官報資料版 平成1012




                 ▽ 独占禁止白書のあらまし……………………………………公正取引委員会

                 ▽ 労働力調査(九月結果の概要)……………………………総  務  庁

                 ▽ 天皇誕生日一般参賀について………………………………宮  内  庁










独占禁止白書のあらまし


―平成9年度 公正取引委員会年次報告―


公正取引委員会


 公正取引委員会は、平成十年十一月十日、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第四十四条第一項の規定に基づき、平成九年度における独占禁止法の施行状況を内閣総理大臣を経由して国会に報告した。
 以下、その概要を紹介する。

<第1部> 総 論

1 我が国を取り巻く経済環境
 平成九年度における我が国経済についてみると、平成九年度当初は、特に消費税率の引上げに伴う駆け込み需要の反動減が予想以上に大きく現れ、消費に大幅な減少がみられた。
 七月から九月にかけては、駆け込み需要の反動減の影響が長引き、回復のテンポは緩慢であったものの、この期までで反動減の影響はほぼ終了し、個人消費には緩やかながら立ち直りがみられ、景気の回復も始まっていた。しかし、秋口からは、株価の下落が生じ、また、バブル期の後遺症である企業や金融機関のバランスシートの調整の遅れ、大手金融機関の破綻を発端とする不安感の高まり、資産構成・収益性改善を目的とする金融機関の貸出抑制等の要因があいまって、企業の投資意欲、家計の消費マインドが冷え込んだ結果、我が国の景気は減速することとなった。
 他方、海外に目を向けると、アジア諸国においては、輸出競争力の低下、過剰な海外資本の流入によるバブル的状況の発生及び大量の不良債権の発生等の要因から生じた通貨危機が政治不安にまで波及するといった事態となった。
 以上のような状況の下に、政府は、平成九年度末から十年度当初にかけて、「緊急経済対策」を始めとする一連の措置により、景気の下支え、金融システムの安定化とともに我が国経済の構造改革、体質の強化を図ることとしたが、これらの施策の実効が上がるようにするためには、規制緩和や経済構造改革を推進し、市場原理に立脚した経済環境を実現していくことが必要である。

2 規制緩和の推進と競争政策の積極的展開
 政府は、我が国経済社会の抜本的な構造改革を図り、国際的に開かれ、自己責任原則と市場原理に立つ自由で公正なものとしていくとともに、我が国の行政をいわゆる事前規制型から事後チェック型に転換していくことを基本として、規制緩和を推進してきている。
 規制緩和等を計画的に推進するために定められた「規制緩和推進計画について」(平成七年三月三十一日閣議決定)は、平成八年三月の改定(「規制緩和推進計画の改定について」(平成八年三月二十九日閣議決定))に続き、平成九年三月二十八日には再改定(「規制緩和推進計画の再改定について」(平成九年三月二十八日閣議決定))された。
 再改定された規制緩和推進計画においては、我が国経済における公正かつ自由な競争を一層促進することにより、我が国市場をより競争的かつ開かれたものとするとの観点から、引き続き、規制緩和とともに競争政策の積極的展開を図ることとされている。
 さらに、平成九年度末をもって規制緩和推進計画の期限が到来したことから、政府は、新たに平成十年度から十二年度までの三か年にわたり規制緩和等を計画的に推進するため、「規制緩和推進三か年計画」(平成十年三月三十一日閣議決定)を策定した。同計画においても、公正かつ自由な競争を促進するため、規制緩和とともに競争政策の積極的展開を図るための措置が盛り込まれている。

3 平成九年度において講じた施策の概要
 当委員会は、こうした状況を踏まえ、独占禁止法の厳正かつ積極的な運用により独占禁止法違反行為を排除し、政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度を見直し、経済環境の変化に即応した公正な競争条件の整備を進めるとともに、経済活動の国際化が進む中、競争政策の国際的展開に適切に対処するよう努めた。
 平成九年度においては、次のような施策に重点を置いて競争政策の運営に積極的に取り組んだ。
 (1) 独占禁止法違反行為の積極的排除
 当委員会は、従来から、独占禁止法違反事件に対し厳正かつ積極的に対処してきたところであり、平成九年度においても、価格カルテル、入札談合、私的独占(新規参入の排除等)、流通分野における不公正な取引方法等の事件のほか、規制関連分野における事件、いわゆる民民規制に関する事件等について処理を行った。
 平成九年度における主な事件についてみると、首都高速道路公団発注の建設工事に係る入札談合事件、小学校向け図書教材の価格等カルテル事件、ぱちんこ機製造業者らによる新規参入希望者の事業活動の排除に係る私的独占事件、携帯電話事業者による再販売価格維持事件等について勧告等の法的措置を採った。
 (2) 独占禁止法運用の透明性の確保と違反行為の未然防止
 独占禁止法の効果的な運用を図り、違反行為を未然に防止するためには、事業者や消費者が独占禁止法の目的、規制内容及び法運用の方針について、十分に理解していることが重要である。このため、当委員会は、従来、独占禁止法の運用基準(ガイドライン)を作成・公表することにより、どのような行為が独占禁止法上問題となるのかを明らかにするとともに、事業者や事業者団体の相談に適切に対応することにより、独占禁止法違反行為の未然防止に努めている。
 平成九年度においては、持株会社について、事業支配力が過度に集中することとなる場合にその設立・転化を禁止すること等を内容とする独占禁止法の改正を踏まえ、「事業支配力が過度に集中することとなる持株会社の考え方」及び「独占禁止法第十一条の規定による金融会社の株式保有の認可についての考え方」を、平成九年十二月に策定・公表した。
 また、事業者が他の事業者から委託を受けて役務を提供する場合について、委託する側の事業者による優越的地位の濫用行為をより効果的に規制する観点から、「役務の委託取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の指針」を、平成十年三月に策定・公表した。
 (3) 独占禁止法適用除外制度の見直し
 当委員会は、規制緩和の推進と競争政策の積極的展開を一体的に進めるとの立場から、独占禁止法適用除外制度の見直しについて検討を行った。
 独占禁止法適用除外制度の見直しについては、「今後における規制緩和の推進等について」(平成六年七月五日閣議決定)を始めとする累次の政府決定に従い、政府として取組を行ってきたところ、平成九年六月十三日、個別法による独占禁止法適用除外制度のうち二十法律三十五制度について廃止等の措置を採るための一括整理法が成立した(施行は平成九年七月二十日)。
 また、規制緩和推進三か年計画において、独占禁止法に基づく不況カルテル制度、合理化カルテル制度等を廃止すること、適用除外法を廃止すること、立法措置を必要とするものについては平成十一年の通常国会に改正法案を提出すること等が決定された。
 再販適用除外制度に関しては、独占禁止法第二十四条の二第四項の規定に基づき、再販適用除外が認められている著作物について、「再販問題検討のための政府規制等と競争政策に関する研究会」の報告書が平成十年一月に公表され、その検討結果を受けて、平成十年三月、当委員会として、@著作物再販制度については競争政策の観点からは廃止の方向で検討されるべきものであるが、文化の振興・普及と関係する面もあるとの指摘もあることから、これを廃止した場合の影響について配慮しつつ引き続き検討し、一定期間経過後に制度自体の存廃について結論を得ることが適当、A著作物再販制度の対象品目を書籍・雑誌、新聞、レコード盤・音楽用テープ・音楽用CDに限定して解釈・運用、B流通取引上の弊害について迅速かつ的確に是正を図っていくため所要の取組を実施、との結論を得ている。
 (4) 独占禁止法第四章の見直し
 独占禁止法第四章に関し、当委員会は、持株会社規制、合併等の届出制度・株式所有の報告制度等について全般的に見直すために、平成七年十一月から「独占禁止法第四章改正問題研究会」を開催した。
 同研究会は、最初に持株会社問題について検討を行い、平成七年十二月に報告書を取りまとめた。
 当委員会は、この報告書の趣旨等を踏まえて、持株会社の全面的な禁止を改め、事業支配力が過度に集中することとなる持株会社を禁止すること等を内容とする独占禁止法改正法案を取りまとめた。同法案は第百四十回国会に提出され、平成九年六月十一日に可決・成立した(施行は平成九年十二月十七日)。
 平成八年六月からは、同研究会の下で「企業結合規制見直しに関する小委員会」を開催して合併等の届出制度、株式所有の報告制度などについて検討を行い、同研究会が取りまとめた「企業結合規制の手続規定の在り方に関する報告書」を公表した(平成九年七月)。また、再改定された規制緩和推進計画においても、合併、株式所有等の届出・報告制度等について、制度の趣旨及び目的、企業の負担軽減、国際的整合性の確保等の観点から、裾切り要件の導入、引上げ等を含め、見直しを図り、平成九年度末までに所要の措置を講ずることとされた。
 これらを踏まえ、当委員会は、企業結合規則の手続規定の見直し、国外における企業結合行為に関する規定の整備等を内容とする独占禁止法改正法案を取りまとめた。同法案は、第百四十二回国会に提出され、平成十年五月二十二日に可決・成立し、同月二十九日に公布された(施行は平成十一年一月一日。ただし、役員兼任の届出、会社以外の者の株式所有の報告規定の廃止等に係る部分については、公布と同時に施行。)。
 (5) 下請法による中小企業の競争条件の整備
 当委員会は、中小企業の自主的な事業活動が阻害されることのないよう、下請法の厳正かつきめ細やかな運用により、下請取引の公正化及び下請事業者の利益の保護に努めている。
 平成九年度においては、違反行為が認められた親事業者に対し、三件の勧告を行ったほか、必要に応じ警告の措置を採った。
 さらに、下請取引をめぐる経済環境が大きく変化してきており、親事業者と下請事業者との関係も多様なものとなっているため、下請法の運用に当たっても、このような変化に対応することが求められていることから、平成九年五月以降、「企業取引研究会」において、現在の下請法の運用上の問題について検討を行い、同研究会が取りまとめた報告書を、平成十年六月に公表した。
 (6) 景品表示法による消費者行政の推進
 当委員会は、消費者向けの財・役務の種類や販売方法が多様化する中で、消費者の適正な商品選択が妨げられることのないよう、景品表示法の厳正な運用により、不当な顧客誘引行為の排除に努めている。
 平成九年度においては、景品事件として新聞販売業者による過大な景品類の提供について、また、商品の効能効果に関する不当表示事件として痩身効果を標榜するいわゆる健康食品に関する不当表示について、それぞれ排除命令を行った。
 また、当委員会では、景品規制の見直し・明確化の観点から、景品規制の一般規定に係る関係告示及び運用基準の改廃を行い、平成八年四月一日に施行した。これに引き続いて、その内容に即して業種別告示及び公正競争規約を見直し、平成十年四月までにすべての業種別告示の改廃を行った。また、公正競争規約についても、業種別告示の廃止等に合わせて見直しを行った。
 (7) 経済のグローバル化に対応した競争政策の展開
 当委員会は、貿易摩擦問題への対応として、競争政策の観点から、外国企業の我が国市場への参入を制限する等の反競争的行為があった場合にはこれに厳正に対処することとしているところであるが、経済のグローバル化の進展に伴い、競争当局間の国際的協力を進めるとともに、競争政策の国際的調和の推進を図ることが重要になってきている。このため、二国間及び多国間の競争政策に関する協力、調整等が円滑に進められるよう、海外の競争当局との意見交換の開催、国際会議の主催・参加等により、競争当局間の協力関係の一層の充実を図った。
 さらに、競争法・競争政策に関する技術協力として、平成八年度に引き続き、国際協力事業団(JICA)を通じて、開発途上国の競争当局等の職員を対象として「独占禁止法と競争政策」をテーマとする技術研修を実施したほか、韓国その他外国政府が実施するセミナーに参加した。

<第2部> 各 論

独占禁止法制の動き

1 独占禁止法の改正
 合併、株式保有等に関する企業結合規制について、制度の趣旨・目的に照らしたより効率的かつ機動的な運用、企業の負担軽減等の観点から、届出・報告対象範囲の縮減、審査手続の整備等を行うことを内容とする平成十年独占禁止法改正法案は、平成十年五月二十二日に可決・成立した。
 これは、「規制緩和推進計画について」等の累次の閣議決定において、合併・営業譲受け等の届出制度、株式所有の報告制度及び役員兼任の届出制度について、制度の趣旨・目的、企業の負担軽減、国際的整合性の確保等の観点から、裾切り要件の導入、引上げ等を含め、見直しを図ることとされたこと等を受けて行われたものである。その主な内容は、以下のとおりである。
 (1) 株式所有報告書制度(第十条関係)
 ア 報告対象会社の範囲を、総資産(単体)二十億円超の会社から、総資産合計額(親子会社の総資産を加えた合計金額。以下同じ。)百億円超の会社に縮減する。
 イ 事業年度ごとの全保有株式の報告から、総資産(単体)十億円超の会社の株式を一定比率を超えて取得した場合の報告に変更する。
 (2) 役員兼任届出制度(第十三条関係)及び会社以外の者の株式所有報告書制度(第十四条関係)
   両制度を廃止する。
 (3) 合併届出制度(第十五条関係)
 ア 届出対象となる合併の範囲を、すべての合併から、総資産合計額百億円超の会社が総資産合計額十億円超の会社と合併する場合に縮減する。
 イ 親子・兄弟会社間(五〇%超の株式保有関係にあるもの。以下同じ。)の合併について届出を不要とする。
 ウ 当委員会が届出受理後三十日以内に追加資料を求めた場合は、勧告又は審判開始決定を行うことができる期間を延長することとするとともに、届出書記載の合併に関する計画の実施を担保する手段の整備を図る。
 (4) 営業譲受け等届出制度(第十六条関係)
 ア 届出対象となる営業譲受け等の範囲を、すべての営業の全部又は重要部分の譲受け等から、総資産合計額百億円超の会社が譲り受ける場合であって、@営業の全部譲受けについては、総資産(単体)十億円超の会社から譲り受けるとき、A営業の重要部分又は営業上の固定資産の譲受けについては、譲受け対象部分に係る年間売上高が十億円を超えるものを譲り受けるときに縮減する。
 イ 親子・兄弟会社間の営業譲受け等並びに営業の賃借、経営の受任及び損益共通契約の締結については、届出を不要とする。
 ウ 届出義務のある営業譲受け等の審査手続については、合併審査手続に関する規定(前記(3)ウ)を準用する。
 (5) 国外における企業結合行為(第十条、第十三条、第十四条、第十五条及び第十六条関係)
 ア 国外における企業結合行為についても、我が国独占禁止法により規制することを可能とする。
 イ 株式所有等の対象となる外国会社の我が国における営業所又は子会社の年間売上高が十億円超の場合には、報告・届出義務を課す。

2 独占禁止法改正に伴う政令の制定・改正
 (1) 平成九年独占禁止法改正法の施行期日を定める政令(平成九年政令第三百五十九号)
   平成九年独占禁止法改正法は、平成九年十二月十七日から施行することとした。
 (2) 独占禁止法施行令の一部を改正する政令(平成九年政令第三百六十号)
 ア 平成九年改正独占禁止法第九条第六項の規定に基づく報告義務の対象となる持株会社グループを総資産額を三千億円を超えるものと規定することとした。
 イ 平成九年改正独占禁止法第九条の二第一項第十号(研究開発型企業に係る株式所有の適用除外)の研究開発型企業の要件に係る政令委任事項について、(ア)規模について資本金五億円以下の会社とし、(イ)試験研究費等の収入金額に対する割合を三%とすること等を規定することとした。
 (3) 独占禁止法施行令の一部を改正する政令(平成十年政令第二百三十六号)
 ア 株式所有報告書制度関係
  平成十年改正独占禁止法第十条第二項の株式所有報告書の提出義務が課せられる会社の総資産合計額を百億円とすること等を規定することとした。
  同法第十条第二項(第三項において準用する場合を含む。)の株式所有報告書の提出義務が生じる場合の株式所有割合を、一〇%、二五%又は五〇%を超えるときと規定することとした。
 イ 合併届出制度関係
  平成十年改正独占禁止法第十五条第二項(第三項において準用する場合を含む。)の合併に関する計画の届出義務が課せられる国内の会社の総資産合計額(外国会社にあっては、国内売上高)をいずれか一の会社について百億円、他のいずれか一の会社について十億円とすることとした。
 ウ 営業等の譲受け届出制度関係
  平成十年改正独占禁止法第十六条第二項の営業又は営業上の固定資産の譲受けに関する計画の届出義務が課せられる会社の総資産合計額を百億円とすること等を規定することとした。

3 独占禁止法と他の経済法令等との調整
 (1) 法令調整
 独占禁止法と他の経済法令との調整に関する業務としては、持株会社の設立等の禁止の解除に伴う金融関係法律の整備等に関する法律案、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案、損害保険料率算出団体に関する法律の一部改正、商品取引所法の一部を改正する法律案、大規模小売店舗立地法案、電気通信の分野における民間活動に係る規制の改善及び行政事務の合理化のための関係法律の整備等に関する法律案、特定家庭用機器再商品化法案等について、関係行政機関が立案するに当たり、所要の調整を行った。
 (2) 行政調整
 関係行政機関による行政措置等との調整に関する業務としては、運輸関係の適用除外制度廃止等に伴う調整、タクシー事業における無線協同組合内での運賃設定及び個人タクシー運賃改正の一括代理申請に関する調整、中央卸売市場における委託手数料の固定料率制に関する調整、算定会制度改革後の算定会による実績経費情報の収集・提供活動に関する調整、日本電信電話株式会社の再編成についての基本方針に関する申入れ、柔道整復師養成施設の指定に関する行政調整等多数の事案について、「行政指導に関する独占禁止法上の考え方」(平成六年六月公表)に沿って調整を行った。

違反被疑事件の審査及び処理

1 違反被疑事件の審査及び処理の状況
 独占禁止法は、事業者が私的独占又は不当な取引制限をすること、不公正な取引方法を用いること等を禁止しているが(第三条、第十九条ほか)、当委員会は、一般から提供された情報、自ら探知した事実等を検討し、これらの禁止規定に違反する事実があると思料するときは、独占禁止法違反被疑事件として必要な審査を行っている。
 審査事件のうち必要なものについては独占禁止法第四十六条の規定に基づく権限を行使して審査を行い、違反する事実があると認められたときは、排除措置を採るよう勧告する(第四十八条第一項及び第二項)か、若しくは審判手続を開始し(第四十九条第一項)、又は違反行為がなくなってから一年を経過していることから勧告を行うことができないが、課徴金納付命令の対象となる場合には、同命令を行っている(第四十八条の二)。なお、相手方が勧告を応諾した場合には勧告審決(第四十八条第四項)を、その他の場合は審判手続を経て同意審決(第五十三条の三)又は審判審決(第五十四条)を行っている。相手方が課徴金納付命令に対して不服申立てをした場合には審判手続が開始され、同納付命令は失効する(第四十九条第二項及び第三項)。
 平成九年度における審査件数は、前年度からの繰越しとなっていたもの七十件、年度内に新規に着手したもの百五十五件、合計二百二十五件であり、このうち本年度内に処理した件数は百八十件である。
 百八十件の内訳は、勧告三十件、勧告を行っていない課徴金納付命令一件、警告十九件、注意百二十三件及び違反事実が認められなかったため審査を打ち切ったもの七件となっている。
 これらを行為類型別にみると、私的独占四件、価格カルテル三十一件、入札談合等十七件、その他のカルテル三件、不公正な取引方法九十八件、その他二十七件となっている。勧告等の法的措置を採った事件は三十一件であり、この内訳は、私的独占三件、価格カルテル三件、入札談合等十六件、不公正な取引方法九件となっている(第1表参照)。

2 課徴金
 課徴金制度は、カルテル禁止の徹底を図るため、行政上の措置として設けられているものである。
 課徴金の対象となる行為は、事業者又は事業者団体の行うカルテルのうち、商品若しくは役務の対価に係るもの又は実質的に商品若しくは役務の供給量を制限することによりその対価に影響のあるものであり、これらの行為があった場合に、事業者又は事業者団体の構成事業者に対し課徴金の納付を命じることとされている(第七条の二第一項、第八条の三)。
 平成九年度は、十六件の独占禁止法違反事件について、延べ三百九十一事業者に対して、総額八十二億八千三百五十五万円の課徴金の納付を命じた。
 なお、本年度に課徴金の納付を命じた三百九十一事業者のうち、二十二事業者から審判開始請求があり、これらについてはいずれも審判開始決定を行ったことから、合計五十四億五千六十六万円の課徴金納付命令(平成十年(納)第二百七十八号ないし第二百九十八号及び第三百四号)は失効した(第2表参照)。

3 告 発
 私的独占、カルテルなどの重大な独占禁止法違反行為については、勧告等の法的措置のほか罰則が設けられているところ、これらについては当委員会による告発を待って論ずることとされている(第九十六条、第七十三条第一項)。
 平成九年度においては、告発を行ったものはなかった。

審判及び訴訟

1 審 判
 平成九年度における審判件数は、平成八年度から引き継いだもの八件、平成九年度中に審判開始決定を行ったもの七件の合計十五件であり、平成九年度中に、四件(うち、審判審決三件、課徴金納付を命ずる審決一件)について審決を行い、一件について審判開始決定を取り消す決定を行った。
 平成九年度末現在において審判手続係属中の事件は、十件である。

2 訴 訟
 平成九年度当初において係属中の審決取消請求事件は四件であったが、このうち、大日本印刷株式会社、トッパン・フォームズ株式会社及び小林記録紙株式会社による審決取消請求事件三件については、東京高等裁判所で請求棄却の判決が下された後、上告された。また、平成九年度中に、新たに、広島県石油商業組合広島市連合会による審決取消請求事件並びにこれに関連して同連合会による審決執行停止の申立て及び審決執行免除の申立てが提起されたが、審決執行停止の申立てについては取り下げられ、審決執行免除の申立てについては東京高等裁判所で決定が行われたため、平成九年度末現在、係属中の審決取消請求事件は五件である。

法運用の透明性の確保と独占禁止法違反行為の未然防止

 独占禁止法違反行為の未然防止を図るとともに、独占禁止法の運用を効果的なものとするためには、独占禁止法の目的、規制内容及び運用の方針が国内外における事業者や消費者に十分理解され、それが深められていくことが不可欠である。このような観点から、当委員会は、各種の広報活動を行うとともに、事業者及び事業者団体の独占禁止法違反行為を具体的に明らかにした各種のガイドライン(「特許・ノウハウライセンス契約における不公正な取引方法の規制に関する運用基準」(平成元年二月)、「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(平成三年七月)、「共同研究開発に関する独占禁止法上の指針」(平成五年四月)、「公共的な入札に係る事業者及び事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」(平成六年七月)、「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」(平成七年十月))等を策定・公表し、それに基づいて、個々の具体的なケースについて事業者等からの相談に応じている。
 平成九年度においては、持株会社を含む企業結合規制に係る独占禁止法第四章の規定が改正されたことに伴い、平成九年十二月、「事業支配力が過度に集中することとなる持株会社の考え方」及び「独占禁止法第十一条の規定による金融会社の株式保有の認可についての考え方」を策定・公表したほか、平成十年三月には「役務の委託取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の指針」を策定・公表し、法運用の透明性の確保を図っている。

政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度の見直し

 我が国では、社会的・経済的な理由により、参入、設備、数量、価格等に係る事業活動が政府により規制されていたり、独占禁止法の適用が除外されている産業分野がみられる。
 このような政府規制は、第二次世界大戦後における我が国経済の発展過程において一定の役割を果たしてきたものと考えられるが、社会的・経済的情勢の変化に伴い、当初の必要性が薄れる一方で、効率的経営や企業家精神の発揮の阻害、競争制限的体質の助長等様々な競争制限的問題を生じさせてきているものも少なくない。このため、我が国経済社会の抜本的な構造改革を図り、国際的に開かれ、自己責任原則と市場原理に立つ自由で公正な経済社会としていくためにも、規制改革の推進が緊急の課題となっている。
 また、適用除外制度は、自由経済体制の下ではあくまでも例外的な制度であり、適用除外分野においては、市場メカニズムを通じた良質、廉価な商品・サービスの供給に向けた経営努力が十分に行われず、消費者利益が損なわれるなどのおそれがあり、必要最小限にとどめるとともに、不断の見直しの必要がある。
 「規制緩和推進三か年計画」においては、独占禁止法違反行為に対し厳正・迅速かつ積極的に対処すること、規制緩和の推進について調査・提言を行うとともに、独占禁止法適用除外制度については必要最小限とするほか、地方自治体が講じている参入規制等についても調査・提言を行うこと、規制に代わる競争制限的な行政指導及びいわゆる民民規制の問題について取り組むこと等が掲げられている。
 政府規制制度の見直しについては、「政府規制等と競争政策に関する研究会」を開催し、電気事業分野及びガス事業分野について検討を行い、同研究会が各分野について取りまとめた報告書を平成九年四月に公表したところである。
 このうち、電気事業に関しては、通商産業省の電気事業審議会において、電力供給システム全般の見直しが行われてきており、平成十年五月に取りまとめられた中間的整理においては、今後、新たな電力供給システムを検討するに当たっては、電力小売の部分自由化を念頭におくこと(完全自由化やプール市場の創設は将来の課題とすること)とされ、これを踏まえて具体的な検討が行われているところ、当委員会としては引き続きその検討状況等を注視していくこととしている。
 また、規制緩和の推進に対する取組として、当委員会では、規制分野の実態調査を行ってきており、平成九年度においては、保険業に関する実態調査を開始した。
 独占禁止法適用除外制度については、近年、累次の閣議決定等においてその見直しが決定されている。個別法による適用除外制度については、改正された「規制緩和推進計画」を受け、平成九年二月、個別法に基づく適用除外制度二十法律三十五制度について廃止等の措置を採るための一括整理法案が第百四十回国会に提出された。同法案は、同年六月十三日に可決・成立し、同年七月二十日に施行された。
 また、その他の個別法に基づく適用除外制度については、再改定された「規制緩和推進計画の再改定について」(以下「再改定計画」という。)において、六法律六制度について個別に法改正等の措置を実施することとされ、七法律八制度については引き続き検討することとされた。
 これらの措置により、平成八年三月末において二十八法律四十七制度存在した個別法に基づく適用除外制度は、平成十年三月末現在、十二法律十七制度にまで縮減された。
 独占禁止法に基づく適用除外制度及び適用除外法に基づく適用除外制度については、再改定計画において、適用除外となる行為及び団体の全範囲について、制度自体の廃止を含めて見直し、平成九年度末までに具体的結論を得るとともに、適用除外法については、法そのものの廃止を含めて抜本的見直しを行うこととされた。
 再改定計画に基づき、独占禁止法に基づく適用除外制度、適用除外法に基づく適用除外制度及び引き続き検討することとされていた個別法に基づく適用除外制度についてそれぞれ見直しを行ってきたところ、その結論が「規制緩和推進三か年計画」(以下「新計画」という。)に盛り込まれた。
 新計画においては、「独占禁止法適用除外カルテル等制度については、適用除外となる行為及び団体の全範囲について見直しを行ったが、その結果は以下のとおりであり、独占禁止法に基づく適用除外制度については不況カルテル制度・合理化カルテル制度等を廃止し、適用除外法に基づく適用除外制度については協同組織の団体に係るものを独占禁止法第二十四条の規定によることとし、その他のものは原則廃止するとともに、適用除外法そのものを廃止することとする」ことが決定されたほか、「このうち、立法措置を必要とするものについては、平成十一年の通常国会に改正法案を提出する等所要の措置を行うものとする」こととされた。

価格の同調的引上げに関する報告の徴収

 独占禁止法第十八条の二の規定により、年間国内総供給価額が六百億円超で、かつ、上位三社の市場占拠率の合計が七〇%超という市場構造要件を満たす同種の商品又は役務につき、首位事業者を含む二以上の主要事業者(市場占拠率が五%以上であって、上位五位以内である者をいう。)が、取引の基準として用いる価格について、三か月以内に、同一又は近似の額又は率の引上げをしたときは、当委員会は、当該主要事業者に対し、当該価格の引上げ理由について報告を求めることができる。
 この規定の運用については、当委員会は、その運用基準を明らかにするとともに、市場構造要件に該当する品目をあらかじめ調査し、これを運用基準別表に掲げ、当該別表が改定されるまでの間、同別表に掲載された品目について価格の同調的引上げの報告徴収を行うこととしている。
 平成九年度において、独占禁止法第十八条の二に規定する価格の同調的引上げに該当すると認めてその引上げ理由の報告を徴収したものは、インスタントコーヒー及び磨き板ガラスの二件である。

経済及び事業活動の実態調査

 当委員会は、競争政策の運営に資する目的から、経済力集中の実態、主要産業の実態等について調査を行っている。
 平成九年度においては、独占的状態調査を行うとともに、一般用カラー写真フィルム及びカラー写真用印画紙に関する企業間取引実態調査・フォローアップ調査、公益法人等の自主基準・認証活動に関する実態調査、コンタクトレンズの流通・取引慣行等に関する実態調査、医療用具の流通・取引慣行等に関する実態調査、流通構造の変化と事業者の対応に関する調査並びに薬局・薬店に対する広告規制・出店規制等に関する実態調査等を行い、それぞれの業種における取引実態及び競争政策上の観点からの問題点を取りまとめ、公表している。

持株会社の設立等・株式保有・役員兼任・合併・営業譲受け等

1 持株会社の設立等
 第百四十回国会において、持株会社の全面的な禁止を改めること等を内容とする平成九年独占禁止法改正法が可決・成立し、同年十二月十七日に施行された。同法により、持株会社は、一定規模を超える持株会社について設立の届出及び事業報告書の提出が義務付けられている。
 平成九年度において、独占禁止法第九条第六項の規定に基づく持株会社等の事業報告書の提出及び同条第七項の規定に基づく持株会社の設立の届出は、いずれもなかった。

2 株式保有
 @ 独占禁止法第九条の二第一項の規定に基づき、大規模会社は、自己の資本金又は純資産のいずれか多い額を超えて国内の会社の株式を保有してはならないこととされているが、大規模会社が、外国会社等と共同出資により設立した会社の株式をあらかじめ当委員会の認可を受けて保有する場合(同項第七号)又はやむを得ない事情により国内の会社の株式をあらかじめ当委員会の承認を受けて保有する場合(同項第十一号)等におけるこれらの株式の保有については、同項の規定が適用されないこととされている。平成九年度において、この認可又は承認をしたものはなかった。
 A 独占禁止法第十条第二項の規定に基づき、総資産が二十億円を超える国内の会社(金融業を営む会社を除く。)又は外国会社(金融業を営む会社を除く。)は、国内の会社の株式を所有する場合には、毎事業年度終了後三か月以内に当委員会に株式所有報告書を提出しなければならないこととされている。平成九年度において当委員会に提出された会社の株式所有報告書の件数は八千六百十五件、うち外国会社によるものは五百八十四件であった。
 B 独占禁止法第十一条第一項の規定に基づき、金融会社は、国内の会社の株式をその発行済株式総数の百分の五(保険業を営む会社にあっては、百分の十)を超えて保有してはならないこととされているが、金融会社があらかじめ当委員会の認可を受けた場合には、同項の規定が適用されないこととされている。平成九年度において当委員会が認可した金融会社の株式の保有件数は七十二件であった。このうち、同条第一項ただし書の規定に基づくものは六十七件(銀行に係るもの五十九件、保険会社に係るもの四件、外国会社に係るもの四件)、同条第二項の規定に基づくものは五件(銀行に係るもの二件、証券会社に係るもの二件、保険会社に係るもの一件)であった。

3 合併・営業譲受け等
 独占禁止法第十五条第二項又は第十六条の規定に基づき、会社が合併、営業の全部又は重要部分の譲受け等をしようとする場合には、あらかじめ当委員会に届け出なければならないこととされている。
 平成九年度において、届出を受理した件数は、合併二千百七十四件、営業譲受け等一千五百四十六件、合計三千七百二十件であった。
 合併の届出受理件数は、昭和五十五年度(九百六十一件)から増加傾向を示し、平成三年度において二千件を超え、平成七年度には二千五百二十件と過去最高の件数となったが、その後やや減少している。平成九年度は、二千百七十四件で、過去第三位の件数であった。
 また、営業譲受け等の届出受理件数は、昭和四十年度(二百二件)から増加傾向を示しており、平成九年度は一千五百四十六件と約七倍になり、過去最高の件数となった。
 平成九年度において届出を受理したもののうち、独占禁止法第十五条第一項(第十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反するとして排除措置を採ったものはなかった。

4 主要な事例
 平成九年度の合併・営業譲受け等及び株式保有等の主要な事例としては、日本紙業株式会社と十條板紙株式会社との合併、三井石油化学工業株式会社と三井東圧化学株式会社との合併、三井東圧化学株式会社及び住友化学工業株式会社によるポリスチレン事業の統合、エクソン・グループによるゼネラル石油株式会社の株式取得、林薬品株式会社とオーク薬品株式会社との合併、株式会社富士銀行による安田信託銀行株式会社の株式取得、株式会社三和銀行による山一證券投資信託委託株式会社の株式取得、大山証券株式会社と日ノ丸証券株式会社との合併等があった。

事業者団体

 独占禁止法第八条は、事業者団体による競争の実質的な制限、一定の事業分野における事業者の数の制限、構成事業者の機能又は活動の不当な制限、事業者に不公正な取引方法を用いさせること等の行為を禁止するとともに(同条第一項)、事業者団体に対して、その成立、変更及び解散の届出義務を課している(同条第二項から第四項まで)。

1 事業者団体の届出状況
 平成九年度において、独占禁止法第八条第二項から第四項までの規定に基づく事業者団体からの届出件数は、成立届百十三件、変更届一千七百三十四件、解散届百十五件、合計一千九百六十二件であった。
 また、平成九年度までに、当委員会に対し、成立届出をし、かつ、解散届出をしていない事業者団体は、全体で一万五千四百五十六団体となっている。

不公正な取引方法の指定及び運用

 独占禁止法第十九条は、事業者が不公正な取引方法を用いることを禁止しており、禁止される行為の具体的内容については、当委員会が法律の枠内で告示により指定することとされている(第二条第九項、第七十二条)。
 不公正な取引方法に関しては、前記規定に違反する事件の処理のほか、不公正な取引方法の指定に関する調査、不公正な取引方法の防止のための指導業務等を行っている。
 また、規制緩和後の市場の競争秩序については、「規制緩和推進計画の再改定について」及び「規制緩和推進三か年計画」において、規制緩和後の市場の公正な競争秩序を確保するために、中小事業者等に不当な不利益を与えるなどの不公正な取引に対して厳正・迅速に対処することとされている。
 平成九年度において、地方公共団体等が行った入札について極端な安値での応札及び契約が行われたとの報道がみられたことから、当委員会は、その事実関係を調査し、平成十年三月に調査結果を公表した。

適用除外カルテル等

 独占禁止法第二十四条の三の規定に基づく不況カルテル及び同法第二十四条の四の規定に基づく合理化カルテルについては、平成九年度において実施されたものはなかった(不況カルテルについては平成元年十月以降、合理化カルテルについては昭和五十七年一月以降、実施されていない。)。
 当委員会が認可し、又は当委員会の同意を得、若しくは当委員会に協議若しくは通知を行って主務大臣が認可等を行ったカルテルの件数は、昭和四十年度末をピークに減少傾向にあり、また、適用除外カルテル制度そのものが大幅に縮減されたこともあり、平成九年度末現在十五件となっている。

再販適用除外制度

 再販売価格維持行為は、原則として、不公正な取引方法(再販売価格の拘束)に該当し、独占禁止法第十九条違反に問われるものであるが、おとり廉売防止等の観点から、同法第二十四条の二の規定に基づき、当委員会が指定する再販指定商品及び著作物を対象とするものについては、例外的に独占禁止法の適用を除外されている。

1 再販適用除外制度の見直し
 再販適用除外制度を含む独占禁止法適用除外制度については、累次の閣議決定においてその見直しが決定されており、当委員会は、これらを踏まえ再販適用除外制度の見直しに取り組んできた。このうち指定再販制度については、「再販売価格維持制度について、すべての指定商品の再販指定告示を廃止」することとされたことを受けて、化粧品十四品目、一般用医薬品十四品目の指定を平成九年四月一日から取り消した。これにより、昭和二十八年以降行われてきた再販指定商品の指定はすべて取り消された。
 また、著作物再販制度については、当委員会は、「再販問題検討のための政府規制等と競争政策に関する研究会」における検討結果を踏まえ、平成十年三月三十一日、著作物(書籍・雑誌、新聞、レコード盤・音楽用テープ・音楽用CD)の再販売価格維持制度について、@競争政策の観点からは廃止の方向で検討されるべきものであるが、文化の振興・普及と関係する面もあるとの指摘もあることから、これを廃止した場合の影響について配慮しつつ引き続き検討し、一定期間経過後に制度自体の存廃について結論を得ることが適当、A対象品目を書籍・雑誌、新聞、レコード盤・音楽用テープ・音楽用CDに限定して解釈・運用、B流通取引上の弊害について迅速かつ的確に是正を図っていくため所要の取組を実施、との結論を得ている。

下請法に関する業務

 下請法では、資本金一億円を超える事業者(親事業者)が個人又は資本金一億円以下の事業者(下請事業者)に、また、資本金一千万円を超え一億円以下の事業者(親事業者)が個人又は資本金一千万円以下の事業者(下請事業者)に物品の製造又は修理を委託する場合、親事業者に対し下請事業者への発注書面の交付(第三条)並びに下請取引に関する書類の作成及びその二年間の保存(第五条)を義務付けているほか、親事業者が、@委託した給付の受領拒否(第四条第一項第一号)、A下請代金の支払遅延(同項第二号)、B下請代金の減額(同項第三号)、C返品(同項第四号)、D買いたたき(同項第五号)、E物品等の購入強制(同項第六号)、F有償支給原材料等の対価の早期決済(同条第二項第一号)、G割引困難な手形の交付(同項第二号)などの行為を行った場合には、当委員会は、その親事業者に対し、当該行為を取りやめ、下請事業者が被った不利益の原状回復措置等を講じるよう勧告する旨を定めている。

1 違反被疑事件の処理
 当委員会では、下請法違反行為が行われているかを把握するため、主として製造業を営む親事業者及びこれらと取引している下請事業者を対象として書面調査を実施しているところ、平成九年度においては、親事業者一万三千六百四十八社及びこれらと取引している下請事業者の七万一千八百六十社を対象に書面調査を実施した。
 さらに、平成九年度においては、これら定期的な調査に加え、消費税率の引上げ及び地方消費税の導入に伴い、下請取引において消費税等の円滑かつ適正な転嫁が行われているかどうかの実態を把握するため、親事業者一千社及び下請事業者五千社に対して、特別に書面による調査を行った。
 平成九年度において、当委員会が下請法違反被疑事件を処理した件数は一千四百十一件であり、このうち、一千三百五十一件(九五・八%)について違反行為又は違反のおそれのある行為が認められたため、三件について同法第七条第二項の規定に基づき勧告を行い、一千三百四十八件について警告の措置を採った。
 平成九年度において措置した下請法違反事件を違反行為態様別にみると、手続規定違反が一千百九十九件(違反件数全体の五八・三%)となっている。このうち、発注時に下請代金の額、支払方法等を記載した書面を交付していない、又は交付していても記載すべき事項が不備のもの(第三条違反)が一千六十四件(同五一・八%)となっている。
 また、実体規定違反は、八百五十七件(違反件数全体の四一・七%)となっており、このうち、下請代金の支払遅延(第四条第一項第二号違反)が二百六十九件(実体規定違反件数全体の三一・四%)、手形期間が百二十日(繊維業の場合は九十日)を超える長期手形等の割引困難な手形の交付(第四条第二項第二号違反)が二百五件(同二三・九%)、下請代金の減額(第四条第一項第三号違反)が百二十一件(同一四・一%)、購入強制(第四条第一項第六号違反)が七十四件(同八・六%)となっている。
 下請代金の減額事件については、平成九年度中に、親事業者三十六社により総額二億七千四百三万円が三百三十七社の下請事業者に返還されており、支払遅延が認められた事件については、親事業者四十四社により総額四千六百四十万円の遅延利息が三百三十四社の下請事業者に支払われている。

2 下請法の運用上の問題に関する企業取引研究会における検討
 下請法が制定されて四十年が経過し、下請取引をめぐる経済環境が大きく変化してきていることに対応して、下請取引の公正化と下請事業者の利益の保護という下請法の目的に照らして適切な運用に資するため、平成九年五月以降、企業取引研究会を開催し、同研究会において、下請法の運用上の問題点及び対応策の検討を行い、同研究会の検討結果を取りまとめた報告書「下請法の運用上の問題と今後の見直しの方向」を平成十年六月に公表した。

景品表示法に関する業務

 景品表示法は、不当な顧客の誘引を防止するため、景品類の提供について、必要と認められる場合に、公正取引委員会告示により、景品類の最高額、総額、種類、提供の方法等について制限又は禁止し(第三条)、また、商品又は役務の品質、規格その他の内容又は価格その他の取引条件について一般消費者に誤認される不当な表示を禁止している(第四条)。これらの規定に違反する行為に対し、当委員会は排除命令を、都道府県知事は指示を行い、これを是正させることができる(第六条及び第九条の二)。

1 告示・運用基準の改正
 当委員会は、景品規制の一般規定に係る関係告示及び運用基準を改正し、平成八年四月一日から施行した。この一般規定の見直し・明確化に引き続いて、二十九の業種別告示についても見直しを行い、平成十年四月までに、二十四業種について告示を廃止し、五業種について告示を改正した。

2 違反被疑事件の処理
 平成九年度においては、新聞販売業者による過大な景品提供事件四件、痩身効果を標榜するいわゆる健康食品に関する不当表示事件四件に対して排除命令を行い(第3表参照)、景品関係百六十六件、表示関係二百九十三件の合計四百五十九件の警告を行った。
 都道府県知事が景品表示法第九条の二の規定に基づいて行った指示はなかった。また、注意の件数は八百一件(景品二百二十九件、表示五百七十二件)となっており、このうち過大な景品関係では、懸賞景品告示及び総付景品告示違反事案が、不当表示関係では、価格表示に関する事案が相当数を占めている。

3 公正競争規約制度
 公正競争規約は、事業者又は事業者団体が、景品表示法第十条の規定に基づき、景品類又は表示に関する事項について、当委員会の認定を受けて、不当な顧客の誘引を防止し、公正な競争を確保するために自主的に設定するルールである。
 平成九年度においては、新たに認定した規約はなかった。また、改正の認定を行った規約は四十五件(景品規約三十二件、表示規約十三件)であり、これらはすべて景品規制の見直し・明確化に係るものである。このほかに、二規約について、規約運用機関から廃止する旨の報告があった。

消費者関係業務

 近年、消費者ニーズの多様化、経済のサービス化・国際化など、消費者を取り巻く経済社会情勢は大きく変化してきており、また、規制緩和の進展に伴い、消費者への適切な情報提供を推進し、消費者の適正な商品選択を確保していくことが重要な課題となっている。

1 消費者モニター制度
 独占禁止法や景品表示法の施行その他当委員会の消費者保護の諸施策の的確な運用に資するため、消費者モニター制度を設置し、当委員会の依頼する特定の事項の調査、違反被疑事実の報告、消費者としての体験、見聞等の報告その他当委員会の業務に協力を求めている。平成九年度においては、一千名を消費者モニターに選定・委嘱し、二回のアンケートを実施し、消費者モニターの意見を聴取した。

2 消費者取引の適正化
 当委員会は、広告・表示の適正化を図る観点から、PHS(簡易型携帯電話)に関する表示、写真の同時プリント料金の表示等について適正化を図ったほか、英会話教室における消費者取引の適正化に関する調査を行い、結果を公表した。

国際関係業務

 国際関係業務としては、貿易摩擦問題に関し、日米包括経済協議として「日米間の新たな経済パートナーシップのための枠組みの下での規制緩和及び競争政策に関する強化されたイニシアティブに関する共同声明」の下における議論に対応するとともに、日米フィルム問題に関するWTO(世界貿易機関)における協議等に対応した。また、各国共通の競争政策上の問題について、韓国、米国、フランス、イギリス、カナダ、EU(欧州連合)の競争当局との間で二国間意見交換を行ったほか、OECD(経済協力開発機構)、WTO、APEC(アジア太平洋経済協力)、UNCTAD(国際連合貿易開発会議)等の国際機関等における多国間会議に積極的に参加した。

広報及び相談に関する業務

 平成九年度においては、百八十件の新聞発表を行い、また、広報資料を作成・配布したほか、海外向け「FTC/Japan Views」を作成・配布した。
 また、全国八都市において、「独占禁止法制定五十周年を迎えて」をテーマとする講演会を開催するとともに、当委員会の最近の活動状況等について各地の主要経済団体等の有識者と当委員会の委員との意見交換を行った。


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九月の雇用・失業の動向


―労働力調査 平成十年九月結果の概要―


総 務 庁


◇就業状態別の動向

 平成十年九月末の十五歳以上人口は、一億七百四十五万人で、前年同月に比べ六十四万人(〇・六%)の増加となっている。
 これを就業状態別にみると、就業者は六千五百二十六万人、完全失業者は二百九十五万人、非労働力人口は三千九百十五万人で、前年同月に比べそれぞれ七十万人(一・一%)減、五十九万人(二五・〇%)増、七十八万人(二・〇%)増となっている。
 また、十五〜六十四歳人口は八千六百九十五万人で、前年同月に比べ十一万人(〇・一%)の減少となっている。これを就業状態別にみると、就業者は六千四十五万人、完全失業者は二百八十七万人、非労働力人口は二千三百五十三万人で、前年同月に比べそれぞれ七十三万人(一・二%)減、五十七万人(二四・八%)増、四万人(〇・二%)増となっている。

◇労働力人口(労働力人口比率)

 労働力人口(就業者と完全失業者の合計)は六千八百二十一万人で、前年同月に比べ十一万人(〇・二%)の減少となっている。男女別にみると、男性は四千三十一万人、女性は二千七百八十九万人で、前年同月と比べると、男性は二万人(〇・〇%)の減少、女性は十一万人(〇・四%)の減少となっている。
 また、労働力人口比率(十五歳以上人口に占める労働力人口の割合)は六三・五%で、前年同月に比べ〇・五ポイントの低下と、八か月連続の低下となっている。

◇就業者

(一) 就業者

 就業者数は六千五百二十六万人で、前年同月に比べ七十万人(一・一%)減と、八か月連続の減少となっている。男女別にみると、男性は三千八百五十四万人、女性は二千六百七十二万人で、前年同月と比べると、男性は三十六万人(〇・九%)減と、九か月連続で減少、女性は三十四万人(一・三%)減と、四か月連続で減少となっている。

(二) 従業上の地位

 就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千三百四十七万人、自営業主・家族従業者は一千百五十九万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は三十五万人(〇・七%)減と、八か月連続で減少、自営業主・家族従業者は三十五万人(二・九%)減と、八か月連続の減少となっている。
 雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千三百十四万人で、三十一万人(〇・六%)減、八か月連続の減少
 ○常 雇…四千六百九十六万人で、五十五万人(一・二%)減、九か月連続の減少
 ○臨時雇…四百九十一万人で、二十万人(四・二%)増、平成八年九月以降増加が継続
 ○日 雇…百二十七万人で、四万人(三・三%)増、二か月連続の増加

(三) 産 業

 主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…三百三十一万人で、三十一万人(八・六%)減、四か月連続で減少、減少幅は前月(二十四万人減)に比べ拡大
○建設業…六百五十二万人で、四十五万人(六・五%)減、平成九年十一月以降十一か月連続で減少、減少幅は前月(四十一万人減)に比べ拡大
○製造業…一千三百六十七万人で、八十三万人(五・七%)減、平成九年六月以降十六か月連続で減少、減少幅は前月(四十七万人減)に比べ拡大
○運輸・通信業…四百三万人で、一万人(〇・二%)減、四か月連続で減少、減少幅は前月(二十万人減)に比べ縮小
○卸売・小売業、飲食店…一千五百万人で、二十六万人(一・八%)増、三か月連続で増加、増加幅は前月(三十万人増)に比べ縮小
○サービス業…一千六百九十万人で、四十八万人(二・九%)増、平成八年十月以降二十四か月連続で増加、増加幅は前月(四十三万人増)に比べ拡大
 また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…五百三十六万人で、二十九万人(五・一%)減、四か月連続で減少、減少幅は前月(二十七万人減)に比べ拡大
○製造業…一千二百三十九万人で、六十五万人(五・〇%)減、平成九年六月以降十六か月連続で減少、減少幅は前月(四十万人減)に比べ拡大
○運輸・通信業…三百八十一万人で、一万人(〇・三%)減、三か月連続で減少、減少幅は前月(十六万人減)に比べ縮小
○卸売・小売業、飲食店…一千百九十七万人で、十八万人(一・五%)増、三か月連続で増加、増加幅は前月(三十八万人増)に比べ縮小
○サービス業…一千四百三十四万人で、三十三万人(二・四%)増、昭和六十年七月以降増加が継続、増加幅は前月(二十四万人増)に比べ拡大

(四) 従業者階級

 企業の従業者階級別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千七百四十一万人で、十八万人(一・〇%)減少
○三十〜四百九十九人規模…一千七百四十三万人で、三十八万人(二・一%)減少
○五百人以上規模…一千二百五十五万人で、二万人(〇・二%)減少

(五) 就業時間

 九月末一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜三十五時間未満…一千四百万人で、五十二万人(三・九%)増加
○三十五時間以上…五千十三万人で、百二十五万人(二・四%)減少
 また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四二・九時間で、前年同月に比べ〇・五時間の減少となっている。

(六) 転職希望者

 就業者(六千五百二十六万人)のうち、転職を希望している者(転職希望者)は六百十四万人で、このうち実際に求職活動を行っている者は二百三十六万人となっており、前年同月に比べそれぞれ四十八万人(八・五%)増、十二万人(五・四%)増となっている。
 また、就業者に占める転職希望者の割合(転職希望者比率)は九・四%で、前年同月に比べ〇・八ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は九・二%、女性は九・七%で、前年同月に比べ男性は〇・八ポイントの上昇、女性は〇・九ポイントの上昇となっている。

◇完全失業者

(一) 完全失業者数

 完全失業者数は二百九十五万人で、前年同月に比べ五十九万人(二五・〇%)の増加となっている。男女別にみると、男性は百七十八万人、女性は百十七万人で、前年同月に比べ男性は三十六万人(二五・四%)の増加、女性は二十三万人(二四・五%)の増加となっている。
 また、求職理由別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非自発的な離職による者…八十七万人で、三十四万人増加
○自発的な離職による者…百十一万人で、十万人増加
○学卒未就職者…十六万人で、六万人増加
○その他の者…七十万人で、九万人増加

(二) 完全失業率(原数値)

 完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は四・三%で、前年同月に比べ〇・八ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は四・四%、女性は四・二%で、前年同月に比べ男性は〇・九ポイントの上昇、女性は〇・八ポイントの上昇となっている。

(三) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
 〔男〕
○十五〜二十四歳…三十八万人(七万人増)、八・八%(一・九ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…四十一万人(十万人増)、四・六%(一・〇ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十五万人(六万人増)、三・二%(〇・八ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…二十五万人(三万人増)、二・六%(〇・三ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…四十三万人(九万人増)、六・四%(一・三ポイント上昇)
 ・五十五〜五十九歳…十六万人(六万人増)、四・一%(一・五ポイント上昇)
 ・六十〜六十四歳…二十七万人(三万人増)、九・七%(〇・九ポイント上昇)
○六十五歳以上…七万人(一万人増)、二・三%(〇・三ポイント上昇)
 〔女〕
○十五〜二十四歳…二十八万人(一万人増)、七・二%(〇・七ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…四十万人(十一万人増)、七・〇%(一・七ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…十七万人(一万人増)、三・三%(〇・三ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…十七万人(五万人増)、二・五%(〇・八ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…十二万人(一万人増)、二・八%(〇・一ポイント上昇)
○六十五歳以上…一万人(増減なし)、〇・五%(増減なし)

(四) 世帯主との続き柄別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 世帯主との続き柄別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…八十一万人(十四万人増)、三・〇%(〇・五ポイント上昇)
○世帯主の配偶者…四十万人(十三万人増)、二・八%(一・〇ポイント上昇)
○その他の家族…百二十九万人(二十三万人増)、七・〇%(一・三ポイント上昇)
○単身世帯…四十四万人(八万人増)、五・四%(〇・八ポイント上昇)

(五) 完全失業率(季節調整値)

 季節調整値でみた完全失業率は前月と同率の四・三%で、比較可能な昭和二十八年以降で最高となっている。
 男女別にみると、男性は前月と同率の四・四%で、二十八年以降で最高、女性は四・二%で、前月に比べ〇・一ポイントの低下となっている。








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天皇誕生日一般参賀について


宮 内 庁


 天皇誕生日一般参賀は、十二月二十三日、皇居で次のとおり行われます。
1 午前の参賀
  天皇陛下が、皇后陛下、皇太子同妃両殿下、秋篠宮同妃両殿下及び紀宮殿下と御一緒に長和殿ベランダにお出ましになる予定です。入門時間は、午前九時三十分から同十一時までで、参賀者は、皇居正門(二重橋)から参入し、宮殿東庭の参賀会場を経て、坂下門、桔梗門、大手門、平川門又は北桔橋門から退出することとなります。
2 午後の参賀
  当日の午後は、宮殿において天皇誕生日の恒例の祝賀行事が行われますので、天皇陛下始め皇族方のお出ましはなく、坂下門内に特設した記帳所において記帳又は名刺をお受けします。
  記帳は都道府県名と氏名を記入することになりますが、筆記用具等は記帳所に備え付けてあります。
  入門時間は、午後零時三十分から同三時三十分までで、参賀者は、坂下門から参入し、記帳所を経て、桔梗門、大手門、平川門又は北桔橋門から退出することとなります。
  退出門は午後四時に閉門しますから、参賀者はその時までに退出されるようお願いします。
  なお、当日は退出門からは入門できませんので、御注意ください。
 皇居東御苑は、天皇誕生日当日は休園となりますが、退出する参賀者は皇居東御苑を通って、大手門、平川門又は北桔橋門から退出することができます。
 危険物を携行する者、旗ざお、大きな荷物等で参賀行事を妨げ、又は他に危害、迷惑等を及ぼすおそれのある物を携行する者、その他参賀行事の運営上支障があると認められる者は、入門をお断りします。
 参賀当日は非常な混雑が予想されますので、次の点に御注意ください。
@ 午前の一般参賀の閉門時刻は午前十一時となっていますが、多数の参賀者が参集されると思われますので、早めに御入門ください。
A 混雑する場合は、参入の際、あらかじめ、午前は正門前、午後は坂下門前で列を作って入門するようになりますが、入門する場合は、列を崩したり、立ち止まったりなどしないでください。
B 雑踏による転倒事故が生じやすいので、履物には十分御注意ください。特に、移動コース上には坂道がありますので、ハイヒール、下駄ばきの方は御注意ください。
 参賀者は、皇居内においては、次に挙げる行為をしないでください。これに反した場合は退去を求めることがあります。
@ 立入りを禁じた場所に入ること。
A 喫煙所以外での喫煙等、火災の危険がある行為をすること。
B 施設その他の物を破損し、又は移動すること。
C 業として写真又は映画を撮影すること。
D 集会又は示威行為をすること。
E 貼紙をし、又はビラ類を配布し若しくは散布すること。
F その他皇居内の秩序又は風紀を乱す行為等、参賀行事運営上支障があると認められる行為をすること。
7 その他
@ 荒天等の場合は、お出ましが中止されることがあります。
A 混雑や危険を防止するため、参入門の外で携帯品をお預かりすることがあります。
B 駐車場の用意はありませんので、御注意願います。


 
    <12月16日号の主な予定>
 
 ▽海上保安白書のあらまし…………海上保安庁 

 ▽消費者物価指数の動向……………総 務 庁 
 



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