官報資料版 平成1020





地方財政白書のあらまし


―地方財政の状況―


自 治 省


 「地方財政の状況」(地方財政白書)は、平成十年三月二十四日の閣議決定を経て、国会に報告された。これは、地方財政法第三十条の二の規定に基づいて、内閣が地方財政の状況を明らかにして、毎年度国会に報告するものであり、その内容は、次の二部構成となっている。
 第一部では、平成八年度地方公共団体の決算を中心として、地方財政の状況を明らかにしている。第二部では、最近の地方財政の動向を要約し、当面する主要な課題について取りまとめている。
 以下、平成八年度の地方公共団体の普通会計決算の状況を中心に、白書のあらましについて紹介する。

<第一部> 平成八年度の地方財政

一 地方財政の役割

 (一) 国・地方を通じた財政支出
 <財政規模>
 平成八年度における国(一般会計と交付税及び譲与税配付金、公共事業関係等の十特別会計の純計)と地方(普通会計)の歳出純計額は百五十一兆四千五十二億円で、前年度と比べると六千四百四十四億円増(〇・四%増)となっている。
 歳出純計額の目的別歳出額の構成比の推移は、社会保障関係費が最も大きな割合(二二・八%)を占め、以下、国土保全及び開発費(二一・一%)、公債費(一六・九%)、教育費(一四・二%)の順となっている。
 なお、公債費の構成比が高い水準にあるのは、昭和五十年度以降の巨額の財源不足、平成四年度以降の経済対策等に対処するため、国・地方を通じて大量の公債が発行されたためである。
 この歳出純計額を最終支出の主体に着目して国と地方とに分けてみると、国が五十三兆六千四百八十五億円、地方が九十七兆七千五百六十七億円で、前年度と比べると、国が三千三百七十億円増(〇・六%増)、地方が三千七十四億円増(〇・三%増)となっている。また、歳出純計額に占める割合は、国が三五・四%、地方が六四・六%となっている。
 <目的別支出>
 歳出純計額の目的別及び支出主体別の規模は、第1図のとおりである。これによると、防衛費等のように国のみが行う行政に係るものは別として、公衆衛生、清掃等の衛生費、小学校、中学校、高等学校等の学校教育費、道路整備、都市計画、土地改良等の国土開発費、警察、消防等の司法警察消防費等、国民生活に直接関連する経費については、最終的に地方公共団体を通じて支出されている割合が高いことがわかる。
 また、公営企業会計を含めて、道路、都市計画、環境衛生、厚生福祉、教育文化、上・下水道、交通、病院等の生活環境・福祉・文化機能に係る事業の現状をみると、歳出純計額、普通建設事業費(建設投資額)及び単独事業費に占める割合は、それぞれ七一・〇%、七一・六%、七八・五%となっており、地方公共団体は住民生活に密接に関連した社会資本の整備等、国民生活の質的向上につながる分野に公共投資基本計画の割合(計画上六〇%台前半)を上回る費用を支出している。

 (二) 国民経済と地方財政
 政府部門は、国民経済計算上、中央政府、地方政府及び社会保障基金からなっており、家計部門に次ぐ経済活動の主体として、資金の調達及び財政支出を通じ、資源配分の適正化、所得分配の公正化、経済の安定化などの重要な機能を果たしている。その中でも、地方政府は、中央政府を上回る最終支出主体であり、国民経済上、大きな役割を担っている。
 <国内総支出と地方財政>
 国民経済において地方政府が果たしている役割を国内総支出(名目ベース。以下同じ。)に占める割合でみると、第2図のとおりである。
 平成八年度の国内総支出は五百三兆六百八十二億円であり、その支出主体別の構成比は、家計部門が六六・五%(前年度六五・八%)、企業部門が一五・〇%(同一四・三%)、政府部門が一八・〇%(同一八・六%)となっており、家計部門及び企業部門の構成比が上昇している。政府部門のうち、地方政府及び中央政府が国内総支出に占める割合は、地方政府が一三・四%(同一三・八%)、中央政府が四・四%(同四・六%)となっており、政府部門の中でも、地方政府の構成比は中央政府の三倍となっている。
 なお、地方政府のうち普通会計分は五十七兆六千七百十億円で、国内総支出の一一・五%(同一一・八%)を占めている。
 <公的支出の状況>
 政府部門による公的支出は、平成七年度には、四月に緊急円高・経済対策、九月に事業規模として過去最大の総額十四兆二千二百億円にのぼる経済対策等が実施されたことから、公的総資本形成を中心に前年度を上回り、公的支出が国内総支出に占める割合も上昇した。しかしながら、平成八年度には、平成七年度に経済対策や阪神・淡路大震災復旧・復興の影響から増加した投資的経費が減少に転じたことから、公的総資本形成が前年度を下回り、公的支出が国内総支出に占める割合も、前年度と比べると〇・六%ポイント低下の一八・〇%となっている。
 公的支出の内訳をみると、政府最終消費支出が四十八兆四千九百四十一億円、公的総資本形成(公的総固定資本形成と公的在庫品増加の合計額)が四十二兆五百十五億円となっており、これらを前年度と比べると、政府最終消費支出は一・七%増、公的総資本形成は三・三%減となっている。
 なお、各最終支出主体が国内総支出の増加率にどの程度の影響を与えたかを示す指標である寄与度の推移は、第3図のとおりである。平成七年度までは政府部門が国内総支出の成長を下支えする形であったが、平成八年度には、政府部門の寄与度はマイナスに転じた。
 また、政府最終消費支出及び公的総資本形成に占める地方政府の割合をみると、政府最終消費支出は前年度(七四・九%)と比べると〇・一%ポイント上昇の七五・〇%、公的総資本形成は前年度(七三・二%)と比べると〇・五%ポイント上昇の七三・七%と、ともに前年度を上回っており、七割を超える額を地方政府が支出している。
 なお、ここでいう公的支出には、国・地方の歳出に含まれる移転的経費である扶助費、普通建設事業費のうち所有権の取得に要する経費である用地取得費、金融取引に当たる公債費及び積立金等の付加価値の増加を伴わない経費は除かれている。したがって、公的支出に占める中央政府及び地方政府の割合と、歳出純計額に占める国と地方の割合は一致していない。

二 地方財政の概況

 (一) 決算規模
 地方公共団体(四十七都道府県、三千二百三十二市町村、二十三特別区、二千二百八十四の一部事務組合)の普通会計の純計決算額とその対前年度伸び率は、第1表のとおりであり、歳入が〇・〇%増、歳出が〇・一%増となっている。
 なお、これらの伸び率は、昭和二十六年度以降最低の伸び率となっている。
 これらの伸び率を前年度と比べると、歳入が五・五%ポイント低下、歳出が五・四%ポイント低下となっている。
 決算規模が前年度決算額と比べてほぼ横ばいとなったのは、歳入においては、地方税を中心に一般財源が前年度決算額を上回る一方、平成七年度において経済対策や阪神・淡路大震災に係る災害復旧・復興事業の影響等から増加した地方債、国庫支出金等が減少に転じたこと等によるものである。また、歳出においては、公債費を中心に義務的経費が引き続き増加する一方、平成七年度において経済対策や阪神・淡路大震災に係る災害復旧・復興事業の影響等から増加した投資的経費等が減少に転じたこと等によるものである。

 (二) 決算収支
 <実質収支>
 実質収支等の状況は、第2表のとおりである。形式収支(歳入歳出差引額)及び実質収支(形式収支から明許繰越等のために翌年度に繰り越すべき財源を控除した額)は、都道府県及び市町村ともに黒字となっている。団体種類別に実質収支が黒字、赤字の団体数をみると、都道府県においては、昭和五十七年度以降、十五年連続して全団体が黒字であるが、市町村においては、黒字の団体は五千五百二十五団体、赤字の団体は十四団体となっている。
 実質収支が赤字である団体数の推移をみると、前年度に赤字であった十三団体(十二市町村、一の一部事務組合)のうち九団体(九市町村)が引き続き赤字であり、更に五団体(五市町村)が新たに赤字の団体となった。その結果、平成八年度の赤字の団体数は十四団体で、前年度と比べると一団体増加した。
 なお、標準財政規模に対する実質収支額の割合である実質収支比率は、都道府県では前年度と比べると〇・一%ポイント低下の〇・四%となっており、市町村は〇・一%ポイント低下の三・〇%となっている。
 <単年度収支>
 単年度収支(実質収支から前年度の実質収支を差し引いた額)は、二十四億円の黒字(前年度八億円の赤字)となっている。これを団体種類別にみると、都道府県は二十二億円の赤字(同八十九億円の赤字)、市町村は四十六億円の黒字(同八十一億円の黒字)となっている。
 また、単年度収支に財政調整基金への積立額及び地方債の繰上償還額を加え、財政調整基金の取崩し額を差し引いた実質単年度収支は、一千八百八十四億円の黒字(前年度三百三十三億円の黒字)となり、黒字額が増加した。これを団体種類別にみると、都道府県は一千七十五億円の黒字(同六百二十一億円の赤字)、市町村は八百九億円の黒字(同九百五十四億円の黒字)となっている。

三 地方財源の状況

 (一) 歳入の概況
 歳入純計決算額は百一兆三千五百五億円で、前年度と比べると三百四十九億円増(〇・〇%増)となっており、二年連続して百兆円台となった。
 決算額の主な内訳をみると、第3表のとおりである。
 これらの伸び率をみると、地方税が四・二%増(前年度三・五%増)、地方譲与税が三・〇%増(同一・八%増)、地方交付税が四・六%増(同四・〇%増)、国庫支出金が二・〇%減(同九・二%増)、地方債が八・〇%減(同一八・八%増)となっている。
 また、一般財源(地方税、地方譲与税及び地方交付税の合計額)は五十三兆九千七百九十八億円で、前年度と比べると四・三%増(同三・六%増)と、二年連続して増加した。

 (二) 租税収入の状況
 <租税収入及び租税負担率>
 国税と地方税を合わせ租税として徴収された額は九十兆三千百九十八億円で、前年度と比べると一・九%増となっている。
 国民所得に対する租税総額の割合である租税負担率をみると、二三・〇%となり、前年度と比べると〇・三%ポイント低下した。なお、主要な諸外国の租税負担率をみると、アメリカ二六・三%(一九九六暦年計数)、イギリス三七・一%(同)、ドイツ三〇・〇%(同)となっている。
 次に、租税を国税と地方税の別でみると、国税五十五兆二千二百六十一億円(〇・五%増)、地方税三十五兆九百三十七億円(四・二%増)と国税及び地方税はともに二年連続して増収となった。租税総額に占める国税と地方税の割合は、第4図のとおりであり、国税六一・一%(前年度六二・〇%)、地方税三八・九%(同三八・〇%)となっている。また、地方交付税及び地方譲与税を国から地方へ交付した後の租税の実質的な配分割合は、国四三・八%(同四五・九%)、地方五六・二%(同五四・一%)となっている。
 <地方税の状況>
 地方税の決算額は三十五兆九百三十七億円で、前年度と比べると四・二%増(前年度三・五%増)となっており、二年連続して増収となった。また、歳入総額に占める地方税の割合は、前年度(三三・二%)と比べると一・四%ポイント上昇の三四・六%となっており、八年ぶりに増加に転じた。しかしながら、歳入総額に占める地方税の割合は、依然低い水準であり、地方公共団体にとって厳しい状況が続いている。
 地方税が前年度決算額を上回ったのは、事業税(一九・〇%増)、市町村民税法人分(一八・三%増)、固定資産税(四・五%増)、道府県民税法人分(二三・三%増)が前年度決算額を上回ったこと等によるものである。

 (三) 地方譲与税
 地方譲与税の決算額は一兆九千九百七十億円で、前年度と比べると三・〇%増(前年度一・八%増)となっており、二年連続して増加している。また、歳入総額に占める割合も、二・〇%(同一・九%)と増加に転じている。
 次に、地方譲与税の内訳をみると、消費譲与税が一兆四千百三十三億円(二・八%増)、地方道路譲与税が二千七百二十億円(四・二%増)、自動車重量譲与税が二千六百九十六億円(三・〇%増)、航空機燃料譲与税が百五十九億円(二・四%増)、石油ガス譲与税が百五十一億円(一・一%減)及び特別とん譲与税が百十億円(一・三%増)となっている。

 (四) 地方交付税
 地方交付税の決算額は十六兆八千八百九十一億円で、前年度と比べると四・六%増(前年度四・〇%増)となっており、三年連続して前年度決算額を上回っている。その内訳は、普通交付税が十五兆八千七百八十二億円及び特別交付税が一兆百九億円となっており、歳入総額に占める割合は、一六・七%(同一五・九%)と増加に転じた。
 なお、基準財政需要額は四十二兆八千六百九十九億円(財源不足団体分三十七兆六百六十三億円、財源超過団体分五兆八千三十六億円)、基準財政収入額は二十七兆八千三百六十九億円(財源不足団体分二十一兆一千八百八十一億円、財源超過団体分六兆六千四百八十八億円)で、財源不足団体の財源不足額は十五兆八千七百八十二億円、財源超過団体の財源超過額は八千四百五十二億円となっている。
 普通交付税の交付状況をみると、不交付団体は、都道府県においては前年度と同じく東京都一団体となっており、市町村においては前年度(百五十二団体)より十団体減少し、百四十二団体となっている。

 (五) 一般財源
 一般財源の決算額は五十三兆九千七百九十八億円で、前年度と比べると四・三%増(前年度三・六%増)となっており、二年連続して増加しており、歳入総額に占める割合は、五三・三%(同五一・一%)と、七年ぶりに増加に転じた。しかしながら、歳入総額に占める一般財源の割合は、依然低い水準である。
 なお、地方交付税の決算額が地方税の決算額を上回っている団体数は二千二百六十六団体(前年度二千二百七十一団体)で、全体の約七割(六九・一%)に及んでいる。

 (六) 国庫支出金
 国庫支出金の決算額は十四兆七千八百八億円で、前年度と比べると二・〇%減(前年度九・一%増)となっている。また、歳入総額に占める割合は一四・六%(同一四・九%)と減少に転じた。
 また、国庫支出金の内訳をみると、普通建設事業費支出金が六兆三千十三億円で最も大きな割合(国庫支出金全体の四二・六%)を占め、以下、義務教育費負担金が二兆九千六百八十一億円(同二〇・一%)、生活保護費負担金が一兆一千六百十九億円(同七・九%)となっている。

 (七) 地方債
 地方債の決算額は十五兆六千百五十三億円(交付公債の三億円を除く。)で、前年度と比べると八・〇%減(前年度一八・八%増)となっており、七年ぶりに減少に転じた。この結果、地方債依存度(歳入総額に占める地方債の割合)は前年度(一六・八%)と比べると一・四%ポイント減少の一五・四%と、七年ぶりに減少に転じた。
 地方債の目的別の発行状況をみると、一般単独事業債が七兆四百九十二億円で最も大きな割合(地方債発行総額の四五・一%)を占め、以下、一般公共事業債が三兆四百八十八億円(同一九・五%)、特別減税の先行実施に伴い発行された減税補てん債が一兆六千五百三十三億円(同一〇・六%)、一般廃棄物処理事業債が五千五百八十六億円(同三・六%)、公営住宅建設事業債が四千八百十一億円(同三・一%)の順となっている。
 なお、減収補てん債については、発行額は四百九十八億円で前年度(八千五百九十三億円)と比べると九四・二%減となり、地方債発行総額に占める割合も〇・三%で前年度(五・一%)と比べると大幅に低下している。

四 地方経費の内容

 歳出の分類方法としては、通常は、行政目的に着目した「目的別分類」と経費の経済的性質に着目した「性質別分類」が用いられるが、これらの分類による歳出の概要は、以下のとおりである。

 (一) 目的別歳出
 地方公共団体の経費は、その行政目的によって、総務費、民生費、衛生費、労働費、農林水産業費、商工費、土木費、消防費、警察費、教育費、公債費等に大別することができる。
 歳出純計決算額は九十九兆二百六十一億円で、前年度と比べると八百十六億円増(〇・一%増)となっている。
 決算額の目的別歳出の状況を構成比でみると、第4表のとおりであり、土木費(二二・七%)、教育費(一九・〇%)、民生費(一二・三%)、総務費(九・八%)、公債費(九・六%)の順となっている。また、土木費、教育費及び民生費で全体の半分以上(五四・〇%)を占めている。
 これら項目の伸び率をみると、土木費が二・四%減(前年度六・二%増)、教育費が〇・五%増(同〇・九%増)、民生費が一・八%増(同八・二%増)、総務費が三・三%減(同八・一%増)、公債費が九・四%増(同七・一%増)となっており、土木費及び総務費が減少に転じる一方、公債費の伸び率は大きく上昇している。

 (二) 性質別歳出
 地方公共団体の経費は、その経済的性質によって、義務的経費、投資的経費及びその他の経費に大別することができる。
 歳出純計決算額の性質別内訳をみると、第5表のとおりである。
 義務的経費は、職員の給与等の人件費のほか、生活保護等の扶助費及び地方債の元利償還金等の公債費からなっており、人件費が全体の約三分の二を占めている。また、投資的経費は、道路、橋りょう、公園、公営住宅、学校の建設等に要する普通建設事業費のほか、災害復旧事業費及び失業対策事業費からなっており、普通建設事業費が大部分を占めている。
 決算額の伸び率をみると、義務的経費が四・二%増(前年度三・六%増)、投資的経費が四・四%減(同七・一%増)、その他の経費が〇・七%減(同六・四%増)となっており、義務的経費が増加する一方、投資的経費が減少に転じた。
 <義務的経費>
 義務的経費は、人件費、扶助費及び公債費からなっている。
 義務的経費の決算額は四十一兆六千四百四十六億円で、前年度と比べると四・二%増となっており、前年度の伸び率(三・六%増)を〇・六%ポイント上回っている。
 義務的経費の内訳をみると、人件費が二十六兆四千二百八億円で、義務的経費に占める割合は六三・四%(前年度六四・六%)、公債費が九兆四千四百十七億円で二二・七%(同二一・六%)、扶助費が五兆七千八百二十一億円で一三・九%(同一三・八%)となっており、近年は公債費及び扶助費の構成比が上昇する一方、人件費の構成比は低下している。
 <人件費>
 人件費は、職員給、地方公務員共済組合等負担金、退職金、委員等報酬、議員報酬手当等からなっている。その決算額は二十六兆四千二百八億円で、前年度と比べると二・三%増となり、前年度の伸び率(二・二%増)を〇・一%ポイント上回っているが、その伸び率は、平成五年度、平成七年度に次いで低い水準となっている。
 人件費の歳出総額に占める割合は二六・七%(前年度二六・一%)となり、昭和四十年度以降において最も高かった昭和五十年度(三六・九%)と比べると一〇・二%ポイント下回っている。
 人件費の内訳をみると、人件費の七割を超える割合(七五・二%)を占める職員給は、二・二%増(前年度一・九%増)となった。また、地方公務員共済組合等負担金は、三・八%増(同五・八%増)、退職金は三・二%増(同二・二%減)となった。
 さらに、人件費に充当された財源の内訳をみると、一般財源等が最も大きな割合(八三・五%)を占めており、以下、国庫支出金(一二・七%)、使用料・手数料(三・〇%)の順となっている。
 なお、地方公共団体の職員数(普通会計分)は、平成七年以降、三年連続して減少しており、平成九年四月一日現在の職員数は二百八十三万六千四百四十八人で、前年同期と比べると八千九百六人減(〇・三%減)となっている。
 <扶助費>
 扶助費は、社会保障制度の一環として、生活困窮者、児童、老人、心身障害者等を援助するために要する経費である。
 この扶助費の決算額は五兆七千八百二十一億円であり、前年度と比べると四・七%増(前年度五・三%増)となった。また、扶助費の歳出総額に占める割合は、平成三年度を底として、平成四年度以降、おおむね上昇傾向を示しており、平成八年度においても、前年度と比べると〇・二%ポイント上昇の五・八%となった。
 扶助費の目的別内訳は、児童福祉費が一兆六千五十五億円で最も大きな割合(扶助費総額の二七・八%)を占めており、以下、生活保護費の一兆五千五百七十三億円(二六・九%)、老人福祉費の一兆二千六百六十九億円(二一・九%)、社会福祉費の九千三百五十六億円(一六・二%)の順となっている。
 次に、扶助費のうち地方公共団体の単独施策分をみると、その額は一兆二百七十一億円で、前年度と比べると六・七%増となっており、その扶助費総額に対する割合も一七・八%と、前年度(一七・四%)より〇・四%ポイント上昇している。これを目的別にみると、老人福祉費が三千三百五十三億円で最も大きな割合(単独施策分総額の三二・六%)を占め、以下、社会福祉費の三千三百二十二億円(同三二・三%)、児童福祉費の二千七百九十二億円(同二七・二%)の順となっている。
 なお、扶助費に充当された財源の内訳をみると、生活保護費負担金及び児童保護費等負担金等の国庫支出金が二兆七千百五十一億円で、全体の四七・〇%(前年度四七・八%)と最も大きな割合を占めており、次いで一般財源等が二兆六千四百七十七億円で、四五・八%(同四四・九%)となっている。
 <公債費>
 公債費は、地方債元利償還金及び一時借入金利子の支払いに要する経費である。
 この公債費の決算額は九兆四千四百十七億円で、前年度と比べると九・六%増となり、前年度の伸び率(七・〇%増)を二・六%ポイント上回った。また、歳出総額に占める公債費の割合は、前年度と比べると〇・八%ポイント上昇の九・五%となった。
 公債費の内訳をみると、地方債元金償還金が五兆二千三十七億円で最も大きな割合(五五・一%)を占め、以下、地方債利子が四兆二千九十六億円(四四・六%)、一時借入金利子が二百八十五億円(〇・三%)となっている。これらの伸び率をみると、地方債元金償還金が一二・四%増(前年度六・七%増)、地方債利子が六・八%増(同八・二%増)となり、地方債元利償還金としては九・八%増(同七・四%増)となっている。一方、一時借入金利子は三三・四%減(同三七・一%減)と引き続き減少となっている。
 なお、公債費に充当された財源の内訳は、一般財源等が八兆六千三百二十億円で、全体の九一・四%(前年度九一・六%)とその大部分を占めており、使用料、手数料等の特定財源は八千九十七億円で、全体の八・六%(同八・四%)を占めている。
 <投資的経費>
 投資的経費は、道路・橋りょう、公園、学校、公営住宅の建設等、社会資本の整備に要する経費であり、普通建設事業費、災害復旧事業費及び失業対策事業費からなっている。
 投資的経費の決算額は三十兆七千百三十四億円で、前年度と比べると四・四%減と減少に転じた。また、歳出総額に占める割合は三一・〇%(都道府県三二・六%、市町村二九・六%)で、前年度と比べると一・五%ポイント低下(都道府県一・五%ポイント低下、市町村一・二%ポイント低下)となっている。
 投資的経費の内訳をみると、普通建設事業費が大きな割合(九七・四%)を占め、以下、災害復旧事業費(二・五%)、失業対策事業費(〇・一%)の順となっている。
 <普通建設事業費>
 普通建設事業費は、道路・橋りょう、学校、庁舎等、公共又は公用施設の新増設等の建設事業に要する経費である。
 この普通建設事業費の決算額は二十九兆九千六十七億円で、前年度と比べると三・九%減(前年度六・一%増)と減少に転じた。
 普通建設事業費の内訳は、単独事業費(五六・〇%)、補助事業費(三九・八%)、国直轄事業負担金(四・二%)の順となっている。また、その内訳の各費目の伸び率をみると、平成七年度に減税抜きでは総事業規模が過去最大の経済対策に伴う公共投資の追加により増加した補助事業費、単独事業費及び国直轄事業負担金は、それぞれ五・〇%減、二・一%減、一四・二%減と、すべて減少に転じた。
 さらに、補助事業費と単独事業費を比較すると、単独事業費の決算額は、昭和六十一年度は補助事業費の〇・八倍の規模であったが、昭和六十三年度に補助事業費の規模を上回って以降、平成八年度には一・四倍の規模にまで増加しており、普通建設事業費において単独事業費の比重は大きなものとなっている。
 普通建設事業費の目的別内訳をみると、第5図のとおりであり、土木費が最も大きな割合(五五・六%)を占め、以下、農林水産業費(一五・八%)、教育費(一〇・六%)の順となっている。さらに、これらの費目の内訳別に普通建設事業費に占める割合をみると、土木費のうちの道路橋りょう費(二二・三%)が最も大きく、以下、都市計画費(一六・〇%)、河川海岸費(九・二%)、農林水産業費のうちの農地費(八・三%)の順となっている。
 次に、補助事業費及び単独事業費の構成比をみると、土木費(単独事業費の構成比五三・七%)、教育費(同七七・一%)、衛生費(同六四・〇%)、民生費(同六五・四%)等においては、単独事業費の割合が補助事業費の割合を上回っているのに対し、農林水産業費では、単独事業費の割合よりも補助事業費の割合(補助事業費の構成比七〇・二%)が大きくなっている。また、主な費目をその内訳別にみると、第5図のとおりである。
 普通建設事業費に充当された主な財源の内訳をみると、地方債が四〇・七%と最も大きな割合を占め、以下、一般財源等が二九・八%、国庫支出金が二〇・五%等となっており、これを前年度と比べると、一般財源等は一・七%ポイント上昇する一方、地方債及び国庫支出金はそれぞれ一・四%ポイント、〇・一%ポイント低下している。
 また、補助事業費及び単独事業費に分けてみると、補助事業費については、国庫支出金が五一・四%、地方債が三二・四%、一般財源等が一〇・九%という構成比となっており、単独事業費については、地方債が四五・〇%、一般財源等が四三・一%という構成比となっている。
 また、普通建設事業費のうち、用地取得費の決算額は四兆九千百二十四億円で、経済対策の影響等から増加した前年度(九・六%増)と比べると一一・三%減と減少に転じた。これを団体種類別にみると、都道府県においては二兆七百八十七億円で一三・四%減、市町村においては二兆八千三百三十七億円で九・七%減となっており、都道府県、市町村ともに減少に転じた。
 さらに、これを補助事業費、単独事業費に分けてみると、補助事業費が一兆四千七百九十一億円で一九・二%減、単独事業費が三兆四千三百三十三億円で七・五%減と、ともに減少に転じている。
 <災害復旧事業費>
 災害復旧事業費は、暴風、洪水、地震その他異常な自然現象等の災害によって被災した施設を原形に復旧するために要する経費である。
 この災害復旧事業費の決算額は七千六百九十四億円で、阪神・淡路大震災に係る災害復旧事業が被災地において本格化したこと等から大幅に増加した前年度(五一・七%増)と比べると、二〇・一%減と大幅に減少している。
 災害復旧事業費の内訳をみると、補助事業費が六千四百十七億円で一八・九%減、単独事業費が一千百二十四億円で一八・八%減、国直轄事業負担金が百五十三億円で五四・六%減と、それぞれ大幅な減少となっている。
 また、目的別内訳の構成比をみると、道路、河川、海岸、港湾、漁港等の公共土木施設関係(五三・九%)と農地、農業用施設等の農林水産施設関係(一一・八%)で全体の六割を超える割合(六五・七%)を占めている。
 さらに、災害復旧事業費に充当された財源の内訳をみると、国庫支出金(六一・二%)と地方債(二八・七%)で全体の九割(九〇・〇%)を占めている。
 <失業対策事業費>
 失業対策事業費は、失業者に就業の機会を与えることを主な目的として、道路、河川、公園の整備等を行う事業に要する経費である。
 この失業対策事業費の決算額は三百七十三億円で、平成七年度に緊急失業対策法に基づく失業対策事業が減少したこと等から、前年度と比べると二七・〇%減(前年度一・一%増)となった。
 <その他の経費>
 その他の経費は、物件費、維持補修費、補助費等、積立金、投資及び出資金、貸付金、繰出金並びに前年度繰上充用金からなっている。
 その他の経費の決算額は二十六兆六千六百八十二億円で、前年度と比べると〇・七%減(前年度六・四%増)と減少に転じた。

五 財政構造の弾力性

 (一) 経常収支比率
 経常収支比率は、経常経費充当一般財源(人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費に充当された一般財源)が、経常一般財源(一般財源総額のうち地方税、普通交付税等のように毎年度経常的に収入される一般財源)に対し、どの程度の割合を占めているかを算出することにより、財政構造の弾力性を判断するものである。
 経常収支比率(特別区及び一部事務組合を除く加重平均)は、前年度と比べると〇・一%ポイント上昇の八四・八%と七年連続の上昇となり、また、昭和四十九年度以降では、昭和五十年度(八六・六%)に次ぐ水準となっている。なお、近年の経常収支比率の推移をみると、第6表のとおりである。
 また、減税措置に伴う個人住民税の減収等を補てんするために発行された減税補てん債の発行額を経常一般財源に加えた場合の経常収支比率は八二・三%となっており、前年度と比べると〇・一%ポイント低下している。
 次に、経常収支比率が七五%以上の団体数は、都道府県においては全体の九割以上を占める四十四団体(前年度四十三団体)、特別区及び一部事務組合を除く市町村においては、全体の七割以上を占める二千三百九十九団体(同二千九十団体)となるなど、各団体における財政構造の硬直化が進んでいる。

 (二) 公債費負担比率及び起債制限比率
 公債費は、義務的経費の中でも特に弾力性に乏しい経費であることから、財政構造の弾力性を判断する場合、その動向には常に留意する必要がある。
 公債費負担比率は、一般財源総額のうち、公債費充当一般財源(公債費に充当された一般財源)がどの程度の割合を占めているかを示した指標であり、公債費がどの程度一般財源の使途の自由度を制約しているかをみることにより、財政構造の弾力性を判断するものである。
 公債費負担比率(全団体の加重平均)は、前年度と比べると〇・七%ポイント上昇の一四・〇%となり、五年連続の上昇となった。
 また、その推移をみると、第6図のとおりであり、平成三年度(一〇・八%)を底として、その後上昇が続き、財政構造の硬直化が進んでいる状況にある。
 次に、公債費のうち交付税措置される経費等を除外して算出される起債制限比率(一部事務組合を除く加重平均)をみると、第7表のとおりであり、前年度と比べると〇・三%ポイント上昇の一〇・二%となっており、五年連続して上昇している。

六 将来にわたる財政負担

 <地方債現在高>
 平成八年度末における地方債現在高は百三兆二千九百十二億円で、前年度末と比べると十兆四千三百一億円増(一一・二%増)となっており、五年連続して二けたの伸びとなっている。また、標準財政規模に対する比率では、前年度と比べると一五・五%ポイント上昇の一九九・一%の水準にまで増大している。
 地方債現在高を目的別にみると、昭和五十二年度以降、増大傾向にある一般単独事業債が最も大きな割合(昭和五十五年度の一・八四倍の三九・七%)を占め、以下、一般公共事業債(一二・九%)、義務教育施設整備事業債(五・六%)、公営住宅建設事業債(四・七%)、減税補てん債(四・六%)等の順となっている。
 <債務負担行為額>
 債務負担行為に基づく翌年度以降支出予定額をみると、平成八年度末では十七兆二千百九十六億円であり、前年度末(十七兆四千六百七十億円)と比べると二千四百七十四億円減(一・四%減)となっている。
 <積立金現在高>
 平成八年度末における積立金現在高は十七兆七千五百二十六億円で、前年度末と比べると五千七百五十七億円減(三・一%減)となっており、最近の厳しい財政事情を反映し、四年連続して減少している。その内訳をみると、財政調整基金は一・七%増、減債基金は八・一%減、その他特定目的基金は二・四%減となっている。また、標準財政規模に対する比率は、前年度と比べると二・〇%ポイント低下の三四・二%となっている。
 <将来にわたる実質的な財政負担>
 地方債現在高に債務負担行為に基づく翌年度以降支出予定額を加え、積立金現在高を差し引いた地方公共団体の将来にわたる実質的な財政負担は百二兆七千五百八十二億円で、前年度末と比べると十兆七千五百八十三億円増(一一・七%増)となっており、五年連続して二けたの伸びとなっている。
 なお、標準財政規模に対する比率では、前年度と比べると一六・二%ポイント上昇の一九八・一%にまで増大しており、また、当該年度の名目国内総生産に対する割合では、前年度と比べると一・六%ポイント上昇の二〇・四%にまで増大している。
 <普通会計が負担すべき借入金残高>
 地方公共団体が将来にわたって負担すべき財政負担をみる場合、普通会計が負担すべき借入金という観点から、地方債現在高のほか、交付税及び譲与税配付金特別会計(以下「交付税特別会計」という。)が借り入れた借入金(地方負担分)及び地方公営企業において償還する企業債のうち、普通会計がその償還財源を負担するものについても併せて考慮する必要がある。
 以上のことから、普通会計が負担すべき借入金残高は、前年度末と比べると、十四兆三千三百二十三億円増の百三十九兆九百十六億円(一一・五%増)の規模に増大している。
 また、その内訳は、地方債現在高が百三兆二千九百十二億円、交付税特別会計借入金残高が十四兆三千五百二十九億円、企業債残高のうち普通会計が負担することとなるものが二十一兆四千四百七十五億円となっている。
 なお、この普通会計が負担すべき借入金残高の当該年度の標準財政規模に対する比率をみると、前年度と比べると二一・六%ポイント上昇の二六八・二%にまで増大しており、また、当該年度の名目国内総生産に対する割合でみると、二・一%ポイント上昇の二七・六%となっている。

七 市町村の規模別財政状況

 全国に三千二百三十二団体ある市町村(特別区及び一部事務組合を除く。)の財政構造等を団体規模別(大都市、中核市、中都市、小都市及び町村)に次のとおり分析することとする。
 <決算規模>
 市町村規模別に決算規模及び市町村合計額(大都市、中核市、中都市、小都市及び町村の単純合計額)に占める割合をみると、第7図のとおりである。
 <決算収支>
 実質収支は、すべての団体規模において黒字となっている。
 実質収支が赤字の団体数を団体規模別にみると、大都市が十二団体中一団体(前年度十二団体中一団体)、中核市が十二団体中該当団体なし、中都市が百九十六団体中三団体(同二百八団体中三団体)、小都市が四百四十八団体中五団体(同四百四十四団体中四団体)、町村が二千五百六十四団体中五団体(同二千五百六十八団体中四団体)となっている。
 また、赤字の団体の赤字額を団体規模別にみると、大都市は三十一億円減の四十五億円、中都市は六億円増の二十一億円、小都市は三億円減の十五億円、町村は九億円減の三十五億円の赤字となっている。
 <歳 入>
 歳入決算における主な項目の構成比をみると、地方税の構成比は、中都市(四七・四%)が最も高く、以下、中核市(四七・一%)、大都市(三八・六%)、小都市(三四・九%)、町村(二〇・四%)の順となっており、町村においては中都市の半分以下である。これに対し、地方公共団体の財源調整を目的とする地方交付税の構成比は、逆に町村(三三・二%)が最も高く、以下、小都市(一八・九%)、中核市(六・四%)、中都市(六・三%)、大都市(五・七%)の順になっている。この結果、一般財源の構成比は、大都市(四八・二%)を除くほかは、中核市(五七・二%)、中都市(五七・六%)、小都市(五七・六%)、町村(五七・一%)で、ほぼ同程度の割合となっている。
 また、国庫支出金(交通安全対策特別交付金を除く。)の構成比は、総じて規模が大きな団体ほど高くなっているが、都道府県支出金の構成比は、逆に規模が小さな団体ほど高くなっている。
 <歳 出>
 目的別歳出決算額における主な項目の構成比をみると、大都市、中核市及び中都市においては、土木費、民生費、教育費の順に構成比が大きくなっている。また、小都市においては、土木費、民生費、総務費の順に、町村においては総務費、民生費、土木費、農林水産業費の順に構成比が大きくなっている。
 性質別歳出決算額における主な項目の構成比をみると、大都市及び小都市においては、普通建設事業費、人件費、公債費の順に、中核市においては、普通建設事業費、人件費、扶助費の順に、中都市及び町村においては、普通建設事業費、人件費、物件費の順に構成比が大きくなっている。
 <財政構造の弾力性>
 経常収支比率についてみると、大都市(八七・〇%)が最も高く、中都市(八五・四%)、小都市(八四・三%)、中核市(八一・〇%)、町村(七七・七%)となっており、総じて規模が大きな団体ほど比率が高い傾向にある。
 公債費負担比率についてみると、大都市(一五・一%)が最も高く、以下、町村(一五・〇%)、中核市(一四・三%)、小都市(一四・一%)、中都市(一二・七%)の順となっている。
 起債制限比率についてみると、大都市(一二・八%)が最も高く、以下、中核市(一一・五%)、小都市(一〇・八%)、中都市(一〇・二%)、町村(九・四%)の順となっており、総じて規模が大きな団体ほど比率が高い傾向にある。
 <将来にわたる実質的な財政負担>
 将来にわたる実質的な財政負担について標準財政規模に対する比率をみると、大都市(二七五・八%)が最も高く、以下、中核市(一八五・一%)、中都市(一六六・一%)、小都市(一六〇・四%)、町村(一二四・三%)となり、規模が大きな団体ほど比率が高い傾向にある。
 また、団体規模別の分布状況をみると、大都市においては、標準財政規模に対する比率が二〇〇%以上の団体が、全体の八割を超える割合(八三・三%)を占めている。

<第二部> 最近の地方財政の状況と課題

 平成八年度の地方財政の状況は、一般財源においては、地方税を中心に二年連続して増加したものの、歳入総額に占める割合は依然低い水準で推移し、地方債においては、減税による減収及び通常収支の不足の財源とされたこと等から、歳入総額に占める割合(地方債依存度)が依然高い水準で推移している。
 また、地方財政が負うべき将来にわたる実質的な財政負担についてみると、地方債現在高が五年連続して二けたの伸びとなる一方、積立金現在高が四年連続して減少した結果、その規模は平成八年度末では標準財政規模の約二倍である百二兆円を超えるまで増大している。同様に、普通会計が負担すべき借入金残高も、平成八年度末では約百三十九兆円の規模となっており、平成十年度末には約百五十六兆円の規模にまで増大する見込みである。
 さらに、財政構造の弾力性の状況をみても、経常収支比率、公債費負担比率等の上昇が続いており、地方財政の財政構造は硬直化が進んでいる状況にあることがわかる。
 このように、地方財政は現在厳しい状況に直面しているが、今後も過去に発行した地方債の元利償還金が増嵩(ぞうこう)していくことが見込まれる一方で、地方分権の推進に当たって、地方公共団体は、地域における行政を自主的かつ総合的に広く担うことが求められており、高齢社会に向けた介護保険の導入をはじめとする総合的な地域社会福祉の充実、住民に身近な社会資本の整備や、災害に強い安全なまちづくり等の地域における重要政策課題を積極的に推進していくうえでも、地方公共団体の担うべき役割とこれに伴う財政需要は、ますます増大するものと見込まれている。
 したがって、地方財政においては、厳しい財政状況の中、これら増大する地方公共団体の役割と財政需要にこたえるため、地方財政の置かれている厳しい状況及び今後の地方行政の役割を十分認識したうえで、地方財政の健全化と地方分権の推進に応じた行財政基盤の整備を図りつつ、二十一世紀に向けた活力ある豊かな地域社会に努めることが喫緊の課題となっている。

 (一) 財政構造改革に即応した地方財政の健全化と行政改革の徹底
 少子・高齢化の進展、生産年齢人口の減少、キャッチアップ経済の終えん、大競争時代の到来など、我が国の財政を取り巻く環境は大きく変容している。そのような中、国及び地方の財政は危機的状況に陥っており、現在の財政構造を放置し、財政赤字のさらなる拡大を招けば、我が国の経済及び国民生活が破綻することは必至の状況にある。
 このため、かかる事態を回避し、安心で豊かな福祉社会及び健全で活力ある経済を実現するためには、経済構造改革を進めつつ、財政構造を改革し、財政の再建を果たすことが喫緊の課題となっており、平成九年六月三日には「財政構造改革の推進について」が閣議決定され、十二月五日には、財政構造改革の推進に関する国の責務及び財政構造改革の当面の目標等を定めた「財政構造改革の推進に関する特別措置法」(財政構造改革法)が成立した。
 地方財政においては、「財政構造改革法」で定められた、平成十五年度までに国及び地方の財政赤字対GDP比を三%以下とすること等の目標を達成するため、国・地方双方の歳出抑制につながる施策の見直し等により、地方一般歳出の抑制を図り、交付税特別会計借入金や財源対策債等の特例的な借入金を圧縮していく必要がある。
 以上のように、地方財政は財政構造改革に即応した財政健全化への取組を強化することが求められているが、地方公共団体においては、これに並行して、徹底した行政改革を推進し、地方分権の時代にふさわしい簡素で効率的なシステムを確立するとともに、住民ニーズの多様化に対応したサービスの向上と、個性豊かな地域づくりを進めていくことが重要である。
 地方公共団体の行政改革については、最近における極めて厳しい行財政状況と社会経済情勢の変化を踏まえて、平成九年十一月、「地方自治・新時代に対応した行政改革推進のための指針」(事務次官通知)が示されたところであるが、地方公共団体においては、この新しい指針に沿って、住民の理解と協力の下、独自の工夫を講じながら、行財政運営全般にわたる改革を積極的かつ主体的に進めていくことが求められている。
 以上に加えて、一部地方公共団体において問題となっている旅費、食糧費等の需用費等の不適正な執行については、「地方公共団体の行政運営及び予算執行の適正化について」(平成七年八月十五日付自治事務次官通知)等において、簡素かつ公正を旨とした行政運営と法規に則った適正な予算執行に一層努めるよう要請されている。
 このような不正経理は、住民の不信を招き、行政の信頼を損なうものであるので、各地方公共団体においては、経費支出の点検や必要な改善措置を実施し、適正かつ厳正な予算執行に努めなくてはならない。

 (二) 地方分権と行財政基盤整備の推進
 地方分権推進委員会において四次にわたる勧告が出され、機関委任事務制度の廃止、国と地方公共団体の関係についての新たなルール、都道府県と市町村の新しい関係、国庫補助負担金の整理・合理化と地方税財源の充実確保、権限委譲の推進等、地方分権を進めるための具体的指針の全体像が示されている。
 また、政府においては、この地方分権推進委員会の勧告を最大限尊重し、地方分権推進法に定める基本方針に即して、平成十年の通常国会が終了するまでのできるだけ早い時期に地方分権推進計画を作成し、地方分権を総合的かつ計画的に推進することとしている。
 以上のような動向を受け、各地方公共団体においては、地方分権の推進に応じた行財政基盤の整備が求められている。

 (三) 二十一世紀に向けた活力ある豊かな地域社会づくり
 地域の総合的な行政主体である地方公共団体が、厳しい財政状況の中、我が国が直面している少子・高齢化の進展、経済構造の変化等、様々な分野における構造的な変化に積極的に対応していくためには、地方財政の健全化と行政改革の徹底、地方分権とそれに対応した行財政基盤の整備を図りつつ、個性豊かで魅力あるふるさとづくり、健やかで生きがいのあるまちづくり、あすを拓く活力ある地域づくり等の政策課題を推進し、二十一世紀に向けた活力ある豊かな地域社会づくりを進めていく必要がある。

 (四) 公共事業・地方単独事業による社会資本の計画的な整備
 社会資本は、公的主体・民間主体双方の努力によって着実に整備が進められ、その整備水準は近年向上してきている。特に、我が国の公共投資は、他の先進国と比べて高い水準にあり、社会資本の整備水準の向上に大きく貢献してきた。しかしながら、なお立ち遅れている部門も残されており、それが経済力に見合った豊かさが実感されない要因の一つとなっているところであり、一層の社会資本の充実が求められている。
 一方、本格的な少子・高齢社会の到来を間近に控え、国民が真に豊かさを実感できる社会を実現するためには、人口構成の高齢化が進んでおらず、経済に活力のある現在のうちに、後世代に負担を残さないような財源の確保を前提として、社会資本の整備を促進していくことが必要とされている。
 以上の観点から、地方公共団体においては、住民に身近な社会資本の整備を進め、地域社会の振興や雇用の安定を図りつつ、その地域の特性を活かした魅力ある地域社会の形成を進めてきた。今後も、公共投資基本計画等において下水道、都市公園、廃棄物処理施設等の直接に国民生活の質の向上に結びつく社会資本を重点的に整備することが求められており、住民生活に密接に関連した社会資本整備の主体である地方公共団体の果たす役割は、ますます大きくなるものと考えられる。

 (五) 地方公営企業の経営基盤の強化等
 地方公営企業は住民生活に身近な社会資本を整備し、必要なサービスを提供する役割を果たしてきたが、将来にわたってその本来の目的である公共の福祉を増進していくためには、規制緩和の進展、地方分権及び財政構造改革の推進等、地方公営企業を取り巻く環境の変化に適切に対応し、経営基盤の一層の強化を図る必要がある。





















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消費者物価指数の動向


―東京都区部(三月中旬速報値)・全国(二月)―


総 務 庁


◇三月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況
(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇二・一となり、前月比は〇・四%の上昇。前年同月比は十二月一・八%の上昇、一月二・〇%の上昇、二月二・〇%の上昇と推移した後、三月は二・三%の上昇となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇一・七となり、前月比は〇・二%の上昇。前年同月比は十二月二・二%の上昇、一月一・九%の上昇、二月一・七%の上昇と推移した後、三月は一・七%の上昇となった。
二 前月からの動き
(1) 食料は一〇三・三となり、前月に比べ〇・六%の上昇。
  生鮮魚介は三・七%の上昇。
   <値上がり>いか、いわしなど
   <値下がり>ぶり、かきなど
  生鮮野菜は一・四%の上昇。
   <値上がり>キャベツ、だいこんなど
   <値下がり>ほうれんそう、えのきだけなど
  生鮮果物は一〇・六%の上昇。
   <値上がり>いちご、みかんなど
   <値下がり>グレープフルーツ、オレンジなど
  外食は〇・六%の下落。
   <値下がり>ハンバーガーなど
(2) 被服及び履物は一〇二・四となり、前月に比べ二・八%の上昇。
  衣料は五・八%の上昇。
   <値上がり>スカート(合物)など
三 前年同月との比較
○上昇した主な項目
 生鮮野菜(三〇・七%上昇)、保健医療サービス(二四・九%上昇)、家賃(〇・九%上昇)、衣料(五・五%上昇)
○下落した主な項目
 (特になし)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。
四 季節調整済指数
 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇二・三となり、前月に比べ〇・二%の上昇となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇一・九となり、前月に比べ〇・一%の下落となった。

◇二月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況
(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇二・〇となり、前月比は〇・一%の下落。前年同月比は十一月二・一%の上昇、十二月一・八%の上昇、一月一・八%の上昇と推移した後、二月は一・九%の上昇となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇一・八となり、前月比は〇・三%の下落。前年同月比は十一月二・二%の上昇、十二月二・二%の上昇、一月二・〇%の上昇と推移した後、二月は一・八%の上昇となった。
二 前月からの動き
(1) 食料は一〇二・五となり、前月に比べ〇・五%の上昇。
  生鮮魚介は一・六%の下落。
   <値上がり>えび、いかなど
   <値下がり>かき、かれいなど
  生鮮野菜は四・四%の上昇。
   <値上がり>レタス、キャベツなど
   <値下がり>きゅうり、えのきだけなど
  生鮮果物は七・二%の上昇。
   <値上がり>いちご、みかんなど
   <値下がり>りんご(ふじ)、グレープフルーツなど
(2) 光熱・水道は一〇二・九となり、前月に比べ一・八%の下落。
  電気・ガス代は二・五%の下落。
   <値下がり>電気代
(3) 家具・家事用品は九五・九となり、前月に比べ〇・二%の下落。
  家庭用耐久財は〇・六%の下落。
   <値下がり>電気冷蔵庫など
(4) 被服及び履物は九八・七となり、前月に比べ一・九%の下落。
  衣料は二・九%の下落。
   <値下がり>婦人オーバーなど
(5) 交通・通信は九八・二となり、前月に比べ〇・六%の下落。
  通信は二・五%の下落。
   <値下がり>通話料など
三 前年同月との比較
○上昇した主な項目
 保健医療サービス(二四・四%上昇)、生鮮野菜(一八・一%上昇)、家賃(一・三%上昇)、外食(二・九%上昇)
○下落した主な項目
 生鮮果物(一五・六%下落)、自動車等関係費(一・八%下落)、穀類(二・三%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。
四 季節調整済指数
 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇二・五となり、前月に比べ〇・一%の上昇となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇二・四となり、前月に比べ〇・二%の下落となった。







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税金365日


契約書や領収書と印紙税


国 税 庁


 私たちは、日常の生活や毎日の仕事の中で、いろいろな文書を作成したり、受け取ったりします。
 このような文書の中には、売上代金等を受け取ったときに渡す領収書、お金を借りるときの借用証書、土地や建物の売買契約書など、印紙税がかかるものがあります。
 そこで、印紙税のあらましについて説明します。
 また、印紙税がかかる文書のうち、特定の文書については、平成九年四月一日から印紙税の軽減措置が講じられ、税率が引き下げられたものがありますので、その概要についても併せて説明します。

【印紙税がかかる文書など】

 印紙税がかかる文書には、領収書、金銭借用証書、不動産売買契約書のほかに、請負契約書、手形、預金通帳などがあり、これらを含め印紙税法では二十種類の文書が課税文書として掲げられています。
 印紙税がかかるかどうかは、文書の標題や名称のみによって判定するのではなく、その内容によって判定します。
 また、印紙税額は、預金証書や預金通帳などのように一通又は一冊ごとに一定の税額が定められている場合と、売上代金の受取書(領収書)や不動産売買契約書などのようにその文書に記載されている金額(記載金額)に応じて税額が異なる場合とがあります。
 なお、消費税の課税事業者が作成する建物等の売買契約書、運送契約書、請負契約書、領収書に契約金額や領収金額と消費税及び地方消費税の具体的な金額が区分して記載されているときは、その消費税等相当額を除いた金額が記載金額になります。
 例えば、請負契約書に請負金額一千万円とこれに対する消費税及び地方消費税相当額五十万円とが区分して記載されているときは、その請負契約書の記載金額は一千万円となり、印紙税額は一万円となります。

【間違いやすい例】

 次のような場合は、間違いやすいので注意してください。
 @ 請求書やお買上げ票などに「代済」、「相済」、「了」などと書いたものや、レジスターから打ち出されるレシートなどは、請求金額や売上代金を受け取ったという事実を証明するものですから受取書になり、印紙税がかかります。
 A 後で正式な領収書を発行することになっている仮領収書も、金銭などを受け取ったという事実を証明するものですから、受取書として印紙税がかかります。
 B 一つの契約について、契約書を何通も作成する場合がありますが、この場合には、その全部に収入印紙をはらなければなりません。また、「写」、「副本」、「謄本」などと表示した契約書であっても、相手方の署名又は押印のあるものや契約当事者が正本と相違ないことを証明したものは、正本と同じように収入印紙をはらなければなりません。
 C 覚書、念書、差入書のように、契約の成立や変更などを証明するために作成される文書は、印紙税法上の契約書に含まれますから、その内容によっては収入印紙をはらなければなりません。
 D 金銭などの受取書であっても、記載されている金額が三万円未満のものやサラリーマンが日常生活で作成するものなどのような営業に関しないものには、印紙税はかかりません。

【軽減措置の概要】

 平成九年度の税制改正により、印紙税がかかる契約書の一部について、印紙税の軽減措置が講じられました。
 軽減措置の対象となる契約書は、不動産の譲渡に関する契約書及び請負に関する契約書(建設業法第二条に規定する建設工事の請負に係る契約に基づき作成されるものに限られます。)のうち、これらの契約書に記載された契約金額が一千万円を超えるもので、平成九年四月一日から平成十一年三月三十一日までの間に作成されるものです。この場合、これら契約書の税率は、上表の「軽減税率」欄の金額となります。
 なお、これらの契約書に該当するものであれば、その文書の名称は問わず、また、土地・建物の売買や建設請負の当初に作成される契約書のほか、売買金額の変更や工事請負内容の追加等の際に作成される変更契約書や補充契約書等についても軽減措置の対象となります。
 (注) これらの契約書に記載された契約金額が一千万円以下のもの、又はこれらの契約に基づく権利の行使が平成九年四月一日以後のものであっても、平成九年三月三十一日以前に作成されたものについては、軽減措置の対象となりません。

【印紙税はどのようにして納めるのか】

 印紙税の納付は、通常、印紙税のかかる文書を作成した人が、定められた印紙税額に相当する金額の収入印紙をその文書にはり付け、文書と収入印紙の両方にかかるように消印する方法によって納めます。
 消印は、普通、文書を作成した人が押印か署名する方法によりますが、代理人、使用人、従業員が自分で押印か署名してよいことになっています。また、二人以上の人が共同して作成する文書には、そのうちの一人が消印するだけでも差し支えありません。

【印紙税を納めなかったときは】

 収入印紙をはらなければならない文書に収入印紙をはらなかったときや、収入印紙をはっていても納付すべき印紙税の額よりも少ない額の収入印紙しかはっていないときには、はらなかったり不足したりしている印紙税額の三倍に相当する額の過怠税がかかります(収入印紙をはっていなかったり、額が不足していることを自主的に申し出たときは、一・一倍に軽減されます。)。
 なお、過怠税は、所得税法上の必要経費や法人税法上の損金となりませんので、注意する必要があります。

【収入印紙を誤ってはったときは】

 軽減税率が適用される契約書に、軽減税率による金額を超えて収入印紙をはってしまった場合のように、印紙税として定められた金額以上の収入印紙をはってしまった場合、又は印紙税のかからない文書に印紙税がかかると思って収入印紙をはってしまった場合は、その文書を税務署に提示して、還付請求の手続を行えば、誤って納めた印紙税額の還付を受けることができます。

【分からないときは】

 文書を作成するときに、印紙税がかかるものかどうか、軽減措置の対象となる契約書に該当するかどうか、還付を受けるための手続、税額がいくらになるかなど、印紙税全般について、お分かりにならない点がありましたら、お気軽に最寄りの税務相談室や税務署へお尋ねください。
 また、印紙税のかかる文書の種類や税額などの一覧表や簡単な手引を税務署に備え付けてありますので、どうぞご利用ください。



 
    <5月27日号の主な予定>
 
 ▽外交白書のあらまし………………外 務 省 

 ▽労働力調査…………………………総 務 庁 
 



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