官報資料版 平成101216




                 ▽ 海上保安白書のあらまし……………………………………海上保安庁

                 ▽ 普通世帯の消費動向調査(九月実施調査結果)…………経済企画庁

                 ▽ 消費者物価指数の動向(東京都区部十月中旬速報値)…総 務 庁

                 ▽ 新年一般参賀について………………………………………宮 内 庁










海上保安白書のあらまし


海上保安庁は、平成10年版「海上保安の現況」(海上保安白書)を作成し、11月6日の閣議の後、公表した。

海 上 保 安 庁


 海上保安庁は、海上における治安の維持、海難の救助、海上交通の安全確保、海洋情報の提供、海洋環境の保全等の各分野において、その時々の経済社会情勢の変化に対応した海上保安業務を遂行してきている。
 「海上保安の現況」(海上保安白書)は、これら海上保安庁が実施している業務について、広く国民に紹介し、理解と協力を得ることを目的として、昭和三十一年から刊行しており、今回は四十三回目に当たる。
 平成十年版「海上保安の現況」は、「海上保安をめぐる主な出来事」、「第1部 平成における海上保安の取組と今後の課題」、「第2部 海上保安の動向」の構成になっている。
 「海上保安をめぐる主な出来事」においては、平成九年九月から十年八月までの間における様々な動きの中で、海上保安業務に対する国民の理解を得る上で特に話題性のある事柄を記述している。
 「第1部 平成における海上保安の取組と今後の課題」では、本年が海上保安庁創設五十周年に当たることにかんがみ、平成に入って十年間の海上保安業務の状況を振り返るとともに、二十一世紀に向けての課題について記述している。
 平成十年間における海上保安業務の特徴としては、国連海洋法条約締結に伴う監視取締り海域の拡大への対応、外国船舶の増加や船舶交通のふくそう等に応じた海難防止の強化、SAR条約に基づく国際捜索救助体制の確立、ナホトカ号海難・流出油災害等を踏まえた油防除体制の充実強化などが挙げられる。
 特に最近では、中国、韓国からの集団密航や薬物・銃器密輸等、国際化が進む海上犯罪への対応、海難事故が続く外国船舶の安全対策が重要な課題となっている。
 また、「第2部 海上保安の動向」においては、平成九年を中心に、海上保安庁が実施した業務と現況について記述している。

<第1部> 平成における海上保安の取組と今後の課題

<第1章> 海上における秩序の維持に努めて

 海上保安庁においては、各種条約の締結、関係法令の整備等に対応して、海上犯罪の監視取締り、領海警備等を実施してきた。特に最近では、国際化が進む海上犯罪への対応、我が国の主権を確保するための領海警備業務が重要になってきている。

1 多様化・国際化する海上犯罪への対応
 平成八年七月の国連海洋法条約の締結に際し、関係法令が整備され、海上犯罪の監視取締りを担う海域が大幅に拡大した。このような中で、密航が八年、九年に激増し、外国漁船の不法操業も六年以降増加に転じ、薬物・銃器犯罪も重大な社会問題となってきている(第1図参照)。
(1) 不法入国事犯への対応
・ 平成に入り、中国人の不法入国の増加が顕著となり、八年から激増している(第2図参照)。形態も貨物船の船内に隠し部屋を設ける等、悪質化、巧妙化するとともに、その上陸先も全国に拡大傾向にある。
  平成十年八月には、セントビンセント船籍の貨物船のコンテナから中国人密航者十六名が発見され、うち八名は死亡していたという事件も発生している。これら中国人の集団密航は、「蛇頭」と呼ばれる国際的な密航ブローカーが我が国暴力団と結託し、組織的に行われている。
・ このため、綿密な立入検査の実施、密航組織の解明、関係機関との連携、情報収集体制の強化、巡視船艇・航空機による監視取締りの強化等の不法入国対策を講じている。
(2) 外国漁船による不法操業事犯への対応
・ 我が国周辺海域における外国漁船確認延べ隻数は、平成に入り緩やかに減少してきたが、平成六年から増加に転じ、八年から大幅に増加して、九年には延べ約一万九千隻を確認している(第3図参照)。
・ 外国漁船の中には不法操業を行うものも多く、巡視船艇・航空機による監視取締りを実施している。不法操業漁船の中には、巡視船艇に体当たりをしたり、角材等を用いて抵抗するものもあるなど、悪質の度を強めているが、強行接舷による制圧等により、徹底した取締りを講じている。
・ 日中、日韓の新たな漁業協定について協議が進められており、今後、新たな漁業秩序の下で、我が国周辺海域で操業する中国漁船、韓国漁船に対し、監視取締りを強化していく必要がある。
(3) 薬物・銃器事犯への対応
・ 覚せい剤摘発人員の三年連続の増加、銃器を使用した凶悪な事件が続くなど、薬物・銃器は深刻な社会問題になっている。
・ 国連を中心とした国際的な薬物対策に積極的に協力するとともに、政府の薬物乱用対策推進本部、銃器対策推進本部に参画し、警察、税関等と連携して薬物・銃器事犯の水際取締りを強化している。

2 領海等における主権等の確保と警備実施
 我が国の領海等における主権及び管轄権等を確保するため、従来、領海警備等を実施しているが、近年尖閣諸島等において重大な事案が発生している。
(1) 尖閣諸島をめぐる情勢と対応
・ 平成八年以降、台湾・香港等において尖閣諸島の領有権を主張する活動が活発化し、抗議船による活動が過激化・複雑化したことから、不測の事態が生じないよう細心の注意を払いながら、領海への侵入を排除する等の警備及び救難活動を実施している(第1表参照)。
(2) 竹島・北方領土問題への対応
・ 我が国漁船の被だ捕等防止のため、常時、巡視船艇を配備している。
(3) 東シナ海における海洋調査船等への対応
・ 外国の海洋調査船の活動が東シナ海で確認されており、特に平成六年からは中国の海洋調査船が頻繁に確認されるようになった。我が国の大陸棚・排他的経済水域において同意を得ていない調査に対し、中止要求を行うとともに、外務省等にも通報する等、対処している。
(4) 海上紛争の警備と警衛・警護及び特殊警備事案への対応
・ 即位の礼に際する警備実施、プルトニウム海上輸送の護衛、地下鉄サリン事件発生時のフェリー等への警乗等、社会情勢を反映した事案に対応している。
・ また、シージャック、サリン等の有毒ガス使用等の特殊警備事案に迅速かつ的確に対処するため、平成八年五月、大阪特殊警備基地を設置した。

<第2章> 海難ゼロを目指して

 海難発生隻数が減少傾向にある中、海難全体に占める外国船舶の海難割合は上昇傾向にあり、また従来の漁船に替わってプレジャーボート等が平成九年に海難船舶の用途別では最多となり、これらの安全対策が重要になってきている。

1 外国船舶安全対策の強化
 海難全体に占める外国船舶の割合は上昇傾向にあり、特に貨物船、タンカーに限定すると、昭和六十年代初めの二割から平成九年には四割へと、ここ十年で大幅に上昇している(第4図参照)。
(1) 最近の外国船舶の海難事例とその対応
・ 平成三年、関門海峡において韓国船と日本船が衝突、二十八時間にわたって関門海峡の航行制限が行われたほか、九年にも関門海峡において中国船とパナマ船が衝突し、中国船が沈没、約八か月経過後、船体が撤去された例など、外国船舶がらみで船舶航行に重大な支障を与える海難が生じている。
(2) 総合的な外国船舶安全対策
・ 海図等の備付け、船位確認の励行等について、外国船舶に重点をおいて訪船指導等を強力に行っているほか、海上交通センターによる情報提供の強化、ディファレンシャルGPSの整備、事故発生後の油防除体制の充実等の外国船舶安全対策を総合的に講じている。

2 東京湾等ふくそう海域における安全の確保
 東京湾等船舶のふくそうする海域において、より安全な航行を確保するため、海上交通センター等において情報提供及び航行管制を実施するとともに、大規模プロジェクトに係る船舶交通の安全対策など、各種の海上交通安全対策を展開してきた。
(1) 海上交通情報機構等の整備・運用
・ 昭和五十二年に東京湾海上交通センターが運用を開始して以来、順次、海上交通センターを整備し、平成十年には六番目の来島海峡海上交通センターが運用を開始している。
(2) 東京湾における海上交通環境の整備
・ 平成九年のダイヤモンドグレース号油流出事故等を契機とした、航行経路の指導を徹底している。
・ 灯浮標の大型化・同期点滅化等による航路標識機能の向上を図っている。
(3) プレジャーボート等の安全対策
・ プレジャーボート等の要救助海難船舶隻数は、平成九年には六百七十七隻まで増加し、漁船の海難を上回り、海難に占める船舶の用途別では最多となった。
・ 海洋レジャーに対する安全思想の普及・啓蒙や運航技術の向上等を図るため、一定時間、一定海域をプレジャーボートに開放する「ボート天国」の実施、「海洋レジャー行事相談室」の設置等を行っている。

3 航海用電子海図の整備
・ 航海者の利便性、航海の安全性の向上を図るため、平成七年三月から「東京湾至足摺岬」をはじめ順次、CD―ROM化した電子海図を整備している。

<第3章> 迅速・的確な海難救助体制の構築に向けて

 海難救助に関する世界的な枠組みが導入される中、隣接国との協力・連携を強化する一方、高度な救難技術を要する特殊救難体制の充実強化、民間救助体制の整備に努めている。

1 全世界的な救助体制下における協力・連携の推進
 平成四年から海上における遭難及び安全に関する世界的な制度(GMDSS)が導入され、船舶は世界のいかなる海域で遭難しても、迅速かつ的確に救助要請ができることとなったほか、海上安全情報の自動受信も可能となった。
(1) GMDSS体制下における国際的な協力
・ 平成元年度からGMDSSに対応する施設の整備を始め、陸上施設については六年度までに完了し、すでに運用を開始している。巡視船艇については、平成十一年一月末までに完了させる。
・ 更に、平成九年から、GMDSSを構成するコスパス・サーサットシステムの基幹業務管理センターの一つを我が国が担当し、運用を開始している。
(2) SAR条約体制下における隣接国との協力・連携
・ アジア太平洋地域における捜索救助体制を確立するため、米国、韓国などの隣接国とのSAR協定(海上における捜索及び救助に関する国際協定)の締結等による協力・連携を推進している(第5図参照)。

2 特殊な海難に対する救助体制整備の推進
・ 昭和五十年、第三管区海上保安本部に高度な救難技術を有する一隊五名からなる特殊救難隊が発足し、六十一年に同本部羽田特殊救難基地として体制が強化され、現在では五隊三十名体制となっている。
・ 特殊救難隊を中核として救難強化巡視船、潜水指定船からなる海上における特殊救難体制の充実強化、救急救命士の養成等に努めている。

3 官民一体となった救助体制の構築
・ 近年のプレジャーボート等の海難増加に伴い、沿岸部に空白のない救助体制を構築するため、民間による救助体制の整備に対し、積極的に支援・指導を行っている。
・ (社)日本水難救済会では、昭和六十年から洋上の傷病者に対する医師の往診制度である洋上救急事業を、(財)日本海洋レジャー安全・振興協会では、平成四年からプレジャーボート救助事業、レジャー・スキューバ・ダイビング事故に対する応急援助事業を、それぞれ海上保安庁の支援・指導の下に行っている。

<第4章> 自然災害・事故災害から人命・財産を守るために

 阪神・淡路大震災、ナホトカ号海難・流出油災害等を踏まえ、災害予防から応急対策にわたる幅広い分野について、関係行政機関との連携を図りつつ防災対策を推進している(第6図参照)。

1 自然災害への対応
 海上保安庁では、防災業務計画等を作成し、災害発生時には迅速・的確な救助活動等がとれるよう体制を整備している。
(1) 自然災害対策
・ 南関東地域に広域的な災害が発生した場合における災害応急対策の拠点として、平成六年から立川広域防災基地の運用を、東京湾及び関東一円で大規模な海上災害が発生した場合の海上防災拠点として、八年から横浜海上防災基地の運用をそれぞれ開始している。
・ 平成八年には、被災情報を伝送するヘリコプター撮影画像伝送システムを導入したほか、消火機能、物資輸送機能を強化した大型巡視艇六隻、九年には、災害対応型の大型巡視船一隻を整備している。
(2) 沿岸防災情報図の整備
・ 災害発生時の救助活動に役立てるため必要な防災情報等を網羅した沿岸防災情報図を平成三年度から整備し、防災関係機関に配布している。
(3) 地震予知のための調査・観測
・ 地震防災に資するため、平成七年度から比較的人口密集度の高い、又は活動度の高い断層が存在すると想定される沿岸海域で、活断層の分布等の調査を実施している。
・ また、平成六年度からGPSを利用した地殻変動監視観測を開始している。

2 事故災害への対応
(1) 油流出事故等への対応
・ 近年、我が国周辺海域で大規模な油流出事故が続発しており、巡視船艇・航空機等を動員し、防除活動の指導、機動防除隊の投入、船舶交通の制限等の災害応急対策を実施している。
・ これらの対策の一層の充実を図るため、油防除資機材の増強、排出油防除計画の見直し、「油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」の改定、横浜機動防除基地の設置、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」の改正等により体制を強化している。
(2) 沿岸海域環境保全情報の整備
・ OPRC条約の締結に伴い、平成七年に閣議決定された「油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」を受け、九年度から沿岸域の自然的・社会的情報等をデータベース化し、電子画面上に表示する沿岸海域環境保全情報の整備を開始している(第7図参照)。
(3) 漂流予測体制の強化
・ 平成九年のナホトカ号海難・流出油災害等を踏まえ、海上における油の流出に伴う漂流予測の高度化に関する研究を実施している。

<第5章> 国民のニーズに応える海洋情報

 国連海洋法条約の発効、地球温暖化への対応、海洋レジャー・海洋開発の進展等に伴い、海洋調査に対するニーズが広がりを見せてきている。

1 国連海洋法条約等に対応した海洋調査
 領海基線等の正確な位置を確定するとともに、領海基線から二百海里を超える大陸棚の限界を設定するための調査等を推進している(第8図参照)。
(1) 海洋測地の推進
・ 昭和六十二年度から、領海・排他的経済水域等、我が国の管轄海域を確定するために、可搬式レーザー測距装置により、領海基線の基準となる島しょ等の正確な位置を世界測地系で決定し、海洋測地網を構築した。
(2) 管轄海域確定のための海洋調査
・ 国連海洋法条約に基づいて直線基線及び領海の限界線を海図上に描画し、公表するための作業を順次進めている。
(3) 大陸棚の限界の設定等に係る海洋調査
・ 国連海洋法条約に基づいて設置された「大陸棚の限界に関する委員会」に申し出る大陸棚の範囲の設定に必要な基礎資料を得るための大陸棚調査を実施している。

2 高度情報化社会に対応した海洋情報の管理・提供
 海洋情報を迅速にユーザーに提供するため、海洋データを管理する高度利用システム及びインターネットによる情報提供体制の整備を推進している。
(1) 海洋データ高度利用システムの整備
・ ユーザーが容易に利用できる海洋データ高度利用システムの整備を昭和六十三年度から推進している。
(2) インターネットによる船舶交通安全情報の提供
・ 平成九年から、海流等船舶の能率的な運航に必要な情報、海図や水路誌の最新維持、航路標識の変更等の船舶航行上必要不可欠な情報についてインターネットによる提供を開始した。
(3) 日本海洋データセンターの運営
・ 日本海洋データセンターで収集管理されている水温、海流などの海洋データをインターネットにより提供するシステムとして、「海洋データオンライン提供サービス(J―DOSS)」を平成七年度末から運用している。

<第6章> 航行援助システムの拡充に向けて

 船舶の安全運航に必要不可欠な航路標識は、技術革新や社会経済情勢に対応して時代にマッチした航行援助システムとして発達してきている。

1 新たな広域電波航法システムの構築
 平成六年からロランCシステムが、九年からディファレンシャルGPSが、それぞれ運用開始される一方、必要性の低下したロランA及びオメガ各システムが順次廃止されている(第9図参照)。
(1) ロランCシステムの構築
・ ロランCシステムを米国から引き継ぐこととし、平成五年に千葉ロランセンターを、六年に新島局をそれぞれ設置し、新チェーンによる運用を開始した。
  また、日本、韓国及び中国のロランC局、ロシアのチャイカ局を相互にリンクさせる国際協力チェーンを構築し、一部を除き平成八年一月に運用を開始した。
(2) ディファレンシャルGPSシステムの導入
・ GPSより精度の高いディファレンシャルGPSシステムを、平成九年三月に東京湾から伊勢湾に至る太平洋沿岸を対象エリアとして運用を開始し、十年度中には残る海域における整備を実施することとしている。

2 船舶気象通報の充実
・ 昭和二十四年、無線による「船舶気象通報」業務を開始した。
・ 無線に加え、海洋レジャー関係者が利用できるよう昭和六十一年からテレホンサービスを、平成九年からFAXによる提供をそれぞれ開始している。

3 光波標識への自然エネルギーの利用促進
・ 環境負荷の低減、省エネルギー化を図りながら、航路標識の電源確保の問題を解決するため、光波標識への波力等、自然エネルギーの利用を推進している。
・ 平成九年度末までに約五千三百基ある光波標識の約二七%に当たる一千四百三十一基に自然エネルギーを利用している(第10図参照)。

4 地域とともに歩む航路標識
(1) 明治期灯台の保全
・ 明治期に建設された灯台・灯標で歴史的・文化財的に価値の高いものについて、平成九年度までに十一基を保全整備している。
(2) 地域に密着した航路標識
・ 灯台が地域に親しまれるよう、地方公共団体などと協力し、また、公共工事のコスト縮減にも十分配慮した上で、周囲の環境や景観にマッチした外観の灯台の整備を行っている。
・ 全国十一か所の灯台で、一般に紹介する参観事業を実施している。

<第2部> 海上保安の動向

<第1章> 海上治安の維持

T 領海警備等
1 領海警備
(1) 現 状
・ 平成九年には、我が国領海内で操業等の不法行為を行い又は徘徊等の不審な行動をとった外国船舶八百十六隻(うち漁船七百九十七隻)を確認している。
・ このうち、不法行為船であった五百三隻に対しては、四百七十一隻を警告の上、直ちに退去させ、悪質な二十八隻については検挙し、また、不審な行動をとった三百十三隻に対しては、当該行動の中止を要求し、あるいは警告の上、退去させるなど必要な措置を講じた。
(2) 尖閣諸島関係
・ 平成十年六月、香港及び台湾の抗議船団六隻が尖閣諸島周辺海域に接近し、このうち香港の「釣魚台号」が巡視船艇等による警告を無視して二回にわたり領海に侵入した上、活動家が同船から降下したゴムボートにより魚釣島に上陸しようとしたが、巡視船艇等により領海外へ退去させた。
  その後「釣魚台号」は遭難信号を発し、乗員は他の抗議船に移乗して無人のまま漂流、機関室内を調査したところ、主機冷却水パイプのゴム継手等が人為的に切られたり、緩んだ状態にあり、浸水が発生していたことが判明、同船は漂流状態となった二日後沈没した。

2 外国海洋調査船に対する警備の現状
・ 平成九年の我が国の領海・排他的経済水域における外国海洋調査船の確認件数は十件、そのうち四件は中国の海洋調査船であった。

3 我が国漁船の保護
(1) 北海道周辺海域におけるだ捕事件
・ 平成九年のロシアによる日本漁船だ捕隻数は一隻(六人)であり、また根室海峡においてロシア警備艇から銃撃され、漁船員二名が負傷した。
(2) その他の海域におけるだ捕事件
・ 平成九年には五隻(四十六名)がミクロネシア等の漁業水域内、領海内操業等の理由で外国官憲によりだ捕されている。

U 海上における法秩序の維持
 平成九年には八千五百七十三件の海上犯罪を送致し、違反の態様が軽微で是正の容易な三千九十三件の行政関係法令違反について警告処分を講じた(第11図参照)。

1 海事関係法令違反
・ 平成九年の海事関係法令違反の送致件数は四千三百十七件で、このうちプレジャーボート等小型船舶に係るものが二千九百七十七件と最も多くなっている。

2 漁業関係法令違反
・ 平成九年の日本人の漁業関係法令違反の送致件数は一千三百六十九件で、そのほとんどが無許可操業や区域外・期間外操業であった。
・ 平成九年の外国人漁業関係法令違反の送致件数は三十件で、九年一月から採用した直線基線により新たに領海になった海域での検挙は、韓国漁船が六隻であった。

3 刑法犯
・ 平成九年の海上における刑法犯の送致件数は一千二百九十九件、このうち一千百五十二件が業務上過失往来妨害事犯であった。
・ 平成九年には当て逃げ事件が四十九件発生、このうち七三%を検挙した。
・ 平成九年の海上における人身犯は、殺人一件、殺人未遂四件、傷害十九件、暴行三件であった。

4 出入国関係法令違反
・ 平成九年には六百五名の不法入国者を検挙している。このうち五百七十七名が中国人であった。

5 薬物・銃器関係法令違反
・ 平成九年の薬物関係法令違反送致件数は八件、銃器関係法令違反送致件数は七件であった。

V 海上紛争等の警備と警衛・警護
1 海上紛争等の警備
・ 平成九年は、六百七十四件の海上紛争等の警備を実施した。特に、平成九年五月から十月まで実施された沖縄普天間基地移転に伴うキャンプシュワブ沖の調査に対する反対運動等において所要の警備を実施した。

2 警衛・警護
・ 平成九年は、天皇陛下及び皇族方に対する警衛六十七件、国内外要人に対する警護五十七件を実施した。

<第2章> 海上交通の安全確保

T ふくそう海域における安全対策
1 海上交通安全法及び港則法の運用
(1) 海上交通安全法
・ 東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の三海域においては、基本ルールとしての海上衝突予防法のほか、海上交通安全法により、船舶交通の安全を図っている。
(2) 港則法
・ 入出港の多い全国五百一(平成十年七月末現在)の港を港則法適用港として、特別の交通ルールを定める等により、港内の安全を図っている。

2 海上交通情報機構等の運用
・ 船舶交通のふくそうする東京湾、瀬戸内海等において、船舶の安全かつ能率的運航を確保するため、海上交通に関する情報提供と航行管制を一元的に行うシステムとして、海上交通情報機構等を整備・運用している。

3 大規模プロジェクトの安全対策
・ 本州四国連絡橋来島大橋、関西国際空港二期事業等の大規模プロジェクトは、海上交通に大きな影響を与えるおそれがあるため、所要の航行安全対策を実施している。

U 海上交通の安全確保のための指導
1 海難防止活動の推進
・ 要救助海難の発生原因は、見張り不十分等の人為的要因によるものが七四%を占めている。このため、海難防止講習会等を通じて海難防止思想の普及を図っている。

2 海難防止団体等の指導・育成等
・ 海難防止を目的とする各種民間団体の育成・強化及び各種船舶の特性に応じた安全対策に努めている。

<第3章> 海洋レジャーの安全確保と健全な発展のための対策の推進

T 海洋レジャーの現状と今後の動向
・ 海洋レジャーの普及、定着、プレジャーボートの増加等に伴い、海洋レジャーに係る事故は跡を絶たず、今後も事故の増加が懸念される。

U 海洋レジャー事故の発生状況とその原因及び救助状況
1 プレジャーボート等の海難発生状況と原因及び救助状況
・ プレジャーボート等の海難隻数は漸次増加している。これらの海難の発生原因は、機関取扱不良等や海象・気象に対する注意不足など、人為的な原因が大半を占めている。
・ 平成九年は、要救助船舶となったプレジャーボート等六百三隻(自力入港を除く)のうち五百三十五隻が救助され、救助率は八九%であった。

2 海洋レジャーに係る海浜事故の発生状況と原因及び救助状況
・ 平成九年の海浜事故者七百十九人(自力救助を除く)のうち三百八十人が救助され、救助率は五三%であった。

V 海洋レジャーの事故防止及び健全な発展に資する対策の推進
1 海洋レジャー関係者に対する安全指導等
・ マリーナ等への訪問による安全指導に加え、海難防止強調運動を展開し、愛好者を対象に海難防止指導の普及・高揚を図っている。

2 「ボート天国」の実施及び海上行事への協力
・ 平成九年は、「ボート天国」を全国二十五か所で延べ四十三日開催し、約二十八万人、約一千六百隻が参加した。

3 関係団体の充実強化
・ 小型船安全協会、(財)日本海洋レジャー安全・振興協会等の活動を積極的に支援している。

W 海洋レジャーに係る救助体制の充実強化
1 巡視船艇・航空機による救助体制の強化
・ 海洋レジャーに係る事故の迅速な救助活動等を行うため、効果的な巡視船艇の配備、ヘリコプターの捜索能力を活用した救助体制の強化を図っている。

2 海難情報の入手体制
・ 船舶電話に緊急通報用特番(略称「海の一一○番」)を設置するとともに、海上保安部署の加入電話番号を随時「局番―四九九九」に統一している。

3 民間救助体制の整備
・ (社)日本水難救済会等に対して必要な指導を行うなど、民間救助体制の整備に取り組んでいる。

X 海洋レジャーの安全に資する情報の提供
・ 船舶気象通報のほか、「海の相談室」で海洋レジャーの安全に資する海流、潮流等の情報を提供している。

<第4章> 海難の救助

T 海難の発生状況と救助状況
1 海難の発生状況
・ 平成九年の要救助船舶は、一千六百七十八隻、百六十一万一千三百四十八総トンであった。これに伴う遭難者は七千七百七十一人で、このうち死亡・行方不明者数は百七十人であった。

2 海難の救助状況
・ 平成九年は、要救助船舶一千四百二十八隻(自力入港を除く)のうち一千百八十五隻が救助され、救助率は八三%であった。
・ 平成九年は要救助船舶の乗船者五千六百八十二人(自力救助の乗船者を除く)のうち五千五百十二人が救助され、救助率は九七%であった。

3 人身事故の発生状況
4 人身事故の救助状況
(1) 船舶海難によらない乗船者の人身事故の発生状況
・ 平成九年の船舶海難によらない乗船者の人身事故者数は八百八十五人で、このうち三百十三人が死亡・行方不明となっている。自力救助を除いた六百一人のうち二百八十八人が救助され、救助率は四八%であった。
(2) 海浜事故等の発生状況
・ 平成九年の海浜事故等の事故者数は一千六百八十人で、このうち一千五十三人が死亡・行方不明になっている。自力救助を除いた一千五百五十九人のうち五百六人が救助され、救助率は三二%であった。

5 ヘリコプターによるつり上げ救助状況
・ 平成九年のヘリコプターによるつり上げ救助者数は、百九十七人であった。

6 救急患者の輸送状況
・ 平成九年は、救急患者二百四十四人、医師等九十一人の緊急輸送を行った。

U 海難救助体制
1 情報収集体制
・ 平成九年は、海上保安庁の陸上通信所及び巡視船艇において、船舶等が発信した海難に関する通信三千三百九十四件、船舶電話等による救助要請二百七十四隻を扱った。

2 船位通報制度の充実
・ 平成九年にJASREPに参加した船舶は延べ二万七千十一隻、通報件数は十一万八千百一件であった。

3 海難への即応体制
・ 海上保安部署等における二十四時間体制の当直、巡視船艇の前進配備等により、海難への即応体制に万全を期している。
・ JASREPを活用しての協力要請やヘリコプターの救助能力等を活用している。

4 特殊救難体制
・ 羽田特殊救難基地、潜水指定船、救難強化巡視船により、特殊海難の救助体制の整備に努めている。

5 洋上救急体制
・ (社)日本水難救済会が事業主体となり、関係行政機関、関係団体の協力の下、官民一体となった洋上救急体制が整備されている。

6 救急救命体制の充実強化
・ 救急救命士の養成を続けており、平成七年度までに羽田特殊救難基地への配置を完了した。平成八年度からはヘリコプター搭載型巡視船への配置を開始した。

7 関係機関との協力等
・ 平成九年には、ロシア三十六件、韓国十七件、米国四件の船舶海難について、相互に情報連絡等を行った。

<第5章> 海洋環境の保全と海上防災

T 海洋汚染の現状と防止対策
1 海洋汚染の発生確認の状況等
・ 平成九年の海洋汚染の発生件数は七百十三件であった。このうち油による汚染は四百五件で、全体の約五七%を占めている。
・ 平成九年に海域に排出された廃棄物の量は、約三千百六万トンであった。

2 海洋環境保全の指導取締り
・ 平成九年の海上環境法令違反の送致件数は七百六十五件で、海洋汚染防止法違反が五百四件と大部分を占めている。
・ 平成九年の海上環境法令違反による外国船舶検挙件数は五十件であり、これらに担保金制度を適用した。

3 海上環境保全に係る調査
・ 海水、海底堆積物、廃油ボールの漂流・漂着状況、海上漂流物調査等、海洋汚染に係るバックグラウンドデータの収集を行っている。

U 海上災害の現状と防災対策
1 海上災害の発生状況
・ 平成九年の防除措置を講じた油排出事故は二百五十四件であった。
・ 平成九年の船舶火災件数は九十八件であった。

2 排出油の防除対策
・ 排出油防除体制の整備、排出油防除資機材等の整備、関係機関相互の協力体制の強化を進めている。

3 その他
・ 有害液体物質等の防除対策、海上消防対策、大型タンカーバースの防災対策、国家石油備蓄基地の防災対策及び海上災害防止センターの指導・監督を行った。

<第6章> 自然災害への対応

1 自然災害対策
・ 横浜海上防災基地の整備等、防災拠点の整備、実働の防災訓練、沿岸防災情報図の整備を行っている。

2 防災のための調査
・ 地震に関する調査研究のほか、火山噴火予知計画に参加している。

<第7章> 海洋調査と海洋情報の提供

T 管轄海域の確定
1 管轄海域確定のための海洋調査
・ 直線基線等を海図上に記載・公表するための作業を順次進めており、平成九年度は小縮尺の海図を中心に十五版を刊行した。

2 大陸棚の限界設定等に係る海洋調査
・ 平成九年度は、南鳥島周辺海域の調査を実施した。平成十年度は同島北方周辺海域等の調査を実施する予定である。

3 海洋測地の推進
・ 海図を世界測地系に対応させるための観測等を実施している。

U 航行の安全確保のための海洋調査及び情報提供
・ 航行の安全確保のため港湾測量、港湾調査、潮汐観測、潮流観測、星食観測、海氷観測等の海洋調査を実施し、水路図誌を刊行するとともに、水路通報等の船舶交通安全通報及び海流通報を提供している。

V 海洋情報の管理・提供
・ 日本海洋データセンターにおいて、海流、潮汐、水深等の海洋データ・情報を収集、管理、提供している。また、提供窓口として「海の相談室」を設けている。

<第8章> 航路標識業務への取組

T 航路標識の現状と整備
・ 平成九年度末現在、光波標識五千三百二十八基、電波標識百十六基、音波標識二十三基、その他の標識三十基、合計五千四百九十七基を設置・管理している。

U 航路標識の保守・運用
・ 航路標識の機能を維持するため、船舶、車両又はヘリコプターで定期的に巡回し保守するほか、灯台が消灯する等の事故が発生した場合は緊急出動し、速やかに復旧している。

V 船舶気象通報
・ 全国各地の主要な岬の灯台等五十五か所における局地的な気象・海象を、無線電話又はテレホンサービス若しくはFAXにより提供している。
・ 平成九年のテレホンサービス利用件数は、全国二十四か所で約四百二十七万件であった。

W 自然エネルギーの利用及び歴史的・文化財的施設の保全
・ 航路標識の電源として、風力、太陽、波力といった自然エネルギーの利用拡大を図っている。
・ 明治時代に建設され、歴史的・文化的価値を有する灯台等については、その価値の保全を図りつつ、現役のまま運用することとしており、平成九年度においては、三基の灯台について保全方法の検討を行った。

<第9章> 海上保安に関する国際活動

T 国際機関等における活動
・ 国際海事機関(IMO)、国際水路機関(IHO)、国際航路標識協会(IALA)等の国際機関の活動に参画した。

U 関係諸国との協力・連帯の推進
1 警備救難業務関係
・ 海洋環境の保全に関する地域協力、アジア地域における海上交通の安全の確保、海上犯罪に対する地域協力、アジア太平洋地域における捜索救助体制の確立などを進めている。

2 水路業務関係
・ 海洋環境の状況を把握するための国際的な連携、東アジア水路委員会における相互協力等を進めている。

3 航路標識業務関係
・ 平成八年一月一日から、中国、韓国、ロシアとともにロランC国際協力チェーンの運用を開始し、相互に精度向上のための協力を行っている。

V 国際協力・国際貢献の推進
・ 開発途上国の経済・社会開発に携わる人材の育成を目的とする技術協力を、国際協力事業団を通じて実施している。

<第10章> 海上保安体制の現状

T 組織・定員
・ 平成十年六月末現在、管区本部の事務所として、海上保安(監)部六十六か所、海上警備救難部一か所、海上保安署五十一か所、海上交通センター六か所、航空基地十四か所、特殊警備基地一か所、特殊救難基地一か所、機動防除基地一か所、統制通信事務所十一か所、水路観測所四か所、ロランセンター一か所及び航路標識事務所八十四か所を置いている。
・ 平成十年度の主な組織改正は、本庁水路部企画課に地震調査官の設置、本庁水路部海洋情報課に沿岸域海洋情報管理室の設置、第二管区海上保安本部に福島航路標識事務所の設置、第三管区海上保安本部に横浜機動防除基地の設置などである。
・ 平成九年度末の定員は、一万二千二百二十二人である。

U 装 備
・ 平成九年度末現在、警備救難、水路及び灯台の各業務用の船艇五百十二隻、職員の教育訓練用艇三隻を、飛行機二十六機、ヘリコプター四十三機を保有している。
・ 一般船舶間、部内相互間等における通信を実施しており、通信施設等の建設・保守を行っている。
・ 平成十年三月、インターネット・ホームページを開設した。
・ 海洋情報システムによる業務の効率化、留置施設の改善、庁舎等の整備を図っている。

V 教育訓練体制
・ 海上保安大学校及び海上保安学校を設置して、新規採用職員に対して全寮制の下に必要な教育訓練を実施している。

W 研究開発
・ 海上保安業務の業務効率及び精度を向上させるため、海上保安試験研究センター等において研究開発を行っている。
・ 平成九年度は、
 ○砕氷機能を有する巡視船に関する調査研究
 ○流星バースト通信を用いた表層観測用漂流ブイの海域実験
 ○兵庫県南部地震による突発的負荷変動が大阪湾に与える影響に関する研究
 などを行った。


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普通世帯の消費動向調査


―平成十年九月実施調査結果―


経 済 企 画 庁


 消費動向調査は、家計消費の動向を迅速に把握し、景気動向判断の基礎資料とするために、全国の普通世帯(単身世帯及び外国人世帯を除いた約三千万世帯)を対象に、約五千世帯を抽出して、消費者の意識、主要耐久消費財等の購入状況、旅行の実績・予定、サービス等の支出予定について、四半期ごとに調査している。また、年度末に当たる三月調査時には、主要耐久消費財等の保有状況、住宅の総床面積についても併せて調査している。
 今回の報告は、平成十年九月に実施した調査結果の概要である。

1 調査世帯の特性

 十年九月の調査世帯の世帯主の平均年齢は五二・一歳(全世帯、以下同じ)、平均世帯人員は三・五人、うち就業者数は一・七人、平均持家率は七三・〇%となっている。また、有効回答率は一〇〇%(有効回答世帯数は五千四十世帯)となっている。

2 消費者の意識

 (1) 消費者態度指数(季節調整値)の調査結果

 消費者意識指標七項目中五項目を総合した消費者態度指数は、「雇用環境」に関する意識が悪化したほか、「耐久消費財の買い時判断」、「収入の増え方」、「暮らし向き」及び「物価の上がり方」に関する意識のすべての項目が悪化したため、三四・九(前期差一・二ポイント低下)となり、二期連続で低下した(第1図参照)。

 (2) 各調査項目ごとの消費者意識指標(季節調整値)の調査結果

 各消費者意識指標について十年九月の動向を前期差でみると、「雇用環境」に関する意識(二・七ポイント低下)が悪化したほか、「耐久消費財の買い時判断」に関する意識(二・五ポイント低下)、「収入の増え方」に関する意識(一・〇ポイント低下)、「暮らし向き」に関する意識(〇・八ポイント低下)及び「物価の上がり方」に関する意識(〇・四ポイント低下)といずれも悪化を示した(第1表参照)。

3 サービス等の支出予定(季節調整値)

 十年十〜十二月期のサービス等の支出予定八項目の動きを「今より増やす予定と回答した世帯割合」から「今より減らす予定と回答した世帯割合」を控除した数値(サービス支出DI)でみると、以下のとおりである(第2図参照)。
 (1) 高額ファッション関連支出DIは、このところ低下傾向を示しており、前期がマイナス一一・二%のところ、今期はマイナス一二・〇%となっている。
 (2) 学習塾等補習教育費DIは、他の支出DIと比較して高い水準にあるが、前期が五・三%のところ、今期は五・一%となっている。
 (3) けいこ事等の月謝類DIは、他の支出DIと比較して高い水準にあるが、前期が〇・五%のところ、今期は〇・七%となっている。
 (4) スポーツ活動費DIは、九年までは比較的高い水準を示してきたが、十年に入り低下し、前期がマイナス二・七%のところ、今期はマイナス三・〇%となっている。
 (5) コンサート等の入場料DIは、九年までは比較的高い水準を示してきたが、十年に入り低下し、前期がマイナス二・八%のところ、今期はマイナス三・一%となっている。
 (6) 遊園地等娯楽費DIは、このところ低下傾向を示しており、前期がマイナス一五・一%のところ、今期はマイナス一五・六%となっている。
 (7) レストラン等外食費DIは、このところ低下傾向を示しており、前期がマイナス二二・八%のところ、今期はマイナス二五・九%となっている。
 (8) 家事代行サービスDIは、おおむね安定した動きが続いており、前期がマイナス二・七%のところ、今期はマイナス三・六%となっている。

4 旅行の実績・予定(季節調整値)

 (1) 国内旅行

 十年七〜九月期に国内旅行(日帰り旅行を含む)をした世帯割合は、前期差で〇・二ポイント増加し三四・五%となった。旅行をした世帯当たりの平均人数は、前期差で横ばいの二・九人となった。
 十年十〜十二月期に国内旅行をする予定の世帯割合は、十年七〜九月期計画(以下「前期計画」)差で二・〇ポイント減少し二九・七%、その平均人数は、前期計画差で〇・一人増加し三・〇人となっている。

 (2) 海外旅行

 十年七〜九月期に海外旅行をした世帯割合は、前期差で〇・七ポイント増加し五・〇%となった。その平均人数は、前期差で〇・二人増加し一・八人となった。
 十年十〜十二月期に海外旅行をする予定の世帯割合は、前期計画差で〇・三ポイント減少し三・八%、その平均人数は、前期計画差で横ばいの一・七人となっている。

<参 考>
1 消費者意識指標(季節調整値)
  (レジャー時間、資産価値)

 十年九月の「レジャー時間」に関する意識は、前期差で〇・七ポイント低下し四〇・七となった。
 「資産価値」に関する意識は、前期差で〇・六ポイント低下し三七・四となった。

2 主要耐久消費財等の購入状況品目別購入世帯割合の動き(原数値)

 十年七〜九月期実績は、二十八品目中十三品目の購入世帯割合が前年同期に比べて増加し、十品目が減少した。なお、五品目が横ばいとなった。
 十年十〜十二月期実績見込みは、二十八品目中十品目の購入世帯割合が前年同期に比べて増加し、十六品目が減少している。なお、二品目が横ばいとなっている(第2表参照)。

3 主要耐久消費財の買替え状況

 十年七〜九月期に買替えをした世帯について買替え前に使用していたものの平均使用年数をみると、普及率の高い電気冷蔵庫、電気洗たく機などは九〜十二年となっており、その理由については故障が多い。技術進歩の著しいワープロは平均使用年数が約七年となっており、買替え理由は上位品目への移行が多い。また、「住居の変更」による買替えが多いものとしては、電気洗たく機、ルームエアコンがあげられる。


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消費者物価指数の動向


―東京都区部(十月中旬速報値)・全国(九月)―


総 務 庁


◇十月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況
(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇二・九となり、前月比は〇・八%の上昇。前年同月比は七月〇・〇%、八月〇・一%の下落、九月〇・一%の下落と推移した後、十月は〇・四%の上昇となった。九月〇・一%の下落から十月〇・四%の上昇となったのは、生鮮野菜の上昇幅が拡大したことなどによる。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇二・一となり、前月比は〇・一%の上昇。前年同月比は七月〇・一%の上昇、八月〇・一%の上昇、九月〇・三%の下落と推移した後、十月は〇・二%の下落となった。
二 前月からの動き
(1) 食料は一〇五・三となり、前月に比べ二・八%の上昇。
  生鮮魚介は三・〇%の下落。
   <値上がり> ほたて貝、ぶりなど
   <値下がり> さんま、いかなど
  生鮮野菜は二五・八%の上昇。
   <値上がり> レタス、トマトなど
   <値下がり> たまねぎ、れんこんなど
  生鮮果物は一六・七%の上昇。
   <値上がり> ぶどう(巨峰)、なしなど
   <値下がり> みかん、バナナ
(2) 光熱・水道は一〇一・四となり、前月に比べ〇・九%の下落。
  電気・ガス代は一・二%の下落。
   <値下がり> 都市ガス代など
(3) 被服及び履物は一〇七・四となり、前月に比べ〇・六%の下落。
  シャツ・セーター・下着類は一・四%の下落。
   <値下がり> 婦人セーター(長袖)など
(4) 教養娯楽は一〇一・〇となり、前月に比べ〇・九%の上昇。
  教養娯楽サービスは一・四%の上昇。
   <値上がり> ゴルフプレー料金など
三 前年同月との比較
○上昇した主な項目
 生鮮野菜(二四・三%上昇)、生鮮果物(一一・四%上昇)、衣料(二・九%上昇)、授業料等(二・二%上昇)
○下落した主な項目
 電気代(五・五%下落)、自動車等関係費(一・七%下落)、設備修繕・維持(二・三%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。
四 季節調整済指数
 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇二・六となり、前月に比べ〇・八%の上昇となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇一・九となり、前月に比べ〇・一%の上昇となった。

◇九月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況
(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇二・六となり、前月比は〇・八%の上昇。前年同月比は六月〇・一%の上昇、七月〇・一%の下落、八月〇・三%の下落と推移した後、九月は〇・二%の下落となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇二・三となり、前月比は〇・四%の上昇。前年同月比は六月〇・〇%、七月〇・一%の下落、八月〇・一%の下落と推移した後、九月は〇・五%の下落となり、下落幅は前月に比べ〇・四ポイント拡大。これは、昨年九月の医療保険制度改正の影響が一巡したことなどによる。
二 前月からの動き
(1) 食料は一〇三・〇となり、前月に比べ一・五%の上昇。
  生鮮魚介は〇・七%の上昇。
   <値上がり> あじ、かつおなど
   <値下がり> さんま、さけなど
  生鮮野菜は一八・二%の上昇。
   <値上がり> レタス、きゅうりなど
   <値下がり> れんこん、ばれいしょなど
  生鮮果物は五・七%の上昇。
   <値上がり> もも、ぶどう(デラウェア)など
   <値下がり> なし、ぶどう(巨峰)など
(2) 被服及び履物は一〇七・二となり、前月に比べ六・〇%の上昇。
  衣料は七・二%の上昇。
   <値上がり> 背広服(冬物)など
(3) 交通・通信は九七・三となり、前月に比べ〇・二%の下落。
  交通は〇・七%の下落。
   <値下がり> 航空運賃など
(4) 教養娯楽は一〇〇・一となり、前月に比べ〇・四%の下落。
  教養娯楽サービスは〇・四%の下落。
   <値下がり> 宿泊料など
三 前年同月との比較
○上昇した主な項目
 生鮮魚介(四・七%上昇)、生鮮野菜(四・七%上昇)、授業料等(二・一%上昇)、家賃(〇・四%上昇)
○下落した主な項目
 自動車等関係費(三・〇%下落)、電気代(五・一%下落)、穀類(二・六%下落)、通信(二・五%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。
四 季節調整済指数
 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇二・三となり、前月に比べ〇・三%の上昇となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇二・一となり、前月に比べ〇・一%の下落となった。








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新年一般参賀について


宮 内 庁


 新年一般参賀は、一月二日、皇居で次のとおり行われます。

 天皇皇后両陛下が、おおむね七回、長和殿ベランダにお出ましになる予定です。
  そのうち、二回目までは皇太子同妃両殿下始めお出ましになれる成年の皇族殿下方が、三回目以降は皇太子同妃両殿下、秋篠宮同妃両殿下及び紀宮殿下が、御一緒にお出ましになる予定です。
  お出ましの最終時刻は、午後三時二十分の予定です。

 参賀者は、午前九時三十分から午後三時までに、皇居正門(二重橋)から参入し、宮殿東庭の参賀会場を経て、坂下門、桔梗門又は乾門から退出することとなります。

 皇居東御苑は休園ですので、入園できません。

 危険物を携行する者、旗ざお、大きな荷物等で参賀行事を妨げ、又は他に危害、迷惑等を及ぼすおそれのある物を携行する者、その他参賀行事の運営上支障があると認められる者は、入門をお断りします。

 参賀当日は非常な混雑が予想されますので、次の点に御注意ください。
 @ 一般参賀の閉門時刻は午後三時となっていますが、多数の参賀者が参集されると思われますので、早めに御入門ください。
 A 混雑する場合は、参入の際、あらかじめ、正門前で列を作って入門するようになりますが、入門する場合は、列を崩したり、立ち止まったりなどしないでください。
 B 雑踏による転倒事故が生じやすいので、履物には十分御注意ください。特に、移動コース上には坂道がありますので、ハイヒール、下駄ばきの方は御注意ください。

 参賀者は、皇居内においては、次に挙げる行為をしないでください。
  これに反した場合は退去を求めることがあります。
 @ 立入りを禁じた場所に入ること。
 A 喫煙所以外での喫煙等、火災の危険がある行為をすること。
 B 施設その他の物を破損し、又は移動すること。
 C 業として写真又は映画を撮影すること。
 D 集会又は示威行為をすること。
 E 貼紙をし、又はビラ類を配布し若しくは散布すること。
 F その他皇居内の秩序又は風紀を乱す行為等、参賀行事運営上支障があると認められる行為をすること。

 その他
 @ 荒天等の場合は、お出ましが中止されることがあります。
 A 混雑や危険を防止するため、参入門の外で携帯品をお預かりすることがあります。
 B 駐車場の用意はありませんので、御注意願います。

 石油ストーブなどの安全な取扱い


 平成八年中に発生したストーブによる火災は、全国で二千百七件でした。なかでも、石油ストーブによる火災が一千四百三十二件で最も多く、ストーブによる火災全体の六八・〇%を占めています。

◇出火の原因は、ちょっとした不注意

 ストーブによる火災の主な原因をみると、「火を着けたままの給油や移動」「カーテン・洗濯物などの可燃物との接触」「使用方法の誤り」など、使う人のちょっとした不注意により出火するケースが多くみられます。
 寒い季節を迎え、これからストーブなどの暖房器具を使用する機会が多くなります。ストーブによる火災を出さないよう、特に次の点に注意してください。

<設置場所>
・ストーブの近くに紙や衣類など燃えやすいものを置かない。
・カーテンなどがストーブに接触しないようにする。
・ストーブの上方で洗濯物を干さない。
・ストーブの近くでヘアスプレーなど引火の危険があるものは使用しない。

<使用方法>
・取扱説明書をよく読み、正しい方法で使用する。
・移動や給油は、完全に火を消してから行う。
・カートリッジタンク式のものは、給油後タンクのふたを確実に締め、漏れないことを確認する。
・ストーブは、対震自動消火装置付きのものを使用する。
・一酸化炭素中毒を防止するため、換気に留意しながら使用する。

<点火及び消火の確認>
・点火後は炎の調節を行い、正常に燃焼していることを確認する。
・就寝時や外出時には、必ず完全に消火していることを確認する。

<設置方法>
・地震時の振動により転倒しないよう、固定する必要のあるストーブはきちんと固定する。また、煙突がついているものは、金属や支線などを使用して固定する。

<点検・整備>
・暖房シーズン前には、必ず十分な点検・整備を行い、安全装置などが故障している場合には、販売店などに修理を依頼する。
(消防庁)


 
    <12月24日号の主な予定>
 
 ▽世界経済白書のあらまし…………経済企画庁 

 ▽月例経済報告………………………経済企画庁 
 



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