盤となる港湾施設の整備、漁業生産の基盤となる漁港施設の整備及び漁港漁村の環境整備、航空輸送の充実の要請に応えるための空港施設の整備等に重点を置くこととし、六千八百二十四億円(一般会計六千七百九十九億円、産投特会二十五億円)を計上している。
 住宅市街地対策事業については、住宅金融公庫融資において、民間金融の補完の徹底を図り、業務の重点化、政策誘導機能の強化を図るとともに、住宅市街地整備総合支援事業、市街地再開発事業等の促進を図ることとし、一兆六百九十六億円(一般会計一兆六百八十三億円、産投特会十三億円)を計上している。
 下水道環境衛生等施設整備事業については、下水道の普及促進のため、引き続き、一般都市の公共下水道の整備を推進するとともに、廃棄物処理施設の整備に重点を置くほか、国営公園、都市公園、自然公園の重点的な整備等の促進を図ることとし、一兆六千二百九十二億円(一般会計一兆六千二百八十四億円、産投特会八億円)を計上している。
 農業農村整備事業については、農業の生産性の向上及び農村の生活環境の向上に資する事業等に重点を置くこととし、一兆八百三十七億円(一般会計一兆八百三十七億円、産投特会一千二百万円)を計上している。また、このなかで、国際化の急速な進展を踏まえ、我が国農業の体質強化を緊急に図る観点から、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策を実施することとしている。
 森林保全都市幹線鉄道等整備事業については、三千四百一億円(一般会計三千三百九十九億円、産投特会一億円)を計上している。
 (5) 経済協力の充実
 一般会計ODA予算については、「財政構造改革の推進に関する特別措置法」の規定に従い、援助の量から質への転換を徹底することとし、九年度予算額に対して一千二百十四億円(一〇・四%)減の一兆四百七十三億円とすることとしている(経済協力費は、一千百九億円(一〇・二%)減の九千八百三億円)。
 十年度の予算編成については、総理より、九年三月八日、九年十二月九日の二回にわたり、基本方針が示されており、この方針に従い、ODAの質の向上、存在感の強化を図るため、環境、社会開発、人道、人造り等の分野に重点化し、概算要求の予算配分から、所管の枠を越えた思い切った総合調整を実施している。また、ODAの効果的・効率的な実施のため、事前調査、事後評価、フォローアップの拡大を図ることとしている。
 経済開発等援助費については、環境、社会開発問題に対応するため、温暖化対策等として「植林無償」、「環境・社会開発セクター・プログラム無償」を創設、人道支援を行う「緊急無償」につき前年度水準を確保するほか、我が国NGOの活用等を念頭に置いた「草の根無償」を拡充するなど、総額を削減するなかで、効果的・効率的な援助を実施しうるような内容の充実に配意し、九年度予算比九・四%減としている。
 技術協力については、限られたODA予算のなかで、開発途上国の人造り支援等の観点から、国際協力事業団に対する交付金、留学生経費などへの重点的予算配分とした上で、技術協力全体として九年度予算比二・〇%減としている。
 国際機関等を通ずる経済協力については、人道分野に係る国連機関に対する拠出金について前年度水準を確保する一方、国際開発金融機関等への拠出については、総額を大幅に削減するなかで、環境、金融セクター改革支援等の分野に重点化を図り、九年度予算比五・三%減としている。
 円借款については、これまでの執行状況等を勘案し、海外経済協力基金への出資金及び交付金を九年度予算比一八・〇%減とする。
 (6) 防衛力の整備
 防衛関係費については、九年十二月十九日の安全保障会議及び閣議決定により見直しが行われた「中期防衛力整備計画(八〜十二年度)」等の下、引き続き危機的な状況にある財政事情等を踏まえ、効率的で節度ある防衛力の整備を図るため、所要の経費を計上しており、防衛関係費として、九年度予算額に対して七十八億円(〇・二%)減の四兆九千三百九十七億円を計上している。
 なお、沖縄に関する特別行動委員会(以下「SACO」という。)関係経費は百七億円であり、これを除いた防衛関係費は、四兆九千二百九十億円(〇・三%減)となる。
 (7) 中小企業施策の推進
 中小企業対策費については、中小企業を取り巻く厳しい経営環境に配慮し、中心市街地活性化や金融対策等、特に緊要な課題に重点を置いて、施策の充実を図ることとし、一千八百五十八億円を計上している。
 まず、小規模事業対策について、経営指導体制の充実等を図るとともに、組織化対策について、その推進を図ることとしている。
 中小企業指導事業について、技術開発の推進、経営・技術の診断指導の充実、情報化の推進等を図ることとしている。
 近代化促進については、中心市街地活性化対策として、商店街振興事業対策や中小小売商業振興対策を充実するとともに、地域産業集積活性化対策、下請企業振興対策等を推進することとしている。
 さらに、小企業等経営改善資金融資制度について、所要の予算を計上しているほか、中小企業に対する信用補完の一層の充実を図るため、中小企業信用保険公庫に対して所要の出資を行うとともに、信用保証制度の円滑な運営に資する信用保証協会基金補助を大幅に拡充することとしている。
 また、国民金融公庫及び中小企業金融公庫について、所要の補給金を計上している。
 (8) 農林水産業の振興
 我が国の農業・農村を取り巻く内外の諸情勢のなかで、農業の将来展望を切り開いていくためには、経営感覚に優れた効率的・安定的な経営体が生産の大宗を担う農業構造を実現していくことが必要である。
 農林水産関係予算については、かかる観点に立って、担い手への施策の集中、市場原理・競争条件の一層の導入を図りつつ、農林水産業の生産性の向上と健全な発展を図るための施策を重点的・効率的に展開することとしている。
 特に十年度においては、米について、大幅な全体需給の緩和に伴う持越在庫の増加、自主流通米価格の急落という極めて厳しい状況に対処するべく、全体需給の早急な改善のための過去最高の生産調整目標面積の設定(緊急生産調整推進対策)、政府備蓄水準の早期適正化のための備蓄運営ルールの設定、既存助成金等について市場原理の活用等の観点から総見直しを行い、自主流通米価格下落時にその影響を緩和するための稲作経営安定対策を創設するなど、新たな米政策の構築を図ったところである。
 また、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策については、財政構造改革の観点から、全体の事業内容について、これまでの実績の検証を踏まえ、新しい国際環境に対応しうる農業経営の確立、地域特性の活用により資するよう見直しを実施している。
 さらに、国有林野事業については、その健全な運営が確保され、その使命が十全に果たされるよう、累積債務の処理を含む抜本的改革を実施することとしている。
 このほか、国内農業の生産体制を抜本的に強化するため、農業生産体制強化総合推進対策及び畜産再編総合対策を実施することとしている。
 また、効率的・安定的な経営体の育成等を通じた国内農業の体質強化等に主眼を置いて農業農村整備事業を推進するとともに、農業構造改善事業のなかで経営感覚に優れた経営体の育成に重点を置いた地域農業基盤確立農業構造改善事業を実施するほか、総合的視点に立った地域の活性化と定住の促進のための山村振興等農林漁業特別対策事業を実施することとしている。
 さらに、農業経営の規模拡大及び効率的・安定的な経営体の育成を図るため、農村地域農政総合推進対策、農業改良普及事業等を推進するとともに、融資制度の充実を図ることとしている。
 生鮮食料品等の流通及び価格安定対策については、卸売市場施設整備を推進するほか、野菜、果実及び畜産物の価格対策を引き続き実施することとしている。
 森林の公益的機能の発揮と林業生産の振興を図るため、間伐の実施と間伐材の利用を促進する事業の強化、森林計画制度の見直し等を行うとともに、林業の構造改善、木材の流通合理化、特用林産物の産地体制の整備等に係る施策を総合的に推進することとしている。
 水産業の振興と水産物の安定的供給の確保を図るため、沿岸漁業及び栽培漁業振興対策、漁港整備事業、水産物流通調整対策等を推進するとともに、漁業経営の安定化、合理化等の漁業経営対策の充実を図ることとしている。
 (9) エネルギー対策の推進
 エネルギー対策については、地球温暖化問題への対応が求められるなか、省エネルギー対策や新エネルギーの開発・利用の促進等に重点的に取り組むこととしている。また、エネルギーの安定供給の確保や原子力の平和利用の促進等についても着実に取り組むなど、中長期的な観点に立った総合的なエネルギー政策を着実に推進することとしている。
 すなわち、石油資源の探鉱・開発の推進、国家石油備蓄の維持、石油生産合理化技術の研究開発等石油対策の推進に努めるとともに、原子力利用の安全確保のための研究、原子力施設の老朽化・安全性向上対策、高速増殖炉の研究開発、高レベル放射性廃棄物の処分に関する研究開発、核融合の研究開発、新エネルギー技術及び省エネルギー技術の研究開発、地球温暖化問題に対応する技術の開発等の推進に努めることとしている。
 これらの施策を実施するため、一般会計のエネルギー対策費として、六千六百八十二億円を計上している。
 (10) 地方財政
 十年度の地方財政については、引き続き大幅な財源不足が見込まれるが、一方、国の財政事情も極めて厳しく、国と地方という公経済の車の両輪がバランスのとれた財政運営を行う必要があるという基本的考え方を踏まえつつ、地方財政の運営に支障を生ずることのないよう適切な措置を講ずることとしている。すなわち、平成十年分所得税の特別減税の十年度における影響については交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金や減税補てん債の発行により補てんするとともに、一般会計からの加算や同特別会計の借入金により所要の地方交付税総額を確保することとしている。この結果、同特別会計から十年度に地方団体に交付される地方交付税の総額は、九年度予算額に対して三千九百十三億円(二・三%)増の十七兆五千百八十九億円となっている。
 補助金等については、「財政構造改革の推進に関する特別措置法」等に基づき、経済社会情勢の変化、国と地方の役割分担の在り方等を踏まえ、すべての行政分野において見直しを行い、一般財源化を図るなどその整理合理化を積極的に推進することとしている。
 なお、地方公共団体においても、国・地方ともに厳しい財政事情を踏まえ、財政構造改革を推進する観点から、国と同一基調での歳出の徹底した抑制を図り、財政の自主的かつ自立的な健全化に努めることが期待される。
 (11) 物価対策の推進と公共料金の適正化
 十年度においては、引き続き、物価の安定を図るため、低生産性部門の生産性向上、流通対策、労働力の流動化促進、競争条件の整備、生活必需物資等の安定的供給、住宅及び地価の安定等の諸施策を推進することとし、一般会計、特別会計を通じ、十年度における物価対策関係経費として、四兆八千二百三十三億円を計上している。
 また、公共料金については、物価の動向に配慮しつつ、受益者負担の原則に立って適正化を図り、公正な費用負担の確保に努めることとしている。
 (12) 環境保全対策の推進
 環境保全対策については、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会を構築することを目指して、六年十二月に策定された「環境基本計画」に盛り込まれた施策の推進を図ることとし、一般会計、特別会計を通じ、十年度における環境保全経費として、二兆七千二百八十七億円を計上している。
 特に、地球環境問題、とりわけ地球温暖化対策については、九年十二月に京都で開催された気候変動枠組条約第三回締約国会議において、先進国の温室効果ガスの排出削減目標等を定めた「京都議定書」が採択されたことを踏まえ、我が国として国内対策に率先して取り組むとともに、国際的な取組みに積極的に貢献していくとの観点から、その解明と解決に資する施策について重点的、優先的に配慮することとしている。
 (13) 国鉄長期債務及び国有林野累積債務の処理
 国鉄長期債務及び国有林野累積債務については、以下のような処理策を講ずることとしている。
 国鉄長期債務の処理策については、
 (イ) 年金等負担金の支払(厚生年金移換金を含む。)、利払費、元本償還に分けることとする。
 (ロ) 年金等負担金の支払については、日本鉄道建設公団が特例業務として行い、その財源については、土地・株式の売却収入等の自主財源、一般会計からの補助金(日本鉄道建設公団助成費)を充てることとするほか、JRも負担することとする。
 (ハ) 有利子債務(約十五兆二千億円)については、一般会計において承継し、日本国有鉄道清算事業団の国に対する無利子債務(約八兆三千億円)については免除することとする。
 (ニ) 有利子債務の利払費については、資金運用部資金・簡易生命保険特別会計からの借入金、引受債の繰上償還により金利負担を軽減した上で、郵便貯金特別会計からの特別繰入れ、たばこ特別税を財源に充てることとする。
 (ホ) 元本償還に要する財源については、前記の財源の一部を充てるほか、当面は、一般会計の歳出・歳入両面にわたる努力により対応し、最終的には、年金負担が縮小していくことに伴い確保される財源等により対応することとする。
 国有林野累積債務の処理策については、
 (ヘ) 約三兆八千億円の債務を国有林野事業特別会計で返済可能な債務約一兆円と現状において返済不能な債務(以下「返済不能債務」という。)約二兆八千億円に区分することとする。返済不能債務約二兆八千億円については、一般会計に承継することとする。
 (ト) 返済可能な債務約一兆円については、今後、国有林野事業特別会計が利子補給を受けつつ、民間借入れによる借換えなども行いながら返済することとする。
 (チ) 返済不能債務約二兆八千億円の利払費については、繰上償還により金利負担を軽減した上で、一般会計国債費(農林水産省予算の負担により確保)とたばこ特別税により手当することとする。
 (リ) 元本償還に要する財源については、当面は、一般会計の歳出・歳入両面にわたる努力により対応し、最終的には、将来の国有林野事業特別会計の剰余金により確保される財源により対応することとする。
 (14) 金融システムの安定化
 金融システムの安定化のための措置に関し、一般会計予算総則において、預金保険機構の特例業務勘定及び金融危機管理勘定の借入金等について、それぞれ十兆円の政府保証限度額を定めることとしている。



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【一般会計】


◇歳    出◇第2表参照


 社会保障関係費
              (百万円)
    十年度 一四、八四三、〇九〇
    九年度 一四、五五〇、一四五
    比較増△減  二九二、九四五

1 生活保護費
             (百万円)
    十年度 一、一一〇、六二六
    九年度 一、〇七五、七三五
    比較増△減 三四、八九一
 この経費は、「生活保護法」に基づき、地方公共団体が支弁する各種の保護費(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、出産扶助、生業扶助及び葬祭扶助の各経費)、保護施設の事務費に対する国の補助に要する経費、生活保護法実施のための指導監査職員の設置に要する国の委託等に必要な経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 保護費
 (イ) 生活扶助については、扶助基準の引上げ(一級地―一の標準三人世帯で九年度の月額十六万一千八百五十九円が十六万三千三百十六円となる。)等を行うこととし、最近の実績を勘案して扶助人員を七十七万二千人と見込み、三千五百六十七億五千六百万円を計上している。
 (ロ) 医療扶助については、最近の診療実績等を勘案して件数の増等を見込み、六千百八十六億五千万円を計上している。
 また、生活保護の運用については、引き続き適正化を図ることとし、問題ケースの重点調査指導、医療扶助の適正化等各般の施策を推進することとしている。
 (2) 保護施設事務費
 各種保護施設の運営費について、施設職員給与の改善等を行うこととし、二百六十八億三千万円を計上している。

2 社会福祉費
             (百万円)
    十年度 四、二五七、八三八
    九年度 四、〇〇二、〇六七
    比較増△減 二五五、七七一
 この経費は、「老人保健法」等に基づく老人福祉費、「身体障害者福祉法」に基づく身体障害者保護費、「児童福祉法」、「母子保健法」等に基づく児童保護費、児童扶養手当及び特別児童扶養手当等の支給に必要な経費、婦人保護費、社会福祉施設整備費、母子福祉費並びに国立更生援護機関の運営に要する経費等である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 老人福祉費
 (イ) 「老人保健法」による老人医療給付費等について、二兆一千百七十四億五千六百万円を計上している。なお、老人医療費の効率化・適正化を図るため、重複・頻回受診者に対する訪問指導の強化、レセプト審査の充実強化等各般の施策を強力に推進することとしているほか、
 (ロ) 特別養護老人ホームをはじめとする入所施設の運営費について、生活費の引上げ等入所者の処遇改善、入所定数の増加、施設職員給与の改善等を行うこととして、四千三百億七千二百万円を計上し、
総額二兆五千四百七十五億二千八百万円を計上している。
 (2) 身体障害者保護費
 (イ) 各種更生援護施設の運営費について、生活費の引上げ等入所者の処遇改善、入所定数の増加、施設職員給与の改善等を行うほか、
 (ロ) 七年十二月に策定された障害者プランを推進することとし、
総額九百八十億一千六百万円を計上している。
 (3) 児童保護費
 (イ) 各種入所施設及び保育所の運営費について、生活費の引上げ等入所者の処遇改善、施設職員給与の改善等を行うほか、
 (ロ) 児童福祉事業、精神薄弱者地域生活援助事業、障害児(者)地域療育支援事業、虐待・いじめ対策支援事業等の充実を図ることとし、
総額六千九百三十三億三千六百万円を計上している。
 (4) 社会福祉諸費
 (イ) 在宅福祉対策として、訪問介護事業、短期入所生活介護運営事業、老人日帰り介護運営事業及び在宅介護支援センターの拡充等事業の充実並びに介護実習・普及センターの拡充を図るほか、
 (ロ) 社会福祉・医療事業団の福祉貸付等の貸付規模を、十年度においては三千六百八十億円とするとともに、生活福祉資金貸付等補助金、心身障害者福祉協会の運営費補助金等として所要の額を計上することとし、
総額三千五百十四億五千三百万円を計上している。
 (5) 社会福祉施設整備費
 各種の社会福祉施設等について、社会的需要に即応して整備改善を図るとともに、在宅老人福祉の拠点施設の整備等を促進することとし、二千十五億二千八百万円を計上している。
 (6) 母子福祉費
 母子寡婦福祉貸付金の貸付けについて、貸付原資の追加を行うこととし、五十二億円を計上している。

3 社会保険費
             (百万円)
    十年度 八、六一一、八二三
    九年度 八、五四七、七三一
    比較増△減 六四、〇九二
 この経費は、社会保険国庫負担金、厚生年金保険国庫負担金、健康保険組合助成費、厚生年金基金連合会等助成費、国民健康保険助成費、国民年金国庫負担金、農業者年金等実施費、国民年金基金等助成費、日本鉄道共済組合等助成費及び児童手当国庫負担金である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 政府管掌健康保険
 国庫補助については、九千六十一億四千九百万円を計上している。
 なお、医療費支出の適正化を図るため、引き続き、医療機関に対する指導監査の強化、レセプト審査の充実強化等各般の施策を強力に推進することとしている。
 (2) 厚生年金保険
 元年改正により導入された完全自動物価スライド制に基づき、九年(暦年)消費者物価上昇率を基準として、十年四月から年金額を一・九%(見込み)引き上げることとしている。これにより、標準的な年金額の水準(最近年金を受け始めた男子の平均)を月額二十万一千六百円から二十万五千四百円(見込み)にすることを予定している。
 国庫負担額については、「平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律」に基づき七千億円を減額した額の繰入れを予定しており、前記の改善分を合わせ、二兆八千三百二億二千四百万円を計上している。
 (3) 組合管掌健康保険
 財政基盤がぜい弱なため厳しい財政状況にある健康保険組合等に対する給付費臨時補助金として六十七億三千万円を計上するとともに、事務費負担金を四十四億四百万円計上している。
 (4) 国民健康保険
 国民健康保険助成費については、三兆一千百五十九億二千万円を計上している。
 なお、医療費支出の適正化を図るため、引き続き、医療機関に対する指導監査の強化、レセプト審査の充実強化を行うこととしている。
 (5) 国民年金
 元年改正により導入された完全自動物価スライド制に基づき、九年(暦年)消費者物価上昇率を基準として、十年四月から年金額を引き上げることとしている。
 国庫負担金については、前記の改善分を合わせ一兆三千二百六十四億九千万円を計上している。
 なお、保険料については、「国民年金法等の一部を改正する法律」に基づき、十年四月から月額一万二千八百円を一万三千三百円に引き上げることとしている。
 (6) 福祉年金
 元年改正により導入された完全自動物価スライド制に基づき、九年(暦年)消費者物価上昇率を基準として、十年四月から年金額を引き上げることとしている。
 老齢福祉年金の扶養義務者等所得制限限度額九百四十六万三千円(六人世帯)については、支給率維持の考え方で引き上げ、十年八月から九百五十四万二千円とすることとしている。
 国庫負担金については、前記の改善分を合わせ八百八十八億二千八百万円を計上している。
 (7) 農業者年金
 農業者年金については、経営移譲年金給付費補助金五百三十八億四千二百万円及び経営移譲年金給付費負担金二百八十六億八千百万円を計上している。
 なお、九年(暦年)消費者物価上昇率を基準として、十年四月から年金額を引き上げるとともに、保険料について、十一年一月から月額一万九千二百七十円を二万四百六十円(見込み)に引き上げることを予定している。
 (8) 児童手当
 児童手当については、「児童手当法」に基づき、支給額を第一子及び第二子月額五千円、第三子以降月額一万円とし、支給年齢については、三歳未満とすることとしている。これらに伴い、国庫負担金については、二百五十四億二千七百万円を計上している。
 なお、一定の所得未満の被用者等に対し、事業主拠出金により、特例給付を行うこととしている。
 (9) その他
 厚生年金等の社会保険事務費の国庫負担等については、「財政構造改革の推進に関する特別措置法」等に基づいて見直しを行い、一部保険料財源化を図ることとしている。

4 保健衛生対策費
           (百万円)
    十年度 五三五、九四五
    九年度 五九七、五〇七
    比較増△減 △ 六一、五六二
 この経費は、「結核予防法」等に基づく医療費に対する補助に要する経費、原爆障害対策費、保健衛生諸費、保健衛生施設整備費、国立病院特別会計に対する経営費及び施設費の財源繰入れに必要な経費、国立ハンセン病療養所費、検疫所費、沖縄保健衛生諸費並びに沖縄保健衛生施設整備費等である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 結核医療費については、最近の命令入所患者等の医療費の実績等に基づき、八十七億五千六百万円を計上している。
 (2) 精神保健費については、最近の措置入院患者等の医療費の実績等に基づき、四百六十五億五千六百万円を計上している。
 (3) 原爆障害対策費については、引き続き、医療の給付及び各種手当等の交付等を行うこととして、一千五百七十五億二千五百万円を計上している。
 (4) 保健衛生諸費については、
 (イ) 臓器移植対策事業の拡充を図る等、疾病予防及び健康づくり推進費として、七十六億八千三百万円を計上している。なお、地方に同化、定着した事務・事業については地方分権の観点から一般財源化を行うこととしている。
 また、「老人保健法」に基づく保健事業等について、保健事業第三次計画に基づき健康診査、健康教育、訪問指導等の事業を引き続き推進することとし、二百七十三億二千九百万円を計上している。なお、保健事業費負担金のうちがん検診費等については地方に同化、定着した事務・事業として一般財源化を行うこととしている。
 (ロ) 医療供給体制を整備するため、
 @ 救急医療体制について、引き続きその体系的整備を図るため、病院群輪番制病院等の整備及び重篤患者のための救命救急センターの整備等を行うこととし、これらの所要額のうち運営費について、百十八億七千五百万円を計上しているほか、
 A へき地保健医療対策についても、引き続き、へき地勤務医師の確保等の事業を行うこととし、二十一億三千八百万円を計上している。
 B また、日本赤十字社、恩賜財団済生会等の開設する救急医療施設等の高度不採算部門の運営費等に対する補助を引き続き行うこととしている。
 (ハ) 地域保健対策の中心的な役割を担う保健所については、積極的な地域保健活動を推進するため、引き続き、その機能の充実強化を図ることとして、百一億七千万円を計上している。
 (ニ) また、廃棄物の再生利用等のための総合的な事業を推進することとし、七億九千七百万円を計上している。
 (ホ) さらに、血液対策推進費については、血液製剤の安定的確保等の見地から、引き続き、献血制度の推進、献血者の健康増進事業及び献血制度推進モデル事業等献血推進基盤整備事業の充実を図るほか、エイズ発症予防等に資するため、血液製剤によるヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者の調査研究等を行うこととし、十六億五千七百万円を計上している。
 これらにより、保健衛生諸費については、七百七十億三千九百万円を計上している。
 (5) 保健衛生施設整備費については、引き続き、市町村保健センター、救急医療施設、公的医療機関、看護婦養成所、へき地中核病院等の整備等を推進し、医療施設近代化を図るための病院整備を推進するほか、一般病院の病床を、要介護者の生活の質に配慮した療養環境を備えた療養型病床群へ転換することを促進することとしている。このほか、エイズ患者が安心して医療を受けられる体制を整備するため、エイズ拠点病院の整備を推進することとしている。さらに、医療ケアと日常生活サービスを提供する老人保健施設の整備促進、精神障害者社会復帰施設の体系的整備を図ることとし、四百八十五億五千四百万円を計上している。
 (6) 国立ハンセン病療養所費については、入所者給与金の支給月額の引上げ等入所者の処遇改善を行うとともに、療養所施設の整備を推進することとし、四百十二億二千七百万円を計上している。

5 失業対策費
           (百万円)
    十年度 三二六、八五八
    九年度 三二七、一〇五
    比較増△減 △ 二四七
 この経費は、特定地域開発就労事業費補助、職業転換対策事業費、雇用保険国庫負担金及び船員雇用促進対策事業費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 雇用保険国庫負担金
 雇用保険の最近における受給実績を勘案し、求職者給付のうち、一般分の受給者実人員を月平均九十三万六千人、平均受給月額を十五万一千七百六十五円、特例一時金の受給者を三十九万五千人と見込み、さらに、雇用継続給付については、高年齢雇用継続給付及び育児休業給付のそれぞれの月平均受給者実人員を十七万人、三万七千人と見込み、求職者給付及び雇用継続給付並びにその事務の執行に要する費用に充てるため二千九百四十六億九千二百万円を計上している。
 (2) 特定地域開発就労事業
 就職が特に困難な地域において臨時的に就業の機会を与えるため、特定地域開発就労事業を実施する地方公共団体に対して補助を行うもので、対象人員は三千百人と見込み、事業の運営を図ることとしている。
 (3) 職業転換対策事業及び船員雇用促進対策事業
 「雇用対策法」及び「船員の雇用の促進に関する特別措置法」等に基づき、中高年齢の失業者等について、都道府県等の実施する職業訓練等に対する助成並びにこれらの者の雇用開発に関し支給する給付金、就職指導中に支給する手当及び居住地を移転して就職する場合に支給する手当等の支給を行うもので、手当額の引上げ等事業内容の改善を図るとともに、最近における事業の実績等を勘案し、事業の円滑な運営に必要な経費を計上している。
 このほか、シルバー人材センターに対する補助については、各都道府県下全域で事業が行えるような体制整備の経費を計上する一方、従来の委託援助事業について廃止の方向で大幅に縮小した額を計上している。

 文教及び科学振興費
             (百万円)
    十年度 六、三四五、七一七
    九年度 六、三四三、五六六
    比較増△減 二、一五一

1 義務教育費国庫負担金
             (百万円)
    十年度 二、八八七、五八九
    九年度 二、八八七、三四七
    比較増△減 二四二
 この経費は、「義務教育費国庫負担法」に基づき、義務教育諸学校の教職員給与費等の実支出額の二分の一を国が負担するために必要な経費である。
 この場合、財政力指数(当該年度前三か年平均)が一を超える都道府県並びに教職員総数が「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」に基づいて算定された教職員定数を超える都道府県及び教員の給料その他の給与の額が国立の義務教育諸学校の教員の俸給その他の給与の額を基準として算定した額を超える都道府県については、「義務教育費国庫負担法」第二条ただし書の規定に基づき、政令の定めるところにより、教職員給与費等の国庫負担額の最高限度を設けることとされている。
 給与費等については、これらに基づき必要な経費を計上しており、その算定基礎となる教職員数は、(イ)義務教育諸学校児童生徒数の減少に伴う教職員の減少(見込み)九千三百人のほか、(ロ)第六次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画(五〜十二年度の八年計画)の十年度分の教職員増九百五十六人、(ハ)初任者研修の実施に係る教員の減少七百六十一人を合わせ、九年度定数に対して九千百五人の減員となる。
 また、教員特殊業務手当の改善に必要な経費を計上している。

2 国立学校特別会計へ繰入
             (百万円)
    十年度 一、五三三、五〇三
    九年度 一、五五四、九八一
    比較増△減 △ 二一、四七八
 この経費は、「国立学校特別会計法」に基づき、国立学校、大学附属病院及び研究所の管理運営等に必要な経費に充てるため、その財源を一般会計から国立学校特別会計へ繰り入れるために必要な経費である。

3 科学技術振興費
           (百万円)
    十年度 八九〇、六九九
    九年度 八四九、二六五
    比較増△減 四一、四三四
 この経費は、宇宙開発関係経費、海洋開発関係経費、産業技術基盤関係経費、電子計算機産業振興対策費、各省試験研究機関経費、科学技術振興調整費及び科学技術研究費補助金等科学技術の振興を図るために必要な経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 宇宙開発関係経費
 宇宙開発については、宇宙開発事業団を中心に研究開発を進めることとし、総額一千九百九億六百万円(九年度予算額一千八百八十七億六千七百万円)を計上している。
 宇宙開発事業団では、国際宇宙ステーション計画への参加、環境観測技術衛星、光衛星間通信実験衛星、データ中継技術衛星、ミッション実証衛星、陸域観測技術衛星、技術試験衛星[型、H―UAロケット及び宇宙往還技術試験機の開発、月探査周回衛星の開発研究、衛星・ロケット開発関連地上施設の整備等を推進することとしている。
 また、航空宇宙技術研究所(科学技術庁)では無人有翼往還機の研究、スペースプレーンの研究等について、引き続き研究を進めることとしている。
 そのほか、気象庁(運輸省)では静止気象衛星による観測業務等、通信総合研究所(郵政省)では高度衛星通信放送技術の研究開発等を行うこととしている。
 (2) 海洋開発関係経費
 海洋開発については、海洋科学技術センターを中心に研究開発を進めることとし、総額二百四十九億四千四百万円(九年度予算額二百四十億三千万円)を計上している。
 海洋科学技術センターでは、地球環境変動に関する海洋諸現象を解明するため、海洋地球研究船「みらい」、深海調査研究船「かいれい」及び潜水調査船「しんかい六五〇〇」の運航、一万メートル級無人探査機「かいこう」の運用等を行うとともに、深海環境フロンティア研究、海洋観測研究開発及び海洋利用・生態系の研究開発等を進めることとしている。
 また、科学技術庁及び関係省庁において地球環境遠隔探査技術等の研究、黒潮の開発利用調査研究等を行うほか、農林水産省では水産資源の開発及び増養殖についての基礎調査研究等を行うこととしている。
 (3) 産業技術基盤関係経費
 産業技術基盤の研究開発においては、エレクトロニクス、バイオテクノロジー、医療福祉などの分野において基礎的独創的領域の研究開発や社会的使命に応える上で必要な研究開発を推進するため、「炭素系高機能材料技術」、「原子・分子極限操作技術(アトムテクノロジー)」、「人工臓器技術」等二十二テーマの研究開発を行うこととし、総額十五億三千三百万円(九年度予算額十四億二千九百万円)を計上している。
 (4) 電子計算機産業振興対策費
 我が国の電子計算機技術の向上を図るため、二十一世紀の高度情報化社会において不可欠な新情報処理技術(リアル・ワールド・コンピューティング)の確立を目指した基礎的技術の研究開発等を推進することとし、総額八億二百万円(九年度予算額九億三千万円)を計上している。
 (5) 各省試験研究機関経費
 前記の宇宙開発関係経費、海洋開発関係経費等を除いた各省庁所属の試験研究機関の経費は、二千四百七十八億三千五百万円(九年度予算額二千三百七十八億三千八百万円)となっており、これにより各部門の研究活動を進めるとともに、研究施設整備を行うこととしている。このうち、国立機関公害防止等試験研究費(環境庁一括計上)については、十六億七千五百万円(九年度予算額十六億三千六百万円)を計上している。
 また、科学技術庁等において新世紀構造材料(超鉄鋼材料)、超伝導材料及び次世代超音速機技術等の研究開発を推進することとしている。
 さらに、農林水産省において、イネ・ゲノムの全塩基配列の解読をはじめとする基礎的研究、現場に直結した技術の開発等を推進するとともに、環境問題等の重要課題に対応した研究開発を実施するほか、通商産業省において、資源・エネルギー、情報、新材料等の分野の研究開発の推進を図ることとしている。
 (6) 科学技術振興調整費
 この経費は、科学技術会議の方針に沿って科学技術の振興に必要な重要研究業務の総合推進調整を実施するためのものであり、十年度においては、特定の生命現象に関し、産学官、関係省庁の研究機関の有機的な連携の下、分子レベルでの研究を推進する「ゲノムフロンティア開拓研究推進制度」、学際的な最重要研究分野に関するシーズ創成を強力に推進すべく、異分野の研究機関が組織の壁を越えて一体となって研究を推進する「開放的融合研究推進制度」の創設、総合研究(大容量情報の超高速伝送・処理の実現等情報科学技術を含む。)の拡充等により、一層の充実強化を図ることとし、二百七十億円(九年度予算額二百四十九億五千万円)を計上している。
 (7) 科学技術研究費補助金・委託費等
 大学等における科学研究の助成及び民間における技術開発の助成について特に配意し、科学研究費補助金及び国際深海掘削計画分担金(文部省)一千百八十二億四千八百万円(九年度予算額一千百二十五億一千六百万円)を計上している。また、日本学術振興会に対する出資及び補助について、独創的な学術研究の推進を担う優れた若手研究者を養成・確保するため、特別研究員の採用人数の拡充等を図るほか、我が国の未来の開拓につながる学術研究を重点的に推進するための日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業に二百十八億円(九年度予算額二百六億円)を計上している。
 また、新規産業の創出を図るという観点から企業化に向けた独創的技術開発に対する支援を行うこととしている。
 さらに、生体の持つ優れた機能の解明に係る基礎研究を国際的に共同して行うヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムを推進するため、国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム推進機構に対する拠出金として四十二億二千二百万円(九年度予算額三十九億九千四百万円)を計上しているほか、農林水産試験研究費補助金その他の試験研究費補助金等を計上し、そのなかで産学官の連携による民間等におけるバイオテクノロジー等各種技術開発についての研究の推進を図ることとしている。
 (8) その他の経費
 経済フロンティアの拡大に向け、基礎研究開発の充実を図るため、科学技術振興事業団の戦略的基礎研究推進事業として二百七十四億二千三百万円(九年度予算額二百四十億円)を計上している。
 また、新エネルギー・産業技術総合開発機構において、引き続き、産業技術基盤研究開発、地球環境産業技術研究開発、福祉用具実用化開発推進事業、産業技術フェローシップ補助事業、地域コンソーシアム研究開発等を推進するとともに、新たに新規産業支援型国際標準開発事業等を創設することとしている。
 さらに、通商産業省において、引き続き独創的研究開発、技術の産業化の基礎となる知的基盤(テクノインフラ)として、計量標準・試験評価基盤の整備を図ることとしている。
 第四十次南極地域観測については、定常観測を引き続き実施するとともに、観測船「しらせ」の定期検査等を行うこととし、二十五億九千四百万円(九年度予算額三十九億七千八百万円)を計上している。
 また、地震発生のメカニズムや地震の前兆現象、地殻変動のメカニズム等に関する先端的・基礎的な地震調査研究及び地震防災研究の推進を図る地震総合フロンティア研究に、十億五千五百万円(九年度予算額九億八千二百万円)を計上している。
 また、地球温暖化や異常気象等の地球規模の気候変動や超長期にわたる固体地球変動の解明・予測を目指した「地球シミュレータ」の開発に十六億一千八百万円(九年度予算額十億七千二百万円)を計上している。
 また、理化学研究所においてゲノム関連研究経費として四十億百万円(九年度予算額八億百万円)を計上し、その成果を通じて基礎生命科学の進展のみならず幅広い分野における経済フロンティアの拡大等が期待される当該分野の研究を総合的に推進することとしているほか、脳研究関係経費として八十八億六百万円(九年度予算額七十三億三千七百万円)を計上するなど、目標達成型の脳科学研究の総合的推進を図ることとしている。
 また、国全体の研究の評価結果等をとりまとめた資料を作成するための経費を新規に計上している。これらのため、研究開発の評価に関する経費として二億六千七百万円(九年度予算額一億三千七百万円)を計上している。
 「がん克服新十か年戦略」に基づくがん対策については、百三十二億六千百万円(九年度予算額百三十九億五百万円)を計上している。

4 文教施設費
           (百万円)
    十年度 一八七、五〇〇
    九年度 二〇四、六三三
    比較増△減 △ 一七、一三三
 この経費は、「義務教育諸学校施設費国庫負担法」に基づき、公立学校施設整備費の一部を国が負担するために必要な経費等である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 十年度においては、緊急度の高い改築事業や耐震補強等、耐震性能を向上する事業などを優先し、その必要事業量を確保することとしている。
 なお、特殊教育諸学校建物等の基準面積の改定、木の研修交流施設整備事業の継続等について制度改正を行うこととしている。
 (2) 高等学校産業教育施設については、産業教育のための実験・実習施設及び高度な知識・技術の習得の場である専攻科施設等の整備に係る所要の経費を計上している。
 (3) 学校給食施設整備事業については、引き続き腸管出血性大腸菌O157等の食中毒対策として、衛生管理の充実強化を図るため所要の経費を計上している。
 (4) 学校体育諸施設については、引き続き水泳プール、武道場等の整備を図ることとし、所要の経費を計上している。

5 教育振興助成費
           (百万円)
    十年度 七三九、九九八
    九年度 七四二、〇三四
    比較増△減 △ 二、〇三六
 この経費は、生涯学習の振興、義務教育教科書の無償給与、公立養護学校教育費の国庫負担、学校教育の振興、私立学校教育の助成及び体育の振興のために必要な経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 生涯学習振興費
 生涯にわたる多様な学習活動の振興を図るため、生涯学習の振興等について所要の経費を計上している。
 (2) 義務教育教科書費
 国・公・私立の小学校第一学年から中学校第三学年までの児童生徒が使用する十年度後期用教科用図書及び十一年度前期用教科用図書を無償給与する等のため必要な経費を計上している。
 (3) 養護学校教育費国庫負担金
 給与費等については、義務教育費国庫負担金と同様に必要な経費を計上しており、その算定基礎となる教職員数は、(イ)養護学校児童生徒数の減少に伴う教職員の減少(見込み)二百人のほか、(ロ)第六次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画(五〜十二年度の八年計画)の十年度分の教職員増百十一人、(ハ)初任者研修の実施に係る教員の減少一人を合わせ、九年度定数に対して九十人の減員となる。
 また、教員特殊業務手当の改善に必要な経費を計上している。
 (4) 学校教育振興費
 (イ) 放送大学学園に対する補助等については、所要の経費を計上している。
 (ロ) 定時制及び通信教育については、経済的に困難な状況にある生徒に対する修学奨励措置の充実等のため所要の経費を計上している。
 (ハ) 理科教育等設備整備費補助については、引き続き、計画的に理科教育等の振興を図るため、所要の経費を計上している。
 また、教育センターに対する理科設備の整備及び学校のインターネット接続等のための情報通信ネットワーク拠点の整備を行うこととし、所要の経費を計上している。
 (ニ) 園児の保護者のうち一定の所得以下の者に対し、地方公共団体が保護者負担額を減免するための経費を補助する幼稚園就園奨励費補助については、私立幼稚園に係る減免単価の引上げを行うこととし、所要の経費を計上している。
 (ホ) 高等学校産業教育設備整備費補助については、産業教育のための実験・実習設備及び高度な知識・技術の習得の場である専攻科設備等の整備に係る所要の経費を計上している。
 (ヘ) 特殊教育については、特殊教育就学奨励費補助につき、教科用図書費、学校給食費等の単価の引上げ等を行うほか、盲・聾・養護学校、特殊学級等における教育設備費等について、所要の経費を計上している。
 (ト) 経済的理由で就学困難な児童生徒の就学援助については、修学旅行費、学校給食費等の単価を引き上げて、援助の充実を図ることとしている。
 (チ) へき地学校教育については、公立小中学校高度へき地修学旅行費の単価の引上げを行うこととしている。
 (リ) 公立看護大学等に対する経常費補助について、所要の経費を計上するとともに、公立大学等の大学院最先端設備及び情報処理教育設備等の教育設備整備費等補助について、所要の経費を計上している。
 (ヌ) 日本体育・学校健康センターに対する補助については、所要の経費を計上している。
 (ル) 学校健康増進事業等については、学校環境緑化事業等の実施及び健康教育の充実に必要な経費を計上している。
 (ヲ) 教職員の研修等については、初任者研修等の実施、在外教育施設における教員の派遣等について、所要の経費を計上している。
 (5) 私立学校助成費
 (イ) 私立大学等経常費補助及び高等学校以下の私立学校に対して都道府県が行う助成の充実を図るための当面の誘導措置として五十年度から計上した私立高等学校等経常費助成費補助については、所要の経費を計上している。
 (ロ) 私立学校教育研究装置等施設整備費補助については、中核的な研究拠点に対する支援を行う学術フロンティア推進事業において、新たに、環境、生命科学、情報通信等の学際的な共同研究を支援する学際領域共同研究推進プログラムを創設するとともに、最先端の研究開発プロジェクトを支援するハイテク・リサーチ・センター整備事業等の推進や従来からの大型の教育研究装置の整備について、所要の経費を計上している。
 また、私立高等学校等については、環境を考慮した私立学校エコスクール整備推進モデル事業を創設するとともに、教育の近代化や防災機能の強化のための施設整備について、所要の経費を計上している。
 (ハ) 私立学校の老朽校舎改築を推進するため、私立学校施設高度化推進事業について、所要の経費を計上している。
 (ニ) このほか、私立大学等研究設備整備費等補助、私立幼稚園施設整備、私立高等学校産業教育施設整備及び私立学校体育等諸施設整備の補助並びに日本私立学校振興・共済事業団出資及び補助について、所要の経費を計上している。
 (6) 体育振興費
 体育の振興については、地方スポーツの振興、社会体育施設の整備、国民体育大会の助成等について、所要の経費を計上している。

6 育英事業費
           (百万円)
    十年度 一〇六、四二八
    九年度 一〇五、三〇六
    比較増△減 一、一二二
 この経費は、優れた学生及び生徒であって経済的理由により修学に困難がある者に対し、学資の一部を貸し付けるための資金を日本育英会に貸し付ける経費等に必要な経費である。
 育英奨学事業については、大学院の貸与人員の増員、大学予約採用人員の増員及び私立大学貸与人員の増員等を図ることとし、所要の経費を計上している。
 その内容は、次のとおりである。
 (1) 一般会計からの日本育英会に対する育英資金貸付金については、大学院の貸与人員の増員、大学予約採用人員の増員及び私立大学貸与人員の増員等に伴う所要額を計上している。
 (2) 資金運用部資金借入金を原資とする有利子貸与事業に係る利子補給金については、学年進行等に伴う所要額を計上している。
 (3) このほか、日本育英会の補助に必要な経費についても、所要の経費を計上している。

 国債費
              (百万円)
    十年度 一七、二六二、八一六
    九年度 一六、八〇二、三二九
    比較増△減 四六〇、四八七
 この経費は、一般会計の負担に属する国債及び借入金の償還、国債及び借入金の利子等の支払に必要な経費と、これらの事務取扱いに必要な経費であって、国債整理基金特別会計へ繰り入れるものである。
 (1) 債務償還費
 この経費は、前年度首国債総額(割引国債に係る発行価格差減額を除く。)の一〇〇分の一・六に相当する額(定率繰入分)、割引国債に係る発行価格差減額の年割額に相当する額(発行差減額繰入分)、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づく産業投資特別会計からの受入金に相当する額(産業投資特別会計受入金相当額繰入分)、「所得税法及び消費税法の一部を改正する法律の施行等による租税収入の減少を補うための平成六年度から平成八年度までの公債の発行の特例等に関する法律」に基づく減税特例国債の償還財源に充てるための額(「国債整理基金特別会計法」の規定による繰入相当額を除く。)(減税特例国債償還分)並びにその他国債及び借入金の償還に必要とされる額を計上するものである。
 (2) 利子及割引料
 この経費は、国債の利子及び割引料、借入金の利子並びに大蔵省証券割引料に必要な経費である。
 (3) 国債事務取扱費
 この経費は、国債の事務処理に必要な手数料及び事務費である。

 恩給関係費
             (百万円)
    十年度 一、五三〇、九九八
    九年度 一、五九七、二五九
    比較増△減 △ 六六、二六一

1 文官等恩給費
          (百万円)
    十年度 七二、二七一
    九年度 七八、四三五
    比較増△減 △ 六、一六四
 この経費は、国会議員互助年金、文官恩給、文化功労者年金等の支給に必要な経費である。
 十年度においては、新規裁定による増加、失権による減少、九年度に実施した恩給年額の改定の平年度化等を織り込んで既定分の所要経費を算定している。また、文官恩給について、恩給年額を十年四月から一・一九%(ただし、指定職相当については、一年間〇・三八%)引き上げるほか、各種加算の引上げを行うことを予定している。
 これらの改定による増六億三千七百万円(平年度八億四千九百万円)を合わせ、七百二十二億七千百万円を計上している。

2 旧軍人遺族等恩給費
             (百万円)
    十年度 一、三五四、一五五
    九年度 一、四〇三、〇八一
    比較増△減 △ 四八、九二六
 この経費は、旧軍人及びその遺族等に対する恩給支給に必要な経費である。
 十年度においては、新規裁定による増加、失権による減少、九年度に実施した恩給年額の改定の平年度化等を織り込んで既定分の所要経費を算定している。また、恩給年額を十年四月から一・一九%(ただし、指定職相当については、一年間〇・三八%)引き上げるほか、各種加算の引上げ等を行うことを予定している。
 これらの改定による増百四十一億百万円(平年度百八十八億二百万円)を合わせ、一兆三千五百四十一億五千五百万円を計上している。

3 恩給支給事務費
         (百万円)
    十年度 五、〇一九
    九年度 五、一九三
    比較増△減 △ 一七四
 この経費は、文官恩給、旧軍人及びその遺族等に対する恩給並びに国会議員互助年金の支給事務等を処理するために必要な経費である。

4 遺族及び留守家族等援護費
          (百万円)
    十年度 九九、五五三
    九年度 一一〇、五五〇
    比較増△減 △ 一〇、九九七
 この経費は、「戦傷病者戦没者遺族等援護法」に基づく遺族年金等の支給、「戦傷病者特別援護法」に基づく療養の給付等に必要な経費である。
 (1) 引揚者等援護費については、永住帰国希望者の受入れ及び自立支援等の施策を実施することとし、二十六億三千七百万円を計上している。
 (2) 戦傷病者戦没者遺族等援護費については、新規裁定による増加、失権による減少、九年度に実施した遺族年金等の改定の平年度化等を織り込んで既定分の所要経費を算定しているほか、恩給に準じて年額の改定の措置を講ずることを予定しており、これによる増八億三千五百万円(平年度十一億一千三百万円)を合わせ、八百八十二億三千七百万円を計上している。
 (3) 戦傷病者等援護費については、台湾出身旧軍人軍属に対する未支給給与を引き続き支払うとともに、療養の給付等について最近の実績等による減少を見込むほか、療養手当等の引上げを織り込んで、四十億四千万円を計上している。
 (4) 九年に戦没者の父母等に対する特別給付金が最終償還を迎えたので、国として引き続き慰藉を行うため、交付国債(額面百万円、五年償還)により支給するために必要な事務費を二百万円計上している。
 (5) 戦没者追悼平和祈念館施設費については、施設の整備に必要な経費として二十四億八百万円を計上している。

 地方交付税交付金
              (百万円)
    十年度 一五、八七〇、一五〇
    九年度 一五、四八〇、九七五
    比較増△減 三八九、一七五
 この経費は、所得税、法人税及び酒税、消費税並びにたばこ税の収入額のそれぞれ一定割合の額を、地方交付税交付金として、交付税及び譲与税配付金特別会計を通じて地方団体に交付するために必要な経費である。
 十年度においては、各税の収入見込額の一定割合(所得税、法人税及び酒税にあっては一〇〇分の三二、消費税にあっては一〇〇分の二九・五、たばこ税にあっては一〇〇分の二五)に相当する額十五兆五千七百一億五千万円に、三千億円を加算した額十五兆八千七百一億五千万円を地方交付税交付金として計上している。
 十年度の地方財政については、歳出について国・地方ともに厳しい財政事情を踏まえ、財政構造改革を推進する観点から、国と同一基調での徹底した抑制を図ることとしているものの、なお、五兆四千五十八億八千万円の財源不足が見込まれる。
 一方、国の財政事情も極めて厳しく、国と地方という公経済の車の両輪がバランスのとれた財政運営を行う必要があるという基本的考え方を踏まえつつ、地方財政の運営に支障を生ずることのないよう所要の措置を講ずることとし、平成十年分所得税の特別減税による十年度における地方交付税及び地方税の減少について補てんするとともに、所要の地方交付税総額を確保することとしている。
 十年度の地方財政に係る具体的な措置の内容は、次のとおりである。
 (1) 平成十年分所得税の特別減税の十年度における影響額七千五百九十六億八千万円については、
 @ 交付税及び譲与税配付金特別会計における資金運用部からの借入金一千三百五十六億八千万円により、所得税特別減税による地方交付税の減少額を全額補てんするとともに、
 A 減税補てん債の発行六千二百四十億円により、住民税特別減税による地方税の減少額を全額補てんする
こととしている。
 (2) 十年度の通常収支分に係る財源不足額四兆六千四百六十二億円については、
 @ 地方債措置として、いわゆる財源対策債の増発一兆八千九百億円を行うとともに、
 A 交付税の増額措置(二兆七千五百六十二億円)として、
 (イ) 一般会計からの加算三千億円(内訳は、「地方交付税法」附則第四条の二第三項において十年度に加算することと定められている額(四千七百九十七億円)のうち加算二千百九十一億円、八、九及び十年度の交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金のうち国負担分に係る利子相当額の加算六百九億円、及びたばこ特別税の創設に伴う影響を勘案して定める加算二百億円)
 (ロ) 交付税及び譲与税配付金特別会計における資金運用部からの借入れ一兆八千百億円
 (ハ) 国・地方一体となった財政構造改革への取組みを踏まえ、財政構造改革の集中改革期間中における交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金の償還方法を変更し、それぞれ後年度に繰り延べることとしたことに伴う十年度分償還額の繰延べ六千四百六十二億円
を行うことにより、その全額を補てんすることとしている。
 (3) 以上の結果、十年度に地方団体に交付する地方交付税の総額は、一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れられる地方交付税交付金十五兆八千七百一億五千万円に、返還金四億一千五百万円、剰余金の活用二千億円及び同特別会計における資金運用部からの借入金一兆九千四百五十六億八千万円を加算した額から、同特別会計の借入金等利子負担額四千九百七十三億八千万円を控除した額十七兆五千百八十八億六千五百万円(九年度予算額に対し二・三%の増)となっている。
 (4) 地方税については、最近における社会経済情勢の変化に対応して早急に実施すべき措置として、平成十年度分の個人住民税に係る特別減税の実施、法人事業税の税率の引下げ、土地等の譲渡益に係る個人住民税の税率等の見直し、特別土地保有税における三大都市圏の特定市の免税点の特例制度の廃止等の措置を講ずるとともに、地方分権の推進の観点から地方団体の課税自主権を尊重するための所要の見直しを行うほか、非課税等特別措置の整理合理化等のため所要の措置を講ずることとしている。
 (5) 地方債については、地方財政の健全化を目指し、借入金依存度の引下げを図るため、その規模を圧縮することを基本としつつ、地方財源の不足に対処するための措置を講ずるとともに、地域の活性化を図るための自主的・主体的な地域づくり、安心できる生活環境づくり等を重点的に推進するため、所要の地方債資金の確保を図ることを基本として、十年度の地方債計画を策定し、地方債計画総額は十六兆九百四十億円(九年度十七兆三千六百五十九億円)を予定している。
 なお、五年度における公共事業等の補助率等の恒久化に伴う地方公共団体の負担については、事業の円滑な執行に支障を生ずることのないよう、十年度においても、引き続き、適切な地方財政措置を講ずることとしている。
 また、地方債に充てる資金については、地方財政の円滑な運営に十分配慮するため、政府資金について七兆六千億円を予定している。
 さらに、公営企業金融公庫についても地方向け貸付規模一兆九千三百億円(九年度二兆二千二百億円)を確保し、これに応じて国内政府保証債を一兆七千四百五十億円(九年度二兆十億円)発行することとしている。
 (6) 以上のほか、補助金等については、「財政構造改革の推進に関する特別措置法」等に基づき、経済社会情勢の変化、国と地方の役割分担の在り方等を踏まえ、すべての行政分野において見直しを行い、一般財源化を図るなどその整理合理化を積極的に推進することとしている。
 また、地方の負担や職員数の増加をもたらす国の施策は、極力抑制するほか、補助金等の補助基準の改善等のための措置として、関係省庁の共同実態調査に基づき所要の改善を図ることとしている。

 防衛関係費
             (百万円)
    十年度 四、九三九、六七二
    九年度 四、九四七、五一七
    比較増△減 △ 七、八四五
 この経費は、自衛隊の管理及び運営並びにこれに関する事務、条約に基づく外国軍隊の駐留及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の規定に基づくアメリカ合衆国政府の責務の本邦における遂行に伴う事務並びに安全保障会議の事務に関するものとして計上される経費である。
 十年度においては、九年十二月十九日の安全保障会議及び閣議決定により見直しが行われた「中期防衛力整備計画(八〜十二年度)」等の下、引き続き危機的な状況にある財政事情等を踏まえ、効率的で節度ある防衛力の整備を図るため、所要の経費を計上している。
 なお、SACO最終報告に盛り込まれた措置を実施するために必要な経費として百六億五千百万円を計上している。
 (1) 防衛本庁
             (百万円)
    十年度 四、三六九、一八六
    九年度 四、三六四、三九三
 この経費は、防衛本庁の業務の遂行に要する経費である。
 また、新たに、継続費として総額一千七百八十一億六千四百万円(うち十年度歳出分四億三千百万円)、国庫債務負担行為として総額一兆四千七百四十五億二千七百万円(うち十年度歳出分六十一億七千七百万円)を計上している。
 なお、前金の支払方法の変更に伴い、継続費の総額及び年割額の改定並びに国庫債務負担行為の限度額の増額を行っている。
 継続費は、全額艦船建造のためのものである。
 十年度の防衛関係費において、正面装備については、事業の緊要性を吟味し、事業量を抑制するなかで、諸外国の技術的水準の動向に対応しうるよう、老朽装備の更新・近代化を実施することとしている。後方分野については、事業全般にわたって経費の縮減・合理化を図るなかで、自衛隊の維持訓練、隊員の処遇改善に配慮するとともに、情報収集・分析体制の強化、安全保障対話等の充実を図ることとしている。
 具体的業務の主なものは次のとおりである。
 (イ) 周辺諸国との各種安全保障対話及び軍備管理に係る事業を行うこととしている。
 (ロ) 陸上自衛隊においては、多連装ロケットシステムMLRS九両、90式戦車十七両、一五五ミリりゅう弾砲FH70六門、88式地対艦誘導弾八両、車両、通信機等の装備品、対戦車ヘリコプターAH―1S一機、輸送ヘリコプターCH―47JA一機等の航空機十三機及び弾薬の調達を行うとともに、各種器材及び施設の整備等を図ることとしている。
 (ハ) 海上自衛隊においては、甲型警備艦(四千六百トン型)二隻、潜水艦(二千七百トン型)一隻、掃海艇(五百十トン型)一隻等の建造並びに哨戒ヘリコプターSH―60J 七機等の航空機十一機及び魚雷、機雷等弾薬の調達を行うとともに、各種器材及び施設の整備等を図ることとしている。
 (ニ) 航空自衛隊においては、支援戦闘機F―2九機、中等練習機T―4九機、救難捜索機U―125A三機等の航空機二十五機並びに所要の地対空誘導弾及び弾薬の調達を行うとともに、各種器材及び施設の整備等を図ることとしている。
 (ホ) 技術研究本部においては、新短距離空対空誘導弾(XAAM―5)の開発に着手するなど、将来の技術動向、ライフサイクルコスト等を勘案した各種研究開発を実施することとしている。
 (2) 防衛施設庁
           (百万円)
    十年度 五七〇、二〇一
    九年度 五八二、八七一
 この経費は、防衛施設庁の業務の運営に必要な経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (イ) 調達労務管理費
 この経費は、アメリカ合衆国軍隊等が使用する駐留軍等労務者の労務管理、離職者対策、福祉対策、従業員対策を行うために必要な経費である。
 なお、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」(以下「特別協定」という。)に基づき基本給等を負担することとしている。
 (ロ) 施設運営等関連諸費
 この経費は、「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」等に基づき、自衛隊施設及び「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」(以下「地位協定」という。)等に基づく提供施設の維持運営等に関連し必要な土地の購入及び借上げ、各種の補償、障害及び騒音の防止措置、飛行場等周辺の移転措置、民生安定施設の助成措置等を行うために必要な経費であり、十年度においては、以下の経費を計上している。
 @ SACO最終報告に盛り込まれた措置を実施するために必要となる施設の整備及び基地周辺対策等を行うための経費として九十五億七千八百万円を計上している。
 A SACO関係経費以外では、騒音防止事業のうち住宅防音工事を引き続き重点的に実施するため六百八十八億三千三百万円(九年度予算額七百二十八億五千六百万円)を計上するとともに、基地周辺整備等のための諸施策を実施することとしている。基地周辺対策事業費は、一千五百三十三億九千三百万円(九年度予算額一千五百六十七億八千八百万円)、国庫債務負担行為の総額は百八十四億九千百万円となっている。
 なお、このうち、周辺整備調整交付金については、所要の経費百二十五億円(九年度予算額百二十億円)を計上している。
 また、在日米軍への提供施設の整備を行うための経費として七百三十六億五千二百万円(九年度予算額九百五十二億五千百万円)、国庫債務負担行為として総額八百四十三億八千九百万円を計上しているほか、「特別協定」に基づき、在日米軍に係る経費のうち光熱水料等及び訓練移転費を負担することとしている。
 (ハ) 提供施設移設整備費
 この経費は、「地位協定」に基づき、現在提供中の施設及び区域の返還を受けるため、当該施設及び区域を集約移転するために必要な経費である。
 このうち、SACO最終報告に盛り込まれた措置を実施するために必要となる提供施設の移設整備を行うための経費として、十億七千三百万円を計上している。
 (ニ) 相互防衛援助協定交付金
 この経費は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定」に基づく交付金である。
 (3) 安全保障会議
       (百万円)
    十年度 二八五
    九年度 二五三
 この経費は、安全保障会議の運営等に要する経費である。

 公共事業関係費第3表参照
             (百万円)
    十年度 八、九八五、三三二
    九年度 九、七四四、六五九
    比較増△減 △ 七五九、三二七
 公共事業関係費は、治山治水対策事業費、道路整備事業費、港湾漁港空港整備事業費、住宅市街地対策事業費、下水道環境衛生等施設整備費、農業農村整備事業費、森林保全都市幹線鉄道等整備事業費、調整費等及び公共土木施設等の災害復旧等事業費に大別される。
 このほか、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づき貸付けを受けて実施される公共的建設事業として、産業投資特別会計社会資本整備勘定に九百四十四億円(九年度予算比七・〇%減)を計上している。
 この両者を合わせた公共事業関係費は次のようになる。
             (百万円)
    十年度 九、〇七九、七六五
    九年度 九、八四六、二〇〇
    比較増△減 △ 七六六、四三五
 以下の説明は、特に注記のない限り、この両者を合わせた公共事業関係費について行う。
 なお、社会資本の計画的整備を推進するため、現行の長期計画が期限切れとなる道路整備事業及び急傾斜地崩壊対策事業について、十年度を初年度とする長期計画を策定することとしている。
 以下、事項別内訳について説明する。

1 治山治水対策事業費
             (百万円)
    十年度 一、三九九、二〇七
    九年度 一、五九七、三二〇
    比較増△減 △ 一九八、一一三
 (1) 治水事業
             (百万円)
    十年度 一、一一二、一四六
    九年度 一、二八一、七一三
 治水事業については、水資源開発を中心とするダム建設、被災河川対策を中心とする河川改修等に重点を置いて、事業の推進を図ることとしている。
 (2) 治山事業
           (百万円)
    十年度 一八四、〇二一
    九年度 二〇二、〇〇三
 治山事業については、近年における山地災害の発生状況等にかんがみ、予防治山、荒廃山地の重点的復旧等に配慮している。
 また、国有林野内治山事業については、一般会計の負担で直轄事業及び補助事業を行うこととしている。
 (3) 海岸事業
           (百万円)
    十年度 一〇三、〇四〇
    九年度 一一三、六〇四
 海岸事業については、台風常襲地帯、大規模な侵食のある海岸等を重点的に整備することとしている。

2 道路整備事業費
             (百万円)
    十年度 二、七七四、〇五三
    九年度 二、七九八、二三三
    比較増△減 △ 二四、一八〇
 道路整備事業については、物流の効率化対策に資する高規格幹線道路等の整備、市街地の活性化、渋滞対策、防災対策等に重点を置いて事業の推進を図ることとしている。

3 港湾漁港空港整備事業費
           (百万円)
    十年度 六八二、三九〇
    九年度 七三八、七〇三
    比較増△減 △ 五六、三一三
 この経費は、港湾、漁港及び空港の公共施設整備のための経費である。
 (1) 港湾整備事業
           (百万円)
    十年度 三三九、〇五二
    九年度 三六五、九三五
 港湾整備事業については、物流の効率化及び国民生活の質の向上に資するため、中枢・中核国際港湾の国際海上コンテナターミナル及び廃棄物海面処分場の整備を最重点施策として、効率的・効果的整備を推進する。
 (2) 漁港整備事業
           (百万円)
    十年度 一九九、四〇一
    九年度 二一八、九五六
 漁港整備事業については、漁業を巡る諸情勢の変化に対応して、漁業生産の確保、漁業経営の安定及び漁港漁村の環境改善に資するため、事業の重点的推進を図ることとしている。
 (3) 空港整備事業
           (百万円)
    十年度 一四三、九三七
    九年度 一五三、八一二
 空港整備事業については、物流の効率化等に資するため大都市圏拠点空港及びこれに準ずる機能を有する拠点空港の整備を中心とし、環境対策、航空路施設の整備の推進を図ることとしている。

4 住宅市街地対策事業費
             (百万円)
    十年度 一、〇六九、五八〇
    九年度 一、二三八、八二四
    比較増△減 △ 一六九、二四四
 (1) 住宅対策
             (百万円)
    十年度 一、〇一七、三九八
    九年度 一、一八一、一九六
 住宅対策については、十年度、公営住宅等八万三千戸、改良住宅等二万五千戸、公庫住宅五十五万戸、公団住宅二万戸、計六十五万五千五百戸の公的住宅の建設を予定している。これらと併せ、住宅金融公庫においては、民間金融の補完の徹底を図り、業務の重点化、政策誘導機能の強化を図る観点から、基準金利適用住宅の要件の見直し、割増融資の簡明化(二十四種類↓八種類)等を行うこととしている。
 (イ) 公営住宅整備事業等及び住宅地区改良事業補助等
 十年度の建設予定戸数は、公営住宅を三万七千戸、高齢者向け優良賃貸住宅等を四千戸とし、特定優良賃貸住宅四万二千戸と合わせて公営住宅等について八万三千戸とするとともに、改良住宅については二千五百戸、計八万五千五百戸(九年度当初公営住宅等八万三千戸、改良住宅三千戸、計八万六千戸)としており、公営住宅家賃収入補助等を含め、四千三百九十億二百万円を計上している。
 (ロ) 住宅金融公庫補給金等
 十年度の住宅金融公庫融資予定戸数は五十五万戸(九年度当初計画六十三万戸)であり、宅地造成融資等と合わせて資金運用部資金等九兆九千百八十三億円を投入することとしているが、補給金等については四千百億円(九年度予算額四千四百億円)を計上している。
 (ハ) 農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給金等
 農地所有者等による良好な賃貸住宅の建設を促進することとし、一万一千戸の賃貸住宅の建設を予定している。
 (ニ) 住宅宅地関連公共施設等整備促進事業費補助等
 住宅の建設及び宅地の開発を促進するため、住宅宅地関連公共施設等整備促進事業費補助等七百四十五億円及び「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」第二条第一項第一号に該当する事業(以下「一号事業」という。)として行う宅地開発に関連した公共施設整備のための貸付金十二億六千八百万円を計上している。
 (ホ) 住宅市街地整備総合支援事業費補助
 大都市等の既成市街地における住宅建設と環境整備を促進するため、住宅市街地整備総合支援事業費補助五百二十億円を計上している。
 (2) 市街地整備事業
          (百万円)
    十年度 五二、一八二
    九年度 五七、六二八
 市街地整備事業については、既成市街地の再整備による都市の再構築を進めるとともに、中心市街地の活性化を支援することとしている。

5 下水道環境衛生等施設整備費
             (百万円)
    十年度 一、六二九、一七五
    九年度 一、七五四、三四一
    比較増△減 △ 一二五、一六六
 この経費は、上下水道、都市公園、自然公園、廃棄物処理施設、合併処理浄化槽、簡易水道等の施設の整備等を行うために必要な経費である。
 (1) 下水道事業
            (百万円)
    十年度 一、一一二、四八一
    九年度 一、一九六、三五八
 十年度においては、下水道の普及を促進するため、引き続き、一般都市の公共下水道の整備を推進することとして、総事業費三兆一千三百七十七億二千六百万円を予定している。
 (2) 環境衛生施設整備
           (百万円)
    十年度 三四五、九二三
    九年度 三七二、六三五
 この経費は、簡易水道等施設、水道水源開発等施設、廃棄物処理施設及び合併処理浄化槽の整備を推進するために必要な経費であり、一般会計に三千四百五十九億二千三百万円を計上している。
 (3) 都市公園事業
           (百万円)
    十年度 一五七、八三六
    九年度 一七二、五四一
 都市公園事業として一般会計に計上されるのは、一千五百七十四億五千五百万円であり、国営公園及び都市公園等の整備を行うために必要な経費、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」に基づく特別保存地区内の整備に要する経費並びに「首都圏近郊緑地保全法」、「近畿圏の保全区域の整備に関する法律」及び「都市緑地保全法」に基づく緑地保全に必要な経費である。
 また、産業投資特別会計社会資本整備勘定に計上されるのは、同勘定から都市開発資金融通特別会計へ繰り入れる都市開発資金特別貸付金財源三億八千百万円(一号事業資金)である。
 十年度においては、都市公園について引き続き事業の推進を図ることとし、財政投融資資金等の導入による国営公園の有料施設の早急な整備等のため、住宅・都市整備公団を活用することとしている。
 (4) 自然公園等事業
          (百万円)
    十年度 一二、九三五
    九年度 一二、八〇七
 この経費は、国立・国定公園、国民公園等の施設の整備を行うために必要な経費であり、一般会計に百二十九億三千五百万円を計上している。

6 農業農村整備事業費
             (百万円)
    十年度 一、〇八三、六六五
    九年度 一、二二八、一七一
    比較増△減 △ 一四四、五〇六
 農業農村整備事業は、農業の生産性の向上を目的とするかんがい排水事業、圃場整備事業その他の農業生産基盤整備事業、農村の生活環境の向上等に資する農道整備事業、農業集落排水事業その他の農村整備事業及び農村地域の農地等保全管理事業で構成されている。
 十年度においては、効率的・安定的な経営体の育成等を通じた国内農業の体質強化及び農村地域の生活環境の整備に資する事業に重点を置きつつ、財政構造改革の趣旨を踏まえ、より一層の事業の重点的・効率的実施を図ることとし、このための経費として一般会計に一兆八百三十六億五千三百万円を計上しているほか、産業投資特別会計社会資本整備勘定に農地等保全事業資金貸付金一千二百万円(一号事業資金貸付金)を計上している。
 また、このなかで、国際化の急速な進展を踏まえ、我が国農業の体質強化を緊急に図る観点から、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策として、七百七十億円を計上している。
 事業別の内容は、次のとおりである。
 (1) 農業生産基盤整備事業
           (百万円)
    十年度 五七二、四六二
    九年度 六四五、八二〇
 農業用用排水施設の新設又は改修、効率的・安定的な経営体の育成等に重点を置いた圃場や畑地帯の条件整備等農業の生産性の向上を目的とする事業である。
 (2) 農村整備事業
           (百万円)
    十年度 三九三、七一八
    九年度 四五四、三二〇
 農道の新設又は改修、農業集落排水、農村の総合的な整備等農村の生活環境の向上等に資する事業である。
 (3) 農地等保全管理事業
           (百万円)
    十年度 一一七、四八五
    九年度 一二八、〇三一
 農地の防災・保全、土地改良施設の管理等農村地域における農地等の保全管理を図る事業である。

7 森林保全都市幹線鉄道等整備事業費
           (百万円)
    十年度 三四〇、〇六八
    九年度 三八八、〇一七
    比較増△減 △ 四七、九四九
 この経費は、森林保全整備、森林環境整備、工業用水道、沿岸漁場整備開発、離島電気導入、都市・幹線鉄道整備、新幹線鉄道整備及び航路標識整備の事業を行うために必要な経費である。
 (1) 森林保全整備事業
           (百万円)
    十年度 一七一、七六三
    九年度 一九八、六四九
 森林保全整備事業については、造林事業、林道事業等の推進を図ることとしている。
 また、森林開発公団の施行する大規模林業圏開発林道及び水源林造成事業については、引き続き、その整備の促進を図ることとしている。
 (2) 森林環境整備事業
          (百万円)
    十年度 二七、一二四
    九年度 二九、一〇二
 森林環境整備事業については、山村の生活環境の整備、居住地周辺の景観など環境に配慮した森林整備等を行うこととしている。
 (3) 工業用水道事業
          (百万円)
    十年度 一一、九七八
    九年度 一四、〇三一
 この経費は、工業地帯における地下水汲み上げによる地盤沈下の防止と立地条件の整備を目的として敷設される工業用水道の事業費の一部を補助するために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (4) 沿岸漁場整備開発事業
          (百万円)
    十年度 三〇、〇〇〇
    九年度 三二、五一二
 沿岸漁場整備開発事業については、水産物の需要に即応した供給体制の確立と沿岸漁業の振興を図るために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (5) 離島電気導入事業
      (百万円)
    十年度 一九
    九年度 二一
 この経費は、離島振興計画に基づく電気導入施設の整備のために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (6) 都市・幹線鉄道整備事業
          (百万円)
    十年度 六二、五二五
    九年度 七一、八九九
 この経費は、地方公共団体等が施行する地下高速鉄道整備事業及びニュータウン鉄道整備事業、民間事業者が施行する幹線鉄道等活性化事業並びに九州旅客鉄道株式会社等が施行する鉄道防災事業の事業費の一部を補助するために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (7) 新幹線鉄道整備事業
          (百万円)
    十年度 二九、四三八
    九年度 三四、〇三八
 この経費は、日本鉄道建設公団が施行する東北新幹線盛岡〜八戸間等の建設に必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (8) 航路標識整備事業
         (百万円)
    十年度 七、二二一
    九年度 七、七六五
 この経費は、灯台、電波標識等の整備に必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。

8 調整費等
          (百万円)
    十年度 三三、九五三
    九年度 三四、九一七
    比較増△減 △ 九六四
 この経費は、国土庁に計上される国土総合開発事業調整費並びに北海道開発庁、沖縄開発庁及び国土庁に計上される特定事業推進費である。
 国土総合開発事業調整費は、「国土総合開発法」、「東北開発促進法」、「高度技術工業集積地域開発促進法」等に基づく地域又は区域において実施する開発、保全に関する事業及び関連事業について各省各庁の所管する事業間の進度調整を図るほか、開発、保全に関する事業の複合的・一体的実施を推進するための各省各庁の所管する事業間の連携調整を図り、又は全国総合開発計画、東北開発促進計画、高度技術に立脚した工業開発に関する計画等の推進を図るため実施する開発、保全に関する事業の調査の総合的な調整を行うために必要な経費である。
 また、特定事業推進費は、北海道、沖縄、離島及び奄美群島における特定事業等を推進するために必要な事業費及び調査費である。
 なお、これらの経費は、実施に当たって、建設省、運輸省、農林水産省等の各省各庁に移し替えることができることとなっている。

9 災害復旧等事業費
          (百万円)
    十年度 六七、六七四
    九年度 六七、六七四
    比較増△減 〇
 この経費は、公共土木施設、農林水産業施設等の災害復旧事業及び災害関連事業を行うために必要な経費であり、一般会計に計上しているものである。
 (1) 災害復旧事業費
 八年発生災害の復旧事業については、これを完了することとし、九年発生災害の復旧事業については、その促進を図ることとして所要額を計上している。また、当年発生災害の復旧事業費を計上して復旧事業の迅速かつ効率的な施行を期することとしている。
 (2) 災害関連事業費
 災害復旧事業と関連して施行する一般災害関連事業及び災害助成事業については、災害復旧事業の進捗状況を考慮して所要額を計上している。また、災害関連緊急事業、鉱毒対策事業等についても引き続き計上することとしている。

 経済協力費
           (百万円)
    十年度 九八〇、二六六
    九年度 一、〇九一、二〇五
    比較増△減 △ 一一〇、九三九
 この経費は、経済協力のための諸施策の実施に必要な経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 経済開発等援助費
 環境、社会開発問題に対応するため、温暖化対策等として「植林無償」、「環境・社会開発センター・プログラム無償」を創設、人道支援を行う「緊急無償」につき前年度水準を確保するほか、我が国NGOの活動等を念頭に置いた「草の根無償」を拡充するなど、総額を削減するなかで、効果的・効率的な援助を実施しうるような内容の充実に配意し、一千九百九十五億四百万円を計上している。
 (2) 食糧増産等援助費
 食糧問題の解決に資するため、開発途上国における計画的な食糧増産に寄与するための援助及び食糧の援助に必要な額として四百七億七千七百万円を計上している。
 (3) 国際協力事業団交付金及び出資金
 開発途上国に対する技術協力を充実強化するため、国際協力事業団の行う研修員受入れにつき人数の増加、青年招へい及び青年海外協力隊新規派遣につき前年度水準の確保等を図るとともに、開発途上国から真に評価される質の高い援助を実施するため、事前調査・事後評価の充実を図ることとし、所要の交付金一千七百二十九億三千四百万円を計上している。
 また、施設取得等に必要な資金として、出資金三十二億七千万円を計上している。
 (4) 外国人留学生経費
 開発途上国の人造りへの協力を図り、併せて、二十一世紀初頭に欧米並みの十万人の外国人留学生を受け入れる「留学生受入れ十万人計画」を視野に入れ、国費外国人留学生の人数の増加、外国人留学生受入れ体制の推進等を着実に図ることとして、三百七十三億八千三百万円を計上している。
 (5) 国際分担金・拠出金等
 人道分野に係る国連機関に対する拠出金について前年度水準を確保する一方、国際開発金融機関等への拠出については、総額を大幅に削減するなかで、環境、金融セクター改革支援等の分野に重点化を図り、これらに必要な経費一千五百九十七億二千八百万円を計上している。
 (6) 海外経済協力基金出資金及び交付金
 海外経済協力基金については、投融資規模を八千百億円(九年度計画九千四百億円)とし、その財源の一部として一般会計出資金及び交付金三千二百三十九億三千六百万円を計上している。

 中小企業対策費
           (百万円)
    十年度 一八五、八一八
    九年度 一八六、五一七
    比較増△減 △ 六九九
 この経費は、中小企業の育成及び発展並びにその経営の向上を図る施策に関し一般会計予算に計上される経費である。
 十年度においては、中心市街地の衰退や最近の金融情勢など、中小企業を取り巻く厳しい経営環境に配慮し、中心市街地活性化対策や金融対策の充実を図るほか、各施策の優先順位を勘案した財源の重点的配分を行うこととし、小規模事業対策、組織化対策、中小企業指導事業、近代化促進施策、中小企業事業団の行う業務の充実等を図ることとしている。
 なお、政府系中小企業金融機関に対する財政投融資については、所要の規模を確保するとともに、貸付制度の改善等を図ることとしている。
 主な施策の内容は、次のとおりである。
 (1) 小規模事業対策
 小規模事業対策については、商工会・商工会議所等における経営指導体制の充実、経営技術強化支援事業に対する支援の拡充を図るほか、提案公募型地域活性化事業、商店街活性化先進事業等について助成を行うこととして、二百四億五千六百万円を計上している。
 (2) 組織化対策
 組織化対策については、中小企業団体中央会が行う中小企業の組織化事業を推進するため、指導体制の充実を図るとともに、中央会が行う中小企業情報創造発信強化支援事業、中小企業広域技術研究支援事業等を推進することとして、五十一億七千七百万円を計上している。
 (3) 中小企業指導事業
 中小企業指導事業については、都道府県等を通じた中小企業の経営革新支援の充実を図るとともに、創造的事業活動の促進のための技術開発の強化、物流・業務管理等における情報化の促進等を図ることとしている。
 また、地域活性化アドバイザー等支援事業の拡充等を図ることとしており、これら中小企業指導事業の強化に必要な経費として、百八十二億九千七百万円を計上している。
 (4) 中小企業近代化促進
 近代化促進の施策としては、中心市街地活性化対策として空洞化等に対する事例調査等に対する支援を創設するとともに、商店街・商業集積活性化事業について助成を行うこととしている。
 また、中小企業の労働力確保対策事業を引き続き支援し、中小企業の国際化対策を推進するとともに、下請取引あっせんの強化を行うなど下請企業対策の充実を図ることとしている。
 さらに、設備近代化補助について、所要の貸付規模を確保し、また、新規創業等を行う中小企業者のリース等の活用による設備導入を促進するために必要な経費を計上しており、これら中小企業近代化促進に必要な経費として、二百十七億六千三百万円を計上している。
 (5) 中小企業事業団の事業運営
 指導研修事業については、中小企業大学校の各種研修事業の充実等を図ることとしている。
 また、高度化融資事業については、中心市街地活性化対策として実施する共同施設事業等を対象に追加する等、総事業規模で三千百八十六億円を予定している。このため、この事業団に三千万円の出資を行うこととしている。
 また、小規模企業共済制度及び中小企業倒産防止共済制度については、その運営の円滑化を図るために必要な経費の補助を行うこととしている。
 (6) 小企業等経営改善資金
 小企業等経営改善資金融資制度の貸付規模については、五千五百億円を確保することとしている。
 このための原資として、一般会計貸付金三十億円、財政投融資二百十億円及び回収金五千二百六十億円を予定している。
 なお、小企業等経営改善資金の融資機関である国民金融公庫に対して、小企業等経営改善資金融資補給金を交付することとし、十億八千七百万円を計上している。
 (7) 中小企業信用保険公庫出資等
 中小企業に対する信用補完の充実を図るため、中小企業信用保険公庫に対して、中小企業信用保険準備基金として百十三億二千万円の出資を行うとともに、信用保証協会基金に対する補助金百億円を計上することとしている。
 また、国民金融公庫及び中小企業金融公庫については、それぞれ三百八十五億二百万円、二百三十五億円の補給金を計上している。
 (8) 中小企業退職金共済制度
 中小企業退職金共済事業に対する補助を行うこととして、四十七億二千八百万円を計上している。

 エネルギー対策費
           (百万円)
    十年度 六六八、二三〇
    九年度 六八六、〇一七
    比較増△減 △ 一七、七八七
 この経費は、エネルギーの長期的かつ安定的な供給を確保する等のため、原子力及びエネルギー技術の研究開発の促進並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策等に関し一般会計予算に計上される経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 原子力平和利用研究促進費
 (イ) 原子力利用の安全確保のための研究については、日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団(本事業団の名称が核燃料サイクル研究開発機構となった場合には、核燃料サイクル研究開発機構)等を中心として、工学的安全研究、環境放射能安全研究及び放射性廃棄物の安全研究を行うこととし、百七十八億五千八百万円(九年度予算額百九十六億五千六百万円)を計上するとともに、原子力施設の老朽化・安全性向上対策の強化のため、三十億六千三百万円を計上している。
 (ロ) 高速増殖炉の研究開発については、動力炉・核燃料開発事業団(本事業団の名称が核燃料サイクル研究開発機構となった場合には、核燃料サイクル研究開発機構)において炉物理研究等を推進することとし、このため同事業団に対する出資金として八十億七千五百万円(九年度予算額九十億七百万円)を計上している。
 (ハ) 高レベル放射性廃棄物の処分に関する研究開発については、動力炉・核燃料開発事業団(本事業団の名称が核燃料サイクル研究開発機構となった場合には、核燃料サイクル研究開発機構)において地層科学研究開発及び廃棄物研究開発等を推進することとし、このため同事業団に対する出資金として百十二億三千八百万円(九年度予算額百二十五億三千百万円)を計上している。
 (ニ) 核融合の研究については、国際熱核融合実験炉(ITER)工学設計活動に係る協力及び臨界プラズマ試験装置を用いた研究開発等を日本原子力研究所を中心に推進することとし、このために必要な経費として、百七十八億五千百万円(九年度予算額百八十九億六千七百万円)を計上している。
 (2) エネルギー技術研究開発費
 太陽エネルギー、水素エネルギー等の新エネルギー技術及び燃料電池発電技術、超電導電力応用技術等の省エネルギー技術を開発することにより将来のエネルギーの安定的確保を図るとともに、地球環境問題の解決にも資するため、これらエネルギー技術の研究開発を推進することとし、四億円(九年度予算額四億三百万円)を計上している。
 (3) 石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油及びエネルギー需給構造高度化勘定)へ繰入
 石油公団が行う探鉱等投融資等の財源としての出資、国家原油備蓄の維持、民間備蓄に対する助成等の石油対策に要する経費及び省エネルギー対策、新エネルギー対策等、地球温暖化問題に対応したエネルギー政策の展開を図るための施策に要する経費の財源に充てるため、一般会計から石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油及びエネルギー需給構造高度化勘定)へ繰り入れることとして、五千億円(九年度予算額五千百四十億円)を計上している。

 主要食糧関係費
           (百万円)
    十年度 二六九、〇五〇
    九年度 二六九、一九四
    比較増△減 △ 一四四
 この経費は、主要食糧の計画的な流通を確保するための措置、政府による主要食糧の買入れ、輸入及び売渡しの措置並びに主要食糧の需給及び価格の安定を図るための措置に関し一般会計予算に計上される経費である。
 その内容の主なものは、次のとおりである。
 (1) 食糧管理特別会計調整勘定へ繰入
 九年度末における食糧管理特別会計の調整資金の残高は、六百七十八億円となる見込みであるが、十年度において食糧管理勘定(国内米管理勘定、国内麦管理勘定及び輸入食糧管理勘定)に三千七十八億円の損失が生ずると見込まれるので、十年度末における調整資金の残高を三十五億円と見込んで、一般会計から調整勘定へ二千四百三十四億円を繰り入れることとしている。
 なお、同勘定への繰入所要額が九年度に比して大幅に増加しているのは、本特別会計において、生産調整推進のための国費と農業者拠出による全国的なとも補償施策(米需給安定対策)を新たに計上すること等によるものである。
 (2) 緊急生産調整推進対策費
 (イ) 米については、現在、大幅な全体需給の緩和に伴う持越在庫の増加・自主流通米価格の急落という極めて厳しい状況となっている。したがって、全体需給を早急に改善するため、緊急生産調整推進対策(十・十一年度)を実施することとし、十年度においては、過去最大の九十六万三千ヘクタールの生産調整目標面積(現行対策は七十八万七千ヘクタール)に取り組むこととしている。
 (ロ) 前記生産調整を推進するため、緊急生産調整推進対策費として、転作の定着と水田経営の安定を図るため、大豆、麦、飼料作物など他作物を取り込み、稲作・転作一体となった望ましい水田営農の実現に取り組む農業者を支援する水田営農確立助成金(二百五十五億円)等を計上している。

 産業投資特別会計へ繰入
           (百万円)
    十年度 一五九、五三三
    九年度 一七一、五四一
    比較増△減 △ 一二、〇〇八
 この経費は、無利子貸付け等の財源に充てるため「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づき、産業投資特別会計へ繰り入れるために必要な経費である。

 その他の事項経費

 その他の事項経費のうち主なものは、次のとおりである。

1 沖縄関係経費(総理府所管、大蔵省所管、文部省所管、厚生省所管、農林水産省所管、通商産業省所管、運輸省所管、郵政省所管、建設省所管及び自治省所管)
           (百万円)
    十年度 五一四、〇五八
    九年度 五一八、六九五
    比較増△減 △ 四、六三七
 十年度においては、沖縄県民の生活の安定と福祉の向上に資するため、社会資本の整備、産業経済の発展、文教の充実等、各面にわたる施策を講ずるために必要な経費として、五千百四十億五千八百万円を計上している。

2 北方対策費(総理府所管及び外務省所管)
         (百万円)
    十年度 一、三八〇
    九年度 一、三五八
    比較増△減 二二
 北方領土問題対策協会補助金など北方領土問題に関する啓蒙宣伝等を行うために必要な経費十三億八千万円を計上している。

3 青少年対策費(裁判所所管、総理府所管、法務省所管、外務省所管、文部省所管、農林水産省所管、運輸省所管及び労働省所管)
           (百万円)
    十年度 一五〇、〇六一
    九年度 一五三、九六六
    比較増△減 △ 三、九〇五
 この経費は、健全な青少年活動を助成する等のために必要な経費であり、国立社会教育施設の運営、農村青少年の研修教育施設及び青少年矯正施設の設置運営、青少年教育の振興、青年の船の運航、青年海外協力隊の派遣等に要する経費を計上している。

4 平和祈念事業特別基金事業運営費(総理府所管)
         (百万円)
    十年度 一、八九三
    九年度 一、九七〇
    比較増△減 △ 七七
 この経費は、平和祈念事業特別基金が、関係者に対し慰藉の念を示す事業を行うとともに、戦後強制抑留者に対し慰労品等を贈呈する事業を実施するのに必要な経費である。

5 文化関係費(文部省所管)
          (百万円)
    十年度 八一、八八八
    九年度 八二、八三九
    比較増△減 △ 九五一
 この経費は、芸術文化の振興、文化財保護の充実等に必要な経費である。
 芸術文化の振興については、芸術創造活動の推進、新国立劇場運営体制の整備充実、芸術文化に親しむ機会の充実、メディア芸術の振興及び国立美術館の施設整備等を行うこととして、総額二百四十二億二千万円(九年度予算額二百三十六億一千四百万円)を計上している。
 文化財保護の充実については、史跡等の保存整備・活用、文化財保護に関する国際交流・協力、文化財のふれあい推進、文化財の保存修理、伝統文化の後継者養成確保及び国立博物館・文化財研究所の施設整備等を行うこととして、総額五百五十六億八千二百万円(九年度予算額五百七十三億一千三百万円)を計上している。

6 農業振興対策費(農林水産省所管)

 農業の振興に係る諸施策のうち、農業農村整備事業費、主要食糧関係費及び農業者年金等実施費を除く主な事項について説明すると、次のとおりである。
 (1) 農業構造改善等事業費
          (百万円)
    十年度 五四、八七五
    九年度 六〇、五一五
    比較増△減 △ 五、六四〇
 この経費は、農業経営構造の改善及び農山漁村の活性化を図るため、経営感覚に優れた経営体の育成に重点を置いた地域農業基盤確立農業構造改善事業等により生産基盤の整備、農業経営近代化施設の導入等を総合的に行う農業構造改善事業及び生産基盤の整備と生活環境の整備を総合的かつ効果的に行う山村振興等農林漁業特別対策事業を実施するのに必要な経費である。
 (2) 農業生産体制強化総合推進対策費
          (百万円)
    十年度 四四、一三七
    九年度 三七、五五〇
    比較増△減 六、五八七
 この経費は、国内農業の生産体制を抜本的に強化するため、地域において明確にされた今後育成すべき経営体等を核とした生産体制の確立、革新的な農業技術や経営の導入・実証、青年農業者の育成や農村女性の活動促進等農業・農村における人材の育成、作物及び地域の特色を活かした多様な農業生産の推進、環境保全型農業の推進等を目的とする農業生産体制強化総合推進対策の実施に必要な経費である。
 (3) 畜産再編総合対策費
          (百万円)
    十年度 一四、一八五
    九年度 一五、五四一
    比較増△減 △ 一、三五六
 この経費は、効率的で生産性の高い経営体の育成を図るとともに、経営感覚に優れた意欲ある農業者等の自主性及び創意工夫を活かしつつ、地域の特性に即し、生産から流通・消費に至る地域畜産構造の再編を図ることを目的とする畜産再編総合対策の実施に必要な経費である。
 (4) 肉用子牛等対策費
           (百万円)
    十年度 一二四、五九九
    九年度 一二六、五九九
    比較増△減 △ 二、〇〇〇
 この経費は、牛肉の輸入等需給事情の変化に対処するため、輸入牛肉等の関税収入を財源として肉用子牛の生産安定対策等を実施するのに必要な経費である。
 (5) 農業経営体育成等対策費
          (百万円)
    十年度 三八、九二〇
    九年度 四〇、七八三
    比較増△減 △ 一、八六四
 この経費は、経営規模の拡大及び効率的・安定的な経営体の育成等を図るための諸施策を行うのに必要な経費のうち主なものをとりまとめたものであって、
 (イ) 農業者の経営管理能力の向上、認定農業者を核とした地域農業を確立するための基礎条件づくり、農地の流動化及び有効利用の促進、農村地域への工業導入の促進、「特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律」に基づく市町村推進活動事業の支援等を総合的に行う農村地域農政総合推進事業
 (ロ) 農業経営者の資質・技術等の向上を図るための指導、研修等を行う農業改良普及事業
等を実施するのに必要な経費である。

7 生鮮食料品流通等対策費(農林水産省所管)
          (百万円)
    十年度 二七、一五六
    九年度 二九、三八六
    比較増△減 △ 二、二三〇
 この経費は、生鮮食料品の円滑な流通を図り、物価の安定に資するための諸施策を行うのに必要な経費のうち主なものをとりまとめたものであって、
 (1) 生鮮食料品の流通の改善合理化を促進するための卸売市場施設整備
 (2) 野菜の価格補てん事業、売買保管事業等を内容とする野菜の価格安定及び需給調整対策
 (3) 特定果実等計画生産出荷促進事業等を内容とする果実等の価格安定及び需給調整対策
 (4) 鶏卵価格安定事業を内容とする鶏卵の価格安定対策
 (5) 水産物調整保管事業、水産物流通加工基盤強化対策事業等を内容とする水産物流通調整対策
等の事業を実施するのに必要な経費である。

8 林業振興費(農林水産省所管)
          (百万円)
    十年度 四七、三九四
    九年度 四七、三〇九
    比較増△減 八六
 この経費は、林業の振興を図るため、保安林等整備管理、森林計画樹立、林業生産流通総合対策、林業技術の普及指導、森林病害虫等防除、農林漁業信用基金出資・助成、国際林業協力、林業改善資金造成及び林業振興事業指導事務等に必要な経費である。

9 水産業振興費(農林水産省所管)
          (百万円)
    十年度 五五、九六九
    九年度 六二、五四五
    比較増△減 △ 六、五七六
 この経費は、水産業の振興を図るため、水産業振興総合対策、水産物流通調整対策、漁業経営対策、沿岸漁業改善資金造成、水産業振興事業指導事務等の諸施策並びに漁業災害及び漁船損害等補償制度を実施するのに必要な経費である。

10 運輸施設整備事業団助成費(運輸省所管)
          (百万円)
    十年度 二四、〇四三
    九年度 二九、一六〇
    比較増△減 △ 五、一一七
 この経費は、都市鉄道、幹線鉄道及び新幹線鉄道の整備の推進等を図るため、運輸施設整備事業団に対して助成及び出資を行うために必要な経費である。

11 日本鉄道建設公団助成費(運輸省所管)
          (百万円)
    十年度 六五、〇〇〇
    九年度 ―   
    比較増△減 六五、〇〇〇
 この経費は、「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律」に基づき日本鉄道建設公団が行う年金等負担金の支払等の特例業務に要する経費の同公団に対する補助に必要な経費である。

12 給与改善費

 公務員等の給与改善に備えて、既定の給与費の〇・五%に相当する額を既定の給与費に加算して計上している。左記の金額は、各項の給与費に加算計上されている給与改善費の合計額である。
          (百万円)
    十年度 五三、六九三
    九年度 一〇五、八五二

 予備費
           (百万円)
    十年度 三五〇、〇〇〇
    九年度 三五〇、〇〇〇
    比較増△減 〇
 予見し難い予算の不足に充てるため、計上することとしている。


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◇歳    入◇


1 租税及印紙収入
              (百万円)
    十年度 五八、五二二、〇〇〇
    九年度 五七、八〇二、〇〇〇
    比較増△減 七二〇、〇〇〇
 現行法による十年度の租税及印紙収入は、五十九兆六千九百九十億円であって、九年度予算額に対し一兆八千九百七十億円の増加が見込まれる。
 この金額から、十年度に予定されている平成十年分所得税の特別減税、法人税制改革、金融関係税制の改正、土地・住宅税制の改正等の内国税関係の改正による減収一兆一千七百六十億円及び関税率の改定等による減収十億円を差し引くと、九年度予算額に対する増加額は七千二百億円となる。
 したがって、これらの税制改正を織り込んだ十年度の租税及印紙収入は、五十八兆五千二百二十億円である。

2 専売納付金
          (百万円)
    十年度 二〇、三二四
    九年度 一六、八三五
    比較増△減 三、四八九

3 官業益金及官業収入
          (百万円)
    十年度 二二、一七二
    九年度 二三、二九九
    比較増△減 △ 一、一二七

4 政府資産整理収入
           (百万円)
    十年度 二七七、二八七
    九年度 三〇二、八五二
    比較増△減 △ 二五、五六六

5 雑収入
             (百万円)
    十年度 三、二六九、五八三
    九年度 二、五二〇、一四三
    比較増△減 七四九、四三九
 主なものについて説明すると、次のとおりである。
 (1) 日本銀行納付金は、日本銀行の資産の運用状況等を勘案して四千八百九十億円の納付金を見込んだものである。
 (2) 日本中央競馬会納付金は、中央競馬の勝馬投票券収入の一〇%相当額四千三十一億一千七百万円及び剰余金の二分の一相当額六百五十億円、計四千六百八十一億一千七百万円の納付金を見込んだものである。
 (3) 貨幣回収準備資金受入は、「造幣局特別会計法」に基づき、同特別会計に置かれている貨幣回収準備資金から八百十一億九千六百万円を受け入れることによる収入である。
 なお、毎会計年度末における貨幣回収準備資金の額の算定基準となる準備率につき、十年度末においては九年度末に引き続き一〇〇分の五とすることを予定している。

6 公債金
              (百万円)
    十年度 一五、五五七、〇〇〇
    九年度 一六、七〇七、〇〇〇
    比較増△減 △ 一、一五〇、〇〇〇
 内訳について説明すると、次のとおりである。
 (1) 公債金は、十年度において、「財政法」第四条第一項ただし書の規定により発行する公債の収入である。
 なお、「財政法」第四条第三項の規定による公共事業費の範囲は、一般会計予算総則第七条に掲げるとおりであるが、その金額並びに出資金及び貸付金の合計額は八兆四千八百九十七億七千六百万円となる。
 (2) 特例公債金は、「平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律」の規定により発行する公債の収入である。


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【特別会計】


 特別会計の主なものについて説明すると、次のとおりである。

1 交付税及び譲与税配付金持別会計

 この会計は、地方交付税及び地方譲与税の配付に関する経理を明確にするために設けられたものである。
 なお、交通安全対策特別交付金の交付に関する経理を明確にするため、当分の間、この特別会計に計上することとし、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定の二勘定を設けている。
 十年度の主な内容は、次のとおりである。
 (1) 交付税及び譲与税配付金勘定
 (イ) 地方交付税交付金等の財源に充てるため、歳入については、一般会計から、@十年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込額の一〇〇分の三二に相当する額十二兆一千二百三十八億四千万円、消費税の収入見込額の一〇〇分の二九・五に相当する額三兆一千九百十三億一千万円並びにたばこ税の収入見込額の一〇〇分の二五に相当する額二千五百五十億円の合算額十五兆五千七百一億五千万円に、A一般会計加算額三千億円を加算した額十五兆八千七百一億五千万円を受け入れるほか、十九兆九百一億二千百万円を資金運用部資金から借り入れ、歳出については、@十年度分の地方団体に交付する地方交付税交付金として十七兆五千百八十八億六千五百万円、A借入金及び一時借入金の利子支払額四千九百七十三億八千万円並びに九年度における借入金の償還金十七兆一千四百四十四億四千百万円を国債整理基金特別会計へ繰入として計上することとしている。
 (ロ) 地方道路税の収入をこの勘定に受け入れ、「地方道路譲与税法」に基づき、地方の道路財源に充てるため、地方道路譲与税譲与金として、一定の基準により都道府県及び市町村(特別区を含む。)に譲与することとしている。
 (ハ) 石油ガス税の収入の二分の一に相当する額をこの勘定に受け入れ、「石油ガス譲与税法」に基づき、地方の道路財源に充てるため、石油ガス譲与税譲与金として、一定の基準により都道府県及び「道路法」第七条第三項に規定する指定市に譲与することとしている。
 (ニ) 航空機燃料税の収入の一三分の二に相当する額をこの勘定に受け入れ、「航空機燃料譲与税法」に基づき、空港関係都道府県及び空港関係市町村の航空機騒音対策事業費等の財源に充てるため、航空機燃料譲与税譲与金として、一定の基準により同法に規定する都道府県及び市町村に譲与することとしている。
 (ホ) 自動車重量税の収入の四分の一に相当する額をこの勘定に受け入れ、「自動車重量譲与税法」に基づき、地方の道路財源に充てるため、自動車重量譲与税譲与金として、一定の基準により市町村(特別区を含む。)に譲与することとしている。
 (ヘ) 特別とん税の収入をこの勘定に受け入れ、「特別とん譲与税法」に基づき、特別とん譲与税譲与金として、徴収地港の所在する都及び市町村に譲与することとしている。
 (2) 交通安全対策特別交付金勘定
 歳入として交通反則者納金の収入等を受け入れ、歳出としては地方の道路交通安全施設の設置等の財源に充てるため、一定の基準により都道府県及び市町村に交付する交通安全対策特別交付金等を計上することとしている。

2 国債整理基金特別会計

 この会計は、一般会計又は特別会計から受け入れた資金等を国債整理基金として、これを国債の償還発行に関する費途に充てるために設けられたものである。
 十年度においては、一般会計から十七兆二千六百二十八億一千六百万円、交付税及び譲与税配付金特別会計等から二十六兆四千三百八十四億三千万円をそれぞれ受け入れるほか、租税一千二百二億円、公債金四十二兆八千五百十七億三千四百万円、前年度剰余金として「国債整理基金特別会計法」第五条ノ二の規定により九年度において発行予定の公債金収入四兆五千億円及び「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」第六条第一項の規定により一般会計に繰り入れることとしている日本電信電話株式会社の株式の売払収入の一部一千五百九十五億三千三百万円、日本電信電話株式会社の株式の売払収入四千二百四十億円、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の配当金収入二百二億六千七百万円並びに運用収入等三百三十八億六千三百万円をそれぞれ受け入れることとしている。
 なお、「預金保険法の一部を改正する法律」及び「金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律」の規定により預金保険機構に交付される国債の償還の財源に優先的に充てることとされている国債整理基金特別会計に所属する株式の売払収入金としては、株式売払収入四千二百四十億円から株式売払経費百三十三億六千八百万円を差し引いた四千百六億三千二百万円を見込んでいる。

3 産業投資特別会計

 この会計は、産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもって投資を行うことにより国民経済の発展と国民生活の向上に資するとともに、その経理を明確にするために設けられたものである。
 なお、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づく一般会計からの受入金及びこれを財源とする無利子貸付け等を、当分の間、この特別会計に計上することとし、その経理を明確にするため、産業投資勘定と社会資本整備勘定にそれぞれ区分して経理することとしている。
 十年度の主な内容は、次のとおりである。
 (1) 産業投資勘定
 十年度の歳入については、日本輸出入銀行の納付金並びに電源開発株式会社、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の配当金等を見込むほか、前年度剰余金として三百五十三億四千三百万円を受け入れることとしている。
 歳出については、引き続き、技術開発、中小企業対策等の推進を図ることとして、総額六百三十五億円(九年度予算額六百四十四億円)の産業投資支出を行うこととしている。
 また、この会計から一般会計への繰入金として百十四億円を計上することとしている。
 (2) 社会資本整備勘定
 歳入については、一般会計が国債整理基金特別会計から受け入れた日本電信電話株式会社の株式の売払収入による国債整理基金の資金の一部に相当する一千五百九十五億三千三百万円の財源を一般会計から受け入れることとしているほか、各特別会計より受入及び償還金収入等七百二十七億二千八百万円を見込んでいる。
 歳出については、収益回収型の公共事業資金貸付金として総額九百四十四億三千三百万円、民間能力活用施設整備事業資金貸付金六百五十一億円、一般会計へ繰入八百八十一億七千万円、事務費等九千四百万円を計上している。

4 石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計

 この会計は、石油及びエネルギー需給構造高度化対策に要する費用の財源に充てる額を一般会計から受け入れるほか、原油等関税収入等を財源として、石炭対策並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策に関する経理を行うために設けられたものである。
 十年度の主な内容は、次のとおりである。
 (1) 石炭勘定
 (イ) 石炭鉱業合理化安定対策
 国内石炭鉱業の自主的な構造調整努力に対し、総合的な支援策を引き続き講ずるとともに、保安対策等を着実に推進し、石炭鉱業合理化安定対策の総合的な展開を図るために必要な経費を計上している。
 (ロ) 鉱害対策
 累積鉱害の早期解消に向けて鉱害復旧の推進を図るとともに、累積鉱害解消後の浅所陥没被害等に対する中長期的な対応体制の構築を図るために必要な経費を計上している。
 (ハ) 産炭地域振興対策
 八次策影響地域等を重点対象とした産炭地域振興対策を引き続き推進するとともに、石炭鉱業の構造調整に即応した先行的な対策を講ずるために必要な経費を計上している。
 (ニ) 炭鉱離職者等対策
 炭鉱離職者等職業転換特別給付金の充実、職業訓練の機動的実施等炭鉱離職者の再就職の促進等を図るために必要な経費を計上している。
 (2) 石油及びエネルギー需給構造高度化勘定
 (イ) 石油の安定的な供給の確保等に資するため、石油公団が行う探鉱等投融資の原資の一部等として、同公団に対し、五百四十七億円(九年度予算額五百四十七億円)を出資することとしているほか、石油生産技術の研究開発等を推進するための経費を計上している。
 (ロ) 石油の国家備蓄の維持を行うとともに、石油ガスの国家備蓄の推進を図ることとして三千百三十六億三百万円を計上している。
 また、石油の民間備蓄を行うため、石油精製企業等に対する備蓄石油に係る石油購入資金の融資についての利子補給等に要する経費として、七十億五千二百万円を計上するとともに、石油ガスの民間備蓄を円滑に推進するため、所要の利子補給(五億五千六百万円)を行うこととしている。
 その他、石油貯蔵施設の設置の円滑化を図るため、石油貯蔵施設立地対策等交付金の交付を行うこととしている。
 (ハ) 石油の生産・流通の合理化を図るため、精製合理化等石油産業体質強化対策に要する経費を計上するとともに、石油製品販売業構造改善対策事業、石油製品品質確保事業、新燃料油研究開発調査、緊急時対応体制整備等を推進することとしている。
 また、大規模石油災害対応体制整備事業を推進している。
 (ニ) 地球温暖化問題に対応したエネルギー政策の展開を図るため、エネルギー需給構造高度化対策として、省エネルギー、新エネルギー等に係る技術開発、クリーンエネルギー自動車、ソーラーシステム等の普及促進、国際省エネルギー対策等の施策の推進に要する経費として一千四百十六億二千二百万円を計上している。

5 厚生保険特別会計

 この会計は、「健康保険法」及び「厚生年金保険法」に基づき、被保険者に対する療養給付、年金給付、その他の給付を行うことによって、被用者の福祉の向上を図るとともに、「児童手当法」に基づく児童手当に関する経理を行うために設けられたものである。
 また、当分の間の措置として、老人保健制度の基盤安定化を図るため、特別保健福祉事業資金の運用利益金を財源として実施する特別保健福祉事業に関する経理を行うこととしている。
 十年度の主な内容は、次のとおりである。
 (1) 健康勘定においては、歳出では、医療費の動向等に基づく所要の給付費等を見込み、歳入では、保険料収入等を見込むとともに、国庫補助については、九千六十一億四千九百万円を計上している。
 (2) 年金勘定においては、歳出では、年金受給者の増等による給付費の増加等を見込み、歳入では、平均標準報酬月額の増加等による保険料収入の増加を見込むとともに、国庫負担金については、「平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律」に基づき、七千億円を減額した額二兆八千三百二億二千四百万円を一般会計から受け入れることとしている。
 (3) 児童手当勘定においては、歳出では、三歳未満の児童を支給対象児童として、給付費を見込むとともに、少子化、共働き世帯の増加、核家族化、都市化の進展等子どもを取り巻く環境の変化を踏まえ、特に女性の社会進出に対応して、子育てと仕事の両立を図る必要があることにかんがみ、延長保育等促進基盤整備事業・放課後児童健全育成事業の拡充等を図ることとし、歳入では、事業主拠出金収入の増加等を見込むとともに、一般会計から所要の財源として、二百五十四億二千七百万円を受け入れることとしている。
 (4) 業務勘定においては、歳出では、業務量の増加等を見込むとともに、事業全体の節減・合理化を図ることとしているほか、特別保健福祉事業について六百二十億円を計上している。歳入では、「財政構造改革の推進に関する特別措置法」等に基づき事務費国庫負担の見直しを行い、八百八億六千九百万円を一般会計から受け入れることとしている。

6 国民年金特別会計

 この会計は、「国民年金法」に基づき、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な年金の給付等を行うことにより、健全な国民生活の維持及び向上に寄与するため設けられたものである。
 十年度の主な内容は、次のとおりである。
 (1) 基礎年金勘定においては、歳出では、基礎年金給付費としての所要額及び公的年金制度の各保険者の支出する基礎年金相当給付費の財源に充てるための繰入れ所要額等を見込み、歳入では、基礎年金給付等に要する費用の財源として各保険者からの所要の拠出金等による収入等を見込んでいる。
 (2) 国民年金勘定においては、歳出では、旧法国民年金の障害年金等の受給者数の減等による給付費の減少並びに基礎年金勘定への繰入れ額等を見込み、歳入では、保険料額の改定等による保険料収入の増加等を見込むとともに、国庫負担金の受入れについては、一兆三千二百六十四億九千万円を計上している。また、基礎年金相当給付費の財源を、基礎年金勘定から受け入れることとしている。
 (3) 福祉年金勘定においては、歳出では、受給者数の減等により見込んだ所要額を計上するとともに、歳入では、国庫負担金の受入れについては、八百八十八億二千八百万円を計上している。
 (4) 業務勘定においては、歳出では、業務量の増加等を見込むとともに、事業全体の節減・合理化を図ることとしている。歳入では、「財政構造改革の推進に関する特別措置法」に基づき事務費国庫負担の見直しを行い、一千三百三億四百万円を一般会計から受け入れることとしている。

7 食糧管理特別会計

 この会計は、「食糧管理特別会計法」に基づいて設置され、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」、「農産物価格安定法」及び「飼料需給安定法」に基づき、米、麦、でん粉、輸入飼料等の買入れ、売渡し等を管理するものである。
 十年度においては、この会計の取扱品目、数量、価格等について、次のような前提に立って、予算を編成している。
 (1) 国内産米については、政府買入数量百万トン、政府売却数量百五十七万二千トンと見込んでいる。
 また、政府買入価格は十年産米の価格、政府売渡価格は十年一月一日以降に適用される価格で計上している。
 (2) 国内産麦については、買入数量は、大麦、はだか麦、小麦の三麦合わせて六十四万七千トン、売却数量は三麦合わせて六十四万九千トンと見込んでいる。
 また、政府買入価格は九年産麦の価格、政府売渡価格は現行の価格で計上している。
 (3) 輸入食糧については、買入数量は、米穀六十八万一千トン、小麦等五百九十四万三千トン、売却数量は米穀六十八万トン、小麦等五百七十五万八千トンを予定している。
 また、米麦の政府買入価格は最近の価格動向等を勘案して算定した価格、米麦の政府売渡価格は米については十年一月一日以降に適用される価格、麦については現行の価格で計上している。
 (4) 農産物等については、でん粉二千トンの買入費等を計上している。
 (5) 輸入飼料については、小麦百三十五万トン、大麦百七十万トンの売却及びこれに必要な数量の買入れを予定している。
 また、既存助成金等について市場原理の活用等の観点から総見直しを行った結果、国内米管理勘定において、従来の自主流通米への助成を廃止し、自主流通米価格下落時にその影響を緩和する稲作経営安定対策を創設するほか、生産調整の推進のため全国的なとも補償を行う米需給安定対策の創設等を行うこととしている。

8 道路整備特別会計

 この会計は、道路整備事業の計画的推進を図るため、道路整備事業の経理を明確にすることを目的として設けられたものである。
 この会計は、揮発油税等の特定財源、一般財源、産業投資特別会計社会資本整備勘定からの受入額及び直轄事業に係る地方公共団体の負担金等を受け入れることによって財源の調達を図ることとしており、十年度における道路整備事業の財源内訳は次のとおりである。
 ▽一般会計より受入れ (百万円)
   十年度 二、六五三、四四五
   九年度 二、六七三、九六五
  ・揮発油税等特定財源
   十年度 二、〇一一、〇〇〇
   九年度 一、九八六、三六一
  ・一般財源
   十年度   六四二、四四五
   九年度   六八七、六〇四
 ▽産業投資特別会計より受入れ
   十年度   八九、七一六
   九年度   九一、八六四
  ≪小 計≫
   十年度 二、七四三、一六一
   九年度 二、七六五、八二九
 ▽前年度剰余金受入れ等
   十年度   六六、九三二
   九年度   七五、三九三
 ▽地方公共団体負担金
   十年度   五四一、二五八
   九年度   五四六、六四九
 ▽揮発油税
   十年度   六六五、四〇〇
   九年度   六五七、〇〇〇
  ≪合 計≫
   十年度 四、〇一六、七五一
   九年度 四、〇四四、八七一
 なお、道路整備事業費としては、前記のほか、北海道開発庁及び沖縄開発庁における道路関係の工事諸費二百九十七億四千七百万円及び十一億四千五百万円が一般会計に計上されており、これらを加えると、道路整備のための財源合計は四兆四百七十六億四千三百万円となる。


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【政府関係機関】


 政府関係機関の主なものについて説明すると、次のとおりである。

1 国民金融公庫

 この公庫は、銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金等の供給を行うことを目的としている。
 十年度においては、国民大衆の生業資金等に対する融資の円滑化を図るため、小企業等経営改善資金貸付五千五百億円(九年度五千五百億円)を含め総額四兆四千百六十億円の貸付けを行うこととし、このため一般会計からの借入金三十億円、回収金等六千二百三十億円のほか、資金運用部資金及び簡保資金の借入れ三兆七千九百億円を予定している。

2 住宅金融公庫

 この公庫は、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設等に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的としている。
 十年度においては、五十四万五千戸を建設するための住宅等融資十兆五十二億円、五千戸を建設するための財形住宅融資五百億円、関連公共施設等融資五十億円及び宅地造成融資二千五十八億円(住宅用地の取得五百ヘクタール、造成九百ヘクタールを予定)を行うこととし、総額十兆二千六百六十億円(九年度十一兆四百億円)の貸付けを予定している。
 この貸付計画額のうち五兆四千三百九十五億円が十年度中に貸し付けられる予定であり、これに八年度及び九年度の貸付計画額のうち、十年度に資金交付が行われる予定となっている五兆一千三百三十六億円を加えると、十年度の資金交付額は十兆五千七百三十一億円となり、九年度計画額に対し五千二百三十九億円減少している。
 また、十年度においては、住宅融資保険の保険価額の総額を六千五百億円としている。

3 農林漁業金融公庫

 この公庫は、農林漁業者に対し、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期かつ低利の資金で、農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするもの等を融通することを目的としている。
 十年度の貸付計画額は五千三百億円(九年度計画額五千六百億円)を予定している。
 この貸付計画額のうち、その四五%に当たる二千三百九十億円が十年度中に資金交付が行われる予定であり、これに九年度の貸付計画額のうち十年度に資金交付が行われる予定となっている一千九百六十億円を加えると、十年度の資金交付額は四千三百五十億円(九年度予定四千五百三十億円)となる予定である。
 また、四十七年度首に「開拓者資金に係る政府の貸付金債権の償還条件の緩和及び農林漁業金融公庫への移管等に関する特別措置法」の規定に基づき引継ぎを完了した開拓者資金については、前年度に引き続き債権管理を行うこととしている。

4 中小企業金融公庫

 この公庫は、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であって、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的としている。
 十年度においては、中小企業金融の円滑化を図るため、中小企業投資育成会社に対する五億円の貸付けを含め総額二兆三千四百四十四億円の貸付けを行うこととし、このため、産業投資特別会計からの出資金四十六億円、回収金等二千八百七十四億円のほか、資金運用部資金及び簡保資金の借入れ一兆五千六百五十四億円、中小企業債券の発行による収入四千八百七十億円を予定している。

5 日本開発銀行

 この銀行は、長期資金の供給を行うこと等により産業の開発及び経済社会の発展を促進するため、民間の投資及び一般の金融機関が行う金融を補完し、又は奨励することを目的としている。
 十年度においては、一兆七千七百十億円の出融資を行うこととし、このため、自己資金三千六百三十億円のほか、産業投資特別会計からの出資金百十五億円、資金運用部資金及び簡保資金の借入れ一兆三千四百三十五億円並びに産業投資特別会計からの借入れ五百三十億円を予定している。
 資金の運用としては、生活・社会基盤整備、環境・エネルギー対策及び経済構造改革・地域活性化の分野について効率的に実施することとしている。
 また、社会資本の整備を促進するため、無利子貸付及び低利子貸付を行うこととしている。

6 日本輸出入銀行

 この銀行は、金融上の援助を与えること等により本邦の外国との貿易を主とする経済の交流を促進するため、一般の金融機関が行う輸出入及び海外投資に関する金融等を補完し、又は奨励することを目的としている。
 十年度においては、一兆四千百億円の出融資を行うこととし、このため自己資金三千四百五十億円のほか、資金運用部資金及び簡保資金の借入れ一兆六百五十億円を予定している。
 資金の運用としては、我が国経済のグローバル化の一層の推進の観点から投資金融に、開発途上国の持続可能な開発の支援の観点からアンタイドローン等の直接借款に重点を置いて所要額を計上している。


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【平成十年度財政投融資計画】


1 財政投融資計画策定の基本的考え方

 十年度の財政投融資計画の策定に当たっては、財政投融資の抜本的改革を推進するとの基本方針の下で、民業補完や償還確実性の原則を徹底するとともに、景気に配慮しながら、資金の重点的・効率的な配分を図り、その規模のスリム化を図ることとしている。
 十年度財政投融資計画の規模については、一般財政投融資の規模は三十六兆六千五百九十二億円であり、九年度一般財政投融資三十九兆三千二百七十一億円に対し二兆六千六百七十九億円(△六・八%)の減額となっている。また、資金運用事業に対する融資十三兆三千億円を加えた財政投融資計画の規模は四十九兆九千五百九十二億円(九年度計画比二・七%減)となっている(第4表参照)。
 最近における財政投融資計画の規模の推移は、次のとおりである。
             金 額  対前年度
             (億円)  伸率(%)
 六年度     四七八、五八二  四・六 
〔一般財政投融資 三九四、〇八二  七・七〕
 七年度     四八一、九〇一  〇・七 
〔一般財政投融資 四〇二、四〇一  二・一〕
 八年度     四九一、二四七  一・九 
〔一般財政投融資 四〇五、三三七  〇・七〕
 九年度     五一三、五七一  四・五 
〔一般財政投融資 三九三、二七一 △三・〇〕
 十年度     四九九、五九二 △二・七 
〔一般財政投融資 三六六、五九二 △六・八〕
 なお、産業投資特別会計については、日本輸出入銀行の納付金並びに日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の配当金等の原資により、技術開発、中小企業対策等の推進を図ることとしている。
 十年度における資金運用部資金による国債引受額は、七兆八千億円を予定している。
 また、経済情勢の推移等に応じ、機動的かつ弾力的に対処するため、引き続き、公庫、公団等に対する資金運用部資金及び簡保資金の長期運用予定額並びに公庫、公団等の債務に係る政府保証の限度額を年度内に五〇%の範囲内で増額しうるよう、弾力措置を講ずることとしている。

2 重要施策

 (1) 住 宅
 住宅については、十年度財政投融資計画額全体の二六・一%に当たる十三兆三百六十六億円(九年度計画額十三兆八千六百四十九億円)の財政投融資を予定しており、国民の居住水準の向上に対する強い要望に配意し、第七期住宅建設五箇年計画の的確な実施を図ることとしている。
 住宅金融公庫については、良質な住宅ストックの形成を図るため、貸付戸数を五十五万戸とするほか、住宅の建替えのサイクルが長くなり、森林資源等の有効利用につながるよう、耐久性の高い住宅の普及を促進するため、耐久性要件を基準金利適用の共通要件とするとともに、省エネルギー住宅についても選択機会を高めることにより普及を促進することとしており、貸付計画額として十兆二千六百六十億円(九年度計画額十一兆四百億円)を予定している。年金福祉事業団の行う被保険者住宅資金貸付については、貸付規模を一兆四千百六十五億円とすることとしている。住宅・都市整備公団については、住宅建設戸数を二万戸とするとともに、居住水準の向上、良好な居住環境の形成等を図るため、都市の再開発、市街地の整備、既存賃貸住宅の建替え等を推進することとしている。
 また、宅地開発については、大都市地域における宅地供給を促進するため、住宅・都市整備公団の新規着手面積を五百へクタールとするほか、住宅金融公庫の貸付制度の改善を行うこととしている。
 (2) 生活環境整備
 生活環境整備については、十年度財政投融資計画額全体の一二・八%に当たる六兆四千百二十八億円(九年度計画額七兆二千七百六十五億円)の財政投融資を予定し、健康で豊かな国民生活の実現を図るため、引き続き、日常生活に密着した生活環境施設の整備を推進することとしている。このうち、地方公共団体については、国民生活充実の基盤となる社会資本の整備を推進するため、地方債計画の策定に当たり、下水道、一般廃棄物処理等の事業について、所要の起債額を確保するとともに、これらの事業に対して政府資金(資金運用部資金及び簡保資金をいう。以下同じ。)及び公営企業金融公庫資金を重点的に配分することとしている。
 (3) 厚生福祉、文教
 厚生福祉については、一兆四千七百四十八億円(九年度計画額一兆六千六百四十六億円)の財政投融資を予定し、社会福祉・医療事業団において、高齢社会に対応するため、所要の貸付計画額を確保することとしているほか、国立病院特別会計、地方公共団体等において、病院、厚生福祉施設等の整備促進を図ることとしている。
 文教については、七千六百億円(九年度計画額八千十七億円)の財政投融資を予定している。そのうち地方公共団体の義務教育施設整備等の事業については、地方債計画の策定に当たり、所要の政府資金の額を確保することとしている。
 (4) 中小企業、農林漁業
 中小企業については、十年度財政投融資計画額全体の一二・三%に当たる六兆一千四百七億円(九年度計画額五兆一千百五十三億円)の財政投融資を予定している。その大宗を占める国民金融公庫及び中小企業金融公庫については、最近の金融情勢等にかんがみ、中小企業の資金調達の円滑化を図るため、所要の貸付規模を確保するとともに、特別貸付制度の充実(金融環境変化対応特別貸付の創設等)を図ることとしている。
 このほか、中小企業金融公庫に対し、産業投資特別会計からの出資(四十六億円)を予定している。
 農林漁業については、八千八百四十億円(九年度計画額一兆三百五十四億円)の財政投融資を予定している。このうち、農林漁業金融公庫については、資金需要の動向等を踏まえ、二千六百億円の財政投融資を予定している。国有林野事業特別会計については、造林事業(官行造林事業を含む。)、林道事業等について、一千四百五十億円の財政投融資を予定している。
 (5) 道路、運輸通信
 道路については、三兆三千二百七十二億円(九年度計画額三兆八千四十七億円)の財政投融資を予定している。その大宗を占める道路関係四公団(日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団)の事業費として二兆四千九百九十六億円を予定している。
 運輸通信については、六千三百三十七億円(九年度計画額一兆六千三百六十六億円)の財政投融資を予定している。このうち、空港関係三機関(空港整備特別会計、新東京国際空港公団及び関西国際空港株式会社)については、引き続き、空港建設事業の推進を図ることとし、合計三千四百七十四億円の事業費を予定している。
 また、「中部国際空港の設置及び管理に関する法律」に基づき中部国際空港の設置及び管理を行う法人を財政投融資対象機関とすることとしている。
 日本鉄道建設公団については、大都市周辺の鉄道路線の充実等を図ることとし、建設費三千四百十一億円を予定している。
 (6) 産業・技術、貿易・経済協力
 産業・技術については、八千八百五十五億円(九年度計画額九千五百五億円)の財政投融資を予定している。技術開発については、日本開発銀行の新技術開発・新規事業育成枠として一千十億円(九年度計画額一千百億円)の出融資を予定するとともに、引き続き、基盤技術研究促進センター、科学技術振興事業団及び情報処理振興事業協会に対し、産業投資特別会計からの出融資を予定している。
 貿易・経済協力については、開発途上国の経済社会開発等に資する観点から、一兆五千四十億円(九年度計画額一兆五千五百三十四億円)の財政投融資を予定している。海外経済協力基金については、八千百億円(九年度計画額九千四百億円)の出融資を予定している。また、日本輸出入銀行については、一兆四千百億円(九年度計画額一兆四千二百億円)の出融資を予定している。
 (7) 資金運用
 資金運用については、財政投融資の重要な原資である郵便貯金、厚生年金・国民年金及び簡保資金について、資金運用事業を引き続き実施することとし、総額十三兆三千億円の財政投融資を予定している。
 郵便貯金については、金融自由化に適切に対応した健全な郵便貯金事業の経営の確保に資することを目的とした金融自由化対策資金の資金運用事業の原資として、郵便貯金特別会計に対し財政投融資八兆円を予定している。
 厚生年金・国民年金については、厚生年金保険事業及び国民年金事業の財政基盤の強化に資することを目的とした年金福祉事業団の年金財源強化事業の原資として、同事業団に対し財政投融資二兆八千億円を予定している。
 簡保資金については、簡易生命保険事業の健全な経営に資することを目的とした簡易保険福祉事業団の資金運用事業の原資として、同事業団に対し財政投融資(簡保資金からの融資)二兆五千億円を予定している。
 (8) 還元融資
 十年度のいわゆる還元融資については、六兆四千六百八十五億円を予定しており、年金福祉事業団等の還元融資対象機関に配分することとしている。また、年金資金等(厚生年金、国民年金、船員保険及び国家公務員共済組合の預託増加見込額)六兆一千九十一億円については、年金福祉事業団の年金財源強化事業に対して二兆八千億円を配分するほか、残額三兆三千九十一億円について使途別分類表(第5表参照)のとおり配分することとしている。

3 原 資

 十年度財政投融資の原資としては、九年度計画額に対し一兆六千二十一億円(二・九%)増の五十七兆七千五百九十二億円を計上している。このうち、四十九兆九千五百九十二億円については、十年度財政投融資計画の原資に、また、七兆八千億円については、十年度において発行される国債の引受けに充てることとしている。
 原資の大宗を占める資金運用部資金については、四十八兆九百五十七億円を計上している。このうち、郵便貯金の預託増加見込額については、九年度計画額に対し三千億円(二・六%)減の十一兆四千億円を計上している。また、厚生保険特別会計(年金勘定)及び国民年金特別会計(国民年金勘定)からの預託増加見込額については、九年度計画額に対し一兆三千億円(一七・八%)減の六兆円を計上している。以上のほか、既往の運用の回収金等三十兆六千九百五十七億円を計上している。
 簡保資金については、七兆一千億円を計上している。
 政府保証債については、二兆五千億円を予定している。
 産業投資特別会計については、日本輸出入銀行の納付金並びに電源開発株式会社、日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の配当金等を見込むことにより、六百三十五億円を計上している。


 
    <4月30日号の主な予定>
 
 ▽農業白書のあらまし………………農林水産省 

 ▽毎月勤労統計調査…………………労 働 省 
 



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