官報資料版 平成1024




                 ▽ 男女共同参画の現状と施策のあらまし……………………総 理 府

                 ▽ 労働力調査(七月結果の概要)……………………………総 務 庁

                 ▽ 平成十年一〜六月期平均家計収支…………………………総 務 庁










男女共同参画の現状と施策のあらまし


総 理 府


 男女共同参画推進本部(本部長 内閣総理大臣)は、平成八年十二月、「男女共同参画二〇〇〇年プラン―男女共同参画社会の形成の促進に関する平成十二年(西暦二〇〇〇年)度までの国内行動計画―」(以下「プラン」という)を決定し、その着実な推進に努めているところであるが、総理府は、男女共同参画推進本部構成省庁の協力を得て、プランに関する二回目の報告書である「男女共同参画の現状と施策」(いわゆる「男女共同参画白書」)を取りまとめ、七月十七日に公表した。
 本書は、国内行動計画の報告書としては通算十一回目の報告書となる。
 第一部現状編においては、我が国の男女共同参画の状況について、可能なものは都道府県別の状況を盛り込んだ。第二部施策編においては、平成八年十二月以降十年三月までの状況を中心とした施策をプランに掲げる目標におおむね沿ってまとめた。
 本報告書は、我が国における男女共同参画の現状と施策の進捗状況を明らかにすることによって、プランの推進状況のフォローアップに役立てようとするものである。
 報告書の概要は、以下のとおりである。

<第1部> 現 状

<第1章> 政策・方針決定過程への女性の参画

1 国の政策・方針決定過程への女性の参画
<女性の参画状況の国際比較>
 UNDP(国連開発計画)が開発した人間開発に関する指標について我が国の順位付けをみると、基本的な人間の能力が平均どこまで伸びたかを測る指標(人間開発指数:HDI(Human Development Index))では世界第七位、HDIと同じく基本的能力の達成度を測定した指標であって、女性と男性の間でみられる達成度の不平等に着目した指標(ジェンダー開発指数:GDI(Gender‐Related Development Index))については第十二位となっている。しかし、女性が積極的に経済界や政治生活に参加し、意思決定に参加することができるかどうかを測る指標(ジェンダー・エンパワーメント測定:GEM(Gender Empowerment Measure))については、第三十四位まで後退する(第1図参照)。
 GEMの構成要素である、行政職・管理職に占める女性の割合及び国会議員に占める女性の割合について、GEM上位五十国の状況をみると、GEMの順位で我が国よりも後位であったマレーシア、ドミニカ共和国、ジンバブエ等の国々も、我が国を上回っている。

2 地方公共団体の政策・方針決定過程への女性の参画
<都道府県により差が大きい審議会等委員に占める女性の割合>
 地方自治法第二百二条の三第四項に基づく審議会等及び同法第百八十条の五に基づく委員会等について、委員総数に占める女性の割合は、全体としては増加傾向にある。しかし、都道府県別にみると、審議会等委員二四・八%、委員会等委員一五・六%と高い沖縄県(平成十年三月三十一日現在)などもある一方、一〇%にも満たないところもあるなど、差は大きくなっている(第2図参照)。
<女性地方公務員の状況>
 全地方公共団体の地方公務員全体に占める女性の割合は、三五・一%であり、増加傾向にある(平成五年四月一日現在)。
 管理職(課長級以上)に占める女性の割合は、都道府県によって差が見受けられる(第3図参照)。

3 政策・方針決定過程への女性の参画をめぐる意識
<五割以上が政策に女性の意見が反映されていない>
 国や地方自治体の政策に女性の意見が反映されている程度について聞いたところ(世論調査)、女性の意見が反映されていないとする者の割合は国の方が高く、女性の意見の反映という観点からは、国の政策に対して、より不十分であると考えている者が多いということができる。しかし、国、地方自治体ともに反映されていないと答えた者の割合は、五割を超えている。
<望まれる議会への女性参加>
 今後どのような分野で女性の社会参加を進めていく必要があるかと聞いたところ(世論調査)、「都道府県議会、市区町村議会」を挙げた者の割合が最も高く、以下「国会」、「弁護士・医師などの専門的職業」、「都道府県庁、市区町村の役所・役場」と続いている。
<二人に一人が「男性優位の組織運営」が阻害要因>
 政策・方針決定過程に女性が進出していない理由としては、女性・男性ともに「男性優位の組織運営」を挙げた者の割合が五割を超え最も高くなっており、「家族、職場、地域における性別役割分担、性差別の意識」を理由として挙げた者が続いている。
<家庭責任との両立も難しい>
 地方議会議員、自治体管理職、女性団体の代表層に対し、活動する上で個人的に困難と感じることの有無を聞いたところ、全体では三八・〇%の者が活動上の困難は特にないとしている一方で、「家事・育児の負担が大きい」とする者が二〇・七%、「老親介護の責任がある」とする者が一七・五%と、家庭責任との両立の難しさを挙げる者の割合もおよそ二割あることが注目される。
<ポジティブ・アクションの導入に期待>
 ポジティブ・アクション(過去における社会的・構造的な差別によって、現在不利益を被っている集団(女性や人種的マイノリティー)に対して、一定の範囲で特別な機会を提供すること等により、実質的な機会均等を実現することを目的として講じる暫定的な措置)を導入することについての考え方を聞いたところ、男女とも賛成とする者の割合が五割を超えている。

<第2章> 職場、家庭、地域への男女の共同参画

1 就業の分野における男女の共同参画
○女性労働力をめぐる状況
<高まる女性の労働力率>
 我が国の女性の労働力人口は、昭和五十年以降年々増加しており、女性の労働力率(十五歳以上人口に占める労働力人口の割合)は、四九・一%に達した(平成七年国勢調査報告)。
 女性雇用者数も年々増加し、平成九年には二千百二十七万人、雇用者全体に占める割合は三九・五%となった(平成九年労働力調査報告)。
<都道府県で異なるM字カーブ>
 女性の年齢別労働力率をグラフ化すると、労働力率は二十歳代に一度ピークを迎え、その後逓減した後反転し、四十歳代に二度目のピークを迎え、いわゆるM字カーブを描く。
 都道府県別に女性の年齢別労働力率のグラフを描くと、基本的にはM字カーブを描いているものの、M字の形状はかなり異なっている(第4図参照)。
 そこで、M字カーブにおける労働力率の落ち込みの程度を都道府県間で比較するために、各都道府県の二十〜四十歳代の女性労働力率のピーク二点を補助線で結び、当該年齢階層において補助線と囲まれた部分の面積(第5図(注)ではABCD)に占めるM字カーブのくぼみ部分の面積(M字がくぼんだ部分と補助線によって囲まれる部分の面積)(第5図(注)ではa)の割合(以下「M字度」と略する)を試算する(第5図参照)。
 「M字度」は、ある一時点における年齢別労働力率から導き出されており、出産・育児期に当たると考えられる女性の労働力率が、それ以前とそれ以後の女性の労働力率と比べて、どの程度低いものになっているかを示そうとするものである。
 M字度が低い県は、三世代同居率が高い傾向があり、出産・育児期に当たると考えられる年齢層の女性の育児に対する家族の支援が得られやすい環境が存在しているとも考えられる。
 また、保育所定員・利用児童数が多い都道府県ほどM字度は低くなっている。
<農山漁村の女性>
 農林水産業に従事する女性の数は、農業については二百二十二万七千人、全就業人口の五六・七%と、六割近くを女性が占めており、林業については一万四千人(全就業人口の一六・六%)、漁業については五万二千人(全就業人口の一八・一%)となっている。
 地域の生産等に関する政策・方針決定過程への女性の参画状況について、平成八年における農業委員に占める女性の割合は〇・七%(平成七年〇・三%)、農協正組合員に占める女性の割合は一三・三%(平成七年一三・〇%)と、少しずつではあるが増加している。
 都道府県別に女性の参画状況をみると、格差があり、農協正組合員については山口県(二七・〇%)、高知県(二三・五%)、広島県(二三・〇%)等で比較的女性の割合が高くなっている。
 農業委員については、長野県(四・七%)、東京都(三・四%)、鹿児島県(二・〇%)、沖縄県(一・八%)、大阪府(一・二%)が一・〇%を超えているものの、女性の割合が一・〇%を下回る県がほとんどである。

2 男女の家庭・地域生活
<誰と一緒に過ごしたか>
 一日の生活活動の際に、誰と一緒だったかを性・職業の有無別に二十五〜二十九歳、四十五〜四十九歳、六十五歳以上と三つの年齢階層別にみると、誰と一緒に過ごすかは、年齢階層によってかなり変化していることがわかる。
○家族をめぐる状況
<進む晩婚化>
 「結婚は個人の自由であるから、人は結婚してもしなくてもどちらでもよい」という考え方については、「賛成」、「どちらかといえば賛成」とする者を合わせた割合は七割を超えている。
 結婚に対する考え方は柔軟になっている中で、平均初婚年齢は、男女とも近年上昇傾向にある。
 女性の晩婚化の理由は、「仕事をもつ女性が増えて、女性の経済力が向上した」とする者の割合が七割近くと最も高く、次いで「独身生活の方が自由である」が五割を上回っている。男性の晩婚化の理由は、「独身生活の方が自由である」とする者の割合が高く、六割近くを占めている。
<結婚で大きく変わる女性の生活時間>
 女性と男性について、それぞれ未婚と既婚で生活時間がどう変化するかをみると、女性については、結婚後、仕事等の時間が減少するものの、家事等の時間が著しく増加することによって、結果的に仕事、家事など、社会生活を営む上で義務的な性格の強い「二次活動」時間が増加し、大きく生活時間が変わっていることがわかる(第6図参照)。
○男女の家庭生活への参画
<男は仕事、女は仕事も家事も>
 「女性は仕事をもつのはよいが、家事・育児はきちんとすべきである」という意識は、男女に共通してみられ、平成四年に行った同内容の調査結果と比較しても、むしろ強くなっている。
 このような男女双方の意識は、「男は仕事、女は仕事も家庭も」という新たな男女の性別役割分業として、特に働く女性に対する負担になってきているものと考えられる(第7図参照)。
<変わらない夫婦の生活時間>
 夫婦の生活時間を、共働き世帯(妻も夫も有業者の世帯)と専業主婦のいる世帯(妻が無業で夫が有業者の世帯)で比較したところ、専業主婦のいる世帯の夫の方がわずかながら家事時間が長く、また、共働き世帯の妻は、二次活動時間が最も長くなっている。
 男性の平成八年の生活時間を昭和六十一年と比較すると、仕事・通勤等の時間が短縮されたことによる時間は、家事等よりも、一次活動や三次活動のための時間へ振り向けられており、結果として、二次活動の中の仕事等と家事等の男女の担い方には、ほとんど変化がみられなくなっている。
<男性が家事、子育て、教育等に参加をするために必要なこと>
 男性が育児や家事、教育などに参加するために必要なこととしては、個別の夫婦がそれぞれの役割分担について、話し合って決定する機会を持つことの重要性はもちろんのこと、社会全体の通念や慣習等の変化が、個々の家庭の役割分担の決定に与える影響を肯定する者の割合が高くなっている。
<進む高齢化>
 平成九年十月一日現在、我が国の総人口は一億二千六百十七万人であり、うち六十五歳以上の高齢者人口は一千九百七十六万人で、総人口に占める高齢者人口の割合(高齢化率)は一五・七%となっている。
 都道府県別に高齢化率をみると、島根県(女性二六・四%、男性一九・四%)が最も高く、次いで、高知県(女性二四・九%、男性一八・四%)、秋田県(女性二四・〇%、男性一八・一%)、山形県(女性二四・三%、男性一七・八%)等となっている。
<高齢者世帯の状況>
 高齢者世帯(男性六十五歳以上、女性六十歳以上の者のみで構成するか、又はこれらに十八歳未満の未婚の者が加わった世帯)の割合を都道府県別にみると、概して西日本で高くなっている。
<親や配偶者の介護について>
 親や配偶者が介護を必要とする状態になったときは誰が介護をするべきと考えるかについて、高齢者層は、家族・親族が面倒をみるべきとする割合が高く、地域別にみると、東北、中国地方などで、家族・親族等が面倒をみるべきと考える割合が比較的高い。
<介護にかかる時間>
 十五歳以上の人のうち、「ふだん家族を介護・看護している人」は約三百七十万人(十五歳以上人口に占める割合は三・六%)で、女性が約二百三十五万人(同四・四%)、男性が約百三十五万人(同二・七%)となっている。また、このうち「六十五歳以上の家族を介護・看護している人」の数は、約二百八十六万人にも上っている。
 女性は、全般的に、男性よりも介護・看護を行った時間が長くなっている。
○男女の地域社会への参画
<都道府県別にみた社会的活動への参加状況>
 過去一年間に社会的活動を行った人の割合(行動者率)についてみると、女性の行動者率の高いところは、男性の行動者率も高いという傾向がある。
<地域社会での政策・方針決定過程への女性の参画>
 地域社会において活動を行う団体における政策・方針決定過程への女性の参画状況についてみると、女性の割合は団体の種類によって大きく異なり、会長職については、子供会においては四割を超えているが、自治会や商業関係団体では、低い割合にとどまっている。

<第3章> 女性の人権

1 女性に対する暴力
<女性に関する事柄で人権上問題があると思われること>
 女性に関する事柄で人権上問題があると思われることの第一は「職場における差別待遇」で、次いで「職場におけるセクシュアル・ハラスメント(性的いやがらせ)」、「男女の固定的な役割分担意識(「男は仕事、女は家庭」など)を他の人に押しつけること」、「売春・買春(いわゆる「援助交際」を含む)」等となっている。
<強姦、強制わいせつの状況>
 平成九年中の認知件数、検挙件数、検挙人員は、強姦、強制わいせつともに前年に比べ増加した。
<性犯罪の実態>
 強姦事件が発生した時間帯としては、夜八時から明け方四時までの八時間で半数以上となっており、発生場所については、住宅が最も多く、次いで道路上となっている。
 強制わいせつ事件が発生した時間帯については、正午から午後八時までの八時間で半数以上となっており、発生場所については、道路上が最も多く、次いで住宅となっている。
<売買春に対する感じ方>
 売春やその相手方になることについては、成人同士の場合に比べ、一方の当事者が未成年の場合について許せないとする者の割合が高く、容認する者の割合が低くなっている。
 当事者間に合意があれば、よくないことだがやむをえないとする者と、なんらとがめることはないとする者(売買春容認派)について、年齢階層別にみると、特に成人同士の場合は、男性の半数以上が売買春容認派である。また、二十代と三十代の男性をみると、二割以上の人が一方の当事者が未成年の場合でも売買春を容認すると答えている(第8図参照)。
<いわゆる「ストーカー」をめぐる現状>
 同じ人につきまとったり、執拗に電話をかけたりといった「悪質なつきまといをする人」(いわゆる「ストーカー」)について、過去に自分が悪質なつきまといにあったことがあると答えた人は少ないものの、約半数の人が何らかの形で認知している。
 この問題については、男女とも年齢が低いほど、実際に経験した者や、経験した者を見聞きした者の割合が増えているのが特徴となっている。

2 メディアにおける女性の人権
<目立つ行き過ぎた表現>
 メディアにおける性・暴力表現に対する考え方としては、「女性の性的側面を過度に強調するなど、行き過ぎた表現が目立つ」とする者の割合が高く、五割を超えている。
○インターネットをめぐる状況
<インターネット上の有害情報>
 インターネットを利用して有害映像を提供している者の中には、成人を被写体としている映像を提供しているもののみならず、いわゆるチャイルド・ポルノを提供しているものもみられる。

3 生涯を通じた女性の健康
<東北等で高い健康診断受診率>
 健康診断受診率は、女性が五〇・七%、男性が六一・五%と男性が高くなっている。これを都道府県別にみると、東北等で比較的受診率が高くなっている。
<母子関係指標の状況>
 平成九年の乳児死亡率は三・七(出生千対)、新生児死亡率は一・九(出生千対)、周産期死亡率は六・四(出産千対)となっている(ただし、概数による率である)。また、八年の妊産婦死亡率は五・八(出産十万対)となっている。乳児死亡率、周産期死亡率等の母子関係指標は、母体の健康状態や養育条件等の影響を強く受けるが、いずれも低下傾向にある。

4 男女共同参画を推進する教育・学習
<専攻分野に男女の差>
 女性の四年制大学指向は強まっているものの、大学(学部)等における専攻分野は、男女間に違いのあることが指摘されている。女子学生の専攻分野の特徴は、研究者の専攻分野にも反映されており、大学等における研究本務者を専門別にみると、女性の比率の高い分野は医学・歯学以外の保健(薬学・看護学等)、教育・家政等のその他の分野、人文科学等である。
<女性教員の割合>
 女性教員の割合は、小学校では六割を占めているが、中学校、高等学校と段階が上がるにつれて、顕著に少なくなっている。また、校長・教頭に占める女性の割合は、教諭に比べて全般的に低い。
 都道府県別に、小学校の校長に占める女性の割合をみると、都道府県によって差が大きくなっている。
 高等教育機関でも、女性教員の割合は短期大学で四割となっているが、大学では一割をやや上回る程度であり、特に学長、副学長に占める女性の割合は低くなっている。

<第2部> 施策の推進

<第1章> 男女共同参画を推進する社会システムの構築

1 政策・方針決定過程への女性の参画の拡大
 男女共同参画推進本部は、国の審議会等の女性委員の割合について、平成八年五月二十一日に決定した「当面、平成十二年度末までのできるだけ早い時期に二〇%を達成する」という目標の実現に向けて、審議会等の委員への女性の登用に努めている(平成十年三月末現在一七・六%)。

2 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革
 経済企画庁では、家事等の無償労働を貨幣評価した推計結果を平成十年五月に公表した。

<第2章> 職場、家庭、地域における男女共同参画の実現

1 雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保
 労働省では、男女雇用機会均等法の強化、女性労働者に対する時間外・休日労働、深夜業の規制の解消、母性保護に関する措置の充実等を盛り込んだ「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律案」を第百四十回国会に提出し、同法案は平成九年六月十一日に成立した(平成十年四月一日から一部施行)。
 労働省では、企業のポジティブ・アクションの具体的取組を援助するため、平成九年度から企業のトップ層を対象とした「トップセミナー」や、企業の雇用管理担当者等からなる「業種別使用者会議」を開催している。
 テレワークの普及促進を図るため、労働省では、企業参加の下、実際にテレワークを実践するモデル事業を実施し、検討を行った。また、郵政省では、郵政事業職員を対象にテレワークセンター及び在宅勤務によるテレワークを試行実施した。

2 農山漁村におけるパートナーシップの確立
 農林水産省は、平成九年度から、農村女性が、農業・農村の発展に対し、男性とともに積極的に参画できる社会を実現するため、家族及び地域社会への啓発や、農協の理事における男女の割合等の指標・目標の策定及びその到達度合いの調査等を実施する農業・農村パートナーシップ推進事業を実施している。

3 男女の職業生活と家庭・地域生活の両立支援
 厚生省は、保育所に関する情報に基づき保護者が希望する保育所を選択する仕組みに改めること、放課後児童健全育成事業を児童福祉法の上で明確に位置付けること、児童家庭支援センターの創設による地域の相談支援体制の強化を図ることなどを内容とした児童福祉法の改正法案を第百四十回国会に提出し、同法案は平成九年六月に成立した。
 文部省は、家庭教育に関する学習機会の充実、幼稚園や公民館における「子育てひろば」の開設などによる地域のネットワーク形成の支援等を内容とする「家庭教育子育て支援推進事業」を推進し、都道府県や市町村における家庭教育事業の展開を支援している。
 労働省は、育児休業制度の一層の定着や、平成十一年四月一日から義務化される介護休業制度の早期導入を促進するとともに、労働者の仕事と家庭の両立支援事業を推進している。
 経済企画庁は、ボランティア活動を始めとする市民活動について多角的な分析・把握を行うため、平成九年度に、市民活動に関する個人意識や活動実態等の調査、民間非営利活動団体の活動の経済的な把握等を行った。

4 高齢者が安心して暮らせる条件の整備
 厚生省は、平成七年度から新・高齢者保健福祉推進十か年戦略(新ゴールドプラン)を実施し、在宅福祉サービスの主な柱である訪問介護、短期入所生活介護、日帰り介護(いわゆる「在宅三本柱」)等について大幅な拡充を図っている。
 厚生省は、介護を要する高齢者の自立を社会的に支えるため、総合的介護サービスが利用できる仕組みである介護保険制度の創設に関する法案を第百三十九回国会に提出し、同法案は平成九年十二月に成立した。

<第3章> 女性の人権が推進・擁護される社会の形成

1 女性に対するあらゆる暴力の根絶
 警察は、女性の警察官による事情聴取体制の拡大等により、性犯罪の女性被害者が被害を訴えやすい環境を整備するとともに、被害者の心情に配慮した事情聴取を推進するなど、捜査過程における被害者への対応を組織的に行っている。また、被害申告を促進するとともに、性犯罪に対する社会の意識を高めるため、各種の広報媒体を活用した広報・宣伝活動を行っている。
 少女を相手方とする買春は、少女の健全な育成を著しく阻害する行為であることから、警察では、現行の関係法令を最大限に活用した取締りに努めるとともに、児童買春を許さない社会づくりに向け、児童の権利保護を図るための広報啓発活動についても、関係機関と協力した取組を行っている。
 労働省は、男女雇用機会均等法等の改正法において、職場におけるセクシュアルハラスメントの防止について、事業主の雇用管理上の配慮義務を規定した(平成十一年四月一日施行)。
 男女共同参画審議会では、女性に対する暴力部会を設置し、「男女共同参画社会の実現を阻害する売買春その他の女性に対する暴力に関し、国民意識の変化や国際化の進展等に伴う状況の変化に的確に対応するための基本的方策について」調査審議している。

2 メディアにおける女性の人権の尊重
 郵政省では、二十一世紀に向けた放送の健全な発展を図るために開催された「多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会」が取りまとめた報告書等を受けて、各放送事業者に設置が義務付けられている放送番組審議機関を一層活性化し、放送番組の適正化を図るため、平成九年五月に放送法の改正を行い、同年十月に施行した。
 総務庁青少年対策本部では、青少年の健全育成のために、図書、ビデオ、インターネット等の関係業界への自主規制の徹底を要請し、青少年保護育成条例における有害図書類の指定制度の運用や、地域における環境浄化活動を支援している。
 また、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律が改正され、インターネット等を通じてポルノ映像を客に伝達する営業者について、公安委員会に対する届出の義務付け、十八歳未満の年少者を客とすることの禁止等の新たな規定が設けられた。

3 生涯を通じた女性の健康支援
 文部省では、市町村が目的別・対象別の学級・講座等を開設することを奨励している。子どもを持つ親を対象とした家庭教育学級では、家庭での性教育や性に関する学習活動が行われているほか、親になる前の新婚・妊娠期の男女を対象にした講座では、妊娠・出産にかかわる問題など、リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関することも取り上げられている。
 厚生省では、保健所等において女性のライフステージに応じた健康教育を実施している。また、避妊、妊娠、不妊、性感染症、婦人科的疾患、更年期障害、その他女性の健康をめぐる様々な問題について、気軽に相談できる体制を整備している。

4 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実
 国立婦人教育会館では、平成九年度から、教師のための生涯学習の一環として、学校教育における男女平等に関する指導の充実等を目的として、「教師のための男女平等教育セミナー」を実施している。また、九年十一月、「社会教育における女性学教育の内容と方法に関する調査研究」の成果を取りまとめた「女性学教育/学習ハンドブック〜ジェンダーフリーな社会を目指して〜」を刊行した。

<第4章> 地球社会の「平等・開発・平和」への貢献

 女性の地位向上のための、地球社会における平等・開発・平和の目標達成のため、第四回世界女性会議の成果及びフォローアップを踏まえ、内外のNGOとの協力・連携を図りつつ、国連諸機関の諸活動に対する積極的な協力、開発途上国の女性支援の推進、平和への女性の貢献の促進、国際交流の推進等に努めている。
 平成九年七月、人権教育のための国連十年推進本部において「人権教育のための国連十年」に関する国内行動計画を取りまとめ、公表した。

<第5章> 計画の推進

1 施策の積極的展開と定期的フォローアップ
 男女共同参画推進本部は、平成八年十二月に決定した「男女共同参画二〇〇〇年プラン―男女共同参画社会の形成の促進に関する平成十二年(西暦二〇〇〇年)度までの国内行動計画―」に基づき、総合的に諸施策を推進している。

2 調査研究、情報の収集・整備・提供
 総理府男女共同参画室では、インターネット上でホームページ「ジェンダー・インフォメーション・サイト」を開設しており、男女共同参画社会の実現に関する国の取組や関連データ等を日本語及び英語で国内外に広く紹介・提供している。

3 国内本部機構の組織・機能強化
 男女共同参画審議会設置法(平成九年三月十九日成立、四月一日施行)に基づき設置された新たな男女共同参画審議会は、「男女共同参画社会の実現を促進するための方策に関する基本的事項」及び「男女共同参画社会の実現を阻害する売買春その他の女性に対する暴力に関し、国民意識の変化や国際化の進展等に伴う状況の変化に的確に対応するための基本的方策」について諮問を受け、調査審議を行っている。
 なお、「基本問題部会」においては、平成十年二月十六日、「基本法検討小委員会」が設置され、男女共同参画社会に関する基本的な法律についての検討が行われている。
 平成九年九月、総理府は、東アジア女性問題国内本部機構上級担当官会議を開催し、九か国のアジア諸国から上級担当官を招へいして、各国の女性問題国内本部機構等についての意見交換等を行った。

4 国、地方公共団体、NGOの連携強化、全国民的取組体制の強化
 総理府は、平成八年九月から、男女共同参画社会づくりに向けて国民的な取組を推進するため、広く各界、各層との連携を図ることを目的として、男女共同参画推進連携会議(えがりてネットワーク)を開催している。九年度には全体会合を二回、企画委員会を三回開催し、情報・意見交換を行ったほか、男女共同参画に関するイラスト、写真、標語を募集し、最優秀賞(内閣総理大臣賞)を受賞したイラストと標語を使用してポスターを作成し、広く配布した。
 また、広範な国民各界各層との情報・意見交換を行うための会(「聞く会」)を六回(平成九年四月〜十年四月)開催した。


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七月の雇用・失業の動向


―労働力調査 平成十年七月結果の概要―


総 務 庁


◇就業状態別の動向

 平成十年七月の十五歳以上人口は、一億七百二十七万人で、前年同月に比べ七十万人(〇・七%)の増加となっている。
 これを就業状態別にみると、就業者は六千五百七十七万人、完全失業者は二百七十万人、非労働力人口は三千八百七十一万人で、前年同月に比べそれぞれ七十二万人(一・一%)減、四十六万人(二〇・五%)増、九十八万人(二・六%)増となっている。
 また、十五〜六十四歳人口は八千六百八十六万人で、前年同月に比べ八万人(〇・一%)の減少となっている。これを就業状態別にみると、就業者は六千七十九万人、完全失業者は二百六十一万人、非労働力人口は二千三百四十一万人で、前年同月に比べそれぞれ六十九万人(一・一%)減、四十三万人(一九・七%)増、二十三万人(一・〇%)増となっている。

◇労働力人口(労働力人口比率)

 労働力人口(就業者と完全失業者の合計)は六千八百四十七万人で、前年同月に比べ二十六万人(〇・四%)の減少となっている。男女別にみると、男子は四千四十八万人、女子は二千八百万人で、前年同月と比べると、男子は十万人(〇・二%)の減少、女子は十五万人(〇・五%)の減少となっている。
 また、労働力人口比率(十五歳以上人口に占める労働力人口の割合)は六三・八%で、前年同月に比べ〇・七ポイントの低下と、六か月連続の低下となっている。

◇就業者

 (一) 就業者
 就業者数は六千五百七十七万人で、前年同月に比べ七十二万人(一・一%)減と、六か月連続の減少となっている。男女別にみると、男子は三千八百八十八万人、女子は二千六百八十九万人で、前年同月と比べると、男子は三十七万人(〇・九%)減と、七か月連続で減少、女子は三十五万人(一・三%)減と、二か月連続で減少となっている。
 (二) 従業上の地位
 就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千三百七十一万人、自営業主・家族従業者は一千百八十九万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は五十五万人(一・〇%)減と、六か月連続で減少、自営業主・家族従業者は十七万人(一・四%)減と、六か月連続の減少となっている。
 雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千三百三十八万人で、五十五万人(一・〇%)減、六か月連続の減少
 ○常 雇…四千七百二十七万人で、六十八万人(一・四%)減、七か月連続の減少
 ○臨時雇…四百九十二万人で、十八万人(三・八%)増、平成八年九月以降二十三か月連続で増加
 ○日 雇…百十九万人で、六万人(四・八%)減、二か月連続の減少
 (三) 産 業
 主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…三百六十万人で、十万人(二・七%)減、二か月連続の減少、減少幅は前月(十二万人減)に比べ縮小
○建設業…六百五十一万人で、四十七万人(六・七%)減、平成九年十一月以降九か月連続で減少、減少幅は前月(二十二万人減)に比べ拡大
○製造業…一千三百八十六万人で、四十八万人(三・三%)減、平成九年六月以降十四か月連続で減少、減少幅は前月(六十八万人減)に比べ縮小
○運輸・通信業…三百九十七万人で、二十万人(四・八%)減、二か月連続で減少、減少幅は前月(二万人減)に比べ拡大
○卸売・小売業、飲食店…一千四百九十七万人で、八万人(〇・五%)増、三か月ぶりの増加
○サービス業…一千七百七万人で、三十七万人(二・二%)増、平成八年十月以降二十二か月連続で増加、増加幅は前月(二十九万人増)に比べ拡大
 また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…五百三十四万人で、四十五万人(七・八%)減、二か月連続で減少、減少幅は前月(十八万人減)に比べ拡大
○製造業…一千二百五十六万人で、四十九万人(三・八%)減、平成九年六月以降十四か月連続で減少、減少幅は前月(六十六万人減)に比べ縮小
○運輸・通信業…三百八十万人で、十六万人(四・〇%)減、三か月ぶりの減少
○卸売・小売業、飲食店…一千百九十万人で、十四万人(一・二%)増、前月は同数(増減なし)
○サービス業…一千四百五十三万人で、三十一万人(二・二%)増、昭和六十年七月以降増加が継続、増加幅は前月(二十八万人増)に比べ拡大
 (四) 従業者階級
 企業の従業者階級別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千七百四十三万人で、三十二万人(一・八%)減少
○三十〜四百九十九人規模…一千七百四十九万人で、三十七万人(二・一%)減少
○五百人以上規模…一千二百七十七万人で、十六万人(一・三%)増加
 (五) 就業時間
 七月末一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜三十五時間未満…一千四百七十六万人で、二十万人(一・四%)増加
○三十五時間以上…四千九百六十一万人で、百三万人(二・〇%)減少
 また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四二・三時間で、前年同月に比べ〇・四時間の減少となっている。
 (六) 転職希望者
 就業者(六千五百七十七万人)のうち、転職を希望している者(転職希望者)は六百一万人で、このうち実際に求職活動を行っている者は二百三十一万人となっており、前年同月に比べそれぞれ三十九万人(六・九%)増、十五万人(六・九%)増となっている。
 また、就業者に占める転職希望者の割合(転職希望者比率)は九・一%で、前年同月に比べ〇・六ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男子は九・二%、女子は九・一%で、前年同月に比べ男女共に〇・七ポイントの上昇となっている。

◇完全失業者

 (一) 完全失業者数
 完全失業者数は二百七十万人で、前年同月に比べ四十六万人(二〇・五%)の増加となっている。男女別にみると、男子は百六十万人、女子は百十一万人で、前年同月に比べ男子は二十七万人(二〇・三%)の増加、女子は二十万人(二二・〇%)の増加となっている。
 また、求職理由別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非自発的な離職による者…八十四万人で、三十五万人増加
○自発的な離職による者…九十九万人で、七万人増加
○学卒未就職者…十二万人で、三万人増加
○その他の者…六十九万人で、六万人増加
 (二) 完全失業率(原数値)
 完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は三・九%で、前年同月に比べ〇・六ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男女共に四・〇%で、前年同月に比べ男子は〇・七ポイントの上昇、女子は〇・八ポイントの上昇となっている。
 (三) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)
 年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 〔男 子〕
○十五〜二十四歳…三十五万人(六万人増)、七・九%(一・六ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…三十三万人(四万人増)、三・七%(〇・四ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十二万人(四万人増)、二・八%(〇・五ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…二十一万人(二万人増)、二・二%(〇・二ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…四十万人(八万人増)、六・〇%(一・二ポイント上昇)
 ・五十五〜五十九歳…十三万人(三万人増)、三・三%(〇・七ポイント上昇)
 ・六十〜六十四歳…二十八万人(七万人増)、一〇・一%(二・五ポイント上昇)
○六十五歳以上…八万人(二万人増)、二・六%(〇・七ポイント上昇)
 〔女 子〕
○十五〜二十四歳…二十七万人(一万人増)、六・六%(〇・五ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…三十四万人(五万人増)、六・一%(〇・八ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十万人(七万人増)、三・八%(一・三ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…十六万人(四万人増)、二・三%(〇・六ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…十二万人(二万人増)、二・八%(〇・四ポイント上昇)
○六十五歳以上…二万人(一万人増)、一・〇%(〇・五ポイント上昇)
 (四) 世帯主との続き柄別完全失業者数及び完全失業率(原数値)
 世帯主との続き柄別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…七十六万人(十四万人増)、二・八%(〇・五ポイント上昇)
○世帯主の配偶者…三十七万人(十一万人増)、二・五%(〇・八ポイント上昇)
○その他の家族…百十七万人(十七万人増)、六・三%(一・〇ポイント上昇)
○単身世帯…四十一万人(六万人増)、五・一%(〇・七ポイント上昇)
 (五) 完全失業率(季節調整値)
 季節調整値でみた完全失業率は四・一%で、前月に比べ〇・二ポイントの低下となっている。男女別にみると、男子は四・一%で前月に比べ〇・二ポイントの低下、女子は四・二%で前月と同率で過去最高となっている。

◇     ◇     ◇

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平成十年一〜六月期平均家計収支


―消費支出(全世帯)は実質三・一%の減少―


総 務 庁


◇全世帯の家計

 全世帯の消費支出は、平成四年七〜十二月期以降七期連続して実質減少となった後、八年一〜六月期は実質増加となったが、七〜十二月期以降四期連続して実質減少となった。

◇勤労者世帯の家計

 勤労者世帯の実収入は、平成七年一〜六月期以降六期連続して実質増加となった後、十年一〜六月期は実質減少となった。
 消費支出は、平成五年一〜六月期以降六期連続して実質減少となった後、八年一〜六月期は実質増加、七〜十二月期は実質減少、九年一〜六月期は実質増加となり、九年七〜十二月期、十年一〜六月期は実質減少となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は二十八万一千三百三十七円で、名目二・八%の減少、実質四・〇%の減少

◇財・サービス区分別の消費支出

 財(商品)は、実質二・五%の減少
  <耐久財>実質〇・一%の増加
  <半耐久財>実質八・〇%の減少
  <非耐久財>実質一・二%の減少
 サービスは、実質二・八%の減少

ごみをもっと減らすには


 ごみは、そこにあるだけで環境の美しさを損ないます。でも、それ以上に環境に良くないのは、ごみを処理する過程で発生するダイオキシンなどの有害物質、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの増加です。
 ダイオキシンは、塩化ビニールや塩化ビニリデンなどが燃えるときに発生する化学物質で、がんや胎児の奇形を引き起こすなど、健康にたいへん有害な物質です。このダイオキシンは、産業廃棄物からだけでなく、私たちがごみとして出す食品ラップやプラスチックなどが燃えるときにも発生します。
 また、大量のごみを燃やすときには、大量の二酸化炭素も発生します。モノがつくられるときにも大量のエネルギーを使い、大量の二酸化炭素を排出しているわけですから、モノを捨てるという行為は、二重の意味で地球温暖化に加担していることになります。
◇ごみを減らす三つのR
 このような環境汚染を防ぐためには、ごみを極力減らすことが大切です。そのために私たちができること、それが「三つのR」です。
 @ Reduce―ごみを出さない暮らしを心がけること。過剰包装を避けるなど、ごみの発生を抑えることです。
 A Recycle―リサイクルにまわして原材料として再資源化すること。紙類や缶類、びん類などは、ごみではなく資源の一つなのです。
 B Re―Use―使用済み製品を再使用する。
 ごみの中身をよく見れば、本当に捨てるべきものは、ごくわずかなのかもしれません。(環境庁)







 
    <9月30日号の主な予定>
 
 ▽原子力安全白書のあらまし………原子力安全委員会 

 ▽月例経済報告………………………経 済 企 画 庁 
 



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